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  • 特開-チェーンガイド機構のフレーム 図1
  • 特開-チェーンガイド機構のフレーム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091262
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】チェーンガイド機構のフレーム
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20230623BHJP
   F01M 9/10 20060101ALI20230623BHJP
   F16H 7/08 20060101ALI20230623BHJP
   F16H 7/06 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F02F7/00 Z
F01M9/10 M
F16H7/08 B
F16H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205914
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】フォルクマー ニガー
(72)【発明者】
【氏名】大澤 誠吾
(72)【発明者】
【氏名】林 聖桓
(72)【発明者】
【氏名】前田 宗裕
(72)【発明者】
【氏名】大島 裕司
【テーマコード(参考)】
3G024
3G313
3J049
【Fターム(参考)】
3G024AA49
3G024AA71
3G024BA03
3G024BA23
3G024FA07
3G313BA03
3G313BB26
3G313BC07
3G313BD47
3G313FA02
3G313FA05
3G313FA06
3J049AA08
3J049BA02
3J049BB02
3J049BB17
3J049BB22
3J049BE05
3J049BF02
3J049CA02
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、チェーンガイド機構の各構成に付着したオイルを効率的に回収でき、回収したオイルを所定の位置へ誘導可能で、オイルを効率的に利用可能なチェーンガイド機構のフレームを提供すること。
【解決手段】チェーンガイド機構のフレーム100であって、本体部110は、従動スプロケット保持部120、121と、固定チェーンガイド111と、揺動チェーンガイド保持部114とを有し、従動スプロケット保持部120、121よりも下方には、駆動スプロケット保持部122が設けられ、本体部110には、上方から下方に向けて伸びて駆動スプロケット保持部122の上方までオイルELを誘導する凹状および・または凸状の油路を有すること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部の上方で従動スプロケットを挟持する従動スプロケット保持部とを有するチェーンガイド機構のフレームであって、
前記本体部は、固定チェーンガイドと、揺動チェーンガイドを取り付け可能な揺動チェーンガイド保持部とを有し、
前記従動スプロケット保持部は、前記固定チェーンガイド側に設けられた固定側スプロケット保持部と、前記揺動チェーンガイド保持部側に設けられた揺動側スプロケット保持部を有し、
前記本体部の前記従動スプロケット保持部よりも下方には、駆動スプロケットを保持する駆動スプロケット保持部が設けられ、
前記本体部には、上方から下方に向けて伸びて前記駆動スプロケット保持部の上方までオイルを誘導する凹状および・または凸状の油路を有することを特徴とするチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項2】
前記油路の前記駆動スプロケット保持部側の下端は、前記固定チェーンガイド側に向かって形成された固定側油路と、前記揺動チェーンガイド保持部側に向かって形成された揺動側油路とに分岐していることを特徴とする請求項1に記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項3】
前記本体部は、上部に設けられたトップガイドを有し、
前記油路は、前記トップガイドから前記固定側スプロケット保持部と前記揺動側スプロケット保持部との間まで形成された上部油路と、前記上部油路よりも下方に形成された下部油路とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項4】
前記上部油路の下端は、前記下部油路の最上部の直上に位置するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項5】
前記下部油路は、前記固定側チェーンガイド側に向かって形成された固定側下部油路と、前記揺動チェーンガイド保持部側に向かって形成された揺動側下部油路とを有し、
