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特開2023-91054ゲームプログラム、ゲーム装置、ゲームシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091054
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、ゲーム装置、ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/45 20140101AFI20230622BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20230622BHJP
【FI】
A63F13/45
A63F13/79 520
A63F13/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079605
(22)【出願日】2023-05-12
(62)【分割の表示】P 2021128086の分割
【原出願日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲
(72)【発明者】
【氏名】奥山 幹樹
(72)【発明者】
【氏名】津原 一成
(72)【発明者】
【氏名】川上 智司
(72)【発明者】
【氏名】田中 大将
(72)【発明者】
【氏名】北口 里英
(57)【要約】
【課題】ゲーム媒体の流動性を向上させることが可能なゲームプログラムを提供する。
【解決手段】ゲームプログラムは、ゲーム装置5の制御部56を、設定手段564、及び引継実行手段565として機能させる。設定手段564は、引継元ユーザに対応付けられているゲーム媒体に対して所定の処理の実行を予め指定するための処理情報として、処理が実行されるタイミングを規定するトリガ情報、及び処理の内容を規定する引継情報を含む処理情報を設定する。引継実行手段565は、トリガ情報において規定されるタイミングの到来に応じて、処理情報が設定されたゲーム媒体に対して引継情報に応じた処理を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
第1ユーザに対応付けられているゲーム媒体に対して所定の処理の実行を予め指定するための処理情報として、前記処理が実行されるタイミングを規定する第1情報、及び前記処理の内容を規定する第2情報を含む処理情報を設定する設定手段と、
前記タイミングの到来に応じて、前記処理情報が設定された前記ゲーム媒体に対して前記第2情報に応じた処理を実行する実行手段と、として機能させる
ゲームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、ゲーム装置、及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に記載のゲーム装置は、ゲームのサービスが終了する際に、その旨をユーザに事前に告知することにより他のゲームへの乗り換えを促すとともに、乗り換え先のゲームで利用可能なポイントをユーザに付与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-37677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のゲーム装置に限らず、各種のゲーム装置では、何らかの理由によりユーザがゲームを引退したような場合、あるいはユーザのアカウントが停止された場合、そのユーザが所有しているゲーム媒体はそのまま放置されることになる。これが、ゲーム媒体の流動性を低下させる要因となっている。
【0005】
本開示の目的は、ゲーム媒体の流動性を向上させることが可能なゲームプログラム、ゲーム装置、及びゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、コンピュータを、
第1ユーザに対応付けられているゲーム媒体に対して所定の処理の実行を予め指定するための処理情報として、前記処理が実行されるタイミングを規定する第1情報、及び前記処理の内容を規定する第2情報を含む処理情報を設定する設定手段と、
前記タイミングの到来に応じて、前記処理情報が設定された前記ゲーム媒体に対して前記第2情報に応じた処理を実行する実行手段と、として機能させる
ゲームプログラムである。
【0007】
第1の側面において、前記実行手段は、前記タイミングの到来に応じて、前記第1ユーザによるゲーム内における入力操作を必要とすることなく、前記第2情報に応じた処理を実行することができる。
第1の側面において、前記タイミングの到来に応じて、前記ゲーム媒体を利用可能なゲームの進行に制限を設ける制限手段として更に機能させることができる。
【0008】
第1の側面において、前記ゲーム媒体を第1ゲーム媒体とするとき、
前記第2情報は、前記第1ゲーム媒体、又は前記第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を、前記第1ユーザとは別である第2ユーザに関連付ける処理である。
【0009】
第1の側面において、前記第2ユーザに関連付けられる前記第1ゲーム媒体又は前記第2ゲーム媒体を対象ゲーム媒体とするとき、
前記設定手段は、前記第1ユーザの操作に基づいて、前記対象ゲーム媒体及び前記第2ユーザを設定することができる。
【0010】
第1の側面において、前記設定手段は、前記第1ユーザの操作に基づいて、複数の前記ゲーム媒体を種別毎にまとめて前記対象ゲーム媒体に設定することができる。
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記対象ゲーム媒体の候補、又は前記第2ユーザの候補を前記第1ユーザに提示する提示手段として更に機能させることができる。
【0011】
第1の側面において、前記提示手段は、前記第1ユーザのゲームのプレイ履歴に基づいて、前記対象ゲーム媒体の候補、又は前記第2ユーザの候補を設定することができる。
第1の側面において、前記提示手段は、前記第2ユーザのゲームのプレイ履歴に基づいて、前記対象ゲーム媒体の候補、又は前記第2ユーザの候補を設定することができる。
【0012】
第1の側面において、前記提示手段は、前記ゲーム媒体の取引履歴に基づいて、前記対象ゲーム媒体の候補、又は前記第2ユーザの候補を設定することができる。
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記設定手段により前記処理情報が設定された際に、前記対象ゲーム媒体の金銭的価値に応じた情報を前記第1ユーザに提示する第1提示手段として更に機能させることができる。
【0013】
第1の側面において、前記コンピュータを、
前記タイミングの到来に応じて前記対象ゲーム媒体を前記第2ユーザに関連付ける際に、前記対象ゲーム媒体の金銭的価値に応じた情報を前記第2ユーザに提示する第2提示手段として更に機能させることができる。
【0014】
第1の側面において、前記第2情報は、前記ゲーム媒体に関連する情報の少なくとも一部を、前記ゲーム媒体を利用可能なゲームとは別のゲームで利用可能、又は、いずれのゲームとも無関係に利用可能にする処理であることができる。
第1の側面において、前記設定手段は、前記第1情報として、所定期間における前記第1ユーザのゲームの利用度を用いることができる。
【0015】
第1の側面において、前記設定手段は、前記ゲームの利用度として、前記所定期間における前記第1ユーザのゲームのログイン頻度を用いることができる。
第1の側面において、前記設定手段は、前記ゲームの利用度として、前記所定期間における前記第1ユーザのゲームの課金情報を用いることができる。
【0016】
第1の側面において、前記設定手段は、前記第1情報として、前記ゲーム媒体が対応付けられているユーザとは異なる別のユーザのゲームの利用度を用いることができる。
第2の側面は、
第1ユーザに対応付けられているゲーム媒体に対して所定の処理の実行を予め指定するための処理情報として、前記処理が実行されるタイミングを規定する第1情報、及び前記処理の内容を規定する第2情報を含む処理情報を設定する設定部と、
前記タイミングの到来に応じて、前記処理情報が設定された前記ゲーム媒体に対して前記第2情報に応じた処理を実行する実行部と、を備える
ゲーム装置である。
【0017】
第3の側面は、
第1ユーザに対応付けられているゲーム媒体に対して所定の処理の実行を予め指定するための処理情報として、前記処理が実行されるタイミングを規定する第1情報、及び前記処理の内容を規定する第2情報を含む処理情報を設定する設定部と、
前記タイミングの到来に応じて、前記処理情報が設定された前記ゲーム媒体に対して前記第2情報に応じた処理を実行する実行部と、を備える
ゲームシステムである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、ゲーム媒体の流動性を向上させることが可能なゲームプログラム、ゲーム装置、及びゲームシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態のゲームシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態のサーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態のノード装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態のゲーム装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態のブロックチェーンシステムで管理されているゲーム媒体の管理情報を模式的に示す図である。
