(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090970
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイおよび駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/34 20060101AFI20230622BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230622BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20230622BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G09G3/20 642J
G09G3/20 642E
G09G3/20 642D
G09G3/20 641A
G09G3/20 641C
G09G3/20 621A
G09G3/20 623D
G09G3/20 623C
G02F1/167
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023078532
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2022100226の分割
【原出願日】2019-11-25
(31)【優先権主張番号】62/773,609
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516101190
【氏名又は名称】イー インク カリフォルニア, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シャン-チア チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤジュアン チェン
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ リン
(57)【要約】
【課題】好適な電気光学ディスプレイおよび駆動方法を提供すること。
【解決手段】4つのタイプの粒子を備える電気泳動ディスプレイを駆動するための駆動方法であって、第1のタイプの粒子および第3のタイプの粒子は、正に荷電され、第2のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は、負に荷電され、方法は、(i)第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに、第1の時間周期にわたって、第1の振幅において印加し、視認側において、ピクセルを第2のタイプの粒子の色状態に駆動するステップと、(ii)第1の駆動電圧のものと反対の第2の駆動電圧を、電気泳動ディスプレイのピクセルに、第2の時間周期にわたって、第1の振幅のものより小さい第2の振幅で印加し、第4のタイプの粒子を非視認側に向かって駆動するステップとを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年11月30日に出願された米国仮出願第62/773,609号に関連し、その優先権を主張する。
【0002】
前述の出願の開示全体が、参照により本明細書に援用される。
【0003】
(発明の分野)
本明細書に提示される主題は、電気光学ディスプレイデバイスのための駆動方法を対象とする。
【背景技術】
【0004】
(背景)
カラーディスプレイを達成するために、カラーフィルタが、多くの場合、使用される。最も一般的なアプローチは、カラーフィルタをピクセル化されたディスプレイの黒色/白色サブピクセルの上部に追加し、赤色、緑色、および青色を表示させることである。赤色が所望されるとき、緑色および青色サブピクセルは、表示される色が赤色のみであるように、黒色状態に変えられる。青色が所望されるとき、緑色および赤色サブピクセルは、表示される色が青色のみであるように、黒色状態に変えられる。緑色が所望されるとき、赤色および青色サブピクセルは、表示される色が緑色のみであるように、黒色状態に変えられる。黒色状態が所望されるとき、全3つのサブピクセルが、黒色状態に変えられる。白色状態が所望されるとき、3つのサブピクセルは、それぞれ、赤色、緑色、および青色に変えられ、結果として、白色状態が視認者によって見られる。
【0005】
そのような技法の最大の不利点は、サブピクセルの各々が、所望の白色状態の約3分の1(1/3)の反射率を有するため、白色状態が、かなり暗いことである。これを補償するために、白色レベルが赤色、緑色、または青色レベルを犠牲にして2倍にされるように、黒色および白色状態のみを表示することができる第4のサブピクセルが、追加され得る(各サブピクセルは、ピクセルの面積の4分の1のみである)。より明るい色が、白色ピクセルからの光を追加することによって達成されることができるが、これは、色域を犠牲にして達成され、色を非常に明るくかつ不飽和状態にさせる。類似結果は、3つのサブピクセルの色飽和を低減させることによって達成されることができる。これらのアプローチを用いても、その白色レベルは、通常、黒色および白色ディスプレイの白色レベルの実質的に半分未満であり、明瞭に読取可能な黒色-白色の明るさおよびコントラストを必要とするディスプレイデバイス(例えば、電子リーダまたはディスプレイ)に関する容認不可能な選択肢にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、視認側上の第1の表面と、非視認側上の第2の表面と、第1の光透過電極と第2の電極との間に配置される電気泳動流体とを備える電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動するための駆動方法であって、電気泳動流体は、第1のタイプの粒子と、第2のタイプの粒子と、第3のタイプの粒子と、第4のタイプの粒子とを備え、その全ては、溶媒中に分散され、4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、第1のタイプの粒子および第3のタイプの粒子は、正に荷電され、第1のタイプの粒子は、第3の粒子より大きい大きさの正の電荷を有し、第2のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は、負に荷電され、第2のタイプの粒子は、第4の粒子より大きい大きさの負の電荷を有し、方法は、(i)第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに、第1の時間周期にわたって、第1の振幅において印加し、視認側において、ピクセルを第2のタイプの粒子の色状態に駆動するステップと、(ii)第1の駆動電圧のものと反対の第2の駆動電圧を、電気泳動ディスプレイのピクセルに、第2の時間周期にわたって、第1の振幅のものより小さい第2の振幅で印加し、第4のタイプの粒子を非視認側に向かって駆動するステップとを含む、方法を提供する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
視認側上の第1の表面と、非視認側上の第2の表面と、第1の光透過電極と第2の電極との間に配置される電気泳動流体とを備える電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動するための駆動方法であって、前記電気泳動流体は、第1のタイプの粒子と、第2のタイプの粒子と、第3のタイプの粒子と、第4のタイプの粒子とを備え、その全ては、溶媒中に分散され、
a.前記4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
b.前記第1のタイプの粒子および前記第3のタイプの粒子は、正に荷電され、前記第1のタイプの粒子は、前記第3の粒子より大きい大きさの正の電荷を有し、
c.前記第2のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子は、負に荷電され、前記第2のタイプの粒子は、前記第4の粒子より大きい大きさの負の電荷を有し、
前記方法は、
(i)第1の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに、第1の時間周期にわたって、第1の振幅において印加し、前記視認側において、前記ピクセルを前記第4のタイプの粒子の色状態に駆動するステップと、
