IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チタン テクノロジー リミテッド, ベイジンの特許一覧

<>
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図1
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図2
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図3
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図4
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図5
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図6
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図7
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図8
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図9
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図10
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図11A
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図11B
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図12
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図13
  • 特開-Pif1様ヘリカーゼ及びその使用 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090618
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】Pif1様ヘリカーゼ及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/55 20060101AFI20230622BHJP
   C12N 9/14 20060101ALI20230622BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230622BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230622BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230622BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230622BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230622BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230622BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
C12N15/55 ZNA
C12N9/14
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12Q1/6869 Z
C12M1/34 E
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131279
(22)【出願日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】202111546554.8
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522332250
【氏名又は名称】チタン テクノロジー リミテッド, ベイジン
【氏名又は名称原語表記】QITAN TECHNOLOGY LTD., BEIJING
【住所又は居所原語表記】Room 301, Floor 3, Building A5, Northern Territory, Zhongguancun Dongsheng Science Park, No.66 Xi Xiaokou Road, Haidian District, Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジョウガン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ムーヤン
(72)【発明者】
【氏名】ズオ ユアン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ウェイリー
(72)【発明者】
【氏名】グオ チァンチァン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B050
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB16
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB06
4B029GB10
4B050CC04
4B050DD01
4B050EE10
4B050FF01
4B050FF09E
4B050LL03
4B063QA13
4B063QQ30
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ62
4B063QR10
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR42
4B063QS05
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX05
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA31
4B065CA46
4B065CA60
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、Pif1様ヘリカーゼ及びその使用を提供することである。
【解決手段】具体的に、修飾されたPif1様ヘリカーゼ、Pif1様ヘリカーゼを含む構造体、及び標的ポリヌクレオチドの特徴づけ又はポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動に対する制御におけるその使用を提供する。本発明は、さらに、標的ポリヌクレオチドを特徴づける方法、又はポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動を制御する方法を提供する。本発明に係るPif1様ヘリカーゼは、ポアを通過するポリヌクレオチドの移動を効果的制御することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pif1様ヘリカーゼであって、
Pif1様ヘリカーゼのタワードメイン、ピンドメイン及び/又は1Aドメインへ導入された少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸を含み、
(A)少なくとも一つ又は複数の天然アミノ酸の置換又は欠失であって、置換又は欠失された天然アミノ酸が、配列番号6のC308及び/又はC419に対応するアミノ酸を含む、少なくとも一つ又は複数の天然アミノ酸の置換又は欠失、及び/又は、
(B)一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換であって、置換されたアミノ酸が、配列番号6のH87及び/又はV422及び/又はI282に対応するアミノ酸を含む、一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換、
をさらに含み、
前記Pif1様ヘリカーゼは、ポリヌクレオチドの移動を制御する能力を保持している、
ことを特徴とするPif1様ヘリカーゼ。
【請求項2】
前記Pif1様ヘリカーゼは、
(a)配列番号1のバリアントであって、タワードメインのE264-P278及びN296-A394、及び/又はピンドメインのK89-E105、及び/又は1AドメインのM1-L88及びM106-V181に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号1のバリアント、
(b)配列番号2のバリアントであって、タワードメインのE265-P279及びN297-A392、及び/又はピンドメインのK89-D105、及び/又は1AドメインのM1-L88及びI106-M180に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号2のバリアント、
(c)配列番号3のバリアントであって、タワードメインのT266-P280及びN298-S403、及び/又はピンドメインのK89-A109、及び/又は1AドメインのM1-L88及びK110-V182に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号3のバリアント、
(d)配列番号4のバリアントであって、タワードメインのT266-P280及びN298-S404、及び/又はピンドメインのK89-A109、及び/又は1AドメインのM1-L88及びK110-V182に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号4のバリアント、
(e)配列番号5のバリアントであって、タワードメインのE260-P274及びN292-A391、及び/又はピンドメインのK86-E102、及び/又は1AドメインのM1-L84及びM103-K177に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号5のバリアント、
(f)配列番号6のバリアントであって、タワードメインのE266-P280及びN298-A396、及び/又はピンドメインのK91-E107、及び/又は1AドメインのM1-L90及びM108-M183に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号6のバリアント、
(g)配列番号7のバリアントであって、タワードメインのT276-P290及びN308-P402、及び/又はピンドメインのK100-D116、及び/又は1AドメインのM1-L99及びD117-M191に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号7のバリアント、
(h)配列番号8のバリアントであって、タワードメインのD274-P288及びN306-A404、及び/又はピンドメインのK95-E112、及び/又は1AドメインのM1-L95及びI113-K187に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号8のバリアント、
(i)配列番号9のバリアントであって、タワードメインのE260-P274及びN292-A391、及び/又はピンドメインのK86-E102、及び/又は1AドメインのM1-L85及びM103-K177に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号9のバリアント、
(j)配列番号10のバリアントであって、タワードメインのE265-P279及びH297-A393、及び/又はピンドメインのK88-E104、及び/又は1AドメインのM1-L87及びI105-K180に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号10のバリアント、又は、
(k)配列番号11のバリアントであって、タワードメインのE264-P278及びN296-P389、及び/又はピンドメインのK97-A113、及び/又は1AドメインのM1-L96及びP114-K184に少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入されている、配列番号11のバリアント、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項3】
前記Pif1様ヘリカーゼは、
(a)配列番号11のバリアントであって、(i)E105C及び/又はA362C、(ii)E104C及び/又はK360C、(iii)E104C及び/又はA362C、(iv)E104C及び/又はQ363C、(v)E104C及び/又はK366C、(vi)E105C及び/又はM356C、(vii)E105C及び/又はK360C、(viii)E104C及び/又はM356C、(ix)E105C及び/又はQ363C、(x)E105C及び/又はK366C、(xi)F108C及び/又はM356C、(xii)F108C及び/又はK360C、(xiii)F108C及び/又はA362C、(xiv)F108C及び/又はQ363C、(xv)F108C及び/又はK366C、(xvi)K134C及び/又はM356C、(xvii)K134C及び/又はK360C、(xviii)K134C及び/又はA362C、(xix)K134C及び/又はQ363C、(xx)K134C及び/又はK366C、(xxi)(i)~(xx)のいずれか一つ及びG359C、(xxii)(i)~(xx)のいずれか一つ及びQ111C、(xxiii)(i)~(xx)のいずれか一つ及びI138C、(xxiv)(i)~(xx)のいずれか一つ及びQ111C及びI138C、(xxv)E105C及び/又はF377C、(xxvi)Y103L、E105Y、N352N、A362C及びY365N、(xxvii)E105Y及びA362C、(xxviii)A362C、(xxix)Y103L、E105C、N352N、A362Y及びY365N、(xxx)Y103L、E105C及びA362Y、(xxxi)E105C及び/又はA362C、及びI280A、(xxxii)E105C及び/又はL358C、(xxxiii)E104C及び/又はG359C、(xxxiv)E104C及び/又はA362C、(xxxv)K106C及び/又はW378C、(xxxvi)T102C及び/又はN382C、(xxxvii)T102C及び/又はW378C、(xxxviii)E104C及び/又はY355C、(xxxix)E104C及び/又はN382C、(xl)E104C及び/又はK381C、(xli)E104C及び/又はK379C、(xlii)E104C及び/又はD376C、(xliii)E104C及び/又はW378C、(xliv)E104C及び/又はW374C、(xlv)E105C及び/又はY355C、(xlvi)E105C及び/又はN382C、(xlvii)E105C及び/又はK381C、(xlviii)E105C及び/又はK379C、(xlix)E105C及び/又はD376C、(l)E105C及び/又はW378C、(li)E105C及び/又はW374C、(lii)E105C及びA362Y、(liii)E105C、G359及びA362C、又は、(liv)I2C、E105C及びA362Cを含む、配列番号11のバリアント、又は、
(b)配列番号1~10のいずれか一つのバリアントであって、配列番号11の(i)~(liv)のいずれか一つに限定される位置に対応するシステイン残基を含む、配列番号1~10のいずれか一つのバリアント、
を含むことを特徴とする請求項2に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項4】
前記Pif1様ヘリカーゼのアミノ酸配列が、配列番号1~11に示されるアミノ酸配列であるか、又は、配列番号1~11に示されるアミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.9%の相同性を有し且つポリヌクレオチドの移動を制御する能力を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項5】
導入されたシステイン同士が互いに連結され、導入された非天然アミノ酸同士が互いに連結され、導入されたシステインと非天然アミノ酸とが互いに連結され、導入されたシステインと天然アミノ酸とが互いに連結され、又は、導入された非天然アミノ酸と天然アミノ酸とが互いに連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項6】
前記(A)において、前記天然アミノ酸は、非極性アミノ酸、極性アミノ酸又は荷電したアミノ酸で置換され、前記非極性アミノ酸は、グリシン(G)、アラニン(A)又はバリン(V)を含み、前記極性アミノ酸は、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、アスパラギン(N)又はグルタミン(Q)を含み、前記荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はヒスチジン(H)を含み、及び/又は、一つの又は複数の前記システイン(C)は、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン酸(D)又はバリン(V)で置換される、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項7】
前記Pif1様ヘリカーゼは、
(a)配列番号6のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、(i)C308及び/又はC419と(ii)C114、C119、C141のうちの一つ又は複数との組み合わせである、配列番号6のバリアント、
(b)配列番号1のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C39、C112、C117、C417のうちの一つ又は複数である、配列番号1のバリアント、
(c)配列番号2のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C112、C117、C139、C202、C307、C327、C344、C395、C415のうちの一つ又は複数である、配列番号2のバリアント、
(d)配列番号3のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C15、C62、C142、C420、C422のうちの一つ又は複数である、配列番号3のバリアント、
(e)配列番号4のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C16、C63、C143、C422、C444のうちの一つ又は複数である、配列番号4のバリアント、
(f)配列番号5のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C109、C114、C136、C199、C302、C414、C394のうちの一つ又は複数である、配列番号5のバリアント、
(g)配列番号7のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C23、C123、C128、C150、C318、C405、C425のうちの一つ又は複数である、配列番号7のバリアント、
(h)配列番号8のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C119、C124、C146、C209、C407、C424のうちの一つ又は複数である、配列番号8のバリアント、
(i)配列番号9のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C109、C114、C136、C199、C302、C414、C394のうちの一つ又は複数である、配列番号9のバリアント、
(j)配列番号10のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C14、C111、C138、C116、C243、C396、C410、C416、C347のうちの一つ又は複数である、配列番号10のバリアント、又は、
(k)配列番号11のバリアントであって、一つ又は複数の置換又は欠失された天然アミノ酸が、C125、C128、C412、C315のうちの一つ又は複数である、配列番号11のバリアント、
を含むことを特徴とする請求項6に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項8】
前記Pif1様ヘリカーゼは、表面が負に帯電したアミノ酸、極性又は非極性アミノ酸の置換又は修飾をさらに含み、前記置換は、正に帯電したアミノ酸または非荷電アミノ酸による負に帯電したアミノ酸、非荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸、又は極性又は非極性アミノ酸の置換である、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項9】
前記Pif1様ヘリカーゼは、
(a)配列番号6のバリアントであって、一つ又は複数の負に帯電したアミノ酸又は非荷電アミノ酸が、S9、S173、D208又はT218のうちの一つ又は複数である、配列番号6のバリアント、
(b)配列番号7のバリアントであって、一つ又は複数の負に帯電したアミノ酸又は非荷電アミノ酸が、D8、E11、T26、S186、D216又はS226のうちの一つ又は複数である、配列番号7のバリアント、又は、
(c)配列番号1~5及び8~11のいずれか一つのバリアントであって、一つ又は複数の負に帯電したアミノ酸又は非荷電アミノ酸が、配列番号6のS9、S173、D208又はT218のうちの一つ又は複数に対応するか、又は、配列番号7のD8、E11、T26、S186、D216又はS226のうちの一つ又は複数に対応する、配列番号1~5及び8~11のいずれか一つのバリアント、
を含むことを特徴とする請求項8に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項10】
