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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023090989
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】排紙部
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
B65H31/26
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078685
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2019067369の分割
【原出願日】2019-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】宮地 亮介
(57)【要約】
【課題】排紙口から飛び出す用紙の勢いが弱められ用紙後端が排紙口に残された状態で後続の用紙と衝突することによる紙詰まりが発生することを防止し、確実に用紙を排出させる。
【解決手段】排紙ローラ57により所定の排紙角度で排紙される用紙Pを積載する排紙トレイ58であって、排紙ローラ57により排紙された用紙Pの先端が接触するように、排紙ローラ57による用紙Pの排紙方向に対して所定の第1傾斜角度θ1で設けられた積載面151aと、積載された用紙Pを部分的に積載面151aから持ち上げるように、積載面151aに対して第2傾斜角度θ2で積載面151a上に設けられたガイド部156とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を排紙方向に搬送して排紙口から排紙する排紙ローラと、
排紙トレイであって、
前記排紙された用紙を積載する積載面であって、前記排紙ローラにより搬送されている用紙の先端が最初に衝突するように前記排紙方向に対して前記積載面の上流端部から前記積載面の下流端部までの全体が第1傾斜角度で傾斜した積載面と、
水平面に対する前記積載面の傾斜角度は、前記水平面に対する前記排紙方向の角度よりも大きく、
前記積載された用紙を部分的に前記積載面から持ち上げるように、前記積載面に対して
第2傾斜角度で前記積載面上に設けられたガイド部と、
を備えたことを特徴とする排紙部。
【請求項2】
前記ガイド部は、
前記積載面上において、前記排紙方向と直交する方向における中央の位置に設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の排紙部。
【請求項3】
用紙を排紙方向に搬送して排紙口から排紙する排紙ローラと、
を備え、
前記ガイド部は、前記排紙された用紙の先端が前記積載面に衝突した後に、前記ガイド部に到達し、前記排紙された用紙は既に前記積載面に載置された一つ前の用紙の前記ガイド部により持ち上げた部分と第一接触面積で接触しながら搬送され、前記排紙ローラによりさらに搬送されると、前記ガイド部の誘導によって、前記排紙された用紙は前記一つ前の用紙の前記ガイド部により持ち上げた部分と前記第一接触面積より小さい第二接触面積で接触しながら搬送され、前記排紙された用紙と前記ガイド部の上流側および下流側との間に空間を形成するように構成される
ことを特徴とする請求項2記載の排紙部。
【請求項4】
前記用紙が排紙される排紙角度と前記第1傾斜角度と前記第2傾斜角度の和が、前記用
紙が反り返らない角度となるように、前記傾斜面と前記ガイド部とが設けられた
ことを特徴とする請求項3記載の排紙部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排紙する用紙の紙詰まりを防止する排紙部に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像処理装置では、印刷された用紙を排紙トレイに排紙する。このとき、排紙された用紙は排紙トレイで揃った状態で載置されることが望まれる。
【0003】
特許文献1には、異なる勾配を備え用紙スタック量が良好となる用紙排紙トレイに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-27758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の排紙トレイ角度を保ったまま、排紙トレイ側に背の高いオプション機器を接続した場合、そのオプション機器と本体とをつなぐ中間部の幅を長くする必要があり、それにより、オプション機器を含めた装置全体の専有面積が広がってしまう。
