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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090801
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】抗病原性組成物およびその方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/00 20060101AFI20230622BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20230622BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230622BHJP
   A61L 27/02 20060101ALI20230622BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20230622BHJP
   A61L 29/02 20060101ALI20230622BHJP
   A61L 29/16 20060101ALI20230622BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230622BHJP
   A61K 33/02 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A01N59/00 D
A01P1/00
A01P3/00
A61L27/02
A61L27/54
A61L29/02
A61L29/16
A61P31/16
A61K33/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071160
(22)【出願日】2023-04-24
(62)【分割の表示】P 2021510805の分割
【原出願日】2019-08-26
(31)【優先権主張番号】62/727,724
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/800,034
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519324710
【氏名又は名称】シントクス テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア、ブライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボック、ライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】バル、バジャンジット シン
(57)【要約】
【課題】ウイルス、細菌、および真菌を不活性化するための組成物、デバイス、および方法を提供する。
【解決手段】ウイルス、細菌、および/または真菌の不活性化のためのコーティングまたはスラリー、例えば、窒化ケイ素粉末コーティングまたはスラリーを含む、組成物、方法、およびデバイス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原体を不活性化する方法であって、
窒化ケイ素を含む装置を前記病原体と接触させることを含み、前記窒化ケイ素が約1重量%~約100重量%の濃度で前記装置内またはその表面上に存在する、方法。
【請求項2】
前記装置を窒化ケイ素粉末で前記装置の前記表面上にコーティングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
窒化ケイ素粉末を前記装置内に組み込むことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記装置をヒト患者と前記患者内の位置で接触させることをさらに含み、前記病原体が前記位置で処置または予防される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記装置が前記病原体と少なくとも1分間接触する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記装置が前記患者に永久に埋め込まれる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記窒化ケイ素が前記病原体を不活性化する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記病原体がA型インフルエンザを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
病原体をヒト患者内の位置で処置または予防する方法であって、請求項1に記載の病原体を不活性化することを含む、方法。
【請求項10】
病原体を不活性化する方法であって、
約1体積%~約30体積%の濃度の窒化ケイ素を含む組成物を前記病原体と接触させることを含む、方法。
【請求項11】
前記組成物が窒化ケイ素粒子と水とのスラリーを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物を植物の表面上に噴霧して、前記病原体と接触させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項13】
前記病原体が前記植物内上の位置で処置または予防される、請求項14に記載の方法。
