(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009124
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】ロボット手術装置、システム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20230112BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J9/06 E
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176701
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2019512954の分割
【原出願日】2017-05-18
(31)【優先権主張番号】62/338,375
(32)【優先日】2016-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518408589
【氏名又は名称】バーチャル インシジョン コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】VIRTUAL INCISION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ファリター、シェーン
(72)【発明者】
【氏名】オレイニコフ、ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラネッリ、サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】シャショ、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ピー アレン、エレアノーラ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707BS26
3C707HT21
3C707KT01
3C707KT04
3C707KT15
(57)【要約】
【課題】種々のカメラシステムを受け入れるように構成されたカメラ用ルーメンを有する所定のシステムを備える、種々のロボット手術システムを提供すること。
【解決手段】ロボット手術装置は、長尺状構造体と、第1の肩関節と、第2の肩関節と、第1の肩関節に操作可能に結合される第1のロボットアームと、第2の肩関節に操作可能に結合される第2のロボットアームを備える。第1のロボットアーム及び第2のロボットアームは、長尺状構造体の前側から後側まで延びる作業スペースにおいて移動可能である。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット手術装置であって、
(a)該ロボット手術装置は長尺状構造体を備え、
(b)該ロボット手術装置は前記長尺状構造体の遠位端に操作可能に結合される第1の肩関節を備え、前記第1の肩関節は、
(i)第1のシャフトと、
(ii)前記第1のシャフトの回転によって駆動される第1のギア対と、
(iii)前記第1のギア対によって駆動される第2のギア対と
を備え、
(c)該ロボット手術装置は前記長尺状構造体の遠位端に操作可能に結合される第2の肩関節を備え、前記第2の肩関節は、
(i)第2のシャフトと、
(ii)前記第2のシャフトの回転によって駆動される第3のギア対と、
(iii)前記第3のギア対によって駆動される第4のギア対と
を備え、
(d)該ロボット手術装置は前記第1の肩関節に操作可能に結合される第1のロボットアームを備え、
(e)該ロボット手術装置は前記第2の肩関節に操作可能に結合される第2のロボットアームを備え、
前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームは、前記長尺状構造体の前側から後側まで延びる作業スペースにおいて移動可能である、ロボット手術装置。
【請求項2】
前記作業スペースは、前記長尺状構造体の前記前側から前記後側まで180°延びる、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項3】
少なくとも1つのアクチュエータを備える、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項4】
前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームは、前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームのそれぞれの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項5】
前記長尺状構造体に画定されたルーメンを介して配置されるカメラ構成要素を更に備える、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項6】
前記カメラ構成要素は、高さ調節式カメラであるように構成される、請求項5に記載のロボット手術装置。
【請求項7】
前記カメラ構成要素は、ピッチ運動及びヨー運動が可能であるように構成され及び配置される、請求項5に記載のロボット手術装置。
【請求項8】
前記カメラ構成要素は、規定された作業スペースに向くように構成された先端を備える、請求項5に記載のロボット手術装置。
【請求項9】
前記カメラ構成要素は、少なくとも1つの照明を備える、請求項5に記載のロボット手術装置。
【請求項10】
第1のエンドエフェクタ及び第2のエンドエフェクタを更に備える、請求項1に記載のロボット手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示される実施形態は、ロボット及び/又は生体内医療装置並びに関連する構成要素を含む、種々の医療装置及び関連する構成要素に関する。ある実施形態は、体腔内に配置され、かつ、体腔の孔又は開口部を通して配置された支持構成要素を用いて位置決めされるロボット装置を含む、種々のロボット医療装置を含む。更なる実施形態は、上記装置を操作するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
侵襲性外科的処置は、様々な病態に対処するために必須である。可能な場合、腹腔鏡検査法などの低侵襲処置が好ましい。
しかしながら、腹腔鏡検査法などの既知の低侵襲技術は、適用範囲が限定されており、かつ、複雑であるが、これは、1)アクセスポートを通して挿入される剛性のツールを用いることにより生じる可動性制約と、2)不十分な視覚フィードバックに部分的に起因する。da Vinci(登録商標)手術システム(カリフォルニア州サニーベールに所在のインテュイティブサージカル社(Intuitive Surgical,Inc.)から入手可能)などの既知のロボットシステムも、アクセスポートによって制限されるのみならず、非常に大型で非常に高価であり、ほとんどの病院で利用できず、感覚性能及び可動性能が限定されるという更なる欠点を有する。
【発明の概要】
【0003】
本技術分野では、改良された外科的方法、システム及び装置の必要性が存在する。
本明細書に記載されるのは、種々のカメラシステムを受け入れるように構成されたカメラ用ルーメンを有する所定のシステムを備える、種々のロボット手術システムである。更なる実施形態は、腔の送気を維持しながら患者の腔内に種々の手術装置を挿入するために使用されるように構成された外科用挿入装置に関する。
【0004】
一例では、前側と、後側と、遠位端と、近位端とを備える装置本体と、装置本体の遠位端に動作可能に連結された第1の肩関節及び第2の肩関節と、第1の肩関節に動作可能に連結された第1のロボットアームと、第2の肩関節に動作可能に連結された第2のロボットアームとを備えるロボット手術装置と、可撓性セクションと遠位撮像器とを備えるカメラ構成要素とを備え、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームは、本体の前側又は後側に位置するように構成され、配置される、ロボット手術システムである。
【0005】
具体例は、以下の特徴の1つ以上を備え得る。前記ロボット手術装置は、少なくとも1つのアクチュエータを備える、ロボット手術システムである。前記第1のロボットアーム及び第2のロボットアームは、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームのそれぞれの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、ロボット手術システムである。前記ロボット手術装置のリモートセンサを行うように構成された支持装置を更に備える、ロボット手術システムである。手術コンソールを更に備える、ロボット手術システムである。前記カメラは、ロボット手術装置内に画定されたルーメンを介して配置されている、ロボット手術システムである。前記カメラは、高さ調節式カメラであるように構成される、ロボット手術システムである。前記カメラは、ピッチ及びヨーが可能であるように構成され、配置される、ロボット手術システムである。前記遠位カメラ先端は、画定された作業スペースの方に向くように構成される、ロボット手術システムである。前記カメラは、照明を備える、ロボット手術システムである。前記ロボット手術装置は、第1のエンドエフェクタ及び第2のエンドエフェクタを更に備える、ロボット手術システムである。前記第1のロボットアームは、上腕と前腕とを更に備える、ロボット手術システムである。前記第1のロボットアームは、第1のアームの上腕と、第1のアームの肘関節と、第1のアームの下腕とを更に備え、第1のアームの上腕は、第1の肩関節に対して相対的にロール、ピッチ、及びヨーが可能であるように構成されるとともに、第1のアームの下腕は、第1のアームの肘関節により、第1のアームの上腕に対して相対的にヨーが可能であるように構成される、ロボット手術システムである。前記第1のロボットアームは、第1のロボットアームの内部に配置された少なくとも1つの第1のアームアクチュエータを更に備える、ロボット手術システムである。前記第2のロボットアームは、第2のアームの上腕と、第2のアームの肘関節と、第2のアームの下腕とを更に備え、第2のアームの上腕は、第2の肩関節に対して相対的にロール、ピッチ、及びヨーが可能であるように構成されるとともに、第2のアームの下腕は、第2のアームの肘関節により、第2のアームの上腕に対して相対的にヨーが可能であるように構成される、ロボット手術システムである。前記第2のロボットアームは、第2のロボットアームの内部に配置された少なくとも1つの第2のアームアクチュエータを更に備える、ロボット手術システムである。前記第1のアーム及び第2のアームは、各アームの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、ロボット手術システムである。前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームの少なくとも1つの内部に配置されており、かつ、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの少なくとも1つと操作可能に接続している少なくとも1つのPCBを更に備え、PCBは、ヨー機能及びピッチ機能を実行するように構成される、ロボット手術システムである。
【0006】
一例は、遠位端と、近位端と、前側と、後側とを備える装置本体と、装置本体の遠位端に動作可能に連結された第1の肩関節及び第2の肩関節と、第1の肩関節に動作可能に連結された第1のロボットアームと、第2の肩関節に動作可能に連結された第2のロボットアームとを備えるロボット手術装置と、カメラ構成要素であって、シャフトと、撮像器と、撮像器をシャフトに動作可能に連結する可撓性セクションとを備えるカメラ構成要素とを備え、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームは、本体の前側又は後側に位置するように構成され、配置される、ロボット手術システムを備える。具体例は、以下の特徴の1つ以上を備え得る。第1のロボットアームは、上腕と前腕とを更に備える、ロボット手術システムである。前記第1のロボットアームは、第1のアームの上腕と、第1のアームの肘関節と、第1のアームの下腕とを更に備え、第1のアームの上腕は、第1の肩関節に対して相対的にロール、ピッチ、及びヨーが可能であるように構成されるとともに、第1のアームの下腕は、第1のアームの肘関節により、第1のアームの上腕に対して相対的にヨーが可能であるように構成される、ロボット手術システムである。前記第1のロボットアームは、第1のロボットアームの内部に配置された少なくとも1つの第1のアームアクチュエータを更に備える、ロボット手術システムである。第2のロボットアームは、第2のアームの上腕と、第2のアームの肘関節と、第2のアームの下腕とを更に備え、第2のアームの上腕は、第2の肩関節に対して相対的にロール、ピッチ、及びヨーが可能であるように構成されるとともに、第2のアームの下腕は、第2のアームの肘関節により、第2のアームの上腕に対して相対的にヨーが可能であるように構成される、ロボット手術システムである。前記第2のロボットアームは、第2のロボットアームの内部に配置された少なくとも1つの第2のアームアクチュエータを更に備える、ロボット手術システムである。前記第1のアーム及び第2のアームは、各アームの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、ロボット手術システムである。前記第1のロボットアーム又は第2のロボットアームの少なくとも1つの内部に配置されており、かつ、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの少なくとも1つと操作可能に接続している少なくとも1つのPCBを更に備え、PCBは、ヨー機能及びピッチ機能を実行するように構成される、ロボット手術システムである。記載される技術の具体例は、ハードウェア、方法若しくはプロセス、又はコンピュータアクセス可能媒体上のコンピュータソフトウェアを備え得る。
【0007】
別の例は、装置本体であって、遠位端と、近位端と、前記装置本体内に画定されたカメラ用ルーメンとを備え、該カメラ用ルーメンは、装置本体の近位端における近位ルーメン開口部と、近位ルーメン開口部から遠位側に画定され、かつ、第1の直径と第1のカップリング構成要素とを備えるソケット部と、ソケット部から遠位側に画定され、かつ、第2の小直径を有する伸張部と、前記装置本体の前記遠位端において伸張部の遠位端に画定された遠位側ルーメン開口部とを備えるカメラ用ルーメンと、を備える、前記装置本体と、装置本体の遠位端に動作可能に連結された第1の肩関節及び第2の肩関節と、第1の肩関節に動作可能に連結された第1のロボットアームと、第2の肩関節に動作可能に連結された第2のロボットアームとを備えるロボット手術装置と、ハンドルに動作可能に連結された長尺の管を備えるカメラ構成要素であって、長尺の管は、伸張部を通して配置可能であるように構成されるとともに寸法設定されており、長尺の管は、シャフトと、撮像器と、光学セクションを剛性セクションに動作可能に連結する可撓性セクションであって、長尺の管は、カメラ構成要素がカメラ用ルーメンを介して配置されると、少なくとも光学セクションが遠位側ルーメン開口部から遠位側に延びるように構成されるような長さを有する、可撓性セクションとを備える、カメラ構成要素とを備えるロボット手術システムを備える。
【0008】
具体例は、以下の特徴の1つ以上を備え得る。第1のアーム及び第2のアームは、各アームの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、ロボット手術システムである。第1のロボットアーム又は第2のロボットアームの少なくとも1つの内部に配置されており、かつ、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの少なくとも1つと操作可能に接続している少なくとも1つのPCBを更に備え、PCBは、ヨー機能及びピッチ機能を実行するように構成される、ロボット手術システムである。
【0009】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の例証的な実施形態を示しかつ、記載する以下の詳細な説明から本発明の更なる他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。実現されるように、本発明は、全て本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく種々の自明の態様の修正が可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示であり、限定ではないと考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】カメラのない、
図2の具体例のロボットの斜視図。
【
図4】ロボットのない、
図2の具体例のカメラの斜視図。
【
図5B】アーム及びカメラが「挿入」位置にある、
図5Aの実施形態の正面図。
【
図6A】一実施形態による、アームの種々の作業スペースを示す、手術装置の斜視図。
【
図6B】1つのアームの作業スペースを示す、
図6Aの手術装置の更なる斜視図。
【
図7A】一実施形態によるアームの運動の領域及び対応する作業スペースを示す、一実施形態によるロボットの側面図。
【
図7B】アームの運動の領域及び対応する作業スペースを示す、
図7Aの具体例の上面図。
【
図7C】アームの運動の領域及び対応する作業スペースを示す、
図7Aの具体例の斜視図。
【
図8A】一実施形態による、装置の前方及び後方へのアームの位置決めを示す、手術装置の一具体例の後部斜視図。
【
図8B】いくつかの可能なアーム位置を示す、
図8Aの装置の背面図。
【
図9】中央の「下がった」作業位置に向けられたカメラ及びアームを示す、一実施形態による手術装置の斜視図。