【0006】
そのため、オプション機器の幅を抑えるためには排紙トレイの角度を大きくする(垂直に近づける)必要がある。
【0007】
排紙トレイの角度を大きくすると、用紙後端が排紙口を抜ける前に排出用紙と積載用紙が接触し、用紙間の摩擦力や静電気により用紙同士が吸着し、排紙手段によってつけられた勢いが減少し、用紙後端が排出口を越えられずにひっかかり(尻残り)が発生してしまう。また、排紙トレイの角度に排紙角度を合わせ、積載用紙に接触しないようにしても、重力に逆らって用紙を飛ばす必要があるため、排紙手段によってつけられた勢いが減少し、同様の問題が発生する。
【0008】
このように、用紙間の摩擦および静電気により用紙同士が吸着し、排出する勢いが低下して用紙後端が排出口に残り適切に排出されず、後続の用紙と衝突して紙詰まりを発生するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る排紙部の特徴は、
排紙される用紙を積載面に沿って積載する排紙部であって、
前記積載面は排紙された用紙の先端が接触するように、排紙方向に対して所定の第1傾斜角度で設けられ、
前記積載された用紙を部分的に前記積載面から持ち上げるように、前記積載面に対して第2傾斜角度で前記積載面上に設けられたガイド部と、
を備えたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る排紙部の特徴によれば、用紙Pが排紙口から確実に排紙されるので、用紙の後端が排紙口に残された状態で後続の用紙と衝突することによる紙詰まりの発生を防止できる。これにより、確実に用紙を排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る印刷装置が備える排紙トレイを示した斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る印刷装置が備える排紙トレイの取付状態を模式的に示した側面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る印刷装置が備える排紙トレイに排紙される用紙Pの状態で示した図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る印刷装置が備える排紙トレイに排紙される用紙Pの状態で示した図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る印刷装置が備える排紙トレイの取付状態を模式的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0013】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置などを例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷装置の概略構成図である。以下の説明において、図1の紙面に直交する方向を前後方向とする。また、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0015】
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RCである。破線で示す経路が排紙経路RD1,RD2である。一点鎖線で示す経路が反転経路RR1ある。二点鎖線で示す経路が外部給紙経路RS1、内部給紙経路RS2である。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態に係る印刷装置1は、外部給紙部2と、印刷装置本体部3とを備える。
【0017】
外部給紙部2は、後述する印刷装置本体部3の印刷部32に用紙Pを給紙する。外部給紙部2は、外部給紙台11A,11Bと、外部給紙ローラ12A,12Bと、複数対の外部給紙搬送ローラ18と、外部給紙部2の各部を収納または保持する外部給紙部筐体19とを備える。なお、外部給紙台11A,11B等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0018】
