(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091197
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ガイド
(51)【国際特許分類】
B65H 75/18 20060101AFI20230623BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20230623BHJP
B21C 47/28 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B65H75/18 Z
B65H75/14
B21C47/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205813
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】592103327
【氏名又は名称】伊達 興代
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊達 興代
【テーマコード(参考)】
3F058
4E026
【Fターム(参考)】
3F058AA04
3F058AB01
3F058AC08
3F058BB12
3F058DB03
3F058DB05
3F058DC02
3F058KA04
4E026FA09
(57)【要約】
【課題】セグメントに取り付けられたガイドの傾倒を防止する。
【解決手段】ウエブ98が巻回されてなるコイル99の中央の空洞においてコイル99の内周面に当てられるセグメント32に取り付けられるガイド140は、軸方向に厚みを有するよう平板状に設けられ、径方向の外側におけるセグメント32の外面に立てられ、セグメント32から径方向の外側に向かって設けられ、軸方向におけるコイルの端面32に当接するガイド部材141と、ガイド部材141に設けられ、ガイド部材141の底辺141hをセグメント32の外面32aに面接触させた状態にガイド部材141をセグメント32にロックするとともにそのロックが解除可能なロック機構150と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエブが巻回されてなるコイルの中央の空洞において前記コイルの内周面に当てられるセグメントに取り付けられるガイドであって、
軸方向に厚みを有するよう平板状に設けられ、径方向の外側における前記セグメントの外面に立てられ、前記セグメントから前記径方向の外側に向かって設けられ、前記軸方向における前記コイルの端面に当接するガイド部材と、
前記ガイド部材に設けられ、前記ガイド部材の底辺を前記セグメントの外面に面接触させた状態に前記ガイド部材を前記セグメントにロックするとともにそのロックが解除可能なロック機構と、
を備えるガイド。
【請求項2】
前記ロック機構が、
前記ガイド部材に対して相対的に前記径方向に移動可能に前記ガイド部材に取り付けられ、周方向における前記セグメントの両端部に引っ掛かり、前記径方向の外側に移動することによって前記ガイド部材の底辺との間に前記セグメントを挟み込み、前記径方向の内側に移動することによって前記セグメントの挟み込みを解放するフック部材と、
前記フック部材の前記径方向の外側において前記フック部材に連結されるバネと、
前記フック部材の前記径方向の外側において前記バネに設けられ、前記軸方向に平行な中心軸とした円孔を有するカムホルダと、
前記円孔に対して同軸となって前記円孔に嵌め込まれ、前記カムホルダに対して相対的に前記円孔の中心軸の回りに回転可能であるとともに、前記円孔の中心軸から偏心した偏心軸を中心にして前記径方向に揺動可能な偏心カムと、
を有する
請求項1に記載のガイド。
【請求項3】
前記ロック機構が、
開閉可能に前記ガイド部材に取り付けられ、閉じることによって、周方向における前記セグメントの両端部にそれぞれ引っ掛かるとともに前記ガイド部材の底辺との間に前記セグメントを挟み込み、開くことによって、前記セグメントの挟み込みを解放する一対のフック部材と、
前記一対のフック部材を開閉させるリンク機構と、
を有する
請求項1に記載のガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエブが巻回されてなるコイルの中央の空洞において前記コイルの内周面に当てられるセグメントに取り付けられ、前記コイルから繰り出される前記ウエブのエッジを案内するガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプレス加工ラインには、アンコイラ、レベラー及びプレス機が設置されている。アンコイラは、鋼製のウエブが巻回されてなるコイルを解いてウエブを繰り出すものである。レベラーは、アンコイラから供給されたウエブを矯正するものである。レベラーには、ウエブを間欠的に送りながらウエブを矯正するレベラーフィーダーがある。プレス機は、レベラーから供給されたウエブをプレス加工するものである。
【0003】
特許文献1の記載のアンコイラでは、マンドレルとも呼ばれるドラムがコイルの中央の空洞に装着されている。ドラムは、回転軸、複数のリンク機構及び複数のセグメントを有する。複数のセグメントは回転軸の径方向外側において周方向に一定間隔で並んでいる。セグメントはそれぞれリンク機構を介して回転軸に連結されている。リンク機構は径方向におけるセグメントの位置を調整するものである。セグメントの位置が径方向外側に調整されることによってドラムが拡径されると、セグメントがコイルの内周面に押し当てられて、これによりコイルがドラムに保持される。セグメントの位置が径方向内側に調整されることによってドラムが縮径されると、セグメントがコイルの内周面から離れて、コイルをドラムから取り外すことができる。
【0004】
