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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091036
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/19 20230101AFI20230622BHJP
   H10K 50/814 20230101ALI20230622BHJP
   H10K 50/84 20230101ALI20230622BHJP
【FI】
H10K50/19
H10K50/814
H10K50/84
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079288
(22)【出願日】2023-05-12
(62)【分割の表示】P 2021169506の分割
【原出願日】2014-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆介
(57)【要約】
【課題】互いに異なる色を発光する複数の有機層を積層した発光装置において、発光色を変化しにくくする。
【解決手段】第1構造物182は、第1電極110、第1有機層122、電荷発生層124、及び第2有機層126を有している。第1有機層122及び第2有機層126は、いずれも電流が流れると発光する。第1有機層122は第1の色で発光し、第1有機層122は第2の色で発光する。第2構造物184は、絶縁層160、電荷発生層124、及び第2有機層126を備えている。第1構造物182の電荷発生層124と、第2構造物184の電荷発生層124は繋がっている。また発光装置10は、第2電極130を有している。第2電極130は第1構造物182と第2構造物184の上に連続して形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた第1構造物と、
前記基板に設けられ、前記第1構造物に並んでいる第2構造物と、
を備え、
前記第1構造物は、
第1電極と、
前記第1電極より上に位置し、第1の色で発光する第1有機層と、
前記第1有機層より上に位置する電荷発生層と、
前記電荷発生層より上に位置し、第2の色で発光する第2有機層と、
を有し、
前記第2構造物は、
透光性の絶縁層と、
前記絶縁層より上に位置する前記電荷発生層と、
前記電荷発生層より上に位置する前記第2有機層と、
を有し、
前記第2構造物の前記電荷発生層は前記第1構造物の前記電荷発生層と繋がっており、
さらに、前記第1構造物上及び前記第2構造物上に連続して位置する第2電極を備え、
前記第1の色と前記第2の色は異なり、
前記第1構造物の発光色は、前記第2構造物の発光色と異なる発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記第1電極上に位置し、前記絶縁層に覆われている導電層を備える発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発光装置において、
前記導電層の縁から前記絶縁層の縁までの距離は15μm以上である発光装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第2の色は、前記第1の色よりも短波長側の色である発光装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第2有機層の発光強度の低下速度は前記第1有機層の発光強度の低下速度よりも大きい発光装置。
【請求項6】
基板と、
基板の上に位置する第1電極と、
前記第1電極の上に位置し、第1の色で発光する第1有機層と、
前記第1有機層の上に位置する電荷発生層と、
前記電荷発生層の上に位置し、第2の色で発光する第2有機層と、
前記第2有機層の上に位置する第2電極と、
前記基板と前記第1有機層の間に位置し、透光性の絶縁層と、
を備え、
前記第1有機層、前記電荷発生層、前記第2有機層、及び前記第2電極のそれぞれは、前記絶縁層の上に位置し、
前記第1の色と前記第2の色は異なり、
前記基板を断面視したとき、前記第1電極、前記第1有機層、前記電荷発生層、前記第2有機層、及び前記第2電極が重なり、かつ、前記絶縁層が重ならない領域の発光色は、前記絶縁層、前記第1有機層、前記電荷発生層、前記第2有機層、及び前記第2電極が重なる領域の発光色と異なる発光装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記絶縁層の上面は、前記第1電極の上面よりも上に位置している発光装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第2有機層の発光面積は、前記第1有機層の発光面積よりも大きい発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、発光素子として有機EL(Organic Electroluminescence)素子を有する発光装置の開発が進んでいる。有機EL素子は、有機層を、第1電極と、第2電極とで挟んだ構成を有している。有機EL素子を有する発光装置には、例えば照明装置や表示装置がある。
