(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091306
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】仕切弁
(51)【国際特許分類】
F16K 3/314 20060101AFI20230623BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20230623BHJP
F16K 35/04 20060101ALN20230623BHJP
【FI】
F16K3/314 Z
F16K37/00 B
F16K35/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021205980
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】大島 拓也
【テーマコード(参考)】
3H053
3H064
3H065
【Fターム(参考)】
3H053AA32
3H053BD01
3H064AA03
3H064BA01
3H064CA04
3H064DA02
3H065AA03
3H065BA01
3H065BA05
3H065BB01
(57)【要約】
【課題】操作者が弁棒の回転数を把握することが容易な仕切弁を提供すること。
【解決手段】仕切弁1は、ねじ機構4を介して弁体3が取り付けられた弁棒2と、弁棒2を支持するハウジング10と、を有する。また、仕切弁1は、ハウジング10に保持されたボールプランジャ11、12を有する。弁棒2の外周面には、ボールプランジャ11、12のボール11a、12aが係止可能な係止凹部37(1)~37(4)が設けられている。仕切弁1の操作者は、ボールプランジャ11、12が係止凹部37(1)~37(4)に係止する毎に、係止によるクリック感を得ることができる。よって、操作者は、クリック感を得た回数により、弁棒2を回転させた回転数を把握できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁棒と、ねじ機構を介して前記弁棒に取り付けられ当該弁棒の軸線に沿って移動可能な弁体と、前記弁体が収容される弁室、前記弁室を経由する流路、前記弁室の外側で前記弁棒を径方向外側から回転可能に支持する環状の支持部、および前記弁体が前記弁棒と共回りすることを規制する回転規制部を有するハウジングと、を有し、前記弁棒の回転により前記弁体が前記流路を開状態とする開位置と、前記流路を閉状態とする閉位置との間を移動する仕切弁において、
ボールプランジャを有し、
前記支持部は、ボールを前記支持部の中心穴に突出させる姿勢で前記ボールプランジャを保持する保持部を備え、
前記弁棒は、前記支持部の内周側に位置する被支持部分の外周面に、前記ボールが係止可能な係止凹部を備えることを特徴とする仕切弁。
【請求項2】
前記ボールプランジャとして、第1ボールプランジャと、第2ボールプランジャと、を有し、
前記支持部は、前記保持部として、前記第1ボールプランジャを保持する第1保持部と、前記第2ボールプランジャを保持する第2保持部と、を備え、
前記弁棒は、複数の前記係止凹部を備え、
前記第1ボールプランジャおよび前記第2ボールプランジャは、複数の前記係止凹部のうちの2つに同時に係止することを特徴とする請求項1に記載の仕切弁。
【請求項3】
前記第1ボールプランジャと、前記第2ボールプランジャとは、前記弁棒を挟んで対向し、
前記弁棒は、前記係止凹部として、前記弁棒の軸線回りで180°の角度間隔で設けられた第1係止凹部および第2係止凹部を備えることを特徴とする請求項2に記載の仕切弁。
【請求項4】
前記弁棒は、前記係止凹部として、第3係止凹部および第4係止凹部を備え、
前記第1係止凹部、前記第3係止凹部、前記第2係止凹部、および第4係止凹部は、等角度間隔で、周方向にこの順に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の仕切弁。
