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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090554
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】販売支援システム及び販売支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20230101AFI20230622BHJP
【FI】
G06Q30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205573
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】500149016
【氏名又は名称】データシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越野 利栄
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB04
(57)【要約】
【課題】
過去の実績に応じた販売計画を作成することのできる販売支援システムを提供する。また、実際の販売数又は販売量に応じて、その後の商品又はサービスの販売価格を決定することのできる販売支援システムを提供する。
【解決手段】
少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムであって、販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、商品又はサービスの販売計画を作成する販売計画作成手段を備える、販売支援システム。少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムであって、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する販売価格決定手段を備える、販売支援システム。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムであって、
販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、商品又はサービスの販売計画を作成する販売計画作成手段
を備える、販売支援システム。
【請求項2】
販売計画作成手段が、販売計画の対象となる対象期間と同一の長さの過去の期間における商品又はサービスの販売数又は販売量をもとに、対象期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する、請求項1に記載の販売支援システム。
【請求項3】
販売計画作成手段が、さらに、商品の販売数又は販売量の上昇傾向又は下降傾向に関する情報をもとに、対象期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する、請求項2に記載の販売支援システム。
【請求項4】
過去の期間が、販売計画の対象となる日の前年又は前月の同一の日の前後で同一の曜日となる日である、請求項1~3のいずれかに記載の販売システム。
【請求項5】
販売計画の対象となる対象期間が複数の単位期間から構成されており、
販売計画作成手段が、複数の単位期間ごとに、商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する、請求項1~4のいずれかに記載の販売支援システム。
【請求項6】
販売計画作成手段が、前記複数の単位期間ごとに異なる係数を乗じることで、複数の単位期間ごとの商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する、請求項5に記載の販売支援システム。
【請求項7】
少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムにおいて実行される販売支援方法であって、
販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、商品又はサービスの販売計画を作成する販売計画作成ステップ
を有する、販売支援方法。
【請求項8】
少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムであって、
所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する販売価格決定手段
を備える、販売支援システム。
【請求項9】
所定の期間後における商品又はサービスを販売する期間が複数の単位期間から構成されており、
販売価格決定手段が、単位期間ごとに、商品又はサービスの販売価格を決定する、請求項8に記載の販売支援システム;
【請求項10】
所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差と、価格決定方法との複数の対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
単位期間に応じて、複数の対応関係のうちのいずれかの対応関係を特定する対応関係特定手段と
を備え、
販売価格決定手段が、単位期間ごとに、特定された対応関係をもとに、商品又はサービスの販売価格を決定する、請求項9に記載の販売支援システム;
【請求項11】
販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する販売予定数量算定手段
を備え、
販売価格決定手段が、算定した商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する、請求項8~10のいずれかに記載の販売支援システム。
【請求項12】
所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差、及び、値引き率又は値引き額との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
複数の対応関係から1の対応関係を特定する対応関係特定手段と
を備え、
販売価格決定手段が、特定された対応関係にしたがって、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する、請求項8~11のいずれかに記載の販売支援システム。
【請求項13】
決定された販売価格を表示する販売価格表示手段と
を備える、請求項8~12のいずれかに記載の販売支援システム。
【請求項14】
少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムにおいて実行される販売支援方法であって、
