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  • 特開-レーザ溶接装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091357
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】レーザ溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/70 20140101AFI20230623BHJP
【FI】
B23K26/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206060
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉城 怜士
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA90
4E168KB05
(57)【要約】
【課題】接合不良の発生の抑制と、付勢部材の撓みの抑制と、の双方を達成可能なレーザ溶接装置を提供すること。
【解決手段】レーザ照射装置1は、レーザ照射部110と、前方付勢部材200と、後方付勢部材300と、を備える。前方付勢部材200は、第1前方移動体210と、第1前方支持体220と、前方付勢部230と、第2前方移動体240と、第2前方支持体250と、を有する。後方付勢部材300は、第1後方移動体310と、第1後方支持体320と、後方付勢部330と、第2後方移動体340と、第2後方支持体350と、を有する。第2前方支持体250は、第1前方支持体220に対して相対回転可能となるように第1前方支持体220に接続されている。第2後方支持体350は、第1後方支持体320に対して相対回転可能となるように第1後方支持体320に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対してレーザを照射可能でかつ前記ワークに対して移動可能なレーザ照射部と、
前記ワークに対する前記レーザ照射部の移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記ワークに対して付勢力を付与可能な前方付勢部材と、
前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記ワークを付勢する後方付勢部材と、を備え、
前記前方付勢部材は、
前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第1前方移動体と、
前記第1前方移動体を支持する第1前方支持体と、
前記第1前方支持体を介して前記第1前方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記第1前方支持体を付勢する前方付勢部と、
前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第2前方移動体と、
前記第2前方移動体を支持する第2前方支持体と、を有し、
前記第1前方支持体は、前記第1前方移動体が前記前方付勢部による付勢方向の延長線上に位置するように前記第1前方移動体を支持しており、
前記第2前方支持体は、
前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記第1前方移動体との間に前記第2前方移動体が位置するように前記第2前方移動体を支持する第2前方支持部と、
前記第1前方支持体に対して相対回転可能となるように前記第1前方支持体に接続された前方接続部と、を有し、
前記後方付勢部材は、
前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第1後方移動体と、
前記第1後方移動体を支持する第1後方支持体と、
前記第1後方支持体を介して前記第1後方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記第1後方支持体を付勢する後方付勢部と、
前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第2後方移動体と、
前記第2後方移動体を支持する第2後方支持体と、を有し、
前記第1後方支持体は、前記第1後方移動体が前記後方付勢部による付勢方向の延長線上に位置するように前記第1後方移動体を支持しており、
前記第2後方支持体は、
前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記第1後方移動体との間に前記第2後方移動体が位置するように前記第2後方移動体を支持する第2後方支持部と、
前記第1後方支持体に対して相対回転可能となるように前記第1後方支持体に接続された後方接続部と、を有する、レーザ溶接装置。
【請求項2】
