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特開2023-91191衝突可能性判定装置、通信端末装置、移動体、衝突可能性を判定するシステム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091191
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】衝突可能性判定装置、通信端末装置、移動体、衝突可能性を判定するシステム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230623BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205804
(22)【出願日】2021-12-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 憲一
(72)【発明者】
【氏名】大竹 博
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慶介
(72)【発明者】
【氏名】小椋 直
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】移動体が走行している移動経路に他の移動体が合流する合流時における将来を見越した移動体同士の衝突の可能性を判定することができる衝突可能性判定装置を提供する。
【解決手段】衝突可能性判定装置は、移動経路の合流点に向かって移動している複数の移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を所定の頻度で取得し、複数の移動体のそれぞれについて前記移動体情報と前記頻度の情報とに基づいて合流点における移動体の到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域を推定し、複数の移動体のそれぞれについて移動体の現在位置及び速度の情報に基づいて移動体が合流予測領域を通過する通過時間帯を計算し、複数の移動体の間における通過時間帯の重なりに基づいて複数の移動体の衝突の可能性を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体同士の衝突の可能性を判定する衝突可能性判定装置であって、
移動経路の合流点に向かって移動している複数の移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を、所定の頻度で取得する情報取得手段と、
前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体情報と前記頻度の情報とに基づいて、前記合流点における前記移動体の到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域を推定する領域推定手段と、
前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体の現在位置及び速度の情報に基づいて、前記移動体が前記合流予測領域を通過する通過時間帯を計算する時間帯計算手段と、
前記複数の移動体の前記通過時間帯の重なりに基づいて、前記複数の移動体の衝突の可能性を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項2】
請求項1の衝突可能性判定装置において、
前記判定手段は、前記複数の移動体について計算した複数の通過時間帯のうち、前記複数の合流予測領域の重複領域を通過する複数の重複領域通過時間帯が、前記複数の移動体の間で重なり合っているとき、前記複数の移動体の衝突の可能性が高いと判定する、ことを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項3】
請求項1又は2の衝突可能性判定装置において、
前記移動体情報は、前記移動体の加速度及びヨーレートの情報を含み、
前記時間帯計算手段は、前記移動体の現在位置及び速度の情報と前記移動体の加速度及びヨーレートの情報とに基づいて前記通過時間帯を計算することを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの衝突可能性判定装置において、
前記複数の移動体の少なくとも1つの移動体に搭載した通信端末装置又は前記少なくとも1つの移動体を利用している利用者に所持又は装着された通信端末装置に、前記衝突の可能性の判定結果を通知する通知手段を更に備える、ことを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの衝突可能性判定装置において、
前記衝突の可能性の判定結果は、前記複数の移動体の少なくとも1つの移動体における前記衝突を回避する制御に用いられることを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの衝突可能性判定装置において、
前記合流予測領域は、前記合流点が中央に位置する円形、楕円形又は長円形の領域であることを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかの衝突可能性判定装置において、
前記合流予測領域は、前記合流点が中央に位置する円、楕円又は長円の一部の円弧を底辺とし前記移動体の現在位置を頂点とした円弧三角形の領域であることを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの衝突可能性判定装置において、
前記通過時間帯は、前記合流予測領域のうち前記移動体が合流可能な範囲内の部分を通過する通過時間帯であることを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの衝突可能性判定装置において、
前記合流点の特定、前記合流予測領域の推定及び前記通過時間帯の計算は、地図情報における前記移動経路の走行基準線の位置情報に基づいて行うことを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかの衝突可能性判定装置において、
当該衝突可能性判定装置は、移動通信網の基地局又は前記基地局とコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けられたMEC(Multi-access Edge Computing)装置であることを特徴とする衝突可能性判定装置。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかの衝突可能性判定装置を備える移動体。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれかの衝突可能性判定装置を備える通信端末装置。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれかの衝突可能性判定装置により合流点での衝突の可能性が判定される移動体に搭載される通信端末装置又は当該移動体内の利用者に所持又は装着される通信端末装置であって、
当該移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を前記所定の頻度で前記衝突可能性判定装置に送信する情報送信手段と、
前記合流点での衝突の可能性が判定された判定の結果を前記衝突可能性判定装置から受信する判定結果受信手段と、を備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項14】
移動体が走行している移動経路に他の移動体が合流する合流時における移動体同士の衝突の可能性を判定するシステムであって、
請求項1乃至10のいずれかの衝突可能性判定装置と、前記移動体の通信端末装置とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項14のシステムにおいて、
前記移動経路の走行基準線の情報を含む地図情報を記憶する地図データベース装置を備え、
前記衝突可能性判定装置は、前記地図データベース装置から、前記移動経路の走行基準線の位置情報を取得することを特徴とするシステム。
