(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009131
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】表面部材、積層成形品の製造方法及びプレス装置
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20230112BHJP
B30B 15/02 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B29C43/32
B30B15/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177040
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2021090329の分割
【原出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆幸
【テーマコード(参考)】
4F204
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH36
4F204AJ02
4F204AJ09
4F204AM28
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FB11
4F204FF36
4F204FJ11
4F204FQ01
4F204FQ38
4F204FQ40
(57)【要約】
【課題】 プレス装置の加圧時の面圧分布の均等性、積層成形品の平滑性、積層成形完了時の離型性の少なくとも一つについて従来よりも改善した積層成形システムおよび積層成形システムを用いた積層成形方法を提供する。
【解決手段】 真空積層装置2と、真空積層装置2の後工程に配置されるプレス装置3とを備えた積層成形システム1において、プレス装置3は、上盤312または下盤314の少なくとも一方の盤に取り付けられた加圧ブロック317,318と、加圧ブロック317,318の表面に取り付けられた緩衝材321,324と、緩衝材321,324の表面に取り付けられた金属プレート322,325とが備えられ、金属プレート322,325の表面には、チタンまたはチタン合金、ニッケルまたはニッケル合金、窒化金属、またはDLCの少なくとも一つの被膜層323,326が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に積層フィルムを積層した積層成形品を成形する積層成形システムに用いられる加圧ブロックの前記積層成形品に対向する面に設けられる表面部材であって、
第1の部材と、
前記第1の部材とは異なる化学組成を有する第2の部材と、を有し、
前記第1の部材が前記加圧ブロックに着脱可能に固定される表面部材。
【請求項2】
前記表面部材は、少なくとも1か所に貫通穴を有する請求項1に記載の表面部材。
【請求項3】
前記貫通穴は、円形である請求項2に記載の表面部材。
【請求項4】
前記貫通穴の内径方向の断面積は、前記加圧ブロックに備えられ、前記表面部材の前記加圧ブロックへの固定に用いられるボルト締結用穴の内径方向の断面積よりも大きい請求項2に記載の表面部材。
【請求項5】
前記第1の部材は、前記加圧ブロックと前記表面部材との間に設けられる緩衝材の前記積層成形品に対向する面に設けられ、
前記第1の部材が前記緩衝材に接する面に、凸部または凹部の少なくともいずれかを備える請求項1に記載の表面部材。
【請求項6】
前記表面部材は、金属プレートと、前記金属プレートの表面にコーティングされた被覆層により構成される請求項1に記載の表面部材。
【請求項7】
前記金属プレートは、Ni、Fe、Cu、Zn、Alのいずれか1の化学成分を少なくとも含む合金により構成される請求項6に記載の表面部材。
【請求項8】
前記金属プレートは、ステンレス鋼である請求項7に記載の表面部材。
【請求項9】
前記金属プレートは、0.05mm~5.0mmの厚さを有する請求項6に記載の表面部材。
【請求項10】
前記被覆層は、Ti、Ni、Al、Cr、Mo、W、N、Cのいずれか1の化学成分を少なくとも含む材料により構成される請求項6に記載の表面部材。
【請求項11】
前記被覆層は、チタンを含む窒素化合物である請求項10に記載の表面部材。
【請求項12】
前記被覆層は、0.1μm~100μmの厚さを有する請求項6に記載の表面部材。
【請求項13】
前記被覆層は、Ra0.1μm以下の表面粗さを有する請求項6に記載の表面部材。
【請求項14】
前記被覆層は、Rz0.06μm以下の表面粗さを有する請求項6に記載の表面部材。
【請求項15】
基板に積層フィルムを積層した積層成形品を成形する積層成形システムを用いた積層成形品の製造方法であって、
第1の部材と、前記第1の部材とは異なる化学組成を有する第2の部材と、を有する表面部材を前記積層成形システムの加圧ブロックに着脱可能に固定し、
前記加圧ブロックが昇降することによって発生する圧力により前記積層成形品の表面の平坦度高める積層成形品の製造方法。
【請求項16】
加圧ブロックを昇降させる加圧機構と、