前記第2前方移動体は、前記ワークに対して当該ワークを押し付ける押付け力を作用させるように構成されており、
前記第2後方移動体は、前記ワークに対して当該ワークを押し付ける押付け力を作用させるように構成されている、請求項1に記載のレーザ溶接装置。
【請求項3】
前記前方付勢部材は、前記第2前方支持体を介して前記第2前方移動体から前記ワークに前記押付け力が作用するように前記第2前方支持体を前記ワークに向けて押し付ける前方押付け部材をさらに有し、
前記後方付勢部材は、前記第2後方支持体を介して前記第2後方移動体から前記ワークに前記押付け力が作用するように前記第2前方支持体を前記ワークに向けて押し付ける後方押付け部材をさらに有する、請求項2に記載のレーザ溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平2-307693号公報には、ノズル本体と、ワーク押え装置と、を備えるレーザビームノズル装置が開示されている。ノズル本体は、その噴射孔からワークに向けてレーザビームを照射する。ワーク押え装置は、円筒状に形成されており、ノズル本体の周囲に配置されたワーク押え本体と、ワーク押え本体の下面に設けられたフリーベアリングと、ワーク押え本体を下方に押圧する弾機と、を有している。弾機の弾発力によってフリーベアリングがワークの上面を押圧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-307693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開平2-307693号公報に記載されるようなレーザ溶接装置では、ワークのうち付勢部材によって付勢される部位がレーザによる照射点から遠い場合、接合不良が発生することがある。そこで、ワークを付勢する部材をレーザ照射部に近づけることが考えられる。
【0005】
しかしながら、そのような構造にすると、付勢部材に曲げモーメントが作用することにより、付勢部材が撓む懸念がある。
【0006】
本開示の目的は、接合不良の発生の抑制と、付勢部材の撓みの抑制と、の双方を達成可能なレーザ溶接装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に従ったレーザ溶接装置は、ワークに対してレーザを照射可能でかつ前記ワークに対して移動可能なレーザ照射部と、前記ワークに対する前記レーザ照射部の移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記ワークに対して付勢力を付与可能な前方付勢部材と、前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記ワークを付勢する後方付勢部材と、を備え、前記前方付勢部材は、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第1前方移動体と、前記第1前方移動体を支持する第1前方支持体と、前記第1前方支持体を介して前記第1前方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記第1前方支持体を付勢する前方付勢部と、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第2前方移動体と、前記第2前方移動体を支持する第2前方支持体と、を有し、前記第1前方支持体は、前記第1前方移動体が前記前方付勢部による付勢方向の延長線上に位置するように前記第1前方移動体を支持しており、前記第2前方支持体は、前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記第1前方移動体との間に前記第2前方移動体が位置するように前記第2前方移動体を支持する第2前方支持部と、前記第1前方支持体に対して相対回転可能となるように前記第1前方支持体に接続された前方接続部と、を有し、前記後方付勢部材は、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第1後方移動体と、前記第1後方移動体を支持する第1後方支持体と、前記第1後方支持体を介して前記第1後方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記第1後方支持体を付勢する後方付勢部と、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第2後方移動体と、前記第2後方移動体を支持する第2後方支持体と、を有し、前記第1後方支持体は、前記第1後方移動体が前記後方付勢部による付勢方向の延長線上に位置するように前記第1後方移動体を支持しており、前記第2後方支持体は、前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記第1後方移動体との間に前記第2後方移動体が位置するように前記第2後方移動体を支持する第2後方支持部と、前記第1後方支持体に対して相対回転可能となるように前記第1後方支持体に接続された後方接続部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、接合不良の発生の抑制と、付勢部材の撓みの抑制と、の双方を達成可能なレーザ溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態におけるレーザ溶接装置の斜視図である。