図6】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図7】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図8】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図9】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図10】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図11】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図12】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図13】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図14】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図15】第1実施形態の制御部により実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図16】第1実施形態の制御部により実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図17】第2実施形態のゲームシステムの概略構成を示すブロック図である。
図18】第2実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図19】第3実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図20】第3実施形態の第1変形例のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図21】第3実施形態の第2変形例のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図22】第3実施形態の第2変形例のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図23】第4実施形態のゲーム装置の概略構成を示すブロック図である。
図24】第4実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
本開示のゲームシステム1の第1実施形態について図面を参照して説明する。
<ゲームの説明>
図1に示されるゲームシステム1では、サーバ装置2、複数のノード装置3、及び複数のゲーム装置5が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されており、サーバ装置2により提供されるゲームがゲーム装置5において実行される。
【0021】
本実施形態のゲームは、ゲームシステム1において実行されるオンラインのゲームである。このゲームでは、ゲーム装置5のユーザが、単数又は複数のプレイヤキャラクタを仮想ゲーム空間で活動させたり、プレイヤキャラクタを、ノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタと対戦させたりする。プレイヤキャラクタはオブジェクトに相当する。
【0022】
ゲームでは、ユーザがゲーム媒体を取得することができる。ゲーム媒体とは、ゲームに関する要素を表した電子データであって、ユーザが仮想空間において操作するプレイヤキャラクタ、プレイヤキャラクタが仮想ゲーム空間内で使用できる武器、防具、道具等のアイテム、並びにゲーム内で使用可能な各種仮想通貨を含む消費媒体等である。ユーザは、ゲーム媒体を、課金による購入や、クエストのクリアや各種ゲーム内イベントの報酬、ガチャと呼ばれる抽選方法等により入手することができる。
【0023】
仮想通貨は、有償の仮想通貨であってもよいし、無償の仮想通貨であってもよい。有償の仮想通貨は、課金により取得される仮想通貨である。無償の仮想通貨は、課金によらずに取得される仮想通貨である。無償の仮想通貨は、例えばゲームのログイン時にユーザに付与される特典(いわゆるログインボーナス)、あるいはクエスト等のゲームイベントのクリアによりユーザに付与される特典等、ゲームの進行に応じて取得可能であってもよい。
【0024】
クエストとは、ゲーム内で達成すべき課題や条件等が関連付けられたゲームコンテンツである。クエストには、そのクリア条件が設定されている。ユーザのゲーム行動によりクエストのクリア条件が達成されるとユーザに所定の報酬が付与される。なお、クエストにはクリア条件以外の課題(いわゆるミッション)が関連付けられていてもよい。当該ミッションを達成しつつクリア条件を成就することで、ユーザにはクリア報酬に加えてミッションクリア報酬が付与される。
【0025】
ガチャとは、所定の選択割合に基づき任意のゲーム媒体を抽選により選択する方法である。選択された任意のゲーム媒体はユーザに付与される。ガチャを行うために消費されるゲーム媒体には、例えば課金操作によりユーザに付与される有償ゲーム媒体である「有償石」や、ゲーム行動を通じてユーザに付与される無償ゲーム媒体である「無償石」がある。なお、「ゲーム媒体をユーザに付与する」とは「ゲーム媒体を、ユーザを示す識別情報と関連付ける」と同義である。また、「ゲーム媒体をユーザが所有する」とは「ゲーム媒体が、ユーザを示す識別情報に関連付けられている」と同義である。
【0026】
ユーザがガチャ等で入手可能なプレイヤキャラクタやアイテム等のゲーム媒体には、そのパラメータの一つとして、希少価値を示すレアリティと称されるパラメータが予め設定されている。具体的には、レアリティが高いとは、希少価値が高い、すなわちゲーム内で入手し難いことを意味し、レアリティが低いとは、希少価値が低い、すなわちゲーム内で入手し易いことを意味する。本実施形態のゲームでは、各ゲーム媒体に、Sランク、Aランク、及びBランクのいずれかのレアリティが予め設定されている。Sランクが最も高いレアリティであり、そこからAランク、Bランクの順でレアリティが低くなる。
【0027】
本実施形態のゲームは、ゲーム媒体の情報を、複数のノード装置3により構成される分散型ネットワークシステム、具体的にはブロックチェーンシステム4で管理する、いわゆるブロックチェーンゲームである。ブロックチェーンシステム4では、ゲーム内のゲーム媒体がNFT(Non Fungible Token)化されて管理されている。NFTとは、代替不可能なトークンを意味し、ゲーム媒体が固有のものであることを証明できるものである。ブロックチェーンシステム4では、ゲーム媒体に対応するNFTの情報が、複数のノード装置3がそれぞれ保有する分散型台帳に記憶されて管理されている。ブロックチェーンゲームではゲーム媒体の固有性を確保できるため、ゲーム媒体の交換や売却を安全に行うことができるだけでなく、例えば所定のゲームで取得したゲーム媒体を、そのゲームとは別のゲームで利用すること等が可能となる。
【0028】
このようなゲームは、プレイステーション(登録商標)等の家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)等の携帯用ゲーム機、もしくはパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の電子機器であるゲーム装置5を用いて実行される。以下では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示する。
【0029】
<ゲームシステム1の概要>
ゲームシステム1はサーバ装置2、ブロックチェーンシステム4、及び複数のゲーム装置5により構成される。
サーバ装置2は、ゲームプログラム及びゲームデータを記憶しており、ゲーム装置5のゲームデータの管理、より詳細にはアカウント毎のゲームデータの管理を行う。
【0030】
ゲーム装置5はユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置5は通信ネットワーク6を介してサーバ装置2からゲームプログラム及びゲームデータの受信、具体的にはダウンロード及びインストールを行う。各ユーザには、ゲーム装置5に対応付けられてアカウント情報が割り当てられている。アカウント情報には識別情報及びパスワード等が含まれている。アカウント情報は、ログイン時にゲーム装置5からサーバ装置2に送信されて、サーバ装置2におけるユーザ認証に利用される。
【0031】
ユーザ認証を経てサーバ装置2とゲーム装置5との相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置5は、ゲーム進行に必要なデータ、例えばゲーム進行状況に関するデータをサーバ装置2から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像及び音声を出力しつつ、ゲームを進行させる。
