(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091130
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】入力装置用抗ウイルスカバー
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20230623BHJP
D04H 13/00 20060101ALI20230623BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G06F3/02 490
D04H13/00
H01H9/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205692
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】596177559
【氏名又は名称】インターマン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田平 重樹
【テーマコード(参考)】
4L047
5B020
5G052
【Fターム(参考)】
4L047AA29
5B020DD02
5G052AA40
5G052BB01
5G052HA13
5G052HD10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウイルス、細菌といった病原体の感染を防止する機能を有する抗ウイルスカバーを提供する。
【解決手段】キーボードなどに装着され、病原体の感染を防止する機能を有する抗ウイルスカバーが示されている。この抗ウイルスカバーは、抗ウイルス活性を有する酸化銅不織布からなり、銅イオンを生成することができる。この銅イオンは、例えば、キーボードの表面に付着しているウイルスを不活性化する。好ましくは、酸化銅不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。この不織布の1平米あたりの重さは15grmから30grmであり、キーボードを覆っても下のキートップの文字が視認できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置を覆うことによって直接この入力装置に触れずにユーザーの指による操作を可能とする抗ウイルスカバーであって、抗ウイルス活性を有する銅を含有する不織布からなる抗ウイルスカバー。
【請求項2】
前記入力装置は、コンピュータの端末としてのキーボードであることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルスカバー。
【請求項3】
前記不織布は、抗ウイルスカバーを前記キーボードに装着した場合に、前記キーボードのキートップに印字されている文字が視認できる程度に薄く、半透明となっていることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルスカバー。
【請求項4】
前記不織布の1平米あたりの重さは15grmから30grmである請求項3に記載の抗ウイルスカバー。
【請求項5】
前記不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されていることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルスカバー。
【請求項6】
前記銅酸化物の微粒子サイズは0.2から20ミクロンの間である請求項5に記載の抗ウイルスカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス、細菌といった病原体の感染を防止する機能を有する入力装置用抗ウイルスカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
今般の新型コロナウイルスによって引き起こされたパンデミックは、人口密度があがり、高速大量輸送時代となった21世紀が、いかに感染症に弱い社会であるかを人々に思い知らせることとなった。
【0003】
このような状況においては、身の回りのあらゆる物が感染源に思え、生活状況が非常に窮屈なものとなる。事実、感染拡大の中では、全てを疑ってかかる必要がある。
【0004】
マスクを着用し、他人との距離を十分に取り、密集を避ける、といった対策を講じることが重要であるが、必要な社会生活を送る上で、どうしても最小限度の感染経路への接触は避けられない。このリスクをできるだけ小さくすることが感染を予防する上で肝要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コールセンターや役所といったところでは、一つの端末を複数のユーザーが入れ代わり立ち代わり使用するといったことがある。また、図書館などでも利用者は資料の検索に同じ端末を共用している。
【0007】
このような状況においては、ユーザーが変わる度に端末に付属するキーボードやマウスを消毒する必要が生じるが、そのような処置はかなり手間がかかり、十分に行うことが困難である。
【0008】
キーボードのキートップを覆うようなキーボードカバーも用いられているが(特許文献1)、防塵や防水等を主な目的とするもので、キートップが感染源となることを防止する効果はない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、面倒な消毒作業を必要としない感染を防止する機能を備えた入力装置用抗ウイルスカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の1つの様相による入力装置用抗ウイルスカバーは、入力装置を覆うことによって直接この入力装置に触れずにユーザーの指による操作を可能とする抗ウイルスカバーであって、抗ウイルス活性を有する銅を含有する不織布からなることを特徴とする。
