(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090480
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】撚り糸の破断前兆検出装置および方法
(51)【国際特許分類】
D05B 51/00 20060101AFI20230622BHJP
B65H 63/06 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
D05B51/00
B65H63/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205449
(22)【出願日】2021-12-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトのアドレス:https://www.ecei.tohoku.ac.jp/tsjc/program2021/forregistrants.html https://www.ecei.tohoku.ac.jp/tsjc/abstract_2021tsjc/ 掲載日:令和3年8月25日 [刊行物等] 2021年度電気関係学会東北支部連合大会 開催日:令和3年8月26日 [刊行物等] 令和3年東北・北海道地区高等専門学校専攻科産学連携シンポジウム 開催日:令和3年11月27日
(71)【出願人】
【識別番号】391003819
【氏名又は名称】株式会社ハッピージャパン
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】横尾 政好
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆興
(72)【発明者】
【氏名】清野 健二
(72)【発明者】
【氏名】那須 潜思
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 順
【テーマコード(参考)】
3B150
3F115
【Fターム(参考)】
3B150CB04
3B150CD01
3B150CD04
3B150CE01
3B150CE09
3B150CE23
3B150CE27
3B150GD03
3B150LA48
3B150LA52
3B150LB01
3B150NA80
3F115CA42
3F115CB18
3F115CB21
3F115CC01
3F115CC23
3F115CF40
(57)【要約】
【課題】刺繍機やミシンのような縫製機械において、走行中の糸が破断する前兆を検出すること。
【解決手段】所定の張力を与えられた状態で直線経路に沿って走行する撚り糸の走行方向に対して横断方向にレーザー光を照射し、走行する撚り糸を横断したレーザー光を光センサにより受光し、光センサの出力を処理して、撚り糸にほつれ、または、フィラメント切れが生じていることを検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撚り糸の破断前兆検出装置において、
所定の張力を与えられた状態で直線経路に沿って走行する撚り糸の走行方向に対して横断方向にレーザー光を照射するレーザー光照射装置と、
走行する前記撚り糸を横断したレーザー光を受光する光センサと、
前記光センサの出力を処理して、撚り糸にほつれ、または、フィラメント切れが生じていることを検出する処理装置とを具備する撚り糸の破断前兆検出装置。
【請求項2】
前記撚り糸の走行方向に所定の長さに渡って前記レーザー光が照射されるように、前記レーザー光照射装置から照射されるレーザー光を整形するレーザー光整形素子を更に具備する請求項1に記載の撚り糸の破断前兆検出装置。
【請求項3】
針棒を上下動させる針棒駆動機構と、撚り糸を繰り出す糸供給源と、撚り糸に張力を付与する糸調子と、上下動する前記針棒に同期して上下動しする天秤と、前記糸調子と前記天秤との間に配置され、前記撚り糸が掛け止めされ前記天秤の上下動に追従して撓み変形する糸取りばねとを含む縫製機械において、
前記糸調子と糸取りばねとの間で走行する前記撚り糸の走行方向に対して横断方向にレーザー光を照射するレーザー光照射装置と、
走行する前記撚り糸を横断したレーザー光を受光する光センサと、
