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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091362
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/70 20180101AFI20230623BHJP
   F24F 11/32 20180101ALI20230623BHJP
【FI】
F24F11/70
F24F11/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206068
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 定康
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB04
3L260BA54
3L260CB02
3L260CB12
3L260CB13
3L260CB14
3L260CB18
(57)【要約】
【課題】一部の部品が故障しても運転を行う。
【解決手段】空気調和装置100は、室外機104において、第1の故障または第2の故障が発生したか否かを判定する故障判定部414と、第1の故障が発生したと判定された場合にガスエンジン本体242および冷却水循環部248の動作を停止させ、第2の故障が発生したと判定された場合にガスエンジン本体242および冷却水循環部248の動作を継続させるバックアップ運転を行うバックアップ運転制御部418と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と、
室内機と、
前記室外機および前記室内機に冷媒を循環させる冷媒循環路と、
を備え、
前記室外機は、
冷媒入口、冷媒出口、前記冷媒循環路に接続される第1ポート、および、前記冷媒循環路に接続される第2ポートを有する四方弁と、
前記冷媒循環路に設けられる室外熱交換器と、
吐出側が前記冷媒入口に接続され、吸入側が前記冷媒出口に接続される1または複数の圧縮機と、
前記圧縮機に接続されるガスエンジン本体と、前記ガスエンジン本体に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、前記ガスエンジン本体に冷却水を循環させる冷却水循環部とを含む駆動ユニットと、
前記ガスエンジン本体を冷却した後の前記冷却水の温度を検出する冷却水温度センサと、
を有し、
前記室内機は、
前記冷媒循環路における前記室外熱交換器と前記第2ポートとの間に設けられる室内熱交換器と、
前記冷媒循環路における前記室外熱交換器と前記室内熱交換器との間に設けられる室内膨張弁と、
を有し、
前記室外機において、第1の故障または第2の故障が発生したか否かを判定する故障判定部と、
前記第1の故障が発生したと判定された場合に、前記ガスエンジン本体および前記冷却水循環部の動作を停止させ、前記第2の故障が発生したと判定された場合に、前記ガスエンジン本体および前記冷却水循環部の動作を継続させるバックアップ運転を行うバックアップ運転制御部と、
を備え、
前記第1の故障は、前記四方弁による暖房と冷房との切換ができないこと、前記ガスエンジン本体が駆動できないこと、前記圧縮機のすべてが駆動できないこと、前記圧縮機の少なくとも1つの吐出圧が所定値以上であること、または、前記室内機と前記室外機との通信が遮断されたことを含み、
前記第2の故障は、前記燃料ガス供給部の故障、前記ガスエンジン本体の点火系の故障、または、前記冷却水温度センサの故障を含む、空気調和装置。
【請求項2】
前記燃料ガス供給部は、
前記ガスエンジン本体に供給される空気の流量を調整するスロットル弁と、
前記ガスエンジン本体に供給される前記燃料ガスの流量を調整する燃料調整弁と、
を備え、
前記第2の故障が前記スロットル弁の故障である場合に、前記バックアップ運転制御部は、前記燃料調整弁の開度を通常運転時の開度とし、前記ガスエンジン本体が停止しない台数の前記圧縮機を前記ガスエンジン本体に接続して前記バックアップ運転を行う、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記燃料ガス供給部は、
前記ガスエンジン本体に供給される空気の流量を調整するスロットル弁と、
前記ガスエンジン本体に供給される前記燃料ガスの流量を調整する燃料調整弁と、
を備え、
前記第2の故障が前記燃料調整弁の故障である場合に、前記バックアップ運転制御部は、前記スロットル弁の開度を通常運転時の開度とし、前記ガスエンジン本体の回転数を通常運転時の回転数とし、前記ガスエンジン本体が停止しない台数の前記圧縮機を前記ガスエンジン本体に接続して前記バックアップ運転を行う、請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記燃料ガス供給部は、
前記ガスエンジン本体に供給される空気の流量を調整するスロットル弁と、
前記ガスエンジン本体に供給される燃料ガスの流量を調整する燃料調整弁と、
を備え、
前記第2の故障が前記ガスエンジン本体の点火系の故障である場合に、前記バックアップ運転制御部は、前記スロットル弁および前記燃料調整弁の開度を通常運転時の開度とし、前記ガスエンジン本体が停止しない台数の前記圧縮機を前記ガスエンジン本体に接続して前記バックアップ運転を行う、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
通信網を通じて、同一の施設に設けられた他の空気調和装置と通信を行う通信制御部を備え、
前記第2の故障が前記冷却水温度センサの故障である場合に、前記バックアップ運転制御部は、前記通信制御部を通じて取得した前記他の空気調和装置の冷却水温度センサの検出値に基づき、前記バックアップ運転を行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
室外機と、
室内機と、
前記室外機および前記室内機に冷媒を循環させる冷媒循環路と、
を備え、
前記室外機は、
冷媒入口、冷媒出口、前記冷媒循環路に接続される第1ポート、および、前記冷媒循環路に接続される第2ポートを有する四方弁と、
前記冷媒循環路に設けられる室外熱交換器と、
吐出側が前記冷媒入口に接続され、吸入側が前記冷媒出口に接続される1または複数の圧縮機と、
前記圧縮機を駆動する駆動ユニットと、
前記圧縮機から吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧センサと、
前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサと、
を有し、
前記室内機は、
前記冷媒循環路における前記室外熱交換器と前記第2ポートとの間に設けられる室内熱交換器と、
前記冷媒循環路における前記室外熱交換器と前記室内熱交換器との間に設けられる室内膨張弁と、
を有し、
前記室外機において、第1の故障または第2の故障が発生したか否かを判定する故障判定部と、
前記第1の故障が発生したと判定された場合に、前記駆動ユニットの動作を停止させ、前記第2の故障が発生したと判定された場合に、前記駆動ユニットの動作を継続させるバックアップ運転を行うバックアップ運転制御部と、
を備え、
前記第1の故障は、前記四方弁による暖房と冷房との切換ができないこと、前記駆動ユニットが駆動できないこと、前記圧縮機のすべてが駆動できないこと、前記圧縮機の少なくとも1つの吐出圧が所定値以上であること、または、前記室内機と前記室外機との通信が遮断されたことを含み、
前記第2の故障は、定格運転不可能な前記圧縮機および定格運転可能な前記圧縮機があること、前記吐出圧センサの故障、または、前記吐出温度センサの故障を含む、空気調和装置。
【請求項7】
前記第2の故障が、前記定格運転不可能な前記圧縮機および前記定格運転可能な前記圧縮機があることである場合、前記バックアップ運転制御部は、前記定格運転可能な前記圧縮機を前記駆動ユニットに接続して前記バックアップ運転を行う、請求項6に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記室外熱交換器から排出される冷媒の温度を検出する室外冷媒温度センサと、
外気温を検出する外気温度センサと、
前記室内熱交換器から排出される冷媒の温度を検出する室内冷媒温度センサと、
屋内の空気の温度を検出する内気温度センサと、
を備え、
前記第2の故障が、前記吐出圧センサの故障である場合、前記バックアップ運転制御部は、前記室外冷媒温度センサおよび前記外気温度センサの検出値、ならびに、前記室内冷媒温度センサおよび前記内気温度センサの検出値のうちのいずれか一方または両方に基づき、前記圧縮機から吐出される冷媒の圧力を推定して、前記バックアップ運転を行う、請求項6または7に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記圧縮機に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサと、