前記非天然アミノ酸は、4-アジド-L-フェニルアラニン(Faz)、4-アセチル-L-フェニルアラニン、3-アセチル-L-フェニルアラニン、4-アセトアセチル-L-フェニルアラニン、O-アリル-L-チロシン、3-(フェニルセレニル)-L-アラニン、O-2-プロピン-1-イル-L-チロシン、4-(ジヒドロキシボリル)-L-フェニルアラニン、4-[(エチルスルファニル)カルボニル]-L-フェニルアラニン、(2S)-2-アミノ-3-{4-[(プロパン-2-イルスルファニル)カルボニル]フェニル}プロピオン酸、(2S)-2-アミノ-3-{4-[(2-アミノ-3-スルファニルプロパノイル)アミノ]フェニル}プロピオン酸、O-メチル-L-チロシン、4-アミノ-L-フェニルアラニン、4-シアノ-L-フェニルアラニン、3-シアノ-L-フェニルアラニン、4-フルオロ-L-フェニルアラニン、4-ヨード-L-フェニルアラニン、4-ブロモ-L-フェニルアラニン、O-(トリフルオロメチル)チロシン、4-ニトロ-L-フェニルアラニン、3-ヒドロキシ-L-チロシン、3-アミノ-L-チロシン、3-ヨード-L-チロシン、4-イソプロピル-L-フェニルアラニン、3-(2-ナフチル)-L-アラニン、4-フェニル-L-フェニルアラニン、(2S)-2-アミノ-3-(ナフタレン-2-イルアミノ)プロピオン酸、6-(メチルスルファニル)ノルロイシン、6-オキシ-L-リジン、D-チロシン、(2R)-2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、(2R)-2-アミノオクタン酸エステル-3-(2,2′-ビピリジル-5-イル)-D-アラニン、2-アミノ-3-(8-ヒドロキシ-3-キノリル)プロピオン酸、4-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、S-(2-ニトロベンジル)システイン、(2R)-2-アミノ-3-[(2-ニトロベンジル)スルファニル]プロピオン酸、(2S)-2-アミノ-3-[(2-ニトロベンジル)オキシ]プロピオン酸、O-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)-L-セリン、(2S)-2-アミノ-6-({[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、O-(2-ニトロベンジル)-L-チロシン、2-ニトロフェニルアラニン、4-[(E)-フェニルジアゼニル]-L-フェニルアラニン、4-[3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリジニル-3イル]-D-フェニルアラニン、2-アミノ-3-[[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニルアミノ]プロピオン酸、(2S)-2-アミノ-4-(7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)ブタン酸、(2S)-3-[(6-アセチルナフタレン-2-イル)アミノ]-2-アミノプロピオン酸、4-(カルボキシメチル)フェニルアラニン、3-ニトロ-L-チロシン、O-チオ-L-チロシン、(2R)-6-アセチルアミノ-2-アミノカプロン酸エステル、1-メチルヒスチジン、2-アミノノナン酸、2-アミノデカン酸、L-ホモシステイン、5-スルファニル-ノルバリン、6-スルファニル-L-ノルロイシン、5-(メチルスルファニル)-L-ノルバリン、N6-{[(2R,3R)-3-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル]カルボニル}-L-リジン、N6-[(ベンジルオキシ)カルボニル]リジン、(2S)-2-アミノ-6-[(シクロペンチルカルボニル)アミノ]ヘキサン酸、N6-[(シクロペンチルオキシ)カルボニル]-L-リジン、(2S)-2-アミノ-6-{[(2R)-テトラヒドロフラン-2-イルカルボニル]アミノ}ヘキサン酸、(2S)-2-アミノ-8-[(2R,3S)-3-エチニルテトラヒドロフラン-2-イル]-8-オキシオクタン酸、N6-(t-ブトキシカルボニル)-L-リジン、(2S)-2-ヒドロキシ-6-({[(2-メチル-2-プロパンイル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、N6-[(アリルオキシ)カルボニル]リジン、(2S)-2-アミノ-6-({[(2-アジドベンジル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、N6-L-プロピル-L-リジン、(2S)-2-アミノ-6-{[(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸、又はN6-[(2-アジドエトキシ)カルボニル]-L-リジンから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項11】
前記(B)において、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸は、より大きな側鎖を含むアミノ酸で置換される、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項12】
前記Pif1様ヘリカーゼは、
(a)配列番号11のバリアントであって、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、P73、H93、N99、F109、I280、A161、F130、D132、D162、D163、E277、K415、Q291、H396、Y244又はP100のうちの少なくとも一つである、配列番号11のバリアント、
(b)配列番号6のバリアントであって、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、(i)H87、V422及び/又はI282と(ii)P94、F103、V155、P67、M124、D126、E156、P157、E279、S293、N93、H403又はF246のうちの少なくとも一つとの組み合わせである、配列番号6のバリアント、又は、
(c)配列番号1~5及び7~10のいずれか一つのバリアントであって、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、配列番号11のP73、H93、N99、F109、I280、A161、F130、D132、D162、D163、E277、K415、Q291、H396、Y244又はP100のうちの少なくとも一つに対応するか、又は、配列番号6の(i)H87、V422及び/又はI282と(ii)P94、F103、V155、P67、M124、D126、E156、P157、E279、S293、N93、H403又はF246のうちの少なくとも一つとの組み合わせに対応する、配列番号1~5及び7~10のいずれか一つのバリアント、
を含むことを特徴とする請求項11に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項13】
前記より大きな側鎖が、増加した数の炭素原子を含む、増加した長さを有する、増加した分子体積を有する、及び/又は増加したファンデルワールス体積を有する、
ことを特徴とする請求項11に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項14】
前記より大きな側鎖が、前記少なくとも一つのアミノ酸と前記一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドとの間の(i)静電相互作用、(ii)水素結合、(iii)カチオン-π相互作用、及び/又は(iv)π-π相互作用を増加させる、
ことを特徴とする請求項11に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項15】
より大きな側鎖のアミノ酸が、アラニン(A)、システイン(C)、グリシン(G)、セレノシステイン(U)、メチオニン(M)、アスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)ではない、
ことを特徴とする請求項11に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項16】
a)ヒスチジン(H)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)又はアスパラギン(N)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、(iv)チロシン(Y)、アルギニン(R)又はグルタミン(Q)、又は、(v)アルギニン(R)、チロシン(Y)、アスパラギン(N)又はグルタミン(Q)で置換され、
b)アスパラギン(N)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、又は、(iv)グルタミン(Q)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)で置換され、
c)プロリン(P)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、スレオニン(T)又はヒスチジン(H)、(iii)チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はトリプトファン(W)、(iv)ロイシン(L)、バリン(V)又はイソロイシン(I)、又は、(v)トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)又はロイシン(L)で置換され、
d)フェニルアラニン(F)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)ヒスチジン(H)、(iii)チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、又は、(iv)アルギニン(R)、チロシン(Y)、グルタミン(Q)又はヒスチジン(H)で置換され、
e)アスパラギン酸(D)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、又は、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)で置換され、
f)バリン(V)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、(iv)イソロイシン(I)又はロイシン(L)、又は、(v)チロシン(Y)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はトリプトファン(W)で置換され、
g)セリン(S)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、(iv)イソロイシン(I)又はロイシン(L)、又は、(v)アルギニン(R)、アスパラギン(N)又はグルタミン(Q)で置換され、
h)チロシン(Y)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、又は、(ii)トリプトファン(W)で置換され、及び/又は、
i)イソロイシン(I)が、(i)フェニルアラニン(F)又はトリプトファン(W)、(ii)バリン(V)又はロイシン(L)、(iii)ヒスチジン(H)、リジン(K)又はアルギニン(R)で置換される、
ことを特徴とする請求項11に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項17】
前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号11のバリアントであり、且つ、P73L、P73V、P73I、P73E、P73T、P73F、H93N、H93Q、H93W、N99R、N99H、N99W、N99Y、P100L、P100V、P100I、P100E、P100T、P100F、F130W、F130Y、F130H、D132H、D132Y、D132K、A161I、A161L、A161N、A161W、A161H、D162H、D162Y、D162K、D163W、D163F、D163Y、D163H、D163I、D163L、D163V、Y244W、Y244H、E277G、I280H、I280K、I280W、Q291K、Q291R、Q291W、Q291F、H396N、H396Q、H396W、K415W、K415R、K415H、K415Y、F109W/P73L、F109W/P73V、F109W/P73I、F109W/P73E、F109W/P73T、F109W/P73F、F109W/H93N、F109W/H93Q、F109W/H93W、F109W/N99R、F109W/N99H、F109W/N99W、F109W/N99Y、F109W/P100L、F109W/P100V、F109W/P100I、F109W/P100E、F109W/P100T、F109W/P100F、F109W/F130W、F109W/F130Y、F109W/F130H、F109W/D132H、F109W/D132Y、F109W/D132K、F109W/A161I、F109W/A161L、F109W/A161N、F109W/A161W、F109W/A161H、F109W/D162H、F109W/D162Y、F109W/D162K、F109W/D163W、F109W/D163F、F109W/D163Y、F109W/D163H、F109W/D163I、F109W/D163L、F109W/D163V、F109W/Y244W、F109W/Y244H、F109W/E277G、F109W/I280H、F109W/I280K、F109W/I280W、F109W/Q291K、F109W/Q291R、F109W/Q291W、F109W/Q291F、F109W/H396N、F109W/H396Q、F109W/H396W、F109W/K415W、F109W/K415R、F109W/K415H、又はF109W/K415Yを含む、及び/又は、
前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントであり、且つ、P94W、P94F、F103W、I282F、V155L、V155I、D126H、D126N、D126Q、P157W、P157F、P157L、V422Y、V422R、V422H、V422W、S293R、S293N、S293Q、H87R、H87Y、H87N、H87Q、N93Q、N93R、N93K、N93H、H403Y、H403R、H403Q、F246R、F246Y、又はF246Qを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項18】
前記(B)において、一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドの一つ又は複数のリン酸基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が置換される、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項19】
前記Pif1様ヘリカーゼは、
(a)配列番号11のバリアントであって、ssDNA又はdsDNAの一つ又は複数のヌクレオチドの一つ又は複数のリン酸基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、H75、T91、S94、K97、N246、N247、N284、K288、N297、T394又はK397のうちの少なくとも一つである、配列番号11のバリアント、
(b)配列番号6のバリアントであって、ssDNA又はdsDNAのうちの一つ又は複数のヌクレオチドの一つ又は複数のリン酸基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、K91、T85、R88、H69、K404、T401、N299、N248、E280、K290又はK249のうちの少なくとも一つである、配列番号6のバリアント、又は、
(c)配列番号1~5及び7~10のいずれか一つのバリアントであって、ssDNA又はdsDNAの一つ又は複数のヌクレオチドの一つ又は複数のリン酸基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、配列番号11のH75、T91、S94、K97、N246、N247、N284、K288、N297、T394又はK397に対応する少なくとも一つのアミノ酸であるか、又は、配列番号6のK91、T85、R88、H69、K404、T401、N299、N248、E280、K290又はK249に対応する少なくとも一つのアミノ酸である、配列番号1~5及び7~10のいずれか一つのバリアント、
を含むことを特徴とする請求項18に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項20】
a)ヒスチジン(H)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)アスパラギン(N)、セリン(S)、グルタミン(Q)又はスレオニン(T)、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)、又は、(iv)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)又はアルギニン(R)で置換され、
b)スレオニン(T)が、(i)アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)、(ii)アスパラギン(N)、セリン(S)、グルタミン(Q)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)、(iv)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)又はアルギニン(R)、又は、(v)アスパラギン(N)、ヒスチジン(H)、リジン(K)又はアルギニン(R)で置換され、
c)セリン(S)が、(i)アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)、(ii)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はヒスチジン(H)、又は、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)で置換され、
d)アスパラギン(N)が、(i)アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)、(ii)セリン(S)、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)、又は、(iv)グルタミン(Q)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)で置換され、
e)リジン(K)が、(i)アルギニン(R)又はヒスチジン(H)、(ii)アスパラギン(N)、セリン(S)、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)、又は、(iv)アルギニン(R)、グルタミン(Q)又はアスパラギン(N)で置換され、及び/又は、
f)アルギニン(R)が、(i)アスパラギン(N)、セリン(S)又はグルタミン(Q)で置換される、
ことを特徴とする請求項19に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項21】
前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号11のバリアントであり、且つ、(a)H75N、H75Q、H75K又はH75F、(b)T91K、T91Q又はT91N、(c)S94H、S94N、S94K、S94T、S94R又はS94Q、(d)K97Q、K97H又はK97Y、(e)N246H又はN246Q、(f)N247Q又はN247H、(g)N284H又はN284Q、(h)K288Q又はK288H、(i)N297Q、N297K又はN297H、(j)T394K、T394H又はT394N、又は、(k)K393R、K397H又はK397Yのうちの一つ又は複数を含み、又は、
前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントであり、且つ、(a)K91R、(b)T85N、T85Q又はT85R、(c)R88N又はR88Q、(d)H69N、H69Q又はH69R、(e)K404R、(f)T401N、T401H、T401K又はT401R、(g)N299Q、N299R、N299H又はN299K、(h)N248Q、N248R、N248H又はN248K、又は、(i)K249R、K249Q又はK249Nのうちの一つ又は複数を含む、
ことを特徴とする請求項18に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項22】
前記(B)において、二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドの二本鎖と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が置換される、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項23】
前記Pif1様ヘリカーゼは、
(a)配列番号6のバリアントであって、ssDNA又はdsDNAのうちの一つ又は複数のヌクレオチドの二本鎖と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、M81、V59、Q52、E286又はK290のうちの少なくとも一つである、配列番号6のバリアント、又は、
(b)配列番号1~5及び7~11のいずれか一つのバリアントであって、ssDNA又はdsDNAのうちの一つ又は複数のヌクレオチドの二本鎖と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、配列番号6のM81、V59、Q52、E286又はK290に対応する少なくとも一つのアミノ酸である、配列番号1~5及び7~11のいずれか一つのバリアント、
を含むことを特徴とする請求項22に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項24】
前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントであり、且つ、(a)M81K、M81R又はM81H、(b)V59K、V59R又はV59H、(c)Q52K、Q52R又はQ52H、(d)E286K、E286R又はE286H、又は、(e)K290のうちの一つ又は複数を含む、
ことを特徴とする請求項23に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項25】
前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントであり、且つ、T85N、H87Y、H87Q、H87N、R88Q、R88N、V155I、V155L、K91R、F103W、S239N、F246R、F246Y、K249R、I282F、E286K又はV422Hのアミノ酸の置換の一つ又は複数を含む、
ことを特徴とする請求項11、18~24のいずれか一項に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項26】
前記ヘリカーゼは、膜貫通ポアと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換を含み、
(a)配列番号11のバリアントにおいて、前記Pif1様ヘリカーゼが、(a)E196(b)W202(c)N199又は(d)G201上の一つ又は複数の置換を含み、又は、
(b)配列番号1~10のいずれか一つのバリアントにおいて、前記Pif1様ヘリカーゼが、(a)E196(b)W202(c)N199又は(d)G201に対応する少なくとも一つの置換を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項27】
前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号11のバリアントであり、且つ、
F109W/E196L/H75N、F109W/E196L/H75Q、F109W/E196L/H75K、又はF109W/E196L/H75Fを含む、F109/E196/H75、
F109W/E196L/T91K、F109W/E196L/T91Q、又はF109W/E196L/T91Nを含む、F109/E196/T91、
F109W/S94H/E196L、F109W/S94T/E196L、F109W/S94R/E196L、F109W/S94Q/E196L、F109W/S94N/E196L、又はF109W/S94K/E196Lを含む、F109/S94/E196、
F109W/N99R/E196L、F109W/N99H/E196L、F109W/N99W/E196L、又はF109W/N99Y/E196Lを含む、F109/N99/E196、
F109W/S94H/E196L/I280Kを含む、F109/S94/E196/I280、
F109W/P100L/E196L、F109W/P100V/E196L、F109W/P100I/E196L、又はF109W/P100T/E196Lを含む、F109/P100/E196、
F109W/D132H/E196L、F109W/D132Y/E196L、又はF109W/D132K/E196Lを含む、F109/D132/E196、
F109W/A161I/E196L、F109W/A161L/E196L、F109W/A161N/E196L、F109W/A161W/E196L、又はF109W/A161H/E196Lを含む、F109/A161/E196、
F109W/D163W/E196L、F109W/D163F/E196L、F109W/D163Y/E196L、F109W/D163H/E196L、F109W/D163I/E196L、F109W/D163L/E196L、又はF109W/D163V/E196Lを含む、F109/D163/E196、