第1の部材と、前記第1の部材とは異なる化学組成を有する第2の部材と、を有し、前記第1の部材が前記加圧ブロックに着脱可能に固定される表面部材と、
を有するプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空積層装置と、該真空積層装置の後工程に配置されるプレス装置と、前記真空積層装置で積層成形された中間積層材をプレス装置へ搬送する搬送装置とを備えた積層成形システムおよび該積層成形システムを用いた積層成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空積層装置と、該真空積層装置の後工程に配置されるプレス装置と、前記真空積層装置で積層成形された中間積層材をプレス装置へ搬送する搬送装置とを備えた積層成形システムについては、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1は、真空積層装置の後工程にプレス装置である平坦化プレス機が備えられている。そして平坦化プレスは、加圧ブロックである研磨板の表面に例えば1.5mm程度の厚さを有するゴムなどからなる緩衝材が貼着され、緩衝材の表面には2mm程度の厚さのステンレスなどからなる弾性変形可能な鏡面板が貼着されている。そして成形時には成形面を構成する鏡面板は、当初製品の表面の凹凸に応じて弾性変形し、その後徐々に緩衝材の弾性変形と鏡面板の弾性変形により、もとの平面に戻るように作用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の積層成形システムのプレス装置では、加圧時の面圧分布の均等性、積層成形された積層成形品の平滑性、積層成形完了時の離型性の少なくとも一つについて十分に満足できる結果となっていない場合があった。そこで本発明では、プレス装置の加圧時の面圧分布の均等性、積層成形品の平滑性、積層成形完了時の離型性の少なくとも一つについて従来よりも改善した積層成形システムおよび積層成形システムを用いた積層成形方法を提供することを目的とする。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の積層成形システムは、真空積層装置と、該真空積層装置の後工程に配置されるプレス装置と、前記真空積層装置で積層成形された中間積層材をプレス装置へ搬送する搬送装置とを備えた積層成形システムにおいて、前記プレス装置は、上盤または下盤少なくとも一方の盤に取り付けられた加圧ブロックと、前記加圧ブロックの表面に取り付けられた緩衝材と、前記緩衝材の表面に取り付けられた金属プレートとが備えられ、前記金属プレートの表面には、チタンまたはチタン合金、ニッケルまたはニッケル合金、窒化金属、またはDLCの少なくとも一つの被膜層が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の積層成形システムは、真空積層装置と、該真空積層装置の後工程に配置されるプレス装置と、前記真空積層装置で積層成形された中間積層材をプレス装置へ搬送する搬送装置とを備えた積層成形システムにおいて、前記プレス装置は、上盤または下盤少なくとも一方の盤に取り付けられた加圧ブロックと、前記加圧ブロックの表面に取り付けられた緩衝材と、前記緩衝材の表面に取り付けられた金属プレートとが備えられ、前記金属プレートの表面には、チタンまたはチタン合金、ニッケルまたはニッケル合金、窒化金属、またはDLCの少なくとも一つの被膜層が形成されているので、加圧時の面圧分布の均等性、積層成形品の平滑性、積層成形完了時の離型性の少なくとも一つについて良好な結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の積層成形システムの概略説明図である。
【
図2】第1の実施形態の積層成形システムの要部の拡大図である。
【
図3】第2の実施形態の積層成形システムの概略説明図である。
【
図4】第3の実施形態の積層成形システムの概略説明図である。
【
図5】従来の積層成形システムのプレス装置を用いて加圧成形を行った際の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態の積層成形システム1について、真空積層装置2とプレス装置3を断面表示した
図1を参照して説明する。積層成形システム1は、真空積層装置2の後工程にプレス装置3が配置され、搬送装置によって送られるキャリアフィルムF1,F2により前記真空積層装置2から搬送された凹凸部を備えた被積層材である基板A1と積層フィルムA2からなる中間積層材A4が前記プレス装置3により加圧成形されるものである。
【0010】