(ii)前記第1の駆動電圧のものと反対の第2の駆動電圧を、前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに、第2の時間周期にわたって、前記第1の振幅のものより小さい第2の振幅で印加し、前記第2のタイプの粒子を前記非視認側に向かって駆動するステップと
を含む、駆動方法。
(項目2)
ステップ(ii)における前記第2の時間周期は、ステップ(i)における前記第1の時間周期より長い、項目1に記載の駆動方法。
(項目3)
ステップ(i)およびステップ(ii)を繰り返すステップをさらに含む、項目1に記載の駆動方法。
(項目4)
ステップ(i)およびステップ(ii)は、少なくとも3回、繰り返される、項目3に記載の駆動方法。
(項目5)
ステップ(i)の前のある時間周期にわたって、電圧を前記ピクセルに印加しないステップをさらに含む、項目1に記載の駆動方法。
(項目6)
前記第2の駆動電圧の振幅は、前記第1の駆動電圧の振幅の50%未満である、項目1に記載の駆動方法。
(項目7)
視認側上の第1の表面と、非視認側上の第2の表面と、第1の光透過電極と第2の電極との間に配置される電気泳動流体とを備える電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動するための駆動方法であって、前記電気泳動流体は、第1のタイプの粒子と、第2のタイプの粒子と、第3のタイプの粒子と、第4のタイプの粒子とを備え、その全ては、溶媒中に分散され、
a.前記4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
b.前記第1のタイプの粒子および前記第3のタイプの粒子は、正に荷電され、前記第1のタイプの粒子は、前記第3の粒子より大きい大きさの正の電荷を有し、
c.前記第2のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子は、負に荷電され、前記第2のタイプの粒子は、前記第4の粒子より大きい大きさの負の電荷を有し、
前記方法は、
(i)第1の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに、第1の時間周期にわたって、第1の振幅において印加し、前記視認側において、前記ピクセルを前記第3のタイプの粒子の色状態に駆動するステップと、
(ii)第2の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに、第2の時間周期にわたって、第2の振幅において印加し、前記視認側において、前記ピクセルを前記第4のタイプの粒子の色状態に駆動するステップと、
(iii)前記第2の駆動電圧のものと反対の第3の駆動電圧を、前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに、第3の時間周期にわたって、前記第2の振幅のものより小さい第3の振幅において印加し、前記第2のタイプの粒子を前記非視認側に向かって駆動するステップと
を含む、駆動方法。
(項目8)
前記ステップ(i)の後の第4の時間周期にわたって、駆動電圧を前記ディスプレイピクセルに印加しないステップをさらに含む、項目7に記載の駆動方法。
(項目9)
ステップ(iii)における前記第3の時間周期は、ステップ(ii)における前記第2の時間周期より長い、項目7に記載の駆動方法。
(項目10)
ステップ(i)は、少なくとも5回、繰り返される、項目7に記載の駆動方法。
(項目11)
ステップ(ii)およびステップ(iii)は、少なくとも3回、繰り返される、項目3に記載の駆動方法。
(項目12)
前記第3の駆動電圧の振幅は、前記第2の駆動電圧の振幅の50%未満である、項目7に記載の駆動方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本願の種々の側面および実施形態が、以下の図を参照して説明される。図は、必ずしも、正確な縮尺で描かれていないことを理解されたい。複数の図中に現れる項目は、それらが現れる全図において、同一参照番号によって示される。
【0008】
【
図1】
図1は、本明細書に提示される主題による、電気光学ディスプレイの略図を図示する。
【0009】
【
図2】
図2は、
図1に図示される電気光学ディスプレイを表す等価回路を図示する。
【0010】
【
図3】
図3は、本明細書に提示される主題による、電気光学ディスプレイの断面図を図示する。
【0011】
【
図4】
図4aおよび
図4bは、本明細書に提示される主題による、黄色から赤色に移行するディスプレイを図示する。
【0012】
【
図5】
図5は、本明細書に提示される主題による、電気光学ディスプレイを駆動することの一実施形態を図示する。
【0013】
【
図6】
図6は、本明細書に提示される主題による、赤色から黄色に移行する電気光学ディスプレイを図示する。
【0014】
【
図7】
図7は、本明細書に提示される主題による、電気光学ディスプレイを駆動するための駆動方法のさらに別の実施形態を図示する。
【0015】
【
図8】
図8は、本明細書に提示される主題による、電気光学ディスプレイを駆動するための駆動方法の別の実施形態を図示する。
【0016】
【
図9】
図9は、本明細書に提示される主題による、電気光学ディスプレイを駆動するための駆動方法のさらに別の実施形態を図示する。
【0017】
【
図10】
図10は、本明細書に提示される主題による、Qsun試験の実験結果を図示する。
【0018】
【
図11】
図11は、本明細書に提示される主題による、RA試験の実験結果を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、電気光学ディスプレイ(特に、双安定性電気光学ディスプレイ)を暗モードで駆動するための方法と、そのような方法において使用するための装置とに関する。より具体的には、本発明は、「残影」およびエッジアーチファクトの低減と、白色テキストを黒色背景上に表示するとき、そのようなディスプレイにおける明滅の低減とを可能にし得る駆動方法に関する。本発明は、特に、排他的ではないが、粒子ベースの電気泳動ディスプレイと併用するために意図され、粒子ベースの電気泳動ディスプレイにおいて、1つ以上のタイプの荷電粒子が、流体中に存在し、電場の影響下で流体を通して移動され、ディスプレイの外観を変化させる。
【0020】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用されるように、画像化技術分野におけるその従来的な意味で本明細書において使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する材料であって、材料への電場の印加によってその第1の表示状態からその第2の表示状態に変化される材料を指す。光学特性は、典型的には、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、別の光学特性(例えば、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または、機械読取のために意図されるディスプレイの場合には可視範囲外の電磁波長の反射の変化の意味における擬似色)であってもよい。
【0021】
用語「グレー状態」は、画像化技術分野におけるその従来的な意味で本明細書において使用され、2つの極限ピクセルの光学的状態の中間の状態を指し、必ずしもこれらの2つの極限状態の間の黒色と白色との遷移を意味するわけではない。例えば、上記に参照されるいくつかのイー インクの特許および公開された出願は、極限状態が白色および濃青色であり、その結果、中間の「グレー状態」が実際には薄青になる電気泳動ディスプレイを説明している。実際、既述のように、光学的状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。用語「黒色」および「白色」は、ディスプレイの2つの極限光学的状態を指すように以降で使用される場合があり、厳密には黒色および白色ではない極限光学的状態(例えば、前述の白色および濃青色状態)を通常含むものとして理解されるべきである。用語「単色」は、以降、介在グレー状態を伴わず、ピクセルをその2つの極限光学状態のみに駆動させる駆動スキームを指すために使用され得る。
