(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091294
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/12 20060101AFI20230623BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20230623BHJP
F15B 15/10 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B25J15/12
B25J15/00 Z
F15B15/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205964
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】糸井 大太
【テーマコード(参考)】
3C707
3H081
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS01
3C707ES03
3C707ES10
3C707EU14
3C707EU19
3C707EV04
3C707EW01
3C707HS13
3C707HS14
3C707HT38
3C707MT10
3C707NS06
3H081AA18
3H081BB01
3H081CC23
3H081CC25
3H081DD07
3H081DD26
3H081EE27
3H081EE28
(57)【要約】
【課題】収縮時に湾曲(カール)する流体圧アクチュエータを用いつつ、対象物をより確実に把持できる把持装置を提供する。
【解決手段】把持装置1の流体圧アクチュエータ10は、柔軟性を有するソフトアクチュエータである。流体圧アクチュエータ10は、流体圧アクチュエータ10の基端部側において、少なくとも他の何れかの流体圧アクチュエータ10と交差するようにオフセットして設けられる。流体圧アクチュエータ10の先端部は、流体圧アクチュエータ10それぞれが収縮すると、基端部側において交差する他の流体圧アクチュエータ10の先端部に接近する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収縮時に湾曲する流体圧アクチュエータを複数用いた把持装置であって、
前記流体圧アクチュエータは、柔軟性を有するソフトアクチュエータであり、
前記流体圧アクチュエータは、前記流体圧アクチュエータの基端部側において、少なくとも他の何れかの前記流体圧アクチュエータと交差するようにオフセットして設けられ、
前記流体圧アクチュエータの先端部は、前記流体圧アクチュエータそれぞれが収縮すると、前記基端部側において交差する他の前記流体圧アクチュエータの先端部に接近する把持装置。
【請求項2】
前記流体圧アクチュエータは、
流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状のチューブと、
所定方向に配向された繊維コードを編み込んだ伸縮性を有する構造体であり、前記チューブの外周面を覆うスリーブと
を含む請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
複数の前記流体圧アクチュエータの先端部に跨がって設けられ、前記流体圧アクチュエータの軸方向に延びる爪部を備える請求項1または2に記載の把持装置。
【請求項4】
複数の前記流体圧アクチュエータは、第1方向に沿って設けられる前記流体圧アクチュエータと、前記第1方向と交差する第2方向に沿って設けられる前記流体圧アクチュエータとのペアを構成し、
前記把持装置は、少なくとも2ペアの前記流体圧アクチュエータを含む請求項1乃至3の何れか一項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記流体圧アクチュエータは、前記スリーブの内側において、前記チューブの軸方向における一端側から他端側に亘って設けられる拘束部材を備える請求項2に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収縮時に湾曲(カール)する流体圧アクチュエータを用いた把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気体または液体を用いてチューブを膨張及び収縮させる流体圧アクチュエータとして、空気圧によって膨張、収縮するゴム製のチューブと、チューブの外周面を覆うスリーブとを有する構造(いわゆるマッキベン型)が広く用いられている。
【0003】