【
図10】中央の「上がった」位置にあるアームを示す
図9の装置の正面図。
【
図11】「下がった」位置にあるアームを示す、一実施形態による手術装置の斜視図。
【
図12-1】一具体例による手術装置を示し、
図12Aは、手術装置の上面図、
図12Bは、別の具体例による手術装置の上面図、
図12Cは、一具体例による手術装置の正面図、
図12Dは、別の具体例による手術装置の正面図。
【
図12-2】一具体例による手術装置を示し、
図12Eは、手術装置の側面図、
図12Fは、別の具体例による手術装置の側面図。
【
図13】一実施形態による手術装置の斜視図であって、
図13Aは、第1の関節の運動を示し、
図13Bは、第2の関節の運動を示し、
図13Cは、第3の関節の運動を示し、
図13Dは、4の関節の運動を示す。
【
図14】一具体例による、内部構成要素を示す手術ロボット装置の斜視図。
【
図15】一実施形態による、本体及び肩部の内部構成要素を示す正面図。
【
図16】一実施形態による、本体の内部構成要素を示す斜視図。
【
図17】一実施形態による、肩部の内部構成要素を示す斜視図。
【
図18】一実施形態による、肩部の内部構成要素を示す側面図。
【
図19】一実施形態による、本体及び肩部の内部構成要素を示す反転斜視図。
【
図20】一実施形態による、上腕の内部構成要素を示す斜視図。
【
図21】一実施形態による、上腕の更なる内部構成要素を示す斜視図。
【
図22】一実施形態による、上腕の更なる内部構成要素を示す正面図。
【
図23】一実施形態による、上腕の更なる内部構成要素を示す斜視図。
【
図24】一実施形態による、下腕の内部構成要素を示す斜視図。
【
図25】一実施形態による、上腕の更なる内部構成要素を示す斜視図。
【
図26】一実施形態による、上腕の更なる内部構成要素を示す斜視図。
【
図27】一実施形態による、上腕の更に別の内部構成要素を示す斜視図。
【
図28-1】一実施形態による、関節式カメラを有する手術装置を示し、
図28Aは、同手術装置の前部斜視図、
図28Bは、種々の可能な運動を示す、
図28Aのカメラの拡大斜視図。
【
図28-2】一実施形態による、調節可能な深さを有するロボット装置及びカメラを示し、
図28Cは、同ロボット装置及びカメラの正面図、
図28Dは、「上」位置にあるカメラを示す、一具体例による、調節可能な深さ機構を示す装置ルーメン及びカメラシャフトの拡大図、
図28Eは、
図28C及び
図28Dの具体例による、ロボット及びカメラの正面図。
【
図28-3】一実施形態による、調節可能な深さを有するロボット装置及びカメラを示し、
図28Fは、同ロボット装置及びカメラの正面図、
図28Gは、「下」位置にあるカメラを示す、一具体例による、調節可能な深さ機構を示す装置ルーメン及びカメラシャフトの拡大図、
図28Hは、
図28F及び
図28Gの具体例による、ロボット及びカメラの正面図。
【
図28-4】一実施形態による本体ルーメンを示し、
図28Iは、同本体ルーメンの断面図。
【
図31】
図31A~
図31Fは、別の具体例による、様々な可能な位置における、手術装置及び30度カメラを示す図。
【
図33】
図33A~
図33Cは、一具体例による、「Sスコープ」構成を有する、様々な可能な位置における手術装置及びカメラを示す図。
【
図34C】関節式カメラ先端の更に別の具体例の図。
【
図35】
図35A~
図35Cは、いくつかの実施形態による、種々の位置間におけるカメラの運動を示す、手術装置及びカメラの側面図。
【
図37】一具体例による、支持構造体上の手術装置の正面図。
【
図38】一具体例による、支持構造体上の手術装置の斜視図。
【
図39】一具体例による、挿入点における手術装置の断面図。
【
図40A】一具体例による、支持構造体上の手術装置の斜視図。
【
図40B】一具体例による、支持構造体上の手術装置の側面図。
【
図41A】一具体例による、支持構造体上の手術装置の斜視図。
【
図43】一具体例による、更に別の支持構造体上の手術装置の側面図。
【
図44】別の具体例による、支持構造体上の手術装置の更に別の斜視図。
【
図45】別の具体例による、支持ロボット上の手術装置の斜視図。
【
図46】別の具体例による、支持ロボット上の手術装置の斜視図。
【
図47】別の具体例による、ボールジョイント式支持構造体上の手術装置の斜視図。
【
図49】一具体例による、手術装置を位置決めしている支持構造体の斜視図。
【
図50A】一具体例による、手術装置を位置決めしている別の支持構造体の斜視図。
【
図50B】一具体例による、手術装置を位置決めしている別の支持構造体の側面図。
【
図50C】一具体例による、手術装置を位置決めしている別の支持構造体の側面図。
【
図50D】一具体例による、手術装置を位置決めしている別の支持構造体の側面図。
【
図51】一具体例による、手術装置を位置決めしている別の支持構造体の斜視図。
【
図55】一具体例による手術システムの別の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中に開示される種々のシステム及び装置は、医療処置及びシステムで使用するための装置に関する。より具体的には、種々の実施形態は、ロボット装置並びに関連する方法及びシステムを含む種々の医療装置に関する。
【0012】
本明細書中に開示されるロボット装置並びに関連する方法及びシステムの種々の実施形態は、いずれかの他の周知の医療装置、システム、及び方法に組み込むことができるか、又はいずれかの他の周知の医療装置、システム、及び方法とともに使用することができると理解される。
【0013】
本明細書中に開示されるロボット装置並びに関連する方法及びシステムの種々の実施形態は、いずれかの他の周知の医療装置、システム、及び方法に組み込むことができるか、又はいずれかの他の周知の医療装置、システム、及び方法とともに使用することができると理解される。例えば、本明細書中に開示される種々の実施形態は、同時係属中の米国特許出願第11/766,683号明細書(2007年6月21日に出願され、「Magnetically Coupleable Robotic Devices and Related Methods」という名称である)、米国特許出願第11/766,720号明細書(2007年6月21日に出願され、「Magnetically Coupleable Surgical Robotic Devices and Related Methods」という名称である)、米国特許出願第11/966,741号明細書(2007年12月28日に出願され、「Methods,Systems,and Devices for Surgical Visualization and Device Manipulation」という名称である)、米国特許出願第61/030,588号明細書(2008年2月22日に出願)、米国特許出願第12/171,413号明細書(2008年7月11日に出願され、「Methods and
Systems of Actuation in Robotic Devices」という名称である)、米国特許出願第12/192,663号明細書(2008年8月15日に出願され、「Medical Inflation,Attachment,and Delivery Devices and Related Methods」という名称である)、米国特許出願第12/192,779号明細書(2008年8月15日に出願され、「Modular and Cooperative Medical
Devices and Related Systems and Methods」という名称である)、米国特許出願第12/324,364号明細書(2008年11月26日に出願され、「Multifunctional Operational Component for Robotic Devices」という名称である)、米国特許出願第61/640,879号明細書(2012年5月1日に出願)、米国特許出願第13/493,725号明細書(2012年6月11日に出願され、「Methods,Systems,and Devices Relating to Surgical End Effectors」という名称である)、米国特許出願第13/546,831(2012年7月11日に出願され、「Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods」という名称である)、米国特許出願第61/680,809号明細書(2012年8月8日に出願)、米国特許出願第13/573,849号明細書(2012年10月9日に出願され、「Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods」という名称である)、米国特許出願第13/738,706号明細書(2013年1月10日に出願され、「Methods,Systems,and Devices for Surgical Access and Insertion」という名称である)、米国特許出願第13/833,605号明細書(2013年3月15日に出願され、「Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods」という名称である)、米国特許出願第13/839,422号明細書(2013年3月15日に出願され、「Single Site Robotic Devices and Related Systems and Methods」という名称である)、米国特許出願第13/834,792号明細書(2013年3月15日に出願され、「Local Control Robotic Surgical Devices and Related Methods」という名称である)、米国特許出願第14/208,515号明細書(2014年3月13日に出願され、「Methods,Systems,and Devices Relating to Robotic Surgical Devices,End
Effectors,and Controllers」という名称である)、米国特許出願第14/210,934号明細書(2014年3月14日に出願され、「Methods,Systems,and Devices Relating to Force Control Surgical Systems」という名称である)、米国特許出願公開第14/212,686号明細書(2014年3月14日に出願され、「Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods」という名称である)、及び米国特許出願第14/334,383号明細書(2014年7月17日に出願され、「Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods」という名称である)、及び米国特許第7,492,116号明細書(2007年10月31日に出願され、「Robot for Surgical Applications」という名称である)、米国特許第7,772,796号明細書(2007年4月3日に出願され、「Robot for Surgical Applications」という名称である)、及び米国特許第8,179,073号明細書(2011年5月15日に発行済みの、「Robotic Devices with Agent Delivery Components and Related Methods」という名称である)、米国特許出願公開第2016/0074120号明細書(2015年9月14日に出願され、「Quick-Release End Effectors and Related Systems and Methods」という名称である)、米国特許出願公開第2016/0135898号明細書(2015年11月11日に出願され、「Robotic Device with Compact Joint Design and
Related Systems and Methods」という名称である)、米国特許出願第15/227,813号明細書(2016年8月3日に出願され、「Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods」という名称である)、米国仮特許出願第62/379,344号明細書(2016年8月25日に出願され、「Quick-Release End Effector Tool Interface and Related Systems and Methods」という名称である)、米国仮特許出願第62/425,149号明細書(2016年11月22日に出願され、「Improved Gross Positioning Device and Related Systems and Methods」という名称である)、米国仮特許出願第62/427,357号明細書(2016年11月29日に出願され、「Controller with User Presence Detection and Related Systems and Methods」という名称である)、米国仮特許出願第62/433,837号明細書(2016年12月14日に出願され、「Releasable Attachment Device for Coupling to Medical Devices and Related Systems and Methods」という名称である)、及び米国仮特許出願第62/381,299号明細書(2016年8月30日に出願され、「Robotic Device with Compact Joint Design and an Additional Degree of Freedom and Related Systems and Methods」という名称である)に開示される医療装置及びシステムのいずれにも組み込むことができるか、又はそれらとともに使用可能であり、これらは、全て参照により全体が本明細書中に援用される。
【0014】
上掲の上記出願に開示される所定の装置と、システムを具現したものとは、本明細書中に開示されるものと同等の支持構成要素と組合せて、患者の体腔内に配置し得る。本明細書で使用する場合、「生体内装置」は、患者の体腔内に配置されている間、ユーザが少なくとも部分的に位置決め、操作、又は制御することができるあらゆる装置を意味し、「生体内装置」は、体腔の開口部又は孔を通して配置されたロッド、或いは、そうでなければこうした構成要素などの支持構成要素に結合されたいずれかの装置を含み、実質的に患者の体腔の壁に対して又は患者の体腔の壁に隣接して配置されるあらゆる装置も含み、内部作動式の(原動力の外部源を有しない)あらゆる装置を更に含み、外科的処置中、腹腔鏡的に又は内視鏡的に使用され得るあらゆる装置を更に含む。本明細書で使用する場合、「ロボット」及び「ロボット装置」という用語は、自動的に又はコマンドに応答してのいずれかでタスクを実行することができるいずれかの装置を意味する。
【0015】
ある実施形態は、腔の十分な送気を維持しながら腔への本発明の挿入を提供する。更なる実施形態は、挿入プロセス中、外科医又は外科ユーザの本発明との物理的接触を最小にする。他の具体例は、患者及び本発明にとって挿入プロセスの安全性を高める。例えば、いくつかの実施形態は、本発明が患者の腔に挿入されている際の本発明の可視化を提供し、システム/装置と患者との間に有害な接触が起こらないようにする。加えて、ある実施形態は、切開サイズ/長さの最小化を可能にする。更なる具現化は、処置に必要なアクセス/挿入手順及び/又は工程の複雑さを低減する。他の実施形態は、取り扱い及び使用の容易さを高めるために、最小の輪郭を有するか、最小サイズを有するか、又は機能及び外観が概ね最小である装置に関する。
【0016】
本明細書中に開示されるある具体的態様は、種々の構成に組み立てることができる「コンビネーション」医療装置又は「モジュール」医療装置に関する。本出願の目的では、「コンビネーション装置」及び「モジュール装置」の双方は、種々の異なる構成にアレンジすることができるモジュール構成要素又は交換可能な構成要素を有するあらゆる医療装置を意味する。本明細書中に開示されるモジュール構成要素及びコンビネーション装置は、セグメント化された三角形又は四角形のコンビネーション装置も含む。接続されて三角形又は四角形構成を作成するモジュール構成要素(本明細書では「セグメント」とも称される)で構成されたこれらの装置は、使用時にレバレッジ及び/又は安定性を与えることができる一方、装置内において、より大きい構成要素又はより多くの動作構成要素のために使用可能な大きいペイロード用スペースも提供する。上で開示及び記載した種々のコンビネーション装置と同様に、一実施形態によれば、これらの三角形又は四角形装置は、上で記載及び開示した装置と同様の手法で患者の体腔内に位置決めし得る。
【0017】
本明細書中に開示又は想定されるある実施形態は、憩室炎、クローン病、炎症性腸疾患、及び結腸癌などの下部消化管疾患を有する患者を処置するために実施される外科的処置である結腸切除術に使用し得る。既知の結腸切除処置の約3分の2は、8~12インチ(20.32~30.48センチメートル)の切開及び最長6週間の回復時間を伴う完全開腹外科的処置によって実施されている。処置の複雑な性質のため、結腸切除手術では既存のロボット支援式手術装置はめったに使用されず、手動腹腔鏡下アプローチは、3分の1の症例でのみ使用されている。これに対し、本明細書中に開示される種々の具体的態様は、通常、既知の技術により「開腹」で実施される種々の処置に対して低侵襲アプローチで使用可能であり、臨床的成果及び医療費を改善する潜在性がある。更に、本明細書中に開示される種々の具体的態様は、患者の外部から体内に延びる既知のメインフレーム状の腹腔鏡手術ロボットに取って代わって使用し得る。すなわち、本明細書中に開示される低侵襲性のロボットシステム、方法、及び装置は、患者の腹部の単一の切開を通して全体が挿入される小型の自己内蔵型手術装置を提供する。本明細書中に開示される装置は、外科医にとってなじみのある既存のツール及び技術を用いるように設計されつつ、専用手術室又は特殊なインフラを必要とせず、その大幅に小さいサイズにより、腹腔鏡手術用の既存のロボット代替形態に比べて大幅に安価になることが予想される。これらの技術的前進により、本明細書の種々の実施形態は、今日切開手術で実施されている処置の低侵襲アプローチを可能にし得る。
