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  • 特開-マルチレーストラック陰極アーク 図1A
  • 特開-マルチレーストラック陰極アーク 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090653
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】マルチレーストラック陰極アーク
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
C23C14/24 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022192765
(22)【出願日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/554,589
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521359944
【氏名又は名称】ベイパー テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザッカリー ゼムバウワー
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029CA01
4K029CA03
4K029DB23
4K029DD06
4K029EA03
4K029EA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アーク蒸着における蒸着速度を増加させ、複数のレーストラックをより効果的に利用する改善されたアーク蒸着システムを提供する。
【解決手段】アーク蒸着システムは、コーティングチャンバ12と、コーティングチャンバ内に配置された中央陰極ターゲット14とを含む。少なくとも2つの陽極16が、中央陰極ターゲットを取り囲む。各々の陽極は、各々の陽極が中央陰極ターゲット上に関連するレーストラック浸食プロファイルを独立して誘導するように、中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられる。中央陰極ターゲット内には、少なくとも2つの磁気部品24、24が配置される。磁気部品は、その関連するレーストラック浸食プロファイルを形成する関連するアーク20、24を案内する。特徴的に、少なくとも2つの陽極の各々の陽極は、関連する磁気部品を有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングチャンバと、
前記コーティングチャンバ内に配置された中央陰極ターゲットと、
前記中央陰極ターゲットを取り囲む少なくとも2つの陽極であって、各々の陽極が前記中央陰極ターゲット上に関連するレーストラック浸食プロファイルを独立して誘導するように、各々の陽極は、前記中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられる、前記少なくとも2つの陽極と、
前記関連するレーストラック浸食プロファイルを形成する関連するアークを案内するための前記中央陰極ターゲット内に配置された少なくとも2つの磁気部品であって、前記少なくとも2つの陽極の各々の陽極が関連する磁気部品を有する、前記少なくとも2つの磁気部品と
を備える、アーク蒸着システム。
【請求項2】
前記少なくとも2つの陽極は、前記中央陰極ターゲットの周りに等間隔に配置される、請求項1に記載のアーク蒸着システム。
【請求項3】
前記中央陰極ターゲットは、前記中央陰極ターゲットの長手軸の周りを回転するようになっている、請求項1に記載のアーク蒸着システム。
【請求項4】
前記少なくとも2つの陽極は、2つの陽極のみを含む、請求項1に記載のアーク蒸着システム。
【請求項5】
前記アーク蒸着システムの制御可能なコンポーネントを制御するコントローラをさらに備える、請求項1に記載のアーク蒸着システム。
【請求項6】
前記中央陰極ターゲットに対して前記少なくとも2つの陽極の各々にバイアスをかけるための電源システムをさらに備える、請求項5に記載のアーク蒸着システム。
【請求項7】
前記電源システムは、前記中央陰極ターゲットに対して前記少なくとも2つの陽極の各々の陽極に正のバイアスをかける電源サブシステムを含む、請求項6に記載のアーク蒸着システム。
【請求項8】
前記少なくとも2つの陽極の各々の陽極は、前記中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられる、請求項7に記載のアーク蒸着システム。
【請求項9】
前記少なくとも2つの陽極の各々の陽極は、-15~-50ボルトのDC電圧で前記中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられる、請求項8に記載のアーク蒸着システム。
【請求項10】
100~600アンペアの電流が、各々の陽極を通って流れる、請求項9に記載のアーク蒸着システム。
【請求項11】
前記コントローラは、各々の陽極を同時に作動させるように構成される、請求項6に記載のアーク蒸着システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記少なくとも2つの陽極を交互に作動させるように構成される、請求項6に記載のアーク蒸着システム。
【請求項13】
