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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090932
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】重合方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/04 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
C08G69/04
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077884
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2020517320の分割
【原出願日】2018-09-26
(31)【優先権主張番号】62/564,308
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519393129
【氏名又は名称】デュポン ポリマーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アフメット トゥルグト ミュテル
(72)【発明者】
【氏名】シャイレシュ ラティラル ドーシ
(57)【要約】
【課題】有害な重合副反応が、高分子量の半結晶性ポリアミドの高い粘度及び高い融点のため、それらの付随する悪影響の熱及び物質移動の物理的性質と共に、関連する条件で作動する長年の要件を回避する高分子量ポリアミドを生成する新規のプロセスに対する必要性が存在する。
【解決手段】本発明は、テレフタルアミド繰り返し単位を含む、第二加熱における融点295℃以下を有する半芳香族ポリアミド(A)と、テレフタルアミド繰り返し単位を含み、且つ2000meq/Kg未満のアミン末端基濃度及び、少なくとも0.10のインヘレント粘度を有するポリアミドオリゴマー(B)とを、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)の両方の第一加熱における融点よりも高い温度で、第二加熱での融点300℃以上を有する半芳香族ポリアミド(C)を生成するのに十分な時間、溶融混合するステップを備える方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタルアミド繰り返し単位を含む、第二加熱における295℃以下の融点を有する半芳香族ポリアミド(A)と、テレフタルアミド繰り返し単位を含み、且つ2000meq/Kg未満のアミン末端基濃度及びISO307:2007に従って測定された少なくとも0.10のインヘレント粘度を有するポリアミドオリゴマー(B)とを、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)の両方の第一加熱における融点よりも高い温度で、第二加熱における300℃以上の融点を有する半芳香族ポリアミド(C)を生成するのに十分な時間、溶融混合するステップを含む方法であって、第一及び第二加熱での前記融点が、ASTM D3418:2015に従って決定される、方法。
【請求項2】
半芳香族ポリアミド(A)が、
(a)以下の(i)及び(ii)を含む少なくとも1種のジカルボン酸と、
(i)20モルパーセントを超え約100モルパーセントまでのテレフタル酸;
(ii)イソフタル酸及び4~20個の炭素原子を含む脂肪族二酸から選択される0~約80モルパーセントのジカルボン酸
(b)4~20個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪族ジアミンと、場合により
(c)脂肪族ラクタム又は6~20個の炭素原子を有する脂肪族アミノカルボン酸
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリアミドオリゴマー(B)が、半芳香族ポリアミド(A)と同じテレフタルアミド繰り返し単位を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
PA6T/6I、PA6T/610、6T/66、PA6T/612、PA10T/1010、PA10T/10I、PA10T/11、PA5T/510、6T/DT、PA4T/410、PA6T/9T、PA9T/10T、PA5T/5I、PA6T/6I/6、及びPA6T/6I/66からなる群から選択される請求項1に記載の半芳香族ポリアミド(A)。
【請求項5】
前記溶融混合が押出機内で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記押出機が、二軸押出機である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリアミドオリゴマー(B)が、1000meq/Kg以下のアミン末端基濃度及び少なくとも0.15のIVを有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記時間が、3分未満である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記時間が、1分未満である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法により調製される半芳香族ポリアミド(C)を含む物品。
【請求項11】
自動車エンジン部品、ボンネット下の自動車部品、電子部品、車両における電気部品、コネクタ、プラグ、センサー、リレー、ソレノイド、スイッチ、及び水管理システム用の部品からなる群から選択される請求項10に記載の物品。
【請求項12】
半芳香族ポリアミド(A)の重量パーセントが、A及びBの重量パーセントを基準として、60~90重量パーセントの範囲であり、ポリアミドオリゴマー(B)が、10~40重量パーセントの範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
半芳香族ポリアミド(C)が、半芳香族ポリアミド(A)よりも少なくとも5モルパーセント高いテレフタルアミド含有量を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
半芳香族ポリアミド(C)が、過剰のアミン末端基を有する請求項1に記載の方法。
【請求項15】
半芳香族ポリアミド(C)が、過剰の酸末端基を有する請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融混合温度が、425℃~250℃である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法により調製された半芳香族ポリアミドであって、少なくとも300℃の融点及び同じモル濃度の繰り返し単位を含むが全溶融プロセスにより調製した半芳香族ポリアミドよりも少なくとも4℃高い凝固点を有する半芳香族ポリアミド。
【請求項18】
少なくとも300℃の融点及び同じモル濃度の繰り返し単位を含むが全溶融プロセスにより調製した半芳香族ポリアミドよりも少なくとも4℃高い凝固点を有する半芳香族ポリアミド。
【請求項19】
テレフタルアミド繰り返し単位を含む、第二加熱における295℃以下の融点を有する半芳香族ポリアミド(A)と、半芳香族ポリアミド(A)の第二加熱における融点よりも少なくとも10℃高い第二加熱における融点を有するポリアミドオリゴマー(B)とを、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)の両方の第一加熱における融点よりも高い温度で、第二加熱における300℃以上の融点を有する半芳香族ポリアミド(C)を生成するのに十分な時間、溶融混合するステップを含む方法であって、前記ポリアミドオリゴマー(B)が、テレフタルアミド繰り返し単位を含み、且つ2000meq/Kg未満のアミン末端基濃度及びISO307:2007に従って測定された少なくとも0.10のインヘレント粘度を有し、第一及び第二加熱での前記融点が、ASTM D3418:2015に従って決定される、方法。
【請求項20】
半芳香族ポリアミド(C)を生成するのに十分な前記時間が、約15秒~4分の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記溶融混合温度が、約305℃~400℃の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ポリアミドオリゴマー(B)が、半芳香族ポリアミド(A)よりも少なくとも10モルパーセント高いテレフタルアミド含有量を含む請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ポリアミドオリゴマー(B)が、半芳香族ポリアミド(A)中の総モルのジカルボン酸含有量を基準として、半芳香族ポリアミド(A)よりも少なくとも10モル%高いヘキサメチレンテレフタルアミド含有量を有する請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
300℃以上の融点を有する半芳香族ポリアミドを調製する新規のプロセス及びこれらのプロセスにより調製される新規の半芳香族ポリアミドが、本明細書に記載される。これらのプロセスは、典型的なプロセスと比較すると半芳香族ポリアミドを高い処理温度に曝す時間が削減されるので、許容できるレベルの分解生成物及び予期しないほど高い凝固点を有する融点の高い半芳香族ポリアミドを提供する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ポリアミドを調製するのに使用するプロセスにおいては、ポリアミドを形成するためのジカルボン酸及びジアミン反応混合物の重合は、連続加熱(及び反応媒体の温度の連続的な上昇)による昇圧で反応混合物から生じる水を段階的に除去することにより達成される。この手法においては、材料を液相で維持しながら、大部分の水が、除去される。