【0018】
種々の実施形態は、いくつかの記述を含む添付の図に更に詳細に開示される。
本明細書中に記載される種々のシステム実施形態は、ロボット手術を実施するために使用される。このシステムは、結腸切除術を含む腹腔における全般的な手術用途に使用される。ある具体例において、本明細書中に記載される種々のシステムは、腹腔の送気及び腹腔にツールを挿入するためのポートの使用を含む、手動腹腔鏡下手術で使用される技術に基づき、及び/又はこのような技術を用いる。
【0019】
種々のシステム実施形態の主要構成要素は、ロボット及び外科医用制御コンソールを含む。ロボットの具体的態様は、送気された腹腔に挿入されるように構成されている。あるロボットの実施形態は、手術目標の画像を撮る一体型のカメラシステムを有する。外科医は、次いで、ディスプレイ上のその画像を使用してロボットの運動の制御を補助し得る。ある具体例において、カメラは、取り外すことができるように設計されているため、洗浄し、他の用途で使用し得る。
【0020】
外科医用コンソールは、いくつかの実施形態によれば、カメラからのフィードバックを見るためのディスプレイを有する。このディスプレイは、ロボットの状態及び他の情報を含む何らかの付加的な情報を外科医に提供するためのオーバレイも有し得る。コンソールは、種々のシステムの機能を制御するために使用されるタッチスクリーンも有し得る。加えて、種々のコンソール実施形態は、外科医が使用可能である、ロボットのアームの運動及び他の運動を制御するためのユーザ入力装置(例えば、触覚ジョイスティック)も有し得る。更に、コンソールは、種々のロボットのコントロール及び機能を制御するために使用される1つ以上のペダルも有し得る。
【0021】
本明細書中に更に詳細に記載される他の実施形態において、システムは、使い捨て又は永久スリーブ、電気外科焼灼ジェネレータ、挿入ポート、支持アーム/構造体、カメラ、リモート手術ディスプレイ、エンドエフェクタ(ツール)、インターフェイスポッド、光源、及び他の支持構成要素を含み得る。
【0022】
図1A及び
図1Bは、カメラ12を含むロボット又はロボット装置10を有するシステム1の一実施形態を示す。
図1Aに示すように、ロボット装置10は、ロボット装置10に動作可能に連結された2つのロボットアーム14、16と、2つのアーム14、16間に配置され、2つのアーム14、16間で位置決め可能なカメラ構成要素、すなわち「カメラ」12とを有する。つまり、装置10は、第1の(すなわち「右の」)アーム14と、第2の(すなわち「左の」)アーム16とを有し、両アーム14,16は、以下で更に詳細に記載するように装置10に動作可能に連結されている。装置10は、図示のように、ケーシング(「カバー」又は「筐体」とも呼称される)11を有する。装置10は、「装置本体」10Aとも呼称され、2つの回転可能な円筒状構成要素(「肩部」又は「タレット」とも呼称される)、つまり第1の(すなわち「右の」)肩部14Aと、第2の(すなわち「左の」)肩部16Aとを有する。各アーム14、16はまた、上腕(本明細書では「内アーム」、「内アームアセンブリ」、「内リンク」、「内リンクアセンブリ」、「上腕アセンブリ」、「第1のリンク」、又は「第1のリンクアセンブリ」とも称される)14B、16Bと、前腕(本明細書では、「外アーム」、「外アームアセンブリ」、「外リンク」、「外リンクアセンブリ」、「前腕アセンブリ」、「第2のリンク」、又は「第2のリンクアセンブリ」とも称される)14C、16Cとを有する。右上腕14Bは、右肩関節14Dにおいて本体10Aの右肩部14Aに動作可能に連結されており、左上腕16Bは、左肩関節16Dにおいて本体10の左肩部16Aに動作可能に連結されている。更に、各アーム14、16について、前腕14C、16Cは、肘関節14E、16Eで上腕14B、16Bに回転可能に結合されている。
【0023】
図1Bに示すように、ロボット装置10は、患者の腹腔6に挿入されるのと同様の手法でゲルポート7を通って腹腔6の模型に挿入される。ゲルポート7は、不規則な形状のロボット装置10を、気腹圧を維持しながら挿入することを可能にする。この具体例では、ロボット10に加えて標準的な手動腹腔鏡ポート7が使用される。代替的に、2つ以上のこのようなポートが使用され得る(図示せず)。更なる代替形態では、標準的な手動腹腔鏡ポートは使用されない。
【0024】
図1Bには、長手方向の体軸(参照矢印Aで示されるような)が吻側尾側/前後方向軸と中外側軸(それぞれ参照矢印B及びC)とに対して略直角となるように、腹腔内に腹側-後側方向に挿入された装置本体10Aが示される。以下で
図6A~
図8Cと関連して詳細に記載するように、装置本体10Aは、挿入後、装置の作業スペースを変更して腔の様々な領域にアクセスするために腔6に対して回転するか、傾斜するか、又は角度を成すように様々に位置決めすることができると理解される。
【0025】
図2は、一実施形態による、一体型のカメラシステムを有するロボットを示す。
図2のロボットは、2つのアーム14、16と、遠位端10B及び近位端10Cを有する本体10A(又は胴部)とを有する。アーム14、16は、それぞれが、能動自由度と、エンドエフェクタすなわちツール18、20を駆動するための更なる能動関節14F、16Fとを有する。これより大きい自由度又は小さい自由度が含まれ得ると理解される。この実施形態の装置は、電力信号、電気焼灼信号、及び情報/通信信号を含む接続線8(「ピグテールケーブル」とも呼称される)(一部が図示されている)を有する。ある具体例において、装置は、装置10の制御に役立つ制御電子機器及びソフトウェアに分散している。腹腔への装置の挿入及び腹腔からの装置の抜去を補助するためにいくつかのボタンが含まれ得る。この実施形態において、装置本体10Aに挿入された一体型のカメラ12も示されている。本体10Aに挿入される場合、カメラ12は、近位本体端部10Cから近位に延びるハンドル又は本体12Aと、遠位本体端部10Bから延びる可撓性カメラ撮像器12Bとを有する。
【0026】
図3及び
図4は、一実施形態による、カメラアセンブリ12を取り外したロボット装置10を示す。これらの実施形態において
図2及び
図3~
図4に示すように、カメラ撮像器12Bは、2つのアーム14、16間に配置され、2つのアーム14、16間の画像を撮るように設計されている。これらの具体例において、カメラ12は、カメラ撮像器12Bが本体とロボットアーム(「肩部」関節14A、16A)との間の関節の近傍に出るようにロボット本体10A内に延びる。カメラ12は、ユーザが観察方向を調節することを可能にするための可撓性の操作可能な先端12Cを有する。アーム14、16の遠位端にあるエンドエフェクタ18、20は、種々のツール18、20(鋏、グラスパ、持針器等)を含み得る。ある実施形態において、ツール18、20は、エンドエフェクタをアーム14、16に結合しているツールのつまみをわずかに回すことにより取り外しできるように設計されている。
【0027】
図3~
図4に示されるように、カメラアセンブリ12は、ハンドル12Aと、遠位側先端12Cにカメラ撮像器12Bを有する長いシャフト12Dとを有する。種々の具体例において、可撓性先端12C、したがってカメラ撮像器12Bは、観察方向を変えるために、可撓性セクション12E(シャフト上の黒色のセクション)でシャフト12Dに対して操作可能であり、或いは、そうでなければ2つの独立した方向に動作し得る。ある具体例において、図示のように、カメラ12は、いくつかの制御ボタン12Fを有する。いくつかの実施形態において、
図4に示すように、カメラアセンブリ12は、ロボット装置10とは独立して使用し得る。
【0028】
代替的に、図示のように、アセンブリは、ロボット装置10の本体10A内に画定されたルーメン10Dを通してロボット10に挿入し得る。ある実施形態において、ルーメン10Dは、(
図1Bと関連して示されるように)患者の腔が送気された状態に維持されるようにするためのシール/ポート10Eを含む。一実施形態によれば、ロボット装置10は、装置10のカメラ用ルーメン10D内にカメラが配置されているかを決定するためのセンサを有し得る。
【0029】
図5は、一実施形態によるロボット装置10を示しており、該ロボット装置10は、その構成において、ツール18、20がカメラ先端12Cと並んで位置決めされるように位置決め可能なアーム14、16が位置決めされる。すなわち、この実施形態において、アーム14、16は、カメラ撮像器12Bの視野(基準線「V
1」及び「V
2」によって示される)内にあるように作業スペース内に配置されている。
図5の具体例において、装置10は、患者の腔内において、傾斜して、すなわち、装置本体10Aの長手方向の軸(基準線Aによって示される)が患者の体に直角(例えば、
図1Bに示されるように)でないように位置決めされている。
【0030】
図5Aの具体例において、装置本体10Aは、したがって、「上」、「上方」、「前」側22と、「下がった」、「下方」、「後」側24とを有するように指向されている。更なる構成が可能であり、本明細書で詳細に記載されるように、カメラ12及びアーム14、16は、いずれの面22、24にも延びることができ、装置本体10Aを回転させる必要なく広い作業スペースを与えると理解される。
【0031】
図5Bに示される具体例において、ロボット装置10のアーム14、16は、「挿入」位置に配置されている。示されるように、挿入位置において、アーム14、16及びカメラ12の全ては、ポート(例えば、
図1Bに参照番号7で示されるような)を通して挿入するために、各構成要素の長手方向の軸が(参照矢印Iによって示されるように)互いに実質的に平行となるように、主としてロボット装置本体10Aと同芯になっている。挿入位置は、装置10の全体的な「フットプリント」を最小にし、可能な限り最小の切開を可能にすると理解される。ある具体例において、2016年8月3日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される「ロボット式手術装置、システム及び関連する方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」という名称の米国特許出願公開第15/227,813号明細書で上述したように、挿入時、装置10は、挿入中に種々の位置を通過し得る。
【0032】
ある具体例におけるシステム1の原理的な利点は、アームの広い作業スペース範囲であり、アームが装置の「後ろ」に配置される実施形態を含む。使用時、各アームの作業スペース範囲が増すことで装置を再位置決めする必要性を低下することができるため、効率が高まり、総手術時間が短くなり、回復が早くなる。アーム範囲の増加を示すいくつかの具体例が本明細書中に記載されている。
【0033】
図6A、
図6B、
図7A、
図7B、及び
図7Cは、所定の実施形態による作業スペース30全体を、ロボット装置10の各アーム14、16の個々の到達可能な作業スペース30A、30Bと同様に概略的に示している。これらの実施形態において、「作業スペース」30は、アーム及び/又はエンドエフェクタ18、20のいずれかが中で移動し、アクセスし、かつ、その機能を奏することができるロボット装置10の周囲のスペース30を意味する。
【0034】
より具体的には、
図6Aは、装置本体10Aの斜視図を示し、作業スペース30全体を、第1のアーム14及び第2のアーム16のそれぞれの個別の作業スペース30A、30Bと同様に、装置本体10Aを更に概略的に示す。各アーム14、16は、運動の領域と、装置の前側22から装置10の後側24へと延びる、該運動の領域に対応する作業スペース30A、30Bとを有することに留意されたい。このように、各アーム14、16に関する装置本体10Aに対し、180°周りの空間を介して、第1のアーム14は、等しく前側22と後側24とにアクセスする。この作業スペース30は、本体10Aを再位置決めする必要なくロボット装置が適切に等しく前側22と後側24とで作業することを可能にする。
【0035】
(
図6Aにも示されるように)
図6Bに最も良く示されるように、これらの具体例における個々のアームの運動の領域の重複は、交差する作業スペース30Cをも可能にする。これらの具体例における交差する作業スペース30Cは、いずれかの個々の装置10の位置において、両アーム14、16及びエンドエフェクタ18、20が到達可能な作業スペース30Cを含むと理解される。また、これらの具体例において、交差する作業スペース30Cは、装置本体10Aの軸に対して約180°のスペースの範囲を含む。
【0036】
図7Aは、装置本体10Aの側面図を示し、第1のアーム14の作業スペース30Aを更に概略的に示す。第1のアーム14は、装置の前側22から装置10の後側24へと延びる運動の領域を有することに留意されたい。したがって、第1のアーム14は、前側22と後側24とに等しくアクセスする。これは、本体10Aを再位置決めする必要なくロボット装置が適切に等しく前側22と後側24とで作業することを可能にする。アーム14、16の実際の位置に関し、
図7Aは、第2のアーム16が後側24から延出している一方、装置の前側22から延出している第1のアーム14を示す。
【0037】
同様に、
図7B及び
図7Cは、
図7Aの装置本体10A及びアーム14、16の異なる図を示す。例えば、
図7Bは、本体10A及びアーム14、16の上面図を示す。この実施形態において、第1のアーム14の作業スペース30A及び第2のアーム16の作業スペース30Bの双方が上面図で示されている。更に、
図7Cは、本体10A及びアーム14、16を、作業スペース30A、30Bの別の角度を示す斜視図で示す。
【0038】
図7A~
図7Cのそれぞれにおいて、同一構成の本体10A並びにアーム14、16が示されており、(
図7Aに最も良く示されるように)第1のアーム14が装置の前側22から延出し、第2のアーム16が後側24から延出する。アーム14、16の双方の作業スペース30A、30Bによって示される広い運動の領域は、当該アーム14、16の長さに比べて比較的大きい作業スペースをロボット装置10に与える。
【0039】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、一実施形態による広い運動の領域を更に示しており、該運動の領域は、この所定の装置10のアームにより実現し得る。
図8Aは、装置10の後部の斜視図を示しており、当該装置のアーム14、16は、双方とも
図7A~
図7Cに示したものと概ね同等の1つの位置、すなわち、第1のアーム14が装置本体10Aの前側22から離れる方に延び、第2のアーム16が装置本体10Aの後側24から離れる方に延びる位置に示されたものである。
【0040】
図8Bは、装置10の側面図を示しており、同図において、当該第1のアーム14は、複数の異なる位置、すなわち、第1の位置14-1、第2の位置14-2、第3の位置14-3、及び第4の位置14-4を含む複数の異なる位置に示されており、それによって、アーム(この場合、第1のアーム14)が動作可能な運動の領域のいくつかの例を示している。
【0041】
図8Cの具体例は、装置10の斜視正面図を示しており、同図においては、第1のアーム14が
図8Bに示すものと同じ位置、すなわち、作業スペース30A内の第1の位置14-1、第2の位置14-2、第3の位置14-3、及び第4の位置14-4を含む同じ位置に再度示される。当業者であれば、図示される位置の間に更に多くの位置を設けることも可能であり、第1のアーム14のこれらの位置は、第2のアーム16にも適用可能であることを理解するであろう。
【0042】
図9は、装置10の具体例の斜視正面図であり、装置10は、装置本体10Aの遠位端10Bから延びる関節式又は可撓性カメラ12を有する。これらの具体例において、カメラ12は、可撓性セクション12Eを封緘する可撓性シース15と同様に、頂部12Cにある遠位レンズ12Bを有する。
図9において、カメラ12及びアームは、わずかに「下がった」作業位置に概ね指向されており、頂部12Cは、本体10Aの前側22から離れる方に指向されている。また、これらの具体例において、したがって、カメラ12は、エンドエフェクタ又はツール18、20が最も良く見えるように配置することができると理解される。更に、これらの具体例において、ロボット10は、前方表面22を上にして体を出ると理解される。
【0043】
図10は、装置10の更なる具体例を示し、同図において、アームは、「上がった」位置、すなわち「通常」位置にあり、カメラは、本体10Aの前側22に向かってわずかに傾斜している。更に、
図10の装置は、肩部14A、16Aと装置本体10Aとの間に近位スリーブアタッチメント32、34を有する。スリーブアタッチメント32、34は、2つのフランジ32A、32B、34A、34Bが各肩部シャフト36、38の周りに配置されてできる「溝」であり得る。フランジ32A、32B、34A、34Bは、繰り返し使用及び/又は使い捨てスリーブ(図示しないが、援用した参考文献に記載されているような)が各フランジ32A、32B、34A、34B間の所定の位置に取り付け可能であり、かつ、保持され得るように、構成されているか、或いは、そうでなければ、組み立てられて、配置されていると理解される。各スリーブ(図示せず)の対応する遠位側相手領域40、42は、前腕14C、16Cの遠位端及び各ツール18、20の基部に配置されている。
【0044】
図11は、
図9及び
図10の位置に比べて実質的に「下」に位置決めされたアーム14、16を有するロボット10の更なる具体例を示す。すなわち、
図11において、カメラ先端12Cは、作業スペース30の領域内において、長手方向の軸(参照矢印A)からロボット本体10Aの後側24(前側22の反対側の)へ直角に指向されるとともに、カメラ12は、アーム14、16、より具体的にはツール、すなわちエンドエフェクタ18、20が視野(参照矢印Vで概ね示される)内にあるように配置されている。この具体例において、装置本体10A及びカメラ12に接続された種々の動作ケーブル45も示されている。