基板A1と積層フィルムA2の移送装置とテンション装置を兼ねる搬送装置10のキャリアフィルム巻出装置4は、下側の巻出ロール411および従動ロール412を備えている。前記巻出ロール411から巻き出された下キャリアフィルムF1は従動ロール412の部分で水平状態に向きが変更される。下キャリアフィルムF1が水平状態となった部分に、前工程から重ねられて送られてくる被成形材である基板A1と積層フィルムA2を載置する載置ステージ部413が設けられている。また搬送装置10のキャリアフィルム巻出装置5は、上側の巻出ロール414および従動ロール415を備えており、前記巻出ロール414から巻き出された上キャリアフィルムF2は従動ロール415の部分で基板A1と積層フィルムA2からなる積層成形物A3の上に重ねられる。これらキャリアフィルムF1,F2に挟まれて基板A1と積層フィルムA2が移送され、真空積層装置2やプレス装置3においてキャリアフィルムF1,F2を介して積層成形が行われることにより、積層フィルムA2が溶融して装置部分に付着することを防止したり、特にプレス装置3においては中間積層材A4を加圧する際に一定の緩衝作用が付与されるという利点もある。また積層成形品A5の種類によってはプレス装置3から取り出された積層成形品A5の温度が低下した後に、キャリアフィルムF1,F2と積層成形品A5の間を剥離するので良好な状態での剥離または離型を行うことができる。
【0011】
搬送装置10のキャリアフィルム巻出装置4の後工程に配置される真空積層装置2は、真空状態(減圧状態)のチャンバC内においてダイアフラム211等の加圧体により基板A1と積層フィルムA2からなる積層成形物A3を加圧し、1次成形品である中間積層材A4を積層成形するものである。真空積層装置2は、固定的に設けられた上盤212に対して下盤213が昇降機構214により昇降可能に設けられ、下盤213が上昇して上盤212と当接した際に内部にチャンバCが形成可能となっている。チャンバCは図示しない真空ポンプに接続され、減圧可能となっている。また上盤212の中央の下面には熱板215が取付けられ、熱板215の表面には図示しない耐熱性のゴム膜等の弾性体216が取付けられている。一方下盤213の中央の上面にも熱板217が取付けられている。また下盤213の前記熱板217の周囲の部分には加圧体である耐熱性ゴム膜からなるダイアフラム211が熱板217の上面を覆うように取付けられている。そして図示しないコンプレッサにより加圧空気がダイアフラム211の裏面側に送られることによりダイアフラム211はチャンバC内で膨出して熱板217との間で基板A1と積層フィルムA2を加圧する。なお真空積層装置2のダイアフラム211は上盤に取付けられたものでもよい。また真空積層装置の加圧体は、表面に弾性体が取付けられたロール体同士の間や前記ロール体と加圧板の間で基板A1と積層フィルムA2を加圧するもの等でもよい。また真空積層装置は、上下の熱板の表面にゴム等の弾性シートが取り付けられ弾性シートが加圧面となっているプレス装置を用いてもよい。
【0012】
前記真空積層装置2の後工程に直列方向に配設されるプレス装置3は、真空積層装置2で加圧成形され凹凸部を備えた被積層材である基板A1と積層フィルムA2とからなり積層フィルムA2の側に凹凸が残った状態の中間積層材A4を更に加圧してより一層平坦な積層成形品A5に加圧成形するものである。プレス装置3は、下方に設けられた略矩形のベース盤311と、前記ベース盤311の上方に位置する略矩形の固定盤である上盤312の四隅近傍の間にそれぞれ立設されたタイバ313を備えている。そしてプレス装置3は、略矩形の可動盤である下盤314がベース盤311と上盤312との間で昇降移動可能となっている。またベース盤311には加圧手段であって油圧により作動する加圧シリンダ315が設けられ、加圧シリンダ315のラム316が下盤314の背面に固定されている。なお第1の実施形態のプレス装置3の加圧手段は、電動モータによりボールねじを回転させて直接下盤等を移動させるものや、電動モータによりトグル装置を介して下盤等を移動させるものなど他の方式のものでもよい。更にプレス装置3は、下盤に対して上盤が下降するものなどでもよい。更にまた第1の実施形態のプレス装置3は、真空状態とすることが可能なチャンバを備えていないが、真空状態にすることが可能なチャンバを備え、真空チャンバ内で加圧を行うものでもよい。
【0013】
プレス装置3の上盤312と下盤314の各対向面には加圧ブロック317,318がそれぞれ取付けられている。次に
図2を用いて下盤314側の加圧ブロック318等について詳細に説明する。なお
図2では樹脂フィルムからなる緩衝材321、金属薄板であるステンレス製の金属プレート322、および窒化チタンの被膜層323の長さ方向(
図2においては水平方向)に対する厚み(
図2においては垂直方向)は、実際のものよりも厚くデフォルメして描画されている。プレス装置3の下盤314と加圧ブロック318の間には断熱材319が配置され、加圧ブロック318の内部に加熱手段であるカートリッジヒータ320が複数本平行に配置されている。なお熱板でもある加圧ブロック318等は、特許文献1のように研磨板や板状のヒータを備えたものでもよく、
図2のものに限定されない。
【0014】
