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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091242
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】出没式筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 24/08 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
B43K24/08 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205882
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】有坂 優希
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353HA01
2C353HA07
2C353HA09
2C353HC06
2C353HG04
2C353HJ03
2C353HL03
(57)【要約】
【課題】 レフィルの円滑な回転が阻害される虞のない出没式筆記具を提供すること。
【解決手段】 本発明は、前端に開口を有する軸筒と、前記軸筒の内部に収容され、前記軸筒の軸方向に移動可能なチップホルダーと、前記チップホルダーの前端に固定され、前記チップホルダーの移動に伴って前記軸筒の前記開口から出没可能なチップと、前記軸筒の前記開口の内周に遊嵌された環状部材と、前記環状部材に固定され、前記チップホルダーと前記環状部材とを互いに相対移動可能に接続可能な弾性部材と、を備え、前記軸筒の内面の一部には、前記環状部材が摺動する摺動面が形成されていることを特徴とする出没式筆記具である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に開口を有する軸筒と、
前記軸筒の内部に収容され、前記軸筒の軸方向に移動可能なチップホルダーと、
前記チップホルダーの前端に固定され、前記チップホルダーの移動に伴って前記軸筒の前記開口から出没可能なチップと、
前記軸筒の前記開口の内周に遊嵌された環状部材と、
前記環状部材に固定され、前記チップホルダーと前記環状部材とを互いに相対移動可能に接続可能な弾性部材と、
を備え、
前記軸筒の内面の一部には、前記環状部材が摺動する摺動面が形成されている
ことを特徴とする出没式筆記具。
【請求項2】
前記摺動面は、前記環状部材の前端部が摺動する前端面摺動面を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の出没式筆記具。
【請求項3】
前記前端面摺動面は、前記軸筒の前記軸方向に対して垂直な面である
ことを特徴とする請求項2に記載の出没式筆記具。
【請求項4】
前記弾性部材は、コイルバネである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の出没式筆記具。
【請求項5】
前記軸筒に対して前後方向にスライド可能に設けられたノック部材
を更に備え、
前記チップは、前記ノック部材が前方に移動される度に、前記軸筒の前記開口から突出ないし没入を交互に繰り返すよう前後に移動されるようになっており、
前記環状部材は、前記ノック部材が前方に移動される度に、前記軸筒に対して回転されるようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の出没式筆記具。
【請求項6】
前端にチップが固定されたチップホルダーを軸方向に移動可能に収容可能であって、前端に開口を有し、前記チップホルダーの移動に伴って前記チップを前記開口から出没させることが可能な出没式筆記具用の軸筒であって、
前記軸筒の前記開口の内周に遊嵌される環状部材と、
前記環状部材に固定され、前記チップホルダーと前記環状部材とを互いに相対移動可能に接続可能な弾性部材と、
を備え、
前記軸筒の内面の一部には、前記環状部材が摺動する摺動面が形成されている
ことを特徴とする出没式筆記具用の軸筒。
【請求項7】
前記摺動面は、前記環状部材の前端部が摺動する前端面摺動面を有している
ことを特徴とする請求項6に記載の出没式筆記具の軸筒。
【請求項8】
前記前端面摺動面は、前記軸筒の前記軸方向に対して垂直な面である
ことを特徴とする請求項7に記載の出没式筆記具の軸筒。
【請求項9】
前記弾性部材は、コイルバネである
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の出没式筆記具の軸筒。
【請求項10】
前記軸筒に対して前後方向にスライド可能に設けられたノック部材
を更に備え、
前記チップは、前記ノック部材が前方に移動される度に、前記軸筒の前記開口から突出ないし没入を交互に繰り返すよう前後に移動されることが可能であり、
前記環状部材は、前記ノック部材が前方に移動される度に、前記軸筒に対して回転されるようになっている
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の出没式筆記具用の軸筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップホルダーの移動に伴って軸筒の開口からチップが出没可能な出没式筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、特願2020-211780において、
前端に開口を有する軸筒と、
前記軸筒の内部に収容され、前記軸筒の軸方向に移動可能なチップホルダーと、
前記チップホルダーの前端に固定され、前記チップホルダーの移動に伴って前記軸筒の前記開口から出没可能なチップと、
前記軸筒の前記開口の内周に遊嵌され、当該軸筒に対して当該軸筒の軸方向に移動可能な環状部材と、
前記チップホルダーと前記環状部材とを互いに相対移動可能に接続可能な弾性部材と、
を備え、
前記環状部材の外周の少なくとも一部には、前記チップホルダーの前端側への移動に伴って前記軸筒の内面の一部に当接する当接面が形成されており、
前記環状部材の一部には、切欠きが形成されており、前記当接面において荷重を受ける時に当該環状部材の内径が縮径するようになっており、
前記軸筒の内面の一部には、前記チップホルダーの前端側への移動に伴って前記当接面が当接する案内面が形成されており、
前記当接面は、前記チップホルダーの前端側への移動に伴って、前記案内面から前記荷重を受けるようになっている
ことを特徴とする出没式筆記具
を提案している。
【0003】
当該出没式筆記具によれば、チップホルダーの前端側への移動に伴って環状部材の当接面が軸筒の案内面から荷重を受けることによって、環状部材の切欠きの存在によって環状部材の内径が縮径する。これにより、軸筒と環状部材とが協働してチップまたはチップホルダーをガタつき(遊び)の無い態様で把持することができる。
【0004】
より具体的には、図1は、当該出没式筆記具の一実施形態における出没式筆記具10の概略縦断面図であって、チップ14(筆記体)が突出していない状態を示す図である。図2は、出没式筆記具10の先端部分の拡大縦断面図である。
【0005】
また、図3(a)は、出没式筆記具10の環状部材15の斜視図であり、図3(b)は、図3(a)の環状部材15の平面図であり、図3(c)は、図3(a)の環状部材15の側面図であり、図3(d)は、図3(a)の環状部材の底面図であり、図3(e)は、図3(c)のA-A線断面図であり、図3(f)は、図3(a)の環状部材の正面図(先端側から見た図)であり、図3(g)は、図3(a)の環状部材の背面図である。
【0006】
