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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091312
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】レチノイドを含む安定組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20230623BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230623BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230623BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230623BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230623BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230623BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230623BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230623BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/37
A61K8/49
A61K8/60
A61K8/92
A61K8/73
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021205992
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸宜
(72)【発明者】
【氏名】三寺 友義
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC092
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC841
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD211
4C083AD301
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD532
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD632
4C083AD661
4C083AD662
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】少なくとも1種のレチノイドを含む組成物であって、光への曝露及び種々の温度条件下で安定であり、光への曝露下及び高温においてさえ、十分な残存率で組成物中のレチノイドを維持することができる、組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種のレチノイド、(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤、(c)少なくとも1種の光遮蔽化合物、(d)トリグリセリド、好ましくは少なくとも1つの不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリド、より好ましくは少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドから選択される、少なくとも1種の油、及び(e)少なくとも1種の任意選択の多糖を含む組成物に関する。本発明による組成物は、光への曝露及び種々の温度条件下で安定であり、光への曝露下及び高温においてさえ、十分な残存率で組成物中のレチノイドを維持することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のレチノイド、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤、
(c)10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する光について、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下の透過率を有する溶液を提供することができる、少なくとも1種の化合物であり、溶液中の化合物の濃度が、溶液の総質量に対して0.9質量%である、化合物、
(d)トリグリセリド、好ましくは少なくとも1つの不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリド、より好ましくは少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドから選択される、少なくとも1種の油、及び
(e)好ましくは植物に由来する多糖から選択され、より好ましくは藻類抽出物から選択される、少なくとも1種の任意選択の多糖
を含む組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物。
【請求項2】
(a)レチノイドがレチノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中の(a)レチノイドの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲内である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(b)親油性抗酸化剤が、生分解性親油性抗酸化剤、好ましくは、トコフェロール、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(c)化合物が、ポリフェノール、好ましくは、ケルセチン、イソケルセチン、ルチン、グルコシルルチン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の(c)化合物の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~2質量%の範囲内である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(d)油が、植物油から、好ましくは、ダイズ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物中の(d)油の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲内である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(e)多糖が、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の(e)多糖の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.005質量%~2質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%の範囲内である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(e)多糖を含まず、(f)少なくとも1種のキレート剤、好ましくは生分解性キレート剤、より好ましくはエチレンジアミンジコハク酸三ナトリウムを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の(f)キレート剤の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~3質量%、好ましくは0.005質量%~2質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%の範囲内である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
O/W型形態、好ましくはO/W型エマルション又はO/W型ディスパージョン、より好ましくはO/W型ゲルエマルション又はO/W型ゲルディスパージョンである、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
皮膚等のケラチン物質を処置するための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定であり、少なくとも1種のレチノイドを含む組成物、好ましくは化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
レチノイドは、皺への処置等のために使用されうる老化防止活性成分として機能できるため、例えば、化粧品の分野において有用であることが知られている。しかしながら、いくつかの条件下では不安定となる傾向がある。例えば、レチノールは親油性溶媒に溶解性であるが、レチノールの溶液は急速に変色(黄変/褐変)し、溶液中のレチノールは経時的に劣化しうる。
【0003】
レチノイドを含む組成物も、光又は温度に関する条件に応じて、変色し、悪臭を発する傾向があり、組成物中のレチノイドが、光への曝露下又は高温において経時的に劣化するという、安定性における問題を有する。しかしながら、レチノイドを含む組成物の変色及び悪臭、並びに光又は高温に起因する、組成物中のレチノイドの経時的な劣化を効果的に抑制する技法について、十分な調査はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】FR2370377
【特許文献2】EP0199636
【特許文献3】EP0325540
【特許文献4】EP0402072
【特許文献5】FR2908769
【特許文献6】FR2704754
【特許文献7】FR2877004
【特許文献8】FR2854160
【特許文献9】EP0511118
【特許文献10】WO94/11338