【請求項14】
前記窒化ケイ素が前記病原体を不活性化する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記病原体がPlasmopara viticolaを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項16】
前記植物がCabernet SauvignonまたはCannonauを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が前記病原体と少なくとも1分間接触する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
病原体を植物内上の位置で処置または予防する方法であって、請求項10に記載の病原体を不活性化することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗ウイルス、抗細菌、および抗真菌組成物、システム、方法、およびデバイスに関する。より具体的には、本開示は、ウイルス、細菌、および真菌の不活性化および溶解のための窒化ケイ素組成物、デバイス、およびコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス、細菌、および真菌の安全で信頼性の高い不活性化、除去、または溶解の必要性は普遍的である。ヒトの健康および農産物に影響を及ぼす病原体を制御する広範な必要性が存在する。ヒトの薬物療法のための抗病原性特性を有する材料のみならず、様々な医療デバイスまたは機器、診察台、衣類、フィルター、マスク、手袋、カテーテル、内視鏡器具等のための表面コーティングおよび/または複合材料としての使用も必要とされている。
【0003】
さらに、抗病原性材料の適用は、農業で大いに必要とされている。世界の年間食用作物の最大15%が、それらの植物ベースのウイルス、細菌、および真菌に対する感受性のため、壊滅的な打撃を受けている。例えば、Plasmopara viticolaは、比較的暖かく湿度の高い夏の気候下でブドウの木の最も壊滅的な病害のうちの1つとみなされており、フランス、スペイン、およびイタリアでの作物収量が著しく減少している。さらに、これらの真菌によって産生されるマイコトキシンがヒトの健康および寿命に全体的に悪影響を及ぼすという懸念が高まっている。従来の薬学的病原体不活性化法は、特別に操作された有機石油化学物質の使用、抗生物質の使用、遺伝子操作の使用、または固体不活性化剤(例えば、酸化第一銅CuOおよび硝酸銀AgNO)の使用を介した使用を含む。これらの療法がかなり効果的である一方で、それらの使用には重大な環境衛生および安全性の懸念がある。新たな石油化学化合物は、ヒト、野生生物、植物、および土壌に長期間の残留効果を有し得る。ヒト、動物、および農作物における抗生物質の大量使用により、固有の細菌病原体抵抗性が高まる。病害に抵抗するための作物の遺伝子操作に対する不評が高まっており、政治的に受け入れ難いものである。固体不活性化剤は、哺乳動物細胞への損傷を誘発し得るCuイオンおよびAgイオンを放出する。加えて、病原体の制御に対するこれらのアプローチは各々、規制当局の強化された審査の対象になっている。
【0004】
したがって、ヒトの身体と長時間接触し得るか、またはウイルス性もしくは細菌性病害および真菌感染を処置するために様々な農業用途で使用され得る医療デバイス、機器、衣類、または他のシステムに適用され得る、ウイルス、細菌、および真菌を不活性化および死滅させるための安全で信頼性の高い方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
デバイスであって、デバイスの表面の少なくとも一部分上に窒化ケイ素を有し、窒化ケイ素がデバイスの表面上の病原体を不活性化するのに十分な濃度で存在する、デバイスが本明細書に提供される。本デバイスは、窒化ケイ素コーティングを含み得る。窒化ケイ素は、約1重量%~約100重量%、例えば、15重量%の窒化ケイ素の濃度で存在し得る。病原体をヒト患者内の位置で処置または予防する方法も本明細書に提供される。本方法は、患者を、窒化ケイ素を含むデバイスと接触させることを含み得る。別の態様では、病原体を不活性化する方法は、約1重量%~約100重量%の濃度の窒化ケイ素を含む装置をウイルスと接触させることを含み得る。本方法は、装置を窒化ケイ素粉末で装置の表面上にコーティングすることおよび/または窒化ケイ素粉末を装置内に組み込むことをさらに含み得る。本デバイス、装置、および/またはコーティング中の窒化ケイ素は、病原体を不活性化するのに十分な濃度で存在し得る。本装置は、病原体を不活性化するために必要とされる限り、患者と接触し得る。例えば、本装置は、患者と少なくとも1分間接触し得るか、または患者内に永久に埋め込まれ得る。
【0006】
本デバイスまたは本装置内の窒化ケイ素は、粉末の形態で存在し得る。一態様では、病原体は、A型インフルエンザであり得る。窒化ケイ素は、アルカリ性エステル交換反応によってウイルス作用を低下させ、ヘマグルチニン活性を低下させ得る。
【0007】
病原体を不活性化するための組成物は、約1体積%~約30体積%、例えば、約1.5体積%の窒化ケイ素の濃度の窒化ケイ素を含み得る。別の態様では、病原体を不活性化する方法は、約1体積%~約30体積%の濃度の窒化ケイ素を含む組成物を病原体と接触させることを含み得る。本方法は、本組成物を植物の表面上に噴霧して、病原体と接触させることをさらに含み得る。本組成物は、病原体と少なくとも1分間接触し得る。本組成物は、窒化ケイ素粒子と水とのスラリーを含み得る。