更に、図4は、出没式筆記具10において、チップ14の突出操作の過程で、チップ14が環状部材15と接触した状態を示す概略図であり、図5は、出没式筆記具10において、チップ14の突出操作の過程で、チップ14が最も突出した状態を示す概略図であり、図6は、出没式筆記具10において、チップ14の突出操作が終了した後の、チップ14が突出した状態を示す概略図である。
【0007】
図1乃至図6に示す出没式筆記具10は、前端に開口を有する円筒形状の軸筒11を備えている。図1に示すように、当該軸筒11は、後方部11rと、前方部11mと、を有している。後方部11rと前方部11mとは、ネジ結合(螺合)によって取り外し可能に固定されている。もっとも、後方部11rと前方部11mとは、嵌め合い結合によって固定されていてもよいし、一体に形成されていてもよい。
【0008】
軸筒11の内部には、軸筒11の軸方向に移動可能なチップホルダー13が収容されている。チップホルダー13の前端に、筆記体であるチップ14が固定されている。チップ14は、チップホルダー13の移動に伴って、図4乃至図6に示すように、軸筒11の開口から出没可能となっている。
【0009】
チップホルダー13は、図2に示すように、基端側から先端側に向かって、基端部13a、第1カラー部13b及び第2カラー部13cを当該順序で有している。基端部13a及び第1カラー部13bは、いずれも円筒形状の部位であり、第2カラー部13cは、切頭円錐形状の部位であり、それらの断面直径の相互関係は、基端部13a>第1カラー部13b>第2カラー部13cとなっている。
【0010】
図2に示すように、軸筒11の開口の内周に、当該軸筒11に対して当該軸筒11の軸方向に移動可能な環状部材15が遊嵌されている。環状部材15の前方端は、軸筒11の前方端よりも前方側に位置している。環状部材15の後方側は、外径も内径も拡径されていて、チップ14(φ2.5とする)の周囲を非接触に覆っている。
【0011】
また、環状部材15は、コイルバネ16(弾性部材の一例)の前方端に固定されている。コイルバネ16は、チップホルダー13の第2カラー部13c及びチップ14を遊嵌状態で(隙間を空けて)取り囲んでおり、コイルバネ16の後方端がチップホルダー13の基端部13aによって常時押圧されている(固定はされていない)。これにより、コイルバネ16は、チップホルダー13と環状部材15とを互いに相対移動可能に接続している。そして、図4乃至図6に示すように、チップホルダー13の移動及びコイルバネ16の伸縮変形に伴って、環状部材15は、軸筒11に対して当該軸筒11の軸方向に移動可能となっている。
【0012】
環状部材15は、樹脂製(例えばポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン製)または金属製(例えば真鍮製)である。
【0013】
また、図3(a)乃至図3(g)に示すように、環状部材15の外周面は、前方側から、小外径円筒面15a(φ3.6mm、軸方向長さ1.6mm)と、先細状の当接面としての第1切頭円錐外面15b(軸方向長さ1.1mm)と、中外径円筒面15c(φ4.85mm、軸方向長さ1.5mm)と、先細状の当接面としての第2切頭円錐外面15d(軸方向長さ1.6mm)と、第1大外径円筒面15e(φ6.3mm、軸方向長さ0.8mm)と、先細状の当接面としての第3切頭円錐外面15f(軸方向長さ0.4mm)と、第2大外径円筒面15g(φ6.6mm、軸方向長さ3.3mm)と、が当該順序で設けられている。
【0014】
また、図3(e)に示すように、環状部材15の内周面は、前方側から、小内径円筒面15ia(φ3mm、軸方向長さ2mm)と、第1切頭円錐内面15ib(軸方向長さ0.5mm)と、中内径円筒面15ic(φ3.6mm、軸方向長さ3.9mm)と、第2切頭円錐内面15id(軸方向長さ0.4mm)と、四面払い部15ie(内接円φ5.28mm、軸方向長さ0.9mm)と、大内径円筒面15if(φ5.43mm、軸方向長さ2.1mm)と、第3切頭円錐内面15ig(軸方向長さ0.4mm)と、が当該順序で設けられている。図2に示すように、四面払い部15ie上に、コイルバネ16の前方端が固定(嵌合固定)されている。
【0015】
また、環状部材15には、切欠きとして、3本のスリット15sが設けられている。図3(a)乃至図3(g)に示すように、3本のスリット15sは、環状部材15の周方向に等間隔に(120°おきに)配置されている。また、3本のスリット15sは、いずれも、幅0.8mmで、環状部材15の軸方向に前端から第2切頭円錐外面15dの略中央まで延びている(軸方向最大長さ5.5mm)。
【0016】
これにより、第1切頭円錐外面15b(当接面)において荷重を受ける時、環状部材15の内径は柔軟に縮径するようになっており、且つ、当該荷重が解除される時、環状部材15の内径は弾性的に復帰するようになっている。
【0017】
一方、図2図5又は図6に示すように、軸筒11の開口近傍の内周面は、前方側から、小内径円筒面11ia(φ3.7mm、軸方向長さ1.2mm)と、先細状の案内面としての第1切頭円錐内面11ib(軸方向長さ1.1.mm)と、中内径円筒面11ic(φ4.95mm、軸方向長さ1.3mm)と、先細状の案内面としての第2切頭円錐内面11id(軸方向長さ1.7mm)と、第1大内径円筒面11ie(φ6.5mm、軸方向長さ0.8mm)と、第3切頭円錐内面11if(軸方向長さ0.3mm)と、第2大内径円筒面11ig(φ6.7mm、軸方向長さ4.2mm)と、規制要素としての環状突起11ih(最小絞り径φ6.5mm)と、が当該順序で設けられている。
【0018】
これにより、第1切頭円錐外面15b(当接面)は、それぞれ、チップホルダー13の前端側への移動に伴って、第1切頭円錐内面11ib及び第2切頭円錐内面11id(案内面)から荷重を受けるようになっている。
【0019】
なお、コイルバネ16は、チップ14の没入操作(例えばチップ14の突出状態を維持するロック機構を解除するための筆記具側面に設けられた操作部のスライド操作)がなされた時に、チップホルダー13を自動的に没入させる機能を併せ持つ。すなわち、コイルバネ16は、いわゆるノックバネとして機能するようになっている。(操作荷重は50gf~300gf程度(0.49N~2.94N程度)である。例えば、非使用時(図2)からの操作荷重は68gf、フルストローク時(図5)の荷重は288gf、筆記時(図6)からの操作荷重は227gfである。また、バネ定数は0.23N/mmである。)
【0020】
以上のような構成の出没式筆記具10は、以下のように作用する。
【0021】
非使用時においては、出没式筆記具10のチップ14(筆記体)は、図1及び図2に示すような没入状態にある。この時、コイルバネ16の軸方向長さは17mmであり、環状部材15は縮径しておらず、環状部材15の小内径円筒面15iaはφ3.0(>チップ14の外径)のままである。
【0022】
そして、チップの突出操作(例えば筆記具側面に設けられた操作部のスライド操作)がなされると、出没式筆記具10のチップ14(筆記体)は、図4に示す状態に至る。
【0023】
図4の状態では、チップ14の突出操作によって、チップホルダー13の第2カラー部13cが前方側に移動されている。これにより、コイルバネ16を介して、環状部材15が軸筒11の内面の前方側に移動され更に当該内面の前方側に対して押圧され、第1切頭円錐外面15b(当接面)が、第1切頭円錐内面11ib(案内面)から荷重を受け、環状部材15の3本のスリット15sの存在によって環状部材15の内径が縮径している。
【0024】
この縮径時の内径が、チップ14の外径に対応するようになっている。すなわち、この縮径時の最小内径(例えば2.35mm~2.45mm程度)が、軸方向にはチップ14(例えばφ2.5mm)の滑らかな摺動を許容する一方で、径方向にはチップ14の効果的な振れ止め作用を奏する寸法となっている。
