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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091256
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/24 20060101AFI20230623BHJP
   H01R 4/48 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
H01R9/24
H01R4/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205906
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】594191434
【氏名又は名称】東朋テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 忠彦
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086DD03
5E086DD38
5E086HH06
5E086LL16
(57)【要約】
【課題】操作部材の操作性が向上された端子台を提供する。
【解決手段】端子台Tは、左右方向Yに並べて設けられる複数のハウジング1A,1Bと、当該ハウジング1A,1B内へ電線を差し込み可能な複数の電線差込口3と、各ハウジング1A,1Bに設けられて当該ハウジング1A,1B内に押し込み可能な操作部材6とを備える。電線差込口3は、左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられ、操作部材は、左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられる。千鳥状に並んだ複数の電線差込口3からなる電線差込口列3Aと、千鳥状に並んだ複数の操作部材6からなる操作部材列6Aとが、前後方向Xにおいて隣り合い、操作部材列6Aは、操作部材列6Aに隣り合う電線差込口列3Aに対して前後方向Xの一方側のみに配置される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1直線方向に並べて設けられる複数のハウジングと、当該ハウジング内へ電線を差し込み可能な複数の電線差込口と、前記各ハウジングに設けられて当該ハウジング内に押し込み可能な操作部材とを備える端子台であって、
前記電線差込口は、前記第1直線方向に千鳥状に並ぶように設けられ、
前記操作部材は、前記第1直線方向に千鳥状に並ぶように設けられ、
千鳥状に並んだ複数の前記電線差込口からなる電線差込口列と、千鳥状に並んだ複数の前記操作部材からなる操作部材列とが、前記第1直線方向に直交する第2直線方向において隣り合い、
前記操作部材列は、当該操作部材列に隣り合う前記電線差込口列に対して前記第2直線方向の一方側のみに配置される
ことを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記操作部材は、互いに隣り合う2つの前記ハウジングを跨いで設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記各ハウジングは、1つの前記電線差込口の少なくとも中央部を構成するとともに前記第1直線方向に向けて開放された差込口主要部と、他の1つの前記電線差込口の端部を構成するとともに前記第1直線方向に向けて開放された差込口端部とを有し、
2つ以上の前記ハウジングが互いに連結されることで、互いに隣り合う2つの前記ハウジングの一方が有する前記差込口主要部と他方が有する前記差込口端部とが、1つの前記電線差込口を形成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の端子台。
【請求項4】
前記第1直線方向において前記ハウジングと並べて設けられるエンドカバーをさらに備え、
前記エンドカバーは、1つの前記電線差込口の端部を構成する差込口端部を有し、
前記ハウジングと前記エンドカバーとが連結されることで、当該ハウジングが有する前記差込口主要部と当該エンドカバーが有する前記差込口端部とが、1つの前記電線差込口を形成する
ことを特徴とする請求項3に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電線差込口を備える端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
