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特開2023-91042流れ転向特徴を有する末梢静脈内カテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091042
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】流れ転向特徴を有する末梢静脈内カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
A61M25/06 580
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079398
(22)【出願日】2023-05-12
(62)【分割の表示】P 2020517990の分割
【原出願日】2018-09-06
(31)【優先権主張番号】15/716,812
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ビールマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ビン ワン
(57)【要約】
【課題】カテーテルアダプタの内部内で起こるフラッシングの量を最大化する。
【解決手段】延長セットを備えたPIVCは、カテーテルアダプタの内部内で起こるフラッシングの量を最大限にするための1つまたは複数の流れ転向特徴を含むことができる。したがって、これらの流れ転向特徴は、PIVCが延長セットを介してフラッシングされた後でカテーテルアダプタ内に存在し得る残留血液、薬剤、または他の流体の量を最小限に抑えることができる。流れ転向特徴は、延長セットの側部ポートに対する構造的変更、側部ポートもしくはカテーテルアダプタ内に含まれた別個の構成要素、側部ポートもしくはカテーテルアダプタ内の一体化された構成要素、他の特徴、またはこれらの特徴の任意のいくつかの組合せの形態であり得る。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈内アクセスデバイスであって、
近位端部および遠位端部、ならびにその間を延びる管腔を形成する側壁を有するカテーテルアダプタと、
前記遠位端部から延びるカテーテルと、
前記カテーテルアダプタの前記側壁から外方向に延びる側部ポートであって、前記カテーテルアダプタの前記管腔と流体連通する、側部ポートと、
前記カテーテルアダプタから前記側部ポートに流れる流体を転向させるように構成された流れ転向特徴と
を備えた、静脈内アクセスデバイス。
【請求項2】
前記側部ポートの長手方向軸は、前記流れ転向特徴を形成するために、前記カテーテルアダプタの長手方向軸の平面に対してずらされ、それにより、前記側部ポートから前記管腔内に流れる流体は、前記平面から偏向する角度に向けられる、または、
前記側部ポートの長手方向軸は、前記流れ転向特徴を形成するために、前記カテーテルアダプタの長手方向軸の平面に実質的に平行であるが、前記平面からずらされる、
請求項1に記載の静脈内アクセスデバイス。
【請求項3】
前記側部ポートの前記長手方向軸は、前記カテーテルアダプタの前記長手方向軸の前記平面に対して、180度未満の角度である、請求項2に記載の静脈内アクセスデバイス。
【請求項4】
前記側部ポートの前記長手方向軸は、前記カテーテルアダプタの長手方向軸の前記平面に実質的に平行であるが、前記平面からずらされる、請求項2に記載の静脈内アクセスデバイス。
【請求項5】
前記側部ポートを通って前記管腔内に流れる流体を近位方向に転向させるように構成された流れ転向特徴をさらに備えた、請求項2に記載の静脈内アクセスデバイス。
【請求項6】
流れ転向特徴は転向装置を備え、前記転向装置は、前記側部ポートの開口部内に中央に位置決めされ、それによって前記転向装置の周りに、前記側部ポートから前記管腔内に流れる流体のための遠位チャネルおよび近位チャネルを形成する、請求項1に記載の静脈内アクセスデバイス。
【請求項7】
前記転向装置は、前記側部ポートの両側間を延びる、請求項6に記載の静脈内アクセスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れ転向特徴を有する末梢静脈内カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
末梢静脈内カテーテル(PIVC)は、末梢静脈内に置かれるように設計された静脈内デバイスである。PIVCは、しばしば、「閉鎖された」または「一体化された」IVデバイスとして構成することができ、これは、デバイスが、カテーテル挿入中、血液がデバイスから逃げることを防止するように構成されるという事実を指す。通常、そのようなPIVCは、これを達成するために一体化された延長セットを備えて設計される。
【0003】