【0022】
以下の議論の多くは、初期グレーレベル(または「グレートーン」)から(初期グレーレベルと異なる場合とそうではない場合がある)最終グレーレベルへの遷移を通して電気光学ディスプレイの1つ以上のピクセルを駆動するための方法に焦点を当てる。用語「グレー状態」、「グレーレベル」、および「グレートーン」は、本明細書では、同義で使用され、極限光学状態ならびに中間グレー状態を含む。現在のシステムにおける可能性として考えられるグレーレベルの数は、典型的には、ディスプレイドライバのフレームレートおよび温度感度によって課される駆動パルスの離散性等の限界に起因して、2~16である。例えば、16グレーレベルを有する黒色および白色ディスプレイでは、通常、グレーレベル1が黒色であり、かつ、グレーレベル16が白色であるが、しかしながら、黒色および白色グレーレベル指定は、逆であってもよい。本明細書では、グレートーン1は、黒色を指定するために使用される。グレートーン2は、グレートーンがグレートーン16(すなわち、白色)に向かって進展するにつれて、黒色のより明るい陰影となる。
【0023】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で本明細書において使用され、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイであって、第1の表示状態または第2の表示状態のうちのいずれか一方を呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、任意の所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために必要とされるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍(例えば、少なくとも4倍)その状態が続くようなディスプレイを指す。米国特許第7,170,670号では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極限黒色および白色状態においてだけではなく、その中間グレー状態においても、安定しており、同じことは、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切には、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性および多安定性ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0024】
用語「インパルス」は、時間に対する電圧の積分のその従来の意味で本明細書において使用される。しかしながら、いくつかの双安定性電気光学媒体は、電荷変換器として作用し、そのような媒体では、インパルスの代替定義、すなわち、経時的電流の積分(印加される総電荷に等しい)が、使用されてもよい。インパルスの適切な定義は、媒体が電圧-時間インパルス変換器または電荷インパルス変換器として作用するかどうかに応じて使用されるべきである。
【0025】
用語「波形」は、ある具体的初期グレーレベルから具体的最終グレーレベルへの遷移をもたらすために使用される時間曲線に対する電圧全体を示すために使用される。典型的には、そのような波形は、複数の波形要素を備え、これらの要素は、本質的に、長方形(すなわち、所与の要素が、ある時間周期の間、一定電圧の印加を備える)であり、要素は、「パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。用語「駆動スキーム」は、具体的ディスプレイのためのグレーレベル間の全ての可能性として考えられる遷移をもたらすために十分な波形のセットを示す。ディスプレイは、1つより多い駆動スキームを利用してもよく、例えば、前述の米国特許第7,012,600号は、駆動スキームが、ディスプレイの温度またはその寿命の間に動作する時間等のパラメータに応じて、修正される必要があり得ることを教示しており、したがって、ディスプレイには、異なる温度等で使用されるべき複数の異なる駆動スキームが提供され得る。このように使用される駆動スキームのセットは、「関連駆動スキームのセット」と称され得る。また、前述のMEDEOD出願のうちのいくつかに説明されるように、1つより多い駆動スキームを同一ディスプレイの異なる面積上で同時に使用することも可能性として考えられ、このように使用される駆動スキームのセットは、「同時駆動スキームのセット」と称され得る。
【0026】
いくつかのタイプの電気光学ディスプレイが、公知である。1つのタイプの電気光学ディスプレイは、例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されるような回転二色部材タイプである(このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、前述の特許のうちのいくつかでは、回転部材が球状ではないため、用語「回転二色部材」の方がより正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つ以上の区分と内部双極子とを有する多数の小さい本体(典型的には、球状または円筒形)を使用する。これらの本体は、マトリクス内に液体が充填された空胞の中に懸濁され、空胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填されている。ディスプレイの外観は、そこに電場を印加し、したがって、本体を種々の位置に回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分を変動させることによって、変更される。本タイプの電気光学媒体は、典型的には、双安定性である。
【0027】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、エレクトロクロミック媒体(例えば、半導体金属酸化物から少なくとも部分的に形成される電極と、電極に付着して色の変化を反転可能な複数の染色分子とを備えるナノクロミックフィルムの形態におけるエレクトロクロミック媒体)を使用する。例えば、O’Regan, B., et al, Nature 1991,353,737、およびWood, D., Information Display, 18(3), 24(2002年3月)を参照されたい。また、Bach, U., et al, Adv.Mater., 2002,14(11), 845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムはまた、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明されている。このタイプの媒体もまた、典型的には、双安定性である。
【0028】
別のタイプの電気光学ディスプレイは、Philipsによって開発され、Hayes, R.A., et al,“Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting”, Nature, 425,383-385(2003年)に説明されているエレクトロウェッティングディスプレイである。米国特許第7,420,549号には、そのようなエレクトロウェッティングディスプレイが双安定性となり得ることが示されている。
【0029】
長年にわたり研究および開発の関心の対象であるあるタイプの電気光学ディスプレイは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、複数の荷電粒子が、電場の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度および対比、広視野角、状態双安定、ならびに低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期の画像品質に伴う問題は、その広範な利用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な使用可能寿命をもたらす。
【0030】