【0025】
また、第2切頭円錐外面15dが第2切頭円錐内面11idと当接することによって、環状部材15の前方側への移動限界が規定されている。すなわち、環状部材15の第2切頭円錐外面15dと軸筒11の第2切頭円錐内面11idとが、環状部材15の前方側への移動限界を規定するストッパ要素として機能するようになっている。もっとも、このようなストッパ要素は、省略可能である。
【0026】
続いて、チップの突出操作(例えば筆記具側面に設けられた操作部のスライド操作)が継続されると、出没式筆記具10のチップ14(筆記体)は、図5に示す状態に至る。
【0027】
そして、チップの突出操作が終了する(例えば筆記具側面に設けられた操作部のスライド操作が解除される)と、出没式筆記具10のチップ14(筆記体)は、図6に示す状態に至る。通常は、図6の突出状態においてチップホルダー13の位置がロックされ、その後にチップの没入操作がなされるまで、チップ14の突出状態が維持される。この時、コイルバネ16の軸方向長さは9.9mmであり(10.1mm圧縮)、当該コイルバネ16の復元力によって環状部材15は縮径状態に維持される。これにより、チップ14をガタつき(遊び)の無い態様で把持することができる。
【0028】
ここで、環状部材15の前方側への移動限界を規定するストッパ要素が機能する場合であっても、環状部材15の内周面の小内径円筒面15iaの寸法がチップ14の外径よりも十分に小さい場合(直径差が0.05mm程度以上ある場合:段落0024参照)には、チップホルダー13と環状部材15とがコイルバネ16によって互いに相対移動可能に接続されていることにより、環状部材15の内径の縮径の程度等について高精度の寸法管理をしなくても、チップ14をガタつき(遊び)の無い態様で効果的に把持することを保証できる。
【0029】
その後、チップの没入操作(例えば筆記具側面に設けられた操作部の再スライド操作)がなされると、例えば不図示のロック機構が解除され、出没式筆記具10のチップ14(筆記体)は再び図5の状態となり、更にコイルバネ16の作用(復元力)によって、図4の状態を経由して図2の没入状態に戻る。
【0030】
図4の状態から図2の没入状態に至る過程において、チップホルダー13が後方側に移動されるため、第1切頭円錐外面15b(当接面)が、第1切頭円錐内面11ib(案内面)から受けていた荷重が消失する。これに伴って、縮径していた環状部材15の内径が元の状態に戻る。
【0031】
なお、チップの出没操作の前述の過程において、環状部材15の当接面(第1切頭円錐外面15b)と軸筒11の案内面(第1切頭円錐内面11ib)とは、常時当接している。
【0032】
以上の通り、出没式筆記具10によれば、チップホルダー13の前端側への移動に伴って環状部材15の当接面(第1切頭円錐外面15b)が軸筒11の案内面(第1切頭円錐内面11ib)から荷重を受けることによって、環状部材15のスリット15sの存在によって環状部材15の内径が縮径する。これにより、軸筒11と環状部材15とが協働してチップ14をガタつき(遊び)の無い態様で把持することができる。更に、出没式筆記具10によれば、環状部材15の前方側への移動限界を規定するストッパ要素が機能しているが、環状部材15の内周面の小内径円筒面15iaの寸法がチップ14の外径よりも十分に小さいため(直径差が0.05mm程度以上ある:段落0024参照)、チップホルダー13と環状部材15とがコイルバネ16によって互いに相対移動可能に接続されていることにより、環状部材15の内径の縮径の程度等について高精度の寸法管理をしなくても、チップ14をガタつき(遊び)の無い態様で効果的に把持することを保証できる。
【0033】
また、出没式筆記具10によれば、切欠きとしての3本のスリット15sが環状部材15の周方向に等間隔に配置されており、各スリット15sが環状部材15の軸方向に延びているため、環状部材15の内径が周方向にバランス良く縮径することができる。
【0034】
また、環状部材15の当接面(第1切頭円錐外面15b)と軸筒11の案内面(第1切頭円錐内面11ib)とが、互いに対応する切頭円錐外面と切頭円錐内面であることにより、環状部材15の当接面は周方向にバランスよく荷重を受けることができ、結果的に環状部材15が周方向にバランス良く縮径することができる。このように、環状部材15の当接面(第1切頭円錐外面15b)と軸筒11の案内面(第1切頭円錐内面11ib)とは、互いに前端に向かって先細状であることが好ましい。先細状の当接面は、軸線周りに回転対称な凸曲面を有していて、先細状の案内面は、軸線周りに回転対称であって前記凸曲面の曲率よりも緩やかな曲率の凹曲面または凹切頭円錐面であってもよい。
【0035】
また、スリット15sの数、サイズ、形状等を適宜に変更することによって、環状部材15の弾性(縮径のしやすさ)の程度を調整することができる。また、環状部材15の材料及び/または肉厚を変更することによっても、環状部材15の弾性(縮径のしやすさ)の程度を調整することができる。
【0036】
また、軸筒11の内周面に環状突起11ihが設けられており、環状部材15の後方側の移動限界が規定されている。これにより、環状部材15の後方側への過剰な移動(特には脱落)を効果的に防止することができる。
【0037】
また、出没式筆記具10によれば、環状部材15においてチップ14を把持する把持部(縮径時の最小内径部)は、当該環状部材15の当接面(第1切頭円錐外面15b)よりも前方に位置している(前記当接面の径方向内方には把持部がない)。これにより、チップ14をより前方側で把持することができ、より効果的にチップ14をガタつき(遊び)の無い態様で把持することができる。
【0038】
また、出没式筆記具10によれば、スリット15sの後方端は、コイルバネ16よりも前方に位置している。これにより、スリット15sの存在によって環状部材15が撓んだ状態においても、コイルバネ16と環状部材15との安定的な接続を維持することができる。
【0039】
また、出没式筆記具10によれば、環状部材15の当接面(第1切頭円錐外面15b)と軸筒11の案内面(第1切頭円錐内面11ib)とが、常時当接している。これにより、チップ14の出没操作の度に環状部材15の当接面と軸筒11の案内面とが当接と離間とを繰り返すということがないため、動作が安定し、ユーザの操作感も滑らかである(違和感がない)。
【0040】
また、出没式筆記具10によれば、環状部材15は、軸筒11の開口から前方側に突出している。これにより、チップ14をより長い軸方向範囲で把持することができるため、チップ14をガタつき(遊び)の無い態様でより効果的に把持することを保証できる。更に、出没式筆記具10に振れ止め作用を奏する部品(環状部材15)が搭載されていることを、ユーザに対して視覚的にアピールすることができる。更に、チップ14が突出した状態の出没式筆記具10の前端近傍の外観形状について、後方からペン先にかけて滑らかな形状でつなげることができ、美観を向上させる効果も奏することができる。
【0041】
また、出没式筆記具10によれば、環状部材15が軸筒11の開口から前方側に突出する量(長さ)は、環状部材15の軸方向の可動範囲よりも小さい。これにより、環状部材15が軸筒11の開口内に没入されるように押し込まれる場合でも、依然として環状部材15が軸方向の可動範囲内にあるため、環状部材15の不所望の脱落等が有効に防止され得る。
【0042】
(レフィル6の回転についての補足)
出没式筆記具10では、ノック部材8が前方に移動される度に、軸筒11の開口からペン先61を突出または没入させるよう前後に移動すると共に、レフィル6(従ってペン先61)が回転される。このようにペン先61が回転する筆記具は、ペン先61の摩耗を均等化することができるため、市場において人気がある。