【請求項16】
移動体同士の衝突の可能性を判定する方法であって、
移動経路の合流点に向かって移動している複数の移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を、所定の頻度で取得することと、
前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体情報と前記頻度の情報とに基づいて、前記合流点における前記移動体の到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域を推定することと、
前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体の現在位置及び速度の情報に基づいて、前記移動体が前記合流予測領域を通過する通過時間帯を計算することと、
前記複数の移動体の前記通過時間帯の重なりに基づいて、前記複数の移動体の衝突の可能性を判定することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
移動体同士の衝突の可能性を判定する装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
移動経路の合流点に向かって移動している複数の移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を、所定の頻度で取得するためのプログラムコードと、
前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体情報と前記頻度の情報とに基づいて、前記合流点における前記移動体の到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域を推定するためのプログラムコードと、
前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体の現在位置及び速度の情報に基づいて、前記移動体が前記合流予測領域を通過する通過時間帯を計算するためのプログラムコードと、
前記複数の移動体の前記通過時間帯の重なりに基づいて、前記複数の移動体の衝突の可能性を判定するためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体が移動している移動経路における移動体同士の衝突の可能性を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の移動方向の前方の物体を検知するカメラやレーダなどのセンサの出力に基づいて自車両と周辺の車両との間の移動体同士の衝突を判定する衝突可能性判定装置が知られている。例えば、特許文献1には、自車両の進行方向の画像をカメラで撮影した画像に、自車両の進行方向に基づく進行方向画素位置を中心とする円を設定し、自車両の進行方向に存在する物体の移動方向を示す移動ベクトルが円の内側へ向かう方向を示すか否かによって、自車両と物体(他の車両)との衝突可能性を判定する衝突可能性判定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-202876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の衝突可能性判定装置は、カメラなどのセンサによって他の移動体(車両)を検知した後の判定であり、センサによる他の移動体(車両)を検知する前に当該移動体との衝突の可能性を判定することができない。特に、移動体(自車両)が高速道路等の移動経路を移動しているときに当該移動経路に合流側道を走行している他の移動体(車両)が合流する場合、当該他の移動体(車両)をカメラなどのセンサで検知できないため、合流時における将来を見越した移動体同士の衝突の可能性を判定することができない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る衝突可能性判定装置は、移動体同士の衝突の可能性を判定する衝突可能性判定装置である。この衝突可能性判定装置は、移動経路の合流点に向かって移動している複数の移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を、所定の頻度で取得する情報取得手段と、前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体情報と前記頻度の情報とに基づいて、前記合流点における前記移動体の到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域を推定する領域推定手段と、前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体の現在位置及び速度の情報に基づいて、前記移動体が前記合流予測領域を通過する通過時間帯を計算する時間帯計算手段と、
前記複数の移動体の前記通過時間帯の重なりに基づいて、前記複数の移動体の衝突の可能性を判定する判定手段と、を備える。
【0006】
前記衝突可能性判定装置において、前記判定手段は、前記複数の移動体について計算した複数の通過時間帯のうち、前記複数の合流予測領域の重複領域を通過する複数の重複領域通過時間帯が、前記複数の移動体の間で重なり合っているとき、前記複数の移動体の衝突の可能性が高いと判定してもよい。
【0007】
前記衝突可能性判定装置において、前記移動体情報は、前記移動体の加速度及びヨーレートの情報を含み、前記時間帯計算手段は、前記移動体の現在位置及び速度の情報と前記移動体の加速度及びヨーレートの情報とに基づいて前記通過時間帯を計算してもよい。
【0008】
前記衝突可能性判定装置において、前記複数の移動体の少なくとも1つの移動体に搭載した通信端末装置又は前記少なくとも1つの移動体を利用している利用者に所持又は装着された通信端末装置に、前記衝突の可能性の判定結果を通知する通知手段を更に備えてもよい。
【0009】
前記衝突可能性判定装置において、前記衝突の可能性の判定結果は、前記複数の移動体の少なくとも1つの移動体における前記衝突を回避する制御に用いてもよい。
【0010】
前記衝突可能性判定装置において、前記合流予測領域は、前記合流点が中央に位置する円形、楕円形又は長円形の領域であってもよい。
【0011】
前記衝突可能性判定装置において、前記合流予測領域は、前記合流点が中央に位置する円、楕円又は長円の一部の円弧を底辺とし前記移動体の現在位置を頂点とした円弧三角形の領域であってもよい。
【0012】
前記衝突可能性判定装置において、前記通過時間帯は、前記合流予測領域のうち前記移動体が合流可能な範囲内の部分を通過する通過時間帯であってもよい。
【0013】
前記衝突可能性判定装置において、前記合流点の特定、前記合流予測領域の推定及び前記通過時間帯の計算は、地図情報における前記移動経路の走行基準線の位置情報に基づいて行ってもよい。
【0014】
前記衝突可能性判定装置は、移動通信網の基地局又は前記基地局とコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けられたMEC(Multi-access Edge Computing)装置であってもよい。
【0015】
本発明の他の態様に係る移動体は、前記いずれかの衝突可能性判定装置を備える。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る通信端末装置は、前記いずれかの衝突可能性判定装置を備える。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る通信端末装置は、前記いずれかの衝突可能性判定装置により合流点での衝突の可能性が判定される移動体に搭載される通信端末装置又は当該移動体内の利用者に所持又は装着される通信端末装置である。この通信端末装置は、当該移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を前記所定の頻度で前記衝突可能性判定装置に送信する情報送信手段と、前記合流点での衝突の可能性が判定された判定の結果を前記衝突可能性判定装置から受信する判定結果受信手段と、を備える。