【請求項5】
前記保持部は、前記支持部を径方向に貫通して前記中心穴に連通する貫通孔であり、
前記貫通孔の内周面には、雌ねじが設けられ、
前記ボールプランジャは、前記雌ねじに螺合をする雄ねじを備え、前記貫通孔に径方向外側から捩じ込まれていることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の仕切弁。
【請求項6】
前記弁棒と前記支持部との間を封止するOリングを有し、
前記弁棒は、前記弁室に突出する突出部分、前記被支持部分、および前記ハウジングから外に露出する露出部分を、前記軸線に沿ってこの順に備え、
前記支持部は、前記被支持部分における前記係止凹部よりも前記突出部分の側に径方向外側から対向する環状内周面を備え、
前記Oリングは、前記環状内周面に設けられた環状溝に保持されることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の仕切弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁棒の回転により弁体を移動させて止水を行う仕切弁に関する。
【背景技術】
【0002】
このような仕切弁は、特許文献1に記載されている。同文献の仕切弁は、弁体と、弁棒と、を有する。弁体は、ねじ機構を介して、弁棒に取り付けられている。ねじ機構は、弁棒に設けられた雄ねじと、弁体に設けられた雌ねじと、を備える。また、仕切弁は、弁体が収容される弁室、弁室を経由する流路、弁室の外側で弁棒を回転可能に支持する支持部、および弁体が弁棒と共回りすることを阻止するガイドを備えるハウジングを有する。ガイドは弁室内に設けられている。弁棒を回転させると、弁体は、流路を開状態とする開位置と、流路を閉状態とする閉位置との間を、弁棒の軸線に沿って移動する。開位置では、弁体は、弁室の底から離間する。閉位置では、弁体は、弁室の底に当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仕切弁では、弁室内の弁体の位置を外部から把握することができない。従って、開位置にある弁体を閉位置に移動させて流路を閉鎖する際に、操作者が弁棒を過剰に回転させてしまうことがある。ここで、弁体が弁室の底に当接して移動不能となった状態で弁棒を過剰に回転させると、弁棒、弁体、或いは、ねじ機構が破損する場合がある。弁棒、弁体、或いは、ねじ機構が破損すると、仕切弁による止水ができなる。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、操作者が弁棒の回転数を把握することが容易な仕切弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、弁棒と、ねじ機構を介して前記弁棒に取り付けられ当該弁棒の軸線に沿って移動可能な弁体と、前記弁体が収容される弁室、前記弁室を経由する流路、前記弁室の外側で前記弁棒を径方向外側から回転可能に支持する環状の支持部、および前記弁体が前記弁棒と共回りすることを規制する回転規制部を有するハウジングと、を有し、前記弁棒の回転により前記弁体が前記流路を開状態とする開位置と、前記流路を閉状態とする閉位置との間を移動する仕切弁において、ボールプランジャを有し、前記支持部は、ボールを前記支持部の中心穴に突出させる姿勢前記ボールプランジャを保持する保持部を備え、前記弁棒は、前記支持部の内周側に位置する被支持部分の外周面に、前記ボールが係止可能な係止凹部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の仕切弁は、ハウジングにボールプランジャを保持し、弁棒の外周面にボールプランジャのボールが係止可能な係止凹部を備える。従って、弁棒を回転させる仕切弁の操作者は、ボールプランジャが係止凹部に係止する毎に、係止によるクリック感を得ることができる。よって、操作者は、クリック感を得た回数によって、弁棒を回転させた回転数を把握できる。これにより、操作者は、弁棒を過度に回転させてしまうことを回避できる。また、操作者は、クリック感を得た回数に基づいて、弁体を開位置と閉位置との間の所定位置に停止させることができる。これにより、操作者は仕切弁の開度を予め定めた開度とすることができ、仕切弁を通過する水の流量を所定の流量とすることができる。さらに
