(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090505
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】建具及び建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
E05D15/06 125C
E05D15/06 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205478
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】篠原 佑太
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034CB00
2E034DA01
2E034DA17
(57)【要約】
【課題】一体で構成した吊車及びソフトクローズ部品を上レールに容易に取り付けることができる建具及び建具の施工方法を提供すること。
【解決手段】建具1は、上枠21を有する枠体2と、枠体2内に横方向に移動可能に配置される障子3,4と、上枠2と障子3,4との間に配置され、上枠21の下面において前記上枠に固定る上レール71,72と、障子3,4の上端に設けられ上レール71,72に配置される吊車37,38、47,48と、障子3,4の上端に設けられ吊車37,47と一体で上レール71,72に配置されるソフトクローズ部品61,62と、を備え、上レール71は、上枠21の下面213aにおいて上枠21に篏合すると共に上枠21に締結部材701,702により締結されて固定される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠を有する枠体と、
前記枠体内に横方向に移動可能に配置される障子と、
前記上枠と前記障子との間に配置され、前記上枠の下面において前記上枠に固定される上レールと、
前記障子の上端に設けられ前記上レールに配置される吊車と、
前記障子の上端に設けられ前記吊車と一体で前記上レールに配置されるソフトクローズ部品と、を備え、
前記上レールは、前記上枠の下面において前記上枠に篏合すると共に前記上枠に締結部材により締結されて固定される、建具。
【請求項2】
前記上レールは、前記上枠に篏合する一対の篏合部を有し、
前記上枠は、前記上レールを前記上枠に篏合させる場合に、前記一対の篏合部の少なくとも一方を逃がすことが可能な逃がし空間を有する、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記上レールは、前記上枠の長手方向に延びる複数の分割レールが長手方向に並んで構成される、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記上レールは、前記上枠の長手方向の全域に亘って延びて形成される、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項5】
前記上レールは、浴室側上レール及び脱衣室側上レールにより構成され、前記浴室側上レール及び前記脱衣室側上レールは、別体で構成され、
前記浴室側上レール及び前記脱衣室側上レールは、それぞれ、別々の前記締結部材により前記上枠に締結される、請求項1~4のいずれかに記載の建具。
【請求項6】
前記上レールは、浴室側上レール及び脱衣室側上レールにより構成され、前記浴室側上レール及び前記脱衣室側上レールは、一体で構成され、
前記浴室側上レール及び前記脱衣室側上レールは、共通の前記締結部材により前記上枠に締結される、請求項1~4のいずれかに記載の建具。
【請求項7】
上枠を有する枠体と、
前記枠体内に横方向に移動可能に配置される障子と、
前記上枠と前記障子との間に配置され、前記上枠の下面において前記上枠に固定される上レールと、
前記障子の上端に設けられ前記上レールに配置される吊車と、
前記障子の上端に設けられ前記吊車と一体で前記上レールに配置されるソフトクローズ部品と、を備える建具の施工方法であって、
前記上レールに一体で構成した前記吊車及び前記ソフトクローズ部品が配置された状態で、前記上レールを前記上枠の下面において前記上枠に篏合させる工程と、
前記上レールを締結部材により前記上枠に締結して固定する工程と、を有する、建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具及び建具の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上枠を有する枠体と、枠体内に横方向に移動可能に配置される障子と、上枠の下面に取り付けられる上レールと、障子の上部に設けられ上レールに取り付けられる吊車と、を備える建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の建具においては、上レールにおける吊車が走行しない部分の一部を切り欠いて、切り欠いた部分から吊車を挿入することで、上レールに吊車を取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、横方向にスライド移動して開閉する障子において、開閉時に緩やかに閉まるソフトクローズ機構を採用するものがある。ソフトクローズ機構を建具に取り付ける場合、吊車と長尺のソフトクローズ部品とを一体で構成して、上レールに取り付ける。ここで、吊車とソフトクローズ部品とを一体で構成した場合に、ソフトクローズ部品が長尺であるため、上レールの一部を切り欠いて挿入する構造では、切り欠きを大きく形成することが必要となる。しかし、切り欠きを大きく形成すると、切り欠き部分において吊車の走行ができなくなる。よって、一体で構成した吊車及びソフトクローズ部品を、上レールに取り付けることが難しかった。
