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特開2023-91139ブロードキャスト及びユニキャストのコンテンツを遅延させる端末、プログラム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091139
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ブロードキャスト及びユニキャストのコンテンツを遅延させる端末、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/44 20110101AFI20230623BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20230623BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20230623BHJP
   H04H 20/20 20080101ALI20230623BHJP
   H04H 40/00 20080101ALI20230623BHJP
   H04H 20/18 20080101ALI20230623BHJP
【FI】
H04N21/44
H04N21/442
H04W4/06 150
H04H20/20
H04H40/00
H04H20/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205704
(22)【出願日】2021-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】510040569
【氏名又は名称】一般社団法人日本ケーブルラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 修一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 達雄
【テーマコード(参考)】
5C164
5K067
【Fターム(参考)】
5C164FA05
5C164TA06S
5C164TA14S
5C164UB04P
5C164UB21S
5C164UB38S
5C164UB41P
5C164YA21
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】ブロードキャストで受信したコンテンツのセグメントと、ユニキャストで受信したコンテンツのセグメントとを、リアルタイム型放送サービスにおける一連のセグメント系列として、端末で再生することができる端末等を提供する。
【解決手段】端末は、コアシステム装置から基地局を介して、コンテンツを、ブロードキャスト受信手段とユニキャスト受信手段とで切り替えて受信可能であり、ブロードキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させると共に、ユニキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる受信再生バッファを有する。ブロードキャストの受信品質が所定条件以下に劣化した際に、ブロードキャスト受信手段からユニキャスト受信手段へ切り替える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイム型放送サービスであって、コアシステム装置から配信されたコンテンツを基地局を介して受信する端末において、
コアシステム装置から基地局を介して、コンテンツを、ブロードキャスト受信手段とユニキャスト受信手段とで切り替えて受信可能であり、
ブロードキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させると共に、ユニキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる受信再生バッファを
有することを特徴とする端末。
【請求項2】
受信再生バッファは、コアシステム装置がブロードキャストのプロトコルを送信処理する第1の時間と、当該端末がブロードキャストのプロトコルを受信処理する第2の時間との和を、ブロードキャストで受信する際に生じる遅延時間として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
受信再生バッファは、ユニキャスト受信手段がコアシステム装置へユニキャスト配信要求を送信し、当該コンテンツをユニキャストで受信し、ユニキャストのプロトコルを受信処理するまでの第3の時間を、ユニキャストで受信する際に生じる遅延時間として設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末。
【請求項4】
遅延時間は、コンテンツの無線変調方式に応じて可変となる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の端末。
【請求項5】
コアシステム装置との間は、基地局を介した移動通信システムにおけるローカルIP放送に基づくものであり、
コンテンツは、MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)に基づくものである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の端末。
【請求項6】
当該コアシステム装置は、MBMS(Multimedia Broadcast / Multicast Service)として機能し、
