(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090688
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】横方向に突出する本体を備えたカテーテルエンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230622BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20230622BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B34/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022201079
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】63/290,771
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/071,769
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ババク・エブラヒミ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・イー・バン・ニーキルク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・シー・クヌードソン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK18
4C160KK38
4C160KK57
4C160KK63
4C160KK64
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】カテーテルシステムを提供すること。
【解決手段】装置は、カテーテルシャフトアセンブリと、エンドエフェクタと、を含む。エンドエフェクタは、カテーテルシャフトアセンブリの遠位端から遠位に延在するベース部材を含む、第1のフレックス回路アセンブリを含む。第1のフレックス回路アセンブリは、ベース部材から斜めに延在する複数の斜めに延在する部材を更に含む。斜めに延在する部材は、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されている。斜めに延在する部材は、第1の構成の外側シース内に収まるように構成されている。斜めに延在する部材は、外側シースの遠位端に対して遠位に露出したとき、第2の構成において、長手方向軸から離れて外向きに拡張するように構成されている。第1のフレックス回路アセンブリは、斜めに延在する部材の少なくともいくつかに位置決めされた複数の電極を更に含み、これらの電極は、組織又は血液に接触するように位置決めされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトアセンブリであって、長手方向軸を画定する、カテーテルシャフトアセンブリと、
(b)前記カテーテルシャフトアセンブリの前記遠位端と関連付けられたエンドエフェクタであって、第1のフレックス回路アセンブリを備え、前記第1のフレックス回路アセンブリが、
(i)前記長手方向軸に沿って前記カテーテルシャフトアセンブリの前記遠位端から遠位に延在するベース部材と、
(ii)前記ベース部材から斜めに延在する、複数の斜めに延在する部材であって、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されており、前記第1の構成において、外側シース内に収まるように構成されており、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、前記第2の構成において、前記長手方向軸から離れて外向きに拡張するように構成されている、複数の斜めに延在する部材と、
(iii)前記斜めに延在する部材の少なくともいくつかに位置決めされた複数の電極であって、組織又は血液の一方又は両方に接触するように位置決めされている、複数の電極と、を備える、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【請求項2】
前記第1のフレックス回路アセンブリが、オフセット部材を更に備え、前記オフセット部材が、前記ベース部材から横方向にオフセットされ、前記斜めに延在する部材が、前記ベース部材から前記オフセット部材までの間に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記オフセット部材が、前記ベース部材と平行に配向されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記オフセット部材が、前記長手方向軸と平行に配向されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記オフセット部材が、前記ベース部材に対して長手方向にオフセットされている、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記オフセット部材、前記ベース部材、及び前記斜めに延在する部材の2つが、一緒に平行四辺形の形状を画定している、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記オフセット部材、前記ベース部材、及び前記斜めに延在する部材の2つが、一緒に複数の開口部を画定している、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記斜めに延在する部材が、前記長手方向軸に対して斜めに配向されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記斜めに延在する部材が、最近位の斜めに延在する部材を含み、前記最近位の斜めに延在する部材が、前記長手方向軸に対する斜角を画定している、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記斜角が、約90度~約170度の範囲である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記エンドエフェクタが、1つ又は2つ以上の位置センサと、各斜め部材の対向する平面状の表面に配設されている複数の電極と、を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ又は2つ以上の位置センサが、前記第1のフレックス回路アセンブリの一部である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記エンドエフェクタが、1つ又は2つ以上の温度センサを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記エンドエフェクタが、弾性体を更に備え、前記弾性体が、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、前記第2の構成において、前記斜めに延在する部材を弾性的に付勢して、前記長手方向軸から離れて外向きに拡張するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のフレックス回路アセンブリが、
(i)第1のフレックス回路サブアセンブリであって、
(A)第1の可撓性基板と、
(B)前記第1の可撓性基板に沿って位置決めされた前記複数の電極のうちの少なくともいくつかの電極と、を含む、第1のフレックス回路サブアセンブリと、
(ii)第2のフレックス回路サブアセンブリであって、
(A)第2の可撓性基板であって、前記第1の可撓性基板と並置状態で固定されて、多層積層体を形成する、第2の可撓性基板と、
(B)信号を生成するように構成された1つ又は2つ以上の電気的特徴部であって、前記第2の可撓性基板に沿って位置決めされている、1つ又は2つ以上の電気的特徴部と、を含む、第2のフレックス回路サブアセンブリと、を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のフレックス回路アセンブリが、第3のフレックス回路サブアセンブリを更に備え、前記第3のフレックス回路サブアセンブリが、
(A)第3の可撓性基板であって、前記第2の可撓性基板と並置状態で固定されて、多層積層体を形成し、前記第2の可撓性基板が、前記第1の可撓性基板と前記第3の可撓性基板との間に介在している、第3の可撓性基板と、
(B)前記複数の電極のうちの少なくともいくつかの追加的な電極であって、前記第3の可撓性基板に沿って位置決めされている、少なくともいくつかの追加的な電極と、を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記エンドエフェクタが、第2のフレックス回路アセンブリを更に備え、前記第2のフレックス回路アセンブリが、
(i)複数の斜めに延在する部材であって、前記第2のフレックス回路アセンブリの前記斜めに延在する部材が、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されており、前記第2のフレックス回路アセンブリの前記斜めに延在する部材が、前記第1の構成において、外側シース内に収まるように構成されており、前記第2のフレックス回路アセンブリの前記斜めに延在する部材が、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、前記第2の構成において、前記長手方向軸から離れて外向きに拡張するように構成されている、複数の斜めに延在する部材と、
(ii)前記第2のフレックス回路アセンブリの前記斜めに延在する部材の少なくともいくつかに位置決めされた複数の電極であって、前記第2のフレックス回路アセンブリの前記電極が、組織又は血液の一方又は両方に接触するように位置決めされている、複数の電極と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ベース部材及び前記複数の斜めに延在する部材が、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、平坦な平面に沿って延在するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
装置であって、
(a)近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトアセンブリであって、長手方向軸を画定する、カテーテルシャフトアセンブリと、
(b)前記カテーテルシャフトアセンブリの前記遠位端に関連付けられたエンドエフェクタであって、
(i)第1のフレックス回路アセンブリであって、
(A)前記カテーテルシャフトアセンブリの前記遠位端から遠位に延在する第1のベース部材と、
(B)前記ベース部材から斜めに延在する第1の複数の斜めに延在する部材であって、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、前記第2の構成において、前記長手方向軸から離れて外向きに拡張するように構成されており、前記第1のベース部材及び前記第1の複数の斜めに延在する部材が、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、第1の平坦な平面に沿って延在するように構成されている、第1の複数の斜めに延在する部材と、