前記光センサの出力を処理して、撚り糸にほつれ、または、フィラメント切れが生じていることを検出する処理装置とを具備する縫製機械。
【請求項4】
撚り糸が破断する前兆を検出する方法において、
所定の張力を与えられた状態で直線経路に沿って走行する撚り糸の走行方向に対して横断方向にレーザー光を照射し、走行する撚り糸を横断したレーザー光を光センサにより受光し、光センサの出力を処理して、撚り糸にほつれ、または、フィラメント切れが生じていることを検出するようにした方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張力を印加しつつ走行する撚り糸の破断の前兆を検出する破断前兆検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、CCDラインセンサを上糸供給源と縫目形成装置との間の上糸経路に設け上糸を間に挟んでCCDラインセンサと対向する位置にLEDを配置し、CCDラインセンサからの電荷量信号を処理して上糸の太さを検出し、上糸の太さ情報に応じて、上糸供給源と天秤との間の上糸経路において上糸を挟持して張力を与える糸挟持マグネットを制御するようにしたミシンの糸調子装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
刺繍機やミシンのような縫製機械では、縫製作業中に糸が破断する(切れる)ことがある。糸が破断すると、製品に欠陥(製品不良)を生じたり、糸を掛け直すために縫製作業時間が長くなったりする問題がある。
特許文献1の発明では、上糸の太さに応じて張力を調節することはできるが、糸の破断を予測することはできない。
【0005】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、走行中の撚り糸が破断する前兆を検出する撚り糸の破断前兆検出装置を提供することを目的とする。また、本発明は、供給する撚り糸が破断する前兆を検出可能な縫製機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、撚り糸の破断前兆検出装置において、所定の張力を与えられた状態で直線経路に沿って走行する撚り糸の走行方向に対して横断方向にレーザー光を照射するレーザー光照射装置と、走行する前記撚り糸を横断したレーザー光を受光する光センサと、前記光センサの出力を処理して、前記撚り糸にほつれ、または、フィラメント切れが生じていることを検出する処理装置とを具備する撚り糸の破断前兆検出装置が提供される。
【0007】
本発明は、また、針棒を上下動させる針棒駆動機構と、撚り糸を繰り出す糸供給源と、前記撚り糸に張力を付与する糸調子と、上下動する前記針棒に同期して上下動する天秤と、前記糸調子と前記天秤との間に配置され、前記撚り糸が掛け止めされ前記天秤の上下動に追従して撓み変形する糸取りばねとを含む縫製機械において、前記糸調子と糸取りばねとの間で走行する前記撚り糸の走行方向に対して横断方向にレーザー光を照射するレーザー光照射装置と、走行する前記撚り糸を横断したレーザー光を受光する光センサと、前記光センサの出力を処理して、前記撚り糸にほつれ、または、フィラメント切れが生じていることを検出する処理装置とを具備する縫製機械を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ほつれやフィラメント切れを非接触で検出して、撚り糸が破断する前兆を検知することによって、製品不良の発生を抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による撚り糸の破断前兆検出装置を示す略図である。
【
図2】
図1の撚り糸の破断前兆検出装置をレーザー光照射側から高軸方向に光センサを見た部分拡大図である。
【
図3】本発明の他の実施形態による撚り糸の破断前兆検出装置を示す
図1と同様の略図である。
【
図4】フォトダイオードから出力される電圧の時間変化の一例を示すグラフである。
【
図5】フォトダイオードから出力される電圧の時間変化の他の例を示すグラフである。
【
図6】破断の前兆としての撚り糸のほつれやフィラメント切れを説明するための撚り糸の略図である。
【