図1は、一体化された延長セットを含む典型的なPIVC100の一例を提供する。PIVC100は、カテーテル102がそこから延びる遠位端部と、セプタム103が内部に位置決めされた近位端部とを有するカテーテルアダプタ101を含む。図示しないが、PIVC100は、最初に、カテーテルアダプタ101の近位端部からセプタム103を通って延びてカテーテル102の遠位端部から出る挿入針を含む。セプタム103は、この挿入針(または任意の他の挿入されたデバイス)が引き出された後、カテーテルアダプタ101の内部をシールするように機能する。PIVC100の延長セットは、カテーテルアダプタ101の内部に流体的に結合された側部ポート104と、延長チューブ105と、アダプタ106とによって形成される。アダプタ106を介して延長チューブ105に注射された流体は、側部ポート104を介してカテーテルアダプタ101の内部に流入し、最終的には、カテーテル102を介して患者に入る。このようにして薬剤などの流体を、カテーテルアダプタ101の内部への直接アクセスを必要とせずに患者に投与することができる。
【0004】
PIVCが患者の静脈に挿入されている間、PIVCをフラッシングすることが必要となり得る。たとえば、カテーテル102の挿入中、血液は、カテーテル102を通って近位に流れ、カテーテルアダプタ101の内部に入り得る。血液をカテーテルアダプタ101からフラッシングして細菌または他の病原菌の成長を防止することが通常望ましい。他方では、薬剤が延長セットを通して投与されるとき、薬剤のいくらかは、カテーテルアダプタ101内に残りやすい。ここでも、カテーテルアダプタ101からの残留薬剤すべてを患者内にフラッシングすることが通常望ましい。このフラッシングは、通常、延長セットを介して生理食塩水をカテーテルアダプタ101に注射することによって達成される。
【0005】
既存のPIVCでは、延長セットを介して生理食塩水を注射することによってカテーテルアダプタ101を完全にフラッシングすることは難しい。たとえば、カテーテルアダプタ101の長手方向軸に対する側部ポート104の角度により、生理食塩水は、カテーテル102に向かって遠位方向にカテーテルアダプタ101内に流れる。セプタム103を収容するために、カテーテルアダプタ101の内部は、側部ポート104の開口部に対して近位方向に細長くなり得る。いくらかの転向は存在するが、生理食塩水の主な流れは、図1Aの矢印によって表すように側部ポート104の開口部とカテーテル102との間に直接存在する。結果として、この「近位の細長い領域」に位置する残留血液、薬剤、または他の流体は、カテーテルアダプタ101から適切にフラッシングされない可能性が高い。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、概して、延長セットを備えたPIVCであって、カテーテルアダプタの内部内で起こるフラッシングの量を最大化するための1つまたは複数の流れ転向特徴を含む、PIVCを対象とする。したがって、これらの流れ転向特徴は、PIVCが延長セットを介してフラッシングされた後にカテーテルアダプタ内に存在し得る残留血液、薬剤、または他の流体の量を最小限に抑えることができる。流れ転向特徴は、延長セットの側部ポートに対する構造的変更、側部ポートもしくはカテーテルアダプタ内に含まれた別個の構成要素、側部ポートもしくはカテーテルアダプタ内の一体化された構成要素、または他の特徴の形態であり得る。
【0007】
1つの実施形態では、本発明は、IVアクセスデバイスとして実装され、IVアクセスデバイスは、近位端部および遠位端部、ならびにその間を延びる管腔を形成する側壁を有するカテーテルアダプタと、遠位端部から延びるカテーテルと、カテーテルアダプタの側壁から外方向に延びる側部ポートであって、カテーテルアダプタの管腔と流体連通する、側部ポートと、側部ポートを通って管腔内に流れる流体を近位方向に転向させるように構成された流れ転向特徴とを含む。場合によっては、流れ転向特徴は、側壁ポートの側壁からの突起部、転向装置であって、側部ポートの開口部内に中央に位置決めされ、それによって転向装置の周りに、側部ポートから管腔内に流れる流体のための遠位チャネルおよび近位チャネルを形成する、転向装置、カテーテルアダプタの側壁の一部分からの突起部であって、側壁のその一部分は、側部ポートに対向して位置決めされる、突起部、インサート、またはそのような特徴の組合せのうちの少なくとも1つの形態であり得る。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、末梢静脈内カテーテルとして実装され、末梢静脈内カテーテルは、近位端部および遠位端部、ならびにその間を延びる管腔を形成する側壁を有するカテーテルアダプタと、遠位端部から延びるカテーテルと、カテーテルアダプタの側壁から外方向に延びる側部ポートであって、カテーテルアダプタの管腔と流体連通する、側部ポートと、側部ポートを通って管腔内に流れる流体を近位方向に転向させるように構成された流れ転向特徴とを含む。