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特開2023-90862ロボットアームの境界を示すロボットシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090862
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ロボットアームの境界を示すロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20230622BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J11/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075640
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2020518522の分割
【原出願日】2018-09-26
(31)【優先権主張番号】62/568,733
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/141,755
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホ, ミンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヌーナン, デヴィッド ポール
(72)【発明者】
【氏名】チャン, シューユン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン, アレン
(57)【要約】
【課題】医療手技を実行するロボットシステムを提供すること。
【解決手段】いくつかの態様は、手術ロボットアームのセットアップ用のシステムおよび技術に関する。一態様では、医療器具を操作する第1のロボットアーム、プロセッサ、メモリを有するシステムを提供する。プロセッサは、第1のロボットアームによって医療器具を前進させて、アクセスポイントから経路を経由して目標領域に到達させることができる、第1のロボットアームの最小のストローク長を決定することと、最小のストローク長とメモリに記憶されたマッピングとに基づいて、第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、第1のロボットアームの移動時の境界の指標を提供することを実行する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低侵襲または非侵襲の医療手技を実行するロボットシステムであって、
医療器具を操作するように構成された第1のロボットアームであって、前記医療器具は、患者の生体の管腔ネットワークを通じて操作されるように構成されている、第1のロボットアームと、
プロセッサと、
前記患者の前記生体のマッピングを記憶するメモリであって、前記マッピングは、(i)前記生体内の目標領域と(ii)前記患者のアクセスポイントから前記目標領域までの前記管腔ネットワークを通る経路とに関するデータを有し、前記メモリは、コンピュータ実行可能な命令をさらに記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記第1のロボットアームによって前記医療器具を前進させて、前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に到達させることができる、前記第1のロボットアームの最小のストローク長を決定することと、
前記最小のストローク長と、前記第1のロボットアームの1つ以上の所与の初期姿勢での前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長とに基づいて、前記第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、
前記医療手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、前記第1のロボットアームの移動時の前記第1のロボットアームの前記初期姿勢の前記境界の指標を提供することと、
を実行させるメモリと、
を有する、ロボットシステム。
【請求項2】
前記メモリは、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有し、前記さらなる命令を実行すると前記プロセッサに、
前記境界の前記指標を、触覚的な指標と視覚的な指標と音声的な指標の少なくとも1つを介して提供すること、
を実行させる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記境界は境界領域を有し、
前記メモリは、前記プロセッサに、前記アームセットアップフェーズ時に前記境界領域内の前記第1のロボットアームの前記移動を制限することを実行させる、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記メモリは、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有し、前記さらなる命令を実行すると前記プロセッサに、
前記アームセットアップフェーズ時に前記境界内の前記第1のロボットアームの移動を制限することを実行させる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記メモリは、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有し、前記さらなる命令を実行すると前記プロセッサに、
前記制限を無効にする入力を検出することと、
前記第1のロボットアームの移動を検出することと、
前記第1のロボットアームの検出した前記移動に基づいて、前記第1のロボットアームの位置を決定することと、
前記第1のロボットアームの前記位置に基づいて、前記医療器具の前記患者内への前進を支援する、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長をシミュレートすることと、
を実行させる、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記メモリは、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有し、前記さらなる命令を実行すると前記プロセッサに、
前記患者の手術手技を示す入力を受信することと、
前記手術手技に基づいて、前記医療器具の、前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域までの前進と、前記目標領域における前記手術手技の実行とを支援する、前記第1のロボットアームの少なくとも1つの目的の移動を決定することと、
前記第1のロボットアームの位置における、前記少なくとも1つの目的の移動をシミュレートすることと、
シミュレートした前記移動に基づいて、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長を計算することと、
を実行させる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記メモリは、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有し、前記さらなる命令を実行すると前記プロセッサに、
シミュレートした前記移動によって前記第1のロボットアームが物体と衝突することを決定すること、
を実行させ、
前記達成可能なストローク長の前記計算は、シミュレートした前記移動によって前記第1のロボットアームが前記物体と衝突することの前記決定と、シミュレートした前記移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長するか否かの前記決定とにさらに基づく、請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記メモリは、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有し、前記さらなる命令を実行すると前記プロセッサに、
シミュレートした前記移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長することを決定すること、
を実行させ、
前記達成可能なストローク長の前記計算は、シミュレートした前記移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長することの前記決定にさらに基づく、請求項7に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記メモリは、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有し、前記さらなる命令を実行すると前記プロセッサに、
前記達成可能なストローク長が前記最小のストローク長より短いことを決定することと、
現在位置から前記境界までの方向を計算することと、
前記現在位置から前記境界までの前記方向の指標を提供することと、
を実行させる、請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記医療器具はシースを有し、
前記ロボットシステムは、リーダを前記シースを通って前進させるように構成された第2のロボットアームをさらに有し、
前記メモリは、コンピュータ実行可能なさらなる命令を有し、前記さらなる命令を実行すると前記プロセッサに、
前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に至るまでの前記シースの前進を支援する、前記第1のロボットアームの少なくとも1つの第1の移動を決定することと、
前記シースを通って前記目標領域に至るまでの前記リーダの前進を支援する、前記第2のロボットアームの少なくとも1つの第2の移動を決定することと、
前記第1および第2のロボットアームの位置における、前記少なくとも1つの第1の移動と前記少なくとも1つの第2の移動とをシミュレーションすることと、
前記シミュレーションに基づいて、前記第1および第2のロボットアームの少なくとも1つの達成可能なストローク長を計算することと、
を実行させる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項11】
プログラムであって、少なくとも1つの計算装置に、
第1のロボットアームによって医療器具を前進させて目標領域に到達させることができる、前記第1のロボットアームの最小のストローク長を、患者の生体のマッピングに基づいて決定することであって、前記マッピングは、(i)前記生体内の前記目標領域と(ii)前記患者のアクセスポイントから前記目標領域までの経路とに関するデータを有し、前記医療器具は前進させられて前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に到達する、ことと、
前記最小のストローク長と前記マッピングとに基づいて、前記第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、
低侵襲または非侵襲の医療手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、前記第1のロボットアームの移動時の前記境界の指標を提供することと、
を実行させる、プログラム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの計算装置に、
前記境界の前記指標を、触覚的な指標と視覚的な指標と音声的な指標の少なくとも1つを介して提供すること、
をさらに実行させる、請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記境界は境界領域を有し、前記プログラムは前記少なくとも1つの計算装置に、
前記アームセットアップフェーズ時に前記境界領域内の前記第1のロボットアームの前記移動を制限すること、
をさらに実行させる、請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの計算装置に、
前記アームセットアップフェーズ時に前記境界内の前記第1のロボットアームの移動を制限することをさらに実行させる、請求項11に記載のプログラム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの計算装置に、
前記制限を無効にする入力を検出することと、
前記第1のロボットアームの移動を検出することと、
前記第1のロボットアームの検出した前記移動に基づいて、前記第1のロボットアームの位置を決定することと、
前記第1のロボットアームの前記位置に基づいて、前記医療器具の前記患者内への前進を支援する、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長をシミュレートすることと、
をさらに実行させる、請求項14に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2017年10月5日出願の米国仮特許出願第62/568,733号および2018年9月25日出願の米国特許出願第16/141,755号の利益を主張し、その開示全体を参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本件開示のシステムおよび方法はロボットアームの設定に関し、より具体的には、ロボットシステムのロボットアームの初期姿勢に対する境界の指標の提示に関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡検査(例えば、気管支鏡検査)などの医療手技には、診断目的または治療目的で患者の管腔ネットワーク(例えば、気道)に医療道具を挿入することが含まれる。手術ロボットシステムは、医療手技時における医療道具の挿入および/または操作の制御に使用することができる。手術ロボットシステムは、医療手技前や医療手技時における医療道具の位置決めの制御に使用可能な操作アセンブリを有する、少なくとも1つのロボットアームを備えることができる。
【発明の概要】
【0004】
本件開示のシステム、方法および装置には、それぞれいくつかの革新的な側面があり、いずれも本明細書に開示する所望の特徴を単独で担うものではない。
【0005】
1つの側面では、医療器具を操作する第1のロボットアームと、プロセッサと、患者の生体のマッピングを記憶するメモリを有するシステムが提供される。マッピングは、(i)前記生体内の目標領域と(ii)前記患者のアクセスポイントから前記目標領域までの経路とに関するデータを有する。メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、前記第1のロボットアームによって前記医療器具を前進させて、前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に到達させることができる、前記第1のロボットアームの最小のストローク長を決定することと、前記最小のストローク長と前記マッピングとに基づいて、前記第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、前記手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、前記第1のロボットアームの移動時の前記境界の指標を提供することと、を実行させる。
【0006】
別の側面では、命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、第1のロボットアームによって医療器具を前進させて目標領域に到達させることができる、前記第1のロボットアームの最小のストローク長を、患者の生体のマッピングに基づいて決定することであって、前記マッピングは、(i)前記生体内の目標領域と(ii)前記患者のアクセスポイントから前記目標領域までの経路とに関するデータを有し、前記医療器具は前進させられて前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に到達する、ことと、前記最小のストローク長と前記マッピングとに基づいて、前記第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、前記第1のロボットアームの移動時の前記境界の指標を提供することと、を実行させるコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0007】