【特許文献11】FR2698095
【特許文献12】FR2737205
【特許文献13】EP0755925
【特許文献14】FR2825920
【特許文献15】EP-A-307,626
【特許文献16】FR-2,400,358
【特許文献17】FR-2,400,359
【特許文献18】EP-A-317542
【特許文献19】EP-A-399133
【特許文献20】EP-A-516102
【特許文献21】EP-A-509382
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「The Flavonoids」、Harborne J. B.、Mabry T. J.、Helga Mabry、1975年、1~45頁
【非特許文献2】Changら、JOSC、第61巻、第6号、1984年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、少なくとも1種のレチノイドを含む組成物であって、光への曝露及び種々の温度条件下で安定であり、光への曝露下及び高温においてさえ、十分な残存率で組成物中のレチノイドを維持することができる、組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のレチノイド、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤、
(c)10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する光について、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下の透過率を有する溶液を提供することができる、少なくとも1種の化合物であり、溶液中の化合物の濃度が、溶液の総質量に対して0.9質量%である、化合物、
(d)トリグリセリド、好ましくは少なくとも1つの不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリド、より好ましくは少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドから選択される、少なくとも1種の油、及び
(e)好ましくは植物に由来する多糖から選択され、より好ましくは藻類抽出物から選択される、少なくとも1種の任意選択の多糖
を含む組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物によって達成することができる。
【0008】
(a)レチノイドはレチノールであってもよい。
【0009】
本発明による組成物中の(a)レチノイドの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲内でありうる。
【0010】
(b)親油性抗酸化剤は、生分解性親油性抗酸化剤、好ましくは、トコフェロール、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0011】
本発明による組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲内でありうる。
【0012】
(c)化合物は、ポリフェノール、好ましくは、ケルセチン、イソケルセチン、ルチン、グルコシルルチン、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0013】
本発明による組成物中の(c)化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~2質量%の範囲内でありうる。
【0014】
(d)油は、植物油から、好ましくは、ダイズ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0015】
本発明による組成物中の(d)油の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲内でありうる。
【0016】
(e)多糖は、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0017】
本発明による組成物中の(e)多糖の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.005質量%~2質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%の範囲内でありうる。
【0018】
本発明による組成物が(e)多糖を含まない場合、組成物は、(f)少なくとも1種のキレート剤、好ましくは生分解性キレート剤、より好ましくはエチレンジアミンジサクシネート三ナトリウムを含む。
【0019】
本発明による組成物中の(f)キレート剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~3質量%、好ましくは0.005質量%~2質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%の範囲内でありうる。
【0020】
本発明による組成物は、O/W型形態、好ましくはO/W型エマルション又はO/W型ディスパージョン、より好ましくはO/W型ゲルエマルション又はO/W型ゲルディスパージョンでありうる。
【0021】
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
鋭意検討した結果、本発明者らは、少なくとも1種のレチノイドを含む組成物であって、光への曝露及び種々の温度条件下で安定であり、光への曝露下及び高温においてさえ、十分な残存率で組成物中のレチノイドを維持することができる、組成物を提供できることを発見した。
【0023】
本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種のレチノイド、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤、
(c)10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する光について、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下の透過率を有する溶液を提供することができる、少なくとも1種の化合物であり、溶液中の化合物の濃度が、溶液の総質量に対して0.9質量%である、化合物、
(d)トリグリセリド、好ましくは少なくとも1つの不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリド、より好ましくは少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドから選択される、少なくとも1種の油、及び
(e)好ましくは植物に由来する多糖から選択され、より好ましくは藻類抽出物から選択される、少なくとも1種の任意選択の多糖
の組み合わせを特徴としうる。
【0024】
本発明による組成物は、光への曝露及び種々の温度条件下で安定であり、光への曝露下及び高温においてさえ、十分な残存率で組成物中のレチノイドを維持することができる。
【0025】
本発明による組成物における成分(e)は、任意選択的である。そのため、本発明による組成物は、成分(e)を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0026】
本発明による組成物が成分(e)を含む場合、本発明による組成物は、成分(f)を含まなくてもよい。成分(e)を含む本発明による組成物は、O/W型ゲルエマルション又はO/W型ゲルディスパージョンの形態でありうる。
【0027】
本発明による組成物が成分(e)を含まない場合、本発明による組成物は、成分(f)を含む。成分(e)を含まない本発明による組成物は、O/W型エマルション又はO/W型ディスパージョンの形態でありうる。
【0028】
本発明による組成物は、光への曝露下及び多様な温度条件下で安定である。したがって、「安定」という用語は、ここでは、光安定性と熱安定性との両方を表し、組成物の態様、色及び匂い等の状態が、光(例えばUV光)の曝露下、並びに4℃、25℃、37℃及び45℃等の多様な一定温度において、経時的に変化しないことを意味する。
【0029】
本発明による組成物は安定であるため、長期間にわたって、例えば、分離又はクリーミング、黄変等の変色、及び悪臭を、まったく又はほとんど生じないことが可能である。本発明による組成物は、クリーミング、黄変、及び悪臭の発生等の変化を、まったく又はほとんど起こさないことが可能であるため、長期間にわたって保存することができる。
【0030】
本発明による組成物は、光(例えばUV光)曝露下及び高温(例えば45℃)においてさえ、組成物中の(a)レチノイドを十分な残存率(80%以上等)で維持することができる。言い換えれば、光及び高温に起因する本発明による組成物中の(a)レチノイドの劣化を、低減することができる。したがって、本発明による組成物は、組成物中の(a)レチノイドに基づいて、経時的に安定な美容効果を提供することができる。
【0031】
以下に、本発明による組成物を、より詳細に説明する。
【0032】
[レチノイド]
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種のレチノイドを含む。2種以上の(a)レチノイドを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのレチノイドを使用しても、異なるタイプのレチノイドの組み合わせを使用してもよい。
【0033】
(a)レチノイドは、レチノール(ビタミンA)、レチナール(ビタミンAアルデヒド)、レチノイン酸(ビタミンA酸)、又はレチノールとC2~20酸とのエステル、例えば、レチノールのプロピオン酸エステル、酢酸エステル、リノール酸エステル、又はパルミチン酸エステル(パルミチン酸レチニル)であってもよい。
【0034】