【0003】
特許文献1,2には、有機EL素子を有する表示装置が記載されている。例えば特許文献1、2の表示装置は、緑色の発光素子、青色の発光素子、及び赤色の発光素子を繰り返し有している。そして特許文献1において、各発光素子は、下部電極と同一層からなる構造物によって囲まれている。有機層は、この構造物の側面及び上面にも形成されている。また特許文献2において、各発光素子の間には遮光部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-175165号公報
【特許文献2】特開2014-183025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光装置の一つに、複数の発光部を並べ、かつ、複数の発光部のそれぞれにおいて、複数の発光層を積層したものがある。一方、複数の発光部を有する発光装置は、隣り合う発光部を区画する絶縁層を有している。発光装置のうちこの絶縁層と重なる領域は非発光領域となっていた。このため、発光装置の発光量は少なくなっていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、複数の発光部を並べ、かつ、複数の発光部のそれぞれにおいて複数の有機層を積層した発光装置において、光量を増大させることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、基板と、
前記基板に設けられた第1構造物と、
前記基板に設けられ、前記第1構造物に並んでいる第2構造物と、
を備え、
前記第1構造物は、
第1電極と、
前記第1電極より上に形成され、第1の色で発光する第1有機層と、
前記第1有機層より上に形成された電荷発生層と、
前記電荷発生層より上に形成され、第2の色で発光する第2有機層と、
を有し、
前記第2構造物は、
透光性の絶縁層と、
前記絶縁層より上に形成され、前記電荷発生層と、
前記電荷発生層より上に形成された前記第2有機層と、
を有し、
前記第2構造物の前記電荷発生層は前記第1構造物の前記電荷発生層と繋がっており、
さらに、前記第1構造物上及び前記第2構造物上に連続して形成された第2電極を備える発光装置である。
【0008】
第2の発明は、基板と、
前記基板に形成された第1電極と、
前記第1電極に設けられた導電性の第1構造物と、
前記基板に設けられ、前記第1構造物に並んでいる絶縁層と、
前記絶縁層上及び前記第1構造物上に連続して形成された電荷発生層と、
前記絶縁層と重なる領域に位置する前記電荷発生層の上に形成され、発光層を含む有機層と、
前記有機層上に形成された第2電極と、
を備える発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図2】実施例1に係る発光装置の構成を示す平面図である。
図3図2から第2電極を取り除いた図である。
図4図3から有機層を取り除いた図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6】実施例2に係る発光装置の平面図である。
図7図6のB-B断面図である。
図8図6のC-C断面図である。
図9】導電層の縁から絶縁層の縁までの距離と、第2構造物と重なる領域における発光装置の輝度の関係を測定した結果を示す図である。
図10】実施例3に係る発光装置の平面図である。
図11図10のB-B断面図である。
図12】参考例に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本実施形態に係る発光装置10は、基板100、第1構造物182、及び第2構造物184を備えている。第1構造物182は、基板100に設けられており、第1電極110、第1有機層122、電荷発生層124、及び第2有機層126を有している。第1有機層122は第1電極110より上に位置している。電荷発生層124は第1有機層122より上に位置しており、第2有機層126は電荷発生層124より上に位置している。第1有機層122及び第2有機層126は、いずれも電流が流れると発光する。第1有機層122は例えば第1の色で発光し、第2有機層126は例えば第2の色で発光する。ただし、第1有機層122の発光色と第2有機層126の発光色は同一であってもよい。第2構造物184は、基板100に設けられており、絶縁層160、電荷発生層124、及び第2有機層126を備えている。第2構造物184において、電荷発生層124は絶縁層160より上に位置しており、また、第2有機層126は電荷発生層124より上に位置している。第1構造物182の電荷発生層124と、第2構造物184の電荷発生層124は繋がっている。また発光装置10は、第2電極130を有している。第2電極130は第1構造物182と第2構造物184の上に連続して形成されている。具体的には、第2電極130は、第2有機層126の上に形成されている。
