(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091196
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ガイド
(51)【国際特許分類】
B65H 75/18 20060101AFI20230623BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20230623BHJP
B21C 47/28 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B65H75/18 Z
B65H75/14
B21C47/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205812
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】592103327
【氏名又は名称】伊達 興代
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 興代
【テーマコード(参考)】
3F058
4E026
【Fターム(参考)】
3F058AA04
3F058AB01
3F058AC08
3F058BB12
3F058CA06
3F058DB03
3F058DB05
3F058DC02
3F058KA04
4E026FA09
(57)【要約】
【課題】セグメントに取り付けられたガイドの傾倒を防止する。
【解決手段】ウエブ98が巻回されてなるコイル99の中央の空洞に挿入される回転可能な主軸31の径方向外側に設けられるセグメント32に取り付けられるガイド40は、前記径方向外側におけるセグメント32の外面に立てられ、セグメント32から前記径方向外側に向かって設けられ、軸方向におけるコイル99の端面に当接するガイド部材41と、ガイド部材41に対して前記軸方向に対向するようガイド部材41に取り付けられ、前記径方向外側におけるセグメント32の外面に立てられるサポート部材42と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエブが巻回されてなるコイルの中央の空洞において前記コイルの内周面に押し当てられるセグメントに取り付けられるガイドであって、
径方向の外側における前記セグメントの外面に立てられ、前記セグメントから前記径方向の外側に向かって設けられ、軸方向における前記コイルの端面に当接するガイド部材と、
前記ガイド部材に対して前記軸方向に対向するよう前記ガイド部材に取り付けられ、前記径方向の外側における前記セグメントの外面に立てられるサポート部材と、
を備えるガイド。
【請求項2】
前記ガイド部材が、前記軸方向に厚みを有するよう平板状に設けられている
請求項1に記載のガイド。
【請求項3】
前記ガイド部材及び前記サポート部材を前記セグメントの外面に立てた状態にロックするロック機構
を更に備える請求項1又は2に記載のガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエブが巻回されてなるコイルの中央の空洞において前記コイルの内周面に当てられるセグメントに取り付けられ、前記コイルから繰り出される前記ウエブのエッジを案内するガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプレス加工ラインには、アンコイラ、レベラー及びプレス機が設置されている。アンコイラは、鋼製のウエブが巻回されてなるコイルを解いてウエブを繰り出すものである。レベラーは、アンコイラから供給されたウエブを矯正するものである。レベラーには、ウエブを間欠的に送りながらウエブを矯正するレベラーフィーダーがある。プレス機は、レベラーから供給されたウエブをプレス加工するものである。
【0003】
特許文献1の記載のアンコイラでは、マンドレルとも呼ばれるドラムがコイルの中央の空洞に装着されている。ドラムは、回転軸、複数のリンク機構及び複数のセグメントを有する。複数のセグメントは回転軸の径方向外側において周方向に一定間隔で並んでいる。セグメントはそれぞれリンク機構を介して回転軸に連結されている。リンク機構は径方向におけるセグメントの位置を調整するものである。セグメントの位置が径方向外側に調整されることによってドラムが拡径されると、セグメントがコイルの内周面に押し当てられて、これによりコイルがドラムに保持される。セグメントの位置が径方向内側に調整されることによってドラムが縮径されると、セグメントがコイルの内周面から離れて、コイルをドラムから取り外すことができる。
【0004】
各セグメントには、2体のフォークガイドが回転軸の軸方向に間隔を置いて着脱可能に支持される。これらフォークガイドは、セグメントの外面に立てられて、セグメントから径方向外側へ放射状に設けられている。コイルの端面がフォークガイドに接することによって、コイルが軸方向に解けないようになっている。また、ウエブのエッジがフォークガイドに接することによって、ウエブの幅方向の位置ずれば防止されて、ウエブがセンタリングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フォークガイドを正確に径方向に沿わせてセグメントに取り付けることが難しく、フォークガイドが径方向に対して軸方向へ傾倒してセグメントに取り付けられてしまうことがある。そうした場合、コイルが軸方向に解けてしまったり、ウエブが幅方向に位置ずれしたりする。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、セグメントに取り付けられたガイドの傾倒を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための主たる発明は、ウエブが巻回されてなるコイルの中央の空洞において前記コイルの内周面に押し当てられるセグメントに取り付けられるガイドであって、径方向の外側における前記セグメントの外面に立てられ、前記セグメントから前記径方向の外側に向かって設けられ、軸方向における前記コイルの端面に当接するガイド部材と、前記ガイド部材に対して前記軸方向に対向するよう前記ガイド部材に取り付けられ、前記径方向の外側における前記セグメントの外面に立てられるサポート部材と、を備えるガイドである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、セグメントの外面に立てられたガイド部材とサポート部材が互いに支え合うため、ガイド部材が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイルが軸方向に解けず、ウエブがその幅方向に位置ずれしない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1実施形態のセグメント及びガイドを周方向から見る図面である。
【
図12】第2実施形態のガイドをセグメントに取り付ける際の正面図である。
【
図13】第2実施形態のガイドをセグメントに取り付ける際の正面図である。
【
図14】第2実施形態のガイドをセグメントに取り付ける際の正面図である。
【
図27】第5実施形態の変形例のガイドの正面図である。
【
図28】第5実施形態の変形例のガイドの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
1. リール装置
図1はリール装置1の正面図である。
リール装置1は、例えば鋼製、アルミニウム製又は銅製の帯状のウエブ98が巻回されてなるコイル99からウエブ98を繰り出したり、コイル99にウエブ98を巻き取ったりする装置である。リール装置1は、アンコイラ又はコイラと称呼されることもある。
【0013】
リール装置1はフレーム10、駆動部20、マンドレル30及び3対のガイド40を備える。
【0014】
フレーム10は、床等の設置面上に据え付けられている。
駆動部20は、フレーム10内に設けられている。駆動部20は、モータと、そのモータの動力をマンドレル30に伝動する伝動機構とを有する。モータは、ブレーキ付きモータである。
【0015】
マンドレル30は、その中心軸が水平に延びるようにして、その基部がフレーム10に回転可能に取り付けられている。マンドレル30の中心軸は、
図1の紙面に対して垂直な方向である。なお、以下では、マンドレル30の中心軸に対して平行な方向を軸方向といい、マンドレル30の中心軸に対して垂直な方向を径方向といい、マンドレル30の中心軸の回りの方向を周方向という。
【0016】
マンドレル30は、その径が縮小及び拡大可能に構成されている。マンドレル30がコイル99の中央の空洞99aに挿入された状態でマンドレル30が拡径することによって、コイル99がマンドレル30に固定される。マンドレル30が縮径することによって、コイル99がマンドレル30から取り外し可能となる。コイル99がマンドレル30に装着された状態では、ウエブ98及びコイル99の幅方向がマンドレル30の中心軸に対して平行となる。
【0017】
マンドレル30はフレーム10内において駆動部20に連結されている。マンドレル30は駆動部20によって回転駆動され、これにより、ウエブ98はコイル99から繰り出され、又はコイル99に巻き取られる。
【0018】
マンドレル30について詳細に説明する。
マンドレル30は、主軸31、3体のセグメント32及び3体の平行リンク機構33を有する。
【0019】
主軸31は、その基部がベアリング等を介してフレーム10に回転可能に取り付けられている。主軸31は、フレーム10の上部から水平に延び出ている。主軸31の基部が駆動部20に連結され、主軸31が駆動部20によって回転駆動される。主軸31は、コイル99の中央の空洞99aに挿入される。
【0020】
3体のセグメント32は、主軸31の周りの周方向に120°置きに配置されている。セグメント32は、軸方向に長尺な板状部材である。径方向外側におけるセグメント32の外面32aは、主軸31の中心軸を中心にした凸円弧状柱面に形作られている。セグメント32は、それぞれ平行リンク機構33を介して主軸31の外周に連結されている。平行リンク機構33は、油圧シリンダ等のアクチェータの動力を受けて動作する。平行リンク機構33は、セグメント32の姿勢を保った状態で、径方向におけるセグメント32の位置を調整する。セグメント32の位置が平行リンク機構33によって径方向外側に調整されると、マンドレル30が拡径する。セグメント32の位置が平行リンク機構33によって径方向内側に調整されると、マンドレル30が縮径する。