図7】本発明の撚り糸の破断前兆検出装置を組み込む縫製機械の一例としての刺繍機の糸供給装置の略示斜視図である。
【
図8】本発明の撚り糸の破断前兆検出装置を組み込む縫製機械の一例としてのミシンの糸供給装置の略示斜視図である。
【
図9】撚り糸の破断前兆検出装置の光学系の別の例を示す略図である。
【
図10】撚り糸の破断前兆検出装置の光学系の更に別の例を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1において、撚り糸Sの破断前兆検出装置10(以下、単に破断前兆検出装置と記載する)は、レーザー光照射装置12と、光センサとしてのフォトダイオード14と、フォトダイオード14の出力を処理する処理装置20とを含む。
【0011】
レーザー光照射装置12は、レーザー光を出力するレーザー発振器(図示せず)や、レーザー光を撚り糸Sへ向けて照射するように導く導波管(図示せず)等を含むことができる。レーザー光照射装置12は、走行する撚り糸Sへ向けて、撚り糸Sの走行方向Dに対して横断方向にレーザー光を照射する。走行中、撚り糸Sには所定の張力が印加されている。
【0012】
フォトダイオード14は、走行する撚り糸Sに関して、レーザー光照射装置12の反対側でレーザー光LBの光軸O上に配置されている。フォトダイオード14は、処理装置20に接続されている。処理装置20は、フォトダイオード14から出力される信号を処理し、撚り糸Sに破断の前兆があるか否かを判定する。
【0013】
処理装置20は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、出入力ポート、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータおよび関連するソフトウェアから構成することができる。警報装置22を処理装置20に接続してもよい。警報装置22は、処理装置20からの信号または司令にもとづき、警告灯(図示せず)を点灯させたり、ビープ音のような警報音を発するようにできる。
【0014】
レーザー光照射装置12から照射されるレーザー光LBを整形するために、レーザー光整形素子を配設することができる。
図1、2の例では、レーザー光整形素子として、レーザー光照射装置12と撚り糸Sの走行経路との間に配置されたシリンドリカルレンズ16と、撚り糸Sの走行経路とフォトダイオード14との間に配置されたスリット18とを含んでいる。
【0015】
レーザー光照射装置12から照射されたレーザー光LBは、シリンドリカルレンズ16によって、撚り糸Sの走行方向Dの寸法が撚り糸Sに向けて次第に小さくなるように絞られ、フォトダイオード14へ所定寸法yで入射する。レーザー光LBは、更に、スリット18によって、撚り糸Sの走行方向Dおよび光軸Oの双方に垂直な幅方向Bに所定寸法xでフォトダイオード14へ入射する。こうして、撚り糸Sが走行していないとき、フォトダイオード14へは、レーザー光照射装置12から一定のパワーのレーザー光が入射する。
【0016】
図1、2の例では、レーザー光整形素子は、レーザー光LBをシリンドリカルレンズ16によって、撚り糸Sの走行方向Dに細く絞っているが、本発明は、これに限定されず、
図3に示すように、レーザー光LBを撚り糸Sの走行経路に平行なY方向に拡開するようにしてもよい。なお、
図3において、
図1、2と同様の構成要素には同じ参照番号が付されており、以下では、重複する説明を省略する。
【0017】
図3に示す実施形態では、破断前兆検出装置30は、レーザー光照射装置12と、撚り糸Sの装置経路との間に、2つのレンズ32、34からなるレーザー光整形素子が配設されている。2つのレンズ32、34は、撚り糸Sの走行経路よりもレーザー光処理装置20側に配置されている。レンズ32、34は、レーザー光LBを撚り糸Sの走行経路と平行なY方向に拡開するビームエクスパンダーして作用する。撚り糸Sの走行経路とフォトダイオード14との間には、スリット36が配設されている。スリット36は、スリット18とは異なり、フォトダイオード14に入射するレーザー光LBを、撚り糸Sの走行経路に平行な方向に絞る。スリット36は、スリット18と同様に構成してもよい。
【0018】
