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特開2023-91086容器に配置された食品を処理する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091086
(43)【公開日】2023-06-29
(54)【発明の名称】容器に配置された食品を処理する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/04 20060101AFI20230622BHJP
【FI】
A47J27/04 D
A47J27/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080255
(22)【出願日】2023-05-15
(62)【分割の表示】P 2020519447の分割
【原出願日】2017-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】520113572
【氏名又は名称】カログスト・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】CAROGUSTO AG
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】グレンデルマイヤー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シェンク・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】シュムツ・ルーカス
(57)【要約】
【課題】より簡単に洗浄することが可能な、容器に配置された食品を処理する装置、およびこのような装置を取り扱う方法の改良を提示する。
【解決手段】容器2に収められた食品、特には調理済み食品を処理する装置は、蒸気を発生する蒸気発生ユニットと、少なくとも1つの蒸気排出口を有する蒸気プローブ5と、を含み、蒸気発生ユニットに蒸気供給ライン23を介して蒸気導通可能に接続された蒸気送出ユニット4と、を備える。装置は、さらにロック手段11を含み、蒸気送出ユニット4を蒸気供給ライン23に切離し自在に連結するカップリング機構10を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)に収められた食品、特には調理済み食品を処理する装置であって、
蒸気を発生する蒸気発生ユニットと、
少なくとも1つの蒸気排出口を有する蒸気プローブ(5)を含み、前記蒸気発生ユニットに蒸気供給ライン(23)を介して蒸気導通可能に接続された蒸気送出ユニット(4)と、を備える、装置において、
ロック手段を含み、前記蒸気送出ユニット(4)を前記蒸気供給ライン(23)に切離し自在に連結するカップリング機構(10)、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記蒸気送出ユニット(4)のうちの前記蒸気プローブ(5)を具備した少なくとも一部、特には前記蒸気送出ユニット(4)の全体が、回転軸心(R)回りに特には往復回転可能であり、かつ、前記カップリング機構(10)は、前記蒸気送出ユニット(4)が前記蒸気供給ライン(23)に蒸気連通可能に連結されているときに駆動トルクを前記蒸気送出ユニット(4)に伝達するトルク伝達手段を含むことを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記容器(2)と共同で調理チャンバーを実現するフードが前記蒸気送出ユニット(4)上に配置されており、好ましくは、当該フードは前記蒸気送出ユニット(4)のうちの前記カップリング機構(10)に連結されることが可能な連結セクション(38)によって、特には前記回転軸心(R)に沿って貫通しており、当該フードは、前記ロック手段(11)をロック解除した後に前記蒸気送出ユニット(4)と一緒に外すことが可能であることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置において、前記蒸気送出ユニット(4)を固定位置に移行させることによって、前記ロック手段(11)は当該蒸気送出ユニット(4)を自動的にロックするように、特には軸方向において固定するように実現されていることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置において、前記ロック手段(11)は、ロック位置と解除位置との間で好ましくは回転させることにより変位させることが可能なロックエレメント(12)を有し、当該ロックエレメント(12)は、自身のロック位置と自身の解除位置との間を、作動ユニット(8)、特には揺動レバー(9)を具備した作動ユニット(8)の手動による変位又は自動的な変位によって変位させることが可能であることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記作動ユニット(8)は、前記ロックエレメント(12)に対して切離し自在かつ力伝達可能にカップリングすることが可能であり、前記ロック位置の前記ロックエレメント(12)から脱カップリングすることで当該ロックエレメント(12)を回転可能な状態にする、好ましくは前記蒸気送出ユニット(4)と一緒に回転可能な状態にすることを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、前記作動ユニット(8)が、前記ロックエレメント(12)のギアリング(26)と噛み合う歯部セクション(32)を有しており、好ましくは、当該歯部セクション(32)が弾性を有するように実現及び/又は配置されていることを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、前記歯部セクション(32)の歯部と前記ギアリング(26)の歯部とを同期するようにさせる、特には前記作動ユニット(8)を変位させる