【0021】
マンドレル30が拡径して、コイル99がマンドレル30に固定された状態では、セグメント32の外面32aがコイル99の中央の空洞99aにおいてコイル99の内周面に当てられている。
【0022】
2. ガイド
図2に示すように、1体のセグメント32につき2体のガイド40が、軸方向に間隔を置いてセグメント32に取り付けられる。マンドレル30の先端から近位のガイド40とマンドレル30の先端から遠位のガイド40とは、軸方向において互いに逆向きにセグメント32に取り付けられる。ここで、
図2は、セグメント32及びガイド40を周方向から見る図面である。
【0023】
セグメント32に取り付けられたガイド40は、セグメント32から径方向外側に向けて設けられている。マンドレル30に装着されたコイル99は、マンドレル30の先端から近位の3つのガイド40と、マンドレル30の先端から遠位の3つのガイド40との間に挟まれる。軸方向におけるコイル99の両端面がそれぞれガイド40によって支持され、ウエブ98がコイル99から軸方向に解かれないようになっている。また、コイル99から繰り出されるウエブ98のエッジがガイド40によって案内され、そのウエブ98の幅方向の位置ずれが防止されている。
【0024】
図3~
図7を参照して、ガイド40について詳細に説明する。
図3及び
図4はガイド40の正面図である。
図5はガイド40の背面図である。
図6はガイド40の右側面図である。
図7はガイド40の左側面図である。
図4はガイド40がセグメント32にロックされた状態を示し、
図3、
図5、
図6及び
図7はガイド40がセグメント32からロックが解除された状態を示す。
図3~
図7には、方向を表す補助線として前後方向、上下方向及び左右方向の矢印を付す。上下方向は、必ずしも鉛直方向ではない。ガイド40がマンドレル30のセグメント32に装着された状態では、前後方向は軸方向に対して平行であり、上下方向は径方向に対して平行である。
【0025】
ガイド40は、ガイド部材41、サポート部材42,43、ローラ44,45及びロック機構50を備える。
【0026】
ガイド部材41は、前後方向(軸方向)に厚みを有した左右対称な概略二等辺三角形の鋼製平板からなる。ガイド部材41の底辺41hは凹円弧状に形成されている。ガイド40がセグメント32に取り付けられた状態では、ガイド部材41の厚さ方向が軸方向に対して平行となる。
【0027】
ガイド部材41は、その底辺41hの左右両端にフック41aを有する。これらフック41aは、ガイド部材41の底辺41hの左右両端から突出するとともに互いに向き合うように曲げられた鉤状に設けられている。周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cがフック41aにそれぞれ引っ掛かる。その状態では、ガイド部材41は、セグメント32の外面32aに立てられて、セグメント32から径方向外側に向かって設けられている。
【0028】
ガイド部材41の中央には、三角形状の開口41bが形成されている。ガイド部材41の底辺41hの中央には、ノッチ41cが形成されている。ノッチ41cは、ガイド部材41の底辺41hの中央から開口41bに向けて切り欠かれているとともに、開口41bに連なっている。
【0029】
ノッチ41c及び開口41bが形成されることによって、ガイド部材41は、フック41aが互いに近づくように、左右の幅方向に弾性変形しやすくなる。なお、セグメント32の両端部32b,32cがフック41aにそれぞれ引っ掛かった状態では、ガイド部材41の左右の幅方向が主軸31の周方向に沿うため、ガイド部材41が主軸31の周方向に弾性変形可能である。
【0030】
ガイド部材41が左右の幅方向に更に弾性変形しやすくするために、複数のスリット41dがガイド部材41の左右両側部から切り欠かれている。スリット41dは、ガイド部材41に形成された円孔41eに連なっている。円孔41eによって応力が緩和され、スリット41dの進展が防止される。
同様に、複数のスリット41fが開口41bの左右両側部から切り欠かれて、ガイド部材41に形成された円孔41gに連なっている。
【0031】
ノッチ41cが閉じるようにガイド部材41が弾性変形すると、セグメント32が左右の両側からフック41aによって挟み込まれる。これにより、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cがフック41a,41aにそれぞれ保持され、ガイド部材41がセグメント32から径方向外側に向かった姿勢が保持される。
【0032】
サポート部材42,43は、前後方向に厚みを有した鋼製平板からなる。サポート部材43とサポート部材42が左右に互いに離れて並んでいる。サポート部材42はガイド部材41の左半分の部分に対して前後に対向し、サポート部材43がガイド部材41の右半分の部分に対して前後に対向する。サポート部材42,43とガイド部材41が互いに平行になっている。ここで、サポート部材42,43がそれぞれボルト42b,43bによってガイド部材41に固定され、筒状のスペーサがボルト42b,43bにそれぞれ外装され、スペーサがサポート部材42とガイド部材41との間及びサポート部材43とガイド部材41との間にそれぞれ挟まれることによって、サポート部材42,43とガイド部材41の間の間隔が維持される。
【0033】
サポート部材42,43の底辺42h,43hは凹円弧状に形成されている。サポート部材42,43の底辺42h,43hの曲率がガイド部材41の底辺41hの曲率に等しく、前後方向に投影視してサポート部材42,43の底辺42h,43hがガイド部材41の底辺41hに前後に重なっている。
【0034】
サポート部材42は、その底辺42hの左端にフック42aを有し、サポート部材43は、その底辺43hの右端にフック43aを有する。フック42aがサポート部材42の底辺42hの左端から突出し、フック43aがサポート部材43の底辺43hの右端から突出し、フック42a,43aが互いに向き合うように曲げられた鉤状に設けられている。フック42a,43aは、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cがフック42a,43aにそれぞれ引っ掛かるようセグメント32の両端部32b,32cを支持する。周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cがフック42a,43aに引っ掛かった状態では、サポート部材42,43は、セグメント32の外面32aに立てられて、セグメント32から径方向外側に向かって設けられている。
【0035】
ノッチ41cが閉じるようにガイド部材41が幅方向に弾性変形すると、サポート部材42,43が互いに近づき、セグメント32が周方向の両側からフック42a,43aによって挟み込まれる。これにより、セグメント32の両端部32b,32cがフック42a,43aにそれぞれロックされる。サポート部材42,43とガイド部材41がこれらの間に間隔を置いて主軸31の軸方向に並んだ状態でセグメント32に取り付けられるため、ガイド部材41が主軸31の軸方向に倒れず、ガイド部材41が主軸31の軸方向に対して垂直に立った状態でセグメント32に固定される。そのため、ガイド部材41がコイル99の端面に面接触し、ウエブ98がコイル99から軸方向に解けない。
【0036】
ローラ44は、ガイド部材41とサポート部材42の間に挟まれているとともに、主軸31の中心軸に平行な軸な回りに回転可能となってサポート部材42及びガイド部材41に取り付けられている。ローラ44の外周面がガイド部材41及びサポート部材42の底辺41h,42hから僅かにはみ出ている。ノッチ41cが閉じるようにガイド部材41が幅方向に弾性変形すると、ローラ44の外周面がセグメント32に当接する。よって、ガイド部材41及びサポート部材42,43は、フック41a,42a,43a以外にローラ44によってもセグメント32に保持される。
【0037】
ローラ45は、サポート部材43とガイド部材41の間に挟まれているとともに、主軸31の軸に平行な軸の回りに回転可能となってサポート部材43及びガイド部材41に取り付けられている。ローラ45の外周面がガイド部材41及びサポート部材43の底辺41h,43hから僅かにはみ出ている。ノッチ41cが閉じるようにガイド部材41が幅方向に弾性変形すると、ローラ45の外周面がセグメント32に当接する。よって、ガイド部材41及びサポート部材42,43は、フック41a,42a,43a以外にローラ45によってもセグメント32に保持される。ここで、セグメント32に対するガイド部材41及びサポート部材42,43の相対的な周方向(つまり、左右方向)の動きはフック41a,42a,43aによって拘束され、セグメント32に対するガイド部材41及びサポート部材42,43の相対的な径方向(つまり、上下方向)の動きはフック41a,42a,43a及びローラ44,45によって拘束される。
【0038】
サポート部材42,43とガイド部材41との間には、拗れ防止部材46,47が設けられている。
拗れ防止部材46はボルト46aによってガイド部材41の右半分の部分に固定されている。この拗れ防止部材46は、ガイド部材41の右半分の部分から左半分の部分までノッチ41cを横切って、ガイド部材41の左半分の部分に摺動可能に当接する。そのため、ガイド部材41の右半分が左半分に対して
図3の紙面の奥行き方向に捩れることが防止される。
拗れ防止部材47はボルト47aによってサポート部材43に固定されている。この拗れ防止部材47はサポート部材43からサポート部材42までノッチ41cを横切って、サポート部材43に摺動可能に当接する。そのため、ガイド部材41の左半分が右半分に対して
図3の紙面の奥行き方向に捩れることが防止される。
【0039】
ロック機構50は、サポート部材42,43とガイド部材41との間に設けられている。ロック機構50は、ガイド部材41のノッチ41cが閉じるように弾性変形したガイド部材41をその状態にロックして、セグメント32の両端部32b,32cがフック41a,41aにそれぞれ嵌合した状態を保持するものである。ロック機構50がガイド部材41をロックすることによって、ガイド部材41及びサポート部材42,43がセグメント32の外面32aに立てられた状態が保持される。ロック機構50は手動式であり、ロック機構50のロック及びロック解除は人手によって行われる。
【0040】