各セグメントには、2体のフォークガイドが回転軸の軸方向に間隔を置いて着脱可能に支持される。これらフォークガイドは、セグメントの外面に立てられて、セグメントから径方向外側へ放射状に設けられている。コイルの端面がフォークガイドに接することによって、コイルが軸方向に解けないようになっている。また、ウエブのエッジがフォークガイドに接することによって、ウエブの幅方向の位置ずれが防止されて、ウエブがセンタリングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の技術では、フォークガイドは加工された金属製の角材からなるため、セグメントの外面とフォークガイドによって囲まれた領域が隙間となる。そのため、コイルの最も内側のウエブのエッジがセグメントの外面とフォークガイドによって囲まれた隙間に入り込み、これによりトラブルが発生することがある。トラブルとは、ウエブの繰り出しの最終段階でウエブがセグメントから離れないため、ウエブが逆向きに巻き取られることである。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ウエブがセグメントとガイドの間に入り込まないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための主たる発明は、ウエブが巻回されてなるコイルの中央の空洞において前記コイルの内周面に当てられるセグメントに取り付けられるガイドであって、軸方向に厚みを有するよう平板状に設けられ、径方向の外側における前記セグメントの外面に立てられ、前記セグメントから前記径方向の外側に向かって設けられ、前記軸方向における前記コイルの端面に当接するガイド部材と、前記ガイド部材に設けられ、前記ガイド部材の底辺を前記セグメントの外面に面接触させた状態に前記ガイド部材を前記セグメントにロックするとともにそのロックが解除可能なロック機構と、を備えるガイドである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロック機構がガイド部材の底辺をセグメントの外面に面接触させた状態にガイド部材をセグメントにロックするため、ウエブがセグメントとガイドの間に入り込まない。そのため、ウエブの繰り出しの最終段階ではウエブがセグメントから確実に離間し、ウエブが逆向きに巻き取られることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1実施形態のセグメント及びガイドを周方向から見る図面である。
【
図7】第1実施形態のガイドをセグメントに取り付ける際の正面図である。
【
図8】第1実施形態のガイドをセグメントに取り付ける際の正面図である。
【
図9】第1実施形態のガイドをセグメントに取り付ける際の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
1. リール装置
図1はリール装置1の正面図である。
リール装置1は、例えば鋼製、アルミニウム製又は銅製の帯状のウエブ98が巻回されてなるコイル99からウエブ98を繰り出したり、コイル99にウエブ98を巻き取ったりする装置である。リール装置1は、アンコイラ又はコイラと称呼されることもある。
【0013】
リール装置1はフレーム10、駆動部20、マンドレル30及び3対のガイド140を備える。
【0014】
フレーム10は、床等の設置面上に据え付けられている。
駆動部20は、フレーム10内に設けられている。駆動部20は、モータと、そのモータの動力をマンドレル30に伝動する伝動機構とを有する。モータは、ブレーキ付きモータである。
【0015】
マンドレル30は、その中心軸が水平に延びるようにして、その基部がフレーム10に回転可能に取り付けられている。マンドレル30の中心軸は、
図1の紙面に対して垂直な方向である。なお、以下では、マンドレル30の中心軸に対して平行な方向を軸方向といい、マンドレル30の中心軸に対して垂直な方向を径方向といい、マンドレル30の中心軸の回りの方向を周方向という。
【0016】
マンドレル30は、その径が縮小及び拡大可能に構成されている。マンドレル30がコイル99の中央の空洞99aに挿入された状態でマンドレル30が拡径することによって、コイル99がマンドレル30に固定される。マンドレル30が縮径することによって、コイル99がマンドレル30から取り外し可能となる。コイル99がマンドレル30に装着された状態では、ウエブ98及びコイル99の幅方向がマンドレル30の中心軸に対して平行となる。
【0017】
マンドレル30はフレーム10内において駆動部20に連結されている。マンドレル30は駆動部20によって回転駆動され、これにより、ウエブ98はコイル99から繰り出され、又はコイル99に巻き取られる。
【0018】
マンドレル30について詳細に説明する。
マンドレル30は、主軸31、3体のセグメント32及び3体の平行リンク機構33を有する。
【0019】
主軸31は、その基部がベアリング等を介してフレーム10に回転可能に取り付けられている。主軸31は、フレーム10の上部から水平に延び出ている。主軸31の基部が駆動部20に連結され、主軸31が駆動部20によって回転駆動される。主軸31は、コイル99の中央の空洞99aに挿入される。
【0020】
3体のセグメント32は、主軸31の周りの周方向に120°置きに配置されている。セグメント32は、軸方向に長尺な板状部材である。径方向外側におけるセグメント32の外面32aは、主軸31の中心軸を中心にした凸円弧状柱面に形作られている。セグメント32は、それぞれ平行リンク機構33を介して主軸31の外周に連結されている。平行リンク機構33は、油圧シリンダ等のアクチェータの動力を受けて動作する。平行リンク機構33は、セグメント32の姿勢を保った状態で、径方向におけるセグメント32の位置を調整する。セグメント32の位置が平行リンク機構33によって径方向外側に調整されると、マンドレル30が拡径する。セグメント32の位置が平行リンク機構33によって径方向内側に調整されると、マンドレル30が縮径する。
【0021】
マンドレル30が拡径して、コイル99がマンドレル30に固定された状態では、セグメント32の外面32aがコイル99の中央の空洞99aにおいてコイル99の内周面に当てられている。
【0022】
2. ガイド
