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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091065
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20230622BHJP
   A61M 60/109 20210101ALI20230622BHJP
   A61M 60/279 20210101ALI20230622BHJP
   A61M 60/37 20210101ALI20230622BHJP
【FI】
A61M1/14 110
A61M60/109
A61M60/279
A61M60/37
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023079830
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2018136897の分割
【原出願日】2018-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 翔
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 拓
(57)【要約】
【課題】直接的に装着予定位置を確認しつつ血液回路を血液浄化装置本体に装着することにより、血液回路の誤装着を抑制する。
【解決手段】血液浄化装置本体100と血液回路とを備える。血液回路は、静脈側回路および動脈側回路を含み、血液浄化装置本体100に装着される。静脈側回路および動脈側回路の少なくとも一方は、本線と、本線から分岐した枝線とを含む。血液浄化装置本体100は、血液回路の装着時に、血液回路の装着予定位置が発光する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化装置本体と、
静脈側回路および動脈側回路を含み、前記血液浄化装置本体に装着される血液回路とを備え、
前記静脈側回路および前記動脈側回路の少なくとも一方は、本線と、該本線から分岐した枝線とを含み、
前記血液浄化装置本体は、前記血液回路の装着時に、前記血液回路の装着予定位置が発光し、
前記装着予定位置は、透析の種類に応じた前記血液回路の変化に伴って変化する、血液浄化装置。
【請求項2】
前記血液浄化装置本体は、前記本線の装着予定位置と前記枝線の装着予定位置とが互いに異なる色で発光する、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記血液浄化装置本体は、問題発生時に、問題発生箇所が発光する、請求項1または請求項2に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記血液浄化装置本体は、前記血液回路内の圧力値を、該圧力値に応じて異なる発光色で表示する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の血液浄化装置。
【請求項5】
血液浄化装置本体と、
静脈側回路および動脈側回路を含み、前記血液浄化装置本体に装着される血液回路と、
拡張現実ディスプレイを有するウェアラブルグラスとを備え、
前記静脈側回路および前記動脈側回路の少なくとも一方は、本線と、該本線から分岐した枝線とを含み、
前記拡張現実ディスプレイは、前記血液回路の装着時に、前記血液浄化装置本体における前記血液回路の装着予定位置が発光しているように表示し、
前記装着予定位置は、透析の種類に応じた前記血液回路の変化に伴って変化する、血液浄化装置。
【請求項6】
前記拡張現実ディスプレイは、前記本線の装着予定位置と前記枝線の装着予定位置とが互いに異なる色で発光しているように表示する、請求項5に記載の血液浄化装置。
【請求項7】
前記拡張現実ディスプレイは、問題発生時に、前記血液浄化装置本体における問題発生箇所が発光しているように表示する、請求項5または請求項6に記載の血液浄化装置。
【請求項8】
前記拡張現実ディスプレイは、前記血液回路内の圧力値を、該圧力値に応じて異なる発光色で表示する、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者自身が操作可能な透析装置を開示した先行文献として、特開2011-115609号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された透析装置は、透析のために必要となる操作手順を、液晶パネルなどの表示部において音声ガイドとともに文字を含む静止画像または動画像で表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-115609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶パネルなどの表示部に表示された画像を見ることにより、間接的に装着予定位置を確認しつつ血液回路を透析装置本体に装着する場合、血液回路が分岐した複数の系統を含んでおり、各系統の装着位置が互いに異なること、並びに、HD(hemodialysis)およびHDF(hemodiafiltration)などの透析の種類によって血液回路の装着位置が異なること、などの要因によって、誤った位置に血液回路を装着する可能性がある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、直接的に装着予定位置を確認しつつ血液回路を血液浄化装置本体に装着できることにより、血液回路の誤装着を抑制できる、血液浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に基づく血液浄化装置は、血液浄化装置本体と血液回路とを備える。血液回路は、静脈側回路および動脈側回路を含み、血液浄化装置本体に装着される。静脈側回路および動脈側回路の少なくとも一方は、本線と、本線から分岐した枝線とを含む。血液浄化装置本体は、血液回路の装着時に、血液回路の装着予定位置が発光する。
