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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091247
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】トロリ線用検電接地装置
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/28 20060101AFI20230623BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B60M1/28 R
B61D15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205893
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】595135671
【氏名又は名称】第一建設工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】木伏 正人
(72)【発明者】
【氏名】春日 秀文
(72)【発明者】
【氏名】北野 恒平
(72)【発明者】
【氏名】日渡 貴広
(72)【発明者】
【氏名】綿引 達哉
(57)【要約】
【課題】 高価なセンサ等を用いることなく、トロリ線の離線を簡易かつ確実に検知して、迅速な対応措置を促すことにより感電事故を回避する検電接地装置を提供する。
【解決手段】 トロリ線TとレールRとの間に電気的に接続され、トロリ線TをレールRに接地するために相互間を開閉する接地用接触器10と、トロリ線Tの対地電圧を検出する検電器11とを具備し、検電器11によりトロリ線Tが電圧が印加されていない場合に接地用接触器10を閉じて鉄道線路工事のための接地操作が可能な検電接地装置1を構成する。トロリ線Tの延線方向に間隔を置いてトロリ線Tに接触させる一対の接触板4と、接触板4の接触不良や離間に伴い変動する電気抵抗を測定する抵抗測定器19とを備えた離線検知部9を具備させる。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道線路のトロリ線とレールとの間に電気的に接続され、トロリ線をレールに接地するために相互間を開閉する接地用接触器と、トロリ線の対地電圧を検出する検電器と、前記検電器によりトロリ線の電圧が無印加であることを検出した場合に鉄道線路工事のための前記接地用接触器の接地操作を可能にする一方、電圧が印加されていることを検出した場合に接地用接触器の接地操作を不能にするように前記接触器を制御する制御装置とを具備する検電接地装置において、
トロリ線の延線方向に間隔を置いて並び、トロリ線に下方から接触することにより前記接地用接触器及び前記検電器をトロリ線に電気的に接続する一対の接触板と、
前記接触板とトロリ線との接触、離間に伴う相互間の電気抵抗を検出する抵抗測定器とを具備する離線検知部を具備することを特徴とするトロリ線用検電接地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電車線工事に先立ち、トロリ線の電圧を検出して無電圧状態のトロリ線を接地する一方、活線状態のトロリ線を接地させずに対応措置を促すための検電接地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に検電接地装置は、トロリ線と接地線の間にトロリ線の対地電圧を検出するための抵抗器を有する検出器と、これと並列にトロリ線を接地させるために接地線を開閉する接地器とを備えている。検出器がトロリ線の無電圧状態を検出すると、接地器の操作が可能になり、トロリ線を接地することができ、これによって当該鉄道線路上の工事作業を安全に遂行できる。一方、検出器が活線状態を検出すると、接地器の操作を受け付けず、トロリ線を接地することができないので、工事作業に向けた対応措置が講じられる。
従来、検電接地装置は、特許文献1に記載のように、レール上を鉄輪により走行可能な作業車にアクチュエータによる高さ調整可能な作業装置と共に搭載される。検電接地装置は、トロリ線に接触可能な導電性の接触部材と、この接触部材と鉄輪とを電気的に接続する接地回路と、接触部材がトロリ線に接触しているか否かを判定する接触判定回路と、接触判定回路により接触部材がトロリ線に当接接触していると判定されない限り、アクチュエータの作動を規制するアクチュエータ作動規制手段とを具備している。接触判定回路は、接触部材がトロリ線に接触している時の荷重や、押上機構のシリンダーの突出長を検知するセンサを具備する。このように構成された検電接地装置は、接触判定回路により接触部材がトロリ線に当接接触していると判定されない場合には、作業装置をトロリ線側へ接近させる方向へのアクチュエータの作動をアクチュエータ作動規制手段が規制するため、本来の工事作業に先立って接触部材をトロリ線に当接接触させる除電作業を行なわなければならず、作業者の感電事故を未然に防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3966652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の検電接地装置においては、接触判定回路に押上荷重や押上位置を検出するセンサーが必要となり、装置の構造が複雑になるため、製作コストがかさむ。そのため、簡易な構造で容易に検知する手段が望まれる。
