(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091288
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/86 20060101AFI20230623BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230623BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230623BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230623BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61K8/86
A61Q11/00
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205954
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清▲崎▼ 若菜
(72)【発明者】
【氏名】水津 拓
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC481
4C083AC482
4C083AC862
4C083AD352
4C083CC41
4C083EE01
4C083EE31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低温で放置した場合でも、パラベンが析出せず、かつ優れた防腐効果を奏する口腔用組成物の提供。
【解決手段】(A)プロピレングリコール、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(C)パラオキシ安息香酸エステル、及び(D)グリセリンを含有する口腔用組成物であり、質量比A/Bが5.5以上であり、質量比B/Cが2.8以下であり、かつ前記組成物中、(D)成分の含有量が、6質量%以上である、口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)プロピレングリコール、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(C)パラオキシ安息香酸エステル、及び
(D)グリセリンを含有する口腔用組成物であり、
質量比A/Bが5.5以上であり
質量比B/Cが2.8以下であり、かつ
前記組成物中、(D)成分の含有量が、6質量%以上である、口腔用組成物。
【請求項2】
前記組成物中、(C)成分の含有量が、0.15~0.5質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
質量比A/Bが20以下である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
質量比B/Cが0.3以上である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記パラオキシ安息香酸エステルが、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、及びパラオキシ安息香酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
水の含有量が、70質量%以上である、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
口腔トレーニング用である、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
高齢者のオーラルフレイル予防用である、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔用組成物においては、防腐剤としてパラオキシ安息香酸エステル(パラベンとも称される)が一般的に用いられている(特許文献1、2)。中でも、洗口剤などの液体状の口腔用組成物においては、防腐効果を高めるために、一定以上の防腐剤が配合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-053546号公報
【特許文献2】特開2013-194025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、防腐効果を高めるために、パラベンを一定以上配合した場合、低温で放置するとパラベンが析出することを見出した。
本開示は、低温で放置した場合でも、パラベンが析出せず、かつ優れた防腐効果を奏する口腔用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、(A)プロピレングリコール、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及び(C)パラオキシ安息香酸エステルを特定の比率で併用することによって、低温で放置した場合であっても、パラベンが析出せず、かつ優れた防腐効果を奏する口腔用組成物が得られることを見出し、さらに改良を重ねた。
【0006】
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)プロピレングリコール、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(C)パラオキシ安息香酸エステル、及び
(D)グリセリンを含有する口腔用組成物であり、
質量比A/Bが5.5以上であり
質量比B/Cが2.8以下であり、かつ
前記組成物中、(D)成分の含有量が、6質量%以上である、口腔用組成物。
項2.
前記組成物中、(C)成分の含有量が、0.15~0.5質量%である、項1に記載の組成物。
項3.
質量比A/Bが20以下である、項1又は2に記載の組成物。
項4.
質量比B/Cが0.3以上である、項1~3のいずれかに記載の組成物。
項5.
前記パラオキシ安息香酸エステルが、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、及びパラオキシ安息香酸ブチルからなる群より選択される少なくとも1種である、項1~4のいずれかに記載の組成物。
項6.
水の含有量が、70質量%以上である、項1~5のいずれかに記載の組成物。
項7.
口腔トレーニング用である、項1~6のいずれかに記載の組成物。
項8.
高齢者のオーラルフレイル予防用である、項1~7のいずれかに記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
本開示に包含される口腔用組成物は、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、パラオキシ安息香酸エステル、及びグリセリンを含有する口腔用組成物である。本明細書において、当該口腔用組成物を「本開示の口腔用組成物」と表記することがある。また、本明細書において、プロピレングリコールを「(A)成分」、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を「(B)成分」、パラオキシ安息香酸エステルを「(C)成分」、グリセリンを「(D)成分」と表記することがある。
【0008】
本開示の口腔用組成物中、(A)プロピレングリコールと(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油との含有質量比(A/B)は、5.5以上であることが好ましい。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9、15、15.1、15.2、15.3、15.4、15.5、15.6、15.7、15.8、15.9、16、16.1、16.2、16.3、16.4、16.5、16.6、16.7、16.8、16.9、17、17.1、17.2、17.3、17.4、17.5、18、18.5、19、19.5、又は20程度とすることができる。より具体的には、例えば、5.6~20程度であってもよい。
【0009】