と同期するようにさせる同期手段(34)が、前記歯部セクション(32)に振り当てられていることを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記同期手段(34)は、特には弾性を有するように実現及び/又は配置された好ましくはフック状の同期エレメントを具備しており、当該同期エレメントは、前記ロックエレメント(12)の前記ギアリング(26)と噛み合うか又は前記ギアリング(26)に対して回転不能に配置されて前記蒸気送出ユニット(4)を回転駆動させる任意の駆動ギアリング(13)と噛み合う、少なくとも1つの同期歯を有しており、当該同期歯は、前記歯部セクション(32)のかみ合いの歯(36)の歯延長によって、偶数で割り切ることのできない距離だけ、当該歯部セクション(32)の歯(36)に対してオフセットしていることを特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の装置において、前記ロック手段(11)の状態および/または前記蒸気送出ユニット(4)の存在をモニターするセンサ手段が、前記蒸気供給ライン(23)に連結される装着位置に設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記ロック手段(11)を作動させると、特には前記ロックエレメント(12)を回転させると前記センサ手段のセンサに対して好ましくは軸方向に変位して特には前記センサ手段のスイッチを作動させることが可能なポジショニングエレメント(15)、好ましくはリンクガイド式のポジショニングエレメント(15)が、前記センサ手段に振り当てられていることを特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置において、さらに、
前記蒸気送出ユニット(4)と前記容器(2)との並進相対運動を、特には固定された前記容器(2)に対して前記蒸気送出ユニット(4)を変位させることにより引き起こす相対運動駆動部、特には昇降駆動部、を備えることを特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置において、前記蒸気送出ユニット(4)が、複数の蒸気プローブ(5)を具備した下部(43)を有し、当該下部は、当該下部に固定された蓋部(42)と共同で蒸気分配空間(45)を画定しており、当該蒸気分配空間内で蒸気が前記複数の蒸気プローブ(5)に分配されることが可能であることを特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(1)を取り扱う方法において、
前記ロック手段(11)のロック解除、特には手動によるロック解除の後、前記蒸気送出ユニット(4)が前記蒸気供給ライン(23)から分離されて、好ましくはその後当該蒸気送出ユニット(4)が洗浄、特には食器洗浄機で洗浄されることを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記蒸気送出ユニット(4)が、前記フード(7)、特には当該蒸気送出ユニット上に非連結で着座している前記フード(7)と一緒に前記蒸気供給ライン(23)から外されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されているとおり、容器に収められた(配置された)食品、特には調理済み食品を処理する装置であって、好ましくはハウジング内に設置された、蒸気を発生する蒸気発生ユニットと、少なくとも1つの蒸気排出口(スチーム・ディスチャージ・ユニット)を有する蒸気プローブを含み、上記蒸気発生ユニットに蒸気供給ラインを介して蒸気導通可能に接続された蒸気送出ユニット(スチーム・デリバリ・ユニット)と、を備える装置に関する。
本発明は、さらに、請求項14に記載されているとおり、このような装置の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器に配置された食品を調理する装置であって、加熱対象の調理済み食品に蒸気を送り込む複数の蒸気プローブを含み、蒸気供給ラインに強固に連結された蒸気送出ユニットを備え、当該蒸気送出ユニットが、蒸気の分布を向上させたり上記調理済み食品を混ぜたりすることができるように、回転軸心回りに回転可能とされた装置が記載されている。この既知の装置の価値は証明されている。しかし、洗浄がより簡便なものが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102015221005号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術を起点として、本発明の目的は、より簡単に洗浄することが可能な、容器に配置された食品を調理する装置、およびこのような装置を取り扱う方法の改良を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
装置に関して言えば、上記目的は、請求項1の構成、すなわち、汎用装置について、当該装置を、ロック手段を含み蒸気送出ユニットを蒸気供給ラインに切離し自在に、特には工具を使用せずに連結するカップリング機構を備えるものとすることによって達成される。この目的のために、好ましくは、前記蒸気送出ユニットが、前記カップリング機構とカップリングする、特には並進カップリングする、好ましくは前記カップリング機構内に挿入される、特には並進挿入される、連結セクション、特には細長い連結セクションを有する。
【0006】
方法に関して言えば、上記目的は、請求項14の構成、すなわち、一般的な方法について、ロック手段の解除(ロック解除)、特には手動による解除(ロック解除)の後、蒸気送出ユニットが蒸気供給ラインから分離されて、好ましくは、その後当該蒸気送出ユニットが、洗浄、特には食器洗浄機で洗浄されるものとすることによって達成される。
【0007】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に開示されている。明細書及び/又は特許請求の範囲及び/又は図面に開示された2つ以上の構成のあらゆる組合せが、本発明の範囲の一部を構成する。
【0008】
