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特開2023-9132ポリペプチドアレイおよびポリペプチドをアレイに取り付ける方法
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  • 特開-ポリペプチドアレイおよびポリペプチドをアレイに取り付ける方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009132
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】ポリペプチドアレイおよびポリペプチドをアレイに取り付ける方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20230112BHJP
   C07K 17/14 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
G01N33/543 525W
G01N33/543 525U
C07K17/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177085
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2020188741の分割
【原出願日】2016-03-14
(31)【優先権主張番号】62/132,405
(32)【優先日】2015-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514199799
【氏名又は名称】ヴィブラント ホールディングス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ラジャセカラン ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティアンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ベイ カン
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤラマン ヴァサンス
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムルティ ハリ クリシュナン
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA63
4H045DA02
4H045DA14
4H045EA50
(57)【要約】
【課題】改善されたペプチドアレイと改善されたペプチドアレイ製作方法を提供する。
【解決手段】生体分子を表面に取り付ける方法であって、以下の工程を含む、方法:該表面に取り付けられた複数の取り付け基を備える表面を得る工程;該取り付け基に、光活性化可能な結合体化化合物を取り付ける工程;該表面を生体分子と接触させる工程;および該表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、該電磁放射線が、該取り付けられた光活性化可能な結合体化化合物を活性化し、該取り付けられ、活性化された光活性化可能な結合体化化合物が該生体分子に結合し、それによって、該生体分子が該表面に取り付けられる、工程。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体分子を表面に取り付ける方法であって、以下の工程を含む、方法:
該表面に取り付けられた複数の取り付け基を備える表面を得る工程;
該取り付け基に、光活性化可能な結合体化化合物を取り付ける工程;
該表面を生体分子と接触させる工程;および
該表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、該電磁放射線が、該取り付けられた光活性化可能な結合体化化合物を活性化し、該取り付けられ、活性化された光活性化可能な結合体化化合物が該生体分子に結合し、それによって、該生体分子が該表面に取り付けられる、工程。
【請求項2】
光活性化可能な結合体化化合物が、NHSエステル、スルホ-NHSエステル、アミン、第一級アルコール、第二級アルコール、フェノール、チオール、アニリン、ヒドロキサム酸、第一級アミド、脂肪族アミン、およびスルホンアミドからなる群より選択される官能基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
光活性化可能な結合体化化合物がエステルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
光活性化可能な結合体化化合物がカルボン酸基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
カルボキシル基が活性化される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
光活性化可能な結合体化化合物がN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
光活性化可能な結合体化化合物がアミン基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン、アリールアジド、およびベンゾフェノンからなる群より選択される光活性化可能な基を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される光活性化された結合体化部分を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
光活性化可能な結合体化化合物が、エステルに取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される部分に機能的に取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
取り付け基がアミン基である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
取り付け基がカルボン酸基である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
カルボキシル基が、アミン基に結合するように活性化される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
生体分子がポリペプチドである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ポリペプチドがタンパク質である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
生体分子が、低分子、タンパク質、炭水化物、オリゴマー、ペプチド、細胞溶解産物に由来する生体分子、抗体、プロテアーゼ、および酵素からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
電磁放射線の波長が248nmである、請求項1記載の方法。
【請求項19】
電磁放射線の波長が330~370nmである、請求項1記載の方法。
【請求項20】
表面が多孔性であり、取り付け基が複数の方向に向けられている、請求項1記載の方法。
【請求項21】
表面が、支持体の平面層の位置が定められた場所に機能的にカップリングされたピラーの表面である、請求項1記載の方法。
【請求項22】
それぞれのピラーが、支持体の平面層から伸ばされた平らな上面を有する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
支持体のそれぞれのピラーの上面と平面層との間の距離が1,000~5,000オングストロームである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
ピラーが、支持体上に存在する複数のピラーのうちの1つである、求項21記載の方法。
【請求項25】
複数のピラーが10,000/cm2を超える密度で存在する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
それぞれのピラーの中心が他の任意のピラーの中心から少なくとも2,000オングストローム離れている、請求項24記載の方法。
【請求項27】
それぞれのピラーの表面が平面層の上面と平行である、請求項24記載の方法。
【請求項28】
それぞれのピラーの表面が平面層の上面と実質的に平行である、請求項24記載の方法。
【請求項29】
それぞれのピラーの表面積が少なくとも1μm2である、請求項21記載の方法。
【請求項30】
それぞれのピラーの表面の表面積の総面積が10,000μm2未満である、請求項21記載の方法。
【請求項31】
それぞれのピラーが二酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む、請求項21記載の方法。
【請求項32】
それぞれのピラーが少なくとも98~99重量%の二酸化ケイ素である、請求項21記載の方法。
【請求項33】
位置が定められた場所がそれぞれ、複数の同一の生体分子を含む、請求項21記載の方法。
【請求項34】
位置が定められた場所がそれぞれ、他の位置が定められた場所とは異なる複数の同一の配列を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
位置が定められた場所がそれぞれ、位置が区別できる場所である、請求項21記載の方法。
【請求項36】
生体分子が表面に共有結合的に取り付けられる、請求項1記載の方法。
【請求項37】
選択的に露光された表面における生体分子の取り付けの取り付け効率が、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%である、請求項1記載の方法。
【請求項38】
アレイへの生体分子の取り付けの安定性が高い、請求項1記載の方法。
【請求項39】
表面の選択された場所に取り付けられた複数のユニークな生体分子を備える表面を生じるように任意で繰り返される、請求項1記載の方法。
【請求項40】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも2種類のユニークな生体分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項41】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10種類のユニークな生体分子を含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも100種類のユニークな生体分子を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも1,000種類のユニークな生体分子を含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10,000種類のユニークな生体分子を含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
ポリペプチドを表面に取り付ける方法であって、以下の工程を含む、方法:
該表面に取り付けられた複数の遊離アミン基を備える表面を得る工程;
該表面を、結合体化化合物を含む結合体化溶液と接触させることによって、該表面に結合体化化合物を取り付ける工程であって、該結合体化化合物が、活性化されたカルボン酸基を含み、該活性化されたカルボン酸基が、該表面に取り付けられた遊離アミン基に結合する、工程;
該表面をポリペプチドと接触させる工程;および
該表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、該電磁放射線が、該取り付けられた結合体化化合物を活性化し、該取り付けられ、活性化された結合体化化合物が該ポリペプチドに結合し、それによって、該ポリペプチドが該表面に取り付けられる、工程。
【請求項46】
ポリペプチドを表面に取り付ける方法であって、以下の工程を含む、方法:
該表面に取り付けられた複数の遊離カルボン酸基を備える表面を得る工程;
該表面をカルボン酸活性化溶液と接触させ、それによって、アミン基との結合のために該カルボン酸基を活性化する工程;
該表面を、結合体化化合物を含む結合体化溶液と接触させることによって、該表面に結合体化化合物を取り付ける工程であって、該結合体化化合物がアミン基を含み、該アミン基が、該表面に取り付けられた活性化されたカルボン酸基に結合する、工程;
該表面をポリペプチドと接触させる工程;および
該表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、該電磁放射線が、該取り付けられた結合体化化合物を活性化し、該取り付けられ、活性化された結合体化化合物が該ポリペプチドに結合し、それによって、該ポリペプチドが該表面に取り付けられる、工程。
【請求項47】
結合体化化合物を表面に取り付けた後に、該表面を洗浄する工程をさらに含む、請求項45または46記載の方法。
【請求項48】
表面に取り付けられたカルボン酸基を活性化した後に、該表面を洗浄する工程をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
活性化された結合体化化合物が、ペプチドバックボーン、側鎖、アミン基、カルボン酸基からなる群より選択されるポリペプチドの部位に結合する、請求項45または46記載の方法。
【請求項50】
表面を結合体化溶液と接触させる工程が、該結合体化溶液を該表面上にスピンコーティングする工程を含む、請求項45または46記載の方法。
【請求項51】
電磁放射線の波長が248nmである、請求項45または46記載の方法。
【請求項52】
電磁放射線の波長が330~370nmである、請求項45または46記載の方法。
【請求項53】
結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される光活性化された結合体化部分を含む、請求項45または46記載の方法。
【請求項54】
結合体化化合物が、エステルに取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、請求項46記載の方法。
【請求項55】
結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される部分に機能的に取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む、請求項46記載の方法。
【請求項56】
結合体化溶液がポリマーを含む、請求項45または46記載の方法。
【請求項57】
ポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項56記載の方法。
【請求項58】
カルボン酸活性化溶液がカルボジイミドまたはN-ヒドロキシスクシンイミドを含む、請求項46記載の方法。
【請求項59】
カルボン酸活性化溶液が、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、ブロモ(トリピロリジン-1-イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスファート、およびO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラートからなる群より選択される化合物を含む、請求項46記載の方法。
【請求項60】
カルボン酸活性化溶液が、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、およびヒドロキシベンゾトリアゾールからなる群より選択される化合物を含む、請求項45または46記載の方法。
【請求項61】
ポリペプチドがタンパク質である、請求項45または46記載の方法。
【請求項62】
選択的に露光された表面における生体分子の取り付けの取り付け効率が、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%である、請求項45または46記載の方法。
【請求項63】
アレイへの生体分子の取り付けの安定性が高い、請求項45または46記載の方法。
【請求項64】
表面の選択された場所に取り付けられた複数のユニークな生体分子を備える表面を生じるように任意で繰り返される、請求項45または46記載の方法。
【請求項65】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも2種類のユニークな生体分子を含む、請求項45または46記載の方法。
【請求項66】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10種類のユニークな生体分子を含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも100種類のユニークな生体分子を含む、請求項66記載の方法。
【請求項68】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも1,000種類のユニークな生体分子を含む、請求項67記載の方法。
【請求項69】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10,000種類のユニークな生体分子を含む、請求項68記載の方法。
【請求項70】
アレイ表面に複数の取り付け基を含むアレイであって、該複数の取り付け基のうち少なくとも1つが、光活性化可能な結合体化化合物に共有結合的に連結される、アレイ。
【請求項71】
光活性化可能な結合体化化合物に取り付けられた生体分子を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項72】
生体分子がポリペプチドである、請求項71記載のアレイ。
【請求項73】
ポリペプチドがタンパク質である、請求項72記載のアレイ。
【請求項74】
生体分子が、低分子、タンパク質、炭水化物、オリゴマー、ペプチド、細胞溶解産物に由来する生体分子、抗体、プロテアーゼ、および酵素からなる群より選択される、請求項71記載のアレイ。
【請求項75】
1cm2あたり少なくとも100個、1,000個、10,000個、100,000個、1,000,000個、または10,000,000個の生体分子を含む、請求項71記載のアレイ。
【請求項76】
アレイの表面積が1μm2~10mm2である、請求項70記載のアレイ。
【請求項77】
光活性化可能な結合体化化合物が、NHSエステル、スルホ-NHSエステル、アミン、第一級アルコール、第二級アルコール、フェノール、チオール、アニリン、ヒドロキサム酸、第一級アミド、脂肪族アミン、およびスルホンアミドからなる群より選択される官能基を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項78】
光活性化可能な結合体化化合物がエステルを含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項79】
光活性化可能な結合体化化合物がカルボン酸基を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項80】
カルボン酸基が活性化される、請求項79記載のアレイ。
【請求項81】
光活性化可能な結合体化化合物がN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項82】