さらに別の側面では、第1のロボットアームを位置決めする方法であって、第1のロボットアームによって医療器具を前進させて目標領域に到達させることができる、前記第1のロボットアームの最小のストローク長を、患者の生体のマッピングに基づいて決定することであって、前記マッピングは、(i)前記生体内の目標領域と(ii)前記患者のアクセスポイントから前記目標領域までの経路とに関するデータを有し、前記医療器具は前進させられて前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に到達する、ことと、前記最小のストローク長と前記マッピングとに基づいて、前記第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、前記第1のロボットアームの移動時の前記境界の指標を提供することと、を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本件開示の側面について、添付の図面および表と共に以下に説明するが、例示であって開示の側面を限定するものではなく、同様の構成要素には同様の名称を付す。
【0009】
図1】気管支鏡検査手技の診断および/または治療用に構成されたカートベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図2図1のロボットシステムの別の側面を示す図である。
図3】尿管鏡検査用に構成された図1のロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図4】血管手技用に構成された図1のロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図5】気管支鏡検査手技用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図6図5のロボットシステムの代替の図である。
図7】ロボットアームを収容するように構成されたシステムの一例を示す図である。
図8】尿管鏡検査用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図9】腹腔鏡検査用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図10】ピッチ調整または傾き調整された図5~9のテーブルベースのロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図11図5~10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインタフェースの詳細図である。
図12】例示的な器具駆動部を示す図である。
図13】組になった器具駆動部を有する例示的な医療器具を示す図である。
図14】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸と平行である、器具駆動部および器具の代替の設計を示す図である。
図15】実施形態の一例における、図13や14の器具の位置など、図1~10のロボットシステム1つまたは複数の要素の位置を推定する位置決めシステムを示すブロック図である。
図16】本件開示の側面に係る、気管支鏡検査手技の診断および/または治療用に構成された手術ロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図17A】本件開示の側面に係る、医療手技用の設定手順の一例の特徴を示すフローチャートである。
図17B】本件開示の側面に係る、医療手技用の設定手順の別の例の特徴を示すフローチャートである。
図18】本件開示の側面において使用可能な気管支鏡の一実施形態を示す図である。
図19】本件開示の側面に係る、気管支鏡検査手技用の設定手順の別の例を示すフローチャートである。
図20】本件開示の側面に係る、医療手技のシミュレーション用の手法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.はじめに)
本件開示の側面は、腹腔鏡検査などの低侵襲の手技や内視鏡検査などの非侵襲の手技を含む種々の医療手技を実行可能なロボット対応医療システムに組み込むことができる。内視鏡検査の手技においては、本システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、消化器病検査などを実行することができる。
【0011】
本システムは、さまざまな手技を実行できることに加えて、術者を支援する強化された画像取得や誘導など、追加の利点を提供することができる。また、本システムは、扱いにくいアームの動きや位置などに対応する必要なく、人工工学による位置から手技を行うことが可能な機能を術者に提供することができる。さらに、本システムは、システムの1つまたは複数の器具を1人のユーザで制御可能な使いやすさが向上した手技を行うことが可能な機能を術者に提供することができる。
【0012】
以下に、例示目的の図面とともに種々の実施形態について説明する。開示の技術的思想のその他多数の実装が可能であり、さまざまな利点が開示の実装と共に得られる。また、ここには、参照用および多数の節の位置がわかるように見出しが含まれている。これらの見出しは、見出しが示す技術思想の範囲を制限するものではない。それぞれの技術思想は本明細書全体にわたって適用されてよい。
【0013】
(A.ロボットシステム-カート)
ロボット対応医療システムは、特定手技に応じてさまざまに構成することができる。図1は、気管支鏡検査の診断手技および/または治療樹技用に配置されたカートベースのロボット対応システム10の一実施形態を示す。気管支検査時に、システム10は、気管支鏡検査用の手技に特化した気管支鏡を自然開口部のアクセスポイント(この例ではテーブルに配置された患者の口など)に操作可能な内視鏡13などの医療器具を搬送して診断用の道具および/または治療用の道具を搬送するための、1つまたは複数のロボットアーム12を有するカート11を備える。図に示すように、カート11は、当該アクセスポイントにアクセスするために、患者の上半身に近い位置に配置されている。同様に、ロボットアーム12は、当該アクセスポイントに対して気管支鏡を配置するように作動可能である。図1に示す配置は、胃腸に関する(GI;gastro-intestinal)手技用の特別な内視鏡である胃鏡を用いた胃腸に関する手技を行うときにも使用できる。図2は、カートの一例である実施形態をより詳細に示す。
【0014】
引き続き図1を参照すると、カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は操縦可能な内視鏡13を患者に、ロボットにより、手動により、またはそれらの組み合わせにより挿入することができる。図示のように、操縦可能な内視鏡13は内側リーダ部分および外部シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部分を備えることができ、各部分は器具ドライバ28のセットから別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは個々のロボットアームの遠位端に結合される。リーダ部分をシース部分と同軸に整列させることを容易にする、器具ドライバ28のこの線形配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度および/または位置に操作することによって、空間内で再配置され得る「仮想レール」29を作成する。本明細書で説明する仮想レールは破線を使用して図示され、したがって、破線はシステムのいかなる物理的構造も示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の移動は外部シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子式にし、または内視鏡13を患者から前進または後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途または医師の好みに基づいて、調整、移動、および旋回されてもよい。例えば、気管支鏡検査では、図示のような仮想レール29の角度および位置が内視鏡13を患者の口内に曲げることに起因する摩擦を最小限に抑えながら、内視鏡13への医師のアクセスを提供することの折衷案を表す。
【0015】
内視鏡13は、挿入後、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して、目標位置または手術部位に到達するまで、患者の気管および肺に向けられ得る。患者の肺ネットワークを通るナビゲーションを強化し、かつ/または所望の標的に到達するために、内視鏡13を操作して、外部シース部分から内側リーダ部分を入れ子式に延ばして、関節動作を強化し、曲げ半径を大きくすることができる。別個の器具ドライバ28の使用はまた、リーダ部分およびシース部分が、互いに独立して駆動されることを可能にする。
【0016】
例えば、内視鏡13は例えば、患者の肺内の病変または小結節などの標的に生検針を送達するように指示されてもよい。針は病理学者によって分析されるべき組織サンプルを得るために、内視鏡の長さにわたるワーキングチャネルに沿って展開され得る。病理学的結果に応じて、追加のツールが追加の生検のために、内視鏡のワーキングチャネルの下方に配置されてもよい。悪性である結節を同定した後、内視鏡13は、潜在的に癌性の組織を切除するためのツールを内視鏡的に送達し得る。いくつかの例において、診断および治療手技は、別々の手続で送達される必要があり得る。これらの状況では、内視鏡13はまた、基準を送達して、対象小結節の位置を「マーキング」するために使用され得る。他の例において、診断および治療手技は、同じ手順の間に送達され得る。
【0017】
システム10はまた、可動タワー30を含むことができ、このタワー30は、支持ケーブルを介してカート11に接続されて、カート11に対する制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、および/または電力のためのサポートを提供することができる。このような機能をタワー30内に配置することにより、より小さなフォームファクタのカート11が可能になり、これは、手術医師およびそのスタッフによって、より容易に調整および/または再配置され得る。さらに、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は手術室の混乱を低減し、臨床作業の流れを改善することを容易にする。カート11を患者の近くに配置することができるが、タワー30は手技中に邪魔にならないように離れた場所に収容することができる。
【0018】
上述のロボットシステムのサポートにおいて、タワー30はコンピュータプログラム命令を、例えば、永続的磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含むことができる。これらの命令の実行は、実行がタワー30またはカート11内で行われるかどうかにかかわらず、システム全体またはそのサブシステムを制御することができる。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行される場合、命令はロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジおよびアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療器具を制御させることができる。例えば、制御信号の受信に応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームを特定の姿勢に位置決めすることができる。
【0019】
タワー30はまた、内視鏡13を通して展開され得るシステムに制御された潅注および吸引能力を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、および/または流体アクセスを含み得る。これらの構成要素は、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御することもできる。いくつかの実施形態では、洗浄および吸引能力が別個のケーブルを介して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0020】
タワー30はカート11にフィルタされ保護された電力を供給するように設計された電圧およびサージプロテクタを含むことができ、それによって、カート11内に電力変圧器および他の補助電力部品を配置することが回避され、その結果、より小さく、より可動性の高いカート11が得られる。
【0021】
タワー30はまた、ロボットシステム10全体に展開されるセンサのための支持装置を含むことができる。例えば、タワー30はロボットシステム10全体にわたって光学センサまたはカメラから受信したデータを検出し、受信し、処理するための光電子機器を含むことができる。制御システムと組み合わせて、このような光電子機器を使用して、タワー30を含むシステム全体に配置された任意の数のコンソールに表示するためのリアルタイム画像を生成することができる。同様に、タワー30は配置された電磁(EM;Electromagnetic)センサから受信された信号を受信し、処理するための電子サブシステムも含むことができる。タワー30はまた、医療器具内または医療器具上の電磁センサによる検出のために電磁場発生器を収容し、位置決めするために使用されてもよい。
【0022】
タワー30は、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えばカートの頂部に取り付けられたコンソールに加えて、コンソール31を含むこともできる。コンソール31は、ユーザインタフェースと、医師の操作者のためのタッチスクリーンなどの表示画面とを含むことができる。システム10内のコンソールは一般に、ロボット制御と、内視鏡13のナビゲーションおよび位置決め情報などの手術前およびリアルタイム情報との両方を提供するように設計される。コンソール31が医師が利用できる唯一のコンソールではない場合、看護師のような第二の操作者によって、患者の健康状態や活動状態とシステムの動作を監視し、ナビゲーションおよび位置決め情報などの手続固有のデータを提供するために使用することができる。他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別の筐体内に格納されている。
【0023】
タワー30は、1つまたは複数のケーブルまたは接続部(図示せず)を介してカート11および内視鏡13に結合することができる。いくつかの実施形態では、タワー30からのサポート機能が単一のケーブルを介してカート11に提供されてもよく、手術室を単純化し、混乱を解消する。他の実施形態では、特定の機能が別個のケーブル配線および接続で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを介してカートに電力を供給することができるが、制御、光学、流体、および/またはナビゲーションのための支持体は別個のケーブルを介して提供することができる。
【0024】
図2は、図1に示されたカートベースのロボット使用可能システムからのカートの実施形態の詳細図を提供する。カート11は全体として、細長い支持構造14(しばしば「カラム」と呼ばれる)、カート基部15、およびカラム14の上端部にコンソール16を含む。カラム14は、1つまたは複数のロボットアーム12(図2には3つが示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(あるいは「アーム支持体」)などの1つまたは複数のキャリッジを含むことができる。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするためにロボットアーム12の基部を調整するために垂直軸に沿って回転する個別に構成可能なアームマウントを含むことができる。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直に移動することを可能にするキャリッジインタフェース19を含む。
【0025】
キャリッジインタフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の移動を案内するためにカラム14の両側に配置されたスロット20のようなスロットを介してカラム14に接続されている。スロット20はキャリッジをカート基部15に対して種々の垂直高さに位置決めし、保持するための垂直移動インタフェースを含む。キャリッジ17の垂直移動は、カート11が様々なテーブル高さ、患者サイズ、および医師の好みに合うようにロボットアーム12の到達範囲を調整することを可能にする。同様に、キャリッジ17上の個々に構成可能なアームマウントは、ロボットアーム12のロボットアームベース21が様々な構成で角度付けされることを可能にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、スロット20がキャリッジ17が垂直に移動するときに、カラム14の内部チャンバおよび垂直移動インタフェース内への汚れおよび流体の進入を防止するために、スロット表面と面一であり、かつ平行であるスロットカバーで補足されてもよい。スロットカバーは、スロット20の縦上端部および底部の近くに配置されたバネスプールの対を通して展開されてもよい。カバーはキャリッジ17が垂直に上下に平行移動するときに、展開されてそれらのコイル状態から伸縮するまで、スプール内でコイル状に巻かれる。スプールのばね荷重はキャリッジ17がスプールに向かって移動するときにカバーをスプール内に引っ込める力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れるように移動するときにも緊密な捺印を維持する。カバーは例えば、キャリッジ17が移動するときにカバーの適切な伸縮を確実にするために、キャリッジインタフェース19内のブラケットを使用して、キャリッジ17に接続されてもよい。