【0005】
本開示は、一体で構成した吊車及びソフトクローズ部品を上レールに容易に取り付けることができる建具及び建具の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上枠を有する枠体と、前記枠体内に横方向に移動可能に配置される障子と、前記上枠と前記障子との間に配置され、前記上枠の下面において前記上枠に固定される上レールと、前記障子の上端に設けられ前記上レールに配置される吊車と、前記障子の上端に設けられ前記吊車と一体で前記上レールに配置されるソフトクローズ部品と、を備え、前記上レールは、前記上枠の下面において前記上枠に篏合すると共に前記上枠に締結部材により締結されて固定される、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の建具を浴室側から見た図である。
【
図5】上枠を取り外した状態において、上レールの配置状態を示す斜視図である。
【
図6】上レール、吊車及びソフトクローズ部品が上枠に取り付けられる状態を示す斜視図である。
【
図7】上レール、吊車及びソフトクローズ部品の上枠への取付状態を、上枠の上方側から見た図である。
【
図8】上枠から上レールを取り外す状態又は上枠に上レールを取り付ける状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に配置された開口部に納められた建具におけるガラスパネルの面方向を意味する。見付方向において、横方向を左右方向という。「見込方向」とは、上記ガラスパネルの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。本実施形態においては、面材の一例としてガラスパネルを用いた場合について説明する。面材はガラスパネルに限定されない。
【0009】
図1~
図3に示すように、第1実施形態の建具1は、建物としてのユニットバス(図示省略)に形成される開口部に設けられる。建具1は、いわゆる引き違い障子であり、
図1に示すように、枠体2と、枠体2内に開閉可能に嵌め込まれた内障子3(障子)及び外障子4(障子)と、浴室の換気構造5と、を備える。本実施形態においては、引き違い障子において、浴室側X1に配置される障子を内障子3といい、脱衣室側X2に配置される障子を外障子4という。建具1は、内障子3及び外障子4により枠体2内の開口部分を開閉可能である。
【0010】
枠体2は、建物としてのユニットバス(図示省略)に形成される開口部に設けられる。ユニットバスの内側には、
図2に示すように、防水パン11及び浴槽(図示省略)等が設けられる浴室空間が形成される。ユニットバスの開口部は、浴室と脱衣室とを連通する。
【0011】
枠体2は、
図1~
図3に示すように、上枠21、下枠22及び左右の縦枠23,24により矩形に枠組みされている。
【0012】
上枠21は、
図2に示すように、浴室側X1に設けられる上枠浴室側呑み込み部211と、脱衣室側X2に設けられる上枠脱衣室側呑み込み部212と、を有する。上枠浴室側呑み込み部211及び上枠脱衣室側呑み込み部212は、見込方向に隣り合って並んで配置され、下方に向けて開放する枠状に形成される。上枠浴室側呑み込み部211には、内障子3の上端が配置される。上枠脱衣室側呑み込み部212には、外障子4の上端が配置される。
【0013】
下枠22は、
図2に示すように、下枠本体221と、下枠スロープ部材222(下枠カバー部材)と、を有する。下枠本体221及び下枠スロープ部材222は、いずれも、左右方向に延びる長尺状に形成されると共に、見込方向に延びる。
【0014】
下枠22には、浴室の換気構造5が設けられている。浴室の換気構造5は、下枠22における下枠本体221と下枠スロープ部材222との間の隙間を換気通路223として構成し、換気通路223を通して、浴室を換気する。浴室の換気構造5は、浴室側から脱衣室側への水の流入を抑制するために、回動軸51aを中心に回動可能な第1羽根板51と、回動軸52aを中心に回動可能な第2羽根板52と、を備え、これらが換気通路223に配置される。
【0015】
内障子3及び外障子4は、枠体2内に左右方向に移動可能に配置される。内障子3及び外障子4は、枠体2内を左右方向(横方向)にスライド可能である。内障子3及び外障子4は、いずれも引き戸であり、これらを左右方向にスライドさせることで、枠体2の内側の開口部分を開放又は閉鎖する、いわゆる引き違い障子を構成する。
【0016】
内障子3は、
図1~
図3に示すように、いずれも、細幅で長尺状の上框31、下框32及び召合せ框33(框),戸先框34(框)により矩形に枠組みされた框体35と、框体35内に嵌め込まれて固定されたガラスパネル36(面材)と、を含んで構成される。ガラスパネル36は、細幅の框(上框31、下框32、召合せ框33及び戸先框34)に嵌め込まれて固定されており、内障子3は、スッキリとしたデザイン性を有する。