電線の数に応じて互いに連結された複数のハウジングと、ハウジング内へ電線を差し込み可能な複数の電線差込口とを備え、ねじを用いた結線作業が不要な端子台が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図10に示すように、特許文献1に記載の第1実施形態に係る端子台は、左右方向Yに並べて設けられる複数のハウジング101A,101Bと、ハウジング101A,101B内へ電線Wを差し込み可能な複数の電線差込口103と、各ハウジング101A,101Bに設けられて当該ハウジング101A,101B内へ押し込み可能な操作部材106とを備えている。各ハウジング101A,101Bは、左右方向Yにおいて電線差込口103よりも寸法の大きい幅広部110Aと、左右方向Yにおいて幅広部110Aよりも寸法の小さい狭窄部110Bとを有している。第1ハウジング101Aの幅広部110Aと第2ハウジング101Bの狭窄部110Bとが隣り合い、かつ、第1ハウジング101Aの狭窄部110Bと第2ハウジング101Bの幅広部110Aとが隣り合うように構成されている。こうして、複数の電線差込口103は、左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられ、複数の操作部材106は、左右方向Yに直線状に並ぶように設けられている。
【0004】
また、図11に示すように、特許文献1に記載の第2実施形態に係る端子台は、複数の第1ハウジング101Aの幅広部110Aが互いに隣り合い、かつ、複数の第2ハウジング101Bの幅広部110Aが互いに隣り合い、かつ、第1ハウジング101Aの狭窄部110Bと第2ハウジング101Aの狭窄部110Bとが隣り合うように構成されている。こうして、複数の電線差込口103だけでなく、複数の操作部材106も、左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構成では、図10および図11に示すように、複数の電線Wを電線差込口103に差し込んで前方(前後方向Xの一方)に引き延ばしたときに、一部の操作部材106の上方に電線Wが位置するため、当該操作部材106を押し込む際に電線Wを避ける必要があり、操作部材106の操作性が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6948153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、操作部材の操作性が向上された端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明は、所定の第1直線方向に並べて設けられる複数のハウジングと、当該ハウジング内へ電線を差し込み可能な複数の電線差込口と、前記各ハウジングに設けられて当該ハウジング内に押し込み可能な操作部材とを備える端子台であって、前記電線差込口は、前記第1直線方向に千鳥状に並ぶように設けられ、前記操作部材は、前記第1直線方向に千鳥状に並ぶように設けられ、千鳥状に並んだ複数の前記電線差込口からなる電線差込口列と、千鳥状に並んだ複数の前記操作部材からなる操作部材列とが、前記第1直線方向に直交する第2直線方向において隣り合い、前記操作部材列は、当該操作部材列に隣り合う前記電線差込口列に対して前記第2直線方向の一方側のみに配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記操作部材は、互いに隣り合う2つの前記ハウジングを跨いで設けられることが好ましい。
【0010】
また、前記各ハウジングは、1つの前記電線差込口の少なくとも中央部を構成するとともに前記第1直線方向に向けて開放された差込口主要部と、他の1つの前記電線差込口の端部を構成するとともに前記第1直線方向に向けて開放された差込口端部とを有し、2つ以上の前記ハウジングが互いに連結されることで、互いに隣り合う2つの前記ハウジングの一方が有する前記差込口主要部と他方が有する前記差込口端部とが、1つの前記電線差込口を形成することを特徴とする。
【0011】
また、前記第1直線方向において前記ハウジングと並べて設けられるエンドカバーをさらに備え、前記エンドカバーは、1つの前記電線差込口の端部を構成する差込口端部を有し、前記ハウジングと前記エンドカバーとが連結されることで、当該ハウジングが有する前記差込口主要部と当該エンドカバーが有する前記差込口端部とが、1つの前記電線差込口を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作部材の操作性が向上された端子台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る端子台を示す図であって、(A)は斜視図、(B)は分解斜視図である。