、操作者がクリック感を得た時点で弁棒の操作を停止すれば、ボールプランジャが弁棒の係止凹部に係止している。従って、仕切弁を通過する水の流量を所定の流量とした通水を行っているときに、弁室を流れる水の圧力によって弁棒が回転することを防止或いは抑制できる。これにより弁体の移動を防止できるので、所定の流量の通水を維持することが可能となる。
【0008】
本発明において、前記ボールプランジャとして、第1ボールプランジャと、第2ボールプランジャと、を有し、前記支持部は、前記保持部として、前記第1ボールプランジャを保持する第1保持部と、前記第2ボールプランジャを保持する第2保持部と、を備え、前記弁棒は、複数の前記係止凹部を備え、前記第1ボールプランジャおよび前記第2ボールプランジャは、複数の前記係止凹部のうちの2つに同時に係止するものとすることができる。このようにすれば、2つのボールプランジャが同時に2つの係止凹部に係止するので、操作者にクリック感が伝わりやすい。また、2つのボールプランジャが弁棒に係止するので、弁体を開位置と閉位置との間の所定位置に配置した通水を行っているときに、弁室を流れる水の圧力によって、弁棒が回転することを防止しやすい。
【0009】
本発明において、前記第1ボールプランジャと、前記第2ボールプランジャとは、前記弁棒を挟んで対向し、前記弁棒は、前記係止凹部として、前記弁棒の軸線回りで180°の角度間隔で設けられた第1係止凹部および第2係止凹部を備えるものとすることができる。このようにすれば、2つのボールプランジャを、弁棒の軸線と直交する方向の両側から弁棒に係止させることができる。また、このようにすれば、操作者は、弁棒を180°回転させる毎に、クリック感を得ることができる。
【0010】
本発明において、前記弁棒は、前記係止凹部として、第3係止凹部および第4係止凹部を備え、前記第1係止凹部、前記第3係止凹部、前記第2係止凹部、および第4係止凹部は、等角度間隔で、周方向にこの順に設けられているものとすることができる。このようにすれば、操作者は、弁棒を90°回転させる毎に、クリック感を得ることができる。また、このようにすれば、係止凹部が2つの場合と比較して、仕切弁の開度を細かく調整できる。
【0011】
本発明において、前記保持部は、前記支持部を径方向に貫通して前記中心穴に連通する貫通孔であり、前記貫通孔の内周面には、雌ねじが設けられ、前記ボールプランジャは、前記雌ねじに螺合をする雄ねじを備え、前記貫通孔に径方向外側から捩じ込まれているものとすることができる。このようにすれば、保持部に保持されたボールプランジャを回転させることにより、ボールプランジャを径方向に移動させることができる。従って、支持部の中心穴に突出したボールが弁棒を押圧する押圧力を調節できる。これにより、弁室を流れる水の圧力によって弁棒が回転することを防止しやすくなる。
【0012】
本発明において、前記弁棒と前記支持部との間を封止するOリングを有し、前記弁棒は、前記弁室に突出する突出部分、前記被支持部分、および前記ハウジングから外に露出する露出部分を、前記軸線に沿ってこの順に備え、前記支持部は、前記被支持部分における前記係止凹部よりも前記突出部分の側に径方向外側から対向する環状内周面を備え、前記Oリングは、前記環状内周面に設けられた環状溝に保持されるものとすることができる。このようにすれば、Oリングは、係止凹部よりも弁室に近い位置で、弁棒とハウジングの支持部との間を封止する。従って、弁棒が外周面に係止凹部を備えていても、弁室を通過する水が、弁棒とハウジングとの間を介して、ハウジングの外部に漏れ出すことを防止できる。また、仕切弁を通水状態としたままで、ボールプランジャを交換できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、弁棒が所定の角度だけ回転したときに、操作者にクリック感が伝わる
