(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090616
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】分光装置、生体情報推定装置及び電子装置
(51)【国際特許分類】
G01J 3/06 20060101AFI20230622BHJP
G01J 3/18 20060101ALI20230622BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20230622BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
G01J3/06
G01J3/18
G01J3/26
G01J3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112963
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0181895
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
3.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】南 聖 ▲げん▼
(72)【発明者】
【氏名】李 右 昶
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020CA02
2G020CA04
2G020CC02
2G020CC13
2G020CC23
2G020CC45
2G020CC46
2G020CC56
2G020CC63
2G020CC65
2G020CD24
(57)【要約】
【課題】分光装置、生体情報推定装置及び電子装置を提供する。
【解決手段】一実施形態による分光装置は、光を分光する分散要素;分光された光を受信する複数のピクセルを含むディテクター;交互に形成された複数の透光部と遮光部とを含み、分散要素とディテクターとの間の光の光学経路に配される光学マスク;及び光学マスクの位置またはディテクターの位置を制御して、光学マスク上の複数の透光部を通じて入射された光を受信する複数のピクセルのそれぞれの光入射領域を変更する駆動部;を含みうる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を分光する分散要素と、
分光された光を受信する複数のピクセルを含むディテクターと、
交互に形成された複数の透光部と遮光部とを含み、前記分散要素と前記ディテクターとの間の光の光学経路に配される光学マスクと、
前記光学マスクの位置または前記ディテクターの位置を制御して、前記光学マスク上の前記複数の透光部を通じて入射された光を受信する複数のピクセルのそれぞれの光入射領域を変更する駆動部と、
を含む、分光装置。
【請求項2】
前記分散要素は、
回折格子、または線形可変フィルターである、請求項1に記載の分光装置。
【請求項3】
前記駆動部は、
ボイスコイル、マグネット、及びホールセンサーのうち少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の分光装置。
【請求項4】
前記駆動部は、
前記光学マスクの両側に配されて、前記光学マスクの位置を制御する、請求項1または2に記載の分光装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記光学マスクの位置を制御し、
前記光学マスクは、
前記光の光学経路に沿って前記分散要素と前記ディテクターとの間に配される、請求項1または2に記載の分光装置。
【請求項6】
前記複数の透光部と複数の遮光部は、透光部と遮光部との複数の対を含み、
前記複数の対のそれぞれは、複数のディテクターピクセルのそれぞれと一対一対応するように配列される、請求項5に記載の分光装置。
【請求項7】
前記透光部の幅と遮光部の幅との比率は、既定の整数である、請求項6に記載の分光装置。
【請求項8】
前記駆動部は、
前記透光部の幅と遮光部の幅との比率に基づいて、前記光学マスクの位置を順次に制御して、前記ディテクターの各ピクセルでの光入射領域を順次に変更する、請求項7に記載の分光装置。
【請求項9】
前記ディテクターは、
前記複数のピクセルが一列に配されるか、または面積センサーである、請求項1または2に記載の分光装置。
【請求項10】
前記駆動部は、
前記ディテクターの両側に配されてディテクターの位置を変更する、請求項1または2に記載の分光装置。
【請求項11】
前記駆動部は、前記ディテクターの位置を制御し、
前記光学マスクは、
前記分散要素と前記ディテクターと前記駆動部との間に配される、請求項1または2に記載の分光装置。
【請求項12】
前記複数の透光部と複数の遮光部は、透光部と遮光部との複数の対を含み、
前記複数の対のそれぞれは、前記ディテクターの複数のピクセルのそれぞれと一対一対応するように配列される、請求項11に記載の分光装置。
【請求項13】
前記透光部の幅と遮光部の幅との比率は、
既定の整数である、請求項12に記載の分光装置。