図2図1に示されるレーザ溶接装置の一部の断面図である。
図3図1に示されるレーザ溶接装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態におけるレーザ溶接装置の斜視図である。図2は、図1に示されるレーザ溶接装置の一部の断面図である。図3は、図1に示されるレーザ溶接装置の部分拡大図である。本実施形態のレーザ溶接装置1は、樹脂部材と金属部材との溶接に特に好適である。ただし、レーザ溶接装置1での溶接対象は、特に限定されない。
【0012】
図1に示されるように、レーザ溶接装置1は、例えば、支持台2に載置されたワークWを溶接可能である。レーザ溶接装置1は、3次元的に移動可能なアクチュエータに保持された状態でワークWの溶接を行うことも可能である。レーザ溶接装置1は、レーザ照射部110と、前方アーム120と、後方アーム130と、前方付勢部材200と、後方付勢部材300と、前方回転規制部材420と、後方回転規制部材430と、を備えている。
【0013】
レーザ照射部110は、ワークWに向けてレーザLを照射可能である。本実施形態では、レーザ照射部110は、レーザLの照射方向がワークWと直交する方向に対して傾斜するようにワークWに対してレーザLを照射している。ただし、レーザLの照射方向は、ワークWと直交していてもよい。
【0014】
図2に示されるように、ワークWは、第1部材W1と、第1部材W1上に配置された第2部材W2と、を有している。本実施形態では、第1部材W1として、樹脂部材が用いられ、第2部材W2として金属部材が用いられている。ただし、各部材W1,W2は、これに限定されない。
【0015】
前方アーム120は、レーザ照射部110の移動方向におけるレーザ照射部110の前方に設けられている。前方アーム120は、レーザ照射部110からのレーザLの照射方向と平行な方向に延びる形状を有している。
【0016】
後方アーム130は、レーザ照射部110の移動方向におけるレーザ照射部110の後方に設けられている。後方アーム130は、前方アーム120と平行な方向に延びる形状を有している。
【0017】
前方付勢部材200は、ワークWに対するレーザ照射部110の移動方向におけるレーザ照射部110の前方に設けられている。具体的に、前方付勢部材200は、前方アーム120に接続されている。前方付勢部材200は、ワークWに対して付勢力を付与可能である。前方付勢部材200は、第1前方移動体210と、第1前方支持体220と、前方付勢部230と、第2前方移動体240と、第2前方支持体250と、前方押付け部材260と、を有している。
【0018】
第1前方移動体210は、ワークWに当接しながらワークWに対して前記移動方向に移動可能である。本実施形態では、第1前方移動体210として、ローラが用いられている。第1前方移動体210は、例えば、金属からなる。
【0019】
第1前方支持体220は、第1前方移動体210を支持している。第1前方支持体220は、例えば、金属からなる。第1前方支持体220の詳細については後述する。
【0020】
前方付勢部230は、第1前方支持体220を介して第1前方移動体210からワークWに付勢力が作用するように第1前方支持体220を付勢している。前方付勢部230は、レーザ照射部110によるレーザLの照射方向と同方向に第1前方支持体220を付勢している。ただし、前方付勢部230による付勢方向は、前方付勢部材200がレーザLに干渉しない範囲であれば、レーザLの照射方向と交差していてもよい。
【0021】
本実施形態では、前方付勢部230は、ガスダンパーで構成されている。図1図3に示されるように、前方付勢部230は、円筒状に形成されたシリンダ232と、シリンダ232に対して当該シリンダ232の軸方向に相対変位可能なロッド234と、を有している。ロッド234は、シリンダ232に対して当該シリンダ232の中心軸まわりに相対回転可能である。ただし、前方付勢部230の構成は、これに限られない。前方付勢部230による付勢力は、変更可能に構成されてもよい。
【0022】
図2に示されるように、前方付勢部230は、当該前方付勢部230による付勢方向の先端に形成された前方先端部236と、前記付勢方向の後端に形成された後端部238と、を有している。前方先端部236は、ロッド234の先端(下端)で構成されている。後端部238は、シリンダ232の上端で構成されている。前方先端部236は、第1前方支持体220に対して相対回転しないように第1前方支持体220に固定されている。後端部238は、前方アーム120に対して相対回転しないように前方アーム120に固定されている。
