(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091356
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】レーザ溶接装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20230623BHJP
【ＦＩ】
B23K26/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2021206059
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉城 怜士
【テーマコード（参考）】
4E168
【Ｆターム（参考）】
4E168BA90
4E168KB05
(57)【要約】
【課題】付勢部材の付勢方向を回転軸とする移動体の回転を抑制可能なレーザ溶接装置を提供すること。
【解決手段】レーザ照射装置１は、レーザ照射部１１０と、前方付勢部材２００と、後方付勢部材３００と、回転規制部材５００と、を備える。
前方付勢部材２００は、前方移動体２１０と、前方支持体２２０と、前方付勢部２３０と、を有する。後方付勢部材３００は、後方移動体３１０と、後方支持体３２０と、後方付勢部３３０と、を有する。回転規制部材５００は、前方付勢部２３０による付勢方向を回転軸として前方移動体２１０が回転すること、及び、後方付勢部３３０による付勢方向を回転軸として後方移動体３１０が回転することを規制する。
【選択図】図１
【解決手段】レーザ照射装置１は、レーザ照射部１１０と、前方付勢部材２００と、後方付勢部材３００と、回転規制部材５００と、を備える。
前方付勢部材２００は、前方移動体２１０と、前方支持体２２０と、前方付勢部２３０と、を有する。後方付勢部材３００は、後方移動体３１０と、後方支持体３２０と、後方付勢部３３０と、を有する。回転規制部材５００は、前方付勢部２３０による付勢方向を回転軸として前方移動体２１０が回転すること、及び、後方付勢部３３０による付勢方向を回転軸として後方移動体３１０が回転することを規制する。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対してレーザを照射可能でかつ前記ワークに対して移動可能なレーザ照射部と、
前記ワークに対する前記レーザ照射部の移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記ワークに対して付勢力を付与可能な前方付勢部材と、
前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記ワークを付勢する後方付勢部材と、
前記前方付勢部材が当該前方付勢部材による付勢方向を回転軸として回転すること、及び、前記後方付勢部材が当該後方付勢部材による付勢方向を回転軸として回転するのを規制する回転規制部材と、を備え、
前記前方付勢部材は、
前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な前方移動体と、
前記前方移動体を支持する前方支持体と、
前記前方支持体を介して前記前方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記前方支持体を付勢する前方付勢部と、を有し、
前記後方付勢部材は、
前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な後方移動体と、
前記後方移動体を支持する後方支持体と、
前記後方支持体を介して前記後方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記後方支持体を付勢する後方付勢部と、を有し、
前記回転規制部材は、前記前方付勢部による付勢方向を回転軸として前記前方移動体が回転すること、及び、前記後方付勢部による付勢方向を回転軸として前記後方移動体が回転することを規制する、レーザ溶接装置。
前記ワークに対する前記レーザ照射部の移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記ワークに対して付勢力を付与可能な前方付勢部材と、
前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記ワークを付勢する後方付勢部材と、
前記前方付勢部材が当該前方付勢部材による付勢方向を回転軸として回転すること、及び、前記後方付勢部材が当該後方付勢部材による付勢方向を回転軸として回転するのを規制する回転規制部材と、を備え、
前記前方付勢部材は、