場合によっては、流れ転向特徴は、側部ポートの側壁からの突起部、転向装置であって、側部ポートの開口部内の中央に位置決めされ、それによって転向装置の周りに、側部ポートから管腔内に流れる流体のための遠位チャネルおよび近位チャネルを形成する、転向装置、カテーテルアダプタの側壁の一部分からの突起部であって、側壁のその一部分は、側部ポートに対向して位置決めされる、突起部、または管腔内もしくは側部ポート内に位置決めされたインサートのうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、IVアクセスデバイスとして実装され、IVアクセスデバイスは、近位端部および遠位端部、ならびにその間を延びる管腔を形成する側壁を有するカテーテルアダプタと、遠位端部から延びるカテーテルと、カテーテルアダプタの近位端部において管腔内に位置決めされたセプタムと、カテーテルアダプタの側壁から外方向に延びる側部ポートであって、カテーテルアダプタの管腔と流体連通している、側部ポートと、1つまたは複数の流れ転向特徴であって、側部ポートの側壁からの突起部、転向装置であって、側部ポートの開口部内に中央に位置決めされ、それによって転向装置の周りに、側部ポートから管腔内に流れる流体のための遠位チャネルおよび近位チャネルを形成する、転向装置、カテーテルアダプタの側壁の一部分からの突起部であって、側壁のその一部分は、側部ポートに対向して位置決めされる、突起部、または管腔内もしくは側部ポート内に位置決めされたインサートのうちの1つまたは複数を備えた、1つまたは複数の流れ転向特徴とを含む。
【0010】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、本発明の特定の実施形態に組み込むことができ、以下の説明および付属の特許請求の範囲からより完全に明らかになり、またはこれ以後記載する本発明の実践によって習得され得る。本発明は、本明細書において説明するすべての有利な特徴およびすべての利点を本発明のすべての実施形態に組み込むことは必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の上記で引用した、他の特徴および利点が得られる方法が容易に理解されるように、上記で簡潔に説明した本発明のより具体的な説明が、付属の図に示すその特有の実施形態を参照してなされる。これらの図は、本発明の典型的な実施形態にすぎず、したがって、本発明の範囲を限定するように考えられるものではない。
【0012】
図1図1は、延長セットを含む従来技術のPIVCを示す図である。
図1A図1Aは、低減したフラッシングの領域が従来技術のPIVC内に存在し得る様子を示す図である。
図2図2は、延長セットの側部ポートに組み込まれた流れ転向特徴を含むPIVCを示す図である。
図2A図2Aは、図2の流れ転向特徴がカテーテルアダプタのフラッシングを強化する様子を示す図である。
図2B図2Bは、図2の流れ転向特徴の湾曲した実施形態を示す図である。
図2C図2Cは、流れ転向特徴をどのようにして側部ポートの中心に組み込むことができるかを示す図である。
図3A図3Aは、カテーテルアダプタの中央軸に対してずらされた中央軸を有する側部ポートを含むPIVCを示す図である。
図3B図3Bは、カテーテルアダプタの中央軸と平行の、ただしそこから離間された中央軸を有する側部ポートを含むPIVCを示す図である。
図4図4は、延長セットの側部ポートに対向するカテーテルアダプタの側壁上に位置決めされた流れ転向特徴を含む、PIVCを示す図である。
図5A図5Aは、カテーテルアダプタ内に位置決めされた流れ転向インサートを含むPIVCを示す図である。
図5B図5Bは、側部ポート内に位置決めされた流れ転向インサートを含むPIVCを示す図である。
図6A図6Aは、カテーテルアダプタの近位端部内に収容されたセプタムの近くに位置決めされた側部ポートを含むPIVCを示す図である。
図6B図6Bは、カテーテルアダプタの近位端部内に収容されたセプタムの近くに位置決めされた側部ポートを含むPIVCを示す別の図である。
図7図7は、カテーテルアダプタ内に側部ポートの遠位に位置決めされた流れ転向インサートを含むPIVCを示す図である。
図7A図7Aは、図7に示す流れ転向インサートの詳細な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2は、本発明の実施形態による1つまたは複数の流れ転向特徴を含むように構成され得るPIVC200の断面図を示す。PIVC100と同様に、PIVC200は、カテーテルアダプタ201と、カテーテルアダプタ201の遠位端部から延びるカテーテル202と、カテーテルアダプタ201の近位端部内に位置決めされたセプタム203と、カテーテルアダプタ201の側壁から延び、カテーテルアダプタ201の内部内への流体通路を提供する側部ポート204と、側部ポート204に結合された延長チューブ205とを含む。PIVC200の全体構造は、PIVC100の全体構造と同様であるように示されるが、これはそうである必要はない。本発明の流れ転向特徴は、延長セットを備えたPIVCの数多くの異なる構成/設計に組み込むことができる。