所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する販売価格決定ステップ
を有する、販売支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売支援システム及び販売支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店舗では、季節や曜日、天候などにより、商品又はサービスの売れ行きが大きく異なることがある。そのため、季節や曜日、天候などの商品又はサービスの売れ行きに影響を与える要素を考慮して、商品又はサービスを仕入れ、販売できるように準備をする必要がある。しかし、これらの複数の要素を適切に考慮して販売計画を作成することは困難であった。
【0003】
また、販売計画を作成したとしても、実際に販売を開始すると、販売計画どおりに商品又はサービスが売れないこともあり、状況にあわせて、計画を修正する必要もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。本発明の第一の目的は、過去の実績に応じた販売計画を作成することのできる販売支援システムを提供することである。本発明の第二の目的は、実際の販売数又は販売量に応じて、その後の商品又はサービスの販売価格を決定することのできる販売支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、
[1]少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムであって、販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、商品又はサービスの販売計画を作成する販売計画作成手段を備える、販売支援システム;
[2]販売計画作成手段が、販売計画の対象となる対象期間と同一の長さの過去の期間における商品又はサービスの販売数又は販売量をもとに、対象期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する、前記[1]に記載の販売支援システム;
[3]販売計画作成手段が、さらに、商品の販売数又は販売量の上昇傾向又は下降傾向に関する情報をもとに、対象期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する、前記[2]に記載の販売支援システム;
[4]過去の期間が、販売計画の対象となる日の前年又は前月の同一の日の前後で同一の曜日となる日である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の販売システム;
[5]販売計画の対象となる対象期間が複数の単位期間から構成されており、販売計画作成手段が、複数の単位期間ごとに、商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する、前記[1]~[4]のいずれかに記載の販売支援システム;
[6]販売計画作成手段が、前記複数の単位期間ごとに異なる係数を乗じることで、複数の単位期間ごとの商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する、前記[1]~[5]のいずれかに記載の販売支援システム;
[7]少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムにおいて実行される販売支援方法であって、販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、商品又はサービスの販売計画を作成する販売計画作成ステップを有する、販売支援方法;
[8]少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムであって、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する販売価格決定手段を備える、販売支援システム;
[9]所定の期間後における商品又はサービスを販売する期間が複数の単位期間から構成されており、販売価格決定手段が、単位期間ごとに、商品又はサービスの販売価格を決定する、前記[8]に記載の販売支援システム;
[10]
所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差と、価格決定方法との複数の対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、単位期間に応じて、複数の対応関係のうちのいずれかの対応関係を特定する対応関係特定手段とを備え、販売価格決定手段が、単位期間ごとに、特定された対応関係をもとに、商品又はサービスの販売価格を決定する、前記[9]に記載の販売支援システム;
[11]販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定する販売予定数量算定手段を備え、販売価格決定手段が、算定した商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する、前記[8]~[10]のいずれかに記載の販売支援システム;
[12]所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差、及び、値引き率又は値引き額との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、複数の対応関係から1の対応関係を特定する対応関係特定手段とを備え、販売価格決定手段が、特定された対応関係にしたがって、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する、前記[8]~[11]のいずれかに記載の販売支援システム;
[13]決定された販売価格を表示する販売価格表示手段とを備える、前記[8]~[12]のいずれかに記載の販売支援システム;
[14]少なくとも1のコンピュータ装置を備える販売支援システムにおいて実行される販売支援方法であって、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定する販売価格決定ステップを有する、販売支援方法;
