(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091195
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】バランスネット
(51)【国際特許分類】
B65G 15/54 20060101AFI20230623BHJP
A01K 61/60 20170101ALI20230623BHJP
B65G 15/30 20060101ALI20230623BHJP
D04C 1/02 20060101ALI20230623BHJP
D04C 1/06 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B65G15/54
A01K61/60 324
B65G15/30 A
D04C1/02
D04C1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205810
(22)【出願日】2021-12-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月7日、9月10日、及び9月16日に、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書に添付した別紙の一覧に記載の納入先に納品
(71)【出願人】
【識別番号】300021002
【氏名又は名称】株式会社森機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】弁理士法人ピー・エス・ディ
(72)【発明者】
【氏名】森 光典
【テーマコード(参考)】
2B104
3F024
4L046
【Fターム(参考)】
2B104AA22
2B104CG12
3F024AA13
3F024CB00
3F024EA02
3F024EA03
4L046AA01
4L046AA24
4L046AA25
4L046BA00
4L046BA04
4L046BA05
4L046BB00
(57)【要約】
【課題】 破損が少なく、現場での修理や部品の交換が容易で、部品の再利用が可能であるため経済的であり、作製の手間がかからず、幅精度の高いバランスネットを提供する
【解決手段】 バランスネットは、ら旋状に形成された複数のスパイラル線と、複数のスパイラル線における隣接する2つのスパイラル線のら旋の内部空間を各々が貫通する直線状の複数の力骨線とを備える。複数の力骨線の各々には、その両端部の各々に配置された第1の突出部と、第1の突出部から間隔をあけて配置された第2の突出部とが設けられる。第1の突出部及び第2の突出部は、いずれも、スパイラル線のら旋によって形成される内部空間を通過可能である。複数のスパイラル線の各々の両端部は、第1の突出部と第2の突出部との間において力骨線に連結されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ら旋状に形成された複数のスパイラル線と、
前記複数のスパイラル線における隣接する2つのスパイラル線のら旋の内部空間を各々が貫通する直線状の複数の力骨線と
を備え、
前記複数の力骨線の各々には、両端部の各々に配置された、前記内部空間を通過可能な第1の突出部と、前記第1の突出部から間隔をあけて配置された、前記内部空間を通過可能な第2の突出部とが設けられており、
前記複数のスパイラル線の各々の両端部は、前記第1の突出部と前記第2の突出部との間において前記力骨線に連結されている
バランスネット。
【請求項2】
前記第1の突出部と前記第2の突出部との間隔は、前記複数のスパイラル線の各々の端部が前記第1の突出部と前記第2の突出部との間に挟まれることによって、前記複数のスパイラル線の各々の前記力骨線に沿った移動を規制するように設定されている、請求項1に記載のバランスネット。
【請求項3】
2つの前記第2の突出部の間隔は、前記複数の力骨線の各々に配置された2つの前記第2の突出部が前記スパイラル線に当接することによって、前記複数のスパイラル線の各々の前記力骨線に沿った移動を規制するように設定されている、請求項1又は請求項2に記載のバランスネット。
【請求項4】
前記複数のスパイラル線の各々の前記両端部は、前記第1の突出部と前記第2の突出部との間において前記力骨線に巻き付けることによって前記力骨線に連結されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のバランスネット。
【請求項5】