そして加圧ブロック318の平滑な表面318aにはポリイミドフィルム等のエンジニアリングプラスチックまたは熱硬化性樹脂の樹脂フィルムからなる緩衝材321が重ねられている。本発明に使用される樹脂フィルムは、エンジニアリングプラスチックフィルムまたは熱硬化性樹脂フィルムであって工業用機能フィルムが好ましい。具体的にはポリイミド等のエンジニアリングプレスチック(スーパーエンジニアリングプラスチックを含む)製フィルムか、ふっ素樹脂等の熱硬化性樹脂フィルムが望ましい。これらの樹脂フィルムはロックウエルRスケールの硬度((ISO 2039-2)が15ないし140、耐熱温度が150℃以上のものが特に好ましい。またこれらの緩衝材321としての樹脂フィルムの厚みは0.005mmないし3.00mm、更に好ましくは0.05mmないし1.00mmがより好ましい。また緩衝材の材質は、樹脂の他、エラストマ、繊維、紙、またはそれらの複合体からなるものでもよい。
【0015】
そして前記緩衝材321の表面にはステンレス等の金属プレート322が重ねられている。第1の実施形態では加圧ブロック318の表面318a、緩衝材321、ステンレス製の金属プレート322の平面視した形状は同一となっている。金属プレート322等を平面視した際の1辺の長さは、これに限定されるものではないが一例として250mmないし1,000mmである。また金属プレート322等の形状は長方形でも正方形でもよく、各種の角部の面取り処理や取付用に凹凸部などがあるものでもよい。金属プレート322の材質は、ステンレスの場合、高硬度のマルテンサナイト系のステンレス(SUS440C等)が特に望ましい。或いは高硬度のステンレスとしては、硬さHRCが54以上または弾性係数(×103kg/mm2)が20.0以上のものが特に望ましい。または金属プレート322を構成する金属は、ステンレス、ニッケル、鉄、銅、亜鉛、アルミ、またはそれら金属の合金からなるものでもよい。金属プレート322の厚みは、0.05mmないし5.0mm、更に望ましくは0.3mmないし3.0mmがより望ましい。
【0016】
本発明では、前記ステンレス等の金属プレート322の表面322aには、チタンまたはチタン合金、ニッケルまたはニッケル合金、窒化金属、DLCの少なくとも一つの被膜層323が形成されている。より具体的には本実施形態では窒化金属の一種である窒化チタン(Tin)の被膜層323が形成されている。窒化チタンの被膜層323の形成は、PVD法の一種であるイオンプレーティング法により行われ、窒化チタンの被膜層323の被膜の厚みは0.1μmないし100μmである。また窒化チタン等の窒化金属の被膜層の厚みについてはより望ましくは0.3μmないし2.0μmである。そしてイオンプレーディング法により形成された窒化チタン等の窒化金属の被膜層323の表面の加圧面323aは、必要に応じて研磨バフ等を用いて研磨され、次に記載されるような表面粗さに仕上げ加工される。
【0017】
また金属プレート322の表面322aに形成される窒化チタンの被膜層323の表面の加圧面323aの粗さについては、これのみに限定されるものではないが、算術平均粗さRa(JIS B0601:2013)は、0.07μm以下が望ましく、特にはRa0.04μm以下が望ましい。また窒化チタン被膜の表面粗さは、最大高さ粗さRz(JIS B0601:2013)は、0.06μm以下が望ましく、特にはRz0.35μm以下が特に望ましい。算術平均粗さRa、最大高さ粗さRzともに下限値については数値が小さいほうがより望ましいがコストとの関係も踏まえて表面処理方法が選択される。
【0018】
また窒化金属の被膜層の種類はTiN以外に、TiC、TiCN、TiAINなどのチタンまたはチタン合金を窒化処理した被膜層であってもよい。またチタン以外の窒化金属の皮膜としては、CrN、窒化モリブテン、窒化タングステンなどの窒化処理された被膜層でもよい。更には被膜層に好適な材質としてはダイヤモンド炭化被膜層であるDLCが挙げられる。これらの被膜においても厚みは、0.3μmないし100μmであることが望ましく、表面粗さは、Ra0.1μm以下であることが望ましい。なお前記被膜等の形成方法についてはイオンプレーティング法の他、PVD法により真空蒸着やスパッタリングによるものや、CVD法によるものなど被膜層の種類に応じて最適の被膜形成方法が選択される。
【0019】
また被膜層は、チタンまたはチタン合金、ニッケルまたはニッケル合金からなる被膜層であってもよい。これらの金属はメッキや溶射などの方法によりステンレス製の金属プレート322,325の表面に被膜層が形成される。更に被膜層は、チタンまたはチタン合金、ニッケルまたはニッケル合金、窒化金属、またはDLCの被膜層の混合物や、前記被膜層が複数の被膜層として金属プレート322,325に形成されたものでもよい。一例としては窒化チタン層等の中間層の表面にDLCがコーティングされたものや、チタン合金やニッケル合金等の中間層の表面に窒化チタン等の窒化金属の被膜層がコーティングされたものでもよく組み合わせは適宜選択される。
【0020】
前記緩衝材321とステンレス製の金属プレート322は、加圧面以外の周囲の複数個所(4箇所、6箇所、8箇所等)に図示しないボルト用の穴が設けられている。そして金属プレート322の前面側から前記穴を介して図示しないボルトが加圧ブロック318のボルト穴に相通され、緩衝材321とステンレス製の金属プレート322は加圧ブロック318に対して固定されている。なおステンレス製の金属プレート322等の熱膨張を可能とするためにボルトが挿通される部分にボルト断面積よりも大きい孔や長孔等からなる調整部を設けてもよい。また加圧ブロック318への前記緩衝材321とステンレス製の金属プレート322の貼着方法は、ボルト以外のホルダや接着材による接着により取り付けがされるものでもよい。前記構造によりプレス装置3の加圧ブロック318には、緩衝材である緩衝材321を介して金属プレート322が備えられる。