【0017】
外障子4は、
図1~
図3に示すように、いずれも、細幅で長尺状の上框41、下框42及び召合せ框43(框),戸先框44(框)により矩形に枠組みされた框体45と、框体45内に嵌め込まれて固定されたガラスパネル46(面材)と、を含んで構成される。ガラスパネル46は、細幅の框(上框41、下框42、召合せ框43及び戸先框44)に嵌め込まれて固定されており、外障子4は、スッキリとしたデザイン性を有する。
【0018】
次に、上枠21の下面213aに浴室側上レール71を介して内障子3の吊車37,38及びソフトクローズ部品61が取り付けられる取付構造と、上枠21の下面213aに脱衣室側上レール72を介して外障子4の吊車47,48及びソフトクローズ部品62が取り付けられる取付構造について説明する。
【0019】
上枠21は、
図4に示すように、上部に形成され見込方向に延びる中空部を有する中空枠213と、中空枠213の浴室側X1の端部側から下方に延びる浴室側下方延出部214と、中空枠213の脱衣室側X2の端部側から下方に延びる脱衣室側下方延出部215と、を有する。
【0020】
図4及び
図5に示すように、中空枠213の下面213aにおいて、浴室側X1には、浴室側上レール71が篏合して固定され、脱衣室側X2には、脱衣室側上レール72が篏合して固定される。浴室側上レール71は、上枠21と内障子3との間に配置される。脱衣室側上レール72は、上枠21と外障子4との間に配置される。
【0021】
浴室側上レール71の内部には、
図4に示すように、内障子3の上端に設けられた吊車37,38及びソフトクローズ部品61が配置される。ソフトクローズ部品61は、内障子3が緩やかに閉まるように機能するソフトクローズ機構を構成する部品である。
【0022】
内障子3の上端に設けられる吊車37,38及びソフトクローズ部品61は、
図6及び
図7に示すように、内障子3の上端において、戸先側に吊車37が設けられ、戸尻側に吊車38が設けられる。戸先側の吊車37の戸尻側には、ソフトクローズ部品61が接続されている。
【0023】
ソフトクローズ部品61は、戸先側の吊車37と一体で構成され、内障子3の戸先側の吊車37から戸尻側に延びる長尺に形成される。ソフトクローズ部品61の長手方向において吊車37と反対側には、ガイドローラ611が取り付けられている。ソフトクローズ部品61の内部には、例えば、ダンパなどの緩衝部材(図示せず)やソフトクローズ機構に関係する部品が配置される。
【0024】
脱衣室側上レール72の内部には、
図4に示すように、外障子4の上端に設けられた吊車47,48及びソフトクローズ部品62が配置される。ソフトクローズ部品62は、外障子4が緩やかに閉まるように機能するソフトクローズ機構を構成する部品である。
【0025】
外障子4の上端に設けられる吊車47,48及びソフトクローズ部品62は、
図6及び
図7に示すように、外障子4の上端において、戸先側には吊車47が設けられ、戸尻側には吊車48が設けられる。戸先側の吊車47の戸尻側には、ソフトクローズ部品62が接続されている。
【0026】
ソフトクローズ部品62は、戸先側の吊車47と一体で構成され、外障子4の戸先側の吊車47から戸尻側に延びる長尺に形成される。ソフトクローズ部品62の長手方向において吊車47と反対側には、ガイドローラ621が取り付けられている。ソフトクローズ部品62の内部には、例えば、ダンパなどの緩衝部材(図示せず)やソフトクローズ機構に関係する部品が配置される。
【0027】
図4に示すように、中空枠213の下面213aにおける浴室側X1には、浴室側上レール71が篏合する一対のレール篏合突起部211a,211bが設けられる。
【0028】
浴室側X1のレール篏合突起部211aは、浴室側下方延出部214から脱衣室側X2に突出する。脱衣室側X2のレール篏合突起部211bは、上枠21の中空枠213の下面213aの見込方向の途中において下方に突出する下方突出片216の下端から浴室側X1に突出する。
【0029】
一対のレール篏合突起部211a,211bは、浴室側X1側において、上枠21の上部に配置される中空枠213の下面213aから下方に離間した位置において、見込方向の内側に互いが近づく側に突出する。浴室側X1のレール篏合突起部211aの上方には、逃がし空間K1が形成されている。なお、逃がし空間K1を、脱衣室側X2のレール篏合突起部211bの上方に設けてもよい。逃がし空間K1は、浴室側上レール71を上枠21に篏合させる場合に、一対のレール篏合突起部211a,211bの少なくとも一方を逃がすことが可能な空間である。
【0030】
一対のレール篏合突起部211a,211bには、浴室側上レール71の一対の突出篏合片717,717(後述)が篏合される。これにより、上枠21の下面213aにおいて、一対のレール篏合突起部211a,211bには、浴室側上レール71が篏合により取り付けられる。
【0031】
図4に示すように、中空枠213の下面213aにおける脱衣室側X2には、脱衣室側上レール72が篏合する一対のレール篏合突起部212a,212bが設けられる。