(a)レチノイドの中でも、レチノール、レチナール、レチノイン酸、特に全トランスレチノイン酸及び13-シスレチノイン酸、レチノール誘導体、例えば、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル又はパルミチン酸レチニル、並びに特許出願:FR2370377、EP0199636、EP0325540及びEP0402072に記載されているレチノイドを挙げることができる。
【0035】
本発明の好ましい一実施形態によれば、(a)レチノイドは、レチノール又はプロレチノールである。
【0036】
「レチノール」という用語は、レチノールのすべての異性体、すなわち、全トランスレチノール、13-シスレチノール、11-シスレチノール、9-シスレチノール、及び3,4-ジデヒドロレチノールを意味することが意図される。
【0037】
代表的なプロレチノールとして、パルミチン酸レチニルを挙げることができる。
【0038】
(a)レチノイドは、レチノールであることが好ましい。
【0039】
本発明による組成物中の(a)レチノイドの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0040】
その一方で、本発明による組成物中の(a)レチノイドの量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0041】
本発明による組成物中の(a)レチノイドの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲内でありうる。
【0042】
[親油性抗酸化剤]
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤を含む。単一のタイプの親油性抗酸化剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの親油性抗酸化剤を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本発明によれば、抗酸化剤は、皮膚中に存在しうる様々なラジカル形態を除去することができる化合物又は物質であり、好ましくは、それらは、存在する様々なラジカル形態のすべてを同時に除去する。
【0044】
(b)親油性抗酸化剤は、(a)レチノイドとは異なる。
【0045】
(b)親油性抗酸化剤とは、n-ブタノールと水との間の抗酸化剤の分配係数が、>1、より好ましくは>10、より一層好ましくは>100であることを意味する。
【0046】
(b)親油性抗酸化剤として、分子内にヒンダードフェノール構造又はセミヒンダードフェノール構造を有するフェノール性抗酸化剤を挙げることができる。このような化合物の具体例として、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸(INCI名テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチルを有する)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、モノ-又はジ-又はトリ-(α-メチルベンジル)フェノール、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、トリス[N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)]イソシアヌレート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ブチリデン-1,1ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナト]メタン、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-tert-ブチル-6-(3'-tert-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート及び1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を挙げることができる。
【0047】
(b)親油性抗酸化剤として、以下のものも挙げることができる:BHA(ブチル化ヒドロキシルアニソール)並びにBHT(ブチル化ヒドロキシルトルエン)、ビタミンE(すなわちトコフェロール及びトコトリエノール)並びにその誘導体、例えばホスフェート誘導体、例えば、昭和電工株式会社により販売されているTPNA(登録商標)、コエンザイムQ10(すなわちユビキノン)、イデベノン、ある特定のカロテノイド、例えばルテイン、アスタキサンチン、ベータカロテン、フェノール酸及び誘導体(例えばクロロゲン酸)。
【0048】
同様に挙げることができる(b)親油性抗酸化剤には、ジチオラン、例えばアスパラガス酸又はその誘導体、例えば珪質のジチオラン誘導体、とりわけ、例えば特許出願FR2908769に記載されているものが含まれる。
【0049】
同様に挙げることができる(b)親油性抗酸化剤には、以下のものが含まれる:
グルタチオン及びその誘導体(GSH及び/又はGSHOEt)、例えばグルタチオンアルキルエステル(例えば特許出願FR2704754及びFR2908769に記載されているもの);
システイン及びその誘導体、例えばN-アセチルシステイン又はL-2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸。以下のものも言及することができる:特許出願FR2877004及びFR2854160に記載されているシステイン誘導体;
酸化ストレスに対して保護するためのある特定の酵素、例えば、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ラクトペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ及びキノンレダクターゼ;
ベンジルシクラノン;置換ナフタレノン;ピドレート(とりわけ特許出願EP0511118に記載されているもの);コーヒー酸及びその誘導体、ガンマオリザノール;メラトニン、スルホラファン及びそれを含有する抽出物(クレソンを除く);
とりわけ特許出願WO94/11338、FR2698095、FR2737205又はEP0755925に記載されている、N,N'-ビス(ベンジル)エチレンジアミン-N,N'-二酢酸のジイソプロピルエステル;
特許出願FR2825920に記載されている、デフェロキサミン(すなわちデスフェラール)。
【0050】
同様に使用することができる(b)親油性抗酸化剤は、カルコン、より詳細にはフロレチン又はネオヘスペリジン、N,N'-ビス(ベンジル)エチレンジアミン-N,N'-二酢酸のジイソプロピルエステル、又はPYCNOGENOL(登録商標)等のフランスカイガンショウ樹皮の抽出物である。
【0051】
(b)親油性抗酸化剤の例として、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル、ノルジヒドログアイアレチン酸、トコフェロール、レスベラトロール、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシルトルエン、ブチル化ヒドロキシルアニソール、パルミチン酸アスコルビル、トコフェロール、及びこれらの混合物も挙げることができる。
【0052】
(b)親油性抗酸化剤は、生分解性であることが好ましい。この意味において、生分解性ではないBHTは、(b)親油性抗酸化剤として好ましくない。したがって、BHTを(b)親油性抗酸化剤として使用しないことが好ましい。更に、本発明による組成物は、BHTフリーであることが好ましい。
【0053】
「フリー」という用語は、ここでは、本発明による組成物が、限定的な量のBHTを含有してもよいことを意味する。しかしながら、BHTの量は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.01質量%未満であるように限定されることが好ましい。本発明による組成物は、BHTを含まないことが最も好ましい。
【0054】
(b)親油性抗酸化剤は、トコフェロール、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル、及びこれらの混合物から選択されることがより好ましい。
【0055】
本発明による組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0056】
その一方で、本発明による組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0057】
本発明による組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲内でありうる。
【0058】
[光遮蔽化合物]
本発明による組成物は、(c)10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する光について、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下の透過率を有する溶液を提供することができる、少なくとも1種の化合物を含み、ここで、溶液中の(c)化合物の濃度は、溶液の総質量に対して0.9質量%である。したがって、単一のタイプのこのような(c)化合物を使用しても、異なるタイプのこのような(c)化合物の組み合わせを使用してもよい。
【0059】
(c)化合物は、低い光透過率を提供することができる。そのため、(c)化合物は、光遮蔽化合物と呼ばれることもある。
【0060】
(c)化合物は、10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する光について、ゼロ(0)透過率を有する溶液を提供できることがより好ましく、ここで、溶液中の(c)化合物の濃度は、溶液の総質量に対して0.9質量%である。
【0061】
(c)化合物は、10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する光について、ゼロ(0)透過率を有する溶液を提供できることがより一層好ましく、ここで、溶液中の(c)化合物の濃度は、溶液の総質量に対して0.1質量%超である。