そこで、本発明は、高価なセンサを用いることなく、トロリ線の離線を確実に検知して、迅速な対応措置を促すことにより感電事故を回避する検電接地装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明においては、トロリ線TとレールRとの間に電気的に接続され、トロリ線TをレールRに接地するために相互間を開閉する接地用接触器10と、トロリ線Tの対地電圧を検出する検電器11と、検電器11によりトロリ線Tが所定の電圧以下の場合に鉄道線路工事のための接地用接触器10の接地操作を可能にする一方、所定の電圧以上の場合に接地用接触器10の接地操作を不能にするように接地用接触器10を制御する制御盤6とから検電接地装置1を構成する。トロリ線Tの延線方向に間隔を置いて並び、トロリ線Tに下方から接触することにより接地用接触器10及び検電器11をトロリ線Tに電気的に接続する一対の接触板4と、接触板4とトロリ線Tとの接触、離間に伴い相互間を電気的に開閉する離線検知部9とを具備させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、高価なセンサ等を用いることなく、トロリ線の離線を簡易な構造により確実に検知して、迅速な対応措置を促すことにより感電事故を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る検電接地装置の斜視図である。
図2図1の検電接地装置の正面図である。
図3図1の検電接地装置の左側面図である。
図4図1の検電接地装置の右側面図である。
図5図1の検電接地装置の背面図である。
図6図1の検電接地装置の平面図である。
図7図1の検電接地装置の概略的回路図である。
図8】押上装置の正面図である。
図9図8の押上装置の側面図である。
図10】接触板の平面図である。
図11】接触板の側面図である。
図12】離線検知部の概略的回路であり、(A)は接触板とトロリ線の離間状態を、(B)は接触状態を示す。
図13】操作盤の正面図である。
図14】操作盤の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の一形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6において、検電接地装置1は、枠体2aの底部に鉄道線路のレールR上を転動する車輪2bを備えて鉄道線路に沿って移動させることができる手押し式の台車2を備える。この枠体2aには、検電接地装置1の本体3と、トロリ線Tの延線方向前後に間隔をおいて並ぶ一対の接触板4を支持する押上装置5と、制御盤6と、発電機7とが組み込まれる。
【0009】
本体3は枠体2a内の下枠に固定され、図7に示すように、接地用接触器10と検電器11とを備えた検電接地部8と、離線検知用接触器12を備えた離線検知部9と、クランプ外れ検知部13とを具備する。
【0010】
接地用接触器10の一方の接点は接地用高圧ケーブル14を通じて一方の接触板4に接続され、他方の接点は接地用低圧ケーブル15を通じてレールクランプ16に接続される。レールクランプ16はレールRに取り付けられて電気的に接続され、接地用接触器10のONによりトロリ線TをレールRに接地する。接地用高圧ケーブル14は、押上装置5の伸縮アーム30の伸縮に応じて本体3の側部に備えたケーブルカバー17を出入りして他の部位との干渉が防止される。
【0011】
検電器11は、電圧を検出するために分圧する直列の大小抵抗器11a,11bと、小抵抗器11aの小電圧を測定することによりトロリ線Tの対地電圧を検出する電圧計11cとを具備する。検電器11は、接地用高圧ケーブル14と接地用低圧ケーブル15との間に接地用接触器10と並列接続される。検電器11がトロリ線Tの無電圧状態を検出したら、接地用接触器10をONするように制御盤6により制御される。
【0012】
離線検知部9は、接地用高圧ケーブル14を通じて接触板4の一方に接続される一方の接点と、離線検知用ケーブル18を通じて接触板4の他方に接続される他方の接点とを有する離線検知用接触器12と、制御盤6内の抵抗測定器19とを備える。離線検知用接触器12は、ON状態で抵抗測定器19で測定される抵抗値を検出することにより一対の接触板4,4のいずれかがトロリ線Tに対して離間または接触不良の状態にあることを検知する。離線検知用ケーブル18は、押上装置5の伸縮アーム30の伸縮に応じて接地用高圧ケーブル14と共にケーブルカバー17を出入りして他の部位との干渉が防止される。
【0013】
クランプ外れ検知部13は、接地用低圧ケーブル15を通じてレールクランプ16に接続されると共にクランプ外れ検知用ケーブル20を通じてアースホルダ21に接続され、レールクランプ16とアースホルダ21との間の抵抗を検出する制御盤6内の抵抗測定器22を備える。
【0014】