【0008】
窒化ケイ素は、病原体を不活性化するのに十分な濃度で存在し得る。窒化ケイ素粒子は、病原体の胞子に付着し得る。病原体は、Plasmopara viticolaであり得る。植物は、Cabernet SauvignonまたはCannonauであり得る。
【0009】
病原体を植物内上の位置で処置または予防する方法が本明細書にさらに提供される。本方法は、植物を、窒化ケイ素を含むスラリーと接触させることを含み得る。スラリーは、約1体積%~約30体積%の窒化ケイ素を含み得る。窒化ケイ素は、病原体を不活性化するのに十分な濃度で存在し得る。いくつかの態様では、病原体はPlasmopara viticolaであり、植物はCabernet SauvignonまたはCannonauである。本組成物は、病原体と少なくとも1分間接触し得る。
【0010】
本発明の他の態様および反復が以下にさらに完全に記載される。
【0011】
本特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を備えた本特許または特許出願公開のコピーは、要求および必要な料金の支払いに応じて、特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】A型インフルエンザウイルスの説明図である。
図2A】0重量%、7.5重量%、15重量%、および30重量%のSiに10分間曝露されたウイルスの説明図である。
図2B図2AによるSiに曝露されたウイルスを接種した細胞の生存率を決定するために使用した方法の説明図である。
図3A】15重量%のSiに1、5、10、および30分間曝露されたウイルスの説明図である。
図3B図3AによるSiへの曝露後のウイルスの生存率を決定するために使用した方法の説明図である。
図4A図2Aによる0重量%、7.5重量%、15重量%、および30重量%のSiに10分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μLのグラフである。
図4B図2Bによる7.5重量%、15重量%、および30重量%のSiに10分間曝露されたA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。
図5】様々な濃度のSiに曝露されたウイルスをスラリーに対して異なる比率で接種した細胞の写真を含む。
図6】(a)接種前のMDCK細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。(b)対照に曝露されたウイルスを接種した後のMDCK細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。(c)30重量%のSiに曝露されたウイルスを接種した後のMDCK細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
図7A】15重量%のSiに室温で1分間、5分間、10分間、または30分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μLのグラフである。
図7B】15重量%のSiに室温で1分間、5分間、10分間、または30分間曝露されたA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。
図8A】15重量%のSiに4℃で1分間、5分間、10分間、または30分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μLのグラフである。
図8B】15重量%のSiに4℃で1分間、5分間、10分間、または30分間曝露されたA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。
図9】(a)不活性化前のA型インフルエンザウイルスのラマンスペクトルを示す。(b)曝露1分後の不活性化後のRNAおよびヘマグルチニンの化学修飾に関連するA型インフルエンザウイルスのラマンスペクトルの変化を示す。
図10】NH3がアルカリ性エステル交換反応機構によりA型インフルエンザウイルスを不活性化することを示す。
図11】不活性化後の五配位リン酸基におけるO-P-O伸長を示す。
図12A】ヘマグルチニン構造におけるメチオニンの振動モードを示す。
図12B】アンモニアの存在下でのメチオニンの構造変化を示す。
図13】不活性化後のメチオニンのホモシステインへのC-S延伸を示す。
図14A】15重量%または30重量%のSiに1分間、10分間、または30分間曝露されたネコカリシウイルスのPFU/100μlのグラフである。
図14B】30重量%のSiに1分間、10分間、30分間、または60分間曝露されたネコカリシウイルスを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。
図15A】15重量%の窒化ケイ素のスラリーに10分間曝露された後に、かつ糸状アクチン(F-アクチン)タンパク質の存在について緑色で染色したMDCK細胞を含有する生体培地への接種後に赤色で染色したH1H1 A型インフルエンザウイルス(核タンパク質、NP)を示す。
図15B図15AからのNP染色H1H1 A型インフルエンザウイルスを示す。
図15C図15AからのF-アクチン染色MDCK細胞を示す。