前記上部油路の下端は、前記固定側下部油路の直上と、前記揺動側下部油路の直上に位置するように分岐していることを特徴とする請求項3に記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項6】
前記上部油路は、前記固定側スプロケット保持部側に形成された固定側上部油路と、前記揺動側スプロケット保持部側に形成された揺動側上部油路とを有していることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項7】
前記固定側上部油路の下端は、前記固定側下部油路の直上に位置するように形成され、
前記揺動側上部油路の下端は、前記揺動側下部油路の直上に位置するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項8】
前記揺動側油路の下端は、前記駆動スプロケット保持部の直上に位置するように形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【請求項9】
前記油路は、ビード状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のチェーンガイド機構のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのタイミングシステム等に使用されるチェーンガイド機構のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンのタイミングシステム等に使用されるチェーンガイド機構の潤滑油を有効利用する構成として、特許文献1のようなテンショナレバーが公知である。
【0003】
この特許文献1に記載の揺動チェーンガイド(テンショナレバー100)は、軸支ボス部130に挿通する揺動軸(ショルダーボルトSB)でエンジン内壁Eに取り付けられるものであり、レバー本体120に凝集付着したオイル(エンジンオイルO)を軸支用ボス部130のボルト挿通領域132へ誘導するオイル誘導溝131が、軸支用ボス部130の一部分を外周側から内周側に向けて切り欠いた状態で形成されているものである。
【0004】
これによって、レバー長手方向の先端側を上方に向けて配置するとともにレバー長手方向の基端側となる軸支用ボス部130を下方に向けて配置するエンジン内壁Eへの取り付け状態において、軸支用ボス部130がエンジン内壁Eに密着している場合や揺動軸(ショルダーボルトSB)のフランジ部Sfに密着している場合のいずれであっても、エンジン内壁E内の凝集付着したオイル(エンジンオイルO)が、レバー本体120の表裏両側から軸支用ボス部130のボルト挿通領域132に隈なく流入浸透し、エンジン内壁E内のオイル(エンジンオイルO)を潤滑油として最大限に有効利用して揺動軸(ショルダーボルトSB)に生じがちなカジリ、焼き付き、偏摩耗、フリクションロスを抑制して優れた耐久性を発揮できるとともに、テンショナTと協動しながら円滑に揺動追従して伝統チェーンCに適切な張力を付与できるものである。
また、オイル連通路123がレバー本体120に一体成形されるとともに傾斜配置された補強リブ122の根幹部分にそれぞれ形成されることで、レバー本体120の全面で凝集付着したオイル(エンジンオイルO)の流れが補強リブ122により遮断されることなく先端側から基端側へ向けて連通して滑らかな流れとなり、レバー本体120の全面に凝集付着するオイル(エンジンオイルO)を歩留まりよく基端側のオイル誘導溝131内へ供給できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-036723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の揺動チェーンガイドによる潤滑油を有効利用する構成は、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献1に記載の揺動チェーンガイドは、レバー本体に付着したオイルを集めて揺動軸に誘導することで揺動軸のカジリ、焼き付き、偏摩耗、フリクションロス等を抑制できるものだが、揺動チェーンガイド以外のチェーンガイド機構の構成に付着したオイルを集めて誘導することができず、例えば、チェーンや、チェーンを摺動する固定チェーンガイド、チェーンが巻きかけられている駆動スプロケットに十分にオイルをできていない場合等、揺動チェーンガイド以外の箇所に対して効率的にオイルを利用できず、使用するオイルの量が増加してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、チェーンガイド機構の各構成に付着したオイルを効率的に回収できるとともに、回収したオイルを所定の位置へ誘導可能で、オイルを効率的に利用可能なチェーンガイド機構のフレームを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチェーンガイド機構のフレームは、本体部と、前記本体部の上方で従動スプロケットを挟持する従動スプロケット保持部とを有するチェーンガイド機構のフレームであって、前記本体部は、固定チェーンガイドと、揺動チェーンガイドを取り付け可能な揺動チェーンガイド保持部とを有し、前記従動スプロケット保持部は、前記固定チェーンガイド側に設けられた固定側スプロケット保持部と、前記揺動チェーンガイド保持部側に設けられた揺動側スプロケット保持部を有し、前記本体部の前記従動スプロケット保持部よりも下方には、駆動スプロケットを保持する駆動スプロケット保持部が設けられ、前記本体部には、上方から下方に向けて伸びて前記駆動スプロケット保持部の上方までオイルを誘導する凹状および・または凸状の油路を有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係るチェーンガイド機構のフレームは、本体部に、上方から下方に向けて伸びて前記駆動スプロケット保持部の上方までオイルを誘導する凹状および・または凸状の油路を有しているため、本体部の上方に付着したオイルを油路で集め、本体部の下方の駆動スプロケット保持部まで確実に誘導でき、油路がない場合に比べて少ないオイル量で駆動スプロケットを十分に潤滑できる。
【0010】
請求項2に記載の構成によれば、油路の駆動スプロケット保持部側の下端は、固定チェーンガイド側に向かって形成された固定側油路と、揺動チェーンガイド保持部側に向かって形成された揺動側油路とに分岐しているため、本体部の上部に付着したオイルを、駆動スプロケットだけでなく、チェーンと摺接する固定チェーンガイドや揺動チェーンガイド保持部へも誘導することができ、より一層効率的にオイルを各部に供給でき、油路がない場合に比べて少ないオイル量で十分に潤滑できる。
請求項3に記載の構成によれば、本体部は、トップガイドを有し、油路は、トップガイドから固定側スプロケット保持部と揺動側スプロケット保持部との間まで形成された上部油路と、上部油路よりも下方に形成された下部油路とを有するため、トップガイド付近に付着したオイルを確実に上部油路で回収して固定側スプロケット保持部と揺動側スプロケット保持部との間まで誘導することができ、上部油路から誘導されたオイルを下部油路から各部に誘導することで、より一層効率的にオイルを各部に供給することができる。
【0011】
請求項4に記載の構成によれば、上部油路の下端は、下部油路の最上部の直上に位置するように形成されているため、下部油路が途中で分岐していても、上部油路から分岐前の下部油路に直接オイルを誘導しているため、下部油路の分岐先のいずれについても確実に上部油路からのオイルを十分に誘導できる。
請求項5に記載の構成によれば、上部油路の下端は、固定側下部油路の直上と、揺動側下部油路の直上に位置するように分岐しているため、固定側下部油路と揺動側下部油路のいずれについても確実に上部油路からのオイルを十分に誘導できる。
【0012】
請求項6に記載の構成によれば、上部油路は、固定側スプロケット保持部側に形成された固定側上部油路と、揺動側スプロケット保持部側に形成された揺動側上部油路とを有しているため、固定側スプロケット保持部および揺動側スプロケット保持部の上方まで広範囲にトップガイドが形成されている場合、トップガイドの広範囲に付着したオイルを十分に回収でき、より一層多くのオイルを油路を介して各部へ誘導することができる。
請求項7に記載の構成によれば、固定側上部油路の下端は、固定側下部油路の直上に位置するように形成され、揺動側上部油路の下端は、揺動側下部油路の直上に位置するように形成されているため、固定側上部油路および揺動側上部油路の上端の位置や形状を変更してそれぞれがトップガイド付近から回収する量を調整することで、固定側下部油路および揺動側下部油路へ供給するオイルの比率を調整でき、各部により一層潤滑に適した量のオイルを誘導することができる。
【0013】
請求項8に記載の構成によれば、揺動側油路の下端は、駆動スプロケット保持部の直上に位置するように形成されているため、本体部の上部から駆動スプロケット保持部へ確実にオイルを誘導することができる。
請求項9に記載の構成によれば、油路は、ビード状に形成されているため、本体部の表裏のいずれにも凹状または凸状の油路を一度の加工で形成することができる。
また、本体部の表面にビード状に形成した油路を形成することで、本体部自体の強度を向上することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100の全体図。
図2】本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100をエンジンに取り付けた状態の全体図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100について、図面に基づいて説明する。
なお、説明のため、図2にはエンジンやエンジンとフレーム100とを接続する部材等は記載しない。
【0016】
