(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091285
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】タバコ用芳香カプセルの埋込具
(51)【国際特許分類】
A24F 25/00 20060101AFI20230623BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A24F25/00
A24D3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205950
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】521134880
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】松根 寿
(72)【発明者】
【氏名】芳本 浩司
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA08
4B045BB03
4B045BD34
(57)【要約】
【課題】 芳香カプセルが入っていない普通のタバコにおいても、芳香カプセルを容易に埋め込むことができるようにして、汎用性の向上を図る。
【解決手段】 略球形の芳香カプセルCをタバコTのフィルタF内に埋め込むためのもので、手で把持可能な本体1を備え、この本体1に、多数の芳香カプセルCを収納するカプセル収納室10と、カプセル収納室10から所要時に供給される1つの芳香カプセルCを一時的に収容する一時収容室20と、タバコTのフィルタFが差し込まれてこのフィルタFを保持するフィルタ差込部30と、フィルタ差込部30に対して進退動可能に設けられ進出して一時収容室20に収容された芳香カプセルCをフィルタFに押し込んで埋め込み可能なロッド40と、本体1の外側に設けられロッド1に連係してロッド1を進退動させる操作レバー60とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香剤が封入され手で圧潰可能な略球形の芳香カプセルをタバコのフィルタ内に埋め込むためのタバコ用芳香カプセルの埋込具であって、
手で把持可能な本体を備え、該本体に、多数の芳香カプセルを収納するカプセル収納室と、該カプセル収納室から所要時に供給される1つの芳香カプセルを一時的に収容する一時収容室と、タバコのフィルタが差し込まれて該フィルタを保持するフィルタ差込部と、該フィルタ差込部に対して進退動可能に設けられ進出して上記一時収容室に収容された芳香カプセルを上記フィルタに押し込んで埋め込み可能なロッドと、上記本体の外側に設けられ上記ロッドに連係して上記ロッドを進退動させる操作レバーとを備えたことを特徴とするタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項2】
芳香剤が封入され手で圧潰可能な略球形の芳香カプセルをタバコのフィルタ内に埋め込むためのタバコ用芳香カプセルの埋込具であって、
手で把持可能な本体を備え、該本体に、開閉可能な収納開口から入れられた多数の芳香カプセルを収納するカプセル収納室と、該カプセル収納室の底部側に形成した供給口から所要時に供給される1つの芳香カプセルを受入口を通して受け入れて一時的に収容する一時収容室と、該一時収容室に隔壁を介して設けられタバコのフィルタが差し込まれて該フィルタを保持するフィルタ差込部と、該フィルタ差込部の軸線と同軸の軸線を有して上記隔壁に設けられ上記一時収容室内の芳香カプセルが通過可能な通過孔と、上記芳香カプセルの直径と略同じ直径を有し且つ上記フィルタ差込部の軸線と同軸の軸線を有するとともに上記一時収容室側に進退動可能に保持され、進出して先端が上記通過孔を通過して上記フィルタ内に挿入されるロッドと、上記一時収容室に仕切壁を介して設けられ上記ロッドを該ロッドの基端に設けたスライダを介して進退動可能に保持する筒状のロッド保持部と、上記仕切壁に設けられ上記ロッドが進退動可能に挿通される挿通孔と、所要時に動作させられて上記カプセル収納室の供給口から1つの芳香カプセルを上記一時収容室に供給する供給機構と、上記本体の外側に設けられ上記ロッド及び上記供給機構に連係して上記ロッド及び上記供給機構を動作させる操作レバーとを備えたことを特徴とするタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項3】
上記一時収容室を構成する通過孔のある壁部の表面を通過孔に向けてロート状に形成したことを特徴とする請求項2記載のタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項4】
上記一時収容室を構成する少なくとも通過孔のある表面のある壁部を分割した分割体を形成し、上記本体に上記分割体を着脱可能に嵌合可能な嵌合凹部を形成したことを特徴とする請求項3記載のタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項5】
上記カプセル収納室を上記本体の外壁と第1内壁板とで構成し、
上記一時収容室及び上記ロッド保持部を上記本体の外壁と第2内壁板とで構成し、該第2内壁板の上記ロッドのスライダ側を解放形成し、
上記カプセル収納室と上記一時収容室及び上記ロッド保持部とを、上記第1内壁板と第2内壁板とを対峙させて上記ロッドの軸線の方向に直交する方向に間隔を隔てて併設し、
上記カプセル収納室の供給口を上記第1内壁板に形成し、上記一時収容室の受入口を上記供給口よりも上記ロッド保持部側に位相をずらせて第2内壁板に形成し、
上記ロッドを、上記フィルタの端面に先端が所定間隔を隔てて対峙する基準位置、該基準位置から進出して先端が上記通過孔を通過して上記フィルタ内に挿入される進出位置、上記基準位置から後退する後退位置の3位置に位置可能にし、
上記操作レバーを上記ロッドのスライダに連係させ、
上記供給機構を、上記第1内壁板及び上記第2内壁板間にスライド可能に設けられ一端側に1つの芳香カプセルを上記ロッドの軸線の方向に直交する方向に通過可能且つ一時的に保持可能な連通凹部を有した移動体を設けて構成し、上記本体の外壁,第1内壁板及び第2内壁板によって移動体をスライド可能に保持する移動体保持部を構成し、該移動体の他端側に上記ロッドのスライダの上面に当接し該ロッドの基準位置から後退位置への移動に同動して該移動体を移動可能にする係止片を設け、