【請求項14】
前記駆動部は、
前記透光部の幅と遮光部の幅との比率に基づいて、前記ディテクターの位置を順次に制御して、前記ディテクターの各ピクセルでの光入射領域を順次に変更する、請求項13に記載の分光装置。
【請求項15】
光を照射する光源と、
前記光を分光する分散要素と、
分光された光を受信する複数のピクセルを含むディテクターと、
交互に形成された複数の透光部と複数の遮光部とを含み、前記分散要素と前記ディテクターとの間の前記光の光学経路に配される光学マスクと、
前記光学マスクの位置または前記ディテクターの位置を制御して、前記透光部を通じて入射された光を受信するための光入射領域を変更する駆動部と、
前記ディテクターの光の受信結果に基づいてユーザの生体情報を推定するプロセッサと、
を含む、生体情報推定装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記光学マスクの位置制御によって、前記複数のピクセルのそれぞれの入射領域に入射された光に基づいてスペクトルデータを生成する、請求項15に記載の生体情報推定装置。
【請求項17】
前記複数の透光部と前記複数の遮光部は、透光部及び遮光部の複数の対を含み、
前記透光部と遮光部との一対は、
前記ディテクターの各ピクセルに一対一対応するように配列される、請求項15に記載の生体情報推定装置。
【請求項18】
前記透光部の幅と前記遮光部の幅との比率は、
既定の整数である、請求項17に記載の生体情報推定装置。
【請求項19】
前記駆動部は、
前記透光部の幅と前記遮光部の幅との比率に基づいて、前記光学マスクの位置を順次に制御して、前記ディテクターの各ピクセルでの光入射領域を順次に変更する、請求項18に記載の生体情報推定装置。
【請求項20】
光を照射する光源と、
前記光源と光ディテクターとの間に提供されて、前記光を複数の波長に分散する分散要素と、
前記光源から照射された光を検出する少なくとも1つのピクセルを含む光ディテクターと、
前記光源と前記光ディテクターとの間に前記光の光学経路に沿って提供され、透光部と遮光部とを含む光学マスクと、
前記少なくとも1つのピクセルの一領域が、前記光学マスクの透光部に整列され、前記少なくとも1つのピクセルの他の領域が、前記光学マスクの遮光部に整列されるように、前記光ディテクターに対する前記光学マスクの相対的な位置を調節する駆動部と、
を含む、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質が放出または吸収する光のスペクトルを測定する分光技術に関する。
【背景技術】
【0002】
分光装置(spectrometer)は、物質が放出または吸収する光のスペクトルを測定して、物質の定性分析、定量分析、状態分析に使われる。このような分光装置によれば、生体から非侵襲的に血糖、コレステロールなどと関連した生体信号を測定することができる。分光装置がウェアラブル機器、モバイル機器などに装着されるならば、非侵襲的に多様な生体信号を測定して、モバイルヘルスケア分野に活用されうる。このために、分光装置の小型化が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、分光装置、生体情報推定装置及び方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様による分光装置は、光を分光する分散要素;分光された光を受信する複数のピクセルを含むディテクター;交互に形成された複数の透光部と遮光部とを含み、前記分散要素とディテクターとの間の光の光学経路に配される光学マスク;及び光学マスクの位置または前記ディテクターの位置を制御して、光学マスク上の複数の透光部を通じて入射された光を受信する複数のピクセルのそれぞれの光入射領域を変更する駆動部;を含みうる。
【0006】
分散要素は、回折格子(diffraction grating)、または線形可変フィルター(linear variable filter)である。
【0007】
駆動部は、ボイスコイル(voice coil)、マグネット(magnet)、及びホールセンサー(hall sensor)のうち少なくとも1つを含みうる。
【0008】
駆動部は、光学マスクの両側(2つの対向面)に配されて、光学マスクの位置を制御することができる。
【0009】
駆動部は、光学マスクの位置を制御することができ、光学マスクは、光の光学経路に沿って分散要素とディテクターとの間に配置される。
【0010】
複数の透光部と複数の遮光部は、透光部と遮光部との複数の対を含み、複数の対のそれぞれは、複数のディテクターピクセルのそれぞれと一対一対応するように配列される。
【0011】
透光部の幅と遮光部の幅との比率は、既定の整数(integer)である。
【0012】
駆動部は、透光部の幅と遮光部の幅との比率に基づいて、光学マスクの位置を順次に制御して、ディテクターの各ピクセルでの光入射領域を順次に変更することができる。
【0013】
ディテクターは、複数のピクセルが一列に配され(line array)るか、または面積センサー(area sensor)である。