(C)前記第1の複数の斜めに延在する部材上に位置決めされた第1の複数の電極であって、前記第2の複数の電極が、組織又は血液の一方又は両方に接触するように位置決めされている、第1の複数の電極と、を備える、第1のフレックス回路アセンブリと、
(ii)第2のフレックス回路アセンブリであって、
(A)前記カテーテルシャフトアセンブリの前記遠位端から遠位に延在する第2のベース部材と、
(B)前記ベース部材から斜めに延在する第2の複数の斜めに延在する部材であって、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、前記第2の構成において、前記長手方向軸から離れて外向きに拡張するように構成されており、前記第2のベース部材及び前記第2の複数の斜めに延在する部材が、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、第2の平坦な平面に沿って延在するように構成されている、第2の複数の斜めに延在する部材と、
(C)前記第2の複数の斜めに延在する部材上に位置決めされた第2の複数の電極であって、組織又は血液の一方又は両方に接触するように位置決めされている、第2の複数の電極と、を備える、第2のフレックス回路アセンブリと、を備える、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【請求項20】
装置であって、
(a)近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトアセンブリであって、長手方向軸を画定する、カテーテルシャフトアセンブリと、
(b)前記カテーテルシャフトアセンブリの前記遠位端と関連付けられたエンドエフェクタであって、フレックス回路アセンブリを備え、前記フレックス回路アセンブリが、
(i)複数の長手方向に延在する部分と、
(ii)前記長手方向に延在する部分の間に斜めに延在する、複数の斜めに延在する部分であって、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されており、前記第1の構成において、外側シース内に収まるように構成されており、前記外側シースの前記遠位端に対して遠位に露出したとき、前記第2の構成において、前記長手方向軸から離れて外向きに拡張するように構成されている、複数の斜めに延在する部分と、
(iii)複数の予め画定された座屈領域であって、前記エンドエフェクタの前記外側シース内への後退に応答して座屈するように構成されている、複数の予め画定された座屈領域と、
(iv)前記斜めに延在する部分の少なくともいくつかに位置決めされた、複数の電極であって、組織又は血液の一方又は両方に接触するように位置決めされている、複数の電極と、を備える、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに発生する。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝導経路を外科的に破壊することが含まれる。エネルギー(例えば、高周波(radiofrequency、RF)エネルギー)を印加することによって心臓組織を選択的にアブレーションすることにより、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することが可能であり得る。アブレーションプロセスは、組織を横切る異常な電気信号の通信を効果的に遮断する電気絶縁性病変又は瘢痕組織を形成することにより、望ましくない電気経路に対する障壁を提供することができる。
【0002】
いくつかの処置では、1つ以上のRF電極を有するカテーテルを使用して、心臓血管系内でアブレーションを行うことができる。カテーテルを主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次に前進させて、心臓内又は心臓に隣接する心臓血管構造(例えば、肺静脈)内に電極を位置決めすることができる。1つ以上の電極を、心臓組織又は他の血管組織と接触するように配置し、次にRFエネルギーで活性化し、それによって、接触した組織をアブレーションすることができる。場合によっては、電極は、双極であり得る。いくつかの他の場合において、患者と接触している接地パッド又は患者と接触している他の参照電極と組み合わせて、単極電極が使用され得る。灌注を使用して、アブレーションカテーテルのアブレーション構成要素から熱を引き出し、アブレーション部位付近に血栓が形成されるのを防止し得る。
【0003】
アブレーションカテーテルの例は、2020年8月18日に発行された「Integrated Ablation System using Catheter with Multiple Irrigation Lumens」と題する米国特許第10,743,932号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);2020年5月26日に発行された「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」と題する米国特許第10,660,700号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);米国特許出願公開第2018/0071017号、発明の名称「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」、2018年3月15日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);2020年7月7日に発行された「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」と題する米国特許第10,702,177号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);米国特許第10,130,422号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」、2018年11月20日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);米国特許第8,956,353号、発明の名称「Electrode Irrigation Using Micro-Jets」、2015年2月17日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);及び米国特許第9,801,585号、発明の名称「Electrocardiogram Noise Reduction」、2017年10月31日発行2017年10月31日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0004】
いくつかのカテーテルアブレーション処置は、電気生理学的(electrophysiology、EP)マッピングを使用してアブレーションの標的とすべき組織領域を識別した後に実行され得る。このようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実行するために使用される同じカテーテル、又は専用のマッピングカテーテル)上の感知電極の使用を含み得る。このような感知電極は、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の場所を特定することができる。EPマッピングシステムの例は、米国特許第5,738,096号、発明の名称「Cardiac Electromechanics」、1998年4月14日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、米国特許第9,907,480号、発明の名称「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipole Microelectrodes」、2018年3月6日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);2018年11月20日に発行された「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」と題する米国特許第10,130,422号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる);及び2020年7月7日に発行された「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」と題する米国特許第10,702,177号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0005】
EPマッピングを使用することに加えて、いくつかのカテーテルアブレーション処置は、画像誘導手術(image guided surgery、IGS)システムを使用して実施され得る。IGSシステムにより、医師は、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、患者内のカテーテルの場所をリアルタイムで視覚的に追跡することが可能になり得る。Irvine,CaliforniaのBiosense Webster,Inc.によるCARTO 3(登録商標)システムを含むいくつかのシステムは、EPマッピング機能とIGS機能との組み合わせを提供することができる。IGSシステムと共に使用するように構成されているカテーテルの例は、2016年11月1日に発行された「Signal Transmission Using Catheter Braid Wires」と題する米国特許第9,480,416号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び本明細書で引用されている様々な他の参考文献に開示されている。
【0006】
いくつかのカテーテルシステム及び方法が製造され使用されてきたが、本発明者らよりも以前に、添付の特許請求の範囲に記載の本発明を製造又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルを患者に挿入する医療処置の概略図である。
【
図2A】カテーテルのエンドエフェクタがカテーテルの外側シースに対して近位位置にある、
図1のカテーテルアセンブリの斜視図を示す。
【
図2B】エンドエフェクタが外側シースに対して遠位位置にある、
図1のカテーテルアセンブリの斜視図を示す。
【
図3】エンドエフェクタの層が互いに分離された、
図2Bのエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図4】
図1のカテーテルアセンブリに組み込まれ得る代替的なエンドエフェクタの上面図を示す。
【
図5A】エンドエフェクタのリーフが第1の構成にある、
図1のカテーテルアセンブリに組み込まれ得る別の代替的なエンドエフェクタの上面図を示す。
【
図5B】エンドエフェクタのリーフが第2の構成にある、
図5Aのエンドエフェクタの上面図を示す。
【
図6】