【0018】
本発明の更に他の態様に係るシステムは、移動体が移動している移動経路に他の移動体が合流する合流時における移動体同士の衝突の可能性を判定するシステムである。このシステムは、前記いずれかの衝突可能性判定装置と、前記移動体の通信端末装置とを備える。
【0019】
前記システムにおいて、前記移動経路の走行基準線の情報を含む地図情報を記憶する地図データベース装置を備え、前記衝突可能性判定装置は、前記地図データベース装置から、前記移動経路の走行基準線の位置情報を取得してもよい。
【0020】
本発明の更に他の態様に係る方法は、移動体同士の衝突の可能性を判定する方法である。この方法は、移動経路の合流点に向かって移動している複数の移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を、所定の頻度で取得することと、前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体情報と前記頻度の情報とに基づいて、前記合流点における前記移動体の到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域を推定することと、前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体の現在位置及び速度の情報に基づいて、前記移動体が前記合流予測領域を通過する通過時間帯を計算することと、前記複数の移動体の前記通過時間帯の重なりに基づいて、前記複数の移動体の衝突の可能性を判定することと、を含む。
【0021】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動体同士の衝突の可能性を判定する装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、移動経路の合流点に向かって移動している複数の移動体の現在位置及び速度を含む移動体情報を、所定の頻度で取得するためのプログラムコードと、前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体情報と前記頻度の情報とに基づいて、前記合流点における前記移動体の到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域を推定するためのプログラムコードと、前記複数の移動体のそれぞれについて、前記移動体の現在位置及び速度の情報に基づいて、前記移動体が前記合流予測領域を通過する通過時間帯を計算するためのプログラムコードと、前記複数の移動体の前記通過時間帯の重なりに基づいて、前記複数の移動体の衝突の可能性を判定するためのプログラムコードと、を含む。また、推定や判定を行うプログラムには、機械学習に用いられる学習済モデルを含む。
【0022】
前記衝突可能性判定装置、前記通信端末装置、前記移動体、前記システム、前記方法及び前記プログラムにおいて、前記移動体は、地上、地中、空中、水上又は水中を移動する移動体であってもよく、前記移動体の情報は、前記移動体の自動運転の制御に用いる情報を含んでもよい。また、前記移動体は、地上を移動する車両であってもよく、前記移動体の情報は、前記車両の自動運転の制御に用いる情報を含んでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、移動体が走行している移動経路に他の移動体が合流する合流時における将来を見越した移動体同士の衝突の可能性を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る衝突可能性判定システムの全体構成の一例を示す説明図。
図2】実施形態に係るMECサーバ(衝突可能性判定装置)の主要な機能の一例を示すブロック図。
図3】実施形態に係る車両の車載装置に搭載した通信端末装置(UE)の主要な機能の一例を示すブロック図。
図4】実施形態に係るMECサーバ(衝突可能性判定装置)における車両衝突可能性の判定処理に用いられる走行基準線、合流点及び合流予測領域の一例を示す説明図。
図5】(a)及び(b)はそれぞれ、実施形態に係る複数の車両が互いに異なる速度で走行しているときの合流予測領域の一例を示す説明図。
図6】実施形態に係る複数の車両が合流点に向かって移動しているときの合流予測領域に侵入する侵入時刻及び合流点に到達する到達時刻の計算例(推定例)を示す説明図。
図7】実施形態に係る車両衝突可能性の判定に用いる合流予測領域の通過時間帯の一例を示す説明図。
図8】実施形態に係る複数の車両の通過時間帯の時間軸上の重なりによる6種類の衝突可能性判定の例を示す説明図。
図9】実施形態に係るMECサーバ(衝突可能性判定装置)における車両衝突可能性の判定処理の一例を示すフローチャート。
図10】(a)~(d)は合流点に向かって移動している複数の車両の手動運転及び自動運転の組み合わせが互いに異なる場合の合流予測領域の例を示す説明図。
図11図10(b)の組み合わせの複数の車両が合流点に向かって移動しているときの合流予測領域に侵入する侵入時刻及び合流点に到達する到達時刻の計算例(推定例)を示す説明図。
図12図10(c)の組み合わせの複数の車両が合流点に向かって移動しているときの合流予測領域に侵入する侵入時刻及び合流点に到達する到達時刻の計算例(推定例)を示す説明図。
図13図10(c)の組み合わせの複数の車両が合流点に向かって移動しているときの合流予測領域に侵入する侵入時刻及び合流点に到達する到達時刻の計算例(推定例)を示す説明図。
図14】実施形態に係る合流側道を走行している車両における車両衝突可能性の判定処理の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係る装置は、高速道路の本線に車両が合流する合流時における車両同士の衝突の可能性を判定する衝突可能性判定装置である。
【0026】
なお、本実施形態では衝突可能性判定の対象である移動体が地上の移動経路である道路を走行する車両の場合について説明するが、移動体の種類及び移動経路の種類に特に制約はない。例えば、車両は、自動車、トラック、バス、バイクなどである。車両は、自動運転機能を有する車両でもよいし、自動運転機能を有していない手動運転の車両であってもよい。また、衝突可能性判定対象の移動体は、地上の車両のほか、所定高度の上空における移動経路を飛行して移動可能な飛行体などの移動体であってもよい。また、移動体は、地下における移動経路を移動する地下移動体、水上(例えば海上)などにおける移動経路を移動可能な船舶などの水上移動体、又は、水中(例えば海中)の移動経路を移動する潜水ロボットなどの水中移動体であってもよい。
【0027】
また、本実施形態では、2台の車両(移動体)の間の衝突可能性を判定しているが、衝突可能性判定対象の移動体の数は3以上であってもよい。
【0028】
図1は、本実施形態に係る衝突可能性判定システムの全体構成の一例を示す説明図である。図1において、本実施形態の衝突可能性判定システムは、移動体としての車両30Aが走行している地上の移動経路である高速道路等の道路90の本線車道91,92に合流側道93から他の移動体としての車両30Bが合流する合流時における移動体同士の衝突の可能性を判定する衝突可能性判定装置10を備えている。衝突可能性判定システムは、車両30A及び車両30B等の複数の移動体を含んでもよい。
【0029】
図1において、道路90の本線車道は走行車線91と追越車線92を有している。車両30A,30Cは走行車線91を走行し、車両30E,30Fは追越車線92を走行している。合流側道93は、合流可能範囲Wxで本線車道の走行車線91に接している。車両30B,30Dは、本線車道に向かって合流側道93を走行している。なお、以下の説明において、各車両に共通の説明をする場合は車両30と記載する。
【0030】
本実施形態の衝突可能性判定装置10は、例えば、移動通信網15の基地局16に設けられ、車両30の通信端末装置31との間で基地局16を介して送受信される各種のデータ処理を行うことができるMEC(Multi-access Edge Computing)装置である。衝突可能性判定装置(以下「MECサーバ」という。)10は、基地局16と移動通信網15のコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けてもよい。