【0012】
別の見方をすれば、第2構造物184の第2有機層126は、電荷発生層124及び導電性の第1構造物182を介して第1電極110と接続している。以下、詳細に説明する。
【0013】
基板100は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透光性を有する基板である。基板100は可撓性を有していてもよい。可撓性を有している場合、基板100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。基板100は、例えば矩形などの多角形である。基板100が樹脂基板である場合、基板100は、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを用いて形成されている。また、基板100が樹脂基板である場合、水分が基板100を透過することを抑制するために、基板100の少なくとも一面(好ましくは両面)に、SiNやSiONなどの無機バリア膜が形成されている。
【0014】
第1電極110は、光透過性を有する透明電極である。透明電極の材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極110の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極110は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極110は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。
【0015】
有機層120は、上記した第1有機層122、電荷発生層124、及び第2有機層126を有している。第1有機層122及び第2有機層126は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層をこの順に積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。ここで、第1有機層122の発光層を構成する材料は、第2有機層の発光層を構成する材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0016】
電荷発生層124は、第1有機層122と電荷発生層124の間に位置しており、第1有機層122に正孔および電子の一方(第1電極110が正極の場合は電子)を、第2有機層126に正孔および電子の他方(有機層120が陰極の場合は正孔)を、それぞれ供給する。電荷発生層124は、第1構造物182と第2構造物184とで連続して形成されている。
【0017】
有機層120を構成する各層は、蒸着法で形成されてもよい。また、有機層120のうち少なくとも一つの層、例えば第1有機層122は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。残りの層も同様にして形成してもよくまたは、蒸着法によって形成されていてもよい。また、有機層120のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。
【0018】
第2電極130は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属、又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。この場合、第2電極130は遮光性を有している。第2電極130の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。ただし、第2電極130は、第1電極110の材料として例示した材料を用いて形成されていてもよい。第2電極130は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。
【0019】
そして、発光装置10は第1構造物182及び第2構造物184を有している。第1構造物182は、第1電極110と第2電極130の間に位置しており、第1有機層122、電荷発生層124、及び第2有機層126を有している。第1構造物182の第1有機層122は第1電極110に接しており、第1構造物182の第2有機層126は第2電極130に接している。このように、第1構造物182は、いわゆるタンデム構造を有している。そして第1電極110と第2電極130の間に電流が流れた場合、第1構造物182の第1有機層122及び第2有機層126は発光する。第1有機層122の発光色と第2有機層126の発光色が異なる場合、第1構造物182の発光色は、第1有機層122の発光色と第2有機層126の発光色を混ぜた色になる。