【0045】
図12A~
図12Fは、ロボット10-1又はロボット10-2の代替的な具体例を示す。第1の具体例において、
図12A、
図12C、及び
図12Eに示すように、ロボット10-1は、一部に内部からカメラ12が延びる傾斜付き遠位本体10B-1を有する。第2の具体例において、
図12B、
図12D、及び
図12Fに示すように、ロボット10-2のカメラ12は、遠位本体端部10B-2から延びる。これらの具体例において、アーム14、16は、略円筒状の上部リンク、すなわち肩部14A、16Aを有しており、該肩部14A、16Aは、「間隙」又は開口部46が当該肩部14A、16Aの間にあるように、遠位本体端部10Bに並列に、すなわち横向きかつ離反して配置される。これらの具体例において、カメラ12は、該カメラ12が略円筒状の肩部14A、16Aの間に直かにあり、前側22と後側24との間が等距離にあるように、装置本体10Bの開口46内にある遠位端から延びる。これらの具体例において、例えば、
図6A~
図8Cと関連して示されるように、カメラ12は、前方及び後方を等しく見るために湾曲させることができる。
【0046】
図13~
図30は、本体10Aの内部構成要素を示しており、これらの図では、そのケーシング、すなわちハウジング11は、省略されている。使用時、これらの具体例は、
図1Aと関連して示されるように、覆われていると理解される。
図13~
図30は、本体10Aの内部構造又は支持構成要素を含む。これらの構成要素は、本体12の構造を維持するとともに、本体12内に配置された構成要素を構造的に支持する。
【0047】
使用時、ロボット10及びその関連構成要素、すなわち、DCモータ、ACモータ、永久磁石DCモータ、ブラシレスモータ、空気圧機器、リモートモータのケーブル、油圧機器等々の関連構成要素を駆動するための多くの手法がある。1つの可能なシステムのより詳細な説明が
図13~
図30と関連して記載されている。理解されるように、以前に出願され、援用される出願及び特許に記載されている他の技術も種々の構成要素を駆動するために実装され得る。
【0048】
図13は、ロボット10と1つのアーム-ここでは左アーム16-の各関節の具体例を示す。この具体例の右アーム14は、左アーム16の鏡写しであると理解される。左アーム16を動作/制御/駆動する左アーム16の内部構成要素は、本明細書中に示し記載するものと実質的に同じであり、以下に記載する説明は、それらの構成要素にも等しく当てはまるものと理解される。
【0049】
図14の具体例において、肩部ヨー関節100は、ロボット肩部14A、16Aのヨー関節100を駆動する。この具体例において、ロボット10は、肩部ピッチ関節102、すなわちロボット肩部14A、16Aにあるピッチ関節102も有する。これらの具体例において、以下で表1と関連して記載される領域での運動を可能にする、上腕ロール関節104、肘関節106、及びツールロール関節108も設けられている。種々の具体例において、既述のように、ツールドライブ関節(図示せず)は、ツール(図示せず)を中継し、ツールの開閉を駆動する。
【0050】
種々の具体例において、これらの関節100、102、104、106は、実用的に規定された運動の領域を有しており、該運動の領域は、ロボットの幾何学的形状とともに、ロボット10の最終作業スペースを定める。本明細書中に記載する例において、上述のように、関節の限界範囲は、重要なロボット作業スペースとなる。この作業スペースは、ロボットの種々の具体例がアーム及びハンドの双方を患者の体腔内のいくつかの位置で効果的に使用することを可能にする。
図13A~
図27の具体例で定義される関節の運動の領域を表1に記載する。更なる運動の領域が可能であり、この運動の領域のセットは、限定ではなく、むしろ所定の実施形態を表すと理解される。更に別の実施形態が可能である。
【0051】
図13A~
図13Dに回転の方向及びゼロ位置が示されている。
図13A~
図13Dにおいて、ロボット10は、ゼロ位置における最初の4つの角度のそれぞれとともに示されている。これらの具体例において、各関節(肩部ヨー関節100、肩部ロール関節102、上腕ロール関節104、及び肘関節106)は、回転軸(点線)及びゼロ位置とともに示されている。次いで、矢印は、回転軸を中心とした正の関節角度の方向を示すために使用される。ツールロール関節108及びツールドライブ関節109が連続回転を可能にするため、ゼロ位置は任意であり、図示されない。
【0052】
【表1】
図14の具体例において、本体10A及び各リンク(上腕16B及び前腕16Cを意味する)は、センサ、増幅電子機器、及び制御電子機器を埋め込んだプリント回路基板(「PCB」:Printed Circuit Board)110、112、114を含む。1つのPCBが前腕及び上腕のそれぞれにあり、2つのPCBが本体にある。各PCBはまた、全6軸加速度計ベースの慣性測定ユニットと、モータの温度を監視するために使用され得る温度センサとを有する。各関節は、絶対位置センサ若しくはインクリメンタル位置センサのいずれか一方を、又は双方をも有し得る。ある具体例において、いくつかの関節は、絶対位置センサ(磁気エンコーダ)とインクリメンタルセンサ(ホール効果)の双方を含む。他の具体例において、ある関節は、インクリメンタルセンサのみを有する。これらのセンサは、モータ制御に使用される。関節は、多くの他の種類のセンサも含み得る。ここでは、1つの可能な方法のより詳細な説明が含まれる。
【0053】
この具体例において、より大きいPCB110が本体10Aの後方面に取り付けられている。この本体のPCB110は、基部リンク又は本体10A内のモータ116(それぞれ左アームの肩部ヨー関節100及び右アームの肩部ピッチ関節102)を制御する。各上腕は、上腕ロール関節104及び肘関節106を制御するためのPCB112を有する。各前腕は、ツールロール関節108及びツールドライブ関節(図示せず)を制御するためのPCB114を有する。
図14の具体例において、各PCB110、112、114はまた、全6軸加速度計ベース慣性測定ユニットと、本明細書中に記載される種々のモータの温度を監視するために使用され得るいくつかの温度センサとを有する。
【0054】
これらの実施形態において、全体が参照により本明細書中に援用される2012年8月8日に出願された米国仮特許出願第61,680,809号明細書に記載、或いは、そうでなければ、開示されるように、各関節100、102、104、106、108は、絶対位置センサ若しくはインクリメンタル位置センサのいずれか一方を、又は双方をも有し得る。一具体例において、
図15及び別の箇所に示すように、本明細書中に記載される種々のアクチュエータ又はモータ116、130、154、178は、以下に記載するように、温度センサ(
図22に参照番号101で示すような)が各アクチュエータから温度情報を収集して制御ユニットに送信することができるように、例えば、感温エポキシによってモータの表面に配置された少なくとも1つの温度センサ101を有する。一実施形態において、本明細書中に記載され、示されるモータのいずれも、ブラシモータ又はブラシレスモータであり得る。更に、モータは、例えば、直径が6mm、8mm、又は10mmのモータであり得る。代替的に、医療装置に組み込むことができるいずれかの既知の寸法が使用され得る。更なる代替形態では、アクチュエータは、構成要素の運動又は動作を奏するために医療装置で使用されるいずれかの既知のアクチュエータであり得る。本明細書中に記載されるモータに使用され得るモータの例としては、EC10 BLDC+GP1OAプラネタリギアヘッド(GP1OA Planetary Gearhead)、EC8 BLDC+GP8Aプラネタリギアヘッド(GP8A Planetary Gearhead)、又はEC6 BLDC+GP6Aプラネタリギアヘッド(GP6A Planetary Gearhead)が挙げられ、これらは、全てマサチューセッツ州フォールリバーに所在のマクソンモータ(Maxon Motors)により市販されている。これらの動作を奏するには、DCモータ、ACモータ、永久磁石DCモータ、ブラシレスモータ、空気圧、リモートモータのケーブル、油圧等などによる多くの手法がある。更なる具体例は、その全体が参照により援用される2016年8月3日に出願された「ロボット式手術装置、システム及び関連する方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」という名称の米国特許出願公開第15/227,813号明細書に開示されている種々のシステム、方法、及び装置とともに使用され得る。
【0055】
この具体例において、第1~第4の関節は、絶対位置センサ(磁気エンコーダ)及びインクリメンタルセンサ(ホール効果)の双方を有する。第5の関節及び第6の関節は、インクリメンタルセンサのみを有する。これらのセンサは、モータ制御のために使用される。関節は、援用した出願及び参考文献に詳細に記載されているように、多くの他の種類のセンサも含むことができると理解される。
【0056】
一具体例によれば、
図15~
図16の具体例に示される他の所定の内部構成要素は、
図14に示すように、軸1を中心とした本体10Aの肩部ヨー関節100の回転を駆動するように構成されている。記載した各構成要素の2つが各アームに1つずつ使用されるが、ある表示及び記載では、説明を容易にするために1つのみが使用されると理解される。
【0057】
図15に最も良く示されるように、肩部ヨー関節100のモータ116とギアヘッドとのコンビネーションにより、
図16に最も良く示されるモータギア117の第1の平歯車セット118が駆動される。第1の平歯車セット118は、軸受120によって支持されたシャフトを駆動して、第2の平歯車セット122を駆動する。更に、この第2の平歯車セット122は、軸受126によって支持された出力シャフト124も駆動する。この出力シャフト124は、
図14に最も良く示されるように、肩部16Aが軸1を中心に回転するようにタレット14A、16A(ロボット10の肩部に相当する)を駆動する。
【0058】
一具体例によれば、
図17~
図19の具体例に示される所定の内部構成要素は、
図14に示されるように、本体10A及び/又は肩部14A、16Aの肩部ピッチ関節102を、軸2を中心に駆動するように構成されている。これらの具体例において、ピッチ関節102は、出力リンク140を揺動させて上腕(図示せず)を肩部14A、16Aに対して動かすように構成され、配置されている。
【0059】
この具体例において、モータ130とギアヘッドとのコンビネーションは、モータギア131と平歯車132とを駆動し、該歯車は、第1のシャフト134を駆動する。このシャフト134は、その後、肩部タレット(
図19に示される)内のかさ(すなわちマイタ)歯車対136、137を駆動する。かさ(すなわちマイタ)歯車対136、137は、したがって、
図14に最も良く示されるように、上腕16Bが軸2を中心に回転するように、肩部ピッチ関節102の出力リンク140に直接接続されたはすば平歯車セット138、139を駆動する。この具体例において、肩部ヨー関節100と肩部ピッチ関節102は、したがって、連携した動きを有する。これらの具体例において、複数の軸受141は、既述のように種々のギア及び他の構成要素を支持する。
【0060】
図20~
図23は、アーム16の運動と動作のために構成され、配置されている上腕16Bの種々の内部構成要素を示す。種々の具体例において、前腕16Cのハウジング(図示せず)内には、複数のアクチュエータ又はモータ142、154が配置されている。
図24~
図27は、エンドエフェクタの運動及び動作用に構成され、配置されている前腕16Cの種々の内部構成要素を示す。種々の具体例において、複数のアクチュエータ又はモータ175、178が前腕16Cのハウジング(図示せず)内に配置されている。
【0061】
一具体例において、
図22及び別の図に示すように、本明細書中に記載される種々のアクチュエータ又はモータ116、130、154、178は、以下に記載するように、温度センサが各アクチュエータから温度情報を収集して制御ユニットに送信することができるように、例えば、感温エポキシによってモータの表面に配置された少なくとも1つの温度センサ101を有する。一実施形態において、本明細書中に記載され、図示示されるモータのいずれも、ブラシモータ又はブラシレスモータであり得る。更に、モータは、例えば、直径が6mm、8mm、又は10mmのモータであり得る。代替的に、医療装置に組み込むことができるあらゆる既知の寸法が使用され得る。更なる代替形態では、アクチュエータは、構成要素の運動又は動作を奏するために医療装置で使用されるあらゆる既知のアクチュエータであり得る。本明細書中に記載されるモータに使用され得るモータの例としては、EC10 BLDC+GP1OAプラネタリギアヘッド(GP1OA Planetary Gearhead)、EC8 BLDC+GP8Aプラネタリギアヘッド(GP8A Planetary Gearhead)、又はEC6 BLDC+GP6Aプラネタリギアヘッド(GP6A Planetary Gearhead)が挙げられ、これらは、全てマサチューセッツ州フォールリバーに所在のマクソンモータ(Maxon Motors)により市販されている。これらの動作を奏するには、DCモータ、ACモータ、永久磁石DCモータ、ブラシレスモータ、空気圧、リモートモータのケーブル、油圧等などによる多くの手法がある。
【0062】
上腕ロール関節104を駆動するように構成され、配置されている上腕16Bの内部構成要素の一具体例が
図20及び
図21に示されている。この具体例において、出力平歯車144がシャフト148と軸受150とによって支持されている場合、PCB112によって制御されるモータ142とギアヘッドとのコンビネーションは、モータギア143と、対応する平歯車144とを駆動する。出力シャフト152及び出力平歯車144は、肩部ピッチ関節102の出力リンク140(
図17に示される)に嵌合する相手特徴部146を有し得る。
【0063】
肘関節106を動作するように構成される上腕16Bの内部構成要素の一具体例が
図22及び
図23に示される。この具体例において、ベースモータ154は、3つのギア156、158、160を含む従動平歯車セットを直接駆動する。この平歯車セット156、158、160は、回転軸をモータ154の軸からウォームギア166の軸に移動させる。
【0064】
図23に最も良く示されるように、このセットの出力平歯車160は、モータギアヘッド162を駆動し、モータギアヘッド162は、ウォームギア166が取り付けられているウォームシャフト164を駆動する。このウォームギア166は、したがって、関節4の出力シャフト170に接続されたウォームホイール168を駆動する。上腕ユニット(
図22に示すような)は、右側において、湾曲した凹領域172を示すことにも留意されたい。この領域172は、関節4のより大きい動きを可能にするように構成されており、前腕が領域172を通過することを可能にすると理解される。
【0065】
前腕16Cの内部構成要素の一具体例が
図24~
図25に示されており、該内部構成要素は、ツールロール関節108を動作するように構成されているか、或いは、そうでなければ、組み立てられて配置されている。これらの具体例において、ツールロール関節108は、ツール(例えば、
図1A~
図1Bに参照番号18、20で示される)を保持するツールルーメン174を駆動する。ツールルーメン174は、ツール上のロール特徴部と噛合し、ツールを、
図14に軸5として示されるようなツールの軸を中心に回転させるように設計されている。この具体例において、モータギア176と2つのギア177A、177Bとを有する平歯車チェーンを駆動するために、ギアヘッドを有するツールロールモータ175が使用されている。このチェーンの最後のギア177Bは、ツールルーメンの内部表面174A、及び同様に挿入されたいずれかのエンドエフェクタを回転させるために、ツールルーメン174に強固に取り付けられている。
【0066】
ツールドライブ関節109の一具体例が
図26~
図27に示されている。この具体例において、関節6のモータ178は、ロボットを明確に動かさない。代わり、このツールドライブ関節109は、ツール(例えば、
図1A~
図1Bに参照番号14F、16Fで示される)と接続し、エンドエフェクタを作動させて開閉するように構成されている雌スプライン184を駆動する。エンドエフェクタが開閉するようなエンドエフェクタアームのこの回転は、「ツールドライブ」とも呼称される。作動は、一態様では、以下のように引き起こされる。アクチュエータ178、すなわち、この具体例におけるモータアセンブリ178が設けられている。モータアセンブリ178は、この実施形態において平歯車であるモータギア180に対し動作可能に噛合されている。モータギア180の回転によって従動ギア182、183の回転が生じるように、モータギア180は、第1の従動ギア182及び第2の従動ギア183に噛合されている。従動ギア182、183は、軸受対186によって支持された雌ツールスプライン184に固定的に連結されている。雌ツールスプライン184は、エンドエフェクタ上の雄ツールスプライン機構と連結し、指示どおりにツールを開閉するように構成されている。
【0067】
一具体例によれば、エンドエフェクタ(
図1A~
図1Bに参照番号18、20で示される)は、以下の手法で前腕16Cに迅速、かつ、容易に取り付けし得るとともに、前腕16Cから迅速、かつ、容易に取り外し得る。ロール軸及び駆動軸の双方が所定の位置に固定又は保持された状態で、エンドエフェクタ18、20は回転され得、それによってねじ(図示せず)が取り付けられ又は取り外される。すなわち、エンドエフェクタが1つの方向に回転すれば、エンドエフェクタは、前腕16Bに取り付けられ、エンドエフェクタが他の方向に回転すれば、エンドエフェクタは、前腕16Bから取り外される。
【0068】