前記第1の突出部及び前記第2の突出部は、前記複数の力骨線の各々に取り付けられた円形盤又は多角形盤、前記力骨線の各々を加工することによって形成された突起、前記複数の力骨線の各々に取り付けられたパイプの両端を押し広げて形成されたフランジ、前記複数の力骨線の各々に取り付けられた丸棒から削りだして形成されたフランジのいずれか、又はこれらの組み合わせである、
請求項1から請求請4までのいずれか1項に記載のバランスネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ワイヤ製のコンベアベルトに関し、より具体的には、金属ワイヤをら旋状に曲げて形成されたスパイラル線と、スパイラル線のら旋内部を貫通する直線状の力骨線とを備えたバランスネットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば貝の養殖において養殖貝や養殖籠を洗浄する洗浄機には、一般に、ステンレスなどの金属製の網で形成されたコンベアベルトが用いられる(例えば、特許文献1に記載の装置)。金属製のコンベアベルトの一種であるバランスネットは、ステンレス線をら旋状に曲げて形成された複数のスパイラル線と力骨線とから構成される。複数のスパイラル線は、右巻きのスパイラル線と左巻きのスパイラル線とが交互に配置されている。隣接する2本のスパイラル線は、ら旋の内部空間に通された、波形に折り曲げられた1本の力骨線によって、互いに連結される。スパイラル線と力骨線とは、通常、スパイラル線の端部と力骨線の端部とを溶接することによって連結する(溶接処理)か、力骨線の端部を折り曲げて隣接する力骨線に巻き付けるとともに、スパイラル線を力骨線に巻き付ける(折り曲げ処理)ことによって連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばホタテ貝の養殖籠を洗浄する洗浄機では、高圧水をバランスネット上の養殖籠に噴射することによって、養殖籠の異物を除去する。従来のバランスネットは、高圧水が当たることによって振動し、損傷が発生することが多い。具体的には、溶接処理によって作製されるバランスネットは、振動による溶接個所の切断が多発する。また、折り曲げ処理によって作製されるバランスネットの場合には、力骨線の曲げ半径の小さい部分が割れて、そこから切断される。
【0005】
また、バランスネットの修理(例えば、摩耗したスパイラル線の交換等)の観点から、ステンレス溶接を必要とする溶接処理を作業者(漁師)が現場で行うことは不可能である。折り曲げ処理の場合には、折り曲げられた力骨線を伸ばして引き抜くことは可能であるが、いったん伸ばした力骨線は脆弱であり、再利用したときに折れる可能性が高い。そのため、力骨線は、再利用することなく切断して廃棄されることが一般的であり、この場合、スパイラル線を1本交換するごとに2本の力骨線を廃棄することになるため、不経済である。
【0006】
さらに、従来のバランスネットでは、長めの力骨線を準備し、力骨線を一本ずつ手作業でスパイラル線と組み合わせ、力骨線を切断したり折り曲げたりする作業を行う。したがって、作製に手間がかかるとともに、作製されたバランスネットの幅が場所によって変動する。
【0007】
本発明は、破損が少なく、現場での修理や部品の交換が容易で、部品の再利用が可能であるため経済的であり、作製の手間がかからず、幅精度の高いバランスネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるバランスネットは、ら旋状に形成された複数のスパイラル線と、複数のスパイラル線における隣接する2つのスパイラル線のら旋の内部空間を各々が貫通する直線状の複数の力骨線とを備える。複数の力骨線の各々には、その両端部の各々に配置された第1の突出部と、第1の突出部から間隔をあけて配置された第2の突出部とが設けられる。第1の突出部及び第2の突出部は、いずれも、スパイラル線のら旋によって形成される内部空間を通過可能である。複数のスパイラル線の各々の両端部は、第1の突出部と第2の突出部との間において力骨線に連結されている。一実施形態において、複数のスパイラル線の各々の両端部は、第1の突出部と第2の突出部との間において力骨線に巻き付けることによって力骨線に連結することができる。
【0009】
一実施形態においては、第1の突出部と第2の突出部との間隔は、複数のスパイラル線の各々の端部が第1の突出部と第2の突出部との間に挟まれることによって、複数のスパイラル線の各々の力骨線に沿った移動を規制するように設定されていることが好ましい。別の実施形態においては、2つの第2の突出部の間隔は、複数の力骨線の各々に配置された2つの第2の突出部がスパイラル線に当接することによって、複数のスパイラル線の各々の力骨線に沿った移動を規制するように設定されていることが好ましい。
【0010】