。従って、操作者が弁棒の回転数を把握することが容易である。よって、開位置にある弁体を閉位置に移動させて流路を閉鎖する際に、操作者が、弁棒を過剰に回転させてしまうことを防止、或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】弁体を開位置に配置した仕切弁を流路と直交する方向から見た場合の部分断面図である。
【
図2】弁体を開位置に配置した仕切弁を流路に沿った方向から見た場合の部分断面図である。
【
図3】ハウジングの支持部および弁棒の被支持部の周辺の部分拡大図である。
【
図4】ハウジング本体から環状部材を取り外した状態の説明図である。
【
図6】弁体を閉位置に配置した仕切弁を流路と直交する方向から見た場合の部分断面図である。
【
図7】弁体を閉位置に配置した仕切弁を流路に沿った方向から見た場合の部分断面図である。
【
図8】弁体を所定位置に配置した仕切弁を流路と直交する方向から見た場合の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態である仕切弁を説明する。
【0016】
図1は弁体が開位置にある仕切弁を流路と直交する方向から見た場合の部分断面図である。
図3は弁体が開位置にある仕切弁を流路に沿った方向から見た場合の部分断面図である。
図4は弁体が閉位置にある仕切弁を流路と直交する方向から見た場合の部分断面図である。
図4は弁体が閉位置にある仕切弁を流路に沿った方向から見た場合の部分断面図である。
図5は
図1のA-A線断面図である。
【0017】
図1に示すように、本例の仕切弁1は、弁棒2および弁体3を有する。弁体3は、ねじ機構4を介して弁棒2に取り付けられている。弁体3は、弁棒2の軸線Lに沿って移動可能である。また、仕切弁1は、弁体3が収容される弁室5、弁室5を経由する流路6、弁室5の外側で弁棒2を径方向外側から回転可能に支持する環状の支持部7、および弁体3が弁棒2と共回りすることを規制する回転規制部8、を備えるハウジング10を有する。流路6は弁棒2の軸線Lと直交する方向に延びる。ハウジング10には、第1ボールプランジャ11および第2ボールプランジャ12(
図5参照)が保持されている。
【0018】
(弁棒および弁体)
図1、2に示すように、弁棒2は、弁室5に突出する突出部分21、支持部7の内周側に位置する被支持部分22、およびハウジング10から外に露出する露出部分23を、軸線Lに沿ってこの順に備える。突出部分21には、雄ねじ21aが設けられている。以下の説明では、弁棒2の軸線Lに沿った方向を軸線方向Xとする。また、露出部分23が位置する側を軸線方向Xの第1方向X1、突出部分21が位置する側を軸線方向Xの第2方向X2とする。第2方向Xは、ハウジング10において流路6が位置する側である。また、流路6が延びる方向を延設方向Yとする。軸線方向Xと延設方向Yとは、直交する。さらに、軸線方向Xおよび延設方向Yと直交する方向を直交方向Zとする。
【0019】
ここで、弁体3は、流路6を封鎖する封鎖部25と、封鎖部25から第1方向X1に延びる延設部26と、封鎖部25および延設部26を軸線方向Xに貫通する軸孔27と、を備える。延設部26における軸孔27の内周面には、雌ねじ27aが設けられている。弁体3は、軸孔27に弁棒2を貫通させ、突出部分21の雄ねじ21aに雌ねじ27aを螺
合させた状態で、弁棒2に取り付けられる。雄ねじ21aおよび雌ねじ27aは、ねじ機構4を構成する。弁体3の外周面は、シール材28により覆われている。
【0020】
弁棒2の被支持部分22は、軸部31と、軸部31の途中から径方向外側に広がるフランジ部32と、を備える。
図3に示すように、軸部31は、フランジ部32の第1方向X1に位置する第1軸部分33(軸部分)と、フランジ部32の第2方向X2に位置する第2軸部分34と、を備える。第1軸部分33は、フランジ部32から第1方向X1に向かって、一定の外径寸法を備える大径部35と、大径部35よりも外径寸法が小さい小径部36と、をこの順に備える。
