(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090560
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】丁合装置、給送装置及び丁合装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 39/042 20060101AFI20230622BHJP
B65H 3/52 20060101ALI20230622BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20230622BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B65H39/042
B65H3/52 310F
B65H3/44 J
B65H7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205587
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】神子 隆一
(72)【発明者】
【氏名】八高 辰朗
【テーマコード(参考)】
3F048
3F050
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA10
3F048AB01
3F048BA06
3F048BA13
3F048BB05
3F048CA02
3F048CC01
3F048DA04
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3F048DC20
3F050AA09
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3F343LC06
3F343MA13
3F343MA14
3F343MA22
3F343MA27
3F343MA34
3F343MB03
3F343MB13
3F343MB14
3F343MC11
(57)【要約】
【課題】連続丁合処理を実行する前の使用者の準備作業を軽減する。
【解決手段】
複数の給紙装置のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を連続的に行う連続丁合処理を実行する丁合装置であって、複数の給送装置の少なくとも一部は、連続丁合処理を実行する前にシート材を給送することで、連続丁合処理の準備に用いるシート材に関する情報であるシート準備情報を取得するシート準備情報取得手段を有する情報取得給送装置である丁合装置において、一括調整ボタン2が押下された信号等の所定の準備処理信号が入力されると、二つ以上の情報取得給送装置がシート準備情報取得手段でシート準備情報を取得するための給送動作である準備給送動作を実行する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給送装置のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を連続的に行う連続丁合処理を実行する丁合装置であって、
複数の前記給送装置の少なくとも一部は、前記連続丁合処理を実行する前に前記シート材を給送することで、前記連続丁合処理の準備に用いる前記シート材に関する情報であるシート準備情報を取得するシート準備情報取得手段を有する情報取得給送装置である丁合装置において、
所定の準備処理信号が入力されると、二つ以上の前記情報取得給送装置が前記シート準備情報取得手段で前記シート準備情報を取得するための給送動作である準備給送動作を実行することを特徴とする丁合装置。
【請求項2】
請求項1の丁合装置において、
前記シート準備情報取得手段は、前記シート準備情報として前記シート材の厚さに関するシート厚情報を取得するシート厚情報取得手段を含むことを特徴とする丁合装置。
【請求項3】
請求項2の丁合装置において、
二以上の前記情報取得給送装置として、取得した前記シート厚情報を他の前記情報取得給送装置とは異なる機能に用いる前記情報取得給送装置を備えることを特徴とする丁合装置。
【請求項4】
請求項3の丁合装置において、
二つ以上の前記情報取得給送装置の少なくとも一部は、
載置部に積載された前記シート材の束であるシート束の最上面に接触して無端移動することで、最上位の前記シート材を送り出す給送部材と、
前記給送部材に対向配置され、前記シート束の最上位から二枚目以降の前記シート材が送り出されたときには一枚ずつに分離するサバキ機構を構成するサバキ部材と、
前記給送部材に対して接離する方向の前記サバキ部材の位置であるサバキ部材位置を調整するサバキ部材位置調整機構と、
前記シート準備情報に基づいて前記サバキ部材位置を調整するように前記サバキ部材位置調整機構を制御する調整処理を実行するサバキ位置制御手段と、
を備えるサバキ自動調整給送装置であることを特徴とする丁合装置。
【請求項5】
請求項4の丁合装置において、
前記サバキ自動調整給送装置は、前記サバキ部材位置調整手段の調整動作によって、前記給送部材と前記サバキ部材とを近づけて、前記給送部材と前記サバキ部材との間に生じる圧力である給送サバキ間圧が所定のリミット値に達したことを検知するリミット圧検知手段を備え、
前記サバキ位置制御手段は、前記給送サバキ間圧が前記リミット値に達したことを前記リミット圧検知手段が検知すると、前記リミット値を起点として前記シート情報に応じた分量だけ前記サバキ部材が前記給送部材から離れるように前記調整処理を実行することを特徴とする丁合装置。
【請求項6】
請求項4または5の丁合装置において、
前記サバキ自動調整給送装置は、前記準備処理信号が入力されると、前記調整処理に用いる前記シート準備情報を取得するための前記準備給送動作を実行するとともに、前記調整処理を実行することを特徴とする丁合装置。
【請求項7】
請求項4または5の丁合装置において、
前記サバキ自動調整給送装置は、前記準備処理信号が入力されると、前記調整処理に用いる前記シート準備情報を取得するための前記準備給送動作を実行し、
その後、調整開始信号が入力されると、前記調整処理を実行することを特徴とする丁合装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の丁合装置において、
二つ以上の前記情報取得給送装置の少なくとも一部は、
前記シート準備情報取得手段が、前記シート準備情報として前記シート材が重送しているか否かの判断の基準となる重送検知閾値情報を取得し、前記連続丁合処理の給送のときに前記重送検知閾値情報を用いて重送が生じているか否かを判断する重送検知給送装置であることを特徴とする丁合装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の丁合装置において、
二つ以上の前記情報取得給送装置の少なくとも一部は、
他の前記情報取得給送装置とは独立して個別に前記シート準備情報取得手段で前記シート準備情報を取得するための給送動作である準備給送動作を実行可能であることを特徴とする丁合装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の丁合装置において、
複数の前記給送装置は、前記丁合装置の本体筐体に対してそれぞれ着脱可能であることを特徴とする丁合装置。
【請求項11】
請求項10の丁合装置において、
前記本体筐体に対して複数の前記給送装置として、前記シート準備情報取得手段を有する前記情報取得給送装置と、前記シート準備情報取得手段を有さない非情報取得給送装置とを装着可能であり、
前記準備処理信号が入力されると、前記情報取得給送装置のみが前記準備給送動作を実行し、前記非情報取得給送装置は給送動作を実行しない制御が可能であることを特徴とする丁合装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の丁合装置において、
前記情報取得給送装置は、前記シート準備情報取得手段で取得した前記シート準備情報を記憶する準備情報記憶部を備え、
前記準備処理信号が入力されたときに、前記準備情報記憶部に前記シート準備情報が記憶されていない前記情報取得給送装置のみが前記準備給送動作を実行する制御が可能であることを特徴とする丁合装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の丁合装置において、
二つ以上の前記情報取得給送装置のうち、選択された前記情報取得給送装置のみが、
前記準備処理信号が入力されたときに前記準備給送動作を実行する制御が可能であることを特徴とする丁合装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の丁合装置において、
前記準備処理信号が入力されたときに、二つ以上の前記情報取得給送装置の全てが前記準備給送動作を実行する制御が可能であることを特徴とする丁合装置。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の丁合装置において、
二つ以上の前記情報取得給送装置の少なくとも一部は、前記シート準備情報取得手段として、前記シート材を厚み検出部材で挟んで検出したシート材厚情報に基づいて重送を検知する機械式重送検知手段と、前記シート材に照射した超音波を受信した受信信号に基づいて重送を検知する超音波式重送検知手段と、を備える二種重送検知給送装置であり、
前記二種重送検知給送装置は、前記シート材の給送時の重送検知に用いる重送検知手段を選択可能であり、
前記準備処理信号が入力されたときに、前記機械式重送検知手段が選択されている場合は前記準備給送動作を実行し、前記超音波式重送検知手段が選択されている場合は前記準備給送動作を実行しない制御が可能であることを特徴とする丁合装置。
【請求項16】
複数の給送装置のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合装置に装着可能な給送装置において、
請求項1乃至15の何れか一項に記載の丁合装置に装着可能で、
前記丁合装置に前記準備処理信号が入力されると、前記準備給送動作を実行することを特徴とする給送装置。
【請求項17】