繰返しを避けるために、装置に関連して開示した構成は方法にも関連するものと見なし
、よって方法の請求項に記載することも可能とする。同じように、方法に関連して開示した構成は装置にも関連するものと見なし、よって装置の請求項に記載することも可能とする。
【0009】
本発明の思想は、蒸気送出ユニットを蒸気供給ラインに恒久的に固定するのではなく、蒸気送出ユニットをこの蒸気供給ラインに切離し自在に配置することで、ある程度の数の食品、好ましくは調理済み食品を処理、特には加熱した後、蒸気送出ユニットを蒸気供給ラインとは別に例えば飲食店や家庭内で典型的に設けられている食器洗浄機で自動的に洗浄することができ、これまでのように装置のまま又は装置のハウジングのまま手動で洗浄する必要がない、というものである。これにより、遥かに効率がよい、より簡便な洗浄が可能となる。
【0010】
本発明を実施するため、前記装置は、前記蒸気送出ユニットを前記蒸気供給ラインに切離し自在に連結するカップリング機構を備え、当該カップリング機構は、前記蒸気送出ユニットが装着位置又は固定位置にロック又は固定(verriegelbar bzw. sicherbar)、特
には装着方向又は固定方向の逆方向に外れないようにロック又は固定することが可能なロック手段を含む。好ましくは、前記カップリング機構は、前記蒸気送出ユニットが装着及び固定されることを可能にするように、特には前記蒸気送出ユニットの連結セクションが当該カップリング機構内へと並進装着運動によって、好ましくは本発明の一実施形態において設定される後述の回転軸心に沿った並進装着運動によって軸方向に挿入されることを可能にするように実現されている。好ましい一実施形態において、前記蒸気送出ユニットは、蒸気の分布を向上させるように前記回転軸心回りに好ましくは前記カップリング機構と一緒に回転することが可能である。前記カップリング機構及び当該カップリング機構のロック手段は、代替的な実施形態として、例えば、工具を使用しない装着用の例えばバヨネットロックの形態等といったクイックロックの形態等で実現され得る。
【0011】
本発明にかかる装置及び本発明にかかる方法の極めて好ましい一実施形態では、前記蒸気送出ユニットのうちの蒸気プローブを具備した少なくとも一部、特には(取外し可能な又は切離し自在に固定可能な)前記蒸気送出ユニットの全体が、食品における蒸気の分布を向上させるように且つ/或いは食品を混ぜるように回転軸心回りに特には前後に回転することが可能とされる。特に、スパゲティなどの特定の食品の調理に関しては、少なくとも1つ、好ましくは複数の蒸気プローブに食品が巻き付くのを避けるために、上記回転運動が前後運動として、すなわち、相対する2つの回転方向への交互運動として実現される。好ましくは鉛直軸として実現される前記回転軸心は、前記蒸気送出ユニットを前記カップリング機構に連結してロックするために並進変位させる際、および前記蒸気送出ユニットを切り離す又は取り外すために逆方向に変位させる際の装着軸でもあるのが好ましい。前記蒸気送出ユニットを前記回転軸心回りに回転可能とするために、前記カップリング機構は、好ましくは前記装置のハウジング内に設置された駆動モータ、極めて好ましくは電動式の駆動モータとのトルク伝達可能接続を確立するための、対応するトルク伝達手段を含む。極めて好ましくは、前記トルク伝達手段は、前記蒸気送出ユニットが装着されたときに当該蒸気送出ユニットの前述した連結セクションにおける、特には細長い連結セクションにおける、より厳密には当該連結セクションのうちの駆動セクションにおける対応する径方向凹所へと前記回転軸心に対して径方向に係合することで前記蒸気送出ユニットを回転駆動させることが可能な受入部、特には中央にある受入部を具備している。極めて好ましくは、前記トルク伝達手段が、さらに、歯車として又は外周にギアリング(Zahnkranz)を有するものとして実現されており、その歯部(Verzahnung)は特には少なくとも1
つの歯車又は駆動ねじ(Antriebsschnecke)を介して駆動モータへと、対応したトルクを伝達することができるように接続されている。好ましくは、前記トルク伝達手段は、前記蒸気送出ユニットのうち、好ましくは前記回転軸心に沿って延びる前述した連結セクションと相互作用する。
【0012】
前記装置及び前記方法の極めて好ましい一実施形態では、前記蒸気送出ユニットと別体のフード(Haube)が当該蒸気送出ユニット上に特には前記蒸気プローブよりも上側で配
置されており、当該フードは(好ましくは前記装置の一部でない)前記容器と共同で、蒸気を食品に対して適用する調理チャンバーを実現する。好ましくは、前記フードが押さえ付け装置(Niederhalters)の機能を有して蒸熱動作状態のあいだ前記容器に対して押し
付けられるものであり、前記蒸気送出ユニットは前記フードに対して前記回転軸心回りに回転可能とされる。本発明の一実施形態において、前記フードは、前記カップリング機構から前記蒸気送出ユニットと一緒に外す、すなわち、取り外す又は分離させることが可能である。好ましくは、前記フードは、前記蒸気送出ユニット上に非連結(lose)で配置されているか又は前記蒸気送出ユニットに対して好ましくは工具を使用せずに着脱することが可能であるように固定されている。前記フードは、前記蒸気送出ユニットが前記カップリング機構に固定されたとき、前記蒸気送出ユニットのうちの前記少なくとも1つの蒸気プローブを具備した下部と前記装置のハウジング、特には昇降ユニットのハウジングとの間に拘束される(gefangen)。前記フードは、ユーザが前記蒸気送出ユニットから簡単に外すことが可能であり、前記蒸気送出ユニットを前記カップリング機構から外した後に当該蒸気送出ユニットとは別に洗浄、特には食器洗浄機で洗浄することができる。好ましくは、前記フードには、前記蒸気送出ユニットのうちの前述した連結セクションが前記回転軸心に沿って貫通している。
【0013】