このようなマッキベン型の流体圧アクチュエータには、収縮時に湾曲(カール)する構造も知られている(特許文献1参照)。具体的には、特許文献1には、このような流体圧アクチュエータを複数用いることによって、対象物(ワークを呼ばれてもよい)を把持する把持装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような流体圧アクチュエータを用いた把持装置には、次のような問題がある。具体的には、対象物の大きさ、形状或いは性質などによっては、カールした流体圧アクチュエータによって上手く把持できない場合がある。
【0006】
そこで、以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、収縮時に湾曲(カール)する流体圧アクチュエータを用いつつ、対象物をより確実に把持できる把持装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、収縮時に湾曲する流体圧アクチュエータ(流体圧アクチュエータ10)を複数用いた把持装置(例えば、把持装置1)であって、前記流体圧アクチュエータは、柔軟性を有するソフトアクチュエータであり、前記流体圧アクチュエータは、前記流体圧アクチュエータの基端部(基端部200)側において、少なくとも他の何れかの前記流体圧アクチュエータと交差するようにオフセットして設けられ、前記流体圧アクチュエータの先端部(先端部300)は、前記流体圧アクチュエータそれぞれが収縮すると、前記基端部側において交差する他の前記流体圧アクチュエータの先端部に接近する。
【発明の効果】
【0008】
上述した流体圧アクチュエータによれば、収縮時に湾曲(カール)する流体圧アクチュエータを用いつつ、対象物をより確実に把持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)及び(b)は、本実施形態に係る把持装置1の斜視図である。
【
図2】
図2(a)~(d)は、把持装置1の側面図及び底面図である。
【
図3】
図3は、流体圧アクチュエータ10の側面図である。
【
図4】
図4は、アクチュエータ本体部100の径方向D
Rに沿った断面図である。
【
図5】
図5は、流体圧アクチュエータ10の挙動の説明図である。
【
図6】
図6(a)及び(b)は、変更例に係る把持装置1Aの斜視図である。
【
図7】
図7(a)~(d)は、把持装置1Aの側面図及び底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0011】
(1)把持装置の全体概略構成
図1(a)及び(b)は、本実施形態に係る把持装置1の斜視図である。具体的には、
図1(a)は、流体圧アクチュエータ10の非収縮時における把持装置1の斜視図である。
図1(b)は、流体圧アクチュエータ10の収縮時における把持装置1の斜視図である。
【0012】
図2(a)~(d)は、把持装置1の側面図及び底面図である。具体的には、
図2(a)、(b)は、把持装置1の側面図及び底面図(流体圧アクチュエータ10の非収縮時)をそれぞれ示す。
図2(c)及び(d)は、把持装置1の側面図及び底面図(流体圧アクチュエータ10の収縮時)をそれぞれ示す。
【0013】
把持装置1は、収縮時に湾曲(カール)する流体圧アクチュエータ10(湾曲可能で柔軟性を有するソフトアクチュエータ)を複数用いる。把持装置1は、複数の流体圧アクチュエータ10を用いて対象物(ワークを呼ばれてもよい)を把持することができる。把持装置1は、ロボット用ハンドなどとして用いられてもよい。
【0014】
把持装置1は、把持ユニット15及び取付台座20を備える。把持ユニット15は、流体圧アクチュエータ10と爪部50とによって構成される。把持装置1は、ロボット用ハンドとして機能するため、支柱部によって移動可能に支持されてよい(
図2(a)及び(c)参照)。
【0015】
流体圧アクチュエータ10は、取付台座20に取り付けられる。具体的には、流体圧アクチュエータ10の基端部200(
図1,2において不図示、
図3参照)が取付台座20に取付られる。
【0016】
取付台座20には、流体圧アクチュエータ10が少なくとも他の何れかの流体圧アクチュエータ10と対向するように取り付けられる。
【0017】
具体的には、流体圧アクチュエータは、流体圧アクチュエータの基端部200側において、少なくとも他の何れかの流体圧アクチュエータと交差するようにオフセットして設けられる。より具体的には、流体圧アクチュエータは、他の流体圧アクチュエータと干渉しないように、把持装置1の底面視において、流体圧アクチュエータ10の軸方向D
AX(
図3参照)に直交する方向において互いにオフセットして設けられる。
【0018】
流体圧アクチュエータの先端部300(
