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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090508
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/40 20200101AFI20230622BHJP
【FI】
D06F33/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205484
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】大槻 太郎
(72)【発明者】
【氏名】北川 和重
(72)【発明者】
【氏名】吉田 由佳
(72)【発明者】
【氏名】川端 睦美
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA01
3B167AA02
3B167AA04
3B167AA05
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA64
3B167HA11
3B167HA31
3B167JA38
3B167JA53
3B167JB02
3B167JB03
3B167JB06
3B167KA18
3B167KA71
3B167LA08
3B167LA09
3B167LA23
3B167LA38
3B167LB11
3B167LC02
3B167LD03
3B167LD12
3B167LD13
3B167LE07
3B167LG08
(57)【要約】
【課題】最終脱水工程の後に、洗濯物のしわを伸ばすことができ得るドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】ドラム式洗濯機は、筐体内に配置された外槽20と、外槽20内に配置され、水平軸周りに回転可能なドラム23と、ドラム23を回転させるための駆動モータと、最終脱水工程に続いてしわ伸ばし工程を実行する制御部と、を備える。制御部は、しわ伸ばし工程において、ドラム23が複数周の加速回転と複数周の減速回転とを交互に繰り返すように駆動モータを制御する。加速回転のときの加速度は、最終脱水工程においてドラム23の回転を立ち上げるときの加速度よりも大きい値に設定される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能なドラムと、
前記ドラムを回転させるための駆動モータと、
最終脱水工程に続いてしわ伸ばし工程を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記しわ伸ばし工程において、前記ドラムが複数周の加速回転と複数周の減速回転とを交互に繰り返すように前記駆動モータを制御する、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載のドラム式洗濯機において、
前記加速回転のときの加速度は、前記最終脱水工程において前記ドラムの回転を立ち上げるときの加速度よりも大きい値に設定される、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のドラム式洗濯機において、
前記ドラム内に送風するための送風器を、さらに備え、
前記制御部は、前記しわ伸ばし工程において、前記送風器を動作させる、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のドラム式洗濯機において、
前記ドラム内の洗濯物を乾燥させるための乾燥装置を、さらに備え、
前記制御部は、前記乾燥装置の動作により洗濯物を乾燥させる乾燥工程の前に、前記しわ伸ばし工程を実行する、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯機に関する。かかるドラム式洗濯機は、洗濯から乾燥まで連続的に行うものであっても良いし、洗濯は行うが乾燥は行わないものであっても良い。
【背景技術】
【0002】
洗い工程およびすすぎ工程において、回転ドラムの90度を超え200度未満の急正弧回転と急逆弧回転とを交互に繰り返すことにより、洗濯物の解し作用を高めるようにしたドラム式洗濯乾燥機が、以下の特許文献1に記載されている。このドラム式洗濯乾燥機では、洗濯物が、絡み、捩れ、皺より状態のまま、脱水工程で回転ドラムに張り付けられて癖付けられることにより、洗濯物にきついしわが残ってしまう、ということが抑制され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-194259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のドラム式洗濯乾燥機の構成では、脱水工程の後に洗濯物にしわが残っている場合、その状態のまま、洗濯物の取り出しが行われたり、乾燥工程へ移行したりすることになるため、洗濯物を干す際のしわ取りに手間がかかりやすくなったり、乾燥工程後の洗濯物にしわが残りやすくなったりする虞がある。
【0005】
本願発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、最終脱水工程の後に、洗濯物のしわを伸ばすことができ得るドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様に係るドラム式洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能なドラムと、前記ドラムを回転させるための駆動モータと、最終脱水工程に続いてしわ伸ばし工程を実行する制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記しわ伸ばし工程において、前記ドラムが複数周の加速回転と複数周の減速回転とを交互に繰り返すように前記駆動モータを制御する。