図2に示すように、1体のセグメント32につき2体のガイド140が、軸方向に間隔を置いてセグメント32に取り付けられる。マンドレル30の先端から近位のガイド140とマンドレル30の先端から遠位のガイド140とは、軸方向において互いに逆向きにセグメント32に取り付けられる。ここで、
図2は、セグメント32及びガイド140を周方向から見る図面である。
【0023】
マンドレル30のセグメント32に取り付けられたガイド140は、セグメント32から径方向外側に向けて設けられている。マンドレル30に装着されたコイル99は、マンドレル30の先端から近位の3つのガイド140と、マンドレル30の先端から遠位の3つのガイド140との間に挟まれる。軸方向におけるコイル99の両端面がそれぞれガイド140によって支持され、ウエブ98がコイル99から軸方向に解かれないようになっている。また、コイル99から繰り出されるウエブ98のエッジがガイド140によって案内され、そのウエブ98の幅方向の位置ずれが防止される。
【0024】
図3~
図6を参照して、ガイド140について詳細に説明する。
図3及び
図4はガイド140の正面図である。
図5はガイド140の背面図である。
図6はガイド140の右側面図である。
図3はガイド140がセグメント32からロックが解除された状態を示し、
図4、
図5及び
図6はガイド140がセグメント32にロックされた状態を示す。
図3~
図6には、方向を表す補助線として前後方向、上下方向及び左右方向の矢印を付す。上下方向は、必ずしも鉛直方向ではない。ガイド140がセグメント32に装着された状態では、前後方向は軸方向に対して平行であり、上下方向は径方向に対して平行である。
【0025】
ガイド140は、ガイド部材141、サポート部材142及びロック機構150を備える。
【0026】
ガイド部材141は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。ガイド部材141の厚さ方向が前後方向となる。ガイド部材141の底辺141hは凹円弧状に形成されている。ガイド140がセグメント32に取り付けられた状態では、コイル99の端面が平板状のガイド部材141に面接触する。
【0027】
サポート部材142は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。サポート部材142はガイド部材141に対して前後に対向し、サポート部材142とガイド部材141が互いに平行になっている。サポート部材142がボルトによってガイド部材141に固定され、ボルトに外装された筒状スペーサがサポート部材142とガイド部材141との間に挟まれることによって、サポート部材142とガイド部材141の間の間隔が維持される。
【0028】
サポート部材142の底辺142hは凹円弧状に形成されている。サポート部材142の底辺142hの曲率がガイド部材141の底辺141hの曲率に等しく、前後方向に投影視してサポート部材142の底辺142hがガイド部材141の底辺141hに前後に重なっている。
【0029】
ガイド140がセグメント32に取り付けられた状態では、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hがセグメント32の外面32aに面接触する。その状態では、ガイド部材141及びサポート部材142は、セグメント32の外面32aに立てられて、セグメント32から径方向外側に向かって設けられている。
【0030】
手動式のロック機構150は、ガイド部材141とサポート部材142の間に設けられている。ロック機構150は、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hをセグメント32の外面32aに面接触させた状態にガイド部材141及びサポート部材142をセグメント32にロックして、ガイド部材141及びサポート部材142がセグメント32の外面32aに立てられた状態を保持するものである。ロック機構150は、セグメント32に対するガイド部材141及びサポート部材142のロックを解除可能なものである。
【0031】
ロック機構150は、フック部材151、2つのバネ152、2つのカムホルダ155、偏心カム156及びレバーハンドル157を有する。
【0032】
フック部材151は、前後方向に厚みを有した概略弓形型の鋼製平板からなる。フック部材151は、凹円弧状の底辺151hを有する。フック部材151は、フック部材151の底辺151hがガイド部材141及びサポート部材142の底辺に沿った姿勢で、ガイド部材141とサポート部材142の間に設けられている。フック部材151の左右の一部は、ガイド部材141とサポート部材142の間の隙間から側方に張り出している。
【0033】
フック部材151は、底辺151hの左右両端にフック151a,151bを有する。これらフック151a,151bは、フック部材151の底辺151hの左右両端から突出するとともに互いに向き合うように曲げられた鉤状に設けられている。右のフック151bとフック部材151の底辺151hによって囲まれたポケット151dは、左のフック151aとフック部材151の底辺151hによって取り囲まれたポケット151cよりも深い。フック151a,151bの先端の間の空所は、セグメント32が挿通される挿通部151eである。周方向におけるセグメント32の一方の端部32cが挿通部151eを通じてポケット151dに差し込まれた後に、周方向におけるセグメント32の他方の端部32bが挿通部151eを通じてポケット151cに差し込まれる。これにより、セグメント32の両端部32b,32cがフック151a,151bにそれぞれ引っ掛かる。
【0034】