上述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を必要とする。殆どの先行技術の電気泳動媒体では、この流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産され得る(例えば、Kitamura, T., et al.“Electrical toner movement for electronic paper-like display”, IDW Japan, 2001, Paper HCS1-1、およびYamaguchi, Y., et al.,“Toner display using insulative particles charged triboelectrically”, IDW Japan, 2001, Paper AMD4-4参照)。同様に、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベース電気泳動媒体は、媒体がそのような沈降を可能にする配向で使用されるときに(例えば、媒体が垂直プレーンに配置される看板において)、粒子沈降に起因する液体ベース電気泳動媒体と同じ種類の問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、電気泳動粒子のより高速の沈降を可能にする流体の粘度と比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度のため、液体ベース電気泳動媒体よりもガスベース電気泳動媒体において深刻な問題であると考えられる。
【0031】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体において使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを含み、そのそれぞれはそれ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備える。典型的には、カプセルはそれ自体が、ポリマー接着剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられる密着した層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術としては、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(d)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびにディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(e)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および米国特許出願公開第2007/0109219号参照)
(f)ディスプレイを駆動させるための方法(例えば、米国特許第5,930,026号、第6,445,489号、第6,504,524号、第6,512,354号、第6,531,997号、第6,753,999号、第6,825,970号、第6,900,851号、第6,995,550号、第7,012,600号、第7,023,420号、第7,034,783号、第7,061,166号、第7,061,662号、第7,116,466号、第7,119,772号、第7,177,066号、第7,193,625号、第7,202,847号、第7,242,514号、第7,259,744号、第7,304,787号、第7,312,794号、第7,327,511号、第7,408,699号、第7,453,445号、第7,492,339号、第7,528,822号、第7,545,358号、第7,583,251号、第7,602,374号、第7,612,760号、第7,679,599号、第7,679,813号、第7,683,606号、第7,688,297号、第7,729,039号、第7,733,311号、第7,733,335号、第7,787,169号、第7,859,742号、第7,952,557号、第7,956,841号、第7,982,479号、第7,999,787号、第8,077,141号、第8,125,501号、第8,139,050号、第8,174,490号、第8,243,013号、第8,274,472号、第8,289,250号、第8,300,006号、第8,305,341号、第8,314,784号、第8,373,649号、第8,384,658号、第8,456,414号、第8,462,102号、第8,537,105号、第8,558,783号、第8,558,785号、第8,558,786号、第8,558,855号、第8,576,164号、第8,576,259号、第8,593,396号、第8,605,032号、第8,643,595号、第8,665,206号、第8,681,191号、第8,730,153号、第8,810,525号、第8,928,562号、第8,928,641号、第8,976,444号、第9,013,394号、第9,019,197号、第9,019,198号、第9,019,318号、第9,082,352号、第9,171,508号、第9,218,773号、第9,224,338号、第9,224,342号、第9,224,344号、第9,230,492号、第9,251,736号、第9,262,973号、第9,269,311号、第9,299,294号、第9,373,289号、第9,390,066号、第9,390,661号、および第9,412,314号、ならびに米国特許出願公開第2003/0102858号、第2004/0246562号、第2005/0253777号、第2007/0070032号、第2007/0076289号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2007/0176912号、第2007/0296452号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0169821号、第2008/0218471号、第2008/0291129号、第2008/0303780号、第2009/0174651号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0194733号、第2010/0194789号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2010/0283804号、第2011/0063314号、第2011/0175875号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0221740号、第2012/0001957号、第2012/0098740号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0249782号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085355号、第2014/0204012号、第2014/0218277号、第2014/0240210号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0293398号、第2014/0333685号、第2014/0340734号、第2015/0070744号、第2015/0097877号、第2015/0109283号、第2015/0213749号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、第2015/0262255号、第2016/0071465号、第2016/0078820号、第2016/0093253号、第2016/0140910号、および第2016/0180777号参照)
(g)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および米国特許出願公開第2006/0279527号参照)
(h)非電気泳動ディスプレイ(米国特許第6,241,921号、第6,950,220号、および第7,420,549号、ならびに米国特許出願公開第2009/0046082号参照)