【0014】
図2では、PIVC200は、側部ポート204の側壁からの突起部210の形態の流れ転向特徴を備えて構成される。突起部210は、延長セットからカテーテルアダプタ201内に流れる流体の経路内に延びる。突起部210の2つの主な特徴が図2に提供される:(1)側部ポート204の側壁に対する突起部210の面210aの角度および(2)突起部210の高さ。図2に示す実施形態では、面210aの角度は、85°であり、これは、カテーテルアダプタ201内に流れる流体の主要方向にほぼ垂直であることを示す。表すような突起部201の高さは、0.016インチ(0.4064mm)である。この高さは、面210aの先端部と、側部ポート204の側壁の軸がカテーテルアダプタ201の側壁と交差する点(すなわち側壁が突起部210を含まなかった場合に側部ポート204の開口部が始まる点)との間の距離として測定される。したがって、この高さは、突起部210がカテーテルアダプタ201の側壁の軸に沿って側部ポート204の開口部内に近位にどれだけ延びるかを規定する。
【0015】
突起部210の角度および/または高さを変動させて、フラッシング流体の圧力上に異なる影響を与えて異なるレベルのフラッシングを達成することができる。たとえば、シミュレーションに基づいて、突起部210がここに表す角度および高さを有する場合、57%のフラッシング効率が、0.2psiの圧力上昇だけで、PIVC100に対して得られ得る。フラッシング効率を増大させることが判明している他の変動は、高さ0.012インチ(0.3048mm)および角度85°、高さ0.020インチ(0.508mm)および角度85°、ならびに高さ0.016インチ(0.4064mm)および角度60°を含む。これらの変動は、例としてのみ提供され、本発明を任意の特定の寸法に限定するものとして解釈されてはならない。
【0016】
図2Aは、突起部210がPIVC200のフラッシング効率を増大させることができる様子を全体的に示す。矢印で表すように、側部ポート204を通ってカテーテルアダプタ201内に流れる流体は、突起部210によって転向されてカテーテルアダプタ201の近位端部に向かって渦を作り出す。この渦は、フラッシング後にカテーテルアダプタ201の近位端部に残り得る血液、薬剤、または他の流体の量を最小限に抑える。上記で述べたように、これは、フラッシング流体の圧力の比較的少しの増大で達成することができる(すなわち、PIVC200をフラッシングするのに必要とされるのは、少しの力の増大である)。
【0017】
突起部210は、任意の適切な方法で形成することができる。たとえば、カテーテルアダプタ201および側部ポート204を作り出すために使用される成形型を、突起部210を形成するように変更することができる。あるいは、突起部210は、任意の適切な方法で側部ポート204に結合された別個の構成要素として形成され得る。これが別個の構成要素として形成される場合、突起部210は、以下でさらに説明するように、カテーテルアダプタ201内に含まれる流体に抗菌の利益を付加するように設計された材料で形成することができる。
【0018】
図2Bは、突起部210が湾曲した面210aを有する実施形態を示す。いくつかの実施形態では、面210aを湾曲するように構成した結果、フラッシング流体の圧力を低下させ、フラッシング効率にわずかな増大がもたらされる。湾曲した面210aは、突起部210の上記で説明したいずれの変動にも、ならびに任意の他の適切な変動にも採用することができる。図示していないが、いくつかの実施形態では、面210aは、らせん状に湾曲することができる。このらせん状は、さまざまな断面に沿って突起部210の高さを変えることによって達成することができる。高さのこの変動は、流体を突起部210の深さに沿ってわずかに異なる角度に向け直し、それによって、さらに、結果として生じた渦にらせんパターンを付与することができる。
【0019】
図2Cは、突起部210と同じ全体的な断面形状を有する転向装置220が側部ポート204の開口部内に中央に位置決めされた実施形態を示す。図2Cでは見ることができないが、転向装置220は、側部ポート204の上側側壁と下側側壁との間を延び、それによって側部ポート204の近位側および遠位側に沿って流体チャネルを形成することができる。突起部210と同様に、転向装置220は、高さを有し、角度を有する面220aを含む。転向装置220の高さおよび角度の両方は、突起部210に関して上記で説明した変動と同様であることができる。シミュレーションでは、転向装置220が、フラッシング効率を、フラッシング圧力の増大にもかかわらず、突起部210で得られたもの以上にさらに改善できることが示された。