ブロードキャスト受信手段は、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)又はROUTE(Real-time Object Delivery over Unidirectional Transport)に基づくものである
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の端末。
【請求項7】
ブロードキャストの受信品質が所定条件以下に劣化したか否かを判定し、真と判定した際に、ブロードキャストの受信からユニキャストの受信へ切り替えるべく、ユニキャスト受信手段へ指示する適応受信制御手段を
更に有し、
ユニキャスト受信手段は、適応受信制御手段からの指示に応じて、視聴チャネルのユニキャスト配信要求をコアシステム装置へ送信し、コアシステム装置から、当該視聴チャネルのコンテンツを、ユニキャストで受信する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の端末。
【請求項8】
適応受信制御手段は、
ブロードキャストのコンテンツにおけるセグメントが欠損した場合、真と判定し、
ブロードキャストのコンテンツにおけるセグメントが所定時間継続して欠損しなかった場合、偽と判定し、
偽と判定した際に、ユニキャストの受信からブロードキャストの受信へ切り替えるべく、ブロードキャスト受信手段へ指示する
ことを特徴とする請求項7に記載の端末。
【請求項9】
リアルタイム型放送サービスであって、コアシステム装置から配信されたコンテンツを基地局を介して受信する端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
コアシステム装置から基地局を介して、コンテンツを、ブロードキャスト受信手段とユニキャスト受信手段とで切り替えて受信可能であり、
ブロードキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させると共に、ユニキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる受信再生バッファと
してコンピュータを機能させることを特徴とする端末のプログラム。
【請求項10】
リアルタイム型放送サービスであって、コアシステム装置から配信されたコンテンツを基地局を介して受信する端末のコンテンツ受信方法において、
端末は、
コアシステム装置から基地局を介して、コンテンツを、ブロードキャストとユニキャストとで切り替えて受信可能であり、
ブロードキャストで受信したコンテンツを、ユニキャストで受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させると共に、ユニキャストで受信したコンテンツを、ブロードキャストで受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる
ことを特徴とするコンテンツ受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP放送(Internet Protocol)におけるコアシステム装置から、コンテンツを受信する端末の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コアシステム装置は、例えばMBMS(Multimedia Broadcast / Multicast Service)として機能する。MBMSは、例えばBMSC(Broadcast Multicast Service Center)としてのコンテンツサーバから複数のチャネルのコンテンツを受信する。そして、そのコンテンツを、基地局(eNodeB, gNodeB)を介して複数の端末(User Equipment)へ配信する。
【0003】
従来、MBMSのベアラサービスとして、ファイル修復サーバとしてのHTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバのURI(Uniform Resource Identifier)を設定する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、端末は、MBMSのコアシステム装置から配信されたデータに欠損がある場合、コアシステム装置へ、SIP(Session Description Protocol)再勧誘メッセージを送信する。SIP再勧誘メッセージには、SDP(Session Description Protocol)オファーとURIを含み、ファイル修復セッションを開始する。そして、端末は、ファイル修復サーバとしてのHTTPサーバへ、欠損したセグメントID(IDentifier)を要求し、そのセグメントを受信することができる。
【0004】
また、放送局と放送補完サーバとを備えた放送補完システムの技術もある(例えば非特許文献1参照)。この技術によれば、放送局は、コンテンツを、複数の端末へ向けてブロードキャストで同報的に放送する。また、端末は、欠損したセグメントIDを放送補完サーバへ送信し、そのセグメントの再送を受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6113317号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IPTV技術のモバイルマルチメディア放送への展開、NTTサイバーソリューション研究所、[online]、[令和3年11月20日検索]、インターネット<URL:https://www.ntt.co.jp/journal/0910/files/jn200910022.pdf>
【非特許文献2】「MPEG-DASH」、NHK放送技術研究所、[online]、[令和3年11月20日検索]、インターネット<URL:https://www.ite.or.jp/contents/keywords/1701keyword.pdf>