【0032】
ブロックチェーンシステム4は、各ノード装置3が保有する分散型台帳において同一のデータをブロックチェーン技術に基づいて記憶及び同期することにより、データの正確性や耐改ざん性を確保する。本実施形態では、各ゲーム装置5のユーザが所有するゲーム媒体がブロックチェーンシステム4の分散型台帳で管理されている。
【0033】
<ゲームシステム1の構成>
以下、図2図4を参照して、サーバ装置2、ノード装置3、及びゲーム装置5の各ハードウェア構成について説明する。
<サーバ装置2の構成>
サーバ装置2はゲームをゲーム装置5に提供する。図2に示されるように、サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22、及び制御部23を有している。ネットワークインターフェース21及び記憶部22はバス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0034】
ネットワークインターフェース21はインターネット及びLAN等の通信ネットワーク6を介して各ノード装置3及び各ゲーム装置5と通信可能に接続されている。
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びSSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶部22には、本実施形態のゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザDB(Data Base)221、及びゲーム媒体DB222等の各種データが記憶されている。
【0035】
ユーザDB221には、ゲームをプレイするユーザの識別番号毎に、ユーザ情報、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに関する情報、及び仮想ゲーム空間内で使用可能な消費媒体の額等が対応付けられて記憶されている。ユーザ情報は、ユーザ名やユーザランク等の情報を含む。プレイヤキャラクタに関する情報は、プレイヤキャラクタのレベルやステータス、当該プレイヤキャラクタに関連付けられた装備品やアイテム等の情報を含む。
【0036】
ゲーム媒体DB222には、ゲームで用いられるゲーム媒体の特性に関する情報が記憶されている。例えばゲーム媒体が、プレイヤキャラクタのヒットポイントを回復するアイテムである場合には、その回復アイテムの回復量に関する情報がゲーム媒体DB222に記憶されている。
【0037】
制御部23は、CPU及び半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、サーバ装置2の動作を制御する。制御部23は、各種プログラムを実行することにより、情報処理手段231、照合手段232、及びゲーム媒体管理手段233として機能する。本実施形態では、これらの手段231~233が情報処理部、照合部、及びゲーム媒体管理部にそれぞれ相当する。
【0038】
―情報処理手段231―
情報処理手段231は各ゲーム装置5との間で各種データを送受信する。情報処理手段231が受信する主なデータとしては、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、ユーザの操作に応じたガチャの抽選要求、アカウント情報、ゲームデータ等が挙げられる。情報処理手段231が送信する主なデータとしては、ゲームプログラムをゲーム装置5が受信したことを確認するための情報、ガチャで得られたゲーム媒体に関する情報等が挙げられる。
【0039】
―照合手段232―
照合手段232は、ゲーム装置5から受信したユーザの識別情報を用いてユーザアカウントの認証を行う。
―ゲーム媒体管理手段233―
ゲーム媒体管理手段233は、ゲーム媒体に対応するトークンをブロックチェーンシステム4の分散型台帳で管理する。
【0040】
例えば、ゲーム媒体管理手段233は、ゲーム内で所定のゲーム媒体をユーザが取得した場合には、そのゲーム媒体に対応するNFTをブロックチェーンシステム4の分散型台帳に登録する。また、ゲーム媒体管理手段233は、ゲーム内において、異なるユーザ間でゲーム媒体の交換や売却等の各種取引が行われた場合には、そのゲーム媒体に対応するNFTの取引履歴をブロックチェーンシステム4の分散型台帳に登録する。
【0041】
<ノード装置3の構成>
複数のノード装置3はブロックチェーンシステム4の分散型台帳を管理している。複数のノード装置3のそれぞれは互いに同一の構成を有している。図3に示されるように、ノード装置3は、ネットワークインターフェース31、記憶部32、及び制御部33を有している。ネットワークインターフェース31及び記憶部32はバス39を介して制御部33と電気的に接続されている。複数のノード装置3のそれぞれのハードウェア構成は基本的に同一であるため、重複する説明は割愛する。
【0042】
ネットワークインターフェース31はインターネット及びLAN等の通信ネットワーク6を介してサーバ装置2及び各ゲーム装置5と通信可能に接続されている。
記憶部32は、HDD、RAM、ROM、及びSSD等で構成されている。記憶部32には、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラムや、ブロックチェーンシステム4において用いられる分散型台帳321が記憶されている。
【0043】
制御部33は、CPU及び半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、ノード装置3の動作を制御する。制御部33は、各種プログラムを実行することにより、情報管理手段331として機能する。
―情報管理手段331―
情報管理手段331は、ユーザがゲーム媒体を取得した際にサーバ装置2から送信されるゲーム媒体の登録要求を受信すると、そのゲーム媒体に対応するNFTを分散型台帳321に登録する。
【0044】
情報管理手段331は、サーバ装置2又はゲーム装置5から送信されるゲーム媒体の取引履歴に関する情報に基づいて、各ゲーム媒体に対応するNFTの取引履歴の情報を分散型台帳321に登録する。
具体的には、分散型台帳321には、ハッシュ値及びトランザクションのリストを含む複数のブロックが記憶されている。トランザクションは、NFTの取引のデータである。トランザクションは、例えば移譲元に関する情報を示すインプット情報と、移譲先に関する情報を示すアウトプット情報とを含む。ハッシュ値は、一つ前のブロックに含まれる情報から算出される。よって、分散型台帳321には、ハッシュ値により各ブロックがチェーンのように繋がった状態で各NFTの取引履歴、換言すれば各ゲーム媒体の取引履歴が記憶されている。ブロックチェーンシステム4では、このようなNFTの取引履歴が各ノード装置3の分散型台帳321で管理されることにより、各ゲーム媒体の固有性を確保できるようになっている。
【0045】
<ゲーム装置5の構成>
図4に示されるように、ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62、及びタッチパッド63が外部接続又は内蔵されている。また、ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55、及び制御部56を有している。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、及び記憶部55はバス59を介して制御部56と電気的に接続されている。複数のゲーム装置5のそれぞれのハードウェア構成は基本的に同一であるため、重複する説明は割愛する。
【0046】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置2との間、あるいはゲーム装置5とノード装置3との間で各種データを送受信するために通信ネットワーク6に通信可能に接続されている。
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に基づいて動画形式でゲーム画像を描画する。ゲーム画像には、キャラクタ及び仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトが含まれる。グラフィック処理部52は、例えば液晶型のディスプレイ61に接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像をゲーム画面としてディスプレイ61上に表示する。
【0047】
オーディオ処理部53は、スピーカ62に接続されており、制御部56の指示に基づいてゲーム音声を再生及び合成するとともに、そのゲーム音声をスピーカ62から出力させる。
操作部54は、タッチパッド63に接続されており、操作及び入力に関するデータをタッチパッド63との間で送受信する。ユーザはタッチパッド63をタッチ操作することでゲーム装置5に操作信号を入力することができる。
【0048】
記憶部55はHDD、SSD、RAM、及びROM等で構成されている。記憶部55には、サーバ装置2からダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、及びゲーム装置5のアカウント情報等が格納されている。
