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特開2023-91083電子素子実装用基板、電子装置および電子モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091083
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】電子素子実装用基板、電子装置および電子モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20230622BHJP
   H01L 23/02 20060101ALN20230622BHJP
【FI】
H01L23/12 N
H01L23/12 E
H01L23/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080184
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2017207032の分割
【原出願日】2017-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 明彦
(57)【要約】
【課題】本発明の電子素子実装用基板は、外部からの応力による内部導体の隙間の部分から基板にクラックや割れの発生を低減させ、電子素子実装用基板の剛性を向上させることが可能となる。
【解決手段】電子素子実装用基板1は、第1絶縁層2aと、第1絶縁層2aの下面に位置する第2絶縁層2bと、第2絶縁層2bの下面に位置する第3絶縁層2cを有している。電子素子実装用基板1は第1絶縁層2aと、第2絶縁層2bとの間に位置する第1導体層5aと、第2絶縁層2bと第3絶縁層2cとの間に位置する第2導体層5bとを備えている。第1導体層5aは、第1の間5agを有している。第2導体層5bは、第2の間5bgを有している。平面視において、第1の間5agは第2導体層5bと重なって位置しており、第2の間5bgは、第1導体層5aと重なって位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方または下方に電子素子が位置する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の下面に位置する第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の下面に位置する第3絶縁層と、
前記第1絶縁層と、前記第2絶縁層との間に位置した、第1の間を有する第1導体層と、
前記第2絶縁層と、前記第3絶縁層との間に位置した、第2の間を有する第2導体層と、を備えており、
平面視において、前記第1の間は前記第2導体層と重なって位置しており、前記第2の間は、前記第1導体層と重なって位置しており、かつ前記第1の間と前記第2の間とは離れており、
前記第1導体層の前記第1の間は、前記第1絶縁層または前記第2絶縁層の少なくとも一部が位置しており、
前記第2導体層の前記第2の間は、前記第2絶縁層または前記第3絶縁層の少なくとも一部が位置しており、
積層方向の断面視において、前記第1導体層の端部および前記第2導体層の端部は、それぞれ他の箇所よりも積層方向における厚みが小さいことを特徴とする電子素子実装用基板。
【請求項2】
前記第1導体層および前記第2導体層は、グランドまたは電源と接続されることを特徴とする請求項1に記載の電子素子実装用基板。
【請求項3】
平面視において、前記第1導体層および前記第2導体層は、外縁が直線的に蛇行した形状またはウェーブ形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子素子実装用基板。
【請求項4】
前記第3絶縁層の下面に位置した第4絶縁層と、
前記第3絶縁層と前記第4絶縁層との間に位置した、第3の間を有する第3導体層とをさらに有しており、
平面視において、前記第3の間は、前記1導体層および前記第2導体層と重なって位置しているとともに、
前記第1の間および前記第2の間は、前記第3導体層と重なって位置していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
【請求項5】
平面視において、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層は中央部に貫通孔を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
【請求項6】
平面視において、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、前記第3絶縁層および前記第4絶縁層は中央部に貫通孔を有することを特徴とする請求項4に記載の電子素子実装用基板。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板と、
前記電子素子実装用基板に実装された電子素子と、を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電子装置と、
前記電子装置の上面に位置した筐体とを備えたことを特徴とする電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子、例えばCCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の撮像素子、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子または集積回路等が実装される電子素子実装用基板、電子装置および電子モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、絶縁層からなる配線基板を備えた電子素子実装用基板が知られている。また、このような電子素子実装用基板に電子素子が実装された電子装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―165992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電子素子実装用基板は、複数の絶縁層の間に内部導体が設けられている。