前記圧縮機に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧センサと、
前記駆動ユニットの回転数を検出する回転数センサと、
を備え、
前記第2の故障が、前記吐出温度センサの故障である場合、前記バックアップ運転制御部は、前記吸入温度センサ、前記吸入圧センサ、前記吐出圧センサ、および、前記回転数センサの検出値に基づき、前記圧縮機から吐出される冷媒の温度を推定して、前記バックアップ運転を行う、請求項6から8のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置は、GHP(ガスヒートポンプエアコン)と、EHP(電気式ヒートポンプエアコン)とに大別される。GHPは、圧縮機の駆動源としてガスエンジンを備える。EHPは、圧縮機の駆動源として電動機を備える。
【0003】
このような空気調和装置には、圧縮機から室外熱交換器へ供給される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ、圧縮機に供給される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ、屋内の空気の温度を検出する内気温度センサ、室外の空気の温度を検出する外気温度センサ等のセンサが設けられている。
【0004】
そして、空気調和装置は、上記センサが故障したり、センサによって異常値が検出されたりした場合、圧縮機を強制停止するように構成されている。例えば、特許文献1には、吐出温度センサの検出値が異常値である場合に圧縮機を強制停止する空気調和装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-127304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、圧縮機が強制停止された場合、修理業者によって修理が完了するまで、空気調和装置の復旧ができない。したがって、圧縮機が強制停止されてから修理が完了するまでの期間、空気調和装置が運転できないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、一部の部品が故障しても運転を行うことが可能な空気調和装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、室外機と、室内機と、室外機および室内機に冷媒を循環させる冷媒循環路と、を備え、室外機は、冷媒入口、冷媒出口、冷媒循環路に接続される第1ポート、および、冷媒循環路に接続される第2ポートを有する四方弁と、冷媒循環路に設けられる室外熱交換器と、吐出側が冷媒入口に接続され、吸入側が冷媒出口に接続される1または複数の圧縮機と、圧縮機に接続されるガスエンジン本体と、ガスエンジン本体に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、ガスエンジン本体に冷却水を循環させる冷却水循環部とを含む駆動ユニットと、ガスエンジン本体を冷却した後の冷却水の温度を検出する冷却水温度センサと、を有し、室内機は、冷媒循環路における室外熱交換器と第2ポートとの間に設けられる室内熱交換器と、冷媒循環路における室外熱交換器と室内熱交換器との間に設けられる室内膨張弁と、を有し、室外機において、第1の故障または第2の故障が発生したか否かを判定する故障判定部と、第1の故障が発生したと判定された場合に、ガスエンジン本体および冷却水循環部の動作を停止させ、第2の故障が発生したと判定された場合に、ガスエンジン本体および冷却水循環部の動作を継続させるバックアップ運転を行うバックアップ運転制御部と、を備え、第1の故障は、四方弁による暖房と冷房との切換ができないこと、ガスエンジン本体が駆動できないこと、圧縮機のすべてが駆動できないこと、圧縮機の少なくとも1つの吐出圧が所定値以上であること、または、室内機と室外機との通信が遮断されたことを含み、第2の故障は、燃料ガス供給部の故障、ガスエンジン本体の点火系の故障、または、冷却水温度センサの故障を含む。
【0009】
また、燃料ガス供給部は、ガスエンジン本体に供給される空気の流量を調整するスロットル弁と、ガスエンジン本体に供給される燃料ガスの流量を調整する燃料調整弁と、を備え、
第2の故障がスロットル弁の故障である場合に、バックアップ運転制御部は、燃料調整弁の開度を通常運転時の開度とし、ガスエンジン本体が停止しない台数の圧縮機をガスエンジン本体に接続してバックアップ運転を行ってもよい。
【0010】
また、燃料ガス供給部は、ガスエンジン本体に供給される空気の流量を調整するスロットル弁と、ガスエンジン本体に供給される燃料ガスの流量を調整する燃料調整弁と、を備え、第2の故障が燃料調整弁の故障である場合に、バックアップ運転制御部は、スロットル弁の開度を通常運転時の開度とし、ガスエンジン本体の回転数を通常運転時の回転数とし、ガスエンジン本体が停止しない台数の圧縮機をガスエンジン本体に接続してバックアップ運転を行ってもよい。
【0011】
また、燃料ガス供給部は、ガスエンジン本体に供給される空気の流量を調整するスロットル弁と、ガスエンジン本体に供給される燃料ガスの流量を調整する燃料調整弁と、を備え、第2の故障がガスエンジン本体の点火系の故障である場合に、バックアップ運転制御部は、スロットル弁および燃料調整弁の開度を通常運転時の開度とし、ガスエンジン本体が停止しない台数の圧縮機をガスエンジン本体に接続してバックアップ運転を行ってもよい。
【0012】
また、上記空気調和装置は、通信網を通じて、同一の施設に設けられた他の空気調和装置と通信を行う通信制御部を備え、第2の故障が冷却水温度センサの故障である場合に、バックアップ運転制御部は、通信制御部を通じて取得した他の空気調和装置の冷却水温度センサの検出値に基づき、バックアップ運転を行ってもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の他の空気調和装置は、室外機と、室内機と、室外機および室内機に冷媒を循環させる冷媒循環路と、を備え、室外機は、冷媒入口、冷媒出口、冷媒循環路に接続される第1ポート、および、冷媒循環路に接続される第2ポートを有する四方弁と、冷媒循環路に設けられる室外熱交換器と、吐出側が冷媒入口に接続され、吸入側が冷媒出口に接続される1または複数の圧縮機と、圧縮機を駆動する駆動ユニットと、圧縮機から吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧センサと、圧縮機から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサと、を有し、室内機は、冷媒循環路における室外熱交換器と第2ポートとの間に設けられる室内熱交換器と、冷媒循環路における室外熱交換器と室内熱交換器との間に設けられる室内膨張弁と、を有し、室外機において、第1の故障または第2の故障が発生したか否かを判定する故障判定部と、第1の故障が発生したと判定された場合に、駆動ユニットの動作を停止させ、第2の故障が発生したと判定された場合に、駆動ユニットの動作を継続させるバックアップ運転を行うバックアップ運転制御部と、を備え、第1の故障は、四方弁による暖房と冷房との切換ができないこと、駆動ユニットが駆動できないこと、圧縮機のすべてが駆動できないこと、圧縮機の少なくとも1つの吐出圧が所定値以上であること、または、室内機と室外機との通信が遮断されたことを含み、第2の故障は、定格運転不可能な圧縮機および定格運転可能な圧縮機があること、吐出圧センサの故障、または、吐出温度センサの故障を含む。
【0014】
また、第2の故障が、定格運転不可能な圧縮機および定格運転可能な圧縮機があることである場合、バックアップ運転制御部は、定格運転可能な圧縮機を駆動ユニットに接続してバックアップ運転を行ってもよい。
【0015】
また、上記空気調和装置は、室外熱交換器から排出される冷媒の温度を検出する室外冷媒温度センサと、外気温を検出する外気温度センサと、室内熱交換器から排出される冷媒の温度を検出する室内冷媒温度センサと、屋内の空気の温度を検出する内気温度センサと、を備え、第2の故障が、吐出圧センサの故障である場合、バックアップ運転制御部は、室外冷媒温度センサおよび外気温度センサの検出値、ならびに、室内冷媒温度センサおよび内気温度センサの検出値のうちのいずれか一方または両方に基づき、圧縮機から吐出される冷媒の圧力を推定して、バックアップ運転を行ってもよい。
【0016】