図16A】窒化ケイ素への曝露なしで、かつ糸状アクチン(F-アクチン)タンパク質の存在について緑色で染色したMDCK細胞を含有する生体培地への接種後に赤色で染色したH1H1 A型インフルエンザウイルス(核タンパク質、NP)を示す。
図16B図16AからのNP染色H1H1 A型インフルエンザウイルスを示す。
図16C図16AからのF-アクチン染色MDCK細胞を示す。
図17】未処理(a)および1.5体積%のSi粉末で1分間処理した(b)Plasmopara viticolaを接種したCabernet Sauvignon葉を示す。
図18A】未処理の胞子嚢を示す。
図18B】Siの存在下での胞子嚢を示す。
図19】対照および処理したPlasmopara viticolaに感染したCabernet Sauvignon葉およびCannonau葉の面積のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の様々な実施形態が以下で詳細に論じられる。特定の実施態様が論じられているが、これが例証目的のみのために行われることを理解されたい。関連技術分野の当業者であれば、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく他の構成要素および構成が使用され得ることを理解するであろう。したがって、以下の説明および図面は例証であり、限定するものと解釈されるべきではない。本開示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載されている。しかしながら、ある特定の場合には、説明を曖昧にすることを避けるために、周知のまたは従来の詳細は記載されない。本開示における一実施形態またはある実施形態への言及は、同じ実施形態または任意の実施形態への言及であり得、かかる言及は、それらの実施形態のうちの少なくとも1つを意味する。
【0014】
「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所での「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけでも、他の実施形態の相互排他的な別個のまたは代替の実施形態を指すわけでもない。さらに、いくつかの実施形態によって示され、他の実施形態によって示されない場合がある様々な特徴が記載される。
【0015】
本明細書で使用される「装置」という用語は、組成物、デバイス、表面コーティング、および/または複合材料を含む。いくつかの例では、装置は、様々な医療デバイスまたは機器、診察台、衣類、フィルター、マスク、手袋、カテーテル、内視鏡器具等を含み得る。装置は、金属、ポリマー、および/またはセラミック(例えば、窒化ケイ素および/または他のセラミック材料)であり得る。
【0016】
本明細書で使用される用語は、概して、当該技術分野で、本開示の文脈内で、かつ各用語が使用される特定の文脈内で、それらの通常の意味を有する。代替の言語および同義語は、本明細書で論じられる用語のうちのいずれか1つ以上に使用され得、用語が本明細書で詳述されるか論じられるかにかかわらず特に重視されるべきではない。ある場合には、ある特定の用語の同義語が提供される。1つ以上の同義語の叙述詳説は、他の同義語の使用を排除するものではない。本明細書で論じられるいずれかの用語の例を含む本明細書の任意の場所での例の使用は、例証にすぎず、本開示またはいずれかの用語の例の範囲および意味をさらに限定するようには意図されていない。同様に、本開示は、本明細書に提供される様々な実施形態に限定されない。
【0017】
本開示の追加の特徴および利点は、以下の説明に記載され、部分的にはその説明から明らかになるか、または本明細書に開示される原理の実践によって学ぶことができる。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される器具および組み合わせを用いて実現および獲得され得る。本開示のこれらおよび他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、または本明細書に記載される原理の実施によって学ぶことができる。
【0018】
ウイルス、細菌、および真菌の不活性化のための窒化ケイ素(Si)を含む抗病原性デバイス、組成物、および装置が本明細書に提供される。窒化ケイ素は、生体適合性であり、かつ1)脊椎インプラントおよび歯科インプラント等における同時骨形成、骨誘導、骨伝導、および静菌、2)異なる機構に従うグラム陽性細菌およびグラム陰性細菌の両方の細菌の死滅、3)ヒトおよび動物ウイルス、細菌、および真菌、ならびに植物ベースのウイルス、細菌、および真菌の不活性化、ならびに4)窒化ケイ素粉末を含有するポリマーまたは金属マトリックス複合材料、天然または人工繊維、ポリマー、または金属が、重要な窒化ケイ素骨修復、静菌、抗ウイルス、および抗真菌特性を保持することを含む、いくつかの生物医学的用途を提供する特有の表面化学を有する。
【0019】