図3参照)は、流体圧アクチュエータそれぞれが収縮すると、基端部200側において交差する他の流体圧アクチュエータの先端部300に接近する。つまり、流体圧アクチュエータが湾曲すると、交差する他の流体圧アクチュエータの先端部300間の距離が狭くなり、対象物を把持できる。
【0019】
複数の流体圧アクチュエータは、方向D11(第1方向)に沿って設けられる流体圧アクチュエータ10と、方向D11と交差する方向D12(第2方向)に沿って設けられる流体圧アクチュエータ10とのペアを構成してよい。
【0020】
把持装置1は、2ペアの流体圧アクチュエータ(合計4本の流体圧アクチュエータ)によって構成される。なお、把持装置は、少なくとも2ペアの流体圧アクチュエータを含むことが好ましい。
【0021】
流体圧アクチュエータ10の先端部300には、爪部50が設けられる。爪部50は、複数の流体圧アクチュエータ10の先端部300に跨がって設けられ、流体圧アクチュエータ10の軸方向DAXに延びる。
【0022】
本実施形態では、爪部50は、流体圧アクチュエータ10を動作(収縮及び膨張)させることによってすくい取った対象物を保持できるように凹状の部分を有する。爪部50を含む把持ユニット15は、スコップ、カップ、バケットなど別の同種の用語で呼ばれてもよい。
【0023】
(2)流体圧アクチュエータの概略構成
図3は、本実施形態に係る流体圧アクチュエータ10の側面図である。
図4は、アクチュエータ本体部100の径方向D
Rに沿った断面図である。
【0024】
流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100、基端部200及び先端部300を有する。
【0025】
アクチュエータ本体部100は、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。アクチュエータ本体部100には、接続口211aを介して流体が流入する。
【0026】
アクチュエータ本体部100は、基本的な特性として、チューブ110内への流体の流入によって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおいて収縮し、径方向DRにおいて膨張する。また、アクチュエータ本体部100は、チューブ110から流体の流出によって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおいて膨張し、径方向DRにおいて収縮する。このようなアクチュエータ本体部100の形状変化によって、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータとしての機能を発揮する。
【0027】
本実施形態では、このような基本的な特性を有するマッキベン型の流体圧アクチュエータを用いつつ、軸方向D
AXの圧縮を拘束する(規制または制限すると呼んでもよい、以下同)拘束部材150(
図3において不図示、
図4,5など参照)を設けることによって、軸方向D
AXに直交する直交方向、つまり、径方向D
Rに湾曲(カール)することができる。
【0028】
流体圧アクチュエータ10の駆動に用いられる流体は、空気などの気体、または水、鉱物油などの液体のどちらでもよいが、特に、流体圧アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100に高い圧力が掛かる油圧駆動にも耐え得る高い耐久性を有し得る。
【0029】
接続口211aは、流体圧アクチュエータ10の駆動圧力源、具体的には、気体や液体のコンプレッサと接続されたホース(管路)を取り付けられる。接続口211aを介して流入した流体は、通過孔(不図示)を通過してアクチュエータ本体部100の内部、具体的には、チューブ110の内部に流入する。
【0030】
チューブ110は、流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状の筒状体である。チューブ110は、流体による収縮及び膨張を繰り返すため、ブチルゴムなど弾性材料によって構成される。また、流体圧アクチュエータ10を油圧駆動とする場合には、耐油性が高いNBR(ニトリルゴム)、またはクロロプレンゴム、及びエピクロロヒドリンゴムからなる群より選択される少なくとも一種とすることが好ましい。
【0031】
スリーブ120は、円筒状であり、チューブ110の外周面を覆う。スリーブ120は、所定方向に配向された繊維コードを編み込んだ伸縮性を有する構造体であり、配向されたコードが交差することによって菱形の形状が繰り返されている。スリーブ120は、このような形状を有することによって、パンタグラフ変形し、チューブ110の収縮及び膨張を規制しつつ追従する。