【0020】
一方、第2構造物184は、第1構造物182に並んでおり、絶縁層160、電荷発生層124、及び第2有機層126を有している。絶縁層160は、例えばポリイミド、エポキシ、アクリルやノボラック系の樹脂であり、また、透光性を有している。絶縁層160を形成する一例として、感光性ポリイミドを塗布成膜した後に、フォトリソグラフィ法で形成する方法がある。本図に示す例において、電荷発生層124と絶縁層160の間には第1有機層122が形成されている。ただし、第2構造物184の第1有機層122は第1電極110に接していない。その代わりに、上記したように、第2構造物184の電荷発生層124は第1構造物182の電荷発生層124と連続している。このため、第2構造物184の第1有機層122が第1電極110に接していないにもかかわらず、第1構造物182に供給された電流の一部は電荷発生層124を介して第2構造物184の第2有機層126に供給される。これにより、第2構造物184の第2有機層126は発光する。一方、第2構造物184の第1有機層122はほとんど発光しない。このため、第1有機層122の発光色と第2有機層126の発光色が異なる場合であっても、第2構造物184の発光色は、第2有機層126の発光色になる。
【0021】
また、第2構造物184の幅は、例えば200μm以下であり、また、第1構造物182の幅と第2構造物184の幅は、開口率が例えば75%以上となる様にそれぞれ設計される。このため、第2構造物184からの発光は、第1構造物182からの発光と混ざる。そして発光装置10のユーザは、第1構造物182及び第2構造物184を一つの発光領域として認識する。
【0022】
なお、図1に示す例において、第1電極110は複数に分断されており、また、絶縁層160は第1電極110の間に位置している。ただし、第1電極110は連続していてもよい。この場合、絶縁層160は第1電極110の上に位置する。
【0023】
次に、発光装置10の製造方法を説明する。まず、基板100上に第1電極110を形成する。次いで、絶縁層160、有機層120、及び第2電極130をこの順に形成する。
【0024】
次に、本実施形態に示した発光装置10の動作について説明する。第1電極110と第2電極130の間に電圧を印加すると、上記したように、第1構造物182の第1有機層122、電荷発生層124、及び第2有機層126に電流が流れる。これにより、第1構造物182の第1有機層122及び第2有機層126は発光する。一方、第2構造物184の第2有機層126には、第1構造物182の第1有機層122、及び電荷発生層124を介して電流が流れる。これにより、第2構造物184の第2有機層126は発光する。
【0025】
ここで、第1構造物182の第1有機層122を流れた電流の一部は、第1構造物182の第2有機層126に流れずに、第2構造物184の第2有機層126に流れる。このため、第2構造物184すなわち絶縁層160と重なる領域を発光部として機能させることができる。このため、発光装置10からの発光量(又は光束)を増やすことができる。逆に発光装置10からの発光量を増やす必要がない場合、発光装置10の電流密度を下げることができるため、発光装置10の劣化速度を遅くすることができる。
【0026】
また、有機EL素子の発光色を所望の色にする方法の一つに、第1有機層122の発光層を構成する材料と第2有機層126の発光層を構成する材料とを異ならせ、第1有機層122の発光色と第2有機層126の発光色を異ならせる方法がある。この場合、発光装置10のユーザは、第1構造物182の第1有機層122が発光した光、第1構造物182の第2有機層126が発光した光、及び第2構造物184の第2有機層126が発光した光が混ざった色を、発光装置10の発光色と認識する。
【0027】
一方、有機層からの発光強度(輝度)は、累積発光時間が長くなるにつれて低下するが、この低下速度は有機層の材料によって異なる。このため、互いに異なる色を発光する複数の有機層を積層した場合、累積発光時間が長くなるにつれて発光装置の発光色が変化する可能性があった。
【0028】
例えば、第2有機層126の劣化速度(例えば発光強度の低下速度)は、第1有機層122の劣化速度よりも速い場合、発光装置10の累積発光時間が長くなるにつれて、第2有機層126の輝度の初期値に対する低下率は、第1有機層122の輝度の初期値に対する低下率よりも大きくなりやすい。
【0029】
これに対して本実施形態によれば、第2有機層126の発光面積を第1有機層122の発光面積よりも広げることができる。このため、第2有機層126の電流密度は、第1有機層122の電流密度と比較して小さくなる。従って、第2有機層126の劣化速度を遅くすることができる。その結果、累積発光時間が長くなっても発光装置10の発光色は変化しにくい。