【0003】
ポリアミド重合の従来技術は、溶液又はスラリーの原料を使用することがある。溶液重合の反応経路は、反応混合物が液相で維持されるように従来的に選択される。いかなる液-固相分離も回避するこの要件は、重合の早い段階中に、テレフタル酸を含有する反応混合物、例えばPA-6T/66などに対して、通例300~400psigを超えて溶液中でいかなる固体の形成も抑えて、反応混合物から水を除去するために、著しく上昇した圧力で又それに応じての高温で作動することを暗示する。さらに、段階的減圧及びポリマーの融点を超えての温度の上昇による後の段階の重合中に生成する水の除去は、熱及び物質移動律速(mass transfer limitations)により比較的に長い時間を要する。これらの条件下での重合の1つの不利な点は、結果として生じる高度の分解反応や最終のポリマー生成物の有用性を損なう生成物である。
【0004】
当業者は、通常、固体ポリマーが融解する相境界を超えて反応が進行するように、上昇した状態での圧力及び温度で、例えばテレフタル酸に基づくポリアミド系の初期段階の重合を行う。例えば、日本特許第7138366号公報を参照されたい。
【0005】
米国特許第6,759,505号明細書は、反応器環境下における反応物の温度、圧力、及び滞留時間などの反応条件の管理に応じた単相と多相の両方の連続重合プロセスを開示する。
【0006】
別法として、高分子量のポリマーの生成に関しては、2ステップの半連続プロセスが、これらのポリマーの重合に使用されている。このような取り組みは、最初に高圧及び高温で低分子量ポリマーを形成した後に重合の初期段階から固体又は液体のどちらかの形態に単離される必要がある。例えば、米国特許第4,762,910号明細書(Bayer)は、最初にポリアミドオリゴマーを調製し、次にそのオリゴマーをさらに重合することにより、アジピン酸、テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミン(HMD)のコポリマーを作製するプロセスを記載する。
【0007】
このようなプロセスにおいて増大されたさらなる分子量は又、例えば、高剪断場及び二軸押出機のような機械的な熱の生成において低分子量ポリマーの急速な加熱をその融点を超えて可能とする作動条件を用いて、続いての処理により、達成できる。
【0008】
高い融点のポリアミドを溶融状態に保つのに必要である昇温及び昇圧状態での長期間の作動を選択することに多くの有害な結果が存在する。特に、高温により分解反応の初期の開始が促され、それにより、最終ポリマー生成物の有用性が損なわれる影響を受ける。1つの例は、芳香族二塩基酸を伴う重合に伴うアミジン分岐平衡である。さらに、気相密度及び蒸気/液体の界面張力などの流体物性に及ぼす圧力の影響が、良好な伝熱性能の達成を損なうことがある。さらに、2ステッププロセスに関しては、ポリマーを高温に曝すのを回避する努力において、オリゴマーの単離及び再融解に伴う追加の製品コストが存在する。このようなプロセスは、粉末の取り扱いにおける課題を提供する。オリゴマーが、溶融形態で保たれるとしても、一般的には、過剰に高い温度に達するオリゴマー蒸気分離室に関連して、材料の分解及び汚染を制限するのは困難である。
【0009】
バッチプロセスを用いるポリアミドの製造は、通常には、バッチプロセスの粘度の制約が起因して、生成できるポリアミドの平均分子量の点で制約がある。粘度は、生成するポリアミドが、ポリアミドを分解しない温度で反応器から取り出すことができるほどに十分に低くなければならない。バッチ反応器から低分子量ポリアミド又はオリゴマー生成物を取り出し、固相重合などの他のプロセスの使用によってそれらの分子量を増大することにより、バッチプロセスのこれらの分子量制約を克服する多大な尽力がなされてきた。
【0010】
例えば、米国特許第5,955,569号明細書は、バッチ又は連続反応器からの低分子量ポリアミドの固体ペレットを反応容器に供給し、低分子量ポリアミド中に取り込まれた触媒を用いて固相重合によりポリアミドの分子量を増大するプロセスを開示する。
【0011】
米国特許第5,079,307号明細書は、ジカルボキシ末端部を有する低分子量ポリアミドを調製することにより、高分子量ポリアミドを生成するプロセスを開示する。酸高配合のプレポリマーは、ジアミンモノマーの存在下で押出機においてさらに重合される。
【0012】
米国特許出願公開第2007/0043185号明細書は、ポリアミドが、液相に分散した固相を形成し、その後液相から分離できるように、ポリアミドオリゴマーが液相中でさらに反応するプロセスを開示する。ポリマーは、固相で重合を続けてもよい。
【0013】
米国特許第6,562,940号明細書は、押出機において高分子量ポリアミドを形成するプロセスを開示する。低分子量ポリアミドオリゴマー粉末は、ポリアミドオリゴマー粉末の融点よりも低い温度で押出機において処理されて顆粒を形成し、ポリアミド顆粒は、続いて後縮合されて高分子量のポリマーを形成する。
【0014】
米国特許出願公開第2016/0130397号明細書は、ポリアミドオリゴマーを調製し、反応器からオリゴマーを取り出す連続プロセスを開示する。ポリアミドオリゴマーは、続いて後縮合されてポリアミドをもたらす。
【0015】
国際公開第99/61509号パンフレットは、分子量300~600の超低分子量テレフタルアミドオリゴマーとポリアミドの融点がオリゴマーの融点よりも低いポリアミドとの反応押出による、ポリアミドの調製を開示する。そのようなプロセスは、最終ポリアミド中のテレフタルアミド含有量を増大させる。
【0016】
米国特許第5,708,125号明細書は、ジアミンとジカルボン酸の塩溶液を定常状態の条件下で溶液中で反応させた後、溶液から噴霧乾燥して、所望のポリアミドの固体粒子を得るプロセスを開示する。
【0017】
通常は、超高分子量ポリアミドは、中分子量又は低分子量ポリアミドの固相重合により、調製される。有害な重合副反応が、高分子量の半結晶性ポリアミドの高い粘度及び高い融点のため、それらの付随する悪影響の熱及び物質移動の物理的性質と共に、関連する条件で作動する長年の要件を回避する高分子量ポリアミドを生成する新規のプロセスに対する必要性が存在する。
【0018】
略語
特許請求の範囲及び本明細書の記述は、以下に示される略語及び定義を用いて解釈されるべきである。
「%」は、用語パーセントを意味する。
「psia」は、用語平方インチあたりポンド絶対値を意味する。
「wt%」は、重量パーセントを意味する。
「MPa」は、メガパスカルを意味する。
「KJ/m2」は、キロジュール/平方メートルを意味する。
「Mn」は、数平均分子量を意味する。
「mp」は融点を意味する。
「DSC」は、示差走査熱量測定を意味する。
「IV」は、インヘレント粘度(inherent viscosity)を意味する。
「fp」は、凝固点を意味する。
「℃」は、摂氏温度を意味する。
「モル%」は、モルパーセントを意味する。
「A/D比」は、塩中のジカルボン酸/ジアミンのモル比を意味する。
「DP」は、重合度を意味する。
「pph」は、1時間あたりのポンドを意味する。
【0019】
定義
本明細書において使用される冠詞「1つの(a)」は、1つ及び2つ以上を意味し、その指示対象の名詞を単数の文法上のカテゴリーに必ずしも限定しない。
【0020】
本明細書で用いる用語「物品」は、その全体又は一部をさらに処理することなしに特定の用途又は目的に好適である形態、形状、構成にある品物、物、構造体、物体、要素、装置等を意味する。
【0021】
本明細書で用いる用語「重合度」又は「DP」は、アミド結合で一緒に重合するジカルボン酸モノマーとジアミンモノマーの数を意味する。例えば、ジカルボン酸モノマーの1つのカルボン酸末端基が、ジアミンモノマーの1つのアミン末端基と反応して、1つのアミド結合を形成する場合、この生成物は、1つのジカルボン酸モノマーと1つのジアミンモノマーがアミド基によって一緒に結合していることを示唆するDP2を有する。
【0022】
本明細書で用いる用語「繰り返し単位」は、その繰り返しが完全なポリマー鎖を生成することとなるポリマーの一部分を意味する。例えば、ポリアミド66に関しては、繰り返し単位は、その繰り返し単位がアミド結合により一緒に結合するアジピン酸-ヘキサメチレンジアミンであるように、ヘキサメチレンジアミンモノマーに結合するアジピン酸モノマーである。得られるポリマーは、ヘキサメチレンアジプアミドである。
【0023】
本明細書で使用される用語「テレフタルアミド繰り返し単位」は、1分子のテレフタル酸と1分子のジアミンとの反応による生成物を意味する。その2つの分子は、一緒に共有結合しており、1分子のジアミンに共有結合した1分子のテレフタル酸を含む。
【0024】
本明細書で使用される用語「オリゴマー」は、DPが少なくとも2である低分子量ポリアミドを意味する。
【0025】
本明細書で使用される用語「ポリマー樹脂」は、ポリマー組成物に使用される純ポリマーを意味し、それぞれのモノマーから生成するポリマー鎖のみを含む。つまり、追加の添加剤は、ポリマー中に全く存在しない。
【0026】
本明細書で使用される用語「ポリマー組成物」は、ポリマー樹脂並びに、場合により、UV安定剤、潤滑剤、及び充填材などの組成物中に使われる任意の追加の材料を意味する。追加の材料がポリマー組成物中に全く存在しないならば、その場合は、ポリマー組成物とポリマー樹脂は、同一である。
【0027】
本明細書で使用される用語「全溶融プロセス」は、ポリアミドを生成するプロセスであって、モノマー、モノマー塩、及びオリゴマーなどのポリアミドを調製するための出発物質が、溶融され、一旦溶融状態になると、最終のポリアミド生成物が生成されるまで、溶融状態のままであるプロセスを意味する。