極めて好ましい一実施形態において、前記ロック手段は、前記蒸気送出ユニットを固定位置又は装着位置へと特には並進で、好ましくは手動により移行させると当該蒸気送出ユニットを前記カップリング機構へと自動的にロックするように、特には軸方向において固定するように実現されている。この目的のために、好ましくは、前記ロック手段がばね手段を有し、当該ばね手段は、装着過程(特には前記カップリング機構への前記連結セクションの挿入過程)の際に前記ロック手段を自動的に開くようにさせることが可能であると共に、前記蒸気送出ユニットが前記カップリング機構内において目標の装着位置又は固定位置(当該目標の位置では前記蒸気供給ラインとの蒸気導通連結が確立される)に到達すると前記ロック手段を自動的に再びロック状態へと確実に移行させる。このようにして、前記装置は極めて簡便に取り扱うことができる。ロックを解除するには、前記ロック手段を、駆動部を用いて又は好ましくは手動により解除位置又はロック解除位置(解除状態)に移行させればよく、これにより前記連結セクションを前記カップリング機構から外すことが可能になる。
【0014】
詳細に述べると、好ましくは、前記ロック手段は、前記蒸気送出ユニット、特にはロックセクション、特には前述した連結セクションの一端に実現されたロックセクションと直接相互作用するロックエレメントを有し、当該ロックエレメントは、前記蒸気送出ユニットの脱離を阻止するロック位置と解除位置との間で、好ましくは回転により変位させることが可能である。つまり、前記ロックエレメントは、軸方向の装着脱離経路を好ましくは解除位置にて解放し、前記ロック位置では当該経路をブロックする。これを行うために、好ましくは、前記ロックエレメントは、前記蒸気送出ユニットの前記連結セクションのうちの前述したロックセクションと相互作用する。好ましくは、前記ロックセクションは、前記連結セクションのうちのトルク受取セクション(Drehmomentaufnahmeabschnitt)か
ら特には何らかの谷部又は周溝によって軸方向に隔てられており、前記ロックエレメントが自身のロック位置にてこの軸方向の隙間に係合することにより、前記蒸気送出ユニットが前記装着方向の逆方向、好ましくは軸方向沿いの装着方向の逆方向に脱離するのを防ぐ。揺動レバーを具備しているのが極めて好ましい手動又は自動の作動ユニットが、前記ロックエレメントをその解除位置とそのロック位置との間で変位させるために設けられている。前記ロックエレメントには、特にはねじりばねを設けることによってばね力が、好ましくは、当該ロックエレメントのロック位置の方向に印加されている。前記ロックエレメ
ントは、そのばね力に抗して前記ロック位置から前記解除位置へと、前記作動ユニットを用いて変位させなければならない。
【0015】
本発明の一実施形態では、特に前記蒸気送出ユニットが装着固定された状態で、該蒸気送出ユニットが前記カップリング機構と一緒に回転するのを可能とするために、前記作動ユニット、特には前記作動ユニットの揺動レバーが、前記ロックエレメントに対して切離し自在に、すなわち、非恒久的に力伝達カップリングを行うと共に、前記ロックエレメントの前記ロック位置にて、前記作動ユニットが当該ロックエレメントから脱カップリングする、特には離れることで、前記ロックエレメント、特には前記カップリング機構の全体が、前記蒸気送出ユニットと一緒に前記回転軸心回りに回転することが可能になる。言い換えると、前記作動ユニット、特には前記作動ユニットの揺動レバーが、第1および第2の変位位置間で変位することが可能であり、かつ、いずれの最終変位位置においても前記ロックエレメントに対してトルク伝達可能にカップリングしていない。これらの位置の一方においては、前記ロックエレメントが自由に動いて、前記蒸気送出ユニットと一緒に回転することができる。
【0016】
極めて有利には、前記作動ユニットは、前記ロックエレメントのギアリングと噛み合う歯部セクション(Verzahnungsabschnitt)を有している。極めて好ましくは、当該歯部セクションは、前記ギアリングに対して径方向に弾性を有するように実現及び/又は配置されている。これにより、前記歯部セクション(歯の部分)は、当該歯部セクションと前記ギアリングとが歯同士で合わさってしまった場合にジャンプ(Springen)することができるようになる。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記作動ユニットの前記歯部セクションと前記ロックエレメントの前記ギアリングとの歯同士の問題をさらに減らすために、前記歯部セクションの歯部と前記ギアリングの歯部とを同期するようにさせる同期手段が、前記歯部セクションに振り当てられている。好ましくは、当該同期手段は、前記作動ユニット、特には前記作動ユニットの揺動レバーを変位させることで作動させることが可能なものである。好ましくは、前記同期手段は、前記作動ユニットの前記歯部セクションが前記ロックエレメントの前記ギアリングに係合する前に当該同期手段が前記ロックエレメントを、好ましくは前記カップリング機構の全体を前記回転軸心回りに少し回転させることで、前記歯部セクションの歯が前記ギアリングの歯間スペース又は歯間ギャップに確実に係合するように実現されている。
【0018】
好ましくは、前記同期手段は、特には弾性を有するように実現及び/又は配置された好ましくはフック状の同期エレメントを具備しており、当該同期エレメントは、前記ロックエレメントの前記ギアリングと噛み合うか又は前記ロックエレメントの前記ギアリングと一緒に回転可能で前記蒸気送出ユニットを回転駆動させる、前記カップリング機構のうちの任意の駆動ギアリングと噛み合う、少なくとも1つの同期歯を有している。好ましくは、前記駆動ギアリングは、少なくとも前記ロックエレメントの前記ロック位置にて、特には設けられているのが好ましく且つ前記ロックエレメントに対して当該ロックエレメントの前記ロック位置へとばね力を恒久的に印加する前述したばねセクションにより、前記ロックエレメントの前記ギアリングと固定位置に合わされており、すなわち、当該ギアリングに対して回転不能に位置している。前記同期歯は、前記歯部セクションの歯部の歯に対して、好ましくは当該歯部セクションの噛み合いの歯延長によって、偶数で割り切ることのできない距離だけオフセットしている。言い換えると、この距離は歯ピッチの倍数に相当しない。