内部導体は同一層に複数設けられており、複数電極を取る等の電極の都合上、複数の内部導体間は隙間が設けられている。このとき、一般的に、電子素子実装用基板は電気特性の向上が要求されている。そのため、内部導体の厚みは電気抵抗を低減させる為により厚くする傾向にあった。内部導体の厚みが厚くなると、各層の隙間も大きくなる傾向にあり、各層の隙間が重なると、外部からの応力等により、基板にクラックや割れ等が生じるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様に係る電子素子実装用基板は、第1絶縁層と、第2絶縁層と、第3絶縁層と、第1導体層と、第2導体層とを備えている。第1絶縁層は、上方または下方に電子素子が位置する。第2絶縁層は、第1絶縁層の下面に位置する。第3絶縁層は、第2絶縁層の下面に位置する。第1導体層は、第1絶縁層と、第2絶縁層との間に位置した、第1の間を有する。第2導体層は、第2絶縁層と、第3絶縁層との間に位置した、第2の間を有する。平面視において、第1の間は第2導体層と重なって位置しており、第2の間は、第1導体層と重なって位置している。平面視において、第1の間と第2の間とは離れている。第1導体層の第1の間は、第1絶縁層または第2絶縁層の少なくとも一部が位置しており、第2導体層の第2の間は、第2絶縁層または第3絶縁層の少なくとも一部が位置しており、積層方向の断面視において、第1導体層の端部および第2導体層の端部は、それぞれ他の箇所よりも積層方向における厚みが小さいことを特徴とする。
【0006】
本発明の1つの態様に係る電子装置は、電子素子実装用基板と、前記電子素子実装用基板に実装された電子素子とを備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明の1つの態様に係る電子モジュールは、電子装置の上面または電子装置を囲んで位置した筐体と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の1つの態様に係る電子素子実装用基板は、上記のような構成により、電子素子実装用基板のクラックや割れが発生する事が低減することができる。さらに、上述した電子素子実装用基板を備えた電子装置を用いることによって、剛性を向上させることが可能な電子装置および電子モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は本発明の第1の実施形態に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、図1(b)は図1(a)のX1-X1線に対応する縦断面図である。
図2図2(a)は本発明の第1の実施形態に係る電子モジュールの外観を示す上面図であり、図2(b)は図2(a)のX2-X2線に対応する縦断面図である。
図3図3(a)は本発明の第1の実施形態に係る電子素子実装用基板の要部Aの拡大した概要図であり、図3(b)は本発明の第1の実施形態に係る電子素子実装用基板の要部Aの拡大したその他の実施例の概要図である。
図4図4(a)図4(b)は本発明の第1の実施形態に係る電子素子実装用基板の一部を示す概要図である。
図5図5(a)図5(b)は本発明の第1の実施形態に係る電子素子実装用基板の一部を示す概要図である。
図6図6(a)図6(b)は本発明の第1の実施形態電子素子実装用基板に係る電子素子実装用基板の一部を示す概要図である。
図7図7(a)は本発明の第2の実施形態に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、図7(b)は図7(a)のX7-X7線に対応する縦断面図である。
図8図8(a)は本発明の第2の実施形態に係る電子素子実装用基板の要部Aの拡大した概要図であり、図8(b)は本発明の第2の実施形態に係る電子素子実装用基板の要部Aの拡大したその他の実施例の概要図である。
図9図9(a)は本発明の第3の実施形態に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、図9(b)は図9(a)のX9-X9線に対応する縦断面図である。
図10図10(a)は本発明の第3の他の実施形態に係る電子素子実装用基板および電子装置の外観を示す上面図であり、図10(b)は図10(a)のX10-X10線に対応する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<電子素子実装用基板および電子装置の構成>
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、電子素子実装用基板に電子素子が実装された構成を電子装置とする。また、電子素子実装用基板の上面側に位置するようにまたは電子装置を囲んで設けられた筐体または部材を有する構成を電子モジュールとする。電子素子実装用基板、電子装置および電子モジュールは、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方とする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1図2を参照して本発明の第1の実施形態における電子モジュール31、電子装置21、および電子素子実装用基板1について説明する。図3を参照して要部Aについて説明する。図4図6を参照して、第1絶縁層2aと第2絶縁層2bとの間に位置した第1の間5agを有する第1導体層5aと、第2絶縁層2bと第3絶縁層2cとの間に位置した第2の間5bgを有する第2導体層5bについて説明する。また図4図6では第1導体5a第2導体5bをドットおよび実線で示している。
【0012】
電子素子実装用基板1は、第1絶縁層2aと、第1絶縁層2aの下面に位置する第2絶縁層2bと、第2絶縁層2bの下面に位置する第3絶縁層2cを有している。電子素子実装用基板1は第1絶縁層2aと、第2絶縁層2bとの間に位置する第1導体層5aと、第2絶縁層2bと第3絶縁層2cとの間に位置する第2導体層5bとを備えている。第1導体層5aは、第1の間5agを有している。第2導体層5bは、第2の間5bgを有している。平面視において、第1の間5agは第2導体層5bと重なって位置しており、第2の間5bgは、第1導体層5aと重なって位置している。