【0043】
(環状部材15の回転についての補足)
ノック部材8の押圧操作によってレフィル6が軸筒11に対して回転される際、当該レフィル6にコイルバネ16を介して接続された環状部材15も、軸筒11に対して回転される。
【0044】
この時、コイルバネ16の前方端は環状部材15に固定されている。これにより、コイルバネ16の前方端は環状部材15の内面を摺動することがないため、当該前方端が環状部材15を損傷させる虞がない。また、レフィル6にコイルバネ16を介して接続された環状部材15も軸筒11に対して回転されることにより、レフィル6とコイルバネ16とが一体となって回転することができる。これにより、コイルバネ16の後方端がチップホルダー13上を摺動することがないため、当該後方端がチップホルダー13を損傷させる虞がない。また、レフィル6と環状部材15とコイルバネ16とが一体となって回転することにより、レフィル6の円滑な回転(ひいてはノック部材8の押圧操作)が阻害される虞もない。
【0045】
特願2020-211780において先行技術文献として紹介していた特許文献1~4を、以下に列記しておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】実開平5-85683
【特許文献2】実開平5-93884
【特許文献3】特開2013-220602
【特許文献4】特開2019-111657
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
出没式筆記具10の環状部材15は、スリット15sの存在によって、チップ14をガタつき(遊び)の無い態様で把持することを主たる機能としている。しかしながら、本件発明者は、環状部材15の当該機能ではなく、環状部材15のコイルバネ16(弾性部材)を受けるバネ受けとしての機能に着目して、前者の機能を有さず後者の機能のみを有する環状部材を備えた出没式筆記具についても顕著に有用な作用効果を奏することを見出した。
【0048】
本発明は、以上のような知見に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レフィルの円滑な回転が阻害される虞のない出没式筆記具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明は、前端に開口を有する軸筒と、前記軸筒の内部に収容され、前記軸筒の軸方向に移動可能なチップホルダーと、前記チップホルダーの前端に固定され、前記チップホルダーの移動に伴って前記軸筒の前記開口から出没可能なチップと、前記軸筒の前記開口の内周に遊嵌された環状部材と、前記環状部材に固定され、前記チップホルダーと前記環状部材とを互いに相対移動可能に接続可能な弾性部材と、を備え、前記軸筒の内面の一部には、前記環状部材が摺動する摺動面が形成されていることを特徴とする出没式筆記具である。
【0050】
本発明によれば、軸筒の内面の一部に環状部材が摺動する摺動面が形成されていることによって、例えばノック部材の押圧操作等によってチップホルダー(レフィル)が軸筒に対して回転される際、チップホルダー(レフィル)と弾性部材と環状部材とが一体となって回転して、チップホルダー(レフィル)の円滑な回転(ひいてはノック部材の押圧操作)が阻害される虞がない。
【0051】
また、本発明によれば、弾性部材を「ノックバネ」として機能させることができるため、別途にノックバネ用のコイルバネを併用する必要がない。これにより、部品点数が低減され、組立作業が容易化され、作動不良の虞が顕著に低減され得る。
【0052】
好ましくは、前記摺動面は、前記環状部材の前端部(前端面や前方突起等)が摺動する前端面摺動面を有している。これによれば、弾性部材の弾性力を調整することで、環状部材の前端部と軸筒の前端面摺動面との間の摺動状態を比較的容易に調整することができる。
【0053】
この場合、更に好ましくは、前記前端面摺動面は、前記軸筒の前記軸方向に対して垂直な面である。これによれば、環状部材の前端部と軸筒の前端面摺動面との間の摺動状態をより滑らかに調整することができる。
【0054】
また、好ましくは、前記弾性部材は、コイルバネである。
【0055】
また、好ましくは、前記軸筒に対して前後方向にスライド可能に設けられたノック部材を更に備え、前記チップは、前記ノック部材が前方に移動される度に、前記軸筒の前記開口から突出ないし没入を交互に繰り返すよう前後に移動されるようになっており、前記環状部材は、前記ノック部材が前方に移動される度に、前記軸筒に対して回転されるようになっている。これによれば、ノック部材の前方への移動(操作)に伴って環状部材が回転される。
【0056】
また、本発明は、以上の出没式筆記具の軸筒のみをも対象とするものである。すなわち、本発明は、前端にチップが固定されたチップホルダーを軸方向に移動可能に収容可能であって、前端に開口を有し、前記チップホルダーの移動に伴って前記チップを前記開口から出没させることが可能な出没式筆記具用の軸筒であって、前記軸筒の前記開口の内周に遊嵌される環状部材と、前記環状部材に固定され、前記チップホルダーと前記環状部材とを互いに相対移動可能に接続可能な弾性部材と、を備え、前記軸筒の内面の一部には、前記環状部材が摺動する摺動面が形成されていることを特徴とする出没式筆記具用の軸筒である。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、軸筒の内面の一部に環状部材が摺動する摺動面が形成されていることによって、例えばノック部材の押圧操作等によってチップホルダー(レフィル)が軸筒に対して回転される際、チップホルダー(レフィル)と弾性部材と環状部材とが一体となって回転して、チップホルダー(レフィル)の円滑な回転(ひいてはノック部材の押圧操作)が阻害される虞がない。
【0058】
また、本発明によれば、弾性部材を「ノックバネ」として機能させることができるため、別途にノックバネ用のコイルバネを併用する必要がない。これにより、部品点数が低減され、組立作業が容易化され、作動不良の虞が顕著に低減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】特願2020-211780に開示された出没式筆記具の概略縦断面図であって、チップ(筆記体)が突出していない状態を示す図である。
図2図2は、図1の出没式筆記具の先端部分の拡大縦断面図である。
図3図3(a)は、図1の出没式筆記具の環状部材の斜視図である。図3(b)は、図3(a)の環状部材の平面図である。図3(c)は、図3(a)の環状部材の側面図である。図3(d)は、図3(a)の環状部材の底面図である。図3(e)は、図3(c)のA-A線断面図である。図3(f)は、図3(a)の環状部材の正面図(先端側から見た図)である。図3(g)は、図3(a)の環状部材の背面図である。
図4図1の出没式筆記具において、チップの突出操作の過程で、チップが環状部材と接触した状態を示す概略図である。
図5図1の出没式筆記具において、チップの突出操作の過程で、チップが最も突出した状態を示す概略図である。
図6図1の出没式筆記具において、チップの突出操作が終了した後の、チップが突出した状態を示す概略図である。
図7】本発明の第1実施形態における出没式筆記具の概略縦断面図であって、チップ(筆記体)が突出していない状態を示す図である。
図8図8は、図7の出没式筆記具の先端部分の拡大縦断面図である。
図9図9(a)は、図7の出没式筆記具の環状部材の斜視図である。図9(b)は、図9(a)の環状部材の前面図である。図9(c)は、図9(a)の環状部材の側面図である。図9(d)は、図9(a)の環状部材の後面図である。図9(e)は、図9(d)のA-A線断面図である。