【0031】
基地局16は、一つ又は複数のセル(セクタ、セクタセルとも呼ばれる。)を形成する。セルは地上又は海上に2次元的に形成してもよいし、上空から地上又は海上に向けて3次元的に形成してもよい。セルは、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセル、大セル等であってもよい。複数のセルは、複二次元的に又は三次元的に隣り合うように分布するセルラー構造を構成してもよいし、階層的に一部又は全部が重なり合った階層セル構造を構成してもよい。基地局16は、マクロセル基地局、スモールセル基地局、フェムトセル基地局、ピコセル基地局、大セル基地局、地上等に固定設置された固定基地局、地上、海上、上空などを移動可能な移動型の基地局等であってもよい。基地局16は、eNodeB(evolved Node B:eNB)、gNodeB(gNB)、en-NodeB(en-gNB)、アクセスポイント等と呼ばれる無線通信装置であってもよい。
【0032】
車両30の通信端末装置31は、移動通信サービスの加入者として使用可能なユーザ装置(UE)としての機能を有する。通信端末装置(以下「UE」ともいう。)31は、例えば、車両30に組み込んで設置された車載装置(例えばナビゲーション装置の一部として組み込まれた装置)である。車両30のUE31は、車両30の中で利用者(例えば、運転者又は同乗者)に所持又は装着された装置でもよい。UE31は、ユーザ端末、端末、端末装置、移動局、移動機等と呼ばれる無線通信装置であってもよい。
【0033】
車両30のUE31は、車車間通信(例えば、Sidelink(PC-5)などの近距離無線通信)により周辺の他の車両との間で近接無線通信可能な機能を有してもよい。
【0034】
本実施形態のMECサーバ10は、車両30の外に位置する利用者の通信端末装置との間で基地局16を介して通信する機能を有してもよい。利用者の通信端末装置は、移動通信サービスの加入者として使用可能なスマートフォンなどのユーザ装置(UE)であり、ユーザ端末、端末、端末装置、移動局、移動機等と呼ばれる無線通信装置であってもよい。
【0035】
車両30のUE31及び車両30の外のUEは、現在位置情報を取得する機能及び通信機能を有するIoTデバイス、AR(Augmented Reality)デバイス、VR(Virtual Reality)デバイス、MR(Mixed Reality)デバイス又はスマートデバイスであってもよい。また、UEは、現在位置情報を取得する機能及び通信機能を有する眼鏡型デバイス(例えば、ARグラス、VRグラス、MRグラス、スマートグラス)、時計型デバイス(例えば、スマートウォッチ)などであってもよい。また、UEは、現在位置情報を取得する機能及び通信機能を有するGNSS(Global Navigation Satellite System)トラッカー、防犯ブザー、歩数計などであってもよい。
【0036】
車両30のUE31は、MECサーバ10に対して移動体情報としての車両情報を所定の頻度で定期的に(例えば周期的に)又は不定期に送信する。車両情報は、車両30(UE31)の現在位置を示す位置情報と速度情報とを含む。車両30の「速度」は、車両30(UE31)の移動の方向と速さ(=速度の絶対値、大きさ)で表されるベクトル量である。車両情報は、車両30の識別情報としての車両ID又はUE31の識別情報としての端末IDを含んでもよい。また、車両情報は、車両30(UE31)の加速度の情報及びヨーレートの情報を含んでもよい。ヨーレートは、車両30の旋回時などにおけるヨー角の変化を割合であり、車両30の重心点を通る鉛直軸まわりの回転角速度である。
【0037】
車両30(UE31)の現在位置を示す位置情報は、例えば、UE31に設けたGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機の出力(測位結果)に基づいて算出することができる。また、UE31は、GNSS受信機のほか、ジャイロスコープ(「レートジャイロ」又は「ジャイロセンサ」ともいう。)、加速度センサ及び速度センサの少なくとも一つを備えてもよい。このセンサの出力に基づいて、車両30(UE31)のGNSS受信機による現在位置の測定精度が低い場合でも車両30(UE31)の移動経路を算出して車両30(UE31)の現在位置を精度よく推定してもよい。また、上記センサの出力に基づいて、車両30の加速度及びヨーレートを計算したり、車両30の姿勢や向いている方位を推定したりしてもよい。これらの計算結果や推定結果は、MECサーバ10に送信する車両情報に含めてもよい。
【0038】
車両30のUE31からMECサーバ10への車両情報の送信頻度は、例えば数ミリ秒~数十秒の周期であり、車両衝突可能性の判定に用いられる。車両情報の送信頻度は、車両衝突の危険性の程度に応じて変化させてもよい。例えば、車両衝突の危険性が低い時間帯又はエリアにおいては車両情報の送信頻度の低めに設定し、車両衝突の危険性が高い時間帯又はエリアにおいては車両情報の送信頻度を高めに設定してもよい。
【0039】
衝突可能性判定システムは、道路(車線)90の位置、形状、幅W、本線車道91,92、合流側道93などの道路に関する情報を含む地図情報を管理する地図情報データベース(DB)装置としての地図サーバ11を備えている。図1の例では、地図サーバ11は移動通信網15に設けているが、基地局16に設けられたMEC装置、又は基地局16と移動通信網15のコアネットワークとの間のノードに設けられたMEC装置で構成してもよい。また、地図サーバ11はMECサーバ10と一体構成してもよい。
【0040】
地図サーバ11で管理されている地図情報における道路90の車道は、例えば、車線毎に複数の直線車道部分に分割された車道レーン(Lane)で管理される。地図サーバ11は、これらの複数の車道レーンのそれぞれについて、車道レーンの中心を通る線又は走行時の目安となる軌跡である走行基準線(「走行目安線(Lane Line)」とも呼ばれる)の始点及び終点の座標のデータ、複数の走行基準線が交差している点(例えば合流点)の座標、複数の車道レーンが接している範囲の座標のデータ、各車道レーンの幅のデータなどを格納している。また、カーブなど曲線の道路を表現するために、走行基準線は、その始点と終点の間に複数の点を持ってもよく、複数の線分で一つの走行基準線が構成されてもよい。
【0041】
図1の道路90の場合、地図サーバ11は、本線車道の走行車線91及び追越車線92のそれぞれの走行基準線901,902の始点及び終点の座標のデータ、合流側道93の走行基準線903の始点及び終点の座標のデータ、本線車道の走行車線91に合流側道93が接している合流可能範囲Wxを規定する座標のデータ等を格納している。ここで、合流可能範囲Wxを規定する座標は、例えば、合流可能範囲Wxにおける走行車線91の走行基準線901の始点及び終点の座標、及び、合流可能範囲Wxにおける合流側道93の走行基準線903の始点及び終点の座標である。
【0042】
また、地図サーバ11は、走行車線91の走行基準線901と合流側道93の走行基準線903とが交差している点の座標のデータを、合流点Pxの座標のデータとして格納してもよい。
【0043】
図2は、本実施形態に係るMECサーバ10の主要な機能の一例を示すブロック図である。図2において、MECサーバ10は、車両情報取得部101と、情報記憶部(DB:データベース)102と、判定処理部103と、判定結果通知部104と、地図情報取得部105とを備える。
【0044】