【0013】
電子素子実装用基板1は、第1絶縁層2aと、第1絶縁層2aの下面に位置する第2絶縁層2bと、第2絶縁層2bの下面に位置する第3絶縁層2cを有している。ここで、図1に示す例の様に、電子素子実装用基板1は第1絶縁層2a、第2絶縁層2bと第3絶縁層2cの他にその他の絶縁層2eを有していてもよい。
【0014】
第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cおよびその他の絶縁層2eを構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂などがある。なお以下、第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cおよびその他の絶縁層2eからなる絶縁基体を基体2と称する。
【0015】
第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cおよびその他の絶縁層2eを形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等がある。
【0016】
第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cおよびその他の絶縁層2eを形成する絶縁層の材料として使用される樹脂としては例えば、熱可塑性の樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等がある。フッ素系樹脂としては例えば、四フッ化エチレン樹脂等がある。
【0017】
第1絶縁層2aの上面または/および第3絶縁層2cの下面にはその他の絶縁層2eを複数上下に積層して形成されていてもよい。第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cまたは/およびその他の絶縁層2eから成る基体2は、図1に示すように6層の絶縁層から形成されていてもよいし、5層以下または7層以上の絶縁層から形成されていてもよい。絶縁層が5層以下の場合には、電子素子実装用基板1の薄型化を図ることができる。また、絶縁層が6層以上の場合には、電子素子実装用基板1の剛性を高めることができる。また、図1図2に示す例のように、各絶縁層に開口部を設け、設けた開口部の大きさを異ならせた上面に段差部を形成していてもよく、後述する電極パッド3が段差部に設けられていてもよい。
【0018】
電子素子実装用基板1は例えば、最外周の1辺の大きさは0.3mm~10cmであり、平面視において電子素子実装用基板1が矩形状あるとき、正方形であってもよいし長方形であってもよい。また例えば、電子素子実装用基板1の厚みは0.2mm以上である。
【0019】
電子素子実装用基板1は、第1絶縁層2aと第2絶縁層2bとの間に位置する第1導体層5aと、第2絶縁層2bと第3絶縁層2cとの間に位置する第2導体層5bを有している。また、電子素子実装用基板1の第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cおよびその他の絶縁層2cからなる基体2は表面に電極パッド3を有していてもよい。ここで電極パッド3は上面視において第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cまたは/およびその他の絶縁層2cの何れかの表面に設けられていればよく、第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cまたは/およびその他の絶縁層2cの何れかの表面のいずれか、またはすべての絶縁層に設けられていてもよい。
【0020】
基体2の上面、側面または下面には、外部回路接続用の電極が設けられていてもよい。外部回路接続用の電極は、基体2と外部回路基板、あるいは電子装置21と外部回路基板とを電気的に接続するものである。
【0021】
さらに基体2の第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cまたは/およびその他の絶縁層2cの上面または下面には、電極パッド3、第1導体層5a、第2導体層5bおよびその他の内部導体層と、内部導体同士を上下に接続する貫通導体が設けられていてもよい。これら内部導体層または貫通導体は、基体2の表面に露出していてもよい。この内部導体層または貫通導体によって、電極パッド3、第1導体層5a、第2導体層5b、それ以外の内部導体層と外部回路接続用の電極はそれぞれ電気的に接続されていてもよい。
【0022】
電極パッド3、第1導体層5a、第2導体層5b、外部回路接続用の電極、内部導体層および貫通導体は、第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cおよびその他の絶縁層2eが電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、電極パッド3、第1導体層5a、第2導体層5b、外部回路接続用の電極、内部導体および貫通導体は、第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第2絶縁層2cおよびその他の絶縁層2eが樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等がある。
【0023】
電極パッド3、外部回路接続用の電極、内部導体および貫通導体の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、外部回路接続用の電極、内部導体および貫通導体の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、電極パッド3と電子素子10とをワイヤボンディング等の電子素子接続材13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5μm~10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5μm~3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