【0027】
カラム14はユーザ入力、例えばコンソール16からの入力に応答して生成される制御信号に応答して機械的な方法でキャリッジ17を移動させるために、垂直に整列された親ねじを使用するように設計された、歯車およびモータなどの機構を内部に備えることができる。
【0028】
ロボットアーム12は一般に、一連のジョイント24によって接続された一連のリンク機構23によって分離されたロボットアーム基部21およびエンドエフェクタ22を備えることができ、各ジョイントは独立したアクチュエータを備え、各アクチュエータは独立して制御可能なモータを備える。各独立して制御可能なジョイントは、ロボットアームに利用可能な独立した自由度を表す。アーム12の各々は7つのジョイントを有し、したがって、7つの自由度を提供する。多数の関節は多数の自由度をもたらし、「冗長である」自由度を可能にする。冗長な自由度は、ロボットアーム12が異なる結合位置および関節角を使用して、空間内の特定の位置、向き、および軌道にそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることを可能にする。これにより、システムは医師が腕の関節を患者から離れた臨床的に有利な位置に移動させて、腕の衝突を回避して、より広いアクセス範囲を実現しながら、空間内の所望の位置から医療器具を位置決めしたり方向付けたりすることが可能になる。
【0029】
カート基部15は、床上のカラム14、キャリッジ17、およびアーム12の重量を釣り合わせる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源などのより重い構成要素、ならびにカートの移動および/または固定のいずれかを可能にする構成要素を収容する。例えば、カート基部15は、手技の前にカートが部屋の周りを容易に移動することを可能にする、回転可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、手続中にカート11を所定の位置に保持するためにホイールロックを使用して固定されてもよい。
【0030】
コンソール16はカラム14の垂直端部に配置されているので、ユーザ入力を受け取るためのユーザインタフェースと、医師ユーザに手術前および手術中の両方のデータを提供するための表示画面(または、例えば、タッチスクリーン26などの二目的用装置)との両方を可能にする。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーションおよびマッピングデータ、および/または術前患者インタビューからの注を含むことができる。ディスプレイ上の手術中データは、器具から提供される光学情報、センサおよびセンサからの座標情報、ならびに呼吸、心拍数、および/または脈拍などの患者の活動統計を含むことができる。コンソール16は医師がキャリッジ17の反対側のカラム14の側からコンソールにアクセスすることができるように、配置され、傾斜されてもよい。この位置から、医師はカート11の背後からコンソール16を操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、および患者を見ることができる。図示のように、コンソール16はまた、カート11の操縦および安定化を補助するためのハンドル27を含む。
【0031】
図3は、尿管鏡検査のために配置されたロボット使用可能システム10の実施形態を示す。尿管鏡手技では、カート11が患者の尿道および尿管を横切るように設計された手技特有の内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように配置されてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32を患者の尿道と直接整列させて、領域内の繊細な解剖学的構造に対する摩擦および力を低減することが望ましい場合がある。図に示されるように、カート11はロボットアーム12が患者の尿道への直接的な線形アクセスのために尿管鏡32を位置決めすることを可能にするために、テーブルの足に整列され得る。テーブルの足から、ロボットアーム12は、尿管鏡32を仮想レール33に沿って尿道を通して患者の下腹部に直接挿入することができる。
【0032】
尿道への挿入後、気管支鏡検査におけるのと同様の制御手法を使用して、尿管鏡32は診断および/または治療用途のために、膀胱、尿管、および/または腎臓内にナビゲートされ得る。例えば、尿管鏡32は、尿管鏡32のワーキングチャネルの下に配置されたレーザまたは超音波砕石装置を用いて、尿管および腎臓に向けられて、腎結石の蓄積を破壊することができる。砕石術が完了した後、得られた結石断片は、尿管鏡32の下方に配置されたバスケットを用いて除去され得る。
【0033】
図4は、血管手技のために同様に配置されたロボット使用可能システムの実施形態を示す。血管手技では、システム10がカート11が操縦可能なカテーテルなどの医療器具34を患者の脚の大腿動脈内のアクセスポイントに送ることができるように構成することができる。大腿動脈はナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への比較的遠回りで曲がりくねった経路との両方の特徴があり、このためナビゲーションを単純化できる。尿管鏡手技におけるように、カート11は、ロボットアーム12が患者の大腿/股関節領域における大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスを有する仮想レール35を提供することを可能にするように、患者の脚および下腹部に向かって配置され得る。動脈内への挿入後、医療器具34は、器具ドライバ28を移動させることによって方向付けられ、挿入されてもよい。あるいは、カートが例えば、肩および手首の近くの頸動脈および上腕動脈などの代替の血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周りに配置されてもよい。
【0034】
(B.ロボットシステム-テーブル)
ロボット対応医療システムの実施形態はまた、患者のテーブルを組み込んでもよい。テーブルを組み込むことにより、カートを取り外すことによって手術室内の資本設備の量が減少し、患者へのアクセスがより大きくなる。図5は、気管支鏡検査手順のために配置されたそのようなロボット使用可能システムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」または「ベッド」として示される)を支持するための支持構造または支柱37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、図5の気管支鏡40などの細長い医療器具を、器具ドライバ42の直線的な位置合わせから形成された仮想レール41を通して、またはそれに沿って操作するように設計された器具ドライバ42を備える。実際には、X線透視画像を提供するためのCアームがテーブル38の周りにエミッタおよび検出器を配置することによって、患者の上腹部領域の上に配置され得る。
【0035】
図6は、説明のため患者および医療器具を除いたシステム36の代替図を示す。図示されているように、カラム37はシステム36内にリング形状として示されている1つ以上のキャリッジ43を含むことができ、このキャリッジを基に1つ以上のロボットアーム39を構成することができる。キャリッジ43はロボットアーム39が患者に到達するように配置され得る異なる視点を提供するために、カラム37の長さに沿って延びる垂直カラムインタフェース44に沿って移動してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に配置された機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39がテーブル38の複数の側、例えば患者の両側にアクセスできるようにすることができる。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジがカラム上に個別に配置されてもよく、他のキャリッジとは独立して移動および/または回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、または円形である必要もないが、図示されるようなリング形状は構造的バランスを維持しながら、カラム37の周りのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転および移動により、システムは、内視鏡および腹腔鏡のような医療器具を患者の異なるアクセスポイントに整列させることができる。他の実施形態(図示せず)では、システム36は、調節可能なアーム支持部を有する患者テーブルまたはベッドを備えてもよく、アーム支持部はテーブルまたはベッドに沿って延伸するバーやレールの形態として設けることができる。1つまたは複数のロボットアーム39(肘関節を有する肩部を介するなどによる)は、上記の調節可能なアーム支持部を垂直方向に調整して取り付けることができる。垂直方向の調整ができることで、ロボットアーム39は、患者テーブルまたは別途の下にコンパクトに収容でき、後で手技時に引き上げることができる。
【0036】
アーム39は、ロボットアーム39に追加の構成要素を提供するために個別に回転および/または入れ子式に延在することができる一連のジョイントを備える一組のアームマウント45を介してキャリッジに取り付けることができる。さらに、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されたときに、アームマウント45がテーブル38の同じ側(図6に示す)、テーブル38の反対側(図9に示す)、またはテーブル38の隣接する側(図示せず)のいずれかに配置されるように、キャリッジ43上に配置されてもよい。
【0037】
カラム37は構造的に、テーブル38を支持し、キャリッジを垂直方向に移動させるための経路を提供する。内部においては、カラム37がキャリッジの垂直移動を案内するためのリードスクリューと、リードスクリューに基づいて前記キャリッジの移動を機械化するためのモータとを備えることができる。カラム37はまた、キャリッジ43およびその上に取り付けられたロボットアーム39に電力および制御信号を伝達することができる。
【0038】
テーブル基部46は図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、およびロボットアーム39をバランスさせるためのより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、手続中の安定性を提供するために、硬性キャスタを組み込んでもよい。キャスタはテーブル基部46の下端から展開されて、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに後退することができる。
【0039】
引き続き図6を参照すると、システム36は、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割してテーブルのフォームファクタおよびバルクを低減するタワー(図示せず)を含むこともできる。上記の実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、および制御能力、電力、流体工学、ならびに/または光学およびセンサ処理などの様々なサポート機能をテーブルに提供することができる。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を煩雑にしないようにするために、患者から離れて配置されるように移動可能であってもよい。さらに、タワー内に部品を配置することにより、ロボットアームの潜在的な収納のためのテーブル基部内のより大きい収納スペースが実現する。タワーはまた、キーボードおよび/またはペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインタフェースと、リアルタイム画像、ナビゲーション、および追跡情報などの術前および術中情報のための表示画面(またはタッチスクリーン)との両方を提供するコンソールを含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、テーブル基部が使用されていないときにロボットアームを収納し、格納することができる。図7は、テーブルベースのシステムの一実施形態においてロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48がロボットアーム50、アームマウント51、およびキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内に垂直に移動させることができる。基地カバー52は、キャリッジ48、アームマウント51、およびアーム50を列53の近辺に展開するために移動されて開閉され、使用されていないときにそれらを保護するために閉じられてもよい。基部カバー52は、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されて、閉鎖時の汚れおよび流体の進入を防止することができる。
【0041】
図8は、尿管鏡検査手順のために構成されたロボット使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38が患者をカラム37およびテーブル基部46から外れた角度に位置決めするための旋回部分55を含むことができる。旋回部分55は旋回部分55の下端を支柱37から離して位置決めするために、旋回点(例えば、患者の頭部の下に位置する)の周りで回転または旋回してもよい。例えば、旋回部分55の旋回は、Cアーム(図示せず)がテーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を競合することなく、患者の下腹部の上に配置されることを可能にする。キャリッジ35(図示せず)を支柱37の周りに回転させることによって、ロボットアーム39は、尿管鏡56を仮想レール57に沿って患者の鼠径部に直接挿入して尿道に到達させることができる。尿管鏡検査では、手技中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部への明確なアクセスを可能にするために、スターラップ58をテーブル38の旋回部分55に固定することもできる。
【0042】
腹腔鏡手技では、患者の腹壁の小さな切開を通して、最小侵襲性器具(1つ以上の切開のサイズに適応するように細長い形状)が患者の解剖学的構造に挿入され得る。患者の腹腔を膨張させた後、しばしば腹腔鏡と呼ばれる器具は把持、切断、切除、縫合などの手術タスクを実行するように指示されてもよく、図9は腹腔鏡手技のために構成されたロボット使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。図9に示されるように、システム36のキャリッジ43はテーブル38の両側にロボットアーム39の対を位置決めするように回転され、垂直に調整され、その結果、腹腔鏡59は患者の腹腔に到達するために患者の両側の最小切開部を通過するようにアームマウント45を使用して位置決めされ得る。
【0043】
腹腔鏡手技に適応するために、ロボット使用可能テーブルシステムは、プラットフォームを所望の角度に傾斜させることもできる。図10は、ピッチまたはチルト調整を有するロボット使用可能医療システムの実施形態を示す。図10に示すように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一部分を床から他の部分よりも大きな距離に位置決めすることができる。さらに、アームマウント45はアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾きに合わせて回転することができる。より急勾配の角度に適応するために、カラム37は、カラム37を垂直に延長することでテーブル38を床に触れないようにしたり基部46と衝突しないようにしたりするための入れ子式部分60を含むこともできる。
