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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091330
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/08 20060101AFI20230623BHJP
   F16K 15/03 20060101ALI20230623BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20230623BHJP
【FI】
F01N1/08 A
F16K15/03 F
F01N13/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206015
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 隆敏
(72)【発明者】
【氏名】清水 正道
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 暢仁
【テーマコード(参考)】
3G004
3H058
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA01
3G004BA03
3G004CA04
3G004CA07
3G004CA11
3G004DA21
3G004DA24
3G004EA02
3G004EA03
3H058AA07
3H058BB22
3H058BB29
3H058BB40
3H058CA04
3H058CC02
3H058CD05
3H058EE05
3H058EE15
(57)【要約】
【課題】コストを抑制しながらバルブ装置の閉状態を保持する圧力を高くする。
【解決手段】バルブ装置100は、弁座110と、開口221を開閉する弁体130と、弁体130を閉弁方向へ付勢するねじりコイルばね150と、弁座110に設けられる固定材120と、一端が他端よりもねじりコイルばね150に近接して固定されるように弁体130に設けられる板材160であって、一端が固定される第1平板部161と、他端が設けられる第2平板部162と、を有するL字型の板材160と、弁体130の開弁時又は閉弁時に摺接による抵抗を生じさせるラッチ機構170と、を備え、ラッチ機構170は、弁体130の開弁時に第2平板部162を撓ませることで第1最大抵抗力を生じさせ、弁体130の閉弁時に第1平板部161を撓ませることで第1最大抵抗力よりも小さい第2最大抵抗力を生じさせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ装置であって、
排気ガスが通過する排気通路に設けられる弁座と、
回動可能に前記排気通路に設けられ前記弁座に対し離接するように回動することにより前記排気通路を開閉する弁体と、
前記弁体を閉弁方向へ付勢する付勢部材と、
前記弁座及び前記弁体のうちのいずれか一方に設けられる固定材と、
一端が他端よりも前記付勢部材に近接して固定されるように前記弁座及び前記弁体のうちのいずれか他方に設けられる抵抗部材であって、前記一端が固定される第1部材と、前記他端が設けられる第2部材と、を有するL字型の抵抗部材と、
前記弁体の開弁時又は閉弁時に摺接による抵抗を生じさせるラッチ機構と、を備え、
前記ラッチ機構は、
前記弁体の開弁時に前記第2部材を撓ませることで第1最大抵抗力を生じさせ、
前記弁体の閉弁時に前記第1部材を撓ませることで前記第1最大抵抗力よりも小さい第2最大抵抗力を生じさせる、
バルブ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ装置であって、
前記ラッチ機構は、
前記固定材に設けられる第1摺接部と、
前記第1摺接部と摺接可能に前記第2部材に設けられる第2摺接部と、を有する、
バルブ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブ装置であって、
前記弁体の開弁時における前記第1摺接部に対する前記第2摺接部の摺接軌跡は、前記弁体の閉弁時における前記第1摺接部に対する前記第2摺接部の摺接軌跡と異なる、
バルブ装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のバルブ装置であって、
前記第1部材の延在方向の長さは、前記第2部材の延在方向の長さよりも長い、
バルブ装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のバルブ装置であって、
前記抵抗部材が前記弁体に設けられる場合において、前記弁体の開弁時に前記第1部材は、撓まないように前記弁体と接する、
バルブ装置。
【請求項6】
請求項2に記載のバルブ装置であって、
前記第1部材の下側に排気ガスの圧力を受ける受圧面が設けられ、
前記弁体は、
前記受圧面に作用する排気ガスの圧力が前記付勢部材の付勢力と前記ラッチ機構が発生する抵抗力との合計を超えるまでは、閉弁状態に保持され、
前記受圧面に作用する排気ガスの圧力が前記付勢部材の付勢力と前記ラッチ機構が発生する抵抗力との合計を超えると、前記第2摺接部が前記第1摺接部を乗り越えて開弁状態になる、
バルブ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブ装置であって、
前記抵抗部材は、前記弁体の開弁時と閉弁時とに撓む部位の回動支点が異なる、
バルブ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のバルブ装置であって、
前記抵抗部材は、前記弁体の開弁時に撓む部位と回動支点との間の剛性が、前記弁体の閉弁時に撓む部位と回動支点との間の剛性よりも高い、
バルブ装置。
【請求項9】
請求項7に記載のバルブ装置であって、
前記抵抗部材は、