前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な前方移動体と、
前記前方移動体を支持する前方支持体と、
前記前方支持体を介して前記前方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記前方支持体を付勢する前方付勢部と、を有し、
前記後方付勢部材は、
前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な後方移動体と、
前記後方移動体を支持する後方支持体と、
前記後方支持体を介して前記後方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記後方支持体を付勢する後方付勢部と、を有し、
前記回転規制部材は、前記前方付勢部による付勢方向を回転軸として前記前方移動体が回転すること、及び、前記後方付勢部による付勢方向を回転軸として前記後方移動体が回転することを規制する、レーザ溶接装置。
【請求項2】
前記回転規制部材は、前記前方支持体及び前記後方支持体同士を連結する連結部材を含む、請求項１に記載のレーザ溶接装置。
【請求項3】
前記連結部材は、
前記前方支持体に対して相対回転可能でかつ前記移動方向に相対変位可能となるように前記前方支持体に固定された前方端部と、
前記後方支持体に対して相対回転可能となるように前記後方支持体に固定された後方端部と、を有する、請求項２に記載のレーザ溶接装置。
前記前方支持体に対して相対回転可能でかつ前記移動方向に相対変位可能となるように前記前方支持体に固定された前方端部と、
前記後方支持体に対して相対回転可能となるように前記後方支持体に固定された後方端部と、を有する、請求項２に記載のレーザ溶接装置。
【請求項4】
前記前方付勢部は、当該前方付勢部による付勢方向の先端に形成された前方先端部を有し、
前記後方付勢部は、当該後方付勢部による付勢方向の先端に形成された後方先端部を有し、
前記前方支持体は、
前記前方先端部と接続可能な前方接続部と、
前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記前方接続部との間に前記前方移動体を支持する前方支持部と、を有し、
前記後方支持体は、
前記後方先端部と接続可能な後方接続部と、
前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記後方接続部との間に前記後方移動体を支持する後方支持部と、を有し、
前記連結部材は、前記前方支持部と前記後方支持部とを連結している、請求項２又は３に記載のレーザ溶接装置。
前記後方付勢部は、当該後方付勢部による付勢方向の先端に形成された後方先端部を有し、
前記前方支持体は、
前記前方先端部と接続可能な前方接続部と、
前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記前方接続部との間に前記前方移動体を支持する前方支持部と、を有し、
前記後方支持体は、
前記後方先端部と接続可能な後方接続部と、
前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記後方接続部との間に前記後方移動体を支持する後方支持部と、を有し、
前記連結部材は、前記前方支持部と前記後方支持部とを連結している、請求項２又は３に記載のレーザ溶接装置。
【請求項5】
前記移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記前方付勢部を保持する前方アームと、
前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記後方付勢部を保持する後方アームと、をさらに備え、
前記回転規制部材は、
前記前方付勢部による前記付勢方向を回転軸とする前記前方支持体の前記前方アームに対する相対回転が規制されるように前記前方アームと前記前方支持体とを連結する前方規制部材と、
前記後方付勢部による前記付勢方向を回転軸とする前記後方支持体の前記後方アームに対する相対回転が規制されるように前記後方アームと前記後方支持体とを連結する後方規制部材と、を含む、請求項１から４のいずれかに記載のレーザ溶接装置。
前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記後方付勢部を保持する後方アームと、をさらに備え、
前記回転規制部材は、
前記前方付勢部による前記付勢方向を回転軸とする前記前方支持体の前記前方アームに対する相対回転が規制されるように前記前方アームと前記前方支持体とを連結する前方規制部材と、