【0062】
溶液のための溶媒は、(c)化合物が溶媒中に可溶化される限り限定されず、溶媒は、290~420nmの波長を有する光について、一切の吸光度を有しない。例えば、溶媒として、水及びエタノール等の親水性溶媒を使用してもよい。
【0063】
透過率は、分光光度計、例えば、JASCO Corp社によるUV-可視/NIR分光光度計V-750によって測定することができる。
【0064】
(c)化合物は、10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する一切の光について、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、より一層好ましくはゼロ(0)%の透過率を有する溶液を提供することができる。言い換えれば、(c)化合物の溶液は、波長が290nm~420nmである一切の光を低減又は遮蔽することができる。
【0065】
本発明による組成物中の(a)レチノイドに到達して(a)レチノイドを分解しうる上記の特定波長を有する光を、(c)化合物は低減又は遮蔽することができる。そのため、(c)化合物は、(a)レチノイドの光安定性の増強に寄与することができ、本発明による組成物中の(a)レチノイドの分解を低減することができる。
【0066】
(c)化合物は、ポリフェノールから選択されうる。
【0067】
(ポリフェノール)
「ポリフェノール」という表現は、複数のフェノール性ヒドロキシル基を含有する化合物を意味するものと理解される。フェノール性ヒドロキシル基とは、ベンゼン環及びナフタレン環等の芳香族環に結合したヒドロキシル基を意味する。フェノール性ヒドロキシル基は、任意選択でエーテル化又はエステル化されてもよい。
【0068】
ポリフェノールは、抗酸化活性を有するものから選択されうる。
【0069】
ポリフェノールは、例えば、フラボノイドから選択されうる。
【0070】
好ましいフラボノイドは、一般式(I):
【0071】
【化1】
【0072】
(式中、
A"、B"、C"及びD"は、互いに独立して、H、OH、-R'又は-OR'を表し、R'は式R'OHの糖の残基を表し;
E"は、H、-OH又は-OX'を表し、X'は
【0073】
【化2】
【0074】
を表し、
F"、G"及びJ"は、互いに独立して、H、-OH又は-OCH3を表し;
X1は、-CH2-、-CO-又は-CHOH-を表す)
又は一般式(II):
【0075】
【化3】
【0076】
(式中、
A'、C'及びD'は、互いに独立して、H、-OH、-OCH3、-R'又は-OR'を表し、R'は式R'OHの糖の残基を表し;
E'は、H、-OH又は-OR'を表し、R'は式R'OHの糖の残基を表し;
B'、F'、G'及びJ'は、互いに独立して、H、-OH、-OCH3、-OCH2-CH2-OH、又は-OR'を表し、R'は式R'OHの糖の残基を表す)
に対応しうる。
【0077】
糖R'OHの中でも、ルチノース、グルコース、アピオース、ラムノース、ロビノース、ネオヘスペリドース、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0078】
式(I)及び(II)の化合物は公知である。これらは、とりわけ、「The Flavonoids」、Harborne J. B.、Mabry T. J.、Helga Mabry、1975年、1~45頁に記載されている方法によって得ることができる。
【0079】
フラボノイドは、フラボン、フラボノール、イソフラボン、フラバノール、フラバノン、アントシアニジン、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0080】
本発明のために使用することができるフラボノイドの中でも、アピゲニン、アピイン、アピゲトリン、ビテキシン、クリシン、トリンギン、ルテオリン、オリエンチン、ガランギン、ケルセチン、イソケルセチン、ルチン、グルコシルルチン、ケルシトリン、イソケルシトリン、ケンペロール、アストラガリン、ケンペリトリン、ロビニン、ミリセチン、ダイゼイン、ダイジン、ゲニステイン、ゲニステイン、グリシテイン、グリシチン、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、ナリンゲニン、ナリルチン、ナリンギン、ヘスペレチン、ヘスペリジン、グルコシルヘスペリジン、アントシアニジン、アントシアニン、シアニジン、シアニン、デルフィニジン、デルフィニン、ペラルゴニジン、及びペラルゴニンを挙げることができる。
【0081】
使用することができるある特定のポリフェノールは植物中に存在し、その中から公知の方法で抽出することができる。茶葉(チャノキ(Camellia sinensis)又はヤブツバキ(Camellia japonica))からの抽出物を使用することができる。特に、Taiyo社によりSUNPHENON(登録商標)の名称で販売されている緑茶抽出物が挙げられ、これはとりわけフラボノイドを含有する。
【0082】
ポリフェノールとして、QINGDAO TAITONG PHARMACEUTICAL社によりALPHA GLUCOSYL RUTINの名称で販売されている、グルコシルルチンとルチンとの混合物を使用することができる。
【0083】
使用することができるポリフェノールの中でも、カルノシン酸及びカルノソール等のポリフェノールを挙げることができ、これらは、例えば、ローズマリーから、抽出に続く蒸留(Changら、JOSC、第61巻、第6号、1984年6月)によって、又はEP-A-307,626に記載されているように、エタノール等の極性溶媒による抽出の前に、ヘキサン等の非極性溶媒を使用して抽出して臭気物質を除去することによって、のいずれかで抽出することができる。
【0084】
ポリフェノールはまた、式(III)の(2,5-ジヒドロキシフェニル)アルキレンカルボン酸及びその誘導体(とりわけ、エステル及びアミド):
【0085】
【化4】
【0086】
(式中、
R1"は、-O-Alk、OH又は-N(r')(r")を表し、Alkは、1つ若しくは複数のヒドロキシル若しくはアルコキシ基によって任意選択で置換されている直鎖状若しくは分枝状C1~C20アルキル、又はC2~C20アルケニルを示し、
r'及びr"は、独立して、H、C1~C20アルキル、C2~C6ヒドロキシアルキル又はC3~C6ポリヒドロキシアルキルを表し、或いは、r'及びr"は、これらが結合している窒素原子とともに、複素環を形成しており、
rは、-(CH2)r-COR1鎖が最大21個の炭素原子を含有するような、ゼロを含む数であり、
R2"及びR3"は、独立して、H又はC1~C4アルキルを表し、加えて、R2"は、C1~C4アルコキシを表すこともできる)
から選択してもよい。
【0087】
式(III)の化合物は公知であり、又は公知の方法に従って、例えば特許FR-2,400,358及びFR-2,400,359に記載されている方法と同様にして、調製することができる。
【0088】
ポリフェノールはまた、コーヒー酸のエステル又はアミドから選択してもよい。
【0089】
コーヒー酸のエステルの中でも、とりわけ、式(IV):
【0090】
【化5】
【0091】
(式中、
Zは、C1~C8アルキル、例えばメチル、又はフィトールの残基を表す)
の化合物を挙げることができる。
【0092】
コーヒー酸のアミドの中でも、とりわけ、式(V):
【0093】
【化6】
【0094】
(式中、
Z'は、C1~C8、特にC6~C8アルキルを表す)
の化合物を挙げることができる。
【0095】
式(IV)又は(V)の化合物は公知であり、又は公知の方法に従って調製することができる。
【0096】
(c)化合物は、
ケルセチン、イソケルセチン、ルチン、グルコシルルチン、及びこれらの混合物
からなる群から選択されうる。
【0097】
本発明による組成物中の(c)化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0098】
その一方で、本発明による組成物中の(c)化合物の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下であってもよい。
【0099】
本発明による組成物中の(c)化合物の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~2質量%の範囲内でありうる。
【0100】
[トリグリセリド油]
本発明による組成物は、トリグリセリドから選択される(d)少なくとも1種の油を含む。したがって、単一のタイプのこのような(d)油を使用しても、異なるタイプのこのような(d)油の組み合わせを使用してもよい。
【0101】
ここでは、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)において、液体又はペースト(非固体)の形態である脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品において一般に使用されるものを、単独で、又はそれらの組み合わせで使用することができる。
【0102】
(d)油は、トリグリセリドから選択される。したがって、(d)油は、(d)トリグリセリド油と呼ばれることもある。トリグリセリドは、グリセロールと3つの脂肪酸とから誘導されるエステルであり、トリアシルグリセロールと呼ばれることもある。
【0103】
(d)油のためのトリグリセリドは、少なくとも1つの不飽和脂肪酸残基を有することが好ましい。言い換えれば、(d)油のためのトリグリセリドは、グリセロールと、少なくとも1つの不飽和脂肪酸とから誘導されるエステルであることが好ましい。したがって、(d)油のためのトリグリセリドは、(i)グリセロールと、1つの不飽和脂肪酸及び2つの飽和脂肪酸から誘導されるエステル、(ii)グリセロールと、2つの不飽和脂肪酸及び1つの飽和脂肪酸から誘導されるエステル、又は(iii)グリセロールと、3つの不飽和脂肪酸から誘導されるエステルでありうる。2つ以上の不飽和脂肪酸が使用される場合、それらは同じであっても異なってもよい。2つの飽和脂肪酸が使用される場合、それらは同じであっても異なってもよい。