システム10の種々の具体例は、手術中、エンドエフェクタにエネルギを供給して組織を切除及び凝固させるようにも設計されている。これは、しばしば焼灼と呼称され、熱エネルギ、超音波エネルギ、及びRFエネルギといった全てロボット用に想定されるものと同様に、多くの電気的形態で利用可能である。
【0069】
システム1及び種々の装置10の例示的な具体例において、カメラ12は、作業スペース30内におけるピッチ(「上」及び「下」を意味する)運動及びヨー(「左右の」運動を意味する)の双方を可能にするように構成されているか、或いは、そうでなければ、組み立てられて配置されており、例示的な具体例において、ヨー機能、すなわち「パン」機能は、これまで行われていたようにカメラシャフト12D及び/又はハンドル12Aを回転させるのではなく、むしろ遠位側先端12Cにおける機械的な関節運動によって実施される。したがって、この具体例のカメラ構成要素12の種々の具体的態様は、2つの機械的自由度、すなわちヨー(左/右を見る)及びチルト(上/下を見る)を有する。米国特許出願公開第15/227,813号明細書に既に記載されているように、使用時、カメラ構成要素12は、ハンドル12A内のアクチュエータ及び電子機器によって駆動及び制御されるパン及びチルト機能を有する。システムのこれらの具体例において、カメラ12は、したがって、ユーザが装置アーム及びエンドエフェクタを、拡張された作業スペースの全体にわたり観察することを可能にし得る。この向上した視野及びカメラの運動を可能にするいくつかの装置、システム、及び方法が本明細書中に記載される。
【0070】
カメラの種々の具体例及び構成要素が
図28A~
図36C及び別の箇所に示されている。上記のように、所定の具体例のカメラ12は、
図2に示されるように、ロボット10とともに機能するように設計されている。
図4に示されるように、ロボットカメラ12は、ロボットから独立して使用することもできる。種々の具体例において、カメラ12は、ロボット本体10Aの近位端10Cに挿入されており、
図28Aに示されるように、カメラ先端12Cは、
図6と関連して上述したように、本体とアームとの間の取付位置の近傍の、ロボット本体10Aの遠位端10Bを通って出る。ある具体例において、
図3と関連して記載したように、カメラ12がロボット10から取り外されたときに送気を失わないようにするために、ロボット本体10Aにはシール10Eが含まれている。いくつかの直径が可能であるが、一具体例は、
図28Aに示されるように、ロボットの6mmのルーメン10Dに挿入された5mmのカメラを有する。
【0071】
図28A及び
図28Bの具体例において、カメラ12は、遠位端12Cにおいて2つの独立自由度で曲がるように設計されている。これは、
図28Bに参照符号l°~V°で示されるように、ロボットの作業スペース内のあらゆる位置にあるロボットツールをユーザが撮像器12Bによって可視化することを可能にする。これらの具体例において、ロボットのルーメン10Dは、
図28A及び
図28Bに示すように、ロボットアームに対する対称な視点を可能にするためにロボット本体10Aに対して中央に配置されてもよく、又は
図1Aの具体例に示すようにより前方にあってもよく、又は後方若しくは他の位置にあってもよい。
【0072】
加えて、
図28A及び
図28Bに示すように、カメラ12の先端12Cは、観察目標を照明するための1つ以上の照明構成要素12F(
図1に関して記載したような)を含む。これらの具体例において、照明構成要素12Fは、カメラハンドル内の独立ライトボックス若しくは他のいくつかの既知の光源(図示しないが、1つの非限定的な例は高輝度LEDである)、又は形態の光源によって照明され得る。例えば、参照により援用される、2016年8月3日に出願された「ロボット式手術装置、システム及び関連する方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」という名称の米国特許出願公開第15/227,813号明細書と関連して既述したように、光は、その後、カメラシャフト12内に光ファイバケーブルを介して案内され得る。
【0073】
所定の具体例の更なる機能は、カメラ12が本体10Aに様々な深さで挿入されることを可能にする。そのような具体例は、様々な活動中におけるより良好な可視化を可能にする。例えば、
図28C~
図28E、
図28F~
図28H、及び
図28Iは、いくつかの深さに挿入され得るカメラ12のいくつかの具体例を示しており、該深さは、カメラ本体12Aの外部表面に配置されたスプリングボール70といった1つ以上の突起70と、本体ルーメン10Dの内部の様々な深さに配置され、該突起70に対応する固定式輪状移動止め72(
図28Iに最も良く示されている)とを使用してカメラ12を保持するための固定位置を含むことが可能である。使用時、移動止め72は、種々な挿入深さの程度(参照矢印H)でボール70に係合する。これは、カメラがロボットアームに対してより近位側(
図28C~
図28E)にあること、又はロボットアームに対してより遠位側(
図28F~
図28H)にあることを可能にする。代替的な具体例において、様々な作動及び制御機構によって作動される連続運動及び他のシステムを含む、カメラ12の他の配置方法が可能であると理解される。
【0074】
カメラハンドル12の種々の具体例において、ユーザの快適性のためにオーバーモールドが設けられ得る。種々のコネクタ及びボタン及びピグテールのコンビネーションが可能である。ある具体例において、カメラハンドル12Aは、可撓性先端12Cを作動させるための少なくとも1つのモータを保持する。1つのバージョンでは、これらのモータは、外科医用コンソール(以下に記載されるような)又はカメラ12の動きを制御するための他の入力装置によって制御し得る。この制御には、ズーム、明るさ、コントラスト、光強度、及び他の多くの特徴などの他のカメラ機能も含み得る。
【0075】
図29A~
図29Bに示すように、カメラシステムの可撓性関節式先端12Cは、カメラ12がロボットの作業スペース30の実質的に全視野(参照矢印V)を実現することを可能にする。これらの具体例において、可能な1つの作業スペースの矢状面における断面が示される。
図29A~
図29Bは、ロボットアーム14、16の運動が、広い作業スペース30を動くことができ、カメラシステム12は、ロボットツール18、20を常時可視化可能でなければならないことを示す。
【0076】
図30A~
図33Cは、手術シアタの全体にわたる一様なツールの可視化を可能にするようにカメラ12が交互に指向される装置10のいくつかの実施形態を示す。この可視化要件は、種々の具体例において満たすことができ、多くの撮像器構成が可能であると理解される。
【0077】
図30A~
図30Fの具体例の撮像器12B-1は、「ゼロ度スコープ」撮像器12B-1と呼称され、これは、視野の線(参照領域Vで示される)が、カメラ12の遠位側先端12Cと正規に整合していることを意味する。
図30A~
図30Fは、ロボット10の「背後」(-90°)(
図30A)からロボットの「下方」(0°)(
図30D)に、及びロボット10の「前」(90°)(
図30F)へとロボット10の動きに追従するゼロ度撮像器12B-1を有するカメラ12Cを含むロボット10設計の矢状面を示す。
図30B、
図30C及び
図30Eは、それぞれ-60°、-45°、及び45°にある装置10を示す。
図30A~
図30Fの具体例において、カメラ先端12Cは、各位置においてエンドエフェクタ20を視野V内に配置するように指向されると理解される。
【0078】
図31A~
図31Fの具体例の撮像器12B-2は、「30度スコープ」撮像器12B-2と呼称され、これは、当業者に理解されるように、視野の線(参照領域Vで示される)がカメラ12の遠位側先端12Cから30°に整合していることを意味する。
図31A~
図31Fは、ロボット10の「後ろ」(-90°)(
図31A)からロボットの「下方」(0°)(
図31D)に、及びロボット602の「前」(90°)(
図31F)へとロボット10の動きに追従するゼロ度撮像器12Bを有するカメラ12Cを含むロボット10設計の矢状面を示す。
図31B,
図31C及び
図31Eは、それぞれ-60°、-45°、及び45°にある装置10を示す。
図31A~
図31Fの具体例において、カメラ先端12Cは、各位置においてエンドエフェクタ20を視野V内に配置するように指向すると理解される。
【0079】
図32A~
図32Fの具体例の撮像器12B-3は、「60度スコープ」撮像器12B-3と呼称され、これは、当業者に理解されるように、視野の線(参照領域Vで示される)がカメラ12の遠位側先端12Cから60°に整合していることを意味する。
図32A~
図32Fは、ロボット10の「後ろ」(-90°)(
図32A)からロボットの「下方」(0°)(
図32D)に、及びロボット10の「前」(90°)(
図32F)へとロボット10の動きに追従するゼロ度撮像器12Bを有するカメラ12Cを含むロボット10設計の矢状面を示す。
図32B、
図32C及び
図32Eは、それぞれ-60°、-45°、及び45°にある装置10を示す。
図32A~
図32Fの具体例において、カメラ先端12Cは、各位置においてエンドエフェクタ20を視野V内に配置するように指向されると理解される。
【0080】
図33A及び
図33Bは、遠位カメラ撮像器12Bと先端12Cとが「S字カーブ」形状になり得るロボット10の代替的な具体例を示す。ある具体例において、この具体例は、際立った作動自由度を必要とし得るが、カメラ12Bがロボットアーム16及びエンドエフェクタ20の平面から移動すること(或いは、そうでなければ、ロボットアーム16及びエンドエフェクタ20と同軸であること)を許容することにより、改善された視野(参照領域Vで示される)を提供する機能を有すると理解される。手術シアタ内で様々な内部組織、臓器等を見るといったことのためにカメラ先端12Cの軸をいずれかの個々のアーム14、16又はエンドエフェクタの軸から偏倚することに種々の利点があると理解される。
【0081】
カメラ先端12Cの関節運動に関して、
図34A~
図34Cは、
図31A及び
図33B及び別の箇所に示されるカメラ12の運動を実現するために使用される種々の内部構成要素及び装置を示す。再度、所定の具体例(例えば、
図6A~
図6Bの参照番号30と関連して記載したような)において、可能な広い作業スペースにより、カメラ12の例示的な具体例は、作業スペース30内におけるピッチ(「上」及び「下」を意味する)運動及びパン又はヨー(「左右の」運動を意味する)の双方を可能にするように構成されているか、或いは、そうでなければ、組み立てられて、配置されている。システムのこれらの具体例において、カメラは、ユーザが装置アーム及びエンドエフェクタを拡張された作業スペースの全体にわたり観察することを可能にし得る。この向上した視野及びカメラの運動を可能にするいくつかの装置、システム、及び方法が本明細書中に記載される。当業者に理解されるように、本例は、非限定的であり、説明のために保護シース(例えば、
図9Aに参照番号15で示される)なしで示されている。
【0082】
図34A~
図34Cに示すように、カメラ先端12Cのピッチ関節運動及びヨー関節運動は、種々の具体例によって実現され得る。
図34A及び
図34Bは、連続機構を示す。
図34Aの具体例において、カメラは、先端12Cにおいて関節運動をし得る。この具体例において、カメラ先端12Cは、関節運動部分202を経由しており、該関節運動部分202は、カメラ用ルーメン204を画定し、かつ、装置が参照矢印A及びBによって示されるように、可能な方向に撓むことができるように、一方の側にも他方の側にも設けられた複数の開口部206A、206Bを備える。これらの具体例において、関節運動部分202は、カメラ用ルーメン204内に配置されたケーブル208A、208Bによっていずれの方向(A又はB)にも動かすことができ、又は関節運動させることができるとともに、カメラハンドル12A内に配置されたモータによって作動させることができると理解される。更に、ワイヤ、光ファイバ等などの更なる構成要素もこのルーメン204内に配置することができると理解される。
【0083】
図34Bの具体例において、関節運動部分は、カメラ用ルーメン204を画定する内部管214を囲むいくつかのスペーサ212を有する。これらの具体例において、複数のケーブル208A、208B、208C、208Dがスペーサ212の開口部216A、216B、216C、216Dを通って配置されている。当業者に認識されるように、これらの具体例において、ケーブル208の近位の運動が部分202の関節運動をもたらすように、ケーブルは、最遠位スペーサ212に固定的に取り付けられているとともに、より近位スペーサに通すことができる。ケーブル208を近位に付勢するための種々の方法については、例えば、参照により援用される2016年8月3日に出願された「ロボット式手術装置、システム及び関連する方法(Robotic Surgical Devices,Systems,and Related Methods)」という名称の米国特許出願公開第15/227,813号明細書と関連して既述されている。
【0084】
図34Cの具体例は、部分202内に配置された連動リンケージ220の「スタック」を有する。当業者に理解及び玩味されるように、これらの具体例において、リンケージ220は、垂直関節式リンク222Aと水平関節式リンク222Bとを対応させて、隣接するリンク220A、220Bに有しており、これらリンク222A,222Bは、適切な自由度を可能にするように構成されている。これらの具体例において、既述のように、ケーブル(図示せず)は、リンク222の開口部224内に通すことができる。関節運動部分のこれらの種々の具体例は、種々の自由度におけるカメラのピッチ及びヨーの調整を可能にし、カメラ本体又は装置を再位置決めすることなくカメラが作業スペース内のいくつかの視野を見ることを可能にすると理解される。
【0085】
更に、カメラ12が装置10に挿入される深さは、可変であり得る。
図35A~
図35Cは、視点(参照矢印V)を変更するためにカメラ12の深さをどのように変えることができるかを示す。例えば、
図35Aに示すように、挿入中、挿入プロセスを「自身の撮像」するために、カメラ12は、撮像器12Bがルーメン10Dと同軸にある状態でロボット10A内に完全に挿入し得る。使用時、自身の撮像により、ユーザは、挿入中にツールの先端を見ることが可能になる。この「挿入」位置にあるとき、撮像器12Bは、「プランジライン」230から最大距離(参照矢印Aで示される)に達する。
【0086】
図35B及び
図35Cに示すように、視野(参照領域V)を対応して調整した前方作業位置(
図35B)及び後方作業位置(
図35C)もあり得る。図示される具体例において、カメラ12の動きは、手動でされ得るか又は電動制御され得る。また、
図35B及び
図35Cに示されるように、カメラが装置の前側の一部分から延びる(
図1Aに示すような)装置10の所定の具体例において、参照矢印Bで示されるように、カメラ先端深さは、前方観察位置と後方観察位置との間で異なる。ある具体例において、かつ、また
図28A~
図28Iと関連して記載されているように、作業スペース内におけるカメラ12の高さも、この差を補正するために調整し得る。
【0087】
システムの種々の具体例は、アームの遠位端に配置された種々のツール又はエンドエフェクタ18、20を有する。例示的な具体例は、交換可能なエンドエフェクタ、すなわち「ハンド」を含む。これらの具体例において、ロボット「ハンド」は、鋏、グラスパ、持針器等などの種々のツールを含み得る。種々の具体例において、ツールは、1/4回転のバイオネット接続などのツールのつまみ250をわずかに回す機構によって取り外し可能に設計されている。ツールは、概して、前腕に対して2つの作動及び制御自由度を有する。種々の具体例において、ツールはまた、自由度を有し得ないか又は1つ以上の自由度を有し得ると理解される。種々の具体例において、ツールは、既述のように、制御コンソール上のユーザ入力装置を介して制御される。第1の自由度は、ツールが自らの軸を中心にロールする(参照矢印Rで示される)ことを可能にする。このロボットで使用されるツールの1つの種類は、1つの自由度を有する。
図36A~
図36Bに示されるこのツール18、20は、手動腹腔鏡ツールのフック焼灼器に基づき、ロールインターフェイス252及びモノポーラスリップリング254を有する。ツール18、20の所定の具体例は、ロール(参照矢印R)することができるが、開閉機能を有しない。いくつかの援用した参考文献に記載されているように、本明細書では多くの更なるエンドエフェクタ具体例が想定される。
【0088】
使用時、所定の具体例によれば、装置本体10Aの遠位端10B及びアーム14、16は、以下に記載するように、ユーザがコンソールを介して遠隔的に操作するために患者の体腔内に配置される。ユーザ(通常、外科医)は、装置10本体を腔内の固定初期開始位置に位置決めし、いくつかの具体例において、その後、装置を必要に応じて再位置決めし得る。ある具体例において、本明細書に記載するように、本明細書中に記載される種々の支持システムは、遠隔点及び/又は切開点若しくは挿入点などの再位置決めについての所定の諸点に対し、ロボットの所望の位置及び向きを維持するために、「リモートセンサ」アプローチ又は「ポイントトレーシング」アプローチを利用する。所定のポイントトレーシングの具体例においては、支持構造体に更なる運動を課してその位置を維持する一方、ある具体例において、リモートセンサは、支持構造体がいくつかの自由度にわたって動く際に支持構造体の運動を拘束することによって維持される。所定の具体例は、これら及び他の手法のコンビネーションを伴う場合があると理解される。装置10を固定し、位置決めし、及び再位置決めするためのいくつかの例示的なシステム及び方法が本明細書中に記載されている。
【0089】
図37に示すように、種々の具体例において、ロボット10は、所定の位置に支持可能であり、