外部給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台11A,11Bは、上下方向に並列して設置されている。外部給紙台11Aの下方に外部給紙台11Bが設置されている。外部給紙台11A,11Bは、印刷部32への給紙元として選択的に使用される。
【0019】
一対の外部給紙ローラ12A,12Bは、図示しないモータにより回転駆動され、外部給紙台11上に積載された用紙Pのうちの最上位(最も上側)の用紙Pに圧接し、摩擦力により用紙Pを取り出し、外部給紙経路RS1へと搬送する。
【0020】
外部給紙搬送ローラ18は、一対の外部給紙ローラ12A,12Bにより取り出された用紙Pを後述する印刷装置本体部3のレジストローラ46へ向けて搬送する。外部給紙搬送ローラ18は、外部給紙経路RS1に沿って配置されている。一対の外部給紙搬送ローラ18は、後述する印刷装置本体部3の本体筐体39内に配置されている。外部給紙搬送ローラ18は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0021】
印刷装置本体部3は、用紙Pに印刷を行う。印刷装置本体部3は、内部給紙部31と、印刷部32と、上面搬送部33と、第1排紙部34と、反転部35と、第2排紙部36と、印刷装置本体部3の各部を収納または保持する本体筐体39とを備える。
【0022】
内部給紙部31は、印刷装置本体部3の内部で印刷部32に用紙Pを給紙する。内部給紙部31は、複数の内部給紙台41と、複数対の内部給紙ローラ42と、複数対の内部給紙搬送ローラ43とを備える。
【0023】
内部給紙台41は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台41は、本体筐体39の内部に配置されている。
【0024】
内部給紙ローラ42は、内部給紙台41から用紙Pを取り出して内部給紙経路RS2へと送り出す。内部給紙ローラ42は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0025】
内部給紙搬送ローラ43は、内部給紙台41から取り出された用紙Pを後述するレジストローラ46へ向けて搬送する。内部給紙搬送ローラ43は、内部給紙経路RS2に沿って配置されている。内部給紙搬送ローラ43は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0026】
印刷部32は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。印刷部32は、一対のレジストローラ46と、ベルトプラテン部47と、インクジェットヘッド部48とを備える。
【0027】
レジストローラ46は、外部給紙部2、内部給紙部31、および反転部35のいずれかから搬送されてきた用紙Pを一旦止めて斜行補正した後、ベルトプラテン部47に向けて搬送する。レジストローラ46は、外部給紙経路RS1と内部給紙経路RS2と反転経路RR1との合流地点の近傍の通常経路RC上に配置されている。レジストローラ46は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0028】
ベルトプラテン部47は、レジストローラ46から搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。
【0029】
インクジェットヘッド部48は、用紙Pの搬送方向と略直交する方向(前後方向)に複数のノズルが配列されたラインタイプのインクジェットヘッド(図示せず)を有する。インクジェットヘッド部48は、ベルトプラテン部47の上方に配置されている。インクジェットヘッド部48は、ベルトプラテン部47により搬送される用紙Pにインクジェットヘッドからインクを吐出して画像を印刷する。
【0030】
上面搬送部33は、ベルトプラテン部47により搬送されてきた用紙Pを右方向から左方向へとUターンするように搬送する。上面搬送部33は、複数対の上昇搬送ローラ51と、複数対の水平搬送ローラ52を備える。
【0031】
上昇搬送ローラ51は、ベルトプラテン部47により搬送されてきた用紙Pを上方の水平搬送ローラ52へ搬送する。上昇搬送ローラ51は、通常経路RCの中流域の上昇部分に沿って配置されている。上昇搬送ローラ51は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0032】