図2】同実施形態に係る第1ハウジングと当該ハウジングに設けられた構成要素を示す図であって、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は分解斜視図である。
図3】同実施形態に係る第2ハウジングと当該ハウジングに設けられた構成要素を示す図であって、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は分解斜視図である。
図4】(A)は第1ハウジングの平面図であり、(B)は第2ハウジングの平面図である。
図5】(A)は第1ハウジングの左側面図であり、(B)は第2ハウジングの左側面図であり、(C)は第1ハウジングの右側面図であり、(D)は第2ハウジングの右側面図である。
図6】同実施形態に係るエンドカバーを示す図であって、(A)は斜視図、(B)は右側面図である。
図7】同実施形態に係る端子台の一部を拡大して示す平面図である。
図8】同実施形態に係る端子台を簡略化して示す模式図である。
図9】変形例に係る端子台を簡略化して示す模式図である。
図10】従来例に係る端子台を簡略化して示す模式図である。
図11】従来例に係る端子台を簡略化して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本発明を具体化した一実施形態について説明する。なお、図中の矢印で示す前後方向X、左右方向Y、および、上下方向Zは、互いに直交する直線方向であるが、上記3方向X,Y,Zは本発明の設置態様または使用態様を限定するものではない。すなわち、上下方向Zは鉛直方向に限定されず、前後方向Xおよび左右方向Yは水平方向に限定されない。
【0015】
図1(A)および(B)に示すように、端子台Tは、複数のハウジング1A,1Bと、1つのエンドカバー2と、複数の電線差込口3とを備えている。本実施形態においては、端子台Tは、2種のハウジング1A,1Bを5つずつ備えるとともに、ハウジング1A,1Bと同数(すなわち10口)の電線差込口3を備えている。
【0016】
ハウジング1A,1Bは、それぞれ、電気的絶縁性を有する樹脂ブロックにより構成されており、第1直線方向である左右方向Yに並べて設けられる。第1ハウジング1Aと第2ハウジング1Bとは、交互に並ぶとともに互いに連結されることで、隣り合うハウジング1A,1Bの一方が他方の内部空間を塞ぐ。ハウジング1A,1Bの構成は、図4および図5等を用いて後ほど詳しく説明する。
【0017】
エンドカバー2は、電気的絶縁性を有する樹脂プレートにより構成されており、左右方向Yにおいて複数のハウジング1A,1Bのうち末端に位置する第1ハウジング1Aと並べて設けられる。エンドカバー2は、第1ハウジング1Aに連結されることで、当該ハウジング1Aの内部空間を塞ぐ。エンドカバー2の構成は、図6を用いて後ほど詳しく説明する。
【0018】
電線差込口3は、左右方向Yに直交する上方からハウジング1A,1B内へ電線(図示略)を差し込み可能な開口である。電線差込口3は、互いに隣り合うハウジング1A,1B、ならびに、隣り合う第1ハウジング1Aおよびエンドカバー2により形成され、左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられる。具体的には、千鳥状に並ぶ電線差込口3は、後述する第1ハウジング1Aの差込口主要部11(図4(A)参照)により構成される電線差込口3と、後述する第2ハウジング1Bの差込口主要部11(図4(B)参照)により構成される電線差込口3により構成され、それらが左右方向Yに沿って交互に並ぶように配置されている。
【0019】
図2(A)~(C)は、第1ハウジング1Aおよび当該ハウジング1Aに設けられる構成要素を示しており、図3(A)~(C)は、第2ハウジング1Bおよび当該ハウジング1Bに設けられる構成要素を示している。
【0020】
図2(A)~(C)および図3(A)~(C)に示すように、端子台Tは、ハウジング1A,1Bの各々に設けられる部品として、端子部材4と、弾性部材5と、操作部材6とを備えている。
【0021】
端子部材4は、導電性を有する金具により構成されている。端子部材4は、ハウジング1A,1Bの内壁に沿うように設けられる端子部41と、ハウジング1A,1Bから下方に突出したピン42とを有している。端子部41には、ハウジング1A,1Bに差し込まれた電線が接続される。ピン42は、端子台Tが搭載される回路基板上の配線(図示略)に接続される。
【0022】