一実施形態において、第1の突出部及び第2の突出部は、複数の力骨線の各々に取り付けられた円形盤又は多角形盤とすることができる。別の実施形態において、第1の突出部及び第2の突出部は、力骨線の各々を加工することによって形成された突起とすることができる。さらに別の実施形態において、第1の突出部及び第2の突出部は、パイプの両端を押し広げて形成されたフランジとすることができ、パイプは複数の力骨線の各々に取り付けることができる。さらに別の実施形態において、第1の突出部及び第2の突出部は、丸棒から削りだして形成されたフランジとすることができ、丸棒は、複数の力骨線の各々に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態によるバランスネットを示し、(a)は全体構造を示す図であり、(b)はら旋の方向がそれぞれ異なる隣接する2つのスパイラル線のら旋の内部空間を力骨線が貫通している状態の一部拡大斜視図であり、(c)はバランスネットを幅方向の端部側からみた一部拡大図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバランスネットの両端部の一部拡大図であり、力骨線の両端部に設けられた2つの盤が、力骨線の長さ方向に沿ったスパイラル線の移動を規制する状態を示す。
【
図3】従来のバランスネットにおいて、波形の力骨線に代えて直線状の力骨線を用いたときに生じるスパイラル線の片寄りを示す。
【
図4】本発明の一実施形態によるバランスネットに用いることができる突出部の種々の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態によるバランスネット1を示す。
図1(a)は、バランスネット1の全体構造を示す図である。この図では、長さ方向及び幅方向における中間の部分が省略されて描かれている。また、
図1(b)は、ら旋の方向がそれぞれ異なる隣接する2つのスパイラル線のら旋の内部空間を力骨線が貫通している状態を示す一部拡大斜視図である。さらに
図1(c)は、バランスネット1を幅方向の端部側(
図1(b)の矢印Aの方向)からみた一部拡大図である。
図1(b)及び
図1(c)では、幅方向の一方の端部の一部のみが示されているが、一方の端部の他の部分、及び他方の端部についても同様の構造である。また、
図2は、バランスネット1の両端部の一部拡大図であり、力骨線の両端部に設けられた2つの盤が、力骨線の長さ方向に沿ったスパイラル線の移動を規制する状態を示す。
【0014】
バランスネット1は、複数のスパイラル線2と複数の力骨線3とを備える。スパイラル線2は、金属ワイヤをら旋状に曲げて形成されたものである。バランスネット1の一方の端部(1a又は1b)からみて右巻き(又は、左巻き)のスパイラル線21と、ら旋方向が反対の左巻き(又は、右巻き)のスパイラル線22とが、交互に並置される。スパイラル線2(21、22)の各々は、
図1(c)に示されるように、バランスネット1の幅方向の端部側(例えば、
図1(b)の矢印Aの方向)からみたときの見かけ上の形状が略長円形又は略楕円形にみえる内部空間23を有するように、ら旋が形成されることが好ましい。スパイラル線21、22の各々の端部21a、21b、22a、22bは、力骨線3に巻き付けられることによって、力骨線3に連結される。
【0015】
スパイラル線2(21、22)は、線径が2mm~3mmであることが好ましいが、これに限定されるものではない。線径の細いスパイラル線は、軽量で加工しやすいが摩耗による切断が発生しやすく、線径の太いスパイラル線は、損傷の頻度は低くなるが重量が大きくなり、加工しにくい。したがって、スパイラル線2(21、22)の線径は、これらの利点及び欠点を勘案して適切に選択される。スパイラル線2(21、22)の長さは、限定されるものではなく、用途に応じて設定されるバランスネット1の幅に応じて適宜決定される。バランスネット1の幅方向の端部側(例えば、
図1(b)の矢印Aの方向)からみたときの見かけ上のスパイラル線2(21、22)の幅(略長円形又は略楕円形の長軸方向の長さ)は、限定されるものではないが、35mm~45mとすることができる。スパイラル線2(21、22)は、限定されるものではないが、強度及び耐腐食性の観点から、ステンレスを用いて作製されることが好ましい。
【0016】
力骨線3は、直線状の金属ワイヤである。1本の力骨線3は、隣接する2つのスパイラル線21、22の両方の内部空間23を貫通する。1本の力骨線3は、
図1(b)及び
図1(c)からわかるように、一方のスパイラル線21の内部空間23における長軸方向の端部と、他方のスパイラル線22の内部空間23における長軸方向の対応する端部とが、バランスネット1の端部1a、1b方向からみて重なる部分に、通されている。
【0017】