上記本体に上記移動体の係止片をスライド可能に保持するシリンダ状の係止片保持部を設け、上記移動体を、上記係止片を介した該移動体の移動によって上記ロッドの基準位置において上記カプセル収納室の供給口に上記連通凹部を臨ませ且つ上記一時収容室の受入口を閉にして該カプセル収納室の供給口から供給される1つの芳香カプセルを該連通凹部に受け取る受取位置、及び、上記ロッドの後退位置において上記一時収容室の受入口に上記連通凹部を臨ませ且つ上記カプセル収納室の供給口を閉にして上記連通凹部に受け取った芳香カプセルを上記一時収容室の受入口を通して該一時収容室に受け渡す受渡位置の2位置に移動可能にし、
上記第2内壁板の上記ロッド保持部のスライダ側端部を上記係止片が衝止して上記移動体を上記受取位置に位置決めするストッパとして構成し、
上記ロッド保持部内の上記仕切壁とスライダとの間に、上記ロッドが基準位置から進出位置に移動する際に縮小して、該ロッドを基準位置側に付勢する第1コイルスプリングを設け、
上記係止片保持部内の上記係止片と本体との間に、上記移動体が受取位置から受渡位置に移動する際に縮小して、該移動体を受取位置側に付勢する第2コイルスプリングを設けたことを特徴とする請求項2乃至4何れかに記載のタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項6】
上記ロッドの基準位置において、上記ロッドの先端と通過孔の開口との間に上記供給機構により供給された芳香カプセルが入り込む間隔を設けたことを特徴とする請求項5記載のタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項7】
上記カプセル収納室の底部,上記第2内壁板に形成した供給口,上記移動体に形成した連通凹部,上記第2内壁板に形成した受入口を、上記一時収容室の通過孔に向けて傾斜する傾斜面を有して形成したことを特徴とする請求項5または6記載のタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項8】
上記本体を、ケースと、該ケースに差し込まれて装着される鞘状のカバーとを備えて構成し、上記ケースに、上記カプセル収納部,一時収容室,ロッド保持部,移動体保持部及び係止片保持部をこれらの上記本体の表面側を構成する部位を除いて形成するとともに上記フィルタ差込部を形成し、上記カバーにより上記カプセル収納部,一時収容室,ロッド保持部,移動体保持部及び係止片保持部の上記本体の表面側を構成し、該カバーの少なくとも上記カプセル収納部から一時収容室に芳香カプセルが移動する経路に対応した部位を透明に形成し内部を視認できるようにしたことを特徴とする請求項5乃至7何れかに記載のタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項9】
上記カバーの上記本体の表面側を構成する部位に、上記ロッドのスライダと操作レバーとを連結する連結部を移動可能にする切込みを設けたことを特徴とする請求項8記載のタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【請求項10】
上記フィルタ差込部に差し込まれて保持可能な外径を有するとともに該フィルタ差込部の内径より小さい内径を有し直径の異なるタバコのフィルタが差し込み可能な筒状のアタッチメントを備え、上記本体に、上記アタッチメントを着脱可能に保持するアタッチメント保持部を設けたことを特徴とする請求項1乃至9何れかに記載のタバコ用芳香カプセルの埋込具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤が封入され手で圧潰可能な芳香カプセルをタバコのフィルタ内に埋め込むためのタバコ用芳香カプセルの埋込具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、芳香剤が封入され手で圧潰可能な芳香カプセルをフィルタ内に埋め込んだタバコが知られている(例えば、特許第5117579号公報(特許文献1)等参照)。この芳香カプセルは、タバコの製造段階で専用機によりフィルタ内に埋め込まれる(例えば、米国特許出願公開第2007-0068540号公報(特許文献2)等参照)。そして、芳香カプセルが埋め込まれたタバコを喫煙するときは、フィルタを手で押して内部の芳香カプセルを圧潰し内部の芳香剤をフィルタ内に浸透させる。この状態で、タバコに火をつけて喫煙すると、吸い込む煙に芳香剤成分が混合し、香味等を享受することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5117579号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2007-0068540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記芳香カプセルが埋め込まれたタバコにおいては、芳香カプセルはタバコの製造段階で専用機によりフィルタ内に埋め込まれるので、芳香カプセルが入っていない普通のタバコにおいて、この機能を享受しようとすることができないという問題があった。また、芳香成分には種々のものがあるが、タバコは1箱ごとに購入するので、別の芳香を楽しもうとする場合に対応できないという問題もある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、芳香カプセルが入っていない普通のタバコにおいても、芳香カプセルを容易に埋め込むことができるようにして、汎用性の向上を図ったタバコ用芳香カプセルの埋込具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明のタバコ用芳香カプセルの埋込具は、芳香剤が封入され手で圧潰可能な略球形の芳香カプセルをタバコのフィルタ内に埋め込むためのタバコ用芳香カプセルの埋込具であって、