水平搬送ローラ52は、上昇搬送ローラ51により搬送されてきた用紙Pを第1排紙部34または反転部35へ搬送する。最下流の水平搬送ローラ52は、反転経路RR1の上流部に沿って配置されている。他の水平搬送ローラ52は、通常経路RCの下流域の水平部分に沿って配置されている。水平搬送ローラ52は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0033】
第1排紙部34は、印刷部32で印刷された用紙Pを排紙する。第1排紙部34は、切替部56と、一対の排紙ローラ57と、排紙トレイ58とを備える。
【0034】
切替部56は、用紙Pの搬送経路を排紙経路RD1と反転経路RR1との間で切り替える。切替部56は、排紙経路RD1と反転経路RR1との分岐地点に配置されている。
【0035】
排紙ローラ57は、切替部56により排紙経路RD1へと導かれた用紙Pを搬送して排紙角度で斜め上方へ向かって排紙トレイ58へ排紙する。排紙ローラ57は、排紙経路RD1に沿って、切替部56と排紙トレイ58との間に配置されている。排紙ローラ57は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0036】
排紙トレイ58は、排紙ローラ57により排紙口59から排紙された印刷済みの用紙Pが積載されるものである。
【0037】
この排紙トレイ58は、下流端部が外部給紙部筐体19の上方に位置している。外部給紙部2は、省スペース化のため左右方向には小さくする必要がある。外部給紙部2内に設けられる各構成部品を配置するスペースを確保するためには、排紙トレイ58は、水平面(前後左右方向)に対して急勾配となるように傾斜して設けられる。排紙トレイ58の詳細な構造については後述する。
【0038】
反転部35は、両面印刷の際に、表面印刷済みの用紙Pを反転させてレジストローラ46へ搬送する。反転部35は、一対の反転ローラ61と、一対の再給紙ローラ62と、切替ゲート63とを備える。
【0039】
反転ローラ61は、上面搬送部33の水平搬送ローラ52により搬送されてきた用紙Pをスイッチバックして再給紙ローラ62へ搬送する。反転ローラ61は、用紙Pのスイッチバック搬送を行うため、正逆転可能に構成されている。反転ローラ61は、反転経路RR1に沿って、最下流の水平搬送ローラ52と再給紙ローラ62との間に配置されている。反転ローラ61は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0040】
再給紙ローラ62は、反転ローラ61によりスイッチバックされた用紙Pをレジストローラ46へ搬送する。再給紙ローラ62は、反転経路RR1に沿って、反転ローラ61とレジストローラ46との間に配置されている。再給紙ローラ62は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0041】
切替ゲート63は、水平搬送ローラ52により搬送されてきた用紙Pを反転ローラ61へとガイドする。また、切替ゲート63は、反転ローラ61によりスイッチバックされた用紙Pを再給紙ローラ62へとガイドする。切替ゲート63は、最下流の水平搬送ローラ52、反転ローラ61、および再給紙ローラ62の3個所の重心近傍に配置されている。
【0042】
第2排紙部36は、印刷部32で印刷された用紙Pを排紙する。第2排紙部36は、切替部66と、一対の排紙ローラ67と、排紙トレイ68とを備える。
【0043】
切替部66は、用紙Pの搬送経路を通常経路RCと排紙経路RD2との間で切り替える。切替部66は、通常経路RCと排紙経路RD2との分岐地点に配置されている。
【0044】
排紙ローラ67は、切替部66により排紙経路RD2へと導かれた用紙Pを搬送して排紙角度で斜め下方へ向かって排紙トレイ68へ排紙する。排紙ローラ67は、排紙経路RD2に沿って、切替部66と排紙トレイ68との間に配置されている。排紙ローラ67は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0045】
排紙トレイ68は、排紙ローラ67により排紙口69から排紙された印刷済みの用紙Pが積載されるものである。
【0046】
図2は、本発明の第1実施形態に係る印刷装置1が備える排紙トレイ58を示した斜視図である。図3は、排紙トレイ58の取付状態を模式的に示した側面図である。