光活性化可能な結合体化化合物がアミン基を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項83】
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン、アリールアジド、およびベンゾフェノンからなる群より選択される光活性化可能な基を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項84】
光活性化可能な結合体化化合物が、248nmの波長を含む電磁放射線によって活性化される、請求項70記載のアレイ。
【請求項85】
光活性化可能な結合体化化合物が、330~360nmの波長を含む電磁放射線によって活性化される、請求項70記載のアレイ。
【請求項86】
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される光活性化された結合体化部分を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項87】
光活性化可能な結合体化化合物が、エステルに取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項88】
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される部分に機能的に取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項89】
表面が多孔性であり、取り付け基が複数の方向に向けられている、請求項70記載のアレイ。
【請求項90】
表面が、支持体の平面層の位置が定められた場所に機能的にカップリングされたピラーの表面である、請求項70記載のアレイ。
【請求項91】
それぞれのピラーが、支持体の平面層から伸ばされた平らな上面を有する、請求項90記載のアレイ。
【請求項92】
それぞれのピラーの上面と支持体の平面層との間の距離が1,000~5,000オングストロームである、請求項91記載のアレイ。
【請求項93】
ピラーが、支持体上に存在する複数のピラーのうちの1つである、請求項90記載のアレイ。
【請求項94】
ピラーが10,000/cm2を超える密度で存在する、請求項93記載のアレイ。
【請求項95】
それぞれのピラーの中心が他の任意のピラーの中心から少なくとも2,000オングストローム離れている、請求項93記載のアレイ。
【請求項96】
それぞれのピラーの表面が平面層の上面と平行である、請求項93記載のアレイ。
【請求項97】
それぞれのピラーの表面が平面層の上面と実質的に平行である、請求項93記載のアレイ。
【請求項98】
それぞれのピラーの表面積が少なくとも1μm2である、請求項90記載のアレイ。
【請求項99】
それぞれのピラーの表面の表面積の総面積が10,000μm2未満である、請求項90記載のアレイ。
【請求項100】
それぞれのピラーが二酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む、請求項90記載のアレイ。
【請求項101】
それぞれのピラーが少なくとも98~99重量%の二酸化ケイ素である、請求項90記載のアレイ。
【請求項102】
位置が定められた場所がそれぞれ、複数の同一の生体分子を含む、請求項90記載のアレイ。
【請求項103】
位置が定められた場所がそれぞれ、他の位置が定められた場所とは異なる複数の同一の配列を含む、請求項102記載のアレイ。
【請求項104】
位置が定められた場所がそれぞれ、位置が区別できる場所である、請求項90記載のアレイ。
【請求項105】
1cm2あたり少なくとも100個、1,000個、10,000個、100,000個、1,000,000個、または10,000,000個のピラーを含む、請求項90記載のアレイ。
【請求項106】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも2種類のユニークな生体分子を含む、請求項70記載のアレイ。
【請求項107】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10種類のユニークな生体分子を含む、請求項106記載のアレイ。
【請求項108】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも100種類のユニークな生体分子を含む、請求項107記載のアレイ。
【請求項109】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも1,000種類のユニークな生体分子を含む、請求項108記載のアレイ。
【請求項110】
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10,000種類のユニークな生体分子を含む、請求項109記載のアレイ。
【請求項111】
取り付け基がアミン基である、請求項70記載のアレイ。
【請求項112】
取り付け基がカルボン酸基である、請求項70記載のアレイ。
【請求項113】
カルボキシル基が、アミン基に結合するように活性化される、請求項112記載のアレイ。
【請求項114】
試料中の生体分子を検出する方法であって、以下の工程を含む、方法:
請求項70~113のいずれか一項記載の支持体を準備する工程;
該支持体を該試料と接触させる工程;および
該試料内にある生体分子と、該支持体に取り付けられた生体分子との結合事象を検出する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、35 USC 119(e)によって、2015年3月12日に出願された同時継続中の先の米国特許仮出願第62/132,405号の恩典を主張する。本仮出願の開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
典型的なマイクロアレイシステムは、概して、ガラス、プラスチック、またはシリコンチップのような固体平面上にフォーマットされた生体分子プローブ、例えば、DNA、タンパク質、またはペプチドと、試料を扱うために必要とされる機器(自動ロボット工学)、レポーター分子を読み取るために必要とされる機器(スキャナ)、およびデータを解析するために必要とされる機器(生物情報学ツール)で構成される。マイクロアレイ技術によって、1平方センチメートルあたり多くのプローブをモニタリングすることが容易になる。複数のプローブを使用する利点には、速度、順応性、包括性、および相対的に安い大量生産コストが含まれるが、これに限定されない。このようなアレイの用途には、病原体の検出および特定を含む診断微生物学、抗菌耐性の研究、疫学的菌株分類、癌遺伝子の研究、宿主ゲノム発現を用いた微生物感染の解析、ならびに多型プロファイルが含まれるが、これに限定されない。
【0003】
ゲノミクスの最近の進歩によって、ヒトを含む、いくつかの生物の全ゲノムが配列決定されている。しかしながら、ゲノミクスだけでは、疾患、発生、および他の生物学的現象に関与する細胞プロセスを完全に理解することができない。なぜなら、このようなプロセスはポリペプチドによって直接媒介されることが多いからである。生物のゲノムによって莫大な数のポリペプチドがコードされていることを考えると、ポリペプチドを解析するためのハイスループット技術の開発が最も重要である。
【0004】
別個の分析物検出領域またはプローブを有するペプチドアレイは当業者に周知の技法によって1個の支持体上に組み立てることができる。ペプチドマイクロアレイを作製するために様々な方法を利用することができる。これらの方法には、(a)化学選択的固定化法;および(b)インサイチューパラレル合成法が含まれ、さらに、(b)インサイチューパラレル合成法は(1)SPOT合成および(2)フォトリソグラフィ合成に分けることができる。
【0005】
これらの方法は大きな労働力を要し、大量処理に適していない。これらのペプチドアレイは製造に費用がかかり、再現性が低く、不安定な場合があり、厳密な保管条件を必要とし、製造に長い時間がかかり、他の点で制約がある。従って、必要とされるものは、改善されたペプチドアレイと改善されたペプチドアレイ製作方法である。
【発明の概要】
【0006】
概要
製剤、支持体、およびアレイが本明細書において開示される。ある特定の態様では、光活性化された結合体化化合物を用いて生体分子をアレイに取り付ける方法が開示される。生体分子をアレイに部位特異的に取り付ける方法も開示される。これらの方法によって作製されたアレイおよびこれらのアレイを使用する方法も開示される。
【0007】
いくつかのバージョンでは、前記方法は、表面に取り付けられた複数の取り付け基を含む表面を得る工程、前記取り付け基に、光活性化可能な結合体化化合物を取り付ける工程、前記表面を生体分子と接触させる工程、および前記表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、前記電磁放射線が、前記取り付けられた光活性化可能な結合体化化合物を活性化し、前記取り付けられ、活性化された光活性化可能な結合体化化合物が前記生体分子に結合し、それによって、前記生体分子が前記表面に取り付けられる、工程、を含む。
【0008】
前記方法はまた、表面に取り付けられた複数の遊離アミン基を含む表面を得る工程、前記表面を、結合体化化合物を含む結合体化溶液と接触させることによって、前記表面に結合体化化合物を取り付ける工程であって、前記結合体化化合物が、活性化されたカルボン酸基を含み、前記活性化されたカルボン酸基が、前記表面に取り付けられた遊離アミン基に結合する、工程;前記表面をポリペプチドと接触させる工程;および前記表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、前記電磁放射線が、前記取り付けられた結合体化化合物を活性化し、前記取り付けられ、活性化された結合体化化合物が前記ポリペプチドに結合し、それによって、前記ポリペプチドが前記表面に取り付けられる、工程、によって、ポリペプチドを表面に取り付ける工程も含む。
【0009】
本明細書において開示された方法はまた、表面に取り付けられた複数の遊離カルボン酸基を含む表面を得る工程;前記表面をカルボン酸活性化溶液と接触させ、それによって、アミン基との結合のために前記カルボン酸基活性化する工程;前記表面を、結合体化化合物を含む結合体化溶液と接触させることによって、前記表面に結合体化化合物を取り付ける工程であって、前記結合体化化合物がアミン基を含み、前記アミン基が、前記表面に取り付けられた活性化されたカルボン酸基に結合する、工程;前記表面をポリペプチドと接触させる工程;および前記表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、前記電磁放射線が、前記取り付けられた結合体化化合物を活性化し、前記取り付けられ、活性化された結合体化化合物が前記ポリペプチドに結合し、それによって、前記ポリペプチドが前記表面に取り付けられる、工程、を含む、ポリペプチドを表面に取り付ける工程も含む。
[本発明1001]
生体分子を表面に取り付ける方法であって、以下の工程を含む、方法:
該表面に取り付けられた複数の取り付け基を備える表面を得る工程;
該取り付け基に、光活性化可能な結合体化化合物を取り付ける工程;
該表面を生体分子と接触させる工程;および
該表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、該電磁放射線が、該取り付けられた光活性化可能な結合体化化合物を活性化し、該取り付けられ、活性化された光活性化可能な結合体化化合物が該生体分子に結合し、それによって、該生体分子が該表面に取り付けられる、工程。
[本発明1002]
光活性化可能な結合体化化合物が、NHSエステル、スルホ-NHSエステル、アミン、第一級アルコール、第二級アルコール、フェノール、チオール、アニリン、ヒドロキサム酸、第一級アミド、脂肪族アミン、およびスルホンアミドからなる群より選択される官能基を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
光活性化可能な結合体化化合物がエステルを含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
光活性化可能な結合体化化合物がカルボン酸基を含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
カルボキシル基が活性化される、本発明1004の方法。
[本発明1006]
光活性化可能な結合体化化合物がN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
光活性化可能な結合体化化合物がアミン基を含む、本発明1001の方法。
[本発明1008]
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン、アリールアジド、およびベンゾフェノンからなる群より選択される光活性化可能な基を含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される光活性化された結合体化部分を含む、本発明1001の方法。
[本発明1010]
光活性化可能な結合体化化合物が、エステルに取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、本発明1001の方法。
[本発明1011]
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される部分に機能的に取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む、本発明1001の方法。
[本発明1012]
取り付け基がアミン基である、本発明1001の方法。
[本発明1013]
取り付け基がカルボン酸基である、本発明1001の方法。
[本発明1014]
カルボキシル基が、アミン基に結合するように活性化される、本発明1013の方法。
[本発明1015]
生体分子がポリペプチドである、本発明1001の方法。
[本発明1016]
ポリペプチドがタンパク質である、本発明1015の方法。
[本発明1017]
生体分子が、低分子、タンパク質、炭水化物、オリゴマー、ペプチド、細胞溶解産物に由来する生体分子、抗体、プロテアーゼ、および酵素からなる群より選択される、本発明1001の方法。
[本発明1018]
電磁放射線の波長が248nmである、本発明1001の方法。
[本発明1019]
電磁放射線の波長が330~370nmである、本発明1001の方法。
[本発明1020]
表面が多孔性であり、取り付け基が複数の方向に向けられている、本発明1001の方法。
[本発明1021]
表面が、支持体の平面層の位置が定められた場所に機能的にカップリングされたピラーの表面である、本発明1001の方法。
[本発明1022]
それぞれのピラーが、支持体の平面層から伸ばされた平らな上面を有する、本発明1021の方法。
[本発明1023]
支持体のそれぞれのピラーの上面と平面層との間の距離が1,000~5,000オングストロームである、本発明1022の方法。
[本発明1024]
ピラーが、支持体上に存在する複数のピラーのうちの1つである、本発明1021の方法。
[本発明1025]
複数のピラーが10,000/cm2を超える密度で存在する、本発明1024の方法。
[本発明1026]
それぞれのピラーの中心が他の任意のピラーの中心から少なくとも2,000オングストローム離れている、本発明1024の方法。
[本発明1027]
それぞれのピラーの表面が平面層の上面と平行である、本発明1024の方法。
[本発明1028]
それぞれのピラーの表面が平面層の上面と実質的に平行である、本発明1024の方法。
[本発明1029]
それぞれのピラーの表面積が少なくとも1μm2である、本発明1021の方法。
[本発明1030]
それぞれのピラーの表面の表面積の総面積が10,000μm2未満である、本発明1021の方法。
[本発明1031]
それぞれのピラーが二酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む、本発明1021の方法。
[本発明1032]
それぞれのピラーが少なくとも98~99重量%の二酸化ケイ素である、本発明1021の方法。
[本発明1033]
位置が定められた場所がそれぞれ、複数の同一の生体分子を含む、本発明1021の方法。
[本発明1034]
位置が定められた場所がそれぞれ、他の位置が定められた場所とは異なる複数の同一の配列を含む、本発明1033の方法。
[本発明1035]
位置が定められた場所がそれぞれ、位置が区別できる場所である、本発明1021の方法。
[本発明1036]
生体分子が表面に共有結合的に取り付けられる、本発明1001の方法。
[本発明1037]
選択的に露光された表面における生体分子の取り付けの取り付け効率が、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%である、本発明1001の方法。
[本発明1038]
アレイへの生体分子の取り付けの安定性が高い、本発明1001の方法。
[本発明1039]
表面の選択された場所に取り付けられた複数のユニークな生体分子を備える表面を生じるように任意で繰り返される、本発明1001の方法。
[本発明1040]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも2種類のユニークな生体分子を含む、本発明1001の方法。
[本発明1041]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10種類のユニークな生体分子を含む、本発明1040の方法。
[本発明1042]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも100種類のユニークな生体分子を含む、本発明1041の方法。
[本発明1043]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも1,000種類のユニークな生体分子を含む、本発明1042の方法。
[本発明1044]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10,000種類のユニークな生体分子を含む、本発明1043の方法。
[本発明1045]
ポリペプチドを表面に取り付ける方法であって、以下の工程を含む、方法:
該表面に取り付けられた複数の遊離アミン基を備える表面を得る工程;
該表面を、結合体化化合物を含む結合体化溶液と接触させることによって、該表面に結合体化化合物を取り付ける工程であって、該結合体化化合物が、活性化されたカルボン酸基を含み、該活性化されたカルボン酸基が、該表面に取り付けられた遊離アミン基に結合する、工程;
該表面をポリペプチドと接触させる工程;および
該表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、該電磁放射線が、該取り付けられた結合体化化合物を活性化し、該取り付けられ、活性化された結合体化化合物が該ポリペプチドに結合し、それによって、該ポリペプチドが該表面に取り付けられる、工程。
[本発明1046]
ポリペプチドを表面に取り付ける方法であって、以下の工程を含む、方法:
該表面に取り付けられた複数の遊離カルボン酸基を備える表面を得る工程;