手で把持可能な本体を備え、該本体に、多数の芳香カプセルを収納するカプセル収納室と、該カプセル収納室から所要時に供給される1つの芳香カプセルを一時的に収容する一時収容室と、タバコのフィルタが差し込まれて該フィルタを保持するフィルタ差込部と、該フィルタ差込部に対して進退動可能に設けられ進出して上記一時収容室に収容された芳香カプセルを上記フィルタに押し込んで埋め込み可能なロッドと、上記本体の外側に設けられ上記ロッドに連係して上記ロッドを進退動させる操作レバーとを備えた構成としている。
【0007】
本発明のタバコ用芳香カプセルの埋込具は、主には、吸口にフィルタを備えたタバコに用いる。一般に、フィルタは、アセテートを使用したものが主流になっている。
また、芳香カプセルは、芳香剤を外皮で封入した周知のものである。芳香剤及び外皮は、食品材料及び/または食品に使用することが許されている食品添加物により形成されていることが望ましい。外皮を構成する膜材料としては、動物性素材,植物性素材,合成高分子,無機化合物等が用いられ、例えば、ゼラチン,カラギーナン等の海藻由来の素材,バレイショ,タピオカやトウモロコシ由来のデンプン等周知のものを挙げることができる。芳香剤としては、天然香料あるいは合成香料を含有している液状のものであり、例えば、メンソールやコーヒー味等各種香味を呈するようにする。天然香料としては、例えば種々のアロマオイル(精油)があり、例えば、レモン,ライム,オレンジ,グレープフルーツ,ローズマリー,ペパーミント,スペアミント,ハッカ,バニラ,マンダリン,カモミール,ラベンダー,ローズ,ユーカリ,マートル,ティートリー,エンジュ等を挙げることができる。また、合成香料としては、例えば、エステル類,アルコール類,アルデヒド類,ケトン類,フェノール類,エーテル類,テルペン類等を挙げることができる。これらに限定されるものではない。
【0008】
また、芳香剤及び/または外皮は着色剤で着色することができる。着色剤として、例えば、食用赤色2号,食用赤色3号,食用赤色102号,食用赤色104号,食用黄色4号,食用黄色5号,食用緑色3号,食用青色1号,食用青色2号,三二酸化鉄,銅クロロフィル,二酸化チタン,アナトー,オレンジ色素,カラメル,ベニバナ,ウコン,サフラン,食紅等を挙げることができる。
【0009】
これにより、このタバコ用芳香カプセルの埋込具を使用するときは、予め、カプセル収納室に、多数の芳香カプセルを収納する。そして、本体を手で把持し、タバコのフィルタをフィルタ差込部に差し込み、この状態で、カプセル収納室から1つの芳香カプセルを一時収容室に収容し、操作レバーを操作してロッドを進出させ、一時収容室に収容された芳香カプセルをフィルタに押し込む。これにより、タバコのフィルタに芳香カプセルが埋め込まれる。そして、芳香カプセルが埋め込まれたタバコを喫煙するときは、フィルタを手で押して内部の芳香カプセルを圧潰し内部の芳香剤をフィルタ内に浸透させる。この状態で、タバコに火をつけて喫煙すると、吸い込む煙に芳香剤成分が混合し、香味等を享受することができる。
【0010】
このため、操作レバーの簡単な操作により芳香カプセルをタバコのフィルタに埋め込むことができるので、芳香カプセルが入っていない普通のタバコにおいても、芳香カプセルを容易に埋め込むことができ、汎用性の向上を図ることができる。また、芳香カプセルには芳香成分の異なる種々のものがあるので、好みに応じてこの芳香カプセルを選択して用いることができる。そのため、種々の芳香を楽しむことができ、この点でも汎用性を向上させることができる。
【0011】
より具体的には、本発明のタバコ用芳香カプセルの埋込具は、芳香剤が封入され手で圧潰可能な略球形の芳香カプセルをタバコのフィルタ内に埋め込むためのタバコ用芳香カプセルの埋込具であって、
手で把持可能な本体を備え、該本体に、開閉可能な収納開口から入れられた多数の芳香カプセルを収納するカプセル収納室と、該カプセル収納室の底部側に形成した供給口から所要時に供給される1つの芳香カプセルを受入口を通して受け入れて一時的に収容する一時収容室と、該一時収容室に隔壁を介して設けられタバコのフィルタが差し込まれて該フィルタを保持するフィルタ差込部と、該フィルタ差込部の軸線と同軸の軸線を有して上記隔壁に設けられ上記一時収容室内の芳香カプセルが通過可能な通過孔と、上記芳香カプセルの直径と略同じ直径を有し且つ上記フィルタ差込部の軸線と同軸の軸線を有するとともに上記一時収容室側に進退動可能に保持され、進出して先端が上記通過孔を通過して上記フィルタ内に挿入されるロッドと、上記一時収容室に仕切壁を介して設けられ上記ロッドを該ロッドの基端に設けたスライダを介して進退動可能に保持する筒状のロッド保持部と、上記仕切壁に設けられ上記ロッドが進退動可能に挿通される挿通孔と、所要時に動作させられて上記カプセル収納室の供給口から1つの芳香カプセルを上記一時収容室に供給する供給機構と、上記本体の外側に設けられ上記ロッド及び上記供給機構に連係して上記ロッド及び上記供給機構を動作させる操作レバーとを備えた構成としている。
【0012】
これにより、一時収容室に芳香カプセルがないときのロッドの進出時に、フィルタ差込部に差し込まれたタバコのフィルタに芳香カプセルが埋め込まれる埋込穴を形成可能にし、且つ、埋込穴を形成した後であって一時収容室に芳香カプセルがあるときのロッドの進出時に、フィルタの埋込穴に芳香カプセルを押し込んで埋め込み可能にしている。
【0013】
即ち、このタバコ用芳香カプセルの埋込具を使用するときは、例えば、先ず、一時収容室に芳香カプセルがない状態で、タバコのフィルタをフィルタ差込部に差し込み、操作レバーを操作してロッドを進出させる。その結果、フィルタ差込部に差し込まれたタバコのフィルタに芳香カプセルが埋め込まれる埋込穴が形成される。次に、カプセル収納室から1つの芳香カプセルを一時収容室に収容し、操作レバーを操作してロッドを進出させ、一時収容室に収容された芳香カプセルをフィルタに押し込む。これにより、タバコのフィルタに芳香カプセルが埋め込まれる。この場合、先にフィルタに芳香カプセルが埋め込まれる埋込穴を形成するので、芳香カプセルの押し込みが円滑に行われる。尚、埋込穴を予め形成することなく、一時収容室に芳香カプセルを供給し、この状態で、ロッドを進出させてフィルタ内に芳香カプセルを押し込んで埋め込むようにしても良い。
【0014】