また、上記空気調和装置は、圧縮機に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサと、圧縮機に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧センサと、駆動ユニットの回転数を検出する回転数センサと、を備え、第2の故障が、吐出温度センサの故障である場合、バックアップ運転制御部は、吸入温度センサ、吸入圧センサ、吐出圧センサ、および、回転数センサの検出値に基づき、圧縮機から吐出される冷媒の温度を推定して、バックアップ運転を行ってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一部の部品が故障しても運転を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る空気調和装置の接続関係を説明する図である。
図2】本実施形態に係る空気調和装置の概略を説明する図である。
図3】本実施形態に係る空気調和装置の詳細を説明する図である。
図4】本実施形態に係る空気調和装置の運転方法の処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図5】本実施形態に係る空気調和装置の運転方法の処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図6】本実施形態に係る空気調和装置の運転方法の処理の流れを示す第3のフローチャートである。
図7】本実施形態に係る空気調和装置の運転方法の処理の流れを示す第4のフローチャートである。
図8】本実施形態に係る第1バックアップ運転処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本実施形態に係る第2バックアップ運転処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本実施形態に係る第3バックアップ運転処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本実施形態に係る第4バックアップ運転処理の流れを示すフローチャートである。
図12】本実施形態に係る第5バックアップ運転処理の流れを示すフローチャートである。
図13】本実施形態に係る第6バックアップ運転処理の流れを示すフローチャートである。
図14】本実施形態に係る第7バックアップ運転処理の流れを示すフローチャートである。
図15】本実施形態に係る第8バックアップ運転処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
[空気調和装置100]
図1は、本実施形態に係る空気調和装置100の接続関係を説明する図である。図1に示すように、施設10には、1または複数の空気調和装置100が設置される。施設10は、ショッピングセンター等の商業ビル、会社が事業所を構えるオフィスビル、学校等である。1または複数の空気調和装置100は、それぞれ、通信網12を介して、管理サーバ20に接続される。空気調和装置100は、施設10内(室内)の空気の温度を調整する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る空気調和装置100の概略を説明する図である。図2に示すように、空気調和装置100は、リモートコントローラ102と、室外機104と、室内機106と、冷媒循環路108と、室外制御部110と、室内制御部120とを備える。
【0022】
リモートコントローラ102は、ユーザの操作入力を受け付ける。リモートコントローラ102に入力された情報は、後述する室内制御部120に送信される。
【0023】
室外機104は、屋外に設けられる。室内機106は、屋内に設けられる。
【0024】
冷媒循環路108は、冷媒が循環する流路である。冷媒循環路108は、室外機104および室内機106に冷媒を循環させる。
【0025】
室外制御部110は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。室外制御部110は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。室外制御部110は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して室外機104全体を管理および制御する。室外制御部110の具体的な機能については、後に詳述する。
【0026】
室内制御部120は、CPUを含む半導体集積回路で構成される。室内制御部120は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。室内制御部120は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して室内機106全体を管理および制御する。室内制御部120は、室内機106ごとに設けられる。室内制御部120の具体的な機能については、後に詳述する。
【0027】
図3は、本実施形態に係る空気調和装置100の詳細を説明する図である。
【0028】
[室外機104]
図3に示すように、室外機104は、四方弁210と、室外熱交換器220と、室外送風機222と、暖房用膨張弁224と、圧縮機230と、アキュムレータ232と、駆動ユニット240と、室外冷媒温度センサ250a、250bと、外気温度センサ252と、吸入温度センサ254と、吐出温度センサ256と、冷却水温度センサ258と、吸入圧センサ260と、吐出圧センサ262と、高圧スイッチ264と、回転数センサ266と、を含む。
【0029】
四方弁210は、冷媒入口210a、冷媒出口210b、第1ポート210c、および、第2ポート210dを有する。四方弁210の第1ポート210cおよび第2ポート210dは、冷媒循環路108に接続される。空気調和装置100を冷房として機能させる場合、四方弁210は、冷媒入口210aと第1ポート210cとを連通させ、冷媒出口210bと第2ポート210dとを連通させる。空気調和装置100を暖房として機能させる場合、四方弁210は、冷媒入口210aと第2ポート210dとを連通させ、冷媒出口210bと第1ポート210cとを連通させる。
【0030】
室外熱交換器220は、冷媒循環路108に設けられる。室外熱交換器220は、冷媒循環路108を流れる冷媒と、屋外の空気とで熱交換を行う。また、本実施形態において、室外熱交換器220を流れる冷媒は、後述する放熱器248aによって、冷却水と熱交換される。つまり、室外熱交換器220を流れる冷媒は、屋外の空気および冷却水と熱交換される。
【0031】
室外送風機222は、室外熱交換器220に空気を送る。室外送風機222は、例えば、ファンで構成される。室外送風機222は、室外熱交換器220による屋外の空気と冷媒との熱交換を促進させる。
【0032】
暖房用膨張弁224は、冷媒循環路108における、室外熱交換器220と、後述する室内機106(室内膨張弁314)との間に設けられる。暖房用膨張弁224は、暖房時、空気調和装置100を暖房として機能させるため、減圧機構として作動する。また、暖房用膨張弁224は、冷房時、全開となり、室内機106へ向かう凝縮した冷媒(液)の抵抗にならないようにしている。
【0033】
本実施形態において、空気調和装置100は、複数の圧縮機230を備える。圧縮機230の吐出側は、四方弁210の冷媒入口210aに接続される。圧縮機230の吸入側は、四方弁210の冷媒出口210bに接続される。圧縮機230は、四方弁210の冷媒出口210bから吸入した冷媒を圧縮して、四方弁210の冷媒入口210aに吐出する。したがって、圧縮機230が駆動されることにより、冷媒循環路108を冷媒が循環する。
【0034】
アキュムレータ232は、四方弁210の冷媒出口210bと、圧縮機230の吸入側との間に設けられる。アキュムレータ232は、気液分離装置である。アキュムレータ232は、蒸発器(室外熱交換器220または室内熱交換器310)において蒸発しきれなかった冷媒(液体)を、冷媒(気体)から分離する。
【0035】
駆動ユニット240は、圧縮機230を駆動する。駆動ユニット240は、ガスエンジン本体242と、燃料ガス供給部246と、冷却水循環部248とを含む。
【0036】
ガスエンジン本体242は、燃料ガスを燃焼させることで得られる動力を圧縮機230に出力する。ガスエンジン本体242は、クラッチ244を介して、圧縮機230に接続される。
【0037】
燃料ガス供給部246は、ガスエンジン本体242に燃料ガスを供給する。燃料ガス供給部246は、燃料供給管246aと、ガス遮断弁246bと、ゼロガバナ246cと、燃料調整弁246dと、スロットル弁246eと、空気供給管246fと、混合気供給管246gとを含む。
【0038】
燃料供給管246aは、ガスの供給源と、スロットル弁246eとを接続する。燃料供給管246aには、ガス遮断弁246b、ゼロガバナ246c、燃料調整弁246dがこの順で設けられる。ガス遮断弁246bは、燃料供給管246a内に形成される流路を開閉する。ゼロガバナ246cは、一次側の燃料ガスの圧力に拘わらず、二次側の燃料ガスの圧力を所定値に調整(均圧)する。燃料調整弁246dは、ガスエンジン本体242に供給される燃料ガスの流量を調整する。
【0039】