【0047】
図2に示すように、本実施形態に係る排紙トレイ58は、印刷装置1で印刷されて排紙口59から排出された用紙Pを積層させるものである。
【0048】
排紙トレイ58は、排紙経路RD1に連なる排紙口59に設けられており、トレイ本体151と、一対のサイドフェンス152,152と、突き当てカバー153と、一対の腰付け部材154,154とを備えている。
【0049】
用紙Pは、排紙経路RD1を搬送されて排紙口59からY方向に向かって斜め上方に排紙される。水平面に対する用紙Pの排紙方向(Y方向)の角度を排紙角度δという。
【0050】
排紙トレイ58は、排紙口59から排紙される用紙Pの落下位置に設けられている。排紙トレイ58は、積載面151aを有するトレイ本体151を備えている。トレイ本体151は、積載面151a上に用紙Pを積層する受台である。積載面151a上には排紙口59から順次排紙された用紙Pが積層状態で載置される。
【0051】
積載面151aは、用紙Pの排紙方向(Y方向)に対して第1傾斜角度θ1で設けられている。これにより、排紙口59からY方向に排紙された用紙Pの先端が積載面151aに衝突する。
【0052】
積載面151a上には、この衝突位置の近傍、例えば、衝突位置より下流側であり、かつ排紙トレイ58に積載される最大サイズの用紙Pの先端位置より上流側にガイド部156が設けられている。具体的には、排紙トレイ58に積載される最大サイズの用紙Pの長さを図3に示すL1とすると、用紙Pの衝突位置から排紙トレイ58に積載される最大サイズの用紙Pの先端位置までの距離L2の間に、ガイド部156が設けられている。
【0053】
このガイド部156は、傾斜面156aを有する部材である。ガイド部156は、積載された用紙Pを部分的に積載面151aから持ち上げるように、傾斜面156aが積載面151aに対して第2傾斜角度θ2で設けられている。第2傾斜角度θ2は、排紙角度δと第1傾斜角度θ1と第2傾斜角度θ2の和が、90°未満となるように設けられている。また、第1傾斜角度θ1と第2傾斜角度θ2とは、それぞれ30°以内である。
【0054】
ガイド部156は、積載面151a上において、排紙方向と直交する方向(X方向)におけるほぼ中央部に設けられており、かつ用紙Pの排紙方向(Y方向)に1つだけ設けられている。
【0055】
一対のサイドフェンス152,152は、排紙口59からトレイ本体151の積載面151a上に排出される用紙Pの幅方向Xの両外側に配置され、トレイ本体151に対して幅方向Xに相対移動自在に設けられている。
【0056】
これらのサイドフェンス152,152の間隔は、用紙Pのサイズに合わせて設定することができ、通常は排出される用紙Pの幅より僅かに広い程度となっている。そして、一対のサイドフェンス152,152は、これらの間に排出された用紙Pが入り込むことでこの用紙Pの幅方向Xを規制して紙揃えをする。
【0057】
また、一対のサイドフェンス152,152の最下部には、腰付け部材154,154が設けられている。腰付け部材154,154は、排紙トレイ58に排紙された用紙Pが積載面151a上を排紙方向Y側に移動する際に、用紙Pの幅方向X両側部分が乗り上げる。これにより、用紙Pに、幅方向Xの中央が両端よりも下方に位置するように湾曲部分が形成され、用紙Pの排紙方向Yにおける剛性が高まる。
【0058】
突き当てカバー153は、図2に示すように、トレイ本体151の排紙方向Yの上流端部に設けられている。突き当てカバー153は、略直立した板状をなしている。また、突き当てカバー153は、排紙口59から排出される用紙Pがトレイ本体151の積載面151aを滑りながら排紙方向Yの後方まで戻り、突き当てカバー153に用紙Pの排紙方向Yの上流端部が突き当たることで用紙Pの排紙方向Yを紙揃えするものである。
【0059】
図4図5は、排紙トレイ58に排紙される用紙Pの状態で示した図である。
【0060】
図4(a)に示すように、トレイ本体151には、排紙口59から排紙された用紙P(P1)が積載面151a上に載置されている。積載面151a上にはガイド部156が設けられているので、排紙された用紙P(P1)のうちガイド部156に接触した部分が、積載面151aから持ち上げた状態で積載される。
【0061】
そして、次の用紙P(P2)が、排紙口59からY方向に排紙される。
【0062】