【0104】
本発明によれば、「不飽和脂肪酸」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合又は三重結合を含む脂肪酸を意味する。これらは、より特定的には、長鎖を有する脂肪酸であり、すなわち、8~32個の炭素原子、好ましくは12~26個の炭素原子、より好ましくは14~22個の炭素原子を有することができる。
【0105】
脂肪酸は、一不飽和、例えば、ペトロセリン酸(C12)、パルミトレイン酸(C16)、及びオレイン酸(C18)であってもよく、多価不飽和、すなわち、少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を提示するもの、例えば、リノール酸(C18)及びリノレン酸(C18)であってもよい。
【0106】
(d)油のためのトリグリセリドは、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸残基を有することがより好ましい。言い換えれば、(d)油のためのトリグリセリドは、グリセロールと、少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸とから誘導されるエステルであることがより好ましい。
【0107】
多価不飽和脂肪酸は、末端メチル基に最も近い不飽和位によって特徴づけられる、ω-3、ω-6、及びω-9脂肪酸から選択されうる。
【0108】
18から22個の間の炭素原子を含む多価不飽和脂肪酸、特にω-3及びω-6脂肪酸から選択されるものは、より好ましいことがある。
【0109】
ω-3系列の多価不飽和脂肪酸の中でも、α-リノレン酸(18:3、ω-3)、ステアリドン酸(18:4、ω-3)、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸、すなわちEPA(20:5、ω-3)、及び4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、すなわちDHA(22:6、ω-3)、ドコサペンタエン酸(22:5、ω-3)、及びn-ブチル-5,11,14-エイコサトリエン酸を挙げることができる。
【0110】
ω-6系列の多価不飽和脂肪酸の中でも、18個の炭素原子と2つの不飽和を有するリノレン酸(18:2、ω-6)、18個の炭素原子と3つの不飽和を有するγ-リノレン酸(18:3、ω-6)、20個の炭素原子と3つの不飽和を有するジホモガンマリノレン酸(20:3、ω-6)、アラキドン酸、すなわち5,8,11,14エイコサテトラエン酸(20:4、ω-6)、及びドコサテトラエン酸(22:4、ω-6)を挙げることができる。
【0111】
ω-9脂肪酸としては、ミード酸(20:3、ω-9)を挙げることができる。
【0112】
多価不飽和脂肪酸は、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、これらの混合物から選択されうる。
【0113】
(d)油のためのトリグリセリド中の脂肪酸残基を形成する脂肪酸の中で、多価不飽和脂肪酸の量は、脂肪酸の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上でありうる。
【0114】
(d)油のためのトリグリセリド中の脂肪酸残基を形成する脂肪酸の中で、多価不飽和脂肪酸の量/一不飽和脂肪酸の量の質量比は、1.0超、好ましくは1.5超、より好ましくは2.0超でありうる。
【0115】
(d)トリグリセリド油は、植物油から選択されうる。
【0116】
例えば、(d)トリグリセリド油は、ダイズ油、ナタネ油、綿実油、コメ油、トウモロコシ油、ブドウ種子油、ゴマ油、亜麻仁油、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0117】
(d)トリグリセリド油は、ダイズ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0118】
本発明による組成物中の(d)トリグリセリド油の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上でありうる。
【0119】
その一方で、本発明による組成物中の(d)トリグリセリド油の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0120】
本発明による組成物中の(d)トリグリセリド油の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲内でありうる。
【0121】
(d)トリグリセリド油は、本発明による組成物の脂肪相を形成することができる。
【0122】
本発明による組成物がO/Wタイプの形態である場合、本発明による組成物中の(d)トリグリセリド油は、O/Wタイプ組成物中に分散した脂肪相を形成することができる。
【0123】
[多糖]
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の多糖を含んでもよい。単一のタイプの多糖を用いてもよいが、2種以上の異なるタイプの多糖を組み合わせて使用してもよい。
【0124】
(e)多糖はカプセルを形成することができ、このカプセルは、(a)少なくとも1種のレチノイドを、好ましくは(d)少なくとも1種のトリグリセリド油とともに、より好ましくは(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤及び(d)少なくとも1種のトリグリセリド油とともに、カプセル化することができる。(a)少なくとも1種のレチノイドのカプセル化によって、(a)少なくとも1種のレチノイドの分解を更に低減することができ、或いは態様若しくは色の変化、又は本発明による組成物の悪臭を更に低減することができる。したがって、カプセルは、本発明による組成物の安定性を更に増強することができる。
【0125】
(a)少なくとも1種のレチノイドを含む(e)少なくとも1種の多糖のカプセルは、(a)少なくとも1種のレチノイドを、(e)少なくとも1種の多糖の少なくとも1つの層又は皮膜によって包囲又はコーティングすることによって、調製することができる。(a)少なくとも1種のレチノイドと(d)少なくとも1種のトリグリセリド油とを含む混合物が、(e)少なくとも1種の多糖によって包囲又はコーティングされることは好ましい。(a)少なくとも1種のレチノイドと、(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と、(d)少なくとも1種のトリグリセリド油とを含む混合物が、(e)少なくとも1種の多糖によって包囲又はコーティングされることはより好ましい。(a)少なくとも1種のレチノイドを、(d)少なくとも1種のトリグリセリド油に可溶化し、次いで、(d)少なくとも1種のトリグリセリド油を、(e)少なくとも1種の多糖によって包囲又はコーティングすることは、より一層好ましい。(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤を、(d)少なくとも1種のトリグリセリド油に可溶化してもよい。
【0126】
包囲する工程は、任意の従来の方法によって行うことができる。例えば、(i)(a)少なくとも1種のレチノイドと(d)少なくとも1種のトリグリセリド油とを含む混合物を、(ii)(e)多糖とともに共押出しすることができる。この場合、押し出された(i)混合物がコアを形成することができ、(ii)(e)多糖がシェルを形成することができる。共押出しされたコア/シェル構造を、カプセルに対応するコア/シェル粒子に変換することができる。上記の(i)混合物は、(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤も含んでもよい。
【0127】
カプセルの形態は限定されない。例えば、カプセルは球体の形態であってもよい。
【0128】
カプセルのサイズは限定されない。カプセルのサイズ又は直径は、0.1~10mm、好ましくは0.5~5mm、より好ましくは1~3mmでありうることができる。
【0129】
カプセルは、本発明による組成物中に分散及び懸濁させることができる。カプセルは、本発明による組成物に特有の態様を提供することができる。
【0130】
(e)多糖は、植物に由来する多糖から選択されることが好ましい。言い換えれば、(e)多糖は、植物起源のものであることが好ましい。
【0131】
その一方で、(e)多糖はまた、セルロース及びその誘導体から選択されないことが好ましい。
【0132】
本発明によれば、「植物に由来する多糖」という用語は、とりわけ、植物界(植物又は藻類)から得られる多糖を意味するが、これは、例えばとりわけ細菌キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)の発酵によって生成されるキサンタンガムのような、バイオテクノロジーによって得られる多糖に対立するものとしての意味である。
【0133】
本発明によって使用されうる植物起源の多糖の例として、とりわけ、以下のものを挙げることができる:
a)藻類抽出物、例えば、アルギン酸塩、カラギーナン及び寒天、並びにこれらの混合物。挙げることができるカラギーナンの例には、Degussa社製のSatiagum UTC30(登録商標)及びUTC10(登録商標)が含まれ;挙げることができるアルギン酸塩は、ISP社によりKelcosol(登録商標)の名称で販売されているアルギン酸ナトリウムである;
b)ガム、例えば、グアーガム及びその非イオン性誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、アラビアガム、コンニャクガム若しくはマンナンガム、トラガカントガム、ガティガム、カラヤガム、又はローカストビーンガム;挙げることができる例には、Rhodia社によりJaguar HP105(登録商標)の名称で販売されているグアーガム;GfN社により販売されているマンナン及びkonjac gum(登録商標)(1%グルコノマンナン)が含まれる;