【0007】
なお、加速回転と減速回転とが交互に繰り返されているときに、加速回転と減速回転との間に定速回転が挟まれてもよい。
【0008】
上記の構成によれば、ドラムが加速回転すると、加速回転により発生する遠心力によって、ドラム内の洗濯物が、拡がりながらドラムの内壁面に張り付き、洗濯物が伸ばされる。その後、ドラムが減速回転すると、ドラムの内壁面に張り付いていた洗濯物が丸まりながら落下する。加速回転と減速回転とが繰り返されて、洗濯物が伸びる動作と丸まる動作とを繰り返すことにより、洗濯物に生じているしわが伸ばされる。
【0009】
このように、最終脱水工程の後にしわ伸ばし工程において、洗濯物に生じているしわを伸ばすことができるので、乾燥後の洗濯物にしわが残りにくくなり、洗濯物の仕上がりが良くなる。
【0010】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記加速回転のときの加速度が、前記最終脱水工程において前記ドラムの回転を立ち上げるときの加速度よりも大きい値に設定され得る。
【0011】
上記の構成によれば、加速回転時に、ドラムを急加速で回転させることができる。これにより、加速回転時の洗濯物の拡がりが良くなり、しわが伸びやすくなる。
【0012】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記ドラム内に送風するための送風器を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記しわ伸ばし工程において、前記送風器を動作させるような構成とされ得る。
【0013】
上記の構成によれば、加速回転により洗濯物が拡がったときに、ドラム内に送られた風による風圧を受けるので、洗濯物の拡がりが良くなり、しわが伸びやすくなる。
【0014】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記ドラム内の洗濯物を乾燥させるための乾燥装置を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記乾燥装置の動作により洗濯物を乾燥させる乾燥工程の前に、前記しわ伸ばし工程を実行するような構成とされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、最終脱水工程が終了したときに洗濯物に生じていたしわが、乾燥工程に移行する前に伸ばされる。これにより、乾燥工程後の洗濯物にしわが残りにくくなり、洗濯物の仕上がりが良くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、最終脱水工程の後に、洗濯物のしわを伸ばすことができ得るドラム式洗濯機を提供できる。
【0017】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を模式的に示す側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示すブロック図である。
図3図3(a)は、実施の形態に係る、洗濯乾燥運転または洗濯運転において制御部により実行される制御処理を示すフローチャートである。図3(b)は、実施の形態に係る、しわ伸ばし工程において制御部により実行される制御処理を示すフローチャートである。
図4図4(a)および(b)は、それぞれ、実施の形態に係る、加速回転時および減速回転時のドラム内での洗濯物の動きについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のドラム式洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、ドラム式洗濯機1の構成を模式的に示す側面断面図である。
【0021】
本実施の形態のドラム式洗濯機1は、乾燥機能を有する、いわゆるドラム式洗濯乾燥機である。
【0022】
ドラム式洗濯機1は、方形箱状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0023】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20は、円筒状の周面壁201と円盤状の後面壁202とを有する。外槽20内には、ドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸Lの周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に、図示しないパッキンを介して投入口11に繋がる円形の開口部20aを有する。なお、ドラム23は、横軸型であれば、傾斜した回転軸の周りに回転するものであってもよい。
【0024】
ドラム23の周面壁には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23内には、周面壁に、洗濯物を掻き揚げるためのバッフル24が設けられる。
【0025】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の周面壁に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0026】