該表面をカルボン酸活性化溶液と接触させ、それによって、アミン基との結合のために該カルボン酸基を活性化する工程;
該表面を、結合体化化合物を含む結合体化溶液と接触させることによって、該表面に結合体化化合物を取り付ける工程であって、該結合体化化合物がアミン基を含み、該アミン基が、該表面に取り付けられた活性化されたカルボン酸基に結合する、工程;
該表面をポリペプチドと接触させる工程;および
該表面を電磁放射線に選択的に露光する工程であって、該電磁放射線が、該取り付けられた結合体化化合物を活性化し、該取り付けられ、活性化された結合体化化合物が該ポリペプチドに結合し、それによって、該ポリペプチドが該表面に取り付けられる、工程。
[本発明1047]
結合体化化合物を表面に取り付けた後に、該表面を洗浄する工程をさらに含む、本発明1045または1046の方法。
[本発明1048]
表面に取り付けられたカルボン酸基を活性化した後に、該表面を洗浄する工程をさらに含む、本発明1046の方法。
[本発明1049]
活性化された結合体化化合物が、ペプチドバックボーン、側鎖、アミン基、カルボン酸基からなる群より選択されるポリペプチドの部位に結合する、本発明1045または1046の方法。
[本発明1050]
表面を結合体化溶液と接触させる工程が、該結合体化溶液を該表面上にスピンコーティングする工程を含む、本発明1045または1046の方法。
[本発明1051]
電磁放射線の波長が248nmである、本発明1045または1046の方法。
[本発明1052]
電磁放射線の波長が330~370nmである、本発明1045または1046の方法。
[本発明1053]
結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される光活性化された結合体化部分を含む、本発明1045または1046の方法。
[本発明1054]
結合体化化合物が、エステルに取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、本発明1046の方法。
[本発明1055]
結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される部分に機能的に取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む、本発明1046の方法。
[本発明1056]
結合体化溶液がポリマーを含む、本発明1045または1046の方法。
[本発明1057]
ポリマーがポリビニルピロリドンである、本発明1056の方法。
[本発明1058]
カルボン酸活性化溶液がカルボジイミドまたはN-ヒドロキシスクシンイミドを含む、本発明1046の方法。
[本発明1059]
カルボン酸活性化溶液が、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、ブロモ(トリピロリジン-1-イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスファート、およびO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラートからなる群より選択される化合物を含む、本発明1046の方法。
[本発明1060]
カルボン酸活性化溶液が、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、およびヒドロキシベンゾトリアゾールからなる群より選択される化合物を含む、本発明1045または1046の方法。
[本発明1061]
ポリペプチドがタンパク質である、本発明1045または1046の方法。
[本発明1062]
選択的に露光された表面における生体分子の取り付けの取り付け効率が、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%である、本発明1045または1046の方法。
[本発明1063]
アレイへの生体分子の取り付けの安定性が高い、本発明1045または1046の方法。
[本発明1064]
表面の選択された場所に取り付けられた複数のユニークな生体分子を備える表面を生じるように任意で繰り返される、本発明1045または1046の方法。
[本発明1065]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも2種類のユニークな生体分子を含む、本発明1045または1046の方法。
[本発明1066]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10種類のユニークな生体分子を含む、本発明1065の方法。
[本発明1067]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも100種類のユニークな生体分子を含む、本発明1066の方法。
[本発明1068]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも1,000種類のユニークな生体分子を含む、本発明1067の方法。
[本発明1069]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10,000種類のユニークな生体分子を含む、本発明1068の方法。
[本発明1070]
アレイ表面に複数の取り付け基を含むアレイであって、該複数の取り付け基のうち少なくとも1つが、光活性化可能な結合体化化合物に共有結合的に連結される、アレイ。
[本発明1071]
光活性化可能な結合体化化合物に取り付けられた生体分子を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1072]
生体分子がポリペプチドである、本発明1071のアレイ。
[本発明1073]
ポリペプチドがタンパク質である、本発明1072のアレイ。
[本発明1074]
生体分子が、低分子、タンパク質、炭水化物、オリゴマー、ペプチド、細胞溶解産物に由来する生体分子、抗体、プロテアーゼ、および酵素からなる群より選択される、本発明1071のアレイ。
[本発明1075]
1cm2あたり少なくとも100個、1,000個、10,000個、100,000個、1,000,000個、または10,000,000個の生体分子を含む、本発明1071のアレイ。
[本発明1076]
アレイの表面積が1μm2~10mm2である、本発明1070のアレイ。
[本発明1077]
光活性化可能な結合体化化合物が、NHSエステル、スルホ-NHSエステル、アミン、第一級アルコール、第二級アルコール、フェノール、チオール、アニリン、ヒドロキサム酸、第一級アミド、脂肪族アミン、およびスルホンアミドからなる群より選択される官能基を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1078]
光活性化可能な結合体化化合物がエステルを含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1079]
光活性化可能な結合体化化合物がカルボン酸基を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1080]
カルボン酸基が活性化される、本発明1079のアレイ。
[本発明1081]
光活性化可能な結合体化化合物がN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1082]
光活性化可能な結合体化化合物がアミン基を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1083]
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン、アリールアジド、およびベンゾフェノンからなる群より選択される光活性化可能な基を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1084]
光活性化可能な結合体化化合物が、248nmの波長を含む電磁放射線によって活性化される、本発明1070のアレイ。
[本発明1085]
光活性化可能な結合体化化合物が、330~360nmの波長を含む電磁放射線によって活性化される、本発明1070のアレイ。
[本発明1086]
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される光活性化された結合体化部分を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1087]
光活性化可能な結合体化化合物が、エステルに取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミド部分を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1088]
光活性化可能な結合体化化合物が、ジアジリン部分、アリールアジド部分、およびベンゾフェノン部分からなる群より選択される部分に機能的に取り付けられたN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1089]
表面が多孔性であり、取り付け基が複数の方向に向けられている、本発明1070のアレイ。
[本発明1090]
表面が、支持体の平面層の位置が定められた場所に機能的にカップリングされたピラーの表面である、本発明1070のアレイ。
[本発明1091]
それぞれのピラーが、支持体の平面層から伸ばされた平らな上面を有する、本発明1090のアレイ。
[本発明1092]
それぞれのピラーの上面と支持体の平面層との間の距離が1,000~5,000オングストロームである、本発明1091のアレイ。
[本発明1093]
ピラーが、支持体上に存在する複数のピラーのうちの1つである、本発明1090のアレイ。
[本発明1094]
ピラーが10,000/cm2を超える密度で存在する、本発明1093のアレイ。
[本発明1095]
それぞれのピラーの中心が他の任意のピラーの中心から少なくとも2,000オングストローム離れている、本発明1093のアレイ。
[本発明1096]
それぞれのピラーの表面が平面層の上面と平行である、本発明1093のアレイ。
[本発明1097]
それぞれのピラーの表面が平面層の上面と実質的に平行である、本発明1093のアレイ。
[本発明1098]
それぞれのピラーの表面積が少なくとも1μm2である、本発明1090のアレイ。
[本発明1099]
それぞれのピラーの表面の表面積の総面積が10,000μm2未満である、本発明1090のアレイ。
[本発明1100]
それぞれのピラーが二酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む、本発明1090のアレイ。
[本発明1101]
それぞれのピラーが少なくとも98~99重量%の二酸化ケイ素である、本発明1090のアレイ。
[本発明1102]
位置が定められた場所がそれぞれ、複数の同一の生体分子を含む、本発明1090のアレイ。
[本発明1103]
位置が定められた場所がそれぞれ、他の位置が定められた場所とは異なる複数の同一の配列を含む、本発明1102のアレイ。
[本発明1104]
位置が定められた場所がそれぞれ、位置が区別できる場所である、本発明1090のアレイ。
[本発明1105]
1cm2あたり少なくとも100個、1,000個、10,000個、100,000個、1,000,000個、または10,000,000個のピラーを含む、本発明1090のアレイ。
[本発明1106]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも2種類のユニークな生体分子を含む、本発明1070のアレイ。
[本発明1107]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10種類のユニークな生体分子を含む、本発明1106のアレイ。
[本発明1108]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも100種類のユニークな生体分子を含む、本発明1107のアレイ。
[本発明1109]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも1,000種類のユニークな生体分子を含む、本発明1108のアレイ。
[本発明1110]
表面が、該表面の選択された場所に取り付けられた少なくとも10,000種類のユニークな生体分子を含む、本発明1109のアレイ。
[本発明1111]
取り付け基がアミン基である、本発明1070のアレイ。
[本発明1112]
取り付け基がカルボン酸基である、本発明1070のアレイ。
[本発明1113]
カルボキシル基が、アミン基に結合するように活性化される、本発明1112のアレイ。
[本発明1114]
試料中の生体分子を検出する方法であって、以下の工程を含む、方法:
本発明1070~1113のいずれかの支持体を準備する工程;
該支持体を該試料と接触させる工程;および
該試料内にある生体分子と、該支持体に取り付けられた生体分子との結合事象を検出する工程。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面のいくつかの図の簡単な説明
本発明のこれらのおよび他の特徴、局面、および利点は、以下の説明および添付の図面に関して、さらによく理解されるようになる。
【0011】
図1】ピラーを含む支持体の合成を示す。
図2】結合体化化合物を用いた、アミン誘導体化アレイへの第1のタンパク質の取り付けを示す。
図3】結合体化化合物を用いた、アミン誘導体化アレイへの第2のタンパク質の取り付けを示す。
図4】結合体化化合物を用いた、カルボン酸誘導体化アレイへの第1のタンパク質の取り付けを示す。
図5】結合体化化合物を用いた、カルボン酸誘導体化アレイへの第2のタンパク質の取り付けを示す。
図6】ヒドロキシル化した上面を有するピラーを含む支持体の合成を示す。
図7】抗IL-6抗体および抗TNFα抗体と、結合体化基を介して支持体に取り付けられたIL-6およびTNFαタンパク質との結合の蛍光の測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
特許請求の範囲および明細書において用いられる用語は、他で特定しない限り、以下で示されるように定義される。
【0013】
本明細書で使用する「ウェーハ」という用語は、集積回路製作において一般的に用いられる半導体材料、例えば、ケイ素またはゲルマニウム結晶の薄片を指す。ウェーハは、様々なサイズ、例えば、ある寸法に沿って25.4mm(1インチ)~300mm(11.8インチ)をとってもよく、厚さは、例えば、275μm~775μmでもよい。
【0014】
本明細書で使用する「フォトレジスト」または「レジスト」または「光活性材料」という用語は、紫外線または遠紫外線に露光されたときに溶液中での溶解度を変える感光性材料を指す。フォトレジストは、典型的に、2つのタイプ:ポジティブレジストおよびネガティブレジストに分けられる有機化合物または無機化合物である。ポジティブレジストは、露光されたフォトレジスト部分がフォトレジスト現像剤に溶けるようになるフォトレジストの一種である。露光されなかったフォトレジスト部分はフォトレジスト現像剤に溶けないままである。ネガティブレジストは、露光されたフォトレジスト部分がフォトレジスト現像剤に溶けなくなるフォトレジストの一種である。露光されなかったフォトレジスト部分はフォトレジスト現像剤によって溶解される。
【0015】
本明細書で使用する「フォトマスク」または「レチクル」または「マスク」という用語は、光を通すことができる光透過性のパターンまたは穴を備えた光不透過性の板を指す。典型的な露光プロセスでは、フォトレジスト上にフォトマスクのパターンが移される。フォトマスクまたはレチクルまたはマスクは、電磁放射線に露光するパターンを作製し、従って、例えば、光活性化合物または光活性化可能な結合体化基を部位特異的に活性化するのに用いられる。
【0016】
本明細書で使用する「光活性化合物」という用語は、電磁放射線に露光されたときに改変される化合物を指す。これらの化合物には、例えば、カチオン性光開始剤、例えば、電磁放射線に露光されたときに酸を発生する光酸発生剤または電磁放射線に露光されたときに塩基を発生する光塩基発生剤が含まれる。光開始剤は、電磁放射線を、開始化学種、例えば、フリーラジカルまたはカチオンの形で化学エネルギーに変換するために、製剤に特別に添加される化合物である。次いで、電磁放射線に露光された光活性化合物の酸、塩基、または他の生成物は連鎖反応で別の化合物と反応して、望ましい化学反応を生じることができる。従って、これらの化学反応が発生する空間方向は、光活性化合物を含む前記の溶液または表面が露光される電磁放射線のパターンに応じて規定される。このパターンは、例えば、フォトマスクまたはレチクルによって規定されてもよい。
【0017】
本明細書で使用する結合体化化合物という用語は、支持体上にある官能基に結合し、かつ活性化されると生体分子に結合することができ、従って、生体分子を支持体に取り付けることができる化合物を指す。光活性化可能な結合体化化合物または光活性結合体化化合物とは、電磁放射線に露光されたときに活性化されて生体分子に結合体化する化合物を指す。これらの化合物には、例えば、ジアジリン部分、アリールアジド部分、またはベンゾフェノン部分を含む化合物が含まれる。
【0018】
本明細書で使用する「カップリング分子」または「単量体分子」という用語は、アミノ基がフルオレニルメチルオキシカルボニル基またはt-ブトキシカルボニル基で保護されている任意の天然アミノ酸または人工合成アミノ酸を含む。これらのアミノ酸はオプションとして側鎖が保護されていてもよい。カップリング分子の例にはBoc-Gly-Oh、Fmoc-Trp-Ohが含まれる。他の例は以下で説明される。
【0019】
本明細書で使用する「カップリング」または「カップリングプロセス」または「カップリング工程」という用語は、リンカー分子またはカップリング分子などの2つ以上の分子間で結合を形成するプロセスを指す。結合はペプチド結合などの共有結合でもよい。ペプチド結合は、一方のカップリング分子のカルボキシル基が他方のカップリング分子のアミノ基と反応して水分子(H2O)を放出するときに2つの分子間で形成される化学結合でもよい。これは脱水合成反応(縮合反応とも知られる)であり、通常、アミノ酸間で発生する。結果として生じたCO-NH結合はペプチド結合と呼ばれ、結果として生じた分子はアミドである。
【0020】
本明細書で使用する「カップリング効率」という用語は、単量体が、単量体に結合することができる(例えば、ポリマーの末端にある)反応部位に首尾良く付加する可能性を指す。例えば、ペプチド鎖がN→C方向に成長している間に、遊離カルボキシル基を有するポリペプチドは、適切な条件下で、遊離アミン基を有するペプチドに結合する。カップリング効率は、ある特定の条件下で、遊離ペプチドが遊離カルボキシル基に付加する可能性を示す。カップリング効率は、例えば、1種類の単量体がいくつかのユニークな反応部位に同時に付加するのをモニタリングすることによって、まとめて確かめられてもよい。
【0021】