【0007】
本発明の一形態においては、血液浄化装置本体は、本線の装着予定位置と枝線の装着予定位置とが互いに異なる色で発光する。
【0008】
本発明の一形態においては、血液浄化装置本体は、問題発生時に、問題発生箇所が発光する。
【0009】
本発明の一形態においては、血液浄化装置本体は、血液回路内の圧力値を、この圧力値に応じて異なる発光色で表示する。
【0010】
本発明の第2局面に基づく血液浄化装置は、血液浄化装置本体と血液回路とウェアラブルグラスとを備える。血液回路は、静脈側回路および動脈側回路を含み、血液浄化装置本体に装着される。ウェアラブルグラスは、拡張現実ディスプレイを有する。静脈側回路および動脈側回路の少なくとも一方は、本線と、本線から分岐した枝線とを含む。拡張現実ディスプレイは、血液回路の装着時に、血液浄化装置本体における血液回路の装着予定位置が発光しているように表示する。
【0011】
本発明の一形態においては、拡張現実ディスプレイは、本線の装着予定位置と枝線の装着予定位置とが互いに異なる色で発光しているように表示する。
【0012】
本発明の一形態においては、拡張現実ディスプレイは、問題発生時に、血液浄化装置本体における問題発生箇所が発光しているように表示する。
【0013】
本発明の一形態においては、拡張現実ディスプレイは、血液回路内の圧力値を、この圧力値に応じて異なる発光色で表示する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、直接的に装着予定位置を確認しつつ血液回路を血液浄化装置本体に装着できることにより、血液回路の誤装着を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体の構成を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液回路の構成を示す回路図である。
図3】本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体において、血液回路の装着時に、血液回路の装着予定位置が発光している状態を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態2に係る血液浄化装置が備える血液回路の構成を示す回路図である。
図5】本発明の実施形態2に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体において、血液回路の装着時に、血液回路の装着予定位置が発光している状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態に係る血液浄化装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体の構成を示す正面図である。図1に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体100は、動脈側カプラ111、静脈側カプラ112、血液ポンプ120、補液ポンプ130、シリンジポンプ140、動脈側センサ部151、静脈側センサ部152、動脈側受圧口161、静脈側受圧口162、および、補液ポート170を備えている。
【0018】
血液浄化装置本体100には、血液回路を保持するための、第1クリップ部181、第2クリップ部182、第3クリップ部183および第4クリップ部184が設けられている。
【0019】
図2は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液回路の構成を示す回路図である。本発明の実施形態1に係る血液回路は、血液透析法(HD)に用いられる血液回路である。
【0020】
図2に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液回路200は、静脈側回路230および動脈側回路を含む。動脈側回路は、本線220と、本線220から分岐した枝線221とを含む。本実施形態においては、動脈側回路が分岐しているが、これに限られず、静脈側回路230が分岐していてもよい。すなわち、静脈側回路および動脈側回路の少なくとも一方が、本線と、本線から分岐した枝線とを含んでいればよい。血液回路200が血液浄化装置本体100に装着される際には、動脈側回路の本線220の端部220eと、静脈側回路230の端部230eとは、互いに接続されている。すなわち、血液回路200は、環状に連通している。
【0021】