制御部56は、CPUや半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、各種プログラムを実行することにより、通信手段561、ゲーム実行手段562、ゲーム媒体付与手段563、設定手段564、引継実行手段565、音声制御手段566、及び表示制御手段567として機能する。これらの手段561~567は、通信部、ゲーム実行部、ゲーム媒体付与部、設定部、引継実行部、音声制御部、及び表示制御部にそれぞれ相当する。
【0049】
―通信手段561―
通信手段561はネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2及び複数のノード装置3と通信を行う。通信手段561は、例えば操作部54がタッチパッド63から受信した各種操作信号に基づいて、サーバ装置2が把握可能な情報を生成するとともに、その情報をサーバ装置2に送信する。例えば通信手段561はアカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報等をサーバ装置2に送信する。また、通信手段561は、ダウンロード要求情報に応じてサーバ装置2から送信される新たなゲームデータ、抽選処理により選択されたゲーム媒体に関する情報等をサーバ装置2から受信する。
【0050】
―ゲーム実行手段562―
ゲーム実行手段562はゲーム装置5においてゲームを実行する。具体的には、ゲーム実行手段562は、ユーザによるタッチパッド63の操作に基づいて、ゲームのデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクト及びテクスチャ等のデータを記憶部55から読み込む、又はサーバ装置2から受信する。ゲーム実行手段562は、仮想ゲーム空間オブジェクト及びテクスチャ等のデータを用いてゲームプログラムを実行しつつ、2次元又は3次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52により処理されることで、その処理後のゲーム画像がディスプレイ61に逐次表示される。
【0051】
ゲーム実行手段562は、ゲーム画像上に、ゲーム装置5のユーザの操作に基づいてキャラクタを配置させて、そのユーザの操作及びゲームの進行状況に応じて仮想ゲーム空間におけるキャラクタの行動を制御する。
―ゲーム媒体付与手段563―
ゲーム媒体付与手段563は、ゲーム行動に基づいてユーザにゲーム媒体を付与する。例えば、ゲーム媒体付与手段563は、ユーザのゲーム行動によりクエストのクリア条件が満たされた場合には、そのクエストに対応した報酬をユーザに付与する。
【0052】
―設定手段564―
設定手段564は、ユーザによるタッチパッド63の操作に基づいて、ユーザに対応付けられているゲーム媒体に対して引継処理の実行を予め指定するための処理情報を設定する。処理情報には、引継処理が行われるタイミングを規定するトリガ情報や、引継対象のゲーム媒体及び引継先のユーザを規定する引継情報等が含まれている。引継処理は、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した際に、引継情報で規定される引継対象のゲーム媒体を引継先のユーザに関連付ける処理である。本実施形態では、引継処理が所定の処理に相当する。また、トリガ情報が、処理が実行されるタイミングを規定する第1情報に相当する。さらに、引継情報が、第1情報で規定されるタイミングが到来した際に実行される処理の内容を規定する第2情報に相当する。また、引継対象のゲーム媒体が「対象ゲーム媒体」に相当する。
【0053】
以下では、ゲーム媒体を所有しているユーザを「引継元ユーザ」とも称し、引継元ユーザからゲーム媒体が引き継がれるユーザを「引継先ユーザ」とも称する。本実施形態では、引継元ユーザが第1ユーザに相当し、引継先ユーザが第2ユーザに相当する。
トリガ情報は、例えばユーザがタッチパッド63を操作することにより設定可能である。トリガ情報は、ゲームにログインしていない期間である非ログイン期間、ゲームをプレイしているユーザ数、ゲーム内の事象、ゲームサービスの終了の告知等を用いて規定することができる。具体的には、非ログイン期間を用いる場合、トリガ情報は、例えば非ログイン期間が所定期間を超えるという条件で規定することができる。ユーザ数を用いる場合、トリガ情報は、例えばユーザ数が所定数を上回るという条件や、ユーザ数が所定数を下回るという条件で規定することができる。ゲーム内の事象を用いる場合、トリガ情報は、例えば所定期間内の課金額が所定金額を上回るという条件や、所定期間内の課金額が所定金額を下回るという条件で規定することができる。ゲームサービスの終了の告知を用いる場合、トリガ情報は、例えばゲームサービスの終了の告知が行われるという条件で規定することができる。設定手段564は、設定されたトリガ情報を記憶部55に記憶させる。
【0054】
引継対象のゲーム媒体及び引継先のユーザ等の引継情報も、例えばユーザがタッチパッド63を操作して所定のゲーム媒体及び所定のユーザを選択することで規定することができる。設定手段564は、設定された引継情報をブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に記憶させる。
【0055】
図5は、分散型台帳321で管理されている引継情報の一例を示したものである。図5に示されるように、分散型台帳321には、引継情報を含むゲーム媒体の管理情報がゲーム媒体毎に管理されている。図5では、種別が「装備」であり、且つレアリティのパラメータが「Sレア」である「アイテムA」のNFTの管理情報の一例が示されている。図5に示されるように、このアイテムAのNFTの管理情報には、「所有者」、「引継設定」、「引継予約先」、及び「入手日時」のそれぞれの情報が時系列的に記憶されている。「所有者」の項目は、アイテムAを所有しているユーザ、より詳細にはユーザの識別情報を示す。「引継設定」は、引継先が設定されているか否かを示す。「引継予約先」は、アイテムAの引継先のユーザを示す。「入手日時」は、ユーザがアイテムAを入手した日時を示す。
【0056】
図5に示されるように、まず、所定のユーザαがアイテムAを入手した場合、アイテムAの管理情報では、アイテムAの「所有者」の項目に「ユーザα」が入力され、且つアイテムAをユーザαが入手した日時が「入手日時」に入力される。なお、この時点では「引継設定」及び「引継予約先」が設定されていないため、それらの項目には、入力情報が存在しないことを示す「null」が入力される。
【0057】
その後、ユーザαがゲーム装置5を操作することにより、アイテムAの引継先のユーザとして「ユーザβ」を設定したとする。この場合、設定手段564は、「引継設定」の項目に「設定1」を入力し、且つ「引継予約先」の項目に「ユーザβ」を入力する。アイテムAに対して引継先のユーザが設定された回数を「n」とするとき、「引継設定」の項目には「設定n」が入力される。すなわち、引継先のユーザが設定される都度、「n」の値がインクリメントされる。
【0058】
続いて、トリガ情報で規定されたタイミングが到来すると、アイテムAがユーザβに引き継がれる。この場合、アイテムAの管理情報には、アイテムAの「所有者」の項目に「ユーザβ」が入力され、且つアイテムAをユーザβが入手した日時が「入手日時」に入力される。
【0059】
その後、ユーザβがゲーム装置5を操作することにより、アイテムAの引継先のユーザとして「ユーザγ」を設定したとする。この場合、設定手段564は、「引継設定」の項目に「設定2」を入力し、且つ「引継予約先」の項目に「ユーザγ」を入力する。
以降、設定手段564は、アイテムAの所有者により引継情報が設定される都度、ブロックチェーンシステム4の分散型台帳321で管理されているアイテムAの管理情報を逐次更新する。
【0060】
―引継実行手段565―
引継実行手段565は、設定手段564により設定されるトリガ情報及び引継情報に基づいて上記の引継処理を実行する。すなわち、引継実行手段565は、トリガ情報で規定されるタイミングが到来したか否かを判定するとともに、当該タイミングが到来したと判定した際に、引継情報で規定される引継先ユーザに引継対象のゲーム媒体を関連付ける処理を実行する。
【0061】
―音声制御手段566―
音声制御手段566は、ゲームの実行にあたり、ゲーム装置5に対するユーザの操作等に基づいてスピーカ62の音声出力を制御する。
―表示制御手段567―
表示制御手段567は、ゲームの実行にあたり、ゲーム装置5に対するユーザの操作等に基づいてディスプレイ61の表示出力を制御する。
【0062】
次に、表示制御手段567によりディスプレイ61に表示される画面の例を説明する。
表示制御手段567は、ユーザがゲームを開始した際に、図6に示されるトップ画面70を表示させる。トップ画面70にはガチャボタン700、デッキボタン701、クエストボタン702、マルチボタン703、及び設定ボタン704が設けられている。
【0063】
ガチャボタン700は、無償石又は有償石を消費してガチャの実施を一回要求するためのボタンである。ユーザがガチャボタン700を操作すると、ユーザに関連付けられた無償石又は有償石が消費されてガチャが一回実施される。