【0028】
本明細書で使用される用語「A/D比」は、塩中におけるジカルボン酸のジアミンに対するモル比を意味する。塩は、ジカルボン酸をジアミンと混合して形成される。酸と塩基(ジアミン)が反応して塩を形成する。
【0029】
本出願に明記された様々な範囲での数値の使用は、特に明確に示さない限り、規定範囲内の最小値及び最大値が両方とも語「約」によって先行されているかのように近似値として記述されている。このようにして、規定範囲の上下の僅かな変動を用いてこの範囲内の値と実質的に同じ結果を達成することができる。又、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間の各値及びあらゆる値を含む連続的な範囲として意図されている。
【0030】
範囲及び好ましい変形形態
本明細書に記載される任意の範囲は、特に明記されない限り、その端点を明確に包含する。範囲としての量、濃度又は他の値若しくはパラメーターの記載は、このような範囲の上限及び下限の対が本明細書に明示的に開示されるか否かに関わらず、任意の可能な範囲の上限及び任意の可能な範囲の下限から形成される全ての可能な範囲を具体的に開示する。本明細書に記載の化合物、プロセス及び物品は、本明細書での範囲の定義で開示される具体的な値に限定されない。
【0031】
本明細書に記載のプロセス、化合物及び物品の材料、化学物質、方法、工程、値及び/又は範囲等についての任意の変形形態の本明細書における開示は、好ましい又は好ましくないとして特定されているかどうかに関わらず、材料、方法、工程、値、範囲等の任意の可能な組み合わせを含むことが具体的に意図されている。請求項についての正確且つ十分な裏付けを与えることを目的として、任意の開示の組み合わせは、本明細書に記載のプロセス、化合物及び物品の好ましい変形形態である。
【0032】
本明細書において、式(I)の硬化剤などの、本明細書に記載される任意の化学種の化学名に関しての命名誤り又は誤字が存在する場合には、化学構造が化学名に優先する。又、本明細書に記載の任意の化学種の化学構造中に誤りが存在する場合、当業者が意図されている記述を理解する化学種の化学構造が優先される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0033】
少なくとも300℃の融点を有する半芳香族ポリアミドを調製する新規のプロセスが、本明細書に開示される。このようなプロセスは、295℃以下の融点を有する半芳香族ポリアミド(A)を、少なくとも3の最小DPを有し且つ半芳香族ポリアミド(A)よりも高い融点を有するポリアミドオリゴマー(B)と反応させて、300℃以上の融点を有する新規の半芳香族ポリアミド(C)を結果として取得することを含む。このようなプロセスにおいては、ポリアミドオリゴマー(B)は、アミド化反応及びトランスアミド化反応によって半芳香族ポリアミド(A)と反応して、半芳香族ポリアミド(A)に共有結合して、半芳香族ポリアミド(A)の融点よりも少なくとも5℃高い融点を有する半芳香族ポリアミド(C)を形成する。新規の半芳香族ポリアミド(C)は又、同じモル濃度の繰り返し単位を含むが全溶融プロセスにより調製される半芳香族ポリアミド(C)よりも少なくとも4℃高い凝固点を呈する。
【0034】
具体的には、295℃以下の融点を有し且つテレフタルアミド繰り返し単位を含む半芳香族ポリアミド(A)と、テレフタルアミド繰り返し単位を含むポリアミドオリゴマー(B)とを、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)の両方の融点よりも高い温度で、300℃以上の融点を有する半芳香族ポリアミド(C)を生成するのに十分な時間、溶融混合することを含み、前記ポリアミドオリゴマー(B)が、2000meq/Kg未満のアミン末端基濃度と、ISO307:2007に従い硫酸中で測定された少なくとも0.10のIVとを有する、新規のプロセスが本明細書に開示される。
【0035】
本明細書に開示の新規のプロセスは、高融点の半芳香族ポリアミドを調製する既存の多くのプロセスを超える利点を有する。これらの新規のプロセスは、ポリアミド中に非常に高いモル濃度のテレフタル酸を導入させて、同時に300℃以上の融点を有する半芳香族ポリアミドを調製するのに通常必要である高い反応温度へのポリアミドの曝露を制限する。これらのプロセスは、溶融混合プロセスであり、溶媒の使用を必要とせず、固体のポリアミドを得るプロセスからの結果として生じるそのような溶媒の回収を必要としない。高い反応温度にポリアミドを曝すのを抑える又は最小限にすることにより、最終のポリアミドにおける分解生成物が、オートクレーブ及びいくつかの連続重合プロセスと比較すると、低減される。追加的に、本明細書に開示の新規のプロセスは、いくつかの2ステップ重合プロセスと比較すると、粉末材料の処理を削減する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
半芳香族ポリアミド(A)
半芳香族ポリアミド(A)は、295℃以下の融点を有し、テレフタルアミド繰り返し単位を含むいかなる半芳香族ポリアミドであってもよい。ポリアミド樹脂(A)には、少なくとも20モルパーセント~100モルパーセントのテレフタル酸及び1種又は複数種のジアミンモノマーを含有するモノマーから誘導される、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーが含まれてよい。追加のモノマーとしては、ラクタム、芳香族又は脂肪族ジカルボン酸、及びそのプロセスから得られるポリアミドの所望の特性に応じて、約0~80モルパーセントの範囲の濃度で使用してよい他のモノマーが挙げられる。
【0037】
好ましくは、半芳香族ポリアミド(A)は、テレフタル酸と、1種又は複数種の追加の芳香族又は脂肪族ジカルボン酸成分と、1種又は複数種の脂肪族ジアミン成分とから形成される。1種又は複数種の追加の芳香族ジカルボン酸は、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、及び置換芳香族ジカルボン酸、例えば、2-メチルテレフタル酸などであってよい。
【0038】
半芳香族ポリアミド(A)のジカルボン酸成分は、少なくとも20モルパーセント、好ましくは30モルパーセント、より好ましくは少なくとも40モルパーセント、そして最も好ましくは少なくとも50モルパーセントのテレフタル酸を含有する。好ましくは、ジカルボン酸成分は、テレフタル酸(T)とイソフタル酸(I)との混合物を含み、その混合物は、テレフタル酸のイソフタル酸に対するモル比(T:I)約50:50~60:40、好ましくは約52:48~56:44を含む。さらに、1種又は複数の芳香族ジカルボン酸は、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸のような1種又は複数の脂肪族ジカルボン酸と混合できる。PA6T/610は、脂肪族ジカルボン酸を含む半芳香族ポリアミド(A)の例である。本明細書に開示の半芳香族ポリアミド(A)中のテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のモル濃度は、半芳香族ポリアミド(A)中に存在する全てのジカルボン酸の総モル濃度に基づく。
【0039】
半芳香族ポリアミド(A)は、非限定でテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、2-エチルテトラメチレンジアミン、2-メチルオクタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、及び/又はそれらの混合物を含む炭素原子4個以上のジアミンのうちから選択できる1種又は複数種の脂肪族ジアミンを含む。
【0040】
半芳香族ポリアミド(A)の例は、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド)(PA6T/6I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA6T/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンデカンジアミド)(PA6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンドデカンジアミド)(PA6T/612)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンデカンジアミド)(PA10T/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンイソフタルアミド)(PA10T/10I)、ポリ(ペンタメチレンテレフタルアミド/ペンタメチレンデカンジアミド)(PA5T/510)、ポリ(ペンタメチレンテレフタルアミド/ペンタメチレンイソフタルアミド)(PA5T/5I)、ポリ(テトラメチレンテレフタルアミド/テトラメチレンデカンジアミド)(PA4T/410)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ノナメチレンテレフタルアミド)(PA6T/9T)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/デカメチレンテレフタルアミド)(PA9T/10T)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA10T/11)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド/ε-カプロラクタム)(PA6T/6I/6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA6T/6I/66)、ポリ(テトラメチレンテレフタルアミド/ε-カプロラクタム)(PA4T/6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/2-メチルペンタメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA6T/DT/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンテトラデカンジアミド)(PA6T/614)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/ノナメチレンデカンジアミド)(PA9T/910)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/ノナメチレンドデカンジアミド)(PA9T/912)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA9T/11)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド/12-アミノドデカンアミド)(PA9T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/12-アミノドデカンアミド)(PA10T/12)ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンドデカンジアミド)(PA10T/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/ε-カプロラクタム)(PA10T/6)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド/ドデカメチレンドデカンジアミド)(PA12T/1212)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド/ε-カプロラクタム)(PA12T/6)、ポリ(/ヘキサメチレンテレフタルアミド/ε-カプロラクタム)(PA6T/6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド/2-メチルペンタメチレンヘキサンジアミド)(PA6T/66/D6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタミド/2-メチルペンタメチレンテレフタミド)(PA6T/DT)、ポリ(テトラメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)(PA4T/6T)、ポリ(テトラメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA4T/11)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA6T/11)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA10T/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド/11-アミノウンデカンアミド)(PA12T/11)、ポリ(テトラメチレンテレフタルアミド/12-アミノドデカンアミド)(PA4T/12)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/12-アミノドデカンアミド)(PA6T/12)、及びポリ(ペンタメチレンテレフタルアミド/ペンタメチレンヘキサンジアミド)(PA5T/56)からなる群から独立して選択してよい。
【0041】
好ましい半芳香族ポリアミド(A)としては、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド)(PA6T/6I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA6T/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンデカンジアミド)(PA6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンドデカンジアミド)(PA6T/612)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンデカンジアミド)(PA10T/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタルアミド/デカメチレンイソフタルアミド)(PA10T/10I)、ポリ(ペンタメチレンテレフタルアミド/ペンタメチレンデカンジアミド)(PA5T/510)、ポリ(ペンタメチレンテレフタルアミド/ペンタメチレンイソフタルアミド)(PA5T/5I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド/ε-カプロラクタム)(PA6T/6I/6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA6T/6I/66)、及びポリ(ペンタメチレンテレフタルアミド/ペンタメチレンヘキサンジアミド)(PA5T/56)が挙げられる。
【0042】
本明細書に開示のプロセスに有用な半芳香族ポリアミド(A)は、少なくとも8,000、好ましくは少なくとも10,000の数平均分子量(Mn)を有する。絶対的な最大Mnは存在しないが、半芳香族ポリアミド(A)のMnが、典型的な製造プロセスを用いて調製できるように十分に低いことは好ましい。所望の最大Mnは、30,000未満、好ましくは20,000以下である。
【0043】
半芳香族ポリアミド(A)の製造は、当業者内では容易であり、本明細書に開示の新規のプロセスにおいてポリアミド樹脂(A)として使用できる多くのポリアミドは、市販されている。半芳香族ポリアミド(A)は、バッチ、連続、又は半連続プロセスを含む任意の公知のプロセスにより作ることができる。国際公開第2015/057557号パンフレットは、バッチプロセスを用いて半芳香族ポリアミドを調製するプロセスを開示する。
【0044】
ポリアミドオリゴマー(B)
ポリアミドオリゴマー(B)は、テレフタルアミド繰り返し単位を含み、2000meq/Kg未満のアミン末端基濃度、及び少なくとも0.10のインヘレント粘度(IV)を有する。本明細書に記載されるプロセスで生成される半芳香族ポリアミド(C)の融点が、少なくとも300℃になることであるならば、ポリアミドオリゴマー(B)の融点は、半芳香族ポリアミド(A)の融点よりも高くなるのが望ましい。ポリアミドオリゴマー(B)の融点が、半芳香族ポリアミド(A)の融点よりも低いならば、ポリアミドオリゴマー(B)と半芳香族ポリアミド(A)との、本明細書に開示されるプロセスを用いる反応は、少なくとも300℃の融点を有する半芳香族ポリアミド(C)を生成しないこととなる。ポリアミドオリゴマー(B)は、テレフタルアミド繰り返し単位以外の繰り返し単位を含むことができる。
【0045】
本明細書に開示される反応性プロセスの利点の1つは、ポリアミドを長期間高温に曝すことなく、半芳香族ポリアミド(A)中のテレフタル酸のモル濃度を増大する能力である。テレフタル酸のモル濃度が、ポリアミド中で増大するほど、ポリアミドの融点も、通常は高くなることが、当技術分野では知られている。殊にポリアミドの融点が300℃以上である場合には、ポリアミドの分解が懸念される時点まで温度が上昇しない限り、ポリアミドの融点が高いほど、溶液中のポリアミドを処理/重合することは難しくなる。ポリアミドオリゴマー(B)中のテレフタル酸のモル濃度は、変動してもよく、半芳香族ポリアミド(C)中の所望のテレフタル酸濃度によって決まる。テレフタル酸が、ポリアミドオリゴマー(B)中に存在する唯一のジカルボン酸であるのが好ましい。半芳香族ポリアミド(A)中のテレフタル酸含有量を増大して半芳香族ポリアミド(C)を形成できるようにするために、ポリアミドオリゴマー(B)が、半芳香族ポリアミド(A)中のジカルボン酸の総モルを基準として、半芳香族ポリアミド(A)よりも10モル%高いテレフタル酸濃度を有するのも又好ましい。
【0046】
ポリアミドオリゴマー(B)が、2000meq/Kg以下、好ましくは1500meq/Kg以下、及びより好ましくは1000meq/Kg以下のアミン末端基濃度を有するのは、好ましい。例えば、ヘキサメチレンジアミン(HMD)モノマーが、6T塩として8000meq/Kgのアミン基濃度を有することは、当業者には公知である。HMDモノマーが、テレフタル酸モノマーと反応して2のDPを有するオリゴマーを形成する場合、そのオリゴマーは、4000meq/Kgのアミン基濃度を有する。アミン末端基濃度の値が、DPだけでなく、二塩基酸のジアミンに対する(二塩基酸:ジアミン)モル比により影響を受けることを当業者は理解している。本明細書に開示のアミン末端基の算出に関し、二塩基酸:ジアミンの比がほぼ1.0であると仮定する。
【0047】
ポリアミドオリゴマー(B)は、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)との反応から生成される所望のポリアミドに応じて、約1.2~0.8、好ましくは約1.1~0.90、より好ましくは約0.99~1.01の二塩基酸:ジアミンの比を有してもよい。
【0048】
ポリアミドオリゴマー(B)が、少なくとも約0.10、好ましくは0.15、より好ましくは0.18、そして最も好ましくは少なくとも0.20の固有粘度を有するのは、追加的に好ましい。
【0049】