前記後方付勢部による前記付勢方向を回転軸とする前記後方支持体の前記後方アームに対する相対回転が規制されるように前記後方アームと前記後方支持体とを連結する後方規制部材と、を含む、請求項１から４のいずれかに記載のレーザ溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開２０１７－１９２６２号公報には、上部機構枠に取り付けられたレーザー集光機構と、上部機構枠に固定された下部機構枠と、下部機構枠に取り付けられたローラーと、を備えるレーザー加工ヘッドが開示されている。ローラーは、レーザー溶接予定線に沿ってワークに対して回転しながらワークを付勢している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開２０１７－１９２６２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開２０１７－１９２６２号公報に記載されるレーザー加工ヘッドでは、溶接時に、ローラーを付勢する付勢力の付勢方向を回転軸としてローラーが回転する場合がある。
【0005】
本開示の目的は、付勢部材の付勢方向を回転軸とする移動体の回転を抑制可能なレーザ溶接装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に従ったレーザ溶接装置は、ワークに対してレーザを照射可能でかつ前記ワークに対して移動可能なレーザ照射部と、前記ワークに対する前記レーザ照射部の移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記ワークに対して付勢力を付与可能な前方付勢部材と、前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記ワークを付勢する後方付勢部材と、前記前方付勢部材が当該前方付勢部材による付勢方向を回転軸として回転すること、及び、前記後方付勢部材が当該後方付勢部材による付勢方向を回転軸として回転するのを規制する回転規制部材と、を備え、前記前方付勢部材は、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な前方移動体と、前記前方移動体を支持する前方支持体と、前記前方支持体を介して前記前方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記前方支持体を付勢する前方付勢部と、を有し、前記後方付勢部材は、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な後方移動体と、前記後方移動体を支持する後方支持体と、前記後方支持体を介して前記後方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記後方支持体を付勢する後方付勢部と、を有し、前記回転規制部材は、前記前方付勢部による付勢方向を回転軸として前記前方移動体が回転すること、及び、前記後方付勢部による付勢方向を回転軸として前記後方移動体が回転することを規制する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、付勢部材の付勢方向を回転軸とする移動体の回転を抑制可能なレーザ溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本開示の一実施形態におけるレーザ溶接装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図１は、本開示の一実施形態におけるレーザ溶接装置の斜視図である。図２は、図１とは異なる角度におけるレーザ溶接装置の一部の斜視図である。図３は、図１に示されるレーザ溶接装置の一部の断面図である。図４は、図３の断面とは異なる面でのレーザ溶接装置の断面図である。本実施形態のレーザ溶接装置１は、樹脂部材と金属部材との溶接に特に好適である。ただし、レーザ溶接装置１での溶接対象は、特に限定されない。
【0011】
図１に示されるように、レーザ溶接装置１は、例えば、支持台２に載置されたワークＷを溶接可能である。レーザ溶接装置１は、３次元的に移動可能なアクチュエータに保持された状態でワークＷの溶接を行うことも可能である。レーザ溶接装置１は、レーザ照射部１１０と、前方アーム１２０と、後方アーム１３０と、前方付勢部材２００と、後方付勢部材３００と、前方保護カバー４２０と、後方保護カバー４３０と、回転規制部材５００と、を備えている。
【0012】