【0024】
第1導体層5aは、第1の間5agを有している。また、第1導体層5aは、第1導体5aaと第2導体5abを有している。第1の間5agは、第1導体5aaと第2導体5abとの間に位置している。この第1の間5agにより、第1導体5aaと第2導体5abとは電気的に絶縁する事ができる。第1導体5aaと第2導体5abを絶縁する場合は第1導体5aaと第2導体5abとは異なる電源電位や異なるシグナル信号線となり、第1導体5aaと第2導体5abを絶縁しない場合は第3導体5baと第4導体5bbとは同じ電源電位や同じシグナル信号線となる。同じ電源電位や同じシグナル信号線の場合、たとえば別の部分例えば上層または下層で導通していてもよい。第1導体5aaと第2導体5abとの第1の間5agは、例えば20μm以上もしくは、基体2の1辺の1%以上であればよい。
【0025】
第1導体5aaと第2導体5abは、グランドまたは電源電位に用いられる、べた状、つまりワイドプレーン状の導体であってもよい。また、第1導体5aaと第2導体5abとがグランドまたは電源電位に用いられるワイドプレーン状の導体であるとき、第1導体5aaと第2導体5abと第1の間5agに例えば信号導体が設けられていてもよい。例えば、ワイドプレーンは、そのワイドプレーンの1辺が150μm以上であればよい。
【0026】
第2導体層5bは、第2の間5bgを有している。また、第2導体層5bは、第3導体5baと第4導体5bbを有している。第2の間5bgは、第3導体5baと第4導体5bbとの間に位置している。この第2の間5bgにより、第3導体5baと第4導体5bbとは電気的に絶縁する事ができる。第3導体5baと第4導体5bbを絶縁する場合は、第3導体5baと第4導体5bbとは異なる電源電位や異なるシグナル信号線となり、第3導体5baと第4導体5bbを絶縁しない場合は、第3導体5baと第4導体5bbとは同じ電源電位や同じシグナル信号線となる。同じ電源電位や同じシグナル信号線の場合、別の部分例えば上層または下層で導通していてもよい。第3導体5baと第4導体5bbとの第2の間5bgは、例えば20μm以上もしくは、基体2の1辺の1%以上であればよい。
【0027】
第3導体5baと第4導体5bbは、グランドまたは電源電位に用いられるワイドプレーン状の導体であってもよい。また、第3導体5baと第4導体5bbとがグランドまたは電源電位に用いられるワイドプレーン状の導体であるとき、第3導体5baと第4導体5bbと第2の間5bgに例えば信号導体が設けられていてもよい。例えば、ワイドプレーンは、そのワイドプレーンの1辺が150μm以上であればよい。平面視において、第1の間5agは第2導体層5bと重なって位置しており、第2の間5bgは、第1導体層5aと重なって位置している。
【0028】
内部導体(第1導体層5aおよび第2導体層5b)の厚みは電気抵抗を低減させる為により厚くする傾向にある。さらに、電子素子実装用基板1は薄型化の要求があり、各絶縁層(第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cまたは/およびその他の絶縁層2e)は薄くなっている。つまり、絶縁層の厚みに比べて、隙間の高さが高くなる傾向にある。言い換えると、内部導体がもつ隙間、つまり第1の間5agおよび第2の間5bgが上面視で複数層重なることになり、外部からの応力により基体2にクラックや割れが発生するおそれが高くなる。このような傾向から、外部からの応力により内部導体の隙間が上面視で複数重なる部分から基体2にクラックや割れが発生する事が懸念されていた。
【0029】
これに対し、本実施形態では第1の間5agは第2導体層5bと重なって位置しており、第2の間5bgは、第1導体層5aと重なって位置する。このことで外部からの応力により内部導体の隙間が上面視で複数重なる部分から基板にクラックや割れが発生するおそれを低減する事が可能となる。
【0030】
このとき、第1導体層5aと第2導体層5bは、別の金属材料でもよく、同一の金属材料でもよい。別の金属もしくはその組成が異なる場合は、各導体層の平面形状と導体強度から最適な金属材料を第1導体層5aと第2導体層5bに使用することで基体2の靱性強度を向上することができる。同一の金属もしくはその組成が同じ場合は、基板2の製造時に発生する不具合を軽減することが可能となる。
【0031】
第1導体層5aと第2導体層5bは、第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cに、断面視で厚み方向の一部が埋め込まれていてもよい。第1導体層5aと第2導体層5bの一部が埋め込まれている場合、導体層と絶縁層の接合強度が向上することができる。そのため結果的に、基体2の靱性強度を向上することにつながる。同様に、第1導体層5aと第2導体層5bは、第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cは、断面視で厚み方向の全体が埋め込まれていてもよい。全体が埋め込まれている場合、導体層と絶縁層の接合強度が更に向上することができる。そのため結果的に、基体2の靱性強度を向上することにつながる。また、第1導体層5aと第2導体層5bの端部の断面形状は、図1図2図3(a)に示す例の様に片刃形状、台形形状でもよく、図3(b)に示す例のレンズ形状の様に他の形状でも構わない。例えばレンズ形状の場合は、第1導体層5a/第2導体層5bの端部の断面形状がよりなめらかになる。このことで例えば第1導体層5aと第2導体層5bの形状が表面に現れた場合でも基体2の表面形状がなだらかになることで、電子素子10や蓋体12などの接合不良や傾き不良などの実装の不具体の低減を図ることができる。
【0032】