により達成することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、過去の実績に応じた販売計画を作成することのできる販売支援システムを提供することができる。本発明の第二の目的は、実際の販売数又は販売量に応じて、その後の商品又はサービスの販売価格を決定することのできる販売支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態にかかる販売支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる店舗端末の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態にかかるサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる販売計画表示処理のフローチャートを示す図である。
図5】本発明の実施の形態にかかる販売計画作成処理のフローチャートを示す図である。
図6】本発明の実施の形態にかかる販売計画を示す図である。
図7】本発明の実施の形態にかかる販売価格決定処理のフローチャートを示す図である。
図8】本発明の実施の形態にかかる価格決定テーブルを示す図である。
図9】本発明の実施の形態にかかる価格決定テーブル及び方針テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。本発明の販売支援システムにおいて販売の対象となる商品は、特に限定されないが、例えば、食品、飲料、衣類、家具、家電、文房具、書籍、車両などがあげられる。本発明の販売支援システムにおいて販売の対象となるサービスも、特に限定されない。販売の対象となる商品又はサービスには、店舗において販売されるものだけでなく、ウェブサイトにおいて販売されるものも含まれる。
【0009】
図1は、本発明の実施の形態にかかる販売支援システムの構成を示すブロック図である。図示するように、販売支援システムは、例えば、店舗端末1と、サーバ装置2と、通信ネットワーク3とから構成されている。店舗端末1は、通信ネットワーク3を介してサーバ装置2と通信接続が可能である。
【0010】
店舗端末1は、例えば、店舗4に備えられている。サーバ装置2は、店舗4内に備えられていてもよく、店舗4外に備えられていてもよい。なお、ここでは、店舗端末1とサーバ装置2をそれぞれ別のものとして記載をするが、1つのコンピュータ装置にて、店舗端末1とサーバ装置2の両方の役割を果たすこともできる。
【0011】
店舗4には、店舗端末1の他、POSレジ5a~5zが備えられている。POSレジ5a~5zは、店舗端末1及び/又はサーバ装置2のそれぞれと、通信接続が可能である。
【0012】
店舗端末1は、表示画面と入力部を有するコンピュータ装置であれば特に限定されない。店舗端末1は、据え置き型であっても、携帯型で利用者が移動する際に携帯することができるものであってもよい。店舗端末1としては、例えば、従来型の携帯電話、タブレット型端末、スマートフォン、デスクトップ型・ノート型のパーソナルコンピュータがあげられるが、POSレジ5が店舗端末1の役割を果たしてもよい。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態にかかる店舗端末の構成を示すブロック図である。店舗端末1は、制御部11、メインメモリ12、ストレージ部13、入力装置14、表示装置15及び通信インタフェース16を備え、それぞれバスにより接続されている。
【0014】
制御部11は、CPUやROMから構成される。制御部11は、ストレージ部13に格納されたプログラムを実行し、店舗端末1の制御を行なう。メインメモリ12としては、例えばRAMが用いられる。メインメモリ12は、制御部11のワークエリアである。ストレージ部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部11は、メインメモリ12から読みだしたプログラム及びデータ、並びに、入力装置14にて入力されたデータをもとに、演算処理を行なう。
【0015】
表示装置15は表示画面を有している。制御部11は、演算処理の結果に応じて、表示画面に画像を表示するためのビデオ信号を出力する。ここで、表示画面はタッチセンサを備えるタッチパネルであってもよい。この場合、タッチパネルが入力装置14として機能する。
【0016】
通信インタフェース16は無線又は有線により通信ネットワーク3に接続が可能であり、通信ネットワーク3を介して、サーバ装置2又はPOSレジ5とデータを送受信することが可能である。通信インタフェース16を介して受信したデータは、メインメモリ12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態にかかるサーバ装置の構成を示すブロック図である。サーバ装置2は、制御部21、メインメモリ22、ストレージ部23及び通信インタフェース24を備え、それぞれバスにより接続されている。
【0018】
制御部21は、CPUやROMから構成され、ストレージ部23に格納されたプログラムを実行し、サーバ装置2の制御を行う。また、制御部21は時間を計時する内部タイマを備えている。メインメモリ22は、制御部21のワークエリアである。ストレージ部23は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部21は、プログラム及びデータをメインメモリ22から読み出し、店舗端末1又はPOSレジ5から受信した情報等をもとに、プログラム実行処理を行う。
【0019】
(第一の実施の形態)
次に、販売計画表示処理について、説明する。以下、主に、スーパーマーケットなどの小売店舗で、お惣菜の販売計画を作成し、作成した販売計画にしたがって販売を開始する場合について説明をするが、以下の実施の形態は、その他の商品やサービスにも適用可能である。
【0020】
図4は、本発明の実施の形態にかかる販売計画表示処理のフローチャートを示す図である。小売店舗の利用者は、店舗端末1を操作してサーバ装置2へアクセスする。利用者ごとに、利用者IDとパスワードが登録されており、利用者は、店舗端末1へ利用者IDとパスワードを入力することで、販売支援システムにログインをする(ステップS1)。
【0021】
次に、利用者は、店舗端末1を操作し、所定の期間における販売計画の作成要求をサーバ装置2へ送信する(ステップS2)。具体的には、店舗端末1を操作し、販売計画の作成を要求するためのボタンを選択する。ここで、所定の期間は、特に限定されない。1時間単位、1日単位、1週間単位、1か月単位又は1年単位のいずれであってもよい。販売計画を作成する商品やサービスの種類によって、所定の期間が予め設定されていてもよく、利用者が店舗端末1を操作して選択できるようにしてもよい。例えば、販売計画の対象となる商品が、スーパーマーケットのお惣菜(例えば、肉コロッケ、野菜コロッケ、唐揚げ、ポテトサラダなど)である場合、1日単位で販売計画を作成することができる。
【0022】