F109W/Y244W/E196L、F109W/Y244Y/E196L、又はF109W/Y244H/E196Lを含む、F109/Y244/E196、
F109W/N246H/E196L、又はF109W/N246Q/E196Lを含む、F109/N246/E196、
F109W/E196L/I280K、F109W/E196L/I280H、F109W/E196L/I280W、又はF109W/E196L/I280Rを含む、F109/E196/I280、
F109W/E196L/Q291K、F109W/E196L/Q291R、F109W/E196L/Q291W、又はF109W/E196L/Q291Fを含む、F109/E196/Q291、
F109W/N297Q/E196L、F109W/N297K/E196L、又はF109W/N297H/E196Lを含む、F109/N297/E196、
F109W/T394K/E196L、F109W/T394H/E196L、又はF109W/T394N/E196Lを含む、F109/T394/E196、
F109W/H396Y/E196L、F109W/H396F/E196L、F109W/H396Q/E196L、又はF109W/H396K/E196Lを含む、F109/H396/E196、
F109W/K397R/E196L、F109W/K397H/E196L、又はF109W/K397Y/E196Lを含む、F109/K397/E196、又は、
F109W/Y416W/E196L、又はF109W/Y416R/E196Lを含む、F109/Y416/E196、
の位置での置換を含むことを特徴とする請求項26に記載のPif1様ヘリカーゼ。
【請求項28】
請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼを少なくとも一つ含むことを特徴とする、構造体。
【請求項29】
前記構造体は、ポリヌクレオチド結合部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項28に記載の構造体。
【請求項30】
請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼをコードすることを特徴とする、核酸。
【請求項31】
請求項30に記載の核酸を含むことを特徴とする、発現ベクター。
【請求項32】
請求項30に記載の核酸を含むことを特徴とする、宿主細胞。
【請求項33】
ポリヌクレオチドの移動を制御する方法であって、
請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ又は請求項28に記載の構造体を、ポリヌクレオチドに接触させる、
ことを特徴とするポリヌクレオチドの移動を制御する方法。
【請求項34】
標的ポリヌクレオチドを特徴づける方法であって、
I)請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ又は請求項28に記載の構造体を、標的ポリヌクレオチド及びポアと接触させて、Pif1様ヘリカーゼ又は構造体がポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動を制御するようにすること、及び、
II)標的ポリヌクレオチドのヌクレオチドと前記ポアが相互作用する時の一つ又は複数の特徴を取得して、前記標的ポリヌクレオチドを特徴づけること、
を含むことを特徴とする標的ポリヌクレオチドを特徴づける方法。
【請求項35】
前記ヘリカーゼ又は構造体にまたがって、標的ポリヌクレオチドと接触するポアに電位差を印加する工程をさらに含み、
前記ポアが、生物学的ポア、固体状ポア、又は生物学的ポアと固体状ポアのハイブリッドポアから選択される、
ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記標的ポリヌクレオチドが、一本鎖、二本鎖、又は少なくとも一部が二本鎖である、
ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記一つ又は複数の特徴は、標的ポリヌクレオチドの由来、長さ、同一性、配列、二次構造、又は標的ポリヌクレオチドが修飾されているか否かから選択され、
前記一つ又は複数の特徴が、電気的測定及び/又は光学的測定によって測定される、
ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項38】
標的ポリヌクレオチドを特徴づける製品であって、
前記項1に記載のPif1様ヘリカーゼ、請求項28に記載の構造体、請求項30に記載の核酸、請求項31に記載の発現ベクター、又は請求項32に記載の宿主細胞、及び
ポア、
を含むことを特徴とする標的ポリヌクレオチドを特徴づける製品。
【請求項39】
前記製品は、キット、装置、又はセンサから選択される、
ことを特徴とする請求項38に記載の製品。
【請求項40】
標的ポリヌクレオチドの特徴づけ又はポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動に対する制御における、請求項1に記載のPif1様ヘリカーゼ、請求項28に記載の構造体、請求項30に記載の核酸、請求項31に記載の発現ベクター、又は請求項32に記載の宿主細胞の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子シークエンシング、分子検出及び臨床検出の技術分野に関し、具体的に修飾されたPif1様ヘリカーゼ(Pif1-like Helicases)、Pif1様ヘリカーゼを含む構築体、及び標的ポリヌクレオチドの特徴づけ又はポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動に対する制御におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノポアシークエンシング技術とは、単一核酸分子を測定ユニットとし、ナノポアを利用してその配列情報をリアルタイムに連続的に読み取る遺伝子シークエンシング技術を指す。
【0003】
ナノポアシークエンシング技術は、イオン電流にチャネルを提供できるナノポアを利用する。電気泳動は、ポリヌクレオチドがナノポアを通過するように駆動し、ポリヌクレオチドがナノポアを通過するため、ナノポアを通過する電流を低減することができる。通過する各ヌクレオチド又は一連のヌクレオチドによって特徴電流が取得され、電流レベルの記録はポリヌクレオチド配列に対応する。「ストランドシークエンシング(strand sequencing)」方法(例えば、ヘリカーゼを使用してポアを通過するポリヌクレオチドの移動を制御する)において、単一ポリヌクレオチド鎖が前記ポアを通過して、ヌクレオチドの同定を可能にする。このようなシークエンシング技術の利点とは、ライブラリの構築が簡単で、増幅する必要がないこと、読み取り速度が速く、単一分子で一時間当たり数万塩基の読み取り速度に達することができること、読み取り長さが非常に長く、一般的に数千塩基であること、RNA及びDNAのメチル化を直接測定することが可能であることである。これらは、従来の第2世代シークエンシング技術の範囲を超えている。
【0004】
しかしながら、ナノポアシークエンシング技術にも解決すべき課題がある。例えば、ポリヌクレオチドは、ナノポアを介した転座が速すぎ、単一ヌクレオチドの電流レベルが短すぎて区別しにくい。特に、ヌクレオチド配列が非常に長い場合、例えば500個以上であり、ポリヌクレオチドの移動を制御する分子モーターがポリヌクレオチドから離脱する可能性がある。これにより、ポリヌクレオチドを迅速に、制御されていない方法で、印加されたフィールドの方向に前記ポアを通して引っ張ることができる。
【0005】
従来技術において、この問題を解決するために、例えば、国際公開第2013/057495A3号には、標的ポリヌクレオチドを特徴づける新規な方法が開示されており、前記方法は、Hel308ヘリカーゼ又は分子モーターによってポアを通過するポリヌクレオチドの移動を制御することを含む。特許 US20150065354A1には、XPDヘリカーゼを用いて標的ポリヌクレオチドを特徴づける方法が開示され、前記方法は、XPDヘリカーゼによってポアを通過するポリヌクレオチドの移動を制御することを含む。特許 CN107109380Aには、修飾された酵素が開示され、当該酵素は、ポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動を制御できる修飾されたDdaヘリカーゼである。上記方法は、いずれもある程度でポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動を制御することができる。しかしながら、依然としてポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動を制御する新規なヘリカーゼを開発する必要がある。
【0006】
また、ヘリカーゼが核酸の移動を持続的且つ均一に制御する能力は、核酸の配列情報を正確に識別するのに重要な役割を果たしている。ナノポアを通過する核酸の移動を制御するヘリカーゼにおいて、ナノポアシークエンシング技術が単一分子シークエンシング技術であるため、酵素が核酸に結合し続けるという必須の特徴に加えて、異なる核酸分子上の酵素の移動速度の均一性、及び同一核酸分子の異なる塩基上の酵素の移動速度の均一性は、塩基信号を正確に識別することにも非常に重要である。具体的に、酵素が異なる核酸分子を制御する移動速度は、異なる酵素分子の異質性のために異なる酵素が核酸のナノポアへの通過を制御する速度が異なる場合があるか、又はある酵素の低い活性のために核酸のナノポアへの通過を制御する際に停滞現象が発生され、これにより塩基信号の分析や塩基配列の識別に不利になるか、ポアチャネルの効率的な利用に不利になるため、シークエンシングの正確性又はスループットが低下される。同一核酸分子上の酵素の変位は、例えば、個別又は連続的な複数の塩基が電界力の作用下で酵素の制御から逸脱して「滑り出す」こと、酵素の一貫性のないスタッフサイズのためにステップごとに半分又は複数の塩基が長くなること、又は酵素が核酸に対して一つ又は複数のスタッフサイズで前に変位した後、後に変位することなどのようなシークエンシングの性能に不利な現象を含むが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、異なる酵素分子間の均一性を向上させ、単一酵素分子が核酸のナノポアの通過のための移動を効果的に制御することは、ナノポアシークエンシング技術の性能の向上に非常に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ナノポアを通過するポリヌクレオチドの速すぎる転座の問題を解決するために、新規な修飾されたPif1様ヘリカーゼを提供し、修飾されたPif1様ヘリカーゼは、ポリヌクレオチドとの結合をより長い時間で保持することができ、ポアを通過するポリヌクレオチドの移動を制御することができる。
【0009】
本発明の第1態様は、Pif1様ヘリカーゼを提供し、その特徴とは、Pif1様ヘリカーゼのタワードメイン、ピンドメイン及び/又は1Aドメインへ導入された少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸を含み、(A)少なくとも一つ又は複数の天然アミノ酸の置換又は欠失であって、置換又は欠失された天然アミノ酸が、配列番号6のC308及び/又はC419に対応するアミノ酸を含む、少なくとも一つ又は複数の天然アミノ酸の置換又は欠失、及び/又は、(B)一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換であって、置換されたアミノ酸が、配列番号6のH87及び/又はV422及び/又はI282に対応するアミノ酸を含む、一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換、をさらに含み、ここで、前記Pif1様ヘリカーゼは、ポリヌクレオチドの移動を制御する能力を保持している。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るPif1様ヘリカーゼは、ストランドシークエンシングプロセスにおいてポリヌクレオチドの移動を制御する有用なツールであり、制御可能且つ段階的な方式で、印加電圧によって引き起こされる電界に沿って又はそれに逆らって、ポリヌクレオチドを移動させ、これによりナノポアを通過するポリヌクレオチドの速度を制御し、識別可能な電流レベルを取得することができる。特に、ポリヌクレオチド鎖の長さが増加する場合、例えば、500個以上のヌクレオチドである場合、プロセシビティを向上させる分子モーターを有する必要があると、本発明に係るPif1様ヘリカーゼは依然としてポリヌクレオチドから離脱せず、即ち、500、1000、5000、10000、20000、50000、100000又はその以上のポリヌクレオチドの移動の制御に対して特に効果的である。本発明に係るPif1様ヘリカーゼは、ストランドシークエンシング領域においてポリヌクレオチドのポアからの滑らかな移動を制御し、摺動移動又は不規則な移動を減少させ、これにより、ヌクレオチドのより正確な読み取り及びより長い読み取り長さを促進することができる。本発明に係るPif1様ヘリカーゼによれば、酵素が核酸に結合し続けることを維持すると同時に、酵素分子が核酸分子のナノポアへの通過の移動を制御することを効果的に向上させるため、核酸の検出又はシークエンシングの正確度及びスループットなどの性能を向上させる。
【0011】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】Pif1様ヘリカーゼ活性を試験する蛍光分析概略図である。ここで、蛍光基質鎖は、5’端のssDNA突出部分、及び50塩基をハイブリダイズしたdsDNA部分を有する。a)に示すように、主鎖の上部(B)が3’端にブラックホールクェンチャー(BHQ-1)塩基(E)を有し、ハイブリダイズした相補鎖(D)が5’端にカルボキシフルオレセイン(C)を有することが含まれる。さらに、蛍光基質の短鎖(D)と相補的な0.5μMの捕捉鎖(F)を含む。b)に示すように、ATP(5mM)及びMgCl(5mM)の存在下で、前記基質に添加されたヘリカーゼ(200nM)が前記蛍光基質の5’端部分に連結され、前記主鎖に沿って移動し、且つ前記相補鎖を巻き戻した後、過剰の捕捉鎖が優先的に相補鎖DNAにアニーリングして初期基質と損失蛍光との再アニーリングを防止する。c)に示すように、主鎖と完全に相補的な捕捉鎖(A)を過剰に添加した後、巻き戻されない一部のdsDNAは過剰のAの存在により鎖の巻き戻し効果を有し、最終的に全てのdsDNAが巻き戻され、蛍光値が最も高くなる。
図2】蛍光分析によるPif1様ヘリカーゼのハイブリダイズしたdsDNA巻き戻し能力の測定を示し、具体的には、400mM NaClを含有する緩衝液の時間依存性のdsDNA巻き戻し比の変化図を示す。
図3】異なるPif1様ヘリカーゼのDNA結合能力のゲル測定結果を示す。レーン1は、予め構築されたdsDNA(配列番号18と5’FAMで修飾された配列番号19のハイブリダイゼーション)である。レーン2~6は、それぞれ、dsDNAに予め連結されたAph Acj61、Aph PX29、Sph CBH8、PphPspYZU05及びMph MP1を含む。レーン7~11は、それぞれ、dsDNAに予め連結されたAph Acj61-D97C/A363C、Aph PX29-D96C/A371C、Sph CBH8-A94C/A361C/C136A、PphPspYZU05-D104C/A375C/C146A及びMph MP1-E105C/A362Cを含む。バンドAは、配列番号18とハイブリダイズする配列番号19に対応する。1A、2A、3A、4A、5Aと標識された領域は、それぞれ、1、2、3、4、5個のヘリカーゼと、配列番号18とハイブリダイズする配列番号19との結合に対応する。
図4】実施例で使用されるDNA構築体の図であり、ここで、配列番号13(Bと標識される)は、その5’末端が20個のiSpC3スペーサーに連結され(Aと標識される)、その3’末端が4つのiSpC3スペーサーに連結され(Cと標識される)、当該スペーサー(Cと標識される)は、配列番号14(Dと標識される)の5’末端に連結され、当該配列番号14(Dと標識される)の3’末端が配列番号17又は配列番号24(Eと標識される)に連結され、当該構築体の配列番号15(Fと標識される)領域が配列番号16(Gと標識され、3’コレステロールテザーを有する)とハイブリダイズする。
図5】Pif1様ヘリカーゼ(Mph MP1-E105C/A362C(変異E105C/A362Cを有する配列番号11))がナノポア8MspA(配列番号12)を通過するDNA構築体Aの転座を制御する場合の例示的な電流の軌跡(y軸座標=電流(pA、0~250)、x軸座標=サンプリング周波数(hz、0~3.5*10))を示す。
図6図5の電流軌跡図に示すPif1様ヘリカーゼにより制御されるDNA移動の領域拡大図(y軸座標=電流(pA、30~100)、x軸座標=サンプリング周波数(hz、2.346~2.366*10))を示す。
図7】Pif1様ヘリカーゼ(Sph CBH8-A94C/A361C/C136A(A94C/A361C/C136Aの突然変異を有する配列番号5)がMspAナノポアを通過するDNA構築体Bの転座を制御する場合の例示的な電流の軌跡(y軸座標=電流(pA)、x軸座標=時間(s))を示す。
図8】ヘリカーゼ(EpH Pei26-D99C/A366C/C141A(D99C/A366C/C141Aの突然変異を有する配列番号6))がMspAナノポアを通過するDNA構築体Bの転座を制御する場合の例示的な電流軌跡(y軸座標=電流(pA)、x軸座標=時間(s))を示す。
図9】ヘリカーゼ(Pph PspYZU05-D104C/A375C/C146A(D104C/A375C及びC146Aの突然変異を有する配列番号8))がMspAナノポアを通過するDNA構築体Bの転座を制御する場合の例示的な電流の軌跡(y軸座標=電流(pA)、x軸座標=時間(s))を示す。
図10】精製されたMph MP1(配列番号11)SDS-PAGEゲル電気泳動図を示す。ここで、Mは、マーカー(Kd)であり、レーン1は、Mph MP1ヘリカーゼの電気泳動結果図である。
図11A】配列番号1~11のアミノ酸配列の対応関係を示す。
図11B】配列番号1~11のアミノ酸配列の対応関係を示す。
図12】突然変異体 Eph-Pei26-D99C/A366C/F103W/E286K(A図)及びEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W/E286K(B図)により制御される核酸ライブラリーのナノポアへの通過の速度分布を示す。
図13】Eph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/(D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419Dの突然変異を有する配列番号6)とEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W(D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103Wの突然変異を有する配列番号6)により制御される核酸のナノポアへの通過の移動を示す。ここで、A図は、シミュレーションされた配列番号24の核酸配列が一つずつナノポアを通過する移動により生成された電流信号の特徴である。B図は、配列番号24の核酸配列のナノポアへの通過の移動を制御する突然変異体 Eph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103Wにより生成された電流の特徴である。C図は、配列番号24の核酸配列のナノポアへの通過の移動を制御するEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419Dにより生成された電流信号の特徴である。
図14】突然変異体 Eph-Pei26-24及びEph-Pei26-25に対してシークエンシングする大腸菌(E.coli)ゲノム及びヒトゲノム(human)がランダムに断片化されたライブラリー配列の検証セットの正確度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1態様は、Pif1様ヘリカーゼを提供し、その特徴とは、Pif1様ヘリカーゼのタワードメイン、ピンドメイン及び/又は1Aドメインへ導入された少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸を含み、(A)少なくとも一つ又は複数の天然アミノ酸の置換又は欠失であって、置換又は欠失された天然アミノ酸が、配列番号6のC308及び/又はC419に対応するアミノ酸を含む、少なくとも一つ又は複数の天然アミノ酸の置換又は欠失、及び/又は、(B)一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換であって、置換されたアミノ酸が、配列番号6のH87及び/又はV422及び/又はI282に対応するアミノ酸を含む、一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換、をさらに含み、ここで、前記Pif1様ヘリカーゼは、ポリヌクレオチドの移動を制御する能力を保持している。
【0014】
具体的に、配列番号1~11のPif1様ヘリカーゼを提供し、Pif1様ヘリカーゼのタワードメイン、ピンドメイン及び/又は1Aドメイン(RecA型モータ)へ導入されたの少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸を含み、(A)少なくとも一つ又は複数の天然アミノ酸の置換又は欠失であって、置換又は欠失された天然アミノ酸が、配列番号6のC308及び/又はC419、又は、配列番号6のC308及び/又はC419に対応する配列番号1~5及び7~11のアミノ酸を含む、少なくとも一つ又は複数の天然アミノ酸の置換又は欠失、及び/又は、(B)一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換であって、置換されたアミノ酸が、配列番号6のH87、V422及び/又はI282、又は、配列番号6のH87、V422及び/又はI282に対応する配列番号1~5及び7~11のアミノ酸を含む、一本鎖DNA又は二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換、をさらに含み、ここで、前記Pif1様ヘリカーゼは、リヌクレオチドの移動を制御する能力を保持している。
【0015】
好ましくは、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、下記からなる群から選択される任意のものに導入される。
(a)タワードメイン、
(b)ピンドメイン、
(c)1Aドメイン、
(d)タワードメイン及びピンドメイン、
(e)タワードメイン及び1Aドメイン、
(f)1Aドメイン及びピンドメイン、
(g)タワードメイン、ピンドメイン及び1Aドメイン。
【0016】
好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又はその以上のシステイン残基、又は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又はその以上の非天然アミノ酸、又は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又はその以上のシステイン残基及び非天然アミノ酸が、タワードメイン、ピン構造及び/又は1Aドメインに導入され得る。
【0017】
好ましくは、システイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が導入された後、当該Pif1様ヘリカーゼとポリヌクレオチドの結合がより安定し、その移動を制御する能力が向上される。
【0018】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、Pba-PM2、Aph-Acj61、Aph-PX29、Avi-Aeh1、Sph-CBH8、Eph-Pei26、Aph-AM101、PphPspYZU05、Eph-EcS1、Eph-Cronus2、又はMph-MP1から選択される。具体的に、野生型Pif1様ヘリカーゼは、表1に示す通りである。