図1のカテーテルアセンブリに組み込まれ得る別の代替的なエンドエフェクタの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として、本発明の原理を例示する。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【0009】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変型例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0010】
本明細書で使用する場合、任意の数値又は数値の範囲についての「概ね」、「実質的に」、「約」、又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は構成要素の集合が、本明細書で述べる意図された目的に沿って機能することを可能にする好適な寸法の許容範囲を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験体」という用語は、任意のヒト又は動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0011】
I.カテーテルシステムの例の概要
図1は、上に言及した、EPマッピング又は心臓アブレーションを行うために使用できる心臓カテーテルシステムの例示的な医療手技及び関連する構成要素を示す。具体的には、
図1は、カテーテルアセンブリ(100)のハンドルアセンブリ(110)を把持する医師(physician、PH)を示し、カテーテルアセンブリ(100)の(
図2A~
図2Bに示されているが、
図1には示されていない)可撓性カテーテル(120)の(
図2A及び
図3に示されているが、
図1には示されていない)エンドエフェクタ(200)は、患者(patient、PA)の心臓(heart、H)内若しくはその近くの組織の電位をマッピングするか、又は組織をアブレーションするように患者(PA)内に配設されている。
図2A~
図2Bに示されるように、カテーテルアセンブリ(100)は、ハンドルアセンブリ(110)と、ハンドルアセンブリ(110)から遠位に延在するカテーテル(120)と、カテーテル(120)の遠位端に位置するエンドエフェクタ(200)と、ハンドルアセンブリ(110)と関連付けられた偏向駆動アクチュエータ(114)と、を含む。偏向駆動アクチュエータ(114)は、ハンドルアセンブリ(110)のケーシング(112)に対して回転可能であり、それによって、エンドエフェクタ(140)及びカテーテル(120)の遠位部分をカテーテル(120)の近位部分によって画定された中央長手方向軸(longitudinal axis、LA)から離れて偏向させる。偏向駆動アクチュエータ(114)及びカテーテル(120)と結合されてそのような機能を提供し得る様々な好適な構成要素は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。
【0012】
カテーテル(120)は、細長い可撓性シャフト(122)と、外側シース(124)と、を含む。シャフト(122)は、外側シース(124)内に同軸かつ摺動可能に配設されている。エンドエフェクタ(200)は、シャフト(122)の遠位端に位置決めされる。カテーテル(120)の近位端は、ハンドルアセンブリ(110)のノズル部材(116)から遠位に延在する。いくつかの変形例では、外側シース(124)は、カテーテル(120)の一体的構成要素である。いくつかの他の変形例では、シース(124)は、別の器具の構成要素であり、カテーテル(120)は、シース(124)に挿入される。いずれのシナリオでも、シャフト(122)及び外側シース(124)は、エンドエフェクタ(200)が外側シース(124)内に収容されるように外側シース(124)がシャフト(122)に対して遠位に位置決めされる、
図2Aに示される第1の配置と、エンドエフェクタ(200)が外側シース(124)に対して露出するように外側シース(124)がシャフト(122)に対して近位に位置決めされる、
図2Bに示される第2の配置と、を含む、2つの配置の間を移行し得る。いくつかの変形例では、シャフト(122)は、ハンドルアセンブリ(110)に対して並進して、外側シース(124)に対して異なる長手方向の位置決めを達成する。いくつかの他の変形例では、外側シース(124)は、ハンドルアセンブリ(110)に対して並進して、シャフト(122)に対して異なる長手方向の位置決めを達成する。
【0013】
カテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)と結合されている。カテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)に結合されているが、これは任意選択である。1組の磁場生成器(20)は、患者(PA)の下に配置され、またケーブル(22)を介して誘導駆動システム(10)に結合されている。本実施例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)及びディスプレイ(18)を含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)及び第2のドライバモジュール(16)を含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)と結合されている。いくつかの変型例では、第1のドライバモジュール(14)は、以下により詳細に説明するように、エンドエフェクタ(200)の電極対(252)を介して取得されたEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)は、そのようなEPマッピング信号を処理し、それによって、当該技術分野において既知のEPマッピングを行うプロセッサ(図示せず)を含む。追加的に又は代替的に、第1のドライバモジュール(14)は、エンドエフェクタ(200)のアブレーション電極(図示せず)にRF電力を供給し、それによって組織をアブレーションするように動作可能であり得る。
【0014】
いくつかの変形例では、第1のドライバモジュール(14)はまた、以下により詳細に説明するように、エンドエフェクタ(200)内の1つ又は2つ以上の位置センサコイル(274、278、280)から位置指示信号を受信するように動作可能である。そのような変形例では、コンソール(12)のプロセッサはまた、位置センサコイル(274、278、280)からの位置指示信号を処理し、それによって、患者(PA)内のカテーテル(120)のエンドエフェクタ(200)の位置を判定するように動作可能である。エンドエフェクタ(200)と関連付けられたリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術としては、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などが挙げられ得る。
【0015】
第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場生成器(20)と結合されている。第2のドライバモジュール(16)は、磁場生成器(20)を活性化させて、患者(PA)の心臓(H)の周りに交流磁場を生成するように動作可能である。例えば、磁場生成器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を生成するコイルを含み得る。
【0016】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサと結合されており、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、手術前又は手術中に取得された一組の画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づき得る。ディスプレイ(18)を通して提供される患者の解剖学的構造の図はまた、エンドエフェクタ(200)の位置センサコイル(274、278、280)からの信号に基づいて動的に変化し得る。例えば、カテーテル(120)のエンドエフェクタ(200)が患者(PA)内を移動すると、位置センサコイル(274、278、280)からの対応する位置データにより、コンソール(12)のプロセッサは、ディスプレイ(18)内の患者の解剖学的構造の図をリアルタイムで更新し、エンドエフェクタ(200)が患者(PA)内を移動するときのエンドエフェクタ(200)の周囲の患者の解剖学的構造の領域を描写し得る。更に、コンソール(12)のプロセッサは、エンドエフェクタ(200)によるEPマッピングによって検出されるように、異常な導電性組織部位の場所を示すように、ディスプレイ(18)を駆動し得る。単なる例として、コンソール(12)のプロセッサは、照明ドット、十字線、又は異常な導電性組織部位のいくつかの他の形態の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、異常な導電性組織部位の場所を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。
【0017】
コンソール(12)のプロセッサはまた、例えば、照明ドット、十字線、エンドエフェクタ(200)のグラフィック表現、又はいくつかの他の形態の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、エンドエフェクタ(200)の現在の場所を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動し得る。そのような重ね合わされた視覚的指示はまた、医師が患者(PA)内でエンドエフェクタ(200)を移動させると、リアルタイムでディスプレイ(18)上の患者の解剖学的構造の画像内を移動し得、それによって、エンドエフェクタ(200)が患者(PA)内を移動すると、患者(PA)内のエンドエフェクタ(200)の位置に関するリアルタイムの視覚的フィードバックを操作者に提供する。したがって、ディスプレイ(18)を介して提供される画像は、エンドエフェクタ(200)を観察するいかなる光学機器(すなわち、カメラ)を必ずしも有することなく、患者(PA)内のエンドエフェクタ(200)の位置を追跡するビデオを効果的に提供し得る。同じビューにおいて、ディスプレイ(18)は、EPマッピングによって検出された異常な導電性組織部位の場所を同時に視覚的に示すことができる。したがって、医師(PH)は、ディスプレイ(18)を見て、マッピングされた異常な導電性組織部位に対する、及び患者(PA)内の隣接する解剖学的構造の画像に対するエンドエフェクタ(200)のリアルタイムの位置を観察することができる。
【0018】
本実施例の流体源(42)は、生理食塩水又は何らかの他の好適な灌注流体を収容するバッグを含む。導管(40)は、流体源(42)からカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に駆動するように動作可能なポンプ(44)に更と結合されている可撓性チューブを含む。いくつかの変型例では、導管(40)、流体源(42)、及びポンプ(44)は、完全に省略されている。これらの構成要素が含まれている変形例では、エンドエフェクタ(200)は、流体源(42)から患者内の標的部位に灌注流体を伝達するように構成され得る。このような灌注は、本明細書に引用されている様々な特許参考文献のいずれかの教示に従って、又は、本明細書の教示に鑑みて当業者に明らかとなる他の任意の好適な方法で提供され得る。
【0019】
II.多層フレックス回路サブアセンブリを備えたエンドエフェクタの実施例