【0021】
第1の実施形態のプレス装置3においては、上盤312も下盤314と同じ辺の大きさ、同じ面積の加圧ブロック317、緩衝材324、金属プレート325を備えている。そして金属プレート325の表面には、窒化チタンの被膜層326がコーティングされたステンレス製の金属プレート325を備えている。しかしながら上盤312側の加圧ブロック317と下盤314側の加圧ブロック318の金属プレート322,325は、板厚や表面の皮膜層の種類や表面粗さを異ならせたものでもよい。
【0022】
プレス装置3の後工程には積層成形品A5の移送装置とテンション装置を兼ねた搬送装置10のキャリアフィルム巻出装置5が設けられている。キャリアフィルム巻出装置5は、下側の巻取ロール511および従動ロール512を備えており、前記巻取ロール511により下キャリアフィルムF1が巻き取られる。またキャリアフィルム巻出装置5は、上側の巻取ロール513および従動ロール514を備えており、前記従動ロール514の部分で積層成形品A5から上キャリアフィルムF2が剥離され、上キャリアフィルムF2は前記上側の巻取ロール513に巻取られる。そして下キャリアフィルムF1のみが水平状態で送られる部分に積層成形品A5の取出ステージ515が設けられている。なおキャリアフィルムF1,F2の移送装置としては、キャリアフィルムF1,F2の両側を把持して後工程に向けて引っ張る移載装置を設けてもよい。また積層成形システム1の積層成形物A3を真空積層装置2へ搬送したり、真空積層装置2で積層成形された中間積層材A4をプレス装置3へ搬送する搬送装置10については前記に限定されず、多軸ロボット等を用いたものでもよい。
【0023】
次に第1の実施形態のプレス装置3を含む積層成形システム1を用いた、被積層材である基板A1と積層フィルムA2の積層成形方法について説明する。連続成形時の積層成形システム1では、ダイアフラム式の真空積層装置2と平坦化プレス装置であるプレス装置3においてシーケンス制御により同時にバッチ処理的に加圧成形が行われる。しかしここでは1バッチ分の被積層材である基板A1と積層フィルムA2の成形順序に沿って説明する。搬送装置10のキャリアフィルム巻出装置4から巻き出してキャリアフィルム巻出装置5に巻き取られるように設けられる上下のキャリアフィルムF1.F2は、これに限定されるものでないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)製で厚みは0.01mmないし0.50mmのものが多い。キャリアフィルムF1,F2の種類は、他にもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドなどからなるものでもよい。
【0024】
搬送装置10の載置ステージ部413に載置される基板A1は、基板表面に接着された銅箔部分の凸部A1bと銅箔が無い部分の凹部A1cからなる凹凸部A1aを有するビルドアップ用の回路基板である。銅箔の厚み(基板部分に対する高さ)はこれに限定されないが数umから数十um程度であって殆どの場合0.1mm以下である。前記基板A1の上下にそれぞれ積層フィルムA2が重ねられてビルドアップ成形用の積層成形物A3が構成される。なお
図1では積層成形物A3は1個が記載されているが同時に複数個数の積層成形物A3を積層成形するものでもよい。
【0025】
第1の実施形態における積層フィルムA2は絶縁フィルムであって、元の保存状態から両面に積層されているPETフィルムが剥離されて使用される。積層フィルムA2の樹脂材料はエポキシ等の熱硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を主成分とするものである。また前記熱硬化性樹脂以外の材料としては、粗度調整、難燃性付与、低膨張性付与、流動性付与、成膜性付与、低誘電正接化(絶縁性付与)、含水率低下等の目的で各種の材料、添加剤が含有されている。とりわけ近年では、粗度調整付与、低膨張性付与、低誘電正接化、含水率低下等のために無機材料の含有量が増加するタイプが増加しつつある。無機材料の種類としてはこれに限定されるものではないが、SiO2などが挙げられる。
【0026】
第1の実施形態では無機材料であるSiO2の含有率(体積%)が20%以上の積層フィルムA2が好適に用いられる。本発明において無機材料であるSiO2の含有率(体積%)が20%以上の積層フィルムA2は無機材料の含有率の多い積層フィルムと定義づけられる。これに限定されるものではないが味の素ファインテクノ株式会社の層間絶縁フィルムである「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」(登録商標)の例では、GX13(ヤング率(GPa)4.0)、GX92(ヤング率(GPa)5.0)、GX-T31(ヤング率(GPa)7.5)、NextGX(ヤング率(GPa)7.5)、GZ41(ヤング率(GPa)9.0)、またはヤング率(GPa)9.0以上のフィルムが使用対象の無機材料の含有率の多い積層フィルムとして挙げられる。