複数の給送装置のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を連続的に行う連続丁合処理を実行する丁合装置であって、複数の前記給送装置の少なくとも一部は、前記連続丁合処理を実行する前に前記シート材を給送することで、前記連続丁合処理の準備に用いる前記シート材に関する情報であるシート準備情報を取得するシート準備情報取得手段を有する情報取得給送装置である丁合装置を制御する丁合装置の制御プログラムにおいて、
所定の準備処理信号が入力されると、二つ以上の前記情報取得給送装置が前記シート準備情報取得手段で前記シート準備情報を取得するための給送動作である準備給送動作を実行させるように制御することを特徴とする丁合装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丁合装置、給送装置及び丁合装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の給送装置のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を連続的に行う連続丁合処理を実行する丁合装置が知られている。
このような丁合装置として、複数の前記給送装置の少なくとも一部が、連続丁合処理を実行する前にシート材を給送することで、連続丁合処理の準備に用いるシート材に関する情報であるシート準備情報を取得するシート準備情報取得手段を有する情報取得給送装置であるものが知られている。
特許文献1には、連続丁合処理を行う前に、給送装置で給送予定のシート材を載置部に一枚だけ載置して給送を行い、シート準備情報としてシート材の厚さ情報を取得し、取得した厚さ情報に基づいてサバキ圧を自動で調整する初期調整処理を行う給送装置を備えた丁合装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-048218号公報
【特許文献2】特開2015-193474号公報
【特許文献3】特開2016-026973号公報
【特許文献4】特開2017-178530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の丁合装置では、特許文献1に記載の初期調整処理を行う給送装置を複数備える場合、給送装置の載置部にシート材を一枚だけ載置した後、厚さ情報を取得するための給送動作を実行させる操作を、作業者が複数の給送装置のそれぞれについて個別に行う必要があった。
また、情報取得給送装置が上述した初期調整処理を行う給送装置である場合に限らず、連続丁合処理を実行する前にシート材を給送することでシート準備情報を取得する情報取得給送装置を複数備える丁合装置は、シート準備情報を取得するための給送動作を実行させる操作を、作業者が複数の情報取得給送装置のそれぞれについて個別に行う必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数の給送装置のそれぞれから給送されたシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を連続的に行う連続丁合処理を実行する丁合装置であって、複数の前記給送装置の少なくとも一部は、前記連続丁合処理を実行する前に前記シート材を給送することで、前記連続丁合処理の準備に用いる前記シート材に関する情報であるシート準備情報を取得するシート準備情報取得手段を有する情報取得給送装置である丁合装置において、所定の準備処理信号が入力されると、二つ以上の前記情報取得給送装置が前記シート準備情報取得手段で前記シート準備情報を取得するための給送動作である準備給送動作を実行することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、丁合装置で連続丁合処理を実行する前の作業者の準備作業を軽減する、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図7】サバキ圧調整機構の構成及び動作を示す説明図。
【
図8】サバキ圧調整機構の構成及び動作を示す説明図。
【
図9】サバキ圧調整機構の構成及び動作を示す説明図。
【
図10】サバキ圧調整機構の構成及び動作を示す説明図。
【
図12】丁合機の制御部を中心とする電気的構成を示すブロック図。
【
図13】一括調整ボタンを含むメイン画面の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0009】
以下、本発明に係る丁合装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る丁合機10の外観を表す斜視図であり、
図2は、丁合機10の内部構造を正面側からみた模式図である。丁合機10は、筐体9の左右に十段ずつの棚が設けられている。左側の棚には第一~第十の給紙トレイ14(14A~14J)と、第一~第十の給紙機構18(18A~18J)とを備える第一~第十の給紙装置1(1A~1J)が設置されている(便宜的に、「1A」~「1I」及び「18A」~「18I」の符号の図示は省略している)。右側の棚には第十一~第二十の給紙トレイ14(14K~14U)と、第十一~第二十の給紙機構18(18K~18U)とを備える第十一~第二十の給紙装置1(1K~1U)が設置されている(便宜的に、「1L」~「1U」及び「18L」~「18U」の符号の図示は省略している)。左側の最下段の第一給紙トレイ14Aの下方には、折用給紙トレイ14Xと折用給紙機構18Xとを備える折用給紙装置1Xが設置されている。給紙装置1(1A~1X)とこれを構成する給紙トレイ14(14A~14X)及び給紙機構18(18A~18X)は、筐体9への取り付け位置や取り付け方向、大きさ、形状が異なるが、同様の構造を有する。以下の説明においてこれらを特に区別しない場合には、それぞれ「給紙装置1」、「給紙トレイ14」及び「給紙機構18」と総称する。
【0010】
給紙トレイ14及び給紙機構18を備える給紙装置1は、筐体9に取り外し可能に装着されている。具体的には、給紙装置1は、ユーザによって図示しないロック機構が解除されると、筐体9との係合が解除され、筐体9から取り外すことができるよう構成されている。このような係合方法は公知であるため説明は省略する。
筐体9の左側面の正面側には、丁合動作を開始させるスタートキー152や丁合動作を停止させるストップキー154が配置されたサブ操作パネル5が設けられている。
【0011】
筐体9の正面にはメイン操作パネル16を備えるタブレット端末4が、丁合機10の装置本体を構成する筐体9に対して着脱可能に設けられている。メイン操作パネル16はタッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、ユーザが丁合処理のための所定の操作入力を行うことができる。タブレット端末4を筐体9に装着している状態では、USB等の有線接続端子によって有線で接続し、後述する本体制御部50とタブレット制御部6とが有線回線で通信可能となる。一方、タブレット端末4を筐体9から取り外している状態では、Wifi(登録商標)等の無線通信回線によって後述する本体制御部50とタブレット制御部6とが通信可能となる。メイン操作パネル16等の主操作部としては装置本体に着脱可能な構成に限らず、筐体9に固定されたものでも良いし、装置本体に対して装着できず、分離した状態で使用するものでもよい。
【0012】
給紙装置1は、それぞれが備える給紙機構18に対応するように給紙操作パネル20を備える。給紙操作パネル20には、ユーザが給紙処理のための所定の操作入力を行うための複数の操作ボタンが設けられている。その詳細については後述する。
【0013】
図2に示すように、丁合機10は、サブ搬送機構22及びメイン搬送機構24をさらに備える。サブ搬送機構22は各棚の給紙機構18に対応するように設けられる。給紙機構18は、給紙トレイ14に積載された用紙束の最上位の用紙を一枚ずつサブ搬送機構22の搬送路に送り出す。サブ搬送機構22は、給紙機構18から送り出された用紙をメイン搬送機構24に送り込む。メイン搬送機構24は、筐体9内に上下方向に延在するように設けられる。メイン搬送機構24は、各サブ搬送機構22から送り込まれた用紙を、単独で、または複数枚を重ね合わせて丁合束を作成しながら下方へ搬送する。
【0014】
丁合機10は、折用紙搬送プレート26、折用紙載置プレート28、折用紙ストッパ30、折ナイフ32、及び一対のローラからなる折ローラ対34をさらに有する。折用給紙トレイ14Xには、メイン搬送機構24により搬送される丁合束を内側に挟むように二つ折りされる用紙(以下、「折用紙」という)が積載される。折用給紙機構18Xは、折用給紙トレイ14Xに積載された折用紙束の最上位の折用紙を一枚ずつ折用紙搬送プレート26に送り出す。
【0015】
折用紙搬送プレート26は、折用紙搬送方向下流側(
図2中の右側)の端部がメイン搬送機構24の下端よりわずかに折用紙搬送方向上流側(
図2中の左側)に位置するよう配置される。折用紙載置プレート28は、二枚のプレートが間隔を開けて重ね合わさるように設けられている。折用紙載置プレート28は、折用紙搬送方向上流側(
図2中の左側)の端部が、メイン搬送機構24の下端よりわずかに折用紙搬送方向下流側(
図2中の右側)に位置するよう配置される。折用紙ストッパ30は、折用紙載置プレート28内に導かれた折用紙の先端が当接するように配置される。折用紙ストッパ30は、モータなどのアクチュエータを作動させることにより、折用紙載置プレート28に沿って上流側及び下流側に移動可能に構成されている。
【0016】
丁合機10には、本体制御部50が設けられている。本体制御部50は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、及びデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、丁合機10の内部に設けられたアクチュエータの作動などを制御する。ユーザは、メイン操作パネル16または給紙操作パネル20にて各種の設定入力を行うことが可能となっている。本体制御部50は、こうしてユーザに入力された情報を取得し、取得した情報に応じて丁合機10の作動を制御する。
【0017】