【非特許文献3】FLUTE - File Delivery over Unidirectional Transport、RFC3926、[online]、[令和3年11月20日検索]、インターネット<URL:https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc3926>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、ケーブルテレビの事業を想定した場合、視聴環境の整備に際し、ユーザ宅への引込ケーブルの敷設が必要となる。例えば映像における4K放送や8K放送が普及するほど、特に集合住宅では棟内設備の広帯域化のための高額な改修費用が必要となってくる。そのために、ケーブルテレビの事業について、引込ケーブルに代えて、移動通信システムにおけるローカルIP放送が検討されている。ローカルIP放送として、例えば5Gや4Gを用いることによって、高い伝送品質を確保することもできる。このようなケーブルテレビの事業にも、非特許文献1及び特許文献1のようなIP放送の技術を適用することによって、放送局が、ブロードキャストでデータを放送することができる。
【0008】
しかしながら、非特許文献1及び特許文献1の技術によれば、端末が、欠損データをIP補完するべく、放送補完サーバから欠損データをユニキャストで取得するものである。即ち、この技術は、ブロードキャストで配信されたコンテンツを、端末内で完全に蓄積した後で再生する「蓄積型放送サービス」に適用されるものである。そのために、端末は、コンテンツの再生について、リアルタイム性を問題とする必要がない。
【0009】
これに対し、ケーブルテレビの事業の場合、端末として受信したコンテンツを即時に再生する「リアルタイム型放送サービス」を想定している。即ち、端末として、ブロードキャストで受信した欠損データを検知することができても、それを補完するシーケンスを実行する時間はない。
【0010】
また、例えば基地局が集合住宅に向けてIP放送を提供する場合、一部のユーザ宅の端末における受信環境によっては、ブロードキャストの受信品質が劣化する場合もある。結局、リアルタイム型放送サービスにおけるIP放送の場合、一部の端末における受信環境に基づく多少のデータの欠損を甘受しなくてはならなくなっている。
【0011】
更に、基地局から一定のエリアに滞在する端末へ向けて放送される電波帯域には、制限がある。同一のコンテンツについて、異なる無線変調方式(MCS(Modulation and Cording Scheme))で複数放送することも難しい。
【0012】
これに対し、本願の発明者は、ブロードキャストで受信したコンテンツのセグメントと、ユニキャストで受信したコンテンツのセグメントとを、リアルタイム型放送サービスにおける一連のセグメント系列として、端末で再生することはできないか、と考えた。
【0013】
そこで、本発明は、ブロードキャストで受信したコンテンツのセグメントと、ユニキャストで受信したコンテンツのセグメントとを、リアルタイム型放送サービスにおける一連のセグメント系列として、端末で再生することができる端末、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、リアルタイム型放送サービスであって、コアシステム装置から配信されたコンテンツを基地局を介して受信する端末において、
コアシステム装置から基地局を介して、コンテンツを、ブロードキャスト受信手段とユニキャスト受信手段とで切り替えて受信可能であり、
ブロードキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させると共に、ユニキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる受信再生バッファを
有することを特徴とする。
【0015】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
受信再生バッファは、コアシステム装置がブロードキャストのプロトコルを送信処理する第1の時間と、当該端末がブロードキャストのプロトコルを受信処理する第2の時間との和を、ブロードキャストで受信する際に生じる遅延時間として設定する
ことも好ましい。
【0016】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
受信再生バッファは、ユニキャスト受信手段がコアシステム装置へユニキャスト配信要求を送信し、当該コンテンツをユニキャストで受信し、ユニキャストのプロトコルを受信処理するまでの第3の時間を、ユニキャストで受信する際に生じる遅延時間として設定する
ことも好ましい。
【0017】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
遅延時間は、コンテンツの無線変調方式に応じて可変となる
ことも好ましい。
【0018】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
コアシステム装置との間は、基地局を介した移動通信システムにおけるローカルIP放送に基づくものであり、
コンテンツは、MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)に基づくものである
ことも好ましい。
【0019】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
当該コアシステム装置は、MBMS(Multimedia Broadcast / Multicast Service)として機能し、
