(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090842
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】無閉塞ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 7/04 20060101AFI20230622BHJP
F04D 29/70 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
F04D7/04 M
F04D29/70 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073779
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2019213397の分割
【原出願日】2019-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕之
(72)【発明者】
【氏名】鳥元 康史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】小川 淳平
(72)【発明者】
【氏名】梅木 大地
(57)【要約】
【課題】装置構成を複雑化させることなく、異物の通過性能を向上させることが可能な無閉塞ポンプを提供する。
【解決手段】この無閉塞ポンプ100は、ポンプケーシング3と、主板部7と、主板部7の吸込口30側に配置される羽根部8とを含み、ポンプケーシング3内に配置される羽根車6とを備え、主板部7は、回転軸1の半径方向の内周側に向かうにしたがって、吸込口30からの水の流入方向とは逆方向である流入逆方向に突出する主板突出部70を含み、羽根部8は、流入逆方向と交差する方向に延びる第1端面81と、半径方向の内周側に向かうにしたがって流入逆方向側に位置するように第1端面81に対して傾斜する第2端面82とを含み、ポンプケーシング3の吸込口30の内周壁は、回転軸1の回転方向の一部分に設けられ、第2端面82に沿って、第2端面82に対して隙間を隔てて配置され、吸込口30の中心側に突出する吸込口突出部50を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口が設けられたポンプケーシングと、
主板部と、前記主板部の前記吸込口側に配置される2枚以上の羽根部とを含み、回転軸の一端に固定され、前記ポンプケーシングの内側に配置される羽根車とを備え、
前記主板部は、前記回転軸の半径方向の内周側に向かうにしたがって、前記回転軸の軸方向に略一致する前記吸込口からの水の流入方向とは逆方向である流入逆方向に突出する主板突出部を含み、
前記ポンプケーシングの前記吸込口を形成する内周壁は、前記吸込口の中心側に突出する吸込口突出部を含み、
前記主板突出部は、先端に、前記流入逆方向に直交する方向に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記吸込口突出部の前記流入逆方向の内周側端部は、前記回転軸の軸方向において、前記傾斜面の前記流入逆方向側の頂点と、前記傾斜面の前記流入逆方向とは反対方向側の底に位置する点との間に配置されている、無閉塞ポンプ。
【請求項2】
前記主板突出部の先端は、前記回転軸の軸方向から見て、略円形状を有している、請求項1に記載の無閉塞ポンプ。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記主板突出部の先端全面に設けられている、請求項1または2に記載の無閉塞ポンプ。
【請求項4】
前記傾斜面の前記流入逆方向側の前記頂点は、前記回転軸の回転方向において、前記頂点の近傍に位置する2つの前記羽根部の略中間位置に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の無閉塞ポンプ。
【請求項5】
前記吸込口突出部の前記流入逆方向の前記内周側端部は、前記回転軸の軸方向から見て、前記主板突出部の側面に近接して配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の無閉塞ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無閉塞ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、羽根車を備える無閉塞ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、羽根車と、羽根車の直下で吸込口の外側に配置された整流装置を備える縦型の無閉塞ポンプが開示されている。整流装置は、布状および帯状などの繊維状の異物を羽根車の外周側に向けてガイドして押しやる整流板を含んでいる。整流板は、下方から上方に向けて、テーパー状かつ放射状に広がるように形成されている。整流装置は、整流板により、異物を羽根車の外周側に向けてガイドして押しやることによって、異物を通過させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された無閉塞ポンプでは、整流装置が羽根車の直下に配置されていることから、整流装置と羽根車との間に異物が挟まる場合があるため、異物の通過性能が悪いという問題点がある。また、上記特許文献1に記載された無閉塞ポンプでは、羽根車の吸込口側において、異物を通過させるための専用の構成として整流装置を備えていることから、装置構成が複雑化しているという問題点もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置構成を複雑化させることなく、異物の通過性能を向上させることが可能な無閉塞ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における無閉塞ポンプは、吸込口が設けられたポンプケーシングと、主板部と、主板部の吸込口側に配置される2枚以上の羽根部とを含み、回転軸の一端に固定され、ポンプケーシングの内側に配置される羽根車とを備え、主板部は、回転軸の半径方向の内周側に向かうにしたがって、回転軸の軸方向に略一致する吸込口からの水の流入方向とは逆方向である流入逆方向に突出する主板突出部を含み、ポンプケーシングの吸込口を形成する内周壁は、吸込口の中心側に突出する吸込口突出部を含み、主板突出部は、先端に、流入逆方向に直交する方向に対して傾斜した傾斜面を有し、吸込口突出部の流入逆方向の内周側端部は、回転軸の軸方向において、傾斜面の流入逆方向側の頂点と、傾斜面の流入逆方向とは反対方向側の底に位置する点との間に配置されている。
【0008】
この発明の一の局面による無閉塞ポンプでは、上記のように構成することによって、傾斜面が回転した際に、異物に対して傾斜面に沿って傾斜面の頂部に押しやる力を付与することができる。その結果、異物に対して流入方向へ作用する力を不均一にすることができるので、傾斜面に異物が絡まっている場合には、異物のバランスを崩して、傾斜面から異物を除去することができる。また、軟弱異物が捩れた場合でも、回転によって捩れの中心が回転軸の回転中心軸線から外れて頂部に寄ることと、傾斜面に沿って頂部に押しやられる力を受けることが相まって羽根車の吸込み側端面から外れやすくなる。また、形成された傾斜面の側面は回転軸方向の長さが均一では無いため、羽根車の回転に伴い、吸込口突出部の内周側端部と主板突出部の側面とが、「近接」と「離間」とを滑らかに繰り返すので、羽根車の傾斜面から異物が外れやすくなる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0009】
この場合において、好ましくは、主板突出部の先端は、回転軸の軸方向から見て、略円形状を有している。このように構成すれば、傾斜面の頂部が丸く形成されるので、傾斜面から異物を除去する効果が高まる。