外槽20の底部には、排水口20bが形成される。排水口20bには、排水ホース等により構成される排水路40が接続される。排水路40には、排水バルブ41と排水フィルタ42が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水路40を通じて機外に排出される。排水フィルタ42により、排水に含まれるリント等の異物が捕獲される。
【0027】
筐体10内の上部には、給水部50が配置される。給水部50は、給水バルブ51と、給水ホース52とを含む。給水ホース52は、一端が給水バルブ51に接続され、他端が外槽20の後面壁202に設けられた注水口20cに接続される。給水バルブ51が開放されると、水道栓からの水道水が給水ホース52を流れて注水口20cから外槽20内に供給される。
【0028】
筐体10内の上部には、加熱された空気によりドラム23内の洗濯物を乾燥させるための乾燥装置100が配置される。乾燥装置100は、循環路110と、送風器120と、第1熱交換器130と、第2熱交換器140と、を備える。
【0029】
循環路110は、空気が流れる風路であり、外槽20に接続される。循環路110は、第1ダクト111と、ファンケーシング112と、第2ダクト113と、導入パイプ114とを含む。
【0030】
外槽20の周面壁201には、その後部であって、外槽20の中心よりも上側の部分に排気口203が設けられる。第1ダクト111は、外槽20の後部において、周面壁201に配置されて排気口203に接続され、排気口203から周面壁201に沿って周面壁201の頂上側へ延びる。
【0031】
ファンケーシング112は、外槽20の後部において、周面壁201の上方であって、周面壁201の頂上よりも右側の第1ダクト111の上方に配置される。ファンケーシング112は、扁平な中空円柱状に形成され、下面に吸込口を有し、周面に吐出口を有する。
【0032】
第1ダクト111は、図示しないフレキシブルな接続ホースを介してファンケーシング112の吸込口に接続される。
【0033】
第2ダクト113は、前後方向に長い箱状を有し、周面壁201の上方であって、周面壁201の頂上よりも右側のファンケーシング112の前方に配置される。第2ダクト113は、後端がファンケーシング112の吐出口に接続される。導入パイプ114は、第2ダクト113の前端から延びて、外槽20の前上部に形成された吸気口204に接続される。
【0034】
送風器120は、たとえば、遠心ファンであり、ファンケーシング112内に収容されたファン121と、ファン121を回転駆動するためのファンモータ122とを含む。送風器120は、外槽20と循環路110との間で空気を循環させる。排気口203を通じて外槽20内から排出された空気は、第1ダクト111、ファンケーシング112、第2ダクト113、導入パイプ114の順に循環路110内を流れ、吸気口204を通じて外槽20内に戻る。送風器120とファンケーシング112とにより送風ユニットが構成される。
【0035】
第1熱交換器130および第2熱交換器140は、それぞれ、それらのケーシングである第2ダクト113内の上流側および下流側に配置される。第1熱交換器130および第2熱交換器140は、それぞれ、ヒートポンプ装置に含まれる。筐体10内には、底部に、第1熱交換器130および第2熱交換器140とともにヒートポンプ装置の冷熱回路を構成するコンプレッサ150が配置される。コンプレッサ150の動作により、冷媒回路を冷媒が循環する。
【0036】
第1熱交換器130の内部には、低温の冷媒が流れる。第1熱交換器130は、第2ダクト113内、即ち循環路110内を流れる空気を、低温の冷媒との間の熱交換により冷却して、空気の除湿を行う。即ち、第1熱交換器130は、冷却器として機能する。
【0037】
第2熱交換器140の内部には、高温の冷媒が流れる。第2熱交換器140は、第2ダクト113内、即ち循環路110内を流れる除湿後の空気を、高温の冷媒との間の熱交換により加熱する。即ち、第2熱交換器140は、加熱器として機能する。
【0038】
図2は、ドラム式洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0039】
ドラム式洗濯機1は、上述した構成に加え、制御部301と、記憶部302と、操作部303と、水位センサ304と、モータ駆動部305と、給水駆動部306と、排水駆動部307と、ファン駆動部308と、コンプレッサ駆動部309とを備える。
【0040】
操作部303は、ドラム式洗濯機1に対する電源の投入および遮断を行うための電源ボタンと、運転を開始させるためのスタートボタンと、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンとを含む。操作部303は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部301に出力する。
【0041】
水位センサ304は、外槽20内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を制御部301に出力する。
【0042】
モータ駆動部305は、制御部301からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。モータ駆動部305は、駆動モータ30の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部301により設定された目標回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0043】