【0023】
ここで、第1前方支持体220について説明する。第1前方支持体220は、第1前方移動体210が前方付勢部230による付勢方向の延長線上に位置するように第1前方移動体210を支持している。第1前方支持体220は、第1前方支持部222と、前方受け部224と、を有している。
【0024】
第1前方支持部222は、第1前方移動体210を支持している。第1前方支持部222は、前記移動方向及び前方付勢部230による付勢方向の双方と直交する方向における両側から第1前方移動体210を支持している。
【0025】
前方受け部224は、第1前方支持部222の上方に位置しており、第1前方支持部222につながっている。前方受け部224は、前方先端部236を受けている。前方受け部224は、前方先端部236を受け入れ可能な内周面を有している。本実施形態では、前記内周面は、前方先端部236の外周面と面接触している。より詳細には、前方先端部236は、前方受け部224に圧入されている。すなわち、前方受け部224は、前方先端部236が前方付勢部230による付勢方向と交差する方向に傾斜するのを規制するように前方先端部236を拘束している。
【0026】
第2前方移動体240は、ワークWに当接しながらワークWに対して前記移動方向に移動可能である。本実施形態では、第2前方移動体240は、第1前方移動体210と同様に、ローラで構成されている。
【0027】
第2前方支持体250は、第2前方移動体240を支持している。第2前方支持体250は、例えば、金属からなる。第2前方支持体250は、第2前方支持部252と、前方接続部254と、を有している。
【0028】
第2前方支持部252は、前記移動方向及び前方付勢部230による付勢方向の双方と直交する方向における両側から第2前方移動体240を支持している。第2前方支持部252は、ワークWのうちレーザ照射部110によりレーザLが照射される部位(以下、「照射点P1」と表記する。)と第1前方移動体210との間に第2前方移動体240が位置するように第2前方移動体240を支持している。より詳細には、図2に示されるように、第2前方支持部252は、第2前方移動体240がワークWの中間部P3に接するように第2前方移動体240を支持している。中間部P3は、ワークWのうち、照射点P1と、第1前方移動体210とワークWの表面との接点P2と、の間の部位である。すなわち、第2前方支持部252は、ワークWのうち前記接点P2よりも照射点P1に近い部位に第2前方移動体240が接するように第2前方移動体240を支持している。
【0029】
前方接続部254は、第2前方支持部252につながっている。前方接続部254は、第1前方支持体220に対して相対回転可能となるように第1前方支持体220にピン等によって接続されている。図1及び図3に示されるように、前方接続部254は、前記移動方向及び前方付勢部230による付勢方向の双方と直交する方向における両側から第1前方支持体220の第1前方支持部222に接続されている。
【0030】
第2前方移動体240は、ワークWに対して当該ワークWを押し付ける押付け力を作用させるように構成されている。このため、第1部材W1及び第2部材W2のうち照射点P1付近の部位同士の密着性が高まる。本実施形態では、前記押付け力は、前方押付け部材260により付与されている。具体的に、前方押付け部材260は、板バネで構成されている。図3に示されるように、前方押付け部材260は、基端部262と、押付け端部264と、を有している。
【0031】
基端部262は、第1前方支持体220に固定されている。より詳細には、基端部262は、第1前方支持部222に固定されている。
【0032】
押付け端部264は、基端部262から第2前方移動体240に向かって延びる形状を有している。押付け端部264は、第2前方支持体250を介して第2前方移動体240からワークWに前記押付け力が作用するように第2前方支持体250をワークWに向けて押し付けている。
【0033】
後方付勢部材300は、ワークWに対するレーザ照射部110の移動方向におけるレーザ照射部110の後方に設けられている。具体的に、後方付勢部材300は、後方アーム130に接続されている。後方付勢部材300は、レーザ照射部110の移動方向と交差し、かつ、照射点P1を通るとともにレーザの照射方向を含む面を基準面として前方付勢部材200と対称な構成を有している。このため、後方付勢部材300の説明を簡略化する。
【0034】
すなわち、後方付勢部材300は、第1後方移動体310と、第1後方支持体320と、シリンダ332及びロッド334を有する後方付勢部330と、第2後方移動体340と、第2後方支持体350と、後方押付け部材360と、を有している。