力骨線3は、スパイラル線2(21、22)の曲げ部分の内側を通る限り、線径には制約がなく、十分な強度を有する線径を自由に選択することができる。一実施形態において、線径は、例えば4mmとすることができる。これに対して、従来のバランスネットにおいては、力骨線を手作業で波形に加工するため線径を太くすることは難しく、強度に問題があった。力骨線3の長さは、スパイラル線2の長さに合わせて適宜決定される。隣接する2つの力骨線3の中心間の間隔は、限定されるものではないが、例えば養殖籠洗浄機に用いる場合には、洗浄対象物である養殖籠のロープや網の一部がネットの目から落下しないように、20mm~30mmであることが好ましい。力骨線3は、限定されるものではないが、強度及び耐腐食性の観点から、ステンレスを用いて作製されることが好ましい。
【0018】
力骨線3の両方の端部3a、3bには、突出部が設けられる。力骨線3の一方の端部3aには、第1の突出部として外側盤4aが設けられており、同様に、他方の端部3bには、外側盤4bが設けられている。外側盤4a、4bは、後述されるように力骨線3に巻き付けられたスパイラル線2が、力骨線3からはずれないようにする抜け止め部材として機能する。
【0019】
外側盤4aの内側(力骨線3の他方の端部3b方向)には、所定の間隔を空けて、第2の突出部として内側盤5aが設けられる。同様に、外側盤4bの内側(力骨線3の一方の端部3a方向)には、所定の間隔を空けて内側盤5bが設けられる。外側盤4aと内側盤5aの間隔及び外側盤4bと内側盤5bとの間隔、並びに、2つの内側盤5aの間隔は、スパイラル線2の片寄りを防止することができるように設定される。この点については後述する。
【0020】
外側盤4a、4b及び内側盤5a、5bの外径は、スパイラル線2の内部空間23を通過することができるように決定され、好ましくは、内部空間23を
図1(b)の矢印Aの方向からみたときの見かけ上の短軸の長さより小さく設定される。外側盤4a、4b及び内側盤5a、5bの外径をこのように設定することによって、バランスネット1の作製や修理の際に、外側盤4a、4b及び内側盤5a、5bが設けられた力骨線3をスパイラル線2の内部空間23に挿入したり、内部空間23から抜き取ったりすることが容易となる。一実施形態において、外側盤4a、4b及び内側盤5a、5bの外径は、例えば9mmとすることができる。外側盤4a、4b及び内側盤5a、5bの厚さは、特に限定されるものではない。
【0021】
外側盤4a、4b及び内側盤5a、5bは、その形状が限定されるものではなく、例えば、外径が円形のものや多角形のものを適宜使用することができる。また、本実施形態においては、別途作成された外側盤4a、4b及び内側盤5a、5bが、溶接や圧着によって力骨線3に固定されることによって突出部が形成されるが、これに限定されるものではない。突出部の別の実施形態は、後述される。
【0022】
バランスネット1の組み立て方法は、次のとおりである。まず、複数のスパイラル線2(21、22)を、隣接するスパイラル線21とスパイラル線22とのら旋方向が互いに逆になるように、概ね平行に配置する。隣接するスパイラル線21、22を寄せて、重なった内部空間23に力骨線3を通す。このとき、外側盤4a、4b及び内側盤5a、5bの外径が内部空間23を通過することができるように設定されているため、力骨線3をスムーズに内部空間23に貫通させることができる。
【0023】
力骨線3の端部がスパイラル線21、22の反対側から出たら、
図2に示されるように、スパイラル線21の端部21aを力骨線3の外側盤4aと内側盤5aとの間に巻き付け、端部21bを外側盤4bと内側盤5bとの間に巻き付ける。同様に、スパイラル線21に隣接するスパイラル線22の端部22aを、隣接する力骨線3の外側盤4aと内側盤5aとの間に巻き付け、端部22bを外側盤4bと内側盤5bとの間に巻き付ける。この巻き付けによって、外側盤4a、4bは、スパイラル線21、22が力骨線3から抜けないようにする抜け止め部材となる。
【0024】
上述の作業を、複数のスパイラル線2(21、22)及び複数の力骨線3のすべてについて繰り返すことによって、バランスネット1が組み立てられる。最後に、組み立てられたバランスネット1をその長さ方向に引っ張ることによって、力骨線3がスパイラル線2(21、22)の曲げ部分の内側に位置し、バランスネット1が完成する。修理の際には、力骨線3に巻き付けたスパイラル線2(21、22)の端部21a、21b、22a、22bを開くことによって、力骨線3をスパイラス線2(21、22)の内部空間23から容易に引き抜くことができる。したがって、現場での修理や部品の交換が容易で、力骨線の再利用が可能である。
【0025】