本明細書で使用する「生体分子」、「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「タンパク質」という用語は、結合によって連結されたアミノ酸の鎖またはポリマーについて述べるために同義に用いられる。従って、本明細書で使用する「ペプチド」という用語は、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、およびポリペプチドを含む。「ペプチド」という用語はアミノ酸の任意の特定の数に限定されない。一部の局面では、ペプチドは約2~約50アミノ酸、約5~約40アミノ酸、または約5~約20アミノ酸を含有する。酵素を含むタンパク質またはポリペプチドなどの分子は、自然の中で天然に発生したことを意味する「天然」または「野生型」分子でもよく、天然分子または別の分子、例えば、変異体から作られている、変えられている、得られているか、何らかの点で異なるか、または変わっていることを意味する「変異体」、「変種」、「誘導体」、または「改変」でもよい。
【0022】
本明細書で使用する「リンカー分子」または「スペーサー分子」という用語は、結果として生じたペプチドに機能を全く付け加えないが、ペプチドの間隔をあけ、支持体からペプチドを伸ばし、従って、支持体表面と、成長しているペプチドとの間の距離を広げる任意の分子を含む。これにより、一般的に、ペプチドが関与する反応(単分子フォールディング反応および多分子結合反応を含む)の場合、支持体との立体障害が減り、そのため、ペプチド機能の1つまたは複数の局面を測定するアッセイの成績が改善される。
【0023】
本明細書で使用する「現像剤」という用語は、露光された、または露光されなかった材料を選択的に溶解することができる溶液を指す。典型的には、現像剤は、微量の塩基が添加された、水をベースとする溶液である。例には、水をベースとする現像剤に溶解したテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが含まれる。現像剤は、市販のフォトレジストが用いられる初回パターン定義に用いられる。現像剤の使用は以下の実施例1において説明される。
【0024】
本明細書で使用する「保護基」という用語は、後の化学反応における化学選択性を得るために官能基の化学修飾によって分子に導入された基を含む。「化学選択性」とは、化学反応を望ましい経路に向けて、予め選択された生成物を別の生成物と比較して得ることを指す。例えば、保護基としてtbocを使用すると、光マスクおよび光酸発生剤を用いたペプチド合成の化学選択性によって保護基は選択的に除去され、光マスクによって規定された場所における予め決められた直接的なペプチドカップリング反応の発生が可能になる。
【0025】
本明細書で使用する「マイクロアレイ」という用語は、タンパク質または特異的DNA結合配列の異なるプローブ分子が別々の場所に、順序づけられたやり方で付けられており、従って、微小アレイを形成している支持体を指す。
【0026】
本明細書で使用する「マイクロアレイシステム」という用語は、通常、ガラス、プラスチック、またはシリコンチップのような固体平面上にフォーマットされた生体分子プローブと、試料を扱うために必要とされる機器(自動ロボット工学)、レポーター分子を読み取るために必要とされる機器(スキャナ)、およびデータを解析するために必要とされる機器(生物情報学ツール)で構成されるシステムを指す。
【0027】
本明細書で使用する「パターン領域」または「パターン」または「場所」という用語は、様々な特徴が成長される支持体上の領域を指す。これらのパターンはフォトマスクを用いて定めることができる。
【0028】
本明細書で使用する「誘導体化」という用語は、表面が生体分子合成に適するように表面を化学修飾するプロセスを指す。典型的には、誘導体化は、以下の工程:支持体を親水性にする工程、アミノシラン基を付加する工程、およびリンカー分子を取り付ける工程を含む。
【0029】
本明細書で使用する「キャッピング」または「キャッピングプロセス」または「キャッピング工程」という用語は、取り付けられた分子のさらなる反応を阻止する分子の付加を指す。例えば、ペプチド結合のさらなる形成を阻止するために、典型的に、無水酢酸分子によってアミノ基がキャッピングされる。他の態様では、エタノールアミンが用いられる。
【0030】
本明細書で使用する「拡散」という用語は、高濃度の領域から低濃度の領域へのランダムな運動を介した光酸の広がりを指す。
【0031】
本明細書で使用する「色素分子」という用語は、典型的には、支持体に結合することができる有色物質である色素を指す。色素分子は、アレイ上にある特徴と、関心対象の分子との間の結合の検出において有用であり得る。
【0032】
本明細書で使用する「免疫学的結合」および「免疫学的結合特性」という用語は、免疫グロブリン分子と、その免疫グロブリンが特異性を示す抗原との間で発生するタイプの非共有結合相互作用を指す。
【0033】
本明細書で使用する「生物学的試料」という用語は、関心対象の分析物についてアッセイすることができる生物学的な組織または液体に由来する試料を指す。このような試料には、痰、羊水、血液、血球(例えば、白血球)、組織もしくは細針生検試料、尿、腹水、および胸膜液、またはこれに由来する細胞が含まれるが、これに限定されない。生物学的試料はまた、組織切片、例えば、組織学的目的で採取された凍結切片を含んでもよい。試料は典型的にヒト患者から採取されるが、アッセイは、任意の生物(例えば、哺乳動物、細菌、ウイルス、藻類、もしくは酵母)または哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、およびブタに由来する試料中の関心対象の分析物を検出するのに使用することができる。試料は、必要に応じて、適切な緩衝液で希釈することによって調製されてもよく、所望であれば濃縮されてもよい。
【0034】
本明細書で使用する「アッセイ」という用語は、物質の複合混合物を含有する可能性がある溶液中にある関心対象の物質の存在または濃度を測定する生化学的試験の一種を指す。
【0035】
本明細書で使用する「抗原」という用語は、対象の免疫系によって免疫応答、例えば、免疫系による抗体の産生を誘発する分子を指す。抗原は外因性でもよく、内因性でもよく、自己抗原でもよい。外因性抗原とは、吸入、摂取、または注射を介して外部から身体に入った抗原である。内因性抗原とは、正常細胞代謝の結果として、またはウイルス感染もしくは細胞内細菌感染の結果として、以前は正常であった細胞内に発生した抗原である。自己抗原とは、宿主体内に存在する正常なタンパク質またはタンパク質複合体であるが、免疫応答を刺激することができる抗原である。
【0036】
本明細書で使用する「エピトープ」または「免疫活性領域」という用語は、適応免疫系の成分、例えば、抗体またはT細胞受容体が結合することができる、抗原の別個の分子表面特徴を指す。抗原分子は、特異的な抗体の相互作用点として作用することができる、いくつかの表面特徴を提示することができる。このような別個の分子特徴は全てエピトープを構成することができる。従って、抗原には、いくつかの別個の抗体が結合する能力があり、これらの抗体はそれぞれ特定のエピトープに特異的である。
【0037】
本明細書で使用する「抗体」または「免疫グロブリン分子」という用語は、特定のタイプの免疫系細胞:B細胞によって天然に分泌される分子を指す。抗体には5つの異なる天然アイソタイプ、すなわち、IgA、IgM、IgG、IgD、およびIgEがある。
【0038】
本明細書で使用する「活性化カルボン酸基」という用語は、アミン基に容易に結合するように脱離基が結合しているカルボン酸基を指す。一部の態様では、アミン基に結合する確率が上がるように、カルボジイミドまたはN-ヒドロキシスクシンイミドがカルボン酸基を活性化する。一部の態様では、活性化カルボン酸基とは、アミン基と相互作用し、従って、エステルまたはカルボニル基とアミン基との間で共有結合が形成すると除去される基に結合したエステルまたはカルボニルを指す。
【0039】
明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきり規定されていない限り複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
【0040】
組成物
製剤
光活性結合体化溶液およびポリペプチド製剤などの製剤が本明細書において開示される。これらの製剤は、例えば、本明細書において開示された支持体および/またはポリペプチドアレイの製造および/または使用において有用な場合がある。
【0041】
光活性結合体化溶液
光活性結合体化溶液が本明細書において開示される。一部の局面では、光活性結合体化溶液は、溶媒、光活性結合体化化合物、およびポリマーなどの成分を含んでもよい。
【0042】
一局面では、光活性結合体化溶液は光活性結合体化化合物(すなわち、結合体化化合物)を含んでもよい。光活性結合体化化合物は、紫外線または可視光線に露光されたときに反応性になる化学的に不活性な部分を含む。電磁放射線への、光活性結合体化化合物の露光は、ポリペプチドに結合する化合物を生成する最初の光化学的事象である。光活性結合体化溶液は、脱離、付加、または転位によって反応することができる化学基を含む放射線感受性結合前駆体を含む光活性結合体化化合物と、性能または加工性を改善する任意の添加物を含んでもよい。
【0043】
一部の局面では、光活性カップリング製剤は、溶媒に分散されたポリマーマトリックス中にある光活性結合体化化合物を含む。一部の局面では、フォトレジスト組成物中にあるポリマーは、一般的に、不活性であり、非架橋性である。
【0044】
一部の局面では、光活性化合物はアミン基またはカルボン酸基を有してもよい。一部の態様では、アミン基との共有結合を誘導するために、カルボン酸基は強力な脱離基に結合することによって活性化される。一部の態様では、アミン基は、アレイの表面に取り付けられたカルボン酸基に結合するのに用いられる。光活性化合物は、吸収した光エネルギー、UVまたは可視光線を、開始化学種、例えば、フリーラジカルまたはカチオンの形で化学エネルギーに変換する光活性部分を含む。
【0045】
一態様では、光活性結合体化化合物は、ポリペプチドをアレイ表面に取り付けるためのヘテロ二官能性架橋剤として用いられる。一態様では、光活性結合体化化合物は、アレイ表面に取り付けられたカルボン酸基に結合するためにアミン基をさらに含む。別の態様では、光活性結合体化化合物は、アレイ表面に取り付けられたアミン基に結合するように活性化されるカルボン酸基をさらに含む。光活性のある結合体化基はアレイ表面に結合すると、望ましいポリペプチド、タンパク質、または他の生体分子を結合体化するように部位特異的に活性化される。
【0046】
一部の局面では、光活性化合物はアリールアジド、ジアジリン、またはベンゾフェノン部分を含む。アリールアジド(フェニルアジドとも呼ばれる)はUV光に露光されるとニトレン基を形成する。ニトレン基は二重結合との付加反応またはC-HおよびN-H部位への挿入を開始することができるか、環拡大を起こして求核剤(例えば、第一級アミン)と反応することができる。反応は、タンパク質を結合体化するために、または有用な官能基の「取っ手(handle)」が無い分子さえ結合体化するために様々な無アミン緩衝液状態で行うことができる。ジアジリン(アジペンタノエート)部分はフェニルアジド基よりも優れた光安定性を有し、長波UV光(330~370nm)によって、フェニルアジド基よりも容易かつ効率的に活性化される。ジアジリンが光活性化されると反応性カルベン中間体が生じる。このような中間体は、付加反応を介して、特定の試薬のスペーサーアームの長さに対応する距離をおいて、任意のアミノ酸側鎖またはペプチドバックボーンと共有結合を形成することができる。翻訳によってアミノ酸のジアジリン類似体をタンパク質構造に組み込むことができ、これによって、特定の組換えタンパク質を架橋剤として活性化することが可能になる。
【0047】
一部の態様では、結合体化溶液は、結合体化化合物、溶媒、およびポリマーを含む。一態様では、結合体化化合物は、アリールアジド、ジアジリン、またはベンゾフェノンのNHSエステルである。別の態様において、結合体化化合物は、アリールアジド、ジアジリン、またはベンゾフェノンに機能的に連結されたアミン基である。一部の局面では、カルボジイミド前駆体は2.5重量%の濃度で活性化溶液に存在する。一部の局面では、結合体化化合物は、結合体化溶液中に、製剤総濃度の0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%の濃度で存在する。
【0048】
一部の局面では、ポリマーは、架橋しない不活性ポリマーである。一部の局面では、ポリマーはポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンの一般的な構造は以下の通りであり:
式中、nは、1より大きな任意の正の整数である。
【0049】
一部の局面では、ポリマーはビニルピロリドンのポリマーである。一部の局面では、ポリマーはポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンは水および他の極性溶媒に溶ける。ポリビニルピロリドンは乾燥しているときには軽い薄片状の粉末であり、一般的に、重量の40%まで、大気中の水に容易に吸収される。溶解状態では、ポリビニルピロリドンは優れた湿潤性を有し、容易に薄膜を形成する。一部の局面では、ポリマーはビニルピロリドンまたはビニルアルコールである。一部の局面では、ポリマーはポリメチルメタクリレートである。
【0050】
一部の局面では、ポリマーは製剤総濃度の2.5~5重量%である。一部の局面では、ポリマーは製剤総濃度の約0.5~5重量%である。一部の局面では、ポリマーは、製剤総濃度の約0.1重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%より少ないか、または5.0重量%より多い。
【0051】
一部の局面では、溶媒は、水、乳酸エチル、nメチルピロリドン、またはその組み合わせである。一部の局面では、溶媒を形成するために、乳酸エチルを50%超まで水に溶解することができる。一部の局面では、溶媒は約10%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)と約90%のDI水でもよい。一部の局面では、溶媒は約20%までのPGMEAを含んでもよい。一部の局面では、溶媒は50%の乳酸エチルと50%のnメチルピロリドンを含んでもよい。一部の局面では、溶媒はnメチルピロリドンである。一部の局面では、溶媒は、水、有機溶媒、またはその組み合わせである。一部の局面では、有機溶媒は、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはその組み合わせである。
【0052】
一部の局面では、溶媒は製剤総濃度の約80~90重量%である。一部の局面では、溶媒は、製剤総濃度の約70重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%より少ないか、または99重量%より多い。
【0053】
カルボン酸活性化製剤
カルボン酸が生体分子、例えば、結合体化化合物の遊離アミン基と反応するように、カルボン酸を活性化するための活性化製剤が本明細書において開示される。活性化製剤は、カルボン酸基活性化化合物および溶媒などの成分を含んでもよい。一態様では、カルボン酸基活性化化合物はカルボジイミドまたはカルボジイミド前駆体である。一部の局面では、カルボジイミドは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。一部の態様では、カルボン酸基活性化化合物はN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)である。一部の態様では、溶媒は水である。一部の態様では、カルボン酸基活性化化合物はカルボン酸をカルボニル基(すなわち、カルボン酸基活性化)に変換する。一部の態様では、カルボン酸基は、活性化製剤に曝露されて5分後、10分後、15分後、20分後、30分後、45分後、または60分後に活性化される。
【0054】
一部の局面では、活性化製剤は、脱イオン水に溶解した4重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと、2重量%のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を含む。
【0055】
一部の態様では、カルボン酸基活性化化合物はカルボジイミド前駆体である。一局面では、カルボジイミド前駆体は、放射線、例えば、紫外線に露光されることでカルボジイミドに変換される。一態様では、カルボジイミド前駆体はチオンである。カルボジイミド前駆体は、光活性化カルボジイミドと呼ばれることがある。一態様では、好ましい活性化波長の電磁放射線への光活性化カルボジイミド溶液の露光を空間的に制御することによって、光活性化カルボジイミドは、アレイ上にあるカルボン酸基を部位特異的に活性化するのに用いられる。一部の態様では、好ましい活性化波長は248nmである。
【0056】
一態様では、カルボジイミド前駆体は、光活性化を介してカルボジイミドに変換されるチオンである。一局面では、チオンは電磁放射線に露光された後にヒドロキシメチルフェニルカルボジイミドに変換される。一部の態様では、チオンは、4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオン、1-エチル-4-ジメチルアミノプロピルテトラゾール5-チオン、1,3-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-5-チオン、4-シクロヘキシル-1H-テトラゾール-5(4H)-チオン、または1-フェニル-4-(ピペリジノメチル)テトラゾール-5(4H)-チオンである。
【0057】
一部の態様では、活性化溶液は、カルボジイミド前駆体、溶媒、およびポリマーを含む。一態様では、カルボジイミド前駆体は、4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオン、1-エチル-4-ジメチルアミノプロピルテトラゾール5-チオン、または1,3-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-5-チオンである。一部の局面では、カルボジイミド前駆体は2.5重量%の濃度で活性化溶液中に存在する。一部の局面では、カルボジイミド前駆体は、製剤総濃度の0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%の濃度で活性化溶液中に存在する。
【0058】
一部の態様では、溶媒は水である。一部の局面では、溶媒は製剤総濃度の約80~90重量%である。一部の局面では、溶媒は、製剤総濃度の約70重量%、70重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%より少ないか、または99重量%より多い。
【0059】
一部の局面では、ポリマーはポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールである。一部の局面では、ポリマーは、製剤総濃度の約0.5~5重量%である。一部の局面では、ポリマーは製剤総濃度の約0.1重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%より少ないか、または5.0重量%より多い。
【0060】
一部の局面では、カップリング試薬はカルボジイミドである。一部の局面では、カップリング試薬はトリアゾールである。一部の局面では、カップリング試薬は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。一部の局面では、カップリング試薬は製剤総濃度の約0.5~5重量%である。一部の局面では、カップリング試薬は、製剤総濃度の約0.1重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%より少ないか、または5.0重量%より多い。