【0020】
図3Aおよび3Bは、先に説明したPIVCと同様の全体構造を有することができるPIVC300の実施形態をそれぞれ示す。たとえば、PIVC300は、カテーテルアダプタ301、カテーテル302、セプタム(図示せず)、側部ポート304、および延長チューブ305を含むものとして示される。先の図とは異なり、図3Aおよび3Bは、カテーテルアダプタ301の長手方向軸に垂直に、側部ポート304を貫通して切り取られた断面図である。
【0021】
側部ポート204の長手方向軸がカテーテルアダプタ201の長手方向軸と同じ平面内にあると仮定した実施形態PIVC200とは対照的に、側部ポート304の長手方向軸は、カテーテルアダプタ301の長手方向軸の平面に対してずらされるか(図3A)、またはこの平面に平行であるが、この平面から離間される(図3B)。
【0022】
より具体的には、図3Aでは、側部ポート304の開口部は、カテーテルアダプタ301の中央軸の平面によって交差され、側部ポート304の中央軸は、(2つの軸間の180°未満の角度によって表すように)この平面に対して下方向に(またはPIVCの配向に応じて上方向に)角度付けされる。その結果、側部ポート304を介してカテーテルアダプタ301内に流れる流体は、中央軸から偏向する角度でカテーテルアダプタ301に入り、それによって、カテーテルアダプタ301内で流れを渦巻き状にまたはらせん状に流れさせてフラッシング効率を増大させる。
【0023】
フラッシング流体の同様の渦巻き状またはらせん状の流れは、図3Bに示すように、側部ポート304を、その中央軸がカテーテルアダプタ301の中央軸に実質的に平行であるが、ここから(いくらかのわずかではない距離Xだけ)離間されるように構成することによって達成することができる。このようにして、側部ポート304の開口部は、カテーテルアダプタ301の底部(またはPIVCの配向に応じて上部)に向かってずらされる。
【0024】
PIVC300のいずれの実施形態においても、フラッシング流体の、これが側部ポート304から出るときの流れは、中央軸の下方にあるカテーテルアダプタ301の側壁の一部分に向かって向けられる。カテーテルアダプタ301の全体的に円形の形状は、次いで、流れを上方向に湾曲させてらせん状に転向させ、それによってフラッシング後の残留血液、薬剤、または他の流体の量を最小限に抑える。いくつかの実施形態では、PIVCの側部ポートは、図3Aおよび3Bの両方によって構成することができる(すなわち、側部ポートは、カテーテルアダプタ301の中央軸に対して、ここからずらして角度付けすることができる)。
【0025】
図4は、流れ転向特徴が側部ポートに対向するカテーテルアダプタの側壁に沿って形成されるPIVC400の実施形態を示す。図示するように、PIVC400は、カテーテルアダプタ401と、カテーテル402と、セプタム403と、側部ポート404と、延長チューブ405とを含み、したがって、先に説明したPIVCと同様の全体構造を有する。追加的に、PIVC400は、カテーテルアダプタ401の側壁からの突起部410の形態の流れ転向特徴を含む。突起部410は、側部ポート404から流出した流れが突起部410上に衝突するように側部ポート404に対向して位置決めすることができる。突起部410は、近位を向く面410aと、遠位を向く面410bとを含むことができる。面410aは、流体を近位方向に転向させ、それによってカテーテルアダプタ401の近位端部に向かって渦を作り出すことができる。
【0026】
図5Aおよび5Bそれぞれは、インサートの形態の流れ転向特徴を含むPIVC500の実施形態を示す。PIVC500は、カテーテルアダプタ501と、カテーテル502と、セプタム503と、側部ポート504と、延長チューブ505とを含む。図で分かるように、PIVC500自体の構造は、PIVC100、または延長セットを含む任意の他のPIVCと同じであることができる。
【0027】
図5Aでは、PIVC500は、カテーテルアダプタ501内に側部ポート504の開口部より高く位置決めされたインサート510aを含む。インサート510aは、フラッシング流体の流れを近位方向に転向させる少なくとも1つのチャネルを含む、インサートを通るチャネルを形成するいくつかの開口部を含むことができる。開口部の多くの異なる形状、サイズ、および配向で適切なインサートを構成してこの転向を達成することができる。
【0028】
図5Bでは、PIVC500は、側部ポート504の内側に位置決めされ、カテーテルアダプタ501内に部分的に延びることができるインサート510bを含む。インサート510aと同様に、インサート510bは、フラッシング流体の流れを近位方向に転向させるためのチャネルを形成するいくつかの開口部を含むことができる。近位方向の流れの転向は、渦を作り出して、上記で説明したようにフラッシング効率を高めることができる。