また、1つの芳香カプセルを一時収容室に供給する供給機構を設けたので、1つの芳香カプセルを確実にタバコのフィルタに埋め込むことができる。更に、操作レバーの操作により、ロッドと供給機構とを動作させることができるので、操作性を向上させることができる。
【0015】
そして、必要に応じ、上記一時収容室を構成する通過孔のある壁部の表面を通過孔に向けてロート状に形成した構成としている。供給機構により供給された芳香カプセルが通過孔の開口に移動し易くなり、ロッドによる押し込みを確実に行うことができるようになる。
【0016】
この場合、上記一時収容室を構成する少なくとも通過孔のある表面のある壁部を分割した分割体を形成し、上記本体に上記分割体を着脱可能に嵌合可能な嵌合凹部を形成したことが有効である。本体に直接ロート状部を形成することは困難であるが、分割体を別途作成するので、通過孔のある表面をロート状に形成し易くなり、製造を容易にすることができる。
【0017】
そしてまた、必要に応じ、上記カプセル収納室を上記本体の外壁と第1内壁板とで構成し、
上記一時収容室及び上記ロッド保持部を上記本体の外壁と第2内壁板とで構成し、該第2内壁板の上記ロッドのスライダ側を解放形成し、
上記カプセル収納室と上記一時収容室及び上記ロッド保持部とを、上記第1内壁板と第2内壁板とを対峙させて上記ロッドの軸線の方向に直交する方向に間隔を隔てて併設し、
上記カプセル収納室の供給口を上記第1内壁板に形成し、上記一時収容室の受入口を上記供給口よりも上記ロッド保持部側に位相をずらせて第2内壁板に形成し、
上記ロッドを、上記フィルタの端面に先端が所定間隔を隔てて対峙する基準位置、該基準位置から進出して先端が上記通過孔を通過して上記フィルタ内に挿入される進出位置、上記基準位置から後退する後退位置の3位置に位置可能にし、
上記操作レバーを上記ロッドのスライダに連係させ、
上記供給機構を、上記第1内壁板及び上記第2内壁板間にスライド可能に設けられ一端側に1つの芳香カプセルを上記ロッドの軸線の方向に直交する方向に通過可能且つ一時的に保持可能な連通凹部を有した移動体を設けて構成し、上記本体の外壁,第1内壁板及び第2内壁板によって移動体をスライド可能に保持する移動体保持部を構成し、該移動体の他端側に上記ロッドのスライダの上面に当接し該ロッドの基準位置から後退位置への移動に同動して該移動体を移動可能にする係止片を設け、
上記本体に上記移動体の係止片をスライド可能に保持するシリンダ状の係止片保持部を設け、上記移動体を、上記係止片を介した該移動体の移動によって上記ロッドの基準位置において上記カプセル収納室の供給口に上記連通凹部を臨ませ且つ上記一時収容室の受入口を閉にして該カプセル収納室の供給口から供給される1つの芳香カプセルを該連通凹部に受け取る受取位置、及び、上記ロッドの後退位置において上記一時収容室の受入口に上記連通凹部を臨ませ且つ上記カプセル収納室の供給口を閉にして上記連通凹部に受け取った芳香カプセルを上記一時収容室の受入口を通して該一時収容室に受け渡す受渡位置の2位置に移動可能にし、
上記第2内壁板の上記ロッド保持部のスライダ側端部を上記係止片が衝止して上記移動体を上記受取位置に位置決めするストッパとして構成し、
上記ロッド保持部内の上記仕切壁とスライダとの間に、上記ロッドが基準位置から進出位置に移動する際に縮小して、該ロッドを基準位置側に付勢する第1コイルスプリングを設け、
上記係止片保持部内の上記係止片と本体との間に、上記移動体が受取位置から受渡位置に移動する際に縮小して、該移動体を受取位置側に付勢する第2コイルスプリングを設けた構成としている。
【0018】
これにより、このタバコ用芳香カプセルの埋込具を使用するときは、例えば、先ず、一時収容室に芳香カプセルがない状態で、タバコのフィルタをフィルタ差込部に差し込み、操作レバーを操作してスライダを介してロッドを進出位置に進出させる。この場合、第1コイルスプリングは縮小して付勢力を持つ。その結果、フィルタ差込部に差し込まれたタバコのフィルタに芳香カプセルが埋め込まれる埋込穴が形成される。そして、操作レバーを離すと、第1コイルスプリングの付勢力により、スライダを介してロッドが基準位置に戻る。この状態においては、移動体は、その係止片がストッパに衝止しているので、移動することがなく、一時収容室の受入口を閉にした受取位置に位置決めされている。そのため、移動体の連通凹部にカプセル収納室の供給口から1つの芳香カプセルを受け取ることができる。
【0019】
次に、連通凹部に芳香カプセルが保持されていることを確認する。連通凹部に芳香カプセルがないときは本体を傾けるなどしてカプセル収納室の供給口から芳香カプセルを連通凹部に入れて保持させる。この状態で、操作レバーを操作してロッドを係止片を介して後退位置に移動させる。これにより、移動体が移動して、カプセル収納室の供給口を閉にして連通凹部が一時収容室の受入口に臨む受渡位置に位置させられる。この場合、第2コイルスプリングは縮小して付勢力を持つ。その結果、連通凹部で受け取った芳香カプセルを一時収容室の受入口を通して一時収容室に受け渡すことができる。そして、操作レバーを離すと、第2コイルスプリングの付勢力により、移動体が受取位置に戻るとともに、移動体の係止片がスライダを押すのでロッドも基準位置に戻る。この状態では、芳香カプセルは一時収容室に一時的に収容され、若しくは、通過孔に入り込むこともある。
【0020】
その後、操作レバーを操作してスライダを介してロッドを進出位置に進出させる。この場合、第1コイルスプリングは縮小して付勢力を持つ。その結果、芳香カプセルがロッドの先端で押されてタバコのフィルタに形成した埋込穴に埋め込まれる。この場合、先にフィルタに芳香カプセルが埋め込まれる埋込穴を形成するので、芳香カプセルの押し込みが円滑に行われる。そして、操作レバーを離すと、第1コイルスプリングの付勢力により、スライダを介してロッドが基準位置に戻る。
【0021】
この一連の動作においては、移動体の受取位置と受渡位置の2位置への移動により1つの芳香カプセルを一時収容室に供給するので、1つの芳香カプセルを確実にタバコのフィルタに埋め込むことができる。また、操作レバーの操作により、ロッドと供給機構とを動作させることができるので、操作性を向上させることができる。更に、操作レバーを元位置に戻すときには、第1コイルスプリングまたは第2コイルスプリングの付勢力により自動的に行うことができるので、それだけ操作性を向上させることができる。尚、再度、移動体を受渡位置に移動させて芳香カプセルを一時収容室に供給し、ロッドで芳香カプセルを上記と同様に押し込むことで、2個以上の芳香カプセルをフィルタ内に順次埋め込むことができる。喫煙者の好みに応じて埋込個数を変えてよいことは勿論である。