動脈側回路の本線220には、たとえば、赤色のマーキングが施されている。動脈側回路の枝線221には、たとえば、緑色のマーキングが施されている。静脈側回路230には、たとえば、青色のマーキングが施されている。なお、動脈側回路全体に、たとえば、赤色のマーキングが施されていてもよい。
【0022】
血液回路200は、血液浄化器210、第1ドリップチャンバ240および第2ドリップチャンバ250をさらに含む。血液浄化器210の一端に位置する血液入口211は、動脈側回路の本線220と接続され、血液浄化器210の他端に位置する血液出口212は、静脈側回路230と接続されている。第1ドリップチャンバ240は、動脈側回路の本線220に設けられている。第2ドリップチャンバ250は、静脈側回路230に設けられている。
【0023】
血液回路200は、血液浄化装置本体100に装着される。図3は、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体において、血液回路の装着時に、血液回路の装着予定位置が発光している状態を示す正面図である。なお、図3においては、血液回路の装着予定位置以外の発光箇所も図示している。
【0024】
図3に示すように、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体100においては、血液回路200の装着時に、血液回路200の装着予定位置が発光する。本実施形態においては、血液浄化装置本体100において、本線220の装着予定位置220gと枝線221の装着予定位置221gとが互いに異なる色で発光する。また、静脈側回路230の装着予定位置230gが、本線220の装着予定位置220gおよび枝線221の装着予定位置221gの各々とは異なる色で発光する。なお、血液浄化装置本体100において、本線220の装着予定位置220gと枝線221の装着予定位置221gとが互いに同じ色で発光してもよい。
【0025】
本実施形態においては、血液浄化装置本体100における血液回路200の装着予定位置のパネルの内側に、LED(light emitting diode)が配置されている。たとえば、本線220の装着予定位置220gに対応して配置されたLEDが赤色で発光し、枝線221の装着予定位置221gに対応して配置されたLEDが緑色で発光し、静脈側回路230の装着予定位置230gに対応して配置されたLEDが青色で発光する。
【0026】
本実施形態においては、動脈側回路の本線220の装着予定位置220gは、動脈側センサ部151、血液ポンプ120および第1クリップ部181の各々を通過するように線状に発光する。また、動脈側回路の本線220の装着予定位置220gは、動脈側回路の本線220を流れる血液の向きも示すように発光する。ただし、動脈側回路の本線220の装着予定位置220gの表示態様は、上記に限られず、動脈側センサ部151、血液ポンプ120および第1クリップ部181の各々を繋ぐ点線が点滅するように発光してもよい。
【0027】
動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gは、第1クリップ部181および動脈側センサ部151の各々を通過するように線状に発光する。また、動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gは、動脈側回路の枝線221を流れる補液の向きも示すように発光する。ただし、動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gの表示態様は、上記に限られず、第1クリップ部181および動脈側センサ部151の各々を繋ぐ点線が点滅するように発光してもよい。
【0028】
静脈側回路230の装着予定位置230gは、第1クリップ部181、静脈側センサ部152および第2クリップ部182の各々を通過するように線状に発光する。また、静脈側回路230の装着予定位置230gは、静脈側回路230を流れる血液の向きも示すように発光する。ただし、静脈側回路230の装着予定位置230gの表示態様は、上記に限られず、第1クリップ部181、静脈側センサ部152および第2クリップ部182の各々を繋ぐ点線が点滅するように発光してもよい。
【0029】
血液浄化装置の使用者は、血液回路200を血液浄化装置本体100に装着する際、赤色に発光している動脈側回路の本線220の装着予定位置220gを直接的に確認しつつ、赤色のマーキングが施されている動脈側回路の本線220を血液浄化装置本体100に装着することができる。
【0030】
動脈側回路の本線220を血液浄化装置本体100に装着することにより、図2に示すように、動脈側回路の本線220は、動脈側センサ部151、血液ポンプ120および第1クリップ部181の各々に取り付けられる。
【0031】
同様に、血液浄化装置の使用者は、血液回路200を血液浄化装置本体100に装着する際、緑色に発光している動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gを直接的に確認しつつ、緑色のマーキングが施されている動脈側回路の枝線221を血液浄化装置本体100に装着することができる。
【0032】
動脈側回路の枝線221を血液浄化装置本体100に装着することにより、図2に示すように、動脈側回路の枝線221は、動脈側センサ部151および第1クリップ部181の各々に取り付けられる。動脈側回路の枝線221には、補液を収容した補液バッグ190が接続される。