いくつかの種類のEPマッピングエンドエフェクタは、特に、心臓(H)のチャンバで使用するように構成され得、エンドエフェクタは、組織から心電図信号を取り出すために、心臓(H)の室を画定する壁に対して押圧され得る。いくつかの他の種類のEPマッピングエンドエフェクタは、特に、肺静脈で使用するように構成され得、エンドエフェクタは、組織から心電図信号を取り出すために、肺静脈の壁に対して押圧される。肺静脈の壁の幾何学形状が心臓(H)の室を画定する壁とは実質的に異なることが、当業者には認識されよう。例えば、肺静脈の壁は、概ね円形の断面を有し、相対的に小さい曲率半径を有する。対照的に、心臓(H)の室を画定する壁は、概ね平坦な領域と、肺静脈に関連する曲率半径よりも大きい曲率半径を有する湾曲した領域と、を有し得る。
【0020】
したがって、肺静脈の幾何学的形状と心臓(H)の室を画定する壁の幾何学的形状との違いにより、肺静脈での使用のために特別に構成されたEPマッピングエンドエフェクタは、心臓(H)の室内での使用に好適ではない場合がある。同様に、心臓(H)の室内での使用のために特別に構成されたEPマッピングエンドエフェクタは、肺静脈での使用に好適ではない場合がある。したがって、肺静脈内での使用と心臓(H)の室内での使用との両方に好適であるEPマッピングエンドエフェクタを提供することが望ましい場合がある。そのようなエンドエフェクタ(200)の例が、以下により詳細に記載される。
【0021】
図2Aに示されるように、エンドエフェクタ(200)は、外側シース(124)がシャフト(122)に対して遠位に位置決めされたとき、外側シース(124)内に完全に収まるように変形可能である。
図2Bに示されるように、エンドエフェクタ(200)はまた、外側シース(124)がシャフト(122)に対して近位に位置決めされたとき、拡張構成を達成するようにも構成されている。拡張構成では、エンドエフェクタ(200)は、実質的に平坦であり、また、カテーテル(120)の長手方向軸(LA)から横方向に延在する、斜めに延在する部分(210)を有する。単なる例として、エンドエフェクタ(200)は、約20mm~約35mmの範囲、又は特に約27mmの長さ、約8mm~約15mmの範囲、又は特に約11mmの幅を有し得る。代替的に、エンドエフェクタ(200)は、任意の他の好適な寸法を有し得る。
【0022】
エンドエフェクタ(200)は、長手方向に延在するベース部材(212)と、斜めに延在する部材(214)の列と、長手方向に延在する平行部材(216)と、エンドエフェクタ(200)をシャフト(122)の遠位端と結合するテール部材(202)と、を含む。この実施例では、部材(212、214、216)は、ストリップの形態であり、また、以下により詳細に説明するように、一緒に積層されるフレックス回路サブアセンブリ(240、260、290)の一部分によって形成される。ベース部材(212)は、シャフトアセンブリ(120)によって画定された長手方向軸(LA)に沿って長手方向に延在する。平行部材(216)は、シャフトアセンブリ(120)によって画定された長手方向軸(LA)と平行であり、更に、シャフトアセンブリ(120)によって画定された長手方向軸(LA)から横方向にオフセットされる。斜めに延在する部材(214)は、ベース部材(212)から斜めに延在する。本実施例では、斜めに延在する部材(214)は、ベース部材(212)と斜角を画定し、更に、斜めに延在する部材(214)は、互いに平行である。
【0023】
本実施例では、最近位の斜めに延在する部材(214)とベース部材(212)との間に画定された斜角αは、外側シース(124)が、
図2Bに示される近位位置から
図2A及び特に
図3に示される遠位位置まで遠位に並進するときのエンドエフェクタ(200)の変形を促進する。換言すれば、最近位の斜めに延在する部材(214)とベース部材(212)との間に画定された斜角αは、外側シース(124)の遠位縁部がエンドエフェクタ(200)に引っ掛かることを防止するのを補助し得、また、エンドエフェクタ(200)が、折り畳まれた状態を達成するように促進することによって、エンドエフェクタ(200)が外側シース(124)の内部に収まるようにし得る。角度αが90度に近づくにつれて、これは、エンドエフェクタ(200)を展開した状態から外側シース(124)の中へ後退させることをより困難にし得る。角度αが、0度に近づくにつれて、これは、電極(252)をエンドエフェクタ(200)上に好適に位置決めすることをより困難にし得る。したがって、外側シース(124)内のエンドエフェクタ(200)の後退を容易にすることと、同時にまた、エンドエフェクタ(200)上の電極(252)の好適な数及び位置も可能にすることとの間の最善のバランスを保つ角度を提供することが望ましい場合がある。
図3に示されるように、角度αは、長手方向軸及び隣接部材(248)の縁部に対して参照される。単なる例として、各斜めに延在する部材(214又は248)は、長手方向に延在するベース部材(212又は242)又は長手方向軸(LA)とのそれぞれの角度を、約90度~約160度の任意の角度に、又は特に約140度の斜角に画定し得る。いくつかの他の変形例では、斜めに延在する部材(214)は、ベース部材(212)との異なるそれぞれの角度αを画定する。本実施例のベース部材(212)は、斜めに延在する部材(
図2Bの214又は
図3の248)と長手方向軸(LA)との間に画定された角度αが、斜めに延在する部材(
図2Bの214又は
図3の248)とベース部材(
図2Bの212又は
図3の242)との間に画定される角度と同じであるように、長手方向軸(LA)に沿って延在することを理解されたい。
【0024】
本実施例では、エンドエフェクタ(200)の部材(212、214、216)は、平行四辺形の形状を画定し、それを通して開口部(220)が形成される。平行四辺形の形状は、エンドエフェクタ(200)がカテーテル(120)の長手方向軸(LA)を中心に非対称であるように、カテーテル(120)の長手方向軸(LA)から横方向に突出する。開口部(220)は、血液がエンドエフェクタ(200)の中を流れることを可能にする。加えて、開口部(220)は、エンドエフェクタ(200)が折り畳まれて収容された状態(
図2A)と拡張した展開状態(
図2B)との間で移行するとき、エンドエフェクタ(200)の変形を容易にし得る。本実施例では、エンドエフェクタ(200)は、エンドエフェクタ(200)が外側シース(124)から展開されたときに拡張状態を達成するように弾性的に付勢される。したがって、外側シース(124)は、エンドエフェクタ(200)の弾性付勢に打ち勝って、それによって、エンドエフェクタ(200)が外側シース(124)内に収容されているとき、エンドエフェクタ(200)を折り畳み状態に維持するように構成されている。いくつかの他の変形例では、エンドエフェクタ(200)は、1つ又は2つ以上の引張ワイヤを介して、1つ又は2つ以上の温度感受性部材を介して、1つ又は2つ以上の電気作動部材を介して、及び/又は任意の他の好適な作動特徴部を介して、折り畳み位置から拡張位置まで能動的に駆動される。
【0025】
カテーテル(120)及びエンドエフェクタ(200)は、カテーテル(120)が患者(PA)の体内に導入されたとき、及び挿入部位から患者(PA)内の標的心臓血管領域への移行中、
図2Aに示された状態にある可能性がある。カテーテル(120)及びエンドエフェクタ(200)が患者(PA)内の標的の心血管領域に到達すると、外側シース(124)を近位に後退させてエンドエフェクタ(200)を露出させ、それによって、エンドエフェクタ(200)が、
図2Bに示される拡張した展開状態を達成することを可能にし得る。
【0026】
図3に最も良く見られるように、本実施例のエンドエフェクタ(200)は、積層体を形成するように一緒に積層される、3つのフレックス回路サブアセンブリ(240、260、290)を備える。単なる例として、フレックス回路サブアセンブリ(240、260、290)は、1つ又は2つ以上の接着剤を介して及び/又は任意の他の好適な特徴部若しくは技術を使用して一緒に固定され得る。
【0027】
フレックス回路サブアセンブリ(240)は、ベース部材部分(244)、平行部材部分(246)、斜めに延在する部材部分(248)、及びテール部分(250)を画定する、基板(242)を含む。エンドエフェクタ(200)が完全に組み立てられた状態にあるとき、フレックス回路サブアセンブリ(240)のベース部材部分(244)は、フレックス回路サブアセンブリ(260、290)の対応するベース部材部分(264、294)と協働して、エンドエフェクタ(200)のベース部材(212)を形成する。同様に、フレックス回路サブアセンブリ(240)の平行部材部分(246)は、フレックス回路サブアセンブリ(260、290)の対応する平行部材部分(266、296)と協働して、エンドエフェクタ(200)の平行部材(216)を形成する。フレックス回路サブアセンブリ(240)の斜めに延在する部材部分(248)は、フレックス回路サブアセンブリ(260、290)の対応する斜めに延在する部材部分(268、298)と協働して、エンドエフェクタ(200)の斜めに延在する部材(214)を形成する。フレックス回路サブアセンブリ(240)のテール部分(250)は、フレックス回路サブアセンブリ(260、290)の対応するテール部分(270、299)と協働して、エンドエフェクタ(200)のテール部材(202)を形成する。
【0028】
本実施例のフレックス回路サブアセンブリ(240)は、斜めに延在する部材部分(248)に沿って対で配置される、複数の電極(252)を更に備える。いくつかの変形例では、電極(252)はまた、ベース部材部分(244)及び/又は平行部材部分(246)に沿って位置決めされる。各電極対(252)は、当該技術分野において既知であるように、組織から心電図信号を取り出すことによって双極EPマッピングを提供するように動作可能である。単なる例として、各電極(252)対の電極(252)の間隔は、2020年9月24日に発行された米国特許出願公開第2020/0297281号、発明の名称「Electrode Configurations for Diagnosis of Arrhythmias」(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に示され、説明された配置に従うように配置され得る。電極(252)によって取り出された信号は、カテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を通してコンソール(12)に通信し戻され得、コンソール(12)は、信号を処理して、EPマッピングを提供し、それによって、心臓解剖学的構造内の異常な電気的活動の場所を識別し得る。これは、同様に、医師(PH)が、アブレーションする(例えば、RFエネルギー、冷凍アブレーションなどで)心臓組織の最も適切な領域を識別することを可能にし得、それによって、心臓組織を横切る異常な電気活動の伝達を防止するか、又は少なくとも低減する。単なる例として、フレックス回路サブアセンブリ(240)上の電極(252)の数は、40個~60個の範囲であり得、又は50個であり得る。代替的に、フレックス回路サブアセンブリ(240)は、任意の他の好適な数の電極(252)を含むことができる。
【0029】