図37は、手術室の台303に取り付けられた既知のクランプ/支持システム302によってロボット10を支持するための1つの方法又は装置を示す。クランプシステム302は、ロボット本体が取り得る全6自由度において、ロボットの大幅な位置調整を可能にする。本明細書中に開示又は想定されるあらゆるロボット装置実施形態(例えば、ロボット10など)を保持するために他の既知の市販の支持システムを使用することができると理解される。このような既知の装置は、通常、スコープ、ツール、及びリトラクタなどの手動腹腔鏡器具を保持し、同様に、ロボット10、或いは、そうでなければこのようなロボット装置実施形態をクランプするか、或いは、そうでなければ、支持するために使用され得る。
【0090】
図38及び
図39は、ロボット10を支持するために使用され得る「ポイントトレーシング機構」又は「位置決めシステム」と呼称されることのあるリモートセンサ機構304の一実施形態を示す。一具体例によるリモートセンサ機構304の利点の1つは、
図38に最も良く示されるように、ロボット10アセンブリの単一点が同一の位置、すなわち該機構304のリモートセンサ318に留まりつつ、該機構304は、装置10を動かすために使用できることである。使用時、機構304は、通常、
図39に最も良く示されるように、患者内の挿入点315にリモートセンサ318が位置決めされるように通常、配置されている。リモートセンサ318が挿入点315にある状態で、ロボット10は、この挿入点318を中心としたものと、挿入点315を中心としたものと、ポート301を通る1つの入/出並進との3自由度を有する。これらの具体例において、挿入点315は、手術室のベッドレールに対して機構304を移動し、リモートセンサ318を患者の挿入点315と整合させる、といったいくつかの手法で調整し得る。リモートセンサ318は、一実施形態において、このリモートセンサ318と交差するように設計された機構304の全関節(
図38に第1~第4の関節で示されている)により生じる。
図38に示すように、一具体例によれば、第1~第3の関節は、回転関節(第2の関節は、特別な平行四辺形機構である)であり、第4の関節は、腹腔へのロボットの挿入深さを制御する並進関節である。本明細書中に開示又は想定されるいずれかのリモートセンサ機構の具体例によれば、リモートセンサ318は、ロボット10が移動する際に生じる可能性のあるロボット10と腹壁316との間の機械的な干渉を排除することができるか又は低減し得る。
【0091】
図40A及び
図40Bは、ある具体例による、腹壁316に対するロボット10の位置決めを示す。これらの具体例において、リモートセンサ位置決め装置304(及び本明細書中に開示又は想定されるいずれかの他の位置決め装置実施形態)は、ロボット装置10が腔316内の作業スペース30の全範囲にアクセスすることを可能にする。これらの具体例において、位置決め装置304は、装置10と機械的に連結している支持リンク310を含むいくつかのリンケージ及びリンク305、306、307、308、309と、支持リンク310と機械的に連結している支持関節314を含む関節311、312、313とを有する。これらの具体例において、リンク305、306、307、308、309、310と関節311、312、313、314とは、互いに機械的に連結しているとともに、支持ピボット319と機械的に連結しており、少なくとも3自由度で運動可能であるとともに、装置10の回転により、第4の自由度で運動可能である。
【0092】
すなわち、位置決め装置304のリンク305、306、307、308、309、310と関節311、312、313、314とは、挿入点315などの単一点でロボット装置22の全運動がリモートセンサ318を通過するように、切開315を装置本体10Aが貫通するリモートセンサ318を形成するように機能する一方、位置決め装置304は、ロボット装置10を患者の腔316内で位置決めすることを可能にし、ロボット装置10のアーム14、16に取り付けられたエンドエフェクタ18、20が作業スペース30内のあらゆる所望の位置に到達できるように、装置10の本体10Aは、切開315(又は切開315内に配置されたポート)を通って位置決めされる。換言すると、リンク305、306、307、308、309、310と関節311、312、313、314の位置決めに拘らず、さらには、患者の腔316内へのロボット装置10の結果的な位置決めに拘らず、位置決め装置304により、切開315(リモートセンサ318)における装置本体10Aの一部は、(切開315を通る)全3軸において同一位置に留まる。これは、装置10全体が、切開315の単一点(リモートセンサ318)を通過し、該単一点から決して動かない装置本体10Aを介して位置決め装置304に接続されている一方、エンドエフェクタ(エンドエフェクタ18、20など)が腔内のあらゆる所望の位置に到達できるように腔(腔316など)内におけるロボット装置(ロボット装置10など)の操作を可能にし、もって、単一の切開(切開315など)を介して装置10を操作及び位置決めすることを可能にする。別の利点は、患者の腔から延び、それによって患者の体外のかなりの作業スペースを取る既知のダヴィンチ(Da Vinci)(商標)システムの複数のアームの代わりに、位置決め装置304は、患者の腔内で単一の生体内ロボット装置の使用を可能にすることである。
【0093】
図41A及び
図41Bは、ロボット10を支持するために使用され得る支持装置304の更なる具体例を示す。これらの具体例において、1つ以上のモータ301A、301Bは、リンク305、306、307、308、309、310及び関節311、312、313、314等の支持機構304に対し動作可能に一体化され得る。これらの具体例において、モータ301A、301Bは、リンケージを、3つ又は4つの(装置のロールを含む)自由度にわたって、種々の制御された位置、すなわち切開点318上の「ポイントトレース」に駆動することができると理解される。すなわち、アクチュエータ、すなわちモータ301A、301Bは、遠隔点318に対するロボット10の位置を維持するように、リンク305、306、307、308、309、310と関節311、312、313、314とを、ヨー、ピッチ、及び回転自由度にわたって連係した状態で駆動するように構成し得る。
【0094】
ある具体例によれば、
図42A~
図42Cの支持構造体304は、遠隔点318に対する装置10の位置を維持するために1つ以上のモータ301A、301Bをも用いる。再度、これらの具体例において、支持構造体304は、リンク305、306、307、308、309、310と、トラック開口部324を有するピッチトラック322と動作可能に連結しているトラック付き関節326を含む関節311、312、313、314とを有する。これらの具体例において、遠隔点318でポイントトレーシングする間にリンク305、306、307、308、309、310の運動により支持関節326をトラック開口部324の種々の位置にわたって付勢し、装置10を再位置決めすると理解される。リンケージ及び/又は関節の多くの具体例があり得ると理解される。
【0095】
図43及び
図44の具体例は、「机上ランプ」304と呼称される位置決め及び支持構造体実施形態を示す。この具体例は、以下の点、すなわち、これらの具体例においては、挿入点318に対して一定の位置を維持しつつ、ロボット10のピッチ、すなわち別の位置への調整が可能となるように、リンク330、332、334、336、338、340、342、344、346が、ハンドル12A及び/又はロボット10に対して制御された状態で作動するという点で、机上ランプと類似する運動学を有すると理解される。ある具体例においては、ロボット10の重量と逆向きに釣り合わせるために、ばねが使用され得る。
図44に示すように、これらの支持装置304のうちの所定のものでは、作動スピンドル360又は別の装置などを介してリンケージを駆動するために複数のケーブル350、352、354が使用され得る。すなわち、種々の具体例において、リンク330、332、334、336、338、340、342、344、346のこれらの動作を奏するために、アクチュエータ301A、301Bがケーブル350、352、354に対し動作可能に接続され得る。
【0096】
当然のことながら、本明細書中に記載される全ての支持機構は、電動機又は別のアクチュエータによって作動し得る。各関節又は関節のあらゆるコンビネーションは、電動機によって駆動し得る。関節のいくつか又は全てにおいて、制御システムを設けるためにセンサも使用し得る。この制御システムは、その後、コンソール上又は別個の制御システムのロボットコントロール(又は別のコントロール)を介して、支持機構コントロールとロボットコントロールとが連係し、両システムがともに動作することを可能にし、ロボット装置の作業スペースを拡張できるようにロボット制御システムに接続し得る。
【0097】
図45に示すように、更に別の具体例において、ロボット装置10は、外部ロボット360によって支持し得る。ここで、ロボット装置10は、外部ロボットアーム362によって支持されており、該外部ロボットアーム362は、それぞれ1つ以上の自由度を有するいくつかのリンク362、364、366を有し、外科的処置中、ロボットのリモートセンサ又はポイントトレースのために使用され得る。種々の具体例において、アームは、本明細書中に記載されるものなどのモータ、センサ、及び制御システムによって能動的に制御される。ある具体例において、この外部ロボット360は、別の手術ロボット360、産業用ロボット、又は特別仕様のロボットであり得ると理解される。このシステム1の外部ロボット360は、腹腔鏡365又は別の既知の外科用ツール及び装置などの他の手術装置及びロボット手術システムとともに使用することができると更に理解される。外部ロボット支持ロボット360の別のバージョンは、
図46の具体例に示されるような平行リンケージ外部ロボット370であり得る。
【0098】
図46の平行リンケージ外部ロボット370は、ある具体例において、手術シアタ上方の天井に取り付けられている上方取付式のロボット370を有する。種々の具体例において、駆動関節371を介してロボット370により作動される、複数の半径方向に配置された近位リンク372である。これらの近位リンク372は、支持アーム376を更に支持するか、或いは、そうでなければ、位置決めする、対応する関節374と機械的に連結している。これらの具体例において、ロボット10を種々の更なる位置に付勢するべく、駆動関節371の運動が、支持関節を側方、回転可能、及び/又は直角に、付勢するほど十分であるように、支持アームは、支持関節378を介して手術ロボット10と機械的に及び/又は動作可能に連結している。
【0099】
図47は、挿入点318の近傍でロボット10に適切な自由度を与えるための、支持バー382によって支持されたボール状関節380を使用する更に別の実施形態を示す。当業者に理解されるように、この具体例において、ボール状関節は、ロボット10の3つの回転及び1つの並進(入/出)を調整するために使用し得る。ある具体例において、ボールをクランプ解除し、全4つの自由度が動くことを可能にするためにレバーロックを使用することができると更に理解される。
【0100】
図48A~
図48D-2に示すように、更に別の具体例において、ロボット10を支持するために「ハングマン」支持構造体400が使用される。この具体例においては、湾曲した旋回支持棒402が手術室の台303に取り付けられており、患者の腔316から上に延びる。この具体例において、支持棒404は、患者の上に延びる懸架関節式「Jフック」404と動作可能に連結している。この具体例において、Jフックは、両端部にボールジョイント408、410を有する更なる伸縮式リンク406を有し、ロボット10を支持し、位置決めするために使用される。種々の具体例において、
図48B-1~
図48D-2に示すように、支持棒の回転運動は、ハングマン400と更には装置10とを、中心位置318を中心に「揺動する」ように、Jフック404と、対応するリンク406及び関節408、410との対応する運動を生じさせる。多くの別の構造があり得ると理解される。
【0101】
図49は、ロボット用の回転支持体(「レイジースーザン(Lazy Susan)支持体」とも呼称される)420を示す更に別の具体例を示す。これらの具体例において、ロボット(図示せず)は、患者の挿入点424に対する支持体420の位置決め又は調整を可能にする(例えば、
図37と同等の)支持アーム422によって支持されている。すなわち、支持リング425は、支持アーム422の遠位端に結合されており、患者の挿入点424に隣接して又は患者の挿入点424上に配置され得る。当該技術分野において理解されるように、挿入点424は、切開又は患者の自然孔であり得る。支持体420は、挿入点424の周りで支持リング425に対して回転可能な回転輪426の形態の「ヨー」自由度を有する。更に、支持体420は、回転可能な輪426の軸を横断する軸の周りで回転可能なクロスリンク428による「ピッチ」自由度を有する。カップリング板430がクロスリンク428に回転可能に取り付けられており、ロボット装置(例えば、装置10など)の側面に結合するように構成されている。一具体例によれば、カップリング板430は、ロボット装置に結合することが可能ないずれかのカップリング構成要素であり得る。ロボット(図示せず)は、腹壁の厚みの変化により導入される、挿入点424周囲における動作の誤差を可能にする受動関節を含むクロスリンク428に取り付けられた板430を用いて異なる深さに挿入し得る。より具体的には、クロスリンク428のそれぞれは、一端が回転輪426に回転可能に結合されており、他端が板430に回転可能に結合されており、もって、ロボット(ロボット10など)があらゆる未知の腹壁の厚みに対応するように動くことができるようにする。一実施形態において、クロスリンク428は、回転輪426とカップリング板430とに回転可能に結合され得るあらゆる長尺状の部材であり得る。
【0102】
図50A~
図50Dに、装置(装置10など)用の代替的な回転支持体440の具体例が示されている。ここで、2つの支持アーム448によって支持された支持リング444と、前記支持リング444に対し移動可能に連結された開弧ピッチトラック(本明細書では「ピッチフレーム」とも称される)446とは、
図50Aに示すように、ヨー(y)とピッチ(p)の双方の自由度をもたらす。より具体的には、
図50B~
図50Dに最も良く示されるように、ピッチトラック446は、支持リング444に沿って支持リング444の周囲の異なる位置に摺動することができるように、支持リング444に摺動可能に連結されたカップリング構成要素447を有しており、もって、装置10が図示のように回転可能なヨー(y)自由度をもたらす。カップリング構成要素447は、本明細書中に記載されるように、支持リング444に摺動可能に連結可能であり、ピッチトラック446が支持リング444に沿って連結可能に摺動することを可能にするあらゆる機構又は装置であり得ると理解される。
【0103】
ピッチフレーム446は、支持リング444上に摺動可能に配置することができるとともに、支持リング444上の所望の位置又は場所に選択的にロックし得る。更に、キャリッジ452が設けられており、該キャリッジ452は、ピッチトラック446に摺動可能に連結されるとともに、ロボット装置10を受け入れている。すなわち、ロボット装置10は、キャリッジ452に摺動可能に連結され得る。キャリッジ452は、ピッチトラック446に沿って参照文字Pで示される方向に摺動することができるとともに、トラック446上の所望の位置又は場所に選択的にロック可能であり、もって、装置10が連結されたときに当該装置10のピッチ自由度をもたらす。更に、装置10は、キャリッジ452内に摺動可能に配置することができるとともに、キャリッジの所望の位置に選択的にロックすることができるようにキャリッジ452に連結されていることから、キャリッジ452は、装置10の並進自由度をもたらす。一実施形態によれば、ピッチトラック446は、ピッチ自由度をもたらすようにキャリッジ452又はロボット装置10が摺動可能に連結することができるあらゆる機構又は装置であり得る。この具体例において、キャリッジ452が第1のアーム446A及び第2のアーム446Bに摺動可能に連結することができるとともに、トラックスペース449に沿って摺動することができるように、ピッチトラック446は、第1のアーム446Aと、第2のアーム446Bとを有し、第1のアーム446A及び第2のアーム446Bは、それらの間にトラックスペース449を画定するように配置されている。種々の実施形態において、キャリッジ452が弧に沿って移動し、もって、装置10にピッチ自由度を伝達するように、2つのアーム446A、446Bは、図示のように、ピッチ自由度を提供するために円弧を描いて湾曲している。
【0104】
ある別の実施形態において、支持リング444は、1つの支持アーム又は3つ以上の支持アームによって支持され得る。この具体例において、2つの支持アーム448は、支持リング444を挿入点450(他の実施形態と同様に、切開又は自然孔であり得る)と整合するように配置されている。
【0105】
図51にロボット装置支持体460の別の具体例を見ることができる。この実施形態において、装置支持体460は、2つのフレーム、すなわち第1のフレーム(「第1のトラック」、「ピッチフレーム」又は「ピッチトラック」)462と、第2のフレーム(「第2のトラック」、「ロールフレーム」又は「ロールトラック」)464とを有する。第1のトラック462は、2つのアーム462A、462Bで構成されており、第2のトラック464が第1のアーム462A及び第2のアーム462Bに移動可能に連結可能であるとともにトラックスペース463に沿って移動可能でとなるように、アーム462A、462Bは、両者間にトラックスペース463を画定するように配置されている。種々の実施形態において、2つのアーム462A、462Bは、図示のように、第2のトラック464が円弧に沿って移動するように円弧を描いて湾曲している。この具体例において、2つのアーム462A、462Bのそれぞれは、ギアトラック465A、465Bを有しており、図示のように、第2のトラック464が、各端部においてギアトラック465A、465Bに連結できることによって2つのアーム462A、462Bに沿って移動することができるように、該ギアトラック465A,465Bは、当該アーム462A、462Bに結合される。