Y方向に排紙された用紙P(P2)は、先端が積載面151aに載置された用紙P(P)に接触した後も排紙ローラ57により搬送され続け、用紙P(P1)のガイド部156により持ち上げた部分と接触面積S1で接触しながら搬送される。
【0063】
用紙P(P2)は、さらに排紙ローラ57により搬送されると、図4(c)に示すように、用紙P(P2)の剛性により、用紙P(P2)は、用紙P(P1)のガイド部156により積載面151aから持ち上げた部分と接触面積S2で接触しながら搬送される。このとき、用紙P(P1)と用紙P(P2)とは、接触面積S2以外では接触することなく、下流側に空間F1が形成され、上流側に空間F2が形成される。
【0064】
これにより、積載面151a上にガイド部156が形成されていない場合と比較して、用紙P(P1)と用紙P(P2)との接触面積を小さくすることができる。そのため、用紙P(P1およびP2)間の摩擦および静電気により用紙P同士(P1およびP2)が吸着することを防止することができる。
【0065】
これにより、用紙Pを排紙口59から確実に排紙させることができる。そのため、用紙P(P2)の後端が排紙口59に残された状態で、さらに後続の用紙P(図示しない)と衝突することによる紙詰まりが発生することを防止することができ、確実に用紙Pを排出させることができる。
【0066】
そして、図4(d)に示すように、用紙P(P2)が排紙ローラ57を抜けた場合にも、用紙P(P1)と用紙P(P2)との接触面積を小さくすることができるので、用紙P(P2)は突き当てカバー153へ向かって積載面151aに沿って滑落し易くなる。
【0067】
そのため、図5(a)に示すように、用紙P(P1)と用紙P(P2)との間に空間F1を保持しながら、用紙P(P2)は積載面151aに沿って突き当てカバー153に突き当たるまで滑落する。
【0068】
その後、図5(b)に示すように、用紙P(P2)は突き当てカバー153に突き当たると、空間F1の空気が抜け、用紙P(P1)上に用紙P(P2)が積載される。
【0069】
以上のように、本発明の第1実施形態に係る印刷装置1が備える排紙トレイ58によれば、排紙ローラ57により排紙された用紙Pの先端が接触するように、排紙ローラ57による用紙Pの排紙方向に対して所定の第1傾斜角度θ1で設けられた積載面151aと、積載された用紙Pを部分的に積載面151aから持ち上げるように、積載面151aに対して第2傾斜角度θ2で積載面151a上に設けられたガイド部156とを備えている。
【0070】
そのため、排紙トレイ58に積載された用紙Pが部分的に積載面151aから持ち上げられた状態で、次の用紙Pが積載されるので、排紙トレイ58に積載された用紙Pと新たに排紙された用紙Pとの間で接触面積が小さくなる。これにより、用紙P間の摩擦および静電気により用紙同士が吸着することを防止することができる。そのため、用紙Pが排紙口59から確実に排紙されるので、用紙Pの後端が排紙口59に残された状態で後続の用紙と衝突することによる紙詰まりの発生を防止できる。これにより、確実に用紙Pを排出させることができる。
【0071】
なお、ガイド部156は、積載面151aに沿って用紙Pの排紙方向にスライド自在に設けられてもよい。これにより、用紙Pが大きいサイズの場合には、下流側にガイド部156を移動させ、用紙Pが小さいサイズの場合には、上流側にガイド部156を移動させることができる。これにより、どのようなサイズの用紙Pが排紙されたとしても、積載された用紙Pを部分的に積載面151aから持ち上げることができるので、排紙トレイ58に積載された用紙Pと新たに排紙された用紙Pとの間で接触面積を小さくすることができる。
【0072】
さらに、ガイド部156は、積載面151aからの高さが調整自在に設けられていてもよい。これにより、用紙Pの剛性(腰の強さ)により、部分的に積載面151aから持ち上げる度合を調整することができるので、用紙Pの剛性(腰の強さ)にかかわらず、積載された用紙Pを部分的に積載面151aから持ち上げることができるので、排紙トレイ58に積載された用紙Pと新たに排紙された用紙Pとの間で接触面積を小さくすることができる。
【0073】
また、排紙ローラ57が水平面に対して排紙角度δで斜め上方へ向かって排紙トレイ58へ排紙したが、排紙ローラ67が垂直面に対して排紙角度δで斜め下方へ向かって排紙トレイ68へ排紙してもよい。
【0074】
図6は、排紙トレイ68の取付状態を模式的に示した側面図である。