前記弁体の開弁時には前記第1部材と前記第2部材との連結部を回動支点として撓み、
前記弁体の閉弁時には前記第1部材の前記一端を回動支点として撓む、
バルブ装置。
【請求項10】
請求項1に記載のバルブ装置であって、
前記固定材は、前記弁座に設けられ、
前記抵抗部材は、前記弁体に設けられる、
バルブ装置。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか一項に記載のバルブ装置であって、
前記抵抗部材は、L字型の板材であり、
前記第1部材は、平板状の第1平板部であり、
前記第2部材は、平板状の第2平板部である、
バルブ装置。
【請求項12】
請求項1から10のうちのいずれか一項に記載のバルブ装置であって、
前記抵抗部材は、線材によって形成される線状ばねであり、
前記第1部材は、前記線材によって形成される第1ばね部であり、
前記第2部材は、前記線材によって形成される第2ばね部である、
バルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排気管に設けられる支持部に支軸を介して揺動可能に取り付けられ開口端を開閉可能な弁体と、弁体に付勢力を付与して開口端を閉塞させる付勢体と、を備え、排気管内の排気ガスの圧力が付勢体の付勢力よりも大きくなると開口端を開放する圧力制御弁(バルブ装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-241543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、排気ガスの圧力によって排気通路を開閉するバルブ装置では、閉状態を保持する圧力を高くして消音性を確保し、開状態で圧損を低くして低背圧性を確保することが要求される。しかしながら、特許文献1に記載の圧力制御弁では、閉状態を保持する圧力を高くするためには、付勢体(付勢部材)を増強する必要がある。付勢体は付勢力が大きいものほど大幅に高価になると共に、付勢体の付勢力が作用する他の部材もあわせて強化する必要があるので、付勢部材を増強することでコストが増大するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、コストを抑制しながらバルブ装置の閉状態を保持する圧力を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、排気ガスが通過する排気通路に設けられる弁座と、回動可能に前記排気通路に設けられ前記弁座に対し離接するように回動することにより前記排気通路を開閉する弁体と、前記弁体を閉弁方向へ付勢する付勢部材と、前記弁座及び前記弁体のうちのいずれか一方に設けられる固定材と、一端が他端よりも前記付勢部材に近接して固定されるように前記弁座及び前記弁体のうちのいずれか他方に設けられ、前記一端が固定される第1部材と、前記他端が設けられる第2部材と、を有するL字型の抵抗部材と、前記弁体の開弁時又は閉弁時に摺接による抵抗を生じさせるラッチ機構と、を備え、前記ラッチ機構は、前記弁体の開弁時に前記第2部材を撓ませることで第1最大抵抗力を生じさせ、前記弁体の閉弁時に前記第1部材を撓ませることで前記第1最大抵抗力よりも小さい第2最大抵抗力を生じさせるバルブ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
これらの態様によれば、コストを抑制しながらバルブ装置の閉状態を保持する圧力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、マフラーを示す概略説明図である。
図2A図2Aは、第1実施形態に係るバルブ装置を示す斜視図である。
図2B図2Bは、第1実施形態に係るバルブ装置を示す平面図である。
図3図3は、弁体の開弁時における抵抗部材及びラッチ機構の動作を示す断面図である。
図4図4は、弁体の閉弁時における抵抗部材及びラッチ機構の動作を示す断面図である。
図5図5は、比較例に係るバルブ装置における弁体の閉弁時を示す断面図である。
図6図6は、比較例に係るバルブ装置における弁体の開弁時を示す断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係るバルブ装置における弁体の開弁時に作用するモーメントについて説明する断面図である。
図8図8は、比較例に係るバルブ装置における弁体の開弁時に作用するモーメントについて説明する断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係るバルブ装置における弁体の閉弁時に作用するモーメントについて説明する断面図である。
図10図10は、比較例に係るバルブ装置における弁体の閉弁時に作用するモーメントについて説明する断面図である。
図11図11は、エンジンの回転速度とマフラーの圧力との関係を示すグラフである。
図12図12は、変形例に係るラッチ機構を示す側面図である。
図13図13は、変形例に係る第1部材を備えるバルブ装置を示す平面図である。
図14図14は、第1変形例に係る固定材及び第2部材を備えるバルブ装置を示す断面図である。
図15図15は、第2変形例に係る固定材及び第2部材を備えるバルブ装置を示す断面図である。
図16図16は、第3変形例に係るバルブ装置を示す斜視図である。
図17図17は、第3変形例に係るバルブ装置を示す断面図である。
図18図18は、第2実施形態に係るバルブ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0010】
まず、図1を参照しながらマフラー1について説明する。
【0011】
図1は、バルブ装置100が設けられるマフラー1の一例を示す概略説明図である。
【0012】
図1に示すように、マフラー1は、車両に搭載されたエンジン(図示しない)から排出される排気ガスが通過する排気通路の一部を構成するものである。マフラー1は、筒状部材11の前端開口及び後端開口がそれぞれ前蓋12及び後蓋13により閉塞された筐体10を備える。筐体10の内部は、第1仕切板21と第2仕切板22とにより、左側から右側へ順に配列される第1通路室31、第2通路室32及び第3通路室33に区画される。