MECサーバ10は。NW-RTK測位コアシステム(「クラウドRTKシステム」又は「サーバRTK」ともいう。)と間で通信してNW-RTK測位コアシステムと連携するように構成してもよい。ここで、RTK(リアルタイムキネマティック)測位法は、既知の位置に配置された基準局(固定局)を用いて、GNSS(全地球航法衛星システム)の人工衛星から電波を受信し、測位対象の位置測定をリアルタイムに行う測位法である。このRTK測位法では、例えば、人工衛星から電波を受信した基準局の搬送波観測データと、人工衛星から電波を受信した測位対象の搬送波観測データと、予め初期化処理により決定された測位補正情報とに基づいて、測位対象の高精度位置座標を計算する。NW-RTK測位コアシステム(クラウドRTKシステム)は、測位対象(例えば、UE等の端末装置)からアクセス可能なネットワーク上に設けられたサーバが、測位対象から搬送波観測データ(生データ)を受信し、RTK法によって測位対象の高精度位置座標を計算するシステムである。NW-RTK測位コアシステムによれば、RTK法によって高精度位置情報を計算する高精度測位手段をUE等の端末装置側が備えていなくても、UE等の端末装置が自身の現在位置のセンチメートルオーダーの高精度位置情報を取得することができる。
【0045】
車両情報取得部101は、道路90の合流点Pxに向かって移動している複数の車両30A,30Bの現在位置及び速度を含む車両情報を所定の頻度で取得する情報取得手段として機能する。例えば、車両情報取得部101は、車両30のUE31の現在位置の位置情報及び速度情報を含む車両情報を、基地局16を介してUE31から受信して取得する。車両情報取得部101は、NW-RTK測位システム(クラウドRTKシステム)に当該位置情報を渡して、センチメートル級の位置情報演算結果を受信してもよい。
【0046】
情報記憶部102は、複数の車両30のUE31から受信した位置情報を、車両30の識別情報である車両IDと対応付けて記憶する。情報記憶部102は、地図サーバ11から受信した監視対象エリアの地図情報を記憶する。なお、監視対象エリアの地図情報は、地図サーバ11から取得しないで、情報記憶部102に予め記憶しておいてもよい。
【0047】
判定処理部103は、MECサーバ10が有するコンピュータ又はプロセッサが所定のプログラムを実行することにより、次の(1)~(3)の各手段として機能する。
(1)道路90(本線車道91,92及び合流側道93)を走行している複数の車両30A,30Bのそれぞれについて、前記車両情報と前記情報の取得頻度の情報とに基づいて、合流点Pxにおける車両30A,30Bの到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域70A,70Bを推定する領域推定手段。
(2)複数の車両30A,30Bのそれぞれについて、車両30A,30Bの現在位置及び速度の情報に基づいて、車両30A,30Bが合流予測領域70A,70Bを通過する通過時間帯80A(81A,81B)及び80B(81B,82B)を計算する時間帯計算手段。
(3)複数の車両30A,30Bの間における通過時間帯80A(81A,81B)及び80B(81B,82B)の重なりに基づいて、複数の車両30A,30Bの衝突の可能性を判定する判定手段。
【0048】
判定結果通知部104は、判定処理部103で判定した衝突の可能性の判定結果の情報を、基地局16を介して車両30(車両30A、車両30B又はその両方)のUE31に送信して通知する手段として機能する。判定結果の情報は、例えば、合流時における車両衝突の可能性ありの判定結果を示す情報、又は、合流時における車両衝突の可能性なしの判定結果を示す情報である。判定結果通知部104は、車両30(車両30A、車両30B又はその両方)を利用している利用者(運転者又は同乗者)に所持又は装着されているUEに、衝突の可能性の判定結果を送信して通知してもよい。
【0049】
地図情報取得部105は、車両30のUE31から受信した位置情報に基づいて、道路90の車道レーンの走行基準線の始点、終点及び交点(合流点)の座標データを含む地図情報を、地図サーバ11から取得する。
【0050】
図3は、本実施形態に係る車両30の通信端末装置(UE)31の主要な機能の一例を示すブロック図である。車両30のUE31は、測定部301と、情報記憶部302と、車両情報送信部303と、判定結果受信部304と、判定結果出力部305とを備える。
【0051】
測定部301は、車両30(UE31)の現在位置及び速度の情報を測定して取得する。測定部301は、例えば、車両本体、車載装置又はUE31に設けられたGNSS受信機、ジャイロスコープ、加速度センサ、速度センサ及び磁気センサの少なくとも一つの出力の情報に基づいて、車両30(UE31)の現在位置(緯度、経度及び高度)及び速度の情報を算出する。また、測定部301は、車両30(UE31)の加速度及びヨーレートの情報を更に測定して取得してもよい。また、UE31の現在位置は、数センチの精度を有するセンチメートル級の位置情報であってもよい。センチメートル級の位置情報は、例えば、NW-RTK測位コアシステム(クラウドRTKシステム)と連携して取得してもよい。
【0052】
情報記憶部302は、測定部301で測定した車両30(UE31)の現在位置及び速度等の情報を記憶する。また、情報記憶部302は、MECサーバ10から受信した車両衝突可能性の判定結果を記憶する。
【0053】
車両情報送信部303は、車両30(UE31)の現在位置及び速度を含む車両情報を、基地局16を介してMECサーバ10に送信する。車両情報は、車両30(UE31)の加速度及びヨーレートの情報、利用者識別情報(利用者ID)などを更に含んでもよい。
【0054】
判定結果受信部304は、MECサーバ10で判定された車両衝突可能性の判定結果を、基地局16を介してMECサーバ10から受信する。
【0055】
判定結果出力部305は、MECサーバ10から受信した車両衝突可能性の判定結果を画像情報又は音声などの音情報として出力し、車両30内の利用者(例えば、運転者、同乗者又はその両方)に通知する。判定結果出力部305は、車車間通信(例えば、Sidelink(PC-5)などの近距離無線通信)により、車両衝突可能性の判定結果を、周辺の車両30に送信する機能を有してもよい。車両30が自動運転機能を有する場合、判定結果出力部305は、車両30の自動運転制御部に車両衝突可能性の判定結果を通知してもよい。
【0056】
図4は、実施形態に係るMECサーバ10における車両衝突可能性の判定処理に用いられる走行基準線901,903、合流点Px及び合流予測領域70A,70Bの一例を示す説明図である。図4において、合流点Pxは、道路90の本線車道(走行車線)91の走行基準線901と合流側道93の走行基準線903とが交差する点である。この合流点Pxを内側に含むように、車両30A,30Bのそれぞれが合流点Pxに到達するときの到達予測位置の誤差範囲を示す合流予測領域70A,70Bが推定されて決定される。
【0057】
合流点Pxを含む合流予測領域70A,70Bの形状は、判定対象の車両30A,30Bが自動運転及び手動運転のどちらで走行しているかによって変えてもよい。例えば、車両30A,30Bが自動運転で走行している場合は、走行基準線901,903に交差する横方向の位置誤差が小さいため、図4に示すように合流点Pxを中心とした円形(誤差円)からなる合流予測領域70A,70Bが用いられる。この場合の合流予測領域70A,70Bの形状は円形のほか、合流点Pxが中央に位置する楕円形又は長円形であってもよい。
【0058】
一方、車両30A,30Bが手動運転で走行している場合は、走行基準線901,903に交差する横方向の位置誤差が大きいため、後述のように、合流点が中央に位置する円、楕円又は長円の一部の円弧を底辺とし車両30A,30Bの現在位置を頂点とした円弧三角形の合流予測領域70A,70Bを用いてもよい。この場合、円弧三角形の合流予測領域70A,70Bは、後述のように合流可能範囲Wx内に制限してもよい。
【0059】
また、合流予測領域70A,70Bの大きさは、判定対象の車両30A,30Bの速度及び車両情報の取得頻度(UE31からのアップロード送信頻度)の少なくとも一方に応じて変えてもよい。例えば、車両30A,30Bの速度が高速になるほど又は車両情報の取得頻度が長くなるほど、車両30A,30Bのそれぞれが合流点Pxに到達するときの誤差が大きくなるので、合流予測領域70A,70Bは大きくする。一方、車両30A,30Bの速度が低速になるほど又は車両情報の取得頻度が短くなるほど、車両30A,30Bのそれぞれが合流点Pxに到達するときの誤差が小さくなるので、合流予測領域70A,70Bは小さくする。