図10図10は、図7の出没式筆記具においてレフィルを取り出した状態を示す概略図である。
図11】レフィルの縦断面図である。
図12】レフィルの後端部の斜視図である。
図13】レフィルの後端部の平面図である。
図14】例示的な軸筒の前軸の縦断面図である。
図15】例示的な軸筒の中間軸の縦断面図である。
図16】例示的な軸筒の後軸の縦断面図である。
図17】ノック部材の縦断面図である。
図18】出没回転部材の斜視図である。
図19】出没回転部材の正面図である。
図20】出没回転部材の底面図である。
図21図20のC-C線断面図である。
図22】回転カム機構の原理を説明する概略図である。
図23】出没回転部材とレフィル後端との当接状態を示す縦断面図である。
図24】出没回転部材とレフィル後端との当接状態を示す斜視図である。
図25図2に対応する図であって、コイルバネの巻き方向を逆にした態様の図である。
図26図26(a)は、本発明の第2実施形態の出没式筆記具の環状部材の斜視図である。図26(b)は、図26(a)の環状部材の前面図である。図26(c)は、図26(a)の環状部材の側面図である。図26(d)は、図26(a)の環状部材の後面図である。図26(e)は、図26(d)のA-A線断面図である。
図27図27(a)は、本発明の第3実施形態の出没式筆記具の環状部材の斜視図である。図27(b)は、図27(a)の環状部材の前面図である。図27(c)は、図27(a)の環状部材の側面図である。図27(d)は、図27(a)の環状部材の後面図である。図27(e)は、図27(d)のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、図面を参照して本発明の3つの実施の形態について説明する。
【0061】
<第1実施形態>
図7は、本発明の第1実施形態における出没式筆記具110の概略縦断面図であって、チップ114(筆記体)が突出していない状態を示す図である。図8は、本実施形態の出没式筆記具110の先端部分の拡大縦断面図である。
【0062】
また、図9(a)は、本実施形態の出没式筆記具110の環状部材115の斜視図であり、図9(b)は、図9(a)の環状部材115の前面図であり、図9(c)は、図9(a)の環状部材115の側面図であり、図9(d)は、図9(a)の環状部材115の後面図であり、図9(e)は、図9(d)のA-A線断面図である。
【0063】
また、図10は、本実施形態の出没式筆記具110においてレフィル6を取り出した状態を示す概略図である。
【0064】
図7乃至図10に示す第1実施形態の出没式筆記具110は、前端に開口を有する円筒形状の軸筒111を備えている。図7に示すように、当該軸筒111は、本実施形態では、後方部111rと、前方部111mと、を有している。後方部111rと前方部111mとは、ネジ結合(螺合)によって取り外し可能に固定されている。もっとも、後方部111rと前方部111mとは、嵌め合い結合によって固定されていてもよいし、一体に形成されていてもよい。また、前方部111mの一部は、更に弾性材料からなるグリップ部111nによって包囲されている。グリップ部111nは、前方部111mの外面上に、例えば2色成形によって形成されるか、あるいは、別途に構成された後で装着される。
【0065】
軸筒111の内部には、軸筒111の軸方向に移動可能なチップホルダー113が収容されている。チップホルダー113の前端に、筆記体であるチップ114が固定されている。チップ114は、チップホルダー113の移動に伴って、軸筒111の開口から出没可能となっている。
【0066】
チップホルダー113は、図8に示すように、基端側から先端側に向かって、基端部113a、第1カラー部113b及び第2カラー部113cを当該順序で有している。基端部113a及び第1カラー部113bは、本実施形態ではいずれも円筒形状の部位であり、第2カラー部113cは、本実施形態では切頭円錐形状の部位であり、それらの断面直径の相互関係は、基端部113a>第1カラー部113b>第2カラー部113cとなっている。
【0067】
本実施形態では、図8に示すように、軸筒111の内周に環状部材115が遊嵌されており、チップ114(例えばφ2.5)の周囲を非接触に覆っている。環状部材115の前端面115fは、軸筒111の軸方向に垂直な面である。
【0068】
これに対応して、軸筒111の内面の一部には、環状部材115が摺動する摺動面として、環状部材115の前端面115fが摺動する前端面摺動面111fが形成されている。前端面摺動面111fも、軸筒111の軸方向に対して垂直な面である。
【0069】
環状部材115の前端面115fの外周側領域には、前端面摺動面111fの周縁の角部との干渉を回避するように、R部115a(面取り部でもよい)が設けられている。
【0070】
また、環状部材115は、コイルバネ116(弾性部材の一例)の前方端に固定されている。コイルバネ116は、チップホルダー113の第2カラー部113c及びチップ114を遊嵌状態で(隙間を空けて)取り囲んでおり、コイルバネ116の後方端がチップホルダー113の基端部113aによって常時押圧されている(固定はされていない)。これにより、コイルバネ116は、チップホルダー113と環状部材115とを互いに相対移動可能に接続している。
【0071】
環状部材115は、樹脂製(例えばポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン製)または金属製(例えば真鍮製)である。
【0072】
また、図9(a)乃至図9(e)に示すように、環状部材115の外周面は、前方端部にR部115aが形成された円筒面115b(φ6.6mm、軸方向長さ4.6mm)となっている。
【0073】
一方、図9(a)乃至図9(e)に示すように、環状部材115の内周面は、前方側から、小内径円筒面115ia(φ4.5mm、軸方向長さ1.1mm)と、大内径円筒面115ib(φ5.4mm、軸方向長さ3.1mm)と、切頭円錐内面115ic(軸方向長さ0.4mm:コイルバネ116の挿入を容易化するために設けられる)と、が当該順序で設けられている。
【0074】
また、図9(d)及び図9(e)に示すように、本実施形態では、小内径円筒面115ia側の大内径円筒面115ib上の周方向に均等な4箇所に、コイルバネ116の前方端を嵌合固定するための内向き凸部115idが設けられている。
【0075】
一方、図8に戻って、軸筒111の内面には、環状部材115の円筒面115bに対向する円筒部111c(φ6.7mm、軸方向長さ4.7mm)が形成されており、当該円筒部111cの前方端に前端面摺動面111fが連続的に形成されている(両者の境界は直角の角部となっている)。また、円筒部111cの後方側には、環状部材115の後方側への抜けを防止するための内向き環状凸部111d(最小絞り径φ6.5mm、軸方向長さ1.4mm)が設けられている。
【0076】
また、本実施形態のコイルバネ116は、チップ114の没入操作(例えばチップ114の突出状態を維持するロック機構を解除するための筆記具側面に設けられた操作部のスライド操作)がなされた時に、チップホルダー113を自動的に没入させる機能を併せ持つ。すなわち、コイルバネ116は、いわゆるノックバネとして機能するようになっている。(操作荷重は50gf~300gf程度(0.49N~2.94N程度)である。例えば、非使用時(図8)からの操作荷重は68gf、フルストローク時)の荷重は288gf、筆記時からの操作荷重は227gfである。また、バネ定数は0.23N/mmである。)
【0077】
以上のような構成の出没式筆記具110は、以下のように作用する。
【0078】