【0014】
駆動部は、ディテクターの両側(2つの対向面)に配されてディテクターの位置を変更することができる。
【0015】
駆動部は、前記ディテクターの位置を制御することができ、光学マスクは、分散要素と前記ディテクターと前記駆動部との間に配置される。
【0016】
複数の透光部と複数の遮光部は、透光部と遮光部との複数の対を含み、複数の対のそれぞれは、前記ディテクターの複数のピクセルのそれぞれと一対一対応するように配列される。
【0017】
透光部の幅と遮光部の幅との比率は、既定の整数である。
【0018】
駆動部は、透光部の幅と遮光部の幅との比率に基づいて、ディテクターの位置を順次に制御して、ディテクターの各ピクセルでの光入射領域を順次に変更することができる。
【0019】
一態様による生体情報推定装置は、光を照射する光源;光を分光する分散要素;分光された光を受信する複数のピクセルを含むディテクター;交互に形成された複数の透光部と複数の遮光部とを含み、前記分散要素と前記ディテクターとの間の前記光の光学経路に配される光学マスク;及び光学マスクの位置または前記ディテクターの位置を制御して、透光部を通じて入射された光を受信するための光入射領域を変更する駆動部;及びディテクターの光の受信結果に基づいてユーザの生体情報を推定するプロセッサ;を含みうる。
【0020】
プロセッサは、光学マスクの位置制御によって、前記複数のピクセルのそれぞれの入射領域に入射された光に基づいてスペクトルデータを生成することができる。
【0021】
複数の透光部と複数の遮光部は、透光部及び遮光部の複数の対を含み、透光部と遮光部との一対は、ディテクターの各ピクセルに一対一対応するように配列される。
【0022】
透光部の幅と遮光部の幅との比率は、既定の整数である。
【0023】
駆動部は、前記透光部の幅と前記遮光部の幅との比率に基づいて、前記光学マスクの位置を順次に制御して、前記ディテクターの各ピクセルでの光入射領域を順次に変更することができる。
【0024】
一態様によれば、電子装置は、光を照射する光源;光源と光ディテクターとの間に提供されて、前記光を複数の波長に分散する分散要素;光源から照射された光を検出する少なくとも1つのピクセルを含む光ディテクター;光源と光ディテクターとの間に前記光の光学経路に沿って提供され、透光部と遮光部とを含む光学マスク;及び少なくとも1つのピクセルの一領域が、前記光学マスクの透光部に整列され、少なくとも1つのピクセルの他の領域が、前記光学マスクの遮光部に整列されるように、前記光ディテクターに対する前記光学マスクの相対的な位置を調節する駆動部;を含みうる。
【発明の効果】
【0025】
ディテクターの各ピクセルのあらゆる領域が光を受信するものではなく、各ピクセルの有効ピクセル領域のみ光を受信することにより、ディテクターの物理的なピクセル個数を増加させずとも、波長解像度を向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態による分光装置を示した図面である。
【
図2A】光学マスク、ディテクター、第1駆動部の配置形態を示した図面である。
【
図2B】一実施形態による第1駆動部を示した図面である。
【
図3A】一実施形態による光学マスクとディテクターとを示した図面である。
【
図3B】他の実施形態による光学マスクとディテクターとを示した図面である。
【
図4】第1駆動部が光学マスクの位置を順次に制御する過程を説明する図面である。
【
図5】線形可変フィルターを含む分光装置を示した図面である。
【
図6】他の実施形態による分光装置を示した図面である。
【
図7A】一実施形態による生体情報推定装置のブロック図である。
【
図7B】他の実施形態による生体情報推定装置のブロック図である。
【
図8】一実施形態による生体情報推定方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。記載の技術の利点及び特徴、そして、それらを果たす方法は、図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると、明確になる。明細書の全般に亘って同じ参照符号は、同じ構成要素を称する。
【0028】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素の説明に使われるが、構成要素は、用語によって限定されるものではない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。単数の表現は、文脈上、取り立てて明示しない限り、複数の表現を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」ことができるとする時、これは、特に取り立てて言及しない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。また、明細書に記載の「...部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアとして具現されるか、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで具現可能である。