ポリアミドオリゴマー(B)が、少なくとも3、好ましくは少なくとも約4、より好ましくは少なくとも約6、そして最も好ましくは少なくとも約8のDPを有するのが好ましい。本明細書に開示のプロセスで使用できるポリアミドオリゴマー(B)のDPには絶対的な上限は存在しないが、DPの実際の上限は、30、好ましくは25以下、そしてより好ましくは20以下である。DPとアミン末端基濃度は相互に関連するので、当業者は、ポリアミドオリゴマー(B)を調製するのに使用される、アミン末端基濃度、IV、ジカルボン酸、及びジアミンから、ポリアミドオリゴマー(B)のDPを求めることができる。
【0050】
ポリマーの重合度又はDPは、タイトル:Fundamental Principles of Condensation Polymerization,P.J.Flory,Chem.Rev.,1946,39(1),p171の学術論文において考察されている。
【0051】
本明細書に開示のプロセスで使用できるポリアミドオリゴマー(B)を定義する代替的方法は、数平均分子量(Mn)である。分子量の範囲は、モノマーとして使用されるジカルボン酸及びジアミンの分子量に応じて僅かに変化することとなるが、分子量は、ポリアミドオリゴマー(B)を決定するのに容易に測定できるパラメーターである。好ましくは、ポリアミドオリゴマー(B)の分子量は、約500~5000であり、より好ましくは約800~4000、最も好ましくは約1300~3000である。そのような分子量は、ポリアミドオリゴマー(B)の所望のDPを包含する。
【0052】
本明細書に開示のプロセスは、ポリアミドオリゴマー(B)が少なくとも約0.10の固有粘度及び2000meq/Kg以下のアミン末端基濃度を有する場合に、所望のポリアミドを生成するのに最も効果的であるように思われる。ポリアミドオリゴマー(B)が2000meq/Kg以下アミン末端基濃度及び少なくとも約0.10の固有粘度を有する場合に、ポリアミドオリゴマー(B)のDPは、通常少なくとも約4である。
【0053】
ポリアミドオリゴマー(B)は、バッチ、連続、及び半連続プロセスを含む任意の公知のプロセスにより、調製してよい。例えば、国際公開第99/61509号パンフレットは、ヘリカルリボン攪拌機を備えるオートクレーブを使用しての6Tポリアミドオリゴマーの合成及びそのオリゴマーの噴霧乾燥を7ページに開示する。
【0054】
ポリアミドオリゴマー(B)を調製するのに使用される一般的なプロセスは、米国特許出願公開第2007/0043185号明細書に開示されている。このプロセスの一変形形態においては、ジカルボン酸及びジアミンモノマー及び他の任意の原料を反応器内に投入し、反応混合物に、重合が起こるような時間、温度及び圧力をもたらし、その後、温度及び/又は圧力を下げ、結果として相転移を生じて固体のポリアミドオリゴマー(B)を形成する。
【0055】
別法として、ジカルボン酸及びジアミンモノマーは、反応器内に投入でき、反応混合物に、ジカルボン酸-ジアミン塩を生成するのに十分な時間、温度及び圧力をもたらす。次に、塩を単離し、異なる反応器内に移送し、反応器内において、重合が起こるような時間、塩に温度及び圧力をもたらし、その後、温度及び/又は圧力を下げ、結果として相転移を生じて固体のポリアミドオリゴマー(B)を形成する。
【0056】
別の代替的プロセスは、最終のポリアミドオリゴマー(B)の所望のDPよりも低いDPを有するオリゴマー前駆体をさらなる重合のために反応容器に加えることを含む。全ての変形形態においては、水は、重合中にプロセスからベントされる。
【0057】
これらのプロセス変動において重合が進行し、ポリアミドオリゴマー(B)がモノマー及びオリゴマー前駆体と置き換わるに従って、水が除去され、反応器内にある条件下での転相により、ポリアミドオリゴマー(B)の粉末が形成される。
【0058】
所望のDPを有するポリアミドオリゴマー(B)を調製するのにどちらの変形形態を用いるに関係なく、一旦所望のDPに到達すると、ポリアミドオリゴマー(B)を多相系から単離する必要がある。これは、使用可能な装置に応じて、様々な方法で達成してよい。
【0059】
一変形形態において、高い剪断力をもたらすことができる単一の反応器を全オリゴマー化プロセスに用いて、粉末としてポリアミドオリゴマー(B)を調製して回収する。この変形形態においては、ジカルボキシルモノマー及びジアミンモノマーが反応器に投入され、水がベントされて固形のポリアミドオリゴマー(B)を含む多相系を形成しながら、重合が反応器で起こる。次に、反応器の圧力及び/又は温度が下げられ、残留水がベントされ、その間に、反応器内における剪断作用は、依然として残留水を含むことがある大きな塊の物質とは対照的に、固体のポリアミドオリゴマー(B)の粉末形態での回収を確実にする。より高分子量の生成物が必要であるならば、重合は、場合により、固体相で続けることができる。つまり、DPをさらに増大することが必要である場合には。ポリアミドオリゴマー(B)を生成するのに高い剪断力を有する反応器を使用する利点の1つは、得られる粉末生成物が、噴霧乾燥により得られる粉末生成物よりも高い密度を有することである。高い密度のこれらのオリゴマー粉末は、殊に押出機を使用する場合には、噴霧乾燥により得られるオリゴマー粉末よりも本明細書に開示の新規のプロセスに好適である。ポリアミドオリゴマー(B)は又、噴霧乾燥プロセスにより調製した場合よりも高い剪断力の反応器によって調製した場合に、より低い濃度の低分子量の抽出物を有する。
【0060】
さらなる一変形形態においては、従来の重合装置を用いて、溶液中でポリアミドオリゴマー(B)を生成することができる。次に、その溶液を噴霧乾燥して、水を除去し、ポリアミドオリゴマー(B)の粉末を生成する。DPを増大する必要があるならば、さらなる重合のためにこの粉末を反応器に直接供給してもよい。
【0061】
ポリアミドオリゴマー(B)を調製するのに好ましいタイプの装置の1つは、プラウミキサー(plough mixer)、例えばLodige Ploughshare Mixer(Lodige,Paderborn,Germany)、又はLittleford Day(Cincinnati,Ohio)により製造されるプラウミキサー(plow mixer)である。しかし、重合後の反応物から流動可能な粉末を生成できる任意の混合機又は撹拌機は、固体形態でポリアミドオリゴマー(B)を調製するのに好適である。
【0062】
ポリアミドオリゴマー(B)を調製するのに所望のプロセスは、以下のステップを伴う:
1)ポリアミドオリゴマー(B)における適切な酸とアミンのバランスを得るために所望される重量比のジアミンとジカルボン酸モノマーが、高い剪断力をもたらし水溶液を形成できる反応器において一緒に混合される。モノマーを重合するのに必要な温度及び圧力まで、必要な期間水溶液を加熱し、その間同時に水をベントし260℃の最大温度まで温度を上昇させて、結果としてオリゴマー溶液となるステップ;
2)温度を260℃以下に維持しながら、反応器における圧力を徐々に低減し、追加の水を反応器からベントして、結果として転相を生じて、固体相のポリアミドオリゴマー(B)を得るステップ;
3)固体相のポリアミドオリゴマー(B)を不活性ガスパージ下で剪断して、ポリアミドオリゴマー(B)を粉末として提供するステップ。
【0063】
ポリアミドオリゴマー(B)の例としては、ヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)、ペンタメチレンテレフタルアミド(5T)、ノナメチレンテレフタルアミド(9T)、デカメチレンテレフタルアミド(10T)、ドデカメチレンテレフタルアミド(12T)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンヘキサンジアミド)(PA6T/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンイソフタルアミド)(PA6T/6I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンデカンジアミド)(PA6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド/ヘキサメチレンドデカンジアミド)(PA6T/612)、イソホロンジアミンテレフタルアミド(IPDT)、m-キシリレンジアミンテレフタルアミド(MXDT)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
高濃度のテレフタル酸を有するポリアミドを調製する本明細書に開示される新規のプロセスでのポリアミドオリゴマー(B)の使用に加えて、ポリアミドオリゴマー(B)は、高分子量のポリアミドをポリアミドオリゴマーとブレンドする又は溶融混合することにより改善された溶融流動挙動を有するポリアミドを調製する様々なプロセスで用いてもよい。例えば、米国特許第6,548,591号明細書は、高分子量ポリアミドの融点よりも高い混合温度で、且つポリアミドオリゴマーの融点以下の溶融温度で、高分子量ポリアミドとポリアミドオリゴマーを混合することにより、ポリアミドの溶融流動挙動を向上させるプロセスを開示する。
【0065】
米国特許第7,572,856号明細書は、ポリアミド及び難燃剤とポリアミドオリゴマーとの溶融混合であって、ポリアミドオリゴマーが、ポリアミドより低い融点を有する溶融混合を開示する。
【0066】
本明細書に開示の新規のプロセスは、プロセスが出発のポリアミドのテレフタル酸濃度を増大するように設計されている状況に限定されていない。これらのプロセスは、他のモノマー又はオリゴマーをポリアミドに取り込むことにより、出発のポリアミドの組成を変更するように用いることができる。半芳香族ポリアミド(A)よりも低いテレフタル酸含有量を有するポリアミドオリゴマー(B)を反応させることを望むならば、得られるポリアミドは、特定の用途に有用な特性を有することがあるが、このようなポリアミドは、半芳香族ポリアミド(A)よりも高いテレフタル酸濃度を有することにはならない。
【0067】
半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)との反応