【0013】
具体的には、第1通路室31は、前蓋12と第1仕切板21との間に形成される。第2通路室32は、第1仕切板21と第2仕切板22との間に形成される。第3通路室33は、後蓋13と第2仕切板22との間に形成される。そして、第1仕切板21には、第1通路室31と第2通路室32とを連通させる複数の連通孔211が形成される。第2仕切板22には、第2通路室32と第3通路室33とを連通させる排気通路としての開口221が形成される。
【0014】
マフラー1は、エンジンからの排気ガスが導入されるインレットパイプ41と、テールパイプ(図示しない)に接続されて排気ガスを排出するアウトレットパイプ42と、後述する弁体130(図2Aから図4参照)が開口221の下流側において回動することにより開口221を開閉するバルブ装置100と、をさらに備える。
【0015】
インレットパイプ41は、順に前蓋12、第1仕切板21及び第2仕切板22を貫通して前後方向に沿って延在するように設けられる。インレットパイプ41は、下流側端部としての右端部が第3通路室33に開口する。第1通路室31におけるインレットパイプ41の外周面には、インレットパイプ41の内部空間と第1通路室31とを連通させる複数の貫通孔411が形成される。第2通路室32におけるインレットパイプ41の外周面には、インレットパイプ41の内部空間と第2通路室32とを連通させる貫通孔412が形成される。
【0016】
アウトレットパイプ42は、順に後蓋13、第2仕切板22及び第1仕切板21を貫通して前後方向に沿って延在するように設けられる。アウトレットパイプ42は、上流側端部としての左端部が第1通路室31に開口する。第2通路室32におけるアウトレットパイプ42の外周面には、アウトレットパイプ42の内部空間と第2通路室32とを連通させる貫通孔421が形成される。
【0017】
バルブ装置100は、第2通路室32において開閉(回動)可能に第2仕切板22に設けられる。そして、エンジンの回転速度が所定の回転速度以下である場合に、弁体130(図2Aから図4参照)は、閉弁位置に保持される。一方、エンジンの回転速度が所定の回転速度を超える場合に、弁体130は、エンジンからの排気ガスによるマフラー1の圧力としての第3通路室33の圧力により開弁方向に回動する。
【0018】
(第1実施形態)
次に、図1から図11を参照しながら第1実施形態に係るバルブ装置100について説明する。
【0019】
図2Aは、第1実施形態に係るバルブ装置100を示す斜視図である。図2Bは、第1実施形態に係るバルブ装置100を示す平面図である。図3は、弁体130の開弁時におけるL字型の板材160及びラッチ機構170の動作を示す断面図である。図4は、弁体130の閉弁時におけるL字型の板材160及びラッチ機構170の動作を示す断面図である。
【0020】
図1から図4に示すように、第1実施形態に係るバルブ装置100は、弁座110と、固定材120と、弁体130と、シャフト140と、付勢部材としてのねじりコイルばね150と、L字型の抵抗部材としての板材160と、ラッチ機構170と、緩衝材としての円環状のメッシュ材180と、一対のウェート材190と、を備える。
【0021】
弁座110は、開口221に設けられる。弁座110は、略環状の弁座本体111と、弁座本体111から一方側(すなわち、開口221の上流側)へ突出するように弁座本体111の内周と接続される筒部112と、弁座本体111から他方側(すなわち、開口221の下流側)へ突出するように弁座本体111の外周と接続される略円弧状(平面視)の弁座側周壁113と、シャフト140の両端が支持されるように弁座側周壁113の略円弧状の両端に形成される一対の軸受孔114と、を有する。本実施形態では、筒部112は、開口221に挿入される(図1図3及び図4参照)。
【0022】
固定材120は、変形不能に弁座110に設けられる板材である。固定材120は、平面視において弁座側周壁113の略円弧状の両端の間(具体的には、弁座側周壁113の略円弧状の両端の中央)に位置するように、基端が弁座側周壁113の先端と接続される。また、本実施形態では、固定材120は、弁座本体111が位置する平面と直交する方向(以下、第1方向ともいう。)に沿って延在するように設けられる。
【0023】
ラッチ機構170を構成する第1摺接部171は、固定材120(具体的には、固定材120の先端)に設けられる。第1摺接部171は、一対の軸受孔114に支持されるシャフト140と対向する固定材120の対向面に設けられる半円状の突起からなる。半円状の第1摺接部171は、径が固定材120の延在方向(すなわち、第1方向)に沿って延在するように設けられる。
【0024】
弁体130は、回動可能に開口221に設けられ弁座110に対し離接するように回動することにより開口221を開閉する。具体的には、弁体130は、一対の軸受孔114に支持されるシャフト140を通じて弁座110とヒンジ接続される。
【0025】
また、弁体130は、略平板状の弁体本体131と、弁体本体131から他方側(すなわち、開口221の下流側)へ突出するように弁体本体131の外周と接続される略円弧状(平面視)の弁体側周壁132と、シャフト140の両端が貫通されるように弁体側周壁132の略円弧状の両端に形成される一対の挿通孔133と、固定材120と背向する弁体本体131の背向側から突出する固定部134と、ねじりコイルばね150の一端が保持されるように弁体本体131の背面側に形成される切欠135と、を有する。
【0026】
シャフト140には、ねじりコイルばね150が支持される。ねじりコイルばね150は、弁体130を閉弁方向へ付勢する。具体的には、ねじりコイルばね150は、一端が切欠135に保持されると共に他端が弁体本体131を押圧するように形成される。