【0027】
また他社製品も同等材料の無機材料の含有率の多い積層フィルムが含まれる。これらの積層フィルムは上記したようにフィルム表面の低祖度化による被積層物との密着性の向上、熱膨張率の低下させることによる基板との剥離の防止、絶縁性の向上(誘電損失の低減)含水率の低下などの目的から無機材料が20体積%以上、或いは40%重量以上含まれている。とりわけ第5世代通信システムである5G用の基板においては、より一層の精度が求められることから無機材料の含有率が25体積%以上の積層フィルムA2(層間絶縁フィルム)が特に好適に用いられる。また前記積層フィルムA2の厚みは、これに限定されるものではないが味の素ファインテクノ株式会社製等の層間絶縁フィルムでは、0.01mmないし0.1mmのものが市販されており多く使用されている。また積層フィルムA2は銅箔層が積層されたものでもよくこれらも本発明の積層成形システム1のプレス装置3に用いられる。
【0028】
そして載置ステージ部413に載置された前記積層成形物A3は、巻取ロール511,513の回転駆動ともに上下キャリアフィルムF1,F2とともに送られ、開放状態の真空積層装置2のチャンバC内に送られ位置決めされる。次に真空積層装置2はチャンバCが閉鎖され図示しない真空ポンプによりチャンバC内が真空状態とされる。そして加圧空気を送り込んでダイアフラム211をチャンバC内に膨出させ、基板A1と積層フィルムA2からなる積層成形物A3を上盤212側の熱板215の弾性体216との間で加圧する。この際のダイアフラム211による加圧力は一例として1.0MPa以下であり、基板A1の凹部A1cに積層フィルムA2が埋め込まれる形で基板A1と積層フィルムA2の接着が行われ、1次成形品である中間積層材A4が積層成形される。しかし真空積層装置により積層成形された中間積層材A4の積層フィルムA2の表面はまだ基板A1の凹凸部A1aの形状に倣って凹凸が残った状態である。またこの際、使用される積層フィルムA2が無機材料の含有率が高い場合には溶融樹脂の流動性が低いのでより一層凹凸が残りやすい。
【0029】
真空積層装置2において凹凸部A1aを備えた基板A1と積層フィルムA2からなり、両者が貼着された中間積層材A4が積層成形されるとチャンバCが開放される。そして搬送装置10のキャリアフィルム巻出装置5による次のキャリアフィルムF1,F2の送りにより、前記中間積層材A4はプレス装置3の上盤312と下盤314の間に搬送され、所定の加圧位置に停止される。次にプレス装置3の加圧シリンダ315が作動され、下盤314および加圧ブロック318が上昇される。加圧ブロック318には緩衝作用を備えた緩衝材321を介して弾性変形可能であって表面に窒化チタンによる被膜層323が被膜形成されたステンレス製の金属プレート322が取り付けられていることは上記した通りであるが、前記ステンレス製の金属プレート322の窒化チタンの被膜層323の表面の加圧面323aが下キャリアフィルムF1に当接後更に下キャリアフィルムF1を介して中間積層材A4を押し上げる。そして中間積層材A4は、上キャリアフィルムF2を介して上盤312のステンレス製の金属プレート325の表面の窒化チタンの被膜層326の表面の加圧面326aに当接され、その後上下の加圧面323aと加圧面326aの間でキャリアフィルムF1,F2を介して中間積層材A4が加圧される。
【0030】
この際のプレス装置3の加圧ブロック317,318(熱板)の温度は、基板A1や積層フィルムA2の材質によって異なるからこれに限定されるものではないが、30℃ないし200℃、より好ましくは80℃ないし140℃に制御される。この際の温度が高すぎると積層フィルムを構成する樹脂材料が溶融した際の粘度が低くなって流動性が高くなりすぎて中間積層材A4の端部から積層フィルムを構成する樹脂材料が流出して積層成形品の所望の板厚や絶縁層の厚みが得られない。更に加圧時の加圧ブロック317,318の温度が高すぎると、樹脂材料の劣化を招いたり、後工程での冷却も含めた成形サイクル時間がより長く必要となるといった問題も発生する。一方、加圧時の加圧ブロック317,318の温度が低すぎると、樹脂材料の際の粘度が高すぎて所望の流動性が得られず、基板A1への積層フィルムA2の埋め込みが十分できなかったり、積層成形品A5の表面が十分な平坦性が得られなかったりする問題が発生する。
【0031】
また中間積層材A4に対する加圧力(面圧)もまた、基板A1や積層フィルムA2の材質により異なりこれに限定されるものではないが、0.1MPa~3.0MPa、より好ましくは0.5MPa~2.5MPaに制御される。この際の加圧力が強すぎたりると中間積層材A4の端部から積層フィルムA2を構成していた溶融樹脂材料が流出して温度条件と同様に良好に加圧成形ができない。また低すぎると基板A1への積層フィルムA2の埋め込みが十分できなかったり、積層成形品A5の表面が十分な平坦性が得られなかったりする。