デッキボタン701は、例えばクエストで利用するデッキを選択する際に操作されるボタンである。ユーザは、デッキボタン701を操作した後にディスプレイ61に表示されるデッキ選択画面において、当該ユーザが所有するキャラクタから1以上のキャラクタを選択してデッキを構築することができる。
【0064】
クエストボタン702は、クエストにチャレンジする際に操作されるボタンである。
マルチボタン703は、他のユーザと対戦又は協力するマルチプレイを行う際に操作されるボタンである。
【0065】
設定ボタン704は、ゲームに関する各種設定を行う際に操作されるボタンである。設定ボタン704がユーザによりタッチ操作された場合、表示制御手段567は、図7に示される引継条件設定画面71をディスプレイ61に表示させる。図7に示されるように、引継条件設定画面71には、トリガ設定ボタン710、引継内容設定ボタン711、及び環境設定ボタン712が設けられている。
【0066】
トリガ設定ボタン710は、引継処理のトリガ情報を設定する際に操作されるボタンである。トリガ設定ボタン710がユーザによりタッチ操作された場合、表示制御手段567は、図8に示されるトリガ情報設定画面72をディスプレイ61に表示する。図8に示されるように、トリガ情報設定画面72には、非ログイン期間設定領域720、ユーザ数設定領域721、ゲーム事象設定領域722、及びサービス終了時表示領域723が設けられている。
【0067】
非ログイン期間設定領域720は、トリガ情報の一つである非ログイン期間を設定できる領域である。具体的には、非ログイン期間設定領域720では、非ログイン期間に対する上限閾値を設定することができる。
ユーザ数設定領域721は、トリガ情報の一つであるユーザ数を設定できる領域である。具体的には、ユーザ数設定領域721では、ユーザ数に対する閾値、並びに閾値を上限閾値及び下限閾値のいずれで用いるかを設定することができる。
【0068】
ゲーム事象設定領域722は、トリガ情報の一つであるゲーム事象を設定できる領域である。具体的には、ゲーム事象設定領域722では、課金した期間に対する閾値、課金額に対する閾値、並びに課金額に対する閾値を上限閾値及び下限閾値のいずれで用いるかを設定することができる。
【0069】
サービス終了時表示領域723は、トリガ情報の一つであるゲームサービス終了時の条件が表示される領域である。サービス終了時表示領域723には、例えばゲームサービスの終了が告知されることがトリガ情報として設定されていることが表示される。
図7に示される引継内容設定ボタン711は、引継対象のゲーム媒体及び引継先のユーザを設定する際に操作されるボタンである。引継内容設定ボタン711がユーザによりタッチ操作された場合、表示制御手段567は、図9に示される引継概要画面73をディスプレイ61に表示する。図9に示されるように、引継概要画面73には、引継対象設定ボタン730、及び引継先設定ボタン731が設けられている。
【0070】
引継対象設定ボタン730は、引継対象のゲーム媒体を設定する際に操作されるボタンである。引継対象設定ボタン730がユーザによりタッチ操作された場合、表示制御手段567は、図10に示される選択方法設定画面74をディスプレイ61に表示する。図10に示されるように、選択方法設定画面74には、第1選択ボタン740、及び第2選択ボタン741が設けられている。
【0071】
第1選択ボタン740は、引継対象のゲーム媒体をゲーム媒体毎に選択する場合に操作されるボタンである。第1選択ボタン740がユーザによりタッチ操作された場合、表示制御手段567は、図11に示される第1引継対象選択画面75をディスプレイ61に表示する。図11に示されるように、第1引継対象選択画面75には、複数の個別選択領域750~753が設けられている。
【0072】
個別選択領域750~753は、引継対象のゲーム媒体を個別に選択できる領域である。図11では、個別選択領域750~753で選択可能なゲーム媒体が「装備品」及び「消費アイテム」である場合を例示している。個別選択領域750~753では、ゲーム媒体毎に「数量」及び「引継先」を設定することができる。「数量」の項目では当該アイテムの所有数の範囲で任意の数を選択することができる。「引継先」の項目では引継先ユーザを選択することができる。「引継先」の項目がユーザによりタッチ操作された場合、表示制御手段567は、図12に示される引継先選択画面76をディスプレイ61に表示する。引継先選択画面76には、おすすめの引継先として、「フレンド」、「お世話になったユーザ」、「特定のキャラを使用しているユーザ」、及び「前の持ち主」のそれぞれの項目に対応したボタン760~763が設けられている。
【0073】
「フレンド」のボタン760が操作された場合、表示制御手段567は、引継元ユーザのゲームのプレイ履歴に基づいて、引継元ユーザがフレンドとして登録している複数のユーザの一覧をディスプレイ61に表示する。例えば、表示制御手段567は、図13に示されるようなフレンド一覧画面77をディスプレイ61に表示する。図13に示されるように、フレンド一覧画面77には複数のフレンド表示領域770~772が設けられている。フレンド表示領域770~772には、フレンド登録されている複数のユーザが個別に表示される。ユーザは、例えば複数のフレンド表示領域770~772のいずれかをタッチ操作することにより、フレンド登録されている複数のユーザのうちのいずれかを引継先ユーザに設定することができる。なお、フレンドは、引継元ユーザが事前に相手ユーザから受信したフレンド申請を承認する、または、相手ユーザに送信したフレンド申請が相手ユーザによって承認されることによって、引継元ユーザと相手ユーザが相互にフレンドとして登録される。
【0074】
図12に示される「お世話になったユーザ」のボタン761が操作された場合、表示制御手段567は、引継元ユーザのプレイ履歴に基づいて、例えば何らかのゲーム媒体を引継元ユーザに譲ったことのあるユーザ、あるいは引継元ユーザとマルチプレイで対戦又は協力したことがあるユーザの一覧をディスプレイ61に表示する。
【0075】
「特定のキャラクタを所有しているユーザ」のボタン762が操作された場合、表示制御手段567は、引継元ユーザを除くユーザのプレイ履歴に基づいて、引継対象のゲーム媒体を使用可能なユーザの一覧をディスプレイ61に表示する。例えば図11に示される「装備品A」の引継先ユーザを選択しようとしている場合、表示制御手段567は、その装備品Aを使用可能なキャラクタを所有しているユーザの一覧をディスプレイ61に表示する。
【0076】
「前の持ち主」のボタン763が操作された場合、表示制御手段567は、ブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に記憶されているゲーム媒体毎の管理情報を用いることにより、引継対象のゲーム媒体を前に所有していたユーザを特定するとともに、特定されたユーザをディスプレイ61に表示する。前の持ち主が存在しない場合には、ボタン763は、グレーアウトされるなど操作不可能な状態で表示させても良いし、表示させなくても良い。
【0077】
ユーザは、「フレンド」、「お世話になったユーザ」、「特定のキャラを使用しているユーザ」、及び「前の持ち主」のボタン760~763のうちのいずれかを操作して任意のユーザを選択することで引継先ユーザを決定することができる。決定された引継先ユーザは、図11に示される「引継先」の項目にゲーム媒体毎に表示される。
【0078】
図11に示されるように、「装備品A」の「数量」の項目が「1」に設定され、且つその「引継先」の項目が「ユーザα」に設定されている場合、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した際に、ユーザαに「装備品A」が一つだけ引き継がれることになる。なお、個別選択領域750~753において「数量」の項目が「0」に設定されているゲーム媒体、又は「引継先」が設定されていないゲーム媒体は、引継対象になっていないことを示す。
【0079】
図10に示される選択方法設定画面74に設けられる第2選択ボタン741は、引継対象のゲーム媒体を種別毎に選択する場合に操作されるボタンである。第2選択ボタン741がユーザによりタッチ操作された場合、表示制御手段567は、図14に示される第2引継対象選択画面78をディスプレイ61に表示する。図14に示されるように、第2引継対象選択画面78には、複数の種別選択領域780~783が設けられている。なお、図14では、種別選択領域780~783で選択可能な種別が「装備品」、「消費アイテム」、「Sレア以上」、及び「レア以下」である場合が例示されている。
【0080】
種別選択領域780~783は、引継対象のゲーム媒体を種別毎に選択できる領域である。種別選択領域780~783では、ゲーム媒体の種別毎に「引継先」を選択することができる。「引継先」の項目がユーザによりタッチ操作された場合、表示制御手段567は、図12に示される引継先選択画面76をディスプレイ61に表示する。この引継先選択画面76において、ユーザは、「フレンド」等の中から任意のユーザを引継先ユーザとして選択することができる。
【0081】
図14に示されるように、例えば「装備品」の「引継先」が「ユーザβ」に設定されている場合、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した際に、ユーザβに「装備品」の種別に属する全てのアイテムが引き継がれることになる。