【0027】
弁体本体131の中央には、一方側(すなわち、排気通路の上流側)へ凹む円形(平面視)の凹部131aが形成される。弁座110と対向する弁体本体131の上流側面には、円形の凹部131aを取り囲むメッシュ材180が設けられる。そして、弁体130が開弁位置から閉弁位置へ回動する際(以下、弁体130の閉弁時ともいう。)に、メッシュ材180は、弁座本体111と当接する。これにより、弁体130の閉弁時に弁体本体131と弁座本体111とが直接当接することを回避することができるため、弁体本体131と弁座本体111との当接による当接音を消音することができる。
【0028】
弁座110と背向する弁体本体131の下流側面には、弁体本体131の共振を防止する一対のウェート材190が設けられる。
【0029】
弁体130には、L字型の板材160が設けられる。具体的には、L字型の板材160は、弁座110と背向する弁体本体131の下流側面に設けられる。L字型の板材160は、変形(撓み)可能な第1部材としての第1平板部161及び変形可能な第2部材としての第2平板部162からなる。
【0030】
第1平板部161は、L字型の板材160の一端としての一端が溶接又はねじ止めによって固定部134に固定されるように弁体本体131の下流側面に設けられる。言い換えれば、第1平板部161は、一端を除く部分が変形可能に形成される。第1平板部161は、一端が形成される幅狭領域161aと、幅狭領域161aと第2平板部162とを接続する幅広領域161bと、を有する。そして、幅狭領域161a及び幅広領域161bの両方を第1平板部161に形成することにより、第1平板部161の変形程度を容易に変更することができる。
【0031】
弁体130が閉弁位置に位置する際に、第1平板部161は、全体が弁体本体131と接するように、一対の軸受孔114に支持されるシャフト140の延在方向(以下、第2方向ともいう。)と直交する方向(以下、第3方向ともいう。)に沿って延在する。第1平板部161の下側には、排気ガスの圧力を受ける受圧面が設けられる。
【0032】
第2平板部162は、一端が第1平板部161(具体的には、幅広領域161b)と接続されるように第1方向において開口221の下流側へ向かって延在して設けられる。第2平板部162(具体的には、L字型の板材160の他端としての第2平板部162の他端)には、第1摺接部171と摺接可能な第2摺接部172が設けられる。
【0033】
第2摺接部172は、第1摺接部171と共にラッチ機構170を構成する。第2摺接部172は、固定材120と対向する第2平板部162の対向面に設けられる半円状の突起からなる。半円状の第2摺接部172は、径が第2平板部162の延在方向(すなわち、第1方向)に沿って延在するように設けられる。
【0034】
弁体130が閉弁位置に位置する際に、第2摺接部172は、第1摺接部171と弁座本体111との間に位置する。そして、第2平板部162の延在方向(すなわち、第1方向)の長さは、固定材120の延在方向(すなわち、第1方向)の長さよりも短い。
【0035】
ラッチ機構170は、弁体130が閉弁位置から開弁位置へ回動する際(以下、弁体130の開弁時ともいう)又は弁体130の閉弁時に、第1摺接部171及び第2摺接部172間の摺接による抵抗を生じさせる。なお、弁体130の開弁時又は閉弁時におけるラッチ機構170の各動作については後述する。
【0036】
このように第1平板部161の一端を固定部134に固定することで、第1平板部161の一端は、第2平板部162の他端よりもねじりコイルばね150に近接して固定される。
【0037】
また、第1平板部161の延在方向(すなわち、第3方向)の長さは、第2平板部162の延在方向(すなわち、第1方向)の長さよりも長い。これにより、第2平板部162よりも撓みやすい第1平板部161を構成することができる。
【0038】
次に、図1及び図3から図10を参照しながら弁体130の開弁時又は閉弁時におけるL字型の板材160及びラッチ機構170の各動作について説明する。
【0039】
図1及び図3に示すように、エンジンの回転速度が所定の回転速度を超える場合に、弁体130は、第3通路室33の排気ガスの圧力により発生する開弁力T(弁体130を開こうとする力:圧力P×弁座本体111の内周側(受圧面)の面積A)によって開弁方向に回動する。そして、弁体130の開弁時に開弁力Tに抗して、ねじりコイルばね150による付勢力Fに加え、ラッチ機構170の摺接(具体的には、第1摺接部171と第2摺接部172との間の摺接)による第1抵抗力D1が生じる。
【0040】
弁体130の開弁時に第1摺接部171と第2摺接部172とが摺接すると、図3の二点鎖線に示すように、第2平板部162は、他端が第1摺接部171から離間するように一端を中心として撓む。これにより、ラッチ機構170は、弁体130の開弁時に第2平板部162を撓ませることで第1抵抗力D1が最大となる第1最大抵抗力を生じさせる。
【0041】
この際に、第1平板部161は、弁体本体131に押し付けられる力が作用するので、撓まないように弁体本体131と接する。これにより、第2平板部162よりも撓みやすい第1平板部161を撓ませないことで、第2平板部162の撓みによる第1抵抗力D1をより大きくすることができる。
【0042】
図1及び図4に示すように、エンジンの回転速度が所定の回転速度以下である場合に、弁体130は、ねじりコイルばね150による付勢力Fにより閉弁方向に回動する。そして、弁体130の閉弁時にねじりコイルばね150による付勢力Fに抗して、第3通路室33の開弁力Tに加え、ラッチ機構170の摺接(具体的には、第1摺接部171と第2摺接部172との間の摺接)による第2抵抗力D2が生じる。なお、第2抵抗力D2は、第1抵抗力D1よりも小さい。
【0043】