ロック機構50は、ステイ51、ロッド52、カラー53、ナット54、カムホルダ55、偏心カム56及びレバーハンドル57を有する。
【0041】
ステイ51は板状の部材である。ステイ51は、ガイド部材41の左半分の部分とサポート部材42の間において、ガイド部材41及びサポート部材42に固定されている。ステイ51の中央には通し穴が左右方向に貫通するよう形成されており、ロッド52が遊びを持ってその通し穴を貫通して左右に延在している。
【0042】
ロッド52は、外周面に雄ねじを有するネジ棒である。ロッド52のうちステイ51よりも左の部分がカラー53に挿入されており、ロッド52の先端部(
図3中の左の端部)には、ナット54が螺旋付けられている。カラー53はナット54とステイ51との間に挟まれる。そのため、カラー53及びナット54は、ロッド52をステイ51に止めるストッパとして機能する。なお、カラー53が設けられず、ナット54がステイ51に直接当接してもよい。
【0043】
ロッド52の基端部(
図3中の右の端部)はカムホルダ55に固定されており、そのカムホルダ55はガイド部材41の右半分の部分とサポート部材43との間に配置されている。カムホルダ55には、円孔が形成されており、円柱状の偏心カム56がその円孔に同軸状に嵌め込まれ、偏心カム56の外周のカム面が円孔の内周面に接する。偏心カム56は、カムホルダ55に対して相対的に、偏心カム56及び円孔の中心軸の回りに回転可能となっている。偏心カム56は、偏心カム56及び円孔の中心軸に対して偏心した偏心軸56aによってガイド部材41の右半分の部分及びサポート部材42に連結されている。円孔及び偏心カム56の中心軸は前後方向に対して平行であり、ガイド40がセグメント32に取り付けられた状態では、円孔及び偏心カム56の中心軸と偏心軸56aの中心軸が主軸31の中心軸に対して平行となる。また、偏心軸56aの中心軸はロッド52の中心軸に対して直交する。
【0044】
偏心カム56は、偏心軸56aの回りに、ガイド部材41及びサポート部材42に対して相対的に揺動可能となっている。偏心カム56は、偏心軸56aの回りに揺動することによって、ロッド52の基端部を上下に振るととともに、ロッド52を左右に移動させる。
【0045】
偏心カム56は、カムホルダ55の円孔に嵌め込まれた部分よりも径の大きな大径部56bを有する。その大径部56bは、カムホルダ55とサポート部材43との間に配置される。大径部56bには、レバーハンドル57が連結される。
【0046】
3. ガイドの取り付け方法
ガイド40をセグメント32に取り付ける方法について説明する。
図3中、まず、レバーハンドル57を時計回りに回転すると、偏心カム56が偏心軸56aを中心にして時計回りに揺動する。それに伴い、カムホルダ55、ロッド52及びナット54が左に移動するとともに、カムホルダ55がステイ51に近づく。そのため、ナット54とステイ51によるカラー53の締め付けが解除されるとともに、
図3に示すようにガイド部材41はノッチ41cが開くように弾性的に復元する。
【0047】
次に、必要に応じて、ナット54を回転して、ナット54をステイ51に近づけたり、ステイ51から離したりする。このようにナット54の位置を調整すると、後述のようにレバーハンドル57を反時計回りに回転する際のナット54のストロークをセグメント32の幅に合わせて調整することができる。ここで、ナット54のストロークとは、カラー53がナット54とステイ51の間に挟まれるまでのナット54の移動距離をいう。
【0048】
次に、ガイド40をセグメント32にセッティングする。この際、
図3に示すように、ガイド部材41及びサポート部材42,43のフック41a,42a,43aと底辺41h,42h,43hによって囲われる領域にセグメント32を挿入することによって、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cをガイド部材41のフック41a,41aにそれぞれ引っ掛けるとともに、セグメント32の両端部32b,32cをサポート部材42,43のフック42a,43aにそれぞれ引っ掛ける。また、軸方向(前後方向)におけるガイド40の位置を調整する。
【0049】
次に、
図3中、レバーハンドル57を反時計回りに回転すると、偏心カム56が偏心軸56aを中心にして反時計回りに揺動する。それに伴い、カムホルダ55、ロッド52及びナット54が右に移動するとともに、カムホルダ55がステイ51から右に離れる。これにより、カラー53がナット54とステイ51の間に挟み込まれた後に、そのカラー53がナット54及びステイ51によってロッド52の軸方向に締め付けられるとともに、
図4に示すように、ガイド部材41はノッチ41cが閉じるように幅方向に弾性変形する。そのため、セグメント32が周方向の両側からフック41aによって挟み込まれ、セグメントs32の両端部32b,32cがフック41a,41aにそれぞれ保持される。また、セグメント32が周方向の両側からフック42a,43aによって挟み込まれ、セグメント32の両端部32b,32cがフック42a,43aにそれぞれ保持される。これによりセグメント32に対するガイド40の周方向の動きが拘束される。更に、ローラ44,45の外周面がセグメント32に当接し、ローラ44,45及びフック41a,42a,43aはセグメント32に対するガイド40の径方向の動きを拘束する。
以上により、ガイド40がセグメント32に固定され、ガイド部材41がセグメント32から主軸31の径方向外側に向かった姿勢が保持される。
【0050】
偏心カム56のカム面の頂点(偏心軸56aの中心軸から最も遠い点)がロッド52の中心軸を上へ乗り越えれば、ガイド部材41のノッチ41cが閉じるように弾性変形した状態のガイド部材41が確実にロックされる。具体的には、ガイド部材41のノッチ41cが開く方向のガイド部材41の弾性力によるトルクと、偏心カム56が偏心軸56aから偏心することに伴って生じる偏心カム56の締め付けトルクとが釣り合う。
【0051】
4. ガイドの取り外し方法
ガイド40をセグメント32から取り外す場合には、
図4中、レバーハンドル57を時計回りに回転する。それに伴い、偏心カム56が偏心軸56aを中心にして時計回りに揺動し、カムホルダ55、ロッド52及びナット54が左に移動し、カムホルダ55がステイ51に近づく。これにより、ナット54とステイ51によるカラー53の締め付けが解除されるとともに、
図3に示すようにガイド部材41はノッチ41cが開くように弾性的に復元する。ガイド部材41の弾性的な復元により、セグメント32がフック41a,42a,43a及びローラ44,45から解放される。よって、ガイド40を軸方向(つまり、前後方向)に移動させて、セグメント32からガイド40を取り外すことができる。
【0052】
5. 有利な効果
(1) ガイド部材41とサポート部材42,43が軸方向に互いに対向するよう互いに取り付けられ、ガイド部材41及びサポート部材42,43がセグメント32の外面32aに立てられる。ガイド部材41とサポート部材42,43が互いに支え合うため、ガイド部材41が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けず、ウエブ98の幅方向の位置ずれが防止され、ウエブ98がセンタリングされる。
【0053】
(2) ガイド部材41が平板状に設けられているため、コイル99の端面がガイド部材41に面接触し、コイル99から繰り出されるウエブ98のエッジがウエブ98の長手方向に亘ってガイド部材41に接触する。よって、ウエブ98のエッジがガイド部材41に局所的に当たることがなく、ウエブ98のエッジの変形及び損傷を防止できるとともに、削りカス及び金属粉の発生も防止できる。
【0054】
(3) ガイド部材41が厚さ方向に対して垂直な方向、つまり面方向に弾性変形することで、セグメント32の両端部32b,32cに引っ掛かったガイド部材41のフック41aがセグメント32を挟み込んで、セグメント32の両端部32b,32cがフック41a,41aにそれぞれ保持される。更に、セグメント32の両端部32b,32cがサポート部材42,43のフック42a,43aにもそれぞれ保持される。そのため、ガイド部材41及びサポート部材42,43が安定してセグメント32に取り付けられ、ガイド部材41が軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けず、ウエブ98の幅方向の位置ずれが防止され、ウエブ98がセンタリングされる。
【0055】
(4) ロック機構50のレバーハンドル57を小さな荷重で回転しても、偏心カム56からカムホルダ55に与えられる荷重が倍力の原理により大きくなるため、ロッド52、カラー53及びナット54が大きな荷重で右に引かれる。よって、レバーハンドル57に与える荷重が小さくても、ガイド部材41を容易に弾性変形させることができる。
【0056】
(5)
図4に示すように、偏心カム56のカム面の頂点がロッド52の中心軸を上へ乗り越えることによって、ガイド部材41のノッチ41cが開く方向のガイド部材41の弾性力によるトルク(このトルクの向きは、
図4中、偏心カム56を中心にして時計回りである。)は、偏心カム56が偏心軸56aから偏心することに伴って生じる偏心カム56の締め付けトルク(このトルクの向きは、
図4中、偏心カム56を中心にして反時計回りである。)によって相殺される。そのため、ガイド部材41は、ノッチ41cが閉じるように弾性変形した状態にロックされる。
【0057】
(6) ローラ44,45の外周面がガイド部材41及びサポート部材42,43の底辺41h,42h,43hから僅かにはみ出ているため、ガイド部材41及びサポート部材42,43の底辺41h,42h,43hがセグメント32の外面32aに擦れない。よって、セグメント32の外面32aの傷つきを防止できる。
【0058】
〔第2の実施の形態〕
1. ガイド
図8~
図11を参照して、第2実施形態のガイド140について詳細に説明する。
図8及び
図9はガイド140の正面図である。
図10はガイド140の背面図である。
図11はガイド140の右側面図である。
図8はガイド140がセグメント32からロックが解除された状態を示し、
図9、
図10及び
図11はガイド140がセグメント32にロックされた状態を示す。
図8~
図11には、方向を表す補助線として前後方向、上下方向及び左右方向の矢印を付す。上下方向は、必ずしも鉛直方向ではない。ガイド140がセグメント32に装着された状態では、前後方向は軸方向に対して平行であり、上下方向は径方向に対して平行である。
【0059】