スロットル弁246eには空気供給管246fが接続される。スロットル弁246eは、ガスエンジン本体242に供給される空気の流量を調整する。燃料調整弁246dによって流量が調整された燃料ガス、および、スロットル弁246eによって流量が調整された空気は、混合され、混合気供給管246gを通じてガスエンジン本体242に供給される。
【0040】
冷却水循環部248は、ガスエンジン本体242と室外熱交換器220との間に冷却水を循環させて、ガスエンジン本体242を冷却する。冷却水循環部248は、放熱器248aと、冷却水循環ポンプ248bと、三方弁248cとを含む。
【0041】
放熱器(ラジエータ)248aは、冷却水と、室外熱交換器220を流れる冷媒とで熱交換を行う。
【0042】
冷却水循環ポンプ248bの吸入側は、放熱器248aに接続される。冷却水循環ポンプ248bの吐出側は、ガスエンジン本体242に接続される。冷却水循環ポンプ248bは、放熱器248aから吸入した冷却水をガスエンジン本体242に吐出する。したがって、冷却水循環ポンプ248bが駆動されることにより、放熱器248aにおいて放熱(冷却)された冷却水が、ガスエンジン本体242に導かれて、ガスエンジン本体242を冷却する。そして、ガスエンジン本体242で加熱された冷却水が放熱器248aに導かれることになる。
【0043】
三方弁248cは、ガスエンジン本体242から導かれ、放熱器248aに供給される冷却水と、ガスエンジン本体242から導かれ、放熱器248aを介さずに冷却水循環ポンプ248bに供給される冷却水との流量を調整する。三方弁248cは、後述する冷却水温度センサ258の検出値に基づき、放熱器248aに供給される冷却水と、放熱器248aを介さずに冷却水循環ポンプ248bに供給される冷却水との流量を調整する。
【0044】
室外冷媒温度センサ250aは、冷媒循環路108における、四方弁210の第1ポート210cと室外熱交換器220との間を流れる冷媒(気体)の温度を検出する。室外冷媒温度センサ250bは、冷媒循環路108における、室外熱交換器220と暖房用膨張弁224との間を流れる冷媒(液体)の温度を検出する。
【0045】
外気温度センサ252は、屋外の空気の温度(外気温)を検出する。つまり、外気温度センサ252は、室外送風機222によって室外熱交換器220に供給される空気の温度を検出する。
【0046】
吸入温度センサ254は、四方弁210の冷媒出口210bと圧縮機230との間を流れる冷媒の温度を検出する。つまり、吸入温度センサ254は、圧縮機230に吸入される冷媒の温度を検出する。
【0047】
吐出温度センサ256は、圧縮機230と、四方弁210の冷媒入口210aとの間を流れる冷媒の温度を検出する。つまり、吐出温度センサ256は、圧縮機230から吐出される冷媒の温度を検出する。
【0048】
冷却水温度センサ258は、ガスエンジン本体242と三方弁248cとの間を流れる冷却水の温度を検出する。つまり、冷却水温度センサ258は、ガスエンジン本体242を冷却した後の冷却水の温度を検出する。
【0049】
吸入圧センサ260は、四方弁210の冷媒出口210bと圧縮機230との間を流れる冷媒の圧力を検出する。つまり、吸入圧センサ260は、圧縮機230に吸入される冷媒の圧力を検出する。
【0050】
吐出圧センサ262は、圧縮機230と、四方弁210の冷媒入口210aとの間を流れる冷媒の圧力を検出する。つまり、吐出圧センサ262は、圧縮機230から吐出される冷媒の圧力を検出する。
【0051】
高圧スイッチ264は、圧縮機230と、四方弁210の冷媒入口210aとの間を流れる冷媒の圧力が所定値を超えると作動する。一方、高圧スイッチ264は、四方弁210の冷媒入口210aとの間を流れる冷媒の圧力が所定値以下である場合には作動しない。所定値は、冷媒循環路108の強度に基づいて予め決定される。
【0052】
回転数センサ266は、ガスエンジン本体242(駆動ユニット240)の回転数を検出する。なお、圧縮機230の回転数は、回転数センサ266の検出値にプーリ比を掛けた値となる。
【0053】
[室内機106]
図3に示すように、1または複数の室内機106は、冷媒循環路108における、室外熱交換器220と、四方弁210の第2ポート210dとの間に設けられる。
【0054】
室内機106は、室内熱交換器310と、室内送風機312と、室内膨張弁314と、室内冷媒温度センサ320a、320bと、内気温度センサ322と、を含む。
【0055】
室内熱交換器310は、冷媒循環路108における、室外熱交換器220と、四方弁210の第2ポート210dとの間に設けられる。室内熱交換器310は、冷媒循環路108を流れる冷媒と、屋内の空気とで熱交換を行う。室内送風機312は、室内熱交換器310に空気を送る。室内送風機312は、例えば、ファンで構成される。室内送風機312は、室内熱交換器310による屋内の空気と冷媒との熱交換を促進させる。
【0056】
室内膨張弁314は、冷媒循環路108における室外熱交換器220と室内熱交換器310との間に設けられる。室内膨張弁314は、冷媒を減圧する。
【0057】
室内冷媒温度センサ320aは、冷媒循環路108における室内膨張弁314と室内熱交換器310との間を流れる冷媒(液体)の温度を検出する。室内冷媒温度センサ320bは、冷媒循環路108における室内熱交換器310と、四方弁210の第2ポート210dとの間を流れる冷媒(気体)の温度を検出する。
【0058】
内気温度センサ322は、屋内の空気の温度を検出する。つまり、内気温度センサ322は、室内送風機312によって室内熱交換器310に供給される空気の温度を検出する。
【0059】
[室外制御部110]
本実施形態において、室外制御部110は、通信制御部410、信号取得部412、故障判定部414、通常運転制御部416、バックアップ運転制御部418として機能する。
【0060】
通信制御部410は、通信網12を介して、管理サーバ20との通信を確立する。また、通信制御部410は、室内制御部120の通信制御部410と通信を確立する。
【0061】
信号取得部412は、室外冷媒温度センサ250a、250b、外気温度センサ252、吸入温度センサ254、吐出温度センサ256、冷却水温度センサ258、吸入圧センサ260、吐出圧センサ262、回転数センサ266の検出値を取得する。また、信号取得部412は、高圧スイッチ264の状態(作動または非作動)を取得する。さらに、信号取得部412は、室内制御部120から通信制御部410を通じて、室内冷媒温度センサ320a、320bの検出値、内気温度センサ322の検出値、リモートコントローラ102から送信された情報(信号)を取得する。
【0062】
故障判定部414は、室外機104において、第1の故障および第2の故障のうちのいずれか一方または両方が発生したか否かを判定する。
【0063】
第1の故障は、四方弁210による暖房と冷房との切換ができないこと、ガスエンジン本体242が駆動できないこと、圧縮機230のすべてが駆動できないこと、圧縮機230の少なくとも1つの吐出圧が所定値以上であること(高圧スイッチ264が作動したこと)、または、室内機106と室外機104との通信が遮断されたことを含む。
【0064】
故障判定部414は、室内冷媒温度センサ320bの検出値に基づいて、四方弁210の切換ができないことを判定する。
【0065】
また、故障判定部414は、回転数センサ266の検出値に基づいて、ガスエンジン本体242が駆動できないこと、または、圧縮機230のすべてが駆動できないことを検出する。例えば、故障判定部414は、リモートコントローラ102による停止指示を受け付けていないにも拘わらず、回転数センサ266の検出値がゼロ(エンジンストール(エンスト))になり、その後、再起動を行ってもガスエンジン本体242が駆動できない場合に、ガスエンジン本体242が駆動できないこと、または、すべての圧縮機230が駆動できないことを検出する。そして、故障判定部414は、すべてのクラッチ244を圧縮機230から切り離した状態で、回転数センサ266の検出値がゼロになる場合、ガスエンジン本体242が駆動できないと判定する。また、故障判定部414は、1のクラッチ244と1の圧縮機230とを接続した状態で、回転数センサ266の検出値がゼロになる場合であって、すべての圧縮機230において回転数センサ266の検出値がゼロになる場合に、すべての圧縮機230が駆動できないと判定する。
【0066】
また、故障判定部414は、室外制御部110の通信制御部410と室内制御部120の通信制御部410との通信が確立できるか否かに基づいて、室内機106と室外機104との通信が遮断されたか否かを判定する。具体的に説明すると、室外制御部110の通信制御部410と室内制御部120の通信制御部410とは、所定間隔ごとに通信を行っている。故障判定部414は、室外制御部110の通信制御部410と室内制御部120の通信制御部410との通信が確立できない場合に、室内機106と室外機104との通信が遮断されたと判定する。
【0067】