図5に示すように、小径部36には、周方向で180°離間する位置に第1係止凹部37(1)、第2係止凹部37(2)が設けられている。周方向における第1係止凹部37(1)および第2係止凹部37(2)の中央に、第3係止凹部37(3)、第4係止凹部37(4)が設けられている。従って、各係止凹部37(1)~37(4)は、軸線L回りで等角度間隔に設けられている。
【0021】
露出部分23の外径寸法は、小径部36の外径寸法以下である。露出部分23の第1方向X1の端部には、ハンドル39が着脱可能に取り付けられている。
【0022】
(ハウジング)
図1、
図2に示すように、流路6は、ハウジング10の第2方向X2の端部分に設けられている。弁室5は、流路6と重なる位置から第1方向X1に延びている。支持部7は、弁室5の第1方向X1に設けられている。
図3に示すように、支持部7は、軸部31の第1軸部分33に径方向外側から対向する第1環状内周面41と、第1環状内周面41の第2方向X2でフランジ部32に径方向外側から対向する第2環状内周面42と、第2環状内周面42の第2方向X2で軸部31の第2軸部分34に径方向外側から対向する第3環状内周面43と、を備える。第1環状内周面41、第2環状内周面42、および第3環状内周面43は、同軸である。また、支持部7は、フランジ部32に第1方向X1の側から対向する第1対向面44と、フランジ部32に第2方向X2の側から対向する第2対向面45と、を備える。第1対向面44は、弁棒2の第1方向X1への移動を規制する。第2対向面45は、弁棒2の第2方向X2への移動を規制する
【0023】
さらに、支持部7は、第1方向X1の端部分に、第1ボールプランジャ11を保持する第1保持部47および第2ボールプランジャ12を保持する第2保持部48を備える。第1保持部47および第2保持部48は、それぞれ支持部7を径方向に貫通する貫通孔である。本例では、第1保持部47と第2保持部48とは、180°離間する角度位置に設けられている。第1保持部47の内周面および第2保持部48の内周面にはそれぞれ雌ねじ47a、48aが設けられている。
【0024】
第1環状内周面41は、第1軸部分33の大径部35に径方向外側から対向する大径内周面部分51(内周面部分)と、大径内周面部分51の第1方向X1で第1軸部分33の小径部36に径方向外側から対向する小径内周面部分52と、を備える。大径内周面部分51には、軸線方向Xで離間する2本の環状溝53、54が設けられている。環状溝54は、環状溝53の第2方向X2に位置する。環状溝53には、Oリング55が保持される。環状溝54には、Oリング56が保持される。Oリング55、56は、ハウジング10の支持部7と、弁棒2の第1軸部分33の大径部35との間を封止する。
【0025】
小径内周面部分52には、第1保持部47の内周側の開口および第2保持部48の内周側の開口が露出する。
図5に示すように、第1保持部47は、開口からボール11aを支持部7の中心穴に突出させる姿勢で第1ボールプランジャ11を保持する。第2保持部48は、開口からボール12aを支持部7の中心穴に突出させる姿勢で第2ボールプランジャ12を保持する。ここで、第1ボールプランジャ11は、外周面に雌ねじ47aに螺合
可能な雄ねじ11bを備える。第2ボールプランジャ12は、外周面に雌ねじ48aに螺合可能な雄ねじ12bを備える。各ボールプランジャ11、12は、それぞれ径方向外側から各保持部47、48に捩じ込まれて支持部7に固定されている。
【0026】
また、小径内周面部分52には、第1保持部47の開口および第2保持部48の開口の第1方向X1に環状溝58が設けられている。環状溝58には、Oリング59が保持される。Oリング59は、弁棒2の小径部36における係止凹部37(1)~37(4)よりも第1方向X1の側の部位と、支持部7の小径内周面部分52との間を封止する。
【0027】