【0029】
図1は、一実施形態による分光装置を図示したものである。
図1を参照すれば、分光装置100は、光源から照射された光を通過するように許容するスリット101、前記スリット101を通過した光を反射させるミラー102、光学マスク110、前記光学マスク110の位置を制御する第1駆動部120、前記光学マスク110を通過した光を検出するディテクター130、及び前記光が前記光学マスク110と前記ディテクター130とに移動するように、前記ミラー102から入射された光の方向を変更する分散要素140aを含みうる。たとえ、
図1は、光源が分光器100と別途に提供されるものを図示しているにしても、分光器100は、光源を含みうる。
【0030】
分散要素140aは、入射光を分光させるか、入射光を複数の色成分または多様な波長に分離することができる。例えば、分散要素140aは、スリット101を通過し、ミラー102によって反射した入射光を分光させることができる。この際、入射光は、750~2000nmの波長を有する近赤外線スペクトル波長帯域の光である。
【0031】
分散要素140aは、回折格子、線形可変フィルター、プリズムなどを含みうる。回折格子は、光の回折及び干渉現象を用いて光のスペクトルを波長によって分離する素子であり、入射光の成分を波長の順次に配列することができる。
【0032】
一例として、
図1に示したように、分散要素140aは、入射光を分光させながら反射させる反射型回折格子である。反射型回折格子は、反射平面に多数の溝が平行に等間隔で刻まれた形態からなることにより、各溝での回折光どうしの干渉でスペクトルが得られる。したがって、反射型回折格子は、入射光を波長によって他の角度に分解してミラー102、またはディテクター130の方向に反射させることができる。
【0033】
他の例として、分散要素は、コリメーティングレンズによってコリメーティングされた入射光を分光させながら透過させる透過型回折格子でもある。
【0034】
さらに他の例として、分散要素は、コリメーティングレンズによってコリメーティングされた入射光を波長によって他の角度に分解して配列するプリズムである。プリズムは、光を屈折させることができる光学的平面を2個以上有した透明体であって、少なくとも一対の面が平行ではない形状からなる。プリズムは、デルタ形状からなりうるが、これに限定されるものではない。光をプリズムに通過させれば、波長による屈折率が異なって分散が行われるので、スペクトルが得られうる。
【0035】
ディテクター130は、分散要素140aによって波長帯別に分光された光を受信して電気的信号に変換することができる。
【0036】
ディテクター130は、複数のピクセルを含みうる。この際、複数のピクセルは、一列に配されるか、または面積センサーの形態である。但し、これに制限されるものではない。ディテクター130の各ピクセルは、フォトダイオード(photo diode)、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-OxideSemiconductor)などの何れか1つの素子として具現可能であるが、これに制限されるものではない。
【0037】
光学マスク110は、ディテクター130の一面に配され、第1駆動部120は、光学マスク110の位置を制御することができる。光学マスク110は、光の透過を完全または部分的に遮断することができる。光学マスク110は、通過帯域の外部の波長を有する光の透過を遮断することができる。
【0038】
光学マスク110、第1駆動部120、及びディテクター130の配置形態を、
図2Aを通じて詳細に説明する。
図2Aは、光学マスク、ディテクター、第1駆動部120の配置形態を図示したものである。
【0039】
図2Aを参照すれば、光学マスク110は、ディテクター130の一面のうち、上部に配置される。この際、ディテクター130の上部は、
図2Aに示したように、分散要素によって分光された光が入射される面を意味する。
【0040】
図2Aには、ディテクター130の各ピクセルが一列に配されたと示されているが、前述したように、、各ピクセルは、面積センサーの形態でもある。以下、説明の便宜のために、ディテクター130の各ピクセルが一列に配された場合を例として説明する。
【0041】
図2Aには、第1駆動部120が光学マスク110の両側に2個配されたと示されているが、これに制限されるものではない。例えば、第1駆動部120は、光学マスク110を取り囲む同心円上で光学マスク110に隣接するように3個、または4個配されてもよい。または、第1駆動部120は、光学マスク110の一面に1個配されてもよい。
【0042】
第1駆動部120が含みうる詳細構成を、
図2Bを通じて説明する。
【0043】
図2Bは、一実施形態による第1駆動部120を図示したものである。
【0044】
図2Bを参照すれば、第1駆動部120は、ボイスコイル123、マグネット124、ホールセンサー125、支持部121、及び光学マスク接触部122を含みうる。この際、