【0033】
同様に、血液浄化装置の使用者は、血液回路200を血液浄化装置本体100に装着する際、青色に発光している静脈側回路230の装着予定位置230gを直接的に確認しつつ、青色のマーキングが施されている静脈側回路230を血液浄化装置本体100に装着することができる。
【0034】
静脈側回路230を血液浄化装置本体100に装着することにより、図2に示すように、静脈側回路230は、第1クリップ部181、静脈側センサ部152および第2クリップ部182の各々に取り付けられる。
【0035】
動脈側回路の本線220の装着予定位置220gの発光、動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gの発光、および、静脈側回路230の装着予定位置230gの発光の各々は、同時に行なわれてもよいし、装着順に行なわれてもよい。
【0036】
血液回路200が血液浄化装置本体100に装着される際には、血液浄化器210の透析液入口214が動脈側カプラ111に嵌め込まれ、血液浄化器210の排液出口213が静脈側カプラ112に嵌め込まれる。血液浄化器210は、たとえば中空糸膜からなる半透膜を内部に有している。透析液入口214から、透析液3が血液浄化器210内に流入する。排液出口213から、排液4が排出される。
【0037】
動脈側回路の本線220が取り付けられる血液ポンプ120は、ローラ式ポンプである。血液ポンプ120は、動脈側回路の本線220から血液浄化器210を通じて静脈側回路230に血液が流れるように回転する。
【0038】
動脈側回路の本線220の途中に設けられている第1ドリップチャンバ240は、流入口241、流出口242および放圧管249を有している。第1ドリップチャンバ240の放圧管249は、血液浄化装置本体100の動脈側受圧口161に接続される。
【0039】
血液浄化装置本体100は、動脈側受圧口161に接続されている動脈側圧力測定装置をさらに備えている。動脈側圧力測定装置は、第1ドリップチャンバ240内の空気圧を介して動脈側回路の本線220を流れる血液の圧力を測定する。患者の動脈1から採取された血液は、動脈側回路の本線220を流動する際の圧力を動脈側圧力測定装置によって監視された状態で、血液入口211から血液浄化器210内に流入する。
【0040】
動脈側回路が取り付けられる動脈側センサ部151は、動脈側回路内の気泡の有無、および、動脈側回路内の血液の有無を検出する。
【0041】
シリンジポンプ140は、動脈側回路の本線220の第1ドリップチャンバ240より上流側の位置に、ヘパリンなどの抗凝固剤を供給する際などに使用される。
【0042】
動脈側回路の枝線221に接続される補液バッグ190は、プライミング時または返血時に動脈側回路に補液を供給する。
【0043】
静脈側回路230の途中に設けられている第2ドリップチャンバ250は、流入口251、流出口252および放圧管259を有している。第2ドリップチャンバ250の放圧管259は、血液浄化装置本体100の静脈側受圧口162に接続される。
【0044】
血液浄化装置本体100は、静脈側受圧口162に接続されている静脈側圧力測定装置をさらに備えている。静脈側圧力測定装置は、第2ドリップチャンバ250内の空気圧を介して静脈側回路230を流れる血液の圧力を測定する。血液浄化器210によって浄化された血液は、静脈側回路230を流動する際の圧力を静脈側圧力測定装置によって監視された状態で、患者の静脈2に返される。
【0045】
静脈側回路230が取り付けられる静脈側センサ部152は、静脈側回路230内の気泡の有無、および、静脈側回路230内の血液の有無を検出する。
【0046】
補液ポンプ130は、ローラ式ポンプである。本実施形態においては、補液ポンプ130は、使用されない。補液ポート170は、血液浄化装置本体100から補液を供給するための接続開閉部である。本実施形態においては、補液ポート170は、使用されない。
【0047】
本実施形態においては、血液浄化装置本体100は、問題発生時に、問題発生箇所が発光する。また、血液浄化装置本体100は、血液回路200内の圧力値を、この圧力値に応じて異なる発光色で表示する。血液浄化装置本体100におけるこれらの発光位置のパネルの内側に、LEDが配置されている。
【0048】
具体的には、血液浄化装置本体100は、血液浄化装置の稼働時に下記の発光動作が可能となるように、構成されている。
【0049】
動脈側圧力測定装置による動脈側回路の本線220を流動する血液の圧力の測定値に応じて、動脈側受圧口161の警報部161gが、異なる色で発光する。たとえば、警報部161gは、動脈側圧力測定装置の測定値が、正常範囲より低いときに青色で発光し、正常範囲であるときに緑色で発光し、正常範囲より高いときに赤色で発光する。
【0050】
静脈側圧力測定装置による静脈側回路230を流動する血液の圧力の測定値に応じて、静脈側受圧口162の警報部162gが、異なる色で発光する。たとえば、警報部162gは、静脈側圧力測定装置の測定値が、正常範囲より低いときに青色で発光し、正常範囲であるときに緑色で発光し、正常範囲より高いときに赤色で発光する。
【0051】