【0010】
上記主板突出部が傾斜面を有する構成において、好ましくは、傾斜面は、主板突出部の先端全面に設けられている。このように構成すれば、傾斜面が回転した際に、異物に対して傾斜面に沿って傾斜面の頂部に押しやる力を、より大きく付与することができる。このため、傾斜面に異物が絡まっている場合には、より大きく異物のバランスを崩すことができるので、傾斜面から異物を効果的に除去することができる。
【0011】
上記主板突出部が傾斜面を有する構成において、好ましくは、傾斜面の流入逆方向側の頂点は、回転軸の回転方向において、頂点の近傍に位置する2つの羽根部の略中間位置に配置されている。このように構成すれば、頂部と一方側の羽根部および他方側の羽根部までの距離の両方を小さくする(略最小にする)ことができるので、傾斜面から異物が外れた後、羽根部および吸込口突出部により速やかに破砕して、吸込口に押し込むことができる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0012】
上記主板突出部が傾斜面を有する構成において、好ましくは、吸込口突出部の流入逆方向の内周側端部は、回転軸の軸方向から見て、主板突出部の側面に近接して配置されている。このように構成すれば、主板突出部と吸込口突出部とが狭い(狭隘な)隙間を隔てて配置することができるので、主板突出部と吸込口突出部との隙間において、異物を効果的に切断および破砕することができ、より効果的に羽根車の傾斜面から異物を外すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記のように、装置構成を複雑化させることなく、異物の通過性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態による無閉塞ポンプを模式的に示した断面図である。
【
図2】
図1の500-500線に沿った断面図である。
【
図3】実施形態による無閉塞ポンプの分解斜視図である。
【
図4】
図1に示す各構成の中で羽根車のみを示した図である。
【
図5】実施形態による無閉塞ポンプを模式的に示した断面図であり、羽根車および異物排出溝を回転方向に沿って投影した図である。
【
図6】実施形態による無閉塞ポンプのポンプケーシング内に羽根車を配置した状態を示した斜視図である。
【
図7】
図1の510-510線に沿った断面図である。
【
図8】(A)は
図7の700-700線に沿った断面図であり、(B)は
図7の710-710線に沿った断面図である。
【
図9】実施形態による無閉塞ポンプを下方から示した図である。
【
図10】実施形態による無閉塞ポンプの傾斜面に異物が絡まった際の挙動について説明するための図である。
【
図11】実施形態による無閉塞ポンプの異物排出溝が設けられたサクションカバーを示した平面図である。
【
図12】
図11に示す異物排出溝の断面図であり、(A)は60-60線に沿った断面であり、(B)は61-61線に沿った断面であり、(C)は62-62線に沿った断面であり、(D)は63-63線に沿った断面である。
【
図13】(A)は主板突出部と吸込口突出部との近接状態を示した図であり、(B)は主板突出部と吸込口突出部との離間状態を示した図である。
【
図14】
図9の800-800線に沿った断面図である。
【
図15】変形例による無閉塞ポンプを下方から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(無閉塞ポンプの概略構成)
図1~
図14を参照して、実施形態の無閉塞ポンプ100について説明する。無閉塞ポンプ100は、回転軸1が上下方向(Z方向)に延びる縦型の水中電動ポンプである。
【0017】
図1に示すように、無閉塞ポンプ100は、回転軸1と、電気モータ2と、ポンプケーシング3と、羽根車6とを備えている。
【0018】
ここで、本実施形態の無閉塞ポンプ100は、タオルや、ストッキング、ゴム手袋、包帯、オムツなどの比較的長尺かつ幅広の軟らかい異物(夾雑物)(軟弱異物)などであっても、閉塞することなく通過(ポンプケーシング3の吸込口30から吸込み、ポンプケーシング3の吐出口31から吐出)させることが可能なように構成されている。
【0019】
また、無閉塞ポンプ100は、通常、吐出口31の下流側に配置される吐出管(図示せず)内の流速が、吐出管内に沈殿物が堆積し難いとされる流速(たとえば0.6m/s)以上で、かつ、吐出管内の管壁や塗装に損傷が生じない流速(たとえば3.0m/s)以下となるようにして使用される。一例ではあるが、無閉塞ポンプ100は、吐出管内の流速が約1.8m/sとなるようにして使用される。
【0020】
(無閉塞ポンプの各部の概略構成)
回転軸1は、上下方向に延びる円柱形状を有している。回転軸1は、一端1a(下端)に羽根車6が固定されており、他端1b(上端)側に電気モータ2(回転子21)が固定されている。
【0021】
ここで、各図では、回転軸1の軸方向をZ方向により示す。Z方向のうち、一端1aから他端1bに向かう方向(上方)をZ1方向により示し、他端1bから一端1aに向かう方向(上方)をZ2方向により示す。
【0022】
なお、ポンプケーシング3の吸込口30の流入方向は、回転軸1の軸方向(一端1aから他端1bに向かうZ1方向)に(略)一致する方向である。また、ポンプケーシング3の吸込口30の流入方向とは逆方向である流入逆方向も、回転軸1の軸方向(他端1bから一端1aに向かうZ2方向)に(略)一致する方向である。
【0023】
また、各図では、回転軸1の半径方向をR方向により示す。R方向のうち、内周側から外周側を向く方向をR1方向により示し、外周側から内周側を向く方向をR2方向により示す。
【0024】
また、各図では、羽根車6(回転軸1)の回転方向をK1方向により示し、羽根車6の回転方向の逆回転方向をK2方向により示す。羽根車6の回転方向は、回転軸1の回転方向でもある。なお、羽根車6の回転方向(K1方向)は、下方側(Z2方向側)から見て、反時計回り方向である。但し、後述する羽根車6を逆回転させる場合には、羽根車6の回転方向は、K2方向となる。
【0025】
電気モータ2は、回転軸1を回転させるように構成されている。そして、電気モータ2は、回転軸1を介して羽根車6を回転させるように構成されている。詳細には、電気モータ2は、コイルを有する固定子20と、固定子20の内周側に配置された回転子21とを含んでいる。回転子21には、回転軸1が固定されている。電気モータ2は、固定子20により磁界を発生させることによって、回転子21とともに回転軸1を回転させるように構成されている。その結果、羽根車6は回転する。
【0026】
電気モータ2は、無閉塞ポンプ100によって、電気モータ2の駆動電力値が変更されることにより、回転数を変更可能に構成されている。無閉塞ポンプ100は、電気モータ2の駆動電力値が所定の第1しきい値を下回った場合に、電気モータ2の駆動電力値が所定の第1しきい値または所定の第1しきい値を超える所定の第2しきい値に到達するまで、電気モータ2の回転数を増加させるように構成されている。これにより、電気モータ2の駆動電力値が所定の第1しきい値を下回るような無閉塞ポンプ100の流量が小さくなった場合(小水量域の場合)に、流れの速度を増加(復帰)させることができる。なお、上記所定の第1しきい値および上記所定の第2しきい値は、設定により変更可能である。
【0027】
また、無閉塞ポンプ100は、羽根車6に異物が絡まったり、ポンプ室3a内で異物が拘束された場合に、羽根車6を逆回転させるように構成されている。詳細には、無閉塞ポンプ100は、電気モータ2の駆動電力値が駆動電力基準値を超えた状態が所定の時間以上継続した場合において、電気モータ2の駆動を停止して、所定の回数だけ再起動を試みても、繰り返し、電気モータ2の駆動電力値が駆動電力基準値を超えた状態が所定の時間以上継続すると判断したならば、羽根車6を逆回転(K2方向に回転)させるように構成されている。これにより、螺旋状に広がる羽根部8を有する羽根車6が逆回転することによって、羽根車6の内周側に戻された異物に対して主板突出部70(筒状部72)の側面72aと、吸込口突出部50の内周側端部50cとが、近接と離間とを繰り返すので、無閉塞ポンプ100は、羽根車6に絡まった異物や、ポンプ室3a内で拘束された異物などを効果的に取り除くことが可能である。なお、上記所定の時間および上記所定の回数は、設定により変更可能である。
【0028】
図2に示すように、ポンプケーシング3は、内側のポンプ室3aに羽根車6が配置されている。ポンプ室3aは、ボリュート形状に形成されている。ポンプケーシング3には、羽根車6が配置される空間と吐出口31側の空間との間の角部分に舌部4aが設けられている。舌部4aは、後述するZ方向から見て、ポンプケーシング3の内側に突出して流路を分ける部分である。
【0029】
図3に示すように、ポンプケーシング3は、ポンプケーシング本体4と、ポンプケーシング本体4に対して下方から着脱可能に設置されるサクションカバー5とを含んでいる。ポンプケーシング本体4には、ポンプケーシング3の最下流に位置する吐出口31が設けられている。サクションカバー5には、ポンプケーシング3の最上流に位置する吸込口30が設けられている。
【0030】
(羽根車の構成)
羽根車6は、いわゆるセミオープン型の羽根車である。羽根車6は、ポンプケーシング3の内側に配置されている。羽根車6は、主板部7(シュラウド)と、主板部7の吸込口30側(下方側)に配置される2枚の羽根部8(ベーン)とを含んでいる。
【0031】
2枚の羽根部8は、回転軸1の回転中心軸線αに対して回転対称となるように、Z方向から見て、均等に配置されている。すなわち、羽根車6は、一方の羽根部8が回転軸1の回転中心軸線α回りに180度回転した場合に、他方の羽根部8に重なるように構成されている。したがって、羽根車6は、回転時において、一方の羽根部8および他方の羽根部8に対してバランスよく流体反力が作用するように構成されている。すなわち、羽根車6は、安定して回転することが可能なように構成されている。
【0032】
図1に示すように、主板部7は、主板部7の中心側である内周側(回転軸1の回転中心軸線α側)に向かうにしたがって、流入逆方向(Z2方向)に突出する主板突出部70を含んでいる。
【0033】
詳細には、
図4に示すように、主板部7(主板突出部70)は、中心側が下方に突出する山形状に形成されている。なお、主板部7は、内周側部分のみに主板突出部70が設けられている。主板部7の上側部分は、略水平方向に延びる平板形状に形成されている。主板部7の最下部(流入逆方向の端部)は、吸込口30よりも流入逆方向(下方)(Z2方向)に位置している。すなわち、主板突出部70(羽根車6)は、吸込口30を通ってポンプケーシング3の外側に突出している。
【0034】
羽根部8は、内周側端部80において主板突出部70に接続されている。羽根部8は、第1端面81と、第1端面81の半径方向(R方向)の内周側から第1端面81に接続される第2端面82(前縁)とを含んでいる。
【0035】
再び
図1を参照して、第1端面81は、流入逆方向(Z2方向)の端面である。第1端面81は、半径方向(R方向)の外周側に位置している。第1端面81は、流入逆方向と交差する方向に延びている。一例ではあるが、第1端面81は、略水平方向に延びている。すなわち、第1端面81は、回転軸1の軸方向(Z方向)に略直交する面である。また、第1端面81は、後述するサクションカバー5の対向面5b(上面)に近接して配置されるとともに、サクションカバー5の対向面5bに沿って延びている。
【0036】
第2端面82は、流入逆方向(Z2方向)の端面である。第2端面82は、半径方向(R方向)の内周側に位置している。第2端面82は、最も内周側の部分で主板突出部70に接続されている。第2端面82は、半径方向の内周側に向かうにしたがって、流入逆方向(下方)(Z2方向)に位置するように第1端面81に対して傾斜している。
【0037】
一例ではあるが、第2端面82(前縁)の傾斜角度は、水平面に対して約45度である。すなわち、羽根部8は、主板突出部70と同様に、半径方向(R方向)の内周側(中心側)が下方に突出するように形成されている。
【0038】
羽根車6および後述する異物排出溝51を回転方向に沿って投影した
図5を参照して、上記の通り、第1端面81が略水平方向に延びているとともに、第2端面82が半径方向の内周側に向かうにしたがって流入逆方向(下方)(Z2方向)に位置するように第1端面81に対して傾斜していることから、第1端面81と、第2端面82とのなす角度θは、鈍角である。一例ではあるが、第2端面82(前縁)の傾斜角度は、水平面に対して約45度であるならば、第1端面81と、第2端面82とのなす角度θは、約135度になる。なお、
図5では、後述する異物排出溝51のエッジ部51cによる異物の切断範囲(切削箇所)を一点鎖線の枠により示している。
【0039】
図3および
図6に示すように、羽根部8は、内周側部分(回転軸1の回転中心軸線α側の部分)が斜流形状に形成されている。斜流形状とは、いわゆるスクリュー形状である。詳細には、羽根部8の内周側部分は、流入逆方向に向かうにしたがって、半径方向(R方向)の外周側に広がるように位置するように傾斜している。
【0040】
すなわち、羽根部8の内周側部分は、下方(流入逆方向)(Z2方向)に向けて真っすぐ(直線状)に延びているのではない。羽根部8の内周側部分は、流入逆方向に向かうにしたがって、外周側に反るように湾曲している。このように、無閉塞ポンプ100は、羽根部8を斜流形状に形成することによって、羽根車6の回転に伴って、吸込口30から吸い込んだ異物に対して流入方向(上方)(Z1方向)を向く機械的かつ流体的な力を作用させて、異物を下流側に効果的に押し込むことが可能となる。
【0041】
図7および
図8に示すように、羽根車6は、主板部7側でかつ内周側(回転軸1の回転中心軸線α側)において、羽根部8の負圧面83a側の流路S1(
図8参照)が羽根部8の圧力面83b側の流路S2(
図8参照)よりも狭くなるように構成されている。
【0042】
詳細には、羽根車6の主板部7側でかつ内周側(回転軸1の回転中心軸線α側)には、R形状部84(湾曲部)が設けられている。R形状部84は、下方から見て、主板突出部70と、主板突出部70に接続される負圧面83aおよび圧力面83bとを滑らかに接続するように構成されている。R形状部84は、下方から見て、主板突出部70の近傍のみに設けられている。
【0043】
R形状部84は、圧力面83b側の部分よりも負圧面83a側の部分の方が、大きな曲率により形成されている。すなわち、R形状部84は、圧力面83b側よりも負圧面83a側の方が、狭い流路S1となるように、より流入逆方向(下方)(Z2方向)側まで位置するように形成されている。
【0044】
羽根車6には、羽根車6に対してはずみ車効果を持たせることにより、安定して羽根車6を回転させるための構成が2つ設けられている。以下、順に説明する。
【0045】
図1(
図4)に示すように、はずみ車効果を持たせる第1の構成として、主板部7には、羽根車6に慣性力を付与する錘部71が設けられている。錘部71は、主板部7の上部(Z1方向側の部分)かつ半径方向(R方向)の外周側に設けられている。錘部71は、回転軸1の回転中心軸線αを囲む円環形状に形成されている。一例として、錘部71の厚みは主板部7の厚みの2倍に形成されている。なお、錘部71は、主板部7と同質の材料により形成され主板部7と一体的に設けられた構成でもよいし、主板部7とは異なる材料により形成され主板部7に設置(固定)される別体の構成であってもよい。
【0046】