フック部材151には、2つのスロット151fが形成されている。これらスロット151fは、上下方向(つまり、径方向)に延びている。スロット151fには、ピン141pが挿入されている。ピン141pはガイド部材141及びサポート部材142に固定されている。ピン141pがスロット151fによって上下方向に案内されることによって、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に上下に案内される。セグメント32の両端部32b,32cがフック151a,151bにそれぞれ引っ掛かった状態で、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に上方(つまり、径方向外側)に移動すると、セグメント32の外面32aがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たる。これにより、セグメント32の端部32bがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hとフック151aとの間に挟み込まれて拘束され、セグメント32の端部32cがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hとフック151bとの間に挟まれて拘束され。フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に下方(つまり、径方向内側)に移動すると、セグメント32の両端部32b,32cの挟み込みが解除される。
【0035】
左右方向におけるフック部材151の中央部は、2つのオーバル型のバネ152の間に前後方向に挟まれているとともに、ピン151pによってバネ152に回転可能に連結されている。フック部材151は、バネ152に対して相対的に、ピン151pを中心としてピン151pの回りに揺動可能なっている。
【0036】
バネ152は、ガイド部材141とサポート部材142との間において、フック部材151の上側(径方向外側)に配置されている。バネ152は、その基端が固定端としてカムホルダ155に固定されている。バネ152は、その基端からその先端にかけてオーバル型に曲げられた形状に設けられている。具体的には、バネ152は、カムホルダ155の右側部から右へ直線状に延びた直線部152aと、直線部152aの右端からフック部材151の方へ湾曲して折り返された湾曲部152bと、湾曲部152bの下端から左へ直線状に延びた直線部152cと、直線部152cの左端からフック部材151から離れる方へ湾曲して折り返された湾曲部152dと、湾曲部152dの上端から右へ直線状に延びた直線部152eと、を有する。バネ152の先端、つまり直線部152eの右端は、自由端としてカムホルダ155から切り離されている。なお、直線部152aの左端がバネ152の基端である。また、バネ152がピン151pによってフック部材151に連結される部分は、直線部152cの中間点である。
【0037】
バネ152が弾性変形可能であるため、カムホルダ155に対するフック部材151の相対的な面方向の動きが許容される。ここで、面方向とは、フック部材151の厚さ方向に垂直な方向である。
【0038】
2つのカムホルダ155は、ピン151pの上方(径方向外側)において、前後に互いに離間している。カムホルダ155は、バネ152の上側(径方向外側)において、ガイド部材141とサポート部材142との間に配置されている。カムホルダ155はバネ152と一体に形成されている。
【0039】
カムホルダ155には、円孔が形成されている。円柱状の偏心カム156が前後のカムホルダ155の円孔に同軸状に嵌め込まれ、偏心カム156の外周のカム面が円孔の内周面に接する。偏心カム156は、カムホルダ155に対して相対的に、偏心カム156及び円孔の中心軸の回りに回転可能となっている。偏心カム156は、偏心カム156及び円孔の中心軸に対して偏心した偏心軸156aによってガイド部材141及びサポート部材142に連結されている。円孔及び偏心カム156の中心軸及び偏心軸156aの中心軸は前後方向に対して平行であり、ガイド140がセグメント32に取り付けられた状態では、偏心軸156aの中心軸と偏心カム156及びカムホルダ155の円孔の中心軸が主軸31の中心軸に対して平行となる。
【0040】
偏心カム156は、偏心軸156aの回りに、ガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に上下方向に揺動可能となっている。偏心カム156は、偏心軸156aの回りに揺動することによって、カムホルダ155、バネ152及びフック部材151を上下方向(径方向)に移動させる。
【0041】
レバーハンドル157は、前後のカムホルダ155の間の隙間において、偏心カム156の外周に連結されている。レバーハンドル157は、ガイド部材141とサポート部材142の間の隙間から上へ張り出している。レバーハンドル157は、偏心軸156aを支点として、偏心軸156aの回りに揺動可能となっている。
【0042】
レバーハンドル157の揺動範囲はストッパ157a,157bによって設定されている。ストッパ157aは偏心軸156aの左上においてガイド部材141及びサポート部材142に固定されている。ストッパ157bは偏心軸156aの右上においてガイド部材141及びサポート部材142に固定されている。レバーハンドル157が
図3に示すように左に倒れてストッパ157aに当たると、レバーハンドル157の反時計回りの回転が規制される。レバーハンドル157が
図4に示すように右に倒れてストッパ157bに当たると、レバーハンドル157の時計回りの回転が規制される。
【0043】
レバーハンドル157がストッパ157aに当たった状態では、偏心カム156のカム面の頂点(偏心軸156aの中心軸から最も遠い点)がピン151pの中心軸から上に最も離れた上死点よりも下に位置する。そのため、フック部材151が上下の可動範囲の中で最も下に位置する。
【0044】