サーバ装置2では、販売計画の作成要求を受信する(ステップS3)。サーバ装置2には、販売計画作成の対象となる商品の価格、商品の過去の販売実績が予め記憶されており、この販売実績をもとに、商品の販売計画が作成される(ステップS4)。
【0023】
販売計画の作成は、1つの商品だけでなく、複数の商品について作成することが可能である。例えば、肉コロッケ、野菜コロッケ、唐揚げ、ポテトサラダなどの複数の商品について、それぞれの過去の販売実績に応じて、それぞれの販売予定数又は販売予定量を算定することができる。
【0024】
次に、サーバ装置2は、作成した販売計画をストレージ部13に記憶する(ステップS5)。そして、作成した販売計画を、店舗端末1へ送信する(ステップS6)。店舗端末1にて販売計画を受信すると(ステップS7)、受信した販売計画が店舗端末1の表示画面に表示される(ステップS8)。利用者は、店舗端末1の表示画面に表示された販売計画にしたがって、商品の仕入れや準備等を行い、販売を開始する。ステップS1~S8の処理により、販売計画表示処理を終了する。
【0025】
次に、ステップS4の販売計画作成処理について、より詳細に説明をする。図5は、本発明の実施の形態にかかる販売計画作成処理のフローチャートを示す図である。なお、以下の販売計画作成処理は、商品又はサービスごとに実行される。
【0026】
まず、販売計画の作成対象となる商品の過去の販売実績を、サーバ端末2のデータベースから抽出する(ステップS11)。この際、販売計画の対象となる対象期間と同一の長さの過去の期間における商品又はサービスの販売数又は販売量が抽出される。つまり、販売計画の対象となる対象期間と同一の長さの過去の期間における商品又はサービスの販売数又は販売量をもとに、対象期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量が算定される。
【0027】
1日単位で販売計画を作成する場合、過去の1日単位の販売実績をもとに、販売計画を作成することができる。例えば、2021年10月15日の販売計画を作成する場合、1週間前の2021年10月8日の販売実績をもとに販売計画を作成してもよく、1か月前の2021年9月15日の販売実績をもとに販売計画を作成してもよく、さらには、1年前の2020年10月15日の販売実績をもとに販売計画を作成してもよい。販売計画の作成のもととなる販売実績に対応する過去の期間は、商品又はサービスごとに予め設定しておいてもよく、利用者の店舗端末1への操作により適宜変更することができることとしてもよい。
【0028】
販売計画の作成のもととなる過去の期間は、販売計画の対象となる対象期間の前年の同一の日の前後で同一の曜日となる日であることが好ましい。例えば、2021年10月15日(金)の販売計画を作成する場合、その一年前である2020年10月15日(木)の前後で、2021年10月15日と同じ金曜日である2020年10月9日(金)又は2020年10月16日(金)の販売実績が、ステップS11にて抽出される。
【0029】
この場合、販売計画の対象となる対象となる日の前年の同一の日より前で、同一の曜日となる2020年10月9日(金)を抽出してもよく、また、対象期間の前年の同一の日より後で、同一の曜日となる2020年10月16日(金)を抽出してもよいが、対象期間の前年の同一の日である2020年10月15日(木)により近い2020年10月16日(金)とすることができる。商品又はサービスによっては、販売数量が季節や月と、曜日とに大きく依存するものがあるため、販売計画の作成のもととなる過去の期間を、販売計画の対象となる日の前年の同一の日の前後で同一の曜日となる日とすることで、より適正な販売計画を作成することができる。
【0030】
なお、ここでは、販売計画の作成のもととなる過去の期間は、販売計画の対象となる対象期間の前年の同一の日の前後で同一の曜日となる日としたが、商品やサービスによっては、販売計画の作成のもととなる過去の期間は、販売計画の対象となる対象期間の前月の同一の日の前後で同一の曜日となる日としてもよい。
【0031】
ステップS11にて抽出される過去の販売実績としては、商品ごとに、その日に販売され、購入された数量が記憶されている。例えば、商品が、ケースに封入されたお惣菜などの個数で計上できるものである場合は、販売実績として、1個、2個、3個、といったように個数が記憶されている。一方で、商品が量り売りのお惣菜や飲料などの量で計上できるものである場合は、販売実績として、100g、200g、300g、といったように重量や、100cc、200cc、300cc、といったように容量が記憶されている。サービスについても同様で、販売実績として、サービスごとに、回数や時間が記憶されている。
【0032】
また、ステップS11にて抽出される過去の販売実績には、値引きに関する情報が含まれている。値引きに関する情報としては、その日に販売された商品又はサービスの平均の販売価格、平均の値引き額、又は、平均の値引き率が抽出される。値引き率は、定価に対する値引き額の割合であり、例えば、定価の70%の額で販売をした場合、値引き率は30%となる。
【0033】
次に、販売計画の作成対象となる商品の販売数又は販売量の上昇傾向又は下降傾向に関する情報として、売上伸長率が算定される(ステップS12)。売上伸長率の算定は、サーバ装置2に記憶された過去の販売実績から算定することができる。例えば、販売計画の作成のもととなる過去の期間から所定の期間(例えば、1か月や1年間)まで遡った期間におけるその商品の販売数量の合計又は売上の合計を、販売計画の対象となる期間から所定の期間(同じく、例えば、1か月や1年間)まで遡った期間におけるその商品の販売数量の合計又は売上の合計で除した値を、売上伸長率とすることができる。2020年10月16日(金)の販売実績をもとに2021年10月15日(金)の販売計画を作成する場合に、2019年10月16日から2020年10月15日までの商品の販売数量の合計を、2020年10月15日から2021年10月14日までの商品の販売数量の合計で除することで、売上伸長率を算定することができる。このような売上伸長率を用いることにより、店舗の営業努力や流行などで、商品の売れ行きの上昇傾向や下降傾向を、販売計画に反映させることが可能となる。
【0034】
したがって、売上が過去に比べ増加傾向にある場合、売上伸長率は1よりも大きい値となり、売上が過去に比べ減少傾向にある場合、売上伸長率は1よりも小さい値となる。
【0035】
なお、ステップS12において、商品ごとの売上伸長率を算定することとしたが、商品ごとの売上伸長率に代えて、その店舗で取り扱っている商品全体の売上をもとに売上伸長率を算定し、この算定した売上伸長率をもとに、販売計画を作成することができる。
【0036】