【0019】
【表1】
【0020】
前記Pif1様ヘリカーゼのタワードメイン、ピンドメイン、フックドメイン、1Aドメイン及び2Aドメインのアミノ酸残基の位置は、表2に示す通りである。
【0021】
【表2-1】
【0022】
【表2-2】
【0023】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記Pif1様ヘリカーゼは、Mph-MP1、Sph-CBH8、Eph-Pei26又はPphPspYZU05から選択される。
【0024】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号11のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 E264-P278及びN296-P389)及び/又はピンドメイン(残基 K97-A113)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L96及びP114-K184)に導入されている。
【0025】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号1のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 E264-P278及びN296-A394)及び/又はピンドメイン(残基 K89-E105)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L88及びM106-V181)に導入されている。
【0026】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号2のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 E265-P279及びN297-A392)及び/又はピンドメイン(残基 K89-D105)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L88及びI106-M180)に導入されている。
【0027】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号3のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 T266-P280及びN298-S403)及び/又はピンドメイン(残基 K89-A109)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L88及びK110-V182)に導入されている。
【0028】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号4のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 T266-P280及びN298-S404)及び/又はピンドメイン(残基 K89-A109)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L88及びK110-V182)に導入されている。
【0029】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号5のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 E260-P274及びN292-A391)及び/又はピンドメイン(残基 K86-E102)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L84及びM103-K177)に導入されている。
【0030】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 E266-P280及びN298-A396)及び/又はピンドメイン(残基 K91-E107)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L90及びM108-M183)に導入されている。
【0031】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号7のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 T276-P290及びN308-P402)及び/又はピンドメイン(残基 K100-D116)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L99及びD117-M191)に導入されている。
【0032】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号8のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 D274-P288及びN306-A404)及び/又はピンドメイン(残基 K95-E112)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L95及びI113-K187)に導入されている。
【0033】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号9のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 E260-P274及びN292-A391)及び/又はピンドメイン(残基 K86-E102)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L85及びM103-K177)に導入されている。
【0034】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号10のバリアントを含み、ここで、少なくとも一つのシステイン残基及び/又は少なくとも一つの非天然アミノ酸が、タワードメイン(残基 E265-P279及びH297-A393)及び/又はピンドメイン(残基 K88-E104)及び/又は1Aドメイン(残基 M1-L87及びI105-K180)に導入されている。
【0035】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは配列番号11のバリアントを含み、それは、(i)E105C及び/又はA362C、(ii)E104C及び/又はK360C、(iii)E104C及び/又はA362C、(iv)E104C及び/又はQ363C、(v)E104C及び/又はK366C、(vi)E105C及び/又はM356C、(vii)E105C及び/又はK360C、(viii)E104C及び/又はM356C、(ix)E105C及び/又はQ363C、(x)E105C及び/又はK366C、(xi)F108C及び/又はM356C、(xii)F108C及び/又はK360C、(xiii)F108C及び/又はA362C、(xiv)F108C及び/又はQ363C、(xv)F108C及び/又はK366C、(xvi)K134C及び/又はM356C、(xvii)K134C及び/又はK360C、(xviii)K134C及び/又はA362C、(xix)K134C及び/又はQ363C、(xx)K134C及び/又はK366C、(xxi)(i)~(xx)のいずれか一つ及びG359C、(xxii)(i)~(xx)のいずれか一つ及びQ111C、(xxiii)(i)~(xx)のいずれか一つ及びI138C、(xxiv)(i)~(xx)のいずれか一つ及びQ111C及びI138C、(xxv)E105C及び/又はF377C、(xxvi)Y103L、E105Y、N352N、A362C及びY365N、(xxvii)E105Y及びA362C、(xxviii)A362C、(xxix)Y103L、E105C、N352N、A362Y及びY365N、(xxx)Y103L、E105C及びA362Y、(xxxi)E105C及び/又はA362C、及びI280A、(xxxii)E105C及び/又はL358C、(xxxiii)E104C及び/又はG359C、(xxxiv)E104C及び/又はA362C、(xxxv)K106C及び/又はW378C、(xxxvi)T102C及び/又はN382C、(xxxvii)T102C及び/又はW378C、(xxxviii)E104C及び/又はY355C、(xxxix)E104C及び/又はN382C、(xl)E104C及び/又はK381C、(xli)E104C及び/又はK379C、(xlii)E104C及び/又はD376C、(xliii)E104C及び/又はW378C、(xliv)E104C及び/又はW374C、(xlv)E105C及び/又はY355C、(xlvi)E105C及び/又はN382C、(xlvii)E105C及び/又はK381C、(xlviii)E105C及び/又はK379C、(xlix)E105C及び/又はD376C、(l)E105C及び/又はW378C、(li)E105C及び/又はW374C、(lii)E105C及びA362Y、(liii)E105C、G359及びA362C、又は(liv)I2C、E105C及びA362Cを含む。
【0036】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号1~10のいずれか一つのバリアントを含み、それは、配列番号11の(i)~(liv)のいずれか一つで限定される位置に対応する位置にシステイン残基を含む。
【0037】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼのアミノ酸配列は、配列番号1~11に示されるアミノ酸配列であるか、又は、配列番号1~11に示されるアミノ酸配列と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.9%の相同性を有し、且つ、ポリヌクレオチドの移動を制御する能力を有する。
【0038】
本発明の一つの具体的な実施形態において、システイン残基は、配列番号11の105位及び/又は362位に対応するアミノ酸、例えば、配列番号2の97位及び/又は363位、配列番号3の96位及び/又は371位、配列番号5の94位及び/又は361位、配列番号6の99位及び/又は366位、配列番号8の104位及び/又は375位などに導入されている。
【0039】
本発明に係るPif1様ヘリカーゼとポリヌクレオチドの結合の安定性を向上させ、ポリヌクレオチドからの離脱の能力を低下させるために、導入されたシステイン同士が互いに連結させ、導入された非天然アミノ酸同士が互いに連結させ、導入されたシステインと非天然アミノ酸とが互いに連結させ、導入されたシステインとヘリカーゼ上に天然アミノ酸とを互いに連結させ、又は導入された非天然アミノ酸とヘリカーゼ上に天然アミノ酸とを互いに連結させる。
【0040】
任意の数及び組み合わせの二つ以上の導入されたシステイン及び/又は非天然アミノ酸を互いに連結させることができる。例えば、3、4、5、6、7、8又はその以上のシステイン及び/又は非天然アミノ酸を互いに連結させることができる。一つ又は複数のシステインは、一つ又は複数のシステインに連結されてもよい。一つ又は複数のシステインは、一つ又は複数の非天然アミノ酸(例えば、Faz)に連結されてもよい。一つ又は複数の非天然アミノ酸(例えば、Faz)は、一つ又は複数の非天然アミノ酸(例えば、Faz)に連結されてもよい。一つ又は複数のシステインは、一つ又は複数のヘリカーゼ上の天然アミノ酸に連結されてもよい。一つ又は複数の非天然アミノ酸(例えば、Faz)は、一つ又は複数のヘリカーゼ上の天然アミノ酸に連結されてもよい。
【0041】
ここで、前記連結はいかなる形態であってもよく、直接連結又は間接連結を含む。好ましくは、前記連結は、一時的な接触であってもよく、永久連結であってもよい。さらに好ましくは、前記連結は、非共有連結又は共有連結であってもよい。
【0042】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記共有連結は、化学的架橋剤、線状分子又は触媒を用いて実現することができる。前記化学的架橋剤は、マレイミド、活性エステル、コハク酸イミド、アジド、アルキン(例えば、ジベンゾシクロオクチンオール(DIBO又はDBCO)、ジフルオロシクロアルキン及び線状アルキン)などを含むが、これらに限定されない。化学的架橋剤の長さは一つの炭素(ホスゲンタイプのリンカー)から数オングストロームまで変化できる。前記線状分子は、ポリエチレングリコール(PEGs)、ポリペプチド、多糖、デオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド核酸(PNA)、トレオース核酸(TNA)、グリセロール核酸(GNA)、飽和及び不飽和の炭化水素、ポリアミドを含むが、これらに限定されない。前記触媒は、任意のシステイン残基間、非天然アミノ酸間、システイン残基と非天然アミノ酸の間、非天然アミノ酸と天然アミノ酸の間、又はシステイン残基と天然アミノ酸との間に共有結合を生成させるTMADなどのような触媒を含むが、これらに限定されない。
【0043】
好ましくは、(A)において、前記天然アミノ酸は、非極性アミノ酸、極性アミノ酸又は荷電したアミノ酸で置換され、好ましくは、前記非極性アミノ酸は、グリシン(G)、アラニン(A)又はバリン(V)を含むが、これらに限定されず、前記極性アミノ酸は、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、アスパラギン(N)又はグルタミン(Q)を含むが、これらに限定されず、前記荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)又はヒスチジン(H)を含むが、これらに限定されない。
【0044】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼはさらに修飾されて、一つ又は複数のシステイン残基が欠失される。
【0045】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、少なくとも一つ又は複数の天然システインの置換をさらに含む。さらに好ましくは、システインは、アラニン(A)、グリシン、セリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン酸(D)又はバリン(V)で置換される。
【0046】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントを含み、前記一つ又は複数の置換された天然システイン残基は、(i)C308及び/又はC419と(ii)C114、C119、C141のうちの一つ又は複数との組み合わせである。
【0047】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10及び11のいずれか一つのバリアントを含み、前記一つ又は複数の置換された天然システイン残基は表3に示す通りである。
【0048】
【表3】
【0049】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼはさらに修飾されて、その表面の負電荷が低減される。
【0050】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、正味の正電荷を増加させる置換をさらに含む。さらに好ましくは、前記正味の正電荷を増加させる置換は、表面が負に帯電したアミノ酸、極性又は非極性のアミノ酸の置換又は修飾を含み、又は、正に帯電したアミノ酸を、表面が負に帯電したアミノ酸、或いは極性又は非極性のアミノ酸の近くの位置に導入することを含む。さらに好ましくは、前記正味の正電荷を増加させる置換は、正に帯電したアミノ酸による負に帯電したアミノ酸、非荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸、極性又は非極性のアミノ酸の置換を含む。さらに好ましくは、前記正味の正電荷を増加させる置換は、非荷電アミノ酸による負に帯電したアミノ酸、芳香族アミノ酸、極性又は非極性のアミノ酸の置換を含む。適切な正に帯電したアミノ酸は、ヒスチジン(H)、リジン(K)及び/又はアルギニン(R)を含むが、これらに限定されない。適切な非荷電アミノ酸は、正味電荷を有さない。適切な非荷電アミノ酸は、システイン(C)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)又はグルタミン(Q)を含むが、これらに限定されない。非極性アミノ酸は、非極性側鎖を有する。非極性アミノ酸は、グリシン(G)、アラニン(A)、プロリン(P)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)又はバリン(V)を含むが、これらに限定されない。芳香族アミノ酸は、芳香族側鎖を有する。適切な芳香族アミノ酸は、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)を含むが、これらに限定されない。
【0051】
ここで、前記正に帯電したアミノ酸、非荷電アミノ酸、極性アミノ酸、非極性アミノ酸又は芳香族アミノ酸は、天然又は非天然のアミノ酸であってもよく、人工的に合成又は修飾された天然アミノ酸であってもよい。
【0052】
好ましい置換は、アルギニン(R)によるグルタミン酸(E)の置換と、リジン(K)によるグルタミン酸(E)の置換、アスパラギン(N)によるグルタミン酸(E)の置換、リジン(K)によるアスパラギン酸(D)の置換、及びアルギニン(R)によるアスパラギン酸(D)の置換を含むが、これらに限定されない。
【0053】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントを含み、前記一つ又は複数の負に帯電したアミノ酸又は非荷電アミノ酸は、S9、S173、D208又はT218のうちの一つ又は複数である。
【0054】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号7のバリアントを含み、前記一つ又は複数の負に帯電したアミノ酸又は非荷電アミノ酸は、D8、E11、T26、S186、D216又はS226のうちの一つ又は複数である。任意の数のこれらのアミノ酸を中和することができ、例えばこれらのアミノ酸のうちの1、2、3、4、5、6、7又は8個を中和することができる。
【0055】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号1~5及び8~11のいずれか一つのバリアントを含み、前記一つ又は複数の負に帯電したアミノ酸又は非荷電アミノ酸は、配列番号6のS9、S173、D208又はT218のうちの一つ又は複数に対応するか、又は、配列番号7のD8、E11、T26、S186、D216又はS226のうちの一つ又は複数に対応する。配列番号6のS9、S173、D208又はT218に対応する配列番号1~5及び8~11のアミノ酸、又は、配列番号7のD8、E11、T26、S186、D216又はS226に対応する配列番号1~5及び8~11のアミノ酸は、図11の比較を用いて決定することができる。
【0056】
好ましくは、前記非天然アミノ酸は、4-アジド-L-フェニルアラニン(Faz)、4-アセチル-L-フェニルアラニン、3-アセチル-L-フェニルアラニン、4-アセトアセチル-L-フェニルアラニン、O-アリル-L-チロシン、3-(フェニルセレニル)-L-アラニン、O-2-プロピン-1-イル-L-チロシン、4-(ジヒドロキシボリル)-L-フェニルアラニン、4-[(エチルスルファニル)カルボニル]-L-フェニルアラニン、(2S)-2-アミノ-3-{4-[(プロパン-2-イルスルファニル)カルボニル]フェニル}プロピオン酸、(2S)-2-アミノ-3-{4-[(2-アミノ-3-スルファニルプロパノイル)アミノ]フェニル}プロピオン酸、O-メチル-L-チロシン、4-アミノ-L-フェニルアラニン、4-シアノ-L-フェニルアラニン、3-シアノ-L-フェニルアラニン、4-フルオロ-L-フェニルアラニン、4-ヨード-L-フェニルアラニン、4-ブロモ-L-フェニルアラニン、O-(トリフルオロメチル)チロシン、4-ニトロ-L-フェニルアラニン、3-ヒドロキシ-L-チロシン、3-アミノ-L-チロシン、3-ヨード-L-チロシン、4-イソプロピル-L-フェニルアラニン、3-(2-ナフチル)-L-アラニン、4-フェニル-L-フェニルアラニン、(2S)-2-アミノ-3-(ナフタレン-2-イルアミノ)プロピオン酸、6-(メチルスルファニル)ノルロイシン、6-オキシ-L-リジン、D-チロシン、(2R)-2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、(2R)-2-アミノオクタン酸エステル-3-(2,2′-ビピリジル-5-イル)-D-アラニン、2-アミノ-3-(8-ヒドロキシ-3-キノリル)プロピオン酸、4-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、S-(2-ニトロベンジル)システイン、(2R)-2-アミノ-3-[(2-ニトロベンジル)スルファニル]プロピオン酸、(2S)-2-アミノ-3-[(2-ニトロベンジル)オキシ]プロピオン酸、O-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)-L-セリン、(2S)-2-アミノ-6-({[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、O-(2-ニトロベンジル)-L-チロシン、2-ニトロフェニルアラニン、4-[(E)-フェニルジアゼニル]-L-フェニルアラニン、4-[3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリジニル-3イル]-D-フェニルアラニン、2-アミノ-3-[[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニルアミノ]プロピオン酸、(2S)-2-アミノ4-(7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)ブタン酸、(2S)-3-[(6-アセチルナフタレン-2-イル)アミノ]-2-アミノプロピオン酸、4-(カルボキシメチル)フェニルアラニン、3-ニトロ-L-チロシン、O-チオ-L-チロシン、(2R)-6-アセチルアミノ-2-アミノカプロン酸エステル、1-メチルヒスチジン、2-アミノノナン酸、2-アミノデカン酸、L-ホモシステイン、5-スルファニル-ノルバリン、6-スルファニル-L-ノルロイシン、5-(メチルスルファニル)-L-ノルバリン、N6-{[(2R,3R)-3-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル]カルボニル}-L-リジン、N6-[(ベンジルオキシ)カルボニル]リジン、(2S)-2-アミノ-6-[(シクロペンチルカルボニル)アミノ]ヘキサン酸、N6-[(シクロペンチルオキシ)カルボニル]-L-リジン、(2S)-2-アミノ-6-{[(2R)-テトラヒドロフラン-2-イルカルボニル]アミノ}ヘキサン酸、(2S)-2-アミノ-8-[(2R、3S)-3-エチニルテトラヒドロフラン-2-イル]-8-オキシオクタン酸、N6-(t-ブトキシカルボニル)-L-リジン、(2S)-2-ヒドロキシ-6-({[(2-メチル-2-プロパンイル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、N6-[(アリルオキシ)カルボニル]リジン、(2S)-2-アミノ-6-({[(2-アジドベンジル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、N6-L-プロピル-L-リジン、(2S)-2-アミノ-6-{[(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸又はN6-[(2-アジドエトキシ)カルボニル]-L-リジンから選択される。
【0057】