【0030】
なお、このような場合としては、例えば、第2有機層126の発光色が第1有機層122の発光色よりも短波長側である場合がある。例えば、第1有機層122の発光色はオレンジ(同じ発光層に黄色と赤の素子が混在している)であり、第2有機層126の発光色は青色の場合である。この場合、第1構造物182が発光した光の色は白になる。一方、第2構造物184が発光した光の色は青になる。そしてユーザは、発光装置10の発光色を白と認識する。
【実施例0031】
(実施例1)
図2は、実施例1に係る発光装置10の構成を示す平面図である。図3図2から第2電極130を取り除いた図であり、図4図3から有機層120を取り除いた図である。図5図4のA-A断面図である。理解を助けるため、図5には有機層120及び第2電極130も示している。なお、実施形態において図1に示した断面図は、図4のB-B断面に対応している。ただし第1電極110は、発光部140の中で連続的に形成されていてもよい。この場合、絶縁層160は第1電極110上に形成される。
【0032】
本実施例に係る発光装置10は、基板100の第1面102に発光部140を有している。発光部140は、第1電極110、有機層120、第2電極130、及び絶縁層160を有している。そして、有機層120及び絶縁層160は第1構造物182及び第2構造物184を構成している。第1構造物182及び第2構造物184の構成は実施形態と同様である。本図に示す例において、第1構造物182及び第2構造物184は、第1の方向(図2~4におけるx方向)に繰り返し配置されている。また第1構造物182及び第2構造物184は、第1の方向に交わる方向(例えば直交する方向:図2~4におけるy方向)に延在している。
【0033】
また、第1電極110の縁は、絶縁層150によって覆われている。絶縁層150は例えばポリイミドなどの樹脂材料によって形成されており、第1電極110のうち発光部140の発光領域となる部分を囲んでいる。絶縁層150を設けることにより、第1電極110の縁において第1電極110と第2電極130が短絡することを抑制できる。絶縁層150は、絶縁層160よりも高く形成されている。このため、有機層120の電荷発生層124及び第2有機層126が絶縁層150を乗り越えることを抑制できる。
【0034】
また、発光装置10は、第1端子112及び第2端子132を有している。第1端子112は第1電極110に接続しており、第2端子132は第2電極130に接続している。第1端子112及び第2端子132は、例えば、第1電極110と同一の材料で形成された層を有している。なお、第1端子112と第1電極110の間には引出配線が設けられていてもよい。また、第2端子132と第2電極130の間にも引出配線が設けられていてもよい。
【0035】
本実施例においても、発光装置10は第1構造物182及び第2構造物184を有している。このため、実施形態と同様に、発光装置10からの発光量(又は光束)を増やすことができる。逆に発光装置10からの発光量を増やす必要がない場合、発光装置10の電流密度を下げることができるため、発光装置10の劣化速度を遅くすることができる。
【0036】
また、第1有機層122の発光層を構成する材料と第2有機層126の発光層を構成する材料とを異ならせ、第1有機層122の発光色と第2有機層126の発光色を異ならせた場合において、実施形態と同様に、累積発光時間が長くなっても発光装置10の発光色は変化しにくい。
【0037】
また発光装置10は、第1構造物182及び第2構造物184を繰り返し有している。このため、発光装置10の発光面積を広げることができる。
【0038】
(実施例2)
図6は、実施例2に係る発光装置10の平面図であり、実施例1における図4に対応している。図7図6のB-B断面図であり、図8図6のC-C断面図である。なお図6のA-A断面図は、実施例1の図5に示したとおりである。本実施例に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施例1に係る発光装置10と同様の構成である。
【0039】
まず、第1電極110は発光部140の中で連続的に形成されている。そして、絶縁層160は第1電極110上に形成されている。
【0040】
また、第1電極110上には導電層170が形成されている。導電層170は第1電極110の補助電極として機能し、第1電極110よりも低抵抗な材料、例えば金属によって形成されている。導電層170は遮光性を有している。導電層170は多層構造を有していてもよい。この場合、導電層170は、例えば、Mo又はMo合金などの金属層である第1導電層、Al又はAl合金などの金属層である第2導電層、及び、Mo又はMo合金などの金属層である第3導電層をこの順に積層した構成を有している。第2導電層の厚さは、例えば50nm以上1000nm以下である。好ましくは100nm以下である。また第1導電層及び第3導電層は、第2導電層よりも薄く、例えば30nm以下、好ましくは25nm以下である。導電層170の幅は、例えば1μm以上150μm以下である。そして、導電層170は絶縁層160によって覆われている。言い換えると、導電層170は第1構造物182と重なっている。