【0032】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体内の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され得、したがって、いわゆる高分子分散電気泳動ディスプレイを生産し、その中で、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、高分子材料の連続相とを備えることと、そのような高分子分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴が、離散カプセル膜が各個々の液滴と関連付けられない場合でも、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることとを認識する。例えば、前述の米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのような高分子分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0033】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、担体媒体(典型的には、高分子フィルム)内に形成される複数の空洞内に留保される。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい(両方とも、Sipix Imaging, Incに譲渡されている)。
【0034】
多くの場合、電気泳動媒体は不透明であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明でありかつ1つは光透過性であるいわゆる「シャッタモード」で動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依存し、類似のモードで動作し得る。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他の種類の電気光学ディスプレイもまた、シャッタモードで動作することが可能なことがある。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイ用の多層構造で使用されることができ、そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、視認表面からより遠くにある第2の層を暴露または隠蔽する。
【0035】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的な電気泳動機器のクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多様な柔軟性および剛性基材上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。(「印刷」という語の使用は、全ての形態の印刷およびコーティングを含むことが意図され、限定ではないが、前計量コーティング(例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング)、ロールコーティング(例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワードおよびリバースロールコーティング)、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号参照)、ならびに他の同様の技術を含む。)したがって、結果として得られるディスプレイは、柔軟性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷され得るため、ディスプレイ自体は、安価に作製され得る。
【0036】
他のタイプの電気光学媒体が、本発明のディスプレイで使用されてもよい。
【0037】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイおよび類似挙動を示す他の電気光学ディスプレイ(そのようなディスプレイは、以降、便宜上、「インパルス駆動ディスプレイ」と称され得る)の双安定または多安定挙動は、従来の液晶(「LC」)ディスプレイのものと著しく対照的である。ねじれネマティック液晶は、双安定または多安定ではないが、所与の電場をそのようなディスプレイのピクセルに印加することが、ピクセルに以前に存在していたグレーレベルにかかわらず、具体的グレーレベルをピクセルにおいて生産するように、電圧変換器として作用する。さらに、LCディスプレイは、1つの方向(非透過または「暗」から透過または「明」)にのみ駆動され、より明るい状態からより暗い状態への逆遷移は、電場を低減または排除することによってもたらされる。最後に、LCディスプレイのピクセルのグレーレベルは、電場の極性に対して敏感ではなく、その大きさに対してのみ敏感であり、実際、技術的理由から、商業用LCディスプレイは、通常、駆動場の極性を頻繁な間隔で逆転させる。対照的に、双安定電気光学ディスプレイは、大雑把には、ピクセルの最終状態が、印加される電場およびこの場が印加される時間だけではなく、電場の印加に先立ったピクセルの状態にも依存するように、インパルス変換器として作用する。
【0038】
使用される電気光学媒体が双安定であるかどうかにかかわらず、高分解能ディスプレイを取得するために、ディスプレイの個々のピクセルは、隣接するピクセルから干渉なく、アドレス指定可能でなければならない。この目的を達成するための1つの方法は、各ピクセルと関連付けられる少なくとも1つの非線形要素を伴う、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供し、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生産することである。1つのピクセルにアドレス指定するアドレス指定またはピクセル電極が、関連付けられる非線形要素を通して、適切な電圧源に接続される。典型的には、非線形要素がトランジスタであるとき、ピクセル電極は、トランジスタのドレインに接続され、この配列は、以下の説明において仮定されるが、これは、本質的に、恣意的であり、ピクセル電極は、トランジスタのソースにも接続され得る。従来、高分解能アレイでは、ピクセルは、任意の具体的ピクセルが1つの規定された行と1つの規定された列の交点によって一意に画定されるように、行および列の2次元アレイに配列される。各列内の全てのトランジスタのソースは、単一列電極に接続される一方、各行内の全てのトランジスタのゲートは、単一行電極に接続される。再び、行へのソースおよび列へのゲートの割当が、従来的であるが、これは、本質的に、恣意的であり、所望に応じて、逆転され得る。行電極は、行ドライバに接続され、これは、本質的に、任意の所与の瞬間に、1つのみの行が選択される(すなわち、選択された行内の全てのトランジスタが伝導性であることを確実にする等のために、電圧が選択された行電極に印加される)ことを確実にする一方、これらの選択されなかった行内の全てのトランジスタが非伝導性のままであることを確実にする等のために、電圧が全ての他の行に印加される。列電極は、列ドライバに接続され、これは、種々の列電極上に、選択された行内のピクセルをその所望の光学状態に駆動するように選択される電圧をかける。(前述の電圧は、共通正面電極に対するものであり、これは、従来、電気光学媒体の非線形アレイとの対向側上に提供され、全体的ディスプレイを横断して延在する。)「ラインアドレス時間」として知られる事前に選択された間隔後、選択された行は、選択解除され、次の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変化される。このプロセスは、ディスプレイ全体が行毎様式で書き込まれるように繰り返される。
【0039】
下記に提示される種々の実施形態は、本明細書に提示される主題による作用原理を例証するために、マイクロセルを伴う電気泳動材料を使用するが、同一原理は、マイクロカプセル化された粒子(例えば、顔料粒子)を伴う電気泳動材料のためにも容易に採用され得ることを理解されたい。マイクロセルを伴う電気泳動材料は、本明細書では、例証のために使用され、限定としての役割を果たすものではない。
【0040】