第2実施形態のガイド140は、第1実施形態のガイド40に代えて、セグメント32に取り付けられる。
【0060】
ガイド140は、ガイド部材141、サポート部材142及びロック機構150を備える。
【0061】
ガイド部材141は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。ガイド部材141の厚さ方向が前後方向となる。ガイド部材141の底辺141hは凹円弧状に形成されている。ガイド140がセグメント32に取り付けられた状態では、コイル99の端面が平板状のガイド部材141に面接触する。
【0062】
サポート部材142は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。サポート部材142はガイド部材141に対して前後に対向し、サポート部材142とガイド部材141が互いに平行になっている。サポート部材142がボルトによってガイド部材141に固定され、ボルトに外装された筒状スペーサがサポート部材142とガイド部材141との間に挟まれることによって、サポート部材142とガイド部材141の間の間隔が維持される。
【0063】
サポート部材142の底辺142hは凹円弧状に形成されている。サポート部材142の底辺142hの曲率がガイド部材141の底辺141hの曲率に等しく、前後方向に投影視してサポート部材142の底辺142hがガイド部材141の底辺141hに前後に重なっている。
【0064】
ガイド140がセグメント32に取り付けられた状態では、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hがセグメント32の外面32aに面接触する。その状態では、ガイド部材141及びサポート部材142は、セグメント32の外面32aに立てられて、セグメント32から径方向外側に向かって設けられている。
【0065】
手動式のロック機構150は、ガイド部材141とサポート部材142の間に設けられている。ロック機構150は、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hをセグメント32の外面32aに面接触させた状態にガイド部材141及びサポート部材142をセグメント32にロックして、ガイド部材141及びサポート部材142がセグメント32の外面32aに立てられた状態を保持するものである。ロック機構150は、セグメント32に対するガイド部材141及びサポート部材142のロックを解除可能なものである。
【0066】
ロック機構150は、フック部材151、2つのバネ152、2つのカムホルダ155、偏心カム156及びレバーハンドル157を有する。
【0067】
フック部材151は、前後方向に厚みを有した概略弓形型の鋼製平板からなる。フック部材151は、凹円弧状の底辺151hを有する。フック部材151は、フック部材151の底辺151hがガイド部材141及びサポート部材142の底辺に沿った姿勢で、ガイド部材141とサポート部材142の間に設けられている。フック部材151の左右の一部は、ガイド部材141とサポート部材142の間の隙間から側方に張り出している。
【0068】
フック部材151は、底辺151hの左右両端にフック151a,151bを有する。これらフック151a,151bは、フック部材151の底辺151hの左右両端から突出するとともに互いに向き合うように曲げられた鉤状に設けられている。右のフック151bとフック部材151の底辺151hによって囲まれたポケット151dは、左のフック151aとフック部材151の底辺151hによって取り囲まれたポケット151cよりも深い。フック151a,151bの先端の間の空所は、セグメント32が挿通される挿通部151eである。周方向におけるセグメント32の一方の端部32cが挿通部151eを通じてポケット151dに差し込まれた後に、周方向におけるセグメント32の他方の端部32bが挿通部151eを通じてポケット151cに差し込まれる。これにより、セグメント32の両端部32b,32cがフック151a,151bにそれぞれ引っ掛かる。
【0069】
フック部材151には、2つのスロット151fが形成されている。これらスロット151fは、上下方向(つまり、径方向)に延びている。スロット151fには、ピン141pが挿入されている。ピン141pはガイド部材141及びサポート部材142に固定されている。ピン141pがスロット151fによって上下方向に案内されることによって、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に上下に案内される。セグメント32の両端部32b,32cがフック151a,151bにそれぞれ引っ掛かった状態で、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に上方(つまり、径方向外側)に移動すると、セグメント32の外面32aがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たる。これにより、セグメント32の端部32bがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hとフック151aとの間に挟み込まれて拘束され、セグメント32の端部32cがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hとフック151bとの間に挟まれて拘束され。フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に下方(つまり、径方向内側)に移動すると、セグメント32の両端部32b,32cの挟み込みが解除される。
【0070】
左右方向におけるフック部材151の中央部は、2つのオーバル型のバネ152の間に前後方向に挟まれているとともに、ピン151pによってバネ152に回転可能に連結されている。フック部材151は、バネ152に対して相対的に、ピン151pを中心としてピン151pの回りに揺動可能なっている。
【0071】
バネ152は、ガイド部材141とサポート部材142との間において、フック部材151の上側(径方向外側)に配置されている。バネ152は、その基端が固定端としてカムホルダ155に固定されている。バネ152は、その基端からその先端にかけてオーバル型に曲げられた形状に設けられている。具体的には、バネ152は、カムホルダ155の右側部から右へ直線状に延びた直線部152aと、直線部152aの右端からフック部材151の方へ湾曲して折り返された湾曲部152bと、湾曲部152bの下端から左へ直線状に延びた直線部152cと、直線部152cの左端からフック部材151から離れる方へ湾曲して折り返された湾曲部152dと、湾曲部152dの上端から右へ直線状に延びた直線部152eと、を有する。バネ152の先端、つまり直線部152eの右端は、自由端としてカムホルダ155から切り離されている。なお、直線部152aの左端がバネ152の基端である。また、バネ152がピン151pによってフック部材151に連結される部分は、直線部152cの中間点である。
【0072】
バネ152が弾性変形可能であるため、カムホルダ155に対するフック部材151の相対的な面方向の動きが許容される。ここで、面方向とは、フック部材151の厚さ方向に垂直な方向である。
【0073】
2つのカムホルダ155は、ピン151pの上方(径方向外側)において、前後に互いに離間している。カムホルダ155は、バネ152の上側(径方向外側)において、ガイド部材141とサポート部材142との間に配置されている。カムホルダ155はバネ152と一体に形成されている。
【0074】
カムホルダ155には、円孔が形成されている。円柱状の偏心カム156が前後のカムホルダ155の円孔に同軸状に嵌め込まれ、偏心カム156の外周のカム面が円孔の内周面に接する。偏心カム156は、カムホルダ155に対して相対的に、偏心カム156及び円孔の中心軸の回りに回転可能となっている。偏心カム156は、偏心カム156及び円孔の中心軸に対して偏心した偏心軸156aによってガイド部材141及びサポート部材142に連結されている。円孔及び偏心カム156の中心軸及び偏心軸156aの中心軸は前後方向に対して平行であり、ガイド140がセグメント32に取り付けられた状態では、偏心軸156aの中心軸と偏心カム156及びカムホルダ155の円孔の中心軸が主軸31の中心軸に対して平行となる。
【0075】
偏心カム156は、偏心軸156aの回りに、ガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に上下方向に揺動可能となっている。偏心カム156は、偏心軸156aの回りに揺動することによって、カムホルダ155、バネ152及びフック部材151を上下方向(径方向)に移動させる。
【0076】
レバーハンドル157は、前後のカムホルダ155の間の隙間において、偏心カム156の外周に連結されている。レバーハンドル157は、ガイド部材141とサポート部材142の間の隙間から上へ張り出している。レバーハンドル157は、偏心軸156aを支点として、偏心軸156aの回りに揺動可能となっている。
【0077】
レバーハンドル157の揺動範囲はストッパ157a,157bによって設定されている。ストッパ157aは偏心軸156aの左上においてガイド部材141及びサポート部材142に固定されている。ストッパ157bは偏心軸156aの右上においてガイド部材141及びサポート部材142に固定されている。レバーハンドル157が
図8に示すように左に倒れてストッパ157aに当たると、レバーハンドル157の反時計回りの回転が規制される。レバーハンドル157が
図9に示すように右に倒れてストッパ157bに当たると、レバーハンドル157の時計回りの回転が規制される。
【0078】
レバーハンドル157がストッパ157aに当たった状態では、偏心カム156のカム面の頂点(偏心軸156aの中心軸から最も遠い点)がピン151pの中心軸から上に最も離れた上死点よりも下に位置する。そのため、フック部材151が上下の可動範囲の中で最も下に位置する。
【0079】