【0011】
また、一つの実施例では、前記入力装置は、コンピュータの端末としてのキーボードであることを特徴とする。
【0012】
更に、一つの実施例では、前記不織布は、入力装置用抗ウイルスカバーを前記キーボードに装着した場合に、前記キーボードのキートップに印字されている文字が視認できる程度に薄く、半透明となっていることを特徴とする。
【0013】
更に、一つの実施例では、前記不織布の1平米あたりの重さは15grmから30grmであることを特徴とする。
【0014】
更に、一つの実施例では、前記不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されていることを特徴とする。
【0015】
更に、一つの実施例では、前記銅酸化物の微粒子サイズは0.2から20ミクロンの間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる入力装置用抗ウイルスカバーによれば、この入力装置にウイルスが付着しても、抗ウイルスカバーから生成される銅イオンによってウイルスの不活性化がなされ、入力装置が感染源となるリスクを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1による抗ウイルスカバーを、キーボードに装着する様子を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、キーボードを装着した状態の実施例1の抗ウイルスカバーを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、キーボードを装着した状態の実施例1の抗ウイルスカバーを横から見た断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例2による抗ウイルスカバーを、キーボードに装着する様子を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、キーボードを装着した状態の実施例2の抗ウイルスカバーを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例3による抗ウイルスカバーを、キーボードに装着する様子を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、キーボードを装着した状態の実施例3の抗ウイルスカバーを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、キーボードを装着した状態の実施例3の抗ウイルスカバーを横から見た断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例4による抗ウイルスカバーを、キーボードに装着する様子を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、キーボードを装着した状態の実施例4の抗ウイルスカバーを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、キーボードを装着した状態の実施例4の抗ウイルスカバーを横から見た断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例5による抗ウイルスカバーを、キーボードに装着する様子を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、キーボードを装着した状態の実施例5の抗ウイルスカバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の入力装置用抗ウイルスカバーは、ユーザーが手の指を用いて操作する入力装置を覆うようにして用いる。ここではパーソナルコンピュータなどの端末のインターフェースとしてのキーボードに装着して用いる場合を説明する。
【0019】
コールセンターや役所、図書館などに置かれた共用キーボードは、ウイルス感染者や、感染源に触れた利用者によって操作されるかもしれない。したがって、除菌が望ましい。そこで、この抗ウイルスカバーは、酸化銅不織布からなっている。酸化銅不織布は、銅イオンを生成するのでキーボードの表面に付着しているウイルスを不活性化することができる。
【0020】
この酸化銅不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。具体的には、ポリアミド、ポリアルキレン、ポリウレタン及びポリエステルといったポリマーを約80度から150度の範囲の温度において加熱し溶解させ、カチオン型酸化銅の水不溶性の粉末を加え分散させる。分散された酸化銅の微粒子サイズは好ましくは0.2から20ミクロンの間である。このポリマーの液体スラリーは、紡糸口金へ圧力で押し出され、不織布が製造される。この製造方法の詳細は、例えば、特表2008-534708に記載されている。
【0021】
本発明の入力装置用抗ウイルスカバーで用いる酸化銅不織布は、一般的に多く用いられている不織布よりも薄いものが使用される。具体的には1平米あたりの重さで15grmから30grm、例えば25grmのものが使用される。このような薄さの不織布を用いることによって、キーボードに装着してもキートップの文字が視認できる。したがって、キーボードに対する酸化銅不織布の正確な位置合わせは必要がない。
【0022】
これよりも厚い酸化銅不織布を用いれば耐久性が向上するが、キートップの文字が視認できなくなるので、酸化銅不織布の表面に印字が必要となる。この場合は、キーボードに対する酸化銅不織布の正確な位置合わせをしなければならない。