図3に要部Aを示す。図3(a)の様に、第1の間5agと、第2の間5bgとは一部が重なっていてもよい。このような場合においても、第1の間5agと第2の間5bgの重なっている部分を小さくすることができるので、基体2の靱性強度を向上することが可能となり、クラックや割れの発生の懸念を低減することが可能となる。また、第1の間5agと、第2の間5bgの重なっている部分を小さくすることで、基体2の表面形状がなめらかになり、電子素子10や蓋体12などの実装の不具合の低減を図ることができる。
【0033】
さらに、図3(b)の様に第1の間5agと第2の間5bgとが離れていてもよい。例えば、第1の間5agと第2の間5bgの幅の狭い隙間以上に離れているとよい。第1の間5agと、第2の間5bgとが重ならないことで、さらに基体2の靱性強度を向上することが可能となる。クラックや割れが発生することの懸念を低減することが可能となる。また、第1の間5agと、第2の間5bgとが重ならないことで、基体2の表面形状が更になめらかになり、電子素子10や蓋体12などの実装の不具合を更に低減するができる。
【0034】
図4図6を参照して第1導体層5a、第2導体層5bの形状について説明する。図4(a)は、第2絶縁層2b上に第1導体層5aが配置されていることを示しており、図4(b)は、第3絶縁層2c上に第2導体層5bが配置されていることを示している。また、α1は基体2の中心を通りX軸に平行な仮想線を、α2は基体2の中心を通りY軸に変更な仮想線を表している。基体2の仮想線α1、α2を図4図6中に2点鎖線で示す。
【0035】
図4に示す例では第1の間5agの位置する部分の第1導体5aaの外縁と第2導体5abの外縁の導体形状は直線状になっている。第2の間5bgの位置する部分の第3導体5baと第4導体5bbの導体形状も直線状になっている。また、第1の間5agは、上面視で第3導体5baと重なっており、第2の間5bgは第2導体5abと重なっている。
【0036】
このような場合でも、第1の間5agと、第2の間5bgの重なっている部分を小さくすることで、基体2の靱性強度を向上することが可能となり、基体2にクラックや割れの発生の懸念を低減することが可能となる。
【0037】
図4では、上面視で第1の間5agと第3導体5ba、第2の間5bgと第2導体5abが重なっているが、上面視で第1の間5agと第4導体5bb、第2の間5bgと第1導体5aaと重なっても第1の間5agと、第2の間5bgの重なっている部分を小さくすることで、基体2の靱性強度を向上することが可能となり、基体2にクラックや割れの発生の懸念を低減することが可能となる。
【0038】
さらに、図4の様に導体層5aと導体層5bが基体2全体に配置されることで基体2の靱性強度を向上することが可能となり、基体2にクラックや割れの発生の懸念を低減することが可能となる。導体層5aと導体層5bがグランドまたは電源電位に用いられるワイドプレーン状の導体の場合、電源抵抗が低くなり電源ノイズの低減の効果も得られる。
【0039】
図5に示す例では、第1の間5agの位置する部分の第1導体5aaの外縁と第2導体5abの外縁の導体形状と第2の間5bgの位置する部分の第3導体5baの外縁と第4導体5bbの外縁の導体形状が、角度をもって直線的に蛇行している。さらに、上面視で第1の間5agと第3導体5baまたは/および第4導体5bb、第2の間5bgと第1導体5aaまたは/および第2導体5abが重なっている。
【0040】
図5に示すように第1の間5agと第2の間5bgが蛇行することで、第1の間5agと第2の間5bgの重なっている部分を小さくできる。このことから基体2の靱性強度を向上することが可能となり、基体2にクラックや割れの発生の懸念を低減することが可能となる。
【0041】
なお、ここで蛇行とは、導体の外縁が直線で角度を持って曲がっている形状が連なった形状を指している。つまり、上面視において直線状になっている箇所を有している。このときの角度や、直線部の大きさなどは指定される必要はない。図6に示す例では、第1の間5agの位置する部分の第1導体5aaの外縁と第2導体5abの外縁の導体形状と第2の間5bgの位置する部分の第3導体5baの外縁と第4導体5bbの外縁の導体形状が、曲線でウエーブ形状となっている。
【0042】
図6に示す例の様にウエーブ形状になることで、図5の第1の間5agの位置する部分の第1導体5aaの外縁と第2導体5abの外縁の導体形状と第2の間5bgの位置する部分の第3導体5baの外縁と第4導体5bbの外縁の導体形状の鋭角部分をなくすことができる。このことにより第1導体層5aおよび第2導体層5bの角部での応力集中を低減することができる。その為局部的な応力集中のおそれを低減することができ、クラックや割れの発生の懸念を低減することが可能となる。
【0043】
なお、ここでウエーブ形状とは、導体の外縁が曲線で連なった形状を指している。この時の曲線の方向や、曲線の半径の大きさなどは指定される必要はない。
【0044】
図4図6では、第1導体5aa、第2導体5ab、第3導体5baおよび第4導体5bbの外縁形状の一例を説明したが、第1導体5aa、第2導体5ab、第3導体5baおよび第4導体5bbは上記以外の他の形状、例えば1か所だけでなく数カ所の間を配置させることができる。また、上下の導体層間の形状を変えることも可能である。これらの組み合わせで多様な形状であっても、第1の間5agと第2の間5bgが本実施形態の条件を満たすことで、基体2のクラックや割れの発生を低減することが可能となる。
【0045】
<電子装置の構成>
図1図2に電子装置21の例を示す。電子装置21は、電子素子実装用基板1と、電子素子実装用基板1に実装された電子素子10を備えている。
【0046】
電子装置21は、電子素子実装用基板1と、電子素子実装用基板1に実装された電子素子10を有している。電子素子10は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子、またはLED(Light Emitting Diode)などの発光素子、またはLSI(Large Scale Integrated)等の集積回路等である。なお、電子素子10は、接着材を介して、基体2の上面に配置されていてもよい。この接着材は、例えば、銀エポキシまたは熱硬化性樹脂等が使用される。