【0075】
図6に示すように、本実施形態に係る排紙トレイ68は、印刷装置1で印刷されて排紙口69から排出された用紙Pを積層させるものである。この排紙トレイ68は、下流端部が印刷装置1からせり出して設けられている。
【0076】
排紙トレイ68が備える構成は、排紙トレイ58が備える構成と同一であり、配置の角度が異なっている。
【0077】
用紙Pは、排紙経路RD2を搬送されて排紙口69からY方向に向かって斜め下方に排紙される。垂直面(前後上下方向)に対する用紙Pの排紙方向(Y方向)の角度を排紙角度δという。
【0078】
排紙トレイ68は、排紙口69から排紙される用紙Pの落下位置に設けられている。排紙トレイ68は、積載面151aを有するトレイ本体151を備えている。トレイ本体151は、積載面151a上に用紙Pを積層する受台である。積載面151a上には排紙口69から順次排紙された用紙Pが積層状態で載置される。
【0079】
積載面151aは、用紙Pの排紙方向(Y方向)に対して第1傾斜角度θ1で設けられている。これにより、排紙口59からY方向に排紙された用紙Pの先端が積載面151aに衝突する。
【0080】
積載面151a上には、この衝突位置よりY方向における下流側にガイド部156が設けられている。
【0081】
このガイド部156は、傾斜面156aを有する部材である。ガイド部156は、積載された用紙Pを部分的に積載面151aから持ち上げるように、傾斜面156aが積載面151aに対して第2傾斜角度θ2で設けられている。また、第1傾斜角度θ1と第2傾斜角度θ2とは、それぞれ0°より大きく30°以内である。
【0082】
ガイド部156は、積載面151a上において、排紙方向と直交する方向(X方向)におけるほぼ中央部に設けられており、かつ用紙Pの排紙方向(Y方向)に1つだけ設けられている。
【0083】
以上のように、本発明の第1実施形態に係る印刷装置1が備える排紙トレイ68によれば、排紙トレイ58と同様に、排紙トレイ68に積載された用紙Pに対して、新たに排紙された用紙Pとの間で接触面積が小さくなる。これにより、用紙P間の摩擦および静電気により用紙同士が吸着することを防止することができる。そのため、用紙Pが排紙口59から確実に排紙されるので、用紙Pの後端が排紙口59に残された状態で後続の用紙と衝突することによる紙詰まりの発生を防止できる。これにより、確実に用紙Pを排出させることができる。
【0084】
なお、本発明の第1実施形態では、ガイド部156は、積載面151a上において、用紙Pの排紙方向(Y方向)に1つだけ設けられた排紙トレイ68を例に挙げて説明したが、これに限らず、用紙Pの排紙方向(Y方向)に複数設けられるようにしてもよい。
【0085】
用紙Pの排紙方向(Y方向)に複数設けられた場合、用紙Pのサイズ(搬送方向の用紙長さ)によっては、搬送方向に対して全体が積載面151aから持ち上げられる場合がある。一方、ガイド部156は排紙方向に1つのみ設けられることにより、確実に積載された用紙Pを部分的に積載面151aから持ち上げることができる。
【0086】
また、請求項記載の排紙部は、排紙された用紙Pが積載される積載面151aを備える排紙トレイ68に限らず、例えば、外部給紙部筐体19の上部の傾斜面を積載面として外部給紙部筐体19を排紙部として用いるようにしても良い。
【0087】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0088】
(付記1)
排紙される用紙を積載面に沿って積載する排紙部であって、
前記積載面は排紙された用紙の先端が接触するように、排紙方向に対して所定の第1傾斜角度で設けられ、
前記積載された用紙を部分的に前記積載面から持ち上げるように、前記積載面に対して第2傾斜角度で前記積載面上に設けられたガイド部と、
を備えたことを特徴とする排紙部。
【0089】
このようにガイド部を設けることにより、排紙部に積載された用紙がガイド部により部分的に積載面から持ち上げられた状態で、次の用紙が積載されるので、排紙に積載された用紙と新たに排紙された用紙との間で接触面積が小さくなる。そのため、用紙間の摩擦および静電気が低減し、用紙同士が吸着することを防止することができる。そのため、排紙手段により排紙された用紙が確実に排紙され、用紙の後端が排紙口に残された状態で後続の用紙と衝突することによる紙詰まりの発生を防止できる。これにより、確実に用紙Pを排出させることができる。