【0022】
また、必要に応じ、上記ロッドの基準位置において、上記ロッドの先端と通過孔の開口との間に上記供給機構により供給された芳香カプセルが入り込む間隔を設けた構成としている。これにより、ロッドの基準位置において、ロッドの先端と通過孔の開口との間に間隔がない場合には、一時収容室に入り込む芳香カプセルが、ロッドの側面に当接して引っ掛かってしまう虞があるが、ロッドの先端と通過孔の開口との間に芳香カプセルが入り込む間隔を設けたので、芳香カプセルが引っ掛かってしまう事態を防止することができ、確実に、ロッドの先端で押し込むことができるようにすることができる。
【0023】
更に、必要に応じ、上記カプセル収納室の底部,上記第2内壁板に形成した供給口,上記移動体に形成した連通凹部,上記第2内壁板に形成した受入口を、上記一時収容室の通過孔に向けて傾斜する傾斜面を有して形成した構成としている。芳香カプセルを、カプセル収納室から供給口を介して連通凹部に導いて入りやすくし、また、連通凹部から受入口を介して一時収容室に導いて入りやすくすることができ、芳香カプセルを途中で引っかからないようにして円滑に移動させることができる。
【0024】
更にまた、必要に応じ、上記本体を、ケースと、該ケースに差し込まれて装着される鞘状のカバーとを備えて構成し、上記ケースに、上記カプセル収納室,一時収容室,ロッド保持部,移動体保持部及び係止片保持部をこれらの上記本体の表面側を構成する部位を除いて形成するとともに上記フィルタ差込部を形成し、上記カバーにより上記カプセル収納室,一時収容室,ロッド保持部,移動体保持部及び係止片保持部の上記本体の表面側を構成し、該カバーの少なくとも上記カプセル収納室から一時収容室に芳香カプセルが移動する経路に対応した部位を透明に形成し内部を視認できるようにした構成としている。
【0025】
これにより、本体をケースとカバーとで構成したので、特に、カプセル収納室,一時収容室,ロッド保持部,移動体保持部及び係止片保持部を形成し易くなり、製造を容易にすることができる。また、カバーの少なくともカプセル収納室から一時収容室に芳香カプセルが移動する経路に対応した部位を透明に形成したので、内部の芳香カプセルの動きを視認することができ、動作が確実に行われたか否かの確認を容易に行うことができるとともに、外観品質も向上させることができる。
【0026】
この場合、上記カバーの上記本体の表面側を構成する部位に、上記ロッドのスライダと操作レバーとを連結する連結部を移動可能にする切込みを設けたことが有効である。操作レバーによりある程度切込みを隠すことができ、それだけ、外観品質を向上させることができる。
【0027】
また、必要に応じ、上記フィルタ差込部に差し込まれて保持可能な外径を有するとともに該フィルタ差込部の内径より小さい内径を有し外径の異なるタバコのフィルタが差し込み可能な筒状のアタッチメントを備え、上記本体に、上記アタッチメントを着脱可能に保持するアタッチメント保持部を設けた構成としている。タバコには、直径が8mm程度の汎用型のものと、直径が5.5mm程度の細型のものがあるが、フィルタ差込部の内径を汎用型に合わせ、アタッチメントの内径を細型のものに合わせて作成すれば、アタッチメントの着脱により、外径の異なるタバコのフィルタに対応することができ、汎用性を向上させることができる。フィルタ差込部の内径及びアタッチメントの内径は適宜に定めてよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、操作レバーの簡単な操作により芳香カプセルをタバコのフィルタに埋め込むことができるので、芳香カプセルが入っていない普通のタバコにおいても、芳香カプセルを容易に埋め込むことができ、汎用性の向上を図ることができる。また、芳香カプセルには芳香成分の異なる種々のものがあるので、好みに応じてこの芳香カプセルを選択して用いることができる。そのため、種々の芳香を楽しむことができ、この点でも汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具を示し、(a)は正面断面図、(b)は側面断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具を使用するときの工程を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具を使用するときの別の工程を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具において、アタッチメントを使用するときの状態を示す正面断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具において、カバーの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具について詳細に説明する。
図1乃至
図5には、実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具Sを示している。このタバコ用芳香カプセルの埋込具Sは、主には、吸口にフィルタFを備えたタバコTに用いるもので、芳香剤が封入され手で圧潰可能な略球形の芳香カプセルCをタバコTのフィルタF内に埋め込むためのものである。タバコTのフィルタFは、例えば、アセテートを使用したものが主流になっている。フィルタFの材質はこれに限定されない。また、実施の形態では、直径が8mm程度の汎用型のタバコと、直径が5.5mm程度の細型のタバコに対応できるようにしている。更に、芳香カプセルCは、芳香剤を外皮で封入した周知のものである。詳細は上述した通りである。
【0031】