一実施形態では、抗病原性組成物は、窒化ケイ素を含み得る。例えば、抗病原性組成物は、窒化ケイ素粉末を含み得る。いくつかの実施形態では、抗病原性組成物は、100%の窒化ケイ素を含むモノリシック成分であり得る。かかる成分は、内部多孔率を有しない完全に密集した状態であり得るか、または約1%~約80%の範囲の多孔率を有する多孔質であり得る。このモノリシック成分は、医療デバイスとして使用され得るか、またはウイルス、細菌、および/または真菌の不活性化が所望され得る装置内で使用され得る。別の実施形態では、抗病原性組成物は、ウイルス、細菌、および真菌を不活性化するためにデバイス内にまたはコーティング中に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、抗病原性組成物は、窒化ケイ素粉末を含むスラリーであり得る。例えば、抗病原性組成物は、農業病原体の不活性化のために植物の表面に噴霧され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、抗病原性組成物は、ヒトウイルス、細菌、および/または真菌を不活性化し得る。抗病原性組成物によって不活性化され得るウイルスの非限定的な例には、A型インフルエンザおよびネコカリシウイルスが挙げられる。例えば、窒化ケイ素バイオセラミックは、A型インフルエンザウイルスの不活性化に有効であり得る。いくつかの実施形態では、窒化ケイ素コーティングは、抗菌耐性および抗ウイルス耐性を低下させ得る、および/または骨組織修復を促進し得る。いくつかの実施形態では、抗病原性組成物は、農業ウイルス、細菌、および/または真菌を不活性化し得る。抗病原性組成物によって不活性化され得る農業真菌の非限定的な例には、Plasmopara viticola(べと病)または同様の植物病原体が挙げられる。
【0021】
特定の理論に限定されることなく、窒化ケイ素は、アンモニア(NH)がウイルス、細菌、または真菌不活性化のために利用可能であるような表面化学を提供し得る。窒化ケイ素の表面化学は、以下のように示され得る。
Si+6HO→3SiO+4NH
SiO+2HO→Si(OH)
【0022】
表面シラノールが比較的安定しているため、窒素はケイ素よりも早く(数分以内に)溶出する。ウイルスについて、驚くべきことに、窒化ケイ素が、ゲノム完全性の喪失およびウイルス不活性化をもたらすアルカリ性エステル交換反応によるRNA切断を提供し得ることが見出された。これは、ヘマグルチニンの活性を低下させる場合もある。
【0023】
一実施形態では、抗病原性組成物は、(i)通常のガス状態からではなく固体状態からのアンモニアの遅いが連続的な溶出、(ii)細胞への損傷または悪影響なし、および(iii)pHの低下とともに増加する知的溶出を示す溶出動態を呈し得る。窒化ケイ素の無機的性質は、土壌、植物、およびそれらの果物に残留効果を有することが知られている石油化学または有機金属殺菌剤の使用よりも有益であり得る。
【0024】
デバイスまたは装置は、抗ウイルス、抗菌、または抗真菌作用のためにデバイスの表面の少なくとも一部分上に窒化ケイ素を含み得る。一実施形態では、デバイスは、デバイスの表面の少なくとも一部分上に窒化ケイ素コーティングを含み得る。窒化ケイ素コーティングは、粉末としてデバイスの表面に塗布され得る。いくつかの実施形態では、粉末は、マイクロメーターのサイズであり得る。他の実施形態では、窒化ケイ素は、デバイス内に組み込まれ得る。例えば、デバイスは、窒化ケイ素粉末をデバイスの本体内に組み込み得る。一実施形態では、デバイスは、窒化ケイ素で作製され得る。
【0025】
窒化ケイ素コーティングは、約1重量%~約100重量%の濃度でデバイスの表面上に存在し得る。様々な実施形態では、コーティングは、約1重量%、2重量%、5重量%、7.5重量%、8.3重量%、10重量%、15重量%、16.7重量%、20重量%、25重量%、30重量%、33.3重量%、35重量%、または40重量%の窒化ケイ素粉末を含み得る。少なくとも1つの例では、コーティングは、約15重量%の窒化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、窒化ケイ素は、約1重量%~約100重量%の濃度でデバイスまたは装置内またはそれらの表面上に存在し得る。様々な実施形態では、デバイスまたは装置は、約1重量%、2重量%、5重量%、7.5重量%、8.3重量%、10重量%、15重量%、16.7重量%、20重量%、25重量%、30重量%、33.3重量%、35重量%、40重量%、50重量%、60重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%~100重量%の窒化ケイ素を含み得る。
【0026】
様々な実施形態では、抗病原性特性のための窒化ケイ素を含むデバイスまたは装置は、医療デバイスであり得る。デバイスまたは装置の非限定的な例には、整形外科インプラント、脊椎インプラント、椎弓根スクリュー、歯科インプラント、留置カテーテル、気管内チューブ、大腸内視鏡検査用内視鏡、および他の同様のデバイスが挙げられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、窒化ケイ素は、ポリマーおよび織物、手術衣、管類、衣類、空気および水フィルター、マスク、病院診察台および手術台等の台、机、おもちゃ、空調フィルター等のフィルター、または歯ブラシ等の抗病原性特性のための材料または装置内に組み込まれ得るか、またはコーティングとしてそれらに塗布され得る。
【0028】
他の実施形態では、窒化ケイ素粉末は、スラリー、懸濁液、ゲル、スプレー、または歯磨き粉を含むが、これらに限定されない組成物中に組み込まれ得る。他の実施形態では、窒化ケイ素は、任意の適切な分散剤およびスラリー安定化剤とともに水と混合され、その後、スラリーを様々な農業植物、果樹、ブドウの木、穀物作物等に噴霧することによって塗布され得る。例えば、窒化ケイ素スラリーは、真菌に感染したブドウの葉に噴霧され得る。
【0029】