【0032】
脱衣室側X2のレール篏合突起部212aは、脱衣室側下方延出部215から浴室側X1に突出する。浴室側X1のレール篏合突起部212bは、上枠21の中空枠213の下面213aの見込方向の途中において下方に突出する下方突出片216の下端から脱衣室側X2に突出する。
【0033】
一対のレール篏合突起部212a,212bは、脱衣室側X2側において、上枠21の上部に配置される中空枠213の下面213aから下方に離間した位置において、見込方向の内側に互いが近づく側に突出する。脱衣室側X2のレール篏合突起部212aの上方には、逃がし空間K2が形成されている。なお、逃がし空間K2を、浴室側X1のレール篏合突起部212bの上方に設けてもよい。逃がし空間K2は、脱衣室側上レール72を上枠21に篏合させる場合に、一対のレール篏合突起部212a,212bの少なくとも一方を逃がすことが可能な空間である。
【0034】
一対のレール篏合突起部212a,212bには、脱衣室側上レール72の一対の突出篏合片727,727(後述)が篏合される。これにより、上枠21の下面213aにおいて、一対のレール篏合突起部212a,212bには、脱衣室側上レール72が篏合により取り付けられる。
【0035】
浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72は、
図4に示すように、上枠21の下面213aにおいて、見込方向に並んで配置される。浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72は、別体で構成される。浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72は、上枠21の下面213aにおいて上枠21に篏合すると共に、それぞれ、別々のネジ701,702(締結部材)により上枠21に締結されて固定される。
【0036】
浴室側上レール71は、
図5及び
図6に示すように、上枠21の長手方向に延びる複数の分割レール711に分割されており、複数の分割レール711が長手方向に並んで構成される。浴室側上レール71の内部には、
図6及び
図7に示すように、内障子3の上端に設けられる吊車37,38及びソフトクローズ部品61が配置される。
【0037】
浴室側上レール71は、
図4に示すように、下方に向けて開放するU字状のU字状部715と、U字状部715の下端部に形成される一対の傾斜係止片716,716と、U字状部715の上端部から浴室側X1及び脱衣室側X2の両側に突出する一対の突出篏合片717,717(篏合部)と、を有する。浴室側上レール71の一対の突出篏合片717,717は、上枠21の下面213aの浴室側X1に形成される一対のレール篏合突起部211a,211bに篏合される。
【0038】
脱衣室側上レール72は、
図5及び
図6に示すように、上枠21の長手方向に延びる複数の分割レール721に分割されており、複数の分割レール721が長手方向に並んで構成される。脱衣室側上レール72の内部には、
図6及び
図7に示すように、外障子4の上端に設けられる吊車47,48及びソフトクローズ部品62が配置される。
【0039】
脱衣室側上レール72は、
図4に示すように、下方に向けて開放するU字状のU字状部725と、U字状部725の下端部に形成される一対の傾斜係止片726,726と、U字状部725の上端部から浴室側X1及び脱衣室側X2の両側に突出する一対の突出篏合片727,727(篏合部)と、を有する。脱衣室側上レール72の一対の突出篏合片727,727は、上枠21の下面213aの脱衣室側X2に形成される一対のレール篏合突起部212a,212bに篏合される。
【0040】
上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を上枠21の下面213aに篏合させる場合について、
図8により説明する。
図8においては、脱衣室側上レール72について図示しているが、浴室側上レール71についても同様である。
【0041】
上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を上枠21の下面213aに篏合させる場合、
図8に示すように、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を見込方向に対して逃がし空間K1,K2側が上方になるように傾けた状態で、逃がし空間K1,K2側の突出篏合片717,727を逃がし空間K1,K2に一旦挿入して逃がして、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を水平にした後に、逃がし空間K1,K2とは反対側に上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を水平移動させることで、逃がし空間K1,K2と反対側の突出篏合片717,727をレール篏合突起部211a,212aに篏合させる。これにより、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)の一対の突出篏合片717,727を上枠21のレール篏合突起部211a,211b、212a,212bに篏合させる。
【0042】