このタバコ用芳香カプセルの埋込具Sは、手で把持可能な直方型の本体1を備えており、本体1は、型成形される樹脂製のケース2と、ケース2に差し込まれて装着される鞘状の型成形される樹脂製のカバー3とを備えて構成されている。後述もするが、ケース2には、カプセル収納室10,一時収容室20,ロッド保持部42,移動体保持部53及び係止片保持部55がこれらの本体1の表面側を構成する部位を除いて上開放に形成されるとともにフィルタ差込部30が形成され、カバー3によりカプセル収納室10,一時収容室20,ロッド保持部42,移動体保持部53及び係止片保持部55の本体1の表面側が形成されている。これにより、本体1をケース2とカバー3とで構成したので、特に、カプセル収納室10,一時収容室20,ロッド保持部42,移動体保持部53及び係止片保持部55を形成し易くなり、製造を容易にすることができる。
【0032】
また、カバー3の少なくともカプセル収納室10から一時収容室20に芳香カプセルCが移動する経路に対応した部位は、透明に形成されており、内部を視認できるようにしてある。実施の形態では、カバー3は、透明樹脂で形成され、カプセル収納室10,一時収容室20,ロッド保持部42,移動体保持部53及び係止片保持部55の内部が視認できるようにしてある。内部の芳香カプセルCの動きを視認することができ、動作が確実に行われたか否かの確認を容易に行うことができるとともに、外観品質も向上させることができる。
【0033】
詳しくは、本体1の短手方向一方側には、開閉可能な収納開口11から入れられた多数の芳香カプセルCを収納するカプセル収納室10が備えられている。カプセル収納室10は、本体1の外壁と第1内壁板12とで構成されている。収納開口11は、本体1のケース2の長手方向一方端側に設けられている。ケース2の長手方向一方端には、収納開口11を開閉するヒンジ開閉型の蓋13が設けられている。符号14はヒンジピンである。
【0034】
また、本体1の短手方向他方側には、カプセル収納室10の底部側に形成した供給口15から所要時に供給される1つの芳香カプセルCを受入口21を通して受け入れて一時的に収容する一時収容室20と、本体1の長手方向他方端側であって一時収容室20に隔壁22を介して設けられタバコTのフィルタFが差し込まれてこのフィルタFを保持するフィルタ差込部30とが備えられている。隔壁22には、フィルタ差込部30の軸線Pと同軸の軸線を有し一時収容室20内の芳香カプセルCが通過可能な通過孔23が形成されている。フィルタ差込部30の内径は、直径が8mm程度の汎用型のタバコTのフィルタFに対応できるように設定してある。
【0035】
実施の形態では、一時収容室20を構成する少なくとも通過孔23のある表面23aのある隔壁22を含んで分割した分割体24を備えており、本体1のケース2にはこの分割体24が着脱可能に嵌合可能な嵌合凹部25が形成されている。分割体24は、一時収容室20を構成する分割体24の通過孔23のある表面23aは通過孔23に向けてロート状(すり鉢状)に形成されている。本体1に直接ロート状部を形成することは困難であるが、分割体24を別途作成するので、通過孔23のある表面23aをロート状に形成し易くなり、製造を容易にすることができる。
【0036】
更に、本体1の短手方向他方側には、芳香カプセルCの直径と略同じ直径を有し且つフィルタ差込部30の軸線Pと同軸の軸線を有するとともに一時収容室20側に進退動可能に保持され、進出して先端が通過孔23を通過してフィルタF内に挿入されるロッド40と、一時収容室20に仕切壁43を介して設けられるとともにロッド40をこのロッド40の基端に設けたスライダ41を介して進退動可能に保持する筒状のロッド保持部42とが設けられている。仕切壁43には、ロッド40が進退動可能に挿通される挿通孔44が形成されている。一時収容室20及びロッド保持部42は、本体1の外壁と第2内壁板45とで構成されており、第2内壁板45のロッド40のスライダ41側は、解放形成されている。これにより、カプセル収納室10と一時収容室20及びロッド保持部42とは、第1内壁板12と第2内壁板45とを対峙させてロッド40の軸線Pの方向に直交する方向に間隔を隔てて併設される。そして、カプセル収納室10の供給口15は、第1内壁板12に形成され、一時収容室20の受入口21は、供給口15よりもロッド保持部42側に位相をずらせて第2内壁板45に形成されている。
【0037】
また、ロッド40は、フィルタFの端面に先端が所定間隔を隔てて対峙する基準位置Xa(
図4(S1)(S3)、
図5(S5))、基準位置Xaから進出して先端が通過孔23を通過してフィルタF内に挿入される進出位置Xb(
図4(S2)、
図5(S6))、基準位置Xaから後退する後退位置Xc(
図5(S4))の3位置に位置可能になっている。更に、ロッド40の基準位置Xaにおいて、ロッド40の先端と通過孔23の開口との間には、供給された芳香カプセルCが入り込む間隔eが設けられている。
【0038】
更に、本体1には、所要時に動作させられてカプセル収納室10の供給口15から1つの芳香カプセルCを一時収容室20に供給する供給機構50と、本体1の外側に設けられロッド40及び供給機構50に連係してロッド40及び供給機構50を動作させる操作レバー60とが備えられている。操作レバー60はロッド40のスライダ41に連結部61により連係させられている。詳しくは、カバー3の本体1の表面側を構成する部位には、ロッド40のスライダ41と操作レバー60とを連結する連結部61を移動可能にする切込み62が設けられており、操作レバー60は、カバー3の表面を移動可能に設けられている。この場合、操作レバー60によりある程度切込み62を隠すことができ、それだけ、外観品質を向上させることができる。
【0039】
供給機構50は、第1内壁板12及び第2内壁板45間にスライド可能に設けられ一端側に1つの芳香カプセルCをロッド40の軸線Pの方向に直交する方向に通過可能且つ一時的に保持可能な連通凹部52を有した細長板状の移動体51を設けて構成されている。本体1の外壁,第1内壁板12及び第2内壁板45によって移動体51をスライド可能に保持する移動体保持部53が構成されている。移動体51の他端側には、ロッド40のスライダ41の上面に当接しロッド40の基準位置Xaから後退位置Xcへの移動に同動して移動体51を移動可能にする係止片54が設けられている。
【0040】