非使用時においては、出没式筆記具110のチップ114(筆記体)は、図7及び図8に示すような没入状態にある。この時、コイルバネ116の軸方向長さは16.3mmである。
【0079】
そして、チップ114の突出操作(ノック部材8の前方移動操作)がなされると、チップホルダー113の第2カラー部113cが前方側に移動される。
【0080】
出没式筆記具110では、ノック部材8が前方に移動される度に、軸筒111の開口からペン先61を突出または没入させるよう前後に移動すると共に、レフィル6(従ってペン先61)が回転される。このようにペン先61が回転する筆記具は、ペン先61の摩耗を均等化することができるため、市場において人気がある。
【0081】
ノック部材8の押圧操作によってレフィル6が軸筒111に対して回転される際、当該レフィル6にコイルバネ116を介して接続された環状部材115も、軸筒111に対して回転される。
【0082】
この時、コイルバネ116の前方端は環状部材115に固定されている。これにより、コイルバネ116の前方端は環状部材115の内面を摺動することがないため、当該前方端が環状部材115を損傷させる虞がない。また、レフィル6にコイルバネ116を介して接続された環状部材115も軸筒111に対して回転されることにより、レフィル6とコイルバネ116とが一体となって回転することができる。これにより、コイルバネ116の後方端がチップホルダー113上を摺動することがないため、当該後方端がチップホルダー113を損傷させる虞がない。また、レフィル6と環状部材115とコイルバネ116とが一体となって回転することにより、レフィル6の円滑な回転(ひいてはノック部材8の押圧操作)が阻害される虞もない。
【0083】
チップ114の突出操作が終了する(例えば筆記具側面に設けられた操作部のスライド操作が解除される)と、通常は、チップホルダー113の位置がロックされ、その後にチップ114の没入操作がなされるまで、チップ114の突出状態が維持される。この時、コイルバネ116の軸方向長さは9.9mmである(6.4mm圧縮)。
【0084】
その後、チップ114の没入操作(これもノック部材8の前方移動操作)がなされると、例えば不図示のロック機構が解除され、図8の没入状態に戻る。
【0085】
この時も、ノック部材8の押圧操作によってレフィル6が軸筒111に対して回転され、当該レフィル6にコイルバネ116を介して接続された環状部材115も、軸筒111に対して回転される。
【0086】
この時も、コイルバネ116の前方端は環状部材115に固定されている。これにより、コイルバネ116の前方端は環状部材115の内面を摺動することがないため、当該前方端が環状部材115を損傷させる虞がない。また、レフィル6にコイルバネ116を介して接続された環状部材115も軸筒111に対して回転されることにより、レフィル6とコイルバネ116とが一体となって回転することができる。これにより、コイルバネ116の後方端がチップホルダー113上を摺動することがないため、当該後方端がチップホルダー113を損傷させる虞がない。また、レフィル6と環状部材115とコイルバネ116とが一体となって回転することにより、レフィル6の円滑な回転(ひいてはノック部材8の押圧操作)が阻害される虞もない。
【0087】
なお、チップの出没操作の前述の過程において、環状部材115の前端面115fと軸筒111の前端面摺動面111fとは、常時当接している。
【0088】
以上の通り、本実施形態の出没式筆記具110によれば、軸筒111の内面の一部に、環状部材115が摺動する摺動面としての前端面摺動面111fが形成されていることによって、例えばノック部材8の押圧操作等によってチップホルダー113(レフィル6)が軸筒に対して回転される際、チップホルダー113(レフィル6)とコイルバネ116と環状部材115とが一体となって回転して、チップホルダー113(レフィル6)の円滑な回転(ひいてはノック部材の押圧操作)が阻害される虞がない。
【0089】
また、本実施形態の出没式筆記具110によれば、コイルバネ116を「ノックバネ」として機能させているため、別途にノックバネ用のコイルバネを併用する必要がない。これにより、部品点数が低減され、組立作業が容易化され、作動不良の虞が顕著に低減されている。
【0090】
また、本実施形態の出没式筆記具110によれば、前端面摺動面111fには、環状部材115の前端面115fが摺動するようになっている。これにより、コイルバネ116の弾性力を調整することで、環状部材115の前端面115fと軸筒111の前端面摺動面111fとの間の摺動状態を比較的容易に調整することができる。
【0091】
また、本実施形態の出没式筆記具110によれば、前端面摺動面111fは、軸筒111の軸方向に対して垂直な面である。これにより、環状部材115の前端面115fと軸筒111の前端面摺動面111fとの間の摺動状態をより滑らかに調整することができる。
【0092】
また、本実施形態の出没式筆記具110によれば、環状部材115の前端面115fと軸筒111の前端面摺動面111fとが、常時当接している。これにより、チップ114の出没操作の度に環状部材115の前端面115fと軸筒111の前端面摺動面111fとが当接と離間とを繰り返すということがないため、動作が安定し、ユーザの操作感も滑らかである(違和感がない)。
【0093】
(レフィルについての補足)
本実施形態の出没式筆記具110は、軸筒111と、当該軸筒111内に収容されるレフィル(筆記体)と、当該レフィルのチップ114を軸筒111の開口より出没自在にさせる出没機構と、を備えた筆記具である。
【0094】
レフィルの一例について、図11乃至図13を用いて補足説明する。図11を参照して、レフィル6は、例えば、ペン先(チップ)61と、当該ペン先61が前端開口部に圧入固着されたインキ収容管62と、当該インキ収容管62内に充填された熱変色性インキと、当該熱変色性インキの後端側に隣接して充填され当該熱変色性インキの消費に伴って前進する追従体(例えば高粘度流体)と、インキ収容管62の後端開口部に取り付けられた尾栓63と、からなる。尾栓63には、後端に向けて開口する空気孔63aが設けられている。空気孔63aは、インキ収容管62の内部と外部とを通気可能としている。
【0095】
ペン先61は、例えば、前端に回転可能にボールを抱持した金属製のボールペンチップのみからなる構成、または、そのようなボールペンチップと当該ボールペンチップの後部外面を保持した合成樹脂製のペン先ホルダーとの組合せからなる構成、のいずれかである。ペン先61の内部には、前端のボールを前方に押圧するスプリングが収容されている。当該スプリングは、例えば、圧縮コイルスプリングの前端部にロッド部を備えた構成となっており、当該ロッド部の前端がボールの後面と接触している。非筆記時には、当該スプリングの前方付勢により、ボールはボールペンチップ前端の内向きの前端縁部内面に密接されている。これにより、ペン先61の前端からのインキの漏出及びインキの蒸発が防止されている。
【0096】
(軸筒111の後端部についての補足)
本実施形態の軸筒111は、例えば、先細円筒状の前軸3(図14参照)と、当該前軸3の後端部に連結される円筒状の中間軸4(図15参照)と、当該中間軸4の後端部に連結される円筒状の後軸5(図16参照)と、からなる。
【0097】
例えば、図16に示すように、後軸5の後端部に、取付孔52が前後方向に貫設され得て、当該取付孔52に、弾性材料からなる摩擦部53が圧入嵌合され得る。これにより、後軸5の後端部の外面に、摩擦部53が固定され得る。また、後軸5の内面には、内向突起54が一体に形成され得る。
【0098】
摩擦部53を構成する弾性材料は、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)又は2種以上のゴム弾性材料の混合物、及び、ゴム弾性材料と合成樹脂との混合物等が挙げられる。