本開示の口腔用組成物中、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と(C)パラオキシ安息香酸エステルとの含有質量比(B/C)は、2.8以下であることが好ましい。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、又は2.7程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.3~2.7程度であってもよい。
【0010】
本開示の口腔用組成物中、プロピレングリコールの含有量は、例えば、0.5~10質量%程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、1~9質量%程度であってもよい。
【0011】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、POE(n1)硬化ヒマシ油(ここでn1はエチレンオキサイドの平均付加モル数を表しており、5~150程度が好ましく、15~130程度がより好ましく、20~120程度がさらに好ましい)が好ましい。なお、これはPEG-n1水添ヒマシ油と記載することもできる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
本開示の口腔用組成物中、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量は、例えば、0.05~2質量%程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、又は1.9質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.15~1.9質量%程度であってもよい。
【0013】
パラオキシ安息香酸エステルとしては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が挙げられる。中でも、パラオキシ安息香酸メチルが好ましい。パラオキシ安息香酸エステルは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
本開示の口腔用組成物中、パラオキシ安息香酸エステルの含有量は、例えば、0.15~0.5質量%程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.3、0.35、0.4、又は0.45質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.16~0.45質量%程度であってもよい。
【0015】
本開示の口腔用組成物中、グリセリンの含有量は、例えば6質量%以上であることが好ましい。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、又は50質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、6~50質量%程度であってもよく、6~30質量%程度であってもよい。
【0016】
本開示の口腔用組成物が、ジェランガムを含有する場合、本開示の口腔用組成物中、ジェランガムの含有量は、例えば、0.075質量%以上とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.3、0.35、0.4、又は0.5質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.08~0.4質量%程度であってもよい。
【0017】
本開示の口腔用組成物が、ローストビーンガムを含有する場合、本開示の口腔用組成物中、ローカストビーンガムの含有量は、例えば、0.05~0.5質量%程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.25、0.3、0.35、又は0.4質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.06~0.25質量%程度であってもよい。
【0018】
本開示の口腔用組成物が、キサンタンガムを含有する場合、本開示の口腔用組成物中、キサンタンガムの含有量は、例えば、0.05~0.5質量%程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.25、0.3、0.35、又は0.4質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.06~0.25質量%程度であってもよい。
【0019】
本開示の口腔用組成物が、ローストビーンガム及びキサンタンガムを含有する場合、本開示の口腔用組成物中、ローストビーンガムとキサンタンガムとの含有質量比は、例えば、ローストビーンガム1質量部に対して、キサンタンガム0.2~6質量部程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、又は5程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.3~5質量部程度であってもよい。
【0020】
本開示の口腔用組成物中、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量は、例えば、0.225質量%以上とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、又は0.6質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.23~0.6質量%程度であってもよい。
【0021】
本開示の口腔用組成物中、ジェランガム、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量は、例えば、0.3~1.5質量%程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、又は1.4質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.31~0.9質量%程度であってもよい。
【0022】
本開示の口腔用組成物中、ジェランガムとローストビーンガム及び/又はキサンタンガムとの含有質量比は、例えば、ジェランガム1質量部に対して、ローストビーンガム及び/又はキサンタンガムの総量が0.6~8質量部程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、4、5、6、又は7質量部程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.7~7質量部程度であってもよい。
【0023】
本開示の口腔用組成物中、水の含有量は、例えば、50質量%以上であることが好ましい。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、55、60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、又は95質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、71~95質量%程度であってもよい。
【0024】
本開示の口腔用組成物は、上述した成分の他、口腔用組成物に含有させることができる公知の成分を含んでいてもよい。公知の成分としては、例えば、水溶性多価金属塩、湿潤剤、分散剤、界面活性剤、有効成分、香味剤、清掃助剤等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
水溶性多価金属塩としては、例えば、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム等の有機酸の水溶性多価金属塩;塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の無機酸の水溶性多価金属塩等が挙げられる。中でも有機酸の水溶性多価金属塩が好ましく、特に乳酸カルシウムが好ましい。
本開示の口腔用組成物中、水溶性多価金属塩の含有量は、例えば、0.01~2質量%程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、1、又は1.5質量%程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.03~1.5質量%程度であってもよい。