好ましくは、前記同期手段は、前記作動ユニットの前記歯部セクションが前記ギアリングと噛み合う、すなわち前記ギアリングと係合する前に当該ギアリングを回転させることで前記ギアリングの前記歯部と前記作動ユニットの前記歯部セクションとを同期させるように実現されている。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記装置は、動作の信頼性を確保するセンサ手段を備える。好ましくは、前記ロック手段の状態(ロック状態および/または解除状態)を監視するセンサ手段が設けられている。好ましくは、当該センサ手段は、当該センサ手段によりロック状態が検出された場合にのみ蒸気の送出を生じさせる又は可能にする、前記装置のコントローラに接続されている。これに代えて又は好ましくはこれに加えて、前記カップリング機構内に(実際に)蒸気送出ユニットが切離し自在に位置しているか否か、すなわち、前記蒸気送出ユニットが前記蒸気供給ラインに接続される装着位置にあるのか否かを監視することが可能なセンサ手段が設けられる。好ましくは、このようなセンサ手段が(このようなセンサ手段も)前記装置の前記コントローラに接続されており、当該センサ手段が前記蒸気送出ユニットの存在又は相応の設置を検出した場合にのみ、蒸気の開始又は放出が引き起こされる。
【0020】
極めて有利には、前記ロック手段を作動させると、特には前記ロックエレメントを回転させると前記センサ手段のセンサに対して、特には前記センサ手段のスイッチに対して特には軸方向に変位することで、前記スイッチが設けられていれば当該スイッチを作動させる、つまり、スイッチが設けられていれば前記ロック手段のロック状態及び/又は解除状態を感知又は検出することが可能なポジショニングエレメント、好ましくはリンクガイド式のポジショニングエレメントが、前記センサ手段、特には前記ロック手段の状態を監視する前記センサ手段に振り当てられている。
【0021】
好ましい一実施形態において、前記装置は、前記蒸気送出ユニットと前記容器及び/又は前記容器を支持する表面との並進相対運動を引き起こす相対運動駆動部、特には昇降駆動部を備えており、前記蒸気送出ユニットおよび/または前記容器の能動的な変位が一般的に可能となっている。しかし、好ましい他の実施形態では、固定された容器と、当該容器に対して能動的に変位させることが可能な蒸気送出ユニットとが備えられる。極めて好ましい一実施形態では、前記昇降駆動部により、本発明の一実施形態で設けられる前述したフードを前記容器の上に配して当該容器を押さえ付けたり当該容器に力を加えたりすることが確実にできるほか、これらフードと容器との間には蒸気処理を行うための調理チャンバーが実現される。好ましくは、前記カップリング機構を具備した昇降ユニットが、前記昇降駆動部により鉛直方向に変位される。好ましくは、前記カップリング機構、および当該カップリング機構を当該カップリング機構内へと固定された前記蒸気送出ユニットと一緒に回転させる駆動部、好ましくは電動式の駆動部が、前記昇降ユニットのハウジング内に設置されている。
【0022】
極めて好ましい一実施形態では、前記蒸気送出ユニットが複数の部位で構成されていて、複数の蒸気プローブを具備した下部を有し、当該下部は、当該下部に固定された蓋部と共同で蒸気分配空間を画定しており、当該蒸気分配空間内で蒸気が前記複数の蒸気プローブに分配されることが可能である。好ましくは、前記蒸気分配空間内において複数の蒸気分配ラインが、一つの前記蒸気プローブと前記蒸気送出ユニット内の好ましくは中央にある蒸気ラインの蒸気分配セクションとの間を各自延在している。好ましくは、前記分配ラインおよび/または前記蒸気分配セクションは金属製である。
【0023】
本発明は、さらに、これまでに詳述した装置を取り扱う方法に関する。装置に関連して開示した構成は、方法にも関連するものと見なす。当該方法は、前記ロック手段のロック解除、特には手動によるロック解除の後、すなわち、前記ロック手段を解除動作状態又は解除位置に移行させた後、前記蒸気送出ユニットが前記蒸気供給ライン(及び前記カップリング機構)から好ましくは調理チャンバーを実現する前述した任意のフードと一緒に分離されることを特徴とする。極めて好ましい追加の一方法過程では、前記蒸気送出ユニットが(必要ならば、当該蒸気送出ユニット上に着脱可能に配置された前記フードも)洗浄
、特には当該フードを外した後に洗浄、特には食器洗浄機で洗浄される。
【0024】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、例示的な好ましい実施形態についての以下の説明と図面とから導き出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明にかかる方法を実施するのに好適で且つそのように意図されている、容器に配置された食品を調理するための本発明思想に従った装置を示す斜視図である。
図2】同装置のうちの、蒸気送出ユニットが切離し自在に固定されるほか昇降駆動部により鉛直方向に変位させることが可能なユニットを示す斜視図である。
図3】ロック手段を含み蒸気送出ユニットを受け入れるカップリング機構を示す分解図である。
図4】カップリング機構の下部を示す断面図である。
図5】装着後のカップリング機構の外部斜視図である。
図6】ロックエレメントと、当該ロックエレメントを回転させると並進変位、この例では鉛直に並進変位することが可能で且つセンサ手段と相互作用するように機能するポジショニングエレメントとからなる、カップリング機構の機能ユニットを示す図である。
図7図6の機能ユニットが、マイクロスイッチとして実現されたセンサと相互作用する様子を示す図である。
図8a】揺動レバーを具備したロック手段作動ユニットの図であり、そのロック手段により変位させることが可能なロックエレメントが解除位置にある場合が描かれている。
図8b図8aの構成の、ロック位置にある場合を示す図である。
図9a】ロックエレメントのギアリングを作動ユニットの歯部セクションと同期するようにさせる同期手段が組み込まれたロック手段の動作状態の一つを示す図である。