c)化工デンプン又は非化工デンプン、例えば、コムギ、トウモロコシ又はイネ等の禾穀類から得られるもの、マメ科植物、例えばブロンドピー(blonde pea)から得られるもの、塊茎、例えばジャガイモ又はキャッサバから得られるもの、及びタピオカデンプン等;デキストリン、例えばトウモロコシデキストリン;とりわけ挙げることができる例には、Remy社により販売されているコメデンプンRemy DR I(登録商標);Roquette社製のcorn starch B(登録商標);2-クロロエチルアミノジプロピオン酸によって変性され、水酸化ナトリウムによって中和された、National Starch社によりStructure Solanace(登録商標)の名称で販売されているジャガイモデンプン;National Starch社によりTapioca pure(登録商標)の名称で販売されている天然タピオカデンプン粉末が含まれる;
d)デキストリン、例えばトウモロコシから抽出された、National Starch社製のIndex(登録商標)という名称のデキストリン;並びに
これらの混合物。
【0134】
好ましくは、(e)多糖は、藻類抽出物から選択される。
【0135】
藻類抽出物は、アルギン酸塩、カラギーナン及び寒天、並びにこれらの混合物から選択されうる。好ましくは、アルギン酸塩若しくは寒天、又はこれらの混合物が使用されうる。
【0136】
本発明による組成物中の(e)多糖の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上でありうる。
【0137】
その一方で、本発明による組成物中の(e)多糖の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0138】
本発明による組成物中の(e)多糖の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.005質量%~2質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%の範囲内でありうる。
【0139】
[キレート剤]
本発明による組成物は、(e)多糖を含まない場合、(f)少なくとも1種のキレート剤を含んでもよい。単一のタイプのキレート剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのキレート剤を組み合わせて使用してもよい。
【0140】
(f)キレート剤として、次のものを挙げることができる:
(i)アミノカルボン酸、例えば、次のINCI名を有する化合物:ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)及びエチレンジアミンジコハク酸3Na、例えばOctel社製のOctaquest E30、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン-N,N'-二グルタル酸(EDDG)、グリシンアミド-N,N'-二コハク酸(GADS)、2-ヒドロキシプロピレンジアミン-N,N'-二コハク酸(HPDDS)、エチレンジアミン-N,N'-ビス(オルト-ヒドロキシフェニル酢酸) (EDDHA)、N,N'-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N'-二酢酸(HBED)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、N-2-ヒドロキシエチル-N,N-二酢酸及びグリセリルイミノ二酢酸(文献EP-A-317542及びEP-A-399133に記載されている通り)、イミノ二酢酸-N-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸及びアスパラギン酸N-カルボキシメチルN-2-ヒドロキシプロピル-3-スルホン酸(EP-A-516102に記載されている通り)、ベータアラニン-N,N'-二酢酸、アスパラギン酸-N,N'-二酢酸及びアスパラギン酸-N-一酢酸(EP-A-509382に記載されている通り)、次のものをベースとするキレート剤:イミノ二コハク酸(IDSA) (EP-A-509382に記載されている通り)、エタノール二グリシン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、例えば、Bayer社によりBayhibit AMの参照名で販売されている化合物、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム(GLDA)、例えば、Akzo Nobel社製のDissolvine GL38又は45S、
(ii)一又はポリホスホン酸をベースとするキレート剤、例えば、次のINCI名を有する化合物:ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸) (DTPMP)、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-三ホスホン酸(E1HTP)、エタン-2-ヒドロキシ-1,1,2-三ホスホン酸(E2HTP)、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-二ホスホン酸(EHDP)、エタン-1,1,2-三ホスホン酸(ETP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、及びヒドロキシエタン-1,1-二ホスホン酸(HEDP)、並びに
(iii)ポリリン酸をベースとするキレート剤、例えば、次のINCI名を有する化合物:トリポリリン酸ナトリウム(STP)、二リン酸四ナトリウム、ヘキサメタリン酸、メタリン酸ナトリウム、フィチン酸、その塩及び誘導体、
並びに
これらの混合物。
【0141】
(f)キレート剤は、生分解性であることが好ましい。この意味において、生分解性ではないEDTAは、(f)キレート剤として好ましくない。したがって、EDTAを(f)キレート剤として使用しないことが好ましい。更に、本発明による組成物は、EDTAフリーであることが好ましい。
【0142】
「フリー」という用語は、ここでは、本発明による組成物が、限定的な量のEDTAを含有してもよいことを意味する。しかしながら、EDTAの量は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、より一層好ましくは0.01質量%未満であるように限定されることが好ましい。本発明による組成物は、EDTAを含まないことが最も好ましい。
【0143】
(f)キレート剤は、エチレンジアミンジコハク酸3Naであることがより好ましい。
【0144】
本発明による組成物中の(f)キレート剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上でありうる。
【0145】
その一方で、本発明による組成物中の(f)キレート剤の量は、組成物の総質量に対して、3質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0146】
本発明による組成物中の(f)キレート剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~3質量%、好ましくは0.005質量%~2質量%、より好ましくは0.01質量%~1質量%の範囲内でありうる。
【0147】
[水]
本発明による組成物は、水を含んでもよい。
【0148】
水は、本発明による組成物の水性相を形成することができる。
【0149】
本発明による組成物がO/Wタイプの形態である場合、本発明による組成物中の水は、O/Wタイプ組成物中の連続水性相を形成することができる。
【0150】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上でありうる。
【0151】
その一方で、本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下であってもよい。
【0152】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~90質量%、好ましくは55質量%~85質量%、より好ましくは60質量%~80質量%の範囲内でありうる。
【0153】
[ポリオール]
本発明による組成物は、ポリフェノールとは異なる少なくとも1種のポリオールを更に含んでもよい。単一のタイプのポリオールを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのポリオールを組み合わせて使用してもよい。
【0154】
「ポリオール」という用語は、ここでは、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖又はその誘導体を包含しない。糖の誘導体としては、糖の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、及び1つ又は複数のヒドロキシ基中の水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基、又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置き換えられている糖又は糖アルコールが挙げられる。
【0155】
ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2~5つのヒドロキシ基を含む、C2~C12ポリオール、好ましくはC2~C9ポリオールでありうる。
【0156】
ポリオールは、天然ポリオールであっても、合成ポリオールであってもよい。ポリオールは、直鎖状、分枝状、又は環状の分子構造を有してもよい。
【0157】
ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択されうる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリエチレングリコール(5~50のエチレンオキシド基)、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0158】