一例では、抗病原性組成物は、窒化ケイ素粉末と水とのスラリーであり得る。窒化ケイ素粉末は、約0.1体積%~約20体積%の濃度でスラリー中に存在し得る。様々な実施形態では、スラリーは、約0.1体積%、0.5体積%、1体積%、1.5体積%、2体積%、5体積%、10体積%、15体積%、または20体積%の窒化ケイ素を含み得る。
【0030】
ウイルス、細菌、および/または真菌を、窒化ケイ素を含む抗病原性組成物と接触させることによって病原体を不活性化する方法が本明細書にさらに提供される。一実施形態では、本方法は、デバイスまたは装置を窒化ケイ素でコーティングすることと、コーティングされた装置をウイルス、細菌、または真菌と接触させることとを含み得る。装置をコーティングすることは、窒化ケイ素粉末を装置の表面に塗布することを含み得る。他の実施形態では、窒化ケイ素粉末は、デバイスまたは装置内に組み込まれ得る。
【0031】
さらなる実施形態では、本方法は、窒化ケイ素スラリーを、植物ベースの病原体に感染した生きている農業植物、木、穀物等の表面と接触させることを含み得る。一実施形態では、感染した葉には、約1体積%~約40体積%の水中窒化ケイ素スラリーが噴霧され得る。葉は、窒化ケイ素スラリーに、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、または少なくとも1日間曝露され得る。様々な例では、感染した葉の面積は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%減少し得る。一例では、1分間の曝露後、感染した葉の面積は、約95%減少し得る。
【0032】
特定の理論に限定されることなく、抗病原性組成物は、アルカリ性エステル交換反応によってウイルス作用を低下させ、ヘマグルチニン活性を低下させ得る。驚くべきことに、窒化ケイ素粉末が、(i)RNAヌクレオチド間結合の切断によるアルカリ性エステル交換反応によってウイルス作用を著しく低下させ、(ii)ヘマグルチニン活性を著しく低下させ、それ故に、ウイルス表面上のタンパク質構造を変性させることによって宿主細胞認識を破壊し、ウイルスエンベロープの存在にかかわらずウイルスの不活性化をもたらすことが見出された。
【0033】
一実施形態では、抗病原性組成物は、(i)通常のガス状態からではなく固体状態からのアンモニアの遅いが連続的な溶出、(ii)細胞への損傷または悪影響なし、および(iii)pHの低下とともに増加する知的溶出を示す溶出動態を呈し得る。さらに、窒化ケイ素の無機的性質は、土壌、植物、およびそれらの果物に残留効果を有することが知られている石油化学または有機金属殺菌剤の使用よりも有益であり得る。
【0034】
驚くべきことに、窒化ケイ素粒子が病原体の胞子に電気的に引きつけられ、それに付着し得ることも見出された。
【0035】
病原体をヒト患者内の位置で処置または予防する方法も本明細書に提供される。例えば、病原体は、ウイルス、細菌、または真菌であり得る。本方法は、患者を、窒化ケイ素を含むデバイス、装置、または組成物と接触させることを含み得る。いずれか1つの理論に限定されることなく、窒化ケイ素は、ウイルス(例えば、A型インフルエンザ)、細菌、または真菌を不活性化する。本デバイス、装置、または組成物は、約1重量%~約100重量%の窒化ケイ素を含み得る。いくつかの例では、本デバイスまたは装置は、本デバイスまたは装置の表面上に約1重量%~約100重量%の窒化ケイ素を含み得る。一実施形態では、本デバイスまたは装置はモノリシック窒化ケイ素セラミックであり得る。別の実施形態では、本デバイスまたは装置は、窒化ケイ素粉末コーティング等の窒化ケイ素コーティングを含み得る。別の実施形態では、本デバイスまたは装置は、窒化ケイ素を本デバイスの本体内に組み込み得る。例えば、窒化ケイ素粉末は、当該技術分野で既知の方法を使用して、本デバイスまたは装置の本体内で粉砕され得るか、または別様に組み込まれ得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、本デバイスまたは装置は、患者と、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、または少なくとも1日間接触し得る。少なくとも1つの例では、本デバイスまたは装置は、患者に永久に埋め込まれ得る。
【0037】
病原体を植物内の位置で処置または予防する方法も本明細書に提供される。例えば、病原体は、ウイルス、細菌、または真菌であり得る。本方法は、植物を、窒化ケイ素を含む組成物と接触させることを含み得る。いずれか1つの理論に限定されることなく、窒化ケイ素は、ウイルス、細菌、または真菌(例えば、Plasmopara viticola)を不活性化する。いくつかの実施形態では、本組成物は、最大40体積%の窒化ケイ素を適切な分散剤およびスラリー安定化剤とともに含有する水中窒化ケイ素スラリーを含み得る。本組成物は、生きている農業植物、木、穀物等に塗布されて、ウイルス、細菌、および真菌と少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、または少なくとも1日間接触した後に、ウイルス、細菌、および真菌を不活性化するか、それらを死滅させるか、またはそれらの成長を阻止することができる。
【実施例0038】
実施例1:ウイルス不活性化に対する窒化ケイ素濃度の影響