丁合機10は、さらにベルト搬送機構36、排出ローラ対38及びスタッカトレイ40を有する。折用給紙トレイ14Xに積載された折用紙に丁合束を挟むようにして丁合する場合、まず折用給紙トレイ14Xから折用紙載置プレート28に向けて折用紙が搬送され、折用紙ストッパ30に突き当たって停止する。メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された丁合束は、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙に先端が突き当たる。本体制御部50は、このタイミングで折ナイフ32を回動させて、その先端を折用紙載置プレート28上で停止した折用紙に突き当て、折ローラ対34に向けて押し付ける。こうして丁合束は、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙とともに折ローラ対34によって挟持され、折用紙載置プレート28上で停止した折用紙が用紙束を挟むように折りたたまれ、折紙付きの丁合束を形成し、ベルト搬送機構36に搬送される。
【0018】
ベルト搬送機構36は、さらに下流に丁合束を搬送する。排出ローラ対38は、搬送された丁合束をスタッカトレイ40に排出する。スタッカトレイ40は、筐体9に対して着脱可能に取り付けられており、作成された丁合束が積載され蓄積される。なお、上述のように折用紙に丁合束を挟まない場合には、折用給紙トレイ14Xから折用紙は供給されず、メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された丁合束は、そのまま折ローラ対34によって挟持されてベルト搬送機構36に搬送される。
【0019】
本体制御部50は、ユーザがメイン操作パネル16を介して指定した部数(以下、「丁合設定部数」ともいう)にしたがって用紙の丁合処理を実行する。また、本体制御部50は、丁合処理に先立って給紙機構18によるサバキ圧を適正に調整するための初期調整処理を実行させる信号を給紙装置1に送信したり、丁合処理中においてはサバキ圧を適宜再調整する追加調整処理を実行させる信号を給紙装置1に送信したりできる。このサバキ圧を調整するための具体的構成及び処理の詳細については後述する。
【0020】
次に、サバキ圧調整機構を含む給紙機構18を備える給紙装置1の構成及び動作について説明する。
図3~
図6は、給紙装置1とサブ搬送機構22とを示す説明図である。
図3は、
図1及び
図2に示す左側の棚に設置される給紙装置1の背面図であり、
図4は左側の棚に設置される給紙装置1の正面図である。さらに、
図5は当該給紙装置1の平面図であり、
図6は当該給紙装置1の左側面図である。ただし、各図においては説明の便宜上、一部の構造の図示を適宜省略している。例えば、
図5及び
図6では、給紙装置1の一部であって給紙機構18からサブ搬送機構22の位置まで延在するガイド板41の図示を省略している。
【0021】
給紙トレイ14は「載置部」として機能し、ユーザによりセットされる用紙束が積載される。給紙トレイ14が斜めに傾斜するように設置されるため、給紙トレイ14上の用紙束は、上位の用紙ほど前方(給紙方向下流側)にずれて位置するよう斜めに捌いた状態で積載される。なお、
図3~
図6においては便宜上、用紙束がセットされる前の状態が示されている。
【0022】
給紙トレイ14の給送方向下流側には、ガイド板41及び給紙機構18が設けられている。ガイド板41は、サブ搬送機構22が設けられる横搬送路を構成し、給紙機構18によって送り出される用紙を下方から支持し、メイン搬送機構24に向けてガイドする。ガイド板41は、その両サイドに設けられ、給紙装置1の筐体を構成する一対のフレーム(図示せず)によって支持されている。ガイド板41は、給紙方向下流側(
図4中の右側)の端部であって、幅方向(
図4の手前奥方向、
図4の紙面に直交する方向)においてサブ搬送機構22のローラ部材(68、70)等が位置する部分に切り欠きが設けてある。この切り欠きによって、給紙装置1側のガイド板41と丁合機10の装置本体側のサブ搬送機構22とが互いに干渉することなく給紙装置1を筐体9に装着することができる。
【0023】
給紙機構18は、給紙ローラ42、補助給紙ローラ44、サバキ板46等を含む。給紙ローラ42及び補助給紙ローラ44は、各々の軸がブラケット48により支持されている。給紙ローラ42は、図示しないモータ(後述の給紙モータ77)により回転駆動される駆動ローラであり、用紙束の最上面に圧接して回転し、最上位の用紙を送り出す。補助給紙ローラ44は、給紙ローラ42とタイミングベルト52を介して接続される従動ローラであり、用紙束の最上面に当接して回転する。ブラケット48が給紙ローラ42と同軸状の支点軸(図示せず)に回動可能に支持されているため、補助給紙ローラ44の高さ位置が用紙束の枚数に応じた位置に適宜調整される。
【0024】
サバキ板46は、「サバキ部材」として機能し、用紙束の最上位から二枚目以降の用紙が一枚目と同時に送り出されたときは、一枚ずつに分離するサバキ機構を構成する。サバキ板46は、給紙ローラ42の下方に対向配置される。サバキ板46は、例えばウレタンゴムにて形成された板状の部材である。サバキ板46の下方には、給紙ローラ42に対して接離する方向のサバキ板46の位置を調整することで、サバキ板46と給紙ローラ42との間に生じる圧力をサバキ圧として調整するサバキ圧調整機構54が設けられている。サバキ圧調整機構54は、上述した一対のフレームに固定された収容部材55に収容されている。
【0025】
このような構成により、給紙トレイ14に積載された用紙束の最上位の用紙が補助給紙ローラ44によって給紙ローラ42とサバキ板46との間に送り込まれると、給紙ローラ42がその用紙をさらに下流側に送り出す。この用紙は、給紙ローラ42とサバキ板46との間に適度な圧力にて挟持されつつ送り出される。このとき、給紙ローラ42と用紙との摩擦力とサバキ板46と用紙との摩擦力との差異により、最上位から二枚目以降の用紙の送り出しが防止される。それにより、最上位の一枚の用紙のみが給紙ローラ42とサバキ板46との間を抜けて送り出されるようになる。
【0026】
サバキ板46に対して給紙方向のやや下流側の収容部材55内には、タイミングセンサ56が設けられている。タイミングセンサ56は反射型の光センサであり、サバキ圧の低下によって最上位から二枚目以降の用紙が給紙機構18の下流側近傍に滞留した場合にこれを検知するためのものである。
【0027】
図3及び
図4に示すように、給紙機構18に対して給紙方向下流側に隣接するように重送検知機構60が設けられている。重送検知機構60は、基準ローラ62及び変位ローラ64を有する。変位ローラ64は、「測定ローラ」として機能し、基準ローラ62に対して上方から当接する。基準ローラ62の軸は、その両端が上述した一対のフレームに固定されている。一方、変位ローラ64の軸は、レバー部材65の一端側に固定されている。レバー部材65の他端側がフレームに設けられた図示しない支点軸に回動可能に支持されているため、変位ローラ64は、基準ローラ62に対して相対変位可能となっている。レバー部材65の一端部(上部)には検知面67(上面)が設けられており、フレームにはその検知面67の変位を検出する変位センサ69が設けられている。
【0028】
基準ローラ62の下方には転動ローラ66が設けられている。重送検知機構60の下流側には、サブ搬送機構22を構成する一対の搬送ローラとして、搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とが上下に設けられている。搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とは互いに当接可能であり、転動ローラ66は搬送下ローラ70及び基準ローラ62のそれぞれに当接する。搬送上ローラ68及び搬送下ローラ70は、図示しないモータ(後述する搬送モータ)により駆動される。搬送下ローラ70の駆動力は、転動ローラ66を介して基準ローラ62に伝達される。
【0029】
このような構成により、用紙が基準ローラ62と変位ローラ64との間を通過すると、その用紙の厚み分だけ変位ローラ64の軸位置が上昇する。変位センサ69は、このときの検知面67の上昇量を検出する。レバー部材65が図示しない引きばねにより付勢されているため、用紙が通過していない間はその引きばねの付勢力により、変位ローラ64が基準ローラ62に圧接している。この変位センサ69の検出情報に基づき、用紙の重送が発生したか否かを判定することができる。
【0030】
図3及び
図4に示すように、サバキ圧調整機構54は、サバキ板46を支持するサバキベース72と、サバキベース72の下方に設けられた傾斜部材74と、傾斜部材74を給紙ローラ42の回転軸に平行な方向に変位させるリンク機構76と、リンク機構76を駆動するアクチュエータとしての調整モータ78とを含む。本実施形態では、調整モータ78としてDCブラシレスモータを採用するが、変形例においてはステッピングモータ等の他のモータであってもよい。サバキベース72は、給紙ローラ42の回転軸に直交する方向に延在する本体を有し、その本体の一端部が回動軸80に回動可能に支持されている。回動軸80は、給紙ローラ42の回転軸と平行に設けられ、収容部材55に固定されている。サバキベース72の本体の他端側の約半分の上面にサバキ板46が嵌着されている。
【0031】
サバキベース72の下面には、球82がその下半部を露出させる態様で埋め込まれて固定されている。そして、球82の下方に傾斜部材74が設けられている。傾斜部材74は、回動軸80と平行な方向に対して傾斜する傾斜面84を有し(
図6参照)、その傾斜面84に沿って球82を滑動させることができる。球82とサバキベース72との位置関係は変化しないため、球82が傾斜面84に沿って上下に移動することで、サバキベース72が回動軸80を中心に回動する。それにより、サバキ板46の高さ位置を変化させることができる。すなわち、サバキベース72、球82及び傾斜部材74が、サバキ板46の高さ位置を変化させる「昇降機構」を構成し、また、サバキ板46による給紙ローラ42に対する押圧力を作用させる「加圧機構」を構成する。また、リンク機構76と傾斜部材74との連結構造が、リンク機構76の変位に応じてリンク機構76とその加圧機構とを作動連携させる「連携機構」を構成する。