基板(242)は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、又は任意の他の好適なフレックス回路基板から形成され得、電極(252)及び関連する導電性トレースは、基板(242)上に印刷される。いくつかの変形例では、基板(242)は、ニチノールなどの弾性材料から形成されて、エンドエフェクタ(200)を外側シース(124)に対して露出させたとき、エンドエフェクタ(200)を
図2に示される拡張構成に弾性的に付勢する。いくつかの他の変形例では、そのような弾性を提供するために、1つ又は2つ以上の弾性支持体が基板(242)に固定される。別の変型例として、基板(242)は、弾性(例えば、ニチノール)層の上に敷設されたポリマー層を含み得る。
【0030】
電極(252)は、プラチナ、金、又は任意の他の好適な材料から形成され得る。電極(252)は、所望に応じて、様々なコーティングを含み得る。例えば、電極(252)は、電極対(252)からの信号の信号対ノイズ比を改善するように選択されたコーティングを含み得る。そのようなコーティングとしては、酸化イリジウム(IrOx)コーティング、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)コーティング、電着酸化イリジウム(EIROF)コーティング、白金イリジウム(PtIr)コーティング、又は任意の他の好適なコーティングが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0031】
いくつかの変形例では、電極(252)は、物理蒸着(physical vapor deposition、PVD)プロセスを介した薄膜として基板(242)に提供され得る。単なる一例として、そのようなPVDプロセスは、国際特許公開第2015/117908号、発明の名称「Medical Device for Ablating Tissue Cells and System Comprising a Device of This Type」、2015年8月13日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部、ドイツ特許公開第102017130152号、発明の名称「Method for Operating a Multi-Layer Structure」、2019年1月3日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部、又は、米国特許第10,061,198号、発明の名称「Method for Producing a Medical Device or a Device with Structure Elements,Method for Modifying the Surface of a Medical Device or of a Device with Structure Elements,Medical Device and Laminated Composite with a Substrate」、2018年8月28日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って実行され得る。また、スパッタ蒸着、化学気相蒸着(chemical vapor deposition、CVD)、熱蒸着などが挙げられるが、これらに限定されない、他の方法を用いて、基板(242)上に電極(252)、導電性トレース、又は他の回路構成要素が提供され得る。
【0032】
本実施例では、テール部分(250)は、複数の終端パッド(254)を含む。終端パッド(254)は、フレックス回路サブアセンブリ(240)に形成された対応するトレース(図示せず)を介して、電極(252)と電気通信する。ワイヤ(図示せず)は、終端パッド(254)と結合され、カテーテル(120)の内部に沿って延在して、電極(252)からコンソール(12)への電気通信のための経路を提供する。いくつかの他の変形例では、フレックス回路は、カテーテル(120)の長さに沿って延在して、電極(252)からコンソール(12)への電気通信のための経路を提供する。
図3ではテール部分(250)が平坦な構成に示されているが、テール部分(250)は、エンドエフェクタ(200)が完全にカテーテル(120)に組み立てられたとき、シャフト(122)の遠位端の周りに巻き付けられ得る。
【0033】
フレックス回路サブアセンブリ(260)は、ベース部材部分(264)、平行部材部分(266)、斜めに延在する部材部分(268)、及びテール部分(260)を画定する、基板(262)を含む。エンドエフェクタ(200)が完全に組み立てられた状態にあるとき、フレックス回路サブアセンブリ(260)のベース部材部分(264)は、フレックス回路サブアセンブリ(240、290)の対応するベース部材部分(244、294)と協働して、エンドエフェクタ(200)のベース部材(212)を形成する。同様に、フレックス回路サブアセンブリ(260)の平行部材部分(266)は、フレックス回路サブアセンブリ(240、290)の対応する平行部材部分(246、296)と協働して、エンドエフェクタ(200)の平行部材(216)を形成する。フレックス回路サブアセンブリ(260)の斜めに延在する部材部分(268)は、フレックス回路サブアセンブリ(240、290)の対応する斜めに延在する部材部分(248、298)と協働して、エンドエフェクタ(200)の斜めに延在する部材(214)を形成する。フレックス回路サブアセンブリ(260)のテール部分(270)は、フレックス回路サブアセンブリ(240、290)の対応するテール部分(240、299)と協働して、エンドエフェクタ(200)のテール部材(202)を形成する。
図3ではテール部分(270)が平坦な構成で示されているが、テール部分(270)は、エンドエフェクタ(200)が完全にカテーテル(120)に組み立てられたとき、シャフト(122)の遠位端の周りに巻き付けられ得る。
【0034】
本実施例のフレックス回路サブアセンブリ(260)は、対応する位置センサコイル(274、278、282)を形成する、複数の位置センサトレース(272、276、280)を更に備える。位置センサトレース(272)は、ベース部材部分(264)、2つの最遠位斜めに延在する部材部分(268)、平行部材部分(266)、及びテール部分(260)に沿って延在する。位置センサトレース(276)は、ベース部材部分(264)、2つの最近位斜めに延在する部材部分(268)、平行部材部分(266)、及びテール部分(260)に沿って延在する。位置センサトレース(280)は、全体的にテール部分(270)上に位置決めされる。したがって、位置センサコイル(274)は、位置センサコイル(278、282)の遠位に位置決めされ、位置センサコイル(278)は、位置センサコイル(274)の近位及び位置センサコイル(282)の遠位に位置決めされ、位置センサコイル(282)は、位置センサコイル(274、278)の近位に位置決めされる。
【0035】
各位置センサコイル(274、278、282)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(200)の対応する部分の位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能である。位置センサコイル(274、278、282)は、磁場生成器(20)によって生成された交流電磁場の存在に応答して電気信号を生成する。各位置センサコイル(274、278、282)は、カテーテル(120)に沿って又は別様にカテーテル(120)通して、対応するワイヤ、対応するトレース、又は任意の他の好適な対応する電気導管と結合され、それによって、位置センサコイル(274、278、282)によって生成された信号を、カテーテル(120)の電気導管(図示せず)を通してコンソール(12)に通信し戻すことを可能にし得る。コンソール(12)は、位置センサコイル(274、278、282)からの信号を処理して、患者(PA)内のエンドエフェクタ(200)の対応する部分の位置を識別し得る。
【0036】
エンドエフェクタ(200)と関連付けられたリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術としては、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などが挙げられ得る。いくつかの変形例では、位置センサコイル(274、278、282)は、省略され得る。位置センサコイル(274、278、282)又は他の位置追跡特徴を提供する変形例では、コンソール(12)が、EP信号の場所を、そのようなEP信号が生成された患者(PA)内の正確な解剖学的場所と併せて記憶し得るように、位置データは、電極(252)によって取り出されたEPマッピングデータと相関され得る。
【0037】
基板(262)は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、又は任意の他の好適なフレックス回路基板で形成され得、位置センサトレース(272、276、280)は、基板(262)上に印刷される。いくつかの変形例では、基板(262)は、ニチノールなどの弾性材料から形成されて、エンドエフェクタ(200)を外側シース(124)に対して露出させたとき、エンドエフェクタ(200)を
図2に示される拡張構成に弾性的に付勢する。いくつかの他の変形例では、そのような弾性を提供するために、1つ又は2つ以上の弾性支持体が基板(262)に固定される。別の変型例として、基板(262)は、弾性(例えば、ニチノール)層の上に敷設されたポリマー層を含み得る。基板(262)を形成するために使用される材料にかかわらず、センサトレース(272、276、280)は、物理蒸着法(PVD)プロセス、スパッタ蒸着、化学気相蒸着(CVD)、熱蒸着、又は任意の他の好適なプロセスを介した薄膜として基板(262)上に提供され得る。
【0038】
本実施例のフレックス回路サブアセンブリ(260)は、温度センサ(284)を更に備える。単なる例として、温度センサ(284)は、熱電対及び/又は任意の他の好適な種類の構成を備え得る。温度センサ(284)は、平行部材部分(266)上に位置決めされる。しかしながら、他の変形例は、ベース部材部分(264)上に及び/又は1つ又は2つ以上の斜めに延在する部材部分(268)上に温度センサ(284)を提供し得る。温度センサ(284)は、エンドエフェクタ(200)の対応する領域の温度を感知するように構成されている。温度センサ(284)からの温度データは、コンソール(12)に通信され得、コンソール(12)は、任意の好適な方法で、そのような温度を1つ又は2つ以上の制御アルゴリズムに組み込み得る。単なる例として、温度センサ(284)からの温度データを利用して、電極(252)からのEP信号データが更に精緻化され得る。追加的に又は代替的に、エンドエフェクタ(200)が1つ又は2つ以上のアブレーション電極を含む変形例では、温度センサ(284)からの温度データを利用して、そのようなアブレーション電極への電力の送達を調節し、それによって、エンドエフェクタ(200)の過熱及び/又は隣接組織の過熱を防止し得る。
図3では1つの温度センサ(284)だけが示されているが、エンドエフェクタ(200)の他の変型例は、2つ以上の温度センサ(284)を含み得るか、又は温度センサ(284)を全く含まない。