レバーハンドル157がストッパ157bに当たった状態では、偏心カム156のカム面の頂点がピン151pの中心軸から上に最も離れた上死点に位置する。そのため、フック部材151が上下の可動範囲の中で最も上に位置する。この状態では、フック部材151のフック151a,151bに引っ掛かったセグメント32がガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たり、セグメント32が拘束される。また、偏心カム156のカム面の頂点が上死点に位置するため、セグメント32がガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たった状態にロックされる。また、バネ152が弾性変形しており、バネ152の弾性力がフック部材151に作用して、フック151a,151bがセグメント32をガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに押し付ける締結力が生じる。
【0080】
2. ガイドの取り付け方法
ガイド140をセグメント32に取り付ける方法について説明する。
まず、
図12に示すように、レバーハンドル157を左に倒して、そのレバーハンドル157をストッパ157aに当てる。これにより、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に下に移動し、フック151a,151bがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hから下に離れる。
【0081】
ガイド140をセグメント32の径方向外側に位置させて、フック151a,151bをセグメント32の両端部32b,32c近傍に位置させる。また、ガイド部材141及びサポート部材142をセグメント32から径方向外側に向かった姿勢にする。
【0082】
次に、
図13に示すようにガイド140を右にずらしながら、ガイド140を右に傾動させる。これにより、セグメント32の端部32cをフック151aとフック151bの間に入れて、セグメント32の端部32cをガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに近づける。その状態からガイド140を
図14に示すように左にずらしながら、ガイド140を左に傾動させる。これにより、セグメント32の端部32cを右のポケット151dに挿入し、セグメント32の端部32cを右のフック151bに引っ掛ける。また、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hをセグメント32の外面32aに面接触させる。次に、
図8に示すように、ガイド140を右にずらしながら、ガイド140を右に傾動させて、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hをセグメント32から径方向外側に向かった姿勢にする。これにより、セグメント32の端部32bを左のポケット151cに挿入し、セグメント32の端部32bを左のフック151aに引っ掛ける。なお、
図8では、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hがセグメント32の外面32aから離れているが、接触してもよい。
【0083】
次に、
図9に示すように、レバーハンドル157を右に倒して、そのレバーハンドル157をストッパ157bに当てる。これにより、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に上(径方向外側)に移動し、フック151a、151bがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに近づく。そのため、セグメント32がフック部材151のフック151a,151bとガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hとの間に挟み込まれて、セグメント32が拘束される。また、偏心カム156のカム面の頂点が上死点に位置するため、径方向内向きの荷重がセグメント32からフック部材151に作用しても、偏心カム156が回転しない。よって、セグメント32の外面32aがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たった状態にセグメント32がガイド部材141及びサポート部材142にロックされる。
【0084】
3. ガイドの取り外し方法
ガイド140をセグメント32から取り外す方法について説明する。
まず、
図8に示すように、レバーハンドル157を左に倒して、そのレバーハンドル157をストッパ157aに当てる。これにより、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に下(径方向内側)に移動し、フック151a、151bがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hから下に離れる。そのため、セグメント32の挟み込みが解消されて、セグメント32がフック151a,151bから解放される。
【0085】
次に、
図14に示すようにガイド140を左にずらして、セグメント32の端部32cを右のポケット151dの奥に入れるとともに、セグメント32の端部32bを左のポケット151cから抜いて、セグメント32の端部32bを左のフック151aから外す。その後、
図13に示すように、セグメント32の端部32cを右のポケット151dから抜きつつ、ガイド部材141及びサポート部材142をセグメント32から離す。そして、
図12に示すように、セグメント32の端部32cをフック151aとフック151bの間から抜く。
【0086】
4. 有利な効果
(1) ガイド部材141とサポート部材142が軸方向に互いに対向するよう互いに取り付けられ、ガイド部材141とサポート部材142が互いに支え合うため、セグメント32の外面32aに立てられたガイド部材141が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けず、ウエブ98の幅方向の位置ずれが防止され、ウエブ98がセンタリングされる。
【0087】
(2) コイル99の端面が平板状のガイド部材141に面接触し、ウエブ98のエッジがウエブ98の長手方向に亘ってガイド部材141に接触する。つまり、ウエブ98のエッジがガイド部材141に局所的に当たっているわけではないため、ウエブ98のエッジの変形及び損傷を防止できるとともに、削りカス及び金属粉の発生も防止できる。
【0088】
(3) ガイド140は4箇所でセグメント32に支持される。1箇所目は、ガイド部材141の底辺141hがセグメント32の外面32aに接触する箇所である。2箇所目は、サポート部材142の底辺142hのセグメント32の外面32aに接触する箇所である。3箇所目及び4箇所目は、左右のフック151a,151bがセグメント32の外面32aの反対面に接触する箇所である。そのため、ガイド140がセグメント32に強固に固定される上、ガイド部材141が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けず、ウエブ98の幅方向に位置ずれが防止され、ウエブ98がセンタリングされる。
【0089】
(4) ガイド部材141の底辺141hが全体的にセグメント32の外面32aに面接触するため、ガイド部材141の自立の精度及び効果が高い。サポート部材142の底辺142hが全体的にセグメント32の外面32aに面接触するため、サポート部材142の自立の精度及び効果が高い。よって、ガイド部材141が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止でき、コイル99が軸方向に解けない。
【0090】
(5) ガイド部材141及びサポート部材142とは別にフック部材151が採用され、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に移動することによって、セグメント32に対するガイド140のロック及びその解除がなされる。つまり、ガイド部材141及びサポート部材142の変形を利用せずとも、セグメント32に対するガイド140のロック及びその解除が実現される。そのため、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hを全体的にセグメント32の外面32aに接触させることができる。よって、ガイド部材141及びサポート部材142の自立の精度及び効果が高い。
【0091】
(6) フック部材151が径方向外側に移動することによって、ガイド部材141が変形することなく、ガイド部材241とセグメント32が互いに近づくため、ガイド部材141の底辺141hとセグメント32の外面32aの面接触が実現される。ガイド部材141の底辺141hがセグメント32の外面32aの面接触することで、ガイド部材141の底辺141hとセグメント32の外面32aの間に隙間が存在しない。そのため、ウエブ98のエッジがガイド部材141とセグメント32との間に入り込むことがない。よって、ウエブ98の繰り出しの最終段階ではウエブ98がセグメント32から確実に離間し、ウエブ98が逆向きに巻き取られることが防止される。
【0092】
(7) フック部材151のフック151a,151bに引っ掛かったセグメント32がガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たった状態では、偏心カム156のカム面の頂点が上死点に位置する。そのため、偏心カム156に回転力が発生せず、セグメント32がガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たった状態にロックされる。
【0093】
〔第3の実施の形態〕
1. ガイド
図15~
図18を参照して、第3実施形態のガイド240について詳細に説明する。
図15及び
図16はガイド240の正面図である。
図17はガイド240の背面図である。
図18はガイド240の右側面図である。
図15はガイド240がセグメント32からロック解除された状態を示し、
図16、
図17及び
図18はガイド240がセグメント32にロックされた状態を示す。
図15~
図18には、方向を表す補助線として前後方向、上下方向及び左右方向の矢印を付す。ガイド240がセグメント32に装着された状態では、前後方向は軸方向に対して平行であり、上下方向は径方向に対して平行である。
【0094】
第3実施形態のガイド240は、第1実施形態のガイド40に代えて、セグメント32に取り付けられる。
【0095】
ガイド240は、ガイド部材241、サポート部材242及びロック機構250を備える。
【0096】