弁体130の閉弁時に第1摺接部171と第2摺接部172とが摺接すると、図4の二点鎖線に示すように、第2平板部162よりも撓みやすい第1平板部161は、他端が弁体本体131から離間するように一端を中心として撓む。これにより、ラッチ機構170は、弁体130の閉弁時に第1平板部161を撓ませることで第2抵抗力D2が最大となる第2最大抵抗力を生じさせる。なお、第2最大抵抗力は、第1最大抵抗力よりも小さい。
【0044】
以上のことから、ラッチ機構170は、弁体130の開弁時に第2平板部162を撓ませることで第1最大抵抗力を生じさせ、弁体130の閉弁時に第1平板部161を撓ませることで第1最大抵抗力よりも小さい第2最大抵抗力を生じさせる。これにより、弁体130の開弁時における第2平板部162の撓みによる第1最大抵抗力を、弁体130の閉弁時における第1平板部161の撓みによる第2最大抵抗力よりも大きく設定することで、第1最大抵抗力と第2最大抵抗力の差を大きく設定することができる。このため、開弁時に弁体130が開きにくく、かつ、閉弁時に弁体130が閉じやすいバルブ装置100を提供することができる。
【0045】
また、バルブ装置100では、ねじりコイルばね150を増強するのではなく、ねじりコイルばね150を変更せずにL字型の板材160を追加することで、弁体130の閉状態を保持する圧力を高くしている。そのため、ねじりコイルばね150を付勢力が大きいものに変更する必要はなく、ねじりコイルばね150の付勢力が作用する他の部材も強化する必要はない。したがって、コストを抑制しながらバルブ装置100の閉状態を保持する圧力を高くすることができる。
【0046】
続いて、図3及び図4を参照しながら開弁時に弁体130が開きにくく閉弁時に弁体130が閉じやすいことについて具体的に説明する。
【0047】
図3に示すように、弁体130の開弁時には、L字型の板材160におけるH点とI点との間の部位が、開弁力Tの作用する方向から排気ガスの圧力を受ける。このとき、L字型の板材160は、ラッチ機構170の第1摺接部171が第2摺接部172を弁体130に向かって押さえつけているので、第1平板部161が弁体130に当接したままである。そのため、L字型の板材160(具体的には、第2平板部162)は、H点を支点として固定材120から離れる方向に回動し、L点(すなわち、第2摺接部172の中心点)が撓みはじめる(回動しはじめる)。
【0048】
一方、図4に示すように、弁体130の閉弁時には、L字型の板材160におけるH点とI点との間の部位に開弁力Tの作用する方向から作用する排気ガスの圧力は、なくなるかあったとしても小さくなる。このとき、L字型の板材160は、ラッチ機構170の第1摺接部171が第2摺接部172を弁体130から離れる方向に向かって押さえるので、第1平板部161が弁体130から離間する。そのため、L字型の板材160(具体的には、第1平板部161)は、ねじりコイルばね150の付勢力により、I点を支点として弁体130から離れる方向に回動し、L点が撓みはじめる(回動しはじめる)。また、弁体130の回動に対して、L点の撓みが発生することで反力が発生する。
【0049】
このように、L字型の板材160は、弁体130の開弁時には第1平板部161と第2平板部162との連結部を回動支点として撓み、弁体130の閉弁時には第1平板部161の一端を回動支点として撓む。即ち、L字型の板材160は、弁体130の開弁時と閉弁時とに撓む部位の回動支点が異なる。
【0050】
弁体130は、受圧面に作用する排気ガスの圧力がねじりコイルばね150の付勢力とラッチ機構170が発生する抵抗力(L字型の板材160による反力)との合計を超えるまでは、閉弁状態に保持される。一方、弁体130は、受圧面に作用する排気ガスの圧力がねじりコイルばね150の付勢力とラッチ機構170が発生する抵抗力(L字型の板材160による反力)との合計を超えると、L点がM点(すなわち、第1摺接部171の中心点)を乗り越えて(すなわち、第2摺接部172が第1摺接部171を乗り越えて)開弁状態になる。弁体130が開弁状態から閉弁状態になるときも同様である。
【0051】
ここで、ラッチ機構170が発生する抵抗力、即ちL字型の板材160による反力は、撓み量とばね定数とにより変化する。具体的には、第1抵抗力D1は、H点-L点間の部材の剛性によるばね定数をK1とし、第2平板部162の変形量(第1摺接部171の高さ方向の変形量)をWとすると、D1=K1×Wで示される。第2抵抗力D2は、I点-H点-L点間の部材の剛性によるばね定数をK2とすると、D2=K2×Wで示される。変形量Wは、ラッチ機構170の変形量、即ち乗り越え量の寸法である。この変形量Wは、開弁時と閉弁時とで同様の高さを乗り越えるため、同じである。
【0052】
L字型の板材160の剛性は、長さ方向に長いほど低くなる。I点-H点-L点間の部材の剛性は、H点-L点間の長さよりもI点-H点-L点間の長さの方が長いので、H点-L点間の部材の剛性よりも低い。言い換えると、弁体130の開弁時に撓む部位と回動支点との間の剛性が、弁体130の閉弁時に撓む部位と回動支点との間の剛性よりも高い。よって、ばね定数K2は、ばね定数K1よりも小さい。したがって、第1抵抗力D1と第2抵抗力D2との関係は、D2<D1である。即ち、閉弁時に弁体130に作用する第2抵抗力D2は、開弁時に弁体130に作用する第1抵抗力D1よりも小さいので、弁体130が開きにくくかつ閉じやすい。
【0053】
なお、ここでは、L字型の板材160の剛性を部材の長さの違いによって異ならせているが、長さの他にも、幅,板厚,弾性係数などの各パラメータによって異ならせてもよい。
【0054】
続いて、図5及び図10を参照しながら開弁時に弁体130が開きにくく閉弁時に弁体130が閉じやすいことについて作用するモーメントに着目してさらに説明する。
【0055】