給水駆動部306は、制御部301からの制御信号に従って、給水バルブ51を駆動する。排水駆動部307は、制御部301からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。ファン駆動部308は、制御部301からの制御信号に従って、送風器120のファンモータ122を駆動する。コンプレッサ駆動部309は、制御部301からの制御信号に従って、コンプレッサ150を駆動する。
【0044】
記憶部302は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部302には、各種運転コースの洗濯運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部302には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0045】
制御部301は、操作部303、水位センサ304等からの各信号に基づいて、記憶部302に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部305、給水駆動部306、排水駆動部307、ファン駆動部308、コンプレッサ駆動部309等を制御する。
【0046】
さて、ドラム式洗濯機1では、ユーザによる操作部303の操作に基づき、制御部301による制御の下、各種運転コースの洗濯乾燥運転、洗濯運転または乾燥運転が行われる。
【0047】
図3(a)は、洗濯乾燥運転または洗濯運転において制御部301により実行される制御処理を示すフローチャートである。
【0048】
図3(a)を参照して、制御部301は、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程、最終脱水工程を、順番に実行する(S1~S4)。運転コースによっては、制御部301は、すすぎ工程と中間脱水工程とを2回以上、実行する場合がある。
【0049】
洗い工程では、ドラム23内に収容された洗濯物の負荷量に応じた所定水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングされる。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0050】
すすぎ工程では、外槽20内に所定水位までの水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0051】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の周壁面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム23が回転する。
【0052】
なお、本実施の形態において、中間脱水工程および最終脱水工程では、ドラム23の回転を所定の脱水回転数へ立ち上げる時の加速度が、50rpm/sに設定される。
【0053】
最終脱水工程が終了すると、制御部301は、しわ伸ばし工程を実行する(S5)。しわ伸ばし工程では、洗濯物に生じたしわが伸ばされる。しわ伸ばし工程については、追って、詳細に説明する。
【0054】
その後、制御部301は、運転コースが乾燥工程を含まない場合、即ち洗濯運転が実行されている場合(S6:NO)、洗濯運転を終了する。
【0055】
一方、制御部301は、運転コースが乾燥工程を含む場合、即ち洗濯乾燥運転が実行されている場合(S6:YES)、乾燥工程を実行する(S7)。
【0056】
乾燥工程では、送風器120の回転により外槽20と循環路110との間で空気が循環し、第2熱交換器140により外槽20に導入される空気が加熱され、熱風となる。さらに、ドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。
【0057】
吸気口204から外槽20内に導入された熱風が、開口部23aを通ってドラム23内に入り、タンブリングする洗濯物に当たる。これにより、洗濯物が乾燥する。
【0058】
洗濯物から水分を奪った熱風は、脱水孔23bを通って外槽20内へ排出され、排気口203から循環路110へ戻る。循環路110内において、熱風は、第2熱交換器140で加熱される前に第1熱交換器130を通過して、第1熱交換器130により除湿される。
【0059】
乾燥工程が終了すると、制御部301は、洗濯乾燥運転を終了する。
【0060】
なお、乾燥運転の運転コースでは、制御部301は、乾燥工程のみを実行する。
【0061】
次に、しわ伸ばし工程について、詳細に説明する。
【0062】
図3(b)は、しわ伸ばし工程において制御部301により実行される制御処理を示すフローチャートである。
【0063】
図3(b)を参照して、制御部301は、送風器120の回転を開始する(S101)。これにより、ドラム23内に送風が行われる。本実施の形態では、送風器120の回転数が5000rpmに設定される。
【0064】
次に、制御部301は、ドラム23の加速目標回転数および加速度を設定し、駆動モータ30を加速制御して、ドラム23の加速回転を開始する(S102)。そして、制御部301は、加速回転の開始から加速時間が経過したか否かを判定する(S103)。
【0065】
本実施の形態では、加速目標回転数が150rpmに設定され、加速度が100rpm/sに設定され、加速時間が3秒に設定される。このため、本実施の形態では、ドラム23は、加速回転によって加速時間が経過する前に加速目標回転数に到達し、加速時間が経過するまで加速目標回転数で定速回転する。
【0066】
加速時間が経過すると(S103:YES)、制御部301は、ドラム23の減速目標回転数および減速度を設定し、駆動モータ30を減速制御して、ドラム23の減速回転を開始する(S104)。そして、制御部301は、減速回転の開始から減速時間が経過したか否かを判定する(S105)。