弾性部材5は、導電性を有する板ばねにより構成されている。弾性部材5は、ハウジング1A,1B内へ差し込まれた電線を、端子部材4の端子部41に向けて押さえつける。弾性部材5は、端子部材4の一部に接触させて設けられる基端部51と、電線差込口3の下方に設けられる先端部52とを有している。電線差込口3に差し込まれた電線は、端子部材4の端子部41と弾性部材5の先端部52により挟まれて保持される。
【0023】
操作部材6は、電気的絶縁性を有する樹脂ボタンにより構成されている。操作部材6は、弾性部材5を端子部材4から離間させるためにハウジング1A,1B内に押し込み可能に構成されており、ハウジング1A,1Bに対して上下方向Zに摺動する。操作部材6は、ハウジング1A,1Bの上部に設けられる基端部61と、ハウジング1A,1B内に設けられる先端部62とを有している。基端部61を下方に押し込むと、先端部62が弾性部材5の先端部52を押し下げ、端子部材4の端子部41と先端部52との間隔が広がる。こうして、端子部41と先端部52との間に電線を挟むこと、および、挟まれた電線を引き抜くことを容易に行うことが可能となる。
【0024】
図4(A),(B)および図5(A)~(D)を参照して、ハウジング1A,1Bの構成を詳しく説明する。なお、2種のハウジング1A,1Bで共通する構成は同じ符号を付して説明する。
【0025】
ハウジング1A,1Bの各々は、内部空間10Aと、上面10Bと、第1側面としての左面10Cと、第2側面としての右面10Dとを有している。内部空間10Aは、端子部材4および弾性部材5が設けられる空間である。上面10Bは、上方に向けて設けられた電線差込面である。左面10Cは、左右方向Yの一方である左方に向けて設けられており、内部空間10Aを左方に開放する開放側端部を構成している。右面10Dは、左右方向Yの他方である右方に向けて設けられており、内部空間10Aを閉鎖する非開放側端部を構成している。
【0026】
また、ハウジング1A,1Bの各々は、上面10Bに設けられる構成として、電線差込口3の一部を構成する差込口主要部11と、他の電線差込口3の一部を構成する差込口端部12と、差込口主要部11内に設けられた電線挿通口13と、操作部材挿通口14とを有している。
【0027】
差込口主要部11は、1つの電線差込口3の少なくとも中央部を構成し、差込口端部12は、他の1つの電線差込口3の端部を構成する。本実施形態では、差込口主要部11は、電線差込口3の右端部および中央部を構成するように構成され、差込口端部12は、他の電線差込口3の左端部を構成するように構成されている。差込口主要部11は、左方に向けて(すなわち左面10Cに)開放されており、差込口端部12は、右方に向けて(すなわち右面10Dに)開放されている。差込口主要部11の下端部は、電線の先端を電線挿通口13に導くためにテーパ状に形成されている。同様に、差込口端部12の下端部も、テーパ状に形成されている。
【0028】
各ハウジング1A,1Bが有する差込口主要部11および差込口端部12の一部は、前方または後方から見た際に重なるように設けられるとともに、右方または左方から見た際に重なるように設けられている。すなわち、差込口主要部11および差込口端部12の一部は、前後方向Xに平行に延びる直線L1上に位置するとともに、左右方向Yに平行に延びる直線L2上に位置している。
【0029】
電線挿通口13および操作部材挿通口14は、ハウジング1A,1Bの内部空間10Aと外部とを連通する開口である。電線挿通口13は、上方から見て四角形状に形成されており、電線差込口3に差し込まれた電線の先端を内部空間10Aに通すように構成されている。操作部材挿通口14は、電線挿通口13の後方に設けられており、操作部材6の先端部62を内部空間10Aに通すとともに検電用開口14A(図7参照)が設けられるように構成されている。具体的には、操作部材挿通口14は、前後方向Xにおいて操作部材6よりも大きく形成されており、操作部材挿通口14に操作部材6が差し込まれた状態において、操作部材挿通口14と操作部材6との隙間に検電用開口14Aが形成される。
【0030】
また、ハウジング1A,1Bの各々は、左面10Cに設けられた凸部15と、右面10Dに設けられた凹部16とを有している。ハウジング1A,1Bの一方が有する凸部15を他方が有する凹部16に嵌めることで、ハウジング1A,1Bが互いに連結される。
【0031】
図6を参照して、エンドカバー2の構成を詳しく説明する。
図6に示すように、エンドカバー2は、上方に向けて設けられた電線差込面である上面20Aと、右方に向けて設けられた右面20Bとを有している。右面20Bは、第1ハウジング1Aの内部空間10Aを閉鎖する。
【0032】