【0090】
(付記2)
前記ガイド部は、
前記積載面上において、前記排紙方向と直交する方向における中央の位置に設けられた
ことを特徴とする付記1記載の排紙部。
【0091】
これにより、用紙のサイズに関わらず積載された用紙を部分的に積載面から持ち上げることができる。
【0092】
仮に、ガイド部が積載面上において、排紙方向と直交する方向における両端部に設けられると、横幅(排紙方向と直交する方向における長さ)が極端に狭い用紙の場合、用紙の横幅が両端部のガイド部に接触せず、適切に用紙を持ち上げることが困難になる。一方、ガイド部が排紙方向と直交する方向における中央部に設けられることにより、用紙の横幅がどのようなサイズであっても、用紙はガイド部に接触するので、適切に用紙を持ち上げることができる。
【0093】
(付記3)
前記ガイド部は、
前記積載面における前記排紙された用紙の先端が接触する位置より下流側、かつ前記積載面に積載可能な最大サイズの用紙の先端位置より上流側に設けられた
ことを特徴とする付記1または2記載の排紙部。
【0094】
これにより、排紙された用紙の先端が積載面に接触した後に、ガイド部に到達するので、用紙Pはガイド部に誘導されながら、ガイド部の上流側および下流側に空間を形成しやすくなる。これにより、排紙に積載された用紙と新たに排紙された用紙との間で接触面積を小さくすることができる。
【0095】
(付記4)
前記用紙が排紙される排紙角度と前記第1傾斜角度と前記第2傾斜角度の和が、前記用紙が反り返らない角度となるように、前記傾斜面と前記ガイド部とが設けられた
ことを特徴とする付記1~3のいずれか1項に記載の排紙部。
【0096】
なお、用紙が反り返らない角度とは、水平方向に対して概ね90°未満である。
【0097】
これにより、排紙手段が水平面に対して排紙角度で斜め上方へ向かって排紙部へ排紙する場合、排紙された用紙が排紙部の積載面から離れるように傾倒することを防止し、適切に積載面上に用紙を積載することができる。
【0098】
(付記5)
前記第1傾斜角度および前記第2傾斜角度が、用紙が接触により変形しない角度である
ことを特徴とする付記1~4のいずれか1項記載の排紙部。
【0099】
なお、用紙が接触により変形しない角度とは、用紙の排紙角度に対して0°より大きく概ね30°以内である。
【0100】
これにより、排紙された用紙が積載面に衝突したときの衝撃を緩和すると共に、積載面に沿って搬送される用紙の先端がガイド部に衝突したときの衝撃を緩和することができる。そのため、排紙時の紙ジャムを発生させることなく円滑な排紙を行うことができる。
【0101】
(付記6)
前記ガイド部は、
前記積載面に沿って前記用紙の排紙方向にスライド自在に設けられると共に、前記積載面からの高さが調整自在に設けられた
ことを特徴とする付記1~5のいずれか1項記載の排紙部。
【0102】
積載面に沿って用紙の排紙方向にスライド自在に設けられることにより、用紙が大きいサイズの場合には、下流側にガイド部を移動させ、用紙が小さいサイズの場合には、上流側にガイド部を移動させることができる。これにより、どのようなサイズの用紙が排紙されたとしても、積載された用紙を部分的に積載面から持ち上げることができるので、排紙トレイに積載された用紙と新たに排紙された用紙との間で接触面積を小さくすることができる。
【0103】
さらに、ガイド部が積載面からの高さが調整自在に設けられた場合、用紙の剛性(腰の強さ)により、部分的に積載面から持ち上げる度合を調整することができるので、用紙の剛性(腰の強さ)にかかわらず、積載された用紙を部分的に積載面から持ち上げることができるので、排紙部に積載された用紙と新たに排紙された用紙との間で接触面積を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0104】
1 印刷装置
2 外部給紙部
3 印刷装置本体部
19 外部給紙部筐体
31 内部給紙部
32 印刷部
33 上面搬送部
34 第1排紙部
35 反転部
36 第2排紙部
39 本体筐体
51 上昇搬送ローラ
52 水平搬送ローラ
56 切替部57 排紙ローラ
58 排紙トレイ
59 排紙口
61 反転ローラ
62 再給紙ローラ
63 切替ゲート
66 切替部
67 排紙ローラ
68 排紙トレイ(排紙部)
69 排紙口
151 トレイ本体
151a 積載面
図1
図2
図3
図4
図5
図6