レバーハンドル157がストッパ157bに当たった状態では、偏心カム156のカム面の頂点がピン151pの中心軸から上に最も離れた上死点に位置する。そのため、フック部材151が上下の可動範囲の中で最も上に位置する。この状態では、フック部材151のフック151a,151bに引っ掛かったセグメント32がガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たり、セグメント32が拘束される。また、偏心カム156のカム面の頂点が上死点に位置するため、セグメント32がガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たった状態にロックされる。また、バネ152が弾性変形しており、バネ152の弾性力がフック部材151に作用して、フック151a,151bがセグメント32をガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに押し付ける締結力が生じる。
【0045】
3. ガイドの取り付け方法
ガイド140をセグメント32に取り付ける方法について説明する。
まず、
図7に示すように、レバーハンドル157を左に倒して、そのレバーハンドル157をストッパ157aに当てる。これにより、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に下に移動し、フック151a,151bがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hから下に離れる。
【0046】
ガイド140をセグメント32の径方向外側に位置させて、フック151a,151bをセグメント32の両端部32b,32c近傍に位置させる。また、ガイド部材141及びサポート部材142をセグメント32から径方向外側に向かった姿勢にする。
【0047】
次に、
図8に示すようにガイド140を右にずらしながら、ガイド140を右に傾動させる。これにより、セグメント32の端部32cをフック151aとフック151bの間に入れて、セグメント32の端部32cをガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに近づける。その状態からガイド140を
図9に示すように左にずらしながら、ガイド140を左に傾動させる。これにより、セグメント32の端部32cを右のポケット151dに挿入し、セグメント32の端部32cを右のフック151bに引っ掛ける。また、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hをセグメント32の外面32aに面接触させる。次に、
図3に示すように、ガイド140を右にずらしながら、ガイド140を右に傾動させて、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hをセグメント32から径方向外側に向かった姿勢にする。これにより、セグメント32の端部32bを左のポケット151cに挿入し、セグメント32の端部32bを左のフック151aに引っ掛ける。なお、
図3では、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hがセグメント32の外面32aから離れているが、接触してもよい。
【0048】
次に、
図4に示すように、レバーハンドル157を右に倒して、そのレバーハンドル157をストッパ157bに当てる。これにより、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に上(径方向外側)に移動し、フック151a、151bがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに近づく。そのため、セグメント32がフック部材151のフック151a,151bとガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hとの間に挟み込まれて、セグメント32が拘束される。また、偏心カム156のカム面の頂点が上死点に位置するため、径方向内向きの荷重がセグメント32からフック部材151に作用しても、偏心カム156が回転しない。よって、セグメント32の外面32aがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たった状態にセグメント32がガイド部材141及びサポート部材142にロックされる。
【0049】
4. ガイドの取り外し方法
ガイド140をセグメント32から取り外す方法について説明する。
まず、
図3に示すように、レバーハンドル157を左に倒して、そのレバーハンドル157をストッパ157aに当てる。これにより、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に下(径方向内側)に移動し、フック151a、151bがガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hから下に離れる。そのため、セグメント32の挟み込みが解消されて、セグメント32がフック151a,151bから解放される。
【0050】
次に、
図9に示すようにガイド140を左にずらして、セグメント32の端部32cを右のポケット151dの奥に入れるとともに、セグメント32の端部32bを左のポケット151cから抜いて、セグメント32の端部32bを左のフック151aから外す。その後、
図8に示すように、セグメント32の端部32cを右のポケット151dから抜きつつ、ガイド部材141及びサポート部材142をセグメント32から離す。そして、
図7に示すように、セグメント32の端部32cをフック151aとフック151bの間から抜く。
【0051】
5. 有利な効果
(1) ガイド部材141とサポート部材142が軸方向に互いに対向するよう互いに取り付けられ、ガイド部材141とサポート部材142が互いに支え合うため、セグメント32の外面32aに立てられたガイド部材141が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けず、ウエブ98の幅方向の位置が防止され、ウエブ98がセンタリングされる。
【0052】
(2) コイル99の端面が平板状のガイド部材141に面接触し、ウエブ98のエッジがウエブ98の長手方向に亘ってガイド部材141に接触する。つまり、ウエブ98のエッジがガイド部材141に局所的に当たっているわけではないため、ウエブ98のエッジの変形及び損傷を防止できるとともに、削りカス及び金属粉の発生も防止できる。
