(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090666
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】電気手術器具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194588
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】21215672
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】アヒム・ブロドベック
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・クレーバー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK06
4C160KK07
4C160KK13
4C160KK36
4C160KK57
4C160KK62
4C160MM32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電流によって生体組織に影響を及ぼす電極を有し、電極で発生した火花から生じる光を受光する受光デバイスを設けて、受光した光から組織の特徴を決定できる電気手術器具を提供する。
【解決手段】器具10は、流れチャンバを取り囲むフード25を備える。フードは、高周波電圧が供給された電極18の生体組織への影響によって生成される放出物の吸引に役立つ。流れチャンバ26からの組織堆積物および他の目詰まりを排除するために、流れチャンバは、洗浄目的でその動作位置から洗浄位置に移行することができる可動フードによって囲まれている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の患者の電気手術治療のための器具(10)であって、
遠位端(13)と、少なくとも1つの流体チャネル(20)とを備える器具本体(16)を有し、前記少なくとも1つの流体チャネル(20)は、前記遠位端(13)に配置された開口部(21)から前記器具本体(16)または前記器具本体に取り付けられた要素を通って近位方向に延び、
前記器具本体(16)の前記遠位端(13)または前記器具本体に取り付けられた要素に保持された電極(18)を有し、
光通過窓(24)において前記遠位端(13)に配置された光学要素(22)を有し、
前記電極(18)が貫通して延び、前記開口部(21)および前記光通過窓(24)が内部に配置されるチャンバ(26)を制限するフード(25)を有し、前記フード(25)は、少なくとも、前記光通過窓(24)を覆う第1の位置と、前記光通過窓(24)を露出させる第2の位置との間で前後に移動可能に支持される、器具。
【請求項2】
前記流体チャネル(20)を吸引デバイスに接続することができ、前記開口部(21)が、吸引開口部であることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記電極(18)が、前記器具(10)を通って近位方向に延びる導体(19)によって発電機(12)に接続することができることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記開口部(21)、前記電極(18)、および前記光通過窓(24)が、前記器具本体(16)の前記遠位面に互いの隣に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記電極(18)が、前記フード(25)から遠位方向に突出して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記フード(25)が、遠位吸引開口部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記吸引開口部が、連続的に取り囲む縁部(30)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記フード(25)が、遠位位置と近位位置との間に移動可能に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記フード(25)が、並進可動式に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記フード(25)が、中空の円筒形または中空の円錐台形状に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記フード(25)および前記器具本体(16)の延長部(32)が、それぞれ前記チャンバ(26)の周りに部分的にのみ延びるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記フード(25)が、前記器具本体(16)に回転可能に支持されることを特徴とする、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記器具本体(16)が、洗浄窓(35)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記フード(25)が、その第1の位置で前記洗浄窓(35)を覆い、その第2の位置で前記洗浄窓を露出させるように配置されることを特徴とする、請求項11、12または13に記載の器具。