図3では温度センサ(284)がフレックス回路サブアセンブリ(260)の一部であるように示されているが、フレックス回路サブアセンブリ(260)に一体化されることに加えて、又はその代わりに、1つ又は2つ以上の温度センサ(284)が、他のフレックス回路サブアセンブリ(240、290)のいずれか又は両方に一体化され得る。
【0039】
フレックス回路サブアセンブリ(290)は、ベース部材部分(294)、平行部材部分(296)、斜めに延在する部材部分(298)、及びテール部分(299)を画定する、基板(292)を含む。エンドエフェクタ(200)が完全に組み立てられた状態にあるとき、フレックス回路サブアセンブリ(290)のベース部材部分(294)は、フレックス回路サブアセンブリ(240、260)の対応するベース部材部分(244、264)と協働して、エンドエフェクタ(200)のベース部材(212)を形成する。同様に、フレックス回路サブアセンブリ(290)の平行部材部分(296)は、フレックス回路サブアセンブリ(240、260)の対応する平行部材部分(246、266)と協働して、エンドエフェクタ(200)の平行部材(216)を形成する。フレックス回路サブアセンブリ(290)の斜めに延在する部材部分(298)は、フレックス回路サブアセンブリ(240、260)の対応する斜めに延在する部材部分(248、268)と協働して、エンドエフェクタ(200)の斜めに延在する部材(214)を形成する。フレックス回路サブアセンブリ(290)のテール部分(299)は、フレックス回路サブアセンブリ(240、260)の対応するテール部分(240、270)と協働して、エンドエフェクタ(200)のテール部材(202)を形成する。
図3ではテール部分(299)が平坦な構成で示されているが、テール部分(299)は、エンドエフェクタ(200)が完全にカテーテル(120)に組み立てられたとき、シャフト(122)の遠位端の周りに巻き付けられ得る。
【0040】
フレックス回路サブアセンブリ(290)は、フレックス回路サブアセンブリ(240)と同様に動作可能であるように構成され得るが、電極及び終端パッドが、電極(252)及び終端パッド(254)とは反対方向に面している。換言すれば、
図3に示される図では、フレックス回路アセンブリ(290)の電極及び終端パッドは、下方に面し得る。したがって、エンドエフェクタ(200)が完全に組み立てられた状態にあるとき、エンドエフェクタ(200)は、エンドエフェクタ(200)の対向面に電極を提供し得る。
【0041】
エンドエフェクタ(200)が、患者(PA)体内で使用される方法の一例において、医師(PH)は、最初にカテーテル(120)を大静脈又は大動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次いでカテーテル(120)を前進させてエンドエフェクタ(200)を患者(200)の心臓(H)内に位置決めし得る。カテーテル(120)のこの前進中、コンソール(12)は、位置センサコイル(274、278、282)からの信号に基づいてカテーテル(120)の位置をリアルタイムで追跡し、そのリアルタイム位置をディスプレイ(18)上にレンダリングし得、よって、医師(PH)は、(例えば、患者(PA)の術前に取得された画像に関して)ディスプレイ(18)を観察してカテーテル(120)のリアルタイム位置を判定し得る。外側シース(124)は、患者(PA)へのカテーテル(120)の前進中は、遠位位置(
図2A)にあり得る。
【0042】
カテーテル(120)の遠位端が好適に位置決めされると、医師(PH)は外側シース(124)を近位に後退させて、エンドエフェクタ(200)を露出させ得る。エンドエフェクタ(200)は次いで、
図2Bに示されるように、拡張状態に到達し得る。エンドエフェクタ(200)が拡張状態にある場合、医師(PH)は、肺静脈の壁、心房の壁、又は心臓(H)の他の室、などの患者(PA)の心臓システム内の解剖学的構造に対してエンドエフェクタ(200)を押圧し得る。いくつかの処置では、医師(PH)は、ブラッシング運動で、スタンピング運動で、及び/又は任意の他の好適な技術を使用して、エンドエフェクタ(200)を組織に適用し得る。エンドエフェクタ(200)がこれらの解剖学的構造に係合したとき、組織と接触している電極(252)は、組織から信号を取り出し、それによって、コンソール(12)がEPマッピングを実行することを可能にする。コンソール(12)は、電極(252)からの信号を位置センサコイル(274、278、282)からの同時信号と相関させ、それによって、患者(PA)の心臓組織内の異常な電気信号の正確な場所の記憶を可能にし得る。コンソール(12)はこうして、患者(PA)の心臓の解剖学的構造の術前に取得された画像に対する異常な電気信号部位のマッピングを可能にし得る。そのようなマップが確立されている場合、医師(PH)は次いで、そのマップに基づいて、(例えば、エンドエフェクタ(200)又は何らかの他のデバイスを使用した)正確に標的化されたアブレーション又は何らかの他の種類の標的治療を提供し得る。
【0043】
エンドエフェクタ(200)の可撓性は、エンドエフェクタ(200)が心臓組織(例えば、心臓(H)の室内、肺静脈内、など)に対して押圧されたとき、エンドエフェクタ(200)が心臓組織の輪郭及び他の表面幾何学形状に適合することを可能にし得る。エンドエフェクタ(200)の変形は、電極(252)と心臓組織との間の完全な接触を促進し得る。このような接触は、エンドエフェクタ(200)上に相当数の電極(252)を提供することによって更に促進され得る。電極(252)のうちのいくつかの対が心臓組織の複数の領域で同時に感知する心電図信号を提供し得るため、相当数の電極(252)を有することにより、エンドエフェクタ(200)は、肺静脈内など、心臓(H)の4つの全ての室にわたる高密度EPマッピングを提供することが可能になり得る。
【0044】
いくつかのシナリオでは、エンドエフェクタ(200)が組織に接触している、手術の任意の所与の瞬間に、エンドエフェクタ(200)の一方の側面だけが組織に接触することになる。換言すれば、フレックス回路サブアセンブリ(290)のいかなる電極(図示せず)も組織に接触することなく、フレックス回路サブアセンブリ(240)のみの電極(252)のいずれか1つ又は2つ以上の対が組織に接触し得るか、又はフレックス回路サブアセンブリ(240)のいかなる電極(252)も組織に接触することなく、フレックス回路サブアセンブリ(290)のみの電極(図示せず)の1つ又は2つ以上の対が組織に接触し得る。それでも、組織に接触していないエンドエフェクタ(200)の電極は、患者(PA)の心臓血管系を通って循環している血液に接触し得る。血液に接触しているエンドエフェクタ(200)の任意の電極は、当該技術分野において既知であるように、ノイズ又は遠方場信号を低減するために血液から基準電位を取り出す、基準電極としての役割を果たし得る。
【0045】
EPマッピング電極(252)のみが本実施例のエンドエフェクタ(200)上に示されているが、エンドエフェクタ(200)の他の変形例は、EPマッピング電極(252)を含むことに加えて又はその代わりに、1つ又は2つ以上の追加的なアブレーション電極を含み得る。そのようなアブレーション電極を使用して、アブレーション電極と接触している組織にRFエネルギーを印加し、それによって組織をアブレーションすることができる。各アブレーション電極は、エンドエフェクタ(200)の対応するトレース又は他の電気導管と結合され得、それによって、コンソール(12)は、カテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を介してRFエネルギーをエンドエフェクタ(200)のトレース又は他の導管に伝達して、アブレーション電極に到達させ得る。代替的に、マッピング電極(252)が、両方のマッピング又はアブレーションのために接続され得、その場合、電極(252)は、マッピングし得る(しかし、マッピング中はアブレーションしない)か、又はアブレーションし得る(しかし、アブレーション中はマッピングしない)。
【0046】
上述したように、エンドエフェクタ(200)は、通常の使用中にエンドエフェクタ(200)が組織に対して押圧されたときに変形する傾向があり得る。エンドエフェクタ(200)のこの変形は、位置センサコイル(274、278)の変形を生じさせ得る。いくつかのシナリオでは、位置センサコイル(274、278)の変形は、位置センサコイル(274、278)によって生成される信号に影響を及ぼし得る。位置センサコイル(274、278)の変形が、位置センサコイル(274、278)によって生成される信号を通した位置読み取り値の精度を損ない得る程度まで、位置センサコイル(274、278)の変形によって生じるこのような信号効果を考慮するための追加的な信号処理を提供することが望ましい場合がある。
【0047】
本実施例のカテーテルアセンブリ(100)は、位置センサコイル(274、278、280)を介して位置感知を提供するが、いくつかの変形例は、位置センサコイル(274、278、280)を介して位置感知を提供することに加えて又はその代わりに、他の技術を使用して位置感知を提供し得る。単なる例として、代替的な位置感知としては、インピーダンス測定ベースの位置感知が挙げられ得る。このような位置感知の実施例は、米国特許第7,869,865号、発明の名称「Current-Based Position Sensing」、2011年1月11日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び米国特許第8,456,182号、発明の名称「Current Localization Tracker」、2013年6月4日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。代替的に、任意の他の好適な位置感知技術及び技術が使用され得る。
【0048】
III.代替的なフレックス回路構成を備えたエンドエフェクタの実施例
上述のエンドエフェクタ(200)では、位置センサコイル(274、278、280)及び温度センサ(284)が、電極(252)を含むフレックス回路サブアセンブリ(240、290)とは別に製造されるフレックス回路サブアセンブリ(260)上に提供される。フレックス回路サブアセンブリ(240、260、290)は、最終的に一緒に接合されてエンドエフェクタ(200)を形成するが、電極(252)のような電極、位置センサコイル(274、278、280)のような位置センサコイル、及び温度センサ(284)のような温度センサを、同じフレックス回路サブアセンブリに一体化することが望ましい場合がある。換言すれば、電極(252)のような電極、位置センサコイル(274、278、280)のような位置センサコイル、及び温度センサ(284)のような温度センサの組み合わせを同じ単一の基板上に有する、単一の基板を提供することが望ましい場合がある。このような配置は、製造時の処理時間及び材料の使用における効率を提供し得る。
【0049】
図4は、電極(312)、位置センサコイル(318、322)、及び温度センサ(220)の全てを同じ単一の基板(302)上に含む、エンドエフェクタ(300)の一例を示す。エンドエフェクタ(300)は、別様には、エンドエフェクタ(200)と同様に構成され得、かつ動作可能であり得、また、エンドエフェクタ(200)の代わりに、カテーテル(120)の遠位端に位置決めされ得る。エンドエフェクタ(300)の基板(302)は、ベース部材部分(304)、平行部材部分(306)、斜めに延在する部材部分(308)、及びテール部分(310)を画定する。