ガイド部材241は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。ガイド240がセグメント32に取り付けられた状態では、コイル99の端面が平板状のガイド部材241に面接触する。
【0097】
ガイド部材241の底辺241hは凹円弧状に形成されている。ガイド部材241は、その底辺241hの左右両端に誘導部241aを有する。誘導部241aは、これらの間に入り込むセグメント32をガイド部材241の底辺241hへ誘導する。
【0098】
サポート部材242は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。サポート部材242はガイド部材241に対して前後に対向し、サポート部材242とガイド部材241が互いに平行になっている。サポート部材242がボルト242bによってガイド部材241に固定され、ボルト242bに外装された筒状スペーサによってサポート部材242とガイド部材241の間の間隔が維持される。
【0099】
サポート部材242の底辺242hは凹円弧状に形成されている。サポート部材242の底辺242hの曲率がガイド部材241の底辺241hの曲率に等しく、前後方向に投影視してサポート部材242の底辺242hがガイド部材241の底辺241hに前後に重なっている。
【0100】
サポート部材242は、その底辺242hの左右両端に誘導部242aを有する。誘導部242aは、これらの間に入り込むセグメント32をサポート部材242の底辺242hへ誘導する。
【0101】
ガイド240がセグメント32に取り付けられた状態では、ガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hがセグメント32の外面32aに面接触する。その状態では、ガイド部材241及びサポート部材142は、セグメント32の外面32aに立てられて、セグメント32から径方向外側に向かって設けられている。周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cが左の誘導部241a,242aと右の誘導部241a,242aにそれぞれ当接するため、セグメント32に対するガイド部材241及びサポート部材142の周方向の動きが拘束される。
【0102】
手動式のロック機構250は、ガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hをセグメント32の外面32aに面接触させた状態にガイド部材241及びサポート部材242をセグメント32にロックして、ガイド部材241及びサポート部材242がセグメント32の外面32aに立てられた状態を保持するものである。ロック機構250は、セグメント32に対するガイド部材241及びサポート部材242のロックを解除可能なものである。
【0103】
ロック機構250は、それぞれ2つのフック部材251,252、従動リンク253,254、2つのドライブリンク255及びレバーハンドル257を有する。
【0104】
ドライブリンク255は、鋼製円盤からなる部材である。ドライブリンク255は、ガイド部材141とサポート部材142との間において、ガイド部材141とサポート部材142の厚み方向に平行な回転軸の回りに回転可能にガイド部材141及びサポート部材142に取り付けられている。ドライブリンク255の回転軸の位置はガイド部材141の左右中央部である。
【0105】
従動リンク253,254の一端は、2つのドライブリンク255に挟まれた状態で、それぞれジョイント253a,254aによってドライブリンク255に回転可能にそれぞれ連結されている。左側のジョイント253aと右側のジョイント254aの間の中間点がドライブリンク255の回転軸の位置となる。左側の従動リンク253はジョイント253aから左に延び、右側の従動リンク254はジョイント254aから右に延びる。
【0106】
左側の従動リンク253の他端は、2つの左側のフック部材251の一端に挟まれた状態で、ジョイント253bによってフック部材251の一端に回転可能に連結されている。右側の従動リンク254の他端は、2つの右側のフック部材252の一端に挟まれた状態で、ジョイント254bによってフック部材252の一端に回転可能に連結されている。
【0107】
左側のフック部材251は、ジョイント253bから下に延びている。左側のフック部材251の中間部は、支点軸251bによってガイド部材241及びサポート部材242の左部に回転可能に連結されている。左側のフック部材251の他端には、フック251aが設けられている。
【0108】
右側のフック部材252は、ジョイント254bから下に延びている。右側のフック部材252の中間部は、支点軸252bによってガイド部材241及びサポート部材242の右部に回転可能に連結されている。右側のフック部材252の他端には、フック252aが設けられている。右側のフック部材252のフック252aと左側のフック部材251のフック251aは、互いに向き合うように曲げられた鉤状に設けられている。
【0109】
ドライブリンク255及び従動リンク253からなるリンク機構は、左右のフック部材251,252を揺動させて、フック部材251,252のフック251a,252aを開閉させる機構である。ドライブリンク255が回転することによって、左右のフック部材251,252がそれぞれ支点軸251b,252bの回りに揺動し、左右のフック251a,252aが開閉する。左右のフック251a,252aが閉じた状態では、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cが左右のフック251a,252aにそれぞれ引っ掛かる。左右のフック251a,252aが開いた状態では、セグメント32がフック251a,252aから解放される。
【0110】
ドライブリンク255の回転軸はレバーハンドル257に連結されている。レバーハンドル257が回転することによってドライブリンク255が回転する。
【0111】
2. ガイドの取り付け方法
ガイド240をセグメント32に取り付ける方法について説明する。
まず、
図15に示すように、レバーハンドル257を反時計回りに回転させると、左側の従動リンク253がドライブリンク255によって右に引かれ、右側の従動リンク254がドライブリンク255によって左に引かれる。そのため、左側のフック部材251が支点軸251bを中心にして時計回りに揺動して、左側のフック251aが左側の誘導部241a,242aの間に引き込む。一方、右側のフック部材252が支点軸252bを中心にして反時計回りに揺動して、右側のフック252aが右側の誘導部241a、242aの間に引き込む。このようにフック251a,252aが互いに逆向きに揺動することによって、左右のフック251a,252aが開く。
【0112】
なお、
図15に示すようにフック251a,252aが開いた状態では、左のジョイント253aは支点軸251bとドライブリンク255の回転軸とを結ぶ線よりも反時計回りの方に位置し、右のジョイント254aは支点軸252bとドライブリンク255の回転軸とを結ぶ線よりも反時計回りの方に位置する。
【0113】
次に、ガイド240をセグメント32の径方向外側に位置させる。そして、セグメント32を左右の誘導部241a,242aの間に入れて、ガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hをセグメント32の外面32aに面接触させる。
【0114】
次に、
図16に示すように、レバーハンドル257を時計回りに回転させると、左側の従動リンク253がドライブリンク255によって左に押され、右側の従動リンク254がドライブリンク255によって右に押される。そのため、左側のフック部材251が支点軸251bを中心にして反時計回りに揺動して、左側のフック251aが左側の誘導部241a,242aの間から右に突出する。一方、右側のフック部材252が支点軸252bを中心にして時計回りに揺動して、右側のフック252aが右側の誘導部241a、242aの間から左に突出する。このようにフック部材251,252が互いに逆向きに揺動することによって、左右のフック251a,252aが閉じる。そのため、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cが左右のフック251a,252aにそれぞれ引っ掛かって、セグメント32がガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hとフック251a,252aとの間に挟み込まれて拘束される。
【0115】
図16に示すようにフック251a,252aが閉じた状態では、左のジョイント253aは支点軸251bとドライブリンク255の回転軸とを結ぶ線よりも時計回りの方に位置し、右のジョイント254aは支点軸252bとドライブリンク255の回転軸とを結ぶ線よりも反時計回りの方に位置する。そのため、セグメント32から左のフック251aに作用する荷重によってドライブリンク255に生じるトルク(このトルクの向きは、
図16中、時計回りの向きである。)は、セグメント32から右のフック252aに作用する荷重によってドライブリンク255に生じるトルク(このトルクの向きは、
図16中、反時計回りの向きである。)によって相殺される。よって、フック251a,252aが閉じた状態にロックされ、セグメント32がガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hとフック251a,252aとの間に挟まれた状態が保持される。
【0116】
3. ガイドの取り外し方法
ガイド240をセグメント32から取り外す方法について説明する。
図15に示すように、レバーハンドル257を反時計回りに回転させると、左側のフック部材251が支点軸251bを中心にして時計回りに揺動して、左側のフック251aが左側の誘導部241a,242aの間に引き込む。一方、右側のフック部材252が支点軸252bを中心にして反時計回りに揺動して、右側のフック252aが右側の誘導部241a,242aの間に引き込む。このようにフック251a,252aが互いに逆向きに揺動することによって、左右のフック251a,252aが開く。そのため、セグメント32がフック251a,252aから解放される。
【0117】
その後、ガイド240をセグメント32から径方向外側に離して、セグメント32を左の誘導部241a,242aと右の誘導部241a,242aの間から抜く。
【0118】
4. 有利な効果