各々の陽極がアークを開始するためのストライカをさらに備える、請求項6に記載のアーク蒸着システム。
【請求項14】
前記コーティングチャンバは、0.5~50mTorrの動作圧力にある、請求項1に記載のアーク蒸着システム。
【請求項15】
コーティングチャンバと、
前記コーティングチャンバ内に配置された中央陰極ターゲットと、
第1の陽極と、
第2の陽極であって、前記第1の陽極および前記第2の陽極は、前記中央陰極ターゲットを取り囲み、前記第1の陽極は、前記第1の陽極が前記中央陰極ターゲット上に第1のレーストラック浸食プロファイルを誘導するように、前記中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられ、前記第2の陽極は、前記第2の陽極が前記中央陰極ターゲット上に第2のレーストラック浸食プロファイルを誘導するように、前記中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられる、第2の陽極と、
前記第1のレーストラック浸食プロファイルを形成する第1のアークを案内するための第1の磁気部品と、
前記第2のレーストラック浸食プロファイルを形成する第2のアークを案内するための第2の磁気部品であって、前記第1の磁気部品および前記第2の磁気部品は、前記中央陰極ターゲット内に配置される、前記第2の磁気部品と
を備える、アーク蒸着システム。
【請求項16】
前記第1の陽極および前記第2の陽極は、前記中央陰極ターゲットの周りに等間隔に配置される、請求項15に記載のアーク蒸着システム。
【請求項17】
前記アーク蒸着システムの制御可能なコンポーネントを制御するコントローラをさらに備える、請求項15に記載のアーク蒸着システム。
【請求項18】
前記中央陰極ターゲットに対して前記第1の陽極および前記第2の陽極の各々にバイアスをかけるための電源システムをさらに備える、請求項17に記載のアーク蒸着システム。
【請求項19】
前記電源システムは、前記中央陰極ターゲットに対して前記第1の陽極および前記第2の陽極の各々の陽極に正のバイアスをかける電源サブシステムを含む、請求項18に記載のアーク蒸着システム。
【請求項20】
前記コントローラは、各々の陽極を同時に作動させるように構成される、請求項19に記載のアーク蒸着システム。
【請求項21】
前記コントローラは、前記第1の陽極と前記第2の陽極とを交互に作動させるように構成される、請求項20に記載のアーク蒸着システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも1つの態様では、同時に生成され得る複数のレーストラックを有する陰極アーク源を使用する陰極アークコーティングシステムが提供される。
【背景技術】
【0002】
アーク蒸着における蒸着速度を増加させることも望ましい。現在、正確に1つのアクティブなレーストラックと共に利用可能な、磁気的に閉じ込められた陰極アーク源が存在する。現在、堆積物を増やすためにレーストラックの数を増やすことはできない。複数のレーストラックを備えた利用可能なすべての磁気的に閉じ込められた陰極アーク源は、一度に1つだけを使用し、単一のアークスポットがそれらの間でランダムにジャンプする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、複数のレーストラックをより効果的に利用する改善されたアーク蒸着システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
少なくとも一態様では、アーク蒸着システムが提供される。アーク蒸着システムは、コーティングチャンバと、コーティングチャンバ内に配置された中央陰極ターゲットとを含む。少なくとも2つの陽極が、中央陰極ターゲットを取り囲む。各々の陽極は、各々の陽極が中央陰極ターゲット上に関連するレーストラック浸食プロファイルを独立して誘導するように、中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられる。中央陰極ターゲット内には、少なくとも2つの磁気部品が配置される。少なくとも2つの磁気部品は、関連するレーストラック浸食プロファイルを形成する関連するアークを案内する。特徴的に、少なくとも2つの陽極の各々の陽極は、関連する磁気部品を有する。
【0005】
別の一態様では、2つの陽極を含むアーク蒸着システムが提供される。アーク蒸着システムは、コーティングチャンバと、コーティングチャンバ内に配置された中央陰極ターゲットと、第1の陽極と、第2の陽極とを含む。特徴的に、第1の陽極および第2の陽極は、中央陰極ターゲットを取り囲む。第1の陽極は、第1の陽極が中央陰極ターゲット上に第1のレーストラック浸食プロファイルを誘導するように、中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられる。同様に、第2の陽極は、第2の陽極が中央陰極ターゲット上に第2のレーストラック浸食プロファイルを誘導するように、中央陰極ターゲットに対して正のバイアスがかけられる。第1のアークを案内する第1の磁気部品は、第1のレーストラック浸食プロファイルを形成し、第2のアークを案内する第2の磁気部品は、第2のレーストラック浸食プロファイルを形成する。特徴的に、第1の磁気部品および第2の磁気部品は、中央陰極ターゲット内に配置される。
【0006】
別の一態様では、複数のレーストラック浸食プロファイルに関する従来技術の問題は、レーストラック間の電流経路を分離することによって解決される。