【0032】
また、
図4に示すように、搬送下ローラ70と横並びにジャムセンサ58が設けられている。ジャムセンサ58は反射型の光センサであり、給紙処理において紙詰まりが発生した場合にこれを検出するものであるが、サバキ圧の低下を判定する際にタイミングセンサ56とともに用いられる「用紙センサ」としても機能する。
【0033】
図5及び
図6に示すように、収容部材55の一方(背面側)の側部にはモータ収容ハウジング86が設けられ、調整モータ78が収容されている。収容部材55の他方(正面側)の側部には制御部収容ハウジング88が設けられ、給紙操作パネル20の入出力や給紙装置1が備える各種モータを制御する給紙制御部3が収容されている。
【0034】
給紙操作パネル20には、対応する棚の番号等を表示させる表示部162のほか、対応する棚の使用・不使用を切り替えるときに押下される単/停ボタン164、後述するサバキ圧の初期調整処理を実行する際に押下される初期調整ボタン166、連段設定を行う際に押下される連段設定ボタン168が設けられている。さらに、給紙操作パネル20には、対応する給紙機構18での給紙タイミングを早めるタイミング早めボタン170、給紙タイミングを遅らせるタイミング遅めボタン172が設けられている。また、給紙操作パネル20には、紙詰まり等のときに給紙モータを正転させる正転ボタン174、紙詰まり等のときに給紙モータを逆転させる逆転ボタン176、テスト給紙を行うときに押下されるテスト給紙ボタン178等が設けられている。
【0035】
次に、サバキ圧調整機構54の構成及び動作の詳細について説明する。
図7~
図10は、サバキ圧調整機構54の構成及び動作を示す説明図である。各図の(a)は
図5の部分拡大図に対応し、(b)は
図6の部分拡大図に対応する。
図11は、サバキ板46の動作を示す説明図である。
【0036】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、リンク機構76は、第一リンク11、第二リンク12及び第三リンク13を「伝達部材」として長手方向に順次連結して構成される。本実施形態では、第二リンク12及び第三リンク13が「第一リンク部材」を構成し、第一リンク11が「第二リンク部材」を構成する。第一リンク11は長尺状をなし、その一端が傾斜部材74の一端部に固定されている。第一リンク11の中間部には長手方向に延びる長孔96が設けられ、収容部材55の底部に立設された支柱98が挿通されている。これにより、第一リンク11は、支柱98にガイドされつつ長手方向に変位することができる。第一リンク11の他端近傍には支柱204が立設されている。
【0037】
第一リンク11の他端からその幅方向片側に支持部200が突出し、その先端にリミットセンサS1が取り付けられている。そして、リミットセンサS1に対して一列に並ぶように、ホームセンサS2、上限センサS3が配置されている。ホームセンサS2及び上限センサS3は、収容部材55の底部に取り付けられている。上限センサS3は、ホームセンサS2に対してリミットセンサS1とは反対側に位置する。
【0038】
リミットセンサS1は、サバキ圧調整機構54の作動によってサバキ圧が所定のリミット値に達したことを検知するセンサである。ホームセンサS2は、サバキ圧の調整が可能な状態にあるか否かを検知するセンサである。上限センサS3は、サバキ板46が予め定める上限位置に到達したことを検知するセンサである。これらのセンサ(S1~S3)は、何れも透過型の光センサであり、発光素子と受光素子とを対向配置させて構成される。
【0039】
第二リンク12は長尺状をなし、その一端部に長手方向に延びる長孔206が設けられ、支柱204が挿通されている。これにより、第二リンク12は、支柱204にガイドされつつ長手方向に変位することができる。第二リンク12の他端には、第三リンク13の一端が回動自在に連結されている。第三リンク13の他端は、減速機120を介して調整モータ78と接続されている。減速機120は、収容部材55に回転可能に支持されたギヤ122と、調整モータ78の回転軸に取り付けられた出力ギヤ124とを含む。第三リンク13の他端は、ギヤ122の周縁部に回動自在に連結されている。また、第二リンク12の他端部と支柱204とを接続するように引きばね205が設けられている。
【0040】
このような構成により、調整モータ78を正転させると(
図7(b)において反時計回りに回転させると)、リンク機構76が図の左方に駆動される。その結果、傾斜部材74が左方に変位して球82が傾斜面84に沿って上昇する。その結果、
図11(a)にも示すように、サバキベース72が一方向に回動してサバキ板46が上昇し、サバキ圧を大きくすることができる。逆に、調整モータ78を逆転させると(
図7(b)において時計回りに回転させると)、リンク機構76が図の右方に駆動される。その結果、傾斜部材74が右方に変位して球82が傾斜面84に沿って下降する。その結果、
図11(b)にも示すように、サバキベース72が他方向に回動してサバキ板46が下降する。その結果、給紙ローラ42とサバキ板46との間に用紙が介在していれば、サバキ圧を小さくすることができる。このような調整モータ78の駆動によりサバキ圧を調整することができる。
【0041】
第二リンク12には、その一端側と他端側にその長手方向に直交する幅方向の片側(給紙方向上流側)に突出する一対の突出部である内側突出部208と外側突出部110とが設けられている。内側突出部208の先端には内側検出部112が立設され、外側突出部110の先端には外側検出部114が立設されている。内側検出部112は、第二リンク12の第一リンク11に対する相対変位に応じてリミットセンサS1に対して進退する。リミットセンサS1は、サバキ圧の増加により第二リンク12が引きばね205の力に抗して第一リンク11に対して変位し、内側検出部112が光軸から外れたときに、サバキ圧が予め定めるリミット値に達したことを検知する。すなわち、リミットセンサS1、第一リンク11、第二リンク12及び引きばね205によりリミット検知機構が構成される。このリミット値は、サバキ圧を調整する際の基準圧力となる。
【0042】
一方、外側検出部114は、第二リンク12の変位に応じてホームセンサS2または上限センサS3に対して進退する。ホームセンサS2は、外側検出部114が光軸を遮蔽しているときに、サバキ圧が適正圧よりも小さくそのサバキ圧の調整が可能な状態であることを検知する。上限センサS3は、外側検出部114が光軸を遮蔽したときにサバキ圧が過大であることを検知する。
【0043】
次に、給紙装置1で初期調整ボタン166が押下されたときに実行される初期調整処理でのサバキ圧調整方法について説明する。
ユーザによって初期調整ボタン166が押下されると、サバキ圧調整機構54をサバキ圧が減少する減圧側に駆動する。すなわち、
図7(b)中に矢印にて示すように、調整モータ78を逆転させる。これにより図示のように、リンク機構76が傾斜部材74を図中右方へ変位させる。その結果、傾斜面84における球82が当接する部分の高さが低くなるため、サバキ板46が下降する。これによりホームセンサS2が
図7に示すように検知状態となると、調整モータ78の駆動を停止させる。サバキ圧の調整開始当初からホームセンサS2が検知状態であれば、このような調整モータ78の逆転駆動は行わない。
【0044】
次に、給紙モータ77を駆動して、準備給紙動作を実行する。このとき、給紙トレイ14に複数枚の用紙を積載せず、連続丁合処理の際に積載する予定の用紙を一枚だけ載置するように、予め取扱説明書や表示手段によってユーザに報知しておく。これは、初期調整処理で給紙を行うときには、サバキ圧は減圧され、サバキ板46でサバキを行なえない状態であり、この状態で複数枚の用紙を載置して給紙を行うと、複数枚の用紙が重なった状態で給紙ローラ42とサバキ板46との間を通過するおそれがあるためである。複数枚の用紙が重なった状態で給紙ローラ42とサバキ板46との間を通過すると、その下流側の重送検知機構60で用紙一枚分の厚みの情報を取得することができなくなる。
【0045】
準備給紙動作後は、サバキ圧調整機構54をサバキ圧が増大する増圧側に駆動する。すなわち、
図8(b)中の矢印にて示すように、調整モータ78を正転させる。これにより
図8に示すように、リンク機構76が傾斜部材74を図中左方へ変位させる。その結果、傾斜面84における球82が当接する部分の高さが高くなるため、サバキ板46が上昇する。これにより、サバキ板46が給紙ローラ42に当接すると、傾斜部材74の変位が規制される。
【0046】
この状態からサバキ圧調整機構54をさらに増圧側に駆動する。すなわち、調整モータ78をさらに正転させる。それにより、
図9に示すように引きばね205が伸び、第一リンク11を停止させたまま第二リンク12を図中左方に変位させる。それにより、リミットセンサS1が図示のように非検知状態となると、調整モータ78の駆動を停止させる。この引きばね205が伸び始めるときのサバキ圧をリミット値とし、サバキ圧調整の基準とする。そして、この状態から、取得した用紙一枚分の厚みの情報に基づいて、サバキ圧調整機構54を所定量だけ減圧側に駆動する。すなわち、調整モータ78を所定回転量だけ逆転させ、
図10に示すように、傾斜部材74の位置を所定の戻し量Kだけ図中右方に戻す。
【0047】
このように、サバキ圧がリミット値以下の状態では、第二リンク12を加圧側へ移動させると、第一リンク11を第二リンク12と一体に同方向に移動させることができ、それによりサバキ板46を上昇させることができる。一方、サバキ圧がリミット値に達すると、第二リンク12をさらに加圧側へ移動させても第一リンク11の移動は規制される。
【0048】
なお、上記戻し量Kを得るための調整モータ78の回転量については、用紙の厚さに関するデータに基づいて定められる。すなわち、戻し量Kは、用紙情報に応じた分量として決定される。例えば、用紙が厚くなるほど戻し量Kが大きくなるように回転量が設定される。この用紙の厚さと回転量との関係は、予め試験等を行うことにより厚さに対する回転量の最適値が求められてデータベース化される。各給紙制御部3は、そのデータベース化されたテーブルを保持し、サバキ調整工程においてそれらを参照する。また、厚さに関するデータが用紙の折り形により指定される場合には、例えば折りなし、二つ折り、四つ折り等の折り形に対する回転量の最適値を予め求めて記憶しておき、ユーザが入力した折り形に対応した回転量を決定する。