第2の故障は、燃料ガス供給部246の故障、ガスエンジン本体242の点火系の故障、冷却水温度センサ258の故障、定格運転不可能(圧縮不良となる、または、駆動できない)圧縮機230および定格運転可能な圧縮機230があること、吐出温度センサ256の故障、または、吐出圧センサ262の故障を含む。
【0068】
故障判定部414は、回転数センサ266の検出値に基づいて、燃料ガス供給部246が故障したことを検出する。例えば、故障判定部414は、リモートコントローラ102による停止指示を受け付けていないにも拘わらず、回転数センサ266の検出値がゼロになり、その後、再起動を行って、ガスエンジン本体242が駆動している状態で、スロットル弁246eを開閉させた場合に、回転数センサ266の検出値が上下しているか否かを確認する。そして、スロットル弁246eを開閉させているにも拘わらず、回転数センサ266の検出値が上下しない場合、故障判定部414は、スロットル弁246eが故障したと判定する。また、例えば、故障判定部414は、リモートコントローラ102による停止指示を受け付けていないにも拘わらず、回転数センサ266の検出値がゼロになり、その後、再起動を行って、ガスエンジン本体242が駆動している状態で、燃料調整弁246dを開閉させた場合に、回転数センサ266の検出値が上下しているか否かを確認する。そして、燃料調整弁246dを開閉させているにも拘わらず、回転数センサ266の検出値が上下しない場合、故障判定部414は、燃料調整弁246dが故障したと判定する。
【0069】
また、故障判定部414は、回転数センサ266の検出値に基づいて、ガスエンジン本体242の点火系が故障したことを検出する。例えば、故障判定部414は、リモートコントローラ102による停止指示を受け付けていないにも拘わらず、回転数センサ266の検出値がゼロになり、その後、再起動を行って、ガスエンジン本体242が駆動している状態で、点火プラグへの点火信号を1気筒ずつ停止し、回転数センサ266の検出値の変動が大きくなるか否かを確認する。そして、点火プラグへの点火信号を停止しているにも拘わらず、回転数センサ266の検出値の変動が大きくならない場合、故障判定部414は、ガスエンジン本体242の点火系が故障したと判定する。
【0070】
また、故障判定部414は、信号取得部412が冷却水温度センサ258の検出値を取得できない場合、冷却水温度センサ258が故障したと判定する。冷却水温度センサ258の故障は、例えば、冷却水温度センサ258の断線や短絡である。
【0071】
同様に、故障判定部414は、信号取得部412が吐出温度センサ256の検出値を取得できない場合、吐出温度センサ256が故障したと判定する。吐出温度センサ256の故障は、例えば、吐出温度センサ256の断線や短絡である。
【0072】
また、故障判定部414は、信号取得部412が吐出圧センサ262の検出値を取得できない場合、吐出圧センサ262が故障したと判定する。吐出圧センサ262の故障は、例えば、吐出圧センサ262の断線や短絡である。
【0073】
故障判定部414は、回転数センサ266、吸入圧センサ260、吐出圧センサ262の検出値に基づいて、定格運転できない圧縮機230を特定する。例えば、故障判定部414は、リモートコントローラ102による停止指示を受け付けていないにも拘わらず、回転数センサ266の検出値がゼロになり、その後、すべてのクラッチ244を圧縮機230から切り離して再起動を行って、ガスエンジン本体242の回転数を中間回転数(最低回転数と最高回転数との間の回転数)に設定した後、圧縮機230ごとにクラッチ244を接続して、エンストするか否かを確認する。そして、故障判定部414は、エンストした圧縮機230が固着しており(回転不可能であり)、駆動できないと判定する。圧縮機230の固着(ロック)は、圧縮機230内部が破損することで生じた部材や外部から吸入された異物等がロータに噛みこんでしまったり、軸受けが焼き付いてしまったりすることで生じる。
【0074】
また、故障判定部414は、圧縮機230ごとにクラッチ244を接続して、吸入圧センサ260の検出値と、吐出圧センサ262の検出値との差分を確認する。そして、故障判定部414は、吸入圧センサ260の検出値と、吐出圧センサ262の検出値との差分が所定差より小さい圧縮機230を圧縮不良であると判定する。圧縮機230の圧縮不良は、クラッチ244が破損して圧縮機230に動力を伝達するプーリは回転するものの圧縮機230のロータが回転しなかったり、圧縮機230のロータは回転するものの圧縮に必要なベーンが破損して圧縮できなかったりすることで生じる。
【0075】
通常運転制御部416は、故障判定部414によって、第1の故障および第2の故障のいずれも発生していないと判定された場合、リモートコントローラ102から送信された情報に基づき、四方弁210の切換(暖房と冷房との切換)、圧縮機230の運転台数、圧縮機230の回転数を制御して、通常運転を行う。
【0076】
例えば、通常運転制御部416は、リモートコントローラ102から送信された冷房を示す情報に基づき、四方弁210を制御して、冷媒入口210aと第1ポート210cとを連通させ、冷媒出口210bと第2ポート210dとを連通させる。また、通常運転制御部416は、リモートコントローラ102から送信された暖房を示す情報に基づき、四方弁210を制御して、冷媒入口210aと第2ポート210dとを連通させ、冷媒出口210bと第1ポート210cとを連通させる。
【0077】
また、通常運転制御部416は、リモートコントローラ102から送信された設定温度を示す情報と、内気温度センサ322との検出値に基づき、空調要求を算出する。そして、通常運転制御部416は、算出した空調要求、および、室外冷媒温度センサ250a、250b、室内冷媒温度センサ320a、320b、内気温度センサ322、外気温度センサ252、吸入温度センサ254、吐出温度センサ256、冷却水温度センサ258、吸入圧センサ260、吐出圧センサ262、回転数センサ266の検出値に基づき、圧縮機230の運転台数、圧縮機230の回転数を制御する。
【0078】
バックアップ運転制御部418は、故障判定部414によって、第1の故障または第2の故障が発生したと判定された場合、通信制御部410を通じて、その旨を管理サーバ20に送信する。管理サーバ20は、第1の故障または第2の故障が発生した旨の情報を取得すると、修理業者に修理を依頼する。
【0079】
なお、バックアップ運転制御部418は、故障判定部414によって、第1の故障または第2の故障が発生したと判定された場合、通信制御部410を通じて、その旨をリモートコントローラ102に表示させてもよい。この場合、ユーザは、第1の故障または第2の故障が発生した旨の情報に基づき、修理業者に修理を依頼してもよい。
【0080】
バックアップ運転制御部418は、故障判定部414によって第1の故障が発生したと判定された場合、ガスエンジン本体242、室外送風機222、室内送風機312、および、冷却水循環部248(冷却水循環ポンプ248b)の動作を停止させる。
【0081】
一方、バックアップ運転制御部418は、故障判定部414によって第2の故障が発生したと判定された場合、ガスエンジン本体242および冷却水循環部248(冷却水循環ポンプ248b)の動作を継続させるバックアップ運転を行う。バックアップ運転の詳細については、後に詳述する。
【0082】
[室内制御部120]
本実施形態において、室内制御部120は、通信制御部410、信号取得部412、故障判定部414、通常運転制御部416として機能する。
【0083】
室内制御部120の通信制御部410は、通信網12を介して、管理サーバ20との通信を確立する。また、室内制御部120の通信制御部410は、室外制御部110の通信制御部410と通信を確立する。
【0084】
室内制御部120の信号取得部412は、室内冷媒温度センサ320a、320bの検出値、内気温度センサ322の検出値、リモートコントローラ102から送信された情報(信号)を取得する。
【0085】
室内制御部120の故障判定部414は、室内送風機312、室内膨張弁314等の故障を判定する。
【0086】
室内制御部120の通常運転制御部416は、リモートコントローラ102から送信された情報に基づき、通常運転を行う。
【0087】
[空気調和装置100の運転方法]
続いて、上記空気調和装置100の運転方法について説明する。図4図7は、本実施形態に係る空気調和装置100の運転方法の処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって運転方法が繰り返し遂行される。
【0088】
[第1の故障判定処理S110]