ブロードキャスト受信手段は、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)又はROUTE(Real-time Object Delivery over Unidirectional Transport)に基づくものである
ことも好ましい。
【0020】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
ブロードキャストの受信品質が所定条件以下に劣化したか否かを判定し、真と判定した際に、ブロードキャストの受信からユニキャストの受信へ切り替えるべく、ユニキャスト受信手段へ指示する適応受信制御手段を
更に有し、
ユニキャスト受信手段は、適応受信制御手段からの指示に応じて、視聴チャネルのユニキャスト配信要求をコアシステム装置へ送信し、コアシステム装置から、当該視聴チャネルのコンテンツを、ユニキャストで受信する
ことも好ましい。
【0021】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
適応受信制御手段は、
ブロードキャストのコンテンツにおけるセグメントが欠損した場合、真と判定し、
ブロードキャストのコンテンツにおけるセグメントが所定時間継続して欠損しなかった場合、偽と判定し、
偽と判定した際に、ユニキャストの受信からブロードキャストの受信へ切り替えるべく、ブロードキャスト受信手段へ指示する
ことも好ましい。
【0022】
本発明によれば、リアルタイム型放送サービスであって、コアシステム装置から配信されたコンテンツを基地局を介して受信する端末に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
コアシステム装置から基地局を介して、コンテンツを、ブロードキャスト受信手段とユニキャスト受信手段とで切り替えて受信可能であり、
ブロードキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させると共に、ユニキャスト受信手段で受信したコンテンツを、ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる受信再生バッファと
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、リアルタイム型放送サービスであって、コアシステム装置から配信されたコンテンツを基地局を介して受信する端末のコンテンツ受信方法において、
端末は、
コアシステム装置から基地局を介して、コンテンツを、ブロードキャストとユニキャストとで切り替えて受信可能であり、
ブロードキャストで受信したコンテンツを、ユニキャストで受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させると共に、ユニキャストで受信したコンテンツを、ブロードキャストで受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の端末、プログラム及び方法によれば、ブロードキャストで受信したコンテンツのセグメントと、ユニキャストで受信したコンテンツのセグメントとを、リアルタイム型放送サービスにおける一連のセグメント系列として、端末で再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明におけるシステム構成図である。
図2】本発明におけるコアシステム装置及び端末の機能構成図である。
図3】本発明のコアシステム装置から配信されるコンテンツを表す説明図である。
図4】ブロードキャストとユニキャストとの切り替えを表す第1のシーケンス図である。
図5】ブロードキャストとユニキャストとの切り替えを表す第2のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0028】
図1によれば、ケーブルテレビのネットワークシステムをIP放送に適用したシステムである。このシステムによれば、コンテンツサーバ1と、コアシステム装置2と、基地局3と、端末4とを有する。コアシステム装置2と端末4との間は、基地局3を介した移動通信システムにおけるローカルIP放送に基づくものである。
【0029】
<コンテンツサーバ1>
コンテンツサーバ1は、リアルタイム型放送サービスであって、コアシステム装置2へ、複数のチャネルのコンテンツを送信する。コアシステム装置2がMBMSである場合、コンテンツサーバ1はBMSCとして機能する。
【0030】
コンテンツサーバ1は、コンテンツ(セグメント系列)を、例えばMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)に基づいて、コアシステム装置2へ送信する(例えば非特許文献2参照)。
MPEG-DASHとは、インターネット上におけるアダプティブなHTTP(HyperText Transport Protocol)ストリーミングのプロトコルである。これによって、別途の動画配信サーバを要することなく、Webサイトの高速化・大規模化に利用されるCDN(Contents Delivery Network)をそのまま適用できる。また、アダプティブストリーミングによって、動的に映像品質を切替えることができ、安定した配信を実現する。
【0031】
図2は、本発明におけるコアシステム装置及び端末の機能構成図である。
図3は、本発明のコアシステム装置から配信されるコンテンツを表す説明図である。
【0032】
<コアシステム装置2>
コアシステム装置2は、リアルタイム型放送サービスに基づくものであって、コンテンツサーバ1から受信した複数のチャネルのコンテンツを、基地局3を介して複数の端末4へ配信する。本発明の特徴として、コアシステム装置2は、MBMSとして機能する。