本開示の口腔用組成物中、ジェランガムと水溶性多価金属塩との含有質量比は、例えば、ジェランガム1質量部に対して、水溶性多価金属塩0.3~6質量部程度とすることができる。当該数値範囲の上限若しくは下限は、例えば、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、又は5程度とすることができる。より具体的には、例えば、0.4~5質量部程度が好ましく、0.5~1.5質量部がより好ましく、1.2質量部が特に好ましい。
【0026】
湿潤剤としては、例えば、エタノール、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、パラチノース、パラチニット等が挙げられる。
【0027】
分散剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成水溶性高分子等が挙げられる。
【0028】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、N-ラウロイルザルコシネート、ラウロイルメチルタウリン、アシルアミノ酸塩等のアニオン性界面活性剤;ショ糖脂肪酸エステル、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0029】
有効成分としては、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ素化合物;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、プロテアーゼ、リゾチーム等の酵素;トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン酸類、ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、グリセロリン酸、クロロフィル、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;酢酸-dl-α-トコフェロール、酢酸ピリドキシン、アスコルビン酸またはその塩などのビタミン類;タイム、オウゴン等の植物抽出物等が挙げられる。
【0030】
香味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、グリチルリチンおよびその塩類、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ウインターグリーン、サリチル酸メチル、シオネール、チモール、丁字油、ユーカリ油、ローズマリー油、セージ油、レモン油、オレンジ油、オシメン油、シトロネロール、メチルオイゲノール等が挙げられる。
【0031】
清掃助剤としては、例えば、沈降性シリカ、ジルコノシリケート、アルミノシリケート、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0032】
本開示の口腔用組成物は、上述した成分を組み合わせて常法により調製することができる。
【0033】
本開示の口腔用組成物は、pHが、4.5~7.5程度が好ましく、さらに好ましくは5.5~7程度である。
【0034】
本開示の口腔用組成物の形状は、例えば、溶液状、懸濁液状、ゲル状等であることが好ましい。中でも、ゲル状であることが好ましい。なお、本明細書において、「ゲル状」とは、水分を多く含む半固体状を意味する。
【0035】
本開示の口腔用組成物は、例えば、口腔内を循環させる、歯と歯のすきまを行き来させる、クチュクチュする等の後、口腔内から吐き出すようにして用いられることが好ましい。例えば、口腔内を循環させる、歯と歯のすきまを行き来させる、クチュクチュする等により、口腔用組成物の粘度が低くなった後に、口腔内から吐き出すようにして用いられることが好ましい。このため、本開示の口腔用組成物は、例えば、洗口剤等として、好適に用いられる。
【0036】
本開示の口腔用組成物を用いて洗口(口腔内を洗浄)する際には、口腔内外の筋肉が用いられ、これにより口腔内外の筋肉が刺激され、筋力の向上または維持に役立つと考えられる。このため、本開示の口腔用組成物は、例えば、口腔トレーニング用、口腔周囲筋トレーニング用、口腔周囲筋強化用、口唇閉鎖力強化用等として、好適に用いることができる。また、本開示の口腔用組成物は、例えば、高齢者のオーラルフレイル予防用として、好適に用いることができる。
高齢者としては、例えば、60歳以上のヒト等が挙げられる。なお、「オーラルフレイル」とは、口に関するささいな衰えを放置したり、適切な対応を行わないままにしたりすることで、口の機能低下、食べる機能の障がい、さらには心身の機能の低下まで繋がる負の連鎖が生じてしまうことに対して警鐘を鳴らした概念であり、本明細書においては、「口の健康リテラシーの低下、口のささいなトラブル、口の機能低下、又は食べる機能の障がい」を意味する(歯科診療所におけるオーラルフレイル対応マニュアル2019年版)。より具体的には、口の健康リテラシーの低下としては、例えば、不十分な口腔健康への関心等が挙げられる。口のささいなトラブルとしては、例えば、滑舌低下、食べこぼし、噛めない食品の増加、むせ等が挙げられる。口の機能低下としては、例えば、口腔不潔又は乾燥、咬合力低下、口唇又は舌の機能低下、咀嚼機能又は嚥下機能低下等が挙げられる。食べる機能の障がいとしては、例えば、咀嚼障害、摂食嚥下障害等が挙げられる。このため、本開示の口腔用組成物は、例えば、老化による滑舌低下予防用、老化による食べこぼし予防用、老化によるむせ予防用、老化による口腔不潔又は乾燥予防用、老化による咬合力低下予防用、老化による口唇又は舌の機能低下予防用、老化による咀嚼機能又は嚥下機能低下予防用、老化による咀嚼障害予防用、老化による摂食嚥下障害予防用等として好適に用いられる。また、本開示の口腔用組成物の高齢者としては、例えば、老化により滑舌が低下している高齢者、老化による食べこぼしのある高齢者、老化によるむせのある高齢者、老化による口腔不潔又は乾燥のある高齢者、老化により咬合力が低下している高齢者、老化により口唇又は舌の機能が低下している高齢者、老化により咀嚼機能又は嚥下機能が低下している高齢者等が挙げられる。
【0037】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件の任意の組み合わせを全て包含する。
【0038】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0039】
本開示の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明する。しかし、本開示はこれらに何ら限定されるものではない。下記において、特に言及する場合を除いて、実験は大気圧及び常温条件下で行っている。また特に言及する場合を除いて、「%」は「質量%」を意味する。また、各表に記載される各成分の配合量値も特に断らない限り「質量%」を示す。
【0040】
[組成物の調製]
下記の表1及び2に示す処方に従って、ゲル状マウスウォッシュ組成物を調製した。より詳細には、粘結剤に加水し、分散攪拌しながら約80℃に加温し溶解させた。これにその他の成分を入れ、均一になるまで攪拌した後、冷却固化させて組成物を得た。
【0041】
[防腐効力試験]
50ml試料ビンにゲル状マウスウォッシュ組成物29.7gをとり、菌懸濁液を検体中の菌濃度が約1.0×105~106CFU/gとなるように加えて、よく混和後、25℃の恒温器中に保管し、菌接種28日後の菌数を段階希釈および混釈平板法にて測定した。
接種した菌:Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa, Staphylococcus aureus
評価
○:菌接種28日後の残存菌数が10CFU/ml未満
×:菌接種28日後の残存菌数が10CFU/ml以上
【0042】
[パラベン析出]
70mlの試料ビンにゲル状マウスウォッシュ組成物を充填し、-5℃で1か月保管した。1か月にビンの中に発生しているパラベンの析出の有無を目視で確認した。
【0043】
【0044】