【0061】
リンカー製剤
リンカー製剤も本明細書において開示される。リンカー製剤は、溶媒、ポリマー、リンカー分子、およびカップリング試薬などの成分を含んでもよい。一部の局面では、ポリマーは1重量%のポリビニルアルコールと2.5重量%のポリビニルピロリドンであり、リンカー分子は1.25重量%のポリエチレンオキシドであり、カップリング試薬は1重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、溶媒は水を含む。一部の局面では、ポリマーは0.5~5重量%のポリビニルアルコールと0.5~5重量%のポリビニルピロリドンであり、リンカー分子は0.5~5重量%のポリエチレンオキシドであり、カップリング試薬は0.5~5重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、溶媒は水を含む。
【0062】
一部の局面では、溶媒は水、有機溶媒、またはその組み合わせである。一部の局面では、有機溶媒は、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、またはその組み合わせである。一部の局面では、溶媒は製剤総濃度の約80~90重量%である。一部の局面では、溶媒は、製剤総濃度の約70重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%より少ないか、または99重量%より多い。
【0063】
一部の局面では、ポリマーはポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの一般的な構造は以下の通りであり:
式中、nは、1より大きな任意の正の整数である。
【0064】
一部の局面では、ポリマーは製剤総濃度の約0.5~5重量%である。一部の局面では、ポリマーは、製剤総濃度の約0.1重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%より少ないか、または5.0重量%より多い。
【0065】
リンカー分子は、本明細書において開示された表面と、カップリング分子を介して合成されているペプチドとの間に挿入される分子でもよい。リンカー分子は、必ずしも、結果として生じたペプチドに分子認識機能などの機能を運ぶとは限らず、その代わりに、表面にあるペプチドの機能領域の露出を高めるために、表面とペプチドとの間の距離を延ばすことができる。一部の局面では、リンカーは、露出させるために約4~約40原子の長さでもよい。リンカー分子は、例えば、アリールアセチレン、2~10個の単量体単位を含有するエチレングリコールオリゴマー(PEG)、ジアミン、二酸、アミノ酸、およびその組み合わせでもよい。ジアミンの例にはエチレンジアミンおよびジアミノプロパンが含まれる。または、リンカーは、合成されている分子(例えば、新生ポリマーまたは様々なカップリング分子)と同じ分子タイプ、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸誘導体のポリマー、例えば、アミノヘキサン酸でもよい。一部の局面では、リンカー分子は、分子の第1の末端にカルボキシル基を有し、分子の第2の末端に保護基を有する分子である。一部の局面では、保護基はt-Boc保護基またはF-Moc保護基である。一部の局面では、リンカー分子は、アリール-アセチレン、ポリエチレングリコール、新生ポリペプチド、ジアミン、二酸、ペプチド、またはその組み合わせであるか、またはこれを含む。一部の局面では、リンカー分子は製剤総濃度の約0.5~5重量%である。一部の局面では、リンカー分子は、製剤総濃度の約0.1重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3.重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%より少ないか、または5.0重量%より多い。
【0066】
リンカー分子の結合されていない部分、すなわちリンカー分子の遊離末端は、除去可能な保護基、例えば、前述のt-BocまたはF-Mocによって、ブロックされている、保護されている、または他の方法で反応に利用できないようにされている反応性官能基を有してもよい。保護基は、単量体、ポリマー、またはリンカー分子にある反応性官能基を保護するために単量体、ポリマー、またはリンカー分子に結合されてもよい。使用することができる保護基は、全ての酸不安定保護基および塩基不安定保護基を含む。例えば、ペプチドアミン基は、両方とも酸不安定性であるt-ブトキシカルボニル(t-BOCもしくはBOC)またはベンジルオキシカルボニル(CBZ)によって保護されてもよく、塩基不安定性である9-フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)によって保護されてもよい。
【0067】
使用することができる、さらなる保護基には、アミノ部分を保護するための酸不安定基:tert-アミルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、1-メチルシクロブチルオキシカルボニル、2-(p-ビフェニル)プロピル(2)オキシカルボニル、2-(p-フェニルアゾフェニルイル)プロピル(2)オキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメチルオキシベンジルオキシ-カルボニル、2-フェニルプロピル(2)オキシカルボニル、4-メチルオキシベンジルオキシカルボニル、フルフリルオキシカルボニル、トリフェニルメチル(トリチル)、p-トルエンスルフェニルアミノカルボニル、ジメチルホスフィノチオイル、ジフェニルホスフィノチオイル、2-ベンゾイル-1-メチルビニル、o-ニトロフェニルスルフェニル、および1-ナフチリデン;アミノ部分を保護するための塩基不安定基として、9フルオレニルメチルオキシカルボニル、メチルスルホニルエチルオキシカルボニル、および5-ベンズイソアゾイルメチレンオキシカルボニル;還元されたときに不安定になるアミノ部分を保護するための基として、ジチアスクシノイル、p-トルエンスルホニル、およびピペリジノ-オキシカルボニル;酸化されたときに不安定になるアミノ部分を保護するための基として、(エチルチオ)カルボニル;多種多様な試薬に対して不安定なアミノ部分を保護するための基として、適切な薬剤を基の後にある括弧の中に示した:フタロイル(ヒドラジン)、トリフルオロアセチル(ピペリジン)、およびクロロアセチル(2-アミノチオフェノール);カルボン酸を保護するための酸不安定基として、tert-ブチルエステル;ヒドロキシル基を保護するための酸不安定基として、ジメチルトリチルが含まれる(Greene, T. W., Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley-Interscience, NY,(1981)も参照されたい)。
【0068】
支持体
支持体も本明細書において開示される。一部の局面では、支持体表面は平面(すなわち、2次元)である。一部の局面では、支持体は、第1の単量体基本要素を結合するための官能基を含む多孔層(すなわち、3次元層)を含んでもよい。一部の局面では、支持体表面は、ペプチドを取り付けまたは合成するためのピラーを含む。一部の態様では、多孔層はピラーの上部に加えられる。
【0069】
多孔層支持体
使用することができる多孔層は、第1のペプチド基本要素を取り付けるために(構成要素ポリマーに固有の、または多孔層に導入された)カルボン酸官能基を有する、多孔構造からなる平らな透過性のポリマー材料である。例えば、多孔層は多孔性ケイ素で構成されてもよく、多孔性ケイ素の表面にはポリマー基本要素を取り付けるための官能基が取り付けられている。別の例では、多孔層は架橋ポリマー材料を含んでもよい。一部の態様では、多孔層は、ポリスチレン、サッカロース、デキストラン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロルピロリドン(polyacrylolpyrrolidone)、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、アガロース、セファロース、他の従来のクロマトグラフィー型材料、ならびにその誘導体および混合物を使用することができる。一部の態様では、多孔層構成材料は、ポリ(ビニルアルコール)、デキストラン、アルギン酸ナトリウム、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)-ナトリウム塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、多糖類、およびセルロース誘導体より選択される。好ましくは、多孔層の多孔度は10~80%である。一態様では、多孔層の厚さは0.01μm~約1,000μmである。多孔層に含まれる孔径は2nm~約100μmでもよい。
【0070】
本発明の別の局面によれば、多孔度が10~80%の多孔性ポリマー材料を含み、反応基が孔表面に化学結合されており、例えば、反応種、例えば、脱保護された単量体基本要素またはポリマー鎖と化学結合することによって相互作用する用途に適合されている支持体が提供される。一態様では、反応基はカルボン酸基である。カルボン酸基は、例えば、ペプチドまたはポリペプチドの無保護アミン基に結合するように遊離している。
【0071】
ある態様では、多孔層は支持層と接触している。支持層は、例えば、金属、プラスチック、ケイ素、酸化ケイ素、または窒化ケイ素を含む。別の態様において、多孔層は、パターン表面、例えば、下記のピラー支持体の上にあるパターン表面と接触していてもよい。
【0072】
ピラー支持体
一部の態様では、支持体は、金属を含みかつ上面および下面を有する平面層と、前記層の位置が定められた場所に機能的に連結された複数のピラーを備える。ここで、それぞれのピラーは、前記層から伸ばされた平らな表面を有し、それぞれのピラーの表面と前記層の上面との間の距離は約1,000~5,000オングストロームであり、複数のピラーは約10,000/cm2を超える密度で存在する。
【0073】
一部の局面では、それぞれのピラーの表面と前記層の上面との間の距離は、約1,000オングストローム、約2,000オングストローム、約3,000オングストローム、約3,500オングストローム、約4,500オングストローム、約5,000オングストロームより短くてもよく、約5,000オングストロームより長くてもよい(またはその間の任意の整数より長くてもよく、短くてもよい)。
【0074】
一部の局面では、それぞれのピラーの表面は前記層の上面と平行である。一部の局面では、それぞれのピラーの表面は前記層の上面と実質的に平行である。
【0075】
一部の局面では、複数のピラーは、500/cm2、1,000/cm2、2,000/cm2、3,000/cm2、4,000/cm2、5,000/cm2、6,000/cm2、7,000/cm2、8,000/cm2、9,000/cm2、10,000/cm2、11,000/cm2、もしくは12,000/cm2 (またはその間の任意の整数)を超える密度で存在する。一部の局面では、複数のピラーは10,000/cm2を超える密度で存在する。一部の局面では、複数のピラーは約10,000/cm2~約250万/cm2 (またはその間の任意の整数)の密度で存在する。一部の局面では、複数のピラーは250万/cm2を超える密度で存在する。
【0076】
一部の局面では、それぞれのピラーの表面の表面積は少なくとも1μm2である。一部の局面では、それぞれのピラーの表面の表面積は、少なくとも0.1μm2、0.5μm2、12μm2、3μm2、4μm2、5μm2、6μm2、7μm2、8μm2、9μm2、10μm2、15μm2、20μm2、25μm2、30μm2、35μm2、40μm2、45μm2、もしくは50μm2 (またはその間の任意の整数)でもよい。一部の局面では、それぞれのピラーの表面の表面積の総面積は10,000μm2未満である。一部の局面では、それぞれのピラーの表面の表面積の総面積は、500μm2、1,000μm2、2,000μm2、3,000μm2、4,000μm2、5,000μm2、6,000μm2、7,000μm2、8,000μm2、9,000μm2、10,000μm2、11,000μm2、もしくは12,000μm2(またはその間の任意の整数)より小さい。
【0077】
一部の局面では、それぞれのピラーの表面と前記層の下面との間の距離は2,000~7,000オングストロームである。一部の局面では、それぞれのピラーの表面と前記層の下面との間の距離は、約500オングストローム、約1,000オングストローム、約2,000オングストローム、約3,000オングストローム、約4,000オングストローム、約5,000オングストローム、約6,000オングストローム、約7,000オングストローム、約8,000オングストローム、約9,000オングストローム、約10,000オングストローム、約11,000オングストローム、約12,000オングストロームより短いか、もしくは約12,000オングストロームより長い(またはその間の任意の整数より短いか、もしくは長い)。一部の局面では、それぞれのピラーの表面と前記層の下面との間の距離は、7,000オングストローム、3,000オングストローム、4,000オングストローム、5,000オングストローム、6,000オングストローム、または7,000オングストローム(またはその間の任意の整数)である。
【0078】
一部の局面では、前記層は1,000~2,000オングストローム厚である。一部の局面では、前記層は、約500オングストローム厚、約1,000オングストローム厚、約2,000オングストローム厚、約3,000オングストローム厚、約4,000オングストローム厚、約5,000オングストローム厚、約6,000オングストローム厚、約7,000オングストローム厚、約8,000オングストローム厚、約9,000オングストローム厚、約10,000オングストローム厚、約11,000オングストローム厚、約12,000オングストローム厚より薄いか、もしくは約12,000オングストローム厚より厚い(またはその間の任意の整数より薄いか、もしくは厚い)。
【0079】
一部の局面では、それぞれのピラーの中心は他の任意のピラーの中心から少なくとも2,000オングストローム離れている。一部の局面では、それぞれのピラーの中心は他の任意のピラーの中心から少なくとも約500オングストローム、約1,000オングストローム、約2,000オングストローム、約3,000オングストローム、もしくは約4,000オングストローム(またはその間の任意の整数)離れている。一部の局面では、それぞれのピラーの中心は他の任意のピラーの中心から少なくとも約2μm~200μm離れている。
【0080】
一部の局面では、金属はクロムである。一部の局面では、金属は、クロム、チタン、アルミニウム、タングステン、金、銀、スズ、鉛、タリウム、インジウム、またはその組み合わせである。一部の局面では、前記層は少なくとも98.5~99%の金属である。一部の局面では、前記層は100%の金属である。さらに他の態様では、前記層は、少なくとも約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約98.5%、または約99%を超える金属である。一部の局面では、前記層は均一な金属層である。
【0081】
一部の局面では、少なくとも1つのピラーまたはそれぞれのピラーはケイ素を含む。一部の局面では、少なくとも1つのピラーまたはそれぞれのピラーは二酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む。一部の局面では、少なくとも1つのピラーまたはそれぞれのピラーは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、または99%の二酸化ケイ素である。
【0082】
一部の局面では、支持体は、それぞれのピラーの表面に取り付けられる遊離アミノ末端を有するリンカー分子を含んでもよい。一部の局面では、支持体は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられる遊離アミノ末端を有するリンカー分子を含んでもよい。一部の局面では、支持体は、それぞれのピラーの表面に取り付けられる保護基を有するリンカー分子を含んでもよい。一部の局面では、支持体は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられる保護基を有するリンカー分子を含んでもよい。一部の局面では、支持体は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられるカップリング分子を含んでもよい。一部の局面では、支持体は、それぞれのピラーの表面に取り付けられるカップリング分子を含んでもよい。一部の局面では、支持体は、ピラーの少なくとも1つの表面と接触しているポリマーを含んでもよい。一部の局面では、支持体は、それぞれのピラーの表面と接触しているポリマーを含んでもよい。一部の局面では、支持体は、ピラーの少なくとも1つの表面と接触しているゼラチン状のポリマーを含んでもよい。一部の局面では、支持体は、ピラーの少なくとも1つの表面と接触している固体状のポリマーを含んでもよい。
【0083】
一部の局面では、支持体のピラーの少なくとも1つの表面は誘導体化される。一部の局面では、支持体は、ピラーの少なくとも1つの表面に取り付けられるポリマー鎖を含んでもよい。一部の局面では、ポリマー鎖はペプチド鎖を含む。一部の局面では、少なくとも1つのピラーの表面への取り付けは共有結合を介して行われる。
【0084】
一部の局面では、それぞれのピラーの表面は形が正方形または長方形である。一部の局面では、支持体は二酸化ケイ素層にカップリングすることができる。二酸化ケイ素層は約0.5μm~3μm厚でもよい。一部の局面では、支持体はウェーハ、例えば、シリコンウェーハにカップリングすることができる。二酸化ケイ素層は約700μm~750μm厚でもよい。
【0085】
アレイ
アレイも本明細書において開示される。一部の局面では、アレイは、三次元アレイ、例えば、特徴が多孔性アレイの表面に取り付けられている多孔性アレイでもよい。多孔層の表面は、外面と、多孔性アレイ内の孔容積を規定する表面を含む。一部の局面では、三次元アレイは、表面の位置が定められた場所に取り付けられた特徴を含んでもよく、前記特徴はそれぞれ、決定可能な配列および意図された長さのペプチド鎖のコレクションを含む。一態様では、前記アレイ内にあるポリペプチドの一部分は、98%を超える各カップリング工程の平均ポリペプチド結合体化効率を特徴とする。
【0086】
一部の局面では、平均ポリペプチド結合体化効率は少なくとも98.5%である。一部の局面では、平均ポリペプチド結合体化効率は少なくとも99%である。一部の局面では、各カップリング工程の平均ポリペプチド結合体化効率は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%である。
【0087】