血液ポンプ120が正常に動作していないときに、血液ポンプ120の警報部120gが発光する。補液ポンプ130が正常に動作していないときに、補液ポンプ130の警報部130gが発光する。シリンジポンプ140が正常に動作していないときに、シリンジポンプ140の警報部140gが発光する。
【0052】
動脈側センサ部151が、動脈側回路内に気泡があること、および、動脈側回路内の血液がないこと、の少なくとも一方を検出したときに、動脈側センサ部151の警報部151gが発光する。
【0053】
静脈側センサ部152が、静脈側回路230内に気泡があること、および、静脈側回路230内の血液がないこと、の少なくとも一方を検出したときに、静脈側センサ部152の警報部152gが発光する。
【0054】
動脈側カプラ111が、血液浄化器210の透析液入口214から脱離しているとき、動脈側カプラ111の警報部111gが発光する。静脈側カプラ112が、血液浄化器210の排液出口213から脱離しているとき、静脈側カプラ112の警報部112gが発光する。
【0055】
補液ポート170が、閉じているべきときに開いている場合、または、開いているべきときに閉じている場合は、補液ポート170の警報部170gが発光する。
【0056】
本発明の実施形態1に係る血液浄化装置においては、血液回路200の装着時に、血液回路200の装着予定位置が発光することにより、直接的に装着予定位置を確認しつつ血液回路200を血液浄化装置本体100に装着できるため、血液回路200の誤装着を抑制できる。
【0057】
特に、血液回路200の装着時に、本線220の装着予定位置220gと枝線221の装着予定位置221gとが互いに異なる色で発光することにより、動脈側回路の本線220と枝線221との誤装着を抑制することができる。
【0058】
また、問題発生時に、血液浄化装置本体100における問題発生箇所が発光することにより、容易に問題に対処することができる。
【0059】
さらに、血液浄化装置本体100が、血液回路200内の圧力値を、この圧力値に応じて異なる発光色で表示することにより、血液回路200内の血流の状態を容易に把握することができる。
【0060】
本実施形態においては、血液浄化装置本体100がLEDなどの発光部を有することにより各種の発光表示を行なう構成であるが、必ずしも血液浄化装置本体100が発光部を有していなくてもよい。
【0061】
ここで、本実施形態の変形例に係る血液浄化装置について説明する。なお、本実施形態の変形例に係る血液浄化装置は、血液浄化装置本体100の発光部の代わりに、ウェアラブルグラスを備える点のみ、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置と異なるため、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0062】
本実施形態の変形例に係る血液浄化装置は、血液浄化装置本体と血液回路200と図示しないウェアラブルグラスとを備える。ウェアラブルグラスは、拡張現実ディスプレイを有する。拡張現実ディスプレイは、血液回路200の装着時に、血液浄化装置本体における血液回路200の装着予定位置が発光しているように表示する。本実施形態においては、拡張現実ディスプレイは、本線220の装着予定位置220gと枝線221の装着予定位置221gとが互いに異なる色で発光しているように表示する。
【0063】
拡張現実ディスプレイは、問題発生時に、血液浄化装置本体における問題発生箇所が発光しているように表示する。拡張現実ディスプレイは、血液回路200内の圧力値を、この圧力値に応じて異なる発光色で表示する。
【0064】
本変形例においても、血液浄化装置の使用者は、実施形態1に係る血液浄化装置と同様に発光しているように表示された部位を確認することができる。
【0065】
よって、本変形例に係る血液浄化装置においては、血液回路200の装着時に、血液回路200の装着予定位置が発光しているように表示されることにより、直接的に装着予定位置を確認しつつ血液回路200を血液浄化装置本体に装着できるため、血液回路200の誤装着を抑制できる。
【0066】
特に、血液回路200の装着時に、本線220の装着予定位置220gと枝線221の装着予定位置221gとが互いに異なる色で発光しているように表示されることにより、動脈側回路の本線220と枝線221との誤装着を抑制することができる。
【0067】
また、問題発生時に、血液浄化装置本体における問題発生箇所が発光しているように表示されることにより、容易に問題に対処することができる。
【0068】
さらに、血液回路200内の圧力値が、この圧力値に応じて異なる発光色で表示されることにより、血液回路200内の血流の状態を容易に把握することができる。
【0069】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置について図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置は、血液回路の構成が主に、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置と異なるため、本発明の実施形態1に係る血液浄化装置と同様の構成については説明を繰り返さない。
【0070】