図7に示すように、はずみ車効果を持たせる第2の構成として、羽根部8は、半径方向(R方向)の内周側の部分よりも、半径方向(R方向)の外周側の部分の方が重量が大きくなるように形成されている。具体的には、羽根部8は、外周側の厚みが、内周側の厚みよりも大きくなるように形成されている。なお、羽根部8の厚みは、内周側から外周側に向かうにつれて、徐々に大きくなるように形成されている。要するに、羽根部8は、内周側から外周側に向かうにつれて、徐々に太くなるように形成されている。一例として、羽根部8の外周側の厚みは内周側の厚みの1.5倍に形成されている。
【0047】
羽根車6は、上記説明したはずみ車効果を生じさせる2つの構成により、回転時の速度の安定化を図ることが可能となる。これにより、無閉塞ポンプ100は、異物破砕時において生じる衝撃とトルク上昇を相殺し、ポンプ運転における電流値の上昇と振動の発生を抑制することができる。
【0048】
図1および
図6に示すように、主板突出部70には、下端に一段と細くなる部分が設けられている。詳細には、主板突出部70には、流入逆方向(下方)(Z2方向)の端部に、Z方向に延びる円筒形状の筒状部72が設けられている。筒状部72は、筒状部72の上方側の部分よりも直径が小さくなっている。したがって、筒状部72と、筒状部72の上方側の主板突出部70との間には、段差が形成されている。筒状部72は、後述する吸込口突出部50と重なる高さ範囲に配置されるとともに、吸込口突出部50(内周側端部50c)の近傍に隣接して配置される部分である。なお、回転軸1の軸方向(Z方向)(下方)から見て、筒状部72外表面は、主板突出部70に接続される羽根部8の内周側端部80よりも内周側(回転軸1の回転中心軸線α側)(R2方向側)に配置されている。
【0049】
筒状部72(主板突出部70)は、先端に、流入逆方向に直交する方向(水平面)に対して傾斜した傾斜面73を有している。要するに、筒状部72(主板突出部70)は、概して、楕円形状の切り口となるように、先端が斜めにカットされたような形状を有している。したがって、傾斜面73は、回転軸1の軸方向(Z方向)において1点(に対応する範囲)に設けられるのではなく、回転軸1の軸方向(Z方向)において、所定の範囲に設けられている。一例ではあるが、傾斜面73の水平面に対する傾斜角度は、45度よりも小さい。より詳細な一例として、傾斜面73の水平面に対する傾斜角度は、30度である。
【0050】
図9に示すように、主板突出部70の先端(筒状部72)は、回転軸1の軸方向(Z方向)(下方)から見て、略円形状を有している。回転軸1の軸方向(Z方向)(下方)から見て、傾斜面73の中心は、回転軸1の回転中心軸線αと略一致している。傾斜面73は、主板突出部70の先端全面に設けられている。傾斜面73の全体は、吸込口30(吸込口突出部50を除く)よりも下方に配置されている(
図1参照)。
【0051】
傾斜面73の流入逆方向側の頂点73a(下方の端点)は、回転軸1の回転方向(K1方向)において、頂点73aの近傍に位置する2枚の羽根部8(一対の羽根部8)の略中間位置に配置されている。すなわち、回転軸1の回転方向(K1方向)において、2枚の羽根部8(一対の羽根部8)は、頂点73aの一方側および他方側に90度だけずれた角度位置に配置されている。
【0052】
ここで、無閉塞ポンプ100は、傾斜面73に沿って異物に対して頂点73a側に押しやる力を作用させることによって、異物のバランスを崩して吸い込みやすくなるように構成されている。
【0053】
また、
図10(A)および(B)に段階的に示すように、無閉塞ポンプ100は、ポンプ室3aの外部において傾斜面73に軟弱異物が絡まった場合、傾斜面73によって捩れた軟弱異物の回転軸芯を遠心力により回転軸1の回転中心軸線αからずらすことによって、絡まった軟弱異物を外すことが可能なように構成されている。
【0054】
(ポンプケーシングの構成)
図9に示すように、ポンプケーシング3は、上記の通り、ポンプケーシング本体4と、吸込口30が設けられたサクションカバー5とを含んでいる。
【0055】
ここで、吸込口は、一般的には、下方から見て円形状に形成されるものではあるが、本実施形態の吸込口30は、円状とは異なる形状に形成されている。本実施形態の吸込口30は、下方から見て円弧および円弧よりも半径方向の内周側に突出する(位置する)部分により形成されている。
【0056】
詳細には、吸込口30を形成する内周壁は、回転軸1の回転方向の一部分に設けられる吸込口突出部50を含んでいる。吸込口突出部50は、羽根部8の第2端面82(前縁)に沿って、第2端面82に対して僅かな隙間を隔てて配置されている。吸込口突出部50は、羽根車6の傾斜した第2端面82に沿って傾斜するとともに、吸込口30の半径方向の内周側(中心側)に突出している(
図1参照)。吸込口突出部50は、下方から見て、回転軸1に向けて突出している。一例ではあるが、吸込口突出部50の傾斜角度は、第2端面82の水平面に対する傾斜角度が約45度である場合、吸込口突出部50の傾斜角度は、水平面に対して約45度である(
図1、
図4参照)。すなわち、吸込口突出部50の傾斜角度は、第2端面82の傾斜角度と略同じである。
【0057】
吸込口突出部50は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、回転軸1回りの45度以上の角度範囲θ1に形成されている。より詳細には、吸込口突出部50は、回転軸1の軸方向(Z方向)から見て、回転軸1回りの90度以上の角度範囲θ1に形成されている。
【0058】
吸込口突出部50は、Z方向から見て、外方に膨らむ2つの湾曲した側面(縁部)を有している。以下では、吸込口突出部50の2つの側面のうち、上流側に位置する側面を上流側側面50aとし、下流側に位置する側面を下流側側面50bとして説明する。
【0059】
上流側側面50aは、Z方向から見て、下流側側面50bよりも先に、回転する羽根部8に重なるように構成されている。一例ではあるが、上流側側面50aと下流側側面50bとが接続される吸込口突出部50の内周側端部50cは、回転中心軸線αを中心とした同心円の円弧となるように形成されている。
【0060】
上流側側面50aと羽根部8とに挟まれる空間には、回転する羽根部8によって、ポンプ室3aの外部から内部に向かう押込力が発生する。無閉塞ポンプ100は、この押込力を利用して、上流側側面50aと回転する羽根部8との間から異物を吸い込むように構成されている。
【0061】
図1に示すように、吸込口突出部50の内周側端部50cは、羽根車6の主板突出部70に接続される羽根部8の内周側端部80よりも、半径方向(R方向)の内周側に配置されている。すなわち、吸込口突出部50の内周側端部50cは、羽根部8の内周側端部80よりも、回転軸1の回転中心軸線αにより近い位置に配置されている。
【0062】
吸込口突出部50の流入逆方向の内周側端部50c(下端)は、回転軸1の軸方向(Z方向)において、羽根車6の傾斜面73の流入逆方向側の頂点73a(下方の端点)と、傾斜面73の流入逆方向とは反対方向側の底に位置する点73b(上方の端点)との間に配置されている。
【0063】
吸込口突出部50の流入逆方向の内周側端部50cは、主板突出部70(筒状部72)に近接して配置されている。すなわち、吸込口突出部50の内周側端部50cは、筒状部72との間に僅かな隙間を隔てて配置されている。このため、吸込口突出部50の流入逆方向の内周側端部50cは、羽根車6(傾斜面73を有する筒状部72)が回転する際に、傾斜面73を有する筒状部72に対して、近接(比較的間の距離が小さくなること)と、離間(比較的間の距離が大きくなること)とを交互に繰り返す(
図13参照)。
【0064】
「近接」とは、羽根車6の所定の回転位置で、水平方向において、羽根車6の筒状部72の側面72aと吸込口突出部50の内周側端部50cとが対向する状態である。「離間」とは、羽根車6の所定の回転位置で、水平方向において、羽根車6の傾斜面73と吸込口突出部50の内周側端部50cとが対向する状態である。要するに、水平方向における吸込口突出部50の内周側端部50cと羽根車6との間の隙間は、羽根車6の回転に伴って、拡大および縮小を交互に繰り返す。