本発明による組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上でありうる。
【0159】
その一方で、本発明による組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、35質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下であってもよい。
【0160】
したがって、ポリオールは、組成物の総質量に対して、0.01質量%~35質量%、好ましくは0.05質量%~30質量%、例えば0.1質量%~25質量%の範囲内の量で、本発明による組成物中に存在してもよい。
【0161】
[他の成分]
本発明による組成物は、室温(25℃)で液体の形態である、1種又は複数種のモノアルコール、例えば1~6個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のモノアルコール等、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ペンタノール、及びヘキサノールを含有してもよい。
【0162】
本発明による組成物中のモノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上でありうる。
【0163】
その一方で、本発明による組成物中のモノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、60質量%以下、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下であってもよい。
【0164】
したがって、本発明による組成物中のモノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~60質量%、好ましくは0.1質量%~55質量%、より好ましくは1質量%~50質量%の範囲内でありうる。
【0165】
本発明による組成物はまた、上記で説明した成分以外に、化粧用及び皮膚科学的組成物において従来使用される様々なアジュバント、例えば、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び両性又は双性イオン性ポリマー、アニオン性、カチオン性、両性及び非イオン性界面活性剤、親水性抗酸化剤、着色剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、香料、分散剤、コンディショニング剤、皮膜形成剤、保存剤、共保存剤、並びにこれらの混合物を含んでもよい。
【0166】
[調製]
本発明による組成物は、上記で説明した必須成分、及び必要な場合、上記で説明した任意選択の成分を混合することによって、調製することができる。
【0167】
上記の必須成分及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を使用して、上記の必須成分及び任意選択の成分を混合し、本発明による組成物を調製することができる。
【0168】
[形態]
本発明による組成物の形態は特に限定されず、エマルション(O/W型又はW/O型の形態)、水性ゲル、水性溶液等の様々な形態をとりうる。
【0169】
本発明による組成物は、O/Wタイプの形態であることが好ましい。本発明による組成物は、連続水性相中に分散した脂肪相を含む、O/W型エマルション又はO/W型ディスパージョンの形態であることがより好ましい。分散した脂肪相は、水性相中の油滴とすることができる。本発明による組成物は、O/W型ゲルエマルション又はO/W型ゲルディスパージョンの形態であることがより一層好ましい。
【0170】
水性相中に分散した脂肪相からなるO/W型の構成又は構造は、外側に水性相を有し、そのため、本発明による組成物がO/W型の構成又は構造を有する場合、水性相が提供できる即時のみずみずしさの感覚があるので、心地よい使用感を提供することができる。
【0171】
[方法及び使用]
本発明による組成物は、化粧用又は皮膚科学的組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚等のケラチン物質のための化粧用組成物であることが好ましい。
【0172】
本発明による組成物は、ケラチン物質に塗布することによって、皮膚、毛髪、粘膜、爪、まつ毛、眉毛、及び/又は頭皮等のケラチン物質を処置するための美容方法等、非治療的方法のために使用することができる。
【0173】
したがって、本発明はまた、皮膚等のケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法にも関する。
【0174】
本発明による組成物は、例えば、皮膚等のケラチン質物質のための老化防止、抗皺、又はターンオーバー促進製品として使用されうる。特に、本発明による組成物は、抗皺皮膚化粧料として使用されうる。
【0175】
本発明の別の態様は、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤、
(c)10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する光について、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下の透過率を有する溶液を提供することができる、少なくとも1種の化合物であり、溶液中の化合物の濃度が、溶液の総質量に対して0.9質量%である、化合物、及び
(d)トリグリセリド、好ましくは少なくとも1つの不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリド、より好ましくは少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドから選択される、少なくとも1種の油
の使用であって、
(a)少なくとも1種のレチノイドを含む安定組成物、好ましくは、光への曝露下と種々の温度条件下との両方に安定である組成物を製造するための、
又は
光への曝露下と高温との両方において、(a)少なくとも1種のレチノイドを含む組成物中の(a)少なくとも1種のレチノイドの分解を低減するための、使用であり、
組成物が、(e)好ましくは植物に由来する多糖から選択され、より好ましくは藻類抽出物から選択される、少なくとも1種の任意選択の多糖を含み、
且つ
組成物が(e)少なくとも1種の多糖を含まない場合、組成物が、(f)少なくとも1種のキレート剤、好ましくは生分解性キレート剤、より好ましくはエチレンジアミンジサクシネート三ナトリウムを含む、使用に関する。
【0176】
本発明の別の態様はまた、
(a)少なくとも1種のレチノイドを含む安定組成物、好ましくは、光への曝露下と種々の温度条件下との両方に安定である組成物を調製するための、又は
光への曝露下と高温との両方において、(a)少なくとも1種のレチノイドを含む組成物中の(a)少なくとも1種のレチノイドの分解を低減するための、方法であって、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤、
(c)10mmの光路長を伝わる290~420nmの波長を有する光について、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下の透過率を有する溶液を提供することができる、少なくとも1種の化合物であり、溶液中の化合物の濃度が、溶液の総質量に対して0.9質量%である、化合物、
(d)トリグリセリド、好ましくは少なくとも1つの不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリド、より好ましくは少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸残基を有するトリグリセリドから選択される、少なくとも1種の油、及び
(e)好ましくは植物に由来する多糖から選択され、より好ましくは藻類抽出物から選択される、少なくとも1種の任意選択の多糖
を、組成物に加える工程を含み、
(e)少なくとも1種の多糖を加えない場合、(f)少なくとも1種のキレート剤、好ましくは生分解性キレート剤、より好ましくはエチレンジアミンジサクシネート三ナトリウムを加える工程を更に含む、方法に関する。
【0177】
上記態様では、(a)少なくとも1種のレチノイドは、(e)少なくとも1種の多糖によってカプセル化されることが好ましい。
【0178】
(a)少なくとも1種のレチノイドと(d)少なくとも1種のトリグリセリド油とを含む混合物が、(e)少なくとも1種の多糖によってカプセル化されることはより好ましい。
【0179】
(a)少なくとも1種のレチノイドと、(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と、(d)少なくとも1種のトリグリセリド油とを含む混合物が、(e)少なくとも1種の多糖によってカプセル化されることは、より一層好ましい。
【0180】
本発明による組成物についての成分(a)~(f)、及び任意選択の成分に関する上記の説明は、上記の本発明による使用及び方法のための成分に適用することができる。本発明による組成物の調製及び形態に関する説明もまた、上記の使用及び方法において記載された組成物の調製及び形態に適用することができる。
【実施例0181】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0182】
(実施例1及び比較例1~4)
表1に示す、O/W型エマルションの形態の実施例1及び比較例1~4による以下の組成物を、表1に示す成分を混合することによって調製した。
【0183】
O/W型エマルション(実施例1及び比較例1~4)の調製を、次の通りに行った。
(1)フェーズBの成分を75~80℃で混合して、フェーズBの均一な混合物を形成する;
(2)上記工程(1)によって得た混合物を、室温に冷却する;
(3)フェーズAの成分を、フェーズBの均一な混合物に室温で加えて、フェーズ(A+B)の均一な混合物を形成する;