図2Bに示したように、ボイスコイル123、マグネット124、及びホールセンサー125は、支持部121と光学マスク接触部122との間に配置される。
【0045】
図2Bには、ボイスコイル123、マグネット124、及びホールセンサー125が光学マスク110の両側(2つの対向する面)にそれぞれ配されたと示されているが、前述したように、これに制限されず、第1駆動部は、光学マスク110の一面に1個配されるか、光学マスク110と隣接するように3個以上配されてもよい。
【0046】
第1駆動部120は、ボイスコイル123、マグネット124、及びホールセンサー125などによる電磁力(electromagnetic force)に基づいて光学マスク110の位置を制御することができる。例えば、磁場を発生させるマグネット124は、電流が供給されるボイスコイル123と互いに対向するように配され、この際、第1駆動部120は、磁場と電流とに垂直に発生するローレンツ力(Lorentz force)に基づいて光学マスク110の位置を制御することができる。
【0047】
図2Bに図示されていないが、第1駆動部120は、電位差が加えられれば、逆圧電効果(inverse piezoelectric effect)によって機械的な変位を発生させる圧電アクチュエータ(図示せず)などをさらに含みうる。
【0048】
再び
図1を参照すれば、光学マスク110は、複数の透光部と複数の不透光部とが交互に形成されうる。用語「不透光部」は、遮光部を意味する。
【0049】
透光部は、分散要素によって分光された光がディテクター130の方向に通過することができる部分、不透光部は、通過することができない部分を意味する。この際、透光部は、光が透過されるように透明材質のカバー、例えば、ガラス、プラスチックなどで密閉される。
【0050】
透光部と不透光部との一対は、ディテクター130の各ピクセルに対応するように形成されうる。この際、透光部と不透光部は、相互間に所定整数のサイズ比率で形成されうる。光学マスク110の形態を、
図3A、及び
図3Bを通じて説明する。
【0051】
図3Aは、一実施形態による光学マスクとディテクターとを図示したものである。
【0052】
図3Aを参照すれば、光学マスク110aは、透光部(図中の白色の部分)と不透光部(図中の黒色の部分)との対の個数がN個であると示されており、ディテクター130のピクセルの個数も、N個であると示されている。
【0053】
図3Aには、光学マスク110aの透光部と不透光部との最初の対(M
1)は、ディテクター130の最初のピクセル(P
1)と対応し、光学マスク110aの透光部と不透光部とのk番目の対(M
k)は、ディテクター130のK番目のピクセル(P
K)と対応し、光学マスク110aの透光部と不透光部との最後のN番目の対(M
N)は、ディテクター130の最後のN番目のピクセル(P
N)と対応すると示されている。
【0054】
図3Aには、各透光部と不透光部との幅は、いずれも同様にd
1であると示されている。すなわち、
図3Aは、各透光部と不透光部とが1対1のサイズ比率で形成された場合を図示したものである。
【0055】
図3Bは、他の実施形態による光学マスクとディテクターとを図示したものである。
【0056】
図3Bを参照すれば、光学マスク110bは、透光部(図中の白色の部分)と不透光部(図中の黒色の部分)との対の個数がN個であると示されており、ディテクター130のピクセルの個数も、N個であると示されている。
【0057】
光学マスク110aの透光部と不透光部との最初の対(M1)は、ディテクター130の最初のピクセル(P1)と対応し、光学マスク110aの透光部と不透光部との最後のN番目の対(MN)は、ディテクター130の最後のN番目のピクセル(PN)と対応すると示されている。
【0058】
図3Bには、各透光部の幅は、d
2であると示されており、不透光部の幅は、2d
2であると示されている。すなわち、
図3Bは、各透光部と不透光部とが1対2のサイズ比率で形成された場合を図示したものである。但し、透光部と不透光部とのサイズ比率は、これに制限されず、1対3、1対4など自由に変形されうる。
【0059】
図3Aと
図3Bには、透光部と不透光部とが光学マスク110a、110bの縦の長さ面を基準に交互に形成された場合が示されているが、これに制限されず、透光部と不透光部とが光学マスク110a、110bの横の長さ面を基準に交互に形成されうる。
【0060】
図3Aと
図3Bには、透光部と不透光部との対の個数と、ディテクター130のピクセルの個数が同じであると示されているが、これに制限されず、何れか1つの個数が、他の1つの個数よりもさらに多いか、少ないこともある。
【0061】
再び
図1を参照すれば、第1駆動部120は、光学マスク110の位置を制御して、各ピクセルで光学マスク110の透光部を通じて入射された光を受信する有効ピクセル領域を変更することができる。第1駆動部120が、有効ピクセル領域を変更する過程を、
図4を通じて説明する。
【0062】
図4は、第1駆動部120が光学マスクの位置を順次に制御する過程を説明する図面である。
【0063】