さらに好ましくは、(B)において、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸は、より大きな側鎖(R基)を含むアミノ酸で置換される。
【0058】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、より大きな側鎖(R基)を含むアミノ酸で置換されることを含む。任意の数のアミノ酸、例えば、1個又はその以上、2個又はその以上、3個又はその以上、4個又はその以上、5個又はその以上、又は6個又はその以上のアミノ酸を置換することができる。各アミノ酸は、塩基、糖環、又は塩基及び糖環と相互作用することができる。タンパク質モデリングを使用して、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用するアミノ酸を同定することができる。
【0059】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、(a)配列番号11のバリアントであって、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、P73、H93、N99、F109、I280、A161、F130、D132、D162、D163、E277、K415、Q291、H396、Y244又はP100のうちの少なくとも一つである、配列番号11のバリアント、又は、(b)配列番号6のバリアントであって、一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、(i)H87、V422及び/又はI282と(ii)P94、F103、V155、P67、M124、D126、E156、P157、E279、S293、N93、H403又はF246のうちの少なくとも一つとの組み合わせである、配列番号6のバリアント、を含む。これらの番号は、配列番号11及び6の関連位置に対応し、配列番号11及び6に比べて、一つ又は複数のアミノ酸がバリアントに挿入又は欠失された状況下で変更する必要がある場合がある。前述のように、当業者は、バリアントの相応位置を確認することができる。さらに好ましくは、配列番号11のバリアントを含み、ここで、前記一本鎖又は二本鎖DNA内の中一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸は、F109及び一つ又は複数のP73、H93、N99、F109、I280、A161、F130、D132、D162、D163、E277、K415、Q291、H396、Y244又はP100である。
【0060】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号1~5及び7~10のいずれか一つのバリアントであり、ここで、前記一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸は、配列番号11のP73、H93、N99、F109、I280、A161、F130、D132、D162、D163、E277、K415、Q291、H396、Y244又はP100に対応する少なくとも一つのアミノ酸であるか、又は、配列番号6のP94、F103、I282、V155、P67、M124、D126、E156、P157、E279、V422、S293、H87、N93、H403又はF246に対応する少なくとも一つのアミノ酸である。さらに好ましくは、配列番号1~5及び7~10のいずれか一つのバリアントを含み、ここで、前記一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドの糖環及び/又は塩基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸は、配列番号11のF109に対応するアミノ酸及び配列番号11のP73、H93、N99、F109、I280、A161、F130、D132、D162、D163、E277、K415、Q291、H396、Y244又はP100に対応する一つ又は複数のアミノ酸である。
【0061】
表4には、配列番号11のP73、H93、N99、F109、I280、A161、F130、D132、D162、D163、E277、K415、Q291、H396、Y244、P100に対応する配列番号1~10のアミノ酸が示されている。
【0062】
【表4】
【0063】
より大きな側鎖(R基)は、好ましくは、(a)増加した数の炭素原子数を含む(b)増加した長さを有する、(c)増加した分子体積を有する、及び/又は、(d)増加したファンデルワールス体積を有する。より大きな側鎖(R基)は、好ましくは、「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「(a)及び(b)」、「(a)及び(c)」、「(a)及び(d)」、「(b)及び(c)」、「(b)及び(d)」、「(c)及び(d)」、「(a)、(b)及び(c)」、「(a)、(b)及び(d)」、「(a)、(c)及び(d)」、「(b)、(c)及び(d)」、又は、「(a)、(b)、(c)及び(d)」である。(a)から(d)のそれぞれは、本技術分野の標準的な方法によって測定することができる。
【0064】
さらに好ましくは、前記より大きな側鎖(R基)は、前記少なくとも一つのアミノ酸と前記一本鎖又は二本鎖DNA内の一つ又は複数のヌクレオチドとの間の(i)静電相互作用、(ii)水素結合、(iii)カチオン-π(カチオン-pi)相互作用、及び/又は、(iv)π-π相互作用を増加させる。例えば、(i)において、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)及びリジン(K)などの正に帯電したアミノ酸は、静電相互作用を増加させるR基を有する。例えば、(ii)において、アスパラギン(N)、セリン(S)、グルタミン(Q)、スレオニン(T)及びヒスチジン(H)などのアミノ酸は、水素結合を増加させるR基を有する。例えば、(iii)において、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)などの芳香族アミノ酸は、カチオン-π(カチオン-pi)相互作用を増加させるR基を有する。
【0065】
より大きな側鎖(R)を含むアミノ酸は、非天然アミノ酸であってもよい。
【0066】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記より大きな側鎖(R基)のアミノ酸は、アラニン(A)、システイン(C)、グリシン(G)、セレノシステイン(U)、メチオニン(M)、アスパラギン酸(D)又はグルタミン酸(E)ではない。
【0067】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記Pif1様ヘリカーゼは、以下の置換の一つ又は複数を含む。
【0068】
a)ヒスチジン(H)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)又はアスパラギン(N)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、(iv)チロシン(Y)、アルギニン(R)又はグルタミン(Q)、又は、(v)アルギニン(R)、チロシン(Y)、アスパラギン(N)又はグルタミン(Q)で置換されることが好ましい。ヒスチジン(H)は、(iv)Y、R又はQ、又は、(v)R、Y、N又はQで置換されることがより好ましい。
【0069】
b)アスパラギン(N)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、又は、(iv)グルタミン(Q)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)で置換されることが好ましい。アスパラギン(N)は、Q、R、H又はKで置換されることがより好ましい。
【0070】
c)プロリン(P)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、スレオニン(T)又はヒスチジン(H)、(iii)チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)又はトリプトファン(W)、(iv)ロイシン(L)、バリン(V)又はイソロイシン(I)、又は、(v)トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)又はロイシン(L)で置換されることが好ましい。プロリン(P)は、W、F又はLで置換されることがより好ましい。
【0071】
d)バリン(V)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、(iv)イソロイシン(I)又はロイシン(L)、又は、(v)チロシン(Y)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はトリプトファン(W)で置換されることがより好ましい。バリン(V)は、Y、R、H又はWで置換されることがより好ましい。
【0072】
e)フェニルアラニン(F)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)ヒスチジン(H)、(iii)チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、又は、(iv)アルギニン(R)、チロシン(Y)、グルタミン(Q)又はヒスチジン(H)で置換されることが好ましい。フェニルアラニン(F)は、R、Y、Q又はHで置換されることがより好ましい。
【0073】
f)グルタミン(Q)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、又は、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)で置換されることが好ましい。
【0074】
g)アラニン(A)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、又は、(iv)イソロイシン(I)又はロイシン(L)で置換されることが好ましい。
【0075】
h)セリン(S)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)、(iv)イソロイシン(I)又はロイシン(L)、又は、(v)アルギニン(R)、アスパラギン(N)又はグルタミン(Q)で置換されることが好ましい。セリン(S)は、R、N又はQで置換されることが好ましい。
【0076】
i)リジン(K)は、(i)アルギニン(R)又は(ii)チロシン(Y)又はトリプトファン(W)で置換されることが好ましい。
【0077】
j)アルギニン(R)は、(ii)チロシン(Y)又はトリプトファン(W)で置換されることが好ましい。
【0078】
k)メチオニン(M)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、又は、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)で置換されることが好ましい。
【0079】
l)ロイシン(L)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)又はアスパラギン(N)、又は、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)で置換されることが好ましい。
【0080】
m)アスパラギン酸(D)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、又は、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)で置換されることが好ましい。アスパラギン酸(D)は、H、Y又はKで置換されることがより好ましい。
【0081】
n)グルタミン酸(E)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)グルタミン(Q)、アスパラギン(N)又はヒスチジン(H)、又は、(iii)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)又はトリプトファン(W)で置換されることが好ましい。
【0082】
o)イソロイシン(I)は、(i)フェニルアラニン(F)又はトリプトファン(W)、(ii)バリン(V)又はロイシン(L)、又は、(iii)ヒスチジン(H)、リジン(K)又はアルギニン(R)で置換されることが好ましい。
【0083】
p)チロシン(Y)は、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、又は、(ii)トリプトファン(W)で置換されることが好ましい。チロシン(Y)は、W又はRで置換されることがより好ましい。
【0084】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記Pif1様ヘリカーゼは、より好ましくは、配列番号11のバリアントを含み、それは、以下を含む。
P73L、P73V、P73I、P73E、P73T、P73F、H93N、H93Q、H93W、N99R、N99H、N99W、N99Y、P100L、P100V、P100I、P100E、P100T、P100F、F130W、F130Y、F130H、D132H、D132Y、D132K、A161I、A161L、A161N、A161W、A161H、D162H、D162Y、D162K、D163W、D163F、D163Y、D163H、D163I、D163L、D163V、Y244W、Y244H、E277G、I280H、I280K、I280W、Q291K、Q291R、Q291W、Q291F、H396N、H396Q、H396W、K415W、K415R、K415H、K415Y、F109W/P73L、F109W/P73V、F109W/P73I、F109W/P73E、F109W/P73T、F109W/P73F、F109W/H93N、F109W/H93Q、F109W/H93W、F109W/N99R、F109W/N99H、F109W/N99W、F109W/N99Y、F109W/P100L、F109W/P100V、F109W/P100I、F109W/P100E、F109W/P100T、F109W/P100F、F109W/F130W、F109W/F130Y、F109W/F130H、F109W/D132H、F109W/D132Y、F109W/D132K、F109W/A161I、F109W/A161L、F109W/A161N、F109W/A161W、F109W/A161H、F109W/D162H、F109W/D162Y、F109W/D162K、F109W/D163W、F109W/D163F、F109W/D163Y、F109W/D163H、F109W/D163I、F109W/D163L、F109W/D163V、F109W/Y244W、F109W/Y244H、F109W/E277G、F109W/I280H、F109W/I280K、F109W/I280W、F109W/Q291K、F109W/Q291R、F109W/Q291W、F109W/Q291F、F109W/H396N、F109W/H396Q、F109W/H396W、F109W/K415W、F109W/K415R、F109W/K415H、又はF109W/K415Y。
【0085】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントを含むことがより好ましく、それは、P94W、P94F、F103W、I282F、V155L、V155I、D126H、D126N、D126Q、P157W、P157F、P157L、V422Y、V422R、V422H、V422W、S293R、S293N、S293Q、H87R、H87Y、H87N、H87Q、N93Q、N93R、N93K、N93H、H403Y、H403R、H403Q、F246R、F246Y、又はF246Qを含む。
【0086】
本発明のヘリカーゼは、好ましくは、ssDNA又はdsDNAの一つ又は複数のヌクレオチドの一つ又は複数のリン酸基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が置換されるヘリカーゼである。任意の数のアミノ酸、例えば、1個又はその以上、2個又はその以上、3個又はその以上、4個又はその以上、5個又はその以上又は6個又はその以上のアミノ酸が置換されることができる。ssDNAのヌクレオチドは、それぞれ三つのリン酸基を含む。置換された各アミノ酸は、毎回任意の数のリン酸基、例えば、毎回一つ、二つ又は三つのリン酸基と相互作用することができる。一つ又は複数のリン酸基と相互作用するアミノ酸は、タンパク質モデリングを使用して同定することができる。
【0087】
置換は、好ましくは、前記少なくとも一つのアミノ酸と前記ssDNA又はdsDNAの一つ又は複数のリン酸基との間の(i)静電相互作用、(ii)水素結合及び/又は(iii)カチオン-π(カチオン-pi)相互作用を増加させる。以下、(i)、(ii)及び(iii)標識法を用いて、(i)、(ii)及び(iii)の好ましい置換を説明する。
【0088】
置換は、好ましくは、サイト(位置)での正味の正電荷を増加させる。本技術分野で既知の方法を使用して、任意の位置の正味電荷を測定することができる。例えば、等電点を用いてアミノ酸の正味電荷を定義することができる。正味電荷は、通常約7.5で測定される。置換は、好ましくは、正に帯電したアミノ酸、非荷電アミノ酸、非極性アミノ酸又は芳香族アミノ酸による負に帯電したアミノ酸の置換である。負に帯電したアミノ酸は、正味の負に帯電したアミノ酸である。負に帯電したアミノ酸は、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)を含むが、これらに限定されない。正に帯電したアミノ酸は、正味の正に帯電したアミノ酸である。正に帯電したアミノ酸は、天然又は非天然に存在する。正に帯電したアミノ酸は、合成又は修飾され得る。例えば、正味の正に帯電した修飾アミノ酸は、本発明で用いられるために専門的に設計することができる。アミノ酸に対する多くの異なるタイプの修飾は、本技術分野で公知である。好ましい天然に存在する正に帯電したアミノ酸は、ヒスチジン(H)、リジン(K)及びアルギニン(R)を含むが、これらに限定されない。
【0089】
非荷電アミノ酸、非極性アミノ酸又は芳香族アミノ酸は、天然又は非天然に存在するものであってもよい。それは、合成又は修飾されたものであってもよい。非荷電アミノ酸は、正味電荷を有しない。適切な非荷電アミノ酸は、システイン(C)、セリン(S)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)及びグルタミン(Q)を含むが、これらに限定されない。非極性アミノ酸は、非極性側鎖を有する。適切な非極性アミノ酸は、グリシン(G)、アラニン(A)、プロリン(P)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)及びバリン(V)を含むが、これらに限定されない。芳香族アミノ酸は、芳香族側鎖を有する。好適な芳香族アミノ酸は、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)及びチロシン(Y)を含むが、これらに限定されない。
【0090】
Pif1様ヘリカーゼは、好ましくは、配列番号11のバリアントを含み、ここで、ssDNA又はdsDNAの一つ又は複数のヌクレオチドの一つ又は複数のリン酸基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸は、H75、T91、S94、K97、N246、N247、N284、K288、N297、T394又はK397のうちの少なくとも一つである。Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントを含むことが好ましく、ここで、ssDNA又はdsDNAのうちの一つ又は複数のヌクレオチドの一つ又は複数のリン酸基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸は、K91、T85、R88、H69、K404、T401、N299、N248又はK249のうちの少なくとも一つである。これらの番号は、配列番号11又は6の関連位置に対応し、配列番号11又は6に比べて、一つ又は複数のアミノ酸がバリアントに挿入又は欠失された状態下で変更する必要がある場合がある。当業者は、前述のようなバリアントの相応位置を確認することができる。
【0091】
Pif1様ヘリカーゼは、好ましくは、配列番号1~5及び7~10のいずれか一つのバリアントを含み、ここで、前記ssDNA又はdsDNAの一つ又は複数のヌクレオチドの一つ又は複数のリン酸基と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸は、配列番号11のH75、T91、S94、K97、N246、N247、N284、K288、N297、T394又はK397に対応する少なくとも一つのアミノ酸であるか、又は、配列番号6のK91、T85、R88、H69、K404、T401、N299、N248又はK249に対応する少なくとも一つのアミノ酸である。
【0092】
表5は、配列番号11のH75、T91、S94、K97、N246、N247、N284、K288、N297、T394及びK397に対応する配列番号1~10のアミノ酸を示す。
【0093】
【表5】
【0094】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、以下のいずれ一つ又は複数を含む。
a)ヒスチジン(H)が、(i)アルギニン(R)又はリジン(K)、(ii)アスパラギン(N)、セリン(S)、グルタミン(Q)又はスレオニン(T)、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)又はチロシン(Y)、又は、(iv)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)又はアルギニン(R)で置換されること、
b)スレオニン(T)が、(i)アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)、(ii)アスパラギン(N)、セリン(S)、グルタミン(Q)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)、(iv)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)又はアルギニン(R)、又は、(v)アスパラギン(N)、ヒスチジン(H)、リジン(K)又はアルギニン(R)で置換されること、
c)セリン(S)が、(i)アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)、(ii)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はヒスチジン(H)、又は、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)で置換されること、
d)アスパラギン(N)が、(i)アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)、(ii)セリン(S)、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)、又は、(iv)グルタミン(Q)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)又はリジン(K)で置換されること、及び/又は、
e)リジン(K)が、(i)アルギニン(R)又はヒスチジン(H)、(ii)アスパラギン(N)、セリン(S)、グルタミン(Q)、スレオニン(T)又はヒスチジン(H)、(iii)フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)又はヒスチジン(H)、又は、(iv)アルギニン(R)、グルタミン(Q)又はアスパラギン(N)で置換されること、及び/又は、
f)アルギニン(R)が、(i)アスパラギン(N)、セリン(S)又はグルタミン(Q)で置換されること。