接触板4を昇降可能に支持する押上装置5は、図8図9に示すように、台車2の枠体2aの上部に固定される収容カバー23に固定されるモータ24と、モータ24によりベルト25を介して回転が伝達される駆動プーリ26と、駆動プーリ26の回転軸に結合して回転を直交方向に変換する減速機27と、減速機27の出力軸にチェーンカップリング28を介して結合するボールネジユニット29と、ボールネジユニット29のボールネジ29aに螺合する可動ナット29bがネジ軸方向に移動することより上下に伸縮する伸縮アーム30とを具備する。伸縮アーム30は、下端部の交差する一対のアーム片30a,30bの一方が可動ナット29bに結合し、下端枠31aに固定された他方に対して接近離反することにより伸縮する、いわゆるマジックハンドのリンク構造をなす。伸縮アーム30の上端部において交差する一対のアーム片30a,30bは、一方が上端枠31bに固定され、他方が一方に対して接近離反自在に上端枠31bに枢支される。
【0015】
台車2の進行方向前後に間隔をおいて並ぶ一対の接触板4は、押上装置5の上端枠31b上に固定されたリニアブッシュ32により上下動可能に支持された取付板33上に碍子34を介して水平に固定される。取付板33には、リード線36を通じて制御盤6内に接続され、接触板4の押し当て荷重を検知するロードセル35を備える。接触板4は、押上装置5に支持されて押し上げられることによりトロリ線Tに下方から所定圧で押し当てられる。
【0016】
制御盤6は、図13図14に示すように、内外の本体扉38を備えた筐体37の内部にシーケンス回路の配線盤39、端子板40及びデジタルパネルメータ41などが収容される。本体扉38の表面には、上下二段の状態表示用の第1,第2ランプ群42,43と、その下部に開閉可能な操作扉45に覆われるスイッチ群44とを備える。
【0017】
この検電接地装置1においては、レールR上を移動させて所定位置に配置し、レールRにレールクランプ16とアースホルダー21を取り付ける。スイッチ群44中の電源スイッチをONして、押上用のボタンスイッチを押すと押上装置5が接触板4を上昇させる。接触板4がトロリ線Tに接触してロードセル35により規定の接触荷重を検知すると、押上装置5が接触板4を停止させる。接触板4がトロリ線Tに接触すると、検電接地部8の検電器11がトロリ線Tの電圧を検出し、電圧が印加されていない場合に、接地取付用のボタンスイッチを押すと、接地用接触器10がONしてトロリ線TとレールRが導通してトロリ線Tを接地する。これによって、安全が確保されるので工事作業を開始することができる。一方、トロリ線Tに電圧が印加されている場合には、該当のランプの点灯により注意を促し、対応措置を促す。
トロリ線Tの接地状態で、離線検知用接触器12をONすると、図12(A)(B)に示すように、接触板4,4のトロリ線Tに対する押上力が減少してトロリ線Tとの接触不十分や離間が生じれば、離線検知部9内の抵抗測定器19が抵抗を測定することにより、この異常を検知し、第1ランプ群42内の該当ランプを点灯させる。これに対応して、スイッチ群44内の押上げ又は引下し用の該当スイッチを押すと、トロリ線Tへの押上力を調整しつつ、接触板4のトロリ線Tに対する適切な接触状態に回復する。
また、トロリ線Tの接地状態で、レールクランプ16のレールRから外れてレールRとの取付不十分や脱落が生じれば、クランプ外れ検知部13内の抵抗測定器22が抵抗を測定することにより、この異常を検知し、第1ランプ群42内の該当ランプを点灯させて警告する。
工事終了後、離線検知用接触器12をOFFして、接地器具取外用の該当ボタンスイッチを押すと接地用接触器10がOFFするので、接触板4の押下用の該当ボタンスイッチを押せば、押上装置5により接触板4が下降する。最後に、操作電源用のスイッチをOFFして操作扉45を閉じ、レールクランプ16とアースホルダ21をレールRから取外し、装置を撤去する。
【符号の説明】
【0018】
1 検電接地装置
2 台車
2a 枠体
2b 車輪
3 本体
4 接触板
5 押上装置
6 制御盤
7 発電機
8 検電接地部
9 離線検知部
10 接地用接触器
11 検電器
11a 小抵抗器
11b 大抵抗器
11c 電圧計
12 離線検知用接触器
13 クランプ外れ検知部
14 接地用高圧ケーブル
15 接地用低圧ケーブル
16 レールクランプ
17 ケーブルカバー
18 離線検知用ケーブル
19 抵抗測定器
20 クランプ外れ検知用ケーブル
21 アースホルダ
22 抵抗測定器
23 収容カバー
24 モータ
25 ベルト
26 駆動プーリ
27 減速機
28 チェーンカップリング
29 ボールネジユニット
29a ボールネジ
29b 可動ナット
30 伸縮アーム
30a アーム片
30b アーム片
31a 下端枠
31b 上端枠
32 リニアブッシュ
33 取付板
34 碍子
35 ロードセル
36 リード線
37 筐体
38 本体扉
39 配線盤
40 端子板
41 デジタルパネルメータ
42 第1ランプ群
43 第2ランプ群
44 スイッチ群
45 操作扉
R レール
T トロリ線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14