レーザー光LBは、ビームエクスパンダーであるレンズ32、34によってY方向に拡開され、Y方向に所定長さLSに渡って走行中の撚り糸Sを照射する。より詳細には、レーザー光LBは、レーザー光処理装置20側に配置されたレンズ32によって、Y方向に拡開され、フォトダイオード14側に配置されたレンズ34によって、フォトダイオード14へ向けて収斂させられる。こうして、フォトダイオード14から出力される信号は、
図1、2の破断前兆検出装置10におけるフォトダイオード14からの出力信号を所定長さLSに渡って平均化したものと等価なものとなる。撚り糸Sを照射する所定長さLSを検査長さLSと称する。
【0019】
本発明において、破断前兆検出装置のレーザー光整形素子は、
図1~
図3に示したものに限定されない。一例として破断前兆検出の更に変形例を
図9、10に示す。なお、
図9、10において、
図1、2と同様の構成要素には同じ参照番号が付されており、以下では、重複する説明を省略する。更に、
図9、10では、処理装置20および警報装置22も省略されているが、
図9、10の実施形態でも、同様の処理装置および警報装置を備えることができる。
【0020】
図9に示す実施形態では、破断前兆検出装置60は、レーザー光照射装置12と、撚り糸Sの装置経路との間に、3つのレンズ62、64、66からなるレーザー光整形素子が配設されている。2つのレンズ62、64が、撚り糸Sの走行経路よりもレーザー光処理装置20側に配置され、1つのレンズ66が、撚り糸Sの走行経路よりもフォトダイオード14側に配置されている。レンズ66とフォトダイオード14との間には、スリット68が配設されている。スリット68は、スリット18と同様に構成されている。
【0021】
レンズ62は、レーザー光LBを撚り糸Sの走行経路と平行なY方向に拡開し、レンズ64は、拡開したレーザー光を撚り糸Sの走行経路に垂直な平行光線とし、レンズ66が、平行なレーザー光をフォトダイオード14へ向けて収斂させる。
【0022】
こうして、レーザー光処理装置20から照射されたレーザー光LBは、ビームエクスパンダーであるレンズ62、64によってY方向に拡開され、検査長さLSに渡って走行中の撚り糸Sを照射した後、レンズ66によって、フォトダイオード14へ向けて収斂させられる。本実施形態でも、フォトダイオード14から出力される信号は、
図1、2の破断前兆検出装置10におけるフォトダイオード14からの出力信号を検査長さLSに渡って平均化したものと等価なものとなるが、本実施形態では、レンズ64によって、レーザー光LBを平行光線としているので、
図3の実施形態よりも検査長さLSを一層安定的に確定する或いは一定にすることができる。
【0023】
図10に示す実施形態では、破断前兆検出装置70は、レーザー光照射装置12と、撚り糸Sの装置経路との間に、2つのレンズ72、74、66からなるレーザー光整形素子が配設されている。レンズ72が、撚り糸Sの走行経路よりもレーザー光処理装置20側に配置され、レンズ74が、撚り糸Sの走行経路よりもフォトダイオード14側に配置されている。レンズ74とフォトダイオード14との間には、スリット76が配設されている。スリット76は、スリット18と同様に構成されている。
【0024】
レンズ72は、レーザー光LBを撚り糸Sの走行経路と平行なY方向に拡開し、レンズ74は、拡開したレーザー光をフォトダイオード14へ向けて収斂させる。こうして、レーザー光処理装置20から照射されたレーザー光LBは、レンズ72によってY方向に拡開され、検査長さLSに渡って走行中の撚り糸Sを照射した後、レンズ74によって、フォトダイオード14へ向けて収斂させられる。本実施形態でも、フォトダイオード14から出力される信号は、
図1、2の破断前兆検出装置10におけるフォトダイオード14からの出力信号を検査長さLSに渡って平均化したものと等価なものとなるが、本実施形態では、レンズ74によってレーザー光LBをフォトダイオード14上に収斂させる前に、レーザー光LBが撚り糸Sを照射するので、
図3の実施形態よりも検査長さLSを一層安定的に確定する或いは一定にすることができる。
【0025】
図4、5にフォトダイオード14からの出力の一例を示す。
図4、5のグラフは、フォトダイオード14から出力される電圧の時間変化を示しており、縦軸が電圧(V)であり、横軸が時間(s)である。