【0007】
別の一態様では、2つの電流源が単一の陰極ターゲットに取り付けられる。チャンバ壁を陽極として使用する代わりに、2つの別個の陽極が、それぞれのレーストラック浸食プロファイルに面して取り付けられる。この幾何学的な違いは、各々の電流経路がそれぞれのレーストラック浸食プロファイルを好むためである。この概念は、任意の数のレーストラック浸食プロファイルに拡張できる。
【0008】
前述の概要は、例示であり、限定することを意図したものではない。上記の例示的な態様、実施形態、および構成に加えて、さらなる態様、実施形態、および構成が、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0009】
本開示の性質、目的、および利点をさらに理解するために、以下の詳細な説明を参照し、以下の図面と併せて読む必要があり、同様の符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】2つのレーストラック浸食プロファイルを形成するアークスポットを有する陰極アーク蒸着システムの概略図。
図1B】アークを案内して関連するレーストラック浸食プロファイルを形成するための磁気部品の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、発明者らに現在知られている本発明を実施する最良の形態を構成する、本発明の現在好ましい実施形態および方法を詳細に参照する。図は、必ずしも一定の縮尺ではない。しかしながら、開示された実施形態は、本発明の単なる例示であり、様々な代替形態で具現化することができることが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示された特定の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に本発明の任意の態様の代表的な根拠として、および/または当業者に本発明を様々に使用することを教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0012】
また、特定のコンポーネントおよび/または条件は、もちろん変化し得るので、本発明は、以下に記載される特定の実施形態および方法に限定されないことも理解すべきである。さらに、本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、決して限定することを意図していない。
【0013】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含むことにも留意しなければならない。例えば、単数形のコンポーネントへの言及は、複数のコンポーネントを含むことを意図している。
【0014】
「備える(comprising)」という用語は、「含む(including)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義である。これらの用語は、包括的かつオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを除外するものではない。
【0015】
「からなる(consisting of)」という語句は、請求項で指定されていない要素、ステップ、または成分を除外する。この語句が、前文の直後ではなく、請求項の本文の条項に現れる場合、その条項に記載されている要素のみを限定し、他の要素は、全体として請求項から除外されない。
【0016】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、請求項の範囲を、特定の材料またはステップに加えて、特許請求された主題の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないものに限定する。
【0017】
「備える(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「本質的になる(consisting essentially of)」という用語に関して、これらの3つの用語のうちの1つが本明細書で使用される場合、現在開示され特許請求されている主題は、他の2つの用語のいずれかの使用を含むことができる。
【0018】
整数範囲は、介在するすべての整数を明示的に含むことも理解すべきである。例えば、1~10の整数範囲には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10が明示的に含まれる。同様に、1~100の範囲には、1、2、3、4、・・・、97、98、99、100が含まれる。同様に、任意の範囲が要求された場合は、上限と下限の差を10で割った増分である間にある数値を、代わりの上限または下限として使用できる。例えば、範囲が1.1~2.1の場合、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、および2.0の数値を下限または上限として選択できる。
【0019】
数値量を参照する場合、詳細には、「未満」という用語には、「未満」の後に示される数値の5パーセントである非含有下限が含まれる。非含有下限とは、記載されている数量が、非含有下限として示されている値よりも大きいことを意味する。例えば、「20未満」には、非含有下限の1が含まれる。したがって、この「20未満」の改良版には、1~20の範囲が含まれる。別の例では、「未満」という用語は、優先度の高い順に、「未満」の後に示される数値の20パーセント、10パーセント、5パーセント、1パーセント、または0パーセントである、非含有下限を含む。