図4は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置が備える血液回路の構成を示す回路図である。本発明の実施形態2に係る血液回路は、血液透析ろ過法(HDF)に用いられる血液回路である。
【0071】
図4に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置が備える血液回路300は、静脈側回路230および動脈側回路を含む。動脈側回路は、本線220と、本線220から分岐した枝線221と、枝線221から分岐した補充線222とを含む。補充線222は、第2ドリップチャンバ250の補充口253に接続されている。本実施形態においては、動脈側回路が分岐しているが、これに限られず、静脈側回路230が分岐していてもよい。すなわち、静脈側回路および動脈側回路の少なくとも一方が、本線と、本線から分岐した枝線とを含んでいればよい。
【0072】
動脈側回路の本線220には、たとえば、赤色のマーキングが施されている。動脈側回路の枝線221には、たとえば、緑色のマーキングが施されている。動脈側回路の補充線222には、たとえば、紫色のマーキングが施されている。静脈側回路230には、たとえば、青色のマーキングが施されている。なお、動脈側回路全体に、たとえば、赤色のマーキングが施されていてもよい。
【0073】
血液回路300は、血液浄化装置本体100に装着される。図5は、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体において、血液回路の装着時に、血液回路の装着予定位置が発光している状態を示す正面図である。なお、図5においては、血液回路の装着予定位置以外の発光箇所も図示している。
【0074】
図5に示すように、本発明の実施形態2に係る血液浄化装置が備える血液浄化装置本体100においては、血液回路300の装着時に、血液回路300の装着予定位置が発光する。本実施形態においては、血液浄化装置本体100において、本線220の装着予定位置220gと枝線221の装着予定位置221gと補充線222の装着予定位置222gとが互いに異なる色で発光する。また、静脈側回路230の装着予定位置230gが、本線220の装着予定位置220g、枝線221の装着予定位置221gおよび補充線222の装着予定位置222gの各々とは異なる色で発光する。なお、血液浄化装置本体100において、本線220の装着予定位置220gと枝線221の装着予定位置221gと補充線222の装着予定位置222gとが互いに同じ色で発光してもよい。
【0075】
本実施形態においては、血液浄化装置本体100における血液回路300の装着予定位置のパネルの内側に、LEDが配置されている。たとえば、本線220の装着予定位置220gに対応して配置されたLEDが赤色で発光し、枝線221の装着予定位置221gに対応して配置されたLEDが緑色で発光し、補充線222の装着予定位置222gに対応して配置されたLEDが紫色で発光し、静脈側回路230の装着予定位置230gに対応して配置されたLEDが青色で発光する。
【0076】
本実施形態においては、動脈側回路の本線220の装着予定位置220gは、動脈側センサ部151、血液ポンプ120および第1クリップ部181の各々を通過するように線状に発光する。また、動脈側回路の本線220の装着予定位置220gは、動脈側回路の本線220を流れる血液の向きも示すように発光する。ただし、動脈側回路の本線220の装着予定位置220gの表示態様は、上記に限られず、動脈側センサ部151、血液ポンプ120および第1クリップ部181の各々を繋ぐ点線が点滅するように発光してもよい。
【0077】
動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gは、補液ポート170、第3クリップ部183および動脈側センサ部151の各々を通過するように線状に発光する。また、動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gは、動脈側回路の枝線221を流れる補液の向きも示すように発光する。ただし、動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gの表示態様は、上記に限られず、補液ポート170、第3クリップ部183および動脈側センサ部151の各々を繋ぐ点線が点滅するように発光してもよい。
【0078】
動脈側回路の補充線222の装着予定位置222gは、補液ポンプ130、第4クリップ部184および第1クリップ部181の各々を通過するように線状に発光する。また、動脈側回路の補充線222の装着予定位置222gは、動脈側回路の補充線222を流れる補液の向きも示すように発光する。ただし、動脈側回路の補充線222の装着予定位置222gの表示態様は、上記に限られず、補液ポンプ130、第4クリップ部184および第1クリップ部181の各々を繋ぐ点線が点滅するように発光してもよい。
【0079】
静脈側回路230の装着予定位置230gは、第1クリップ部181、静脈側センサ部152および第2クリップ部182の各々を通過するように線状に発光する。また、静脈側回路230の装着予定位置230gは、静脈側回路230を流れる血液の向きも示すように発光する。ただし、静脈側回路230の装着予定位置230gの表示態様は、上記に限られず、第1クリップ部181、静脈側センサ部152および第2クリップ部182の各々を繋ぐ点線が点滅するように発光してもよい。