【0060】
図5(a)及び(b)はそれぞれ、実施形態に係る複数の車両30A,30Bが互いに異なる速度で走行しているときの合流予測領域70A,70Bの一例を示す説明図である。両図とも車両情報の取得頻度の周期は1秒である。図5(a)は時速v=60[km/h]の自動運転で走行している車両30Aに対する円形状の合流予測領域70Aの例を示している。この場合の合流予測領域70Aの直径Dは例えば約40[m]であり、車両30Aの全長Lが5[m]とすると、合流予測領域70Aは車両30Aの前方及び後方のそれぞれに17[m]の長さLAF及びLABを有する。図5(b)は時速v=30[km/h]の自動運転で走行している車両30Bに対する円形状の合流予測領域70Bの例を示している。この場合の合流予測領域70Bの直径Dは例えば約20[m]であり、車両30Aの全長Lが5[m]とすると、合流予測領域70Bは車両30Bの前方及び後方のそれぞれに8[m]の長さLBF及びLBBを有する。
なお、合流予測領域の大きさの決定には、機械学習を用いてもよい。具体的には、各車両の速度、車両情報の取得頻度、設定された合流予測領域等と、実際に衝突事故が発生したか否かの情報とを紐づけた教師データにより学習済モデルを構築した上で、学習済モデルに対して各車両の速度等を入力し、衝突事故が発生しない最適な合流予測領域の大きさを出力させてもよい。
【0061】
図6は、実施形態に係る複数の車両30A,30Bが合流点Pxに向かって移動しているときの合流予測領域70A,70Bに侵入する侵入時刻TA1,TB1,TA2,TB2及び合流点Pxに到達する到達時刻T,Tの計算例(推定例)を示す説明図である。なお、図6は、合流点Pxに向かって移動している複数の車両30A,30Bがいずれも自動運転の車両である場合の例である。
【0062】
図6において、車両30A,30Bそれぞれの現在位置xを原点として、車両30A,30Bの現在位置xから走行基準線901,903に沿って車両30Aの合流予測領域70Aの外縁の位置座標(xA1,xB1)までの距離と、車両30A,30Bの速度v,vとに基づいて、車両30A,30Bが合流予測領域70Aに侵入する侵入時刻T1A,T1Bが計算(推定)される。
【0063】
更に、車両30A,30Bの現在位置xから走行基準線901,903に沿って車両30Bの合流予測領域70Bの外縁の位置座標(xA2,xB2)までの距離と、車両30A,30Bの速度v,vとに基づいて、車両30A,30Bが合流予測領域70Bに侵入する侵入時刻T2A,T2Bが計算(推定)される。
【0064】
また、車両30A,30Bの現在位置xから走行基準線901,903に沿って合流点Pxの位置座標(x,x)までの距離と、車両30A,30Bの速度v,vとに基づいて、車両30A,30Bが合流点Pxに到達する到達時刻T,Tが計算(推定)される。
【0065】
上記侵入時刻TA1、TB1,TA2,TB2及び到達時刻T,Tの計算(推定)には、車両30A,30Bの速度v,vに加えて、車両30A,30Bの加速度及びヨーレートの少なくとも一方を用いてもよい。
【0066】
図7は、実施形態に係る両衝突可能性の判定に用いる合流予測領域70A,70Bの通過時間帯80A,80Bの一例を示す説明図である。図7において、本線車道の走行車線91を走行している車両30Aが合流予測領域70A,70Bを通過する通過時間帯80Aは、車両30Aの合流予測領域70Aへの侵入時刻T1Aから合流点Pxへの到達時刻Tまでの時間帯であり、第1の通過時間帯81Aと第2の通過時間帯82Aとにより構成される。第1の通過時間帯81Aは、車両30Aの合流予測領域70Aへの侵入時刻T1Aから合流予測領域70Bへの侵入時刻T2Aまでの時間帯であり、合流しようとしている合流側道93の車両30Bとの衝突可能性が中程度の時間帯である。第2の通過時間帯82Aは、合流予測領域70Bへの侵入時刻T2Aから合流点Pxへの到達時刻Tまでの時間帯であり、車両30Bとの衝突可能性が相対的に高い時間帯である。
【0067】
また、合流側道93を走行している車両30Bが合流予測領域70A,70Bを通過する通過時間帯80Bは、車両30Bの合流予測領域70Aへの侵入時刻T1Bから合流点Pxへの到達時刻Tまでの時間帯であり、第1の通過時間帯81Bと第2の通過時間帯82Bとにより構成される。第1の通過時間帯81Bは、車両30Bの合流予測領域70Aへの侵入時刻T1Bから合流予測領域70Bへの侵入時刻T2Bまでの時間帯であり、本線車道を走行している車両30Aとの衝突可能性が中程度の時間帯である。第2の通過時間帯82Bは、合流予測領域70Bへの侵入時刻T2Bから合流点Pxへの到達時刻Tまでの時間帯であり、車両30Aとの衝突可能性が相対的に高い時間帯である。
【0068】
上記複数の車両30A,30Bの通過時間帯80A,80Bの時間軸上の重なりにより、車両30Bの合流時における車両30A,30Bの衝突可能性を判定することができる。
【0069】
図8は、実施形態に係る複数の車両30A,30Bの通過時間帯80A,80Bの時間軸上の重なりによる6種類の衝突可能性判定の例を示す説明図である。
図8において、判定例1及び判定例6では、車両30A,30Bの通過時間帯80A,80Bの時間軸上の重なりがないので、車両30A,30Bの衝突可能性が低いと判定される。
【0070】
判定例2では、車両30Aの通過時間帯80Aのうち衝突可能性が中程度の第1の通過時間帯81Aが、車両30Bの通過時間帯80Bに時間軸上で重なり、衝突可能性が高い第2の通過時間帯82A,82B同士の重なりがないので、車両30A,30Bの衝突可能性が中程度と判定される。
【0071】
判定例5では、車両30Bの通過時間帯80Bのうち衝突可能性が中程度の第1の通過時間帯81Bが、車両30Aの通過時間帯80Aに時間軸上で重なり、衝突可能性が高い第2の通過時間帯82A,82B同士の重なりがないので、車両30A,30Bの衝突可能性が中程度と判定される。
【0072】
判定例3,4では、車両30A,30Bの衝突可能性が高い第2の通過時間帯82A,82Bが時間軸上で重なっているので、車両30A,30Bの衝突可能性が高いと判定される。
【0073】
図9は、実施形態に係るMECサーバ(衝突可能性判定装置)10における車両衝突可能性の判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9において、MECサーバ10は、対象エリアの地図情報に含まれる道路90の本線車道91及び合流側道93の走行基準線901,903に基づいて、合流点Pxの座標を特定し、その合流点Pxに向かっている衝突可能性判定の対象である本線車道91の車両(以下「本線車両」という。)30A及び合流側道93の車両(以下「合流車両」ともいう。)30Bから、現在位置及び速度の情報を含む車両情報を受信して取得する(S101)。
【0074】
次に、MECサーバ10は、対象の車両である本線車両30A及び合流車両30Bのそれぞれについて、各車両30A,30Bの現在位置及び速度の情報に基づき、合流点Pxにおける合流予測領域70A、70Bを推定して決定する(S102)。この合流予測領域70A、70Bの推定には、各車両30A,30Bの現在位置及び速度の情報に加えて、各車両30A,30Bの加速度及びヨーレートの少なくとも一方の情報を用いてもよい。
【0075】
次に、MECサーバ10は、対象の車両である本線車両30A及び合流車両30Bのそれぞれについて、前述の図6及び図7に例示するように、各車両30A,30Bが走行基準線901,903に沿って合流予測領域70A、70B(又は、その合流可能領域内)を通過する時間軸上の通過時間帯80A(81A、82A)及び80B(81B、82B)を計算する(S103)。
【0076】