図4に示すように、故障判定部414は、第1の故障のうち、ガスエンジン本体242が駆動できないこと、および、すべての圧縮機230が駆動できないこと以外の第1の故障が生じたか否かを判定する。つまり、故障判定部414は、四方弁210による暖房と冷房との切換ができない、高圧スイッチ264が作動した、または、室内機106と室外機104との通信が遮断されたか否かを判定する。その結果、ガスエンジン本体242が駆動できないこと、および、すべての圧縮機230が駆動できないこと以外の第1の故障が生じたと判定した場合(S110におけるYES)、故障判定部414は、停止処理S112に処理を移す。一方、ガスエンジン本体242が駆動できないこと、および、すべての圧縮機230が駆動できないこと以外の第1の故障は生じていないと判定した場合(S110におけるNO)、故障判定部414は、エンスト判定処理S114に処理を移す。
【0089】
[停止処理S112]
バックアップ運転制御部418は、ガスエンジン本体242、室外送風機222、室内送風機312、および、冷却水循環ポンプ248bの運転を停止して、当該運転方法を終了する。
【0090】
[エンスト判定処理S114]
故障判定部414は、ガスエンジン本体242が停止した(エンストが生じた)か否かを判定する。その結果、エンストが生じていないと判定した場合(S114におけるNO)、故障判定部414は、圧縮不良判定処理S116に処理を移す。一方、エンストが生じたと判定した場合(S114におけるYES)、故障判定部414は、再起動処理S120に処理を移す。
【0091】
[圧縮不良判定処理S116]
故障判定部414は、圧縮不良の圧縮機230があるか否かを判定する。その結果、圧縮不良の圧縮機230があると判定した場合(S116におけるYES)、故障判定部414は、再起動処理S126に処理を移す(図5参照)。一方、圧縮不良の圧縮機230はないと判定した場合(S116におけるNO)、故障判定部414は、通常運転処理S118に処理を移す。
【0092】
[通常運転処理S118]
通常運転制御部416は、リモートコントローラ102から送信された情報に基づき、四方弁210の切換(暖房と冷房との切換)、圧縮機230の運転台数、圧縮機230の回転数を制御して、通常運転を行い、当該運転方法を終了する。
【0093】
[再起動処理S120]
故障判定部414は、ガスエンジン本体242を再起動する。
【0094】
[エンスト判定処理S122]
故障判定部414は、エンストが生じたか否かを判定する。その結果、エンストが生じていないと判定した場合(S122におけるNO)、故障判定部414は、圧縮不良判定処理S116に処理を移す。一方、エンストが生じたと判定した場合(S122におけるYES)、故障判定部414は、エンジン本体故障判定処理S124に処理を移す。
【0095】
[エンジン本体故障判定処理S124]
故障判定部414は、すべてのクラッチ244を圧縮機230から切り離した状態で、ガスエンジン本体242を再起動し、ガスエンジン本体242が駆動できるか否かを判定する。そして、ガスエンジン本体242が駆動できない、つまり、ガスエンジン本体242が故障したと判定した場合(S124におけるYES)、停止処理S112に処理を移す。一方、ガスエンジン本体242が駆動できる、つまり、ガスエンジン本体242が故障していないと判定した場合(S124におけるNO)、故障判定部414は、第1圧縮機故障判定処理S132に処理を移す(図6参照)。
【0096】
[再起動処理S126]
図5に示すように、故障判定部414は、ガスエンジン本体242を再起動する。
【0097】
[圧縮不良判定処理S128]
故障判定部414は、圧縮不良の圧縮機230があるか否かを判定する。その結果、圧縮不良の圧縮機230があると判定した場合(S128におけるYES)、故障判定部414は、第1バックアップ運転処理S130に処理を移して、当該運転方法を終了する。第1バックアップ運転処理S130については、後に詳述する。一方、圧縮不良の圧縮機230はないと判定した場合(S128におけるNO)、故障判定部414は、通常運転処理S118(図4参照)に処理を移す。
【0098】
[第1圧縮機故障判定処理S132]
故障判定部414は、1のクラッチ244と1の圧縮機230とを接続した状態で、ガスエンジン本体242を再起動する処理をすべての圧縮機230に対して行い、すべての圧縮機230が駆動できるか否かを判定する。その結果、すべての圧縮機230が駆動できない、つまり、すべての圧縮機230が故障していると判定した場合(S132におけるYES)、故障判定部414は、停止処理S112に処理を移して、当該運転方法を終了する。一方、少なくとも1の圧縮機230が駆動できる、つまり、すべての圧縮機230が故障しているわけではないと判定した場合(S132におけるNO)、故障判定部414は、第2圧縮機故障判定処理S134に処理を移す。
【0099】
[第2圧縮機故障判定処理S134]
故障判定部414は、複数の圧縮機230のうち、少なくともいずれか1の圧縮機230が故障しているか否かを判定する。その結果、少なくともいずれか1の圧縮機230が故障していると判定した場合(S134におけるYES)、故障判定部414は、第2バックアップ運転処理S136に処理を移して、当該運転方法を終了する。第2バックアップ運転処理S136については、後に詳述する。一方、少なくともいずれか1の圧縮機230が故障していない、つまり、すべての圧縮機230は故障していないと判定した場合(S134におけるNO)、故障判定部414は、スロットル弁故障判定処理S138に処理を移す。
【0100】
[スロットル弁故障判定処理S138]
故障判定部414は、スロットル弁246eが故障しているか否かを判定する。その結果、スロットル弁246eが故障していると判定した場合(S138におけるYES)、故障判定部414は、第3バックアップ運転処理S140に処理を移して、当該運転方法を終了する。第3バックアップ運転処理S140については、後に詳述する。一方、スロットル弁246eは故障していないと判定した場合(S138におけるNO)、故障判定部414は、燃料調整弁故障判定処理S142に処理を移す。
【0101】
[燃料調整弁故障判定処理S142]
故障判定部414は、燃料調整弁246dが故障しているか否かを判定する。その結果、燃料調整弁246dが故障していると判定した場合(S142におけるYES)、故障判定部414は、第4バックアップ運転処理S144に処理を移して、当該運転方法を終了する。第4バックアップ運転処理S144については、後に詳述する。一方、燃料調整弁246dは故障していないと判定した場合(S142におけるNO)、故障判定部414は、点火系故障判定処理S146に処理を移す。
【0102】
[点火系故障判定処理S146]
故障判定部414は、ガスエンジン本体242の点火系が故障しているか否かを判定する。その結果、ガスエンジン本体242の点火系が故障していると判定した場合(S146におけるYES)、故障判定部414は、第5バックアップ運転処理S148に処理を移して、当該運転方法を終了する。第5バックアップ運転処理S148については、後に詳述する。一方、ガスエンジン本体242の点火系は故障していないと判定した場合(S146におけるNO)、故障判定部414は、吐出圧センサ故障判定処理S150(図7参照)に処理を移す。
【0103】
[吐出圧センサ故障判定処理S150]
故障判定部414は、吐出圧センサ262が故障しているか否かを判定する。その結果、吐出圧センサ262が故障していると判定した場合(S150におけるYES)、故障判定部414は、第6バックアップ運転処理S152に処理を移して、当該運転方法を終了する。第6バックアップ運転処理S152については、後に詳述する。一方、吐出圧センサ262は故障していないと判定した場合(S150におけるNO)、故障判定部414は、吐出温度センサ故障判定処理S154に処理を移す。
【0104】
[吐出温度センサ故障判定処理S154]
故障判定部414は、吐出温度センサ256が故障しているか否かを判定する。その結果、吐出温度センサ256が故障していると判定した場合(S154におけるYES)、故障判定部414は、第7バックアップ運転処理S156に処理を移して、当該運転方法を終了する。第7バックアップ運転処理S156については、後に詳述する。一方、吐出温度センサ256は故障していないと判定した場合(S154におけるNO)、故障判定部414は、冷却水温度センサ故障判定処理S158に処理を移す。
【0105】
[冷却水温度センサ故障判定処理S158]
故障判定部414は、冷却水温度センサ258が故障しているか否かを判定する。その結果、冷却水温度センサ258が故障していると判定した場合(S158におけるYES)、故障判定部414は、第8バックアップ運転処理S160に処理を移して、当該運転方法を終了する。第8バックアップ運転処理S160については、後に詳述する。一方、冷却水温度センサ258は故障していないと判定した場合(S158におけるNO)、故障判定部414は、通常運転処理S118に処理を移して、当該運転処理を終了する。
【0106】
[第1バックアップ運転処理S130]
図8は、本実施形態に係る第1バックアップ運転処理S130の流れを示すフローチャートである。
【0107】
[正常圧縮機運転処理S130-1]