【0032】
また第1の実施形態では表面に窒化チタン等の被膜層323,326が形成された金属板であるステンレス製の金属プレート322,325を用い、キャリアフィルムF1,F2を介して中間積層材A4を加圧することにより、中間積層材A4の平滑性を向上させることができる。また窒化チタンの被膜層323,326が形成されたステンレス製の金属プレート322,325と、ポリイミドやふっ素樹脂からなる樹脂フィルムの緩衝材321,324使用することにより、中間積層材A4を加圧時の面圧分布の均等性の向上を図ることができる。または前記被膜層323,326と樹脂フィルム製の緩衝材321,324の組み合わせにより、従来は
図5に示されるようにプレス装置101の加圧ブロック102,103の間で中間積層材A4を加圧した際に、中間積層材A4の端部A4c,A4d付近に加圧時の応力が集中して溶融した積層フィルムA2の樹脂材料が外側へ流出していたのを防止することができる。
【0033】
そしてプレス装置3において所定の加圧時間が経過するとプレス装置3の加圧シリンダ315が作動され、下盤314と加圧ブロック318が下降される。そのことにより下盤314側の加圧ブロック318に取り付けられた金属プレート322の表面322aに形成された窒化チタンの被膜層323の加圧面323aと下キャリアフィルムF1の間が離型される。また上盤312側に取り付けられた金属プレート325の表面に形成された窒化チタンの被膜層326の加圧面326aと上キャリアフィルムF2の間が離型される。しかし本発明では金属プレート322,325の表面に窒化チタンの被膜層323,326が形成されているので、キャリアフィルムF1.F2との離型が従来以上に容易に行える。そのためキャリアフィルムF1.F2の少なくとも一方が金属プレートに貼り付いたまま離型されてしまいキャリアフィルムF1,F2の間でプレス成形された積層成形品A5がプレス装置3内でキャリアフィルムF1,F2から意図しない状態で離型されてしまうという現象を極力抑制することができる。
【0034】
そしてプレス装置3で積層成形の完了した積層成形品A5は次の成形サイクルで搬送装置10のキャリアフィルム巻出装置5の作動により、積層成形品A5の取出ステージ515に送られる。この際までに上キャリアフィルムF2は従動ロール514の部分で積層成形品A5から良好に離型される。そして積層成形品A5は取出ステージ515からロボット等で取り出される。積層成形品A5がビルドアップ基板用の基板の場合は、特に表面の平滑性が重要となるので本発明が有効である。なおビルドアップ基板用の基板の場合は、次の工程で銅箔等を貼り付けるために薬品等で積層成形品A5の表面を非常に微細に荒らす場合もあるが、本発明の表面平滑性はそれよりも単位の大きな平滑性を求めるものであるので、いずれにしてもビルドアップ基板用の積層成形品A5の平滑性をプレス装置3で確保することは重要である。
【0035】
次に
図3に示される第2の実施形態の積層成形システム6について、第1の実施形態の積層成形システム1との相違点を中心に符号を付して説明する。第2の実施形態の積層成形システム6のプレス装置8は、ダイアフラムを使用するものではなく、加圧シリンダ821等の加圧機構は、第1の実施形態のプレス装置3とほぼ同じ構造である。プレス装置8は、上盤811と下盤812にそれぞれ取り付られる加圧ブロック813,814は、緩衝材であるポリイミド等の樹脂フィルムの緩衝材815,816と金属薄板であるステンレス製の金属プレート817,818を各々備えており、前記ステンレス製の金属プレート817,818の表面に第1の実施形態と同じ窒化チタン等の被膜層819,820が形成されている。そして前記被膜層819,820の表面が加圧面819a,820aとなっている。また加圧シリンダ821により下盤812が上昇して前記加圧面819a,820aの間で加圧成形を行う点も同じである。
【0036】
第1の積層成形システム1のプレス装置3と第2の実施形態の積層成形システム6のプレス装置8の相違点は、プレス装置8は、上盤811と下盤812の少なくとも一方にはチャンバ形成部材である側壁部822,823が形成されており、下盤812等の上昇により上盤811と下盤812の相対的な距離が近づいた際にチャンバCが形成されるようになっている点である。そしてプレス装置8には、前記チャンバC内を真空下するための図示しない真空ポンプを備えている。従ってプレス装置8は、真空積層装置である。
【0037】
またプレス装置8の後工程には、第1の実施形態と同じ2次成形に用いるプレス装置3が備えられている。プレス装置8は、緩衝材であるポリイミド等の樹脂フィルムの緩衝材815,816と金属薄板であるステンレス製の金属プレート817,818を備えている。プレス装置8のステンレス製の金属プレート817,818とプレス装置3のステンレス製の金属プレート817,818と、プレス装置3のステンレス製の金属プレート322,325は同じ材質であっても異なる材質であってもよい。また金属プレート817,818の窒化チタン等の被膜層と金属プレート322,325の窒化チタン等の被膜層323,326も同じ材質であっても異なる材質であってもよく、表面粗さ(算術平均粗さRaや最大高さ粗さRzも同じであっても異なるものでもよい。なお後工程のプレス装置3の金属プレート322,325の窒化チタン等の被膜層323,326の表面粗さのほうが小さくしてもよい。