【実施例0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明による抗ウイルスカバーの実施例1を説明する。
図1は、本発明による抗ウイルスカバー10を、キーボードKに装着する様子を示す斜視図である。また、
図2は、キーボードKを装着した状態の抗ウイルスカバー10を示す斜視図である。更に、
図3は、キーボードKを装着した状態の抗ウイルスカバー10を横から見た断面図である。
【0024】
図中、キーボードKは一般的なパーソナルコンピュータPC(図不示)に接続されているものであり、ここでは不特定多数のユーザーで共用されていることを想定する。また、抗ウイルスカバー10は、上述の抗ウイルス機能を備えた酸化銅不織布からなり、キーボードKの上面を覆うのに適した大きさとなっている。
【0025】
抗ウイルスカバー10は、キーボードKとほぼ同じ大きさの矩形部分11と、この矩形部分11の四辺が延出した縁部12a、12b、12c、12dとからなっている。縁部12a、12b、12c、12dは、キーボードKの側面とほぼ同じ大きさであり、面ファスナー14aが夫々設けられている。また、対応するキーボードKの側面にも面ファスナー14bが夫々設けられている。
【0026】
ここで、面ファスナーとは、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロ(登録商標)、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、雌ファスナーと雄ファスナーからなる。接続固定したい一方(ここでは、面ファスナー14a)には雄ファスナーを設け、他方(ここでは、面ファスナー14b)には雌ファスナーを設ける。雄ファスナーは多数の微少なカギ状フックからなり、対応する雌ファスナーの多数の微少なループと係合する構造となっている。
【0027】
この抗ウイルスカバー10を使用するには、
図1に示したように、キーボードKのキートップを覆うように抗ウイルスカバー10の矩形部分11を被せて、キーボードKの前後左右4つの側面に対して抗ウイルスカバー10の縁部12a、12b、12c、12dを折り曲げ、面ファスナー14aを面ファスナー14bに係合させる。
【0028】
このようにすることでキーボードKを抗ウイルスカバー10で覆うことができる。抗ウイルスカバー10は1平米あたりの重さで15grmから30grmの薄い酸化銅不織布からなっており、キートップに印字されている文字が透けて見える。したがって、抗ウイルスカバー10があっても、ユーザーはこれまで通りにキーボードKを使って入力を行うことができる。
【0029】
ユーザーは、自身が感染者でないとしても様々な感染源を触っているかもしれず、指にはウイルスが付着している可能性がある。そのようなユーザーがキーボードKを使用するとキーボードKは感染源となり得る。しかしキーボードKは抗ウイルスカバー10で覆われているので、ウイルスはキーボードKのキートップに直接ではなく、抗ウイルスカバー10に付着する。抗ウイルスカバー10に付着したウイルスは、酸化銅不織布の出す銅イオンによって不活性化され、キーボードKは、ウイルスの感染経路にはなり得ない。
【0030】
なお、抗ウイルスカバー10の矩形部分11の大きさによって、対応するキーボードKの大きさが制限される。様々なキーボードに対応するには、大きめの酸化銅不織布と、雄雌の面ファスナーの裏面に両面テープを貼り付けたものを抗ウイルスカバーキットとする。ユーザーは自身のキーボードの大きさに合わせて縁部を含めて酸化銅不織布をカットし、その4つの縁部に両面テープにより雄ファスナーを貼り付ける。また、対応するキーボードの前後左右4つの側面に雌ファスナーを貼り付ける。このようにすることで、抗ウイルスカバーを様々な形状のキーボードに適合させることができる。
ここでもキーボードKは一般的なパーソナルコンピュータPC(図不示)に接続されているものであり、ここでは不特定多数のユーザーで共用されていることを想定する。実施例1と同様に、抗ウイルスカバー20は、上述の抗ウイルス機能を備えた酸化銅不織布からなり、キーボードKの上面を覆うのに適した大きさとなっている。
やはり抗ウイルスカバー20は、キーボードKとほぼ同じ大きさの矩形部分21と、この矩形部分21の四辺が延出した縁部22a、22b、22c、22dとからなっている。縁部22a、22b、22c、22dは、キーボードKの側面とほぼ同じ大きさであり、夫々に両面粘着テープ24が貼り付けられている。抗ウイルスカバー2の使用前には、この両面粘着テープ22の表面は剥離紙で保護されている。
なお、この両面粘着テープは、例えば、アクリル系粘着剤を用いたものが使用される。アクリル系粘着剤は、モノマーの種類の選択、ポリマーの分子量、架橋密度などの制御により、粘着力や再剥離性などの粘着物性のコントロールを行うことができる。抗ウイルスカバー2は不特定多数のユーザーで共用されていることを想定しているので、劣化に応じて適宜交換が繰り返される。従って、張替えの際に、糊のこりすることなく剥がせるように粘着物性が調整される。なお、アクリル系粘着剤の他にも、シリコーン系粘着剤やシリコーン系粘着剤を用いることもできる。
実施例1と同様にキーボードKのキートップは酸化銅不織布の抗ウイルスカバー2で覆われ、ウイルスが付着しても不活性化され、ウイルスの感染経路にはなり得ない。また、薄い酸化銅不織布ごしにキートップに印字されている文字が透けて見えので、抗ウイルスカバー20があっても、ユーザーはこれまで通りにキーボードKを使って入力を行うことができる。
ここでも実施例1と同様に、大きめの酸化銅不織布と両面粘着テープを、抗ウイルスカバーキットとすることができる。ユーザーは自身のキーボードの大きさに合わせて縁部を含めて酸化銅不織布をカットし、その4つの縁部に両面粘着テープ貼り付ける。このようにすることで、抗ウイルスカバーを様々な形状のキーボードに適合させることができる。