【0099】
摩擦部53を構成する弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)ではなく、摩擦時に摩耗カス(消しカス)が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。また、摩擦部53は、様々な態様で軸筒11の後端部外面に設けられ得る。例えば、軸筒11の後端部の外面もしくは後軸5の後端部の外面に弾性材料よりなる摩擦部53を圧入、係合、螺合、嵌合、接着、2色成形等によって設ける態様の他、軸筒11の全体もしくは後軸5の全体を弾性材料によって一体に形成する態様でもよい。
【0100】
(ノック部材8についての補足)
図17を参照して、ノック部材8には、前後方向に延びるクリップ83が固定され得る。クリップ83の裏面には、玉部が突設され得る。ノック部材8は、例えば、クリップ83の後端部が固定される基部81と、当該基部81と一体に連設され且つ当該基部81より前方に延びる円筒状の軸部82と、からなる。
【0101】
ノック部材8は、例えば合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体により得られる。クリップ83は、例えば合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体又は金属材料(例えばステンレス鋼)から得られる。ノック部材8とクリップ83は合成樹脂により一体に形成されてもよい。
【0102】
図17に示すように、軸部82の前端には、出没回転部材7の突条71の後端(図18乃至図21参照)と係合するカム歯82aが一体に形成され得る。
【0103】
ノック部材8の組付けについては、ノック部材8の基部81を、中間軸4の第1の長孔41の後端(開放部)より、当該第1の長孔41内へと挿入すると共に、ノック部材8の軸部82を中間軸4内に挿入する。その後、中間軸4の第1の長孔41と後軸5の第2の長孔51とが径方向に連通するように(径方向に重なるように)、後軸5の内面を中間軸4の縮径部の外面に嵌合させながら、ノック部材8の基部81を、後軸5の第2の長孔51の前端(開放部)より、当該第2の長孔51内へと挿入する。これにより、中間軸4と後軸5とが連結される(中間軸4の外向突起44と後軸5の内向突起54とが乗り越え係合される)と共に、第1の長孔41と第2の長孔51とによって前後方向に延びるスライド孔21が形成され、当該スライド孔21から径方向外方にノック部材8が突出された状態となる。ノック部材8は、スライド孔21に沿って、前後方向にスライド可能(前後方向に摺動可能)となっている。
【0104】
後端に摩擦部53が固定された後軸5が、中間軸4の後端部に連結されることによって、摩擦部53は軸筒11の後端に常時固定された状態となる。また、前軸3と中間軸4とが螺合によって着脱自在に連結されているため、レフィル6は随時に交換可能である。また、本実施形態において、軸筒111の内周に環状部材115が遊嵌され、且つ環状部材115にコイルバネ116の前端が固定されている。これにより、レフィル6の交換時に、軸筒111から環状部材115及びコイルバネ116が分離しないため、レフィル6の交換が容易である。
【0105】
(出没機構についての補足)
本実施形態の出没機構は、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構であり、前述のノック部材8と、ノック部材8が前方に移動される度に軸筒111の開口からペン先61を突出または没入させるよう前後に移動すると共にレフィル6(従ってペン先61)を回転させる出没回転部材7と、軸筒111内に設けられノック部材8の位置に応じて出没回転部材7と係合または係合解除可能な前述のカム部43と、軸筒111内に設けられ且つレフィル6を後方に付勢するノックバネ(例えば圧縮コイルスプリング)と、からなる。
【0106】
本実施の形態の出没機構は、ペン先突出操作及びペン先没入操作のいずれもがノック部材8を前方に押圧操作(前方にスライド操作)するダブルノック式である。
【0107】
(熱変色性インキについての補足)
本実施形態において、熱変色性インキは、可逆熱変色性インキであることが好ましい。可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
【0108】
可逆熱変色性インキに含有される色材としては、例えば、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び、(ハ)前記両者が化学的に結びつく反応(呈色反応)の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた可逆熱変色性顔料が好適に用いられる。
【0109】
(レフィル6の回転についての補足)
前述のように、本実施形態では、ノック部材8が前方に移動される度に、軸筒111の開口からペン先61を突出または没入させるよう前後に移動すると共に、レフィル6(従ってペン先61)が回転される。このようにペン先61が回転する筆記具は、ペン先61の摩耗を均等化することができるため、市場において人気がある。
【0110】
図22は、回転カム機構の原理を説明する概略図である。図23を参照して、ペン先没入状態(図22(a)参照)からノック部材8が弾発体(不図示)による後方付勢に抗して前方に押圧操作(スライド操作)されると、ノック部材8の軸部82の前端のカム歯82aを介して、当該カム歯82aに係合していた出没回転部材7の突条71が前方に押圧される。出没回転部材7の突条71は、カム溝43bに沿って、前方に移動されていく。
【0111】
出没回転部材7の突条71が前方に移動される際、当該出没回転部材7は、当接部73と尾栓63の突片63bとの当接関係を介して、レフィル6を前方に押圧する。そして、ペン先61を軸筒11の開口より外部に突出させる。
【0112】
ノック部材8のノック操作の最深位置において、突条71の後端は、カム部43のカム溝43bを抜け出て、ノック部材8のカム歯82aの谷部に落ち込むように移動し、これに伴って出没回転部材7は僅かに周方向に回転する(図22(b)参照)。
【0113】
引き続いて、弾発体による後方付勢によってノック部材8が元の位置に戻ると、突条71の後端は、カム部43のカム歯43aの谷部に落ち込むように移動し、これに伴って出没回転部材7は更に周方向に回転する(図22(c)参照)。また、突条71の後端は、カム部43のカム歯43aの谷部の位置に留まるため、ペン先突出状態が維持される。
【0114】
次に、ペン先突出状態(図22(c)参照)からノック部材8が前方に押圧操作(スライド操作)されると、ノック部材8の軸部82の前端のカム歯82aによって再び出没回転部材7の突条71の後端が係合されて前方に押圧される。
【0115】
ノック部材8のノック操作の最深位置において、突条71の後端は、カム部43のカム歯43aの山部(歯)を乗り越え、ノック部材8のカム歯82aの谷部に落ち込むように移動し、これに伴って、出没回転部材7は僅かに周方向に回転する(図22(d)参照)。また、引き続いて、弾発体による後方付勢によってノック部材8が元の位置に戻ると、突条71は、カム溝43b内に導入され、ペン先没入状態が維持される(図22(a)参照)。
【0116】
図23及び図24に、尾栓63の突片63bと出没回転部材7の当接部73との当接状態が示されている。
【0117】
出没回転部材7の前面の当接部73が、レフィル6の後端の尾栓63の突片63bに当接されると共に、出没回転部材7の前面の複数の突起部72が、レフィル6の後端の尾栓63の突片63bの間の隙間63cに挿入されて、周方向に係合されている。これにより、出没回転部材7の周方向の回転に伴って、レフィル6も周方向に回転される。
