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特開2023-90597ビルダグリプチンとメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090597
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ビルダグリプチンとメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/40 20060101AFI20230622BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230622BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230622BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230622BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230622BHJP
【FI】
A61K31/40
A61P3/10
A61P43/00 121
A61K31/155
A61K9/20
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021215543
(22)【出願日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 龍之助
(72)【発明者】
【氏名】新田 美春
(72)【発明者】
【氏名】菅原 有希
(72)【発明者】
【氏名】財家 紳之介
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD22
4C076DD27H
4C076DD29H
4C076DD37
4C076DD46
4C076EE23
4C076EE23H
4C076EE32
4C076EE32H
4C076EE51
4C076FF05
4C076FF21
4C076FF63
4C076GG12
4C086AA02
4C086BC07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
4C086ZC20
4C086ZC35
4C086ZC75
4C206AA02
4C206HA31
4C206KA14
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA72
4C206NA03
4C206ZC35
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】 溶融性物質を含有し、類縁物質の増加を抑制したビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 ビルダグリプチン、溶融性物質、及びメトホルミン塩酸塩を含有してなる錠剤を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルダグリプチン、溶融性物質、及びメトホルミン塩酸塩を含有してなる錠剤。
【請求項2】
ビルダグリプチンと、少なくとも1種の溶融性物質とで形成された粒状物を含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
溶融性物質が、モノステアリン酸グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、1種または2種以上である、請求項1~2のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項4】
ビルダグリプチン、溶融性物質、及びメトホルミン塩酸塩を含有してなる錠剤の製造方法。
【請求項5】
ビルダグリプチン、及び少なくとも1種の溶融性物質を含む粒状物を調製する工程を含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
粒状物を調製する工程が溶融造粒工程である、請求項4~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
粒状物を調製する溶融造粒工程が、流動層造粒法による溶融造粒工程である、請求項4~6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
溶融性物質が、モノステアリン酸グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、1種または2種以上である、請求項4~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融性物質を含有し、類縁物質の増加を抑制したビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルダグリプチンは、化学名(2S)-1-{[(3-Hydroxytricyclo[3.3.1.13,7]dec-1-yl)amino]acetyl}pyrrolidine-2-carbonitrileであり、メトホルミン塩酸塩は、1,1-Dimethylbiguanide monohydrochlorideである。ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を有効成分とする配合錠は2型糖尿病薬であることが知られており、エクメット(登録商標)配合錠LD/HDとして販売されている(非特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、容易に造粒または錠剤に圧縮することが可能であり、流動性及び成形性を有する医薬品組成物を提供する目的として、造粒したメトホルミン顆粒を含有し、さらにビルダグリプチンを含有する医薬品に関する発明が記載されている。
【0004】
特許文献2には、湿式造粒法にて製造されたメトホルミン顆粒と、ビルダグリプチンと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する固体医薬組成物に関する発明が記載されている。
【0005】
しかしながら、溶融性物質を含有し、類縁物質の増加を抑制したビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤、及びその製造方法に関する記載はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2007/041053
【0007】
【特許文献2】国際公開2015/097234
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】添付文書「エクメット配合錠LD/HD」、2021年5月改訂(第8版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、溶融性物質を含有し、類縁物質の増加を抑制したビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、ビルダグリプチン、溶融性物質及びメトホルミン塩酸塩を含有してなる錠剤とすることで、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤の無包装安定性試験において類縁物質の増加が抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)ビルダグリプチン、溶融性物質、及びメトホルミン塩酸塩を含有してなる錠剤、