【0065】
図13(A)に示す近接状態の回転位置では、回転軸1(
図1参照)の軸方向に直交する方向(水平方向)において、吸込口突出部50は、傾斜面73の流入逆方向とは反対方向側の底に位置する点73b(上方の端点)よりも、羽根車6の傾斜面73の流入逆方向側の頂点73a(下方の端点)に近い位置に配置されている。
【0066】
一方、
図13(B)に示す離間状態の回転位置では、回転軸1(
図1参照)の軸方向に直交する方向(水平方向)において、吸込口突出部50は、頂点73aよりも、点73bに近い位置に配置されている。
【0067】
図2に示すように、回転軸1の回転方向において、吸込口突出部50の上流側側面50aは、ポンプケーシング3の舌部4aと、舌部4aよりも120度だけ上流側(ポンプ室3a内における水の流れ方向の上流側)の角度位置との間の角度範囲θaに配置されている。
【0068】
したがって、無閉塞ポンプ100は、舌部4aに対して比較的近い位置に配置された吸込口突出部50の上流側側面50a付近から吸込口30を介して、異物を吸い込むことが可能なように構成されている。その結果、無閉塞ポンプ100は、比較的短い距離の経路により、吸い込んだ異物を吐出口31まで運ぶことが可能となる。
【0069】
なお、回転軸1の回転方向において、吸込口突出部50の上流側側面50aは、ポンプケーシング3の舌部4aと、舌部4aよりも90度だけ上流側(ポンプ室3a内における水の流れ方向の上流側)の角度位置との間の角度範囲θbに配置するのがより好ましい。このように構成すれば、より短い距離の経路により、吸い込んだ異物を吐出口31まで運ぶことが可能となる。
【0070】
図2(
図11)に示すように、ポンプケーシング3(サクションカバー5)は、異物排出溝51を有している。異物排出溝51は、羽根車6に対向する羽根車6の流入逆方向側(Z2方向側)の対向面5b(上面)に設けられている。異物排出溝51は、半径方向(R方向)の内周側から外周側に向けて延びる細長形状を有している。
【0071】
図12(A)~(D)に示すように、異物排出溝51は、円周方向断面が略涙滴型を半分にした形状を有している。異物排出溝51は、半径方向の内周側から外周側に向かうにつれて、羽根車6の回転方向(K1方向)に徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、異物排出溝51は、半径方向の内周側から外周側に向かうにつれて、異物排出溝51の幅が広がるとともに、底面のRが緩やかになるように形成されている。
【0072】
図11に示すように、ポンプケーシング3(サクションカバー5)は、吸込口30を取り囲むとともに、羽根車6に対して吸込口30側から対向し、回転軸1の軸方向に略直交する方向に延びる対向面5bを含んでいる。対向面5bには、異物排出溝51が設けられている。異物排出溝51には、回転軸1の軸方向から見て、吸込口突出部50と対向面5bとの境界部分の近傍に、異物排出溝51が延在する角度を変化させるエッジ部51cが設けられている。
【0073】
羽根車の回転方向上流側のエッジ部51cは、回転軸1の軸方向から見て、吸込口突出部50に形成された異物排出溝51の接線に対して所定の角度θ10の角度分、上流側から下流側に向けて変化している。羽根車の回転方向下流側のエッジ部51cは、回転軸1の軸方向から見て、吸込口突出部50に形成された異物排出溝51の接線に対して所定の角度θ11の角度分、上流側から下流側に向けて変化している。一例として、所定の角度θ10は、32.5度であり、所定の角度θ11は、21.2度である。
【0074】
図2(
図11)に示すように、異物排出溝51の半径方向の内周側の端部51aは、吸込口突出部50まで延在している(延びている)。異物排出溝51の半径方向の外周側の端部51bは、半径方向(R方向)において、羽根部8よりも外周側に位置している。すなわち、異物排出溝51は、半径方向(R方向)において、拘束が生じる羽根部8とサクションカバー5の対向面5bとの隙間(僅かな隙間)よりも外周側まで延びている。異物排出溝51は、羽根車6の回転方向(K1方向)に沿って渦巻くようにして、半径方向(R方向)の内周側から外周側に向けて延びている。
【0075】
詳細には、異物排出溝51は、回転軸1の回転に伴いポンプ室3aに発生する旋回流(羽根車6の回転に伴い生じる渦巻いた螺旋状の流れ)の流れ方向に沿った湾曲形状を有している。なお、一例ではあるが、本実施形態では、異物排出溝51が、ポンプケーシング3に1つのみ設けられている。異物排出溝51は、羽根部8とポンプケーシング3との間に異物が拘束されるのを抑制する機能を有している。したがって、無閉塞ポンプ100は、異物排出溝51により、異物を吐出口31により確実に運ぶことが可能となる。
【0076】
異物排出溝51は、羽根車6の回転方向に沿って、羽根車6の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて徐々に深くなるように構成されている。
【0077】
図9および
図13に示すように、ポンプケーシング3(サクションカバー5)の吸込口30の下方側の外側部分は、旋回流の流れを阻害することのないように、旋回流の流れに沿った滑らかな形状に形成されている。
【0078】
詳細には、サクションカバー5には、下方から上方に窪む凹部5aが設けられている。凹部5aは、サクションカバー5の下部(ポンプ室3aの外側)に配置されている。凹部5aは、吸込口30の周囲を取り囲んでいる。
【0079】
凹部5aには、下方から見て、半径方向(R方向)の内周側に突出する第1突出部52が複数設けられている。第1突出部52は、サクションカバー5をポンプケーシング本体4に取り付けるための部材の設置箇所を確保するために形成されている。一例として、第1突出部52は、回転軸1の周方向に等角度間隔(120度間隔)で配置されている。
【0080】
第1突出部52は、下方から見て、回転方向上流側が凹部5aの外周面に対して比較的小さな角度θ2により傾斜している。一例として、第1突出部52は、下方から見て、凹部5aの外周面に対して、羽根車6回転方向30度以下の角度θ2により傾斜している。より具体的な一例として、第1突出部52は、下方から見て、凹部5aの外周面に対して28度の角度θ2により傾斜している。このように構成することで、回転方向K1に対して緩やかな角度を持たせるので、異物の引っ掛かりを抑制することができる。
【0081】
また、凹部5aには、下方から見て、半径方向に延びて下方に突出する第2突出部53が設けられている。第2突出部53は、凹部5aの外周面と吸込口突出部50とを接続するように、凹部5aの外周面と吸込口突出部50との間に配置されている。第2突出部53は、リブ状に形成されている。このように第2突出部53を形成することによって吸込口突出部50の強度を向上させることができる。
【0082】
第2突出部53は、下方から見て、回転方向上流側が凹部5aの底面(上方側の面)に対して比較的小さな角度θ3により傾斜している。一例として、第2突出部53は、下方から見て、凹部5aの底面に対して30度以下の角度θ3により傾斜している。より具体的な一例として、第2突出部53は、下方から見て、凹部5aの底面に対して30度の角度θ3により傾斜している。このように構成することで、回転方向K1に対して緩やかな角度を持たせるので、異物の引っ掛かりを抑制することができる。
【0083】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0084】