また、本体1の一方端側には、移動体51の係止片54をスライド可能に保持するシリンダ状の係止片保持部55が設けられている。移動体51は、係止片54を介した移動体51の移動によって、ロッド40の基準位置Xaにおいてカプセル収納室10の供給口15に連通凹部52を臨ませ且つ一時収容室20の受入口21を閉にしてカプセル収納室10の供給口15から供給される1つの芳香カプセルCを連通凹部52に受け取る受取位置Ya(
図4(S1)~(S3)、
図5(S5)(S6))、及び、ロッド40の後退位置Xcにおいて一時収容室20の受入口21に連通凹部52を臨ませ且つカプセル収納室10の供給口15を閉にして連通凹部52に受け取った芳香カプセルCを一時収容室20の受入口21を通して一時収容室20に受け渡す受渡位置Yb(
図5(S4))の2位置に移動可能になっている。また、第2内壁板45のロッド保持部42のスライダ41側端部は、係止片54が衝止して移動体51を受取位置Yaに位置決めするストッパ56として構成されている。
【0041】
更に、ロッド保持部42内の仕切壁43とスライダ41との間には、ロッド40が基準位置Xaから進出位置Xbに移動する際に縮小して、ロッド40を基準位置Xa側に付勢する第1コイルスプリング70が設けられている。更にまた、係止片保持部55内の係止片54と本体1との間には、移動体51が受取位置Yaから受渡位置Ybに移動する際に縮小して、移動体51を受取位置Ya側に付勢する第2コイルスプリング71が設けられている。
【0042】
更にまた、カプセル収納室10の底部,第2内壁板45に形成した供給口15,移動体51に形成した連通凹部52,第2内壁板45に形成した受入口21は、一時収容室20の通過孔23に向けて傾斜する傾斜面を有して形成されている。
【0043】
そしてまた、本タバコ用芳香カプセルの埋込具Sにおいては、フィルタ差込部30に差し込まれて保持可能な外径を有するとともにフィルタ差込部30の内径より小さい内径を有し直径の異なるタバコTのフィルタFが差し込み可能な筒状のアタッチメント80が備えられている。アタッチメント80の内径は、直径が5.5mm程度の細型のタバコTのフィルタFに対応できるように設定してある。本体1のケース2において、カプセル収納室10のある側の他方端側には、アタッチメント80を着脱可能に保持するアタッチメント保持部81が設けられている。アタッチメント保持部81は、アタッチメント80の外周が嵌合する開口を有した凹所で構成されている。
【0044】
従って、実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具Sを使用するときは、予め、蓋13を開閉して、カプセル収納室10に、多数の芳香カプセルCを収納しておく。そして、
図4及び
図5に示す工程図を用い、例えば、先ず、一時収容室20に芳香カプセルCがない状態で、タバコTのフィルタFをフィルタ差込部30に差し込み(S1)、操作レバー60を操作してスライダ41を介してロッド40を進出位置Xbに進出させる(S2)。この場合、第1コイルスプリング70は縮小して付勢力を持つ。その結果、フィルタ差込部30に差し込まれたタバコTのフィルタFに芳香カプセルCが埋め込まれる埋込穴Hが形成される。そして、操作レバー60を離すと、第1コイルスプリング70の付勢力により、スライダ41を介してロッド40が基準位置Xaに戻る(S3)。この状態においては、移動体51は、その係止片54がストッパ56に衝止しているので、移動することがなく、一時収容室20の受入口21を閉にした受取位置Yaに位置決めされている。そのため、移動体51の連通凹部52にカプセル収納室10の供給口15から1つの芳香カプセルCを受け取ることができる。
【0045】
この場合、カプセル収納室10の底部,第2内壁板45に形成した供給口15,移動体51に形成した連通凹部52が、一時収容室20の通過孔23に向けて傾斜する傾斜面を有して形成されているので、芳香カプセルCを、カプセル収納室10から供給口15を介して連通凹部52に導いて入りやすくすることができ、芳香カプセルCを途中で引っかからないようにして円滑に移動させることができる。
【0046】
次に、連通凹部52に芳香カプセルCが保持されていることを確認する。連通凹部52に芳香カプセルCがないときは本体1を傾けるなどしてカプセル収納室10の供給口15から芳香カプセルCを連通凹部52に入れて保持させる。この状態で、操作レバー60を操作してロッド40を係止片54を介して後退位置Xcに移動させる(S4)。これにより、移動体51が移動して、カプセル収納室10の供給口15を閉にして連通凹部52が一時収容室20の受入口21に臨む受渡位置Ybに位置させられる。この場合、第2コイルスプリング71は縮小して付勢力を持つ。その結果、連通凹部52で受け取った芳香カプセルCを一時収容室20の受入口21を通して一時収容室20に受け渡すことができる。そして、操作レバー60を離すと、第2コイルスプリング71の付勢力により、移動体51が受取位置Yaに戻るとともに、移動体51の係止片54がスライダ41を押すのでロッド40も基準位置Xaに戻る(S5)。この状態では、芳香カプセルCは一時収容室20に一時的に収容され、若しくは、通過孔23に入り込むこともある。
【0047】
この場合、移動体51に形成した連通凹部52,第2内壁板45に形成した受入口21が、一時収容室20の通過孔23に向けて傾斜する傾斜面を有して形成されているので、芳香カプセルCを、連通凹部52から受入口21を介して一時収容室20に導いて入りやすくすることができ、芳香カプセルCを途中で引っかからないようにして円滑に移動させることができる。
【0048】
また、この場合、ロッド40の基準位置Xaにおいて、ロッド40の先端と通過孔23の開口との間に間隔eがない場合には、一時収容室20に入り込む芳香カプセルCが、ロッド40の側面に当接して引っ掛かってしまう虞があるが、ロッド40の先端と通過孔23の開口との間に供給機構50により供給された芳香カプセルCが入り込む間隔eが設けられているので、芳香カプセルCが引っ掛かってしまう事態を防止することができる。更に、一時収容室20を構成する通過孔23のある壁部の表面23aを通過孔23に向けてロート状に形成したので、供給機構50により供給された芳香カプセルCを通過孔23の開口に移動し易くすることができる。
【0049】