【0044】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインタフェースの詳細を示す。ピッチ回転機構61は、欄37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61はカラム・テーブル・インタフェースにおける直交軸1、2の位置決めによって可能にすることができ、各軸は、電気的なピッチ角コマンドに応答して各軸が別個のモータ3、4によって作動される。一方のねじ5に沿った回転は一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、ボールジョイントを用いて、複数の自由度でカラム37に対する相対的なテーブル38のピッチ角を変更することができる。
【0045】
例えば、ピッチ調整は下腹部手術のために、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置決めしようとするとき、すなわち、患者の下腹部を患者の下腹部よりも床から高い位置に位置決めしようとするとき、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は患者の内部器官を重力によって患者の上腹部に向かってスライドさせ、腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部手術手技を開始して実行するための最小侵襲性ツール(minimally invasive tool)のために腹腔の空間を空ける。
【0046】
(C.器具ドライバとインタフェース)
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(1)医療器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(あるいは「器具駆動機構」または「器具装置マニピュレータ(IDM;instrument device manipulator)」と呼ばれる)と、(2)モータなどの任意の電気機械的構成要素を削除できる取り外し可能または取り外し可能な医療器具とを備える。この二分法は、医療手技に使用される医療器具を滅菌する必要性、およびそれらの複雑な機械的アセンブリおよび繊細な電子機器のために高価な資本設備を適切に滅菌することができないことが起因となりうる。したがって、医療器具は医師または医師のスタッフによる個々の滅菌または廃棄のために、器具ドライバ(したがってシステム)から取り外し、取り外し、および交換されるように設計されてもよい。対照的に、器具ドライバは、交換または滅菌される必要はなく、保護のためにドレープで覆われてもよい。
【0047】
図12は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に配置された器具ドライバ62は駆動シャフト64を介して医療器具に制御されたトルクを提供するために、平行軸に配置された1つ以上の駆動ユニット63を備える。各駆動ユニット63は器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギアヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するためのエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68とを備える。各駆動ユニット63は独立して制御され、電動化されており、器具ドライバ62は、医療器具に複数(図12に示すように4つ)の独立した駆動出力を提供することができる。動作中、制御回路68は制御信号を受信し、モータ信号をモータ66に送信し、エンコーダ67によって測定された結果のモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0048】
無菌環境を必要とする手技では、ロボットシステムが器具ドライバと医療器具との間に位置する、無菌ドレープに接続された無菌アダプタなどの駆動インタフェースを組み込むことができる。無菌アダプタの主な目的は駆動シャフトと駆動入力との間の物理的分離、したがって無菌性を維持しながら、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力に角運動を伝達することである。したがって、例示的な無菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトおよび器具上の駆動入力と嵌合されることが意図される一連の回転入力および出力を備えてもよい。滅菌アダプタに接続された滅菌ドレープは透明または半透明プラスチックなどの薄い軟性材料からなり、器具ドライバ、ロボットアーム、およびカート(カートベースのシステム内)またはテーブル(テーブルベースのシステム内)などの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用は滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌領域)に依然として配置されている間に、患者の近くに資本設備を配置することを可能にする。滅菌ドレープの反対側では、医療器具が滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者と接触することができる。
【0049】
(D.医療器具)
図13は、組になった器具ドライバを有する例示的な医療器具を示す。ロボットシステムと共に使用するように設計された他の器具と同様に、医療器具70は、細長いシャフト71(または細長い本体)および器具基部72を備える。医師による手動操作向けの設計として「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、全体として、ロボットアーム76の遠位端で器具ドライバ75上の駆動インタフェースを通って延びる駆動出力74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力73、例えば、レセプタクル、プーリ、またはスプールを備えてもよい。物理的に接続され、ラッチされ、および/または結合されると、器具基部72の嵌合された駆動入力73は器具ドライバ75内の駆動出力74と回転軸を共有し、駆動出力74から駆動入力73へのトルクの伝達が可能になる。いくつかの実施形態では、駆動出力74が駆動入力73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを備えてもよい。
【0050】
細長いシャフト71は例えば、内視鏡検査におけるように、解剖学的な開口またはルーメン、または、例えば、腹腔鏡検査におけるように、最小侵襲性切開のいずれかを介して送られるように設計される。細長いシャフト66は軟性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)または硬性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであり得るか、または軟性部分および硬性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含み得る。腹腔鏡検査用に設計される場合、硬性の細長いシャフトの遠位端は回転軸を有するUリンクと、器具ドライバ75の駆動出力74から受け取ったトルクに応答して駆動入力が回転するときにテンドンからの力に基づいて作動され得る、例えば、1つまたは複数の把持器などの手術用道具とから形成される接合手首を備えるエンドエフェクタに接続されてもよい。内視鏡検査用に設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力74から受け取られるトルクに基づいて関節動作および屈曲され得る、操縦可能または制御可能な屈曲部を含み得る。
【0051】
器具ドライバ75からのトルクは、シャフト71内のテンドンを使用して細長いシャフト71に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々のテンドンは、器具ハンドル72内の個々の駆動入力73に個々に固定することができる。ハンドル72から、テンドンは、細長いシャフト71内の1つ以上のプルルーメンに向けられ、細長いシャフト71の遠位部分に固定される。腹腔鏡検査では、これらのテンドンが手首、把持器、またはさみなどの遠位に取り付けられたエンドエフェクタに結合されてもよい。このような構成の下では、駆動入力73に及ぼされるトルクがテンドンに表面張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。腹腔鏡検査では、テンドンは関節を軸の周りに回転させ、それによってエンドエフェクタを一指示または別の指示に移動させることができる。あるいはテンドンは細長いシャフト71の遠位端において、把持器の1つ以上の顎に接続され得、ここで、テンドンからの張力によって把持器が閉じる。
【0052】
内視鏡検査では、テンドンは接着剤、制御リング、または他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端で)配置された屈曲または関節動作部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端に固定して取り付けられると、駆動入力73に及ぼされるトルクがテンドンに伝達され、より柔軟性のある屈曲部(関節部または関節動作領域と呼ばれることもある)を屈曲または関節動作させる。非屈曲部に沿って、個々のテンドンを内視鏡シャフトの壁に沿って(または内側に)向ける個々のプルルーメンを螺旋状または螺旋状にして、プルワイヤの表面張力から生じる半径方向の力を釣り合わせることが効果的であり得る。スパイラルの角度および/またはそれらの間の間隔は特定の目的のために変更または設計されてもよく、スパイラルを緊密にすると荷重力下でのシャフト圧縮が小さくなり、一方、スパイラルを少なくすると荷重力下でのシャフト圧縮が大きくなるが限界曲げとなる。スペクトルの他端では、プルルーメンが細長いシャフト71の長手方向軸に平行に向けられて、所望の屈曲または関節動作可能な部分における制御された関節動作が可能となる。
【0053】
内視鏡検査では、細長いシャフト71がロボットシステム手続を補助するために、いくつかの構成要素を収容する。シャフトは、シャフト71の遠位端における手術領域に外科用ツール、潅注、および/または吸引を展開するためのワーキングチャネルを備えてもよい。シャフト71はまた、ワイヤおよび/または光ファイバを収容して、光学カメラを含み得る遠位先端の光学アセンブリへ/から信号を伝達し得る。シャフト71はまた、光ファイバを収容して、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフトの遠位端に光を運ぶことができる。
【0054】
器具70の遠位端において、遠位先端はまた、診断および/または治療、潅注、および吸引のためのツールを手術部位に送達するためのワーキングチャネルの開口部を備え得る。遠位先端はまた、内部解剖学的空間の画像を取得するために、ファイバースコープまたはデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源のためのポートを含み得る。
【0055】
図13の例では駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は細長いシャフトの軸に直交する。しかしながら、この配置では、細長いシャフト71のロール機能が複雑になる。駆動入力73を静止状態に保ちながら、細長いシャフト71をその軸に沿って回転させると、テンドンが駆動入力73から延出して細長いシャフト71内のプルルーメンに入るときに、テンドンの望ましくない絡み合いが生じる。そのようなテンドンによって生じる絡み合いは、内視鏡手技時に可撓性の細長いシャフトの移動を予測することを目的とする任意の制御アルゴリズムの障害となり得る。
【0056】
図14は器具ドライバおよび器具の代替設計を示し、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である。図示のように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部に平行に整列された駆動出力81を有する4つの駆動ユニットを備える。駆動ユニットおよびそれぞれの駆動出力81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応じて、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバの非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電気接点を介して器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に電力および制御信号を伝達することができ、この信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転によって維持することができる。他の実施形態では、回転アセンブリ83が非回転部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答することができる。回転機構83は、器具ドライバ80が器具ドライバ軸85の周りに単一のユニットとして、駆動ユニットおよびそれぞれの駆動出力81を回転させることができる。
【0057】
上記に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力81を受けるように構成された複数の駆動入力89(レセプタクル、プーリ、およびスプールなど)を備える器具基部87(説明のために透明な外皮と共に示されている)とを備えることができる。先に開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、図13の設計におけるように直交するのではなく、駆動入力89の軸に実質的に平行な軸を有する器具基部87の中心から延伸する。
【0058】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されると、器具基部87および器具シャフト88を備える医療器具86は、器具ドライバ軸85の周りで回転アセンブリ83と組み合わせて回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に配置されているので、器具シャフト88は取り付けられたとき、器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転は、器具シャフト88をそれ自体の前後軸の周りに回転させる。さらに、器具基部87が器具シャフト88と共に回転するとき、器具基部87の駆動入力89に接続されたテンドンは、回転中に絡み合わない。したがって、駆動出力81、駆動入力89、および器具シャフト88の軸の平行性は、任意の制御テンドンの絡み合いを発生させることなく、シャフトを回転させることができる。
【0059】
(E.ナビゲーションと制御)
従来の内視鏡検査には、X線透視法(例えば、Cアームを介して送達され得るよう)および他の形態の放射線ベースの画像化モダリティの使用が含まれ、操作者の医師に管腔内ガイダンスが提供される。一方、本件開示によって実現されるロボットシステムは、放射線に対する医師の曝露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーションおよび位置決め手段を提供する。本明細書で使用されるように、用語「位置決め」は、基準座標系における物体の位置を特定および/または監視することを指すことができる。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイム電磁追跡、およびロボットコマンドデータなどの技術は放射線を用いない運用環境を達成するために、個別に、または組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの画像モダリティが依然として使用される他の場合には、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイム電磁追跡、およびロボットコマンドデータは放射線ベースの画像モダリティによってのみ得られる情報を改善するために、個別に、または組み合わせて使用されてもよい。
【0060】
図15は、例示的な実施形態による、器具の位置など、ロボットシステムの1つまたは複数の要素の位置を推定する位置決めシステム90を示すブロック図である。位置決めシステム90は、1つまたは複数の命令を実行するように構成された1つまたは複数の計算装置のセットとすることができる。計算装置は、上述の1つまたは複数の構成要素内のプロセッサ(または複数のプロセッサ)およびコンピュータ可読メモリによって具現化され得る。限定ではなく例示として、計算装置は、図1に示すタワー30内や、図1~4に示すカート内や、図5~10に示すベッド内などに配置されてよい。
【0061】