次に、ステップS11にて抽出された商品の販売数量、及び、ステップS12にて算定した商品の売上伸長率をもとに、販売予定数又は販売予定量が算定される(ステップS13)。例えば、過去の販売実績として、2020年10月16日(金)に35個の肉コロッケが購入されており、売上伸長率が1.1である場合、肉コロッケの販売数に売上伸長率を乗ずることで、2021年10月15日(金)の肉コロッケの販売予定数を38.5個と算定することができる。
【0037】
次に、ステップS13にて算定した販売予定数又は販売予定量を、ステップS11にて抽出された商品の値引きに関する情報に応じて、補正する(ステップS14)。例えば、商品の平均の値引き率と、補正のための係数との対応関係を予め設定しておき、平均の値引き率に対応する係数を、ステップS13にて算定した販売予定数又は販売予定量に乗じることで、補正された販売予定数又は販売予定量を得ることができる。前記対応関係は、例えば、値引き率が0~5%の場合は係数が「1」、値引き率が5~10%の場合は係数が「0.9」、値引き率が10~20%の場合は係数が「0.8」といったように、値引き率に対応する係数の値を定めたテーブルにしたがってもよく、値引き率から係数を求めることのできる所定の関係式にしたがってもよい。
【0038】
例えば、ステップS13にて、2021年10月15日(金)の肉コロッケの販売予定数が38.5個と算定された場合で、2020年10月16日(金)の肉コロッケの値引き率が7%で、補正のための係数が0.9である場合、38.5に0.9を乗じることで、補正後の肉コロッケの販売予定数は、34.65個と算定することができる。補正された販売予定数が、少数点以下の値を含むものである場合、小数点以下を四捨五入、切り上げ、又は切り捨てをして、整数とすることもできる。
【0039】
ステップS14では、平均の値引き率に対応する係数を、ステップS13にて算定した販売予定数又は販売予定量に乗じる方法に代えて、ステップS13にて算定した販売予定数又は販売予定量から、平均の値引き率に応じた補正数量を差し引くことで、補正された販売予定数又は販売予定量を得ることもできる。
【0040】
また、ステップS14では、販売計画の対象である2021年10月15日(金)と、販売計画の作成のもととなる過去の期間である2020年10月16日(金)の天候やその他の事情など、値引き以外の売上に影響を与える要因に応じて、販売予定数又は販売予定量をさらに補正することも可能である。これらの補正は、販売支援システムにより、自動的に行ってもよく、利用者による店舗端末1への操作により手動で行ってもよい。
【0041】
販売支援システムでは、販売計画の対象となる期間における商品の販売予定数又は販売予定量だけでなく、販売計画の対象となる期間を構成するより短期間における商品の販売予定数又は販売予定量を算定することができる。つまり、販売計画の対象となる或る一日における商品の販売予定数又は販売予定量だけでなく、例えば、その一日を構成する各時間、例えば、一時間ごとの商品の販売予定数又は販売予定量を算定することができる。ステップS14にて、販売計画の対象となる一日における販売予定数又は販売予定量が求められると、この一日を構成する一時間ごとの販売予定数又は販売予定量を算定する(ステップS15)。
【0042】
ステップS15の算定方法は特に限定されない。例えば、単純に、ステップS14にて算定された一日の販売予定数又は販売予定量を、開店時間から閉店時間までの時間数で除して、一時間当たりの販売予定数を求めることができる。一日の販売予定数が100個であり、開店時間が8時で、閉店時間が20時の場合、100/12=8.33個と計算することができる。小数点以下を四捨五入、切り上げ、又は切り捨てをして、整数とする。
【0043】
ステップS15の算定方法としては、その他、各時間における売れ行きの違いを考慮した算定方法を採用することができる。例えば、開店時間から閉店時間までの時間ごとに異なる係数(売上指数)を定め、この係数を、ステップS14にて算定された一日の販売予定数又は販売予定量を、開店時間から閉店時間までの時間数で除して得られる一時間当たりの販売予定数又は販売予定量に乗じることで、各時間の販売予定数又は販売予定量を求めることができる。時間ごとの売上指数は、過去の販売実績、例えば、過去の所定の期間における時間ごとの販売数に応じて定めることができる。
【0044】
例えば、ステップS14にて算定された一日の販売予定数を、開店時間から閉店時間までの時間数で除して得られる一時間当たりの販売予定数が8.33個である場合に、8~9時の売上指数が1.1であれば、8~9時の販売予定数は、8.33×1.1=9.16個となる。小数点以下を四捨五入、切り上げ、又は切り捨てをして、整数とする。例えば、切り捨てをして、8~9時の販売予定数を9個とすることができる。同様にして、9~10時の売上指数が1.2であれば、9~10時の販売予定数は、8.33×1.25=10.41個となり、切り捨てをして10個とすることができる。
【0045】
なお、時間ごとの売上指数は、1より小さい数字も取り得る。例えば、スーパーマーケットなどの飲食料品を主な商品とする小売店舗では、午後14時~16時は、顧客の数が少なく、売上指数も1より小さくなる傾向にある。
【0046】
ステップS11~S15を経ることで、商品ごとに、販売計画の対象となる日の販売予定数又は販売予定量と、さらには、開店時間から閉店時間までの時間帯ごとの販売予定数又は販売予定量を算定することができる。ステップS11~S15にて、商品ごとの一日の販売予定数又は販売予定量と、一時間ごとの販売予定数又は販売予定量が、販売計画として作成され、販売計画作成処理は終了する。作成された販売計画は、ステップS5にてストレージ部13に記憶され、ステップS6にて店舗端末1へ送信される。
【0047】
なお、販売計画表示処理、及び、販売計画作成処理の各ステップにおいて実行された処理について、矛盾を生じない範囲で、店舗端末1にて実行されたステップを、サーバ装置2にて実行してもよく、サーバ装置2にて実行されたステップを、店舗端末1にて実行してもよい。また、販売計画表示処理、及び、販売計画作成処理の各ステップにおいて実行された処理を、店舗端末1のみにて実行してもよい。この場合、過去の販売実績は、店舗端末1に予め記憶されていることが好ましい。
【0048】
図6は、本発明の実施の形態にかかる販売計画を示す図である。ステップS4(ステップS11~S15)にて、図6で示すような販売計画が作成され、ステップS8にて、図6で示すような販売計画が店舗端末1の表示画面に表示される。販売計画30は、商品名31及び販売日32と関連付けて、時間帯33、販売予定数34及び販売価格35が記録されている。
【0049】