【0032】
スリーブ120を構成するコードとしては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)やポリエチレンテレフタラート(PET)の繊維コードを用いることが好ましい。但し、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、PBO繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)などの高強度繊維のコードでもよい。
【0033】
また、本実施形態では、チューブ110とスリーブ120との間には、拘束部材150が設けられる。
【0034】
拘束部材150、軸方向DAXには圧縮せず、径方向DR(撓み方向と呼んでもよい)に沿ってのみ変形可能である。つまり、拘束部材150は、軸方向DAXに沿った圧縮に対して抵抗し、軸方向DAXに直交する直交方向(径方向DR)に変形可能である。
【0035】
換言すると、拘束部材150は、軸方向DAXに沿って変形し難く、径方向DRに沿って撓める特性を有している。なお、変形可能とは、湾曲、或いはカール可能と言い換えてもよい。
【0036】
また、拘束部材150は、拘束部材150が設けられているチューブ110の外周上の位置において、径方向DR外側へのチューブ110(及びスリーブ120)の膨張を拘束(規制)する機能も有している。
【0037】
本実施形態では、拘束部材150は、スリーブ120の内側、具体的には、スリーブ120の径方向内側の空間において、軸方向DAXの一端側から他端側に亘って設けられる。また、本実施形態では、拘束部材150は、板バネ(leaf spring)を用いて形成される。
【0038】
板バネの寸法は、流体圧アクチュエータ10のサイズ、及び必要とされる発生力などに応じて選択されればよく、特に限定されない。また、板バネの材料についても特に限定されないが、典型的には、ステンレス鋼などの金属など、曲げ易く、圧縮に強い材料であればよい。例えば、拘束部材150は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の薄板などによって形成されてもよい。CFRPは、金属に比べて塑性変形をし難いため、流体圧アクチュエータ10が湾曲後、元の真っ直ぐな状態に戻りやすい。
【0039】
基端部200は、取付台座20側に位置する。基端部200には、上述した接続口211aが形成される。基端部200には、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおける一方の端部を封止する機構を備えられてよい。
【0040】
先端部300は、爪部50側に位置する。先端部300には、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおける他方の端部を封止する機構を備えられてよい。
【0041】
なお、基端部200及び先端部300に備えられるアクチュエータ本体部100の封止機構は、例えば、特開2021-088999号公報に開示されている流体圧アクチュエータと同様としてよい。
【0042】
(3)流体圧アクチュエータ10の挙動
図5は、流体圧アクチュエータ10の挙動の説明図である。
図5に示されている流体圧アクチュエータ10は、基端部200側が固定されており、先端部300側は自由に移動できる状態である。つまり、基端部200側が固定端であり、先端部300側が自由端である。
【0043】
上述したように、流体圧アクチュエータ10の内部に流体が流入すると、軸方向DAXに収縮しようとするが、拘束部材150が設けられているため、軸方向DAXに沿った収縮が拘束(規制)される。
【0044】
つまり、板バネなどの硬質な部材によって形成された拘束部材150が、背骨のような役割を果たし、拘束部材150が設けられているチューブ110及びスリーブ120の外周上の位置と反対側(
図5における下側)において、径方向D
R外側に膨張することによって、軸方向D
AXにおける流体圧アクチュエータ10の寸法が短くなり、方向D1に沿って流体圧アクチュエータ10(具体的には、アクチュエータ本体部100)が撓む。なお、方向D1は、可撓方向と呼んでもよい。また、流体圧アクチュエータ10が方向D1に撓むことを認識し易くするため、拘束部材150が設けられている位置を示すマークM(
図3参照)が設けられていてもよい。
【0045】
拘束部材150は、ゴム製のチューブ110と、スリーブ120との間に設けられ、軸方向DAXにおける圧縮に対して抵抗し、に直交する直交方向(径方向DR)に沿って変形できる部材であり、アクチュエータ本体部100の周方向における一部に配置される。