図15に示すように、位置決めシステム90は、入力データ91~94を処理して医療器具の遠位先端の位置データ96を生成する位置決めモジュール95を含むことができる。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端の位置および/または向きを表すデータまたはロジックであってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、または電磁場発生器(電磁場発生器については以下の説明を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0062】
ここで、さまざまな入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低線量CTスキャンの収集を使用することによって達成することができる。術前CTスキャンは2次元画像を生成し、各画像は、患者の内部解剖学的構造の破断図の「スライス」を表す。集合体で分析される場合、患者の肺ネットワークなどの患者の解剖学的構造の解剖学的空洞、空間、および構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線ジオメトリのような手法は、CT画像から決定され、近似されて、術前モデルデータ91と呼ばれる患者の解剖学的構造の3次元ボリュームを展開することができる。中心線ジオメトリの使用については、米国特許第14/523,760号に記載されており、その内容の全体を本願に援用する。また、ネットワークトポロジーモデルは、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0063】
いくつかの実施形態では、器具が視覚データ92を提供するためにカメラを装備することができる。位置決めモジュール95は1つまたは複数の視覚ベースの位置追跡を可能にするために、視覚データを処理することができる。例えば、手術前モデルデータは医療器具(例えば、内視鏡または内視鏡のワーキングチャネルを通る器具の前進)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、ビジョンデータ92と共に使用されてもよい。例えば、手術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは内視鏡の予想される移動経路に基づいてモデルから予想される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリはカメラ(例えば、内視鏡の遠位端にあるカメラ)で取得されたリアルタイム画像を画像ライブラリ内の画像と比較して位置決めを補助するために、ロボットシステムによって参照されてもよい。
【0064】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、カメラ、したがって内視鏡の動きを決定するために特徴追跡を使用する。位置決めモジュール95のいくつかの特徴は解剖学的な管腔に対応する手術前モデルデータ91内の円形の幾何学的形状を識別し、それらの幾何学的形状の変化を追跡して、どの解剖学的な管腔が選択されたかや、カメラの相対的な回転および/または移動運動を決定することができる。トポロジーマップの使用によって、視覚ベースのアルゴリズムまたは方法をさらに強化することができる。
【0065】
別のコンピュータビジョンベースの技術であるオプティカルフローはカメラの動きを推測するために、ビジョンデータ92のビデオシーケンス内の画像画素の変位および移動を分析することができる。複数の反復にわたる複数のフレームの比較によって、カメラ(したがって、内視鏡)の移動および位置を決定することができる。
【0066】
位置決めモジュール95は、リアルタイム電磁追跡を使用して、手術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に位置合わせすることができるグローバル座標系における内視鏡のリアルタイム位置を生成し得る。電磁追跡では医療器具(例えば、内視鏡ツール)の1つ以上の位置および向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを備える電磁センサ(トラッカ)は既知の位置に配置された1つ以上の静的電磁場発生器によって生成された電磁場の変動を測定する。電磁センサによって検出された位置情報は、電磁データ記憶される。電磁場発生器(または送信機)は埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者の近くに配置され得る。磁界は電磁センサコイルに小さな電流をガイドし、この電流は、電磁センサと電磁界発生器との間の距離および角度を決定するために分析され得る。これらの距離および向きは、座標系内の単一の位置を患者の解剖学的構造の手術前モデル内の位置と整列させる幾何学的変換を決定するために、患者の解剖学的構造(例えば、手術前モデル)に対して手術中に「位置合わせ」されてもよい。一旦位置合わせされると、医療器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端)に埋め込まれた電磁追跡装置は、患者の解剖学的構造を通る医療器具の進歩のリアルタイムの指示を提供し得る。
【0067】
ロボットコマンドおよび運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置決めデータ96を提供するために、位置決めモジュール95によって使用されてもよい。関節動作コマンドから生じる装置ピッチおよびヨーは、手術前較正中に決定され得る。手術中に、これらの較正計量値は器具の位置を推定するために、既知の挿入デプス情報と組み合わせて使用されてもよい。あるいは、これらの計算がネットワーク内の医療器具の位置を推定するために、電磁、視覚、および/またはトポロジーモデリングと組み合わせて分析されてもよい。
【0068】
図15に示すように、多数の他の入力データを位置決めモジュール95によって使用することができる。例えば、図15には示されていないが、形状感知ファイバを用いる器具は、位置決めモジュール95が器具の位置および形状を決定するために使用する形状データを提供することができる。
【0069】
位置決めモジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは位置決めモジュール95が入力データ91~94の各々から決定された位置に信頼性重みを割り当てる確率的アプローチを使用することができる。したがって、電磁データが信頼できない場合(電磁干渉がある場合のように)、電磁データ決定される位置の信頼性は低下する可能性があり、位置決めモジュール95は、視覚データ92および/またはロボットコマンドおよび運動学データ94により依存する可能性がある。
【0070】
上記の通り、本明細書で説明するロボットシステムは、上記の技術のうちの1つまたは複数の組合せを組み込むように設計することができる。タワー、ベッドおよび/またはカートに基づくロボットシステムのコンピュータベースの制御システムはコンピュータプログラム命令を、例えば、永続的磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶することができ、これは、実行時に、システムにセンサデータおよびユーザコマンドを受信および分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーションおよび位置決めデータを表示させる。
【0071】
(2.手技前のロボットアームのセットアップについて)
本件開示の実施形態は、医療手技前に1つまたは複数のロボットアームを位置決めするためのシステムおよび技術に関する。医療手技の種類に応じて、手術システムのセットアップ中にロボットアームを位置決めまたは移動させることができる程度については、制限がある場合がある。例えば、医療器具の形状および寸法(例えば、長さ)、患者の管腔ネットワークの形状および生理学的特性、手技のための対象目的の位置、ロボットアームの作業領域などの一定の物理的または機械的な考慮事項によって、セットアップ中にロボットアームが配置され得る領域または体積が制限される場合がある。
【0072】
手術ロボットシステムのためのセットアップ手順は、所与の手順が達成できることを保証および/または確実にする上で役立つ。例えば、目標位置または手術部位は、患者の体内のアクセスポイントからある距離に位置してもよい。さらに、医療器具の長さおよびロボットアームのストローク長は所与の手術ロボットシステムに対して実質的に固定され得る(例えば、ロボットアームストローク長および医療器具長が規定されてもよい)。本明細書で使用されるように、ロボットアームのストローク長は一般に、例えば、ロボットアームの基準点の開始位置/位置から基準点の終了位置/位置まで、ロボットアームがターゲットに向かって器具を挿入することができる能力又は範囲を指す。一実施形態では基準点がロボットアームのIDMであってもよく、ストローク長は医療手技を開始するためのロボットアームの初期姿勢におけるIDMの位置(例えば、本明細書では搭載器具姿勢と称される、ロボットアームへの器具の搭載/取り付けを容易にするロボットアームの初期の姿勢および位置)から、医療器具の最大挿入時のIDMの位置までの距離を指してもよい。例えば、ロボットアームのストローク長は、ロボットアームが患者の体内上の所与のアクセスポイントから目標部位/領域に到達することができるかどうかを決定することができる。ロボットアームの移動は医療器具の挿入/後退と直接相関し得るため、文脈に応じて、「ロボットアームのストローク長」は、「医療器具のストローク長」と言い換えることができる。
【0073】
医療器具の長さ、アクセスポイントから目標位置までの距離、およびロボットアームの達成可能な最大ストローク長を踏まえると、手術前にロボットアームの初期姿勢として使用され得る位置には限界がある。すなわち、ロボットアームの所定の初期姿勢によって医療器具が目標位置に到達することができる一方、他の初期姿勢では、目標位置に到達することができない場合がある。患者のアクセスポイントに対するカートの配置、したがって、ロボットアームが自由に位置決めされ得る領域/容積の位置は、ロボットアームの達成可能なストローク長に影響し得る。達成可能なストローク長が所与の医療手技のためにアクセスポイントから目標位置までの距離よりも短い長さに短縮されると、ロボットシステムのセットアップを基に医療手技を行うことができない場合がある。
【0074】
本件開示の態様は、ロボットアームの所与の初期姿勢に基づいて所望の手技を完了することができるかどうかを決定する際にユーザ(例えば、技師または外科医)を支援するシステムおよび方法に関する。この技術によれば、手技時に目標位置に到達することができない問題を解決することができる。
【0075】
(A.気管支鏡検査システム例)
本件開示の一態様の全体を、典型的な医療手技として気管支鏡検査を用いて説明する。ただし、本件開示は例えば、尿管鏡検査や胃腸病学など、手術ロボットシステムによって実行される他の種類の医療手技にも適用可能である。
【0076】
図16は、本件開示の一態様による、診断および/または治療目的の気管支鏡検査手技のために配置されたロボットシステムの実施形態を示す。図16に示すように、システム100は、カート111、1つまたは複数のロボットアーム112、操縦可能な内視鏡13などの医療器具、および患者導入装置115を有する。カート111は、プロセッサ(図示せず)と、メモリ(図示せず)と、ロボットアーム112の位置決めに関する情報を表示するように構成されたディスプレイ120とを含むことができる。しかし、実施形態に応じて、プロセッサ、メモリ、およびディスプレイのうちの1つまたは複数は、例えば図1に示す可動タワー30などの別の装置上または装置内に配置することができる。さらに、他の実施形態では、ディスプレイ120の代わりにあるいは加えて、ディスプレイ120以外のフィードバック装置を使用してもよい。使用可能な他のフィードバック装置として、触覚デバイス、スピーカ、ロボットアーム112のうちの1つ以上を介して作動されるフォースフィードバック、1つ以上の発光ダイオードなどが挙げられる。
【0077】
ロボットアーム112は、手技前および/または手技中に、医療器具(例えば、操縦可能な内視鏡113)を操作するように構成されてもよい。アームセットアップ段階(例えば、アームを押したり引いたりする段階)において、ロボットアーム112の位置は、ユーザによって調整可能であってもよい。特に、ロボットアームの少なくとも1つが患者と位置合わせされることが重要であり得る。この位置合わせは、システムが患者への医療器具の入口/アクセスポイントを追跡することを可能にし得る。実施形態に応じて、システムは、ロボットアーム112の一部に直接力を加えることによって、ユーザがアーム112を直接移動できるように構成されてもよい。例えば、システムは、ユーザがロボットアーム112の1つを把持し、アーム112を動かすために力を加える(例えば、アームを押すまたは引く)ことによってアーム112を所望の位置に物理的に移動させたことを検出するように構成することができる。特定の実施形態では、システムは、ユーザ入力を受け付けて、アームがアーム移動のための入力としての力を受け入れるアドミッタンスモードのオン/オフを切り替えることができる。他の実施態様では、システムは、入力装置を有し、ユーザがロボットアーム112の制御のために入力装置を介してロボットアームの1つまたは複数の位置を調整できるように構成されてもよい。
【0078】
以下に詳細を説明するように、メモリは、実行されると、本件開示の態様に従ってプロセッサに1つまたは複数の方法を実行させる命令を記憶するように構成することができる。メモリは、手技前ロボットアームセットアップに関連するデータを記憶するようにさらに構成されてもよい。例えば、メモリは、患者の解剖学的構造のマッピングを記憶することができる。マッピングは、(i)解剖学的構造内の対象領域、および(ii)患者のアクセスポイントから対象領域への経路に関するデータを含むことができる。マッピングは、実行されている医療手技に関連する手技データを含む、あるいは手技データに基づいてもよい。手技データは、実行されている手技の種類、手技に用いられる(手技の種類に関連し得る)器具の種類、器具の属性(例えば、器具の長さ、器具を操作するために必要とされるIDMの数など)、手技に関連する患者の解剖学的構造(例えば、解剖学的構造内の目標位置、患者のアクセスポイントから目標の領域までの経路、患者の解剖学的特徴または患者の解剖学的構造の寸法など)、アームセットアップ(手技の種類、器具の種類、および器具の属性にも関連し得る)などに関するデータを含み得る。例えば、マッピングは解剖学的構造内の目標の領域の位置と、患者のアクセスポイントから目標の領域までの経路を含むことができ、これは、手技データに基づいて決定することができる。
【0079】
(B.ロボットアームセットアップ)
1つまたは複数のロボットアーム112の位置決めは、医療手技のためのロボットアームシステムを準備するためのセットアップ手順の一部であってもよい。使用される特定のセットアップ手順は実行される医療手技、ロボットシステムの構成(例えば、アームがカートに取り付けられているか(図16を参照)、またはプラットフォームを支持する欄に取り付けられているか(図6を参照)など)に依存し得る。
【0080】
図17Aは本件開示の態様による、医療手技(例えば、気管支鏡検査)のための例示的なセットアップ手順の特徴を示すフローチャートである。図17Aに示される方法1700は単に例示的な実装であり、方法1700は、方法1700に関連するブロックのうちの1つまたは複数を追加、削除、および/または変更することによって修正されてよい。
【0081】
方法1700は、ブロック1701から開始する。ブロック1705において、方法1700は、カートを初期位置に移動させることを含む。例えば、ユーザはカートを移動させて、患者のアクセスポイントに近接して(例えば、所定の距離内に)位置決めすることができる。カートが所定の位置に移動されると、ユーザは例えば、カートのキャスタをロックすることによってカートを固定することができる。すべてのロボットシステムがカートを利用するわけではなく、このブロックは、カートを利用するシステムではオプションであることを理解されたい。
【0082】
ブロック1710は、ユーザが1つまたは複数のロボットアームを、手技前にロボットアームが患者と位置合わせされる初期姿勢にすることができる、アームセットアップフェーズを含むことができる。したがって、アームセットアップフェーズでは、1つまたは複数のロボットアーム112を患者のアクセスポイントと位置合わせするための位置合わせステップを含むことができる。使用されるアクセスポイントは実行される医療手技の種類に依存し得るので、特定の位置合わせ手技は医療手技の種類に依存し得る。気管支鏡検査の例では、患者導入装置(気管支鏡を患者の口内にガイドする装置)を患者の口内に配置することができる。気管支鏡セットアップ手順の一実施形態では、ユーザがロボットアームのうちの第1のアームを患者導入装置と整列させることができる。残りのロボットアームは例えば、ユーザによって選択された第1のロボットアームの姿勢と自動的に整列することができる。上述のように、ユーザはアドミッタンスボタンを押すことによってロボットアームを直接移動させることができ、これにより、ユーザは、力を加えることによってロボットアームの移動を指示することができる。他の実施態様では、第1のロボットアームが1つまたは複数の位置追跡デバイスを介して患者導入装置を追跡することができ、第1のロボットアームがシステムによって患者導入装置と自動的に位置合わせされることを可能にする。