(1) ガイド部材241とサポート部材242が軸方向に互いに対向するよう互いに取り付けられ、ガイド部材241とサポート部材242が互いに支え合う。そのため、ガイド部材241が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けない。
【0119】
(2) ウエブ98のエッジがウエブ98の長手方向に亘って平板状のガイド部材241に接触するため、ウエブ98のエッジの変形及び損傷を防止できるとともに、削りカス及び金属粉の発生も防止できる。
【0120】
(3) ガイド240は4箇所でセグメント32に支持される。1箇所目は、ガイド部材241の底辺241hがセグメント32の外面32aに接触する箇所である。2箇所目は、サポート部材242の底辺142hのセグメント32の外面32aに接触する箇所である。3箇所目及び4箇所目は、フック251a,252aがセグメント32の外面32aの反対面に接触する箇所である。そのため、ガイド240がセグメント32に強固に固定される上、ガイド部材141が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けない。
【0121】
(4) ガイド部材241の底辺241hが全体的にセグメント32の外面32aに面接触するため、ガイド部材241の自立の精度及び効果が高い。サポート部材242の底辺242hが全体的にセグメント32の外面32aに面接触するため、サポート部材242の自立の精度及び効果が高い。そのため、ガイド部材241が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止でき、コイル99が軸方向に解けない。
【0122】
(5) ガイド部材241及びサポート部材242の変形を利用せずとも、フック部材251,252によってロック及びロック解除が実現される。そのため、ガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hを全体的にセグメント32の外面32aに面接触させることができる。よって、ガイド部材241及びサポート部材242の自立の精度及び効果が高い。
【0123】
(6) フック251a,252aが閉じることによって、ガイド部材241が変形することなく、ガイド部材241とセグメント32が互いに近づくため、ガイド部材241の底辺241hとセグメント32の外面32aの面接触が実現される。ガイド部材241の底辺241hがセグメント32の外面32aの面接触することで、ガイド部材241の底辺241hとセグメント32の外面32aの間に隙間が存在しない。そのため、ウエブ98のエッジがガイド部材241とセグメント32との間に入り込むことがない。よって、ウエブ98の繰り出しの最終段階ではウエブ98がセグメント32から離間し、ウエブ98が逆向きに巻き取られることが防止される。
【0124】
(7) フック251a,252aが閉じた状態では、セグメント32から左のフック251aに作用する荷重によってドライブリンク255に生じるトルクが、セグメント32から右のフック252aに作用する荷重によってドライブリンク255に生じるトルクによって相殺される。よって、フック251a,252aが閉じた状態にロックされ、ガイド240がセグメント32に固定される。
【0125】
〔第4の実施の形態〕
1. ガイド
図19~
図22を参照して、第4実施形態のガイド340について詳細に説明する。
図19及び
図20はガイド340の正面図である。
図21はガイド340の背面図である。
図22はガイド340の右側面図である。
図19はガイド340がセグメント32からロック解除された状態を示し、
図20、
図21及び
図22はガイド340がセグメント32にロックされた状態を示す。
図19~
図20には、方向を表す補助線として前後方向、上下方向及び左右方向の矢印を付す。ガイド340がセグメント32に装着された状態では、前後方向は軸方向に対して平行であり、上下方向は径方向に対して平行である。
【0126】
第4実施形態のガイド340は、第1実施形態のガイド40に代えて、セグメント32に取り付けられる。
【0127】
ガイド340は、ガイド部材341、サポート部材342、2つの当たりピース343及びロック機構350を備える。
【0128】
ガイド部材341は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。ガイド340がセグメント32に取り付けられた状態では、コイル99の端面が平板状のガイド部材341に面接触する。
【0129】
ガイド部材341の底辺341hは凹円弧状に形成されている。ガイド部材341は、その底辺341hの左右両端にフック341aを有する。これらフック341aは、ガイド部材341の底辺341hの左右両端から突出するとともに互いに向き合うように曲げられた鉤状に設けられている。
【0130】
サポート部材342は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。サポート部材342はガイド部材341に対して前後に対向し、サポート部材342とガイド部材341が互いに平行になっている。サポート部材342がボルト342bによってガイド部材341に固定され、ボルト342bに外装された筒状スペーサによってサポート部材342とガイド部材341の間の間隔が維持される。
【0131】
サポート部材342の底辺342hは凹円弧状に形成されている。サポート部材342の底辺342hの曲率がガイド部材341の底辺341hの曲率に等しく、前後方向に投影視してサポート部材342の底辺342hがガイド部材341の底辺341hに前後に重なっている。
【0132】
サポート部材342は、その底辺342hの左右両端にフック342aを有する。これらフック342aは、サポート部材342の底辺342hの左右両端から突出するとともに互いに向き合うように曲げられた鉤状に設けられている。
【0133】
周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cが左のフック341a,342aと右のフック341a,342aにそれぞれ引っ掛かる。その状態では、ガイド部材341及びサポート部材342は、セグメント32の外面32aに立てられて、セグメント32から径方向外側に向かって設けられている。
【0134】
フック341a,342aには、セグメント32に当たる当たりピース343が設けられている。なお、当たりピース343が設けられず、フック341a,342aが直接セグメント32に当たってもよい。
【0135】
手動式のロック機構350は、ガイド部材341とサポート部材342の間に設けられている。ロック機構350は、セグメント32の外面32aをフック341a,342aの方へ押し込んで、フック341a,342aとの間にセグメント32をクランプする。これにより、ロック機構350は、ガイド部材341及びサポート部材342がセグメント32の外面32aに立てられた状態を保持するものである。
【0136】
ロック機構350は、押圧部351、バネ352、案内部353、カムホルダ355、偏心カム356及びレバーハンドル357を有する。押圧部351、バネ352及びカムホルダ355は一体形成されている。
【0137】
押圧部351は、ガイド部材341及びサポート部材342の左右中央部において、ガイド部材341とサポート部材342との間に配置されている。押圧部351は、その左右両側に設けられた案内部353によって左右方向の動きが規制されて、上下方向に移動可能となっている。押圧部351が下に移動すると、押圧部351がガイド部材341とサポート部材342の間の隙間から下に突出して、押圧部351の下面がセグメント32の外面32aに当たる。押圧部351の下面は、平面状に形成されているか、又は、セグメント32の外面32aに沿うよう凹面状に形成されている。
【0138】
バネ352は、押圧部351の径方向外側(上側)に押圧部351と一体に形成されている。バネ352の中央に左右方向に長尺なスロット352aが形成されているため、バネ352が上下方向に弾性変形し得る。スロット352aの中央から下に切り欠いたスロット352bが形成されているため、バネ352が左右方向に弾性変形し得る。
【0139】
カムホルダ355は、バネ352の径方向外側(上側)にバネ352と一体に形成されている。カムホルダ355には、円孔が形成されている。円柱状の偏心カム356がカムホルダ355の円孔に同軸状に嵌め込まれ、偏心カム356の外周のカム面が円孔の内周面に接する。偏心カム356は、カムホルダ355に対して相対的に、偏心カム356及び円孔の中心軸の回りに回転可能となっている。偏心カム356は、偏心カム356及び円孔の中心軸に対して偏心した偏心軸356aによってガイド部材341及びサポート部材342に連結されている。偏心カム356は偏心軸356aの回りに上下に揺動する。これにより、カムホルダ355、バネ352及び押圧部351がガイド部材341及びサポート部材342に対して相対的に上下に移動する。
【0140】
レバーハンドル357は、偏心カム356のうち、カムホルダ355の円孔に嵌め込まれていない部分の外周に連結されている。レバーハンドル357は、ガイド部材141とサポート部材142の間の隙間から上へ張り出している。レバーハンドル357は、偏心軸356aを支点として、偏心軸356aの回りに揺動可能となっている。
【0141】
2. ガイドの取り付け方法
ガイド340をセグメント32に取り付ける方法について説明する。
図19中、まず、レバーハンドル357を時計回りに回転させると、偏心カム356が偏心軸356aを中心にして時計回りに上へ揺動する。それに伴い、カムホルダ355、バネ352及び押圧部351がガイド部材341及びサポート部材342に対して相対的に上(径方向外側)に移動する。そのため、押圧部351がガイド部材341とサポート部材342の間の隙間に引き込む。
【0142】
次に、ガイド340をセグメント32にセッティングする。この際、
図19に示すように、ガイド部材341及びサポート部材342のフック341a,342aとガイド部材341及びサポート部材342の底辺341h,342hによって囲われる領域にセグメント32を挿入する。これにより、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cをガイド部材341及びサポート部材342の左右のフック341a,342aにそれぞれ引っ掛ける。
【0143】
次に、