【0050】
電極(312)は、斜めに延在する部材部分(308)に沿って対で配置される。いくつかの変形例では、電極(312)はまた、ベース部材部分(304)及び/又は平行部材部分(306)に沿って位置決めされる。各電極対(312)は、上述したように組織から心電図信号を取り出すことによって双極EPマッピングを提供するように動作可能である。電極(312)によって取り出された信号は、カテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を通してコンソール(12)に通信し戻され得、コンソール(12)は、信号を処理して、EPマッピングを提供し、それによって、上述したように心臓解剖学的構造内の異常な電気的活動の場所を識別し得る。電極(312)は、上述の電極(252)のように構成され得、動作可能であり得、かつ製造され得る。
【0051】
一実施例では、電極(312)は、一対において約0.8mm×0.5mmである。
図4の実施例では、各電極対(312)は、合計50個の電極(312)の場合、斜めのアーム(308a~308e)1つ当たり合計10個の電極(312)が、隣接した対から約2.4mm離間されている。エンドエフェクタ(300)は、カバー領域(A)上の電極(312)の数が1平方センチメートル当たり約17個の電極(312)であるように、約27mmの長さ(L)及び約11mmの幅(W)のカバー領域(A)を有する。図は、電極(312)が各アーム(308a~308e)の一方の表面(図において見ることができる表面)にあるように示しているが、同じ配置で同様の数の電極(312)を各アーム(308a~308e)の反対側(すなわち、対向表面又は上面の下側)に提供することができることを理解されたい。アーム(308a~308e)の両側面に電極(312)を配置することは、一方の側面の電極(312)が組織に接触すること(かつ組織から放射する信号を記録すること)を可能にし、一方で、組織と接触していない(同じアームの反対側の)電極(312)を使用して、組織と直接物理的に接触している電極(312)から収集される、組織が生成する信号のノイズを低減するための遠方場信号を収集することを可能にする。
【0052】
温度センサ(330)は、本実施例では平行部材部分(306)に提供されるが、温度センサ(330)は、代替的に、基板(302)上の他の場所に位置決めされ得る。単なる例として、各温度センサ(330)は、熱電対及び/又は任意の他の好適な種類の構成を備え得る。各温度センサ(330)は、エンドエフェクタ(300)の対応する領域の温度を感知するように構成されている。温度センサ(330)からの温度データは、コンソール(12)に通信され得、コンソール(12)は、温度センサ(284)の文脈で上述したように、任意の好適な方法で、そのような温度を1つ又は2つ以上の制御アルゴリズムに組み込み得る。
【0053】
本実施例では、テール部分(310)は、複数の終端パッド(314)を含む。終端パッド(314)は、エンドエフェクタ(300)のフレックス回路内に形成された対応するトレース(図示せず)を介して電極(312)と電気通信する。ワイヤ(図示せず)は、終端パッド(314)と結合され、カテーテル(120)の内部に沿って延在して、電極(312)からコンソール(12)への電気通信のための経路を提供する。いくつかの他の変形例では、フレックス回路は、カテーテル(120)の長さに沿って延在して、電極(312)からコンソール(12)への電気通信のための経路を提供する。
図4ではテール部分(310)が平坦な構成に示されているが、テール部分(310)は、エンドエフェクタ(300)が完全にカテーテル(120)に組み立てられたとき、シャフト(122)の遠位端の周りに巻き付けられ得る。
【0054】
本実施例の位置センサコイル(318、322)は、本実施例ではテール部分(310)に位置する位置センサトレース(316、320)によって形成される。いくつかの変形例では、テール部分(310)がカテーテル(120)の遠位端の周りに巻き付けられたときに、位置コイル(318、322)が、互いに対して垂直であるそれぞれのコイル軸を中心として位置決めされるように、位置センサトレース(316、320)がテール部分(310)に位置決めされる。この実施例では、位置センサコイル(318、322)は、テール部分(310)にのみ位置しているが、他の変型例は、テール部分(310)に位置センサコイル(318、322)を提供することに加えて又はその代わりに、基板(302)の他の部分(304、306、308)に沿って位置センサコイルを提供し得る。
【0055】
各位置センサコイル(318、322)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の少なくとも近位端の位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能である。位置センサコイル(318、322)は、磁場生成器(20)によって生成された交流電磁場の存在に応答して電気信号を生成する。各位置センサコイル(318、322)は、カテーテル(120)に沿って又は別様にカテーテル(120)を通して、対応するワイヤ、対応するトレース、又は任意の他の好適な対応する電気導管と結合され、それによって、位置センサコイル(318、322)によって生成された信号を、カテーテル(120)の電気導管(図示せず)を通してコンソール(12)に通信し戻すことを可能にし得る。コンソール(12)は、位置センサコイル(318、322)からの信号を処理して、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の少なくとも近位端の位置を識別し得る。位置センサコイル(318、322)は、上述の位置センサコイル(274、278、282)のように構成され得、動作可能であり得、かつ製造され得る。
【0056】
基板(302)は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、又は任意の他の好適なフレックス回路基板で形成され得、電極(312)及び関連する導電性トレースは、基板(302)上に印刷される。いくつかの変形例では、基板(302)は、ニチノールなどの弾性材料から形成されて、エンドエフェクタ(300)を外側シース(124)に対して露出させたとき、エンドエフェクタ(200)を
図4に示される拡張構成に弾性的に付勢する。いくつかの他の変形例では、そのような弾性を提供するために、1つ又は2つ以上の弾性支持体が基板(302)に固定される。別の変型例として、基板(302)は、弾性(例えば、ニチノール)層の上に敷設されたポリマー層を含み得る。
【0057】
示されていないが、エンドエフェクタ(300)のどの側面が組織に面しているかどうかに関わらず、電極(312)が組織に接触し得るように、エンドエフェクタ(300)の反対側もまた、複数の電極(312)を有し得る。上述のように、エンドエフェクタ(300)の非組織接触側面上の電極(312)は、患者(PA)の血液から基準信号を取り出し得る。
【0058】
IV.偏向可能なリーフを有するエンドエフェクタの実施例
EPマッピング処置中は、処置中の任意の所与の瞬間に組織と接触する電極数を最大にすることが望ましい場合がある。上述の各エンドエフェクタ(200、300)の露出表面積は、エンドエフェクタ(200、300)に一体化され得る電極(252、312)の数を制限し得る。したがって、エンドエフェクタ(200、300)の表面積を効果的に増加させ、それによって、エンドエフェクタ(200、300)の他の機能的態様に悪影響を与えることなく、電極(252、312)の数を増加させることが望ましい場合がある。そのために、
図5A~
図5Bは、2つのフレックス回路リーフ(410、450)を含む、代替的なエンドエフェクタ(400)の一例を示す。別様には、エンドエフェクタ(400)は、エンドエフェクタ(200)と同様に構成され得、かつ動作可能であり得、また、エンドエフェクタ(200)の代わりに、カテーテル(120)の遠位端に位置決めされ得る。
【0059】
本実施例のフレックス回路リーフ(410)は、上述のエンドエフェクタ(200)のように構成されており、かつ動作可能である。したがって、フレックス回路リーフ(410)は、ベース部材部分(404)、平行部材部分(406)、斜めに延在する部材部分(408)、及びテール部分(410)を画定する、基板(402)を含む。電極(412)は、斜めに延在する部材部分(408)に沿って位置決めされる。電極(412)は、電極(252)のように構成され得、かつ動作可能であり得る。終端パッド(414)は、テール部分(410)に沿って位置決めされる。終端パッド(414)は、終端パッド(254)のように構成され得、かつ動作可能であり得る。
図5A~
図5Bには示されていないが、フレックス回路リーフ(410)はまた、フレックス回路サブアセンブリ(260、290)のように構成されており、かつ動作可能である、下層のフレックス回路サブアセンブリも含み得る。
【0060】
本実施例のフレックス回路リーフ(450)もまた、上述のエンドエフェクタ(200)のように構成されており、かつ動作可能である。したがって、フレックス回路リーフ(450)は、ベース部材部分(454)、平行部材部分(456)、斜めに延在する部材部分(458)、及びテール部分(図示せず)を画定する、基板(452)を含む。電極(462)は、斜めに延在する部材部分(458)に沿って位置決めされる。電極(462)は、電極(252)のように構成され得、かつ動作可能であり得る。
図5A~
図5Bには示されていないが、フレックス回路リーフ(450)はまた、フレックス回路サブアセンブリ(260、290)のように構成されており、かつ動作可能である、下層のフレックス回路サブアセンブリも含み得る。
【0061】
フレックス回路リーフ(410、450)は、フレックス回路リーフ(450)がフレックス回路リーフ(410)を鏡映するように位置決め及び配向される。フレックス回路リーフ(410)は、中央長手方向軸(LA)に対して斜角αで配向され得、一方で、フレックス回路リーフ(450)は、中央長手方向軸(LA)に対して斜角βで配向され得る。βは、折り畳みのシーケンスに影響を及ぼすために、αに等しいか、又はαと異なり得る。2つの斜角α、βが等しい場合、どちらのリーフ(410、450)も、リーフ(410、450)が外側シース(124)内に引き戻されるのと(又は外側シース(124)が、静止状態に保持されたリーフ(410、450)と共に遠位に前進するのと)ほぼ同時に折り畳まれる傾向があり得る。2つの斜角α、βが等しい変形例では、リーフ(410、450)は、リーフ(410、450)が外側シース(124)内に引き戻された(又は外側シース(124)が、静止状態に保持されたリーフ(410、450)と共に遠位に前進した)後に折り畳まれる傾向があり得る。
【0062】
フレックス回路リーフ(410、450)が
図5Aに示されるデフォルトの展開状態にあるとき、ベース部材部分(404、454)は互いに重なり合う。しかしながら、