【0047】
電子装置21は、電子素子10を覆うとともに、電子素子実装用基板1の上面に接合された蓋体12を有していてもよい。ここで、電子素子実装用基板1は基体2枠状部分の上面に蓋体12を接続してもよいし、蓋体12支え、基体2の上面であって電子素子10を取り囲むように設けられた枠状体を設けてもよい。また、枠状体と基体2とは同じ材料から構成されていてもよいし、別の材料で構成されていてもよい。
【0048】
枠状体と基体2と、が同じ材料から成る場合、基体2は枠状体とは開口部を設けるなどして最上層の絶縁層と一体化するように作られていてもよいし、別に設けるろう材等でそれぞれ接合してもよい。
【0049】
また、基体2と枠状体とが別の材料から成る例として枠状体が蓋体12と基体2とを接合する蓋体接合材14と同じ材料から成る場合がある。このとき、蓋体接合材14を厚く設けることで、接着の効果と枠状体(蓋体12を支える部材)としての効果を併せ持つことが可能となる。このときの蓋体接合材14は例えば熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等が挙げられる。また、枠状体と蓋体12とが同じ材料から成る場合もあり、このときは枠状体と蓋体12は同一個体として構成されていてもよい。
【0050】
蓋体12は、例えば電子素子10がCMOS、CCD等の撮像素子、またはLEDなどの発光素子である場合ガラス材料等の透明度の高い部材が用いられる。また蓋体12は例えば、電子素子10が集積回路等であるとき、金属製材料または有機材料が用いられていてもよい。
【0051】
蓋体12は、蓋体接合材14を介して電子素子実装用基板1と接合している。蓋体接合材14を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等がある。
【0052】
電子装置21は、図1図2に示すような電子素子実装用基板1を有する。電子素子実装用基板1に実装される電子素子10や蓋体12などと、第1の間5agと第2の間5bgが上面視で重なる場合は、電子装置21の靱性を向上させることが可能となる。このことから電子素子実装用基板1のクラックや割れの可能性を低減でき、クラックや割れによる電子装置21の誤動作の低減が可能となる。
【0053】
<電子モジュールの構成>
図2に電子素子実装用基板1を用いた電子モジュール31の一例を示す。電子モジュール31は、電子装置21と電子装置21の上面または電子装置21を覆うように設けられた筐体32とを有している。なお、以下に示す例では説明のため撮像モジュールを例に説明する。
【0054】
電子モジュール31は筐体32(レンズホルダー)を有している。筐体32を有することでより気密性の向上または外部からの応力が直接電子装置21に加えられることを低減することが可能となる。筐体32は、例えば樹脂または金属材料等から成る。また、筐体32がレンズホルダーであるとき筐体32は、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなるレンズが1個以上組み込まれていてもよい。また、筐体32は、上下左右の駆動を行う駆動装置等が付いていて、電子素子実装用基板1と電気的に接続されていてもよい。
【0055】
なお、筐体32は上面視において4方向の少なくとも一つの辺において開口部が設けられていてもよい。そして、筐体32の開口部から外部回路基板が挿入され電子素子実装用基板1と電気的に接続していてもよい。また筐体32の開口部は、外部回路基板が電子素子実装用基板1と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて電子モジュール31の内部が気密されていてもよい。
【0056】
電子モジュール31は、図2に示すような電子素子実装用基板1を有する。電子素子実装用基板1に実装される電子素子10や蓋体12や筐体32と、第1の間5agと第2の間5bgが上面視で重なる場合は、電子モジュール31の靱性を向上させることが可能となる。このことから電子素子実装用基板1のクラックや割れの可能性を低減でき、クラックや割れによる電子モジュール31の誤動作の低減が可能となる。
【0057】
<電子素子実装用基板および電子装置の製造方法>
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置21の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、基体2を多数個取り配線基板を用いた製造方法である。
【0058】
(1)まず、基体2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al)質焼結体である基体2を得る場合には、Alの粉末に焼結助材としてシリカ(SiO)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、ドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0059】
なお、基体2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって基体2を形成することができる。また、基体2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって基体2を形成できる。
【0060】
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに金属層(第1導体層5aや第2導体層5bなど)、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、基体2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。
【0061】
例えば、第1の間5agを作成する場合は、第1導体5aaと第2導体5abとの間に所定の隙間を設けて金属ペーストを塗布することで作成することができる。同様に第2の間5bgを作成する場合は、第3導体5baと第4導体5bbとの間に所定の隙間を設けて金属ペーストを塗布することで作成することができる。