【0049】
本発明に係る情報取得給送装置は、用紙に関する情報を取得する厚み検知手段等のオプション機能を備えたオプション給紙装置であり、連続丁合処理を行う前に準備給紙動作を実行する。「連続丁合処理」とは、丁合機10で、指定された所定部数の丁合束を作成する処理、または、停止信号が入力されるまで丁合束を作成する処理であって、各給紙部が用紙を送り出し、それらが重なった用紙束を連続的に作成する処理をいう。また、「準備給紙動作」は、連続丁合処理の準備に用いる情報であるシート準備情報を取得するために給紙装置1が実行する給紙動作である。「準備給紙動作」としては、
図3乃至
図11に示した給紙装置1のようなオートサバキユニットで実行する「初期調整処理」での給紙動作や重送検知機能を備えた給紙装置1での「テスト給紙」処理での給紙動作が含まれ、さらに、詳細は後述する「オプション棚一括調整処理」での各給紙装置1の給紙動作も含まれる。
【0050】
「テスト給紙」は、給紙装置1のサバキ圧や給紙圧をユーザが調整するために給紙する処理であって、テスト給紙ボタン178が押された給紙装置1が、ボタンが押されている間だけ給紙する処理をいう。ユーザは、重送が発生しなくなるようテスト給紙においてサバキ圧や給紙圧を調整する。このため、調整が進むにつれて重送が発生する頻度は下がる。特に調整が完了したときには、すなわち、最後のテスト給紙のときには、重送は発生していないと考えられる。この重送が発生していないと考えられる給紙を行ったときの重送検知手段のセンサ信号に基づいて、重送検知用のセンサ信号の閾値を算出する。また、重送検知用のセンサ信号の閾値の算出方法としては、テスト給紙で異なる厚みデータを複数取得したときは、厚さが薄い用紙であることを示す厚みデータに基づいて閾値を算出することが望ましい。これにより、テスト給紙の途中で重送が生じたり、テスト給紙の最後に重送が生じたりしたとしても、一枚分の厚さに対応した閾値を算出できる可能性が高くなる。
【0051】
図3乃至
図11を用いて説明した給紙装置1は、連続丁合処理の前に、用紙の厚さに関するデータである厚さデータを予め取得し、この厚さデータに基づいて調整モータ78の回転量を制御し、連続丁合処理の前にサバキ圧を自動で調整するオートサバキ機能を備えたオートサバキユニットである。このオートサバキユニットでは、連続丁合処理の前の初期調整処理で準備給紙動作を実行する。この準備給紙動作のときの変位センサ69の検出値に基づいて連続丁合処理で給紙する予定の用紙の厚さデータを算出する。そして、その厚さデータに対応した戻し量Kを算出し、サバキ板46の高さを適正に調整する。給紙制御部3は、変位センサ69により検出される用紙の厚さデータと、調整モータ78の回転量との関係を対応づけたテーブルを保持し、サバキ調整工程においてそれらを参照する。このオートサバキユニットでは、準備給紙動作によって取得した厚さデータは、連続丁合処理における給紙動作での重送検知に用いる。
このように、オートサバキ機能を備えた給紙装置1は、準備給紙動作によってシート準備情報として厚みデータを取得するオプション給紙装置である。
【0052】
本発明に係るオプション給紙装置としては、上述したオートサバキ機能を備えたものに限らない。例えば、調整モータ78等のサバキ圧を自動で調整するための駆動源を備えず、サバキ圧調整機構を手動で作動させる給紙装置1でもよい。この給紙装置1では、準備給紙動作で取得した厚さデータに基づいて、推奨するサバキ圧となる調整量を算出し、算出した調整量を表示部に表示して、算出した調整量でサバキ圧調整機構を調整するようにユーザの操作を促すことができる。
オートサバキを行う構成としては、特許文献1の
図16を用いて説明される構成と同様のものを用いることができるが、これに限るものではない。また、推奨するサバキ圧の調整量を表示部に表示する構成としては、特許文献1の
図17及び
図18を用いて説明される構成と同様のものを用いることができるが、これに限るものではない。
【0053】
また、推奨するサバキ圧となる調整量を算出するものに限らず、連続丁合処理の前に実行する準備給紙動作で用紙に関する情報を取得する給紙装置1であればよい。例えば、準備給紙動作で厚さデータ等の重送検知に用いることができる重送検知データを取得し、重送検知データを、連続丁合処理における給紙動作での重送検知にのみ用いるものでもよい。
重送検知データを取得する給紙装置1としては、上述した実施形態の重送検知機構60や引用文献2に記載された構成と同様に、用紙を複数の部材で挟んで用紙の厚さデータを取得し、取得した厚さデータに基づいて、重送か否かを判断する厚さデータの閾値を算出する厚み検出給紙装置を用いることができる。重送検知の構成としては、給送する用紙に光を照射し、用紙の枚数によって光の透過量が異なることを利用して重送を検知する光学式の重送検知や、給送する用紙に超音波を照射し、用紙の枚数によって受信部で受信する超音波の減衰率が異なることを利用して重送を検知する超音波式の重送検知を用いるものでも重送検知を判断する閾値を算出する。この閾値を取得するために準備給紙動作を行う給紙装置1であれば本発明に係る情報取得給送装置として用いることができる。準備給紙動作を実施して超音波や光を用いて重送検知を行うための閾値を取得する構成としては、特許文献3に記載の構成等、公知の構成を用いることができる。さらに、重送検知を行う情報取得給送装置としては、特許文献3に記載の給紙装置のように、用紙を挟んで取得した厚さデータに基づいて重送を検知する機械式重送検知手段と、照射した超音波の受信信号に基づいて重送を検知する超音波式重送検知手段とを、用紙の特性に応じて使い分けるダブル検知給紙装置でもよい。
【0054】
図12は、丁合機10の本体制御部50を中心とする電気的構成を示すブロック図である。
図12は、オプション給紙装置として、オートサバキ給紙装置1αと、厚み検知給紙装置1βとの二種類の給紙装置1を筐体9に装着した状態の丁合機10のブロック図である。
図12では、便宜的に給紙装置1(1α、1β)を二つのみ図示しているが、丁合機10に装着された給紙装置1のすべての給紙制御部3と本体制御部50とが通信可能となる。
【0055】
オートサバキ給紙装置1αの給紙制御部3は、既に説明したリミットセンサS1、ホームセンサS2、上限センサS3、タイミングセンサ56、ジャムセンサ58及び変位センサ69からの検出信号が入力され、給紙操作パネル20での操作信号が入力される。また、オートサバキ給紙装置1αの給紙制御部3は、これらの検出信号や操作信号、及び、本体制御部50から入力される各種信号に基づいて、給紙制御やサバキ圧調整制御のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77や調整モータ78に制御指令信号を出力して、給紙操作パネル20の表示部162に表示指令信号を出力する。
【0056】
厚み検知給紙装置1βは、用紙を挟んで取得した厚さデータに基づいて重送を検知する機械式重送検知手段を備えた重送検知を行うオプション給紙装置である。厚み検知給紙装置1βは、オートサバキ給紙装置1αに対してサバキ圧を自動で調整する機能がない点で異なり、リミットセンサS1、ホームセンサS2、上限センサS3及び調整モータ78を備えていない。一方、タイミングセンサ56、ジャムセンサ58、変位センサ69、給紙操作パネル20及び給紙モータ77はオートサバキ給紙装置1αと同様のものを備える。そして、厚み検知給紙装置1βの給紙制御部3は、タイミングセンサ56、ジャムセンサ58及び変位センサ69からの検出信号が入力され、給紙操作パネル20での操作信号が入力される。また、厚み検知給紙装置1βの給紙制御部3は、これらの検出信号や操作信号、及び、本体制御部50から入力される各種信号に基づいて、給紙制御のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77に制御指令信号を出力して、給紙操作パネル20の表示部162に表示指令信号を出力する。
【0057】
本体制御部50には、サブ操作パネル5からの入力信号や、タブレット制御部6を介したメイン操作パネル16からの入力信号、給紙制御部3を介した給紙操作パネル20からの入力信号が入力され、さらに、スタッカトレイ40への用紙の排出を検出する排紙センサ180等からの検出信号が入力される。
【0058】
サブ操作パネル5には、丁合処理を開始させるためのスタートキー152、丁合処理を停止させるためのストップキー154が設けられている。タブレット端末4のメイン操作パネル16を連続丁合処理の前に各種設定を行うことができるタッチパネルである。一方、給紙操作パネル20には、
図6に示した各ボタンに対応する種々のスイッチが含まれる。ただし、厚み検知給紙装置1βの給紙操作パネル20は、
図6の初期調整ボタン166と同様の外観のボタンを備える機能ボタンを備え、他のボタンと同時に押下されることで、所定の機能を果たす。
【0059】
本体制御部50及びそれぞれの給紙制御部3は、各種スイッチやボタン、センサからの入力に基づいて給紙制御、搬送制御、折り制御等のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77、調整モータ78、メインモータ182等に制御指令信号を出力する。メインモータ182は、サブ搬送機構22やメイン搬送機構24を構成する各搬送ローラ等に共用のモータである。また、タブレット制御部6は、丁合処理の設定画面、エラー報知等をメイン操作パネル16の液晶ディスプレイに表示させる。
【0060】
図12に示すように、タブレット端末4は、外部通信部8を備え、タブレット制御部6がインターネット等の通信回線を介してサーバー等の外部装置と通信可能となっている。タブレット制御部6は、丁合機10の電源投入時やエラー発生時に、丁合機10の稼働情報やエラー情報を外部装置に送信可能となっている。外部装置に送信する稼働情報としては、丁合に使用した給紙装置1の種類、位置、積載したシート材の種類や丁合機10の丁合動作の回数を示す累積カウンタ等が挙げられるが、これに限るものではない。さらに、外部装置より通信回線通じて、故障の修理方法、プログラムのバージョンアップ情報等を取得可能としてもよい。