次に、販売価格決定処理について説明をする。図7は、本発明の実施の形態にかかる販売価格決定処理のフローチャートを示す図である。店舗では、販売計画にしたがって、お惣菜等の商品を準備する。店舗が開店し、商品の販売が開始され、POSレジ5にて商品の決済が実行される(ステップS21)と、商品を販売した旨の販売情報がPOSレジ5からサーバ装置2へ送信される(ステップS22)。商品を販売した旨の販売情報には、例えば、肉コロッケ、野菜コロッケ、唐揚げ、ポテトサラダであるかなどの販売した商品の種類と、その販売数又は販売量が含まれる。なお、販売を開始した後、後述する所定の時間が経過するまでは、商品は定価で販売される。
【0050】
サーバ装置2では、商品を販売した旨の販売情報を受信する(ステップS23)。サーバ装置2では、商品ごとに販売数又は販売量をメインメモリ22又はストレージ部23に記憶する(ステップS24)。ステップS21~S24は、商品が購入される度に、都度、実行される。ステップS24にて、記憶された商品の販売実績は、将来において、販売計画を作成する際の元となるデータとなる。
【0051】
販売が開始された後、販売開始から予め定められた所定の時間が経過すると(ステップS25)、商品の販売予定数又は販売予定量と、ステップS24にて記憶された商品の販売数又は販売量をもとに、所定の時間以後の販売価格を決定する(ステップS26)。
【0052】
なお、ステップS21~S24の処理は、ステップS25の所定の時間が経過した後も、商品の購入が行われる度に、繰り返し実行される。
【0053】
ステップS26の販売価格の決定は、商品ごとの販売数又は販売量をもとに、商品ごとに実行される。例えば、肉コロッケの販売価格の決定は、販売の開始から所定の時間が経過するまでの肉コロッケの販売数又は販売量をもとに行われる。ステップS25における、予め定められた所定の時間とは、店舗の開店時間が8時00分であり、8時00分から商品の販売が開始されるような場合に、11時00分を所定の時間とすることができる。8時から11時までの3時間の売れ行きをもとに、作成した販売計画よりも商品が売れていない場合には、商品の値下げを行うことができる。例えば、8時から11時までの実際の販売数が、販売予定数の50%程度であったような場合、11時以降に同じ価格で販売を継続したとしても、11時以降も、販売予定数の50%前後の売上となる可能性が高い。販売開始から所定の時間が経過した時点で、値下げをすることで、11時以降における商品の購入を促し、商品の売れ残りを減らすことが可能となる。
【0054】
ここでは、ステップS25における、予め定められた所定の時間を3時間としたが、その時間の長さは特に限定されない。1時間よりも短い時間でもよく、1時間よりも長い時間でもよい。この所定の時間の長さは、店舗端末1の操作により適宜変更できる構成としてもよい。また、この所定の時間の長さは、商品ごとに、長さが異なっていてもよい。
【0055】
ステップS26では、ステップS4にて算定された販売予定数又は販売予定量に対する、実際の商品の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の時間以後の販売額が決定されることとしてもよい。また、ステップS26では、ステップS4とは異なり、別途、算定された販売予定数又は販売予定量に対する、実際の商品の販売数又は販売量の比又は差をもとに、所定の時間以後の販売額が決定されることとしてもよい。
【0056】
ステップS26の販売価格の決定は、例えば、店舗端末1又はサーバ装置2に予め設定された価格決定テーブルを参照することにより実行される。図8は、本発明の実施の形態にかかる価格決定テーブルを示す図である。価格決定テーブル40には、計画達成率41と値引き率42との対応関係が記憶されている。
【0057】
ここで、計画達成率40は、販売開始から所定の時間が経過するまでにおける、販売予定数又は販売予定量に対する、実際の商品の販売数又は販売量の割合である。例えば、8時~11時までの販売予定数が300である場合に、実際の商品の販売数又は販売量が267である場合は、267/300=0.89で計画達成率は89%である。図8に示す価格決定テーブル40を参照すると、計画達成率80~89.9%の場合、値引き率は5%であるから、計画達成率89%に対応する値引き率は5%である。よって、1ケースの定価が250円の肉コロッケの場合、11時以降の販売価格は、237.5円である。小数点以下は、四捨五入、切り上げ、又は切り捨てをして、整数とする。11時以降の販売価格は、237円とすることができる。
【0058】
店舗端末1又はサーバ装置2には、複数の異なる価格決定テーブル40が登録されていてもよい。ステップS26において価格決定をする際に、販売日の属性に応じて、これらの複数の価格決定テーブル40から、適切な価格決定テーブル40が自動的に特定されてもよい。例えば、販売日が月曜日から金曜日の場合は、価格決定テーブルAが特定され、土曜日、日曜日及び祝日の場合は、価格決定テーブルBが特定され、お正月などの特別な祝日の場合は、価格決定テーブルCが特定される。
【0059】
また、価格決定テーブル40は、店舗端末1を操作することで、その内容を変更することができる。具体的には、計画達成率41と値引き率42との対応関係を、利用者の意思により変更することができる。そのため、利用者は、より高い売上となる価格決定テーブルはいずれであるか、より商品の売れ残りの少ない価格決定テーブルはいずれであるかを試行錯誤しながら、価格決定テーブルを編集していくことができる。
【0060】
ステップS26の販売価格の決定について、図8に示す価格決定テーブルを参照して実行する場合について説明をしたが、図8に示す価格決定テーブルに代えて、例えば、図9(a)に示すような価格決定テーブルと、図9(b)に示すような方針テーブルとを参照して、商品の販売価格の決定をすることができる。価格決定テーブルと方針テーブルは、店舗端末1又はサーバ装置2に予め設定されている。
【0061】
図9(a)の価格決定テーブル50には、計画達成率51と価格決定方針52との対応関係が記憶されている。価格決定方針52には、複数の価格決定方針が予め設定されている。例えば、価格決定方針52として、価格決定方針(i)52a、価格決定方針(ii)52b、価格決定方針(iii)52cが設定されている。これらの価格決定方針52には、計画達成率51毎に値引き率が設定されている。図9(a)中の価格決定方針52の下方に表示された数値は、値引き率の値である。
【0062】