次に、MECサーバ10は、前述の図8に例示するように、対象の車両である本線車両30A及び合流車両30Bのそれぞれについて計算した時間軸上の通過時間帯80A(81A、82A)及び80B(81B、82B)が車両間で重なっているか否かを判断する(S104)。ここで、通過時間帯80A(81A、82A)及び80B(81B、82B)の重なりがある場合(S104でYES)、MECサーバ10は、合流車両30Bの合流時に本線車両30A及び合流車両30Bが衝突する可能性があると判定する(S105)。一方、通過時間帯80A(81A、82A)及び80B(81B、82B)の重なりがない場合(S104でNO)、MECサーバ10は、合流車両30Bの合流時に本線車両30A及び合流車両30Bが衝突する可能性がないと判定する(S106)。
【0077】
次に、MECサーバ10は、衝突する可能性があると判定した場合、対象の車両である本線車両30A及び合流車両30Bのそれぞれに判定の結果を送信して通知する(S107)。MECサーバ10は、判定の結果の送信に加えて、衝突を回避する自動運転のための制御情報を本線車両30A及び合流車両30Bのそれぞれに送信してもよい。また、判定の結果の送信(通知)は、衝突する可能性がないと判定した場合も行ってもよい。また、MECサーバ10は、各車両の運転者や同乗者に所持又は装着されているUEに判定の結果を送信してもよい。
【0078】
本線車両30A及び合流車両30Bは、MECサーバ10から衝突可能性ありの判定結果を受信すると、車載装置の表示部(例えば、DA(ディスプレイオーディオ))上に衝突警告を表示する。各車両30A,30Bは、衝突警告の表示に代えて又は表示に加えて、衝突警告を知らせる音声等の音出力を行ってもよい。また、各車両30A,30Bは、MECサーバ10から上記制御情報を受信したとき、その制御情報に基づいて衝突を回避するように自動運転制御を実行する。
【0079】
本線車両30A及び合流車両30Bの少なくとも一方が手動運転の車両の場合、その車両は、衝突警告の表示等の出力に加えて、警告レベル(衝突可能性の大小)、合流点(衝突予測点)までの距離、合流点(衝突予測点)に到達するまでの時間(秒数)の表示等の出力を行ってもよい。ここで、警告レベルとして、衝突可能性が高い第1警告レベルと、衝突可能性が低い第2警告レベルを設定してもよい。例えば、前述の図8の判定結果の場合、第1警告レベルは判定3又は判定4の場合に設定され、第2警告レベルは判定2又は判定5の場合に設定される。
【0080】
また、MECサーバ10が本線車両30A及び合流車両30Bの一方の車両から車載カメラで撮像した前方画像(リアルタイム動画)の動画データを受信して他方の車両に送信する場合は、動画データを受信した車両は、衝突警告の表示等の出力に加えて、衝突可能性がある車両の前方画像(リアルタイム動画)を自車両の車載装置の表示部(例えば、DA)上に表示し、衝突回避の手動運転を運転車に促すようにしてもよい。
【0081】
図10(a)~(d)は合流点Pxに向かって移動している複数の車両30A.30Bの手動運転及び自動運転の組み合わせが互いに異なる場合の合流予測領域70A,70Bの例を示す説明図である。
【0082】
図10(a)は、本線車両30A及び合流車両30Bがそれぞれ走行基準線901,903に沿って自動運転で走行している場合の例である。本例における各車両30A.30Bに対する合流予測領域70A,70Bは、合流点Pxが中央に位置する円形の領域である。当該領域の形状は、楕円形又は長円形であってもよい。
【0083】
図10(b)は、本線車両30A及び合流車両30Bがそれぞれ手動運転で走行している場合の例である。本例における各車両30A,30Bに対する合流予測領域70A,70Bは、合流点Pxが中央に位置する円、楕円又は長円の一部の円弧を底辺とし車両の現在位置を頂点とした円弧三角形の領域である。この円弧三角形の領域の推定には、本線車両30A及び合流車両30Bのヨーレートの情報を用いてもよい。
【0084】
図10(c)は、本線車両30Aが自動運転で走行し、合流車両30Bが手動運転で走行している場合の例である。本例における本線車両30Aに対する合流予測領域70Aは、合流点Pxが中央に位置する円形(楕円形又は長円形であってもよい)の領域であり、合流車両30Bに対する合流予測領域70Aは円弧三角形の領域である。
【0085】
図10(d)は、本線車両30Aが手動運転で走行し、合流車両30Bが自動運転で走行している場合の例である。本例における本線車両30Aに対する合流予測領域70Aは円弧三角形の領域であり、合流車両30Bに対する合流予測領域70Aは、合流点Pxが中央に位置する円形(楕円形又は長円形であってもよい)の領域である。
【0086】
図11は、図10(b)の組み合わせの複数の車両30A,30Bが合流点Pxに向かって移動しているときの合流予測領域70A,70Bに侵入する侵入時刻TA1,TB1及び合流点Pxに到達する到達時刻T,Tの計算例(推定例)を示す説明図である。本例の車両30A,30Bはいずれも手動で走行している。
【0087】
図11において、本線車両30Aについては、現在位置xを原点として、本線車両30Aの現在位置xから走行基準線901に沿って本線車両30Aの合流予測領域70Aのうち合流可能範囲Wx内の部分の車両側端縁の位置座標(xA1)までの距離と、本線車両30Aの速度vとに基づいて、本線車両30Aが合流予測領域70Aの合流可能範囲Wx内の部分に侵入する侵入時刻T1Aが計算(推定)される。
【0088】
一方、合流車両30Bについては、現在位置xを原点として、合流車両30Bの現在位置xから合流予測領域70Bの上端縁の補助基準線903'に沿って合流車両30Bの合流予測領域70Bのうち合流可能範囲Wx内の部分の車両側端縁の位置座標(xB1)までの最短距離と、合流車両30Bの速度vとに基づいて、合流車両30Bが合流予測領域70Bの合流可能範囲Wx内の部分に侵入する侵入時刻T1Bが計算(推定)される。
【0089】
図12は、図10(c)の組み合わせの複数の車両30A,30Bが合流点Pxに向かって移動しているときの合流予測領域70A,70Bに侵入する侵入時刻TA1,TB1,TA2,TB2及び合流点Pxに到達する到達時刻T,Tの計算例(推定例)を示す説明図である。本例の本線車両30Aは自動運転で走行し、合流車両30Bは手動運転で走行している。
【0090】
図12において、本線車両30Aについては、現在位置xを原点として、本線車両30Aの現在位置xから走行基準線901に沿って合流車両30Bの合流予測領域70Bのうち合流可能範囲Wx内の部分の車両側端縁の位置座標(xA1)までの距離と、本線車両30Aの速度vとに基づいて、本線車両30Aが合流予測領域70Bの合流可能範囲Wx内の部分に侵入する侵入時刻T1Aが計算(推定)される。
【0091】
一方、合流車両30Bについては、現在位置xを原点として、合流車両30Bの現在位置xから合流予測領域70Bの上端縁の補助基準線903'に沿って合流車両30Bの合流予測領域70Bのうち合流可能範囲Wx内の部分の車両側端縁の位置座標(xB1)までの最短距離と、合流車両30Bの速度vとに基づいて、合流車両30Bが合流予測領域70Bの合流可能範囲Wx内の部分に侵入する侵入時刻T1Bが計算(推定)される。
【0092】
更に、本線車両30A及び合流車両30Bの現在位置xから走行基準線901,903に沿って本線車両30Aの合流予測領域70Aの外縁の位置座標(xA2,xB2)までの距離と、各車両30A,30Bの速度v,vとに基づいて、各車両30A,30Bが合流予測領域70Aに侵入する侵入時刻T2A,T2Bが計算(推定)される。
【0093】
また、本線車両30A及び合流車両30Bの現在位置xから走行基準線901,903に沿って合流点Pxの位置座標(x,x)までの距離と、各車両30A,30Bの速度v,vとに基づいて、各車両30A,30Bが合流点Pxに到達する到達時刻T,Tが計算(推定)される。
【0094】
図13は、図10(c)の組み合わせの複数の車両30A,30Bが合流点Pxに向かって移動しているときの合流予測領域70A,70Bに侵入する侵入時刻TA1,TB1,TA2,TB2及び合流点Pxに到達する到達時刻T,Tの計算例(推定例)を示す説明図である。本例の本線車両30Aは手動運転で走行し、合流車両30Bは自動運転で走行している。
【0095】
図13において、本線車両30A及び合流車両30Bの現在位置xから走行基準線901,903に沿って本線車両30Aの合流予測領域70Aのうち合流可能範囲Wx内の部分の車両側端縁の位置座標(xA1,xB1)までの距離と、各車両30A,30Bの速度v,vとに基づいて、各車両30A,30Bが合流予測領域70Aの合流可能範囲Wx内の部分に侵入する侵入時刻T1A,TB1が計算(推定)される。