図9b】ロックエレメントのギアリングを作動ユニットの歯部セクションと同期するようにさせる同期手段が組み込まれたロック手段の他の動作状態を示す図である。
図10】蒸気送出ユニット上に配置されて加熱対象の食品を含む容器と共同で調理チャンバーを実現するフードが付いた蒸気送出ユニットを示す斜視図である。
図11】蒸気送出ユニットの好ましい一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図中では、同じ構成要素や同じ機能を有する構成要素に対し、共通の参照符号を付している。
【0027】
図1に、容器2に配置された食品を調理する装置1を示す。装置1は、内部に蒸気発生ユニット(図示せず)が設置されたハウジング3を備えるほか、必要に応じて、前記蒸気発生ユニットの下流に配置されて蒸気を提供する蒸気オーバヒートユニットを備える。装置1の具体的な実施形態にもよるが、蒸気は、当該装置の水タンクに貯蔵された水を用いて且つ/或いはフレッシュ水接続部から供給されたフレッシュ水を用いて発生され得る。前記蒸気発生ユニットは、蒸気供給ライン(図示せず)(図4の符号23を参照)を介して蒸気送出ユニット4に蒸気導通可能に接続されており、この蒸気送出ユニット4は、少なくとも1つの出口開口又は蒸気送出口を各自有する複数の細長い蒸気プローブ5を含んでいる。図示の例示的な実施形態では、符号6を付した昇降ユニットが、昇降駆動部を用いて図1に示す開放位置と下方の機能的位置との間を鉛直に沿って並進変位することが可能である。開放位置では、容器を蒸気送出ユニット4の下に配置したり、蒸気送出ユニット4の下から取り出したりすることができる。下方の機能的位置では、蒸気送出ユニット4上に配置されたフード7が容器2の上に配されて調理チャンバーを実現する。後述するように、蒸気送出ユニット4は、フード7に対して、昇降ユニット6の変位の鉛直軸と一致する回転軸心回りに回転することが可能となっている。
【0028】
図2は、蒸気送出ユニット4が切離し自在に固定される昇降ユニット6の拡大図である。昇降ユニット6は、内部に、蒸気送出ユニット4を受け入れるための後述のカップリング機構を具備している。蒸気送出ユニット4は、揺動レバー9を具備した作動ユニット(この例では、手動の作動ユニット)8を有するロック手段により、外れないようにロック又は固定されることが可能である。
【0029】
図3は、前述したカップリング機構10を示す分解図である。ロック手段11の、より厳密にはロックエレメント12のロック状態のあいだ、カップリング機構10は回転軸心R回りに回転することが可能とされている。この目的のために、カップリング機構10は駆動ギアリング13を、この例では軸受スリーブの一部として含む。装着状態では、駆動ギアリング13が、蒸気送出ユニット4の細長い連結セクション(図10及び図11の符号38を参照)を受け入れる受入部14と固定されている又は回転不能に配置されている。受入部14は駆動ギアリング13と協働で、ハウジング3内の、例えば昇降ユニット6(図2を参照)等のハウジング3内の電動式の駆動モータ(図示せず)の及び蒸気送出ユニット4の駆動トルクを伝達するトルク伝達手段の一部を成している。この目的のために、受入部14は、蒸気送出ユニット4の前記連結セクションのうちの駆動セクションにある対応する凹所へと径方向に係合する。これにより、蒸気送出ユニット4は、駆動ギアリング13が周方向に回転した際に回転軸心R回りの回転、好ましくは行ったり来たりの回転をする。
【0030】
また、カップリング機構10は、蒸気送出ユニット4を当該カップリング機構10内にロック又は固定するための先述のロックエレメント12を含む。この目的のために、ロックエレメント12は、図5に示すように駆動ギアリング13に対して回転軸心R回りに例えば30°等の限られた角度だけ、すなわち、ロック位置と解除位置との間で回転することが可能とされる。ロック位置でのロックエレメント12は、駆動ギアリング13と一緒に又は駆動ギアリング13と同期したカップリング運動で回転軸心R回りに回転することが可能となっている。
【0031】
後述するように、ロックエレメント12が前記解除位置と前記ロック位置との間で変位すると、ポジショニングエレメント15が、対応する案内機構によってセンサ手段のセンサ30に対して軸方向に変位する。これにより、前記ロック状態が感知される。
【0032】
図3から見て取れるように、ロックエレメント12には、当該ロックエレメント12に対して当該ロックエレメント12のロック位置の方向へとばね力を印加するばね16(ばね手段)が振り当てられている。この例では、ばね16がトーションスプリングとして実現されている。
【0033】
図3には、さらに、2つの転がり軸受17,18の間に、ロックエレメント12、駆動ギアリング13、および任意のポジショニングエレメント15が軸方向に収まる様子が描かれている。この例では、転がり軸受17,18が深溝玉軸受として実現されている。転がり軸受17,18は、昇降ユニット6内で、回転自在のカップリング機構10を径方向に支持するのに用いられる。
【0034】
図3には、さらに、内側回転シール20を具備したセンタリング部材19が駆動ギアリング13を具備した前記軸受スリーブ内に軸方向に収められるほか、当該軸受スリーブに螺合される蓋21によってセンタリング部材19が固定される様子が描かれている。
【0035】
図4は、カップリング機構10の断面図である。特に、蒸気送出ユニット4のうちの挿入された前記連結セクション又は駆動セクション(図示せず)にトルクを伝達するように
径方向内方に向いた受入部14又は駆動ウェブ22が図示されている。
【0036】
前記蒸気発生ユニットに蒸気連通可能に接続した蒸気供給ライン23が、カップリング機構10で終端している。この蒸気発生ユニットは、その周囲にリングシール24を具備している。当該リングシール24は、図示のように外すことが可能な蒸気送出ユニット4の前記連結セクション内の特には中央にある蒸気ライン部分に対して径方向密封を行うO―リングシールとして実現されている。
【0037】