バックアップ運転制御部418は、圧縮不良判定処理S128で特定した圧縮不良の圧縮機230以外の圧縮機230(定格運転可能な圧縮機230)のうちのいずれか1または複数を駆動ユニット240に接続して、バックアップ運転を行う。
【0108】
バックアップ運転制御部418は、第1バックアップ運転処理S130を行うことにより、空気調和装置100を停止する場合と比較して、屋内の温度を設定値に近づけることができる。
【0109】
[第2バックアップ運転処理S136]
図9は、本実施形態に係る第2バックアップ運転処理S136の流れを示すフローチャートである。
【0110】
[正常圧縮機運転処理S136-1]
バックアップ運転制御部418は、第2圧縮機故障判定処理S134で特定した故障(固着)した圧縮機230をクラッチ244から切り離す。そして、バックアップ運転制御部418は、故障した圧縮機230以外の圧縮機230(定格運転可能な圧縮機230)にクラッチ244を接続したり切り離したりし、これらの圧縮機230のうちのいずれか1または複数を駆動させて、バックアップ運転を行う。
【0111】
バックアップ運転制御部418は、第2バックアップ運転処理S136を行うことにより、空気調和装置100を停止する場合と比較して、屋内の温度を設定値に近づけることができる。
【0112】
[第3バックアップ運転処理S140]
図10は、本実施形態に係る第3バックアップ運転処理S140の流れを示すフローチャートである。
【0113】
[第1運転台数確認処理S140-1]
バックアップ運転制御部418は、燃料調整弁246dの開度を通常運転時と同様の変動幅として、クラッチ244に接続される圧縮機230の台数を1台ずつ増やしていき、エンストしたときの圧縮機230の台数を確認する。
【0114】
[第2運転台数確認処理S140-2]
バックアップ運転制御部418は、燃料調整弁246dの開度を通常運転時よりも大きくして、クラッチ244に接続される圧縮機230の台数を1台ずつ増やしていき、エンストしたときの圧縮機230の台数を確認する。
【0115】
[運転台数決定処理S140-3]
バックアップ運転制御部418は、第1運転台数確認処理S140-1において確認された台数と、第2運転台数確認処理S140-2において確認された台数とを比較して、台数が多い方の開度に燃料調整弁246dを設定する。なお、台数が等しい場合、バックアップ運転制御部418は、燃料調整弁246dの開度を通常運転時と同様の変動幅とする。そして、バックアップ運転制御部418は、エンストしたときの圧縮機230の台数から1台減算した台数の圧縮機230のうちの1または複数を駆動して、バックアップ運転を行う。
【0116】
バックアップ運転制御部418は、第3バックアップ運転処理S140を行うことにより、空気調和装置100を停止する場合と比較して、屋内の温度を設定値に近づけることができる。また、故障した際のスロットル弁246eの開度に応じて、駆動可能な圧縮機230の台数を決定できるため、バックアップ運転制御部418は、屋内の温度を設定値により近づけることが可能となる。
【0117】
[第4バックアップ運転処理S144]
図11は、本実施形態に係る第4バックアップ運転処理S144の流れを示すフローチャートである。
【0118】
[運転台数確認処理S144-1]
バックアップ運転制御部418は、スロットル弁246eの開度およびガスエンジン本体242の回転数を通常運転時と同様の変動幅として、クラッチ244に接続される圧縮機230の台数を1台ずつ増やしていき、エンストしたときの圧縮機230の台数を確認する。
【0119】
[運転台数決定処理S144-2]
バックアップ運転制御部418は、スロットル弁246eの開度およびガスエンジン本体242の回転数を通常運転時と同様の変動幅として、運転台数確認処理S144-1において確認された台数から1台減算した台数の圧縮機230のうちの1または複数を駆動して、バックアップ運転を行う。
【0120】
バックアップ運転制御部418は、第4バックアップ運転処理S144を行うことにより、空気調和装置100を停止する場合と比較して、屋内の温度を設定値に近づけることができる。また、故障した際の燃料調整弁246dの開度に応じて、駆動可能な圧縮機230の台数を決定できるため、バックアップ運転制御部418は、屋内の温度を設定値により近づけることが可能となる。
【0121】
[第5バックアップ運転処理S148]
図12は、本実施形態に係る第5バックアップ運転処理S148の流れを示すフローチャートである。
【0122】
[運転台数確認処理S148-1]
バックアップ運転制御部418は、燃料調整弁246dおよびスロットル弁246eの開度を通常運転時と同様の変動幅とし、ガスエンジン本体242の回転数を変動させて、クラッチ244に接続される圧縮機230の台数を1台ずつ増やしていき、エンストしたときの圧縮機230の台数およびガスエンジン本体242の回転数を確認する。
【0123】
[運転台数決定処理S148-2]
バックアップ運転制御部418は、燃料調整弁246dおよびスロットル弁246eの開度を通常運転時と同様の変動幅とし、運転台数確認処理S148-1において確認された回転数未満の回転数の範囲でガスエンジン本体242を駆動し、運転台数確認処理S148-1において確認された台数から1台減算した台数の圧縮機230のうちの1または複数を駆動して、バックアップ運転を行う。
【0124】
バックアップ運転制御部418は、第5バックアップ運転処理S148を行うことにより、空気調和装置100を停止する場合と比較して、屋内の温度を設定値に近づけることができる。
【0125】
[第6バックアップ運転処理S152]
図13は、本実施形態に係る第6バックアップ運転処理S152の流れを示すフローチャートである。
【0126】
[冷房判定処理S152-1]
バックアップ運転制御部418は、四方弁210が冷房に設定されているか否かを判定する。その結果、冷房に設定されている場合(S152-1におけるYES)、バックアップ運転制御部418は、第1圧力推定処理S152-2に処理を移す。一方、冷房に設定されていない場合、すなわち、暖房に設定されている場合(S152-1におけるNO)、バックアップ運転制御部418は、第2圧力推定処理S152-3に処理を移す。
【0127】
[第1圧力推定処理S152-2]
冷房に設定されている場合、バックアップ運転制御部418は、予め設定された外気温度と過冷却度の関係を参照し、外気温度センサ252の検出値から過冷却度を算出する。そして、バックアップ運転制御部418は、室外冷媒温度センサ250bの検出値と過冷却度との合計値を飽和温度とし、飽和温度および冷媒特性(冷媒物性値)に基づき、飽和圧力を算出する。こうして算出された飽和圧力を、吐出圧センサ262の検出値と推定して、バックアップ運転を行う。
【0128】
[第2圧力推定処理S152-3]
暖房に設定されている場合、バックアップ運転制御部418は、予め設定された室内機吸込温度と過冷却度の関係を参照し、室内機106ごとに設けられた内気温度センサ322の検出値の平均値から過冷却度を算出する。そして、バックアップ運転制御部418は、室内機106ごとに設けられた室内冷媒温度センサ320aの検出値の平均値と過冷却度との合計値を飽和温度とし、飽和温度および冷媒特性に基づき、飽和圧力を算出する。こうして算出された飽和圧力を、吐出圧センサ262の検出値と推定して、バックアップ運転を行う。
【0129】
バックアップ運転制御部418は、第6バックアップ運転処理S152を行うことにより、空気調和装置100を停止する場合と比較して、屋内の温度を設定値に近づけることができる。また、バックアップ運転制御部418は、室外冷媒温度センサ250b、外気温度センサ252、室内冷媒温度センサ320a、内気温度センサ322の検出値に基づき、圧縮機230から吐出される冷媒の圧力を推定できる。このため、バックアップ運転制御部418は、冷媒が高圧になりすぎて、空気調和装置100が故障してしまう事態を回避して、バックアップ運転を行うことが可能となる。
【0130】
[第7バックアップ運転処理S156]
図14は、本実施形態に係る第7バックアップ運転処理S156の流れを示すフローチャートである。
【0131】
[温度推定処理S156-1]
バックアップ運転制御部418は、冷媒特性を参照し、吸入温度センサ254および吸入圧センサ260の検出値において断熱圧縮した場合に、吐出圧センサ262の検出値における冷媒の温度を算出する。また、バックアップ運転制御部418は、予め設定された、ガスエンジン本体242の回転数ならびに圧縮機230に吸入される冷媒の圧力および温度である場合の圧縮機230によって吐出される冷媒の温度と、冷媒特性の断熱圧縮から算出される冷媒の温度との差分(補正温度)を算出する。そして、バックアップ運転制御部418は、算出した吐出圧センサ262の検出値における冷媒の温度と、補正温度とを加算した温度を、吐出温度センサ256の検出値と推定して、バックアップ運転を行う。
【0132】