【0035】
第1後方支持体320は、第1後方移動体310が後方付勢部330による付勢方向の延長線上に位置するように第1後方移動体310を支持している。第1後方支持体320は、第1後方移動体310を支持する第1後方支持部322と、後方付勢部330におけるロッド334の下端部を受ける後方受け部324と、を有している。
【0036】
第2後方支持体350は、照射点P1と第1後方移動体310との間に第2後方移動体340が位置するように第2後方移動体340を支持する第2後方支持部352(図1を参照)と、第1後方支持体320に対して相対回転可能となるように第1後方支持体320にピン等によって接続された後方接続部354(図1を参照)と、を有している。
【0037】
前方回転規制部材420は、前方付勢部230による付勢方向を回転軸とする第1前方支持体220の前方アーム120に対する相対回転が規制されるように前方アーム120と第1前方支持体220とを連結している。具体的に、前方回転規制部材420の上端部は、前方アーム120に固定されており、前方回転規制部材420の下端部は、第1前方支持体220に固定されている。
【0038】
後方回転規制部材430は、後方付勢部330による付勢方向を回転軸とする第1後方支持体320の後方アーム130に対する相対回転が規制されるように後方アーム130と第1後方支持体320とを連結している。後方回転規制部材430は、前記基準面に対して前方回転規制部材420と対称な構成を有している。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態のレーザ溶接装置1では、照射点P1と第1前方移動体210との間に第2前方移動体240が位置し、照射点P1と第1後方移動体310との間に第2後方移動体340が位置しているため、ワークWのうち照射点P1の近傍の部位が第2前方移動体240及び第2後方移動体340によって押圧される。よって、接合不良の発生が抑制される。
【0040】
さらに、第1前方移動体210が前方付勢部230による付勢方向の延長線上に位置し、第1後方移動体310が後方付勢部330による付勢方向の延長線上に位置するため、各付勢部230,330への曲げモーメントの発生が抑制される。加えて、第2前方支持体250の前方接続部254は、第1前方支持体220に対して相対回転可能となるように第1前方支持体220に接続され、第2後方支持体350の後方接続部354は、第1後方支持体320に対して相対回転可能となるように第1後方支持体320に接続されているため、ワークWから第2前方移動体240及び第2後方移動体340に作用する反力に起因する各付勢部230,330への曲げモーメントの発生が抑制される。よって、各付勢部230,330の特にロッドの撓みが抑制される。
【0041】
また、ワークWに対するレーザLの照射角度が変わった場合においても、第1前方移動体210及び第1後方移動体310からワークWに各付勢部230,330の付勢力が有効に作用するとともに、第2前方移動体240及び第2後方移動体340からワークWに前記押付け力が有効に作用する。
【0042】
なお、上記実施形態において、第2前方移動体240からワークWに作用する前記押付け力は、例えば、第2前方移動体240の自重によるものや、第2前方移動体240の付近に付設された錘によるものであってもよい。この場合、前方押付け部材260は、省略されてもよい。このことは、第2後方移動体340からワークWに作用する押付け力においても同様である。
【0043】
また、前方付勢部230におけるシリンダ232及びロッド234の配置は、逆であってもよい。このことは、後方付勢部330においても同様である。
【0044】
また、前方回転規制部材420及び後方回転規制部材430は、省略されてもよい。
【0045】
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0046】
この開示の一局面に従ったレーザ溶接装置は、ワークに対してレーザを照射可能でかつ前記ワークに対して移動可能なレーザ照射部と、前記ワークに対する前記レーザ照射部の移動方向における前記レーザ照射部の前方に設けられており、前記ワークに対して付勢力を付与可能な前方付勢部材と、前記移動方向における前記レーザ照射部の後方に設けられており、前記ワークを付勢する後方付勢部材と、を備え、前記前方付勢部材は、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第1前方移動体と、前記第1前方移動体を支持する第1前方支持体と、前記第1前方支持体を介して前記第1前方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記第1前方支持体を付勢する前方付勢部と、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