【0061】
次に、本実施形態の丁合機10の特徴的な構成について説明する。
本実施形態の丁合機10は、給紙装置1としてオプション給紙装置が二つ以上の装着されている状態で、所定の準備信号が入力されると、本体制御部50は、すべてのオプション給紙装置の給紙制御部3にシート準備情報を取得するための準備給紙動作を実行させる一括調整処理を実行する。
【0062】
図13は、丁合機10の電源投入後、最初にメイン操作パネル16の液晶ディスプレイに表示されるメイン画面100である。
図13に示すメイン画面100は、特許文献4の
図4に示すメイン画面100に一括調整ボタン2を追加したものである。他のボタンについては特許文献4の
図4に記載のものと同様の機能を有するため、説明は省略する。
【0063】
丁合機10では、ユーザが一括調整ボタン2を押下すると、本体制御部50が、全てのオプション給紙装置(オートサバキ給紙装置1α及び厚み検知給紙装置1β)の給紙制御部3に準備給紙開始信号を発信する一括調整処理を実行する。
オートサバキ給紙装置1αの給紙制御部3が準備給紙開始信号を受信すると、上述した初期調整ボタン166が押下されたときと同様に、初期調整処理を実行する。このとき、準備給紙動作によって取得した厚みデータを給紙制御部3の記憶部に記憶し、記憶した厚みデータに基づいてサバキ圧を調整するとともに、取得した厚みデータに基づいて重送検知機構60が重送か否かを判断する通過する用紙の厚みの閾値を算出する。
【0064】
厚み検知給紙装置1βの給紙制御部3が準備給紙開始信号を受信すると、用紙一枚分の給紙を行う給紙制御を行い、重送検知機構60で用紙一枚分の厚みデータを取得し、取得した厚みデータに基づいて重送検知機構60が重送か否かを判断する通過する用紙の厚みの閾値を算出する。
厚み検知給紙装置1βの給紙トレイ14に用紙束を積載した状態で準備給紙動作を実行した場合、用紙一枚分の給紙を行う給紙制御を行っても、複数枚の用紙が給紙されることがある。このとき、重送検知の閾値は用紙複数枚分の厚みデータに基づいて算出されるため、連続丁合処理の給紙動作で、重送が検知できないおそれがある。これに対して、本実施形態の厚み検知給紙装置1βは、準備給紙動作によって取得した閾値よりも厚い用紙が通過した信号を取得すると重送検知と判断し、閾値に対して十分に薄い用紙が通過した信号を取得すると、そのとき取得した信号に基づいて閾値を算出し直して記憶する。そして、その後の給紙動作は新たに算出した閾値に基づいて重送か否かの判断を行う。
このような制御を行うことで、準備給紙動作で複数枚の用紙が給紙されたとしても、その後の連続丁合処理での給紙動作によって重送検知に用いる閾値を適切な値に修正することができる。
【0065】
なお、オートサバキ給紙装置1α及び厚み検知給紙装置1βの何れであっても、給紙トレイ14に用紙が載置されていない給紙装置1は、準備給紙動作は実行しない。
また、オプション給紙装置として、ダブル検知給紙装置が含まれる丁合機10では、重送検知の方式として機械式重送検知手段が選択されている場合のみ、一括調整ボタン2が押下されたときに、ダブル検知給紙装置での準備給紙動作を行う制御としてもよい。これにより、ダブル検知給紙装置の重送検知方式として、超音波式重送検知手段が選択されているときに、テスト給紙等の他の調整処理を促すことができる。
【0066】
オートサバキ給紙装置や厚み検知給紙装置を備えた従来の丁合装置では、連続丁合処理を実行する前に、すべてのオプション給紙装置に準備給紙動作を実行させるために、オートサバキ給紙装置の一つ一つの初期調整ボタンを押下し、厚み検知給紙装置の一つ一つのテスト給紙ボタンを押下する必要があった。
これに対して、本実施形態の丁合機10では、ユーザは丁合機10の電源投入後、一括調整ボタン2を押下するという一つの操作だけで、すべてのオプション給紙装置に準備給紙動作を実行させることができ、連続丁合処理までの作業時間、操作負荷を低減し、生産性アップに繋げることができる。
【0067】
特に、従来の厚み検知給紙装置は連続丁合処理の前に、ユーザがサバキ圧を調整するためにテスト給紙を実行することを前提としていた。このため、テスト給紙で取得できる用紙一枚分の厚さ情報が取得されていない状態で、スタートキー152が押下されると、エラー発生として装置を停止し、テスト給紙を行っていない厚み検知給紙装置でテスト給紙を行うことをユーザに促す表示を行っていた。しかし、ユーザがテスト給紙を行うことなく連続丁合処理を実行したい場合には、ユーザにテスト給紙を強いることとなり、すべての厚み検知給紙装置について不要と考えるテスト給紙の実行を強いられると、ユーザは丁合装置の操作性に不満を感じるおそれがある。
これに対して、本実施形態の丁合機10では、一括調整ボタン2を押下するだけでよいので、ユーザは不要と考えるテスト給紙を行う必要がなく、ユーザが操作性に不満を感じることを抑制できる。
【0068】
本実施形態の丁合機10では、装置本体の筐体9に対して着脱可能なタブレット端末4のメイン操作パネル16の液晶ディスプレイに一括調整ボタン2を表示しているが、一括調整ボタン2を押下する操作は、タブレット端末4が装置本体の筐体9に装着されているときのみに実行できる構成となっている。これにより、タブレット端末4を操作するユーザが丁合機10の周辺の安全を確認できる状態で一括調整処理を実行できる。一括調整ボタン2を押下する操作が実行できない状態のときは、メイン操作パネル16での一括調整ボタン2の表示をグレーアウトさせて表示させたり、非表示としたりしてもよい。
また、一括調整ボタン2が押下されてから一括調整処理を実行するまでの間に、警告音や警告表示によって丁合機10の周辺に一括調整処理を実行することを報知する報知手段を備える構成であれば、タブレット端末4を筐体9から取り外した状態でも一括調整ボタン2を押下できる構成としてもよい。
【0069】
上述したように、本実施形態の丁合機10では、一括調整処理を実行する一括調整ボタン2を、電源投入後、最初に表示されるメイン画面100で操作できる構成となっている。これにより、電源オンの後、各給紙トレイ14に用紙(新聞広告丁合機の場合はチラシ)を積む(オートサバキ給紙装置1αの場合は一枚積む)作業を行なったら、すぐに一括調整ボタン2を押下するという作業の流れで一括調整処理を行うことができる。
【0070】
本実施形態の丁合機10では、一括調整処理を行う一括調整ボタン2をタブレット端末4のメイン操作パネル16の液晶ディスプレイに表示する構成であるが、一括調整ボタン2の配置としてはこれに限らない。例えば、機械的なボタン装置を丁合機10の筐体9に設けてもよい。
【0071】
複数の給紙装置1の少なくとも一部に、給紙する用紙から情報を取得する用紙準備情報取得手段(重送検知機構60)を備えない標準給紙装置が含まれている状態で、一括調整ボタン2が押下されると、オプション給紙装置のみ給紙を行い、標準給紙装置では給紙を行わないように制御する。標準給紙装置では、給紙を行っても用紙に関する情報を取得できず、このような標準給紙装置での給紙を行わないことで、不要な給紙を防止できる。
【0072】
本実施形態の丁合機10では、複数の給紙装置1として、オートサバキ給紙装置1αと厚み検知給紙装置1βとの組合せのように、機能が異なる複数種類のオプション給紙装置が装着されている状態であっても、一括調整ボタン2が押下されると、全てのオプション給紙装置で準備給紙動作を実行させる。このため、機能が異なるオプション給紙装置のそれぞれについて個別に準備給紙動作を実行させる必要がなく、連続丁合処理までの作業時間、操作負荷を低減し、生産性アップに繋げることができる。
【0073】
本実施形態の丁合機10は、複数の給紙装置1を縦方向に複数並べて設けているが、本発明が可能な丁合装置は、複数の給送装置を縦方向に複数並べて設けたものに限らず、複数の給送装置を横方向に複数並べて設けたものでもよい。本実施形態の丁合機10のように、給送装置を縦方向に複数並べることで設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0074】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0075】
〔態様1〕
複数の給紙装置1等の給送装置のそれぞれから給送された用紙等のシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を連続的に行う連続丁合処理を実行する丁合機10等の丁合装置であって、複数の給送装置の少なくとも一部は、連続丁合処理を実行する前にシート材を給送することで、連続丁合処理の準備に用いるシート材に関する情報である厚さ情報等のシート準備情報を取得する重送検知機構60等のシート準備情報取得手段を有するオプション給紙装置等の情報取得給送装置である丁合装置において、一括調整ボタン2が押下された信号等の所定の準備処理信号が入力されると、二つ以上の情報取得給送装置がシート準備情報取得手段でシート準備情報を取得するための給送動作である準備給紙動作等の準備給送動作を実行することを特徴とするものである。
これによれば、連続丁合処理の前にシート準備情報の取得が必要な情報取得給送装置を複数備える場合に、準備処理信号を入力する一度の操作によって、複数の情報取得給送装置の準備給送動作をまとめて行うことができる。これにより、連続丁合処理を開始するまでのユーザ等の作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
ここでいう「シート準備情報」は、上述した実施形態のようにシート材(用紙)の厚さを示す寸法(数値)や超音波の受信部からの信号の出力でもよい。また、シート材の情報に基づいてサバキ圧を調整する情報取得給送装置でれば、サバキ圧に影響を与える他の情報を含めてもよい。例えば、摩擦係数等を推し量る指標となる用紙の紙質等のシート材の特性に関する情報であってもよい。また、シート材の表面の画像に基づいて乱丁検知を行う場合に、乱丁検知の基準となる画像情報をシート準備情報として、準備給送動作によって取得してもよい。さらに、準備給送動作で画像情報を取得する構成としては、取得した画像情報に基づいて乱丁検知を行うものに限らない。例えば、広告チラシであれば取得した画像情報に基づいてスポンサー名や店舗名等のチラシの識別情報を取得して、連続丁合処理での給送の要否の判断に用いる構成としてもよい。