チェーンガイド機構のフレーム100は、図1に示すように、本体部110と、本体部110の上面に設けられたトップガイド115と、本体部110の側面の一方に設けられた固定チェーンガイド111と、本体部110の固定チェーンガイド111と反対側の側面に揺動チェーンガイド112を取り付け可能な揺動チェーンガイド保持部114とを有し、本体部110の上部の固定チェーンガイド111側には固定側スプロケット保持部120が設けられ、本体部110の上部の揺動チェーンガイド保持部114側には揺動側スプロケット保持部121が設けられ、本体部110の下部には駆動スプロケットDSを保持可能な駆動スプロケット保持部122が設けられている。
【0017】
本体部110の各所には、エンジン(図示しない)に固定する際の取付孔H1、H2、H3が設けられている。
本体部110のトップガイド115付近から、固定側スプロケット保持部120および揺動側スプロケット保持部121の間にかけて、油路である固定側上部油路130および揺動側上部油路131が、それぞれ取付孔H2付近まで上下方向に伸びるビード状、すなわち、本体部110の一方の面からは凸状に形成され、他方の面からは凹状に形成されている。
【0018】
また、取付孔H2の下方には、取付孔H2付近から徐々に下方且つ固定チェーンガイド111側へ伸びる油路である固定側下部油路132と、取付孔H2付近から徐々に下方且つ本体部110の揺動チェーンガイド保持部114側を通り駆動スプロケット保持部122付近まで伸びる油路である揺動側下部油路133とが設けられ、固定側下部油路132と揺動側下部油路133とは、互いの最上部を取付孔H2付近で接続されている。
さらに、取付孔H3の下方には、揺動側下部油路133の下部に並ぶ油路である補助油路134が形成されている。
なお、固定側下部油路132、揺動側下部油路133、補助油路134も、固定側上部油路130および揺動側上部油路131と同様に、ビード状に形成されている。
以上のように、固定側上部油路130、揺動側上部油路131、固定側下部油路132、揺動側下部油路133、補助油路134はビード状に形成されているため、本体部110の歪みを抑制し、強度を向上することができる。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係るチェーンガイド機構のフレーム100による、オイルELの誘導について、図2に基づいて説明する。
【0020】
まず、図2に示すように、チェーンガイド機構のフレーム100は、固定側スプロケット保持部120に従動スプロケットS1を保持し、揺動側スプロケット保持部121に従動スプロケットS2を保持し、駆動スプロケット保持部122に駆動スプロケットDSを保持し、従動スプロケットS1、S2、駆動スプロケットDSの回りにチェーンCHが回しかけられている。
また、揺動チェーンガイド112は揺動軸113を介して揺動チェーンガイド保持部114に揺動可能に接続され、チェーンCHを押圧してチェーンCHに所定の張力を発生させるものである。
チェーンCHは固定チェーンガイド111、揺動チェーンガイド112、トップガイド115に摺動するように回しかけられている。
この状態で、チェーンガイド機構のフレーム100は取付孔H1、H2、H3を介してエンジン(図示しない)に取り付けられている。
【0021】
エンジン(図示しない)に取り付けられたチェーンガイド機構には、チェーンCHやチェーンガイド機構の各部を潤滑するオイルELが供給されており、オイルELの一部は、チェーンガイド機構への供給時の噴射の勢いや、従動スプロケットS1、S2、駆動スプロケットDSの回転や、チェーンCHと固定チェーンガイド111、揺動チェーンガイド112、トップガイド115との摺動の際に飛び散って本体部110に直接付着したり、チェーンガイド機構のフレーム100の周囲にミスト状に浮遊したオイルELの一部も本体部110に付着する。
オイルELは、オイルELの供給位置にもよるが、本体部110の上部に多く付着し、重力によって本体部110に沿って徐々に下方へ流れる。
【0022】
このとき、本体部110の上部には固定側上部油路130および揺動側上部油路131が設けられているため、トップガイド115の固定側スプロケット保持部120付近に付着したオイルEL1は固定側上部油路130に回収され、トップガイド115の揺動側スプロケット保持部121付近に付着したオイルEL2は揺動側上部油路131に回収され、オイルEL1、EL2はそれぞれ固定側上部油路130、揺動側上部油路131のビード形状に沿って下端に到達した後、それぞれの油路の下方へ流れる。
なお、固定側上部油路130および揺動側上部油路131は、それぞれ上端を固定側スプロケット保持部120、揺動側スプロケット保持部121側に寄せ、下端は本体部110の中央付近に寄せるように形成されているため、固定側上部油路130および揺動側上部油路131の上方に位置する本体部110に付着したオイルEL1、EL2も広範囲にわたって効率的に回収できる。
【0023】
固定側上部油路130、揺動側上部油路131のそれぞれの下端から下方へ流れたオイルEL1、EL2は、それぞれ固定側下部油路132および揺動側下部油路133に回収され、固定側下部油路132および揺動側下部油路133のビード形状に沿って下端から下方へ流れる。