図14に示されるように、種別選択領域780~783では「引継先」として「処分」を選択することも可能である。例えば「レア以下」の種別選択領域783において「引継先」として「処分」が選択されている場合、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した際に、「レア以下」のアイテムが引き継がれることなく処分、すなわちそれらのアイテムがブロックチェーンシステム4の分散型台帳321から消去されることになる。
【0082】
なお、ユーザは、図9に示される引継先設定ボタン731を操作することにより、図11及び図14に示される「引継先」を設定することも可能である。
また、図7に示される環境設定ボタン712は、トリガ情報及び引継情報を設定する以外のゲーム内の各種設定を行う際に操作されるボタンである。
【0083】
<ゲームシステム1の動作の流れ>
次に、図15及び図16を参照して、ゲーム装置5の制御部56により実行される処理の手順について説明する。まず、図15に示される引継対象設定処理の手順について説明する。なお、図15に示される処理は、制御部56の設定手段564により所定の周期で繰り返し実行される。
【0084】
図15に示されるように、設定手段564は、まず、トリガ情報を設定する操作が行われたか否かを判断する(ステップS10)。具体的には、設定手段564は、図8に示されるトリガ情報設定画面72において、複数の期間のうちのいずれかが設定された場合には、トリガ情報を設定する操作が行われたと判断する(ステップS10:YES)。この場合、設定手段564は、設定されたトリガ情報を記憶部55に記憶させた後(ステップS11)、ステップS12の処理に進む。
【0085】
一方、設定手段564は、ステップS10の処理においてトリガ情報を設定する操作が行われていないと判断した場合には(ステップS10:NO)、ステップS11の処理を実行することなく、ステップS12の処理に進む。
設定手段564は、ステップS12の処理として、引継情報を設定する操作が行われたか否かを判断する。具体的には、設定手段564は、図11に示される第1引継対象選択画面75、又は図14に示される第2引継対象選択画面78において引継対象のゲーム媒体及び引継先ユーザが設定された場合には、引継対象を設定する操作が行われたと判断する(ステップS12:YES)。この場合、設定手段564は、設定された引継対象のゲーム媒体及び引継先ユーザを関連付けて引継情報としてブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に記憶させた後(ステップS13)、図15に示される一連の処理を一旦終了する。
【0086】
一方、設定手段564は、ステップS12の処理において、引継対象を設定する操作が行われていないと判断した場合には(ステップS12:NO)、ステップS13に示される処理を実行することなく、図15に示される一連の処理を一旦終了する。
次に、図16に示される引継処理の手順について説明する。なお、図16に示される処理は、制御部56の引継実行手段565により所定の周期で繰り返し実行される。
【0087】
図16に示されるように、引継実行手段565は、まず、記憶部55に記憶されているトリガ情報、及びブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に記憶されている引継情報を読み込んだ後(ステップS20)、トリガ情報で規定されるタイミングが到来したか否かを判断する(ステップS21)。具体的には、引継実行手段565は、図8に示される「非ログイン期間」、「ユーザ数」、「ゲーム事象」、及びサービス終了」にそれぞれ示される条件のうちのいずれか一つの条件が成立した場合には、トリガ情報で規定されたタイミングが到来したと判断する(ステップS21:YES)。この場合、引継実行手段565は、引継情報で規定されている引継対象のゲーム媒体を引継先ユーザに引き継ぐ処理、具体的には引継対象のゲーム媒体を引継先ユーザに関連付ける処理を実行する(ステップS22)。引継実行手段565は、ステップS22の処理を実行した後、図16に示される一連の処理を一旦終了する。
【0088】
一方、引継実行手段565は、ステップS21において、トリガ情報で規定されたタイミングが到来していないと判断した場合には(ステップS21:NO)、ステップS22の処理を実行することなく、図16に示される一連の処理を一旦終了する。
以上をまとめると、ゲーム装置5の制御部56(コンピュータ)を、引継元ユーザ(第1ユーザ)に対応付けられているゲーム媒体に対して所定の処理の実行を予め指定するための処理情報として、処理が実行されるタイミングを規定するトリガ情報(第1情報)、及び処理の内容を規定する引継情報(第2情報)を含む処理情報を設定する設定手段564と、トリガ情報で規定されるタイミングの到来に応じて、処理情報が設定されたゲーム媒体に対して引継情報(第2情報)に応じた処理を実行する引継実行手段565(実行手段)として機能させている。
【0089】
<効果>
上記のゲームシステム1では、引継元ユーザがトリガ情報及び引継情報を設定することにより、その後にトリガ情報に対応したタイミングが到来したときに、引継情報に応じた処理がゲーム媒体に対して実行される。これにより、何らかの理由により引継元ユーザがゲームを引退したような場合や、引継元ユーザのアカウントが停止されたような場合であっても、引継元ユーザのゲーム媒体が引継先ユーザに自動的に遺贈されるような、いわば遺言的な処理が行われるようになるため、ゲーム媒体の流動性を向上させることができる。
【0090】
引継実行手段565は、トリガ情報に対応したタイミングの到来に応じて、引継元ユーザによるゲーム内における入力操作を必要とすることなく、引継情報に応じた処理を実行する。この構成によれば、トリガ情報に対応したタイミングが到来した際に引継処理が自動的に実行されるようになるため、引継元ユーザの利便性を向上させることができる。
【0091】
引継情報は、引継元ユーザが所有しているゲーム媒体を、引継元ユーザとは別である引継先ユーザに関連付ける処理である。この構成によれば、引継元ユーザの遺言に類似の処理を実現することが可能となる。
設定手段564は、引継元ユーザの操作に基づいて、引継対象のゲーム媒体及び引継先ユーザを設定する。この構成によれば、引継元のユーザは引継対象のゲーム媒体及び引継先ユーザを任意に設定できるため、利便性を向上させることができる。
【0092】
設定手段564は、図14に示される第2引継対象選択画面78における引継元ユーザの操作に基づいて、複数のゲーム媒体を種別毎にまとめて引継対象のゲーム媒体に設定する。この構成によれば、引継元ユーザはゲーム媒体を種別毎にまとめて設定することができるため、引継元ユーザの利便性を向上させることができる。
【0093】
図12に示されるように、表示制御手段567は、引継先ユーザの候補を引継元ユーザに提示する提示手段として機能する。この構成によれば、引継元ユーザが引継先ユーザを決定し易くなる。
表示制御手段567は、引継元ユーザのゲームのプレイ履歴に基づいて引継先ユーザの候補、具体的には図12に示されるフレンド対象のユーザや、お世話になったユーザを設定する。また、表示制御手段567は、引継先ユーザのゲームのプレイ履歴に基づいて引継先ユーザの候補、具体的には図12に示される特定のキャラクタを使用しているユーザを設定する。さらに、表示制御手段567は、ゲーム媒体の取り引き履歴に基づいて引継先ユーザの候補、具体的には図12に示される前の持ち主のユーザを設定する。これらの構成によれば、引継先ユーザの候補を容易に設定することが可能である。
【0094】
設定手段564は、トリガ情報として、所定期間における引継元ユーザのゲームの利用度を用いる。具体的には、図8に示されるように、設定手段564は、ゲームの利用度として、所定期間における引継元ユーザのゲームのログイン頻度を示す「非ログイン期間」、引継元ユーザとは異なる別のユーザのゲームの利用度を示す「ユーザ数」、所定期間における引継元ユーザのゲームの課金情報である「ゲーム事象」等を用いる。この構成によれば、より適切なトリガ情報を設定することが可能である。
【0095】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のゲームシステム1について説明する。以下、第1実施形態のゲームシステム1との相違点を中心に説明する。
図17に示されるように、本実施形態のゲームシステム1は、ゲームを提供する複数のサーバ装置2a,2b,・・・を備えている。複数のサーバ装置2a,2b,・・・は互いに異なるゲームを提供している。各サーバ装置2a,2b,・・・により提供されるゲームのゲーム媒体はブロックチェーンシステム4の分散型台帳321でNFTとして管理されており、異なるゲーム間でアイテムを取り引きすることが可能となっている。
【0096】
本実施形態の表示制御手段567は、ゲーム装置5に対するユーザの操作に基づいて、図18に示される第3引継対象選択画面81をディスプレイ61に表示する。第3引継対象選択画面81は、「ゲームサービス終了」をトリガ情報とする場合における引継対象のゲーム媒体及び引継先ユーザを設定する際に用いられる。第3引継対象選択画面81には、引継対象設定ボタン810、及び引継先設定ボタン811が設けられている。