【0083】
システムは、第1のロボットアームの初期姿勢に対する境界の指示をユーザに提供してもよい。特定の実施形態では、システムが医療手技前のアームセットアップフェーズ中に、第1のロボットアームの移動時における境界の指標を提供してもよい。境界は第1のロボットアームの姿勢が医療手技を妨害しないことを保証するために、システムによって設定されてもよい。一実施形態では、境界がロボットアームのストローク長を閾値量よりも大きく減少させることなく、第1のロボットアームを自由に位置決めすることができる領域または体積として設定することができる。気管支鏡検査の例では、境界がロボットアームの初期姿勢(例えば、患者導入装置と位置合わせされたロボットアームの姿勢)と搭載器具姿勢との間の距離が閾値ストローク長以上であるように、ロボットアームを患者導入装置と位置合わせすることができる領域を画定することができる。特定の実施形態では、閾値ストローク長がロボットアームによって達成可能なストローク長が閾値ストローク長よりも長い場合に、医療手技に関連する目標領域に到達することができるように選択されてもよい。
【0084】
第1のロボットアームが患者導入装置と位置合わせされた後、ブロック1715において、この方法は、ロボットアームを搭載器具姿勢に後退させることを含む。いくつかの実施形態では、システムが例えば、ユーザからの搭載器具姿勢入力またはコマンドを受け取ることに応答して、ロボットアームを搭載器具姿勢に後退させてもよい。この入力は位置合わせステップが完了したこと、および器具(例えば、気管支鏡のシースおよびリーダ)がロボットアーム上に搭載されるべきであることを示し得る。ブロック1720において、この方法は、医療器具を対応するロボットアーム上に搭載することを含む。方法1700はブロック1725で終了する。
【0085】
図17Bは、本件開示の態様による医療手技のための別の例示的なセットアップ手技の特徴を示すフローチャートである。図17Bのフローチャートは本件開示の態様による医療手技する前に、1つ以上のロボットアームを位置決めするための、手術ロボットシステムまたはその構成要素によって移動可能な例示的な方法を示す。例えば、図17Bに示される方法1750のステップは、手術ロボットシステムのプロセッサによって実行されてもよい。便宜上、方法1750は、システムのプロセッサによって実行されるものとして説明する。
【0086】
方法1750は、図17Aに示す医療手技1700などの医療手技のためのセットアップ手順の一部として実行することができる。特定の実施形態では、方法1750がロボットアームの移動中に境界の指標を提供するために、ブロック1710の実行時に実行されてもよい。
【0087】
方法1750は、ブロック1751から開始する。ブロック1755において、プロセッサは、ロボットアームによる医療器具の前進が目標領域に到達することを可能にするロボットアームの最小ストローク長を決定する。プロセッサは、患者の解剖学的構造のマッピングに基づいて最小ストローク長を決定することができる。マッピングは、(i)解剖学的構造内の目標領域、および(ii)患者のアクセスポイントから目標領域までのパターンに関するデータを含む。医療器具は、ロボットアームによって前進させられて、アクセスポイントから当該経路を介して目標領域に到達することができる。
【0088】
ブロック1760において、プロセッサは、最小ストローク長およびマッピングに基づいて、ロボットアームの初期姿勢の境界を決定する。ブロック1765において、プロセッサは、手技前のアームセットアップフェーズ中に、ロボットアームの移動時における境界の指標を提供する。方法1750はブロック1770で終了する。
【0089】
医療器具およびロボットアームの構造は、医療手技前に既知であるため、境界はオフラインで(例えば、アームセットアップフェーズ前に)決定することが可能である。しかしながら、医療手技および医療器具の複雑さによっては、境界の決定は、膨大な計算資源を必要とし得る。ある場合には、計算が完了するのに数時間程度かかることがある。初期姿勢の境界を定義するための考慮事項の一例について、図18を参照しながら説明する。
【0090】
図18は、本件開示の態様に従って使用され得る気管支鏡の実施形態を示す。図18に示すように、気管支鏡200は2つの入れ子部分、すなわち、シース210およびリーダ220を含み得る。例えば、リーダ220は、カメラ/映像装置、EMセンサ、及び他の器具を挿入することができるワーキングチャネルを構成する部分とすることができる。シース210は、第1のロボットアームのIDMに結合されるように構成された基部211と、基部211に取り付けられた細長いシャフト213とを含むことができる。同様に、リーダ220は、第2のロボットアームのIDMに結合されるように構成された基部221と、基部221に取り付けられた細長いシャフト223とを含むことができる。第1および第2のロボットアームは、それぞれ、シース210およびリーダ220を前進させるように構成されてもよい。シース210の細長いシャフト213は、リーダ220の細長いシャフト223が挿入されるように構成されるワーキングチャネルを有する。細長いシャフト213、223のそれぞれの遠位端は、対応する細長いシャフトの壁に沿って(または内側に)配置されたテンドンに加えられる張力によって曲げられるように構成された関節部を備えてもよい。
【0091】
図18に示す例では、シース210の細長いシャフト213が約683mmの長さを有する。したがって、細長いシャフト213の最大ストローク長は、約683mmから患者導入装置のワーキング長を引いたものである。患者導入装置のワーキング長が約150mmである場合、限定する目的ではなく一例として、シース210の細長いシャフト213の最大ストローク長さは、約533mmであってもよい。さらに、リーダ220の細長いシャフト223は、この例では約930mmとすることができる。ここで、リーダ220はシース210の遠位端を超えて約130mm延長することができ、リーダ220の遠位端が目標部位にアクセスすること(例えば、医療手技を行うこと)を可能にする。したがって、リーダ220の最大ストローク長さは、一例では約663mmとすることができる。
【0092】
しかしながら、シース210及びリーダ220のそれぞれの最大ストローク長さは、カート及びロボットアームのセットアップの位置決めに基づいて短くすることができる。例えば、第1のロボットアーム(例えば、シース210に取り付けられたアーム)が患者導入装置に接触する前にその最大伸長に達した場合、第1のロボットアームは、シース210をさらに挿入することができず、達成可能なストローク長が短くなる。別の例では第1の姿勢(例えば、部分的に伸長した姿勢)で第1のロボットアームを患者導入装置と整列させた後、第1のロボットアームは搭載器具姿勢に後退される。しかしながら、搭載器具姿勢と初期姿勢との間の距離は、シース210の完全な挿入を達成するのに十分でない場合がある。同様の考察がリーダ220の達成可能なストローク長に影響する。
【0093】
シース210および/またはリーダ220の達成可能なストローク長を制限し得る別の要因は、1つまたは複数のロボットアームと運用環境に存在する他の物体との間の潜在的な衝突を含む。例えば、第2のロボットアーム(リーダに取り付けられた)のIDMが第1のロボットアームのIDMと接触するように移動することが防止される場合、リーダ220は、シース210の遠位端を超えるリーダ220のストローク長の一部を失うことになる。
【0094】
図19は、本件開示の態様による気管支鏡検査手順のためのセットアップ手順の別の例を示すフローチャートである。方法1900は、ユーザがカートの1つまたは複数のロボットアームを患者と位置合わせするために、カートを患者に隣接して位置決めした後に開始することができる。方法1900は、ブロック1901から開始する。ブロック1905において、システムは、ユーザからアドミッタンスモード入力を受信する。ロボットアームのうちの1つは、ユーザがアドミッタンスモードに移行することを可能にするアドミッタンスボタン(例えば、IDM上またはその近く)を含み得る。上述したように、アドミッタンスモードでは、ユーザがアームを動かすための入力として、ロボットアームの一部に直接力を加えることができる。特定の実施態様では、ロボットアームの各々をユーザが(1つまたは複数のロボットアームの)第1のロボットアームをアドミッタンスモードで移動させるときに、実質的に一定の分離および相対的な向きを維持することができる。
【0095】
ブロック1910において、システムは、境界の表示をユーザに提供する。境界は、ユーザがアドミッタンスモードで第1のロボットアームを移動させることを許可される領域であってもよい。境界は第1のロボットアームが境界内のアクセスポイントと位置合わせされるとき、シースおよびリーダの各ストローク長が所定の閾値(本明細書では「ストローク長閾値」とも呼ばれる)を超えるように、システムによって決定されてもよい。一例では、アクセスポイントが例えば、気管支鏡検査手技を実行するときにユーザの口内に取り付けることができる患者導入装置を含むことができる。しかしながら、他の医療手技では、アクセスポイントがアクセスポイントを介して医療器具をユーザ内に案内するように設計された別のデバイスを含むことができる。アクセスポイントは装置が取り付けられていない自然開口部(例えば、患者の口)であってもよい。他の実施形態では、アクセスポイントは、器具が最小限の侵襲的な方法で患者の解剖学的構造にアクセスすることを可能にする小さな切開部であってもよい。
【0096】
実施形態に応じて、システムは、触覚表示、視覚表示、および音声表示のうちの少なくとも1つを介して境界の指標を提供することができる。例えば、システムは、境界内の第1のロボットアームの位置の視覚的指標を、ディスプレイを介してユーザに提供することができる。別の実施形態では境界の最も近い部分までの距離を示すためにスピーカを使用してもよく、または境界の閾値距離内でユーザが第1ロボットアームを動かしたことを示す指標を提供して、第1ロボットアームが境界に近づいていることを警告することができる。
【0097】
別の実施形態では、システムが境界の触覚的な指標をユーザに提供することができる。例えば、第1のロボットアーム内のモータは、境界内では第1のロボットアームをユーザが自由に動かすことができるが、境界外では第1のロボットアームの動きを妨げるようにすることができる。特定の実施態様では、第1のロボットアームのIDMが目に見えない壁に当接しているようにユーザに感じさせることができる。あるいは、第1のロボットアームが、境界に近づくにつれて、移動に対する擬似的な抵抗を増加させ、IDMが境界に到達すると、それ以上の移動を抑止してもよい。したがって、システムは、アームセットアップフェーズにおいて、境界領域内での第1のロボットアームの移動を制限することができる。境界が容積によって表される場合などの他の実施形態では、システムがアームセットアップフェーズにおいて、境界容積内の第1のロボットアームの移動を制限してもよい。
【0098】
特定の実施形態では、境界は2次元領域であり、境界の平面内の移動のみを制限する。例えば、気管支鏡検査の実施形態では、IDMの垂直軸(Z軸)が患者導入装置の対応する特徴と位置合わせされる。この高さは一般的に手技時に固定され、患者への気管支鏡の挿入は、Z軸における実質的な移動を必要としない。したがって、アームセットアップフェーズにおける第1のロボットアームのZ軸における変動は、達成可能なストローク長に大きな影響を及ぼすことはない。したがって、これらの実施形態では、境界をXY平面内にのみ規定して、Z軸における移動は自由に行うことを許容することができる。
【0099】
しかしながら、他の医療手技および/またはロボットシステム構成には、医療手技時のZ軸における1つ以上のロボットアームの移動が含まれてもよい。これらの実施形態では、境界が、Z軸内を含む3次元で規定されてもよい。
【0100】
方法1900に戻り、ブロック1915において、システムは、ユーザに以前に提供された境界を無効にする入力を、ユーザから受信または検出する。例えば、カートはアームセットアップフェーズを開始する前に理想的な位置に配置されていなくてもよく、アクセスポイント(例えば、患者導入装置)が境界内になくてもよい。アクセスポイントが第1のロボットアームのIDMによって到達できない場合は、ユーザは第1のロボットアームが境界の外側のアクセスポイントと位置合わせできるかどうかを決定するために、境界を無効にすることを望むこともある。そこで、ユーザは、例えば、システムに結合された無効化の入力または別の入力/出力装置(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を介して、システムに無効化コマンドを入力することによって、境界を無効にすることができる。
【0101】
ブロック1920では、境界を無効にしない入力を検出したことに応答して、ブロック1920で、システムは、ユーザから受信した入力に基づいて、第1のロボットアームをアクセスポイントと位置合わせする。例えば、ユーザはアドミッタンスモードで第1のロボットアームに力を加えることができ、システムは、力を入力として用いて第1のロボットアームの位置を変更することができる。この位置合わせは、第1のロボットアームのIDM上のマーキングまたは他の位置合わせ装置を、アクセスポイント上の対応するマーキングまたは位置合わせ装置(例えば、患者導入装置)と一致させることを伴ってもよく、位置合わせ装置としては、IDM上の対応する物理的な構成要素、嵌合可能な患者導入装置、RFIDタグ/リーダなどの電子通信装置、位置追跡システム(光学技術および/または音響技術に基づいてもよい)などが挙げられる。第1のロボットアームがアクセスポイントと位置合わせされた後、ブロック1925において、システムは、ユーザから搭載器具姿勢の入力を受信する。この入力はユーザが位置合わせステップを完了し、器具(例えば、気管支鏡のシースおよびリーダ)をロボットアーム(単数または複数)上に搭載する準備ができていることを示す。
【0102】
ブロック1945では、システムが、ユーザが第1のロボットアームに医療機器を搭載することができるように、第1のロボットアームを搭載器具姿勢に移動させる。
【0103】
ブロック1930では、ユーザからの入力を検出して境界を無効にすることに応答して、システムは、ユーザから受信した入力に基づいて、ロボットアームをアクセスポイントと位置合わせする。例えば、ユーザはアドミッタンスモードで第1のロボットアームに力を加えることができ、システムは、力を入力として用いて第1のロボットアームの位置を変更することができる。この場合、ユーザは、ブロック1910で、ユーザに以前に提供された境界の外側に第1のロボットアームを移動させることができる。ブロック1935において、システムは達成可能なストローク長を計算し、計算結果の表示をユーザに提供する。一実装例では、システムは「リアルタイム」で計算を行い、ユーザに計算結果の表示を提供することができる。例えば、システムは、サンプリング周波数で第1のロボットアームの移動を検出することができる。次に、システムは、第1のロボットアームの検出された移動に基づいて、第1のロボットアームの位置を決定することができる。そして、システムは、第1のロボットアームの位置に基づいて、医療器具を患者内に前進させることを容易にする第1のロボットアームの達成可能なストローク長をシミュレートすることができる。以下に、達成可能なストローク長をシミュレートするための1つの手法を、図20を参照しながらより詳細に説明する。
【0104】
達成可能なストローク長さの表示をユーザに提供するために使用することができる種々の手法が存在する。一実施形態では、システムがシミュレートされた達成可能なストローク長を表す数値をユーザに提供することができる。別の実施態様では、システムは、患者に対して特定の医療手技を実行するために必要なストローク長を(例えば、メモリに)記憶することができる。いくつかの実施形態では、必要なストローク長がロボットアームによる医療器具の前進が患者のアクセスポイントから所定の経路を介して目標領域に到達することを可能にする、ロボットアームの最小ストローク長であってもよい。
【0105】