【0118】
以上の通り、本実施形態では、出没回転部材7の前面の当接部73が、レフィル6の後端の尾栓63を回転させるようになっている。もっとも、出没回転部材7がレフィル6の他の部分に回転力を伝達する態様も採用され得る。例えば、尾栓63を有しておらず、レフィル6の後端に複数の突片が一体的に形成された態様が採用されてもよい。
【0119】
(レフィル6の回転方向とコイルバネ116の巻き方向)
以上に説明された実施形態では、後端側から見てレフィル6の回転方向は右回転であり、コイルバネ116の巻き方向は左回転(いわゆる、左巻きのバネ)となっている(巻き始めから反時計回りに延びている:図8参照)。
【0120】
しかしながら、レフィル6の回転方向とコイルバネ116の巻き方向とを揃えておけば、レフィル6の回転の際にチップホルダー113(のコイルバネ当接部)がコイルバネ116の後方端を押し込むような向きとなるため、チップホルダー113とコイルバネ116との間の接続が堅固となって(例えば両者が引っ掛かるような態様となって)、コイルバネ116がレフィル6の回転力を環状部材115に伝達しやすくなって好ましい。
【0121】
図8に対応する図であって、コイルバネ116の巻き方向を逆にした態様の図を、図25に示す。
【0122】
ここで、チップホルダー113のコイルバネ当接部に、コイルバネ116の後方端との接続をより堅固とするような凹凸形状等が設けられることも更に好適である。
【0123】
<第2実施形態>
また、図26(a)は、本発明の第2実施形態の出没式筆記具の環状部材の斜視図であり、図26(b)は、図26(a)の環状部材の前面図であり、図26(c)は、図26(a)の環状部材の側面図であり、図26(d)は、図26(a)の環状部材の後面図であり、図26(e)は、図26(d)のA-A線断面図である。
【0124】
図26(a)乃至図26(e)に示すように、本実施形態の環状部材115’の前端面115fには、更に前方に突出する3つ(4つ以上でもよい)の前方突起115p’が設けられている。3つ(または4つ以上)の前方突起115p’は、周方向に略均等に配置されており、各前方突起115p’は例えば半径0.2mmの半球状に形成されている。そして、前方突起115p’の突起の長さの分だけ、円筒面115bの軸方向の長さ及び小内径円筒面115iaの軸方向の長さが、前述の実施形態のそれらよりも短くなっている。
【0125】
本実施形態によれば、3つの前方突起115p’の存在によって、環状部材115’の前端面115fと前端面摺動面111fとが固着してしまう(静止摩擦力が過大になってしまう)ことを効果的に防止することができ、両者の摺動を常にスムーズに開始させることができる。
【0126】
また、本実施形態の場合、図26(a)乃至図26(e)に示すように、環状部材115の’の外周面の前方端部にR部(図9(a)乃至図9(e)において符号115aを付した要素)を設けておかなくても、当該部位が前端面摺動面111fの周縁の角部と干渉することがない。すなわち、本実施形態によれば、R部(115a)を設ける工程を省略することができる。
【0127】
<第3実施形態>
以上の2つの実施形態は、いずれも、小内径円筒面115ia側の大内径円筒面115ib上の周方向に均等な4箇所に、コイルバネ116の前方端を嵌合固定するための内向き凸部115idが設けられている。
【0128】
本発明は、このような態様に限定されないで、例えば、環状部材の外周面側に、コイルバネ116の前方端を嵌合固定するための外向き凸部が設けられてもよい。
【0129】
図27(a)は、そのような本発明の第3実施形態の出没式筆記具の環状部材の斜視図であり、図27(b)は、図27(a)の環状部材の前面図であり、図27(c)は、図27(a)の環状部材の側面図であり、図27(d)は、図27(a)の環状部材の後面図であり、図27(e)は、図27(d)のA-A線断面図である。
【0130】
図27(a)乃至図27(e)に示すように、環状部材115”の内周面は、全体に亘って円筒面115ia”(φ3.4mm、軸方向長さ4.6mm)として形成されている。
【0131】
また、図27(d)及び図27(e)に示すように、環状部材115”の外周面は、前方端部にR部115a”が形成された大外径円筒面115b”(φ6.6mm、軸方向長さ1.1mm)と、小外径円筒面115c”(φ4.5mm、軸方向長さ3.3mm)と、切頭円錐外面115e”(軸方向長さ0.2mm:コイルバネ116の挿入を容易化するために設けられる)と、が当該順序で設けられている。
【0132】
そして、本実施形態では、大外径外筒面115b”側の小外径円筒面115c”上の周方向に均等な4箇所に、コイルバネ116の前方端を嵌合固定するための外向き凸部115d”が設けられている。
【0133】
一方、図示は省略するが、軸筒111の内面には、環状部材115”の大外径円筒面115b”に対向する円筒部(φ6.7mm、軸方向長さ1.2mm)が形成されて、当該円筒部の前方端に前端面摺動面111fが連続的に形成されている(両者の境界は直角の角部となっている)。また、当該円筒部の後方側に、環状部材115”の後方側への抜けを防止するための内向き環状凸部(最小絞り径φ6.5mm、軸方向長さ1.4mm)が設けられている。
【0134】
以上のような第3実施形態によっても、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0135】
3 前軸
4 中間軸
5 後軸
6 レフィル
7 出没回転部材
8 ノック部材
10 出没式筆記具
11 軸筒
11ia 小内径円筒面
11ib 第1切頭円錐内面
11ic 中内径円筒面
11id 第2切頭円錐内面
11ie 第1大内径円筒面
11if 第3切頭円錐内面
11ig 第2大内径円筒面
11ih 環状突起
11m 前方部
11r 後方部
13 チップホルダー
13a 基端部
13b 第1カラー部
13c 第2カラー部
14 チップ
15 環状部材
15a 小外径円筒面
15b 第1切頭円錐外面
15c 中外径円筒面
15d 第2切頭円錐外面
15e 第1大外径円筒面
15f 第3切頭円錐外面
15g 第2大外径円筒面
15ia 小内径円筒面
15ib 第1切頭円錐内面
15ic 中内径円筒面
15id 第2切頭円錐内面
15ie 四面払い部
15if 大内径円筒面
15ig 第3切頭円錐内面
15s スリット
16 コイルバネ
21 スライド孔
41 第1の長孔
43 カム部
43a カム歯
43b カム溝
44 外向突起
51 第2の長孔
52 取付孔
53 摩擦部
54 内向突起
61 ペン先
62 インキ収容管
63 尾栓
63a 空気孔
63b 突片
63c 隙間
71 突条
72 突起部
73 当接部
81 基部
82 軸部
82a カム歯
83 クリップ
110 出没式筆記具
111 軸筒
111c 円筒部
111d 内向き環状凸部
111f 前端面摺動面
111m 前方部
111n グリップ部
111r 後方部
113 チップホルダー
113a 基端部
113b 第1カラー部
113c 第2カラー部
114 チップ
115 環状部材
115a R部
115b 円筒面
115f 前端面
115ia 小内径円筒面
151ib 大内径円筒面
115ic 切頭円錐内面
115id 内向き凸部
116 コイルバネ
115’ 環状部材
115p’ 前方突起
115” 環状部材
115b” 大外径円筒面
115c” 小外径円筒面
115d” 外向き凸部
115e” 切頭円錐外面
115ia” 円筒面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27