また、エンドカバー2は、上面20Aに設けられた差込口端部21と、右面20Bに設けられた凹部22とを有している。差込口端部21は、差込口端部12と同様に構成されている。すなわち、本実施形態では、差込口端部21は、1つの電線差込口3の左端部を構成するように右面20Bに開放されている。凹部22は、第2ハウジング1Bの凹部16と同様に機能し、第1ハウジング1Aが有する凸部15を凹部22に嵌めることで、第1ハウジング1Aとエンドカバー2が互いに連結されるように構成されている。
【0033】
以上のように構成された端子台Tは、図7に示すように、2つ以上のハウジング1A,1Bが互いに連結されることで、差込口主要部11と差込口端部12とが合わさって電線差込口3が形成される。具体的には、第1ハウジング1Aの差込口主要部11と、当該ハウジング1Aの左方に隣り合う第2ハウジング1Bの差込口端部12とが、1つの電線差込口3を形成する。また、第2ハウジング1Bの差込口主要部11と、当該ハウジング1Bの左方に隣り合う第1ハウジング1Aの差込口端部12とが、1つの電線差込口3を形成する。
【0034】
また、第1ハウジング1Aとエンドカバー2とが互いに連結されることで、差込口主要部11と差込口端部21とが合わさって電線差込口3が形成される。すなわち、第1ハウジング1Aの差込口主要部11と、当該ハウジング1Aの左方に隣り合うエンドカバー2の差込口端部21とが、1つの電線差込口3を形成する。
【0035】
以上のようにして左右方向Yに千鳥状に並ぶ電線差込口3は、左右方向Yに平行に延びる同一直線上(すなわち直線L2上)に位置し、かつ、隣り合う2つの電線差込口3は、前後方向Xに平行に延びる同一直線上(すなわち直線L1上)に位置している。
【0036】
また、図7に示すように、電線差込口3と同様に、操作部材6は、左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられ、操作部材6の各々は(ただし端子台Tの左端に位置する操作部材6を除く)、互いに隣り合う2つのハウジング1A,1Bを跨いで設けられている。なお、端子台Tの左端に位置する操作部材6は、第1ハウジング1Aとエンドカバー2を跨いで設けられている。
【0037】
図8は、本実施形態に係る端子台Tを簡略化して示している。
図8に示すように、千鳥状に並んだ複数の電線差込口3は、電線差込口列3Aを構成しており、ハウジング1A,1Bには、電線差込口列3Aの近傍に配置される操作部材6が左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられている。操作部材6は、電線差込口3の後方に位置し、操作部材列6Aを構成している。電線差込口列3Aと操作部材列6Aとは、左右方向Yに直交する第2直線方向である前後方向Xにおいて分けられている。具体的には、電線差込口列3Aと操作部材列6Aは、前後方向Xにおいて隣り合い、操作部材列6Aは、当該操作部材列6Aに隣り合う電線差込口列3Aに対して前後方向Xの一方側である後方側のみに配置されている。
【0038】
本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)千鳥状に並んだ複数の電線差込口3からなる電線差込口列3Aと、千鳥状に並んだ複数の操作部材6からなる操作部材列6Aとが、前後方向Xにおいて隣り合い、操作部材列6Aは、電線差込口列3Aに対して前後方向Xの一方側である後方側のみに配置されている。この構成によれば、図8に示すように、複数の電線Wを電線差込口3に差し込んで前方に引き延ばしたときに、全ての操作部材6の上方に電線Wが位置しないため、操作部材6を押し込む際に電線Wを避ける必要がなく、操作部材6の操作性を向上できる。また、操作部材6は、千鳥状に並ぶように設けられるため、1つの操作部材6を押し込む際に、隣り合っている他の操作部材6が誤って押し込まれることを抑制できる。
【0039】
(2)操作部材6は、互いに隣り合う2つのハウジング1A,1Bを跨いで設けられる。この構成によれば、左右方向Yにおいて操作部材6の寸法を大きくすることができるため、操作部材6の操作性をさらに向上できる。
【0040】
(3)2つ以上のハウジング1A,1Bが互いに連結されることで、互いに隣り合う2つのハウジング1A,1Bの一方が有する差込口主要部11と他方が有する差込口端部12とが、千鳥状に並べて設けられる1つの電線差込口3を形成する。この構成によれば、1つの電線差込口3が2つのハウジング1A,1Bに跨って形成されるため、左右方向Yにおいて電線差込口3の径を小さくすることなくハウジング1A,1Bを小さくすることができる。したがって、電線差込口3の径を維持しながらも端子台Tを小型化できる。