例えば、価格決定方針(i)52aの場合、計画達成率90%以上であるときに値引き率は0%、計画達成率80~89.9%であるときに値引き率は0%、計画達成率70~79.9%であるときに値引き率は0%、計画達成率60~69.9%であるときに値引き率は10%、計画達成率50~59.9%であるときに値引き率は15%、、、といったように、計画達成率が下がるにつれて、値引き率は高くなる。また、価格決定方針(ii)52bの場合、計画達成率90%以上であるときに値引き率は0%、計画達成率80~89.9%であるときに値引き率は10%、計画達成率70~79.9%であるときに値引き率は20%、計画達成率60~69.9%であるときに値引き率は25%、計画達成率50~59.9%であるときに値引き率は30%、、、といったように、価格決定方針(i)52aと同様に、計画達成率が下がるにつれて、値引き率は高くなる。価格決定方針(iii)52cも同様に、計画達成率が下がるにつれて、値引き率は高くなる。このように、価格決定方針(i)52a~価格決定方針(iii)52cは、同じ計画達成率であっても異なる値引き率を有している。同じ計画達成率であっても、価格決定方針(i)52aが最も値引き率は低く、価格決定方針(ii)52bが次いで値引き率が低く、価格決定方針(iii)52cが最も値引き率が高くなる。なお、ここでは、価格決定方針52として、3つの方針を設定したが、価格決定方針52として設定される方針の数は、特に限定されない。
【0063】
図9(b)の方針テーブル55には、方針テーブル55では、例えば、1時間ごとに、価格決定方針(i)52a~価格決定方針(iii)52cのいずれを採用するのかが設定されている。つまり、方針テーブル55には、時刻56と関連付けて、採用する価格決定方針57が設定されている。例えば、11時00分~11時59分、及び、12時00分~12時59分は、価格決定方針(i)52aを採用し、13時00分~13時59分、14時00分~14時59分、15時00分~15時59分、及び、16時00分~16時59分は、価格決定方針(ii)52bを採用することができる。また、17時00分以降は、価格決定方針(iii)52cを採用することができる。
【0064】
ステップS26では、図9(b)に示すような方針テーブル55を参照して、時刻56ごとに、いずれの価格決定方針52を採用するのかを特定し、さらに、図9(a)に示すような価格決定テーブル50を参照して、時刻56ごとに、特定した価格決定方針52に対応する値引き率を決定することができる(すなわち、商品の価格を決定することができる)。例えば、11時00分~11時59分の計画達成率が50~59%の場合、方針テーブル55を参照すると、価格決定方針(i)52aを採用することが特定され、さらに、価格決定テーブル50を参照して、価格決定方針(i)52aに対応する値引き率として15%が特定される。
【0065】
例えば、上で述べたように、図9(b)に示すような方針テーブル55において、時間が経過するにつれて、価格決定方針(i)52a、価格決定方針(ii)52b、価格決定方針(iii)52cの順に採用する価格決定方針を変化させることで、1日のうち、販売開始からそれほど時間が経過していない時間帯においては、値引き率を低く抑え、販売開始から十分な時間が経過した時間帯においては、値引き率を高くすることが可能となる。このようにすることで、値引きを抑えつつ、閉店時の商品の売れ残りを少なくすることができる。なお、ここでは、時間が経過するにつれて、値引き率が高くなり、価格が低くなるような例について説明をしたが、方針テーブルにおいて、時間が経過するにつれて、値引き率が低くなり、価格が高くなるような設定をすることもできる。
【0066】
なお、価格決定テーブル50における計画達成率51と価格決定方針52との対応関係、又は、方針テーブル55における時刻56と採用する価格決定方針57との対応関係は、店舗端末1を操作することで、編集できるようにしてもよい。
【0067】
なお、ステップS26にて決定された販売価格及び/または、販売価格を決定する際に使用された値引き率は、店舗端末1又はサーバ装置2のメインメモリ又はストレージ部に記憶され、将来において、販売計画を作成する際の元となるデータとなる。
【0068】
ステップS26にて販売価格の決定が行われると、どの商品が、どのように販売価格が変化したかが、店舗4内又は店舗4外に設置された表示装置に表示される(ステップS27)。この表示装置は、店舗端末1又はサーバ装置2と通信接続がされており、店舗端末1又はサーバ装置2から送信された、販売価格の変更に関する情報が表示装置に表示される。例えば、表示装置には、肉コロッケ1ケースが250円から237円に値下げされたことが表示される。店舗4内又は店舗4外のお客に、表示装置に表示された内容を確認させ、商品の購入を促すことができる。ステップS21~S27により、販売価格決定処理は終了する。
【0069】
なお、ステップS26にて販売価格が決定されると、サーバ装置2から店舗端末1又はPOSレジ5へ、商品と決定された販売価格についての情報が送信され、店舗端末1又はPOSレジ5にて、商品と新たな販売価格を印刷にて出力することもできる。印刷されたシートは、店舗の商品を販売している総菜コーナーにおいて、対応する商品の前に掲示することができる。
【0070】
なお、ステップS26にて決定される販売価格として、上では、値下げをする事例をあげたが、販売開始から所定時間が経過するまでの間、販売予定数又は販売予定量よりも、実際の販売数又は販売量の方が多い場合は、以後の時間帯において、値上げをするように販売価格を決定してもよい。
【0071】
なお、11時以降に値下げを実施したことにより、計画達成率が改善した場合は、値下げした価格を定価に戻すか、或いは、11時の時点で値下げをした価格と定価との中間の価格とすることができる。この場合の計画達成率は、計画達成率40は、販売開始からこの時点までの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の商品の販売数又は販売量の割合から算定され、算定された計画達成率をもとに、価格決定テーブル40を参照して、計画達成率が改善した後の値下げ率を決定することができる。
【0072】
なお、販売価格決定処理の各ステップにおいて実行された処理について、矛盾を生じない範囲で、店舗端末1にて実行されたステップを、サーバ装置2にて実行してもよく、サーバ装置2にて実行されたステップを、店舗端末1にて実行してもよい。また、販売価格決定処理の各ステップにおいて実行された処理を、店舗端末1のみにて実行してもよい。
【0073】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、主に、商品がお惣菜であり、1日間の販売計画を作成し、作成した販売計画をもとに商品の販売を開始して、1時間後の売れ行きに応じて、その後の販売価格を決定することとしたが、例えば、水着などの季節商品に適用することも可能である。第2の実施の形態においても、第1の実施の形態にて説明をした、販売計画表示処理、販売計画作成処理、及び、販売価格決定処理と同様の処理が、店舗端末1及び/又はサーバ装置2において、実行される。また、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態にて説明をした販売計画30及び価格決定テーブル40と、同様の構成を有していてもよい。