図5は、比較例に係るバルブ装置200における弁体130の閉弁時を示す断面図である。図6は、比較例に係るバルブ装置200における弁体130の開弁時を示す断面図である。図7は、弁体130の開弁時に作用するモーメントについて説明する断面図である。図8は、比較例に係るバルブ装置200における弁体130の開弁時に作用するモーメントについて説明する断面図である。図9は、弁体130の閉弁時に作用するモーメントについて説明する断面図である。図10は、比較例に係るバルブ装置200における弁体130の閉弁時に作用するモーメントについて説明する断面図である。
【0056】
まず、図5及び図6を参照しながら比較例に係るバルブ装置200について説明する。
【0057】
図5及び図6に示すように、バルブ装置200は、L字型の板材160を備えず、ラッチ機構170に代えてラッチ機構270を備える点でバルブ装置100とは相違するが、その他の構成はバルブ装置100と同じである。
【0058】
ラッチ機構270は、板ばね部材271と、係合突起272と、を有する。
【0059】
板ばね部材271は、弁座110に設けられる。板ばね部材271は、弁座110から弁体130の開閉方向に向かって延設される。板ばね部材271は、第1摺接部271aと、第2摺接部271bと、を有する。板ばね部材271は、弁体130の開弁時及び閉弁時に外周に向かって撓む。
【0060】
係合突起272は、弁体130に設けられる。係合突起272は、弁体130の外周に向かって弁体130から突出する。係合突起272は、弁体130の開弁時に第1摺接部271aに摺接し(図5参照)、弁体130の閉弁時に第2摺接部271bに摺接する(図6参照)。
【0061】
次に、図3図5図7及び図8を参照しながら弁体130の開弁時に作用するモーメントについて説明する。
【0062】
図3及び図7に示すように、本実施形態に係るバルブ装置100では、開弁時にはH点を支点としてH点-Q点間の部材(第2平板部162)が撓む。このとき、ねじりコイルばね150による弁体130を閉じようとするモーメントをMCとし、J点とN点との間の距離をJNとし、J点とQ点との間の距離をJQとすると、弁体130が閉状態から開状態になる条件は、MC<F4×JN-F1×JQである。即ち、モーメントMCが、排気ガスの圧力によって弁体130を開こうとするモーメント(F4×JN)とラッチ機構170が発生する抵抗力によるモーメント(F1×JQ)との差よりも小さくなれば、ねじりコイルばね150によって弁体130が開かれる。
【0063】
移項して式を整理すると、F4×JN>MC+F1×JQとなる。
【0064】
一方、図5及び図8に示すように、比較例に係るバルブ装置200では、ねじりコイルばね150による弁体130を閉じようとするモーメントをMCとし、J点とN点との間の距離をJNとし、J点とQ点との間の距離をJQとすると、弁体130を閉状態から開状態になる条件は、MC<F4×JN-F1×JQである。
【0065】
同様に、移項して式を整理すると、F4×JN>MC+F1×JQとなる。
【0066】
よって、バルブ装置100とバルブ装置200とで同じ式になるので、弁体130が開くF4は、バルブ装置100とバルブ装置200とで同じである。即ち、バルブ装置100とバルブ装置200とで、弁体130の閉弁しやすさに差はないと言える。
【0067】
次に、図4図6図9及び図10を参照しながら弁体130の閉弁時に作用するモーメントについて説明する。
【0068】
図4及び図9に示すように、本実施形態に係るバルブ装置100では、閉弁時にはI点を支点としてI点-H点間の部材(第1平板部161)が撓む。ねじりコイルばね150による弁体130を閉じようとするモーメントをMCとし、J点とN点との間の距離をJNとし、J点とQ点との間の距離をJQとすると、弁体130を開状態から閉状態になる条件は、MC>F3×JN+F2×JQである。即ち、モーメントMCが、排気ガスの圧力によって弁体130を開こうとするモーメント(F3×JN)とラッチ機構170が発生する抵抗力によるモーメント(F2×JQ)との和よりも大きくなれば、ねじりコイルばね150によって弁体130が閉じられる。
【0069】
移項して式を整理すると、F3×JN<MC-F2×JQとなる。
【0070】
一方、図6及び図10に示すように、比較例に係るバルブ装置200では、ねじりコイルばね150による弁体130を閉じようとするモーメントをMCとし、J点とN点との間の距離をJNとし、J点とQ点との間の距離をJQとすると、弁体130を開状態から閉状態になる条件は、MC>F3×JN+F2×JQである。
【0071】
同様に、移項して式を整理すると、F3×JN<MC-F2×JQとなる。ここで、比較例に係るバルブ装置200では、開弁時と閉弁時とにおける板ばね部材271の支点は同一であるので、反力はほぼ同一である。即ち、F1≒F2である。よって、F2をF1に置き換えて、F3×JN<MC-F1×JQと示すことができる。
【0072】
よって、バルブ装置100とバルブ装置200とでF1が同一であるとすると、弁体130が閉じるF3は、バルブ装置100の方が大きくなる。即ち、バルブ装置100は、バルブ装置200よりも弁体130が閉弁しやすいと言える。
【0073】
以上のように、本実施形態に係るバルブ装置100では、開弁時にはH点を支点としてH点-Q点間の部材(第2平板部162)が撓み、閉弁時にはI点を支点としてI点-H点間の部材(第1平板部161)が撓む。これにより、バルブ装置100に作用するモーメントは、開弁時よりも閉弁時の方が小さくなる(F2<F1により、F2×JQ<F1×JQ)。即ち、バルブ装置100では、抵抗部材として機能するL字型の板材160が弁座110ではなく弁体130に設けられているので、開弁時と閉弁時とでL字型の板材160が撓む支点が変化して、閉弁時の反力が小さくなる。よって、弁体130が開きにくく、かつ閉じやすくすることができる。
【0074】
上述のように、弁体130の開弁時におけるL字型の板材160の撓み部分である第2平板部162と弁体130の閉弁時におけるL字型の板材160の撓み部分である第1平板部161とが異なる。すなわち、弁体130の開弁時における第1摺接部171に対する第2摺接部172の摺接軌跡は、弁体130の閉弁時における第1摺接部171に対する第2摺接部172の摺接軌跡と異なる。これにより、開弁時に弁体130が開きにくく、かつ、閉弁時に弁体130が閉じやすいバルブ装置100を提供することができる。