一部の局面では、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも2、10、100、または1,000の異なるポリペプチド鎖を含んでもよい。一部の局面では、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも10,000の異なるポリペプチド鎖を含んでもよい。一部の局面では、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000の、または10,000より多い(またはその間の任意の整数の)異なるポリペプチド鎖を含んでもよい。
【0088】
一部の局面では、位置が定められた場所はそれぞれ、他の位置が定められた場所のそれぞれと物理的に分離された異なる既知の場所にある。一部の局面では、位置が定められた場所はそれぞれ、位置が区別できる場所である。一部の局面では、それぞれの決定可能な配列は既知配列である。一部の局面では、それぞれの決定可能な配列は別個の配列である。
【0089】
一部の局面では、特徴は表面に共有結合的に取り付けられる。一部の局面では、前記ペプチド鎖はリンカー分子またはカップリング分子を介して表面に取り付けられる。
【0090】
一部の局面では、前記特徴は、既知配列を有する供給源タンパク質に由来する部分配列を含む複数の別個の入れ子状の重複ペプチド鎖を含む。一部の局面では、複数の重複ペプチド鎖の中にある、それぞれのペプチド鎖は実質的に同じ長さである。一部の局面では、複数の重複ペプチド鎖の中にある、それぞれのペプチド鎖は同じ長さである。一部の局面では、複数の重複ペプチド鎖の中にある、それぞれのペプチド鎖は長さが少なくとも5アミノ酸である。一部の局面では、複数の重複ペプチド鎖の中にある、それぞれのペプチド鎖は長さが少なくとも5アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸、30アミノ酸、35アミノ酸、40アミノ酸、45アミノ酸、50アミノ酸、55アミノ酸、または60アミノ酸である。一部の局面では、複数の重複ペプチド鎖の中にある、それぞれのペプチド鎖は長さが5アミノ酸より短いか、少なくとも5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、20アミノ酸、21アミノ酸、22アミノ酸、23アミノ酸、24アミノ酸、25アミノ酸、26アミノ酸、27アミノ酸、28アミノ酸、29アミノ酸、30アミノ酸、31アミノ酸、32アミノ酸、33アミノ酸、34アミノ酸、35アミノ酸、36アミノ酸、37アミノ酸、38アミノ酸、39アミノ酸、40アミノ酸、41アミノ酸、42アミノ酸、43アミノ酸、44アミノ酸、45アミノ酸、46アミノ酸、47アミノ酸、48アミノ酸、49アミノ酸、50アミノ酸、51アミノ酸、52アミノ酸、53アミノ酸、54アミノ酸、55アミノ酸、56アミノ酸、57アミノ酸、58アミノ酸、59アミノ酸、60アミノ酸であるか、または60アミノ酸より長い。一部の局面では、複数の重複ペプチド鎖の中にある少なくとも1つのペプチド鎖は長さが少なくとも5アミノ酸である。一部の局面では、複数の重複ペプチド鎖の中にある少なくとも1つのペプチド鎖は長さが少なくとも5アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸、30アミノ酸、35アミノ酸、40アミノ酸、45アミノ酸、50アミノ酸、55アミノ酸、または60アミノ酸である。一部の局面では、複数の重複ペプチド鎖の中にある少なくとも1つのペプチド鎖は長さが5アミノ酸より短いか、少なくとも5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、20アミノ酸、21アミノ酸、22アミノ酸、23アミノ酸、24アミノ酸、25アミノ酸、26アミノ酸、27アミノ酸、28アミノ酸、29アミノ酸、30アミノ酸、31アミノ酸、32アミノ酸、33アミノ酸、34アミノ酸、35アミノ酸、36アミノ酸、37アミノ酸、38アミノ酸、39アミノ酸、40アミノ酸、41アミノ酸、42アミノ酸、43アミノ酸、44アミノ酸、45アミノ酸、46アミノ酸、47アミノ酸、48アミノ酸、49アミノ酸、50アミノ酸、51アミノ酸、52アミノ酸、53アミノ酸、54アミノ酸、55アミノ酸、56アミノ酸、57アミノ酸、58アミノ酸、59アミノ酸、60アミノ酸であるか、または60アミノ酸より長い。一部の局面では、特徴の中にある、それぞれのポリペプチドは実質的に同じ長さである。一部の局面では、特徴の中にある、それぞれのポリペプチドは同じ長さである。一部の局面では、特徴は複数のペプチド鎖を含み、それぞれのペプチド鎖はアミノ酸のランダムな決定可能な配列を有する。
【0091】
方法
支持体を製造する方法
支持体を作るための方法も本明細書において開示される。一部の局面では、支持体を生成する方法は、多孔層を支持層にカップリングする工程を含んでもよい。支持層は、任意の金属またはプラスチックまたはケイ素または酸化ケイ素または窒化ケイ素を含んでもよい。一態様では、支持体は、ペプチド合成およびタンパク質カップリングの間にペプチドを結合するために支持体に取り付けられた複数のカルボン酸支持体を含む。一部の局面では、支持体を生成する方法は、多孔層を複数のピラーにカップリングする工程を含んでもよく、多孔層は化合物を支持体に取り付けるための官能基を含み、複数のピラーは平面層の位置が定められた場所にカップリングされ、それぞれのピラーは、平面層から伸ばされた平らな表面を有し、それぞれのピラーの表面と平面層の上面との間の距離は約1,000~5,000オングストロームであり、複数のピラーは約10,000/cm2を超える密度で存在する。
【0092】
一部の局面では、それぞれのピラーの表面は平面層の上面と平行である。一部の局面では、それぞれのピラーの表面は平面層の上面と実質的に平行である。
【0093】
一部の局面では、支持体表面を調製する方法は、二酸化ケイ素を含む表面を得る工程、ならびに表面を、光活性化合物、カップリング分子、カップリング試薬、ポリマー、および溶媒を含む光活性カップリング製剤と接触させる工程;ならびに表面の上部に位置し、かつ光活性製剤と接触している、位置が定められた場所に紫外線を当てる工程を含んでもよく、表面にある位置が定められた場所のそれぞれの表面積の総面積は約10,000/μm2未満である。一部の局面では、前記方法は、位置が定められた場所の外側に位置する光活性製剤を除去する工程を含んでもよい。一部の局面では、前記方法は、位置が定められた場所の外側に位置する表面の上部の厚さを減らす工程を含んでもよい。一部の局面では、前記方法は、厚さが減った表面の上部に金属層を付着させる工程を含んでもよい。一部の局面では、前記方法は、表面の上部に位置する、位置が定められた場所と接触している光活性製剤を除去する工程を含んでもよい。
【0094】
一態様では、図1A~1Eは、支持体を生成するためのプロセスを示す。
【0095】
図1Aでは、支持体の調製における第1の工程は、光活性製剤(例えば、フォトレジスト)と表面との間の良好な接着を促進するために開始ウェーハをプライミングする工程である。ウェーハ洗浄も行うことができ、酸化、酸化物ストリップ、およびイオンクリーン(ionic clean)などの工程を含んでもよい。典型的には、ウェーハ表面にある汚染物質を除去するために脱イオン(DI)水リンスが用いられる。ウェーハ製作では、一般的に、有機化合物(フォトレジスト)と非有機支持体(ウェーハ)との化学接着を促進するためにシラン付着が必要とされる。シランは、フォトレジストとウェーハ表面の両方に結合する特性をもつ一種の「ブリッジ」として働く。典型的には、ヘキサメチルジシリザン(HMDS)が用いられる。HMDSは、一般的に、スプレーモジュールでは気相中で、またはディベロッパーモジュールでは液相中でパドルおよびスピンによって、加熱された支持体に塗布される有機ケイ素化合物であり、この後にベーク工程が行われる。パドル・スピン法では、HMDSは、指定された時間にわたってウェーハ上で攪拌され、回転され、110~130℃の代表的な温度で1~2分間ベークされる。スプレーモジュールでは、HMDSの蒸気が、加熱されたウェーハ支持体に200~220℃で30秒~50秒間塗布される。
【0096】
図1Aでは、ウェーハプライミング後に、フォトレジストコーターモジュールにおいてウェーハを遠紫外線(DUV)フォトレジストでコーティングすることができる。DUVレジストは、典型的には、溶解度を変える光酸発生剤を含むポリヒドロキシスチレンベースポリマーである。DUVレジストは任意の光増感剤も含むことができる。ポリマー中のマトリックスは、保護基、例えば、その末端基に取り付けられたtbocからなる。
【0097】
フォトレジストコートモジュールにおいてウェーハ上にDUVレジストをスピンコーティングする。これは、カップの中に保たれた真空チャックを備える。チャックの上にウェーハを、例えば、ロボットアームによって機械的に置き、次いで、最適な厚さを得るために製造業者によって指定された必要な速度で回転させる。
【0098】
図1Aでは、予熱モジュールにおいてウェーハを予熱する。予熱モジュールは、典型的には、製造業者によって指定された、対応するDUVレジストに必要とされる温度に設定することができるホットプレートを備える。加熱は、1バッチ分のウェーハにはマイクロ波で行うこともできる。
【0099】
図1Aでは、次に、遠紫外線露光ツールの中でウェーハを、パターンフォトマスクを通して露光する。
【0100】
図1Aでは、次に、ポスト露光ベークモジュールにおいてウェーハを加熱する。このポスト露光によって化学増幅が起こる。レジスト製造業者は、対応する生成物について代表的なポスト露光ベーク温度と時間を提供している。DUVフォトレジストでコーティングしたウェーハを248nm光源にレチクルを通して露光すると、最初の光酸または光塩基が発生する。光酸または光塩基の拡散を促進するためにフォトレジストをベークする。レジストの露光された部分は現像剤に溶けるようになり、それによって、0.25ミクロン寸法のパターン形成が可能になる。ポスト露光ベークモジュールは、製造業者によって指定された必要とされる温度に設定されるホットプレートを備える。これは、ウェーハが、例えば、ロボットアームによって配置される3つのバキュームピンからなってもよい。他の態様では、レジストプロセスでは化学増幅を使用しない。
【0101】
図1Bでは、次に、ディベロッパーモジュールにおいてウェーハを現像する。ディベロッパーモジュールは、典型的には、ウェーハと、現像液をウェーハ上に分注することができる加圧ノズルを保持することができる真空チャックからなる。分注モードはパドル・スピンモードでもよく、スピン・リンスモードでもよい。パドル・スピンモードとは、現像液を分注するときに、ウェーハがチャック上に約30秒~1分間、静止状態になっていることを意味する。これによりウェーハの上部で現像液が攪拌される。1分後に現像液は回転によって取り除かれる。スピン・リンスモードでは、ウェーハを回転させている間に現像液を分注する。
【0102】
図1Cでは、次に、現像された領域において、ウェットエッチプロセスまたはドライエッチプロセスによって酸化物をエッチングする。エッチングは、ケイ素支持体から、または支持体表面にある薄膜から材料が除去されるプロセスである。ウェーハ表面の特定の領域を保護するためにマスク層が用いられる場合、エッチングの目的は、マスクによって覆われていなかった材料を正確に除去することである。通常、エッチングは、2つのタイプ:ドライエッチングおよびウェットエッチングに分類される。ウェットエッチングでは、材料をエッチングするために液体の化学物質、主に酸を使用する。これに対して、ドライエッチングでは、材料をエッチングするために、気体を励起状態で使用する。これらの方法は当業者に周知である。これらのプロセスは、例えば、1000A~2000Aのエッチングの深さを実現するように制御することができる。
【0103】
図1Dでは、ウェーハ上に金属を付着させる。この金属は、典型的には、クロム、チタン、またはアルミニウムである。一部の態様では、金属を、スパッタ堆積と呼ばれるプロセスによって付着させる。スパッタ堆積とは、供給源である「ターゲット」から材料を放出し、次いで、材料がウェーハ上に付着するスパッタリングによって薄膜を付着させる物理蒸着(PVD)法である。金属付着の厚さは、所望であれば、支持体の上部で少なくとも500Aになることが保証される。
【0104】
図1Eでは、図示したプロセスを用いて、金属層と酸化物の間にあるフォトレジストをリフトオフすることができる。一部の局面では、このプロセスは、ウェーハに金属層があるときに、前もって二酸化ケイ素上に付着させた金属層に影響を及ぼすことなくレジストをリフトオフする工程を含む。このプロセスによって、支持体ピラーの上面に付着させたフォトレジストと金属がリフトオフされ、その結果、二酸化ケイ素ピラーは、隣接するピラーを隔てる、金属でコーティングされた土台よりも高くそびえ立つ。ウェーハを酸化剤溶液に一晩浸漬し、次いで、ピラニア溶液に典型的には1時間漬ける。ピラニア溶液は硫酸と過酸化水素の1:1混合物である。これは、支持体から有機残留物を全て取り去るのに使用することができる。この混合物は強力な酸化剤であるので、有機物のほとんどを除去し、さらに、ほとんどの表面をヒドロキシル化(OH基を付加)して、親水性にする。このプロセスはまた、さらなるプラズマ灰化工程も含むことがある。
【0105】
表面誘導体化
支持体は、米国特許出願第20100240555号に説明したように半導体モジュールにおいて表面誘導体化することができる。米国特許出願第20100240555号は、その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。本発明の代表的な支持体は、表面誘導体化の準備ができている酸化物のピラーを有する。表面誘導体化とは、生体分子をカップリングために遊離アミノ基を利用できるようにアミノシラン基を支持体に付加する方法である。一部の局面では、表面誘導体化された支持体に取り付けられる最初の分子は、tbocで保護されたグリシンである。このカップリング手順は、当業者に広く知られている標準的なメリフィールド固相ペプチド合成手順と同様である。
【0106】
アレイを製造する方法
アレイを製造するための方法も本明細書において開示される。一部の局面では、本明細書において開示されたアレイは、表面、例えば、本明細書において開示された支持体上で、インサイチューで合成することができる。場合によっては、アレイは光リソグラフィを用いて作られる。例えば、支持体は、光活性結合体化溶液と接触される。光活性結合体化溶液中の光活性化合物は、アレイの表面に取り付けられた取り付け基(例えば、カルボン酸またはアミン基)に結合する。マスクを用いて、表面上の特定の場所への放射線または光の露光を制御することができる。露光された場所では結合体化化合物は活性化され、その結果、結合体化化合物上に1つまたは複数の新しく反応性になった部分が生じる。次いで、望ましい生体分子またはポリペプチドが結合体化化合物に連結される。表面上の特定の場所または位置が定められた場所において多数の特徴を合成するために、このプロセスは繰り返されてもよい(例えば、Pirrungらへの米国特許第5,143,854号、米国特許出願公開第2007/0154946号(2005年12月29日に出願された)、同第2007/0122841号(2005年11月30日に出願された)、同第2007/0122842号(2006年3月30日に出願された)、同第2008/0108149号(2006年10月23日に出願された)、および同第2010/0093554号(2008年6月2日に出願された)を参照されたい。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)。
【0107】
一部の局面では、特徴の二次元アレイを生成する方法は、金属を含みかつ上面および下面を有する平面層と、前記層の位置が定められた場所に機能的にカップリングされた複数のピラーを含む支持体を得る工程であって、それぞれのピラーが、前記層から伸ばされた平らな表面を有し、それぞれのピラーの表面と前記層の上面との間の距離は約1,000~5,000オングストロームであり、複数のピラーが約10,000/cm2を超える密度で存在する、工程;ならびに一連のカップリング反応を介して特徴を複数のピラーにカップリングする工程であって、前記特徴がそれぞれ既知の生体分子またはポリペプチドを含む、工程、を含んでもよい。一部の態様では、アレイに取り付けられた結合体化化合物に生体分子を結合体化する平均カップリング効率は少なくとも約98%である。一部の態様では、アレイに取り付けられた結合体化化合物に生体分子を結合体化する平均カップリング効率は98%より大きい。一部の局面では、前記特徴は、結合体化化合物、ポリマー、および溶媒を含む結合体化溶液を用いてピラーにカップリングされる。結合体化溶液はアレイに添加され、結合体化化合物はアレイに取り付けられる。結合体化溶液は、例えば、水で洗浄することによってアレイから除去される。特徴(例えば、生体分子)を含む溶液はアレイに添加される。アレイは、例えば、フォトマスクまたはレチクルを通して、電磁放射線に選択的に露光される。電磁放射線に露光された部位には、溶解状態で特徴に結合する、取り付けられ、活性化された結合体化化合物がある。このプロセスは、特徴に結合しなかった部位が活性化されて、特徴の新たな溶液に由来する異なる特徴に結合するように繰り返されてもよい。一局面では、少なくとも2種類の別個の特徴を含むアレイが生成される。一局面では、少なくとも10種類の別個の特徴を含むアレイが生成される。一局面では、少なくとも100種類の別個の特徴を含むアレイが生成される。一局面では、少なくとも1,000種類の別個の特徴を含むアレイが生成される。一局面では、少なくとも10,000種類の別個の特徴を含むアレイが生成される。一局面では、少なくとも2種類、5種類、10種類、20種類、50種類、100種類、200種類、500種類、1,000種類、2,000種類、5,000種類、10,000種類、20,000種類、50,000種類、100,000種類、200,000種類、500,000種類、または1,000,000種類の別個の特徴を含むアレイが生成される。
【0108】
一部の局面では、特徴(例えば、生体分子)を取り付けるために表面を調製する方法は、表面を得る工程、ならびに溶媒、ポリマー、リンカー分子、およびカップリング試薬を含むリンカー製剤を用いてリンカー分子を表面に取り付ける工程を含んでもよい。一部の局面では、リンカー分子は保護基を含む。
【0109】
一部の局面では、カップリング試薬を支持体に取り付ける方法は、金属を含みかつ上面および下面を有する平面層と、前記層の位置が定められた場所に機能的にカップリングされた複数のピラーを含む支持体を得る工程であって、それぞれのピラーが前記層から伸ばされた平らな表面を有し、それぞれのピラーの表面と前記層の上面との間の距離は1,000~5,000オングストロームであり、それぞれのピラーの表面にリンカー分子が取り付けられ、複数のピラーは10,000/cm2を超える密度で存在する、工程;ならびに結合体化化合物を1つまたは複数のリンカー分子に取り付ける工程、を含んでもよい。一部の局面では、結合体化化合物は、溶媒、ポリマー、および結合体化化合物を含む結合体化溶液を用いて1つまたは複数のリンカー分子に取り付けられる。一部の局面では、結合体化化合物は、本明細書において開示された結合体化溶液を用いて1つまたは複数のリンカー分子に取り付けられる。一部の局面では、少なくとも1つのリンカー分子は、脱保護されたリンカー分子である。一部の局面では、結合体化化合物は光活性化合物のNHSエステルである。一部の局面では、結合体化化合物は、光活性化合物のカルボジイミドエステルである。一部の局面では、結合体化化合物は光活性化合物のアミンである。一部の局面では、結合体化化合物は保護分子を含む。一部の局面では、結合体化溶液は水を用いて取り除かれる。一部の局面では、結合体化化合物は、部位特異的な場所(例えば、選択されたピラー)において紫外線または光を用いて活性化される。一部の局面では、活性化された結合体化化合物に特徴が添加され、支持体に結合される。一部の局面では、それぞれのピラーの表面は前記層の上面と平行である。一部の局面では、それぞれのピラーの表面は前記層の上面と実質的に平行である。