そして、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)の一対の突出篏合片717,727を上枠21のレール篏合突起部211a,211b、212a,212bに篏合させた後に、
図4に示すように、ネジ701,702により、浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72を上枠21に締結して固定する。
【0043】
次に、外障子4の吊車47,48及びソフトクローズ部品62を交換する手順について説明する。なお、内障子3の吊車37,38及びソフトクローズ部品61を交換する手順も同様である。内障子3の説明は、外障子4の説明を援用できる。
【0044】
上枠21から、外障子4の吊車47,48及びソフトクローズ部品62を取り外す場合には、一体で構成された吊車47及びソフトクローズ部品62と吊車48とが配置される脱衣室側上レール72を上枠21から取り外す。まず、
図4に示す状態から、一体で構成された吊車47及びソフトクローズ部品62と吊車48とをネジ702により締結されている箇所から左右方向に移動させて、上枠21と脱衣室側上レール72とを締結するネジ702を取り外す。その後、脱衣室側上レール72を脱衣室側X2に水平移動させて、脱衣室側上レール72を浴室側X1の突出篏合片727が下になるように傾けることで、
図8に示すように、脱衣室側上レール72を上枠21から取り外すことができる。
【0045】
次に、上枠21に、一体で構成された吊車47及びソフトクローズ部品62と吊車48とが配置された脱衣室側上レール72を取り付ける。この場合、まず、脱衣室側上レール72に一体で構成した吊車47及びソフトクローズ部品62が配置された状態で、脱衣室側上レール72を上枠21の下面213aにおいて上枠21に篏合させる(篏合工程)。
【0046】
具体的には、
図8に示すように、脱衣室側上レール72を見込方向に対して逃がし空間K2側が上方になるように傾けた状態で、逃がし空間K2側の突出篏合片727を逃がし空間K2に一旦挿入して逃がして、脱衣室側上レール72を水平にした後に、脱衣室側上レール72を浴室側X1に水平移動させることで、浴室側X1の突出篏合片727をレール篏合突起部212bに篏合させる。これにより、脱衣室側上レール72の一対の突出篏合片727を上枠21のレール篏合突起部212a,212bに篏合させて容易に取り付けることができる。
【0047】
続けて、脱衣室側上レール72をネジ702により上枠21に締結して固定する(固定工程)。具体的には、吊車47,48及びソフトクローズ部品62をネジ702により締結する箇所から左右方向に移動させて、ネジ702を脱衣室側上レール72の下方側から上方側に移動させることで、ネジ702を脱衣室側上レール72及び上枠21に貫通させて、
図4に示すように、ネジ702により、脱衣室側上レール72を上枠21に締結して固定する。
【0048】
ここで、脱衣室側上レール72は長手方向において複数の分割レール712に分割されているため、ソフトクローズ部品61が配置されている部分の分割レール712のみを取り外して交換すればよい。そのため、一体で構成した吊車47及びソフトクローズ部品62を容易に交換することができる。
【0049】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の建具1は、上枠21を有する枠体2と、枠体2内に横方向に移動可能に配置される内障子3及び外障子4と、上枠21の下面において上枠21に固定する上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)と、内障子3及び外障子4の上端に設けられ上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)に配置される吊車37,47と、内障子3及び外障子4の上端に設けられ吊車37,47と一体で上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)に配置されるソフトクローズ部品61,62と、を備え、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)は、上枠21の下面213aにおいて上枠21に篏合すると共に上枠21にネジ701,702により締結されて固定される。
【0050】
これにより、一体で構成した吊車37,47及びソフトクローズ部品61,62を上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)に容易に取り付けることができる。また、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)は、上枠21の下面213aにおいて上枠21に篏合すると共に上枠21にネジ701,702により締結されて固定されるので、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を、上枠21の下面213aに強固に固定できる。
【0051】