図4には、第1駆動部120がt1時点に制御した光学マスク110の位置と、t2時点に制御した光学マスク110の位置と、が示されている。
図4は、
図3Aのように、光学マスク110の透光部と不透光部とが1対1のサイズ比率で形成された場合を例示したものである。
【0064】
図4のディテクター130のK番目のピクセルであるP
Kを例として説明すれば、第1駆動部120がt1時点に制御した光学マスク110の位置では、P
K1が透光部に対応するので、P
K1が有効ピクセル領域になり、第1駆動部120がt2時点に制御した光学マスク110の位置では、P
K2が透光部に対応するので、P
K2が有効ピクセル領域になる。用語「有効ピクセル領域」は、ピクセルの光入射領域を意味する。
【0065】
すなわち、
図4に示したように、第1駆動部120は、光学マスク110の透光部と不透光部とが1対1のサイズ比率で形成された場合には、光学マスク110の位置を初期位置、変更された位置に2回制御することができる。この際、もし、
図4に示したところと異なって、透光部と不透光部とが1対1のサイズ比率ではない、例えば、
図3Bのように、1対2のサイズ比率で形成された場合には、第1駆動部120は光学マスク110の位置を3回制御することができる。
【0066】
このように、ディテクター130の各ピクセルのあらゆる領域が光を受信するものではなく、各ピクセルの有効ピクセル領域のみ光を受信することにより、ディテクター130の物理的なピクセル個数を増加させずとも、波長解像度を向上させうる。すなわち、分散される波長帯域の一部のみ各ピクセルの有効ピクセル領域に伝達され、それにより、各ピクセルの有効ピクセル領域に伝達される波長帯域(wavelength band)幅が減少し、これを通じて分光装置の解像度を向上させうる。この際、透光部と不透光部とのサイズ比率の差が大きくなるほど(例:1対3、1対4、1対5など)、各ピクセルの有効ピクセル領域に伝達される波長帯域幅がさらに減少し、それにより、分光装置の解像度はさらに向上する。
【0067】
図5は、線形可変フィルターを含む分光装置を図示したものである。光学マスク110、第1駆動部120、及びディテクター130は、
図1ないし
図3を通じて詳細に説明したので、ここでは省略する。
【0068】
図5を参照すれば、分光装置500は、分散要素として
図1での回折格子140aの代わりに、線形可変フィルター140bを含みうる。
【0069】
線形可変フィルター140bは、厚さが長手方向に変わるフィルターを意味する。線形可変フィルター140bは、一種のファブリペロー共振器構造の光学フィルターであって、長手方向に誘電体共振層の厚さが線形的に可変される構造からなりうる。線形可変フィルター140bには、誘電体共振層を挟んで下部鏡層と上部鏡層とがそれぞれ位置される。
【0070】
線形可変フィルター140bは、光が入射される位置によって透過波長帯域が異なつて分散が行われるので、スペクトルが得られ得る。
【0071】
図6は、他の実施形態による分光装置を図示したものである。
図6を参照すれば、分光装置600は、光学マスク110、光学マスク支持部610、ディテクター130、及び第2駆動部620を含みうる。
【0072】
図1ないし
図5で前述したように、光学マスク110は、複数の透光部と不透光部とが交互に形成され、ディテクター130の一面に配され、ディテクター130は、分光された光を受信する複数のピクセルを含みうる。
図6において、光学マスク110に入射される光は、回折格子、線形可変フィルターなどの分散要素140によって分光された光を意味する。
【0073】
光学マスク110は、ディテクター130と第2駆動部620との上部に配置される。
【0074】
光学マスク支持部610は、光学マスク110の一側に配されて、光学マスク110の位置を固定することができる。
図6には、光学マスク支持部610が光学マスク110の両側にそれぞれ1つずつ配されたと示されているが、光学マスク支持部610の個数、及び位置は、これに制限されるものではない。
【0075】
第2駆動部620は、ディテクター130の一側に配置される。
図6には、第2駆動部620がディテクター130の両側(2つの対向する面)に2個配されたと示されているが、これに制限されるものではない。例えば、第2駆動部620は、ディテクター130を取り囲む同心円上でディテクター130に隣接するように3個、または4個配されてもよい。または、第2駆動部620は、ディテクター130の一側に1個配されてもよい。
【0076】
第2駆動部620は、
図2Bで前述した第1駆動部120と同様に、ボイスコイル、マグネット、ホールセンサーなどを用いてディテクター130の位置を制御することができる。但し、これに制限されるものではない。
【0077】
第2駆動部620は、ディテクター130の位置を制御して、各ピクセルで光学マスク110の透光部を通じて入射された光を受信する有効ピクセル領域を変更することができる。すなわち、
図4において、第1駆動部120が光学マスク110の位置を制御したものと類似した原理であって、第2駆動部620は、透光部と不透光部とのサイズ比率によってディテクター130の位置を順次に制御して、ディテクター130の各ピクセルでの有効ピクセル領域を順次に変更することができる。