【0097】
引継対象設定ボタン810がユーザにより操作された場合、表示制御手段567は、引継対象のゲーム媒体を選択することが可能な画面をディスプレイ61に表示する。この画面では、例えばユーザは引継対象のゲーム媒体を個別に、又は種別毎に選択することが可能である。
【0098】
引継先設定ボタン811がユーザにより操作された場合、表示制御手段567は、引継先を選択することが可能な画面をディスプレイ61に表示する。この画面では、引継先として、他のサーバ装置が提供しているゲームを選択することができる。例えばサーバ装置2aが提供しているゲームのゲーム媒体を引き継ぐ場合には、引継先として、サーバ装置2bが提供しているゲームを選択することができる。
【0099】
引継実行手段565は、引継先として別のゲームが選択されている場合、「ゲームサービス終了」のトリガ情報で規定されるタイミングが到来した際に、引継対象のゲーム媒体を引継先のゲームに引き継ぐ処理を実行する。具体的には、引継実行手段565は、分散型台帳321で管理されている引継対象のゲーム媒体を引継先のゲームに関連付けるようにブロックチェーンシステム4に対して要求する。
【0100】
このように、本実施形態の引継情報は、ゲーム媒体に関連する情報の少なくとも一部を、そのゲーム媒体を利用可能なゲームとは別のゲームで利用可能とする処理である。この構成によれば、ゲームのサービスが終了する場合であっても、そのゲームのゲーム媒体を別のゲームで利用することが可能となるため、利便性を向上させることができる。
【0101】
一方、例えば引継元のゲームと引継先のゲームとでゲーム性が大きく異なるような場合、引継対象のゲーム媒体を引継先のゲームで使用することができない可能性がある。この場合には、引継対象のゲーム媒体に対応したスキン等、引継先のゲームで利用可能なゲーム媒体を引き継ぐようにしてもよい。
【0102】
また、引継対象のゲーム媒体を絵柄のNFT等に変換してもよい。この場合、図18に示される第3引継対象選択画面81でユーザが引継先設定ボタン811をタッチ操作した際に、引継先として、観賞用保管を選択できるようにする。引継実行手段565は、引継先として観賞用保管が選択されている場合、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した際に、引継対象のゲーム媒体を絵柄等のNFTに変換するとともに、その絵柄等のNFTを、引継対象のゲーム媒体を所有しているユーザに関連付けるようにブロックチェーンシステム4に対して要求する。
【0103】
このように、本変形例の引継情報は、ゲーム媒体に関連する情報の少なくとも一部を、いずれのゲームとも無関係に利用可能とする処理であってもよい。この構成によれば、ゲームのサービスが終了する際に、そのゲームのゲーム媒体を別のゲームで利用することが不可能な場合であっても、ユーザが所有していたゲーム媒体をスキンや絵柄等のNFTとして残すことができる。絵柄等のNFTとして残すことができれば、例えば図鑑のようなアプリを用いることによりゲーム媒体の絵柄等を閲覧したり、検索したりすることが可能となる。よって、よりユーザフレンドリーなゲームを提供することが可能となる。
【0104】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のゲームシステム1について説明する。以下、第1実施形態のゲームシステム1との相違点を中心に説明する。
近年、ゲーム媒体のNFTは、金銭的価値を有するものとしてユーザ間で取り引きされている。このようなゲーム媒体のNFTを引継元ユーザから引継先ユーザに引き継いだ場合、ゲーム媒体のNFTの金銭的な価値に基づく課税が引継先ユーザに発生する可能性がある。また、引継先ユーザが引き継いだゲーム媒体のNFTを現実の通貨に換金することにより、引継先ユーザに課税される可能性がある。
【0105】
そこで、本変形例のゲームシステム1では、引継元ユーザから引継先ユーザにゲーム媒体のNFTを引き継ぐ際に、引継先ユーザに対して課税される懸念がある場合には、その旨の警告を引継元ユーザに対して行う。
例えば、表示制御手段567は、図13に示されるフレンド一覧画面77において複数のユーザのうちのいずれかが引継先ユーザに選択された場合、引継先ユーザに引継元ユーザから引き継がれるゲーム媒体の合計金額が所定金額を超えているか否かを判断する。ゲーム媒体の合計金額は、ゲーム内の価値に基づいて算出されてもよいし、現実の資産価値に基づいて算出されてもよい。例えば、ゲーム媒体の合計金額は、ゲーム媒体のNFTを円相場で換金した場合の金額で算出される。所定金額は、課税としての贈与税が発生するか否かを判断することができるように予め設定されている。表示制御手段567は、引継先ユーザに引き継がれるゲーム媒体の合計金額が所定金額を超えていると判断した場合、例えば図19に示されるような警告画面79を引継元ユーザのゲーム装置5のディスプレイ61に表示する。なお、引継先ユーザに引き継がれるゲーム媒体の合計金額が所定金額を超えていると判断した場合、引継先ユーザが引き継いだゲーム媒体のNFTを現実の通貨に換金することにより引継先ユーザに課税される可能性があることを、警告画面79に表示して警告してもよい。
【0106】
図19に示されるように、警告画面79には、引継先ユーザに引き継がれるゲーム媒体の一覧、各ゲーム媒体の一個当たりの金銭的な価値である「単価」、引継先ユーザに引き継がれる各ゲーム媒体の数量である「個数」、並びにそれらのゲーム媒体の金銭的な価値の合計である「合計金額」が表示される。引継元ユーザは、この警告画面79を視認することにより、ゲーム媒体を引継先ユーザに引き継いだ際に贈与税が発生する可能性があることを認知することができる。
【0107】
警告画面79の下方には許諾ボタン790及び拒否ボタン791が設けられている。警告画面79において許諾ボタン790が操作された場合、設定手段564は引継情報をブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に記憶させる。これにより、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した際に、引継対象のゲーム媒体が引継先ユーザに引き継がれることになる。
【0108】
一方、警告画面79において拒否ボタン791が操作された場合、設定手段564は引継情報をブロックチェーンシステム4の分散型台帳321に記憶させない。したがって、この場合には、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した際に、引継対象のゲーム媒体が引継先ユーザに引き継がれることはない。
【0109】
このように、本実施形態の表示制御手段567は、設定手段564により引継情報が設定された際に、引継対象のゲーム媒体の金銭的価値に応じた情報を引継元ユーザに提示する第1提示手段として機能する。この構成によれば、引継先ユーザがゲーム媒体を受け取ることにより、意図せずに引継先ユーザに贈与税が発生するような状況を未然に回避することが可能となる。
【0110】
<第1変形例>
次に、第3実施形態のゲームシステム1の第1変形例について説明する。
本変形例の表示制御手段567は、警告画面79として、図20に示される画面をディスプレイ61に表示する。図20に示されるように、この警告画面79では、引継先ユーザの暗号通貨の譲受金額が更に表示される。これにより、ゲーム媒体を引継先ユーザに引き継いだ際に贈与税が発生する可能性があるか否かを引継元ユーザが更に判断し易くなる。
【0111】
<第2変形例>
次に、第3実施形態のゲームシステム1の第2変形例について説明する。
本変形例の表示制御手段567は、引継対象のゲーム媒体を引継先ユーザが引き継ぐ際に、引継先ユーザに贈与税が発生する懸念がある場合、その旨の警告を引継先ユーザに対して行う。
【0112】
具体的には、トリガ情報により規定されるタイミングが到来することにより引継対象のゲーム媒体が引継元ユーザから引継先ユーザに引き継がれる際に、引継先ユーザが所有するゲーム装置5では、表示制御手段567が、図21に示される警告画面80、又は図22に示される警告画面80をディスプレイ61に表示する。なお、図21及び図22にそれぞれ示される警告画面80は、図19及び図20にそれぞれ示される警告画面79を引継先ユーザに対する警告画面に置き換えたものであるため、それらの警告画面80の詳細な説明は割愛する。
【0113】
このように、本実施形態の表示制御手段567は、設定手段564により引継情報が設定された際に、引継対象のゲーム媒体の金銭的価値に応じた情報を引継先ユーザに提示する第2提示手段として機能する。この構成によれば、引継先ユーザがゲーム媒体を受け取ることにより、意図せずに引継先ユーザに贈与税が発生するような状況を未然に回避することが可能となる。
【0114】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のゲームシステム1について説明する。以下、第1実施形態のゲームシステム1との相違点を中心に説明する。