第2前方移動体と、前記第2前方移動体を支持する第2前方支持体と、を有し、前記第1前方支持体は、前記第1前方移動体が前記前方付勢部による付勢方向の延長線上に位置するように前記第1前方移動体を支持しており、前記第2前方支持体は、前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記第1前方移動体との間に前記第2前方移動体が位置するように前記第2前方移動体を支持する第2前方支持部と、前記第1前方支持体に対して相対回転可能となるように前記第1前方支持体に接続された前方接続部と、を有し、前記後方付勢部材は、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第1後方移動体と、前記第1後方移動体を支持する第1後方支持体と、前記第1後方支持体を介して前記第1後方移動体から前記ワークに前記付勢力が作用するように前記第1後方支持体を付勢する後方付勢部と、前記ワークに当接しながら前記ワークに対して前記移動方向に移動可能な第2後方移動体と、前記第2後方移動体を支持する第2後方支持体と、を有し、前記第1後方支持体は、前記第1後方移動体が前記後方付勢部による付勢方向の延長線上に位置するように前記第1後方移動体を支持しており、前記第2後方支持体は、前記ワークのうち前記レーザ照射部によりレーザが照射される部位と前記第1後方移動体との間に前記第2後方移動体が位置するように前記第2後方移動体を支持する第2後方支持部と、前記第1後方支持体に対して相対回転可能となるように前記第1後方支持体に接続された後方接続部と、を有する。
【0047】
このレーザ溶接装置では、前方移動体及び後方移動体が回転するのを規制する回転規制部材を備えているため、各移動体が各付勢部材の付勢方向を回転軸として回転することが抑制される。
【0048】
このレーザ溶接装置では、レーザ照射部によりレーザが照射される部位と第1前方移動体との間に第2前方移動体が位置し、レーザ照射部によりレーザが照射される部位と第1後方移動体との間に第2後方移動体が位置しているため、ワークのうち照射点の近傍の部位が第2前方移動体及び第2後方移動体によって付勢される。よって、接合不良の発生が抑制される。
【0049】
さらに、第1前方移動体が前方付勢部による付勢方向の延長線上に位置し、第1後方移動体が後方付勢部による付勢方向の延長線上に位置するため、各付勢部への曲げモーメントの発生が抑制される。加えて、第2前方支持体の前方接続部は、第1前方支持体に対して相対回転可能となるように第1前方支持体に接続され、第2後方支持体の後方接続部は、第1後方支持体に対して相対回転可能となるように第1後方支持体に接続されているため、ワークから第2前方移動体及び第2後方移動体に作用する反力に起因する各付勢部への曲げモーメントの発生が抑制される。よって、各付勢部の撓みが抑制される。
【0050】
また、前記第2前方移動体は、前記ワークに対して当該ワークを押し付ける押付け力を作用させるように構成されていることが好ましく、前記第2後方移動体は、前記ワークに対して当該ワークを押し付ける押付け力を作用させるように構成されていることが好ましい。
【0051】
この態様では、接合不良の発生がより確実に抑制される。
【0052】
さらに、前記前方付勢部材は、前記第2前方支持体を介して前記第2前方移動体から前記ワークに前記押付け力が作用するように前記第2前方支持体を前記ワークに向けて押し付ける前方押付け部材をさらに有することが好ましく、前記後方付勢部材は、前記第2後方支持体を介して前記第2後方移動体から前記ワークに前記押付け力が作用するように前記第2前方支持体を前記ワークに向けて押し付ける後方押付け部材をさらに有することが好ましい。
【0053】
この態様では、各押付け部材の形状等を変更することにより、押付け力を調整することが可能となる。
【0054】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 レーザ溶接装置、110 レーザ照射部、120 前方アーム、130 後方アーム、200 前方付勢部材、210 第1前方移動体、220 第1前方支持体、222 第1前方支持部、224 前方受け部、230 前方付勢部、232 シリンダ、234 ロッド、240 第2前方移動体、250 第2前方支持体、252 第2前方支持部、254 前方接続部、260 前方押付け部材、300 後方付勢部材、310 第1後方移動体、320 第1後方支持体、322 第1後方支持部、324 後方受け部、330 後方付勢部、332 シリンダ、334 ロッド、340 第2後方移動体、350 第2後方支持体、352 第2後方支持部、354 後方接続部、360 後方押付け部材、420 前方回転規制部材、430 後方回転規制部材、W ワーク、W1 第1部材、W2 第2部材。
図1
図2
図3