図1は、本明細書に提示される主題による、電気光学ディスプレイのディスプレイピクセル100の概略モデルを図示する。ピクセル100は、結像フィルム110を含んでもよい。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、電気泳動材料の層であり、性質上、双安定であってもよい。この電気泳動材料は、流体中に配置されかつ電場の影響下で流体を通して移動することが可能である複数の電気的に荷電された色顔料粒子(例えば、黒色、白色、黄色、または赤色)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、荷電顔料粒子を伴うマイクロセルを有する電気泳動フィルムであってもよい。いくつかの他の実施形態では、結像フィルム110は、限定ではないが、カプセル化された電気泳動結像フィルムを含んでもよく、これは、例えば、荷電顔料粒子を含んでもよい。下記に提示される駆動方法は、いずれかのタイプの電気泳動材料(例えば、マイクロセルでカプセル化される、または、マイクロセルを伴うフィルム)のために容易に採用され得ることを理解されたい。
【0041】
いくつかの実施形態では、結像フィルム110は、正面電極102と背面またはピクセル電極104との間に配置されてもよい。正面電極102は、結像フィルムとディスプレイの正面との間に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、正面電極102は、透明であり、光透過性であってもよい。いくつかの実施形態では、正面電極102は、限定ではないが、インジウムスズ酸化物(ITO)を含む任意の適した透明材料から形成されてもよい。背面電極104は、結像フィルム110の正面電極102との対向側上に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、寄生静電容量(図示せず)が、正面電極102と背面電極104との間に形成されてもよい。
【0042】
ピクセル100は、複数のピクセルのうちの1つであってもよい。複数のピクセルが、任意の具体的ピクセルが1つの規定された行と1つの規定された列の交点によって一意に画定されるように、マトリクスを形成するように行および列の2次元アレイに配列されてもよい。いくつかの実施形態では、ピクセルのマトリクスは、各ピクセルが少なくとも1つの非線形回路要素120と関連付けられる「アクティブマトリクス」であってもよい。非線形回路要素120が、バックプレート電極104とアドレス指定電極108との間に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、非線形要素120は、限定ではないが、MOSFETまたは薄膜トランジスタ(TFT)を含むダイオードおよび/またはトランジスタであってもよい。MOSFETまたはTFTのドレイン(またはソース)は、バックプレートまたはピクセル電極104に結合されてもよく、MOSFETまたはTFTのソース(またはドレイン)は、アドレス指定電極108に結合されてもよく、MOSFETまたはTFTのゲートは、MOSFETまたはTFTのアクティブ化および非アクティブ化を制御するように構成されるドライバ電極106に結合されてもよい。(便宜上、バックプレート電極104に結合されるMOSFETまたはTFTの端子は、MOSFETまたはTFTのドレインと称され、アドレス指定電極108に結合されるMOSFETまたはTFTの端子は、MOSFETまたはTFTのソースと称される。しかしながら、当業者は、いくつかの実施形態では、MOSFETまたはTFTのソースおよびドレインは、入れ替え可能であり得ることを認識する。)
【0043】
アクティブマトリクスのいくつかの実施形態では、各列内の全てのピクセルのアドレス指定電極108は、同一列電極に接続されてもよく、各行内の全てのピクセルのドライバ電極106は、同一行電極に接続されてもよい。行電極は、行ドライバに接続されてもよく、これは、選択された行電極に、選択された行内の全てのピクセル100の非線形要素120をアクティブ化するために十分な電圧を印加することによって、ピクセルの1つ以上の行を選択してもよい。列電極は、列ドライバに接続されてもよく、これは、選択された(アクティブ化された)ピクセルのアドレス指定電極106上に、ピクセルを所望の光学状態に駆動するために適した電圧をかけてもよい。アドレス指定電極108に印加される電圧は、ピクセルのフロントプレート電極102に印加される電圧(例えば、約ゼロボルトの電圧)と相対的であってもよい。いくつかの実施形態では、アクティブマトリクス内の全てのピクセルのフロントプレート電極102は、共通電極に結合されてもよい。
【0044】
使用時、アクティブマトリクスのピクセル100は、行毎様式で書き込まれてもよい。例えば、ピクセルの行は、行ドライバによって選択されてもよく、ピクセルの行のための所望の光学状態に対応する電圧は、列ドライバによって、ピクセルに印加されてもよい。「ラインアドレス時間」として知られる事前に選択された間隔後、選択された行は、選択解除されてもよく、別の行が、選択されてもよく、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの別のラインが書き込まれるように、変化されてもよい。
【0045】
図2は、本明細書に提示される主題による、正面電極102と背面電極104との間に配置される電気光学結像層110の回路モデルを示す。抵抗器202およびコンデンサ204は、任意の接着性層を含む電気光学結像層110、正面電極102、および背面電極104の抵抗および静電容量を表し得る。抵抗器212およびコンデンサ214は、積層接着性層の抵抗および静電容量を表し得る。コンデンサ216は、正面電極102と背面電極104との間(例えば、結像層と積層接着性層との間および/または積層接着性層とバックプレーン電極との間の界面等の層間の界面接触面積)に形成され得る静電容量を表し得る。ピクセルの結像フィルム110を横断した電圧Viは、ピクセルの残留電圧を含み得る。
【0046】
図1に示される画像層110に類似する例示的結像フィルム300(例えば、電気泳動フィルム)の断面図が、
図3に提示される。
図3に図示されるように、黒色粒子(K)および黄色粒子(Y)は、第1の対の反対に荷電される粒子であり、この対では、黒色粒子は、高度に正の粒子であって、黄色粒子は、高度に負の粒子である。赤色粒子(R)および白色粒子(W)は、第2の対の反対に荷電される粒子であり、この対では、赤色粒子は、低度に正の粒子であって、白色粒子は、低度に負の粒子である。
【0047】
示されない別の実施例では、黒色粒子は、高度に正の粒子であってもよく、黄色粒子は、低度に正の粒子であってもよく、白色粒子は、低度に負の粒子であってもよく、赤色粒子は、高度に負の粒子であってもよい。
【0048】
加えて、4つのタイプの粒子の色状態が、意図的に混合されてもよい。例えば、黄色顔料は、性質上、多くの場合、緑色がかった色合いを有するため、より良好な黄色状態が所望される場合、黄色粒子および赤色粒子が、使用されてもよく、両タイプの粒子は、同一電荷極性を搬送し、黄色粒子は、赤色粒子より高く荷電される。結果として、黄色状態では、緑色がかった黄色粒子と混合される少量の赤色粒子が存在し、黄色状態により良好な色純度を持たせる。
【0049】
本発明の範囲は、広義には、4つのタイプの粒子が視覚的に区別可能な色を有する限り、任意の色の粒子を包含することを理解されたい。
【0050】
白色粒子に関して、それらは、TiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3、Sb2O3、BaSO4、PbSO4、または同等物等の無機顔料から形成されてもよい。
【0051】
黒色粒子に関して、それらは、Cl顔料黒色26または28もしくは同等物(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)またはカーボンブラックから形成されてもよい。
【0052】
非白色および非黒色の粒子は、赤色、緑色、青色、マゼンタ色、シアン色、または黄色等の色から独立する。色粒子のための顔料は、限定ではないが、CI pigment PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20を含んでもよい。それらは、色見本ハンドブック「New Pigment Application Technology」(CMC Publishing Co, Ltd, 1986)および「Printing Ink Technology」(CMC Publishing Co, Ltd, 1984)に説明される一般に使用される有機顔料である。具体的実施例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L3630、Cinquasia Red L4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD;Sun Chemical phthalocyanine blue、phthalocyanine green、diarylide yellow、またはdiarylide AAOT yellowを含む。