【0067】
本実施の形態では、減速目標回転数が35rpmに設定され、減速度が50rpm/sに設定され、減速時間が4秒に設定される。このため、本実施の形態では、ドラム23は、減速回転によって減速時間が経過する前に減速目標回転数に到達し、加速時間が経過するまで減速目標回転数で定速回転する。
【0068】
減速時間が経過すると(S105:YES)、制御部301は、再び、ドラム23の加速回転を開始する(S102)。こうして、加速回転と減速回転とが交互に繰り返される。1回の加速回転および減速回転において、ドラム23は、複数周、即ち複数回数、一方向に回転する。
【0069】
減速時間が経過するまでの間、制御部301は、しわ伸ばし工程の開始から、しわ伸ばし時間が経過したか否かを判定する(S106)。本実施の形態では、しわ伸ばし時間が5分に設定される。減速時間が経過する前にしわ伸ばし時間が経過すると(S105:NO→S106:YES)、制御部301は、送風器120とドラム23を停止させる(S107)。こうして、しわ伸ばし工程が終了する。
【0070】
図4(a)および(b)は、それぞれ、加速回転時および減速回転時のドラム23内での洗濯物の動きについて説明するための図である。
【0071】
ドラム23が加速回転すると、図4(a)に示すように、加速回転により発生する遠心力によって、ドラム23内の洗濯物は、拡がりながらドラム23の内壁面に張り付く。これにより、洗濯物が伸ばされる。その後、ドラム23が減速回転すると、図4(b)に示すように、ドラム23の内壁面に張り付いていた洗濯物が丸まりながら落下する。加速回転と減速回転とが繰り返されて、洗濯物が伸びる動作と丸まる動作とを繰り返すことにより、最終脱水工程が終了したときに洗濯物に生じていたしわが伸ばされる。
【0072】
また、しわ伸ばし工程での加速回転時の加速度(100rpm/s)は、最終脱水工程での回転立ち上げ時の加速度(50rpm/s)よりも大きな値に設定されている。このため、加速回転時には、ドラム23が急加速で回転する。これにより、洗濯物の拡がりが良くなり、しわが伸びやすくなる。
【0073】
さらに、ドラム23が加速回転と減速回転とを繰り返す間、ドラム23内に送風が行われる。加速回転により洗濯物が拡がったとき、洗濯物がドラム23内に導入された風による風圧を受ける。これにより、洗濯物の拡がりが良くなり、しわが伸びやすくなる。
【0074】
なお、タオルを、しわ伸ばし工程が行われる洗濯運転としわ伸ばし工程が行われない洗濯運転とにより洗濯した後、一日干して、その仕上がり比べたところ、しわ伸ばし工程が行われた場合は、しわ伸ばし工程が行われない場合に比べて、乾燥後のタオルの膨らみが大きくなり、タオルの表面のしわが少なくなったことが確認された。
【0075】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、最終脱水工程に続いて、ドラム23が複数周の加速回転と複数周の減速回転とを交互に繰り返すしわ伸ばし工程が実行されるので、最終脱水工程の後に、洗濯物に生じているしわを伸ばすことができる。これにより、乾燥後の洗濯物にしわが残りにくくなり、洗濯物の仕上がりが良くなる。
【0076】
さらに、本実施の形態によれば、しわ伸ばし工程の加速回転のときの加速度が、最終脱水工程においてドラム23の回転を立ち上げるときの加速度よりも大きい値に設定されるので、加速回転時に、ドラム23を急加速で回転させることができる。これにより、洗濯物の拡がりが良くなり、しわが伸びやすくなる。
【0077】
さらに、本実施の形態によれば、しわ伸ばし工程において、ドラム23が加速回転と減速回転とを繰り返す間、送風器120が動作し、ドラム23内に送風される。これにより、加速回転により洗濯物が拡がったときに風圧を受けるので、洗濯物の拡がりが良くなり、しわが伸びやすくなる。
【0078】
さらに、本実施の形態によれば、洗濯乾燥運転の際には、乾燥工程の前にしわ伸ばし工程が実行され、最終脱水工程が終了したときに洗濯物に生じていたしわが、乾燥工程に移行する前に伸ばされる。これにより、乾燥工程後の洗濯物にしわが残りにくくなり、洗濯物の仕上がりが良くなる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0080】
たとえば、上記実施の形態では、加速回転の後に定速回転の期間を挟んで減速回転に移行し、減速回転の後に定速回転の期間を挟んで加速回転に移行する。しかしながら、加速回転の後に定速回転の期間を挟まずに減速回転に移行してもよく、減速回転の後に定速回転の期間を挟まずに加速回転に移行してもよい。
【0081】
さらに、上記実施の形態では、しわ伸ばし工程の加速回転のときの加速度が、最終脱水工程においてドラム23の回転を立ち上げるときの加速度よりも大きい値に設定されているが、等しい値に設定されてもよい。
【0082】
さらに、上記実施の形態では、ドラム23が加速回転と減速回転とを繰り返す全期間において、ドラム23内への送風が行われる。しかしながら、ドラム23が加速回転と減速回転とを繰り返す一部の期間において、ドラム23内への送風が行われてもよい。また、ドラム23内への送風が全く行われないようにされてもよい。
【0083】
上記実施の形態では、ドラム式洗濯機1が、乾燥装置100による乾燥機能を備えるドラム式洗濯乾燥機である。しかしながら、本発明は、乾燥機能を有さないドラム式洗濯機に適用することもできる。
【0084】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 筐体
20 外槽
23 ドラム
30 駆動モータ
100 乾燥装置
120 送風器
201 制御部
図1
図2
図3
図4