【0033】
コンテンツサーバ1は、コアシステム装置2へ、以下のようなプロトコルスタックで、コンテンツを受信する。
MPEG-DASH
HTTP
TCP
IP(ユニキャスト) ->コアシステム装置2向け
【0034】
図2によれば、コアシステム装置2は、ブロードキャスト配信部21と、ユニキャスト配信部22とを有する。特に、コアシステム装置2が、ブロードキャスト配信部21とユニキャスト配信部22との両方を一体的に備えて、リアルタイム型放送サービスを提供することに特徴がある。これら機能構成部は、コアシステム装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、コアシステム装置のコンテンツ配信方法として理解できる。
【0035】
[ブロードキャスト配信部21]
ブロードキャスト配信部21は、複数の端末4へ、コンテンツを、ブロードキャストで配信する。
【0036】
ブロードキャスト配信部21は、以下のようなプロトコルスタックで、基地局3へ配信する。
MPEG-DASH
FLUTE(AL-FEC)
UDP
IP(ブロードキャスト)->端末4向け
UDP
IP(マルチキャスト) ->基地局3向け
【0037】
ブロードキャスト配信部21は、MBMSのFLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)又はROUTE(Real-time Object Delivery over Unidirectional Transport)に基づいて、コンテンツを、基地局3を介して端末4へ配信する。
FLUTEやROUTEは、片方向伝送プロトコルを介したファイル伝送を規定したものある(例えば非特許文献3参照)。この技術は、数秒単位で伝送され、リアルタイムに再生される。セグメントのバッファリングによって数秒の遅延が生じることとなるが、標準的ブラウザによって動画再生がサポートされている。尚、ユーザの嗜好等に合わせたコマーシャル動画の差し替えも容易となっている。
【0038】
[ユニキャスト配信部22]
ユニキャスト配信部22は、ブロードキャストの受信品質が所定条件以下に劣化した端末4から、当該視聴チャネルのユニキャスト配信要求を受信する。
これに対し、ユニキャスト配信部22は、ユニキャスト配信要求を送信してきた端末4へ、当該視聴チャネルのコンテンツを、ユニキャストで配信する。
【0039】
ユニキャスト配信部22は、以下のようなプロトコルスタックで、基地局3へ配信する。
MPEG-DASH
HTTP
TCP
IP(ユニキャスト) ->端末4向け
TCP
IP(ユニキャスト) ->基地局3向け
【0040】
前述したように、ブロードキャストもユニキャストも両方とも、最上位層ではMPEG-DASHとして配信される。コンテンツのセグメント長を比較的短くすることによって、リアルタイム型放送サービスに対応できるようにしたものである。
【0041】
<基地局3>
基地局3は、コアシステム装置2から受信したコンテンツを、移動通信システムのローカルIP放送として、複数の端末4へ放送する。
各基地局は、MCE(Multi-Cell Multicast Coordination Entity)によって無線リソースが指定され、コンテンツを同期させる。そして、各基地局は、MBSFN(MBMS Single Frequency Network)送信方式によって同報的にコンテンツを放送する。
【0042】
<端末4>
端末4は、リアルタイム型放送サービスであって、コアシステム装置2から配信されたコンテンツを、基地局3を介して受信する。このとき、端末4は、基地局3から受信した電波についてRF(Radio Frequency)合成し、コンテンツをユーザに対して再生する。
【0043】
端末4は、ブロードキャスト受信部41と、ユニキャスト受信部42と、適応受信制御部43と、受信再生バッファ44とを有する。これら機能構成部は、端末4に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、端末のコンテンツ受信方法として理解できる。
【0044】
[ブロードキャスト受信部41]
ブロードキャスト受信部41は、コアシステム装置2から基地局3を介して、コンテンツをブロードキャストで受信する。受信したコンテンツは、受信再生バッファ44へ出力される。
また、ブロードキャスト受信部41は、コンテンツを常時受信しているものであってもよい。
【0045】
[ユニキャスト受信部42]
ユニキャスト受信部42は、適応受信制御部43からの指示に応じて、ユニキャストの受信へ切り替えられた際に、視聴チャネルの「ユニキャスト配信要求」をコアシステム装置2へ送信する。これによって、コアシステム装置2から、当該視聴チャネルのコンテンツを、ユニキャストで受信する。受信したコンテンツは、受信再生バッファ44へ出力される。
また、ユニキャスト受信部42は、ブロードキャストの受信品質が所定条件以下に劣化した際に、当該ユニキャストのリンクを確立し、所定条件以下に劣化しなくなった際に、当該ユニキャストのリンクを切断するものであってもよい。
【0046】
[適応受信制御部43]
適応受信制御部43は、ブロードキャストの受信品質が所定条件以下に劣化したか否かを判定する。
受信品質は、例えば以下のように判定する。
・ブロードキャストのコンテンツにおけるセグメントが欠損した場合、「真」と判定する。
・ブロードキャストのコンテンツにおけるセグメントが所定時間継続して欠損しなかった場合、「偽」と判定する。
【0047】
そして、適応受信制御部43は、「真」と判定した際に、ブロードキャストの受信からユニキャストの受信へ切り替えるべく、ユニキャスト受信部42へ指示する。