【0053】
色粒子はまた、赤色、緑色、青色、および黄色等の無機顔料であってもよい。実施例は、限定ではないが、CI pigment blue 28、CI pigment green 50、およびCI pigment yellow 227を含んでもよい。
【0054】
色に加え、4つのタイプの粒子は、他の明確に異なる光学特性(例えば、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または、機械読取のために意図されるディスプレイの場合には可視範囲外の電磁波長の反射率の変化の意味における擬似色)を有してもよい。
【0055】
本発明のディスプレイ流体を利用するディスプレイ層は、2つの表面(すなわち、視認側上の第1の表面(313)と、第1の表面(313)と反対側上の第2の表面(314)と)を有する。ディスプレイ流体は、2つの表面間に狭入される。第1の表面(313)の側上には、共通電極(311)が存在し、これは、透明電極層(例えば、ITO)であり、ディスプレイ層の上部全体にわたって拡散する。第2の表面(314)の側上には、電極層(312)が存在し、これは、複数のピクセル電極(312a)を備える。
図3に提示されて本明細書で議論されるディスプレイ層は、カプセルベースまたはカップベースの電気泳動材料のいずれかであり得、本明細書に提示される作用原理は、いずれかの材料に適用されることができることに留意されたい。
【0056】
ピクセル電極は、米国特許第7,046,228号(その内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される)に説明される。薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンとともに駆動するアクティブマトリクスが、ピクセル電極の層のために述べられたが、本発明の範囲は、電極が所望の機能を果たす限り、他のタイプの電極アドレス指定も包含することに留意されたい。
【0057】
図1における2つの点線垂直線間の各空間は、ピクセルを示す。示されるように、各ピクセルは、対応するピクセル電極を有する。電場は、共通電極に印加される電圧と対応するピクセル電極に印加される電圧との間の電位差によって、ピクセルのために作成される。
【0058】
4つのタイプの粒子が分散される溶媒は、クリアかつ無色である。それは、好ましくは、高粒子移動度のために、低粘度と、約2~約30(好ましくは、約2~約15)の範囲内の誘電定数とを有する。適した誘電溶媒の実施例は、炭化水素、例えば、Isopar(R)、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、フェニルキシルエタン、ドデシルベンゼンまたはアルキルナフタレン、ハロゲン化溶媒、例えば、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾイルクロリド、クロロペンタフルオロベンゼン、ジクロロノナン、またはペンタクロロベンゼン、および全フッ素置換された溶媒、例えば、3M Company(St.Paul, MN)製のFC-43、FC-70、またはFC-5060、低分子量ハロゲン含有ポリマー、例えば、TCI America(Portland, Oregon)製のポリ(ペルフルオロプロピレンオキシド)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えば、Halocarbon Product Corp.(River Edge, NJ)製のHalocarbon Oils、ペルフルオロポリアルキルエーテル、例えば、Ausimont製のGaldenまたはDuPont(Delaware)製のKrytox Oils and Greases K-Fluid Series、Dow-corning(DC-200)製のポリジメチルシロキサンベースのシリコーン油を含む。
【0059】
一実施形態では、「低電荷」粒子によって搬送される電荷は、「高電荷」粒子によって搬送される電荷の約50%(好ましくは、約5%~約30%未満)であってもよい。別の実施形態では、「低電荷」粒子は、「高電荷」粒子によって搬送される電荷の約75%または約15%~約55%未満であってもよい。さらなる実施形態では、示されるような電荷レベルの比較は、同一電荷極性を有する2つのタイプの粒子に該当する。
【0060】
電荷強度が、ゼータ電位の観点から測定されてもよい。一実施形態では、ゼータ電位は、CSPU-100信号処理ユニットESA EN# Attnフロースルーセル(K:127)を伴うColloidal Dynamics AcoustoSizer IIMによって判定される。器具定数(例えば、全て試験温度(25℃)における、サンプル中で使用される溶媒の密度、溶媒の誘電定数、溶媒中の音速、溶媒の粘度)は、試験の前に打ち込まれる。顔料サンプルが、溶媒(通常、12個未満の炭素原子を有する炭化水素流体)中に分散され、重量比5~10%となるように希釈される。サンプルはまた、1:10の電荷制御剤と粒子の重量比を伴う電荷制御剤(Solsperse 17000(R)、Berkshire Hathaway Companyの子会社であるLubrizol Corporationから利用可能。「Solsperse」は、登録商標である)を含有する。希釈されたサンプルの質量が、判定され、サンプルが、次いで、ゼータ電位の判定のために、フロースルーセルの中に装填される。
【0061】
「高度に正の」粒子および「高度に負の」粒子の振幅は、同一または異なり得る。同様に、「低度に正の」粒子および「低度に負の」粒子の振幅は、同一または異なり得る。
【0062】
また、同一流体中では、2つの対の高-低電荷粒子は、異なるレベルの電荷差を有し得ることに留意されたい。例えば、1つの対では、低度に正の荷電粒子は、高度に正の荷電粒子の電荷強度の30%である電荷強度を有し得、別の対では、低度に負の荷電粒子は、高度に負の荷電粒子の電荷強度の50%である電荷強度を有し得る。
【0063】
図4aおよび
図4bは、そのようなディスプレイ流体を利用するディスプレイデバイスの実施例を図示する。
図4aおよび
図4bに示されるように、高度に正の粒子は、黒色(K)であり、高度に負の粒子は、黄色(Y)であり、低度に正の粒子は、赤色(R)であり、低度に負の粒子は、白色(W)である。
【0064】
動作時、
図4aに示されるように、高度に負の電圧電位差(例えば、-15V)が、十分な長さの時間周期にわたって、ピクセルに印加されると、電場が、発生され、黄色粒子(Y)を共通電極(421)側に押動させ、黒色粒子(K)をピクセル電極(422a)側に引動させる。赤色(R)および白色(W)粒子は、それらがより弱い電荷を搬送するため、より高い荷電された黒色および黄色粒子より低速で移動し、結果として、それらは、ピクセルの中央に留まり、白色粒子は、赤色粒子の上方にある。この場合、黄色が、視認側において見られる。
【0065】
さらに、
図4bに示されるように、より低い正の電圧電位差(例えば、+6Vまたは+3V)が、十分な長さの時間周期にわたって、
図4aのピクセルに印加される(すなわち、黄色状態から駆動される)と、電場が、発生され、黄色粒子(Y)をピクセル電極(422a)に向かって移動させる一方、黒色粒子(K)は、共通電極(421)に向かって移動する。しかしながら、それらが、ピクセルの中央において衝合すると、低駆動電圧によって発生される電場がそれらの間の強引力を克服するために十分に強くないため、それらは、有意に減速し、そこに留まる。他方では、低駆動電圧によって発生される電場は、より弱い荷電された白色および赤色粒子を分離させ、低度に正の赤色粒子(R)を全て共通電極(421)側(すなわち、視認側)まで移動させ、低度に負の白色粒子(W)をピクセル電極(422a)側に移動させるために十分である。結果として、赤色が、見られる。また、この図ではまた、反対極性のより弱い荷電粒子(例えば、R)とより強い荷電粒子(例えば、Y)との間に引力が存在することに留意されたい。しかしながら、これらの引力は、2つのタイプのより強い荷電粒子(KおよびY)間の引力ほど強くなく、したがって、それらは、低駆動電圧によって発生される電場によって克服され得る。換言すると、反対極性のより弱い荷電粒子およびより強い荷電粒子は、分離され得る。