例えば、アームセットアップフェーズ前に、患者の管腔ネットワークの画像が取得されていてもよい。特定の医療手技のために、患者の管腔ネットワークの術前マッピングは、低線量CTスキャンの収集の使用を通して行われた可能性がある。マッピングに基づいて、システムは、選択されたアクセスポイントから目標位置までの経路を決定し、決定された経路を介して目標位置に到達するのに必要なストローク長を計算することができる。そして、システムは、必要なストローク長と達成可能なストローク長とを比較し、第1のロボットアームの姿勢に基づいて、目標位置に到達できるかどうかの指標をユーザに提供することができる。例えば、システムは達成可能なストローク長が最小ストローク長以上であるかどうかを判定し、達成可能なストローク長が最小ストローク長以上であるか否かの指標を提供することができる。システムの計算帯域に応じて、システムは、手技のシミュレーションを継続的に更新し、ユーザがアドミッタンスモードで第1のロボットアームを移動するときに、所望の目標位置に到達することができるか否かの指標を提供することができる。
【0106】
特定の実施形態では、システムは、ユーザがアドミッタンスモードボタンを解除することに応答して、達成可能なストローク長が最小ストローク長以上であるか否かを判定することができる。例えば、アドミッタンスモード時に、ユーザは依然として、ロボットアームの位置合わせを行うためにアームを移動している可能性があり、アドミッタンスボタンが押されている間は、ロボットアームの初期姿勢が設定されないようにしてもよい。ユーザがアドミッタンスボタンを解除した後、システムは第1のロボットアームの姿勢とアクセスポイントとの位置合わせが完了しているとみなして、達成可能なストローク長とその後の最小ストローク長とを比較することができる。したがって、特定の実施形態では、システムは、ユーザがアドミッタンスモードボタンを解除したことに応答してのみ、目標位置に到達できるか否かの指標を提供または更新してもよい。
【0107】
ブロック1940において、システムは、ユーザに提供されたストローク長を受け入れる入力をユーザから受信する。例えば、システムは、提供された達成可能なストローク長がユーザにとって許容できるか否かを示す入力を用いるように構成されてもよい。ユーザが、提供された達成可能なストローク長を受け入れた場合、システムは、ブロック1925で、搭載器具姿勢に移動するための命令を含む入力(例えば、ユーザ入力)を受け取る。システムによって受信された入力が、ユーザが達成可能なストローク長を受け入れないことを示す場合、方法はブロック1950で終了し、システムは、達成可能なストローク長をさらに延長するためにカートを再配置するよう、ユーザに命令を表示することができる。しかしながら、他の実施形態では、システムは、医療手技が行えるように、達成可能なストローク長を調整するための第1のロボットアームの移動方向を決定することができる。この実施形態では、システムは、達成可能なストローク長が最小ストローク長未満であると判断し、現在位置から境界までの方向を計算して、現在位置から境界までの方向の指標を提供することができる。
【0108】
(C.達成可能なストローク長のシミュレーション)
特定の実施形態では、1つまたは複数のロボットアームの初期位置について達成可能なストローク長を決定するために、システムは、医療手技のシミュレーションを実行することができる。例えば、所定の医療手技は、特定の手技に依存する、関連するロボットアームの一連の移動を含む。また、医療手技によっては、移動順序が、患者の特徴に応じて変わる可能性がある。
【0109】
図20は、本件開示の態様による、医療手技をシミュレートするための例示的な方法を示すフローチャートである。特に、図20の実施形態は、気管支鏡検査手順に関する。シミュレーションの詳細は、実施される医療手技、および手技に関わるロボットアームの数、位置合わせ処理、患者に取り付けられるかまたは設置される任意の追加の装置を含む、手術システムの対応する構成に依存する。
【0110】
方法2000は、ブロック2001から開始する。ブロック2005において、システムは、シース内へのリーダの完全な挿入をシミュレートする。シースロボットアームの位置はシミュレーションの目的のためにアクセスポイント(例えば、患者導入装置)と整列していると推定されるため、ブロック2005は、シースおよびリーダの両方を患者に完全に挿入することに対応する。ブロック2010において、システムは、ブロック2005におけるシミュレーションされた挿入の結果に基づいて、リーダの達成可能なストローク長を決定する。すなわち、シミュレーションの結果、シースに完全に挿入するリーダに対してある種の衝突あるいは他の障害が生じる場合は、シミュレートされたリーダの達成可能なストローク長が、理想的な条件下では達成可能なリーダの最大ストローク長よりも短い可能性がある。
【0111】
ブロック2015において、システムは、シースのワーキングチャネルからリーダを後退させる動きをシミュレートする。これは、リーダを後退させて、リーダのロボットアームを、ブロック2005のシミュレーション前の初期姿勢に戻すことをシミュレートすることを含み得る。ブロック2020において、システムは、患者からシースおよびリーダの両方を完全に後退させることをシミュレートする。ここで、完全な後退とは、シースおよびリーダを患者から完全に後退させるが、シースおよびリーダをアクセスポイントに位置する状態にすることであってもよい。ブロック2025において、システムは、ブロック2020のシミュレートされた結果に基づいて、シースの達成可能なストローク長を決定する。例えば、システムが衝突または他の障害によってシースが患者から完全に後退させることが妨げられると判断した場合は、シミュレートされたシースの達成可能なストローク長が、理想的な条件下では達成可能なリーダの最大ストローク長よりも短い可能性がある。
【0112】
ブロック2030において、システムがシミュレートされたリーダおよびシースの達成可能なストローク長を、手技のために必要なストローク長と比較する。上述のように、システムは、患者の管腔ネットワークの術前マッピングに基づいて、手技に必要なストローク長を計算することができる。方法200はブロック2035で終了する。
【0113】
図20を参照しながら説明した方法2000は、気管支鏡検査手順のシミュレーションを含む。しかしながら、特定の医療手技時の移動の順序は、手技を実行するための要件に応じて、図20を参照しながら説明した順序から変更してもよい。また同様に、リーダおよびシースの達成可能なストローク長がシミュレートされ得る限り、実行順序は、図20に示される以外の順序でシミュレートされてもよい。
【0114】
別の例では、システムが手技中に実行される順序と同じ順序で、第1および第2のロボットアームの移動をシミュレートすることができる。例えば、システムは、経路を介してアクセスポイントから目標領域へシースを前進させることを容易にする第1のロボットアームの少なくとも1つの第1の移動を決定することができる。また、システムは、シースを通って目標領域へリーダを前進させることを容易にする第2のロボットアームの少なくとも1つの第2の移動を決定してもよい。その後、システムは第1および第2のロボットアームの位置で、少なくとも1つの第1の動きおよび少なくとも1つの第2の動きをシミュレートし、シミュレーションに基づいて、第1および第2のロボットアームの少なくとも1つの達成可能なストローク長を計算することができる。
【0115】
気管支鏡検査の例に関連して方法2000を説明したが、本件開示の実施形態は他の種類の医療または手術のための1つまたは複数のロボットアームの達成可能なストローク長をシミュレートすることもできる。特定の実施態様では、ロボットシステムが複数の手術手技の1つの手技を実行するように構成可能であってもよい。これらの実施形態では、システムが患者の手術手技を示す入力を受信するように構成されてもよい。受信した手術手技の入力に基づいて、システムは、所定の経路を介してアクセスポイントから目標領域まで医療器具を前進させ、目標領域で手術手技を実行することを容易にする、第1のロボットアームの少なくとも1つの目的の移動を決定することができる。これは、手技を実行するために使用される手術器具または医療器具、ならびに器具を操作するために必要なロボットアームの数に基づくことができる。また、システムは第1のロボットアームの位置における少なくとも1つの目的の移動をシミュレートし、シミュレートされた移動に基づいて、第1のロボットアームの達成可能なストローク長を計算してもよい。
【0116】
システムは、シミュレートされた動きによって第1のロボットアームが物体に衝突する可能性があることを特定することができる。物体は、別のロボットアーム、カートなどの手術ロボットシステムの別の部分であってもよく、または運用環境内の別の物体であってもよい。他の物体との衝突をシミュレートするために、運用環境内の物体の位置および形状をシステムのメモリにプログラムすることができる。例えば、Cアームは、様々な医療手技において使用され、ロボットアームの作業領域内に配置される可能性がある。したがって、システムは、選択された初期姿勢に基づいて、所与の手順を行うとCアームとの衝突が生じるか否かをシミュレートすることができる。また、達成可能なストローク長の計算は、シミュレートされた移動によって第1のロボットアームが物体に衝突するか否かの決定や、シミュレートされた移動によって第1のロボットアームが完全に伸長されるか否かの決定に基づいてもよい。
【0117】
さらに、1つ以上のロボットアームの完全な伸長は、対応するアームのストローク長を制限することがある。したがって、シミュレーション時に、システムは、シミュレートされた移動がロボットアームのうちの1つが完全に伸長されるか否かを判断することもできる。また、システムは、シミュレートされた移動によって、ロボットアームのうちの1つが完全に伸長され得るという決定に基づいて、達成可能なストローク長を計算してもよい。
【0118】
代替の実施形態では、システムは、達成可能なストローク長をリアルタイムで計算またはシミュレートする代わりに、第1のロボットアームの複数の初期姿勢のそれぞれについて、第1のロボットアームの達成可能なストローク長を定義するストローク長の検証モジュールをメモリに記憶することができる。ストローク長さの検証モジュールは、メモリに記憶された、第1のロボットアームの初期姿勢の値を対応する達成可能なストローク長さに関連付けるデータベースまたはプロシージャを有する。特定の実施形態では、ストローク長さの検証モジュールが第1のロボットアームの複数の初期姿勢のそれぞれについて達成可能なストローク長さを記憶するルックアップテーブルまたは他のデータ構造を有してもよい。他の実施形態では、ストローク長さの検証モジュールがロボットアームの所与の初期姿勢について達成可能なストローク長さを計算するための技術を備えてもよい。
【0119】
このことは、好適に構成され、第1のロボットアームの初期姿勢以外にストローク長を制限する追加要素(例えば、物体衝突)が生じない医療手技を達成する上で有用である。これらの実施態様は、アームセットアップフェーズ時に、第1のロボットアームの初期姿勢への移動を検出し、初期姿勢に基づいてストローク長さの検証モジュールから達成可能なストローク長さを取得することが含まれてよい。また、システムは、達成可能なストローク長が最小ストローク長以上であるかどうかを判定し、達成可能なストローク長が最小ストローク長以上であるかどうかの指標を提供してもよい。また、システムは、達成可能なストローク長を決定する際にストローク長の検証モジュールを使用するようにシステムに指示するユーザ入力など、ユーザ主導のイベントを検出することに応答して、ストローク長の検証モジュールから達成可能なストローク長を取得してもよい。
【0120】
(3.システムの実装および用語)
本明細書に開示される実施形態は、医療器具の細長いシャフトにおける圧縮を補償するためのシステム、方法、および装置を提供する。圧縮は場合によっては医療器具の較正中に決定された圧縮補償パラメータを使用して決定することができ、医療器具に結合された器具位置決め装置を用いて医療器具を移動させることによって補償することができる。
【0121】
本明細書で使用される用語「結合する」、「結合する」、「結合される」、または単語対の他の変更は間接接続または直接接続のいずれかを示すことができ、例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続されるか、または第2の構成要素に直接接続されることができることに留意されたい。
【0122】
本明細書で説明する特徴類似度計算、位置推定、およびロボット動作作動機能は、プロセッサ可読媒体またはコンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令として格納することができる。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体を指す。限定ではなく例として、そのような媒体は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)、フラッシュメモリ、CD-ROM(コンパクトディスクリードオンリ)または他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の様式で所望のプログラムコードを格納するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。コンピュータ可読媒体は、有形かつ非一時的であり得ることに留意されたい。本明細書で使用されるように、用語「コード」は、計算装置またはプロセッサによって実行可能なソフトウェア、命令、コード、またはデータを指すことができる。
【0123】
本明細書で開示される方法は、説明される方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを備える。方法のステップおよび/またはアクションは、代替形態の範囲から逸脱することなく、互いに交換することができる。言い換えれば、ステップまたはアクションの特定の命令が説明されている方法の適切な動作のために必要とされない限り、特定のステップおよび/またはアクションの命令および/または使用は、代替の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0124】
本明細書で使用される場合、用語「複数」は2つ以上を意味する。例えば、複数の構成要素は2つ以上の構成要素を示す。用語「特定すること」が多種多様なアクションを包含し、したがって、「特定すること」は計算すること、計算すること、処理すること、導出すること、調査すること、参照すること(例えば、テーブル、データベース、または別のデータ構造を参照すること)、確認することなどを含むことができ、「特定すること」は受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「特定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含むことができる。
【0125】
「に基づく」という語句は特に断らない限り、「のみに基づく」という意味ではない。言い換えれば、「に基づく」という語句は、「のみに基づく」および「少なくともに基づく」の両方を表す。
開示された実施形態の上記の説明は、当業者が本件開示を実現または使用することを可能にするために提供される。これらの実装に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本件開示の範囲から逸脱することなく、他の実装に適用することができる。例えば、当業者は、工具構成要素を固定、取り付け、結合、または係合する等価な方法、特定の作動運動を生成するための等価な機構、および電気エネルギーを送達するための等価な機構などの、いくつかの対応する代替的および等価な構造的詳細を採用することができることが理解されるのであろう。したがって、本件開示は、本明細書に示される実装に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0126】
〔実施の態様〕
(1) 医療手技を実行するロボットシステムであって、
医療器具を操作する第1のロボットアームと、
プロセッサと、
患者の生体のマッピングを記憶するメモリであって、(i)前記生体内の目標領域と(ii)前記患者のアクセスポイントから前記目標領域までの経路とに関するデータを有し、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記第1のロボットアームによって前記医療器具を前進させて、前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に到達させることができる、前記第1のロボットアームの最小のストローク長を決定することと、
前記最小のストローク長と前記マッピングとに基づいて、前記第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、
前記手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、前記第1のロボットアームの移動時の前記境界の指標を提供することと、