【0080】
血液浄化装置の使用者は、血液回路300を血液浄化装置本体100に装着する際、赤色に発光している動脈側回路の本線220の装着予定位置220gを直接的に確認しつつ、赤色のマーキングが施されている動脈側回路の本線220を血液浄化装置本体100に装着することができる。
【0081】
動脈側回路の本線220を血液浄化装置本体100に装着することにより、図4に示すように、動脈側回路の本線220は、動脈側センサ部151、血液ポンプ120および第1クリップ部181の各々に取り付けられる。
【0082】
同様に、血液浄化装置の使用者は、血液回路300を血液浄化装置本体100に装着する際、緑色に発光している動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gを直接的に確認しつつ、緑色のマーキングが施されている動脈側回路の枝線221を血液浄化装置本体100に装着することができる。
【0083】
動脈側回路の枝線221を血液浄化装置本体100に装着することにより、図4に示すように、動脈側回路の枝線221は、補液ポート170、第3クリップ部183および動脈側センサ部151の各々に取り付けられる。
【0084】
同様に、血液浄化装置の使用者は、血液回路300を血液浄化装置本体100に装着する際、紫色に発光している動脈側回路の補充線222の装着予定位置222gを直接的に確認しつつ、紫色のマーキングが施されている動脈側回路の補充線222を血液浄化装置本体100に装着することができる。
【0085】
動脈側回路の補充線222を血液浄化装置本体100に装着することにより、図4に示すように、補液ポンプ130、第4クリップ部184および第1クリップ部181の各々に取り付けられる。
【0086】
同様に、血液浄化装置の使用者は、血液回路300を血液浄化装置本体100に装着する際、青色に発光している静脈側回路230の装着予定位置230gを直接的に確認しつつ、青色のマーキングが施されている静脈側回路230を血液浄化装置本体100に装着することができる。
【0087】
静脈側回路230を血液浄化装置本体100に装着することにより、図4に示すように、静脈側回路230は、第1クリップ部181、静脈側センサ部152および第2クリップ部182の各々に取り付けられる。
【0088】
動脈側回路の本線220の装着予定位置220gの発光、動脈側回路の枝線221の装着予定位置221gの発光、動脈側回路の補充線222の装着予定位置222gの発光、および、静脈側回路230の装着予定位置230gの発光の各々は、同時に行なわれてもよいし、装着順に行なわれてもよい。
【0089】
本実施形態においては、補液ポンプ130は、補液ポート170から供給された補液が補充口253から第2ドリップチャンバ250内に流入するように回転する。
【0090】
本発明の実施形態2に係る血液浄化装置においても、血液回路300の装着時に、血液回路300の装着予定位置が発光することにより、直接的に装着予定位置を確認しつつ血液回路300を血液浄化装置本体100に装着できるため、血液回路300の誤装着を抑制できる。
【0091】
特に、血液回路300の装着時に、本線220の装着予定位置220gと枝線221の装着予定位置221gと補充線222の装着予定位置222gとが互いに異なる色で発光することにより、動脈側回路の本線220と枝線221と補充線222との誤装着を抑制することができる。
【0092】
また、問題発生時に、血液浄化装置本体100における問題発生箇所が発光することにより、容易に問題に対処することができる。
【0093】
さらに、血液浄化装置本体100が、血液回路300内の圧力値を、この圧力値に応じて異なる発光色で表示することにより、血液回路300内の血流の状態を容易に把握することができる。
【0094】
本実施形態に係る血液浄化装置においても、血液浄化装置本体100の発光部の代わりに、実施形態1の変形例と同様にウェアラブルグラスを備える構成であってもよい。
【0095】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 動脈、2 静脈、3 透析液、4 排液、100 血液浄化装置本体、111 動脈側カプラ、111g,112g,120g,130g,140g,151g,152g,161g,162g,170g 警報部、112 静脈側カプラ、120 血液ポンプ、130 補液ポンプ、140 シリンジポンプ、151 動脈側センサ部、152 静脈側センサ部、161 動脈側受圧口、162 静脈側受圧口、170 補液ポート、181 第1クリップ部、182 第2クリップ部、183 第3クリップ部、184 第4クリップ部、190 補液バッグ、200,300 血液回路、210 血液浄化器、211 血液入口、212 血液出口、213 排液出口、214 透析液入口、220 本線、220e,230e 端部、220g,221g,222g,230g 装着予定位置、221 枝線、222 補充線、230 静脈側回路、240 第1ドリップチャンバ、241,251 流入口、242,252 流出口、249,259 放圧管、250 第2ドリップチャンバ、253 補充口。
図1
図2
図3
図4
図5