【0038】
次に
図4に示される第3の実施形態の積層成形システム7について、第1の実施形態の積層成形システム1との相違点を中心に符号を付して説明する。第3の実施形態の積層成形システム7は、第1の実施形態の積層成形システム1のプレス装置3の後工程に更にもう1台、同様のプレス装置9を設けたものである。すなわち、積層成形システム7のプレス装置3,9は真空積層装置2の後工程に2台が直列方向に設けられる。そしてキャリアフィルムF1,F2により前記真空積層装置2から搬送された凹凸部を備えた基板A1と積層フィルムA2からなる中間積層材A4が前記2台のプレス装置3.9により順次加圧成形されるものである。
【0039】
プレス装置9は、プレス装置3とほぼ同じ構造であり、上盤911と下盤912にそれぞれ取付られる加圧ブロック913,914は、ポリイミド等の樹脂フィルムの緩衝材915,916とステンレス製の金属プレート917,918を各々備えており、前記ステンレス製の金属プレート918の表面には窒化チタン等の被膜層919,920が形成され、その表面が加圧面919a,920aとなっている。
【0040】
なおプレス装置9の樹脂フィルムの緩衝材915,916と、ステンレス製の金属プレーと917,918と、プレス装置3の樹脂フィルムからなる緩衝材321,324とステンレス製の金属プレート322,325は、同じ厚みであってもいずれか一方が厚いものもよい。また前記金属プレート917,918に形成される窒化チタン等の被膜層919,920の材質または厚みと、前記金属プレート322,325に形成される窒化チタン等の被膜層323,326の材質または厚みも同じ厚みであってもいずれか一方が厚いものでもよい。
【0041】
第3の実施形態の積層成形システム6を用いた積層成形方法については、真空積層装置2、プレス装置3、プレス装置9に順に積層成形した中間積層材A4a、A4bが送られる。第1の実施形態のような2台の積層装置の場合、真空積層装置2よりもプレス装置3のほうが加圧時間が長く必要な場合が多く、全体の成形時間はプレス装置3により規定される場合が多かった。しかし第3の実施形態の積層成形システム7では、プレス装置3、プレス装置9による2回の加圧成形で成形時間を分散することもでき、真空積層装置2に必要な成形時間で他のプレス装置3、プレス装置9による成形もできる場合が殆どとなる。
【0042】
またプレス装置3、プレス装置9による2回の加圧成形が可能なので、積層フィルムA2の無機材料の含有量が多く、溶融時の流動性が悪いものであっても良好に積層成形することができる。またプレス装置3とプレス装置9の加圧ブロックの温度、加圧力(面圧)は同じであってもよく、異なっていてもよい。これに限定されるものではないが、一例としては、プレス装置9よりもプレス装置3のほうが加圧ブロックの温度を高くして積層フィルムA2の溶融状態の樹脂材料の流動性を良好にし、プレス装置3よりもプレス装置9のほうが加圧力を高くして積層成形品A5の表面の平滑度を高めるようにしてもよい。第3の実施形態もプレス装置9の後工程に冷却プレス装置等の更に別の装置を設けてもよい。
【0043】
なお第3の実施形態の変形例として、真空積層装置2の次に設置されるプレス装置3に変えて、加圧面がゴム等の弾性板からなるプレス装置を用いてもよい。その場合は本発明のプレス装置は、3回目の積層成形にのみ使用される。
【0044】
また本発明のプレス装置3,8,9は、出荷時には緩衝材である樹脂フィルムや金属プレートが取付られていない状態で出荷され、後で本発明の窒化チタン等の被膜層が形成された金属を取り付けることも想定され、それらの形態も本発明に包含される。
【0045】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した第1ないし第3の実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものや第1ないし第3の実施形態の各記載を掛け合わせたものについても、適用されることは言うまでもないことである。積層成形システム1,6,7で積層成形される積層成形品は、特に表面の平滑性が重要となる積層成形品に好適であり、ビルドアップ基板の他、他の回路基板、半導体ウエハなどでもよく限定されない。
【符号の説明】
【0046】
1,6,7 積層成形システム
2 真空積層装置
3,8,9 プレス装置
212,312,811,911 上盤
213,314,812,912 下盤
317,318,813,814,913,914 加圧ブロック
321,324,815,816,915,916 緩衝材
322,325,817,818,917,918 金属プレート
323,326,819,820,919,920 被膜層
323a,326a,821a,822a,919a,920a 加圧面