【0095】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号11のバリアントであり、それは、(a)~(k)のうちの一つ又は複数を含み、ここで、(a)H75N、H75Q、H75K又はH75F、(b)T91K、T91Q又はT91N、(c)S94H、S94N、S94K、S94T、S94R又はS94Q、(d)K97Q、K97H又はK97Y、(e)N246H又はN246Q、(f)N247Q又はN247H、(g)N284H又はN284Q、(h)K288Q又はK288H、(i)N297Q、N297K又はN297H、(j)T394K、T394H又はT394N、又は、(k)K393R、K397H又はK397Yである。
【0096】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記Pif1様ヘリカーゼは配列番号6のバリアントであり、それは(a)~(i)のうちの一つ又は複数を含み、ここで、(a)K91R、(b)T85N、T85Q又はT85R、(c)R88N又はR88Q、(d)H69N、H69Q又はH69R、(e)K404R、(f)T401N、T401H、T401K又はT401R、(g)N299Q、N299R、N299H又はN299K、(h)N248Q、N248R、N248H又はN248K、又は、(i)K249R、K249Q又はK249Nである。
【0097】
さらに好ましくは、(B)において、二本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドの二本鎖と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が置換される。
【0098】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、
(a)配列番号6のバリアントであって、ssDNA又はdsDNAの一つ又は複数のヌクレオチドの二本鎖と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、M81、V59、Q52、E286又はK290のうちの少なくとも一つである、配列番号6のバリアント、又は、
(b)配列番号1~5及び7~11のいずれか一つのバリアントであって、ssDNA又はdsDNAの一つ又は複数のヌクレオチドの二本鎖と相互作用する少なくとも一つのアミノ酸が、配列番号6のM81、V59、Q52、E286又はK290に対応する少なくとも一つのアミノ酸である、配列番号1~5及び7~11のいずれか一つのバリアント、を含む。
【0099】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントであり、それは、(a)~(e)のうちの一つ又は複数を含み、ここで、(a)M81K、M81R又はM81H、(b)V59K、V59R又はV59H、(c)Q52K、Q52R又はQ52H、(d)E286K、E286R又はE286H、又は、(e)K290Rである。
【0100】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号6のバリアントであり、それは、T85N、H87Y、H87Q、H87N、R88Q、R88N、V155I、V155L、K91R、F103W、S239N、F246R、F246Y、K249R、I282F、E286K又はV422Hのようなアミノ酸の置換の一つ又は複数を含む。
【0101】
本発明のヘリカーゼは、膜貫通ポアと相互作用するヘリカーゼの一部が一つ又は複数の修飾を含み、好ましくは一つ又は複数の置換を含み、さらに好ましくは、前記ヘリカーゼは、膜貫通ポアと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換を含む。前記膜貫通ポアと相互作用するヘリカーゼの一部は、通常、ヘリカーゼがポアを通過するポリヌクレオチドの移動を制御するために用いられる場合、膜貫通ポアと相互作用するヘリカーゼの一部であり、例えば、以下でより詳細に説明する。ヘリカーゼがポアを通過するポリヌクレオチドの移動を制御するために用いられる場合、前記一部は通常ポアと相互作用又は接触するアミノ酸を含む。電位の印加下で、ヘリカーゼとポアを通って移動するポリヌクレオチドとが結合又は連結される場合、前記一部は一般的にポアと相互作用又は接触するアミノ酸を含む。
【0102】
膜貫通ポアと相互作用する一部は、好ましくは、配列番号11のバリアントを含み、ここでの位置は、E196、W202、N199又はG201上の一つ又は複数(例えば、2個、3個、4個又は5個)のアミノ酸の置換を含む。
【0103】
膜貫通ポアと相互作用する一部は、好ましくは、配列番号1~10のいずれか一つのバリアントを含み、それは、(a)E196、(b)W202、(c)N199、又は(d)G201位置での配列番号11に対応する少なくとも一つのアミノ酸又は複数の置換を含む。
【0104】
表6は、配列番号11のE196、W202、N199、G201に対応する配列番号1~10のアミノ酸を示す。
【0105】
【表6】
【0106】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記Pif1様ヘリカーゼは、配列番号11のバリアントである。それは、以下の位置での置換を含む。
-F109/E196/H75、例えば、F109W/E196L/H75N、F109W/E196L/H75Q、F109W/E196L/H75K、又はF109W/E196L/H75F、
-F109/E196/T91、例えば、F109W/E196L/T91K、F109W/E196L/T91Q、又はF109W/E196L/T91N、
-F109/S94/E196、例えば、F109W/S94H/E196L、F109W/S94T/E196L、F109W/S94R/E196L、F109W/S94Q/E196L、F109W/S94N/E196L、又はF109W/S94K/E196L、
-F109/N99/E196、例えば、F109W/N99R/E196L、F109W/N99H/E196L、F109W/N99W/E196L、又はF109W/N99Y/E196L、
-F109/S94/E196/I280、例えば、F109W/S94H/E196L/I280K、
-F109/P100/E196、例えば、F109W/P100L/E196L、F109W/P100V/E196L、F109W/P100I/E196L、又はF109W/P100T/E196L、
-F109/D132/E196、例えば、F109W/D132H/E196L、F109W/D132Y/E196L、又はF109W/D132K/E196L、
-F109/A161/E196、例えば、F109W/A161I/E196L、F109W/A161L/E196L、F109W/A161N/E196L、F109W/A161W/E196L、又はF109W/A161H/E196L、
-F109/D163/E196、例えば、F109W/D163W/E196L、F109W/D163F/E196L、F109W/D163Y/E196L、F109W/D163H/E196L、F109W/D163I/E196L、F109W/D163L/E196L、又はF109W/D163V/E196L、
-F109/Y244/E196、例えば、F109W/Y244W/E196L、F109W/Y244Y/E196L、又はF109W/Y244H/E196L、
-F109/N246/E196、例えば、F109W/N246H/E196L、又はF109W/N246Q/E196L、
-F109/E196/I280、例えば、F109W/E196L/I280K、F109W/E196L/I280H、F109W/E196L/I280W、又はF109W/E196L/I280R、
-F109/E196/Q291、例えば、F109W/E196L/Q291K、F109W/E196L/Q291R、F109W/E196L/Q291W、又はF109W/E196L/Q291F、
-F109/N297/E196、例えば、F109W/N297Q/E196L、F109W/N297K/E196L、又はF109W/N297H/E196L、
-F109/T394/E196、例えば、F109W/T394K/E196L、F109W/T394H/E196L、又はF109W/T394N/E196L、
-F109/H396/E196、例えば、F109W/H396Y/E196L、F109W/H396F/E196L、F109W/H396Q/E196L、又はF109W/H396K/E196L、
-F109/K397/E196、例えば、F109W/K397R/E196L、F109W/K397H/E196L、又はF109W/K397Y/E196L、又は、
-F109/Y416/E196、例えば、F109W/Y416W/E196L、又はF109W/Y416R/E196L。
【0107】
Pif1様ヘリカーゼは、野生型ヘリカーゼのアミノ酸配列から変化され且つポリヌクレオチド結合活性を保持するアミノ酸配列を有する酵素である。特に、配列番号1~11のいずれか一つのバリアントは、配列番号1~11のいずれか一つのアミノ酸配列から変化され且つポリヌクレオチド結合活性を保持するアミノ酸配列を有する酵素である。ポリヌクレオチド結合活性は、本技術分野の既知の方法を用いて確認することができる。適切な方法は、蛍光異方性法、トリプトファン蛍光法及び電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)を含むが、これらに限定されない。例えば、一本鎖ポリヌクレオチドと結合するバリアントの能力は、実施例に説明されたように確認することができる。
【0108】
アミノ酸の同一性に基づいて、配列番号1~11のいずれか一つのアミノ酸配列の長さ全体に対して、バリアントは、当該配列と少なくとも20%の同一性を有することが好ましい。より好ましくは、アミノ酸の同一性に基づいて、前記バリアントのポリペプチドは、配列番号1~11のいずれか一つのアミノ酸配列の配列全体に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%及びより好ましく少なくとも95%、97%又は99%の同一性を有することができる。100以上、例えば150、200、300、400又は500又はより多くの連続アミノ酸の長さに、少なくとも70%、例えば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%のアミノ酸同一性(厳密な相同性)を有することができる。
【0109】
本発明の第2態様は、本発明に係るPif1様ヘリカーゼを少なくとも一つ又は複数含む構築体を提供する。
【0110】
好ましくは、前記構築体は、ポリヌクレオチド結合部をさらに含む。
【0111】
好ましくは、前記構築体は、ポリヌクレオチドの移動を制御する能力を有する。
【0112】
好ましくは、前記ポリヌクレオチド結合部は、ポリヌクレオチドの塩基に結合する部分、及び/又はポリヌクレオチドの糖環に結合する部分、及び/又はポリヌクレオチドのリン酸に結合する部分であってもよい。
【0113】
好ましくは、前記構築体を構成するPif1様ヘリカーゼとポリヌクレオチド結合部は、単独で調製された後に直接連結することができる。遺伝子融合方法により構築体を直接調製することがでる。例えば、Pif1様ヘリカーゼをコードするヌクレオチドとポリヌクレオチド結合部とを連結させ、発現のために宿主細胞に移し、精製する。
【0114】
さらに好ましくは、前記ポリヌクレオチド結合部は、ポリヌクレオチドに結合できるポリペプチドであり、真核生物の一本鎖結合タンパク質、細菌の一本鎖結合タンパク質、古細菌の一本鎖結合タンパク質、ウイルスの一本鎖結合タンパク質又は二本鎖結合タンパク質のうちの一種又は二種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0115】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記ポリヌクレオチド結合部は、表7に示すいずれか一種を含むが、これらに限定されない。
【0116】
【表7】
【0117】
本発明の第3態様は、本発明に係るPif1様ヘリカーゼ又は前記構築体をコードする核酸を提供する。
【0118】
本発明の第4態様は、本発明に係る核酸を含む発現ベクターを提供する。
【0119】
好ましくは、前記核酸は、発現ベクターの調節エレメントに作動可能に連結され、ここで、前記調節エレメントは、好ましくは、プロモーターである。
【0120】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記プロモーターは、T7、trc、lac、ara又はλから選択される。
【0121】
好ましくは、前記発現ベクターは、プラスミド、ウイルス又はファージを含むが、これらに限定されない。
【0122】
本発明の第5態様は、本発明に係る核酸又は発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0123】
好ましくは、前記宿主細胞は大腸菌を含むが、これらに限定されない。
【0124】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記宿主細胞は、BL21(DE3)、JM109(DE3)、B834(DE3)、TUNER、C41(DE3)、Rosetta2(DE3)、Origami、Origami Bなどから選択される。
【0125】
本発明の第6態様は、Pif1様ヘリカーゼの調製方法を提供し、前記方法は、野生型Pif1様ヘリカーゼを提供し、次に前記野生型Pif1様ヘリカーゼを修飾して本発明に係るPif1様ヘリカーゼを取得することを含む。
【0126】
本発明の第7態様は、Pif1様ヘリカーゼの調製方法を提供し、前記方法は、本発明に係る宿主細胞を培養し、誘導性の発現と精製を行って、Pif1様ヘリカーゼを取得することを含む。
【0127】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記方法は、本発明に係るPif1様ヘリカーゼのアミノ酸配列に従って、Pif1様ヘリカーゼをコードする核酸配列を取得し、酵素切断して発現ベクターにライゲーションし、次に大腸菌に形質転換し、誘導性の発現と精製を行って、Pif1様ヘリカーゼを得る。
【0128】
本発明の第8態様は、ポリヌクレオチドの移動を制御する方法を提供する。前記方法は、本発明に係るPif1様ヘリカーゼ又は構築体をポリヌクレオチドに接触させることを含む。
【0129】
好ましくは、前記ポリヌクレオチドの移動を制御することは、ポアを通過するポリヌクレオチドの移動を制御することである。前記ポアはナノポアであり、前記ナノポアは膜貫通ポアである。当該ポアは、天然又は人工のポアであってもよく、タンパクポア、ポリヌクレオチドポア又は固体状ポアを含むが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記膜貫通ポアは、生物学的ポア、固体状ポア、又は生物学的ポアと固体状ポアのハイブリッドポアから選択される。
【0131】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記ポアは、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンA、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンB、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンC、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンD、ヘモリシン、リシン、インターロイキン、外膜ポリンF、外膜ポリンG、外膜ホスホリパーゼA、WZA又はナイセリアオートトランスポーターリポタンパク質などから由来するものを含むが、これらに限定されない。
【0132】
好ましくは、前記方法は、一つ又は複数のPif1様ヘリカーゼと共にポリヌクレオチドの移動を制御することができる。
【0133】
本発明の第9態様は、標的ポリヌクレオチドを特徴づける方法を提供し、前記方法は、以下を含む。
I)本発明に係るPif1様ヘリカーゼ又は構築体を、標的ポリヌクレオチド及びポアと接触させて、Pif1様ヘリカーゼ又は構築体がポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動を制御するようにすること、及び、
II)標的ポリヌクレオチドのヌクレオチドと前記ポアが相互作用する時の一つ又は複数の特徴を取得して、前記標的ポリヌクレオチドを特徴づけること。
【0134】
好ましくは、前記方法において任意の数の本発明に係るPif1様ヘリカーゼを使用することができる。好ましくは、一つ又は複数であり、より好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9個又はより多くてもよい。ここで、二つ以上の本発明に係るPif1様ヘリカーゼは、同じでも異なってもよい。野生型Pif1様ヘリカーゼ又は他のタイプのヘリカーゼを含み得る。さらに、二つ以上のヘリカーゼが互いに連結されるか又はポリヌクレオチドにそれぞれ結合されて、ポリヌクレオチドの移動を制御する機能を奏することができる。
【0135】
好ましくは、ポアに一つの力(例えば、電圧)を印加すると、ポアを通過する標的ポリヌクレオチドの速度がPif1様ヘリカーゼ又は構築体により制御され、これにより識別可能な安定した電流レベルを取得し、標的ポリヌクレオチドの特徴を確認するために用いられる。
【0136】
好ましくは、工程I)及びII)を一回又は複数回繰り返す。
【0137】
好ましくは、前記方法は、前記ヘリカーゼ又は構築体にまたがって、標的ポリヌクレオチドに電位差を印加する工程をさらに含む。
【0138】
好ましくは、前記ポアは、印加された電位の駆動下で水和イオンが膜の一側から膜の他側に流れることを許容する構造である。さらに好ましくは、前記ポアはナノポアであり、前記ナノポアは膜貫通ポアである。前記膜貫通ポアは、標的ポリヌクレオチドの移動にチャネルを提供する。
【0139】
前記膜は、従来技術において存在するいかなる膜であってもよく、好ましくは両親媒性分子層、即ち、少なくとも一つの親水性部分と少なくとも一つの親油性又は疎水性部分を有する両親媒性分子(例えば、リン脂質)で形成された層である。両親媒性分子は、合成又は天然に存在することができる。さらに好ましくは、前記膜は脂質二重層膜である。
【0140】
前記標的ポリヌクレオチドは、任意の既知の方法を用いて膜に連結されることができる。膜が両親媒性分子層、例えば脂質二重分子層であれば、前記ポリヌクレオチドは、好ましくは、前記膜に存在するポリペプチド又は前記膜に存在する疎水性アンカーによって当該膜に連結される。ここで、疎水性アンカーは、脂質、脂肪酸、ステロール、カーボンナノチューブ又はアミノ酸であることが好ましい。
【0141】
好ましくは、前記ポアは生物学的ポア、固体状ポア、又は生物学的ポアと固体状ポアのハイブリッドポアから選択される。
【0142】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記ポアは、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンA、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンB、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンC、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンD、ヘモリシン、リシン、インターロイキン、外膜ポリンF、外膜ポリンG、外膜ホスホリパーゼA、WZA又はナイセリアオートトランスポーターリポタンパク質等から由来するものを含むが、これらに限定されない。
【0143】
移動を促進する全ての必要な成分を提供する場合、Pif1様ヘリカーゼはDNAに沿って5’-3’の方向で移動するが、DNAのポア内での配向(DNAのどの末端が捕捉されるかに依存する)とは、酵素を使用して、印加されたフィールドの方向の逆方向でDNAをポアから取り出すために用いられるか、又は印加された電界の方向に沿ってDNAをポアに移動するために用いられることを意味する。
【0144】
好ましくは、前記標的ポリヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖又は少なくとも一部が二本鎖である。
【0145】
さらに好ましくは、前記標的ポリヌクレオチドは、タグ、スペーサー、メチル化、酸化又は損傷の方式により修飾されることができる。
【0146】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記標的ポリヌクレオチドは、少なくとも一部が二本鎖である。ここで、前記二本鎖部分は、前記ポアに優先的にねじ込まれるリーダー配列を含むYアダプター構造を構成する。
【0147】
さらに好ましくは、前記標的ポリヌクレオチドの長さは10~100000個又はより多くてもよい。
【0148】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記標的ポリヌクレオチドの長さは、少なくとも10個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも1000個、少なくとも2000個、少なくとも5000個、少なくとも10000個、少なくとも50000個又は少なくとも100000個などであってもよい。
【0149】
好ましくは、前記ヘリカーゼは、一本鎖ポリヌクレオチドの内部ヌクレオチドに結合される。
【0150】
好ましくは、前記一つ又は複数の特徴は、標的ポリヌクレオチドの由来、長さ、同一性、配列、二次構造、又は標的ポリヌクレオチドが修飾されているか否かから選択される。
【0151】
好ましくは、前記一つ又は複数の特徴は、電気的測定及び/又は光学的測定によって測定される。
【0152】
さらに好ましくは、電気的測定及び/又は光学的測定によって電気信号及び/又は光信号を生成し、各ヌクレオチドは一つの信号レベルに対応し、続いて電気信号及び/又は光信号をヌクレオチドの特徴に変換する。
【0153】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記電気的測定は、電流測定、インピーダンス測定、トンネリング測定、ウィンドトンネル測定又は電界効果トランジスタ(FET)測定などを含むが、これらに限定されない。
【0154】
本発明に係る電気信号は電流、電圧、トンネリング、抵抗、電位、導電率又は横方向の電気的測定の測定値から選択される。
【0155】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記電気信号は、前記ポアを通過する電流である。
【0156】
本発明の第10態様は、標的ポリヌクレオチドを特徴づける製品を提供する。前記製品は、本発明に係るPif1様ヘリカーゼ、構築体、核酸、発現ベクター又は宿主細胞、及びポアを含む。
【0157】
好ましくは、前記製品は、複数のPif1様ヘリカーゼ及び/又は複数の構築体を含む。
【0158】
好ましくは、前記製品は、複数のポアを含む。さらに好ましくは、前記ポアはナノポアであり、前記ナノポアは膜貫通ポアである。
【0159】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記膜貫通ポアは、生物学的ポア、固体状ポア、又は生物学的ポアと固体状ポアのハイブリッドポアから選択される。
【0160】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記ポアは、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンA、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンB、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンC、マイコバクテリウム・スメグマティス・ポリンD、ヘモリシン、リシン、インターロイキン、外膜ポリンF、外膜ポリンG、外膜ホスホリパーゼA、WZA又はナイセリアオートトランスポーターリポタンパク質等から由来するものを含むが、これらに限定されない。