また、本実施形態においては、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)は、上枠21の長手方向に延びる複数の分割レール711,721が長手方向に並んで構成される。上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)は長手方向において複数の分割レール711,712に分割されているため、ソフトクローズ部品61,62が配置されている部分の分割レール711,712のみを取り外して交換すればよい。そのため、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)の全部を交換しないでよいため、交換作業が容易である。
【0052】
また、本実施形態においては、浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72は、別体で構成され、それぞれ、別々のネジ701,702により上枠21に締結される。そのため、浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72のうちのいずれかを交換したい場合に、浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72の両方を交換せずに、浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72のうちのいずれかのみを交換することができる。よって、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)の全部を交換しなくてよいため、交換作業が容易である。
【0053】
また、本実施形態の建具1の施工方法においては、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)に一体で構成した吊車37,47及びソフトクローズ部品61,62が配置された状態で上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を上枠21の下面213aにおいて上枠21に篏合させる工程と、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)をネジ701,702により上枠21に締結して固定する工程と、を有する。これにより、一体で構成した吊車37,47及びソフトクローズ部品61,62を上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)に容易に取り付けることができる。また、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)は、上枠21の下面213aにおいて上枠21に篏合すると共に上枠21にネジ701,702により締結されて固定されるので、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を、上枠21の下面213aに強固に固定できる。
【0054】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略又は簡略化する。第2実施形態において説明しない構成については、第1実施形態の説明を援用する。
【0055】
第2実施形態は、第1実施形態が浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72が別体で形成されていたのに対して、浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72を一体で構成した一体型の上レール73を備える点及び上レール73を共通のネジ703(締結部材)により固定する点において、第1実施形態と主に異なる。
【0056】
第2実施形態の建具1は、
図9に示すように、上枠21Aと、一体型の上レール73と、を備える。一体型の上レール73は、第1実施形態の浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72を、中間連結部731により接続して、一体で構成される。一体型の上レール73には、上端部から浴室側X1及び脱衣室側X2の両側に突出する一対の突出篏合片737が形成されている。
【0057】
上枠21Aにおいて、中空枠213の下面213aには、第1実施形態の
図4に示す下方突出片216、浴室側上レール71の脱衣室側X2のレール篏合突起部211b及び脱衣室側上レール72の浴室側X1のレール篏合突起部212bは設けられておらず、中空枠213の下面213aの見込方向の中間の部分は、平面状に形成されている。
【0058】
上枠21Aのレール篏合突起部211a,212aに一対の突出篏合片737を篏合させることで、上枠21Aの一対のレール篏合突起部211a,212aには、一体型の上レール73が篏合により取り付けられる。
【0059】
上枠21Aの下面213aに篏合により取り付けられた一体型の上レール73は、共通のネジ703(締結部材)により上枠21Aに締結されて固定される。ネジ703により締結する場合には、ネジ703を、一体型の上レール73における見込方向の中間位置において、一体型の上レール73の下方側から上方側に移動させることで、ネジ703を一体型の上レール73に貫通させる。これにより、ネジ703により、一体型の上レール73を上枠21Aに締結して固定する。