ウイルス不活性化に対する窒化ケイ素濃度の影響を示すために、A型インフルエンザを様々な濃度のSi粉末に曝露した。窒化ケイ素を調製するために、特定の重量の窒化ケイ素粉末を純蒸留水と混合した。例えば、7.5gの窒化ケイ素を92.5gの純蒸留水中に分散させた。ウイルスを、この混合物に、それぞれ、1:1、1:10、および1:100の濃度で添加した。その後、これらの混合物を、穏やかに撹拌しながら、4℃で10分間インキュベートした。A型インフルエンザを、図2Aに説明されるように、0重量%、7.5重量%、15重量%、および30重量%のSiに4℃で10分間曝露した。その後、混合物を濾過して、窒化ケイ素粉末を除去した。
【0039】
次いで、A型インフルエンザウイルスを接種したメイディン・ダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞を、A型インフルエンザの不活性化におけるSiの有効性について観察した。その後、残りの混合物を、生体培地内で生きているMDCK細胞を含有するペトリ皿に接種した。その後、3日間の曝露後に、染色法を使用して生きているMDCK細胞の量を計数した。図2BによるSiに曝露されたA型インフルエンザを細胞に3日間接種した後に、MDCK細胞の生存率を決定した。
【0040】
図4Aは、0重量%、7.5重量%、15重量%、および30重量%のSiに10分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。図4Bは、7.5重量%、15重量%、および30重量%のSiに10分間曝露されたA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。
【0041】
実施例2:ウイルス不活性化に対する曝露時間および温度の影響
ウイルス不活性化に対する窒化ケイ素の影響を示すために、A型インフルエンザを固定濃度のSi粉末(15重量%)に様々な時間にわたってかつ様々な温度で曝露した。その後、混合物を、穏やかに撹拌しながら、室温および4℃で1~30分間インキュベートした。例えば、A型インフルエンザを、図3Aに説明されるように、15重量%のSiに室温または4℃で1、5、10、または30分間曝露した。次いで、A型インフルエンザウイルスを接種したメイディン・ダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞を、A型インフルエンザの不活性化におけるSiの有効性について観察した。図3BによるSiに曝露されたA型インフルエンザを細胞に3日間接種した後に、MDCK細胞の生存率を決定した。
【0042】
図7Aは、15重量%のSiに室温で1分間、5分間、10分間、または30分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。図7Bは、15重量%のSiに室温で1分間、5分間、10分間、または30分間曝露されたA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。
【0043】
図8Aは、15重量%のSiに4℃で1分間、5分間、10分間、または30分間曝露されたA型インフルエンザのPFU/100μlのグラフである。図8Bは、15重量%のSiに4℃で1分間、5分間、10分間、または30分間曝露されたA型インフルエンザを接種した細胞の細胞生存率のグラフである。
【0044】
実施例3:H1H1 A型インフルエンザ不活性化に対する窒化ケイ素の影響
ウイルス不活性化に対する窒化ケイ素の影響を示すために、A型インフルエンザを15重量%の窒化ケイ素のスラリーに10分間曝露した。
【0045】
図15A図15Cは、全ての真核細胞に見られる糸状アクチン(F-アクチン)タンパク質の存在について緑色で染色したMDCK細胞を含有する生体培地への接種後に赤色で染色したH1H1 A型インフルエンザウイルス(A/プエルトリコ/8/1934 H1N1(PR8))を示す。図16A図16Cは、窒化ケイ素不在下でのMDCK細胞に対するウイルスの影響を示す。
【0046】
実施例4:Plasmopara viticolaに対する窒化ケイ素の影響
農業真菌の不活性化に対する窒化ケイ素の影響を示すために、Cabernet Sauvignon葉をPlasmopara viticolaに3×104胞子嚢/mLの濃度で感染させた。処理したPlasmopara viticolaを1.5体積%の窒化ケイ素のスラリーに1分間曝露した。
【0047】
図17(a)は、Cabernet Sauvignon葉上の未処理のPlasmopara viticola真菌を示す。図17(b)は、Cabernet Sauvignon葉上の処理したPlasmopara viticola真菌を示す。1.5体積%のSi粉末で1分間処理したPlasmopara viticolaを接種した葉が、葉の表面上により少ない真菌を有することがわかる。これは、対照および処理したPlasmopara viticolaを接種したCabernet Sauvignon葉およびCannonau葉の両方の感染した葉の面積のパーセンテージを示す図19によってさらに証明される。図19は、統計的有意性が対照と処理した真菌との間の感染した葉の面積を勝ち取ることを明確に示す。
【0048】
図18Bに見られるように、窒化ケイ素粒子は、病原体の胞子に電気的に引きつけられ、それら自体が病原体の胞子に付着するように見える。図18Aは、Plasmopara viticolaの未処理の胞子嚢の顕微鏡画像を示し、図18Bは、Siの存在下でのPlasmopara viticolaの胞子嚢の顕微鏡画像を示す。
【0049】