本実施形態では、上記のように、羽根部8を、回転軸1の半径方向(R方向)の外周側に位置する流入逆方向(Z2方向)の端面であり、流入逆方向と交差する方向に延びる第1端面81と、第1端面81の半径方向の内周側から第1端面81に接続されるとともに、半径方向の内周側に位置する流入逆方向の端面であり、半径方向の内周側に向かうにしたがって流入逆方向側に位置するように第1端面81に対して傾斜する第2端面82(前縁)とを含むように構成する。これにより、従来のような羽根車6とは別構成の整流装置を設けることなく、吸込口30から吸い込まれる異物を第2端面82および第1端面81に沿って羽根車6の外周側にガイドすることができるので、羽根車6の回転により異物が羽根車6に絡まることに起因して、異物がポンプ室3aに詰まることを抑制することができる。すなわち、従来のような異物が挟まりやすい専用の構成である整流装置を設けることなく、羽根車6自体により異物が通過するように羽根車6の外周側にガイドすることができる。また、従来のように整流装置を設ける必要がないので、整流装置とポンプ本体(羽根車)との隙間に軟弱異物が詰まることがなくなり、異物の通過性能を向上させることができる。以上の結果、装置構成を複雑化させることなく、異物の通過性能を向上させることができる。また、2枚以上の羽根部8を設けることによって、回転軸1の周りにバランスよく2枚以上の羽根部8を配置することができるので、1枚のみ羽根部8を設ける場合と比較して、羽根車6の回転に伴う振動を低減することができる。このため、ポンプ効率の低下を抑制することができる。
【0085】
また、主板部7に、回転軸1の半径方向の内周側に向かうにしたがって流入逆方向に突出する主板突出部70を設け、ポンプケーシング3の吸込口30を形成する内周壁に、吸込口30の中心側に突出する吸込口突出部50を設ける。この吸込口突出部50により、回転軸1の軸方向から見て、吸込口30付近に発生する旋回流(羽根車6の回転により生じる螺旋状に渦巻く流れ)の中心を偏心させることができるので、旋回流の中心を主板突出部70からずらすことができる。また、回転軸方向に対して角度を設けて異物を吸い込むことができる。以上により、異物が主板突出部70に絡まるのを抑制することができる。また、吸込口突出部50により吸込口30の開口面積を小さくして、水および異物の吸込速度を増大させることができる。このため、小水量域においても吸込み流速の低下を抑制できる。また、第2端面82により、回転軸1の軸方向(流入方向)に対して角度を付けて異物を吸い込むことができるので(流入方向に対して異物をまっすぐに吸い込まないように構成することができるので)、異物を吐出口31に向けて効果的に流すことができる。
【0086】
本実施形態では、上記のように、第2端面82と第1端面81とのなす角度は、鈍角である。これによって、第1端面81よりも第2端面82を吸込口30側に突出させることができるので、第2端面82により、羽根部8の端面に引っ掛かることに起因して、吸込口30を跨いで留まる異物(チップクリアランス(羽根部8の第1端面81と第1端面81と対向するポンプケーシング3の面との間の隙間)に引っ掛かった状態のゴム手袋やストッキングなど)を破砕および切断することができる。これにより、吸込口30を跨いでチップクリアランスに異物が拘束されるのを防止することができる。
【0087】
本実施形態では、上記のように、吸込口突出部50は、回転軸1の軸方向から見て、回転軸1回りの45度以上の角度範囲に形成されている。これによって、比較的大きな角度範囲に吸込口突出部50を設けることができるので、吸込口30付近に発生する旋回流の中心を確実に偏心させることができる。その結果、異物が主板突出部70に絡まるのを効果的に抑制することができる。また、比較的大きな角度範囲から吸込口突出部50を突出させることができるので、吸込口突出部50により吸込口30の開口面積を小さくして、水および異物の吸込速度をより増大させることができる。このため、小水量域においても吸込み流速の低下をより抑制できる。また、吸込口突出部50が比較的広い角度範囲で形成されているため、吸込口突出部50に軟弱異物が絡みついて拘束が発生するのを抑制することができる。
【0088】
本実施形態では、上記のように、吸込口突出部50の内周側端部50cは、主板突出部70に接続される羽根部8の内周側端部80よりも、回転軸1の半径方向の内周側に、または、半径方向において羽根部8の内周側端部80と略対応する位置に配置されている。これによって、主板突出部70の近傍まで吸込口突出部50を突出させることができるので、吸込口突出部50の付近を羽根部8が通過する際に、吸込口突出部50により異物を確実に除去することができる。その結果、第2端面82に異物が積層されるのを抑制することができる。また、舌部4a、羽根部8の外周およびチップクリアランスに詰まることのない大きさまで異物を切断および破砕することができる。
【0089】
本実施形態では、上記のように、主板突出部70は、先端に、流入逆方向に直交する方向に対して傾斜した傾斜面73を有している。これによって、傾斜面73が回転した際に、異物に対して傾斜面73に沿って傾斜面73の頂部に押しやる力を付与することができる。その結果、異物に対して流入方向へ作用する力を不均一にすることができるので、傾斜面73に異物が絡まっている場合には、異物のバランスを崩して、傾斜面73から異物を除去することができる。また、軟弱異物が捩れた場合でも、回転によって捩れの中心が回転軸1の回転中心軸線から外れて頂部に寄ることと、傾斜面73に沿って頂部に押しやられる力を受けることが相まって羽根車6の吸込み側端面から外れやすくなる。
【0090】
本実施形態では、上記のように、主板突出部70の先端は、回転軸1の軸方向から見て、略円形状を有している。これによって、傾斜面73の頂部が丸く形成されるので、傾斜面73から異物を除去する効果が高まる。
【0091】
本実施形態では、上記のように、傾斜面73は、主板突出部70の先端全面に設けられている。これによって、傾斜面73が回転した際に、異物に対して傾斜面73に沿って傾斜面73の頂部に押しやる力を、より大きく付与することができる。このため、傾斜面73に異物が絡まっている場合には、より大きく異物のバランスを崩すことができるので、傾斜面73から異物を効果的に除去することができる。
【0092】
本実施形態では、上記のように、傾斜面73の流入逆方向側の頂点73aは、回転軸1の回転方向において、頂点73aの近傍に位置する2つの羽根部8の略中間位置に配置されている。これによって、頂部と一方側の羽根部8および他方側の羽根部8までの距離の両方を小さくする(略最小にする)ことができるので、傾斜面73から異物が外れた後、羽根部8および吸込口突出部50により速やかに破砕して、吸込口30に押し込むことができる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0093】
本実施形態では、上記のように、吸込口突出部50の流入逆方向の内周側端部50cは、回転軸1の軸方向から見て、主板突出部70の側面に近接して配置されている。これによって、主板突出部70と吸込口突出部50とが狭い(狭隘な)隙間を隔てて配置することができるので、主板突出部70と吸込口突出部50との隙間において、異物を効果的に切断および破砕することができ、より効果的に羽根車6の傾斜面73から異物を外すことができる。
【0094】
本実施形態では、上記のように、吸込口突出部50の流入逆方向の内周側端部50cは、回転軸1の軸方向において、傾斜面73の流入逆方向側の頂点73aと、傾斜面73の流入逆方向とは反対方向側の底に位置する点73bとの間に配置されている。このように構成することで、形成された傾斜面73の側面は回転軸方向(Z方向)の長さが均一では無いため、羽根車6の回転に伴い、吸込口突出部50の内周側端部50cと主板突出部70(筒状部72)の側面72aとが、「近接」と「離間」とを滑らかに繰り返すので、羽根車6の傾斜面73から異物が外れやすくなる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0095】