【0041】
(4)第1ハウジング1Aとエンドカバー2とが連結されることで、第1ハウジング1Aが有する差込口主要部11とエンドカバー2が有する差込口端部21とが、千鳥状に並べて設けられる1つの電線差込口3を形成する。この構成によれば、1つの電線差込口3が第1ハウジング1Aとエンドカバー2に跨って形成されるため、末端に位置する電線差込口3の径を維持できる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0043】
・左右方向Yに千鳥状に並ぶ電線差込口3は、同一の直線L2上に位置しているが、隣り合う2つの電線差込口が、ハウジングが並ぶ第1直線方向に平行に延びる直線上に位置しなくてもよい。すなわち、各ハウジングが有する差込口主要部と差込口端部とが、ハウジングが並ぶ第1直線方向に延びる同一直線上に位置しなくてもよい。
【0044】
・電線差込口列3Aは、端子台Tの前端部に設けられているが、電線差込口列を、端子台の後端部に設け、操作部材列が、電線差込口列に対して前方側のみに配置されてもよい。すなわち、操作部材列は、当該操作部材列に隣り合う電線差込口列に対して、ハウジングが並ぶ第1直線方向に直交する第2直線方向の一方側のみに配置されればよい。
【0045】
・ハウジング1A,1Bの各々は、1つの差込口主要部11と1つの差込口端部12とを有しているが、ハウジングの各々が、2つ以上の差込口主要部と、2つ以上の差込口端部とを有していてもよい。すなわち、端子台には、複数の電線差込口列および操作部材列が設けられていてもよい。
【0046】
・上記実施形態に係る端子台Tは、回路基板上に設けられ、端子部材4のピン42が回路基板上の配線に接続される構成であるが、本発明は、例えばレールに設けられる端子台に採用してもよい。また、本発明は、例えば、電線を中継する中継用端子台、電線を分岐させる分岐用端子台、または、開閉器を備えた断路端子台に採用してもよい。
【0047】
例えば、本発明は、上記変形例を組み合わせた図9に示す端子台T’であってもよい。端子台T’は、後述する第1の電線差込口列3Aを構成する電線差込口3に差し込まれた電線Wと、後述する第2の電線差込口列3Bを構成する電線差込口3に差し込まれた電線Wとを中継する中継用端子台である。以下、変形例に係る端子台T’の構成を説明する。
【0048】
図9に示すように、端子台T’の前端部および後端部の各々には、電線差込口3が左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられている。端子台T’の前端部に設けられた電線差込口3は、第1の電線差込口列3Aを構成し、端子台T’の後端部に設けられた他の電線差込口3は、第2の電線差込口列3Bを構成している。ハウジング1A,1Bには、電線差込口列3A,3B間に配置される操作部材6が左右方向Yに千鳥状に並ぶように設けられている。第1の電線差込口列3Aの近傍に位置する操作部材6は、端子台T’の前端部に設けられた電線差込口3の後方に位置し、第1の操作部材列6Aを構成している。第2の電線差込口列3Bの近傍に位置する操作部材6は、第2の電線差込口列3Bの前方に位置し、第2の操作部材列6Bを構成している。
【0049】
以上のようにして、第1の電線差込口列3Aと第1の操作部材列6Aとは、前後方向Xにおいて隣り合い、第1の操作部材列6Aは、当該第1の操作部材列6Aに隣り合う第1の電線差込口列3Aに対して前後方向Xの一方側である後方側のみに配置されている。また、第2の電線差込口列3Bと第2の操作部材列6Bとは、前後方向Xにおいて隣り合い、第2の操作部材列6Bは、当該第2の操作部材列6Bに隣り合う第2の電線差込口列3Bに対して前後方向Xの一方側である前方側のみに配置されている。
【0050】
上記の変形例に係る端子台T’の構成によれば、図9に示すように、複数の電線Wを第1の電線差込口列3Aを構成する電線差込口3に差し込んで前方に引き延ばし、かつ、複数の電線Wを第2の電線差込口列3Bを構成する電線差込口3に差し込んで後方に引き延ばしたときに、全ての操作部材6の上方に電線Wが位置しないため、操作部材6を押し込む際に電線Wを避ける必要がなく、操作部材6の操作性を向上できる。
【符号の説明】
【0051】
1A 第1ハウジング(ハウジング)
1B 第2ハウジング(ハウジング)
2 エンドカバー
3 電線差込口
4 端子部材
5 弾性部材
6 操作部材
11 差込口主要部
12 差込口端部
21 差込口端部
T 端子台
X 前後方向(第2直線方向)
Y 左右方向(第1直線方向)
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11