フランジ部32に対向する第2環状内周面42は、第1環状内周面41および第3環状内周面43よりも内径寸法が大きい。第2環状内周面42には、大径環状溝61が設けられている。大径環状溝61には、大径Oリング62が保持される。ここで、大径環状溝61は、第1環状内周面41に設けられた各環状溝53、54よりも軸線方向Xの幅が広く、径方向に深い。大径Oリング62は、Oリング55、56よりも内径寸法が大きく、軸線方向Xおよび径方向で、Oリング55、56よりも厚い。大径Oリング62は、弁棒2のフランジ部32と、ハウジング10の支持部7と、の間を径方向で封止する。
【0028】
回転規制部8は、ハウジング10における弁室5の内壁面に設けられた突条である。回転規制部8は、直交方向Zにおける弁体3の両端縁に接触して、弁体3が弁棒2と共回りする規制する。従って、弁棒2が回転すると、弁体3は、弁棒2の軸線方向Xに移動する。
【0029】
ここで、
図1、
図2に示すように、ハウジング10は、流路6、弁室5、および回転規制部8を内部に備えるハウジング本体65と、ハウジング本体65に着脱可能に取り付けられた環状部材66と、を備える。弁棒2は、環状部材66の中心孔を貫通している。
【0030】
また、ハウジング本体65は、流路6を備える本体部材67と、本体部材67に第1方向X1の側から被せられた蓋部材68と、を備える。蓋部材68は、4本のボルト69によって本体部材67に締結されている。本体部材67と蓋部材68との間には、弁室5が区画されている。
【0031】
図4に示すように、蓋部材68は、第1方向X1の端部分に筒部71を備える。筒部71は、第1方向X1に開口する。筒部71の開口縁には、環状の切欠き溝72が設けられている。筒部71の内周面における切欠き溝72の第2方向X2は、雌ねじ71aが設けられている。
【0032】
図4、
図5に示すように、環状部材66は、軸線方向Xから見た場合の輪郭形状が略6角形の板部75と、板部75の中央部分から第1方向X1に突出する略直方体形状の突出部76と、板部75から第2方向X2に突出する円筒部77と、を備える。円筒部77は、外周面に、蓋部材68の筒部71の雌ねじ71aに螺合する雄ねじ77aを備える。また、円筒部77は、外周面における雄ねじ77aの第1方向X1に環状溝74を備える。環状溝74は、雄ねじ77aと板部75との間に位置する。環状溝74は、板部85の第2方向X2に隣り合う位置から径方向外側に突出する。環状溝74には、Oリング73(第4Oリング)が取り付けられている。
【0033】
突出部76には、環状部材66の中心孔を挟んだ両側に第1保持部47および第2保持部48が設けられている。第1保持部47には、延設方向Yの一方側から第1ボールプランジャ11が捩じ込まれる。第2保持部48には、延設方向Yの他方側から第2ボールプランジャ12が捩じ込まれる。
【0034】
環状部材66は、円筒部77が第1方向X1の側から筒部71に捩じ込まれて、ハウジング本体65に取り付けられる。本例では、円筒部77をハウジング本体65に取り付けたときに、突出部76は、その長手方向を流路6の延設方向Yに向けている。環状部材66がハウジング本体65に取り付けられたときに、突出部76は、その長手方向を、延設方向Yとは異なる方向に向ける場合もある。ここで、環状部材66が蓋部材68に固定されると、環状部材66の環状溝74に取り付けられたOリング73は、外周側が筒部71の切欠き溝72に挿入された状態で、筒部71と円筒部77との間に介在する。これにより、Oリング73は、環状部材66と蓋部材68との間を封止する。また、環状部材66が蓋部材68に固定されると、環状溝74の第1方向X1の隣に位置する板部75が第1方向X1の側から円筒部77に被さって、当該円筒部77に当接した状態となる。これにより、Oリング73は板部75に当接して弾性変形した状態で、板部75と蓋部材68との間を封止する。
【0035】
また、環状部材66は、板部75を軸線方向Xに貫通して筒部71の第1方向X1の端面に捩じ込まれた固定ねじ79(
図2参照)によって蓋部材68に固定される。