【0078】
図7Aは、一実施形態による生体情報推定装置のブロック図である。
図7Aを参照すれば、生体情報推定装置700aは、光源710、分光装置720、及びプロセッサ730を含みうる。生体情報は、血糖、中性脂肪、コレステロール、カロリー、タンパク質及び尿酸などを含みうるが、これに制限されるものではない。
【0079】
光源710は、発光ダイオード(light emitting diode、LED)、レーザダイオード(laser diode、LD)または蛍光体などを含みうるが、これに制限されるものではない。この際、光源710が照射する光は、750~2000nmの波長を有する近赤外線スペクトル波長帯域の光であるが、これに制限されるものではなく、ラマンスペクトル波長帯域の光、中赤外線スペクトル波長帯域の光など自由に変形されうる。
【0080】
光源710は、プロセッサ730の制御信号によって被検体(OBJ)に光を照射することができ、光源710から照射された光は、少なくとも1つの光学要素によって被検体(OBJ)の必要な位置に向かう。
【0081】
分光装置720は、光源710から照射され、被検体によって散乱、または反射した光を分光して受信することができ、光学マスク110、第1駆動部120、ディテクター130、及び分散要素140を含みうる。分光装置720は、
図6に示された第2駆動部620をさらに含みうる。この際、分光装置720は、
図1、及び
図5の分光装置100、500のうち何れか1つを意味する。但し、
図7Aに示したところと異なって、分光装置720は、
図6の分光装置600を意味することもある。
【0082】
プロセッサ730は、光源710、及び分光装置720と電気的に連結される。
【0083】
プロセッサ730は、分光装置720の光の受信結果に基づいて生体情報を推定することができる。例えば、ディテクター130が分散要素140によって波長帯別に分光された光を受信し、電気的信号に変換すれば、プロセッサ730は、これを受信して、ユーザの生体情報を推定することができる。
【0084】
プロセッサ730は、有効ピクセル領域の変更によって獲得される各スペクトルデータを合成して、最終スペクトルデータを生成することができる。
図4を例として説明すれば、プロセッサ730は、t1時点で各ピクセルの第1有効ピクセル領域(例:P
K1)から検出された光量に基づいて第1スペクトルデータを獲得し、t2時点で各ピクセルの第2有効ピクセル領域(例:P
K2)から検出された光量に基づいて第2スペクトルデータを獲得し、該獲得された第1スペクトルデータと第2スペクトルデータとを合成して、最終スペクトルデータを生成することができる。
【0085】
プロセッサ730は、生成された最終スペクトルデータと既定の生体情報推定モデルなどを用いてユーザの生体情報を推定することができる。
【0086】
図7Bは、他の実施形態による生体情報推定装置のブロック図である。生体情報推定装置700bは、
図7Aで前述した生体情報推定装置700aの以外に保存部740、出力部750、及び通信部760をさらに含みうる。以下、重複説明を避けるために、保存部740、出力部750、及び通信部760を中心に説明する。
【0087】
保存部740は、プロセッサ730の処理結果を保存することができる。また、保存部740は、生体情報推定に必要な多様な基準情報を保存することができる。例えば、基準情報は、ユーザの年齢、性別、健康状態のようなユーザ特性情報を含みうる。また、基準情報は、生体情報推定モデル、生体情報推定基準、キャリブレーション周期などを含みうる。但し、これに制限されるものではない。
【0088】
この際、保存部740は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、SDまたはXDメモリなど)、RAM(Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、磁気メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどの記録媒体を含み、これに制限されるものではない。
【0089】
出力部750は、プロセッサ730の制御によって各種の情報を出力する。この際、出力部750は、プロセッサ730から推定された生体情報やそれと関連した健康状態情報、警告やアラーム情報などを表示することができ、多様な視覚的表示方法でユーザに表示することができる。
【0090】
出力部750は、タッチ入力が可能なタッチモジュールを含んで構成され、この場合、ユーザインターフェース(user interface)を出力することができ、ユーザインターフェースを通じてユーザから入力される命令を受信し、該受信された命令をプロセッサ730に伝達することができる。生体情報推定装置700bは、ユーザの制御命令を受信してプロセッサ730に伝達するための別途の操作部を含みうる。操作部は、生体情報推定装置700bの電源をオン/オフさせる命令を入力するための電源ボタンなどを含みうる。