【0106】
第2のトラック464は、キャリッジ466が第1のアーム464A及び第2のアーム464Bに移動可能に連結することができるとともに、トラックスペース467に沿って移動することができるように、2つのアーム464A、464Bで構成されており、アーム464A、464Bは、それらの間にトラックスペース467を画定するように配置されている。種々の実施形態において、キャリッジ466が円弧に沿って移動するように、2つのアーム464A、464Bは、図示のように、円弧を描いて湾曲している。この具体例において、キャリッジ466は、ギアトラック469A、469Bを有しており、図示のように、2つのアーム464A、464Bのそれぞれが、ギアトラック469A、469Bに連結できることによって2つのアーム464A、464Bに沿って移動することができるように、該ギアトラック469A、469Bは、当該アーム464A、464Bに結合される。2つのアーム464A、464Bは、その各端部にカップリング構成要素468A、468Bを有し、該カップリング要素468A、468Bは、第1のフレーム462のアーム462A、462B(及び関連するギアトラック465A、465B)に結合するように構成されている。より具体的には、この実施形態において、カップリング構成要素468A、468Bは、当該カップリング構成要素468A、468Bがギアトラック465A、465Bに沿って移動することを可能にするモータ及びギア(図示せず)を有する。すなわち、カップリング構成要素468A、468Bのギア(図示せず)は、それぞれギアトラック465A、465Bに噛合しており、モータ(図示せず)は、これらのギアが適切な方向に回転し、第2のトラック464を第1のトラック462の2つのアーム462A、462Bに沿って移動させるように駆動し得る。
【0107】
キャリッジ466は、
図50A~
図50Dと関連して説明したキャリッジ452と同様の手法でロボット装置10を受け入れるように構成されている。すなわち、キャリッジ466は、第2のトラック464に移動可能に連結されており、ロボット装置10がキャリッジ466に摺動可能に連結することができるようにロボット装置10を受け入れる。この実施形態のキャリッジ466は、モータ及びギア(図示せず)を有しており、該モータおよびギアは、上述のカップリング構成要素468A、468Bと同様の手法でキャリッジ466が第2のトラック464のギアトラック469A、469Bに沿って移動することを可能にする。代替的に、第1のトラック462及び第2のトラック464は、それぞれ第2のトラック464又はキャリッジ466が摺動可能に連結することができるいずれかの機構又は装置であり得る。
【0108】
一具体例によれば、2つのフレーム462、464は、3自由度を提供し得る。すなわち、第2のフレーム464は、第1のアーム462A及び第2のアーム462Bに沿って移動するカップリング構成要素468A、468Bによって第1のトラックスペース463に沿って移動可能であり、もって、矢印Pで示されるような装置10のピッチ自由度をもたらす。更に、キャリッジ466は、第1のアーム464A及び第2のアーム464Bに沿って移動することにより第2のトラックスペース467に沿って移動可能であり、もって、矢印Rで示されるような装置10のロール自由度をもたらす。加えて、装置10は、手術スペースに向かう方向と手術スペースから離れる方向に並進的に移動することができるようにキャリッジ466内に摺動可能に配置されており、それによって装置10の並進自由度をもたらす。この支持体460を回転可能な支持リング(上述の支持リング444など)に結合することによって第4の自由度をもたらし、ヨー自由度を実現可能であり、もって、並進自由度とともに、回転中心470を中心とした3つの自由度(本明細書中に記載されるようにピッチ、ロール、及びヨー)におけるロボット10の位置決めをすることも理解される。
【0109】
図52は、トラック502を有し、該トラック502に沿ってロボット装置10が上述のキャリッジ実施形態と同様の手法で移動することができる別の支持体500の実施形態を示す。トラック502は、他のトラックの実施形態と関連して上述した特徴のいずれかを有することができると理解される。トラック502の一端にはハンドル504が結合されており、トラック502を並進的に摺動させることができるか又はトラック502を回転させることができる。より具体的には、ハンドル504は、内側構成要素504Bと、内側構成要素504Bに対して摺動可能な外側構成要素504Aとを有する。更に、ハンドル504は、当該外側構成要素504Aが内側構成要素504Bに対して摺動すると外側構成要素504Aがトラック502を矢印Tで示すように同じ並進方向に動かすように、トラック502に結合されている。例えば、外側構成要素504Aが手術スペース(球体Sで示される)に向かって遠位側に付勢されると、トラック502も手術スペースに向かって矢印Tで示される方向に付勢され、外側構成要素504Aが離れる方に付勢されると、トラック502も離れる方に付勢される。加えて、ハンドル504全体も、自らの長手方向の軸を中心に回転可能であり、それによってトラック502を付勢して矢印Pと同じ方向に回転させ、それによってピッチ自由度を生じさせる。更に、装置10は、手術スペースに向かって又は手術スペースから離れる方に並進的に付勢され得るとともに、自らの長手方向の軸を中心に回転することができるように、トラック502に摺動可能に、或いは、そうでなければ、移動可能に連結し得る。
【0110】
図52Bに更なる支持体520の実施形態が示されている。この実施形態において、支持体520は、連結された又は「並列の」2つのトラック522、524を有する。すなわち、支持体520は、単一のキャリッジ526を有し、該キャリッジ526は、第1のトラック522と第2のトラック524の双方に連結されており、もって、2つのトラック522、524と関連して複合した結果となる、キャリッジ526の運動を生じさせる。2つのトラック522、524は、上述した先のトラック実施形態と同様の手法で構成することができるとともに、上述した先のトラックの実施形態と同様の機構を有することができると理解される。更に、本キャリッジ526が図示のようにトラック522、524の双方に直接的に連結されている、という事実を除き、キャリッジ526は、既述のキャリッジの実施形態に同様であり得る。すなわち、この具体例において、キャリッジ526は、2つの部分(すなわち区分)、つまり、第2のトラック524に移動可能に連結された上部又は第1部分526Aと、第1のトラック522に移動可能に連結された下部又は第2部分526Bとを有する。
【0111】
キャリッジ526が第1のトラック522に沿って摺動すると、第2のトラック524及びロボット10は、矢印Aで示されるように回転する。キャリッジ526が第2のトラック524に沿って摺動すると、第1のトラック522及びロボット10は、矢印Bで示されるように回転する。更に、上述の他のキャリッジ実施形態と同様に、ロボット装置10は、キャリッジ526に摺動可能に連結可能であり、もって、装置10の並進自由度をもたらすように、キャリッジ526は、ロボット装置10を受け入れる。加えて、ある実施形態によれば、2つのトラック522、524は、上述の回転リングの実施形態と同様の手法により、両トラック522、524が(キャリッジ526及び装置10とともに)リング528と一緒に、すなわちリング528に連携して回転可能なように、回転支持リング528に連結され得る。
【0112】
図52Cは、支持体540の更なる具体例を示す。この具体例において、支持体540は、輪支持体544上に回転可能に配置された単一トラック542を有する。キャリッジ546がトラック542に移動可能に連結されている。トラック542は、上述した先のトラックの実施形態と同様の手法で構成可能であるとともに、上述した先のトラックの実施形態と同様の機構を有することができると理解される。更に、キャリッジ546は、既述のキャリッジの実施形態と同様であり得る。
【0113】
キャリッジ546がトラック542に沿って摺動すると、ロボット10は、矢印Aで示されるように回転する。トラック542が支持リング544に対して回転する(又は代替的に輪544が回転する)と、キャリッジ546及びロボット10は、矢印Bで示すように回転する。更に、上述の他のキャリッジ実施形態と同様に、ロボット装置10がキャリッジ546に摺動可能に連結可能であり、それによって装置10の並進自由度を提供するように、キャリッジ546は、ロボット装置10を受け入れる。
【0114】
図52Dにロボット装置支持体560の別の実施形態を見ることができる。この実施形態において、装置支持体560は、2つのフレーム、つまり、第1のフレームすなわちトラック562と、第2のフレームすなわちトラック564とを有する。2つのフレーム562、564は、上で詳述した支持体460のフレーム462、464と同等の手法で互いに連結されている。すなわち、第2のトラック564は、第1のトラック562に移動可能に連結可能であるとともに、第1のトラック562に沿って移動し得る。トラック562、564のいずれか一方又は双方は、上述のようにギアトラックを有し得る。代替的に、トラック562、564は、トラックと関連して本明細書中に開示又は想定されるいずれかの形態を有し得る。ある具体例において、第2のトラック564は、各端部において、第1のフレーム562に移動可能に連結するように構成されているカップリング構成要素(図示せず)を有する。代替的に、第2のトラック546は、いずれかの手法で第1のトラック562に移動可能に連結し得る。
【0115】
一実施形態によれば、装置10は、本明細書中に開示又は想定されるいずれかのキャリッジ実施形態により構成され得るキャリッジ(図示せず)を介して支持体560に結合し得る。代替的に、装置10がトラック564に移動可能に連結され得るように、装置10は、トラック564に直接的に連結され得る。つまり、装置10は、矢印Aで示されるようにトラック564に沿って移動可能であり、手術スペースに向かって又は手術スペースから離れる方に移動可能であり、その結果、矢印Tで示されるような並進自由度をもたらし、かつ、矢印Rで示されるように自らの長手方向の軸を中心に回転し得る。加えて、第2のトラック564は、矢印Bで示されるように第1のトラック562に沿って移動し得る。この支持体560を回転可能な支持リング(上述の支持リング実施形態のいずれかなど)に連結することによって更なる自由度を実現し得ることも理解される。
【0116】
図52Eは、支持体580の別の実施形態を示す。この具体例において、支持体580は、ボールジョイントを用いる。すなわち、支持体は、3つのアーム586A、586B、586Cによって結合された第1のリング、すなわち上リング582と、第2のリング、すなわち下リング584とを有する。3つのアーム586A、586B、586Cは、それぞれ各端部にボールジョイント588を有しており、3つのアーム586A、586B、586Cは、一端がボールジョイント588を介して第1のリング582に結合され、他端がボールジョイント588を介して第2のリング584に結合されるようになっている。図示のようにロボット10は、第2のリング584に取り付けられている。一実施形態において、ロボット10が手術スペースに向かって又は手術スペースから離れる方に摺動可能であり、それによって並進自由度をもたらすように、ロボット10は、上述のキャリッジ実施形態と同等の手法で第2のリング584に摺動可能に連結されている。
【0117】
ボールジョイントを介して2つのリング582、584に結合された3つのアーム586A-Cの構成は、第2のリング584より下のある箇所にロボット装置10の1つの回転中心を生じさせることができると理解される。したがって、支持体580が患者の上方に配置されていれば、回転中心は、上記支持体の実施形態と同等の手法で手術挿入点(切開など)と整合させることができる。
【0118】
図52Fにロボット装置支持体600の更なる具体例が示されている。この実施形態において、装置支持体600は、2つのフレーム、すなわち第1のフレーム又はトラック602と、第2のフレーム又はトラック604とを有する。2つのフレーム602、604は、支持体460のフレーム462、464、又は、支持体560のフレーム562、564(この双方については上で詳述した)と同様の手法で互いに連結されている。すなわち、第2のトラック604は、第1のトラック602に移動可能に連結することができるとともに、第1のトラック602に沿って移動し得る。キャリッジ606が第2のトラック604に移動可能に連結されており、第2のトラック604に沿って移動する。トラック602、604のいずれか又は双方は、上述のようなギアトラックを有し得る。代替的に、フレーム602、604は、フレームと関連して本明細書中に開示又は想定されるいずれかの構成を有し得る。ある具体例において、第2のトラック604は、各端部において、第1のフレーム602に移動可能に連結するように構成されているカップリング構成要素608A、608Bを有する。代替的に、第2のトラック604は、いずれかの手法で第1のトラック602に移動可能に連結し得る。
【0119】
キャリッジ606(したがって装置10)は、矢印Aで示されるように第2のフレーム604に沿って移動可能であり、キャリッジ606に関連する手術スペースに向かって又は手術スペースから離れる方に移動可能であり、矢印Tで示されるような並進自由度をもたらし、矢印Rで示されるように自らの長手方向の軸を中心に回転し得る。加えて、第2のトラック604は、矢印Bで示されるように第1のトラック602に沿って移動し得る。更なる自由度が、この支持体600を回転可能な支持リング(上述の支持リング実施形態のいずれかなど)に結合することによって提供され得ることも理解される。
【0120】
図53に、ロボットカメラ(ロボット装置10など)からの像を示すメインディスプレイ722を有する1つの制御コンソール720具体例が示されている。メインディスプレイの下にある第2タッチスクリーン724は、ロボット、カメラ、及びシステムの種々の機能と接続するために使用される。この実施形態において、ユーザ入力装置として、2つの触覚ハンドコントローラ726、728が使用される。これらの触覚ハンドコントローラ726、728は、コントローラ726、728にあてがわれた外科医の手の動きを測定し、これらの手に力及びトルクを加え、この触覚フィードバックを通して外科医に種々の情報を示すことができる。コンソール720は、ロボットの種々の機能を制御するためのペダル730も有する。外科医用コンソール720の高さは、外科医の着席又は起立を可能にするように変更し得る。触覚フィードバックの操作の更なる説明は、参照により本明細書中に援用される米国特許出願公開第15/227,813号明細書及び他の出願と関連して見つけることができる。
【0121】
図54は、システム1の様々な相互運用性及び配線の可能性を示す。多くの概念があり得るが、ここでは、
図54の状況で3つの例示的実施形態が記載される。1つの配線例において、外科医用コンソール720(又は本明細書中に開示若しくは想定されるいずれかの他のコンソール)は、電気外科用ジェネレータ740と接続する。その後、「モンスタケーブル」742によって外科医用コンソール720を手術環境の近傍のブレイクアウトコネクタ744に接続する。カメラ746及びロボット10は、その後、ブレイクアウトコネクタ744に接続される。この場合、電気外科用ユニット740のエネルギは、ロボット10に送られる前に外科医用コンソール720を経由する。この具体例において、リターンパッドは設けられない。
【0122】
代替的に、別の配線概念によれば、モノポーラ電気外科エネルギが電気外科用ジェネレータ740に戻る前に、ブレイクアウトコネクタ744とモンスタケーブル742とコンソール720とを経由するように、ブレイクアウトコネクタ744に結合されたリターンパッド748が設けられている。
【0123】
更なる配線代替形態では、モノポーラ電気外科エネルギが電気外科用ジェネレータ740に直接戻されることで電気外科用ユニットのエネルギがロボット10に送られる前に外科医用コンソール720を経由するように、リターンパッド748は、電気外科用ジェネレータ740に結合されている。
【0124】
他の実施形態において、システム1は、システム1のいくつかの可能な場所の1つに配置されたインターフェイスボックスを有するケーブルコネクタ筐体又はクラスタを有し得る。例えば、
図55は、手術台762の台レールに吊されたインターフェイスボックス(本明細書では「ポッド」とも称される)760を有するシステム1を示す。この実施形態において、システム1は、焼灼器、照明、及びインターフェイスボックス760に結合された他の機能764などの補助電子機器及び設備を有する。コンソール720もインターフェイスボックス760に結合されている。ポッド760は、手術領域内のロボット1の接続を簡略化する。ポッド760は、滅菌、又は非滅菌、かつ、滅菌ドレープによる被覆、又は完全に非滅菌とし得る。ポッド760の機能は、手術スペースに必要なケーブル布線を簡略化することと、外科医用コンソール720に対するロボット及びカメラ1の接続を簡略化することとである。インターフェイスボックス760は、滅菌野内又はその外の手術台762に吊すことができる。いくつかの実施形態において、ボックス760は、適切な接続が行われたことをユーザに知らせ、他の形態のフィードバックをユーザに与える照明又はスクリーン(図示せず)などのインジケータを有する。ポッド760は、ボタン、タッチスクリーン、又はユーザから入力を受信するための他のインターフェイス機構の形態のインターフェイスも有し得る。
【0125】
ある別の実施形態において、ポッド760は、手術台762の隣又は手術台762からいくらかの距離にある床に配置し得る。代替的に、ポッド760は、他の場所に吊す若しくは接続することができるか、又は滅菌野の外の床に配置し得る。
【0126】