図5Bに示されるように、フレックス回路リーフ(410、450)は、互いに離れて偏向するように構成されている。このような偏向は、エンドエフェクタ(400)がブラッシング運動、スタンピング運動、又は他の運動で組織に対して押圧されるときに生じ得る。フレックス回路リーフ(410、450)の互いに対する可動性及び変形性は、エンドエフェクタ(400)の電極(412、462)と組織表面との間の強化された係合を促進し得る。エンドエフェクタ(400)の電極(412、462)と組織表面との間のこのような強化された係合は、エンドエフェクタ(400)が、EPマッピングをより高速にかつより効率的な方法で実行することを可能にする。更に、上述のように、最近位の斜めに延在する部材部分(408、458)を斜めに配向することによって、エンドエフェクタ(400)は、依然として、比較的容易に、かつエンドエフェクタ(400)を損傷することなく、外側シース(124)内に後退させ得る。
【0063】
本実施例では、フレックス回路リーフ(410、450)は、フレックス回路リーフ(410、450)がカテーテル(120)の遠位端に固定されるテール部分(410)にのみ一緒に固定的に接合される。いくつかの他の変形例では、フレックス回路リーフ(410、450)はまた、ベース部材部分(404、454)に沿って一緒に固定的に接合される。代替的に、フレックス回路リーフ(410、450)は、互いに任意の他の好適な関係を有し得る。
【0064】
示されていないが、エンドエフェクタ(400)のどの側面が組織に面しているかどうかに関わらず、電極(412、462)が組織に接触し得るように、エンドエフェクタ(400)の反対側もまた、複数の電極(412、462)を有し得る。上述のように、エンドエフェクタ(400)の非組織接触側面上の電極(412、462)は、患者(PA)の血液から基準信号を取り出し得る。
【0065】
V.対称形の単一体を備えたエンドエフェクタの例
場合によっては、長手方向軸を中心に対称であるEPマッピングエンドエフェクタを提供することが望ましい場合がある。このようなエンドエフェクタが、展開された拡張状態から、外側シース(124)のようなシース内での圧縮又は折り畳み状態へのエンドエフェクタの折り畳みを促進する特徴部を含むことが更に望ましい場合がある。そのために、
図6は、エンドエフェクタ(500)の一例を示し、これは、長手方向軸(LA)を中心に対称であり、かつ展開された拡張状態から、外側シース(124)のようなシース内に圧縮された又は折り畳まれた状態へのエンドエフェクタ(500)の折り畳みを促進する特徴部を含む。エンドエフェクタ(500)は、エンドエフェクタ(200)の代わりに、シャフト(122)の遠位端に固定され得る。
図6の実施例では、エンドエフェクタ(500)は、約27mmの長さ(L)及び約10mmの幅(W)を有し得、ステムは、約1.4mmの厚さ「t」を有する。以下に別途記載されるものを除いて、エンドエフェクタ(500)は、エンドエフェクタ(500)と同様に構成され得、かつ動作可能であり得る。
【0066】
本実施例のエンドエフェクタ(500)は、3つの長手方向に延在する部分(504)、4つの斜めに延在する部分(506)、2つの遠位部分(508)、2つの遠位部分(510)、及びテール部分(512)を画定する、基板(502)を含む。斜めに延在する部分(506)は、中央長手方向に延在する部分(504)から外側の長手方向に延在する部分(504)まで延在する。本実施例では、各斜めに延在する部分(506)は、長手方向軸に対して斜めに延在する。単なる例として、各斜めに延在する部分(506)は、長手方向軸(LA)とのそれぞれの角度αを、約90度~約170度の任意の角度に、又は特に約140度の斜角に画定し得る。いくつかの他の変形例では、斜めに延在する部分(506)は、長手方向軸(LA)との異なるそれぞれの角度を画定する。例えば、最近位の斜めに延在する部分(506)のうちの1つは、斜角αで配向され得、一方で、最近位の斜めに延在する部分(506)のもう1つは、折り畳みのシーケンスに影響を及ぼすために、αに等しくなり得る、又はαと異なり得る斜角βで配向され得る。2つの斜角α、βが等しい場合、どちらの最近位の斜めに延在する部分(506)も、最近位の斜めに延在する部分(506)が外側シース(124)内に引き戻されるのと(又は外側シース(124)が、静止状態に保持された最近位の斜めに延在する部分(506)と共に遠位に前進するのと)ほぼ同時に折り畳まれる傾向があり得る。2つの斜角α、βが等しい変形例では、2つの最近位の斜めに延在する部分(506)は、最近位の斜めに延在する部分(506)が外側シース(124)内に引き戻された(又は外側シース(124)が、静止状態に保持された最近位の斜めに延在する部分(506)と共に遠位に前進した)後に折り畳まれる傾向があり得る。本実施例の中央長手方向に延在する部分(504)は、斜めに延在する部分(506)と長手方向軸(LA)との間に画定された角度が、斜めに延在する部分(506)と中央の長手方向に延在する部分(504)との間に画定された角度と同じであるように、長手方向軸(LA)に沿って延在することを理解されたい。
【0067】
複数の電極(530)は、それぞれの斜めに延在する部分(506)に沿って対で配置される。したがって、電極(530)及び基板(502)は、フレックス回路を形成する。電極(530)は、電極(252)のように構成され得、かつ動作可能であり得る。基板(502)は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、又は任意の他の好適なフレックス回路基板で形成され得、電極(530)及び関連する導電性トレースは、基板(502)上に印刷される。いくつかの変形例では、基板(502)は、ニチノールなどの弾性材料から形成されて、エンドエフェクタ(500)を外側シース(124)に対して露出させたとき、エンドエフェクタ(500)を
図6に示される拡張構成に弾性的に付勢する。いくつかの他の変形例では、そのような弾性を提供するために、1つ又は2つ以上の弾性支持体が基板(502)に固定される。別の変型例として、基板(502)は、弾性(例えば、ニチノール)層の上に敷設されたポリマー層を含み得る。
【0068】
示されていないが、エンドエフェクタ(500)のどの側面が組織に面しているかどうかに関わらず、電極(530)が組織に接触し得るように、エンドエフェクタ(500)の反対側もまた、複数の電極(530)を有し得る。上述のように、エンドエフェクタ(500)の非組織接触側面上の電極(530)は、患者(PA)の血液から基準信号を取り出し得る。
【0069】
テール部分(512)は、シャフト(122)の遠位端の外部の周りに巻き付けられ、それによって、エンドエフェクタ(500)をシャフト(122)に固定され得る。テール部分(512)は、上述の終端パッド(254)と同様の終端パッドを含み得る。エンドエフェクタ(500)はまた、センサコイル(274、278、282)、温度センサ(284)のような1つ又は2つ以上の温度センサ、及び/又は任意の他の好適な特徴部のような1つ又は2つ以上の位置センサコイルも含み得る。
【0070】
本実施例のエンドエフェクタ(500)は、エンドエフェクタ(500)が(
図2Bに示されるものと同様の)展開された拡張状態から、(
図2Bに示されるものと同様の)収容された圧縮状態まで移行するとき、エンドエフェクタ(500)の外側シース(124)内への折り畳みを促進するように特に位置決め及び構成される、複数の凹部(520、522、524)を更に含む。エンドエフェクタ(500)のこのような折り畳みを促進することによって、凹部(520、522、524)は、エンドエフェクタ(500)が移行中に外側シース(124)の遠位縁部に引っ掛かるリスクを低減し得、エンドエフェクタ(500)が移行中又はその後に損傷するリスクを低減し得、及び/又は他の結果を提供し得る。凹部(520)は、遠位部分(510)の間に形成されて、長手方向軸(LA)に向かって近位に収束し、一方で、遠位部分(508)は、長手方向軸(LA)に向かって遠位に角度付きである。エンドエフェクタ(500)が展開された拡張状態から、収容された圧縮状態まで移行するとき、エンドエフェクタ(500)が凹部において座屈する(520)傾向があり得るように、凹部(520)は、エンドエフェクタ(500)の遠位端に予め画定された座屈領域を提供し得る。遠位部分(510)は、長手方向軸(LA)に対して斜めに配向されて、凹部(520)を画定する。単なる例として、各遠位部分(510)は、長手方向軸(LA)とのそれぞれの角度γを、約90度~約170度の任意の角度γに、又は特に約140の斜角γに画定し得る。
【0071】
凹部(522)は、最遠位の斜めに延在する部分(506)と外側の長手方向に延在する部分(504)との交点の内部領域において、丸みのある縁部によって形成される。エンドエフェクタ(500)が展開された拡張状態から、収容された圧縮状態まで移行するとき、エンドエフェクタ(500)が凹部(522)において座屈する傾向があり得るように、凹部(522)は、エンドエフェクタ(500)の遠位端に、追加的な予め画定されたバッキング領域を提供し得る。凹部(524)は、最近位の斜めに延在する部分(506)と外側の長手方向に延在する部分(504)との交点の内部領域において、丸みのある縁部によって形成される。エンドエフェクタ(500)が展開された拡張状態から、収容された圧縮状態まで移行するとき、エンドエフェクタ(500)が凹部(524)において座屈する傾向があり得るように、凹部(524)は、エンドエフェクタ(500)の近位端に、予め画定されたバッキング領域を提供し得る。合わせて考えると、凹部(520、522、524)は全て、エンドエフェクタ(500)が展開された拡張状態から、収容された圧縮状態まで移行するとき、エンドエフェクタ(500)が折り畳みによって損傷することなく、繰り返し可能かつ予測可能な方法でエンドエフェクタ(500)が折り畳まれることを確実にし得る。
【0072】
VI.組み合わせの例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄も意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変型例では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略し得ることも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例0073】
装置であって、(a)近位端及び遠位端を有するカテーテルシャフトアセンブリであって、長手方向軸を画定する、カテーテルシャフトアセンブリと、(b)カテーテルシャフトアセンブリの遠位端と関連付けられたエンドエフェクタであって、第1のフレックス回路アセンブリを備え、第1のフレックス回路アセンブリが、(i)長手方向軸に沿ってカテーテルシャフトアセンブリの遠位端から遠位に延在するベース部材と、(ii)ベース部材から斜めに延在する、複数の斜めに延在する部材であって、第1の構成と第2の構成との間で移行するように構成されており、第1の構成において、外側シース内に収まるように構成されており、外側シースの遠位端に対して遠位に露出したとき、第2の構成において、長手方向軸から離れて外向きに拡張するように構成されている、複数の斜めに延在する部材と、(iii)斜めに延在する部材の少なくともいくつかに位置決めされた複数の電極であって、組織又は血液の一方又は両方に接触するように位置決めされている、複数の電極と、を備える、エンドエフェクタと、を備える、装置。
第1のフレックス回路アセンブリが、オフセット部材を更に備え、オフセット部材が、ベース部材から横方向にオフセットされ、斜めに延在する部材が、ベース部材の間からオフセット部材まで延在する、実施例1に記載の装置。