(2)ビルダグリプチンと、少なくとも1種の溶融性物質とで形成された粒状物を含む、前記(1)に記載の錠剤、
(3)溶融性物質が、モノステアリン酸グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、1種または2種以上である、前記(1)~(2)のいずれかに記載の錠剤、
(4)ビルダグリプチン、溶融性物質、及びメトホルミン塩酸塩を含有してなる錠剤の製造方法、
(5)ビルダグリプチン、及び少なくとも1種の溶融性物質を含む粒状物を調製する工程を含む、前記(4)に記載の製造方法、
(6)粒状物を調製する工程が溶融造粒工程である、前記(4)~(5)のいずれかに記載の製造方法、
(7)粒状物を調製する溶融造粒工程が、流動層造粒法による溶融造粒工程である、前記(4)~(6)のいずれかに記載の製造方法、
(8)溶融性物質が、モノステアリン酸グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、1種または2種以上である、前記(4)~(7)のいずれかに記載の製造方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溶融性物質を含有し、類縁物質の増加を抑制したビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書における「類縁物質の増加を抑制」とは、ビルダグリプチンまたはメトホルミン塩酸塩の分解等に起因する類縁物質の増大及び/又は未知物質の生成・増加を抑えることを意味する。評価方法としては、例えば、熱湿度条件下、例えば、後記実施例に記載の苛酷試験条件下等に錠剤を保管した後、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により試験を行い、総類縁物質量を算出して、試験開始時の総類縁物質量と比較する等して、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤の安定性を評価する。次に、評価基準は、例えば、熱条件下、例えば60℃に14日間保管するとき、あるいは湿度条件下、例えば25℃75%RH(相対湿度)に1ヶ月間保管するとき、あるいは熱湿度条件下、例えば50℃75%RH(相対湿度)に14日間保管するとき、総類縁物質量及び/又は類縁物質量の増加量が特定量以下として規定される。総類縁物質量としては、例えば、ある態様として0%~1.5%、ある態様として0%~1%、ある態様として0%~0.5%と規定する。増加量としては、例えば、ある態様として0%~1%、ある態様として0%~0.5%と規定する。
【0014】
以下に、本発明のビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩を含有する錠剤、及びその製造方法に関して説明する。
【0015】
本発明に用いられるビルダグリプチンは、例えば、特許第3217380号、特許第3681110号に記載された方法に従って製造され得る。また、特許第4672647号に記載された方法に従って製造することもできる。ビルダグリプチンの形態は、結晶状態、非晶質状態のいずれでも使用することができる。
【0016】
本発明に用いられるビルダグリプチンの配合量は、錠剤全量あたり、ある態様として1~15%、ある態様として3~12%、ある態様として5~10%である。用量としては、1錠剤あたり、ある態様として10~400mg、ある態様として25~200mg、ある態様として50~100mgである。
【0017】
本発明に用いられるメトホルミン塩酸塩は、例えば、特公昭39-008237に記載された方法に従って製造され得る。
【0018】
本発明に用いられるメトホルミン塩酸塩の配合量は、錠剤全量あたり、ある態様として40~98%、ある態様として50~95%、ある態様として60~90%である。用量としては、1錠剤あたり、ある態様として100~1000mg、ある態様として200~750mg、ある態様として250~500mgである。
【0019】
本発明に用いられる溶融性物質としては、製薬学的に許容され、かつ製剤化工程中に原薬と、必要に応じて医薬品添加物との間に、当該物質が結合剤として機能し、粒状物を形成し得る機能を有するものであれば特に制限されない。具体的には、例えば、モノステアリン酸グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、硬化油、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる群より選択される、1種または2種以上の物質を含む。ある態様として、モノステアリン酸グリセリンである。本発明の溶融性物質は、例えば、ビルダグリプチン原薬を含む粒状物において、結合剤として配合される。
【0020】
本発明の錠剤には、必要に応じて、医薬品添加物を配合することができる。具体的には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、流動化剤、コーティング剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、抗酸化剤等が挙げられる。
【0021】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、トレハロース、イソマルト、無水リン酸水素カルシウム、D-ソルビトール、乳糖、白糖、デンプン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン等が挙げられる。
【0022】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
【0023】
崩壊剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0024】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0025】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0026】
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、タルク等が挙げられる。
【0027】
コーティング剤としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0028】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0029】
発泡剤としては、例えば、重層等が挙げられる。
【0030】
甘味剤としては、例えば、スクラロース、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
【0031】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール等が挙げられる。
【0032】
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号等が挙げられる。
【0033】