を実行させるメモリと、
を有することを特徴とするロボットシステム。
(2) 前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記境界の前記指標を、触覚的な指標と視覚的な指標と音声的な指標の少なくとも1つを介して提供すること、
を実行させることを特徴とする実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記境界は境界領域を有し、
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、前記アームセットアップフェーズ時に前記境界領域内の前記第1のロボットアームの前記移動を制限することを実行させる
ことを特徴とする実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記アームセットアップフェーズ時に前記境界内の前記第1のロボットアームの移動を制限することを実行させる
ことを特徴とする実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記制限を無効にする入力を検出することと、
前記第1のロボットアームの移動を検出することと、
前記第1のロボットアームの前記検出した前記移動に基づいて、前記第1のロボットアームの位置を決定することと、
前記第1のロボットアームの前記位置に基づいて、前記医療器具の前記患者内への前進を支援する、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長をシミュレートすることと、
を実行させる
ことを特徴とする実施態様4に記載のシステム。
(6) 前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記患者の手術手技を示す入力を受信することと、
前記手術手技に基づいて、前記医療器具の、前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域までの前進と、前記目標領域における前記手術手技の実行とを支援する、前記第1のロボットアームの少なくとも1つの目的の移動を決定することと、
前記第1のロボットアームの前記位置における、前記少なくとも1つの目的の移動をシミュレートすることと、
前記シミュレートした移動に基づいて、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長を計算することと、
を実行させることを特徴とする実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが物体と衝突することを決定すること、
を実行させ、
前記達成可能なストローク長の前記計算は、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが前記物体と衝突することの前記決定と、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長するか否かの前記決定とにさらに基づく、
ことを特徴とする実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長することを決定することと、
を実行させ、
前記達成可能なストローク長の前記計算は、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長することの前記決定にさらに基づく、
ことを特徴とする実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記達成可能なストローク長が前記最小のストローク長より短いことを決定することと、
現在位置から前記境界までの方向を計算することと、
前記現在位置から前記境界までの前記方向の指標を提供することと、
を実行させる
ことを特徴とする実施態様5に記載のシステム。
(10) 前記医療器具はシースを有し、
前記システムは、リーダを前記シースを通って前進させる第2のロボットアームをさらに有し、
前記メモリは、さらにコンピュータ実行可能な命令を記憶し、前記命令を実行すると前記プロセッサに、
前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に至るまでの前記シースの前進を支援する、前記第1のロボットアームの少なくとも第1の移動を決定することと、
前記シースを通って前記目標領域に至るまでの前記リーダの前進を支援する、前記第2のロボットアームの少なくとも第2の移動を決定することと、
前記第1および前記第2のロボットアームの位置における、前記少なくとも第1の移動と前記少なくとも第2の移動とをシミュレートすることと、
前記シミュレーションに基づいて、前記第1および前記第2のロボットアームの少なくとも1つの達成可能なストローク長を計算することと、
を実行させる
ことを特徴とする実施態様1に記載のシステム。
(11) 命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
第1のロボットアームによって医療器具を前進させて目標領域に到達させることができる、前記第1のロボットアームの最小のストローク長を、患者の生体のマッピングに基づいて決定することであって、前記マッピングは、(i)前記生体内の目標領域と(ii)前記患者のアクセスポイントから前記目標領域までの経路とに関するデータを有し、前記医療器具は前進させられて前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に到達する、ことと、
前記最小のストローク長と前記マッピングとに基づいて、前記第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、
手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、前記第1のロボットアームの移動時の前記境界の指標を提供することと、
を実行させる
ことを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(12) 前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記境界の前記指標を、触覚的な指標と視覚的な指標と音声的な指標の少なくとも1つを介して提供すること、
を実行させる
ことを特徴とする実施態様11に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(13) 前記境界は境界領域を有し、前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記アームセットアップフェーズ時に前記境界領域内の前記第1のロボットアームの前記移動を制限すること、
を実行させる
ことを特徴とする実施態様11に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(14) 前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記アームセットアップフェーズ時に前記境界内の前記第1のロボットアームの移動を制限することを実行させる
ことを特徴とする実施態様11に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(15) 前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記制限を無効にする入力を検出することと、
前記第1のロボットアームの移動を検出することと、
前記第1のロボットアームの前記検出した前記移動に基づいて、前記第1のロボットアームの位置を決定することと、
前記第1のロボットアームの前記位置に基づいて、前記医療器具の前記患者内への前進を支援する、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長をシミュレートすることと、
を実行させる
ことを特徴とする実施態様14に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(16) 前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記患者の手術手技を示す入力を受信することと、
前記手術手技に基づいて、前記医療器具の、前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域までの前進と、前記目標領域における前記手術手技の実行とを支援する、前記第1のロボットアームの少なくとも1つの目的の移動を決定することと、
前記第1のロボットアームの前記位置における、前記少なくとも1つの目的の移動をシミュレートすることと、
前記シミュレートした移動に基づいて、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長を計算することと、
を実行させることを特徴とする実施態様11に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(17) 前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが物体と衝突することを決定すること、
を実行させ、
前記達成可能なストローク長の前記計算は、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが前記物体と衝突することの前記決定と、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長するか否かの前記決定とにさらに基づく、
ことを特徴とする実施態様16に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(18) 前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長することを決定すること、
を実行させ、
前記達成可能なストローク長の前記計算は、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長することの前記決定にさらに基づく、
ことを特徴とする実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記達成可能なストローク長が前記最小のストローク長より短いことを決定することと、
現在位置から前記境界までの方向を計算することと、
前記現在位置から前記境界までの前記方向の指標を提供することと、
を実行させる
ことを特徴とする実施態様15に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(20) 前記医療器具はシースを有し、
前記システムは、リーダを前記シースを通って前進させる第2のロボットアームをさらに有し、
前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体はさらなる命令を記憶し、前記さらなる命令が実行されると、少なくとも1つの計算装置に、
前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に至るまでの前記シースの前進を支援する、前記第1のロボットアームの少なくとも第1の移動を決定することと、
前記シースを通って前記目標領域に至るまでの前記リーダの前進を支援する、前記第2のロボットアームの少なくとも第2の移動を決定することと、
前記第1および前記第2のロボットアームの位置における、前記少なくとも第1の移動と前記少なくとも第2の移動とをシミュレートすることと、
前記シミュレーションに基づいて、前記第1および前記第2のロボットアームの少なくとも1つの達成可能なストローク長を計算することと、
を実行させる
ことを特徴とする実施態様11に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(21) 第1のロボットアームを位置決めする方法であって、
第1のロボットアームによって医療器具を前進させて目標領域に到達させることができる、前記第1のロボットアームの最小のストローク長を、患者の生体のマッピングに基づいて決定することであって、前記マッピングは、(i)前記生体内の目標領域と(ii)前記患者のアクセスポイントから前記目標領域までの経路とに関するデータを有し、前記医療器具は前進させられて前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に到達する、ことと、
前記最小のストローク長と前記マッピングとに基づいて、前記第1のロボットアームの初期姿勢の境界を決定することと、
手技の実行前のアームセットアップフェーズ時に、前記第1のロボットアームの移動時の前記境界の指標を提供することと、
を含むことを特徴とする方法。
(22) 前記境界の前記指標を、触覚的な指標と視覚的な指標と音声的な指標の少なくとも1つを介して提供すること、
をさらに含むことを特徴とする実施態様21に記載の方法。
(23) 前記アームセットアップフェーズ時に前記境界領域内の前記第1のロボットアームの前記移動を制限すること、
をさらに含むことを特徴とする実施態様21に記載の方法。
(24) 前記アームセットアップフェーズ時に前記境界内の前記第1のロボットアームの移動を制限すること、
をさらに含むことを特徴とする実施態様21に記載の方法。
(25) 前記制限を無効にする入力を検出することと、
前記第1のロボットアームの移動を検出することと、
前記第1のロボットアームの前記検出した前記移動に基づいて、前記第1のロボットアームの位置を決定することと、
前記第1のロボットアームの前記位置に基づいて、前記医療器具の前記患者内への前進を支援する、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長をシミュレートすることと、
をさらに含むことを特徴とする実施態様24に記載の方法。
(26) 前記患者の手術手技を示す入力を受信することと、
前記手術手技に基づいて、前記医療器具の、前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域までの前進と、前記目標領域における前記手術手技の実行とを支援する、前記第1のロボットアームの少なくとも1つの目的の移動を決定することと、
前記第1のロボットアームの前記位置における、前記少なくとも1つの目的の移動をシミュレートすることと、
前記シミュレートした移動に基づいて、前記第1のロボットアームの達成可能なストローク長を計算することと、
をさらに含むことを特徴とする実施態様21に記載の方法。
(27) 前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが物体と衝突することを決定すること、
をさらに含み、
前記達成可能なストローク長の前記計算は、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが前記物体と衝突することの前記決定と、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長するか否かの前記決定とにさらに基づく、
ことを特徴とする実施態様26に記載の方法。
(28) 前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長することを決定すること、
をさらに含み、
前記達成可能なストローク長の前記計算は、前記シミュレートした移動によって前記第1のロボットアームが完全に伸長することの前記決定にさらに基づく、
ことを特徴とする実施態様27に記載の方法。
(29) 前記達成可能なストローク長が前記最小のストローク長より短いことを決定することと、
現在位置から前記境界までの方向を計算することと、
前記現在位置から前記境界までの前記方向の指標を提供することと、
をさらに含むことを特徴とする実施態様25に記載の方法。
(30) 前記医療器具はシースを有し、
前記システムは、リーダを前記シースを通って前進させる第2のロボットアームをさらに有し、
前記方法は、
前記アクセスポイントから前記経路を経由して前記目標領域に至るまでの前記シースの前進を支援する、前記第1のロボットアームの少なくとも第1の移動を決定することと、
前記シースを通って前記目標領域に至るまでの前記リーダの前進を支援する、前記第2のロボットアームの少なくとも第2の移動を決定することと、
前記第1および前記第2のロボットアームの位置における、前記少なくとも第1の移動と前記少なくとも第2の移動とをシミュレートすることと、
前記シミュレーションに基づいて、前記第1および前記第2のロボットアームの少なくとも1つの達成可能なストローク長を計算することと、
をさらに含むことを特徴とする実施態様21に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
【外国語明細書】