【0075】
次に、図11を参照しながらエンジンの回転速度Vと第3通路室33の圧力Pとの関係について説明する。
【0076】
図11は、エンジンの回転速度Vと第3通路室33の圧力Pとの関係を示すグラフである。図11において、エンジンの回転速度Vを横軸とし、第3通路室33の圧力Pを縦軸とする。また、図11において、第1実施形態に係るバルブ装置100におけるエンジンの回転速度Vと第3通路室33の圧力Pとの関係を実線で示し、従来製品に係るバルブ装置におけるエンジンの回転速度Vと第3通路室33の圧力Pとの関係を破線で示す。
【0077】
図11に示すように、第1実施形態に係るバルブ装置100の第1閉弁領域A1及び従来製品に係るバルブ装置の第2閉弁領域A2において、エンジンの回転速度が大きくなるに従って第3通路室33の圧力Pが大きくなる。また、第1実施形態に係るバルブ装置100の第1閉弁領域A1は、従来製品に係るバルブ装置の第2閉弁領域A2に比べ、遥かに大きい。このため、第1実施形態に係るバルブ装置100によれば、従来製品に係るバルブ装置に比べ、開弁時に弁体130が開きにくく、かつ、閉弁時に弁体130が閉じやすくなる。
【0078】
そして、エンジンの回転速度が所定の第1回転速度V1を超える場合に、第1実施形態に係るバルブ装置100は、第1開弁領域B1に移行する。一方、エンジンの回転速度が所定の第1回転速度V1よりも小さい所定の第2回転速度V2を超える場合に、従来製品に係るバルブ装置は、第2開弁領域B2に移行する。
【0079】
(作用効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0080】
本実施形態に係るバルブ装置100は、排気ガスが通過する開口221(排出通路)に設けられる弁座110と、回動可能に開口221(排出通路)に設けられ弁座110に対し離接するように回動することにより開口221(排出通路)を開閉する弁体130と、弁体130を閉弁方向へ付勢するねじりコイルばね150(付勢部材)と、弁座110に設けられる固定材120と、一端が他端よりもねじりコイルばね150(付勢部材)に近接して固定されるように弁体130に設けられるL字型の板材160であって、一端が固定される第1平板部161と、他端が設けられる第2平板部162と、を有するL字型の板材160と、弁体130の開弁時又は閉弁時に摺接による抵抗を生じさせるラッチ機構170と、備え、ラッチ機構170は、弁体130の開弁時に第2平板部162を撓ませることで第1最大抵抗力を生じさせ、弁体130の閉弁時に第1平板部161を撓ませることで第1最大抵抗力よりも小さい第2最大抵抗力を生じさせる。
【0081】
この構成によれば、ねじりコイルばね150を増強するのではなく、ねじりコイルばね150を変更せずにL字型の板材160を追加することで、弁体130の閉状態を保持する圧力を高くすることができる。そのため、ねじりコイルばね150を付勢力が大きいものに変更する必要はなく、ねじりコイルばね150の付勢力が作用する他の部材も強化する必要はない。したがって、コストを抑制しながらバルブ装置100の閉状態を保持する圧力を高くすることができる。
【0082】
また、弁体130の開弁時における第2平板部162の撓みによる第1最大抵抗力を、弁体130の閉弁時における第1平板部161の撓みによる第2最大抵抗力よりも大きく設定することで、第1最大抵抗力と第2最大抵抗力の差を大きく設定することができる。このため、開弁時に弁体130が開きにくく、かつ、閉弁時に弁体130が閉じやすいバルブ装置100を提供することができる。
【0083】
本実施形態では、ラッチ機構170は、固定材120に設けられる第1摺接部171と、第1摺接部171と摺接可能に第2平板部162に設けられる第2摺接部172と、を有する。
【0084】
この構成によれば、ラッチ機構170を構成する第1摺接部171と第2摺接部172との摺接によって、弁体130の閉弁時における第2最大抵抗力と弁体130の開弁時における第1最大抵抗力とを生じさせることができる。
【0085】
本実施形態では、弁体130の開弁時における第1摺接部171に対する第2摺接部172の摺接軌跡は、弁体130の閉弁時における第1摺接部171に対する第2摺接部172の摺接軌跡と異なる。
【0086】
この構成によれば、開弁時に弁体130が開きにくく、かつ、閉弁時に弁体130が閉じやすいバルブ装置100を提供することができる。
【0087】
本実施形態では、第1平板部161の延在方向(第3方向)の長さは、第2平板部162の延在方向(第1方向)の長さよりも長い。
【0088】
この構成によれば、第2平板部162よりも撓みやすい第1平板部161を構成することができる。
【0089】
本実施形態では、弁体130の開弁時に第1平板部161は、撓まないように弁体130と接する。
【0090】
この構成によれば、第2平板部162よりも撓みやすい第1平板部161を撓ませないことで、第2平板部162の撓みによる第1抵抗力D1をより大きくすることができる。
【0091】
(変形例)
次に、図12を参照しながら変形例に係るラッチ機構170について説明する。
【0092】
図12は、変形例に係るラッチ機構170を示す側面図である。
【0093】
本実施形態では、ラッチ機構170を構成する第1摺接部171及び第2摺接部172は、いずれも半円状の突起から構成されている。しかしながら、第1摺接部171及び第2摺接部172は、これらに限定されるものではなく、例えば、図12に示すように、いずれも三角形の突起から構成されてもよいし、両者のうちのいずれか一方が半円状の突起から形成され、両者のうちのいずれか他方が三角形の突起から構成されてもよい。
【0094】
次に、図13を参照しながら変形例に係る第1平板部161について説明する。