【0053】
(3) ガイド140は4箇所でセグメント32に支持される。1箇所目は、ガイド部材141の底辺141hがセグメント32の外面32aに接触する箇所である。2箇所目は、サポート部材142の底辺142hのセグメント32の外面32aに接触する箇所である。3箇所目及び4箇所目は、左右のフック151a,151bがセグメント32の外面32aの反対面に接触する箇所である。そのため、ガイド140がセグメント32に強固に固定される上、ガイド部材141が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けず、ウエブ98の幅方向の位置ずれが防止され、ウエブ98がセンタリングされる。
【0054】
(4) ガイド部材141の底辺141hが全体的にセグメント32の外面32aに面接触するため、ガイド部材141の自立の精度及び効果が高い。サポート部材142の底辺142hが全体的にセグメント32の外面32aに面接触するため、サポート部材142の自立の精度及び効果が高い。よって、ガイド部材141が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止でき、コイル99が軸方向に解けない。
【0055】
(5) ガイド部材141及びサポート部材142とは別にフック部材151が採用され、フック部材151がガイド部材141及びサポート部材142に対して相対的に移動することによって、セグメント32に対するガイド140のロック及びその解除がなされる。つまり、ガイド部材141及びサポート部材142の変形を利用せずとも、セグメント32に対するガイド140のロック及びその解除が実現される。そのため、ガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hを全体的にセグメント32の外面32aに接触させることができる。よって、ガイド部材141及びサポート部材142の自立の精度及び効果が高い。
【0056】
(6) フック部材151が径方向外側に移動することによって、ガイド部材141が変形することなく、ガイド部材241とセグメント32が互いに近づくため、ガイド部材141の底辺141hとセグメント32の外面32aの面接触が実現される。ガイド部材141の底辺141hがセグメント32の外面32aの面接触することで、ガイド部材141の底辺141hとセグメント32の外面32aの間に隙間が存在しない。のため、ウエブ98のエッジがガイド部材141とセグメント32との間に入り込むことがない。よって、ウエブ98の繰り出しの最終段階ではウエブ98がセグメント32から離間し、ウエブ98が逆向きに巻き取られることが防止される。
【0057】
(7) フック部材151のフック151a,151bに引っ掛かったセグメント32がガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たった状態では、偏心カム156のカム面の頂点が上死点に位置する。そのため、偏心カム156に回転力が発生せず、セグメント32がガイド部材141及びサポート部材142の底辺141h,142hに当たった状態にロックされる。
【0058】
〔第2の実施の形態〕
1. ガイド
図10~
図13を参照して、第2実施形態のガイド240について詳細に説明する。
図10及び
図11はガイド240の正面図である。
図12はガイド240の背面図である。
図13はガイド240の右側面図である。
図10はガイド240がセグメント32からロック解除された状態を示し、
図11、
図12及び
図13はガイド240がセグメント32にロックされた状態を示す。
図10~
図13には、方向を表す補助線として前後方向、上下方向及び左右方向の矢印を付す。ガイド240がセグメント32に装着された状態では、前後方向は軸方向に対して平行であり、上下方向は径方向に対して平行である。
【0059】
第2実施形態のガイド240は、第1実施形態のガイド140に代えて、セグメント32に取り付けられる。
【0060】
ガイド240は、ガイド部材241、サポート部材242及びロック機構250を備える。
【0061】
ガイド部材241は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。ガイド240がセグメント32に取り付けられた状態では、コイル99の端面が平板状のガイド部材241に面接触する。
【0062】
ガイド部材241の底辺241hは凹円弧状に形成されている。ガイド部材241は、その底辺241hの左右両端に誘導部241aを有する。誘導部241aは、これらの間に入り込むセグメント32をガイド部材241の底辺241hへ誘導する。
【0063】
サポート部材242は、前後方向(軸方句)に厚みを有した左右に対称な鋼製平板からなる。サポート部材242はガイド部材241に対して前後に対向し、サポート部材242とガイド部材241が互いに平行になっている。サポート部材242がボルト242bによってガイド部材241に固定され、ボルト242bに外装された筒状スペーサによってサポート部材242とガイド部材241の間の間隔が維持される。
【0064】
サポート部材242の底辺242hは凹円弧状に形成されている。サポート部材242の底辺242hの曲率がガイド部材241の底辺241hの曲率に等しく、前後方向に投影視してサポート部材242の底辺242hがガイド部材241の底辺241hに前後に重なっている。
【0065】
サポート部材242は、その底辺242hの左右両端に誘導部242aを有する。誘導部242aは、これらの間に入り込むセグメント32をサポート部材242の底辺242hへ誘導する。
【0066】
ガイド240がセグメント32に取り付けられた状態では、ガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hがセグメント32の外面32aに面接触する。その状態では、ガイド部材241及びサポート部材142は、セグメント32の外面32aに立てられて、セグメント32から径方向外側に向かって設けられている。周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cが左の誘導部241a,242aと右の誘導部241a,242aにそれぞれ当接するため、セグメント32に対するガイド部材241及びサポート部材142の周方向の動きが拘束される。