本発明にかかるバランスネットは、直線状の力骨線を利用可能としたことが特徴の一つである。この点について、従来のバランスネットは、波形の力骨線を用いることによって、スパイラル線の片寄りを防止している。すなわち、従来のバランスネットは、波形の力骨線の谷部分にスパイラル線の曲げ部分が位置することによって、スパイラル線が力骨線の長さ方向に移動することが少なく、片寄りを発生しにくくさせている。しかし、従来のバランスネットにおいて波形の力骨線に代えて直線状の力骨線を用いた場合には、
図3に折り曲げ処理によるバランスネットの例で示されているように、隣接するスパイラル線がら旋の間隔(ひと巻き)分だけずれるため、バランスネット全体として、本来の幅に対して一方の端部方向に片寄りが生じるか、又は幅方向の蛇行が生じる。
【0026】
これに対して、本発明にかかるバランスネットは、複数の力骨線の各々の両端部に2つの盤(突出部)を設けるとともに、盤の間隔を適切な間隔にすることによって、スパイラル線が力骨線に沿って移動しないように、すなわち、バランスネットの片寄りや蛇行が発生しないようになっている。バランスネット1で具体的に説明すると、
図2に示されるように、力骨線3の外側盤4aと内側盤5aとの間にスパイラル線21の端部21aが挟まれ、外側盤4bと内側盤5bとの間にスパイラル線21の端部21bが挟まれる。外側盤4aと内側盤5aの間隔及び外側盤4bと内側盤5bの間隔は、端部21a及び端部21bの動きを規制することができるように設定される。スパイラル線22に関しても同様である。一実施形態において、外側盤4a、4bと内側盤5a、5bとの間隔は、例えば6mm~7mmとすることができる。
【0027】
また、例えばスパイラル線21に隣接するスパイラル線22は、仮に力骨線3に沿って
図2の上方にずれたとしても、スパイラル線22の部分22c付近(詳細には、ら旋の曲げ部分の内側又はその近く)が、スパイラル線21が巻き付けられた力骨線3の内側盤5aに当接して、それ以上の移動を規制する。同様に、スパイラル線21に隣接するスパイラル線22が力骨線3に沿って
図2の下方にずれたとしても、スパイラル線22の部分22d付近(詳細には、ら旋の曲げ部分の内側又はその近く)が、内側盤5bに当接して、それ以上の移動を規制する。内側盤5aと内側盤5bとの間隔は、内側盤5a及び5bが、隣接するスパイラル線2の動きを規制することができるように設定される。
【0028】
このように、スパイラル線2(21、22)の端部21a、21b、22a、22bが2つの盤、すなわち外側盤4a、4bと内側盤5a、5bとに挟まれ、及び/又は、スパイラル線2(21、22)の部分21c、21d、22c、22dが内側盤5a、5bに当接することによって、スパイラル線2(21、22)が力骨線3の長さ方向に沿って移動することを規制し、その結果、バランスネット1の片寄りや蛇行を防止することができる。
【0029】
図4は、力骨線3に設けられる突出部の別の実施形態を示す。いずれも、力骨線3の一方の端部のみを示す。
図4 (a)は、プレス加工や鍛造加工を行って力骨線3自体の両端部の2ヶ所を太く加工し、
図1の外側盤4a及び内側盤5aに相当する突出部4a、5aを形成したものである。力骨線3の他方の端部においても同様である。
【0030】
図4(b)は、両端をフランジ状に加工したパイプを、力骨線3の端部に取り付けたものである。2つのフランジ4a、5aが、
図1の外側盤4aと内側盤5aに相当する。力骨線3の他方の端部においても同様である。
【0031】
図4(c)は、丸棒を、その両端に突出部4a、5aが形成されるように加工(例えば削り出しなど)し、そのように加工した丸棒を力骨線3の端部に取り付けたものである。2つの突出部4a、5aが、
図1の外側盤4aと内側盤5aに相当する。力骨線3の他方の端部においても同様である。
【0032】
図1~
図3に記載される突出部及び
図4(a)~
図4(c)に記載される突出部は、必要に応じて適宜組み合わせることができる。例えば、
図1~
図3に記載される突出部を力骨線の一方の端部に設け、
図4(c)に記載される吐出部を他方の端部に設けることもできる。あるいは、力骨線の両方の端部の外側に設けられる突出部を
図1~
図3に記載される外側盤とし、
図1~
図3に用いられる内側盤の代わりに
図4(a)の形態の突出部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 バランスネット
2 スパイラル線
21、22 右巻きスパイラル線又は左巻きスパイラル線
21a、21b、22a、22b 端部
22c、22d 内側盤との当接部分
23 内部空間
3 力骨線
3a、3b 端部
4a、4b 外側盤(第1の突出部)
5a、5b 内側盤(第2の突出部)