また、適応受信制御部43は、「偽」と判定した際に、ユニキャストの受信からブロードキャストの受信へ切り替えるべく、ブロードキャスト受信部41へ指示する。
このように、適応受信制御部43は、ブロードキャストとユニキャストとを適応的に切り替えることができる。
【0048】
前述した特許文献1及び非特許文献2に記載の技術によれば、ブロードキャストにおけるコンテンツのセグメントの欠損によって、そのセグメントのみをユニキャストによって補完するものである。
これに対し、本発明によれば、ブロードキャストにおけるコンテンツのセグメントの欠損を検知することによって、その後、そのコンテンツをユニキャストによって受信するように切り替えるものである。
ここで、ユニキャスト受信部42によってコンテンツを受信中であっても、ブロードキャスト受信部41では同じコンテンツを受信可能となっている。即ち、「サイマルキャスト放送(simulcast)」の配信状態となる。コアシステム装置2は、同一のコンテンツを、ブロードキャストとユニキャストとの両方で配信することとなる。
【0049】
前述したように、端末4の適応受信制御部43は、チャネルリストを介して、ブロードキャストとユニキャストとを適応的に切り替えることができる。
【0050】
[受信再生バッファ44]
受信再生バッファ44は、ブロードキャスト受信部41によって受信したコンテンツを、ユニキャストで受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる。この遅延時間は、図2における<遅延3>に相当する。
<遅延3>は、端末4のユニキャスト受信部42がコアシステム装置2へユニキャスト配信要求を送信し、当該コンテンツをユニキャストで受信し、ユニキャストのプロトコルを受信処理するまでの第3の時間である。
【0051】
また、受信再生バッファ44は、ユニキャスト受信部42によって受信したコンテンツを、ブロードキャストで受信する際に生じる遅延時間だけ常時遅延させる。この遅延時間は、図2における<遅延1>+<遅延2>に相当する。
<遅延1>は、コアシステム装置2のブロードキャスト配信部21におけるブロードキャストのプロトコルを送信処理する第1の時間である。
<遅延2>は、端末4のブロードキャスト受信部41におけるブロードキャストのプロトコルを受信処理する第2の時間である。
【0052】
尚、遅延時間は、コンテンツの無線変調方式(MCS)に応じて可変となるようにすることが好ましい。高符号化・高レートとなるほど、プロトコルの処理時間が長くなり、低符号化・低レートとなるほど、プロトコルの処理時間が短くなる。
【0053】
<ブロードキャスト及びユニキャストのコンテンツの遅延>
図4は、ブロードキャストとユニキャストとの切り替えを表す第1のシーケンス図である。
【0054】
図4(a)は、ブロードキャストでセグメントM-1を受信している際に、ブロードキャストの欠損を検知した場合を表す。このとき、ブロードキャストからユニキャストへ切り替える(BC->UC)。
端末4は、ブロードキャストで受信したコンテンツを、以下の順に再生しようとする。
遅延1->遅延2->セグメントM-2->セグメントM-1
このとき、端末4は、ブロードキャストのセグメントM-1で欠損を検知し、ユニキャストへ切り替えるべく制御する。端末4は、ユニキャスト配信要求を基地局3へ送信し、ユニキャストで受信したコンテンツを、以下の順に再生する。
遅延3->セグメントM
このとき、本発明の端末4における受信再生バッファ44は、ブロードキャストによって受信したコンテンツを、ユニキャストで受信する際に生じる<遅延3>だけ常時遅延させる。これによって、セグメントM-1、M、M+1を一連のセグメント系列として再生するようにする。
遅延1->遅延2->遅延3->
セグメントM-2->セグメントM-1->セグメントM
【0055】
図4(b)は、図4(a)に続いて、ブロードキャストでセグメントMを受信している際に、ブロードキャストの欠損の改善を検知した場合を表す。このとき、ユニキャストからブロードキャストへ切り替える(UC->BC)。
端末4は、ユニキャストで受信したコンテンツを、以下の順に再生しようとする。
遅延3->セグメントM-1
このとき、端末4は、ブロードキャストのセグメントMで欠損の改善し、ブロードキャストへ切り替えるべく制御する。端末4は、ブロードキャストで受信したコンテンツを、以下の順に再生しようとする。
遅延1->遅延2->セグメントM
このとき、本発明の端末4における受信再生バッファ44は、ブロードキャストによって受信したコンテンツを、ユニキャストで受信する際に生じる<遅延3>だけ常時遅延させる。これによって、セグメントM、M+1を一連のセグメント系列として再生するようにする。
図4(a)BC セグメントM-2->セグメントM-1
図4(a)UC ->セグメントM
図4(b)BC ->セグメントM+1
【0056】
図5は、ブロードキャストとユニキャストとの切り替えを表す第2のシーケンス図である。
【0057】
図5(a)は、ユニキャストでセグメントM-2、M-1を受信している際に、ブロードキャストの欠損の改善を検知した場合を表す。このとき、ユニキャストからブロードキャストへ切り替える(UC->BC)。
端末4は、ユニキャストで受信したコンテンツを、以下の順に再生しようとする。
遅延3->セグメントM-2->セグメントM-1
このとき、端末4は、ブロードキャストのセグメントM-1で欠損の改善を検知し、ブロードキャストへ切り替えるべく制御する。端末4は、ブロードキャストで受信したコンテンツを、以下の順に再生しようとする。
遅延1->遅延2->・・・・・・・・・->セグメントM