【0041】
図9は、導電層170の縁から絶縁層160の縁までの距離dと、第2構造物184と重なる領域における発光装置10の輝度の関係を測定した結果を示している。この測定において、距離dが300μmのときの輝度を100%としている。距離dが15μmの場合、光の輝度は14%である。そして距離dが30μmのときの輝度は25%であり、距離dが70μmのときの輝度は50%である。また、距離dが130μmのときの輝度は70%である。このように、距離dが15μm以上になると、第2構造物184と重なる領域における発光装置10の輝度を確保することができる。なお、距離は300μm以下であるのが好ましい。このようにすると、第2構造物184の幅を必要以上に広くしなくて済む。
【0042】
以上、本実施例によっても、実施例1と同様に、発光装置10からの発光量(又は光束)を増やすことができる。逆に発光装置10からの発光量を増やす必要がない場合、発光装置10の電流密度を下げることができるため、発光装置10の劣化速度を遅くすることができる。また、第1有機層122の発光層を構成する材料と第2有機層126の発光層を構成する材料とを異ならせ、第1有機層122の発光色と第2有機層126の発光色を異ならせた場合において、実施形態と同様に、累積発光時間が長くなっても発光装置10の発光色は変化しにくい。
【0043】
また、第1構造物182及び第2構造物184を繰り返し有しているため、発光装置10の発光面積を広げることができる。さらに、絶縁層160と重なる領域に導電層170を設けたため、第1電極110の見かけ上の抵抗を低くすることができる。このため、発光装置10の輝度に面内分布が生じることを抑制できる。
【0044】
(実施例3)
図10は、実施例3に係る発光装置10の平面図であり、実施例2における図6に対応している。図11は、図10のB-B断面図である。本実施例に係る発光装置10は、絶縁層150が絶縁層160と同一工程で形成されている点を除いて、実施例2に係る発光装置10と同様の構成である。
【0045】
詳細には、絶縁層150は絶縁層160と一体になっている。そして絶縁層150の高さは、絶縁層160の高さとほぼ同様である。このため、有機層120の少なくとも電荷発生層124及び第2有機層126は、絶縁層150の上面にも形成される。
【0046】
本実施例によっても、実施形態と同様に、発光装置10からの発光量(又は光束)を増やすことができる。逆に発光装置10からの発光量を増やす必要がない場合、発光装置10の電流密度を下げることができるため、発光装置10の劣化速度を遅くすることができる。また、第1有機層122の発光層を構成する材料と第2有機層126の発光層を構成する材料とを異ならせ、第1有機層122の発光色と第2有機層126の発光色を異ならせた場合において、実施形態と同様に、累積発光時間が長くなっても発光装置10の発光色は変化しにくい。
【0047】
また、実施例2と同様に、発光装置10の発光面積を広げることができる。さらに、発光装置10の輝度に分布が生じることを抑制できる。
【0048】
(参考例)
図12は、参考例に係る発光装置10の構成を示す断面図であり、実施形態における図1に対応している。本参考例に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様の構成を有している。
【0049】
まず、絶縁層160の側面162はテーパを有している。そして、少なくとも第1有機層122及び電荷発生層124は、絶縁層160の上面には形成されていない。本図に示す例では、第2有機層126も絶縁層160の上面には形成されていない。
【0050】
本参考例によれば、絶縁層160の側面162はテーパを有しているため、電荷発生層124が絶縁層160の上面に形成されることを抑制できる。このため、絶縁層160の上面において有機層を発光させたくない場合、この発光を抑制できる。
【0051】
なお、上述した実施例1~3において、発光装置10は本参考例と同様の構成を有していてもよい。
【0052】
以上、図面を参照して実施形態、実施例、及び参考例について述べたが、これらは発光装置の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
10 発光装置
100 基板
110 第1電極
120 有機層
122 第1有機層
124 電荷発生層
126 第2有機層
130 第2電極
160 絶縁層
170 導電層
182 第1構造物
184 第2構造物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12