図20に示すように、レバーハンドル357を反時計回りに回転させると、偏心カム356が偏心軸356aを中心にして反時計回りに下へ揺動する。それに伴い、カムホルダ355、バネ352及び押圧部351がガイド部材341及びサポート部材342に対して相対的に下(径方向内側)に移動する。そのため、押圧部351がガイド部材341とサポート部材342の間の隙間から下に突出して、押圧部351の下面がセグメント32の外面32aに当たる。この際、バネ352が上下方向に圧縮されて、バネ352の弾性力によって押圧部351からセグメント32に押し込み荷重が作用する。そのため、セグメント32が押圧部351とフック341a,342aとの間にクランプされる。その状態では、偏心カム356のカム面の頂点(偏心軸356aの中心軸から最も遠い点)が下死点に位置する。そのため、偏心カム356に回転力が発生せず、セグメント32が押圧部351とフック341a,342aとの間にクランプされた状態にロックされる。
【0144】
3. ガイドの取り外し方法
ガイド340をセグメント32から取り外す方法について説明する。
図19に示すように、レバーハンドル357を時計回りに回転すると、偏心カム356が偏心軸356aを中心にして時計回りに上へ揺動する。それに伴い、カムホルダ355、バネ352及び押圧部351がガイド部材341及びサポート部材342に対して相対的に上に移動する。そのため、押圧部351がセグメント32の外面32aから離れて、ガイド部材341とサポート部材342の間の隙間に引き込む。そのため、セグメント32が押圧部351及びフック341a,342aから解放される。
【0145】
その後、ガイド部材341及びサポート部材342のフック341a,342aとガイド部材341及びサポート部材342の底辺341h,342hによって囲われる領域からセグメント32を外す。
【0146】
4. 有利な効果
(1) ガイド部材341とサポート部材342が軸方向に互いに対向しており、ガイド部材341とサポート部材342が互いに支え合うため、ガイド部材341が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けない。
【0147】
(2) ウエブ98のエッジがウエブ98の長手方向に亘って平板状のガイド部材341に接触するため、ウエブ98のエッジの変形及び損傷を防止できるとともに、削りカス及び金属粉の発生も防止できる。
【0148】
(3) 押圧部351が回転することなくセグメント32の外面32aに対して接離する。そのため、ガイド340の着脱の際に、押圧部351がセグメント32の外面32aに対して擦れない。よって、セグメント32の外面32aの損傷を防止できる。
【0149】
〔第5の実施の形態〕
1. ガイド
図23~
図26を参照して、第5実施形態のガイド440について詳細に説明する。
図23及び
図24はガイド440の正面図である。
図25はガイド440の背面図である。
図26はガイド440の右側面図である。
図23はガイド440がセグメント32からロック解除された状態を示し、
図24、
図25及び
図26はガイド440がセグメント32にロックされた状態を示す。
図19~
図20には、方向を表す補助線として前後方向、上下方向及び左右方向の矢印を付す。ガイド340がセグメント32に装着された状態では、前後方向は軸方向に対して平行であり、上下方向は径方向に対して平行である。
【0150】
第5実施形態のガイド440は、第1実施形態のガイド40に代えて、セグメント32に取り付けられる。
【0151】
ガイド440は、ガイド部材441、サポート部材442、2つの当たりピース443及びロック機構450を備える。
【0152】
ガイド部材441、サポート部材442及び当たりピース443は、第4実施形態のガイド340のガイド部材341、サポート部材342及びピース343と同様に設けられている。そのため、ガイド部材441、サポート部材442及び当たりピース443についての詳細な説明を省略する。
【0153】
手動式のロック機構450は、セグメント32の外面32aをフック441a,442aの方へ押し込んで、フック441a,442aとの間にセグメント32をクランプする。これにより、ロック機構450は、ガイド部材441及びサポート部材442がセグメント32の外面32aに立てられた状態を保持するものである。
【0154】
ロック機構450は、押圧部451、スクリューロッド452、ナット454及びレバーハンドル457を有する。
【0155】
押圧部451は、ガイド部材441及びサポート部材442の左右中央部において、ガイド部材441とサポート部材442との間に配置されている。押圧部451が2つの突起を有し、これら突起がガイド部材441及びサポート部材442に形成されたガイド穴に挿入され、突起がガイド穴によって上下に案内される。これにより、押圧部451が、ガイド部材441及びサポート部材442に対して相対的に上下に移動可能に設けられている。押圧部451が下に移動すると、押圧部451がガイド部材441とサポート部材442の間の隙間から下に突出して、押圧部451の下面がセグメント32の外面32aに当たる。押圧部351の下面は、平面状に形成されているか、又は、セグメント32の外面32aに沿うよう凹面状に形成されている。
【0156】
ナット454は、ガイド部材441とサポート部材442との間において、押圧部451の上方に配置されている。ナット454は、そのネジ穴が上下方向となる姿勢で、ガイド部材441及びサポート部材442の左右中央部に固定されている。
【0157】
スクリューロッド452は、その外周面にネジ溝が形成されている。スクリューロッド452は、ナット454に螺旋付けられて、上下に延在している。スクリューロッド452がナット454に対して回転することによって、スクリューロッド452の下端が押圧部451に対して接離したり、押圧部451を下方に押し付けたりする。
【0158】
レバーハンドル457は、スクリューロッド452の上端に連結されている。レバーハンドル457の旋回によりスクリューロッド452がナット454に対して相対的に回転する。
【0159】
2. ガイドの取り付け方法
ガイド440をセグメント32に取り付ける方法について説明する。
図23に示すように、レバーハンドル457によりスクリューロッド452を回転させて、スクリューロッド452の下端を押圧部451から離間させる。
【0160】
次に、ガイド440をセグメント32にセッティングする。この際、
図23に示すように、ガイド部材441及びサポート部材442のフック441a,442aとガイド部材441及びサポート部材442の底辺441h,442hによって囲われる領域にセグメント32を挿入する。これにより、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cをガイド部材441及びサポート部材442の左右のフック341a,342aにそれぞれ引っ掛ける。
【0161】
図24に示すように、レバーハンドル457によりスクリューロッド452を回転させて、スクリューロッド452の下端を押圧部451に当てる。更に、レバーハンドル457によりスクリューロッド452を締め付けると、押圧部451からセグメント32に押し込み荷重が作用する。そのため、セグメント32が押圧部451とフック441a,442aとの間にクランプされた状態にロックされる。
【0162】
3. ガイドの取り外し方法
ガイド440をセグメント32から取り外す方法について説明する。
図23に示すように、レバーハンドル457によりスクリューロッド452を回転させることによって、スクリューロッド452を緩め、スクリューロッド452の下端を押圧部451から離間させる。そのため、セグメント32が押圧部451及びフック441a,442aから解放される。
【0163】
その後、ガイド部材441及びサポート部材442のフック441a,442aとガイド部材441及びサポート部材442の底辺441h,442hによって囲われる領域からセグメント32を外す。
【0164】
4. 有利な効果
(1) ガイド部材441とサポート部材442が軸方向に互いに対向しており、ガイド部材441とサポート部材442が互いに支え合うため、ガイド部材441が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けない。
【0165】
(2) ウエブ98のエッジがウエブ98の長手方向に亘って平板状のガイド部材441に接触するため、ウエブ98のエッジの変形及び損傷を防止できるとともに、削りカス及び金属粉の発生も防止できる。
【0166】
(3) 押圧部451が回転することなくセグメント32の外面32aに対して接離する。そのため、ガイド440の着脱の際に、押圧部451がセグメント32の外面32aに対して擦れない。よって、セグメント32の外面32aの損傷を防止できる。
【0167】
5. 変形例
図27及び
図28は、上述のガイド440から一部変更したガイド440Aの正面図である。
図27はガイド440Aがセグメント32からロック解除された状態を示し、
図28はガイド440Aがセグメント32にロックされた状態を示す。ガイド440Aとガイド440の間で互いに対応する構成要素には同一の符号を付す。
【0168】
上述のガイド440では、スクリューロッド452の締め付けによりスクリューロッド452の下端が押圧部451に押し付けられ、押圧部451がセグメント32の外面32aに押し付けられる。それに対して、
図27及び
図28に示すガイド440Aでは、ロック機構450Aが押圧部451に相当する構成要素を有さない。そのため、スクリューロッド452の締め付けによりスクリューロッド452の下端がセグメント32の外面32aに押し付けられ、これにより、セグメント32が押圧部451とフック441a,442aとの間にクランプされた状態にロックされる。スクリューロッド452の締め付けを解除すると、スクリューロッド452の下端がセグメント32の外面32aから離間し、セグメント32が押圧部451及びフック441a,442aから解放される。
【0169】
以上に説明したことを除いて、ガイド440Aとガイド440は同様に設けられている。
【符号の説明】
【0170】
31…主軸
32…セグメント
40,140,240,340,440,440A…ガイド
41,141,241,341,441…ガイド部材
42,142,242,342,442…サポート部材
50、150,250,350,450…ロック機構
98…ウエブ
99…コイル