【0091】
通信部760は、プロセッサ730の制御信号によって通信技術を活用して通信網に接続し、同一通信網に接続されている外部装置と連結して必要なデータを送受信することができる。プロセッサ730は、通信部760を制御して外部装置と連結し、該連結された外部装置と協業を通じて多様な動作を処理することができる。この際、プロセッサ730は、連携された外部装置が搭載している生体情報推定機能の程度によって必要な情報を外部装置に提供することができる。
【0092】
通信技術は、ブルートゥース(bluetooth)通信、BLE(Bluetooth Low Energy)通信、近距離無線通信(Near Field Communication unit)、WLAN(Wi-Fi)通信、ジグビー(Zigbee)通信、赤外線(IrDA、infrared Data Association)通信、WFD(Wi-Fi Direct)通信、UWB(ultra wide band)通信、Ant+通信、WI-FI通信、3G、4G及び5G通信技術になり、これに限定されるものではない。
【0093】
例えば、通信部760は、外部装置と通信連結して、生成された最終スペクトルデータなどの情報を外部装置に伝送しうる。また、通信部760は、外部装置から生体情報推定装置のキャリブレーション(calibration)のための基準情報、例えば、基準血糖値などを受信してプロセッサ730に伝達することができる。
【0094】
図8は、一実施形態による生体情報推定方法のフローチャートである。
図8は、
図1、及び
図5の分光装置100、500によって行われる一実施形態である。前述したので、以下、重複説明を避けるために簡略に説明する。
【0095】
まず、光学マスクの位置を制御することができる(810)。この際、第1駆動部120を通じて光学マスクを初期位置で制御することができる。
【0096】
次に、光を照射することができる(820)。
【0097】
次に、各ピクセルの有効ピクセル領域が分光された光を受信することができる(830)。この際、各ピクセルの有効ピクセル領域は、分散要素によって分光されるが、前記光学マスクの透光部を通過した光を検出することができる。分散要素は、回折格子、線形可変フィルター、プリズムなどを含みうる。光は、光学マスクの不透光部によって有効ピクセル領域以外の残りのピクセルには到達しない。
【0098】
次に、光学マスクの位置を制御して、各ピクセルの有効ピクセル部を変更することができる(840)。この際、第1駆動部120は、ボイスコイル、マグネット、及びホールセンサーなどを用いて光学マスクの位置を制御することができる。
【0099】
次に、各ピクセルの変更された有効ピクセル部が分光された光を受信することができる(850)。
【0100】
次に、追加的な光学マスクの位置制御が必要であるか否かを判断することができる(860)。この際、光学マスクの透光部と不透光部とのサイズ比率に基づいて追加的な光学マスクの位置制御が必要であるか否かを判断することができる。例えば、透光部と不透光部とが1対1のサイズ比率で形成された場合には、段階(860)で追加的な光学マスクの位置制御が不要であると判断することができ、透光部と不透光部とが1対2のサイズ比率で形成された場合には、段階(860)で追加的な光学マスクの位置制御が必要であると判断することができる。但し、これに制限されるものではない。
【0101】
判断の結果、追加的な光学マスクの位置制御が不要である場合、光学マスクの位置によって獲得された各スペクトルデータを合成して、最終スペクトルデータを生成することができる(870)。
【0102】
次に、生成されたスペクトルデータに基づいてユーザの生体情報を推定することができる(880)。
【0103】
一方、本実施形態は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取れるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。
【0104】
コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記録装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)の形態で具現するものを含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式によりコンピュータで読み取り可能なコードとして保存されて実行可能である。そして、本実施形態を具現するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属す技術分野のプログラマーによって容易に推論されうる。
【0105】
当業者ならば、開示された技術的思想や必須的な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるであろう。したがって、前述した実施形態は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないということを理解せねばならない。