図4、5では、通常、フォトダイオード14から出力される電圧は、数十ミリ秒程度の比較的短い周期で、かつ、1/100~1/10ボルト程度の小さな振幅(電圧幅)で変化している。
【0026】
然しながら、フォトダイオード14からの出力電圧は、例えば、
図4において、Δtで示す時間帯や、
図5において、Δt1、Δt2で示す時間帯のように、時として、不規則に変動することがある。
【0027】
図6を参照すると、破断の前兆としての撚り糸のほつれやフィラメント切れが生じた撚り糸S1が、正常な撚り糸S2と比較して示されている。発明者らが実験を繰り返した結果、
図4のΔtや、Δt1、Δt2のような電圧の変動は、
図6において、撚り糸S1の(a)、(b)で示すように、ほつれやフィラメント切れを生じている部分に対応しており、そして、こうしたほつれやフィラメント切れを生じた撚り糸は、糸切れまたは破断を生じ易くなっていることを見出した。
【0028】
つまり、撚り糸は、破断または糸切れを生じる前に、ほつれたり、撚り糸を構成するフィラメントが切れたりする。処理装置20は、フォトダイオード14から出力される電圧値を処理して、こうしたほつれやフィラメント切れを撚り糸Sが破断する前兆として検出する。一例として、電圧値が所定の電圧幅、例えば数百mv以上の変動が、所定の周波数、例えば数十ミリHzで、所定時間、例えば1秒以上継続したときに、撚り糸Sの破断の前兆とすることができる。こうした、判定基準は、予め実験等により決定し、処理装置20のメモリ装置に格納しておくことができる。
【0029】
破断前兆検出装置10、30は、刺繍機(
図7)やミシン(
図8)のような縫製機械に組み込むことができる。
図7は、刺繍機の糸供給装置の一例を示す斜視図である。該糸供給装置は、縫製機械の分野では一般的に知られているように、複数の糸調子40、複数の天秤42、複数の糸取りばね44および複数の針棒46を含んでいる。糸取りばね44は、複数の撚り糸(図示せず)の各々の走行経路上において、対応する糸調子40と天秤42の間に配置されている。
図7に示す例では、撚り糸の破断を検知する糸切れ検出装置48が、糸調子40と糸取りばね44との間に配設されている。
【0030】
複数の撚り糸の各々は、ボビン(図示せず)のような糸供給源から繰り出され、糸調子40、糸取りばね44および天秤42を巡って、対応の針棒46の針穴(図示せず)に通される。糸供給装置は、上述した破断前兆検出装置10または30を糸調子40と糸取りばね44との間に配設することができる。つまり、糸調子40と糸取りばね44との間を走行する撚り糸(図示せず)に対して、横断方向にレーザー光を照射するようにできる。
図7の例のように、糸切れ検出装置48を備えている場合には、糸切れ検出装置48と糸取りばね44との間に破断前兆検出装置10または30を配設することができる。
【0031】
図8は、ミシンの糸供給装置の一例を示す斜視図である。該糸供給装置は、縫製機械の分野では一般的に知られているように、糸調子50、天秤52、糸取りばね54および針棒56を含んでいる。糸取りばね54は、撚り糸Sの走行経路上において、糸調子50と天秤52の間に配置されている。撚り糸Sは、ボビン(図示せず)のような糸供給源から繰り出され、糸調子50、糸取りばね54および天秤52を巡って、針棒56の針穴(図示せず)に通される。糸供給装置は、上述した破断前兆検出装置10または30を糸調子50と糸取りばね54との間に配設することができる。つまり、糸調子50と糸取りばね54との間を走行する撚り糸Sにおいて、Aで示す部分に対して、横断方向にレーザー光を照射するようにできる。
【0032】
このように、破断前兆検出装置10または30を刺繍機やミシンのような縫製機械に組み込み、ほつれやフィラメント切れを検出することによって、糸破断の前兆を検知し製品不良を抑制可能となる。
【符号の説明】
【0033】
10 破断前兆検出装置
12 レーザー光照射装置
14 フォトダイオード
16 シリンドリカルレンズ
18 スリット
20 処理装置
22 警報装置
30 破断前兆検出装置
32 レンズ
34 レンズ
36 スリット
40 糸調子
42 天秤
46 針棒
48 検出装置
50 糸調子
52 天秤
56 針棒