【0067】
手動式のロック機構250は、ガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hをセグメント32の外面32aに面接触させた状態にガイド部材241及びサポート部材242をセグメント32にロックして、ガイド部材241及びサポート部材242がセグメント32の外面32aに立てられた状態を保持するものである。ロック機構250は、セグメント32に対するガイド部材241及びサポート部材242のロックを解除可能なものである。
【0068】
ロック機構250は、それぞれ2つのフック部材251,252、従動リンク253,254、2つのドライブリンク255及びレバーハンドル257を有する。
【0069】
ドライブリンク255は、鋼製円盤からなる部材である。ドライブリンク255は、ガイド部材141とサポート部材142との間において、ガイド部材141とサポート部材142の厚み方向に平行な回転軸の回りに回転可能にガイド部材141及びサポート部材142に取り付けられている。ドライブリンク255の回転軸の位置はガイド部材141の左右中央部である。
【0070】
従動リンク253,254の一端は、2つのドライブリンク255に挟まれた状態で、それぞれジョイント253a,254aによってドライブリンク255に回転可能にそれぞれ連結されている。左側のジョイント253aと右側のジョイント254aの間の中間点がドライブリンク255の回転軸の位置となる。左側の従動リンク253はジョイント253aから左に延び、右側の従動リンク254はジョイント254aから右に延びる。
【0071】
左側の従動リンク253の他端は、2つの左側のフック部材251の一端に挟まれた状態で、ジョイント253bによってフック部材251の一端に回転可能に連結されている。右側の従動リンク254の他端は、2つの右側のフック部材252の一端に挟まれた状態で、ジョイント254bによってフック部材252の一端に回転可能に連結されている。
【0072】
左側のフック部材251は、ジョイント253bから下に延びている。左側のフック部材251の中間部は、支点軸251bによってガイド部材241及びサポート部材242の左部に回転可能に連結されている。左側のフック部材251の他端には、フック251aが設けられている。
【0073】
右側のフック部材252は、ジョイント254bから下に延びている。右側のフック部材252の中間部は、支点軸252bによってガイド部材241及びサポート部材242の右部に回転可能に連結されている。右側のフック部材252の他端には、フック252aが設けられている。右側のフック部材252のフック252aと左側のフック部材251のフック251aは、互いに向き合うように曲げられた鉤状に設けられている。
【0074】
ドライブリンク255及び従動リンク253からなるリンク機構は、左右のフック部材251,252を揺動させて、フック部材251,252のフック251a,252aを開閉させる機構である。ドライブリンク255が回転することによって、左右のフック部材251,252がそれぞれ支点軸251b,252bの回りに揺動し、左右のフック251a,252aが開閉する。左右のフック251a,252aが閉じた状態では、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cが左右のフック251a,252aにそれぞれ引っ掛かる。左右のフック251a,252aが開いた状態では、セグメント32がフック251a,252aから解放される。
【0075】
ドライブリンク255の回転軸はレバーハンドル257に連結されている。レバーハンドル257が回転することによってドライブリンク255が回転する。
【0076】
2. ガイドの取り付け方法
ガイド240をセグメント32に取り付ける方法について説明する。
まず、
図10に示すように、レバーハンドル257を反時計回りに回転させると、左側の従動リンク253がドライブリンク255によって右に引かれ、右側の従動リンク254がドライブリンク255によって左に引かれる。そのため、左側のフック部材251が支点軸251bを中心にして時計回りに揺動して、左側のフック251aが左側の誘導部241a,242aの間に引き込む。一方、右側のフック部材252が支点軸252bを中心にして反時計回りに揺動して、右側のフック252aが右側の誘導部241a、242aの間に引き込む。このようにフック251a,252aが互いに逆向きに揺動することによって、左右のフック251a,252aが開く。
【0077】
なお、
図10に示すようにフック251a,252aが開いた状態では、左のジョイント253aは支点軸251bとドライブリンク255の回転軸とを結ぶ線よりも反時計回りの方に位置し、右のジョイント254aは支点軸252bとドライブリンク255の回転軸とを結ぶ線よりも反時計回りの方に位置する。
【0078】
次に、ガイド240をセグメント32の径方向外側に位置させる。そして、セグメント32を左右の誘導部241a,242aの間に入れて、ガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hをセグメント32の外面32aに面接触させる。
【0079】
次に、