ロックエレメント12も図示されており、前記ロック位置では、上方に位置したロックチャンバー25を画定、ロック又はブロックする一方で、前記解除位置では、当該チャンバーを開放することで蒸気送出ユニット4が軸方向に取り出されるのを可能にする。
【0038】
図6及び図7に、ロック手段11の状態を検出又は感知するための追加の詳細を示す。外周にギアリング26を有したロックエレメント12が図示されている。また、この例では十字状に設けられている4つの放射状セクション28を含む軸方向の貫通流路27も図示されている。前記解除位置では、これらの放射状セクション28に、蒸気送出ユニット4のうちのこれと合致するように実現された連結セクションを通過させるということが可能、つまり、当該連結セクションのうちのロックセクションを図4のロック空間25へと挿入することによって可能となっている。ロックエレメント12を回転させると、放射状セクション28が前記連結セクションにおける又は前記ロックセクションにおける合致部分に対して回転する又はオフセットするので、当該セクションを装着方向の逆方向に外すことが不可能になる。
【0039】
ロックエレメント12を回転させると、ポジショニングエレメント15が、対応する案内機構29により前記回転軸心に沿って回転方向に応じた軸方向に、すなわち、上方又は下方に変位する。図7に示すように、ポジショニングエレメント15が軸方向下方に変位すると、当該ポジショニングエレメント15は前記ロック手段の状態(ロックおよび/またはロック解除)を検出する前記センサ手段の、マイクロスイッチとして実現されたセンサ30と相互作用し始める。装着位置にある蒸気送出ユニット4を検出する追加のセンサ手段については図示していない。圧力スイッチを用いることが考えられるが、磁気センサなどの他種のセンサも考えられる。
【0040】
ロックエレメント12を当該ロックエレメント12の解除位置(図8aを参照)から図8bに示すロック位置へと変位させるために、作動ユニット8が設けられている。この例では、作動ユニット8が手動により作動可能なものとなっている。作動ユニット8は、2つの位置の間、すなわち、図8aに示す第1の揺動位置と図8bに示す第2の位置との間で揺動することが可能な先述の揺動レバー9を具備している。第1の揺動位置では、歯部セクション32がロックエレメント12やカップリング機構10と係合していないので、カップリング機構10は回転軸心R回りに自由に回転することができる。第2の位置では、歯部セクション32がロックエレメント12のギアリング26の歯に係合する。
【0041】
歯部セクション32は、当該歯部セクション32とギアリング26とで歯同士が合わさってしまった場合にギアリング26もしくはロックエレメント12に対して又はギアリング26もしくはロックエレメント12上でジャンプすることができるように、ばねセクション33において径方向に弾性を有するものとして実現されている。
【0042】
歯同士が合わさるリスクを減らすために、この例の装置1は同期手段34を備える。同期手段34により、歯部セクション32の歯部とギアリング26の歯部とが同期してから当該歯部同士が互いに噛み合って係合するようにカップリング機構10を少し回転させておくことが可能である。この目的のために、同期手段34は、ロックエレメント12のギ
アリング26に対して直接相互作用するか又は駆動ギアリング13に対して直接相互作用するものとされ得る。後者の実施形態のほうが好ましく、この例でも実施している。
【0043】
この例では、同期手段34が、ロックレバー35として機能するフック状の同期エレメントを具備している。当該同期エレメントは、揺動レバー9を作動させた際に前記軸受スリーブ又は駆動ギアリング13をブロックする。当該同期エレメントのうちの、駆動ギアリング13に対して径方向に弾性を有するように実現されたフック37の端部分にある歯36により係合が実現される。
【0044】
図10に、回転軸心Rに沿って延びる蒸気プローブ5を含む蒸気送出ユニット4の好ましい一実施形態を部分的に示す。これらの蒸気プローブ5は、端部に蒸気出口開口を有している。好ましい一実施形態では、フード7が蒸気送出ユニット4上に非連結で配置されて、当該フード7に蒸気送出ユニット4の連結セクション38が軸方向に貫通する。連結セクション38は、受入部14との、すなわち、カップリング機構10の前記トルク伝達手段(図3及び図4を参照)とのトルク伝達カップリングを行う(下側の)駆動セクション47を有すると共に、ロックエレメント12の前記解除位置では貫通流路27に通過させることが可能で前記ロック位置ではロックエレメント12により保持される又はブロックされるロックセクション40を一端に有する。ロックセクション40と駆動セクション47とは軸方向に離隔している。連結セクション38のうちのロックセクション40は、当該連結セクション38の軸方向のフリーエンドにある。駆動セクション47とロックセクション40との間にある隙間はスロット又は溝として形成されており、ロックエレメント12が当該隙間に係合することにより、前記蒸気送出ユニットが前記ロック位置にて軸方向に外れないように固定される。
図10には、フード7が加熱過程時の余剰蒸気の横排出口41を有している様子が描かれている。
【0045】
図11は、蒸気送出ユニット4の断面図である。当該蒸気送出ユニット4は複数の部位で構成されていて、下部43に例えば螺合等により固定されたプラスチック製の蓋部42を有する。下部43もプラスチック製とされる。下部43は、蓋部42及び当該下部43により画定される蒸気分配スペース45内に設けられた蒸気分配ライン44を介して蒸気が導入される、複数のプローブ5を具備している。蒸気分配ライン44は、蒸気プローブ5を、連結セクション38内の中央にある蒸気ライン31の分配セクション39と連結する。当該蒸気ライン31は、蒸気送出ユニット4がカップリング機構10内に装着されたときに、蒸気供給ライン23(図4を参照)に蒸気導通可能に連結され、かつ、当該蒸気供給ライン23に対して(蒸気送出ユニット4の他の部分と一緒に)回転することが可能となる。蒸気分配ライン44および分配セクション39は金属製である。