【0066】
この黄色から赤色への遷移を遂行するための例示的波形が、
図5に提示される。
【0067】
ここで
図5を参照すると、初期ステップでは、高度に負の駆動電圧(V
H2、例えば、-15V)が、t7の周期にわたって印加され、黄色粒子を視認側に向かって押動し、その後、正の駆動電圧(+V’)が、t8の周期にわたって印加され、これは、黄色粒子を下方に引動し、赤色粒子を視認側に向かって押動させる。
【0068】
+V’の振幅は、VH(例えば、VH1またはVH2)のものより小さい。一実施形態では、+V’の振幅は、VH(例えば、VH1またはVH2)の振幅の50%未満である。
【0069】
一実施形態では、t8は、t7より大きい。一実施形態では、t7は、20~400ミリ秒の範囲内であってもよく、t8は、≧200ミリ秒であってもよい。
【0070】
図5の波形は、少なくとも2サイクル(N≧2)、好ましくは、少なくとも4サイクル、より好ましくは、少なくとも8サイクルにわたって、繰り返されてもよい。赤色は、各駆動サイクル後、より強くなる。
【0071】
同様に、ディスプレイは、
図6に図示されるように、赤色状態から黄色状態に駆動されてもよい。実践では、ディスプレイピクセルを黄色状態に駆動するために、短い負の15ボルトパルスが、
図7に提示されるような赤色波形後、印加されてもよい。黄色粒子は、好ましくは、高度に負の電荷を搬送する粒子であり、強度に負であり、負の15ボルトパルス(例えば、
図7に図示されるようにt1)によって視認側に押動される。
【0072】
しかしながら、実践では、上記に説明される黄色状態は、最も感熱性であり得、RAは、最も減衰する。ある場合には、黄色状態は、L*が良好である間、より低いb*を有し得る。これは、十分な黄色粒子が視認側上に存在しない場合があることを意味する。黄色粒子は、白色粒子と混合される、または白色粒子の背後にある場合さえある。
【0073】
b*およびL*が、Commission Internationale de L’ElcairageまたはCIE色座標である場合、L*は、明度を示し、b*は、黄色/青色座標である。
【0074】
いくつかの実施形態では、波形が、この問題を改良するために使用され得る。
図8が図示するように、白色粒子を黄色粒子から分離するために、弱い正の電圧v2 802が、-15Vパルス(すなわち、t1 804)後に印加され得る。その場合、白色粒子が、弱く負に荷電され、弱い正の電圧によって底部にさらに引動されることができる。続いて、別の-15Vパルスが、印加され、黄色粒子を視認側に向かってさらに上方に引動させ、その後、別の弱い正の電圧v2が続く。さらに、付加的追加サイクルに伴って、より多くの白色粒子が、底部に引動され得る一方、強い負に荷電された黄色粒子は、視認側上に留まり得る。正確な数の駆動サイクルおよびパルス幅が、ディスプレイ媒体の物理的性質に基づいて最適化されてもよい。
【0075】
一実施形態では、本明細書に提示される主題による駆動方法は、視認側上の第1の表面と、非視認側上の第2の表面と、第1の光透過電極と第2の電極との間に配置される電気泳動流体とを備える電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動するための駆動方法であって、電気泳動流体は、第1のタイプの粒子と、第2のタイプの粒子と、第3のタイプの粒子と、第4のタイプの粒子とを備え、その全ては、溶媒中に分散され、
a.4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
b.第1のタイプの粒子および第3のタイプの粒子は、正に荷電され、第1のタイプの粒子は、第3の粒子より大きい大きさの正の電荷を有し、
c.第2のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は、負に荷電され、第2のタイプの粒子は、第4の粒子より大きい大きさの負の電荷を有し、
方法は、
(i)第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに、第1の時間周期にわたって、第1の振幅において印加し、視認側において、ピクセルを第2のタイプの粒子の色状態に駆動するステップと、
(ii)第1の駆動電圧のものと反対の第2の駆動電圧を、電気泳動ディスプレイのピクセルに、第2の時間周期にわたって、第1の振幅のものより小さい第2の振幅で印加し、第4のタイプの粒子を非視認側に向かって駆動するステップと
を含む、方法として要約され得る。
【0076】
別の実施形態では、本明細書に提示される主題による、駆動方法は、視認側上の第1の表面と、非視認側上の第2の表面と、第1の光透過電極と第2の電極との間に配置される電気泳動流体とを備える電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動するための駆動方法であって、電気泳動流体は、第1のタイプの粒子と、第2のタイプの粒子と、第3のタイプの粒子と、第4のタイプの粒子とを備え、その全ては、溶媒中に分散され、
a.4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
b.第1のタイプの粒子および第3のタイプの粒子は、正に荷電され、第1のタイプの粒子は、第3の粒子より大きい大きさの正の電荷を有し、
c.第2のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は、負に荷電され、第2のタイプの粒子は、第4の粒子より大きい大きさの負の電荷を有し、
方法は、
i.第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに、第1の時間周期にわたって、第1の振幅において印加し、視認側において、ピクセルを第3のタイプの粒子の色状態に駆動するステップと、
ii.第2の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに、第2の時間周期にわたって、第2の振幅において印加し、視認側において、ピクセルを第2のタイプの粒子の色状態に駆動するステップと、
iii.第2の駆動電圧のものと反対の第3の駆動電圧を、電気泳動ディスプレイのピクセルに、第3の時間周期にわたって、第2の振幅のものより小さい第3の振幅において印加し、第4のタイプの粒子を非視認側に向かって駆動するステップと
を含む、方法として要約され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、電圧v2は、ピクセルを赤色状態に駆動するためのPP電圧VRと異なり得る。いくつかの他の実施形態では、赤色波形サイクル902および赤色波形とt1波形との間の待機時間は、
図9に図示されるように、全体的波形長を短縮させるために、さらに最適化されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、待機時間は、著しく低減され得る。別の実施形態では、待機時間は、完全に除去され得る。
【表1】
【0078】
上記の表1に図示されるものは、古いおよび新しい波形を使用した信頼性試験前後の黄色状態光学性能を示す実験データである。黄色CIEインジケータb*が、本明細書に提示される新しい黄色波形を使用することによって改良されていることがわかり得る。
【0079】
図10および
図11は、Qsun(
図10)および70C RA(
図11)試験を経た異なる粒子分散調合物を伴う30個のサンプルのデータを図示する。両試験は、新しい波形を使用して、b
*における改良を示した。
【0080】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記に説明される本発明の具体的実施形態において行われることができることが、当業者に明白となる。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味において解釈されるべきである。
【外国語明細書】