【請求項15】
前記器具本体(16)が、第2のチャネル(31)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物の患者を治療するための電気手術器具に関する。特に、本発明は、組織の外科的治療のために設けられた電極に加えて、光の受光または発光のための光学要素を備えるそのような器具に関する。
【背景技術】
【0002】
電流によって生体組織に影響を及ぼす電極を有する電気手術器具が、特許文献1から知られている。さらに、電極で発生した火花から生じる光を受光する1つまたは複数の受光デバイスが、器具に設けられる。この光は、そこから組織の特徴を決定するために光分析デバイスに提供される。
【0003】
同様の器具が、特許文献2から知られている。それぞれの火花から放出される光は、器具の光学要素によって可能な限り歪みなく捕捉されなければならない。光学要素上に存在する堆積物、組織断片などは、これを歪める。
【0004】
これに関して、特許文献3は、器具の内部流体チャネル内の受光光ファイバの場所を提案している。これは、光が流体チャネルに入ることができる流体出口開口部を備える。光流体出口開口部の近傍には、組織治療に役立つ電極が、設けられている。
【0005】
さらに、管の内部で軸方向に可動である光ファイバを有する器具が、特許文献4から知られている。ブラシセットが、チューブの遠位端に配置される。光ファイバを遠位方向に送る間、光ファイバは、ブラシを介してブラッシングする。光ファイバの引き込み中、ブラシは、光ファイバ上に堆積した粒子を拭き取る。
【0006】
可動光ファイバを有する同様の概念は、特許文献5によって追求されている。この器具は、その周囲で軸方向に可動である光ファイバに接触する洗浄ブラシを備える。
【0007】
これに対して、特許文献6は、外側チューブと、その中に軸方向に移動可能に支持された光ファイバとを有する器具を提供している。遠位端において、外側チューブは、洗浄リップを有する枢動可能なキャップを備える。光ファイバが遠位方向に軸方向に送られる場合、光ファイバは、その移動に起因してエンドキャップを側方に枢動させる。同時に、洗浄リップは、光ファイバのフェース側端部上をブラッシングし、したがって光ファイバを洗浄する。
【0008】
特許文献7は、吸引デバイスを有する電気外科用器具を開示している。それは、吸引開口部を取り囲む端部側フードを有する流体チャネルを備える。フードは、電極と不動に接続することができ、器具上に取り外し可能に配置することができる。
【0009】
実際には、ブラシなどの光通過窓の洗浄のために設けられた要素自体が汚染されることを常に回避できるわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2659846号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2815695号明細書
【特許文献3】欧州特許第2815713号明細書
【特許文献4】米国特許第6126653号明細書
【特許文献5】国際公開第2016/177600号
【特許文献6】欧州特許出願公開第21210904号明細書
【特許文献7】欧州特許第2862533号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、光学要素を有する電気手術器具を長時間動作可能に維持することができる概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の器具によって解決される。
【0013】
本発明による器具は、開腹手術用途のために提供される器具、腹腔鏡的使用のために提供される器具、内視鏡的様式で使用されるプローブなどとすることができる。いずれの場合も、器具は器具本体を備え、器具本体の遠位端には、生体組織の治療のための電極が設けられている。あるいは、電極は、器具本体に接続された要素上に設けることができる。そのような要素は、例えばラッチ式に器具本体と接続することができる。例えば、電極には高周波電流が供給され、電気火花の発生下で組織に作用する。
【0014】
少なくとも1つの流体チャネルが、器具本体または器具本体に接続することができる要素内に設けられ、流体チャネルは、本体または要素の遠位端に開口部を有する。この開口部は、特に、動作場所において生成されたガス、蒸気、ヒューム、組織粒子などの吸引に役立つことができる。吸引チャネルを備えるそのような要素はまた、電極または電極から生じる光を捕捉し、それを光分析デバイスに提供する光学要素を備えることができる。光学要素はまた、動作場所に光を導く役割を果たすこともできる。
【0015】
それにより、器具本体または器具本体に接続された要素に配置されたフードが、電極が内部をおよび/または貫通し延び、チャネルの開口部が内部に配置されるチャンバを制限する。電極を取り囲むチャンバは、動作場所から電極によって放出された放出物を導き、それらを流体チャネル内に案内する。この流れ案内機能は、フードが器具本体または要素の遠位面上を突出し、このようにして上述のチャンバを形成することで達成される。
【0016】