【0074】
例えば、前年の水着の販売数をもとに、前記した販売計画作成処理と同様の処理により、販売計画として、その年の6月1日~8月31日までの一日ごとの販売予定数を算定することができる。この場合も、販売計画を作成する場合、販売計画の対象となる対象期間の前年の同一の日の前後で同一の曜日となる日であることが好ましい。例えば、2022年6月1日(水)の販売計画を作成する場合、その一年前である2021年6月1日(火)の前後で、2022年6月1日と同じ水曜日である2021年6月2日(水)の販売実績が抽出される。例えば、2021年6月2日(水)の水着の販売数、売上伸長率及び2021年における水着の平均値下げ率をもとに、販売予定数を算定することができる。売上伸長率は、店舗で取り扱っている商品全体の2020年と2021年の売上の比をもとに算定することができる。2022年6月1日と同様にして、2022年6月2日から2022年8月31日までの水着の販売予定数を算定することで、販売計画を算定することができる。
【0075】
サーバ装置2では、2022年6月1日に販売を開始し、所定の期間(例えば、2週間)を経過した時点で、販売開始から所定の時間が経過するまでにおける、販売予定数又は販売予定量に対する、実際の商品の販売数又は販売量の割合から、計画達成率が算定される。そして、算定された計画達成率をもとに、価格決定テーブルを参照して、所定の期間経過後の価格を決定することができる。このように、所定の期間を経過した後に値下げをすることで、所定の期間の経過後における商品の購入を促し、商品の売れ残りを減らすことが可能となる。
【0076】
本発明によれば、販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、商品又はサービスの販売計画を作成するため、実際の売れ行きとの乖離が生じにくい販売計画を作成することができる。
【0077】
本発明によれば、販売計画の対象となる対象期間と同一の長さの過去の期間における商品又はサービスの販売数又は販売量をもとに、対象期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定するため、実際の売れ行きとの乖離が生じにくい販売計画を作成することができる。
【0078】
本発明によれば、商品の販売数又は販売量の上昇傾向又は下降傾向に関する情報をもとに、対象期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定するため、店舗の営業努力や流行などの影響を考慮にいれた販売計画を作成することができる。
【0079】
本発明によれば、過去の期間が、販売計画の対象となる対象期間の前年の同一の日の前後で同一の曜日となる日であることにより、曜日が売れ行きに影響を与えるような商品において、実際の売れ行きとの乖離が生じにくい販売計画を作成することができる。
【0080】
本発明によれば、販売計画の対象となる対象期間が複数の単位期間から構成されており、複数の単位期間ごとに、商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定するため、単位期間ごとに、実際の売れ行きとの乖離が生じにくい販売計画を作成することができる。前記複数の単位期間ごとに異なる係数を乗じることで、複数の単位期間ごとの商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定することが好ましい。
【0081】
本発明によれば、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比をもとに、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定するため、実際の売れ行きをもとに商品又はサービスの販売価格を決定することができる。
【0082】
本発明によれば、所定の期間後における商品又はサービスを販売する期間が複数の単位期間から構成されており、単位期間ごとに、商品又はサービスの販売価格を決定することができる。
【0083】
本発明によれば、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比又は差と、価格決定方法との複数の対応関係が記憶され、単位期間に応じて、複数の対応関係のうちのいずれかの対応関係を特定し、さらに、単位期間ごとに、特定された対応関係をもとに、商品又はサービスの販売価格を決定するため、単位期間ごとに、異なる方針で商品又はサービスの販売価格を決定することができる。
【0084】
本発明によれば、販売計画の対象となる期間と所定の対応関係にある過去の期間の販売実績に応じて、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量を算定したうえで、さらに、実際の売れ行きをもとに商品又はサービスの販売価格を決定することができるため、計画との乖離を少なくし、且つ、商品の売れ残りや、サービスが十分に提供できないといったことを抑えることができる。
【0085】
本発明によれば、所定の期間における商品又はサービスの販売予定数又は販売予定量に対する、実際の販売数又は販売量の比、及び、値引き率又は値引き額との対応関係を記憶しておき、対応関係にしたがって、所定の期間後における商品又はサービスの販売価格を決定するため、その時に応じた適切な対応関係に応じた販売価格とすることができる。
【0086】
本発明によれば、決定された販売価格を表示装置に表示するため、店舗にて顧客に対して、決定された販売価格を周知することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 店舗端末、 2 サーバ装置、 3 通信ネットワーク、 4 店舗、
5 POSレジ、 11 制御部、 12 メインメモリ、 13 ストレージ部、
14 入力装置、 15 表示装置、 16 通信インタフェース、
21 制御部、 22 RAM、 23 ストレージ部、 24 通信インタフェース、
30 販売計画、 31 商品名、 32 販売日、 33 時間帯、
34 販売予定数、 35 販売価格、 40 価格決定テーブル、
41 計画達成率、 42 値引き率、 50 価格決定テーブル、
51 計画達成率、 52 価格決定方針、 55 方針テーブル、 56 時刻、
57 採用する価格決定方針
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9