【0046】
つまり、アクチュエータ本体部100への流体の流入(加圧)によって、アクチュエータ本体部100(マッキベン)が軸方向DAXに沿って収縮しようとすると、拘束部材150の部分は圧縮剛性が高いため、拘束部材150が配置された部分は収縮することができない。一方、その他のアクチュエータ本体部100の部分は収縮しようとするため、直交方向(径方向DR)に沿った曲げ方向の力が発生し、拘束部材150を背面として湾曲する。
【0047】
(4)変更例
次に、把持装置1の変更例について説明する。
図6(a)及び(b)は、変更例に係る把持装置1Aの斜視図である。具体的には、
図6(a)は、流体圧アクチュエータ10の非収縮時における把持装置1Aの斜視図である。
図6(b)は、流体圧アクチュエータ10の収縮時における把持装置1Aの斜視図である。
【0048】
図7(a)~(d)は、把持装置1Aの側面図及び底面図である。具体的には、
図7(a)、(b)は、把持装置1Aの側面図及び底面図(流体圧アクチュエータ10の非収縮時)をそれぞれ示す。
図7(c)及び(d)は、把持装置1Aの側面図及び底面図(流体圧アクチュエータ10の収縮時)をそれぞれ示す。
【0049】
把持装置1Aは、把持ユニット15及び把持ユニット15Aを備える。把持ユニット15は、把持装置1と同様に2本の流体圧アクチュエータ10と爪部50とによって構成される(厳密には、把持装置1の把持ユニット15とは、サイズまたは流体圧アクチュエータ10の接続位置の少なくとも何れかが異なってもよい)。
【0050】
一方、把持ユニット15Aは、3本の流体圧アクチュエータ10と爪部50とによって構成される。
【0051】
(5)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、上述した変更例を含む把持装置1(及び把持装置1A)によれば、流体圧アクチュエータ10は、基端部200側において、少なくとも他の何れかの流体圧アクチュエータ10と交差するようにオフセットして設けられる。また、流体圧アクチュエータ10の先端部300は、流体圧アクチュエータ10それぞれが収縮すると、基端部200側において交差する他の流体圧アクチュエータの先端部300に接近する。また、流体圧アクチュエータ10の先端部300には、爪部50が設けられる。
【0052】
このため、把持ユニット15は、より広範囲において対象物を把持することができる。これにより、対象物の大きさ、形状或いは性質などに関わらず、対象物をより確実に把持できる。特に、把持して持ち上げると形状が変わるような対象物(例えば、米袋)でも、より確実に把持できる。
【0053】
また、把持装置1(及び把持装置1A)では、方向D11に沿って設けられる流体圧アクチュエータ10と、方向D11と交差する方向D12に沿って設けられる流体圧アクチュエータ10とのペアが構成され、少なくとも2ペアの流体圧アクチュエータ10を含んでよい。このため、さらに広範囲において対象物を確実に把持することできる。
【0054】
さらに、把持装置1Aでは、2ペアの流体圧アクチュエータ10に、さらに1本の流体圧アクチュエータ10が追加(把持ユニット15A)される。このため、爪部50を介して対象物を把持した場合でも把持方向における捻れが生じ難く、対象物をより確実に把持することできる。
【0055】
(6)その他の実施形態
以上、実施形態について説明したが、当該実施形態の記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0056】
例えば、把持装置1及び把持装置1Aでは、少なくとも2ペアの流体圧アクチュエータ10が備えられていたが、把持装置は、1ペアの流体圧アクチュエータ10によって構成されてもよい。また、複数の流体圧アクチュエータ10の先端部300に跨がって設けられる爪部50は、必ずしも必須ではない。
【0057】
上述した実施形態では、拘束部材150を用いて流体圧アクチュエータの可撓性が確保されていたが、流体圧アクチュエータは、別の構造によって可撓性が確保されてもよい。例えば、流体圧アクチュエータの周囲に一部をベローズ状にした可撓性の枠材を設けることによって、流体圧アクチュエータが収縮すると、ベローズ部分を内側にして流体圧アクチュエータが湾曲するようにしてもよい。
【0058】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0059】
1, 1A 把持装置
10 流体圧アクチュエータ
15, 15A 把持ユニット
20 取付台座
50 爪部
100 アクチュエータ本体部
110 チューブ
120 スリーブ
150 拘束部材
200 基端部
211a 接続口
300 先端部