いくつかの実施形態を説明したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、代替構成、および等価物が使用され得ることが当業者によって認識されるであろう。加えて、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるために、いくつかの周知のプロセスおよび要素は記載されていない。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0050】
当業者であれば、本開示の実施形態が、限定するものではなく例として教示することを理解するであろう。したがって、上記の説明に含まれるか、または添付の図面に示される事項は、限定的な意味ではなく例証であると解釈されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載の全ての一般的かつ特定の特徴、ならびに本方法およびシステムの範囲の全ての記述を網羅するよう意図されており、言語的には、それらの間に含まれると考えられ得る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原体を不活性化する方法であって、
体積%~30体積%の濃度の窒化ケイ素を含む組成物を前記病原体と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
前記組成物が窒化ケイ素粒子と水とのスラリーを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物を植物の表面上に噴霧して、前記病原体と接触させることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記病原体が前記植物内上の位置で処置または予防される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記窒化ケイ素が前記病原体を不活性化する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記病原体がPlasmopara viticolaを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記植物がCabernet SauvignonまたはCannonauを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が前記病原体と少なくとも1分間接触する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
病原体を植物内上の位置で処置または予防する方法であって、請求項に記載の方法により病原体を不活性化することを含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
当業者であれば、本開示の実施形態が、限定するものではなく例として教示することを理解するであろう。したがって、上記の説明に含まれるか、または添付の図面に示される事項は、限定的な意味ではなく例証であると解釈されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載の全ての一般的かつ特定の特徴、ならびに本方法およびシステムの範囲の全ての記述を網羅するよう意図されており、言語的には、それらの間に含まれると考えられ得る。
本発明の態様は以下を含む。
<1>
病原体を不活性化する方法であって、
窒化ケイ素を含む装置を前記病原体と接触させることを含み、前記窒化ケイ素が約1重量%~約100重量%の濃度で前記装置内またはその表面上に存在する、方法。
<2>
前記装置を窒化ケイ素粉末で前記装置の前記表面上にコーティングすることをさらに含む、<1>に記載の方法。
<3>
窒化ケイ素粉末を前記装置内に組み込むことをさらに含む、<1>に記載の方法。
<4>
前記装置をヒト患者と前記患者内の位置で接触させることをさらに含み、前記病原体が前記位置で処置または予防される、<1>に記載の方法。
<5>
前記装置が前記病原体と少なくとも1分間接触する、<4>に記載の方法。
<6>
前記装置が前記患者に永久に埋め込まれる、<4>に記載の方法。
<7>
前記窒化ケイ素が前記病原体を不活性化する、<1>に記載の方法。
<8>
前記病原体がA型インフルエンザを含む、<7>に記載の方法。
<9>
病原体をヒト患者内の位置で処置または予防する方法であって、<1>に記載の病原体を不活性化することを含む、方法。
<10>
病原体を不活性化する方法であって、
約1体積%~約30体積%の濃度の窒化ケイ素を含む組成物を前記病原体と接触させることを含む、方法。
<11>
前記組成物が窒化ケイ素粒子と水とのスラリーを含む、<12>に記載の方法。
<12>
前記組成物を植物の表面上に噴霧して、前記病原体と接触させることをさらに含む、<13>に記載の方法。
<13>
前記病原体が前記植物内上の位置で処置または予防される、<14>に記載の方法。
<14>
前記窒化ケイ素が前記病原体を不活性化する、<12>に記載の方法。
<15>
前記病原体がPlasmopara viticolaを含む、<16>に記載の方法。
<16>
前記植物がCabernet SauvignonまたはCannonauを含む、<17>に記載の方法。
<17>
前記組成物が前記病原体と少なくとも1分間接触する、<12>に記載の方法。
<18>
病原体を植物内上の位置で処置または予防する方法であって、<10>に記載の病原体を不活性化することを含む、方法。