【符号の説明】
【0046】
1 装置
2 容器
3 ハウジング
4 蒸気送出ユニット
5 蒸気プローブ
6 昇降ユニット
7 フード
8 作動ユニット
9 作動ユニットの揺動レバー
10 カップリング機構
11 ロック手段
12 ロックエレメント
13 駆動ギアリング
14 受入部
15 ポジショニングエレメント
16 ばね
17 転がり軸受
18 転がり軸受
19 センタリング部材
20 回転シール
21 蓋
22 駆動ウェブ
23 蒸気供給ライン
24 リングシール
25 ロック空間
26 ギアリング
27 貫通流路
28 放射状セクション
29 案内機構
30 センサ
31 蒸気ライン
32 歯部セクション
33 ばねセクション
34 同期手段
35 ロックレバー
36 歯
37 フック
38 連結セクション
39 分配セクション
40 ロックセクション
41 排出口
42 蓋部
43 下部
44 蒸気分配ライン
45 蒸気分配空間
47 駆動セクション
R 回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)に収められた食品を処理する装置であって、
蒸気を発生する蒸気発生ユニットと、
少なくとも1つの蒸気排出口を有する蒸気プローブ(5)を含み、前記蒸気発生ユニットに蒸気供給ライン(23)を介して蒸気導通可能に接続された蒸気送出ユニット(4)と、を備える、装置において、
ロック手段(11)を含み、前記蒸気送出ユニット(4)を前記蒸気供給ライン(23)に切離し自在に連結するカップリング機構(10)を備え、
前記ロック手段(11)は、ロック位置と解除位置との間で変位させることが可能なロックエレメント(12)を有し、当該ロックエレメント(12)は、自身のロック位置と自身の解除位置との間を、作動ユニット(8)を具備した作動ユニット(8)の手動による変位又は自動的な変位によって変位させることが可能であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記蒸気送出ユニット(4)の全体が、回転軸心(R)回りに往復回転可能であることを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記容器(2)と共同で調理チャンバーを実現するフードが前記蒸気送出ユニット(4)上に配置されており、当該フードは、前記ロック手段(11)をロック解除した後に前記蒸気送出ユニット(4)と一緒に外すことが可能であることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置において、前記蒸気送出ユニット(4)を固定位置に移行させることによって、前記ロック手段(11)は当該蒸気送出ユニット(4)を自動的にロックするように実現されていることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項に記載の装置において、前記作動ユニット(8)は、前記ロックエレメント(12)に対して切離し自在かつ力伝達可能にカップリングすることが可能であり、前記ロック位置の前記ロックエレメント(12)から脱カップリングすることで当該ロックエレメント(12)を回転可能な状態にすることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項に記載の装置において、前記作動ユニット(8)が、前記ロックエレメント(12)のギアリング(26)と噛み合う歯部セクション(32)を有していることを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、前記歯部セクション(32)の歯部と前記ギアリング(26)の歯部とを同期するようにさせる同期手段(34)が、前記歯部セクション(32)に振り当てられていることを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置において、前記ロック手段(11)の状態および/または前記蒸気送出ユニット(4)の存在をモニターするセンサ手段が、前記蒸気供給ライン(23)に連結される装着位置に設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項に記載の装置において、前記ロック手段(11)を作動させると、前記センサ手段のセンサに対してポジショニングエレメント(15)が、前記センサ手段に振り当てられていることを特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の装置において、さらに、
前記蒸気送出ユニット(4)と前記容器(2)との並進相対運動を、引き起こす相対運動駆動部を備えることを特徴とする、装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置において、前記蒸気送出ユニット(4)が、複数の蒸気プローブ(5)を具備した下部(43)を有し、当該下部は、当該下部に固定された蓋部(42)と共同で蒸気分配空間(45)を画定しており、当該蒸気分配空間内で蒸気が前記複数の蒸気プローブ(5)に分配されることが可能であることを特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置(1)を取り扱う方法において、
前記ロック手段(11)のロック解除の後、前記蒸気送出ユニット(4)が前記蒸気供給ライン(23)から分離されて、
蒸気送出ユニット(4)のうちの前記蒸気プローブ(5)を具備した少なくとも一部が、回転軸心(R)周りに回転可能であり、かつ、
前記カップリング機構(10)は、前記蒸気送出ユニット(4)が前記蒸気供給ライン
(23)に蒸気連通可能に連結されているときに駆動トルクを前記蒸気送出ユニット(4)に伝達するトルク伝達手段を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項3に従属するときの請求項12に記載の方法において、前記蒸気送出ユニット(4)が、前記フード(7)と一緒に前記蒸気供給ライン(23)から外されることを特徴とする、方法。