本実施形態では、上記のように、羽根部8の(回転軸1の)半径方向の内周側部分は、流入逆方向に向かうにしたがって半径方向の外周側に広がるように位置するように傾斜している。これによって、いわゆるスクリュ形状に羽根部8が形成される。このため、羽根車6の回転に伴い、異物に対して羽根車6の内部に押し込むような力を作用させることができるので、吸込口突出部50と羽根部8との隙間から異物が外れやすくなる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0096】
本実施形態では、上記のように、ポンプケーシング3は、羽根車6に対向する羽根車6の流入逆方向側の対向面5bに設けられ、回転軸1の半径方向の内周側から外周側に向けて延びる細長形状の異物排出溝51を有し、異物排出溝51の半径方向の内周側の端部51aは、吸込口突出部50まで延在している。これによって、異物排出溝51により、羽根部8(羽根車6)の第1端面81および第2端面82と、羽根部8の第1端面81および第2端面82と対向するポンプケーシング3の対向面5bとの隙間(ギャップ)における異物の拘束を抑制することができる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0097】
本実施形態では、上記のように、ポンプケーシング3は、吸込口30を取り囲むとともに、羽根車6に対して吸込口30側から対向し、回転軸1の軸方向に略直交する方向に延びる対向面5bを含み、対向面5bに異物排出溝51が設けられ、異物排出溝51には、回転軸1の軸方向から見て、吸込口突出部50と対向面5bとの境界部分の近傍に、異物排出溝51が延在する角度を変化させるエッジ部51cが設けられている。これによって、エッジ部51cに異物を引っ掛けて、エッジ部51cに引っ掛けた異物の上を羽根車6の羽根部8が通過することにより異物を切断することができる。
【0098】
本実施形態では、上記のように、異物排出溝51の半径方向の外周側の端部51bは、半径方向において、羽根部8よりも外周側に位置している。これによって、異物排出溝51により、異物を羽根部8(羽根車6)の第1端面81と、羽根部8の第1端面81と対向するポンプケーシング3の対向面5bとの隙間の外側まで導くことができるので、異物の通過性能を一層向上させることができる。
【0099】
本実施形態では、上記のように、異物排出溝51は、羽根車6の回転方向に沿って、羽根車6の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて深くなるように構成されている。これによって、羽根車6の回転方向に沿って、異物排出溝51に異物を効果的に押し込むことができるので、異物の通過性能を一層向上させることができる。
【0100】
本実施形態では、上記のように、異物排出溝51は、ポンプケーシング3の中心から外周に向かうにつれて幅が広がるように構成されている。これによって、吐出方向に向けて徐々に異物排出溝51を広げることになるので、吐出方向に向けて異物を押し出す効果を得ることができる。
【0101】
本実施形態では、上記のように、回転軸1の回転方向において、吸込口突出部50の上流側側面50aは、ポンプケーシング3の舌部4aと、舌部4aよりも120度だけ上流側の角度位置との間の角度範囲に配置されている。これによって、異物がポンプ室内に押し込まれやすい位置にある上流側側面50aを舌部4aに比較的近い位置に配置することができる。その結果、吸い込まれた異物がポンプ室3a(ボリュート)内に存在する時間を短くして即座に排出することができる。したがって、舌部4aや羽根車6などに対して異物が絡まりにくくすることができる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0102】
本実施形態では、上記のように、羽根車6は、主板部7側でかつ半径方向の内周側において、羽根部8の負圧面83a側の流路S1が羽根部8の圧力面83b側の流路S2よりも狭くなるように構成されている。これによって、負圧面83a側の流路S1を狭くすることにより、吸い込まれた異物の負圧面83a側の流路S1での滞留を抑制して、圧力面83b側の流路S2に異物を押しやる(異物を寄せる)ことができる。すなわち、異物を排出しやすくすることができる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0103】
本実施形態では、上記のように、主板部7には、羽根車6に慣性力を付与する円環形状の錘部71が設けられている。これによって、錘部71により得られるはずみ車効果により、回転する羽根車6の慣性力を大きくすることができるので、異物の破砕によるトルクの上昇と衝撃とを相殺することができる。なお、はずみ車効果とは、所定の軸まわりを回転する回転体の回転速度をなるべく一様に近づける効果(回転体の回転速度のむらをなくす効果)である。
【0104】
本実施形態では、上記のように、羽根部8の半径方向の外周側の厚みは、羽根部8の半径方向の内周側の厚みよりも大きい。これによって、羽根部8により得られるはずみ車効果により、回転する羽根車6の慣性力を大きくすることができるので、異物の破砕によるトルクの上昇と衝撃とを相殺することができる。また、既存の構成である羽根部8によりはずみ車効果を得ることができる。
【0105】
本実施形態では、上記のように、回転軸1を回転させる電気モータ2をさらに備え、電気モータ2の回転数を変更可能に構成され、電気モータ2の駆動電力値が所定の第1しきい値を下回った場合に、電気モータ2の駆動電力値が所定の第1しきい値または所定の第1しきい値を超える所定の第2しきい値に到達するまで、電気モータ2の回転数を増加させるように構成されている。これによって、電気モータ2の回転数を増加させて、異物を破砕するスパンを短くすることができるので、異物を細かく破砕することができる。また、通過する異物に対してより大きな遠心力を付与することにより、傾斜面73における異物の押し上げ作用を向上させることができるので、異物が羽根車6の傾斜面73から外れやすくすることができる。また、水の吸込速度(吸込水量)を増大させることができる。以上の結果、異物の通過性能をより向上させることができる。
【0106】
本実施形態では、上記のように、回転軸1を回転させる電気モータ2をさらに備え、電気モータ2の駆動電力値が駆動電力基準値を超えた状態が所定の時間以上継続した場合において、電気モータ2の駆動を停止して、所定の回数だけ再起動を試みても、繰り返し、電気モータ2の駆動電力値が駆動電力基準値を超えた状態が所定の時間以上継続すると判断したならば、羽根車6を逆回転させるように構成されている。このように構成することにより、羽根車6が逆回転することによって、羽根車6の内周側に戻された異物に対して主板突出部70の側面と、吸込口突出部50の内周側端部50cとが、近接と離間とを繰り返すので、無閉塞ポンプ100は、羽根車6に絡まった異物や、ポンプ室3a内で拘束された異物などを効果的に取り除くことができる。
【0107】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0108】
たとえば、上記実施形態では、吸込口に吸込口突出部のみを設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、
図15に示す変形例の無閉塞ポンプ200のように、吸込口30に吸込口突出部50および凹部201を設けてもよい。詳細には、ポンプケーシング3の吸込口30を形成する内周壁は、吸込口突出部50に加えて、平面視で回転軸1に対して吸込口突出部50が配置される側とは反対側に設けられ、吸込口30の半径方向の外周側に窪む凹部201をさらに含んでいる。なお、Z1方向から見て、凹部201(吸込口30の円弧に対して窪んだ部分の面積)は、吸込口突出部50よりも小さく形成されている。
【0109】
上記のように構成することによって、吸込口突出部50のみを設ける場合と比較して、吸込口突出部50および凹部201を設けることにより、吸込口30付近に発生する旋回流の中心をより偏心させることができる。このため、異物の主板突出部70(