【0096】
更に、本線車両30A及び合流車両30Bの現在位置xから走行基準線901,903に沿って合流車両30Bの合流予測領域70Bの外縁の位置座標(xA2,xB2)までの距離と、各車両30A,30Bの速度v,vとに基づいて、各車両30A,30Bが合流予測領域70Bに侵入する侵入時刻T2A,T2Bが計算(推定)される。
【0097】
また、本線車両30A及び合流車両30Bの現在位置xから走行基準線901,903に沿って合流点Pxの位置座標(x,x)までの距離と、各車両30A,30Bの速度v,vとに基づいて、各車両30A,30Bが合流点Pxに到達する到達時刻T,Tが計算(推定)される。
【0098】
図14は、本実施形態に係る合流側道93を走行している車両30Bにおける車両衝突可能性の判定処理の他の例を示すフローチャートである。この車両衝突可能性の判定処理は、車両30BのUE31及びコンピュータ(又はプロセッサ)を含む車載装置で実行可能である。なお、図14において、前述の図9と共通する処理については、説明を省略する。
【0099】
図14において、合流車両30Bの車載装置は、本線車道(走行車線)91へ合流するための方向指示(ウィンカー)操作に基づき、基地局16を介したMECサーバ10との通信を行うネットワーク通信モードから、本線車道(走行車線)91を走行している車両(本線車両)30Aとの間で車車間通信(例えば、Sidelink(PC-5)などの近距離無線通信)で通信する車車間通信モードに切り替える(S201)。
【0100】
次に、合流車両30Bの車載装置は、車車間通信を介して本線車両30Aに、本線車両30Aの現在位置及び速度の情報を含む車両情報を要求し(S202)、車車間通信を介して本線車両30Aから本線車両30Aの現在位置及び速度の情報を含む車両情報を受信して取得する(S203)。
【0101】
次に、合流車両30Bの車載装置は、自装置内に予め記憶している対象エリアの地図情報に含まれる道路90の本線車道91及び合流側道93の走行基準線901,903に基づいて、合流点Pxの座標を特定し、その合流点Pxに向かっている本線車両30A及び自車両30Bの現在位置及び速度の情報に基づき、合流点Pxにおける合流予測領域70A、70Bを推定して決定する(S204)。この合流予測領域70A、70Bの推定には、各車両30A,30Bの現在位置及び速度の情報に加えて、各車両30A,30Bの加速度及びヨーレートの少なくとも一方の情報を用いてもよい。
【0102】
次に、合流車両30Bの車載装置は、本線車両30A及び自車両30Bのそれぞれについて、前述の図6及び図7等に例示するように、各車両30A,30Bが合流予測領域70A、70B(又は、その合流可能領域内)を通過する時間軸上の通過時間帯80A(81A、82A)及び80B(81B、82B)を計算する(S205)。
【0103】
次に、合流車両30Bの車載装置は、前述の図8等に例示するように、本線車両30A及び自車両30Bのそれぞれについて計算した時間軸上の通過時間帯80A(81A、82A)及び80B(81B、82B)が車両間で重なっているか否かを判断する(S206)。ここで、通過時間帯80A(81A、82A)及び80B(81B、82B)の重なりがある場合(S206でYES)、合流車両30Bの車載装置は、自車両30Bの合流時に本線車両30A及び自車両30Bが衝突する可能性があると判定する(S207)。一方、通過時間帯80A(81A、82A)及び80B(81B、82B)の重なりがない場合(S206でNO)、合流車両30Bの車載装置は、自車両30Bの合流時に本線車両30A及び自車両30Bが衝突する可能性がないと判定する(S208)。
【0104】
次に、合流車両30Bの車載装置は、衝突する可能性があると判定した場合、本線車両30Aに判定の結果を送信して通知する(S208)。また、判定の結果の送信(通知)は、衝突する可能性がないと判定した場合も行ってもよい。
【0105】
合流車両30Bは、衝突する可能性があると判定した場合、車載装置の表示部(例えば、DA)上に衝突警告を表示する。また、本線車両30Aは、合流車両30Bから衝突可能性ありの判定結果を受信すると、車載装置の表示部(例えば、DA)上に衝突警告を表示する。
【0106】
なお、図14に例示した車両衝突可能性の判定処理は、本線車道の走行車線91又は追越車線92を走行している本線車両が行ってもよい。この場合、本線車両のUE及びコンピュータ(又はプロセッサ)を含む車載装置は、例えば合流車両から車車間通信を介して、又は、MECサーバ10から、合流側道93を走行している合流車両の情報(例えば、合流するための方向指示(ウィンカー)操作の情報)を検知したら、合流車両及び自車両について図14のS202~S209と同様な処理を実行する。
【0107】
以上、本実施形態によれば、車両30A,30Bが走行している道路90の本線車道91,92に他の車両30Bが合流する合流時における将来を見越した車両同士の衝突の可能性を判定することができる。
【0108】
また、本実施形態によれば、MECサーバ(衝突可能性判定装置)10は、移動通信網15の基地局16又は基地局16とコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けられたMEC装置であり、基地局16に接続されている複数の車両30のUE31について車両衝突可能性の判定に関する処理を分散処理することができるので、移動通信網(コアネットワーク)15の負荷増大を抑制することができる。
【0109】
なお、本実施形態において、MECサーバ(衝突可能性判定装置)10は、移動通信網15を介して複数の車両(移動体)30のUE(通信端末装置)31と通信可能なサーバであってもよい。この場合は、複数の車両について衝突危険の通知を集中管理することができる。
【0110】
また、本実施形態において、MECサーバ(衝突可能性判定装置)10の全体の機能又は一部の機能は、車両(移動体)30のUE31、又は、UE31を有する車載装置に設けてもよい。
【0111】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに衝突可能性判定装置、サーバ、地図データベース装置及びシステムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0112】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、eNode B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0113】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0114】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0115】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0116】
10 :MECサーバ(衝突可能性判定装置)
11 :地図サーバ
15 :移動通信網
16 :基地局
30 :車両
30A :車両
30B :車両(合流車両)
30C~30F :車両
31 :通信端末装置(UE)
70A,70B :合流予測領域
80A,80B :通過時間帯
81A,81B :第1の通過時間帯
82A,82B :第2の通過時間帯
90 :道路
91 :本線車道の走行車線
92 :本線車道の追越車線
93 :合流側道
101 :車両情報取得部
102 :情報記憶部
103 :判定処理部
104 :判定結果通知部
105 :地図情報取得部
301 :測定部
302 :情報記憶部
303 :車両情報送信部
304 :判定結果受信部
305 :判定結果出力部
901 :走行基準線
902 :走行基準線
903 :走行基準線
903' :補助基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14