【0029】
図6Aおよび6Bそれぞれは、フラッシング効率をさらに高めるために、カテーテルアダプタの長手方向軸に沿った側部ポートの相対位置をどのように調整できるかを示す。これらの図のそれぞれは、カテーテルアダプタ601と、カテーテル602と、セプタム603と、側部ポート604と、延長チューブ605とを有するPIVC600を示す。図6Aでは、側部ポート604は、セプタム603近くのより近位の場所に位置決めされる。側部ポート604をセプタム603のすぐ近くに位置決めすることにより、側部ポート604の近位にあるカテーテルアダプタ601の領域は、最小限に抑えられる。この領域を最小限に抑えることにより、先に説明した流れ転向特徴によって提供される渦および/または近位転向は、より効果的になり得る。図6Bでは、側部ポート604は、カテーテルアダプタ601に対してより大きな角度で配向されるものとしてさらに示される。この場合、角度は、鋭角であるが、ほぼ90°である。このほぼ90°の角度により、フラッシング効率を高めるためにフラッシング流体を転向させる必要がある量は、低減される。側部ポート604が同様に、図6Bに示すようにセプタム603の近くに位置決めされる場合、特に同じことが言える。
【0030】
側部ポート604をセプタム603のより近くに再位置決めすることおよび/または側部ポート604の角度を90°により近くなるように調整することを、先に説明した流れ転向特徴のいずれかと併用して実行して、その効果性を強化することができる。たとえば、PIVC600もまた、突起部210または突起部410を含んで、カテーテルアダプタ601の近位端部内に渦を形成することができる。この近位端部の限定された領域により、フラッシング中の渦の形成の結果、従来技術のPIVCで可能であったフラッシング効率において顕著な改善を得ることができる。PIVC600内にインサート510aもしくは510bを含むことによって、または側部ポート604を図3Aもしくは3Bにしたがってさらに構成することによって、同じことが言える。
【0031】
図7は、カテーテルアダプタ701と、カテーテル702と、セプタム703と、側部ポート704と、延長チューブ705とを有するPIVC700を示す。PIVC700はまた、側部ポート704の遠位に位置決めされたインサート710の形態の流れ転向特徴を含む。図示するように、インサート701は、全体的に環状の形状(図7Aを参照)を有することができ、カテーテルアダプタ701の側壁内に(たとえば圧縮嵌めによって)ぴったりと嵌まるように構成することができる。インサート710は、外方向に配向され、側部ポート704の開口部より高く近位に延びる近位面710aを含むことができる。したがって、面710aは、突起部210と同様の方法で、フラッシング流体の流れを近位方向に転向させるように機能することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、インサート510および710は、カテーテルアダプタ内に抗菌の利益を提供する材料で形成することができる。たとえば、インサート510または710は、クロルヘキシジンなどの抗菌剤を溶出する材料で形成するか、またはコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、これらのインサートは、湿潤すると膨張してずれを防止する吸湿性材料で主に形成することができる。
【0033】
さまざまな流れ転向特徴をPIVC上で別個に実装するものとして主に説明してきたが、説明した特徴の2つまたはそれ以上の組合せを単一のPIVC上に採用することができる。また、説明した流れ転向特徴を、延長セットを含むPIVCの任意のタイプまたは構成上で(すなわち、フラッシングに使用される側部ポートを有する任意のPIVC上で)採用することができる。さらに、説明はPIVCに限定しているが、側部ポートを含む任意の他のIVアクセスデバイス上で流れ転向特徴を採用することができる。
【0034】
本発明は、本明細書において広く説明し、特許請求するその構造、方法、または他の本質的な特性から逸出することなく、他の特有の形態で具現化されてもよい。説明する実施形態は、あらゆる点において、制限的ではなく例示的のみであると考えられるものとする。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、付属の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の等価性の意味および範囲内に入るすべての変更は、これらの範囲内に包含されるものとする。
図1
図1A
図2
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図7A