バックアップ運転制御部418は、第7バックアップ運転処理S156を行うことにより、空気調和装置100を停止する場合と比較して、屋内の温度を設定値に近づけることができる。また、バックアップ運転制御部418は、吸入温度センサ254、吸入圧センサ260、吐出圧センサ262、回転数センサ266の検出値に基づき、圧縮機230から吐出される冷媒の温度を推定できる。このため、バックアップ運転制御部418は、冷媒が高温になりすぎて、冷媒が劣化し、圧縮機230が故障してしまう事態を回避して、バックアップ運転を行うことが可能となる。
【0133】
[第8バックアップ運転処理S160]
図15は、本実施形態に係る第8バックアップ運転処理S160の流れを示すフローチャートである。
【0134】
[併設機判定処理S160-1]
バックアップ運転制御部418は、併設機があるか否かを判定する。併設機は、空気調和装置100と同一の施設10に設けられた他の空気調和装置100であって、管理サーバ20に接続された空気調和装置100である。その結果、併設機があると判定した場合(S160-1におけるYES)、バックアップ運転制御部418は、第1冷却水推定処理S160-2に処理を移す。一方、併設機はないと判定した場合(S160-1におけるNO)、バックアップ運転制御部418は、第2冷却水推定処理S160-3に処理を移す。
【0135】
[第1冷却水推定処理S160-2]
バックアップ運転制御部418は、通信制御部410を通じて管理サーバ20から取得した情報に基づき、併設機の中から当該空気調和装置100と同程度の空調能力を出している併設機を協力機として特定する。
【0136】
そして、バックアップ運転制御部418は、当該ガスエンジン本体242の回転数と協力機のガスエンジン本体の回転数とを比較し、協力機のガスエンジン本体の回転数の方が低い場合、当該ガスエンジン本体242の回転数を協力機に合わせる。一方、バックアップ運転制御部418は、協力機のガスエンジン本体の回転数の方が高い場合、当該ガスエンジン本体242の回転数を維持する。
【0137】
また、バックアップ運転制御部418は、当該室外送風機222の回転数と協力機の室外送風機の回転数とを比較し、協力機の室外送風機の回転数の方が高い場合、当該室外送風機222の回転数を協力機に合わせる。一方、バックアップ運転制御部418は、協力機の室外送風機の回転数の方が低い場合、当該室外送風機222の回転数を維持する。
【0138】
また、バックアップ運転制御部418は、当該三方弁248cの開度を協力機の三方弁の開度とする。
【0139】
これにより、バックアップ運転制御部418は、高エンジン回転での運転を防止し、また、室外送風機222を適切に回転させることで、高圧異常検知に近い圧力帯での運転を防止して、バックアップ運転を行うことが可能となる。
【0140】
そして、バックアップ運転制御部418は、所定時間経過後に、通信制御部410を通じて管理サーバ20から協力機の冷却水温度センサの検出値(冷却水温度)を取得する。バックアップ運転制御部418は、取得した冷却水温度を当該冷却水温度センサ258の検出値と推定してバックアップ運転を行う。なお、この際、ガスエンジン本体242の回転数、室外送風機222の回転数、および、三方弁248cの開度は通常運転の際と同様にする。
【0141】
その後、バックアップ運転制御部418は、所定時間ごとに、協力機のガスエンジン本体の回転数、室外送風機の回転数、三方弁の開度、および、冷却水温度を取得して更新する。なお、ガスエンジン本体の回転数の差分、室外送風機の回転数の差分、三方弁の開度の差分が、協力機と当該空気調和装置100とで所定値を超えた場合は、協力機の特定からやり直す。
【0142】
また、バックアップ運転を行っている間、協力機を含めたすべての併設機が停止した場合、バックアップ運転制御部418は、ガスエンジン本体242の回転数を現在値以下とし、室外送風機222の回転数を現在値以上とし、三方弁248cの開度を現在値に維持して、併設機の運転開始を待つ。
【0143】
[第2冷却水推定処理S160-3]
バックアップ運転制御部418は、ガスエンジン本体242の回転数を予め設定された最低回転数とし、室外送風機222の回転数を予め設定された回転数とし、三方弁248cの開度を予め設定された開度として、バックアップ運転を行う。
【0144】
バックアップ運転制御部418は、第8バックアップ運転処理S160を行うことにより、空気調和装置100を停止する場合と比較して、屋内の温度を設定値に近づけることができる。また、バックアップ運転制御部418は、協力機の冷却水温度に基づき、バックアップ運転を行う。このため、バックアップ運転制御部418は、ガスエンジン本体242の温度が低下しすぎてしまう事態を回避して、バックアップ運転を行うことが可能となる。
【0145】
以上説明したように、本実施形態に係る空気調和装置100は、第2の故障が生じた場合であってもバックアップ運転を行うことができる。したがって、空気調和装置100は、修理業者によって修理が完了するまでの期間、運転を行うことが可能となる。これにより、空気調和装置100のユーザを不快な室内環境に曝すことを抑制することが可能となる。
【0146】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0147】
例えば、上述した実施形態において、駆動ユニット240が、ガスエンジン本体242、燃料ガス供給部246、および、冷却水循環部248を備える場合を例に挙げた。つまり、空気調和装置100がGHPである場合を例に挙げた。しかし、空気調和装置100は、EHPであってもよい。すなわち、空気調和装置100の駆動ユニットは、電動機を備え、電動機によって圧縮機230が駆動されてもよい。空気調和装置100は、EHPである場合、第1の故障は、四方弁210による暖房と冷房との切換ができないこと、駆動ユニット(電動機)が駆動できないこと、すべての圧縮機230が駆動できないこと、圧縮機230の吐出圧が所定値以上であること、または、室内機106と室外機104との通信が遮断されたことである。また、第2の故障は、定格運転不可能な圧縮機230および定格運転可能な圧縮機230があること、吐出圧センサ262の故障、または、吐出温度センサ256の故障である。そして、バックアップ運転制御部418は、第1バックアップ運転処理S130、第2バックアップ運転処理S136、第6バックアップ運転処理S152、第7バックアップ運転処理S156を行う。
【0148】
また、空気調和装置100は、EHPである場合、回転数センサ266は、電動機の回転数を検出する。なお、空気調和装置100は、EHPである場合、回転数センサ266を省略してもよい。この場合、電動機のDCインバータの制御値を電動機の回転数とする。
【0149】
また、上記実施形態において、室外機104が複数の圧縮機230を備える場合を例に挙げた。しかし、室外機104は、1の圧縮機230を備えていてもよい。この場合、第2の故障は、燃料ガス供給部246の故障、ガスエンジン本体242の点火系の故障、冷却水温度センサ258の故障、吐出圧センサ262の故障、または、吐出温度センサ256の故障を含む。
【0150】
また、上記実施形態において、燃料ガス供給部246において、燃料調整弁246dとスロットル弁246eとが別体である構成を例に挙げた。しかし、燃料ガス供給部246は、燃料調整弁246dとスロットル弁246eとが一体形成されたミキサを備えてもよい。
【0151】
また、上記実施形態において、空気調和装置100は1の室外機を備える場合を例に挙げた。しかし、空気調和装置100は、複数の室外機を備えていてもよい。この場合、1の室外機の吐出圧センサ262が故障した場合、バックアップ運転制御部418は、他の室外機の吐出圧センサ262の検出値に基づいて、バックアップ運転を行ってもよい。同様に、1の室外機の吐出温度センサ256が故障した場合、バックアップ運転制御部418は、他の室外機の吐出温度センサ256の検出値に基づいて、バックアップ運転を行ってもよい。また、1の室外機の冷却水温度センサ258が故障した場合、バックアップ運転制御部418は、他の室外機の冷却水温度センサ258の検出値に基づいて、バックアップ運転を行ってもよい。
【符号の説明】
【0152】
10 施設
100 空気調和装置
104 室外機
106 室内機
108 冷媒循環路
210 四方弁
220 室外熱交換器
230 圧縮機
240 駆動ユニット
242 ガスエンジン本体
246 燃料ガス供給部
246d 燃料調整弁
246e スロットル弁
248 冷却水循環部
250a、250b 室外冷媒温度センサ
252 外気温度センサ
254 吸入温度センサ
256 吐出温度センサ
258 冷却水温度センサ
260 吸入圧センサ
262 吐出圧センサ
264 高圧スイッチ
266 回転数センサ
320a、320b 室内冷媒温度センサ
322 内気温度センサ
410 通信制御部
414 故障判定部
418 バックアップ運転制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15