【0036】
ここで、ハウジング10の支持部7は、蓋部材68と環状部材66とにより構成されている。すなわち、蓋部材68は、第2環状内周面42、第3環状内周面43、および第2対向面45を備える。環状部材66は、第1保持部47、第2保持部48、第1環状内周面41、および第1対向面44を備える。
【0037】
(仕切弁の開閉動作)
図6は弁体3が開位置に配置された仕切弁1を流路6と直交する方向から見た場合の部分断面図である。
図7は弁体3が開位置に配置された仕切弁1を流路6に沿った方向から見た場合の部分断面図である。
図8は弁体3を所定位置に配置した仕切弁1を流路6と直交する方向から見た場合の部分断面図である。仕切弁1は、水が流通する配管の途中に設置される。本例では、防火水槽に貯留された水を流通させる防火用の配管の途中に設置されている。
【0038】
操作者がハンドル39を操作して弁棒2を回転させると、弁体3は、流路6を開状態とする開位置3A(
図1、
図3参照)と、流路6を閉状態とする閉位置3B(
図6、
図7参照)との間を、弁棒2の軸線Lに沿って移動する。開位置3Aでは、弁体3は、弁室5の底5aから第1方向X1に離間し、弁室5の天井5bに当接する。これにより、仕切弁1は通水状態となり、水が配管を流れる。閉位置3Bでは、弁体3は、弁室5の底5aに当接する。これにより、仕切弁1は止水状態となり、配管は断水する。
【0039】
ここで、仕切弁1では、弁室5内の弁体3の位置を外部から把握することができない。従って、開位置3Aにある弁体3を閉位置3Bに移動させて流路6を閉鎖する際に、操作者が弁棒2を過剰に回転させてしまうことがある。弁体3が弁室5の底に5a当接して移動不能となった状態で弁棒2を過剰に回転させると、弁棒2、弁体3、或いは、ねじ機構4が破損する場合がある。弁棒2、弁体3、或いは、ねじ機構4が破損すると、仕切弁1による止水ができなる。
【0040】
このような問題に対して、本例の仕切弁1は、第1ボールプランジャ11と、第2ボールプランジャ12と、を有する。ハウジング10の支持部7は、第1ボールプランジャ11を保持する第1保持部47と、第2ボールプランジャ12を保持する第2保持部48と、を備える。弁棒2は、その外周面に4つの係止凹部37(1)~37(4)を備える。第1ボールプランジャ11および第2ボールプランジャ12は、4つの係止凹部37(1)~37(4)のうちの2つに同時に係止する。従って、操作者は、ボールプランジャ11、12が係止凹部37(1)~37(4)に係止する毎に、係止によるクリック感を得
ることができる。よって、操作者は、クリック感を得た回数により、弁棒2を回転させた回転数を把握できる。従って、操作者は、弁体3が閉位置3Bに配置された後に弁棒2を過度に回転させてしまい、弁棒2、弁体3、或いは、ねじ機構4を破損してしまうことを回避できる。
【0041】
また、操作者は、クリック感を得た回数に基づいて、弁体3を開位置3Aと閉位置3Bとの間の所定位置Cに停止させることができる。
図8に示す状態は、弁体3が開位置3Aにある状態から、操作者が予め定めた所定回数だけクリック感を得た時点で弁棒2の回転を停止させた状態であり、弁体3は所定位置Cにある。
【0042】
本例によれば、仕切弁1を操作する操作者の感覚に依存せずに、弁体3を、予め定めた所定位置3Cに配置することができる。従って、操作者が異なった場合でも、弁体を所定位置3Cに配置できる。これにより、仕切弁1の開度を予め定めた開度とすることができるので、仕切弁1を通過する水の流量を所定の流量とすることができる。
【0043】
また、操作者がクリック感を得た時点で弁棒2の操作を停止すると、各ボールプランジャ11、12が弁棒2の係止凹部37(1)~37(4)のうちの2つに係止している。従って、仕切弁1を通過する水の流量を所定の流量とした通水を行っているときに、弁室5を流れる水の圧力によって弁棒2が回転することを防止或いは抑制できる。これにより、弁体3の移動を防止できるので、所定の流量の通水を維持することができる。