さらに、器具は、器具本体の遠位端に配置された光学要素、または光通過窓で器具本体に接続することができる要素を備える。光通過窓は、光学要素の円錐形の視野が貫通して延びる開口部とすることができる。光通過窓は、光学要素自体の遠位端面によって画定することもできる。
【0017】
動作中、特に、動作場所で作りだされたガス、蒸気、ヒューム、および/または組織粒子をフードによって囲まれたチャンバ内に吸引する効果によって、特に光通過窓の前に、例えば組織粒子蓄積の形態で堆積物が作りだされる可能性がある。そのような堆積物は、光通過窓を通る光通過を妨げる可能性があり、そのため器具の機能性を制限する可能性がある。
【0018】
本発明による器具では、フードは、器具本体またはその上に取り付けられた要素上に移動可能に配置され、それにより、第1の位置では、動作場所からの排出物の吸引に必要な所望の空間を制限し、第2の位置では、光通過窓を露出させる。第1の位置では、フードは、遠位方向に光通過窓を越えて突出し、このようにして光通過窓への横方向のアクセスを遮断する。「横方向アクセス」は、近位から遠位に延びる長手方向に対して横断方向のアクセスを意味する。第2の位置では、フードは、遠位方向に光通過窓を越えて延びていないか、またはわずかしか延びていないため、光通過窓への横方向のアクセスは、遮断されない。このようにして、器具を簡単な方法で洗浄することができる。この目的のために、フードは、その第1の位置からその第2の位置にのみ移送される。存在する粒子は、例えば布によって簡単に除去することができる。それにより、可能性のある粒子および他の堆積物をこすり付ける、または変位させるだけであることも回避される。取り扱いが容易で直感的である。
【0019】
上述のように、流体チャネルは、好ましくは吸引チャネルである。この目的のために、器具には、流体チャネルを吸引デバイスに接続できるように、その近位端に接続デバイスを設けることができる。少なくともオプションとして、このチャネルまたは別の(第2の)流体チャネルをフラッシング流体チャネルとして使用することができる。この場合、第2のチャネルは、器具の近位端または器具の接続ラインで、それぞれの接続デバイスを介してフラッシング流体源と接続可能とすることができる。フラッシング流体は、空気、二酸化炭素、アルゴン、窒素、または任意の他のガスなどの気体流体とすることができる。フラッシング流体はまた、NaCl水溶液などの液体とすることもできる。第2のチャネルまたは別のチャネルは、例えばプラズマを生成するために、ガス(例えばアルゴン)を電極に供給する役割を果たすこともできる。
【0020】
吸引に役立つ開口部、電極、および光通過窓は、好ましくは、互いに隣接して配置され、さらに好ましくはフードによって囲まれている。したがって、電極が通過する内部または空間に、吸引に役立つ開口部と光通過窓とを並べて配置することができる。これにより、電極をフードから遠位方向に突出して配置することができる。次いで、フードは遠位吸引開口部を制限し、それによって組織治療中に電極によって生成された放出物を吸引し、流体チャネルの開口部に集中させることができる。
【0021】
フードは、周囲の連続した縁部を有することができ、長手方向に、すなわち遠位位置と近位位置との間に移動可能に配置することができる。それにより、フードの並進移動経路を画定する手段を設けることができる。しかし、フードが遠位の第1の位置と近位の第2の位置との間で螺旋経路に沿って可動である手段を設けることも可能である。フードは、中空円筒状または中空円錐状に構成することができる。したがって、フードによって制限されたチャンバも、円筒状または円錐台形状に構成される。
【0022】
フードを第1の位置および/または第2の位置に維持するための手段を設けることができる。これにより、取り扱いが簡単になる。そのような手段は、ラッチ手段、クランプ手段などとすることができる。
【0023】
代替的な実施形態では、器具本体は、ボウル形状の突出部を備え、フードは、相補的な半ボウルとして構成される。器具本体およびフードのボウル形状の突出部は、この場合、チャンバの周りに部分的にのみ延びるように構成される。第1の位置では、器具の突出部およびフードは、チャンバのリング形状の周囲を形成し、一方、その第2の位置では、フードは、器具本体のボウル形状の突出部と重なり合うように配置され、したがって、光通過窓がアクセス可能であるようにチャンバを少なくとも一方の側に開く。これまでのところ、器具本体は、フードによって開閉することができる洗浄窓を備える。
【0024】
本発明の有利な実施形態のさらなる詳細は、図面、およびそれぞれの説明の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】器具および器具を供給するための関連装置の概略図である。
【
図2】第1の実施形態における
図1の器具の遠位端の概略斜視図である。
【
図3】フードが第1の位置にある
図2の器具の遠位端の長手方向切断図である。
【
図4】フードが第2の位置(解放位置)にある、
図2および
図3による器具の遠位端を示す図である。
【
図5】
図1~
図3による器具の改変実施形態の長手方向切断図である。
【
図6】フードが閉位置にある、回転可能に支持されたフードを有する器具の別の改変実施形態の概略斜視図である。
【
図7】フードが開放位置にある、