【0062】
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。ここで基体2がキャスタレーション、キャビティ等になる凹部またはノッチ等を有する場合、基体2となるグリーンシートの所定の箇所に、凹部(貫通孔)またはノッチ等を形成してもよい。
【0063】
(4)次に、各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧する。このことにより各絶縁層となるグリーンシートを積層し、基体2(電子素子実装用基板1)となるセラミックグリーンシート積層体を作製してもよい。
【0064】
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500℃~1800℃の温度で焼成して、基体2(電子素子実装用基板1)が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、基体2(電子素子実装用基板1)となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、導体層(第1導体層5aおよび第2導体層5bなど)、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体となる。
【0065】
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の基体2(電子素子実装用基板1)に分断する。この分断においては、基体2(電子素子実装用基板1)の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法またはスライシング法等により基体2(電子素子実装用基板1)の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。なお、上述した多数個取り配線基板を複数の基体2(電子素子実装用基板1)に分割する前もしくは分割した後に、それぞれ電解または無電解めっき法を用いて、電極パッド3、外部接続用パッドおよび露出した配線導体にめっきを被着させてもよい。
【0066】
(7)次に、電子素子実装用基板1の上面または下面に電子素子10を実装する。電子素子10はワイヤボンディング等で電子素子実装用基板1と電気的に接合させる。またこのとき、電子素子10または電子素子実装用基板1に接着材等を設け、電子素子実装用基板1に固定しても構わない。また、電子素子10を電子素子実装用基板1に実装した後、蓋体12を蓋体接合材14で接合してもよい。
【0067】
以上(1)~(6)の工程の様にして電子素子実装用基板1を作製し、(7)の工程の様に電子素子10を実装することで、電子装置21を作製することができる。なお、上記(1)~(7)の工程順番は指定されない。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による電子素子実装用基板1について、図7図8を参照しつつ説明する。なお、図7は本実施形態における電子素子実装用基板1および電子装置21の形状を示す。図8は要部Bを示す。
【0069】
本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、第3絶縁層2cの下面に位置した第4絶縁層2dと、第3絶縁層2cと第4絶縁層2dとの間に位置した、第3の間5cgを有する第3導体層5cとをさらに有している点である。第3の間5cgは、第1導体層5aおよび第2導体層5bと重なって位置しているとともに、第1の間5agおよび第2の間5bgは、第3導体層と重なって位置している点である。
【0070】
図7に示す例では、第3絶縁層2cの下面に位置した第4絶縁層2dを有している。第3絶縁層2cと第4絶縁層2dとの間に位置した、第3の間5cgを有する第3導体層5cとをさらに有している。
【0071】
内部導体(第1導体層5a、第2導体層5bおよび第3導体層5c)の厚みは電気抵抗を低減させる為により厚くする傾向にある。さらに、電子素子実装用基板1は薄型化の要求があり、各絶縁層(第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2c、第4絶縁層2dまたは/およびその他の絶縁層2e)は薄くなっている。言い換えると、内部導体がもつ隙間、第1の間5ag、第2の間5bgおよび第3の間5cgが上面視で複数層重なることになり、内部導体がもつ隙間が上面視で複数層重なることになり、外部からの応力により基体2にクラックや割れが発生する可能性が高くなる。このような傾向から、外部からの応力により内部導体の隙間が上面視で重なる部分から基体2板にクラックや割れが発生する事が懸念されていた。図8(a)に示す例では、第3の間5cgは、第1導体層5aおよび第2導体層5bと重なって位置し、第1の間5agおよび第2の間5bgは、第3導体層と重なって位置している。このことで外部からの応力による第1導体層5aおよび第2導体層5bの第3の間5cgと第2の間5bgが重なった面積を低減でき、第3の間5cgと第2の間5bgが重なった部分から基体2にクラックや割れが発生する可能性を低減する事が可能となる。
【0072】
第2の実施形態の電子素子実装用基板1の製造方法は、第4絶縁層2dと第3導体層2cを第1の実施形態の(1)、(2)の工程で作成し、(3)工程以降は第1の実施形態と同様に作成することができる。
【0073】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による電子素子実装用基板1について、図9図10を参照しつつ説明する。なお、図9図10は本実施形態における電子素子実装用基板1および電子装置の形状を示す。本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、基体2が貫通孔を有する(電子素子10の実装方法が異なる)点、基体2が側面の一部において切欠き7およびメタライズ層7aを有している点である。
【0074】