【0161】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記製品は、複数のPif1様ヘリカーゼ又は複数の構築体、及び複数のポアを含む。
【0162】
好ましくは、前記製品は、キット、装置又はセンサから選択される。
【0163】
さらに好ましくは、前記キットは、脂質二重層を含むチップをさらに含む。前記ポアは、脂質二重層に跨る。
【0164】
本発明に係るキットは、一つ又は複数の脂質二重層を含み、各脂質二重層は、一つ又は複数の前記ポアを含む。
【0165】
本発明に係るキットは、標的ポリヌクレオチドを特徴づける試薬又は装置をさらに含む。好ましくは、前記試薬は、緩衝剤、PCR増幅に必要なツールを含む。
【0166】
本発明の第11態様は、標的ポリヌクレオチドの特徴づけ又はポアを通過する標的ポリヌクレオチドの移動に対する制御における、本発明に係るPif1様ヘリカーゼ、構築体、核酸、発現ベクター、宿主細胞又は製品の使用を提供する。
【0167】
本発明の第12態様は、標的ポリヌクレオチドを特徴づけるキットを提供する。前記キットは、本発明に係るPif1様ヘリカーゼ、構築体又は核酸、発現ベクター又は宿主細胞、及びポアを含む。
【0168】
本発明の第13態様は、標的ポリヌクレオチドを特徴づける装置を提供する。前記装置は、本発明に係るPif1様ヘリカーゼ、構築体又は核酸、発現ベクター又は宿主細胞、及びポアを含む。
【0169】
好ましくは、前記装置は、前記複数のポアを支持し且つポアとポリヌクレオチドとの相互作用信号を伝達できるセンサ、及び少なくとも一つの標的ポリヌクレオチドを貯蔵するための貯蔵器、及び特徴付けを実施する過程に必要な溶液を含む。
【0170】
好ましくは、前記装置は、複数のPif1様ヘリカーゼ及び/又は複数の構築体、及び複数のポアを含む。
【0171】
本発明の第14態様は、標的ポリヌクレオチドを特徴づけるセンサを提供し、前記センサは、前記ポアと本発明に係るPif1様ヘリカーゼ又は構築体との間に複合体を形成することを含む。
【0172】
好ましくは、前記標的ポリヌクレオチドの存在下で、前記ポアとヘリカーゼ又は構築体とを接触させ、前記ポアに跨って電位を印加する。前記電位は、電圧電位又は化学電位から選択される。
【0173】
本発明の第15態様は、標的ポリヌクレオチドを特徴づけるセンサを形成する方法を提供し、前記ポアと本発明に係るPif1様ヘリカーゼ又は構築体との間に複合体を形成して標的ポリヌクレオチドを特徴づけるセンサを形成することを含む。
【0174】
本発明の第16態様は、ポリヌクレオチドに連結される二つ又は複数のヘリカーゼを提供し、ここで、前記二つ又は複数のヘリカーゼの少なくとも一つが本発明に係るPif1様ヘリカーゼである。
【0175】
本発明の第17態様は、Pif1様ヘリカーゼオリゴマーを提供し、前記Pif1様ヘリカーゼオリゴマーは、一つ又は複数の本発明に係るPif1様ヘリカーゼを含む。
【0176】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼオリゴマーは、野生型Pif1様ヘリカーゼ又は他のタイプのヘリカーゼをさらに含み得る。ここで、前記他のタイプのヘリカーゼは、Hel308ヘリカーゼ、XPDヘリカーゼ、Ddaヘリカーゼ、TraIヘリカーゼ又はTrwCヘリカーゼなどであってもよい。
【0177】
好ましくは、Pif1様ヘリカーゼと野生型Pif1様ヘリカーゼとの間、Pif1様ヘリカーゼとPif1様ヘリカーゼとの間、野生型Pif1様ヘリカーゼと野生型Pif1様ヘリカーゼとの間、Pif1様ヘリカーゼと他のタイプのヘリカーゼとの間、又は野生型Pif1様ヘリカーゼと他のタイプのヘリカーゼとの間は、頭対頭、尾対尾、又は頭対尾の方式で連結又は配列されてもよい。
【0178】
好ましくは、前記Pif1様ヘリカーゼオリゴマーは、二つ以上の本発明に係るPif1様ヘリカーゼを含み、ここで、前記Pif1様ヘリカーゼは、異なっても同じであってもよい。
【0179】
本発明に係る「Pif1様ヘリカーゼ」は修飾されたものである。前記修飾は、野生型又は天然ヘリカーゼに対して修飾されたものである。
【0180】
本発明に係る「Pif1様ヘリカーゼ」、「構築体」又は「ポア」は、いずれも修飾されて、同定又は精製に役立つ。例えば、ヒスチジン残基(Hisタグ)、アスパラギン酸残基(aspタグ)、ストレプトアビジンタグ、Flagタグ、SUMOタグ、GSTタグ又はMBPタグを添加して、又は信号配列を添加して、ポリペプチドに信号配列が自然に含まれていない細胞からの分泌を促進する。遺伝子タグを導入する代わりに、化学反応によりタグをPif1様ヘリカーゼ、ポア又は構築体上の天然又は人工位置に連結することもできる。
【0181】
本発明に係る「ヌクレオチド」は、アデノシン一リン酸(AMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、チミジン一リン酸(TMP)、ウリジン一リン酸(UMP)、シチジン一リン酸(CMP)、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、環状グアノシン一リン酸(cGMP)、デオキシアデノシン一リン酸(dAMP)、デオキシグアノシン一リン酸(dGMP)、デオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシウリジン一リン酸(dUMP)及びデオキシシチジン一リン酸(dCMP)を含むが、これらに限定されない。好ましくは、前記ヌクレオチドは、AMP、TMP、GMP、CMP、UMP、dAMP、dTMP、dGMP又はdCMPから選択される。
【0182】
本発明に係る「保存的アミノ酸置換」は、アラニンとセリン、グリシン、スレオニン、バリン、プロリン又はグルタミン酸との間の置換、及び/又は、アスパラギン酸とグリシン、アスパラギン又はグルタミン酸との間の置換、及び/又は、セリンとグリシン、アスパラギン又はスレオニンとの置換、及び/又は、ロイシンとイソロイシン又はバリンとの間の置換、及び/又は、バリンとロイシン、イソロイシンとの間の置換、及び/又は、チロシンとフェニルアラニンとの間の置換、及び/又は、リジンとアルギニンとの間の置換を含むが、これらに限定されない。上記の前記置換基は、本発明に記載のアミノ酸配列の活性を変化させない。
【0183】
本発明に係る「二つ以上」は、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、又はより多くの個数などを含む。
【0184】
本発明に係る「複数」は、二つ以上、三つ以上、四つ以上、五つ以上、六つ以上、七つ以上、八つ以上、又はより多くの個数などを含むが、これらに限定されない。
【0185】
本発明に係る「少なくとも一つ」は、一つ以上、二つ以上、三つ以上、四つ以上、五つ以上、六つ以上、七つ以上、八つ以上又はより多くの個数などを含むが、これらに限定されない。
【0186】
本発明に係る「及び/又は」は、択一の項目及び任意の個数の項目の組み合わせを含む。
【0187】
本発明に係る「含む」は、制限のない用語であり、記載された特定の成分又は工程、及び実質的な効果を有さない他の成分又は工程を含むことを意味する。
【0188】
本発明に係る「非天然アミノ酸」は、Pif1様ヘリカーゼに天然に存在するアミノ酸ではない。好ましくは、4-アジド-L-フェニルアラニン(Faz)、4-アセチル-L-フェニルアラニン、3-アセチル-L-フェニルアラニン、4-アセトアセチル-L-フェニルアラニン、O-アリル-L-チロシン、3-(フェニルセレニル)-L-アラニン、O-2-プロピン-1-イル-L-チロシン、4-(ジヒドロキシボリル)-L-フェニルアラニン、4-[(エチルスルファニル)カルボニル]-L-フェニルアラニン、(2S)-2-アミノ-3-{4-[(プロパン-2-イルスルファニル)カルボニル]フェニル}プロピオン酸、(2S)-2-アミノ-3-{4-[(2-アミノ-3-スルファニルプロパノイル)アミノ]フェニル}プロピオン酸、O-メチル-L-チロシン、4-アミノ-L-フェニルアラニン、4-シアノ-L-フェニルアラニン、3-シアノ-L-フェニルアラニン、4-フルオロ-L-フェニルアラニン、4-ヨード-L-フェニルアラニン、4-ブロモ-L-フェニルアラニン、O-(トリフルオロメチル)チロシン、4-ニトロL-フェニルアラニン、3-ヒドロキシ-L-チロシン、3-アミノ-L-チロシン、3-ヨード-L-チロシン、4-イソプロピル-L-フェニルアラニン、3-(2-ナフチル)-L-アラニン、4-フェニル-L-フェニルアラニン、(2S)-2-アミノ-3-(ナフタレン-2-イルアミノ)プロピオン酸、6-(メチルスルファニル)ノルロイシン、6-オキシ-L-リジン、D-チロシン、(2R)-2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、(2R)-2-アミノオクタン酸エステル-3-(2,2′-ビピリジル-5-イル)-D-アラニン、2-アミノ-3-(8-ヒドロキシ-3-キノリル)プロピオン酸、4-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、S-(2-ニトロベンジル)システイン、(2R)-2-アミノ-3-[(2-ニトロベンジル)スルファニル]プロピオン酸、(2S)-2-アミノ-3-[(2-ニトロベンジル)オキシ]プロピオン酸、O-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)-L-セリン、(2S)-2-アミノ-6-({[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、O-(2-ニトロベンジル)-L-チロシン、2-ニトロフェニルアラニン、4-[(E)-フェニルジアゼニル]-L-フェニルアラニン、4-[3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリジニル-3イル]-D-フェニルアラニン、2-アミノ-3-[[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニルアミノ]プロピオン酸、(2S)-2-アミノ4-(7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)ブタン酸、(2S)-3-[(6-アセチルナフタレン-2-イル)アミノ]-2-アミノプロピオン酸、4-(カルボキシメチル)フェニルアラニン、3-ニトロ-L-チロシン、O-チオ-L-チロシン、(2R)-6-アセチルアミノ-2-アミノカプロン酸エステル、1-メチルヒスチジン、2-アミノノナン酸、2-アミノデカン酸、L-ホモシステイン、5-スルファニル-ノルバリン、6-スルファニル-L-ノルロイシン、5-(メチルスルファニル)-L-ノルバリン、N6-{[(2R,3R)-3-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル]カルボニル}-L-リジン、N6-[(ベンジルオキシ)カルボニル]リジン、(2S)-2-アミノ-6-[(シクロペンチルカルボニル)アミノ]ヘキサン酸、N6-[(シクロペンチルオキシ)カルボニル]-L-リジン、(2S)-2-アミノ-6-{[(2R)-テトラヒドロフラン-2-イルカルボニル]アミノ}ヘキサン酸、(2S)-2-アミノ-8-[(2R,3S)-3-エチニルテトラヒドロフラン-2-イル]-8-オキシオクタン酸、N6-(t-ブトキシカルボニル)-L-リジン、(2S)-2-ヒドロキシ-6-({[(2-メチル-2-プロパンイル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、N6-[(アリルオキシ)カルボニル]リジン、(2S)-2-アミノ-6-({[(2-アジドベンジル)オキシ]カルボニル}アミノ)ヘキサン酸、N6-L-プロピル-L-リジン、(2S)-2-アミノ-6-{[(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサン酸又はN6-[(2-アジドエトキシ)カルボニル]-L-リジンを含むが、これらに限定されない。
【実施例0189】
下記の実施例は、本発明の内容をさらに説明するものであるが、本発明を限定するものと理解すべきではない。本発明の主旨及び実質から逸脱することなく、本発明の方法、工程又は条件に対して行われた修正又は差替えは、いずれも本発明の範囲内に属する。
【0190】
特に明記しない限り、実施例で用いられる技術的手段は、当業者に周知の従来の手段である。各実施例で使用される装置及び試薬はいずれも常用の市販品であり得る。シークエンシングに使用されたシーケンサーは、QITAN TECH社製のQNome-9604遺伝子シーケンサーであり、シークエンシングのアルゴリズムは、ONT(Oxford Nanopore Technologies社、オックスフォードナノポア社)製のオープンソースのシークエンシングモデル bonito-ctcであり、詳細なオープンソースアドレスは、https://github.com/nanoporetech/bonitoである。これは、CTCに基づくオープンソースの端末間のseq2seqモデルであり、アーキテクチャは、エヌビディア(NVIDIA)社のオープンソースの音声認識ネットワークQuartzNetに基づく。QuartzNetの論文は、『QUARTZNET:DEEP AUTOMATIC SPEECH RECOGNITION WITH 1D TIME-CHANNEL SEPARABLE CONVOLUTIONS』である。
【0191】
実施例1 Pif1様ヘリカーゼの調製
1 材料及び方法
Pif1様ヘリカーゼ配列を含有する組換えプラスミド(アミノ酸配列の配列番号1~11のバリアントであり、それはヌクレオチド配列の配列番号25~35に対応する)を、熱ショックによりBL21(DE3)コンピテント細胞に形質転換し、蘇生した細菌溶液をアンピシリン耐性の固体LBプレートに塗布した後、37℃で一晩培養し、単一コロニーを選び、100mlのアンピシリン耐性液体LB培地に接種し、37℃で培養する。接種量の1%をアンピシリン耐性LB液体培地に接種して拡大培養し、37℃、200rpmの条件下で培養し、そのOD600値を連続的に測定する。OD600=0.6~0.8である場合、LB培地の培養液を18℃に冷却し、イソプロピルチオガラクトシド(Isopropyl β-D-Thiogalactoside、IPTG)を添加して発現を誘導し、最終濃度を1mMにする。12~16時間後、18℃で細菌を収集する。細菌を高圧下で粉砕し、FPLC方法で精製し、サンプルを収集する。
2 結果
【0192】
図10は、精製されたMph MP1(配列番号11のバリアント)SDS-PAGEゲル電気泳動図を示す。
【0193】
実施例2
蛍光分析を用いて酵素の活性を検出することによって、Pif1様ヘリカーゼのハイブリダイズしたdsDNA巻き戻し能力を説明する。
【0194】
1 材料及び方法
図1のa)に示すように、蛍光基質鎖(最終濃度 100nM)は、5’端のssDNA突出部分、及び50塩基のハイブリダイズしたdsDNA部分を有する。主鎖の上部(B)が3’端にブラックホールクェンチャー(BHQ-1)塩基(配列番号20-BHQ-3’)を有し、前記ハイブリダイズした相補鎖が5’端にカルボキシフルオレセイン(5’FAM-配列番号21)を有することを含む。ハイブリダイズしたフルオレセイン由来蛍光が局所的なBHQ-1によって消光され、基質は本質的に非蛍光性である。さらに、蛍光基質の短鎖に相補的な0.5μMの捕捉鎖(配列番号22)を含む。b)に示すように、ATP(5mM)及びMgCl(5mM)の存在下で、基質に添加されたPif1様ヘリカーゼ(200nM)は、前記蛍光基質の5’端部分に連結され、前記主鎖に沿って移動し、前記相補鎖を巻き戻した後、過剰の捕捉鎖が優先的に相補鎖DNAにアニーリングして、最初の基質の再アニーリングと蛍光の損失を防止する。同時に、システム内に依然としてPif1様ヘリカーゼによって巻き戻されない一定量のハイブリッドしたdsDNAが存在する。c)に示すように、主鎖に完全に相補的な捕捉鎖A(配列番号23)を過剰に添加した後、巻き戻されないdsDNAの一部は、過剰なAの存在により鎖巻き戻し効果を奏し、最終的に全てのdsDNAが巻き戻され、蛍光値が最も高くなる。
【0195】
2 結果
図2は、400mM NaClを含有する緩衝液の時間依存性のdsDNA巻き戻し比の変化図を示す(10mM Hepes pH8.0、5mM ATP、5mM MgCl、100nM蛍光基質DNA、0.5μM 捕捉DNA)。
【0196】
実施例3
例示的にゲル測定を使用して本発明の修飾されたPif1様ヘリカーゼのDNA結合能力を測定する。
【0197】
具体的に、Aph Acj61-D97C/A363C(D97C/A363Cの突然変異を有する配列番号2)、Aph PX29-D96C/A371C(D96C/A371Cの突然変異を有する配列番号3)、Sph CBH8-A94C/A361C/C136A(A94C/A361C及びC136Aの突然変異を有する配列番号5)、Pph PspYZU05-D104C/A375C/C146A(D104C/A375C及びC146Aの突然変異を有する配列番号8)及びMph MP1-E105C/A362C(E105C/A362Cの突然変異を有する配列番号11)とDNAとの結合能力を測定する。
【0198】
1 材料及び方法
10mM HEPE、pH値 8.0、400mM 塩化カリウム中で、アニーリングしたDNA複合体(配列番号18と5’FAMで修飾された配列番号19とのハイブリダイゼーション)を、(1:1、体積/体積)の割合で、それぞれ、Aph Acj61、Aph PX29、Sph CBH8、Pph PspYZU05、Mph MP1、Aph Acj61-D97C/A363C、Aph PX29-D96C/A371C、Sph CBH8-A94C/A361C/C136A、Pph PspYZU05-D104C/A375C/C146A、Mph MP1-E105C/A362Cと混合して、Pif1様ヘリカーゼの最終濃度(600nM)及びDNA(30nM)を得る。Pif1様ヘリカーゼを室温下で1時間DNAと結合させる。最終濃度が5μMになるまで、TMADを各サンプルに添加し、室温で1時間培養する。サンプルを4~20%TBEゲルにロードし、160Vで1.5時間泳動する。そして、当該ゲルを青色蛍光下でDNAバンドを観察する。
【0199】
2 結果
図3は、Pif1様ヘリカーゼの修飾前後のDNA結合能力への影響を示す。レーン2~6は、大量のDNAが電気泳動過程においてPif1様ヘリカーゼと結合せず、明らかな結合バンドが観察されないことを示す。レーン7~11は、異なる個数の酵素がDNAと結合した結合バンドを示し、ここで、レーン9及び10は、最大5個のPif1様ヘリカーゼが配列番号18の一本鎖部分と結合できることを示す。これは、Pif1様ヘリカーゼが修飾された後にDNAと結合する結合強度を大幅に向上させることを示す。
【0200】
実施例4
本実施例は、Mph MP1-E105C/A362C(E105C/A362Cの突然変異を有する配列番号11)を例として、Pif1様ヘリカーゼが単一MspAナノポア(配列番号12)を通過するDNA鎖全体をどのように制御するかを検証する。
【0201】
1 材料及び方法
図4に示すようなDNA構造体Aを調製する。配列番号13(塩基配列が「ttttttt」,B領域)は、その5’末端が20個のiSpC3スペーサー(A領域)に連結され、その3’末端が4つのiSpC3スペーサー(C領域)に連結される。当該スペーサーは、配列番号14(D領域)の5’末端に連結され、当該配列番号14の3’末端は、配列番号17(E領域)に連結される。当該DNA構造体の配列番号15の領域(F領域)は、配列番号16(G領域であって、5’コレステロールテザーを有する)とハイブリダイズする。調製されたDNA構造体とMph MP1-E105C/A362Cを、25℃の緩衝液(10mM HEPES、pH8.0、400mM NaCl、5% グリセリン、2mM DTT)中で一緒に30分間プレインキュベートする。
【0202】
電気的測定値は、1,2-ジエタノールアシル-グリセロ-3-コリンリン酸脂質二重分子層に埋め込まれたMspAナノポアから取得される。Montal-Mueller技術により、PTFE膜上の直径約25μmの孔に二重分子層を形成し、二つの約100μLの緩衝溶液を分離する。全ての実験は、前記緩衝液中で行われる。デジタル変換器を備えた増幅器を用いて、単一チャネルの電流を測定する。Ag/AgCl電極が前記緩衝液に連結され、シスコンパートメントは増幅器の接地端子に連結され、トランスコンパートメントは活性電極に連結される。
【0203】
前記二重分子層が単一ポアを実現した後、DNAポリヌクレオチド及びPif1様ヘリカーゼを、電気生理学的チャンバーのシスコンパートメントの70μL緩衝液に添加し、前記ナノポアでの酵素-DNA複合体の捕捉を開始する。必要に応じて、前記シスコンパートメントに二価金属(5mM MgCl)及びNTP(2.86μM ATP)を添加することにより、ヘリカーゼのATP酵素活性を活性化する。実験は、+180mVの定電位で実施される。
【0204】
2 結果及び検討
結果から、DNA構築体におけるPif1様ヘリカーゼにより制御されるDNA移動が観察され、Pif1様ヘリカーゼにより制御されるDNA移動の結果は、図5に示す通りである。Pif1様ヘリカーゼにより制御されるDNA移動は50秒であり、前記ナノポアを通過する10kBに近いDNA構築体の転座に対応する。ここで、図6は、Pif1様ヘリカーゼにより制御されるDNA移動の部分領域の拡大図を示す。
【0205】
実施例5
本実施例は、Sph CBH8-A94C/A361C/C136A(A94C/A361C/C136Aの突然変異を有する配列番号5)及びEph Pei26-D99C/A366C/C141A(D99C/A366C/C141Aの突然変異を有する配列番号6)及びPph PspYZU05-D104C/A375C/C146A(D104C/A375C及びC146Aの突然変異を有する配列番号8)を例として、Pif1様ヘリカーゼが単一MspAナノポアを通過するDNA鎖全体を如何に制御するかを検証する。
【0206】
1 材料及び方法
図4に示すようなDNA構築体Bを調製する。配列番号13は、その5’末端が20個のiSpC3スペーサーに連結され、その3’末端が4つのiSpC3スペーサーに連結され、当該スペーサーは、配列番号14の5’末端に連結され、当配列番号14の3’末端は、配列番号24に連結され、当該DNA構築体の配列番号15の領域は、配列番号16(3’コレステロールテザーを有する)とハイブリダイズする。当該DNA構築体Bは、実施例4で用いられる構築体と類似し、相違とは、Eと標識される領域が配列番号24に対応することである。
【0207】
緩衝液(50mM NaClにおいて、10mM TriS pH7.5)中のDNA構築体Bと緩衝液(50mM KCl、10mM HEPES、pH8.0)中のSph CBH8-A94C/A361C/C136A、Eph Pei26-D99C/A366C/C141A又はPph PspYZU05-D104C/A375C/C146Aを、室温下で30分間プレインキュベートする。次に、DNA/酵素のプレ混合物にTMADを添加し、さらに30分間インキュベートする。最後に、前記プレ混合物に緩衝液(10mM HEPES、600mM KCl、pH8.0、3mM MgCl)及びATPを添加する。
【0208】
電気的測定値は、室温で、緩衝液(10mM HEPES、400mM KCl、pH8.0)中のブロック共重合体に挿入された単一MspAナノポアから取得される。単一ポアをブロック共重合体に挿入した後、Pif1様ヘリカーゼ(Sph CBH8-A94C/A361C/C136A、Eph Pei26-D99C/A366C/C141A又はPph PspYZU05-D104C/A375C/C146A(1nM 最終濃度))、DNA(0.3nM 最終濃度)、燃料(ATP、3mM 最終濃度)のプレ混合物を、単一ナノポア実験システムに添加する。各実験は、保持電位180mVで2時間実施され、Pif1様ヘリカーゼの制御によるDNAの移動が監視される。
【0209】
2 結果
DNA構築体Bに対して、Pif1様ヘリカーゼの制御によるDNAの移動を観察し、そのSph CBH8-A94C/A361C/C136A、Eph Pei26-D99C/A366C/C141A又はPph PspYZU05-D104C/A375C/C146Aの制御によるDNAの移動の結果は、それぞれ図7~9に示す通りである。