図6による器具の遠位端の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、関連するライン11によって供給装置12に接続された本発明による器具10が示されている。器具10は、内視鏡使用のためのプローブとして、腹腔鏡器具として、または開腹手術用途のための器具として構成することができる。開腹手術用途のそのような器具10’は、
図1に別個に示されている。以下で説明する特徴および原理は、器具10、10’に同様に、その他の構成から関係なく、特にこれらが開腹手術、腹腔鏡、または内視鏡用途に構成されているかどうかは関係なく適用される。
【0027】
器具10、10’は、
図2に個別に示されている遠位端13と、器具10、10’がそれによって装置12に接続される器具コネクタ15を設けることができる近位端14とを備える。装置12は、器具10、10’を動作させるために必要なすべての要素およびユニットを備える。
【0028】
器具10の一部は、器具本体16(
図2,
図3も参照のこと)であり、その遠位面17から、少なくとも1つの電極18が突出している。電極は、針形状、スパチュラ形状、または手術目的のための任意の他の適切な形状を有することができる。電流供給のために、電極18は、ライン11を通って延びる導電体19によって、および器具コネクタ15によって装置12に接続される。電極18は、導体19を介して装置12によって電圧および電流、例えば高周波電流が供給される。したがって、電圧は、好ましくは、電極18と周囲領域に位置する生体組織との間に火花を発生させることができるほど高い。
【0029】
遠位面17で開口する開口部21内で終わる流体チャネル20は、器具本体16を通って延びる。チャネル20は、器具本体16およびライン11を通って器具コネクタ15まで延びる。装置12には、連続的にまたは必要に応じて近位方向のガス流、したがって開口部21内に吸引効果を作りだす吸引デバイスを設けることができる。
【0030】
さらに、器具10の一部は、例として光ファイバとして
図3に示されている光学要素22である。しかし、単一の光ファイバの代わりに、光学要素22はまた、複数の光ファイバの束からなることができ、および/またはレンズ、ミラーなどの追加の光学要素を備えることができる。光学要素22は、その遠位端に、光を放射および/または受光することができる光通過面23を備える。光学要素22は、例えば、光通過面23で捕捉された光を装置12に供給するために、装置コネクタ15まで延びる光ファイバの形態で構成される。
【0031】
光通過面23は、器具本体16の遠位面17で同一平面上に配置することができ、または
図3に示すように、この面に対して後方に変位させることができる。この目的のために、光通過窓24を形成するそれぞれの開口部が、遠位面内に形成される。光通過面23が遠位面17と面一に配置される場合、光通過面23自体が光通過窓24を形成する。
【0032】
さらに、器具本体16の遠位面17に隣接するチャンバ26を制限するフード25が、器具10の遠位端13に配置される。電極18が、このチャンバ26を通って延びる。例えば、フード25は、中空の円錐台形状を備える。さらに、フードは、器具本体16の例えば円筒形の外面に置かれた中空円筒セクション27を有することができる。フード25は、吸引効果を改善し、電極18全体の周りの流体チャネル20から生じる吸引効果を分散させる役割を果たす。
【0033】
フード25は、軸方向28の前後に2つの位置間で移動可能に配置される。
図3は、器具10を組織の治療に使用することができ、フード25が吸引流に対して所望の案内効果を有する第1の位置にあるフード25を示す。
図4は、器具本体16の遠位面17を大きく露出させる、近位方向に軸方向に後退した第2の位置にあるフード25を示す。このようなフード25の後退を可能にするために、フード25は、
図2に破線で、例えば表面ラインに沿って示されている接合部29を備えることができ、この接合部では、フード25は、
図4による後退位置に移行した場合に弾性的に広がることができる。フード25のばね弾性効果は、使用中にフード25をその第1の位置に保持し、フード25にこの位置に向かって予張力をかけるのに寄与することができる。
【0034】
これまで説明した器具10は、以下のように動作する。
【0035】
患者の治療のために、器具10または10’は、その電極18で、治療される組織領域に接近し、発電機12が作動される。電極18には高周波交流電圧が供給され、それにより、生体組織と電極18との間で火花が発生する。これにより、火花の組織への影響により生成される蒸気、ヒューム、または組織画分なども、流体チャネル20を介して吸引される。これにより、
図3に示す位置にあるフード25は、良好な吸引効果が提供されるように、電極18の周りに吸引効果を均一に分散させる。
【0036】
火花に由来する光が、光学要素22を介して捕捉される。光は、光通過窓24および光通過面23を介して光学要素22に入り、光学要素22によって装置12に供給される。そこで、組織の特徴、火花の質または他の状態を決定するために、受光した光の分析を実施することができる。
【0037】
組織への外科的影響および吸引効果により、粒子、組織画分、液滴などがチャンバ26内に吸引され、光通過窓24上に配置されることが予想されなければならない。この場合、電極と光通過窓24との間の光路がますます遮断される。
【0038】