(4)ホモジナイザーを用いてフェーズCの成分を75~80℃で混合して、フェーズCの均一な混合物を形成する;
(5)フェーズDの成分を室温で混合して、フェーズDの均一な混合物を形成する;
(6)フェーズ(A+B)の均一な混合物、フェーズCの均一な混合物、及びフェーズDの均一な混合物を混合する;
(7)上記工程(6)によって得た混合物を均質化し、室温に冷却する。
【0184】
表1に示す成分の量の数値はすべて、原料としての「質量%」に基づく。
【0185】
【表1A】
【0186】
【表1B】
【0187】
[評価]
(熱安定性)
レチノール残存率
実施例1及び比較例1~4による組成物の各々をガラス瓶に充填し、45℃の温度条件下で2カ月間保持した。45℃で2カ月間保存した後のレチノールの残存率(%)をHPLCによって測定し、HPLCによって測定した初期%(生成後24時間)の関数として計算した。各組成物についてこのように計算したレチノール残存率(%)を、次の基準に従って評価した。
非常に良好:85以上
良好:80以上且つ85未満
不良:70以上且つ80未満
非常に不良:70未満
【0188】
結果を表1に示す。
【0189】
目視観察
実施例1及び比較例1~4による組成物を各々4つのガラス瓶に充填し、各ガラス瓶をそれぞれ4℃、25℃、37℃及び45℃の温度条件下で2カ月間保持した。
【0190】
次いで、各ガラス瓶を、変化の程度(態様、色及び匂いの観点)について調査し、次の基準によって評価した。
非常に良好:生成時とほぼ同じ状態。
良好:態様、色又は匂いにわずかな変化が観察された。
不良:態様(分離若しくはクリーミング)、色(黄変若しくは褐変)、又は匂い(悪臭)の変化が、明白に観察された。
非常に不良:態様(分離若しくはクリーミング)、色(黄変若しくは褐変)、又は匂い(悪臭)の変化が、著しく認められた。
【0191】
結果を表1に示す。
【0192】
(光安定性)
レチノール残存率
実施例1及び比較例1~4による組成物の各々をガラス瓶に充填し、日光試験*(24時間)によって試験した。日光試験後のレチノールの残存率(%)をHPLCによって測定し、HPLCによって測定した初期%(生成後24時間)の関数として計算した。各組成物についてこのように計算したレチノール残存率(%)を、次の基準に従って評価した。
非常に良好:85以上
良好:80以上且つ85未満
不良:70以上且つ80未満
非常に不良:70未満
【0193】
*日光試験
SUNTEST CPS+(Atras社)を使用することによって、次の条件下で、ガラス瓶を人工日光に曝露した。
照射量;765W/m2
温度;25℃
試験の継続期間;24時間
【0194】
結果を表1に示す。
【0195】
目視観察
実施例1及び比較例1~4による組成物の各々をガラス瓶に充填し、ガラス瓶を上記日光試験に供した。
【0196】
次いで、各ガラス瓶を、変化の程度(態様、色及び匂いの観点)について調査し、次の基準によって評価した。
非常に良好:生成時とほぼ同じ状態。
良好:態様、色又は匂いにわずかな変化が観察された。
不良:態様(分離若しくはクリーミング)、色(黄変若しくは褐変)、又は匂い(悪臭)の変化が、明白に観察された。
非常に不良:態様(分離若しくはクリーミング)、色(黄変若しくは褐変)、又は匂い(悪臭)の変化が、著しく認められた。
【0197】
結果を表1に示す。
【0198】
(結果)
上記で説明した成分(a)~(d)を含む(任意選択成分(e)を欠く)実施例1による組成物は、光への曝露下と種々の温度との両方に安定であり、組成物の状態は実質的に変化しなかった。また、実施例1による組成物中の成分(a)は、光への曝露下と高温との両方にさえ、十分な残存率で維持された。
【0199】
成分(d)を含まない比較例1による組成物は、高温において、成分(a)を十分な残存率で維持することができなかった。
【0200】
成分(b)を含まない比較例2による組成物は、高温において、成分(a)を十分な残存率で維持することができなかった。
【0201】
成分(f)を含まない比較例3による組成物は、高温において、成分(a)を十分な残存率で維持することができなかった。
【0202】
成分(c)を含まない比較例4による組成物は、光に対して、成分(a)を十分な残存率で維持することができなかった。
【0203】
(実施例2~5及び比較例5~7)
表2に示す、カプセル化されたO/W型ゲルタイプディスパージョンの形態の実施例2~5及び比較例5~7による以下の組成物を、表2に示す成分を混合することによって調製した。
【0204】
実施例2~5及び比較例5~7による、カプセル化されたO/W型ゲルタイプディスパージョンの調製を、次の通りに行った。
(1)フェーズBの成分を75~80℃で混合して、フェーズBの均一な混合物を形成する;
(2)上記工程(1)によって得た混合物を、室温に冷却する;
(3)フェーズAの成分を、フェーズBの均一な混合物に室温で加えて、フェーズ(A+B)の均一な混合物を形成する;
(4)ホモジナイザーを用いてフェーズCの成分を75~80℃で混合して、フェーズCの均一な混合物を形成する;
(5)フェーズDの成分を室温で混合して、フェーズDの均一な混合物を形成する;
(6)フェーズDの均一な混合物を、フェーズCの均一な混合物に室温で加えて、フェーズ(C+D)の均一な混合物を形成する;
(7)ホモジナイザーを用いてフェーズEの成分を80~90℃で混合して、フェーズEの均一な混合物を形成する;
(8)フェーズ(A+B)の均一な混合物とフェーズEの均一な混合物とを、共押出しして、前者を後者でカプセル化して、フェーズ(A+B)の均一な混合物が、フェーズEの均一な混合物でコーティング及びカプセル化されたカプセルを調製する;
(9)上記工程(8)によって得たカプセルを、フェーズ(C+D)の均一な混合物に室温で加える。
【0205】
表2に示す成分の量の数値はすべて、原料としての「質量%」に基づく。
【0206】
【表2A】
【0207】
【表2B】
【0208】
[評価]
(熱安定性)
レチノール残存率
実施例2~5及び比較例5~7による組成物の各々をガラス瓶に充填し、45℃の温度条件下で2カ月間保持した。45℃で2カ月間保存した後のレチノールの残存率(%)をHPLCによって測定し、HPLCによって測定した初期%(生成後24時間)の関数として計算した。各組成物についてこのように計算したレチノール残存率(%)を、次の基準に従って評価した。
非常に良好:85以上
良好:80以上且つ85未満
不良:70以上且つ80未満
非常に不良:70未満
【0209】
結果を表2に示す。
【0210】
目視観察
実施例2~5及び比較例5~7による組成物を各々4つのガラス瓶に充填し、各ガラス瓶を、それぞれ4℃、25℃、37℃及び45℃の温度条件下で、2カ月間保持した。
【0211】
次いで、各ガラス瓶を、変化の程度(態様、色及び匂いの観点)について調査し、次の基準によって評価した。
非常に良好:生成時とほぼ同じ状態。
良好:態様、色又は匂いにわずかな変化が観察された。
不良:態様(分離若しくはクリーミング)、色(黄変若しくは褐変)、又は匂い(悪臭)の変化が、明白に観察された。
非常に不良:態様(分離若しくはクリーミング)、色(黄変若しくは褐変)、又は匂い(悪臭)の変化が、著しく認められた。
【0212】
結果を表2に示す。
【0213】
(光安定性)
レチノール残存率
実施例2~5及び比較例5~7による組成物の各々をガラス瓶に充填し、日光試験*(24時間)によって試験した。日光試験後のレチノールの残存率(%)をHPLCによって測定し、HPLCによって測定した初期%(生成後24時間)の関数として計算した。各組成物についてこのように計算したレチノール残存率(%)を、次の基準に従って評価した。
非常に良好:85以上
良好:80以上且つ85未満
不良:70以上且つ80未満
非常に不良:70未満
【0214】
*日光試験
SUNTEST CPS+(Atras社)を使用することによって、次の条件下で、ガラス瓶を人工日光に曝露した。
照射量;765W/m2
温度;25℃
試験の継続期間;24時間
【0215】
結果を表2に示す。
【0216】
目視観察
実施例2~5及び比較例5~7による組成物の各々をガラス瓶に充填し、ガラス瓶を上記日光試験に供した。
【0217】
次いで、各ガラス瓶を、変化の程度(態様、色及び匂いの観点)について調査し、次の基準によって評価した。
非常に良好:生成時とほぼ同じ状態。
良好:態様、色又は匂いにわずかな変化が観察された。
不良:態様(分離若しくはクリーミング)、色(黄変若しくは褐変)、又は匂い(悪臭)の変化が、明白に観察された。
非常に不良:態様(分離若しくはクリーミング)、色(黄変若しくは褐変)、又は匂い(悪臭)の変化が、著しく認められた。
【0218】
結果を表2に示す。
【0219】
(結果)
上記で説明した成分(a)~(e)を含む実施例2による組成物は、光への曝露下と種々の温度との両方に安定であり、組成物の状態は実質的に変化しなかった。また、実施例2による組成物中の成分(a)は、光への曝露下と高温との両方にさえ、十分な残存率で維持された。
【0220】
成分(b)として単一の成分を各々含む実施例3及び4による組成物も、光への曝露下と種々の温度との両方に安定であり、組成物の状態は実質的に変化しなかった。また、実施例3及び4による組成物中の成分(a)は、光への曝露下と高温との両方にさえ、十分な残存率で維持された。
【0221】
成分(e)を含み、成分(f)を含まない実施例5による組成物も、光への曝露下と種々の温度との両方に安定であり、組成物の状態は実質的に変化しなかった。また、実施例5による組成物中の成分(a)は、光への曝露下と高温との両方にさえ、十分な残存率で維持された。
【0222】
成分(d)を含まない比較例5による組成物は、高温において、成分(a)を十分な残存率で維持することができなかった。
【0223】
成分(b)を含まない比較例6による組成物は、高温において、成分(a)を十分な残存率で維持することができなかった。
【0224】
成分(c)を含まない比較例7による組成物は、光に対して、成分(a)を十分な残存率で維持することができなかった。
【外国語明細書】