図9に示す例では、電子素子実装用基板1は上面視において電子素子10と重なる位置に貫通孔を有している。また、電子装置21に実装された電子素子10は上面視において基体2に設けられた貫通孔の中に位置するように設けられている。このような構成により、例えば電子素子10が撮像素子である場合において、より電子モジュール31の低背化が可能となる。また、電子素子実装用基板1は表面に電子部品22を有しているが、図9に示す例構造においてはより多くの電子部品22を実装することが可能となるため、電子装置の更なる小型化が可能となる。
【0075】
電子部品22は例えばチップコンデンサ、インダクタ、抵抗等の受動部品、またはOIS(Optical Image Stabilization)、信号処理回路、ジャイロセンサー等の能動部品などである。これら電子部品22はハンダ、導電性樹脂等によって接合材により、基体2に設けられたパッドに接続されている。なお、これら電子部品22は基体2に設けられた内部導体等を介して電子素子10と接続していても構わない。
【0076】
なお図9に示す例の様な実装形態の場合、電子素子10は金バンプまたは半田ボール等の電子素子接続材13で電子素子実装用基板1に接続された後、封止材で接続を強化し、さらに封止されていてもよい。また、例えばACF(Anisotropic Conductive Film)等の電子素子接続材13で接続されていてもよい。
【0077】
図9に示す例では、電子素子実装用基板1は、第1絶縁層2aの側壁から第2絶縁層2bの側壁にかけて、切欠き7を有しており、切欠き7にメタライズ層7aが設けられている。このように、電子素子実装用基板1は切欠き7を有し、切欠き7にメタライズ層7aを有していることで、切欠き7および切欠き7に設けられたメタライズ層7aを側面端子として使用することができる。よって、電子素子実装用基板1を用いた電子モジュール31において、筐体32と電子素子実装用基板1とを電気的に接続させることが可能となる。
【0078】
また、電子素子実装用基板1に切欠き7を有していることで、筐体32の脚部等を切欠き7に嵌め込むことができる。また切欠き7にメタライズ層7aを設けることで、筐体32と電子素子実装用基板1とをハンダ等の金属材で固定することができ、より接続強度を向上させることが可能となる。また、切欠き7または/およびメタライズ層7aはその他の絶縁層2eにも設けられていても良く、第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cまたは/およびその他の絶縁層2eに設けられた切欠き7の大きさはそれぞれの層で異ならせていてもよい。
【0079】
メタライズ層7aは第1導体層5a、第2導体層5bまたは、第3導体層5cと類似の材料から成っていてもよい。ここで、メタライズ層7aと第1導体層5a、第2導体層5bまたは/および第3導体層5cとは同じ材料から成っていてもよいし、異なる材料から成っていてもよい。メタライズ層7aと第1導体層5a、第2導体層5bまたは/および第3導体層5cとは同じ材料から成っていることで、物性及び特性を等しくすることが可能となるため、製造時における仕様を揃えることが可能となる。また、メタライズ層7aと第1導体層5a、第2導体層5bまたは/および第3導体層5cとは異なる材料から成っているとき、物性及び特性を等しくすることが可能となるため、より製造しやすい仕様を有する材料を適宜選択することが可能となる。とくにメタライズ層7aは側面に設けられる仕様の為、粘度が高い材料等を選択することもメタライズ層7aと第1導体層5a、第2導体層5bまたは/および第3導体層5cとの材料を異ならせることでできる。
【0080】
図9および図10に示す例の様な電子素子実装用基板1の製造方法は、第1実施形態に記載の工程に加えて、第1導体層5a、第2導体層5bまたは第3導体層5cを、第1絶縁層2a、第2絶縁層2b、第3絶縁層2cの側壁にかけて設ける工程と、切欠き7側に伸ばした第1導体5aまたは第2導体5bの上面から、その他の位置に設けられた第1導体5aまたは第2導体5bの上面にかけて、切欠き7の側面をメタライズ膜7aで覆う工程を備えている。このような工程を得る事で、図9図10に示す例の様な電子素子実装用基板1を作製することが可能となる。
【0081】
切欠き7の側面をメタライズ膜7aで覆う工程として、例えばスクリーン印刷法等を用いて、切欠き7の側面よりも内側に印刷が位置するように作成した製版をもちいて切欠き7の上面からメタライズ膜7aとなる金属ペーストを塗布する方法等が挙げられる。
【0082】
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明に係る各実施形態、その内容に矛盾をきたさない限り、すべてにおいて組合せ可能である。数値などの種々の変形は可能である。また、例えば、図4図6に示す例では、導体層の形状の一例を説明したが、導体層は上記以外の他の形状、例えば1か所だけでなく数カ所の間を配置させることができる。また、隙間を介して対向する導体層の形状や、上下層の導体層間の形状を変えることも可能である。それらの組み合わせで多種多様な間の形状が実現可能であることで、クラックや割れの発生を低減することが可能となる。また、本実施形態における電極パッド3、部品パッド5の配置、数、形状および電子素子の実装方法などは指定されない。
【符号の説明】
【0083】
1・・・・電子素子実装用基板
2・・・・基体
2a・・・第1絶縁層
2b・・・第2絶縁層
2c・・・第3絶縁層
2d・・・第4絶縁層
2e・・・その他の絶縁層
3・・・・電極パッド
5a・・・第1導体層
5aa・・第1導体
5ab・・第2導体
5ag・・第1の間
5b・・・第2導体層
5ba・・第3導体
5bb・・第4導体
5bg・・第2の間
5c・・・第3導体層
5ca・・第5導体
5cb・・第6導体
5cg・・第3の間
7・・・・切欠き
7a・・・メタライズ層
10・・・電子素子
12・・・蓋体
13・・・電子素子接続部材
14・・・蓋体接合材
21・・・電子装置
22・・・電子部品
31・・・電子モジュール
32・・・筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10