その後、操作レバー60を操作してスライダ41を介してロッド40を進出位置Xbに進出させる。この場合、第1コイルスプリング70は縮小して付勢力を持つ。その結果、芳香カプセルCがロッド40の先端で押されてタバコTのフィルタFに形成した埋込穴Hに埋め込まれる(S6)。この場合、芳香カプセルCが途中で引っ掛かってしまうことなく、通過孔23のある位置に供給されるので、芳香カプセルCをロッド40の先端で確実に押し込むことができるようになる。また、この場合、先にフィルタFに芳香カプセルCが埋め込まれる埋込穴Hを形成するので、芳香カプセルCの押し込みが円滑に行われる。そして、操作レバー60を離すと、第1コイルスプリング70の付勢力により、スライダ41を介してロッド40が基準位置Xaに戻る。
【0050】
この一連の動作においては、移動体51の受取位置Yaと受渡位置Ybの2位置への移動により1つの芳香カプセルCを一時収容室20に供給するので、1つの芳香カプセルCを確実にタバコTのフィルタFに埋め込むことができる。また、操作レバー60の操作により、ロッド40と供給機構50とを動作させることができるので、操作性を向上させることができる。更に、操作レバー60を元位置に戻すときには、第1コイルスプリング70または第2コイルスプリング71の付勢力により自動的に行うことができるので、それだけ操作性を向上させることができる。
【0051】
更にまた、1つの芳香カプセルCを一時収容室20に供給する供給機構50を設けたので、1つの芳香カプセルCを確実にタバコTのフィルタFに埋め込むことができる。更に、操作レバー60の操作により、ロッド40と供給機構50とを動作させることができるので、操作性を向上させることができる。
【0052】
そして、芳香カプセルCが埋め込まれたタバコTを喫煙するときは、フィルタFを手で押して内部の芳香カプセルCを圧潰し内部の芳香剤をフィルタF内に浸透させる。この状態で、タバコTに火をつけて喫煙すると、吸い込む煙に芳香剤成分が混合し、香味等を享受することができる。このため、操作レバー60の簡単な操作により芳香カプセルCをタバコTのフィルタFに埋め込むことができるので、芳香カプセルCが入っていない普通のタバコTにおいても、芳香カプセルCを容易に埋め込むことができ、汎用性の向上を図ることができる。また、芳香カプセルCには芳香成分の異なる種々のものがあるので、好みに応じてこの芳香カプセルCを選択して用いることができる。そのため、種々の芳香を楽しむことができ、この点でも汎用性を向上させることができる。
【0053】
尚、上記実施の形態において、1つの芳香カプセルCをフィルタF内に埋め込んだ後、再度、移動体51を受渡位置Yaに移動させて芳香カプセルCを一時収容室20に入れ、ロッド40で芳香カプセルCを上記と同様に押し込むことで、2個以上の芳香カプセルCをフィルタF内に埋め込むことができる。喫煙者の好みに応じて埋込個数を変えてよいことは勿論である。また、上記実施の形態において、芳香カプセルCをタバコTのフィルタFに埋め込む際に、一時収容室20に芳香カプセルCがないときに、ロッド40を進出させてフィルタ差込部30に差し込まれたタバコTのフィルタFに芳香カプセルCが埋め込まれる埋込穴Hを形成し、埋込穴Hを形成した後であって一時収容室20に芳香カプセルCがあるときに、再びロッド40を進出させてフィルタFの埋込穴Hに芳香カプセルCを押し込んで埋め込むようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、埋込穴Hを予め形成することなく、一時収容室20に芳香カプセルCを供給し、この状態で、ロッド40を進出させてフィルタF内に芳香カプセルCを押し込んで埋め込むようにしても良く、適宜変更して差支えない。しかしながら、予め埋込穴Hを形成した後に、この埋込穴Hに芳香カプセルCを押し込んで埋め込むようにした方が芳香カプセルCを押し込みやすいので好ましい。
【0054】
図6には、アタッチメント80を用いて使用する場合を示す。この場合、アタッチメント80をアタッチメント保持部81から取り外してフィルタ差込部30に差し込む。これにより、直径の細いタバコTのフィルタFに対応することができる。そのため、汎用性を向上させることができる。
【0055】
図7には実施の形態に係るタバコ用芳香カプセルの埋込具Sにおいて、本体1のカバー3の変形例を示す。このカバー3は、カプセル収納室10から一時収容室20に芳香カプセルCが移動する経路に対応した部位のみを円形状に透明に形成した窓部90を設けたものである。窓部90から内部の芳香カプセルCの動きを視認することができ、動作が確実に行われたか否かの確認を容易に行うことができるとともに、外観品質も向上させることができる。
【0056】
尚、上記実施の形態において、本体1の材質,形状や大きさは上述したものに限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。また、供給機構50の構成も上述したものに限定されるものではなく、適宜に変更して差支えない。本発明は、上述した本発明の実施の形態に限定されず、当業者は、本発明の新規な教示及び効果から実質的に離れることなく、これら例示である実施の形態に多くの変更を加えることが容易であり、これらの多くの変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
S タバコ用芳香カプセルの埋込具
T タバコ
F フィルタ
C 芳香カプセル
1 本体
2 ケース
3 カバー
10 カプセル収納室
11 収納開口
12 第1内壁板
13 蓋
14 ヒンジピン
15 供給口
20 一時収容室
21 受入口
22 隔壁
23 通過孔
23a 表面
24 分割体
25 嵌合凹部
30 フィルタ差込部
P 軸線
40 ロッド
41 スライダ
42 ロッド保持部
43 仕切壁
44 挿通孔
45 第2内壁板
Xa 基準位置
Xb 進出位置
Xc 後退位置
e 間隔
50 供給機構
51 移動体
52 連通凹部
53 移動体保持部
54 係止片
55 係止片保持部
56 ストッパ
60 操作レバー
61 連結部
62 切込み
Ya 受取位置
Yb 受渡位置
70 第1コイルスプリング
72 第2コイルスプリング
80 アタッチメント
81 アタッチメント保持部
H 埋込穴
90 窓部