【0060】
第2実施形態によれば、一体で構成された上レール73(浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72)は、上枠21Aに篏合された状態で、共通のネジ703により上枠21Aに締結される。これにより、一体で構成された上レール73(浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72)を一度に上枠21Aに篏合させて固定できるため、固定作業及び取り外し作業を容易に行うことができる。
【0061】
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明において、第3実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略又は簡略化する。第3実施形態において説明しない構成については、第1実施形態の説明を援用できる。
【0062】
第3実施形態の浴室側上レール71A及び脱衣室側上レール72Aの篏合構造は、第1実施形態の浴室側上レール71及び脱衣室側上レール72の篏合構造と主に異なる。
【0063】
第3実施形態においては、
図10に示すように、上枠21Bの中空枠213の下面213aには、浴室側X1側において、浴室側上レール71Aが篏合する一対の浴室側L字篏合部217,217が形成されおり、脱衣室側X2において、脱衣室側上レール72Aが篏合する一対の脱衣室側L字篏合部218,218が形成されている。
【0064】
一対の浴室側L字篏合部217,217は、いずれも、上枠21Bの中空枠213の下面213aから下方に突出すると共に、浴室側X1が開放するL字状に形成される。一対の脱衣室側L字篏合部218,218は、いずれも、上枠21Bの中空枠213の下面213aから下方に突出すると共に、脱衣室側X2が開放するL字状に形成される。
【0065】
浴室側上レール71Aは、上枠21Bの一対の浴室側L字篏合部217,217に篏合する一対の浴室側レールL字篏合部718,718を有する。一対の浴室側レールL字篏合部718,718は、浴室側上レール71Aから上方に突出して設けられ、脱衣室側X2が開放するL字状に形成される。
【0066】
浴室側上レール71Aを上枠21Bに篏合させて取り付ける場合には、浴室側上レール71Aの一対の浴室側レールL字篏合部718,718を、上枠21Bの下面213aに形成される一対の浴室側L字篏合部217,217の浴室側X1の挿入空間S1に挿入して、脱衣室側X2に水平に移動させることで、浴室側上レール71Aの一対の浴室側レールL字篏合部718,718を、上枠21Bの一対の浴室側L字篏合部217,217に篏合させて取り付けることができる。
【0067】
脱衣室側上レール72Aは、上枠21Bの一対の脱衣室側L字篏合部218,218に篏合する一対の脱衣室側レールL字篏合部719,719を有する。一対の浴室側レールL字篏合部718,718は、脱衣室側上レール72Aから上方に突出して設けられ、浴室側X1が開放するL字状に形成される。
【0068】
脱衣室側上レール712Aを上枠21Bに篏合させて取り付ける場合には、脱衣室側上レール72Aの一対の脱衣室側レールL字篏合部719,719を、上枠21Bの下面213aに形成される一対の脱衣室側L字篏合部218,218の脱衣室側X2の挿入空間S2に挿入して、浴室側X1に水平に移動させることで、脱衣室側上レール72Aの一対の脱衣室側レールL字篏合部719,719を、上枠21Bの下面213aに形成される一対の脱衣室側L字篏合部218,218に篏合させて取り付けることができる。
【0069】
浴室側上レール71A及び脱衣室側上レール72Aを上枠21Bに篏合して取り付けた後には、第1実施形態と同様に、浴室側上レール71A及び脱衣室側上レール72Aをネジ701,702(締結部材)により上枠21Bに締結させて固定する。第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0071】
例えば、前記実施形態においては、上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)は、複数の分割レール711,712が長手方向に並んで構成されているが、これに限定されない。上レール(浴室側上レール71、脱衣室側上レール72)を上枠21の長手方向の全域に亘って延びて形成してもよい。
【0072】
また、前記実施形態においては、建具1を引き違い障子に適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、本開示の建具を、1枚の障子で構成される片引戸や、2枚の障子で構成される2枚引戸や、3枚の障子で構成される3枚引戸に適用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 建具、2 枠体、3 内障子(障子)、4 外障子(障子)、21 上枠、71 浴室側上レール(上レール)、72 脱衣室側上レール(上レール)、701,702 ネジ(締結部材)、61,62 ソフトクローズ部品、711 分割レール、717 突出篏合片(篏合部)、721 分割レール、727 突出篏合片(篏合部)