レーザ照射部１１０は、ワークＷに向けてレーザＬを照射可能である。本実施形態では、レーザ照射部１１０は、レーザＬの照射方向がワークＷと直交するようにワークＷに対してレーザＬを照射している。ただし、レーザＬの照射方向は、ワークＷと直交していなくてもよい。
【0013】
図３に示されるように、ワークＷは、第１部材Ｗ１と、第１部材Ｗ１上に配置された第２部材Ｗ２と、を有している。本実施形態では、第１部材Ｗ１として、樹脂部材が用いられ、第２部材Ｗ２として金属部材が用いられている。ただし、各部材Ｗ１，Ｗ２は、これに限定されない。
【0014】
前方アーム１２０は、レーザ照射部１１０の移動方向におけるレーザ照射部１１０の前方に設けられている。前方アーム１２０は、レーザ照射部１１０からのレーザＬの照射方向と平行な方向に延びる形状を有している。
【0015】
後方アーム１３０は、レーザ照射部１１０の移動方向におけるレーザ照射部１１０の後方に設けられている。後方アーム１３０は、前方アーム１２０と平行な方向に延びる形状を有している。
【0016】
前方付勢部材２００は、ワークＷに対するレーザ照射部１１０の移動方向におけるレーザ照射部１１０の前方に設けられている。具体的に、前方付勢部材２００は、前方アーム１２０に接続されている。前方付勢部材２００は、ワークＷに対して付勢力を付与可能である。前方付勢部材２００は、前方移動体２１０と、前方支持体２２０と、前方付勢部２３０と、を有している。
【0017】
前方移動体２１０は、ワークＷに当接しながらワークＷに対して前記移動方向に移動可能である。本実施形態では、前方移動体２１０として、ローラが用いられている。前方移動体２１０は、例えば、金属からなる。
【0018】
前方支持体２２０は、前方移動体２１０を支持している。前方支持体２２０は、例えば、金属からなる。前方支持体２２０の詳細については後述する。
【0019】
前方付勢部２３０は、前方支持体２２０を介して前方移動体２１０からワークＷに付勢力が作用するように前方支持体２２０を付勢している。前方付勢部２３０は、レーザ照射部１１０によるレーザＬの照射方向と同方向に前方支持体２２０を付勢している。ただし、前方付勢部２３０による付勢方向は、レーザＬの照射方向と交差していてもよい。
【0020】
本実施形態では、前方付勢部２３０は、ガスダンパーで構成されている。図３に示されるように、前方付勢部２３０は、円筒状に形成されたシリンダ２３２と、シリンダ２３２に対して当該シリンダ２３２の軸方向（図３における上下方向）に相対変位可能なロッド２３４と、を有している。ロッド２３４は、シリンダ２３２に対して当該シリンダ２３２の中心軸まわりに相対回転可能である。ただし、前方付勢部２３０の構成は、これに限られない。前方付勢部２３０による付勢力は、変更可能に構成されてもよい。
【0021】
図３に示されるように、前方付勢部２３０は、当該前方付勢部２３０による付勢方向の先端に形成された前方先端部２３６と、前記付勢方向の後端に形成された後端部２３８と、を有している。前方先端部２３６は、ロッド２３４の先端（下端）で構成されている。後端部２３８は、シリンダ２３２の上端で構成されている。前方先端部２３６は、前方支持体２２０に対して相対回転しないように前方支持体２２０に固定されている。後端部２３８は、前方アーム１２０に対して相対回転しないように前方アーム１２０に固定されている。
【0022】
ここで、前方支持体２２０について説明する。図３に示されるように、前方支持体２２０は、前方接続部２２２と、前方支持部２２４と、前方連結部２２６と、を有している。
【0023】
前方接続部２２２は、前方先端部２３６と接続可能である。前方接続部２２２は、前方先端部２３６を受け入れ可能な内周面を有している。本実施形態では、前記内周面は、前方先端部２３６の外周面と面接触している。より詳細には、前方先端部２３６は、前方接続部２２２に圧入されている。すなわち、前方接続部２２２は、前方先端部２３６が付勢方向と交差する方向に傾斜するのを規制するように前方先端部２３６を拘束している。前記内周面が前方先端部２３６の外周面と面接触した状態において、ピン２２８によって前方先端部２３６が前方接続部２２２に接続されている。
【0024】
前方支持部２２４は、前方移動体２１０を支持している。前方支持部２２４は、前記移動方向及び前方付勢部２３０による付勢方向の双方と直交する方向における両側から前方移動体２１０を支持している。前方支持部２２４は、ワークＷのうちレーザ照射部１１０によりレーザＬが照射される部位（以下、「照射点Ｐ１」と表記する。）と前方接続部２２２との間に前方移動体２１０を支持している。より詳細には、図３に示されるように、前方支持部２２４は、ワークＷの中間部Ｐ３に対して前方移動体２１０を介して前方付勢部２３０による付勢力が作用するように前方移動体２１０を支持している。中間部Ｐ３は、ワークＷのうち、照射点Ｐ１と、前方付勢部２３０による付勢方向の延長線とワークＷの表面との交点Ｐ２と、の間の部位である。すなわち、前方支持部２２４は、ワークＷのうち前記交点Ｐ２よりも照射点Ｐ１に近い部位に前方付勢部２３０による付勢力が作用するように前方移動体２１０を支持している。このため、第１部材Ｗ１及び第２部材Ｗ２のうち照射点Ｐ１付近の部位同士の密着性が高まる。
【0025】
前方連結部２２６は、前方接続部２２２と前方支持部２２４とを連結している。前方連結部２２６は、前記移動方向と平行に延びる形状を有している。
【0026】
後方付勢部材３００は、ワークＷに対するレーザ照射部１１０の移動方向におけるレーザ照射部１１０の後方に設けられている。具体的に、後方付勢部材３００は、後方アーム１３０に接続されている。後方付勢部材３００は、レーザ照射部１１０の移動方向と直交しかつ照射点Ｐ１を通る面を基準面として前方付勢部材２００と対称な構成を有している。このため、後方付勢部材３００の説明を簡略化する。
【0027】
すなわち、後方付勢部材３００は、後方移動体３１０と、後方支持体３２０と、後方付勢部３３０と、を有している。後方支持体３２０は、後方付勢部３３０におけるロッド３３４の先端で構成される後方先端部３３６と接続される後方接続部３２２と、後方移動体３１０を支持する後方支持部３２４と、後方連結部３２６と、を有している。後方付勢部３３０は、シリンダ３３２と、ロッド３３４と、を有している。
【0028】
前方保護カバー４２０は、レーザＬから前方付勢部２３０を保護している。本実施形態では、前方保護カバー４２０は、レーザＬからロッド２３４を保護する形状を有している。ただし、前方保護カバー４２０は、ロッド２３４及びシリンダ２３２の双方を保護する形状に形成されてもよい。前方保護カバー４２０は、金属等からなる。前方保護カバー４２０は、前方支持体２２０に固定されている。前方保護カバー４２０は、レーザＬと対向する対向壁４２２と、対向壁４２２につながった一対の側壁４２４と、を有している。一対の側壁４２４は、ロッド２３４の軸方向及び前記移動方向の双方と直交する方向に互いに対向している。なお、図３では、前方保護カバー４２０及び後方保護カバー４３０の図示は省略されている。
【0029】
後方保護カバー４３０は、レーザＬから後方付勢部３３０を保護している。後方保護カバー４３０は、前記基準面に対して前方保護カバー４２０と対称な構成を有している。このため、後方保護カバー４３０の説明を簡略化する。すなわち、後方保護カバー４３０は、対向壁４３２と、一対の側壁４３４と、を有している。
【0030】
回転規制部材５００は、前方付勢部材２００が当該前方付勢部材２００による付勢方向を回転軸として回転すること、及び、後方付勢部材３００が当該後方付勢部材３００による付勢方向を回転軸として回転するのを規制する。具体的に、回転規制部材５００は、前方付勢部２３０による付勢方向を回転軸として前方移動体２１０が回転すること、及び、後方付勢部３３０による付勢方向を回転軸として後方移動体３１０が回転することを規制する。図１及び図２に示されるように、回転規制部材５００は、連結部材５１０と、前方規制部材５２０と、後方規制部材５３０と、を有している。
【0031】
連結部材５１０は、前方支持体２２０及び後方支持体３２０同士を連結している。本実施形態では、連結部材５１０は、前方支持部２２４と後方支持部３２４とを連結している。なお、連結部材５１０は、前方支持体２２０のうち前方支持部２２４より下側の部位と、後方支持体３２０のうち後方支持部３２４より下側の部位と、を連結していればよい。連結部材５１０は、例えば金属からなる。連結部材５１０は、前記移動方向に沿って直線状に延びる形状に形成されてもよい。連結部材５１０は、前方端部５１２と、後方端部５１４と、中間部５１６と、を有している。
【0032】
前方端部５１２は、連結部材５１０のうち前記移動方向における前方に形成された端部である。前方端部５１２は、前方支持体２２０に対して相対回転可能でかつ前記移動方向に相対変位可能となるように前方支持体２２０に固定されている。図４に示されるように、前方端部５１２は、ピン５１８によって前方支持部２２４に固定されている。前方端部５１２には、案内溝５１２ａが形成されている。案内溝５１２ａは、前記移動方向と平行な方向に延びる形状を有している。本実施形態では、案内溝５１２ａは、前記移動方向における連結部材５１０の先端から後方に向かって延びるスリットで構成されている。この案内溝５１２ａ内にピン５１８が取り付けられている。
【0033】