【0044】
また、本例では、第1ボールプランジャ11と、第2ボールプランジャ12とは、弁棒2を挟んで対向する。弁棒2は、等角度間隔で設けられた係止凹部37(1)~37(4)を備える。従って、操作者は、弁棒2を90°回転させる毎に、クリック感を得ることができる。従って、例えば、弁棒2に係止凹部37が2つ設けられている場合と比較して、仕切弁1の開度を細かく調整できる。
【0045】
さらに、本例では、ボールプランジャ11、12を保持する保持部47、48は、支持部7を径方向に貫通して中心穴に連通する貫通孔である。貫通孔の内周面には、雌ねじ47a、48aが設けられている。ボールプランジャ11、12は、雌ねじ47a、48aに螺合をする雄ねじ11b、12bを備え、保持部47、48に径方向外側から捩じ込まれている。従って、保持部47、48に保持されたボールプランジャ11、12を回転させることにより、ボールプランジャ11、12を径方向に移動させることができる。よって、支持部7の中心穴に突出したボール11a、12aが弁棒2を押圧する押圧力を調節できる。これにより、弁室5を流れる水の圧力によって弁棒2が回転することを防止しやすくなる。
【0046】
また、本例では、弁棒2と支持部7との間を封止するOリング55、56を有する。弁棒2は、弁室5に突出する突出部分21、被支持部分22、およびハウジング10から外に露出する露出部分23を、軸線Lに沿ってこの順に備える。ハウジング10は、被支持部分22における係止凹部37(1)~37(4)よりもX2方向に径方向外側から対向する第1環状内周面41を備える。Oリング55、56は、第1環状内周面41に設けられた環状溝53、54に保持される。これにより、Oリング55、56は、弁棒2の係止凹部37(1)~37(4)よりも弁室5に近い位置で、弁棒2とハウジング10との間を封止する。従って、弁棒2が外周面に係止凹部37(1)~37(4)を備えていても、弁室5を通過する水が、弁棒2とハウジング10との間を介して、ハウジング10の外部に漏れ出すことを防止できる。また、ボールプランジャ11、12を保持部47、48から取り外した場合でも、弁棒2とハウジング10との間から水が漏れることがない。従って、ボールプランジャ11、12の交換が必要となったときに、仕切弁1を通水状態としたままで、交換作業を行うことができる。
【0047】
(変形例)
係止凹部37は、4つ以上設けることもできる。この場合でも、第1ボールプランジャ11および第2ボールプランジャ12は、4つ以上の係止凹部37のうちの2つに同時に係止することが望ましい。また、仕切弁1は、第1ボールプランジャ11、および第2ボールプランジャ12のうちの一方のみを備えてもよい。この場合には、係止凹部37は、1つ以上設ける。
【符号の説明】
【0048】
1…仕切弁、2…弁棒、3…弁体、3A…開位置、3B…閉位置、4…ねじ機構、5…弁室、5a…弁室の底、5b…弁室の天井、6…流路、7…支持部、7a…支持部の中心穴、8…回転規制部、10…ハウジング、11…第1ボールプランジャ、11a…ボール、12…第2ボールプランジャ、12a…ボール、21…突出部分、22…被支持部分、23…露出部分、25…封鎖部、26…延設部、27…軸孔、28…シール材、31…軸部、32…フランジ部、33…第1軸部分、34…第2軸部分、35…大径部、36…小径部、37…係止凹部、39…ハンドル、41…第1環状内周面、42…第2環状内周面、43…第3環状内周面、44…第1対向面、45…第2対向面、47…第1保持部、48…第2保持部、51…大径内周面部分、52…小径内周面部分、53…環状溝、54…環状溝、55…Oリング、56…Oリング、58…環状溝、59…Oリング、61…大径環状溝、62…大径Oリング、65…ハウジング本体、66…環状部材、66a…環状部材の中心孔、67…本体部材、68…蓋部材、69…ボルト、71…筒部、72…切欠き溝、73…Oリング、74…環状溝、75…板部、76…突出部、77…円筒部、L…弁棒の軸線、X…軸線方向、Y…流路の延設方向、Z…直交方向