【0020】
電気装置に関して、「に接続された(connected to)」という用語は、接続されたと称される電気部品が電気的に通信していることを意味する。改良版では、「に接続された」は、接続されたと称される電気部品が互いに直接配線されることを意味する。別の改良版では、「に接続された」は、電気部品が無線で、または有線および無線で接続された部品の組み合わせによって通信することを意味する。別の改良版では、「に接続された」は、元の部品からの電気信号が、元の部品に接続された部品に受信される前に、処理(例えば、フィルタリング、増幅、変調、整流、減衰、合計、減算など)されている状態で、接続されたと称される電気部品間に1つまたは複数の追加の電気部品が介在していることを意味する。
【0021】
「電気通信」という用語は、電気信号が発信元の電子デバイスから受信側の電気デバイスに直接的または間接的に送信されることを意味する。間接的な電気通信は、信号のフィルタリング、信号の増幅、信号の整流、信号の変調、信号の減衰、別の信号との信号の加算、別の信号から信号を減算すること、信号から別の信号を減算することなどを含むが、これらに限定されない電気信号の処理を含むことができる。電気通信は、有線部品、無線接続部品、またはそれらの組み合わせで実現できる。
【0022】
「1つまたは複数」という用語は「少なくとも1つ」を意味し、「少なくとも1つ」という用語は「1つまたは複数」を意味する。「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」という用語は、部分集合として「複数」を含む。
【0023】
「実質的に」、「一般的に」、または「約」という用語は、開示または特許請求される実施形態を説明するために本明細書で使用され得る。「実質的に」という用語は、本開示で開示または請特許求された値または相対的な特徴を修飾することができる。そのような場合、「実質的に」は、それが修飾する値または相対的な特徴が、値または相対的な特徴の±0%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、または10%以内であることを意味することができる。
【0024】
「電気信号」という用語は、電子デバイスからの電気出力または電子デバイスへの電気入力を指す。電気信号は、電圧および/または電流によって特徴付けられる。電気信号は、時間に対して静止している場合(DC信号など)もあれば、時間に対して変化する場合もある。
【0025】
「DC信号」という用語は、所定の時間間隔にわたって時間とともに実質的に変化しない電気信号を指す。この点に関して、信号は所定の間隔にわたってDCである。「DC信号」には、電気デバイスからのDC出力とデバイスへのDC入力が含まれる。
【0026】
「電子部品」という用語は、電子状態、電子の流れ、または電子に関連する電界に影響を与えるために使用される電子デバイスまたはシステム内の任意の物理的集合体を指す。電子部品の例には、コンデンサ、インダクタ、抵抗器、サイリスタ、ダイオード、トランジスタなどが含まれるが、これらに限定されない。電子部品は、受動的または能動的であり得る。
【0027】
「電子デバイス」または「システム」という用語は、電気信号に対して所定の機能を実行するための、1つまたは複数の電子部品から形成された物理的エンティティを指す。
【0028】
電子デバイスのどの図においても、線(例えばワイヤー)によって接続された一連の電子部品は、そのような電子部品が互いに電気通信していることを示していることを理解すべきである。さらに、方向付けられた線が1つの電子部品を別の電子部品に接続するとき、これらの電子部品は、上記で定義されたように互いに接続され得る。
【0029】
「電気通信」という用語は、電気信号が発信元の電子デバイスから受信側の電気デバイスに直接的または間接的に送信されることを意味する。間接的な電気通信は、信号のフィルタリング、信号の増幅、信号の整流、信号の変調、信号の減衰、別の信号との信号の加算、別の信号から信号を減算すること、信号から別の信号を減算することなどを含むが、これらに限定されない電気信号の処理を含むことができる。電気通信は、有線部品、無線接続部品、またはそれらの組み合わせで実現できる。
【0030】
図1Aを参照すると、陰極アーク蒸着システムの概略図が提供されている。アーク蒸着システム10は、コーティングチャンバ12を含む。改良版では、アーク蒸着システム10は、陰極アーク蒸着システムである。中央陰極ターゲット14は、コーティングチャンバ10内に配置され、少なくとも2つの陽極16(i:1から少なくとも2である総陽極数まで及ぶ整数ラベル)によって取り囲まれている。改良版では、少なくとも2つの陽極16は、2つ、3つ、4つ、または5つまたはそれ以上の陽極のみを含む。チャンバ壁の代わりに、少なくとも2つの陽極16が陽極として使用されることを理解すべきである。例えば、2つの陽極を有するシステムは、陽極16および16を含む。中央陰極ターゲット14は、コーティングチャンバ12の中央に配置することができる。改良版では、中央陰極ターゲット14は、中央陰極ターゲット14の長手方向に沿って延びる長手軸aを中心に回転する。改良版では、陽極は、中央陰極ターゲットとは反対方向に回転する。典型的には、陽極は、中央陰極ターゲットの周りに等間隔で配置される。例えば、2つの陽極がある場合、各々の陽極は長手軸aに対して約180°の角度で分離される。