後方端部５１４は、連結部材５１０のうち前記移動方向における後方に形成された端部である。後方端部５１４は、後方支持体３２０に対して相対回転可能となるように後方支持体３２０に固定されている。図４に示されるように、後方端部５１４は、ピン５１９によって後方支持部３２４に固定されている。
【0034】
中間部５１６は、前方端部５１２と後方端部５１４とを連結している。中間部５１６は、前記移動方向に沿って直線状に延びる形状を有している。
【0035】
前方規制部材５２０は、前方付勢部２３０による付勢方向を回転軸とする前方支持体２２０の前方アーム１２０に対する相対回転が規制されるように前方アーム１２０と前方支持体２２０とを連結している。図１及び図２に示されるように、前方規制部材５２０は、前方板部５２２と、前方固定部５２４と、を有している。
【0036】
前方板部５２２は、前記移動方向における前方アーム１２０の前方に位置している。前方板部５２２は、前方アーム１２０に固定されている。前方板部５２２は、前方アーム１２０から前方支持体２２０に至るように延びる平板状に形成されている。
【0037】
前方固定部５２４は、前方支持体２２０に固定されている。前方固定部５２４は、前方板部５２２の下端部につながっている。前方固定部５２４は、前方付勢部２３０による付勢方向及び前記移動方向の双方と直交する方向における前方接続部２２２の一方側に位置している。前方固定部５２４は、前方接続部２２２に固定されている。例えば、前方板部５２２及び前方固定部５２４は、一枚の金属板を折り曲げることにより形成される。
【0038】
後方規制部材５３０は、後方付勢部３３０による付勢方向を回転軸とする後方支持体３２０の後方アーム１３０に対する相対回転が規制されるように後方アーム１３０と後方支持体３２０とを連結している。
【0039】
後方規制部材５３０は、前記基準面に対して前方規制部材５２０と対称な構成を有している。すなわち、後方規制部材５３０は、後方アーム１３０に固定された後方板部５３２と、後方板部５３２の下端部につながっており後方接続部３２２に固定された後方固定部５３４と、を有している。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態のレーザ溶接装置１では、前方移動体２１０及び後方移動体３１０が回転するのを規制する回転規制部材５００を備えているため、各移動体２１０，３１０が各付勢部２３０，３３０の付勢方向を回転軸として回転することが抑制される。
【0041】
なお、上記実施形態において、前方連結部２２６は、前方付勢部２３０による付勢方向と直交する方向（前記移動方向と平行）でなく、その方向と交差する方向に延びる形状を有していてもよい。このことは、後方連結部３２６においても同様である。
【0042】
また、前方付勢部２３０におけるシリンダ２３２及びロッド２３４の配置は、逆であってもよい。このことは、後方付勢部３３０においても同様である。
【0043】
また、前方規制部材５２０及び後方規制部材５３０は、省略されてもよい。
【0044】
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0045】
この開示の一局面に従ったレーザ溶接装置は、ワークに対してレーザを照射可能でかつ前記ワークに対して移動可能なレーザ照射部と、前記ワークに対する前記レーザ照射部の移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記ワークに対して付勢力を付与可能な前方付勢部材と、前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記ワークを付勢する後方付勢部材と、前記前方付勢部材が当該前方付勢部材による付勢方向を回転軸として回転すること、及び、前記後方付勢部材が当該後方付勢部材による付勢方向を回転軸として回転するのを規制する回転規制部材と、を備え、前記前方付勢部材は、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な前方移動体と、前記前方移動体を支持する前方支持体と、前記前方支持体を介して前記前方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記前方支持体を付勢する前方付勢部と、を有し、前記後方付勢部材は、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な後方移動体と、前記後方移動体を支持する後方支持体と、前記後方支持体を介して前記後方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記後方支持体を付勢する後方付勢部と、を有し、前記回転規制部材は、前記前方付勢部による付勢方向を回転軸として前記前方移動体が回転すること、及び、前記後方付勢部による付勢方向を回転軸として前記後方移動体が回転することを規制する。