このとき、本発明の端末4における受信再生バッファ44は、ユニキャストによって受信したコンテンツを、ブロードキャストで受信する際に生じる<遅延1>+<遅延2>だけ常時遅延させる。これによって、セグメントM-2、M-1、Mを一連のセグメント系列として再生するようにする。
遅延3->遅延1->遅延2->
セグメントM-2->セグメントM-1->セグメントM
【0058】
図5(b)は、図5(a)に続いて、ブロードキャストでセグメントMを受信している際に、ブロードキャストの欠損を検知した場合を表す。このとき、ブロードキャストからユニキャストへ切り替える(BC->UC)。
端末4は、ブロードキャストで受信したコンテンツを、以下の順に再生しようとする。
遅延1->遅延2->セグメントM+1
このとき、端末4は、ブロードキャストのセグメントMで欠損を検知し、ブロードキャストへ切り替えるべく制御する。端末4は、ユニキャストで受信したコンテンツを、以下の順に再生しようとする。
遅延3->セグメントM+1
このとき、本発明の端末4における受信再生バッファ44は、ユニキャストによって受信したコンテンツを、ブロードキャストで受信する際に生じる<遅延1>+<遅延2>だけ常時遅延させる。これによって、セグメントM、M+1を一連のセグメント系列として再生するようにする。
図5(a)UC セグメントM-2->セグメントM-1
図5(a)BC ->セグメントM
図5(b)UC ->セグメントM+1
【0059】
最後に、本願発明によれば、コアシステム装置と端末との間では、リアルタイム型放送サービスにおけるコンテンツを、ブロードキャストとユニキャストとで切り替えで配信可能となる。ブロードキャストの受信品質が劣化した際に、ブロードキャストからユニキャストへ切り替えることができる。また、ブロードキャストの受信品質が改善するだけなく、ユニキャストで視聴する端末が所定数以上(例えば≧2)となった際に、ユニキャストからブロードキャストへ切り替えることができる。例えば最初に視聴する端末数が1台の場合には、ユニキャストで配信し、視聴する端末数が2台以上となった際に、ブロードキャストへ切り替えることもできる。その際には、前述したチャンネルリストが更新されることなる。
【0060】
以上、詳細に説明したように、本発明の端末、プログラム及び方法によれば、ブロードキャストで受信したコンテンツのセグメントと、ユニキャストで受信したコンテンツのセグメントとを、リアルタイム型放送サービスにおける一連のセグメント系列として、端末で再生することができる。
【0061】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0062】
1 コンテンツサーバ
2 コアシステム装置
21 ブロードキャスト配信部
22 ユニキャスト配信部
3 基地局
4 端末
41 ブロードキャスト受信部
42 ユニキャスト受信部
43 適応受信制御部
44 受信再生バッファ
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-04-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
受信再生バッファは、コアシステム装置がブロードキャストのプロトコルを送信処理する第1の時間と、当該端末がブロードキャストのプロトコルを受信処理する第2の時間との和を、ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の端末。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
受信再生バッファは、ユニキャスト受信手段がコアシステム装置へユニキャスト配信要求を送信し、当該コンテンツをユニキャストで受信し、ユニキャストのプロトコルを受信処理するまでの第3の時間を、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間として設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間、及び、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間は、コンテンツの無線変調方式に応じて可変となる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の端末。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
受信再生バッファは、コアシステム装置がブロードキャストのプロトコルを送信処理する第1の時間と、当該端末がブロードキャストのプロトコルを受信処理する第2の時間との和を、ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間として設定する
ことも好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
受信再生バッファは、ユニキャスト受信手段がコアシステム装置へユニキャスト配信要求を送信し、当該コンテンツをユニキャストで受信し、ユニキャストのプロトコルを受信処理するまでの第3の時間を、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間として設定する
ことも好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明の端末における他の実施形態によれば、
ブロードキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間、及び、ユニキャスト受信手段で受信する際に生じる遅延時間は、コンテンツの無線変調方式に応じて可変となる
ことも好ましい。