また、本発明における「連続丁合処理」は、シート材を重ねた丁合束を連続的に作成する処理であるが、連続丁合処理中にシート材を給送する複数の給送装置としては、同じ組み合わせの給送装置から連続的に給送する処理でも良いし、作成する丁合束によって給送する給送装置の組み合わせを異ならせる処理でもよい。
【0076】
〔態様2〕
態様1の丁合装置において、シート準備情報取得手段は、シート準備情報として前記シート材の厚さに関するシート厚情報を取得する変位センサ69等のシート厚情報取得手段を含むことを特徴とするものである。
これによれば、連続丁合処理の前に、一度の操作によって複数の情報取得給送装置でシート厚情報を取得する準備給送動作をまとめて実行できる。これにより、シート厚情報に基づいてサバキ圧を調整する給送装置やシート厚情報に基づいて重送検知の閾値を設定する給送装置を複数備えるとき、それぞれの給紙装置毎にシート厚情報を取得させる操作を個別に実行する必要がなくなり、連続丁合処理を開始するまでの作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
【0077】
〔態様3〕
態様2の丁合装置において、二以上の情報取得給送装置として、取得したシート厚情報を他の前記情報取得給送装置(厚み検知給紙装置1β等)とは異なる機能(サバキ圧の自動調整等)に用いる情報取得給送装置(オートサバキ給紙装置1α等)を備えることを特徴とするものである。
これによれば、機能が異なる情報取得給送装置のそれぞれについて個別に準備給送動作を実行させる必要がなく、連続丁合処理までの作業時間、操作負荷を低減し、生産性アップに繋げることができる。
【0078】
〔態様4〕
態様3の丁合装置において、二つ以上の情報取得給送装置の少なくとも一部は、給紙トレイ14等の載置部に積載されたシート材の束である用紙束等のシート束の最上面に接触して無端移動することで、最上位のシート材を送り出す給紙ローラ42等の給送部材と、給送部材に対向配置され、シート束の最上位から二枚目以降のシート材が送り出されたときには一枚ずつに分離するサバキ機構を構成するサバキ板46等のサバキ部材と、給送部材に対して接離する方向の前記サバキ部材の位置であるサバキ部材位置を調整するサバキ圧調整機構54等のサバキ部材位置調整機構と、シート準備情報に基づいてサバキ部材位置を調整するようにサバキ部材位置調整機構を制御する調整処理を実行する給紙制御部3等のサバキ位置制御手段と、を備えるオートサバキ給紙装置1α等のサバキ自動調整給送装置であることを特徴とする。
これによれば、複数のサバキ自動調整給送装置の組み合わせ、または、サバキ自動調整給送装置と他の種類の情報取得給送装置(厚み検知給紙装置1β等)との組合せを備える丁合装置で、連続丁合処理の前に、一度の操作によって複数の情報取得給送装置でシート厚情報を取得する準備給送動作をまとめて実行できる。これにより、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
従来のサバキ自動調整給送装置では、連続丁合処理の前に捌き部材の位置を自動で調整するために、連続丁合処理で給送する予定のシート材を一枚だけ載置部に載置し、この一枚を給送しながらシート厚情報を取得し、取得したシート厚情報に基づいてサバキ圧を自動で調整する制御である初期調整処理を実行する。そして、サバキ自動調整給送装置を備える従来の丁合装置では、一つ一つのサバキ自動調整給送装置毎に単独で初期調整処理を行っていた。これに対して、本態様4に係る丁合装置では、複数のサバキ自動調整給送装置の初期調整処理をまとめて、または/及び、サバキ自動調整給送装置の初期調整処理と他の種類の情報取得給送装置の準備給送動作とをまとめて、一度の操作によって実行することができる。このため、初期調整処理が必要なサバキ自動調整給送装置を備える丁合装置で、連続丁合処理を開始するまでの作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
本態様4では、サバキ部材位置調整機構によってサバキ部材の位置を調整する「調整処理」がサバキ位置制御手段によって自動的に調整するものであるが、サバキ部材位置調整機構によってサバキ部材の位置を調整する構成としては、サバキ部材位置調整機構を手動で操作する構成としてもよい。この構成では、作業者がサバキ部材の位置を手動で調整できるように、取得したシート準備情報に基づいた手動の調整に用いる情報を表示部に表示する構成が望ましい。
本態様4における給送部材としては、上述した実施形態ではローラ部材である給紙ローラ42を備える構成について説明したが、シート束の最上面に接触して無端移動することで、最上位のシート材を送り出す給送部材としてはローラ部材に限らず、無端移動するベルト部材でもよい。
【0079】
〔態様5〕
態様4の丁合装置において、サバキ自動調整給送装置は、サバキ部材位置調整手段の調整動作によって、給送部材とサバキ部材とを近づけて、給送部材とサバキ部材との間に生じる圧力であるサバキ圧等の給送サバキ間圧が所定のリミット値に達したことを検知するリミットセンサS1等のリミット圧検知手段を備え、サバキ位置制御手段は、給送サバキ間圧がリミット値に達したことをリミット圧検知手段が検知すると、リミット値を起点としてシート情報に応じた分量だけサバキ部材が給送部材から離れるように調整処理を実行することを特徴とするものである。
これによれば、給送部材やサバキ部材に摩耗等の経時変化が生じても、経時変化の影響を抑制して適正な給送サバキ間圧に調整できる操作について、作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
【0080】
〔態様6〕
態様4または5の丁合装置において、サバキ自動調整給送装置は、準備処理信号が入力されると、調整処理に用いるシート準備情報を取得するための準備給送動作を実行するとともに、調整処理を実行することを特徴とするものである。
これによれば、一度の操作によってサバキ自動調整給送装置での準備給送動作と調整処理とを実行でき、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
【0081】
〔態様7〕
態様4または5の丁合装置において、サバキ自動調整給送装置は、準備処理信号が入力されると、調整処理に用いるシート準備情報を取得するための前記準備給送動作を実行し、その後、調整開始信号が入力されると、調整処理を実行することを特徴とするものである。
これによれば、一度の操作によってサバキ自動調整給送装置での準備給送動作が完了したことを確認した後で、調整開始信号を入力する操作を行って調整処理を実行する、という操作が可能となる。
【0082】
〔態様8〕
態様1乃至7の何れかに係る丁合装置において、二つ以上の情報取得給送装置の少なくとも一部は、重送検知機構60等のシート準備情報取得手段が、シート準備情報としてシート材が重送しているか否かの判断の基準となる用紙の厚みや超音波の受信部での受信信号等の重送検知閾値情報を取得し、連続丁合処理の給送のときに重送検知閾値情報を用いて重送が生じているか否かを判断する重送検知給送装置であることを特徴とするものである。
これによれば、複数の重送検知給送装置の組み合わせ、または、重送検知給送装置と他の種類の情報取得給送装置との組合せを備える丁合装置で、連続丁合処理の前に、一度の操作によって複数の情報取得給送装置でシート厚情報を取得する準備給送動作をまとめて実行できる。これにより、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
また、重送検知給送装置を備える従来の丁合装置では、他の給送装置からの給送を行わず、単独の重送検知給送装置で複数枚のシート材を一枚ずつ給送して給送状態を作業者が確認しながらサバキ圧等の給送条件を作業者が調整するテスト給紙等のテスト給送を行うものがある。このような丁合装置ではテスト給送のときに重送検知閾値情報を取得する。しかし、作業者によってはテスト給送を行わずに給送条件を調整して連続丁合処理を実行したり、テスト給送を行わずに連続丁合処理を開始して連続丁合処理を実行しながら給送条件を調整したりしようとする場合がある。この場合、連続丁合処理を実行する操作を行おうとしても、重送検知閾値情報を取得していないため、エラーとなり、重送検知給送装置毎のテスト給紙を強いられるため、作業者が操作性に不満を感じるおそれがある。これに対して、本態様8に係る丁合装置では、複数の重送検知給送装置の準備給送動作をまとめて、または/及び、重送検知給送装置の準備給送動作と他の種類の情報取得給送装置の準備給送動作とをまとめて、準備処理信号を入力する一度の操作によって実行することができる。よって、テスト給送を行わずに連続丁合処理を実行しようとする作業者が、準備処理信号を入力する一度の操作を行うことで、重送検知給送装置毎のテスト給紙を行うことなく、連続丁合処理を実行できるため、操作性に不満を感じる可能性を低減できる。
【0083】
〔態様9〕
態様1乃至8の何れかに係る丁合装置において、二つ以上の前記情報取得給送装置の少なくとも一部は、他の情報取得給送装置とは独立して個別にシート準備情報取得手段でシート準備情報を取得するための給送動作であるテスト給紙等の準備給送動作を実行可能であることを特徴とするものである。
これによれば、個別に準備給送動作を実行できる情報取得給送装置を備える丁合装置であっても、状況に応じて他の情報取得給送装置とともに一度の操作で準備給送動作を行うことができるため、作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
【0084】
〔態様10〕
態様1乃至9の何れかに係る丁合装置において、複数の給送装置は、丁合装置の本体筐体に対してそれぞれ着脱可能であることを特徴とするものである。