【0210】
実施例6
本実施例において、Eph-Pei26-D99C/A366C/F103W/E286K(D99C/A366C/F103W/E286Kの突然変異を有する配列番号6)及びEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W/E286K(D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W/E286Kの突然変異を有する配列番号6)を例として、ヘリカーゼのいくつかのタイプの天然アミノ酸の置換又は欠失によって、ヘリカーゼを化学修飾又は処理する際の一つ又は複数の当該タイプの位置のアミノ酸の非特異的な修飾を回避し、酵素分子間の異質性を減少させ、異なる酵素分子がMspAナノポア(配列番号12)を通過する異なる核酸分子を制御する速度の均一性を向上させることを説明する。
【0211】
1 材料及び方法
図4に示すようなDNA構造体Cを製造する。配列番号13(B領域)は、5’末端が20個のiSpC3スペーサー(A領域)に連結され、3’末端が4つのiSpC3スペーサー(C領域)に連結され、当該スペーサーは、配列番号14(D領域)の5’末端に連結され、当該DNA構造体の配列番号15(F領域)は、配列番号16(G領域であって、5’端が20個のiSPC3を有し、且つ末端にコレステロールが修飾される)とハイブリダイズする。
【0212】
濃度 10uMのAセグメント、Bセグメント、Cセグメント、Dセグメントが合成されて連結されたセグメント、Fセグメント、Gセグメントを、1:1:1の割合で、アニーリング緩衝液(10mM Tris、pH7.0、50mM NaCl)に添加し、98℃ 10min、-0.1℃/0.6s、300サイクル、65℃ 5min、-0.1℃/0.6s、400サイクルのフローでアニーリング処理を行う(ここで、Aセグメント、Bセグメント、Cセグメント、Dセグメント、Fセグメント、Gセグメントは、生工生物工学(上海)株式会社により提供される)。
【0213】
調製されたDNA構造体CとEph-Pei26-D99C/A366C/F103W/E286K又はEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W/E286Kを、緩衝液(10mM HEPES、50mM KCl、pH7.0)中で、25℃で30分間プレインキュベートする。その後に最終濃度 1mMのTMADを添加して触媒処理が30分間行う。最後に、磁気ビーズ精製を経て、精製されたDNA構造体/酵素混合物と末端が修復された10kbの定長の核酸ライブラリーの配列番号17(E領域)とを、1.5:1のモル濃度比で、T4 DNAリガーゼの迅速連結反応系に添加し(下記表8に示すように、T4迅速連結(Rapid ligation)キットはEnzymatics社により提供される)、室温で10分間迅速TA連結される。連結生成物が磁気ビーズ精製された後、後続のシークエンシングシステムに投入される。
【0214】
【表8】
【0215】
電気的測定値は、1,2-ジエタノールアシル-グリセロ-3-コリンリン酸脂質二重分子層に埋め込まれたMspAナノポアから取得される。Montal-Mueller技術により、PTFE膜上の直径約25μmの孔に二重分子層を形成し、二つの約100μLの緩衝溶液を分離する。全ての実験は、前記緩衝液中で行われる。デデジタル変換器を備えた増幅器を用いて、単一チャネルの電流を測定する。Ag/AgCl電極が前記緩衝液に連結され、シスコンパートメントは増幅器の接地端子に連結され、トランスコンパートメントは活性電極に連結される。前記二重分子層への単一ポアの埋め込みを実現した後、インキュベーションが完了したDNA/酵素混合物を電気生理学的チャンバーのシスコンパートメントの70μL緩衝液(10mM HEPES、500mM KCl、50mM MgCl、50mM ATP、pH7.0)に添加し、35℃の条件下で180mVの定電位を印加し、前記MspAナノポア(配列番号12)でのDNA構造体/酵素複合体の捕捉及びヘリカーゼにより制御される核酸のナノポアへの通過の移動を開始し、且つヘリカーゼにより制御されるDNAの移動を監視し記録する。
【0216】
2 結果
ヘリカーゼ配列上のいくつかのタイプの天然アミノ酸は、ヘリカーゼにより制御される核酸のナノポアへの通過の移動速度の均一性に影響を与え、ここで、当該タイプの天然アミノ酸は、ヘリカーゼの核酸結合ポケットに存在するか又は導入され、化学的又は生物学的修飾を行った後に核酸結合ポケットを縮小する。ヘリカーゼの当該タイプのアミノ酸の置換又は欠失が、ヘリカーゼにより制御される核酸のナノポアへの通過の移動速度の均一性に対する改善効果を検定及び分析するために、本実施例では、シークエンシングによって得られる各原始電流信号の時間を取得することによって、各原始電流信号の速度が、定長ライブラリーの塩基長に基づいて計算される。Eph-Pei26-D99C/A366C/F103W/E286K及びEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W/E286Kにより制御される核酸ライブラリーのナノポアへの通過の電流信号を識別及び処理して、異なる核酸ライブラリーがナノポアを完全に通過する速度を計算し統計分析を行う。
【0217】
図12に示すように、図12のAにおいて、突然変異体 Eph-Pei26-D99C/A366C/F103W/E286Kにより制御される核酸のナノポアへの通過の速度はマルチピーク分布を呈するが、図12のBにおいて、突然変異体 Eph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W/E286Kにより制御される核酸の速度は単一ピーク分布を呈する。突然変異体 Eph-Pei26-D99C/A366C/F103W/E286K及びEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W/E286Kにおいて、突然変異の位置 D99C/A366Cは、Eph-Pei26ヘリカーゼの核酸結合ポケットに関連する1Bドメイン及び2Bドメインにそれぞれ導入されたシステイン突然変異である。突然変異体 Eph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W/E286Kは、Eph-Pei26ヘリカーゼの1Bドメイン及び2Bドメインに導入されたシステイン(C)以外の他の位置のシステインに対してC114V/C119V/C141S/C308S/C419Dの突然変異を行い、C114V/C119V/C141S/C308S/C419Dの突然変異は、TMADで触媒されるD99C/A366C間のジスルフィド結合の形成過程において他のシステイン位置(例えば、C114、C119、C141、C308又はC419)に修飾が導入されて酵素の機能に影響を及ぼし、酵素分子間の異質性を引き起こし、速度がマルチピーク分布を呈することを回避することができる。ヘリカーゼにより制御される核酸分子のナノポアへの通過の移動速度のマルチピーク分布は、アルゴリズムが信号を識別する難しさを増加させるか又は塩基の識別に不利になり、ヘリカーゼ配列上のいくつかのタイプの天然アミノ酸を置換することにより、ヘリカーゼにより制御される核酸のナノポアへの通過の移動速度の均一性を効果的に改善することができるため、効果的なシークエンシングデータのスループット及び正確度を向上させることができる。
【0218】
実施例7
本実施例において、Eph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D(D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419Dの突然変異を有する配列番号6)とEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103W(D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103Wの突然変異を有する配列番号6)により制御される核酸のMspAナノポア(配列番号12)への移動により生成された電流信号を比較分析することにより、ヘリカーゼと核酸のリン酸骨格、糖環又は塩基と相互作用するアミノ酸側鎖の電流信号への影響を説明し、さらにシークエンシングの正確度への影響を説明する。
【0219】
1 材料及び方法
図4に示すようなDNA構造体Dを製造する。配列番号13(B領域)は、5’末端が20個のiSpC3スペーサー(A領域)に連結され、3’末端が4つのiSpC3スペーサー(C領域)に連結され、当該スペーサーは、配列番号14(D領域)の5’末端に連結され、当該DNA構造体の配列番号15(F領域)は、配列番号16(G領域であって、5’端が20個のiSPC3を有し、且つ末端にコレステロールが修飾される)とハイブリダイズする。
【0220】
濃度 10uMのAセグメント、Bセグメント、Cセグメント、Dセグメントが合成されて連結されたセグメント、Fセグメント、Gセグメントを、1:1:1の割合で、アニーリング緩衝液(10mM Tris、pH7.0、50mM NaCl)に添加し、98℃ 10min、-0.1℃/0.6s、300サイクル、65℃ 5min、-0.1℃/0.6s、400サイクルのフローでアニーリング処理を行う(ここで、Aセグメント、Bセグメント、Cセグメント、Dセグメント、Fセグメント、Gセグメントは、生工生物工学(上海)株式会社により提供される)。
【0221】
調製されたDNA構造体DとEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D又はEph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103Wを、25℃の緩衝液(10mM HEPES、50mM KCl、pH7.0)中で30分間プレインキュベートし、最終濃度 1mMのTMADを添加して触媒処理を30分間行い、磁気ビーズ精製を経て、精製されたDNA構造体/酵素混合物と配列番号24及びその相補配列とのアニーリングにより形成された二本鎖DNA標的配列(E領域)とを、1.5:1のモル濃度比で、T4 DNAリガーゼの迅速連結反応系に添加し(下記表9に示すように、T4迅速連結キットはEnzymatics社により提供される)、室温で10分間迅速連結する。連結生成物が磁気ビーズ精製された後、後続のシークエンシングシステムに投入される。
【0222】
【表9】
【0223】
電気的測定値は、1,2-ジエタノールアシル-グリセロ-3-コリンリン酸脂質二重分子層に埋め込まれたMspAナノポアから取得される。Montal-Mueller技術により、PTFE膜上の直径約25μmの孔に二重分子層を形成し、二つの約100μLの緩衝溶液を分離する。全ての実験は、前記緩衝液中で行った。デデジタル変換器を備えた増幅器を用いて、単一チャネルの電流を測定する。Ag/AgCl電極が前記緩衝液に連結され、シスコンパートメントは増幅器の接地端子に連結され、トランスコンパートメントは活性電極に連結される。前記二重分子層への単一ポアの埋め込みを実現した後、インキュベーションが完了したDNA構造体及びヘリカーゼを電気生理学的チャンバーのシスコンパートメントの70μL緩衝液(10mM HEPES、600mM KCl、3mM MgCl、3mM ATP、pH7.0)に添加し、30℃の条件下で180mVの定電位を印加し、前記MspAナノポア(配列番号12)でのDNA構造体/酵素複合体の捕捉及びヘリカーゼにより制御される核酸のナノポアへの通過の移動を開始し、且つヘリカーゼにより制御されるDNAの移動を監視し記録する。
【0224】
2 結果
その結果、DNA構造体がEph-Pei26ヘリカーゼの突然変異体により制御されるDNAの移動が観察された。図13は、Eph-Pei26ヘリカーゼの突然変異体により制御される標的核酸配列配列番号24のナノポアへの通過の電流信号の特徴である。A図は、シミュレーションの標的核酸 配列番号24が一つずつナノポアを通過する移動により生成された電流信号の特徴である。B図は、突然変異体 Eph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/F/F103Wにより制御される標的核酸 配列番号24のナノポアへの通過の移動により生成された実際の電流信号である。C図は、Eph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419Dにより制御される標的核酸 配列番号24のナノポアへの通過の移動により生成された実際の電流信号である。比較から分かるように、突然変異体 Eph-Pei26-D99C/A366C/C114V/C119V/C141S/C308S/C419D/F103Wにより標的核酸配列番号24のナノポアへの通過が制御される際にいくつかの電流階段信号(B図の矢印標識)が現れ、それにより挿入(insertion)タイプのエラーの増加をもたらす。結果として、核酸塩基配列と相互作用するアミノ酸側鎖又は特定のドメイン位置の核酸塩基と相互作用するアミノ酸側鎖は、シークエンシングの正確度に影響を与える。
【0225】
実施例8
本実施例において、異なるEph-Pei26ヘリカーゼの突然変異体を用いてDNA構造体のナノポアへの通過の移動を制御し、測定されたヘリカーゼは、テンプレート一本鎖DNA又は相補一本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用する少なくとも一つのアミノ酸の置換を有する。異なるEph-Pei26ヘリカーゼの突然変異体により制御される核酸のMspAナノポア(配列番号12)への通過の移動の異なるパラメータを分析することにより、テンプレート一本鎖DNA又は相補一本鎖DNAの一つ又は複数のヌクレオチドと相互作用するヘリカーゼのアミノ酸の置換が、核酸のシークエンシングのレート及び正確度に対する影響を説明し、且つシークエンシングの正確度及び/又は速度を改善する複数の突然変異体を提供する。
【0226】
1 材料及び方法
図4に示すうなDNA構造体Eを調製する。配列番号13(B領域)は、5’末端が20個のiSpC3スペーサー(A領域)に連結され、3’末端が4つのiSpC3スペーサー(C領域)に連結され、当該スペーサーは、配列番号14(D領域)の5’末端に連結され、当該DNA構造体の配列番号15(F領域)は、配列番号16(G領域、5’端が20個のiSPC3を有し、且つ末端にコレステロールが修飾される)とハイブリダイズする。
【0227】
濃度 10uMのAセグメント、Bセグメント、Cセグメント、Dセグメントが合成されて連結されたセグメント、Fセグメント、Gセグメントを、1:1:1の割合でmアニーリング緩衝液(10mM Tris、pH7.0、50mM NaCl)に添加し、98℃ 10min、-0.1℃/0.6s、300サイクル、65℃ 5min、-0.1℃/0.6s、400サイクルのフローでアニーリング処理を行う(ここで、Aセグメント、Bセグメント、Cセグメント、Dセグメント、Fセグメント、Gセグメントは生工生物工学(上海)株式会社により提供される)。
【0228】
調製されたDNA構造体とEph-Pei26ヘリカーゼの突然変異体を、25℃の緩衝液(10mM HEPES、50mM KCl、pH7.0)中で30分間プレインキュベートし、異なるEph-Pei26ヘリカーゼの突然変異体は、下記表に示す通りである。最終濃度 1mMのTMADを添加して触媒処理を30分間行い、磁気ビーズ精製を経て、精製されたDNA構造体/酵素混合物と配列番号17の標的核酸の二本鎖DNA配列(E領域)とを、1.5:1のモル濃度比で、T4 DNAリガーゼの迅速連結反応系に添加し(下記表に示すように、T4迅速連結キットはEnzymatics社により提供される)、室温で10分間迅速連結する。連結生成物が磁気ビーズ精製された後、後続のシークエンシングシステムに投入される。
【0229】
【表10】
【0230】
【表11】
【0231】
電気的測定値は、1,2-ジエタノールアシル-グリセロ-3-コリンリン酸脂質二重分子層に埋め込まれたMspAナノポアから取得される。Montal-Mueller技術により、PTFE膜上の直径約25μmの孔に二重分子層を形成し、二つの約100μLの緩衝溶液を分離する。全ての実験は前記緩衝液中で行われる。デデジタル変換器を備えた増幅器を用いて、単一チャネルの電流を測定する。Ag/AgCl電極が前記緩衝液に連結され、シスコンパートメントは増幅器の接地端子に連結され、トランスコンパートメントは活性電極に連結される。前記二重分子層への単一ポアの埋め込みを実現した後、インキュベーションが完了したDNA/酵素混合物を電気生理学的チャンバーのシスコンパートメントの70μL緩衝液(10mM HEPES、500mM KCl、50mM MgCl、50mM ATP、pH7.0)に添加し、35℃の条件下で180mVの定電位を印加し、前記MspAナノポア(配列番号12)でのヘリカーゼ-DNA複合体の捕捉及びヘリカーゼにより制御される核酸のナノポアへの通過の移動を開始し、且つヘリカーゼにより制御されるDNAの移動を監視し記録する。
【0232】
2 結果
異なるEph-Pei26ヘリカーゼの突然変異体が配列番号17核酸配列のナノポアへの通過を制御する時に生成された電流信号特徴(中位速度(median speed)、階段欠失率(deletion ratio)、階段挿入率(insertion ratio)、不均一階段占有率(uneven ratio)、大電流擾乱発生率(flick ratio)などを含む)を分析することにより、テンプレート鎖又は相補鎖と相互作用するヘリカーゼのアミノ酸の置換が、核酸の移動を制御する酵素の能力に対する影響を説明し、さらに核酸のナノポアへの通過の移動を効果的に制御するヘリカーゼの突然変異体をスクリーニングし、シークエンシングの正確度及びスループット指標を改善する。上記パラメータの定義及び計算方法の概要は、以下の通りである。まず、定長のライブラリーシークエンシングの原始電流信号を一般的な配列比較アルゴリズム(例えば、動的時間計画)により対照塩基配列と切り分けて比較し、切り分けた電流信号及び対応する塩基配列情報を取得する。切り分けて比較した結果に基づいて、各パラメータをそれぞれ統計する。(1)中位速度(median speed)の計算方法は、実施例6で説明される通りである。(2)階段欠失率(deletion ratio)は、原始電流信号に欠失した対照配列の対応する塩基を示し、欠失した塩基の数を対照配列の合計塩基数で割ると階段欠失率を得る。(3)階段挿入率(insertion ratio)は、電流信号における挿入階段の割合を示し、比較結果に基づいて、二つ又は二つ以上の階段に一つの塩基が対合すれば、一つの挿入(insertion)と見なされる。(4)不均一階段占有率(uneven ratio)は、不均一な階段の割合を示す。理想的に、各塩基はいずれも原始電流信号の一つの均一な連続信号として発現する。実際に、この連続信号は相対的に均一であり、信号ブロックの電流値の標準偏差が一定の閾値より大きい場合に不均一階段と考えられる。不均一階段の数を階段総数で割ると、不均一階段占有率と定義する。(5)大電流擾乱発生率(flick ratio)は、大きな信号擾乱が発生する信号ブロック割合を示す。信号に対してハイパスフィルタリングを行い、相対的に高周波の成分を取得する。ハイパス以降の信号ブロックの標準偏差が一定の閾値より大きい場合、この信号ブロックにおいて高干渉が存在すると考えられる。高干渉ブロックの数を総数量で割ると、大電流擾乱発生率を得る。ここで、パラメータ(2)~(5)の数値が低いほど、シークエンシングの結果が高いと表明する。
【0233】
異なる突然変異体の各パラメータの分析結果は、表12に示す通りである。パラメータの分析結果から見ると、異なるアミノ酸の位置は、酵素により制御される核酸の移動に異なる影響を与え(移動速度、特に階段均一性、階段欠失率、階段挿入率のパラメータを含む)、これはアミノ酸側鎖が塩基の変位に対する干渉又は滑りから引き起こされる可能性がある。上記パラメータ値が小さいほど、酵素により制御される核酸の移動によって生成された電流信号の品質が良好であると考えられる。異なる突然変異体を評価する際に、各パラメータの影響を総合して突然変異の影響を考察する。本発明者らは、酵素により制御される核酸の移動のパラメータの差異に対するアミノ酸の位置の改造が、シークエンシングの正確度へ与える影響を検証するために、上記パラメータの間に大きな差異がある突然変異体を選択して後続の塩基識別のモデル訓練を行う。
【0234】
【表12】
【0235】
実施例9
本実施例において、実施例8の表12における階段欠失率(deletion ratio)、階段挿入率(insertion ratio)、不均一階段占有率(uneven ratio)、大電流擾乱発生率(flick ratio)の四つのパラメータ値を選択することにより、大きい差異を有する突然変異体 Eph-Pei26-24及びEph-Pei26-25を総合的に表現し、MspAナノポア(配列番号12)を通過するを制御する大腸菌及びヒトゲノムのランダムな断片化ライブラリーのシークエンシングデータをそれぞれ収集し、同一アルゴリズムモデルを用いて異なる突然変異体の塩基識別モデルを訓練する。セットチップデータ及び試験チップデータの検証での異なる突然変異体のモデルの表現を評価することにより、実施例8の表12における各パラメータは核酸の移動への異なる突然変異体の制御能力の差異を評価し、さらに適切な突然変異体を選択してナノポアの核酸シークエンシングに応用する。
【0236】
1 方法
大腸菌及びヒトゲノムの核酸をランダムに断片化した後、図4に示されたDNA構造体のEセグメントを置換し、Aセグメント/Bセグメント/Cセグメント/Dセグメント/Fセグメントのアニーリングにより組み立てられた複合体に連結させる。連結生成物は磁気ビーズ精製された後、それぞれEph-Pei26-24及びEph-Pei26-25ヘリカーゼの突然変異体とインキュベートしてTMAD触媒処理を行い、処理生成物を精製した後にシークエンシング装置のチップに添加し、シークエンシングして信号を収集する。
【0237】
2 結果
突然変異体 Eph-Pei26-24及びEph-Pei26-25に対してシークエンシングした大腸菌(E.coli)ゲノム及びヒトゲノム(human)のランダムな断片化ライブラリー配列の検証セットデータを複数回訓練した後のモデル正確度の結果が図14に示され、それぞれ突然変異体 Eph-Pei26-24及びEph-Pei26-25を訓練した塩基識別モデルに対してそれぞれチップデータを試験した試験結果が表13に示される。検証セットの正確度とは、訓練後に取得されたモデルが検証セットのチップデータを塩基識別した後、一つのライブラリー信号が対照配列と完全に対合する割合である。相応的に、試験チップの正確度とは、訓練されたモデルを用いて試験チップのデータを識別し、一つのライブラリー信号が対照配列と完全に対合する割合であり、実施例における正確度値は、統計後の中位値である。突然変異体 Eph-Pei26-24は、それぞれ大腸菌ゲノム及びヒトゲノムの検証セットデータでの正確度がEph-Pei26-25より高く、試験チップにおいてもこの差異を検証し、試験チップ間及び試験チップと検証セットとの間の正確度の差異(特にチップ間の差異)はバッチ実験の再現性に関連する。本実施例の結果から分かるように、実施例8において異なる突然変異体が核酸の移動を制御するパラメータは、核酸の移動への酵素の制御能力の差異を効果的に評価することに対して効果的である。
【0238】
【表13】
【0239】
上記で本発明の好ましい実施態様を詳細に説明したが、本発明は上記実施態様における特定の詳細に限定されるものではない。本発明の技術的主旨の範囲内で、本発明の技術的解決手段に対して様々な簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形はいずれも本発明の保護範囲内に属する。
【0240】
また、上記の具体的な実施態様に記述された各具体的な技術的特徴は、矛盾がない状況で任意の適切な方式で組み合わせることができることに留意されたい。不必要な説明を避けるために、本発明は、様々な可能な組み合わせ方式を説明しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
【配列表】
2023090618000001.xml