図23に示されるように、本実施形態のゲーム装置5の制御部56は制限手段568として更に機能する。制限手段568は、トリガ情報により規定されるタイミングの到来に応じて、ゲームの進行に制限を設ける。
【0115】
具体的には、制御部56は、図16に示される処理に代えて、図24に示される処理を実行する。なお、図24に示される処理において、図16に示される処理と同一の処理には同一の符号を付すことにより、以下では重複する説明を可能な限り省略する。
図24に示されるように、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した場合(ステップS21:YES)、制限手段568は、ステップS22の処理に続いて、ゲームの進行に制限を設ける(ステップS23)。具体的には、制限手段568は、制限処理として、一定期間のゲームへのログインの禁止や、アカウントの禁止、ゲームからの引退等の処理を実行する。なお、制限処理は、予め定められた処理であってもよいし、ユーザが任意に設定可能な処理であってもよい。
【0116】
この構成によれば、トリガ情報で規定されるタイミングが到来した際のゲームの進行状況のバリエーションを増やすことができるため、ゲーム性を更に向上させることができる。
[他の実施形態]
上記実施形態において説明した各種制御手段及び処理手順は一例であり、本発明、その適用物、又はその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段及び処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0117】
例えば、表示制御手段567は、トリガ情報に対応したタイミングが到来した際に、引継対象のゲーム媒体を引継先ユーザに引き継いで良いか否かを確認する画面をディスプレイ61に表示してもよい。そして、引継実行手段565は、当該確認画面において引き継ぎが許可されることに基づいて、引継対象のゲーム媒体を引継先ユーザに引き継いでもよい。
【0118】
引継情報は、引継元ユーザが所有している第1ゲーム媒体に対応する第2ゲーム媒体を引継先ユーザに関連付ける処理であってもよい。例えば第1ゲーム媒体が装備品のアイテムである場合、第2ゲーム媒体としては、その装備品のアイテムをゲーム内で換金することにより得られる仮想通貨を用いることが可能である。
【0119】
表示制御手段567は、引継先ユーザの候補に加え、あるいは引継先ユーザの候補に代えて、引継対象のゲーム媒体の候補を引継元ユーザに提示してもよい。その際、表示制御手段567は、引継元ユーザのゲームのプレイ履歴や引継先ユーザのゲームのプレイ履歴、ゲーム媒体の取り引き履歴等に基づいて引継対象のゲーム媒体の候補を設定してもよい。
【0120】
トリガ情報に対応したタイミングの到来に応じて実行される処理としては、ゲーム媒体の引継処理に代えて、任意の処理を採用することができる。例えば図14に示される「引継先」として「処分」が選択されている場合に実行されるような相手先を指定しない単なる処分の処理や、アイテムの譲渡を伴わない単なるメッセージを送信する処理等を採用することができる。メッセージを送信する処理を採用する場合には、例えばアイテムに対してメッセージの送信相手とメッセージ内容とを設定できるようにすればよい。この場合、メッセージの送信相手は例えばそのアイテムの前の持ち主である。また、メッセージ内容は、例えば「あなたが譲ってくれたアイテムのおかげで、高難度クエストをクリアできました!私は引退しますが、あなたはこれからもがんばってください!」という内容である。
【0121】
上記の実施形態では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示したが、ゲーム装置5は、ゲームセンター等に提供されるアミューズメント機器であってもよい。
上記のゲームは、アクションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、及びパズルゲーム等であってもよく、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0122】
上記の実施形態では、オブジェクトがプレイヤキャラクタである場合を例示したが、これに限定されない。例えば、オブジェクトは、仮想ゲーム空間内で使用されるカードやアイテム(武器、防具等の装備品)等であってもよい。
上記の実施形態では、サーバ装置2及び複数のゲーム装置5が一体となってゲームプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。ゲームプログラムのすべての手段、すなわち設定手段564、引継実行手段565、表示制御手段567、及び制限手段568等が、サーバ装置2単体、ゲーム装置5単体、サーバ装置2及びゲーム装置5とは別の通信端末単体、これらのうちの組み合わせ可能な2つの装置(例えばサーバ装置2とゲーム装置5での分散処理等)に備えられていてもよい。また、サーバ装置2、ゲーム装置5、通信端末を一体となって機能させる場合、どの手段をどの装置にて機能させるかに関しても適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態で例示したゲーム装置5の設定手段564、引継実行手段565、表示制御手段567、及び制限手段568等について、サーバ装置2の制御部23が、各種プログラムを実行することにより、これらの手段として機能してもよい。
【0123】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0124】
1…ゲームシステム
2…サーバ装置
5…ゲーム装置
56…制御部(コンピュータ)
564…設定手段
565…引継実行手段(実行手段)
567…表示制御手段(提示手段、第1提示手段、第2提示手段)
568…制限手段
図1
図2
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図24
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
第1ゲームにおいて利用可能であって、且つユーザに対応付けられているゲーム媒体を、前記第1ゲーム、および前記第1ゲームとは別の第2ゲームにおいて利用することが不可能な、代替不可能なトークンに変換する変換処理を実行して、変換された前記代替不可能なトークンを前記ユーザに関連付ける実行手段として機能させる
ゲームプログラム。
【請求項2】
前記代替不可能なトークンには、前記ゲーム媒体に対応した絵柄の情報が含まれ、
前記絵柄の情報は、前記第1ゲームおよび前記第2ゲームとは異なるアプリケーションを通じて表示可能である
請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、表示制御手段として更に機能させ、
前記表示制御手段は、前記ゲーム媒体の引継処理として、前記第2ゲームへの引継処理、および前記変換処理のいずれかを選択することが可能な選択画面を表示し、
前記実行手段は、
前記選択画面において前記第2ゲームへの引継処理が選択された場合には、前記ゲーム媒体を前記第2ゲームに引き継ぐ処理を実行し、
前記選択画面において前記変換処理が選択された場合には、前記ゲーム媒体を前記代替不可能なトークンに変換する処理を実行する
請求項1または2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータを、設定手段としてさらに機能させ、
前記設定手段は、前記変換処理が実行されるタイミングを規定する第1情報と、前記変換処理が実行される前記ゲーム媒体を特定可能な第2情報とを含む処理情報を、前記ユーザの指示に基づいて前記ユーザに対応付けて設定し、
前記実行手段は、前記処理情報が設定された後、前記第1情報により特定される前記タイミングが到来するまでは前記変換処理を実行せず、前記タイミングの到来に応じて、前記変換処理を実行する
請求項1~3のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記タイミングは、前記第1ゲームのサービス終了である
請求項4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、設定手段としてさらに機能させ、
前記代替不可能なトークンに変換される前記ゲーム媒体を対象ゲーム媒体とするとき、
前記設定手段は、前記ユーザの操作に基づいて、複数の前記ゲーム媒体を種別毎にまとめて前記対象ゲーム媒体に設定する
請求項1~3のいずれか一項に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
第1ゲームにおいて利用可能であって、且つユーザに関連付けられているゲーム媒体を、前記第1ゲーム、および前記第1ゲームとは別の第2ゲームにおいて利用することが不可能な、代替不可能なトークンに変換する変換処理を実行して、変換された前記代替不可能なトークンを前記ユーザに関連付ける実行部を備える
ゲーム装置。
【請求項8】
第1ゲームにおいて利用可能であって、且つユーザに関連付けられているゲーム媒体を、前記第1ゲーム、および前記第1ゲームとは別の第2ゲームにおいて利用することが不可能な、代替不可能なトークンに変換する変換処理を実行して、変換された前記代替不可能なトークンを前記ユーザに関連付ける実行部を備える
ゲームシステム。