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸又はその塩類、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン又はその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0034】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0035】
本発明の錠剤に配合される上記更なる各種医薬品添加物は、適宜組合せることができる。
【0036】
配合量は、本発明の所望の効果の達成に影響を与えない量であれば特に制限されない。
【0037】
本発明の錠剤には、口腔内崩壊錠も含まれ、素錠、フィルムコーティング錠のいずれであってもよい。ある態様として、フィルムコーティング錠である。
【0038】
本発明の錠剤は、通常の方法により製造することが可能である。具体的には、例えば、ビルダグリプチン及び溶融性物質を流動層造粒機に投入して混合し、溶融造粒することで、粒状物を得る。冷却後、整粒機を用いて整粒し、ビルダグリプチン含有整粒末が得られる。
【0039】
また、メトホルミン塩酸塩、賦形剤及び流動化剤を流動層造粒機に投入して混合し、精製水に結合剤を溶解させた結合剤溶液を噴霧し、造粒・乾燥させる。乾燥終了後、整粒機を用いて整粒し、メトホルミン含有整粒末が得られる。
【0040】
またある態様では、メトホルミン塩酸塩、賦形剤及び流動化剤を撹拌造粒機に投入して混合し、精製水に結合剤を溶解させた結合剤溶液を噴霧し、造粒・乾燥させる。乾燥終了後、整粒機を用いて整粒し、メトホルミン含有整粒末が得られる。
【0041】
得られたビルダグリプチン含有整粒末及びメトホルミン含有整粒末に、滑沢剤を添加して混合し、打錠用末を得る。
【0042】
得られた打錠用末を打錠機で製錠し、素錠を得る。製錠の際に、外部滑沢装置を用いて滑沢剤を噴霧しながら打錠してもよい。必要に応じて、素錠にフィルムコーティング液を噴霧し、フィルムコーティングを行う。乾燥後、フィルムコーティング錠が得られる。
【実施例0043】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【製造例1】
【0044】
流動層造粒乾燥機(パウレック製:FM-MP-01)を用いてメトホルミン塩酸塩500g、軽質無水ケイ酸(フロイント産業製:アドソリダー101)2.5gを混合したのち、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製:HPC-L)25gを精製水475gに溶解させた結合剤溶液を噴霧して造粒した。噴霧終了後、乾燥し、整粒機(パウレック製:QC-U5)を用いてメトホルミン含有整粒末を得た。
【製造例2】
【0045】
流動層造粒乾燥機(パウレック製:FM-MP-01)を用いてビルダグリプチン200g及びモノステアリン酸グリセリン(理研ビタミン製:リケマールS-100P)16gを混合したのち、溶融造粒した。冷却後、整粒機(パウレック製:QC-U5)を用いてビルダグリプチン含有整粒末を得た。
【製造例3】
【0046】
精製水101.5gにヒプロメロース(信越化学工業製;TC-5R)12g、ポリエチレングリコール6000(三洋化成工業製;マクロゴール6000)2.5gを溶解してフィルムコーティング液Iとした。精製水50.5gに酸化チタン(東邦チタニウム製;NA-61)1.2g、タルク(松村産業製;局方クラウンタルクPP)4.3g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成製;黄色三二酸化鉄)0.04g、三二酸化鉄(癸巳化成製;三二酸化鉄)0.01gを分散して分散液Iとした。フィルムコーティング液Iと分散液Iを混合し、フィルムコーティング液IIとした。
【実施例0047】
製造例1で得られたメトホルミン含有整粒末211.0gと、製造例2で得られたビルダグリプチン含有整粒末21.6gを混合し、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製:ステアリン酸マグネシウム(植物性))1.2gを加えて打錠末233.8gを得た。小型ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて打錠し、錠剤質量584.5mg、17.0×7.5mmの楕円形の素錠を得た。錠剤コーティング機(パウレック製:PRC-GTX mini)を用いて、得られた素錠に製剤例3のフィルムコーティング液IIを均一に噴霧することでフィルムコーティングを施し、錠剤質量604.5mgのフィルムコーティング錠を得た。
【比較例1】
【0048】
製造例1で得られたメトホルミン含有整粒末211.0gとビルダグリプチン原薬20.0gを混合し、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製:ステアリン酸マグネシウム(植物性))1.2gを加えて打錠末232.2gを得た。小型ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて打錠し、錠剤質量580.5mg、17.0×7.5mmの楕円形の素錠を得た。錠剤コーティング機(パウレック製:PRC-GTX mini)を用いて、得られた素錠に製造例3のフィルムコーティング液IIを均一に噴霧することでフィルムコーティングを施し、錠剤質量600.5mgのフィルムコーティング錠を得た。
【0049】
【表1】
【試験例】
【0050】
実施例1、比較例1及び比較例2(エクメット(登録商標)配合錠HD)を60℃条件下に14日間、50℃75%RH条件下に14日間、25℃75%RH条件下に1箇月間それぞれ保管した後、総類縁物質量を液体クロマトグラフ法により測定した。測定結果を表2~4に示す。
【0051】
純度試験(類縁物質)
本品3個をとり粉末とし、ビルダグリプチン約4mg及びメトホルミン約40mgに対応する量を精密に量り、水/アセトニトリル混液(7:3)に溶かし、正確に20mLとする。この液を遠心分離し、上澄液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、初めのろ液5mLを除き、次のろ液を試料溶液とする。別にビルダグリプチン標準物質(別途乾燥減量を測定しておく)約20mgを精密に量り、水/アセトニトリル混液(7:3)に溶かして正確に100mLとし、ビルダグリプチン溶液とする。ビルダグリプチン溶液1mLを正確に量り、水/アセトニトリル混液(7:3)を加えて正確に100mLとし、標準溶液とする。これらの液20μLを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行う。それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定する。
【0052】
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。(GLサイエンス製InertSustain C18 内径4.6mm長さ250mm、粒径5μm)
カラム温度:45℃付近の一定温度
移動相A:リン酸二水素ナトリウム二水和物1.5gを水1000mLに溶かし、水酸化ナトリウム試液を加えてpH7.0に調整する。
移動相B:移動相A700mLにアセトニトリル300mLを加える。
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
表2~4に示す通り、実施例1は、比較例1及び比較例2と比べて総類縁物質量の増加量が小さかった。
したがって、本発明の錠剤は、類縁物質量の増加を顕著に抑制することが確認された。