本態様10のように、本体筐体に対してそれぞれ着脱可能な給送装置は、丁合装置の本体制御部とは別に、それぞれの給送装置の給送動作を制御する給送制御部を備えるものがある。このように給送装置毎に給送制御部を備える構成の情報取得給送装置では、シート準備情報をそれぞれの給送制御部の記憶部で記憶できる。このため、複数の情報取得給送装置を備える従来の丁合装置では、それぞれの情報取得給送装置で個別に準備給紙動作を行ってシート準備情報を取得し、それぞれの記憶部に記憶していた。これに対して、態様1の構成を備えた本態様10では、準備処理信号を入力する一度の操作によって、複数の情報取得給送装置の準備給紙動作をまとめて行うことができるため、複数の給送装置が丁合装置の本体筐体に対してそれぞれ着脱可能な構成であっても、作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
【0085】
〔態様11〕
態様10の丁合装置において、本体筐体に対して複数の給送装置として、シート準備情報取得手段を有する情報取得給送装置と、シート準備情報取得手段を有さない標準給紙装置等の非情報取得給送装置とを装着可能であり、準備処理信号が入力されると、情報取得給送装置のみが準備給送動作を実行し、非情報取得給送装置は給送動作を実行しない制御が可能であることを特徴とするものである。
非情報取得給送装置は、シート材の給送動作を実行してもシート準備情報を取得できないため、連続丁合処理の前に給送動作を実行しても、シート材を無駄に給送することになる。これに対して、本態様11では、非情報取得給送装置は準備処理信号が入力されても給送動作を実行しないため、シート材の無駄な給送を防止できる。
【0086】
〔態様12〕
態様1乃至11の何れかに係る丁合装置において、情報取得給送装置は、前記シート準備情報取得手段で取得した前記シート準備情報を記憶する準備情報記憶部を備え、準備処理信号が入力されたときに、準備情報記憶部にシート準備情報が記憶されていない情報取得給送装置のみが準備給送動作を実行する制御が可能であることを特徴とするものである。
個別に準備給送動作を実行する等によって既にシート準備情報を取得している情報取得給送装置は、さらに準備給送動作を行う必要はなく、他の情報取得給送装置とともに準備給送動作を実行することはシート材を無駄に給送することになる。これに対して、本態様12では、準備情報記憶部にシート準備情報が記憶されている情報取得給送装置は準備処理信号が入力されても給送動作を実行しない。例えば、初期調整処理の給送動作やテスト給送を行っていない情報取得給送装置のみ準備給送動作を実行し、準備処理信号が入力される以前に、既に初期調整処理やテスト給送を行った情報取得給送装置は給送動作を実行しないように制御する。これによれば、シート材の無駄な給送を防止できる。
【0087】
上述した実施形態のように、オートサバキ給紙装置1αを装着している丁合機10では、一括調整ボタン2が押下される前に、初期調整処理を実行済みのオートサバキ給紙装置1αがある場合は、初期調整済みのオートサバキ給紙装置1αは一括調整ボタン2が押下されても給紙を行わないように制御してもよい。また、厚み検知給紙装置1βを装着している丁合機10では、一括調整ボタン2が押下される前に、テスト給紙を実行済みの厚み検知給紙装置1βがある場合は、テスト給紙済みの厚み検知給紙装置1βは一括調整ボタン2が押下されても給紙を行わないように制御してもよい。このように、個別に初期調整済みのオートサバキ給紙装置1αや、個別にテスト給紙済みの厚み検知給紙装置1βは、一括調整ボタン2が押下されても給紙を行わないように制御することで、厚さデータ(シート準備情報)を取得済みの給紙装置1から不要な給紙が行われることを防止できる。
【0088】
〔態様13〕
態様1乃至12の何れかに係る丁合装置において、二つ以上の情報取得給送装置のうち、選択された情報取得給送装置のみが、準備処理信号が入力されたときに準備給送動作を実行する制御が可能であることを特徴とするものである。
丁合装置では、連続丁合処理のときに、複数の給送装置のうちの一部の給紙装置からのみ給紙を行う場合がある。このような連続丁合処理で給紙を行わない情報取得給送装置について、連続丁合処理の前に、準備給送動作を行ってシート準備情報を取得しても無駄になる可能性がある。これに対して、本態様13では、準備処理信号が入力されたときに、予め選択された情報取得給送装置からのみ準備給送動作を実行するため、シート材の無駄な給送を防止できる。
また、本態様13における態様12を引用する態様では、例えば、次の連続丁合処理で使用する情報取得給送装置のうち、テスト給送が終わっていない情報取得給送装置のみが、準備処理信号が入力されたときに準備給送動作を実行する構成となり、シート材の無駄な給送を防止できる。
【0089】
〔態様14〕
態様1乃至13の何れかの態様に係る丁合装置において、準備処理信号が入力されたときに、二つ以上の情報取得給送装置の全てが準備給送動作を実行する制御が可能であることを特徴とするものである。
これによれば、全ての情報取得給送装置の準備給紙給送動作をまとめて行うことができ、連続丁合処理を開始するまでのユーザ等の作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
例えば、上述した実施形態のように、複数の給紙装置1としてオートサバキ給紙装置1αと厚み検知給紙装置1βとが混在している丁合機10で用紙の厚さデータ等のシート準備情報を取得している給紙装置1も、一括調整ボタン2の押下等の所定の準備処理信号の入力に応じて改めて給紙動作を行ってもよい。これにより、複数種類のオプション給紙装置が混在している丁合機10でのセットプリセットを行うことができる。
なお、本態様14の係る制御は、態様12または態様13に係る制御とは相反する制御であるが、作業者の好みや用途に応じて制御の設定を選択可能とすることで、態様12と態様13との少なくとも一方の構成と、態様14の構成とを備えた丁合装置が実現可能である。
【0090】
〔態様15〕
態様1乃至14の何れの態様に係る丁合装置において、二つ以上の情報取得給送装置の少なくとも一部は、シート準備情報取得手段として、シート材を厚み検出部材(基準ローラ62及び変位ローラ64等)で挟んで検出したシート材厚情報に基づいて重送を検知する機械式重送検知手段と、シート材に照射した超音波を受信した受信信号に基づいて重送を検知する超音波式重送検知手段と、を備えるダブル検知給紙装置等の二種重送検知給送装置であり、二種重送検知給送装置は、シート材の給送時の重送検知に用いる重送検知手段を選択可能であり、準備処理信号が入力されたときに、機械式重送検知手段が選択されている場合は準備給送動作を実行し、超音波式重送検知手段が選択されている場合は準備給送動作を実行しない制御が可能であることを特徴とするものである。
これによれば、一枚の給送で比較的精度の高いシート材厚情報を取得できる機械式重送検知手段が選択されている二種重送検知給送装置のみ、他の情報取得給送装置ともに準備給送動作を実施する制御となり、超音波式重送検知手段が選択されている場合には、テスト給紙等の他の制御によってシート材厚情報を取得することを作業者に促すことができる。
【0091】
〔態様16〕
複数の給紙装置1等の給送装置のそれぞれから給送された用紙等のシート材を重ねて丁合束を作成する丁合機10等の丁合装置に装着可能なオートサバキ給紙装置1α及び厚み検知給紙装置1β等の給送装置において、態様1乃至15の何れかに係る丁合装置に装着可能で、一括調整ボタン2が押下される等、丁合装置に準備処理信号が入力されると、準備給送動作を実行することを特徴とするものである。
本態様16の給送装置は、装着した丁合装置での連続丁合処理の前に、準備処理信号を入力する一度の操作によって、他の情報取得給送装置ともに準備給紙動作をまとめて行うことができる。これにより、連続丁合処理を開始するまでのユーザ等の作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
【0092】
〔態様17〕
複数の給紙装置1等の給送装置のそれぞれから給送された用紙等のシート材を重ねて丁合束を作成する丁合動作を連続的に行う連続丁合処理を実行する丁合機10等の丁合装置であって、複数の前記給送装置の少なくとも一部は、連続丁合処理を実行する前にシート材を給送することで、連続丁合処理の準備に用いるシート材に関する情報であるシート準備情報を取得する重送検知機構60等のシート準備情報取得手段を有するオプション給紙装置等の情報取得給送装置である丁合装置を制御する本体制御部50等の制御部に記憶される丁合装置の制御プログラムにおいて、一括調整ボタン2が押下された信号等の所定の準備処理信号が入力されると、二つ以上の情報取得給送装置がシート準備情報取得手段でシート準備情報を取得するための給送動作である準備給送動作を実行させるように制御することを特徴とするものである。
これによれば、連続丁合処理の前にシート準備情報の取得が必要な情報取得給送装置を複数備える場合に、準備処理信号を入力する一度の操作によって、複数の情報取得給送装置の準備給紙動作をまとめて行うことができ、連続丁合処理を開始するまでのユーザ等の作業者の作業時間及び操作負荷を低減し、丁合処理の生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 :給紙装置
2 :一括調整ボタン
3 :給紙制御部
4 :タブレット端末
5 :サブ操作パネル
6 :タブレット制御部
8 :外部通信部
10 :丁合装置
11 :第一リンク
12 :第二リンク
13 :第三リンク
14 :給紙トレイ
16 :メイン操作パネル
18 :給紙機構
20 :サブ操作パネル
22 :サブ搬送機構
24 :メイン搬送機構
30 :折用紙ストッパ
40 :スタッカトレイ
42 :給紙ローラ
44 :補助給紙ローラ
46 :サバキ板
50 :制御部
54 :サバキ圧調整機構
55 :収容部材
56 :タイミングセンサ
58 :ジャムセンサ
60 :重送検知機構
62 :基準ローラ
64 :変位ローラ
66 :転動ローラ
68 :搬送上ローラ
69 :変位センサ
70 :搬送下ローラ
72 :サバキベース
74 :傾斜部材
76 :リンク機構
77 :給紙モータ
78 :調整モータ
80 :回動軸
82 :球
84 :傾斜面
S1 :リミットセンサ
S2 :ホームセンサ
S3 :上限センサ