この用途の1つは、ポッドをベッドレールに取り付けること、次いで後に滅菌ロボット及びカメラを持ち込むことであり得る。ロボットのピグテール及びカメラのピグテールは、その後、ポッドへの接続のために非滅菌者に渡すことができる。これは、滅菌野と非滅菌野との間の清潔な接続を可能にする。ポッド端部は、滅菌野に入ることができるように無菌布で覆うこともでき、ロボット及びカメラの接続部は、後に完全に機能的かつ、滅菌された状態でベッド横の外科医に届けることができるように滅菌台で組み立てることができる。
【0127】
インターフェイスボックスは、焼灼器、照明、及び他の機能などの他の補助電子機器及び設備に接続することもでき、インターフェイスボックスは、補助電子機器とともに、床又は滅菌野外の別の箇所にあるように設計し得る。
【0128】
本開示は、好適な実施形態に関して記載してきたが、当業者であれば、開示される装置、システム、及び方法の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び細部に対する変更形態がなされ得ることを認識するであろう。
【0129】
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
(a)(i)前側と、後側と、遠位端と、近位端とを備える装置本体と、
(ii)第1のロボットアームと、
(iii)第2のロボットアームと、
(iv)前記装置本体の前記遠位端に動作可能に連結されるとともに前記第1のロボットアームに動作可能に連結される第1の肩部であって、第1の軸周りに前記第1のロボットアームを駆動するように構成された第1の関節を備え、前記第1の関節は、
(A)第1のシャフトと、
(B)前記第1のシャフトの回転により駆動される第1の歯車対と、
(C)前記第1の歯車対によって駆動される第2の歯車対と
を備える、前記第1の肩部と、
(v)前記装置本体の前記遠位端に動作可能に連結されるとともに前記第2のロボットアームに動作可能に連結される第2の肩部であって、第2の軸周りに前記第2のロボットアームを駆動するように構成された第2の関節を備え、前記第2の関節は、
(A)第2のシャフトと、
(B)前記第2のシャフトの回転により駆動される第3の歯車対と、
(C)前記第3の歯車対によって駆動される第4の歯車対と
を備える、前記第2の肩部と
を備える、ロボット手術装置と、
(b)可撓性セクションと遠位撮像器とを備えるカメラ構成要素と
を備え、
前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームは、前記装置本体の前記前側又は前記後側に位置するように構成及び配置される、ロボット手術システム。
[付記2]
前記ロボット手術装置は、少なくとも1つのアクチュエータを備える、付記1に記載のロボット手術システム。
[付記3]
前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームは、前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームのそれぞれの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、付記1に記載のロボット手術システム。
[付記4]
前記ロボット手術装置の位置を維持するように構成された支持装置を更に備える、付記3に記載のロボット手術システム。
[付記5]
手術コンソールを更に備える、付記4に記載のロボット手術システム。
[付記6]
前記カメラ構成要素は、前記ロボット手術装置内に画定されたルーメンを介して配置される、付記5に記載のロボット手術システム。
[付記7]
前記カメラ構成要素は、高さ調節式カメラであるように構成される、付記6に記載のロボット手術システム。
[付記8]
前記カメラ構成要素は、ピッチ運動及びヨー運動が可能であるように構成及び配置される、付記1に記載のロボット手術システム。
[付記9]
遠位カメラ先端は、画定された作業スペースの方に向くように構成される、付記1に記載のロボット手術システム。
[付記10]
前記カメラ構成要素は、照明を備える、付記1に記載のロボット手術システム。
[付記11]
前記ロボット手術装置は、第1のエンドエフェクタ及び第2のエンドエフェクタを更に備える、付記1に記載のロボット手術システム。
[付記12]
(a)(i)(A)遠位端と、(B)近位端と、(C)前側と、(D)後側とを備える装置本体と、
(ii)前記装置本体の前記遠位端に動作可能に連結される第1の肩関節であって、
(A)第1のシャフトと、
(B)前記第1のシャフトの回転により駆動される第1の歯車対と、
(C)前記第1の歯車対により駆動される第2の歯車対と、
を備える、前記第1の肩関節と、
(iii)前記装置本体の前記遠位端に動作可能に連結された第2の肩関節であって、
(A)第2のシャフトと、
(B)前記第2のシャフトの回転により駆動される第3の歯車対と、
(C)前記第3の歯車対により駆動される第4の歯車対と
を備える、前記第2の肩関節と、
(iv)前記第1の肩関節に動作可能に連結された第1のロボットアームと、
(v)前記第2の肩関節に動作可能に連結された第2のロボットアームと
を備えるロボット手術装置と、
(b)(A)シャフトと、(B)撮像器と、(C)前記撮像器を前記シャフトに動作可能に連結する可撓性セクションとを備えるカメラ構成要素と
を備え、前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームが、前記装置本体の前記前側及び前記後側に配置可能に構成され、配置される、ロボット手術システム。
[付記13]
前記第1のロボットアームは、上腕と前腕とを更に備える、付記12に記載のロボット手術システム。
[付記14]
前記第1のロボットアームは、
(a)第1のアームの上腕と、
(b)第1のアームの肘関節と、
(c)第1のアームの前腕と
を更に備え、前記第1のアームの上腕は、前記第1の肩関節に対して相対的にロール、ピッチ、及びヨーが可能であるように構成されるとともに、前記第1のアームの前腕は、前記第1のアームの肘関節により、前記第1のアームの上腕に対して相対的にヨーが可能であるように構成される、付記12に記載のロボット手術システム。
[付記15]
前記第1のロボットアームは、前記第1のロボットアームの内部に配置された少なくとも1つの第1のアームアクチュエータを更に備える、付記14に記載のロボット手術システム。
[付記16]
前記第2のロボットアームは、
(a)第2のアームの上腕と、
(b)第2のアームの肘関節と、
(c)第2のアームの前腕と
を更に備え、前記第2のアームの上腕は、前記第2の肩関節に対して相対的にロール、ピッチ、及びヨーが可能であるように構成されるとともに、前記第2のアームの前腕は、前記第2のアームの肘関節により、前記第2のアームの上腕に対して相対的にヨーが可能であるように構成される、付記14に記載のロボット手術システム。
[付記17]
前記第2のロボットアームは、前記第2のロボットアームの内部に配置された少なくとも1つの第2のアームアクチュエータを更に備える、付記16に記載のロボット手術システム。
[付記18]
(a)(i)装置本体であって、(A)遠位端と、(B)近位端と、(C)前記装置本体の内部に画定されるカメラ用ルーメンとを備え、前記カメラ用ルーメンは、(1)前記装置本体の前記近位端における近位ルーメン開口部と、(2)前記近位ルーメン開口部の遠位側に画定される伸張部と、(3)前記装置本体の前記遠位端において前記伸張部の遠位端に画定された遠位側ルーメン開口部と、を備える、前記装置本体と、
(ii)第1の肩関節であって、
(A)第1のシャフトと、
(B)前記第1のシャフトの回転により駆動される第1の歯車対と、
(C)前記第1の歯車対によって駆動される第2の歯車対と
を備える、前記第1の肩関節と、
(iii)第2の肩関節であって、
(A)第2のシャフトと、
(B)前記第2のシャフトの回転により駆動される第3の歯車対と、
(C)前記第3の歯車対によって駆動される第4の歯車対と
を備える、前記第2の肩関節と、
(iv)前記第1の肩関節に動作可能に連結された第1のロボットアームと、
(v)前記第2の肩関節に動作可能に連結された第2のロボットアームと、
を備えるロボット手術装置と、
(b)カメラ構成要素であって、ハンドルに動作可能に連結された長尺の管を備え、前記長尺の管は、前記伸張部を通して配置可能であるように構成されるとともに寸法設定されており、前記長尺の管は、(A)シャフトと、(B)撮像器と、(C)光学セクションを剛性セクションに動作可能に連結する可撓性セクションとを備え、前記長尺の管は、前記カメラ構成要素が前記カメラ用ルーメンを介して配置されると、少なくとも前記光学セクションが前記遠位側ルーメン開口部から遠位側に延びるように構成されるような長さを有する、前記カメラ構成要素と
を備える、ロボット手術システム。
[付記19]
前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームは、各アームの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、付記18に記載のロボット手術システム。
[付記20]
前記第1のロボットアーム又は前記第2のロボットアームの少なくとも1つの内部に設けられており、かつ、前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームの少なくとも1つと操作可能に接続している少なくとも1つのPCBを更に備え、前記PCBは、前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームのヨー機能及びピッチ機能を制御するように構成される、付記18に記載のロボット手術システム。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット手術装置であって、
(a)該ロボット手術装置は長尺状構造体を備え、
(b)該ロボット手術装置は前記長尺状構造体の遠位端に動作可能に連結される第1の肩関節を備え、前記第1の肩関節は、
(i)第1のシャフトと、
(ii)前記第1のシャフトの回転によって駆動される第1の歯車対と、
(iii)前記第1の歯車対によって駆動される第2の歯車対と
を備え、
(c)該ロボット手術装置は前記長尺状構造体の遠位端に動作可能に連結される第2の肩関節を備え、前記第2の肩関節は、
(i)第2のシャフトと、
(ii)前記第2のシャフトの回転によって駆動される第3の歯車対と、
(iii)前記第3の歯車対によって駆動される第4の歯車対と
を備え、
(d)該ロボット手術装置は前記第1の肩関節に動作可能に連結される第1のロボットアームを備え、
(e)該ロボット手術装置は前記第2の肩関節に動作可能に連結される第2のロボットアームを備え、
前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームは、前記長尺状構造体の前側から後側まで延びる作業スペースにおいて移動可能である、ロボット手術装置。
【請求項2】
前記作業スペースは、前記長尺状構造体の前記前側から前記後側まで180°延びる、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項3】
少なくとも1つのアクチュエータを更に備える、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項4】
前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームは、前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームのそれぞれの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項5】
前記長尺状構造体の内部に画定されたルーメンを通して配置されるカメラ構成要素を更に備える、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項6】
前記カメラ構成要素は、高さ調節式カメラであるように構成される、請求項5に記載のロボット手術装置。
【請求項7】
前記カメラ構成要素は、ピッチ及びヨーが可能であるように構成され及び配置される、請求項5に記載のロボット手術装置。
【請求項8】
前記カメラ構成要素は、画定された作業スペースに向くように構成された先端を備える、請求項5に記載のロボット手術装置。
【請求項9】
前記カメラ構成要素は、少なくとも1つの照明を備える、請求項5に記載のロボット手術装置。
【請求項10】
第1のエンドエフェクタ及び第2のエンドエフェクタを更に備える、請求項1に記載のロボット手術装置。
【請求項11】
ロボット手術装置であって、
(a)該ロボット手術装置は長尺状構造体を備え、
(b)該ロボット手術装置は前記長尺状構造体の遠位端に動作可能に連結される第1の肩関節を備え、前記第1の肩関節は、
(i)第1のシャフトと、
(ii)前記第1のシャフトの回転によって駆動される第1の歯車対と、
(iii)前記第1の歯車対によって駆動される第2の歯車対と
を備え、
(c)該ロボット手術装置は前記長尺状構造体の遠位端に動作可能に連結される第2の肩関節を備え、前記第2の肩関節は、
(i)第2のシャフトと、
(ii)前記第2のシャフトの回転によって駆動される第3の歯車対と、
(iii)前記第3の歯車対によって駆動される第4の歯車対と
を備え、
(d)該ロボット手術装置は前記第1の肩関節に動作可能に連結される第1のロボットアームを備え、
(e)該ロボット手術装置は前記第2の肩関節に動作可能に連結される第2のロボットアームを備え、
(f)該ロボット手術装置は前記長尺状構造体のルーメンを通して配置可能なカメラ構成要素を備え、
前記第1の肩関節及び前記第2の肩関節は、前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームが前記長尺状構造体の前側及び後側に延び得るように構成される、ロボット手術装置。
【請求項12】
前記第1のロボットアームは、上腕と前腕とを更に備える、請求項11に記載のロボット手術装置。
【請求項13】
前記第1のロボットアームは、
(a)第1のアームの上腕と、
(b)第1のアームの肘関節と、
(c)第1のアームの下腕と
を更に備え、
前記第1のアームの上腕は、前記第1の肩関節に対して相対的にロール、ピッチ、及びヨーが可能であるように構成されるとともに、前記第1のアームの下腕は、前記第1のアームの肘関節により、前記第1のアームの上腕に対して相対的にヨーが可能であるように構成される、請求項11に記載のロボット手術装置。
【請求項14】
前記第1のロボットアームは、前記第1のロボットアームの内部に配置された少なくとも1の第1のアームアクチュエータを更に備える、請求項11に記載のロボット手術装置。
【請求項15】
前記第2のロボットアームは、
(a)第2のアームの上腕と、
(b)第2のアームの肘関節と、
(c)第2のアームの下腕と
を更に備え、
前記第2のアームの上腕は、前記第2の肩関節に対して相対的にロール、ピッチ、及びヨーが可能であるように構成されるとともに、前記第2のアームの下腕は、前記第2のアームの肘関節により、前記第2のアームの上腕に対して相対的にヨーが可能であるように構成される、請求項11に記載のロボット手術装置。
【請求項16】
前記第2のロボットアームは、前記第2のロボットアームの内部に配置された少なくとも第2のアームアクチュエータを更に備える、請求項11に記載のロボット手術装置。
【請求項17】
ロボット手術システムであって、
(a)該ロボット手術システムはロボット手術装置を備え、
(i)該ロボット手術装置は長尺体を備え、該長尺体は、当該長尺体の内部に画定されるルーメンを備え、該ルーメンは、
(A)前記長尺体の近位端の近位ルーメン開口と、
(B)前記近位ルーメン開口の遠位に画定される延長されたルーメン部と、
(C)前記延長されたルーメン部の遠位端に画定され、前記長尺体の遠位端にある遠位ルーメン開口と
を備え、
(ii)該ロボット手術装置は前記長尺体に動作可能に連結する第1の肩関節を備え、該第1の肩関節は、
(A)第1のシャフトと、
(B)前記第1のシャフトの回転によって駆動される第1の歯車対と、
(C)前記第1の歯車対によって駆動される第2の歯車対と
を備え、
(iii)該ロボット手術装置は前記長尺体に動作可能に連結する第2の肩関節を備え、該第2の肩関節は、
(A)第2のシャフトと、
(B)前記第2のシャフトの回転によって駆動される第3の歯車対と、
(C)前記第3の歯車対によって駆動される第4の歯車対と
を備え、
(iv)該ロボット手術装置は前記第1の肩関節に動作可能に連結される第1のロボットアームを備え、
(v)該ロボット手術装置は前記第2の肩関節に動作可能に連結される第2のロボットアームを備え、
(b)該ロボット手術システムは前記ルーメンに対し取り外し可能に配置されるカメラ構成要素を備え、該カメラ構成要素は、ハンドルに動作可能に連結される長尺の管を備え、前記長尺の管は、前記延長されたルーメン部を通して配置可能に構成され、かつ、寸法設定されており、前記長尺の管は、
(A)シャフトと、
(B)撮像器と、
(C)光学セクションを剛性セクションに動作可能に連結する可撓部と
を備え、
前記長尺の管は、前記カメラ構成要素が前記ルーメンを通して配置された場合に、少なくとも光学セクションが前記遠位ルーメン開口から遠位に延出するよう構成されるような長さを有する、ロボット手術システム。
【請求項18】
前記ロボット手術装置は、前記長尺体の前側から後側に延びるロボットアーム作業スペースを更に備える、請求項17に記載のロボット手術システム。
【請求項19】
前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームは、各アームの内部に配置された少なくとも1つのモータを備える、請求項17に記載のロボット手術システム。
【請求項20】
前記ロボット手術装置及び前記カメラ構成要素に動作可能に接続される外科医用コンソールを更に備える、請求項17に記載のロボット手術システム。