図11に示すように、レバーハンドル257を時計回りに回転させると、左側の従動リンク253がドライブリンク255によって左に押され、右側の従動リンク254がドライブリンク255によって右に押される。そのため、左側のフック部材251が支点軸251bを中心にして反時計回りに揺動して、左側のフック251aが左側の誘導部241a,242aの間から右に突出する。一方、右側のフック部材252が支点軸252bを中心にして時計回りに揺動して、右側のフック252aが右側の誘導部241a、242aの間から左に突出する。このようにフック部材251,252が互いに逆向きに揺動することによって、左右のフック251a,252aが閉じる。そのため、周方向におけるセグメント32の両端部32b,32cが左右のフック251a,252aにそれぞれ引っ掛かって、セグメント32がガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hとフック251a,252aとの間に挟み込まれて拘束される。
【0080】
図11に示すようにフック251a,252aが閉じた状態では、左のジョイント253aは支点軸251bとドライブリンク255の回転軸とを結ぶ線よりも時計回りの方に位置し、右のジョイント254aは支点軸252bとドライブリンク255の回転軸とを結ぶ線よりも反時計回りの方に位置する。そのため、セグメント32から左のフック251aに作用する荷重によってドライブリンク255に生じるトルク(このトルクの向きは、
図11中、時計回りの向きである。)は、セグメント32から右のフック252aに作用する荷重によってドライブリンク255に生じるトルク(このトルクの向きは、
図11中、反時計回りの向きである。)によって相殺される。よって、フック251a,252aが閉じた状態にロックされ、セグメント32がガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hとフック251a,252aとの間に挟まれた状態が保持される。
【0081】
3. ガイドの取り外し方法
ガイド240をセグメント32から取り外す方法について説明する。
図10に示すように、レバーハンドル257を反時計回りに回転させると、左側のフック部材251が支点軸251bを中心にして時計回りに揺動して、左側のフック251aが左側の誘導部241a,242aの間に引き込む。一方、右側のフック部材252が支点軸252bを中心にして反時計回りに揺動して、右側のフック252aが右側の誘導部241a,242aの間に引き込む。このようにフック251a,252aが互いに逆向きに揺動することによって、左右のフック251a,252aが開く。そのため、セグメント32がフック251a,252aから解放される。
【0082】
その後、ガイド240をセグメント32から径方向外側に離して、セグメント32を左の誘導部241a,242aと右の誘導部241a,242aの間から抜く。
【0083】
4. 有利な効果
(1) ガイド部材241とサポート部材242が軸方向に互いに対向するよう互いに取り付けられ、ガイド部材241とサポート部材242が互いに支え合う。そのため、ガイド部材241が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けない。
【0084】
(2) ウエブ98のエッジがウエブ98の長手方向に亘って平板状のガイド部材241に接触するため、ウエブ98のエッジの変形及び損傷を防止できるとともに、削りカス及び金属粉の発生も防止できる。
【0085】
(3) ガイド240は4箇所でセグメント32に支持される。1箇所目は、ガイド部材241の底辺241hがセグメント32の外面32aに接触する箇所である。2箇所目は、サポート部材242の底辺142hのセグメント32の外面32aに接触する箇所である。3箇所目及び4箇所目は、フック251a,252aがセグメント32の外面32aの反対面に接触する箇所である。そのため、ガイド240がセグメント32に強固に固定される上、ガイド部材141が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止できる。よって、コイル99が軸方向に解けない。
【0086】
(4) ガイド部材241の底辺241hが全体的にセグメント32の外面32aに面接触するため、ガイド部材241の自立の精度及び効果が高い。サポート部材242の底辺242hが全体的にセグメント32の外面32aに面接触するため、サポート部材242の自立の精度及び効果が高い。そのため、ガイド部材241が径方向に対して軸方向に傾倒することを防止でき、コイル99が軸方向に解けない。
【0087】
(5) ガイド部材241及びサポート部材242の変形を利用せずとも、フック部材251,252によってロック及びロック解除が実現される。そのため、ガイド部材241及びサポート部材242の底辺241h,242hを全体的にセグメント32の外面32aに面接触させることができる。よって、ガイド部材241及びサポート部材242の自立の精度及び効果が高い。
【0088】
(6) フック251a,252aが閉じることによって、ガイド部材241が変形することなく、ガイド部材241とセグメント32が互いに近づくため、ガイド部材241の底辺241hとセグメント32の外面32aの面接触が実現される。ガイド部材241の底辺241hがセグメント32の外面32aの面接触することで、ガイド部材241の底辺241hとセグメント32の外面32aの間に隙間が存在しない。そのため、ウエブ98のエッジがガイド部材241とセグメント32との間に入り込むことがない。よって、ウエブ98の繰り出しの最終段階ではウエブ98がセグメント32から確実に離間し、ウエブ98が逆向きに巻き取られることが防止される。
【0089】
(7) フック251a,252aが閉じた状態では、セグメント32から左のフック251aに作用する荷重によってドライブリンク255に生じるトルクが、セグメント32から右のフック252aに作用する荷重によってドライブリンク255に生じるトルクによって相殺される。よって、フック251a,252aが閉じた状態にロックされ、ガイド240がセグメント32に固定される。
【符号の説明】
【0090】
31…主軸
32…セグメント
140,240…ガイド
141,241…ガイド部材
142,242…サポート部材
150,250…ロック機構
151,251,252…フック部材
152…バネ
155…カムホルダ
156…偏心カム
156a…偏心軸
253,254…従動リンク
255…ドライブリンク
98…ウエブ
99…コイル