半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)との反応は、半芳香族ポリアミド(A)の融点を295℃以下から少なくとも300℃まで上げるのに十分な温度、圧力及び時間で、半芳香族ポリアミド(A)をポリアミドオリゴマー(B)と溶融混合できる任意の装置用いて、実施できる。
【0068】
本明細書に記載のプロセスにおいて、半芳香族ポリアミド(A)と配合できるポリアミドオリゴマー(B)の重量パーセントは、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)の総重量を基準として、約5重量パーセント~約40重量パーセントのポリアミドオリゴマー(B)の範囲である。つまり、20重量パーセントのポリアミドオリゴマー(B)を用いるならば、半芳香族ポリアミド(A)の重量パーセントは、80重量パーセントである。
【0069】
本明細書に開示のプロセスは、バッチプロセス、連続プロセス、又は半連続プロセスであってよい。連続又は半連続プロセスにおいては、ポリアミドオリゴマー(B)の半芳香族ポリアミド(A)に対する適切な重量比をプロセス中に維持することを確実にする計量装置を使用することは、当業者内では容易である。
【0070】
反応押出プロセス用に設計された押出機において、好ましくは二軸押出機において、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)との反応を実施することは、好ましい。二軸押出機は、共回転か又は反回転のどちらかであってよい。
【0071】
一般的に、新規のポリアミドを調製するための本明細書に記載の新規のプロセスは、最初に半芳香族ポリアミド(A)をポリアミドオリゴマー(B)と溶融混合することを含む。半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)を溶融混合するのに用いる方法は、いずれの特定のプロセスにも限定されない。例えば、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)は、両方とも固体状態である間に一緒に物理的に混合して混合物を形成してよい。混合物を後の使用のために保管してもよく、又は反応性処理をするために直ちに溶融混合装置に加えてもよい。
【0072】
半芳香族ポリアミド(A)をポリアミドオリゴマー(B)と物理的に混合するための装置の例としては、ゴム圧延機、密閉式ミキサー、例えば、「Banbury」ミキサー及び「Brabander」ミキサー、単又は多ブレード密閉式ミキサー、「Farrell連続ミキサー」などの多バレルミキサー、射出成形機、並びに押出機、単軸と二軸の両方、共回転又は反回転のどちらかが挙げられる。これらの装置は、単独で使用することができ、又はスタティックミキサー、混合トーピード、及び/又はこの目的のために設計されたバルブ、ゲート又はスクリューなどの、内部圧及び/又は混合の強さを増すための様々な装置と組み合わせて使用することができる。
【0073】
別法として、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)を所望の重量比で溶融混合装置に個々に供給してもよい。押出機を本明細書に開示のプロセスに用いるならば、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)を押出機に異なる位置で供給してもよい。例えば、半芳香族ポリアミド(A)を押出機の主投入口を介して供給してよく、ポリアミドオリゴマー(B)をサイドポートを介して供給してもよい。半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)は、押出機又は他の装置の主投入口を介して個々に供給してもよい。
【0074】
ポリアミドオリゴマー(B)の融点は、半芳香族ポリアミド(A)の融点よりも高いのが好ましく、反応性プロセスのための装置条件は、ポリアミドオリゴマー(B)の融点より高い最終溶融温度に達するように設定する必要がある。装置をベントして、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)との重縮合反応から生じる水を除去して、ポリアミドオリゴマー(B)の半芳香族ポリアミド(A)への取り込みを促進し、結果として半芳香族ポリアミド(A)の融点よりも少なくとも5℃高い融点を有する半芳香族ポリアミド(C)が形成される。押出機を使用するならば、ペレット成形ダイを介して半芳香族ポリアミド(C)を押出して、停止させ、ペレットに切断してよい。
【0075】
半芳香族ポリアミド(C)を形成する、ポリアミドオリゴマー(B)と半芳香族ポリアミド(A)とのほぼ完全な反応に必要な時間は、反応器の温度、反応中の混合の程度、混合装置での滞留時間、材料の融点、及び二塩基酸のジアミンに対するバランスなどの複数の要因に応じて異なる。
【0076】
半芳香族ポリアミド(C)を形成する、ポリアミドオリゴマー(B)と半芳香族ポリアミド(A)とのほぼ完全な反応に必要な時間は、約400℃~305℃、好ましくは約380℃~350℃の範囲の温度で、約15秒~4分の範囲であるのが好ましい。反応中に使用する温度が高いほど、ポリアミドオリゴマー(B)と半芳香族ポリアミド(A)との完全な反応に必要な期間は短くなる。
【0077】
ポリアミドオリゴマー(B)と半芳香族ポリアミド(A)との反応が、押出機又は他の装置を介して単一工程で起こるのが好ましい。別法として、ほぼ完全な反応は、押出機を介して複数の工程を用いて達成できる。例えば、ポリアミドオリゴマー(B)と半芳香族ポリアミド(A)を押出機内で約350℃の温度で1分間反応させて、押出した材料を押出機にフィードバックし、同じ温度で及び同じ時間さらに反応させてよい。このプロセスは、ポリアミドオリゴマー(B)と半芳香族ポリアミド(A)とのほぼ完全な反応が起こり、半芳香族ポリアミド(C)を形成するまで、繰り返してよい。
【0078】
本明細書に記載の反応性プロセスの利点の1つは、ポリアミドが過度に高い温度に長期間曝されないことである。通常は、ポリアミド樹脂(A)とポリアミドオリゴマー(B)の間で生じるほぼ完全な反応のために、ポリアミドオリゴマー(B)の融点を超えて溶融混合組成物を保持する時間は、5分未満、好ましくは3分未満、より好ましくは2分未満、最も好ましくは1分未満である。それよりも長い反応時間は、可能であるが、ポリアミドの分解の可能性があるので、望まれない。ほぼ完全な反応は、最終の半芳香族ポリアミド(C)中に残留する未反応のポリアミドオリゴマー(B)が約5パーセント未満、好ましくは約2パーセント未満であると定義される。半芳香族ポリアミド(C)中の未反応のポリアミドオリゴマー(B)の存在は、結果として試験サンプル中の未反応のポリアミドオリゴマー(B)が起因して、試験サンプルのDSC中に2つの溶融ピーク(390℃で測定の場合)が生じる。半芳香族ポリアミド(C)中に未反応のポリアミドオリゴマー(B)が存在することにより、結果として不十分な機械物性がもたらされることがある。
【0079】
具体的には、半芳香族ポリアミド(C)は、295℃以下の融点を有し且つ少なくとも1つのテレフタルアミド繰り返し単位を含む半芳香族ポリアミド(A)と、少なくとも1つのテレフタルアミド繰り返し単位を含み且つ2000meq/Kg未満のアミン末端基濃度を有し、及びISO307:2007に従って硫酸中で測定した少なくとも0.10のIVを有するポリアミドオリゴマー(B)とを、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)の両方の融点よりも高い温度で、300℃以上の融点を有する半芳香族ポリアミド(C)を生成するのに十分な時間、溶融混合するプロセスにより調製できる。
【0080】
さらに、本明細書に開示の新規のプロセスにより調製される半芳香族ポリアミド(C)は、同じモル濃度の同一繰り返し単位を含むが全て溶融プロセスにより調製された半芳香族ポリアミド(C)よりも少なくとも4℃高い、ASTM3418:2015に従って測定した凝固点を予想外にも示す。半芳香族ポリアミド(C)の凝固点は、処理装置から直接の半芳香族ポリアミド(C)のサンプルを採用し、それは、いかなる追加の熱履歴にも曝されない。つまり、半芳香族ポリアミド(C)の凝固点は、サンプルがダイを出た後に得られ、水浴で冷却されたサンプルを採用する。
【0081】
本明細書に開示のプロセスは、300℃を超える融点を有する半芳香族ポリアミドを調製するのに有用である。そのように高い融点を有するポリアミドは、自動車エンジン部品、ボンネット下の自動車部品(automotive under the hood parts)、電子部品、車両における電装部品、コネクタ、プラグ、センサー、リレー、ソレノイド、スイッチ、及び水管理システム用の部品などの用途に使用される物品を調製するのに有用である。
【実施例0082】
本明細書に開示の新規のプロセス及びポリアミドは、以下の実施例によりさらに定義される。これらの実施例は、本開示の特定の好ましい態様を示しているが、例示のためにのみ示されていることを理解されたい。上述の考察及びこれらの実施例から、当業者は、本開示の本質的な特徴を確認することができ、それの趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行ってそれを様々な使用及び条件に適応できる。
【0083】
例示的な物品は、下表で「E」で識別され、本明細書に記載される及び列挙される化合物、プロセス、及び物品の範囲をさらに例証することのみを意図し、限定することを意図するものではない。比較例は、下表で「C」で識別される。
【0084】
試験方法
融点及び凝固点