【0031】
有利なことには、各々の陽極は、各々の陽極が、中央陰極ターゲット上に関連するレーストラック浸食プロファイル18(例えば、2つの陽極に対してプロファイル18および18)を独立して誘導するように、中央陰極ターゲット14に対して正のバイアスがかけられる。この点に関して、各々のレーストラック浸食プロファイルに関連するアーク20(例えば、2つの陽極に対してアーク20および20)は、それぞれ方向dおよびdに沿って上下に移動する。改良版では、方向d(例えば、2つの陽極に対してdおよびd)は、陽極16(例えば、2つの陽極に対して陽極16および16)を通る長手軸(例えば、2つの陽極に対してa、a)に平行である。
【0032】
図1Bを参照すると、磁気部品24(例えば、2つの陽極に対して磁気部品24および24)は、中央陰極ターゲット14内に配置される。磁気部品24は、支持体26に取り付けることができる。改良版では、中央陰極ターゲット14は、磁気部品24に対して回転可能である。典型的には、アークは、磁気部品24により方向dに沿って移動する。中央陰極ターゲット14の表面全域にわたるこれらのアークの運動によって引き起こされる浸食パターンは、「レーストラック浸食プロファイル」と称される。コーティングされる基板22は、各々のレーストラック浸食プロファイルに関連するアーク20(例えば、2つの陽極に対してアーク20および20)に干渉しない位置でコーティングチャンバ12内に配置される。改良版では、磁気部品24の各々は、中央陰極ターゲット14の長い中心軸に沿って配置された永久磁石のバーを含む。改良版では、磁気部品24の磁場強度は、約10~200ガウスである。図1Bは、中央磁気バーが2つの外側磁気バーに対して磁極に関して反対方向(例えば、南-北)に配置された、3つの磁気バーを有する一例を示す。
【0033】
一変形例では、アーク蒸着システム10は、以下に説明する様々な制御可能なコンポーネントを制御するコントローラ30を含む。典型的には、コントローラ30は、コンピュータメモリ34と電気通信する中央処理装置32と、マウス、キーボード、モニタ、外部メモリなどのコンピュータコンポーネントを接続するための周辺インターフェース36とを含む。改良版では、コントローラ30はまた、制御可能なコンポーネントに電気信号を送信するための1つまたは複数のインターフェースカードまたはデバイスを含むことができる。一変形例では、コントローラ30は、各々の陽極を同時に作動させるように構成される。別の一変形例では、コントローラ30は、少なくとも2つの陽極を交互に作動させるように構成される。
【0034】
特徴的に、コーティングチャンバ12は、真空コーティングチャンバである。コーティングチャンバ12は、ポート42を介してコーティングチャンバ12と流体連通する適切な真空システム40を介して、基板のコーティング中に減圧に維持される。典型的には、動作圧力は、0.5~50mTorrである。完全に反応したコーティングは、約1mTorr以上で実現できることに留意すべきである。改良版では、真空システムは、コントローラ30によって制御することができる。
【0035】
アーク蒸着システム10は、中央陰極ターゲット12に対して少なくとも2つの陽極16の各々にバイアスをかけるための電源システム40を含むことができる。改良版では、電源システム40は、電源サブシステム42(例えば、2つの陽極に対してサブシステム42および42)を含み、中央陰極ターゲットに対して少なくとも2つの陽極の各々の陽極に正のバイアスをかける。改良版では、少なくとも2つの陽極16の各々は、-15ボルト~-50ボルトのDC電圧で中央陰極ターゲット12に対して正のバイアスがかけられる。電源システム40は、単一の陰極ターゲット14に取り付けられた複数の電流源(各々の陽極に対して1つ)を提供するものと見なすこともできる。さらなる改良版では、100~600アンペアの電流が、各々の陽極を通って流れる。改良版では、コントローラ30は、総アーク電流を実質的に一定に維持しながら、各々の陽極に入力される電流を変化させることができる。改良版では、コントローラ20は、スイッチ44に制御信号を送信することができ、各々の陽極16は、どの陽極および関連するレーストラックを作動させるかを選択するための関連するスイッチを有する。この点に関して、コントローラ30は、電力制御信号をスイッチ44(例えば、2つの陽極に対してスイッチ44および44)に送信して選択を行う。アーク蒸着システム10は、すべての陽極を同時に作動させて、または陽極を交互に作動させて動作させることができる。陽極16および16がある場合、両方の陽極を同時に作動させることができる。あるいはまた、作動は、陽極16と陽極16との間で交互に行うことができる。典型的には、ストライカ50(例えば、2つの陽極に対してストライカ50および50)は、各々の陽極16に関連付けられる。
【0036】
例示的な実施形態が上述されているが、これらの実施形態が本発明のすべての可能な形態を説明することは意図されていない。むしろ、本明細書で使用される単語は、限定ではなく説明の単語であり、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解される。また、実装する様々な実施形態の構成を組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を形成することができる。
図1A
図1B
【外国語明細書】