【0110】
一部の局面では、特徴の三次元(例えば、多孔性)アレイを生成する方法は、表面に取り付けられた多孔層を得る工程であって、表面が取り付け基を含む、工程と、取り付け基に結合体化基を取り付ける工程、を含んでもよい。次いで、結合体化基は、フォトマスクまたはレチクルを通して電磁放射線を介して部位選択的に活性化され、活性化された結合体化基は、前記アレイの表面に添加された望ましいポリペプチドに結合する。前記結合体化された基へのポリペプチド結合の一部分は少なくとも約98%の平均結合体化効率を特徴とする。一部の局面では、前記特徴は、光活性結合体化化合物、ポリマー、および溶媒を含む光活性結合体化溶液を用いて表面に取り付けられた後に、ポリペプチドが添加され、取り付けられた結合体化化合物が活性化される。
【0111】
一態様では、図2および図3は、アレイを製造するプロセスについて説明する。図2Aでは、取り付けられたアミン基を含む表面が設けられる。表面は、光活性結合体化化合物、ポリマー、および溶媒を含む結合体化溶液と接触される(図2B)。光活性結合体化化合物は、アレイの表面にあるアミン基に結合するための活性化されたカルボン酸基を含み、これにより、結合体化化合物はアレイの表面にあるアミン基に結合できるようになる(図2C)。次いで、結合体化溶液はアレイから取り除かれる。表面は、生体分子、ポリマー、および溶媒を含む生体分子カップリング溶液と接触される(図2D)。表面は、フォトマスクによって規定されるパターンに従って遠紫外線スキャナツールにおいて紫外線に露光される。この場合、紫外線に露光された場所は光活性結合体化化合物の光活性化を受ける(図2E)。光活性結合体化化合物を活性化するために、露光エネルギーは1mJ/cm2~100mJ/cm2でもよい。一局面では、光活性結合体化化合物が活性化されると、生体分子上にある、どのX-H結合とも良く反応するカルベン基が生じる。
【0112】
表面は、ポスト露光ベークモジュールにおいて露光の際にポストベークされる。ポストベーク温度は、表面の厚さに応じて75℃~115℃、少なくとも60秒間、まれに120秒超でもよい。光活性化された結合体化化合物は生体分子にカップリングされ、その結果、生体分子はアレイ表面に部位特異的にカップリングされる(図2F)。この表面は多孔性表面でもよい。
【0113】
この全サイクルは、所望に応じて、望ましい配列を得るために毎回、異なるカップリング分子を用いて繰り返すことができる(図3A~D)。
【0114】
任意で、支持体上にある未反応アミノ基が生体分子と反応しないようにするためにキャップフィルム溶液コートが表面上に塗布される。キャップフィルムコート溶液は、以下:溶媒、ポリマー、およびカップリング分子のように調製することができる。
【0115】
このプロセスはキャッピングスピンモジュールにおいて行われる。キャッピングスピンモジュールは、キャップフィルムコート溶液を支持体上に分注するように作ることができる1本のノズルを備えてもよい。この溶液は、キャップフィルムコート溶液を貯蔵するシリンダを加圧することによって、または必要量を正確に分注するポンプを通して分注されてもよい。一部の局面では、約5~8ccのキャップコート溶液を支持体上に分注するためにポンプが用いられる。支持体は真空チャックにおいて15~30秒間、回転され、カップリング製剤は分注される。回転速度は2000~2500rpmになるように設定することができる。
【0116】
キャッピング溶液を含む支持体はキャップベークモジュールにおいてベークされる。キャッピングベークモジュールは、キャッピングフィルムコートが塗布された直後にウェーハを受け取るように専用に設けられたホットプレートである。一部の局面では、スピンコーティングされたキャッピングコート溶液をホットプレートにおいてベークしてキャッピング反応を著しく加速する方法が本明細書において提供される。一般的に、ホットプレートベーキングによってアミノ酸のキャッピング時間は2分未満まで短縮する。
【0117】
キャッピング反応の副産物はストリッパモジュールにおいて取り除かれる。ストリッパモジュールは、有機溶媒、例えば、アセトン、イソプロピルアルコール、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、DI水などを分注するために設けられた、いくつかのノズル、典型的には10個までのノズルを備えてもよい。一部の局面では、ノズルは、アセトンの後にイソプロピルアルコールが回転ウェーハ上に分注されるように指定されてもよい。回転速度は約20秒間に2000~2500rpmになるように設定される。
【0118】
一態様では、図4および図5は、アレイを製造するプロセスについて説明する。図4Aでは、取り付けられたカルボン酸基を含む表面が設けられる。カルボン酸基はカルボキシル基活性化溶液を添加することによって活性化される(図4B)。一態様では、カルボン酸基活性化溶液はカルボジイミドまたはスクシンイミドを含む。一態様では、カルボン酸基活性化溶液は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、ブロモ(トリピロリジン-1-イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスファート、またはO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラートを含む。表面は、光活性結合体化化合物、ポリマー、および溶媒を含む結合体化溶液と接触される(図4C)。光活性結合体化化合物は、アレイの表面にある活性化されたカルボン酸基に結合するためのアミン基を含む。活性化されたカルボン酸に結合した後に、過剰な光活性結合体化溶液は洗い流される(図4D)。次いで、表面は、生体分子、ポリマー、および溶媒を含む生体分子カップリング溶液と接触される(図4E)。表面は、フォトマスクによって規定されるパターンに従って遠紫外線スキャナツールにおいて紫外線に露光される。この場合、紫外線に露光された場所は光活性結合体化化合物の光活性化を受ける(図4F)。光活性結合体化化合物を活性化するために、露光エネルギーは1mJ/cm2~100mJ/cm2でもよい。一局面では、光活性結合体化化合物が活性化されると、生体分子上にある、どのX-H結合とも良く反応するカルベン基が生じる。
【0119】
表面は、ポスト露光ベークモジュールにおいて露光の際にポストベークされる。ポストベーク温度は、表面の厚さに応じて75℃~115℃、少なくとも60秒間、まれに120秒超でもよい。光活性化された結合体化化合物は生体分子にカップリングされ、その結果、生体分子はアレイ表面に部位特異的にカップリングされる(図4G)。この表面は多孔性表面でもよい。
【0120】
この全サイクルは、所望に応じて、望ましい配列を得るために毎回、異なるカップリング分子を用いて繰り返すことができる(図5A~C)。
【0121】
任意で、支持体上にある未反応アミノ基が生体分子と反応しないようにするために、キャップフィルム溶液コートが表面上に塗布される。キャップフィルムコート溶液は、以下:溶媒、ポリマー、およびカップリング分子のように調製することができる。使用することができる溶媒は、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはその組み合わせのような有機溶媒でもよい。キャッピング分子は典型的には無水酢酸であり、ポリマーはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルイソプロペニル)ケトン、またはポリ(2メチルペンテン1スルホン)でもよい。一部の局面では、キャッピング分子はエタノールアミンである。
【0122】
このプロセスはキャッピングスピンモジュールにおいて行われる。キャッピングスピンモジュールは、キャップフィルムコート溶液を支持体上に分注するように作ることができる1本のノズルを備えてもよい。この溶液は、キャップフィルムコート溶液を貯蔵するシリンダを加圧することによって、または必要量を正確に分注するポンプを通して分注されてもよい。一部の局面では、約5~8ccのキャップコート溶液を支持体上に分注するためにポンプが用いられる。支持体は真空チャックにおいて15~30秒間、回転され、カップリング製剤は分注される。回転速度は2000~2500rpmになるように設定することができる。
【0123】
キャッピング溶液を含む支持体はキャップベークモジュールにおいてベークされる。キャッピングベークモジュールは、キャッピングフィルムコートが塗布された直後にウェーハを受け取るように専用に設けられたホットプレートである。一部の局面では、スピンコーティングされたキャッピングコート溶液をホットプレートにおいてベークしてキャッピング反応を著しく加速する方法が本明細書において提供される。一般的に、ホットプレートベーキングによってアミノ酸のキャッピング時間は2分未満まで短縮する。
【0124】
キャッピング反応の副産物はストリッパモジュールにおいて取り除かれる。ストリッパモジュールは、有機溶媒、例えば、アセトン、イソプロピルアルコール、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、DI水などを分注するために設けられた、いくつかのノズル、典型的には10個までのノズルを備えてもよい。一部の局面では、ノズルは、アセトンの後にイソプロピルアルコールが回転ウェーハ上に分注されるように指定されてもよい。回転速度は約20秒間に2000~2500rpmになるように設定される。
【0125】
使用方法
支持体、製剤、および/またはアレイを使用する方法も本明細書において開示される。本明細書において開示されたアレイの用途は、研究用途、治療目的、医療診断、および/または1名もしくは複数名の患者の層別化を含んでもよい。
【0126】
本明細書に記載のアレイはいずれも研究ツールとして、または研究用途において使用することができる。一局面では、アレイはハイスループットスクリーニングアッセイに使用することができる。例えば、酵素基質(すなわち、本明細書に記載のペプチドアレイ上にあるポリペプチド)は、アレイを酵素に供し、アレイ上での酵素基質の存在または非存在を特定することによって、例えば、アレイの特徴の中で少なくとも1つの変化を検出することによって試験することができる。
【0127】
アレイはまた、基質特異性を確かめるための、またはタンパク質を阻害もしくは活性化するポリペプチドを特定するためのリガンド結合のスクリーニングアッセイにおいても使用することができる。これらの方法を行うのに有用な標識法、プロテアーゼアッセイ、ならびに結合アッセイは広く当業者に周知である。
【0128】
一部の局面では、アレイは1種類または複数種の遺伝因子のハイスループットスクリーニングに用いられる。遺伝子に関連するタンパク質は潜在的な抗原となる可能性があり、これらの遺伝子関連タンパク質に対する抗体を用いて、遺伝子と疾患との関係を評価することができる。
【0129】
別の例では、アレイは1種類または複数種のバイオマーカーを特定するのに使用することができる。バイオマーカーは疾患の診断、予後、処置、および管理に使用することができる。バイオマーカーは、疾患状態、疾患の段階、および疾患処置に対する反応に応じて個体において発現されてもよく、存在しなくてもよく、異なるレベルでもよい。バイオマーカーは、例えば、DNA、RNA、タンパク質(例えば、キナーゼなどの酵素)、糖、塩、脂肪、脂質、またはイオンでもよい。
【0130】
アレイはまた、治療目的、例えば、1種類または複数種の生理活性剤の特定にも使用することができる。生理活性剤を特定するための方法は、複数種の試験化合物をアレイに塗布する工程、および生理活性剤として少なくとも1種類の試験化合物を特定する工程を含んでもよい。試験化合物は、低分子、アプタマー、オリゴヌクレオチド、化学物質、天然抽出物、ペプチド、タンパク質、抗体断片、抗体様分子、または抗体でもよい。生理活性剤は治療剤または治療標的の修飾物質でもよい。治療標的は、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、シグナル伝達分子、転写因子、タンパク質輸送体、タンパク質ソーター、細胞表面受容体、分泌因子、および細胞骨格タンパク質を含んでもよい。
【0131】
別の局面において、アレイは、治療用の薬物候補を特定するのに使用することができる。例えば、特異的抗体に対する1つまたは複数のエピトープがアッセイ(例えば、ELISAなどの結合アッセイ)によって確かめられたとき、エピトープを用いて、疾患における標的抗体に対する薬物(例えば、モノクローナル中和抗体)を開発することができる。
【0132】
一局面では、医療診断において使用するためのアレイも提供される。アレイは、薬物またはワクチンの投与に対する反応を確かめるのに使用することができる。例えば、ワクチンに対する個体の反応は、誘導された免疫応答によって産生される抗体が認識するエピトープを提示するペプチドを有するアレイを用いて個体の抗体レベルを検出することによって確かめることができる。別の診断用途は、バイオマーカーの存在について個体を試験することである。ここで、試料は対象から採取され、1種類または複数種のバイオマーカーの存在について試験される。
【0133】
アレイはまた、対象が治療的処置に反応する可能性を示すバイオマーカーの存在または非存在に基づいて患者集団を層別化するのに使用することもできる。アレイは、既知のバイオマーカーを特定して適切な治療群を確かめるのに使用することができる。例えば、ある状態を有する対象からの試料をアレイに塗布することができる。アレイへの結合によって、状態のバイオマーカーの存在が分かる場合がある。以前の研究から、バイオマーカーは処置後の正のアウトカムと関連するのに対して、バイオマーカーの非存在は処置後の負または中立のアウトカムに関連することが分かる場合がある。患者にバイオマーカーがあるので、医療専門家によって、処置を受ける群に患者が層別化される場合がある。
【0134】
一部の局面では、試料中の関心対象のタンパク質(例えば、抗体)の存在または非存在を検出する方法は、本明細書において開示され、関心対象のタンパク質を含むと疑われる試料と接触されたアレイを得る工程;およびアレイの1つまたは複数の特徴との結合の存在または非存在を検出することによって関心対象のタンパク質が試料中に存在するかどうかを確かめる工程を含んでもよい。一部の局面では、関心対象のタンパク質は、体液、例えば、羊水、房水、硝子体液、胆汁、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳び、内リンパ、外リンパ、糞便、女性の膣液、胃酸、胃液、リンパ、粘液、腹水、胸膜液、膿、唾液、皮脂、精液、汗、滑液、涙、腟分泌物、嘔吐物、または尿から得られてもよい。
【0135】
一部の局面では、ワクチン候補を特定する方法は、ワクチン候補が以前に投与された対象から得られた試料と接触された、本明細書において開示されたアレイを得る工程であって、試料が複数種の抗体を含む、工程;およびアレイの1種類または複数種の特徴に対する複数種の抗体の結合特異性を確かめる工程を含んでもよい。
【実施例0136】
以下は、本発明を実施するための特定の態様の実施例である。本実施例は例示のみの目的で提供され、いかなるやり方でも本発明の範囲を限定することを目的としない。使用された数値(例えば、量、温度など)に関して精度を確保するための努力がなされたが、もちろん、いくらかの実験誤差および逸脱が許容されるはずである。
【0137】
本発明の実施では、特に定めのない限り、当該技術の範囲内でタンパク質化学、生化学、組換えDNA法、および薬理学の従来法が用いられる。このような技法は文献において十分に説明されている。例えば、T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H. Freeman and Company, 1993); A.L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition); Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989); Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.); Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990); Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed. (Plenum Press) Vols A and B(1992)を参照されたい。
【0138】
実施例1:ピラー支持体の生成
本実施例は、ピラーの上部に表面がある支持体の構築について説明する。このプロセスを図1に視覚的に概説した。2.4μmの熱成長酸化物があるシリコンウェーハをUniversity Wafersから入手した。最初に、これらのウェーハをスプレーモジュールにおいてプライマーでプライミングした。ヘキサメチルジシラザン(HMDS)をSigma Aldrich Incから入手した。次いで、ウェーハをフォトレジストコートモジュールに入れて、Rohm and Haasから入手した市販の遠紫外線フォトレジストP5107、またはAZ Electronic Materialsから入手したAZ DX7260p 700を用いて、6000Åの厚さとなるようにスピンコーティングした。次いで、ウェーハをホットプレートにおいて120℃で60秒間ベークした。
【0139】
特徴を作製するためにパターン領域を有するフォトマスクを用いて、支持体表面にアレイの像を映し出した。次いで、ウェーハを248nm遠紫外線放射線スキャナツール、Nikon S203に入れて露光した。露光エネルギーは18mJ/cm2であった。次いで、ウェーハをホットプレートにおいて110℃で120秒間、ポスト露光ベークし、Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd.から入手した市販のNMD-3現像液を用いて60秒間、現像した。
【0140】
この後に、ウェットエッチプロセスまたはドライプラズマエッチプロセスのいずれかを用いることによって酸化物をエッチングした。標準的な半導体エッチング法を使用した。酸化物のエッチングの深さは1000Å~2000Åであった。
【0141】
エッチング後、物理的付着法を用いてクロムを500Å~1500Åの厚さまで付着させた。標準的なエッチングおよび金属付着法を使用した。
【0142】
クロムを付着させた後に、以下のプロセスを用いてレジストをリフトオフした。ウェーハを、Cyantek Incから入手したNanostripの中に一晩入れておき、次いで、ピラニア溶液に90分間漬けた。ピラニア溶液は硫酸と過酸化水素の50:50混合物である。硫酸および過酸化水素をSigma Aldrich Corpから入手した。残った不純物を酸化するためにプラズマ灰化を行った。このプロセスによって、金属で隔てられた二酸化ケイ素ピラーを有する支持体が得られた。
【0143】