本発明による器具10は、フード25が
図3に示すその位置から
図4に示す第2の位置に移行するという点で、簡単な洗浄を可能にする。
図3による動作位置では、フード25の縁部30は、面17から遠位方向に離れて位置し、フード25は、光通過窓24への横方向のアクセスを覆うが、縁部30は、第2の位置では面17と面一または少なくともその近くにある。この位置では、光通過窓24は、横方向にアクセス可能であり、例えば布によって容易に洗浄することができ、それにより、器具10は再び動作する準備が整う。完全な動作可能性を確立するために、フード25は、
図4に示す位置から
図3による位置に戻される。
【0039】
フード25を
図3による動作位置および/または後退位置、すなわち
図4による洗浄位置に維持するために、さらに図示されていないラッチまたはクランプ手段を設けることができる。
【0040】
上記では、フード25が中空の円錐台状に構成されていることを想定している。しかし、他の形状、例えば回転双曲面形状、中空円筒形状などを使用することも可能である。さらに、フード25が、互いに離れて広がり、遠位方向にセクション27から突出することができる十分に弾性の材料または複数の薄層からなる場合、接合部29を省略することもできる。
【0041】
図5は、別の実施形態を示す。この実施形態に関して、上記の説明は、それに応じて制限なく適用される。さらに、流体チャネル20に加えて、器具コネクタ15から器具本体16の遠位面17まで延びる第2の流体チャネル31を設けることができることが適用される。フラッシング流体は、流体チャネル31を介して光学要素22、特にその光通過面23に案内することができる。フラッシング流体は、気体またはさらに液体、特にNACL水溶液とすることができる。フラッシング流体は、光通過面23および/または光通過窓24をきれいに保つため、またはきれいにするために、装置12によって供給することができる。フラッシング流体の供給は、それぞれの作動要素によって手動で開始することができ、または例えば、それぞれ電極18の作動の終了後に自動的に実施することができる。
【0042】
器具10のこの実施形態においても、フード25は、2つの位置、すなわち、
図5に示される動作位置と、
図4による洗浄位置との間で変位させることができる。フード25は、手動洗浄のために光通過窓24への横方向のアクセスを可能にするために移動可能に配置される。
【0043】
上記の説明では、フード25の軸方向移動可能性が必要である。これは、フード25の2つの端位置間の直線並進運動とすることができる。経路は、螺旋状に巻き付けることもできる。
図6および
図7は、別の変形例を示す。
【0044】
図6による器具10の実施形態では、器具本体16は、チャンバ26をその円周の約半分の周りに制限し、洗浄窓35を直径方向反対側で開いたままにするボウル状の延長部32を備える。円周の他の半分は、ここではボウル形状であり、このようにして洗浄窓35を閉じるフード25によって囲まれている。延長部32およびフード25は、
図6に示すように、中空の円錐台形状に互いに補完し合い、したがって一緒になってチャンバ26を取り囲む。上記の説明によれば、中空円錐台形状の代わりに、電極18の周りで所望に応じて、開口部21から生じる吸引効果を導く任意の他の形状を選択することもできる。
【0045】
図6および
図7による実施形態では、フード25のセクション27は、矢印33、34で示すように、器具本体16上に回転可能に移動可能に支持される。
図6による第1の動作位置では、延長部32およびフード25は、チャンバ26の周りに閉じられた構造を互いに補完する。
図7によるフード25の第2の(回転)位置では、延長部32およびフード25はほぼ一致し、それにより、洗浄窓35は開き、器具本体16の遠位面17は、少なくとも大部分が露出する。特に、光通過窓24は、そこに堆積した組織粒子または他の堆積物を手動で容易に除去することができるように、側方から妨げられることなくアクセス可能である。
【0046】
電極18および/または流体チャネル20および/または流体チャネル31および/または光学要素22および/またはフード25は、上述のように、それぞれ器具本体16上に、または代替として、器具本体と接続された、特に解放可能に接続された別個の要素上に設けることができる。例えば、要素は、プラグ接続またはラッチ接続によって器具本体16と接続することができる。
【0047】
本発明による器具10は、流れチャンバ26を取り囲むフード25を備える。フードは、高周波電圧が供給された電極18の生体組織への影響によって生成される放出物の吸引に役立つ。流れチャンバ26からの組織堆積および他の目詰まりを除去するために、流れチャンバは、洗浄目的でその動作位置から洗浄位置に移行することができる可動フード25によって囲まれている。
【符号の説明】
【0048】
10,10’ 器具
11 ライン
12 装置
13 器具10、10’の遠位端
14 近位端
15 器具コネクタ
16 器具本体
17 器具本体16の遠位面
18 電極
19 導電体
20 流体チャネル
21 開口部
22 光学要素
23 光通過面
24 光通過窓
25 フード
26 チャンバ
27 フード25のセクション
28 軸方向
29 接合部
30 縁部
31 流体チャネル
32 延長部
33,34 矢印
35 洗浄窓
【外国語明細書】