固定側下部油路132の下端は固定チェーンガイド111の上部に位置するため、トップガイド115付近で回収されたオイルEL1は固定チェーンガイド111へ供給され、チェーンCHと固定チェーンガイド111との摺動性をより向上させることができる。
また、揺動側下部油路133の下端は駆動スプロケット保持部122の直上に位置するため、トップガイド115付近で回収されたオイルEL2は駆動スプロケットDSへ供給され、駆動スプロケットDSを効率的に潤滑できるとともに、駆動スプロケットDSを介してチェーンCHにもオイルEL2を供給できる。
【0024】
なお、揺動側下部油路133は、本体部110の揺動チェーンガイド保持部114側に沿って駆動スプロケット保持部122の直上まで形成されており、本体部110の取付孔H3の上方に付着したオイルEL3を回収することができないが、取付孔H3の下方に補助油路134が形成されているため、オイルEL3を補助油路134に回収することができる。
また、補助油路134の下端は駆動スプロケット保持部122の直上に位置しているため、オイルEL3も駆動スプロケットDSへ供給することができ、より一層駆動スプロケットDSを効率的に潤滑できる。
【0025】
以上のように、本体部110に付着したオイルELを固定側上部油路130、揺動側上部油路131、固定側下部油路132、揺動側下部油路133、補助油路134によって回収して所定の箇所まで誘導することで、チェーンCHや駆動スプロケットDS等の各部材を、各油路を設けない場合に比べて少ないオイルELの使用量で効率的に潤滑できる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0027】
なお、上述した実施形態では、本体部の上部には固定側上部油路および揺動側上部油路が形成されているものであると説明したが、本体部の上部に設ける油路の構成はこれに限定されず、例えば、固定側上部油路と揺動側上部油路が途中で合流するように構成されていてもよく、本体部の上部から下方に向かうにしたがって一本の油路が固定側スプロケット保持部側と揺動側スプロケット保持部側に分岐するように構成されていてもよく、油路が本体部に一本のみ形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、固定側上部油路および揺動側上部油路の下方には、固定側下部油路および揺動側下部油路が形成され、固定側下部油路の上端と揺動側下部油路の上端とは接続されているものとして説明したが、固定側下部油路および揺動側下部油路の構成はこれに限定されず、例えば、固定側下部油路と揺動側下部油路とは接続されていなくてもよく、固定側下部油路や揺動側下部油路が形成されていなくてもよく、固定側上部油路の下端と固定側下部油路の上端とが接続されていてもよい。
【0028】
また、上述した実施形態では、固定側下部油路の下端は固定チェーンガイドの上部に位置するものとして説明したが、固定側下部油路の下端の位置はこれに限定されず、例えば、固定チェーンガイドの下部に位置していていもよく、取付孔H3の直上に位置していてもよい。
また、上述した実施形態では、揺動側下部油路の下端は駆動スプロケット保持部の直上に位置するものとして説明したが、揺動側下部油路の下端の位置はこれに限定されず、例えば、揺動チェーンガイド保持部の直上に位置していてもよく、途中で分岐して揺動チーンガイド保持部の直上と駆動スプロケット保持部の直上の両方に位置していてもよい。
【0029】
また、上述した実施形態では、取付孔H3の下方に補助油路が形成されているものとして説明したが、補助油路の構成はこれに限定されず、例えば、補助油路がなくてもよく、取付孔H3の上方に形成され、補助油路の下端を揺動側下部油路に合流させるように接続してもよい。
また、上述した実施形態では、本体部の上面にはトップガイドが設けられているものとして説明したが、チェーンガイド機構のフレームの構成はこれに限定されず、例えば、トップガイドがなくてもよい。
【0030】
また、上述した実施形態では、各油路はビード形状に形成されているものとして説明したが、各油路の構成はこれに限定されず、例えば、本体部の両面に凹溝状に形成してもよく、本体部の両面から突出する凸状に形成してもよく、本体部の片面にのみ各油路を形成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
100 ・・・ チェーンガイド機構のフレーム
110 ・・・ 本体部
111 ・・・ 固定チェーンガイド
112 ・・・ 揺動チェーンガイド
113 ・・・ 揺動軸
114 ・・・ 揺動チェーンガイド保持部
115 ・・・ トップガイド
120 ・・・ 固定側スプロケット保持部
121 ・・・ 揺動側スプロケット保持部
122 ・・・ 駆動スプロケット保持部
130 ・・・ 固定側上部油路(油路)
131 ・・・ 揺動側上部油路(油路)
132 ・・・ 固定側下部油路(油路)
133 ・・・ 揺動側下部油路(油路)
134 ・・・ 補助油路(油路)
S1、S2 ・・・ 従動スプロケット
DS ・・・ 駆動スプロケット
CH ・・・ チェーン
H1、H2、H3 ・・・ 取付孔
EL1、EL2、EL3 ・・・ オイル

図1
図2