または、付着クロムも、付着に応じて500Å~1500Aの厚さまで研磨した。研磨は、金属で隔てられた二酸化ケイ素ピラーを得るために行った。中心から中心までの、それぞれのピラーの距離は70,000Åであった。それぞれのピラーの上部の表面積は3,500Åx3,500Åであった。
【0144】
実施例2:アミン基を用いた表面誘導体化
実施例1からのウェーハを以下の方法を用いて表面誘導体化した。アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をSigma Aldrichから入手した。エタノール200プルーフをVWRから入手した。最初に、ウェーハをエタノールで5分間洗浄し、次いで、シラン層を成長させるために1重量%APTES/エタノールで20~30分間洗浄した。次いで、リンカー分子を取り付けるための-NH2基を含むシラン単層を成長させるために、ウェーハを110℃の窒素ベークオーブンに入れて硬化させた。
【0145】
実施例3:カルボン酸基を用いた表面誘導体化
ケイ素支持体上にニッケル1000Aを付着させたシリコンウェーハをUniversity Wafersから入手した。Dextran Bio Xtra(MW40000)をSigma Aldrichから入手した。Bis-ポリエチレングリコールカルボキシメチルエーテルをSigma Aldrichから入手した。ポリビニルピロリドン1000000をPoly Sciences Incから入手した。上記の3種類のポリマーを2:2:1の重量比で、50重量%乳酸エチル/50重量%水の溶媒組成物に、Oakwood Chemicals Incから入手した2重量%の光酸発生剤ジメチル-2,4-ジヒドロキシフェニルスルホニウムトリフラートと一緒に溶解した。この溶液を、ケイ素支持体上にニッケル1000Aを付着させたシリコンウェーハ上にスピンコーティングした。
【0146】
厚さ100nmの均一なコートを得るために、コーティングしたウェーハを3000rpmで回転させた。次いで、ウェーハを遠紫外線スキャナNikon S 203に入れて250mJ/cm2で露光し、次いで、ホットプレートに入れて65℃で90秒間ベークした。次いで、アセトンおよびイソプロピルアルコールを用いてコーティングをウェーハから取り除き、その後に脱イオン水でリンスした。支持体には、ペプチド合成のために、活性化およびタンパク質またはアミノ酸とのカップリングの準備ができている遊離COOH基マトリックスがある。
【0147】
上記の誘導体化を、実施例1のピラー支持体に由来するピラーの表面に行った。
【0148】
実施例4:カルボン酸基でコーティングしたデキストランベース多孔性支持体の生成
平面支持体と比較して、多孔性支持体上では層に沿ってCOOH基の2次元濃度を増やすことができる。表面誘導体化したウェーハ上にデキストランをカップリングした。Pierce Scientificから入手した1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと、Pierce Scientificから入手したN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を、それぞれ0.2Mおよび0.1Mのモル濃度で、10重量%のデキストランと一緒に脱イオン水に溶解した。このカップリング溶液を3000rpmの速度でウェーハにスピンコーティングし、デキストラン-COOH支持体に完全にカップリングするまで65℃で90秒間ベークした。架橋溶液を添加し、架橋して、多次元COOH支持体を得た。
【0149】
実施例5:カルボン酸基でコーティングしたPEGベース多孔性支持体の生成
Bis-ポリエチレングリコールカルボキシメチルエーテルを表面誘導体化ウェーハ上にカップリングした。Pierce Scientificから入手した1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと、Pierce Scientificから入手したN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)をそれぞれ0.2Mおよび0.1Mのモル濃度で、10重量%のポリエチレングリコール(PEG)と一緒に脱イオン水に溶解した。このカップリング溶液を3000rpmの速度でウェーハにスピンコーティングし、PEG-COOH支持体に完全にカップリングするまで65℃で90秒間ベークした。架橋溶液を添加し、架橋して、多次元COOH支持体を得た。
【0150】
実施例6:支持体上のヒドロキシル基誘導体化ピラー表面の生成
シリコンウェーハをUniversity Wafersから入手した。図34A(6)では、ウェーハ上に金属を付着させた。この金属をクロム、チタン、またはアルミニウムから選択した。スパッタ堆積と呼ばれるプロセスによって金属を付着させた。スパッタ堆積とは、供給源である「ターゲット」から材料を放出し、次いで、材料がウェーハ上に付着するスパッタリングによって薄膜を付着させる物理蒸着(PVD)法である。金属付着の厚さは支持体の上部で少なくとも500Åになることが保証された。
【0151】
図6Bでは、二酸化ケイ素をウェーハ上に付着させた。この酸化物を、スパッタ堆積と呼ばれるプロセスによって付着させた。スパッタ堆積とは、供給源である「ターゲット」から材料を放出し、次いで、材料がウェーハ上に付着するスパッタリングによって薄膜を付着させる物理化学蒸着(PECVD)法である。酸化物付着の厚さは、支持体の上部で少なくとも500Åになることが保証された。
【0152】
図6Cでは、支持体の調製における第1の工程は、光活性製剤(例えば、フォトレジスト)と表面との間の良好な接着を促進するために開始ウェーハをプライミングする工程である。酸化、酸化物ストリップ、およびイオンクリーンを含むウェーハ洗浄も行った。ウェーハ表面にある汚染物質を除去するために(DI)水リンスを使用した。ウェーハ製作では、有機化合物(フォトレジスト)と非有機支持体(ウェーハ)との化学接着を促進するためにシラン付着を使用した。シランは、フォトレジストとウェーハ表面の両方に結合する特性をもつ一種の「ブリッジ」として働く。典型的には、ヘキサメチルジシリザン(HMDS)を使用した。HMDSは、加熱された支持体上に、スプレーモジュールでは気相の形で、ディベロッパーモジュールではパドルおよびスピンによって液相の形で塗布した有機ケイ素薬剤である。これに続いてベーク工程を行った。パドル・スピン法では、HMDSをウェーハ上で、指定された時間にわたって攪拌し、次いで、回転させ、110℃~130℃の温度で1~2分間ベークした。スプレーモジュールでは、HMDSの蒸気を、加熱されたウェーハ支持体に200℃~220℃で30秒~50秒間塗布した。
【0153】
図6Cでは、ウェーハプライミング後に、フォトレジストコーターモジュールにおいてウェーハを遠紫外線(DUV)フォトレジストでコーティングした。本発明者らのDUVレジストは、溶解度を変える光酸発生剤を含むポリヒドロキシスチレンベースポリマーを含んだ。DUVレジストは光増感剤をさらに含んだ。ポリマー中のマトリックスは、保護基、例えば、末端基に取り付けられたtbocを含んだ。
【0154】
フォトレジストコートモジュールにおいてウェーハ上にDUVレジストをスピンコーティングした。このモジュールは、カップの中に保たれた真空チャックを備えた。チャックの上にウェーハをロボットアームによって機械的に置き、次いで、最適な厚さを得るために製造業者によって指定された必要な速度で回転させた。
【0155】
図6Cでは、予熱モジュールにおいてウェーハを予熱した。予熱モジュールは、製造業者によって指定された、対応するDUVレジストに必要とされる温度に設定することができるホットプレートを備えた。1バッチ分のウェーハを加熱する場合、本発明者らは加熱のためにマイクロ波を使用した。
【0156】
図6Dでは、ウェーハを、遠紫外線露光ツールの中でパターンフォトマスクを通して露光した。
【0157】
図6Eでは、ポスト露光ベークモジュールにおいてウェーハを加熱した。このポスト露光によって化学増幅が起こった。レジスト製造業者は、対応する生成物について代表的なポスト露光ベーク温度と時間を提供した。DUVフォトレジストでコーティングしたウェーハを248nm光源にレチクルを通して露光したときに、最初の光酸または光塩基が発生した。レジストの露光された部分は現像剤に溶けるようになり、それによって、0.25ミクロン寸法のパターン形成が可能になった。ポスト露光ベークモジュールは、製造業者によって指定された、必要とされる温度に設定されるホットプレートを備えた。このモジュールは、ロボットアームによってウェーハが配置される3つのバキュームピンを備えた。
【0158】
図6Eでは、ディベロッパーモジュールにおいてウェーハを現像した。ディベロッパーモジュールは、ウェーハと、現像液をウェーハ上に分注する加圧ノズルを保持する真空チャックを備えた。分注モードはパドル・スピンモードでもよく、スピン・リンスモードでもよい。パドル・スピンモード中は、現像液を分注するときに、ウェーハはチャック上に約30秒~1分間、静止状態になっていた。これによりウェーハの上部で現像液が攪拌された。1分後に現像液を回転によって取り除いた。スピン・リンスモード中は、ウェーハを回転させている間に現像液を分注した。
【0159】
図6Fでは、現像された領域において、ウェットエッチプロセスまたはドライエッチプロセスによって酸化物をエッチングした。エッチングとは、ケイ素支持体から、または支持体表面にある薄膜から材料が除去されるプロセスである。ウェーハ表面の特定の領域を保護するためにマスク層が用いられる場合、エッチングの目的は、マスクによって覆われていなかった材料を正確に除去することである。通常、エッチングは、2つのタイプ:ドライエッチングおよびウェットエッチングに分類される。ウェットエッチングでは、材料をエッチングするために液体の化学物質、主に酸を使用する。これに対して、ドライエッチングでは、材料をエッチングするために、気体を励起状態で使用する。例えば、500Åのエッチングの深さを実現するように、これらのプロセスを操作した。
【0160】
図6Gでは、ウェーハを酸化剤溶液に一晩浸漬し、次いで、ピラニア溶液に典型的には1時間漬けた。使用したピラニア溶液は硫酸と過酸化水素の1:1混合物であった。この溶液は、支持体から有機残留物を全て取り去るのに使用した。この混合物は強力な酸化剤であるので、有機物のほとんどを除去し、さらに、ほとんどの表面をヒドロキシル化(表面にOH基を付加)して、表面を親水性にした。このプロセスはまた、さらなるプラズマ灰化工程も含んだ。
【0161】
実施例7:アミン基誘導体化表面へのIL-6およびTNFαタンパク質の結合体化
実施例2に説明したように、支持体上にアミン基があるようにウェーハを表面誘導体化する(図2A)。ジアジリン、アリールアジド、またはベンゾフェノンのカルボキシルNHSエステルなどの光結合体化基をSigma Aldrichから入手した。結合体化溶液を作製するために、0.1mMのNHS-ジアジリンを1%PVP/水に溶解する。PVP(ポリビニルピロリドン)をPolysciencesから入手した。ウェーハ上に結合体化溶液を2000rpmで30秒間スピンコーティングし、完全にカップリングされるまで30分間そのままにする(図2B)。このカップリングプロセスは、カップリング効率を改善するために、また、時間を短くするためにベークオーブン内で、またはマイクロ波で加熱することによって行うこともできる。反応しなかったNHSをクエンチするために、結合体化溶液を含むウェーハを、VWRから入手したtris緩衝食塩水で洗浄した(図2C)。キャッピング溶液を以下の通りに調製する。Spectrum chemicalsから入手した50%無水酢酸と、VWRから入手した50%Nメチルピロリドンを混合する。ウェーハ上にキャッピング溶液をコーティングし、反応しなかったアミンをキャッピングするために75℃で90秒間ベークする。次に、ウェーハをN-メチルピロリドンで洗浄し、その後に、DI水でリンスし、乾燥させる。組換えIL-6をLife Techから入手した。50ug/ml IL-6および1%PVPを脱イオン水に溶解することによってIL-6カップリング溶液を調製する。このタンパク質カップリング溶液をウェーハ上に2000rpmで30秒間スピンコーティングする(図2D)。次いで、ウェーハを、Nikon S203スキャナに入れてレチクルを用いて248nmの遠紫外線を用いて100mJ/cm2で露光する(図2E)。これは、デジタルマイクロミラー(digital micromirror)または他のマスクレス(maskless)リソグラフィに基づく装置でも行うことができる。露光中に、ジアジレンのUV光分解によって、IL-6のようなタンパク質中にある任意のX-H結合との反応性が非常に高いカルベンが形成され、安定した共有結合が形成される。次いで、結合したIL-6を部位特異的な場所に残すために、タンパク質カップリング溶液をアレイから洗い流す(図2F)。このプロセスによって、1回のタンパク質結合体化が完了する。
【0162】
IL-6にカップリングしたスポットとは異なる部位特異的なスポットにTNFαをカップリングするために、異なるスポットを露光する異なるレチクルを用いて上記の工程を繰り返す(図3A~3D)。選択されたポリペプチドを、アレイ上にある特定のスポットにカップリングするために、これらの工程を数回繰り返すことができる。
【0163】
IL-6およびTNFαとアレイとの結合を試験するために、抗TNFα抗体および抗IL-6抗体を1:1000に希釈して加え、PBST緩衝液に溶解して一緒に混合する。抗体および緩衝液は全てLife Technologiesから入手した。アッセイを以下の通りに行った。チップをPBST緩衝液で5分間、3回洗浄した。次に、抗体を添加し、暗所で、37℃で1時間インキュベートした。次に、チップをPBST緩衝液で5分間、3回洗浄し、その後に、脱イオン水で5分間、3回洗浄した。最後に、チップを蛍光スキャナでスキャンした。
【0164】
タンパク質がない場合の蛍光シグナル強度が1500と測定されたことと比較して、IL-6の蛍光シグナル強度は45000と測定され、TNFαの蛍光シグナル強度は43500と測定された(図7)。この結果から、アレイにおいて2種類以上のタンパク質をカップリングできることが分かる。
【0165】
形成された中間カルベンはX-H結合との反応性が非常に高いので、このマイクロアレイに基づく光結合体化を拡張して、低分子およびX-H結合を含む任意の化学物質または生体分子をカバーすることができる。ベンゾフェノンの場合、遠紫外線での光分解によって、ベンゾフェノンはC-H結合と反応する。従って、マイクロアレイ形式でタンパク質を一度に一種類ずつ光結合体化することは、抗体および他の生体高分子を含むアレイを作製するのに使用できるだけでなく、低分子を含むアレイを開発するのにも使用することができる。
【0166】
実施例8:カルボン酸基誘導体化表面へのIL-6およびTNFαタンパク質の結合体化
実施例6に説明したように、支持体上にCOOH基があるように表面誘導体化したウェーハを準備する(図4A)。Sigma Aldrichから入手したEDC/NHSでウェーハを室温で10分間、活性化する(図4B)。
【0167】
アミノジアジリン、アリールアジド、またはベンゾフェノンなどの結合体化基をLife Techから入手した。0.1mMのアミノジアジリンを1%PVP/水に溶解する。PVP(ポリビニルピロリドン)をPolysciencesから入手した。この結合体化溶液をウェーハ上に2000rpmで30秒間スピンコーティングし、完全にカップリングまで30分間そのままにする(図4C)。このカップリングプロセスは、カップリング効率を改善するために、また、時間を短くするためにベークオーブン内で、またはマイクロ波で加熱することによって行うこともできる。ウェーハを、VWRから入手したtris緩衝食塩水で洗浄した(図4D)。キャッピング溶液を以下の通りに調製する。Sigma Aldrichから入手した1MエタノールアミンをDI水および1%PVPに溶解し、ウェーハ上にスピンコーティングする。コートを室温で10分間放置した。次に、ウェーハを脱イオン水で洗浄し、乾燥する。組換えIL-6をLife Techから入手した。50μg/ml IL-6および1%PVPを脱イオン水に溶解することによってIL-6カップリング溶液を調製する。このタンパク質カップリング溶液をウェーハ上に2000rpmで30秒間スピンコーティングした(図4E)。次いで、ウェーハを、Nikon S203スキャナに入れてレチクルを用いて248nmの遠紫外線に100mJ/cm2で露光した(図4F)。これは、デジタルマイクロミラーまたは他のマスクレスリソグラフィに基づく装置ならびに365nmステッパ/スキャナでも行うことができる。露光中に、ジアジレンのUV光分解によって、IL-6のようなタンパク質中にある任意のX-H結合との反応性が非常に高いカルベンが形成され、IL-6と結合体化化合物との間に安定した共有結合が形成される。次いで、過剰なタンパク質カップリング溶液をウェーハから洗い流した。このプロセスによって1回のタンパク質カップリングが完了する(図4G)。
【0168】
IL-6にカップリングしたスポットとは異なる部位特異的なスポットにTNFαをカップリングするために、異なるスポットを露光する異なるレチクルを用いて上記の工程を繰り返す(図5A~5C)。選択されたポリペプチドを、アレイ上にある特定のスポットにカップリングするために、これらの工程を数回繰り返すことができる。
【0169】
IL-6およびTNFαとアレイとの結合を試験するために、抗TNFα抗体および抗IL-6抗体を1:1000に希釈して加え、PBST緩衝液に溶解して一緒に混合した。抗体および緩衝液は全てLife Technologiesから入手した。アッセイを以下の通りに行った。チップをPBST緩衝液で5分間、3回洗浄した。次に、抗体を添加し、暗所で、37℃で1時間インキュベートした。次に、チップをPBST緩衝液で5分間、3回洗浄し、その後に、脱イオン水で5分間、3回洗浄した。最後に、チップを蛍光スキャナでスキャンした。
【0170】
タンパク質がない場合の蛍光シグナル強度が1500と測定されたことと比較して、IL-6の蛍光シグナル強度は45000と測定され、TNFαの蛍光シグナル強度は43500と測定された(図7)。この結果から、アレイにおいて2種類以上のタンパク質をカップリングできることが分かる。
【0171】
形成された中間カルベンはX-H結合との反応性が非常に高いので、このマイクロアレイに基づく光結合体化を拡張して、低分子およびX-H結合を含む任意の化学物質または生体分子をカバーすることができる。ベンゾフェノンの場合、遠紫外線での光分解によって、ベンゾフェノンはC-H結合と反応する。従って、マイクロアレイ形式でタンパク質を一度に一種類ずつ光結合体化することは、抗体および他の生体高分子を含むアレイを作製するのに使用できるだけでなく、低分子を含むアレイを開発するのにも使用することができる。
【0172】
本発明は、好ましい態様および様々な他の態様に関して詳細に示され、説明されたが、本明細書では、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形状および細部において様々な変更を加えることができることが関連分野の当業者によって理解されるだろう。
【0173】
本明細書の本文の中で引用された全ての参考文献、発行された特許、および特許出願は、これらの全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願の明細書に記載される発明。