本明細書における融点及び凝固点をDSC(TA Instruments Q2000又はQ1000,TA Instruments,New Castle,Delaware,USA)により、第一及び第二加熱走査の両方において走査速度10℃/分で、並びにASTM D3418:2015に従って冷却サイクルにおいて求め、最大の吸熱ピークで融点を採用し、最終温度及び等温保持時間は、表に示す通りである。50ml/分のパージ速度での窒素下のアルミニウムパン内で全てのサンプルを試験した。表に2つの融点値を列挙している場合には、サンプルが2つの融点を有することを示す。表中の全ての融点及び凝固点を℃で表す。
【0085】
表3A、3B、3C、及び3DにおけるDSCデータに対しては、TA Instruments Q1000を以下の選択内容で使用した。
サンプル質量:3+/-1mg
サンプル形態:4分の1に切断して3mgのサンプルを得るペレット
【0086】
表1B、2A、2B、3E、3F、及び3GにおけるDSCデータに対しては、TA Instruments Q2000を以下の選択内容で使用した。
サンプル質量:10+/-1mg
サンプル形態:ペレットを微細粉末に極低温で粉砕した。
【0087】
インヘレント粘度
試験する材料に応じて、2種の異なる溶媒においてインヘレント粘度を測定した。
【0088】
25℃で98%硫酸中又はm-クレゾール中のどちらかで試験するポリアミドの0.5%の溶液において、ISO307:2007に記載の方法に従った、Schott AVS310粘度測定単位、Schott CK300冷却単位、及びSchott CT52定温浴を用いて、インヘレント粘度(IV)を測定した。
【0089】
アミン末端測定
試験する材料に応じて、2種の異なる溶媒においてアミン末端を測定した。
【0090】
フェノール/メタノールの混合液(90:10容積比)中又はヘキサフルオロイソプロパノール中のポリアミド又はオリゴマーの1パーセント溶液を0.025N過塩素酸溶液で滴定することにより、サンプルのアミン末端を求めた。全てMetrohm USA,Riverview,Florida,USAから入手可能である、Metrohm pH電極と共にTitrando809及びDosino800ビュレットを有するMetrohm「Tiamo」オペレーティングシステムを用いて、電位差滴定で終点を求めた。
【0091】
酸末端測定
ポリマーサンプルを2種の溶媒:溶媒1=95:5のo-クレゾール/o-ジクロロベンゼンと、溶媒2=メタノール中の20%の塩化リチウムとのブレンド(55:45容積比)に溶解させ、その後、メタノール中の1重量%の過塩素酸をアミン末端と反応するのに必要量に僅かに過剰な量、溶液が酸性になるまで、加えた。過剰の過塩素酸に対する電位終点を経て、カルボキシル末端に対する終点まで、ポリマー溶液をベンジルアルコール中の0.04Nの水酸化テトラブチルアンモニウムで滴定した。全てMetrohm USA,Riverview,Florida,USAから入手可能である、Metrohm pH電極と共にTitrando809及びDosino800ビュレットを有するMetrohm「Tiamo」オペレーティングシステムを用いた。2つの終点に対する滴定の違いを用いて、カルボキシル末端の濃度を算出した。
【0092】
材料
下表で例示される化合物、プロセス、及び物品において、次の原材料を使用した。全てのパーセント値は、特に明記しない限り重量%である。
【0093】
半芳香族ポリアミド(A)6T/6Iの合成
実施例E1~E13、E14a、E14b、C1a、及びC1bに使用する6T/6I半芳香族ポリアミド(A)を400ガロン撹拌オートクレーブにおいて下に記載のように1ステップの全溶融バッチプロセスで作製した。それぞれの半芳香族ポリアミド(A)に使用する原料の量及び温度を表1に列挙する。
【0094】
ヘキサメチレンジアミン(HMD)、水、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)を塩反応器に投入した。塩反応器は、ジャケットで蒸気を用いて熱を提供するジャケット式撹拌反応器である。原料を連続して混合しながら、塩反応器を窒素下、15psiaで90℃まで加熱し、塩溶液を作製した。塩のpHを測定し、ジアミンの二塩基酸に対する適切な比を確実にし、それに応じて、ジアミン又は二塩基酸で調節した。次に、塩溶液を400ガルのオートクレーブに汲み上げ、残留する原料(酢酸、次亜リン酸ナトリウム(SHP)及び消泡剤)をオートクレーブに投入した。蒸発サイクルのためにオートクレーブを65psiaの圧力で160℃まで撹拌しながら加熱した。合計の蒸発サイクル時間は、120~130分であった。
【0095】
目下濃縮された塩溶液の圧力は、第一サイクルにおいて65psiaから265psiaまで55~75分の期間にわたって増大した。異なるサイクルで必要とされる所望の圧力/温度を達成する手法で、圧力制御弁を巧みに操作した。温度を160℃から230℃まで上昇させて、その時点で圧力が345psiaの最終圧力まで5.3psi/分で徐々に増大した間に、第二サイクルにおいて圧力を265psiaに一定に保った。温度は又、サイクル2の終了温度までのこの時間中に、表1に示すように徐々に上昇した。第二サイクルの合計反応時間は、85~95分であった。第三サイクル中、表1に示すように段階3A~3Cにおいて、圧力及び温度をゆっくり降下させた。最終(真空)サイクル(サイクル4)中に、ポリアミド樹脂(A)の溶融粘度及び分子量の指示として、撹拌機動力を用いた。真空サイクルは、通常、約10~15分続いた。
【0096】
【表1】
【0097】
半芳香族ポリアミド(A)の合成:10T/1010 80/20
実施例E15及びE16に使用した10T/1010の半芳香族ポリアミド(A)を12Lの撹拌オートクレーブにおいて下に記載のように6T/6Iを調製するのに用いたプロセスと同様に1ステップの全溶融バッチプロセスで調製した。使用した原料の量及び温度を表1Aに列挙する。
【0098】
螺旋型撹拌機を備える12Lの加熱オートクレーブに表1Aに列挙する全ての原料を投入した。オートクレーブを封止し、5RPMで10分間、連続窒素パージ下で撹拌した後、蒸発サイクルのために55psiaの圧力で155℃まで撹拌しながら加熱して、濃縮塩溶液を提供した。合計の蒸発時間は、30~45分であった。
【0099】
濃縮塩溶液の圧力を第一サイクルにおいて55psiaから200psiaまで約15~25分の期間にわたって増大させた。異なるサイクルで必要とされる所望の圧力/温度を達成する手法で、圧力制御弁を巧みに操作した。温度を155℃から230℃まで上昇させて、その時点で圧力が345psiaの最終圧力まで3.2psi/分で徐々に増大した間に、第二サイクルにおいて圧力を200psiaに一定に保った。温度も又、表1Aに示すように最終温度までのこの時間の間に徐々に上昇した。第二サイクルの合計反応時間は、120~135分であった。第三サイクル中、大気圧まで7.3psi/分で圧力及び温度をゆっくり降下させた。最終(真空)サイクル(サイクル4)中に、ポリアミド樹脂(A)の溶融粘度及び分子量の指示として、撹拌トルクを用いて、最終サイクルを止めて、キャスティングを開始した。真空サイクルは、通常約20分又は目標のトルクに到達するまで続いた。
【0100】
【表2】
【0101】
半芳香族ポリアミド(A)6T/66(25/75)の合成
73.5重量%の市販のPA66(DuPont Zytel(登録商標)101)と26.5重量%の6Tオリゴマーとを26mmの押出機内で溶融混合することにより、半芳香族ポリアミドA(6T/66 25/75)を調製し、両方とも主投入口を介して供給し、以下の条件を用いた:ダイでの溶融温度は、368℃であった。処理量:50pph、スクリューRPM:800。PA-6Aの物理的特性を表1Bに示す。
【0102】
表1Bは、本明細書に開示の新規のプロセスを用いて半芳香族ポリアミド(C)を調製する異なる半芳香族ポリアミド(A)の物理的特性を示す。
【0103】
【表3】
【0104】
ポリアミドオリゴマー(B):6T
以下の手順に従って、実施例E1~E13、E14a、E14b、C1a、及びC1bで使用するポリアミドオリゴマー(B)、6Tを調製した。
【0105】
45ガロン塩反応器に33kgの水、11.4kgの70%ヘキサメチレンジアミン溶液、11.5kgのテレフタル酸、173grの1%次亜リン酸ナトリウム溶液、及び86grの1% Carbowax 8000溶液を投入し、次に14.5psigの圧力で60分間、原料を撹拌しながら90℃まで加熱し、結果としてin-situ形成のナイロン塩の透明溶液を得た。次に、塩溶液を大気圧でプラウ反応器に汲み上げた。プラウ反応器は、加熱ジャケット、プラウミキサー、及び高剪断チョッパーを備えた。温油スキッドからの温油を用いて、プラウ反応器ジャケットを介して蒸発及び反応のために熱を提供した。プラウミキサー及びチョッパーにより混合しながらジャケットを介して熱を提供することにより、プラウ反応器でのオリゴマー化プロセスが始まった。プラウ反応器内の自生圧力を約4時間のうちに365psiaまで増大させた。この時点でプラウ反応器をベントし、温度をゆっくりと220℃から245℃に2時間で上昇させた。オリゴマー溶液の温度が245℃に達した際に、プラウ反応器の圧力を約45分で大気圧まで降下させた。これは、結果としてアミドオリゴマーが個体相になる相転移をもたらした。ポリアミドオリゴマーを約2時間のうちに60℃まで冷却させて、プラウ反応器から取り出して、実施例に使用するポリアミドオリゴマー(B)を提供した。表2A及び2Bは、10TであるO-13Bを除いて様々な6Tポリアミドオリゴマー(B)のIV及びアミン末端基濃度を開示する。
【0106】
【表4】
【0107】
【表5】
【0108】
ポリアミドオリゴマー(B):10T
ポリアミドオリゴマー(B)、10Tを以下の手順に従って調製した。特性を表2BにサンプルO-13Bとして列挙する。
【0109】