【0095】
図13は、変形例に係る第1平板部161を備えるバルブ装置100を示す平面図である。
【0096】
本実施形態では、第1平板部161は、幅狭領域161a及び幅広領域161bの両方から構成されている。しかしながら、第1平板部161は、これに限定されるものではなく、例えば、図13に示すように、第2方向における幅が均一となるように構成されてもよい。
【0097】
次に、図14を参照しながら第1変形例に係る固定材120及び第2平板部162について説明する。
【0098】
図14は、第1変形例に係る固定材120及び第2平板部162を備えるバルブ装置100を示す断面図である。
【0099】
本実施形態では、固定材120及び第2平板部162は、いずれも第1方向に沿って延在するように構成されている。しかしながら、固定材120及び第2平板部162は、これらに限定されるものではなく、例えば、図14に示すように、いずれも第1方向に対し傾斜するように構成されてもよい。
【0100】
次に、図15を参照しながら第2変形例に係る固定材120及び第2平板部162について説明する。
【0101】
図15は、第2変形例に係る固定材120及び第2平板部162を備えるバルブ装置100を示す断面図である。
【0102】
本実施形態では、固定材120及び第2平板部162は、いずれも開口221(図1参照)の下流側へ向かって延在するように構成されている。しかしながら、固定材120及び第2平板部162は、これらに限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、いずれも開口221(図1参照)の上流側へ向かって延在するように構成されてもよい。
【0103】
この場合、弁体130が閉弁位置に位置する際に、固定材120に設けられる第1摺接部171は、第2平板部162に設けられる第2摺接部172と弁座本体111との間に位置する。
【0104】
次に、図16及び図17を参照しながら第3変形例に係るバルブ装置100について説明する。
【0105】
図16は、第3変形例に係るバルブ装置100を示す斜視図である。図17は、第3変形例に係るバルブ装置100を示す断面図である。
【0106】
図16及び図17に示すように、第3変形例に係るバルブ装置100は、L字型の板材160に代えて、線材によってL字型の板材160と同様の形状に形成される抵抗部材としての線状ばね360を備える。
【0107】
線状ばね360は、弁座110と背向する弁体本体131の下流側面に設けられる。線状ばね360は、変形(撓み)可能な第1部材としての第1ばね部361と第2部材としての第2ばね部362とからなる。
【0108】
第1ばね部361は、線材によって形成される。第1ばね部361は、線状ばね360の一端が溶接又はねじ止めによって固定部134に固定されるように弁体本体131の下流側面に設けられる。言い換えれば、第1ばね部361は、一端を除く部分が変形可能に形成される。
【0109】
第2ばね部362は、線材によって第1ばね部361と連続するように形成される。第2ばね部362は、一端が第1ばね部361と接続されるように第1方向において開口221の下流側へ向かって延在して設けられる。第2ばね部362には、第1摺接部171と摺接可能な第2摺接部172が設けられる。
【0110】
この変形例によっても、上述した実施形態と同様に、開弁時に弁体130が開きにくく、かつ、閉弁時に弁体130が閉じやすいバルブ装置100を提供することができる。
【0111】
(第2実施形態)
次に、図18を参照しながら第2実施形態に係るバルブ装置100について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様の点については省略し、主に第1実施形態と相違する点について説明する。
【0112】
図18は、第2実施形態に係るバルブ装置100を示す断面図である。
【0113】
第1実施形態に係るバルブ装置100では、固定材120及びL字型の板材160は、それぞれ弁座110及び弁体130に設けられるのに対し、第2実施形態に係るバルブ装置100では、固定材120及びL字型の板材160は、それぞれ弁体130及び弁座110に設けられる。
【0114】
第2実施形態に係るバルブ装置100では、固定材120は、第3方向に沿って延在するように弁体130の弁体本体131の下流側面に固定される固定板121と、固定板121の一端と接続されるように第1方向において開口221(図1参照)の下流側へ向かって延在して設けられる立設板122と、を有する。ねじりコイルばね150と背向する立設板122の背向面の先端には、第1摺接部171が設けられる。
【0115】
第2実施形態に係るバルブ装置100では、L字型の板材160は、一端が溶接又はねじ止めによって固定されるように弁座本体111の上流側面に設けられる第1平板部161と、一端が第1平板部161と接続されるように第1方向において開口221(図1参照)の下流側へ向かって延在して設けられる第2平板部162と、を有する。第2平板部162の先端には、第1摺接部171と摺接可能な第2摺接部172が設けられる。
【0116】
この場合、弁体130が閉弁位置に位置する際に、第1摺接部171は、第2摺接部172と弁座本体111との間に位置する。
【0117】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0118】
100 バルブ装置
110 弁座
120 固定材
130 弁体
150 ねじりコイルばね(付勢部材)
160 板材(抵抗部材)
161 第1平板部(第1部材)
162 第2平板部(第2部材)
170 ラッチ機構
171 第1摺接部
172 第2摺接部
360 線状ばね(抵抗部材)
361 第1ばね部(第1部材)
362 第2ばね部(第2部材)
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18