【0046】
このレーザ溶接装置では、前方移動体及び後方移動体が回転するのを規制する回転規制部材を備えているため、各移動体が各付勢部材の付勢方向を回転軸として回転することが抑制される。
【0047】
また、前記回転規制部材は、前記前方支持体及び前記後方支持体同士を連結する連結部材を含むことが好ましい。
【0048】
このようにすれば、前方移動体及び後方移動体の回転が有効に規制される。
【0049】
さらに、前記連結部材は、前記前方支持体に対して相対回転可能でかつ前記移動方向に相対変位可能となるように前記前方支持体に固定された前方端部と、前記後方支持体に対して相対回転可能となるように前記後方支持体に固定された後方端部と、を有することが好ましい。
【0050】
この態様では、例えば、後方付勢部の長さに対する前方付勢部の長さが変化を吸収することができる。
【0051】
また、前記前方付勢部は、当該前方付勢部による付勢方向の先端に形成された前方先端部を有し、前記後方付勢部は、当該後方付勢部による付勢方向の先端に形成された後方先端部を有している。前記前方支持体は、前記前方先端部と接続可能な前方接続部と、前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記前方接続部との間に前記前方移動体を支持する前方支持部と、を有することが好ましく、前記後方支持体は、前記後方先端部と接続可能な後方接続部と、前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記後方接続部との間に前記後方移動体を支持する後方支持部と、を有することが好ましい。
【0052】
この態様では、前方支持体が前方支持部を有し、後方支持体が後方支持部を有しているため、ワークのうちレーザが照射される部位の近傍の部位が各移動体によって付勢される。このため、各付勢部とレーザとの距離を確保しつつ、ワークのうち照射点の近傍の部位を各移動体によって付勢することが可能となる。よって、レーザの熱による各付勢部の損傷の抑制と、接合不良の発生の抑制と、の双方が達成される。
【0053】
さらに、前記連結部材は、前記前方支持部と前記後方支持部とを連結していることが好ましい。
【0054】
このようにすれば、連結部材が小型化されるため、連結部材の剛性が確保される。
【0055】
また、前記レーザ溶接装置は、前記移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記前方付勢部を保持する前方アームと、前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記後方付勢部を保持する後方アームと、をさらに備えていてもよい。この場合において、前記回転規制部材は、前記前方付勢部による前記付勢方向を回転軸とする前記前方支持体の前記前方アームに対する相対回転が規制されるように前記前方アームと前記前方支持体とを連結する前方規制部材と、前記後方付勢部による前記付勢方向を回転軸とする前記後方支持体の前記後方アームに対する相対回転が規制されるように前記後方アームと前記後方支持体とを連結する後方規制部材と、を含んでいてもよい。
【0056】
この態様では、前方付勢部による付勢方向を回転軸とする前方移動体の前方アームに対する相対回転、及び、後方付勢部による付勢方向を回転軸とする後方移動体の後方アームに対する相対回転が規制される。
【0057】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0058】
１ レーザ溶接装置、１１０ レーザ照射部、１２０ 前方アーム、１３０ 後方アーム、２００ 前方付勢部材、２１０ 前方移動体、２２０ 前方支持体、２２２ 前方接続部、２２４ 前方支持部、２２６ 前方連結部、２３０ 前方付勢部、２３２ シリンダ、２３４ ロッド、２３６ 前方先端部、３００ 後方付勢部材、３１０ 後方移動体、３２０ 後方支持体、３２２ 後方接続部、３２４ 後方支持部、３２６ 後方連結部、３３０ 後方付勢部、３３２ シリンダ、３３４ ロッド、３３６ 後方先端部、４２０ 前方保護カバー、４３０ 後方保護カバー、５００ 回転規制部材、５１０ 連結部材、５１２ 前方端部、５１４ 後方端部、５１６ 中間部、５２０ 前方規制部材、５３０ 後方規制部材、Ｗ ワーク、Ｗ１ 第１部材、Ｗ２ 第２部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】