塩反応器に、20kgの水、10.3kgの1,10-ジアミノデカン、9.6kgのテレフタル酸、176gmの1%次亜リン酸ナトリウム溶液、及び88gmの1% Carbowax 8000溶液を投入した。1,10ジアミノデカンを溶解させるまで原料を攪拌しながら、混合液を大気圧で80℃まで60分間加熱した。得られたスラリーを大気圧でプラウ反応器に汲み上げた。6Tオリゴマーと同じ条件下で10T塩を処理して、粉末形態で10Tオリゴマーを提供した。O-13Bのアミン末端は、未溶解のオリゴマーである故に、正確に求めることができなかった。
【0110】
半芳香族ポリアミド(C)
本明細書に開示され及び表3A~3Cに列挙される新規の半芳香族ポリアミド(C)を、以下のプロセスにより調製した。
【0111】
減量メインフィーダを介して、26mmの共回転噛合型の二軸押出機の第一バレルに、0.5%未満の水分を有する6T/6Iポリマーを供給した。押出機は、14のバレル、2つのベントポート及び1つのサイド供給ポートからなる。バレル6でのサイドフィーダを介して又はメインフィーダを介して、半芳香族ポリアミド(A)と共に、0.5%未満の水分を有する6Tオリゴマーを供給する。第一ベントポートは、21mmHgの真空でメイン供給ポートの下流に位置してポリマーから水分を除去し、第二ベントポートは、21mmHgの真空レベルでオリゴマーのサイド供給ポートの下流に位置してアミド化反応から生じる水を除去した。6Tオリゴマーの半芳香族ポリアミド(A)に対する所望の重量パーセントを有するように6Tオリゴマーの供給速度を調節した。平均バレル温度は、約335~約355℃の範囲であり、スクリューRPMは、350~575の範囲であり、ハンドヘルド装置により測定した出口ダイにおいて380~385℃の範囲の半芳香族ポリアミド(C)の溶融温度を有するように調節した。押出機のサイズ及び処理量に応じて、押出機内での滞留時間は、約30秒~1分未満の範囲である。冷水浴に押出してペレット成形することにより、半芳香族ポリアミド(C)を回収した。
【0112】
【表6】
【0113】
表3Aの結果は、本明細書に開示のプロセスの再現性と、同じ65/35のモル比を有する半芳香族ポリアミド(C)を導く異なる半芳香族ポリアミド(A)及びポリアミドオリゴマー(B)の使用とを示す。実施例E1~E2は、6T/6Iのモル比が65/35である半芳香族ポリアミド(C)を調製するために、6T/6Iのモル比が異なる半芳香族ポリアミド(A)、異なる濃度のポリアミドオリゴマー(B)を使用する。実施例E4~E6は、異なるポリアミドオリゴマー(B)を使用することにより、6T/6Iのモル比が65/35である半芳香族ポリアミド(C)を調製するために、6T/6Iのモル比が52/48である半芳香族ポリアミド(A)を使用する。実施例E3及びE7は、6T/6Iのモル比が65/35である半芳香族ポリアミド(C)を導くように、6T/6Iのモル比が56/44である半芳香族ポリアミド(A)で開始する。
【0114】
【表7】
【0115】
表3Bの結果は、本明細書に開示の新規のプロセスにより生成できる、異なる6T/6Iモル比を有する様々な半芳香族ポリアミド(C)を示す。実施例E9、E11、及びE12は、6Tのモル濃度が比較的高い、6T/6Iのモル比が同じ71/29である半芳香族ポリアミド(C)を導くように、異なる半芳香族ポリアミド(A)及び異なるポリアミドオリゴマー(B)を使用する。実施例E10及びE13は、68/32及び65/35のモル比をそれぞれ有する半芳香族ポリアミド(C)を提供する。実施例E8は、6T/6Iのモル比52/48を有する半芳香族ポリアミド(A)から調製した6T/6I(60/40モル比)を含む半芳香族ポリアミド(C)を示す。
【0116】
追加的に、390℃でDSCにより実施例E1~E13を試験して、第一加熱で観察されたのは、単一融点だけであり、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)の反応が起こったことを示唆した。
【0117】
【表8】
【0118】
表3Cは、本明細書に開示のプロセスにおいて半芳香族ポリアミド(A)と反応して半芳香族ポリアミド(C)を生成するポリアミドオリゴマー(B)に関して、ポリアミドオリゴマー(B)が、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)の両方とも溶融状態であるように、その融点にある必要がある、好ましくはその融点を超える必要がある明確な根拠を提供する。表3CのE14a及びE14bは、350℃及び390℃でDSCにより2つの異なる最大温度で試験した単一ポリマーの試験サンプルを表す。C1a及びC1bは、350℃と390℃の両方でDSCにより同様に試験した単一ポリマーの試験サンプルを表す。
【0119】
表3CのC1及びE14は、同じ半芳香族ポリアミド(A)と同様な6Tポリアミドオリゴマー(B)を使用して、同じ65/35(6T/6I)モル比を有するポリアミドを調製する。C1を調製する押出機における温度がE14と異なったことを除いて、同じ押出機を使用してE14及びC1を調製した。C1に関して、ポリマーの出口の溶融温度は、半芳香族ポリアミド(A)の融点よりも高いが約370℃であるポリアミドオリゴマー(B)の融点よりも低い355℃であった。これらの押出機の条件下で、ポリアミドオリゴマー(B)と半芳香族ポリアミド(A)との反応は、C1bの2つの融点(第一加熱)が反映するので、容易に起こらなかった。390℃で試験した場合のC1bの2つの第一融点は、異なる融点を有する、半芳香族ポリアミド(A)及び未反応のポリアミドオリゴマー(B)が存在することに起因する。
【0120】
350℃(C1a)で試験する場合には、ポリアミドオリゴマー(B)の融点は、約370℃であり、350Cの最大試験温度のために反応せず、半芳香族ポリアミド(A)の単一の溶融ピークをもたらす結果となる。
【0121】
第二加熱の390℃でC1を試験する場合には、2つの融点は現れず、単一の融点だけが存在することも留意されたい。これは、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)が試験中に反応して、303℃の融点を有する半芳香族ポリアミド(C)をもたらした結果に起因する。
【0122】
E14は、350℃(E14a)と390℃(E14b)の両方でDSCにより試験した場合には、両方のDSC試験温度において単一の融点を呈し、両方の加熱サイクルに関して、半芳香族ポリアミド(A)とポリアミドオリゴマー(B)が反応して半芳香族ポリアミド(C)を形成したことを示唆する。
【0123】
【表9】
【0124】
表3Dは、本明細書に開示のプロセスにより、10T/1010半芳香族ポリアミド(A)及び10Tポリアミドオリゴマー(B)を用いて生成する様々な半芳香族ポリアミド(C)を示す。本明細書に開示の新規のプロセスを用いて、半芳香族ポリアミド(A)のテレフタル酸含有量を80モル%から85モル%まで増大させ、E14及びE15により示すような半芳香族ポリアミド(C)を提供する。
【0125】
ポリアミドPA-6A(59重量%)を6TオリゴマーO-15B(41重量%)と一緒に押出機に供給し、以下の条件下で両方とも主投入口を介して供給し、半芳香族ポリアミド(C)E17を作製した。ダイでの溶融温度:370℃、処理量:50pph、スクリューRPM:500。
【0126】
【表10】
【0127】
表3Eは、米国特許第6,759,505号明細書に開示される全溶融連続プロセスにより生成された6T/6I及び6T/66ポリアミドの特性を示す。C2は、65/35の6T/6Iモル比及び244℃の凝固点を有し、同じモル比の繰り返し単位を有するが本明細書に開示の新規のプロセスにより調製した6T/6Iポリアミド(E1~E7)と比較した。実施例E1~E7で最も低い凝固点は、270℃であり、それは、C2の凝固点よりも26℃高い。
【0128】
C3は、68/32の6T/6Iモル比及び271℃の凝固点を有し、同じモル比の繰り返し単位を有するが本明細書に開示の新規のプロセスにより調製したE10と比較した。E10は、278℃の凝固点を有し、それは、C3の凝固点よりも7℃高い。テレフタル酸のモル濃度が、ポリアミドにおいて増大し、その凝固点もC3に示すように増大することも留意されたい。
【0129】
【表11】
【0130】
表3FのC5は、全溶融バッチプロセスによりオートクレーブにおいて生成され、及び262℃の凝固点を有し、C6(85/15)と同じ10T/1010モル比を有するが本明細書に開示のプロセスにより調製した実施例E15及びE16と比較した。E15及びE16の凝固点は、それぞれ271℃及び270℃であり、それらは、C5の凝固点よりも少なくとも8℃高い。
【0131】
【表12】
【0132】
表3Gは、本明細書に開示のプロセスにより調製した半芳香族ポリアミドと、全溶融連続プロセス又はバッチプロセスにより調製した半芳香族ポリアミドとの凝固点における差異を要約する。比較例C2、C3、及びC4の半芳香族ポリアミドを、米国特許第6759505号明細書、実施例3に開示される全溶融連続プロセスにより調製する。C5をバッチプロセスにより生成する。
【0133】
表3Gに示すように、E1及びC2は、同一のモル比の6T/6Iを有する。E1は、269℃で全ての65/35の実施例のうちで最も低いFPを有し、C2は、244℃のFPを有し、その差は25℃である。E10及びC3は、同一のモル比の6T/6Iを有し、異なるプロセスにより調製する。E10は、278℃のFPを有し、C3は、271℃のFPを有し、その差は7℃である。7℃及び12℃のFPの差は、E15とC5の差、及びE17とC4の差にそれぞれ示されている。
【0134】
凝固点におけるこれらの差は、本明細書に開示のプロセスにより調製した半芳香族ポリアミドと、既存の全溶融連続プロセス又はバッチプロセスにより調製した半芳香族ポリアミドとの化学構造における違いの明らかな指示である。
【外国語明細書】