図1参照)への絡みつきをより抑制できる。その結果、異物の通過性能をより向上させることができる。また、比較的大きな異物が流入した場合に、凹部201により、異物を切断および破砕することができる。また、凹部201により、大きな異物が流入しても、異物を凹部201に移動させ、凹部201の回転方向(羽根車6の回転方向)の下流側側壁と回転する羽根部8の前縁(第2端面82)の圧力面側エッジとの相対位置の変化による「切断作用および破砕作用」により、異物を通過可能な大きさに破砕することができる。
【0110】
また、上記実施形態では、無閉塞ポンプを竪型の水中電動ポンプとした例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、無閉塞ポンプを横型の水中電動ポンプとしてもよい。また、モータが下側、ポンプケーシングが上側に配置された竪型の水中電動ポンプとしてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、無閉塞ポンプの駆動源をモータで構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、駆動源をエンジンで構成してもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、地面に設置して運転させる無閉塞ポンプとした例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ポンプにフロートを取り付け水中に浮遊させ、モータが下側、吸込口が上側を向くように配置する水中電動ポンプとして構成してもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、異物排出溝をポンプケーシングに1つのみ設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、異物排出溝をポンプケーシングに複数設けてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、異物排出溝の深さを羽根車の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて徐々に深くなるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、異物排出溝の深さを羽根車の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて徐々に浅くなるように構成してもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、異物排出溝の深さを羽根車の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれて徐々に深くなるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、異物排出溝の深さを内周側から外周側に向けて変更するよう構成してもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、羽根車が2枚の羽根部を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、羽根車が3枚以上の羽根部を含んでいてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、回転軸の回転方向において、吸込口突出部の上流側側面を、ポンプケーシングの舌部と、舌部よりも(K2方向に)120度だけ上流側の角度位置との間の角度範囲に配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、回転軸の回転方向において、吸込口突出部の上流側側面を、ポンプケーシングの舌部よりも(K2方向に)120度よりも大きい角度だけ上流側の角度位置に配置してもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、第1端面を、略水平方向に延びるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1端面を、水平方向に対して傾斜するように形成してもよい。たとえば、第1端面を、半径方向の内周側が流入逆方向(下方)に位置するように水平方向に対して傾斜させてもよい。この場合、第1端面を、水平方向に対して15度以下の角度で傾斜させるのが好ましい。この際、第1端面と第2端面とのなす角度が、鈍角となるように、第1端面を傾斜させる。
【0119】
また、上記実施形態では、吸込口突出部を、回転軸の軸方向から見て、回転軸回りの45度以上の角度範囲に形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、吸込口突出部を、回転軸の軸方向から見て、回転軸回りの45度未満の角度範囲に形成してもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、ポンプケーシングを、ポンプケーシングおよびサクションカバーの2部材により構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、ポンプケーシングを、ポンプケーシング本体のみの1部材により構成してもよい。この場合、ポンプケーシング本体に吸込口および吐出口の両方を設ける。
【0121】
また、上記実施形態では、主板突出部の先端(下方の端部)が、下方から見て、円形状を有する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、主板突出部の先端(下方の端部)が、下方から見て、矩形状やギヤ状などの円形状とは異なる形状を有していてもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、羽根部の第2端面(第1端面)を、側面視で平坦になるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、羽根部の第2端面(第1端面)を、側面視で湾曲するように形成してもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、吸込口突出部の内周側端部を、主板突出部に接続される羽根部の内周側端部よりも回転軸の半径方向の内周側に配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、吸込口突出部の内周側端部を、半径方向において羽根部の内周側端部と略対応する位置に配置してもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、傾斜面の水平面に対する傾斜角度を、45度よりも小さくした例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、傾斜面の水平面に対する傾斜角度を、45度以上としてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 回転軸
1a 一端
2 電気モータ
4a 舌部
5b 対向面
6 羽根車
7 主板部
8 羽根部
30 吸込口
50 吸込口突出部
50a 上流側側面
50b 下流側側面
50c (吸込口突出部の)内周側端部
51 異物排出溝
51a (異物排出溝の内周側の)端部
51b (異物排出溝の外周側の)端部
51c エッジ部
70 主板突出部
71 錘部
73 傾斜面
73a 頂点
73b (底に位置する)点
80 (羽根部の)内周側端部
81 第1端面
82 第2端面
83a 負圧面
83b 圧力面
100、200 無閉塞ポンプ
201 凹部
S1 (羽根部の負圧面側の)流路
S2 (羽根部の圧力面側の)流路