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  • 特開-温度調整装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091363
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】温度調整装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20230623BHJP
   F25B 43/02 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F25B1/00 387D
F25B1/00 387B
F25B43/02 A
F25B1/00 304H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206069
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 定康
(57)【要約】
【課題】蒸発器の熱交換効率を向上させる。
【解決手段】温度調整装置100は、冷媒入口(第1口112)と、冷媒入口の上方に設けられる冷媒出口(第2口114)とを有する蒸発器(第1熱交換器110)と、冷媒流路(第1冷媒流路210a)を介して冷媒入口に接続される凝縮器(第2熱交換器120)と、吸入側が冷媒吸入路212aを介して冷媒出口に接続され、吐出側が冷媒吐出路212bを介して凝縮器に接続される圧縮機150と、冷媒流路に設けられる膨張弁130と、蒸発器の下部と冷媒吸入路212aとを接続する第1オイル返送路230と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒入口と、前記冷媒入口の上方に設けられる冷媒出口とを有する蒸発器と、
冷媒流路を介して前記冷媒入口に接続される凝縮器と、
吸入側が冷媒吸入路を介して前記冷媒出口に接続され、吐出側が冷媒吐出路を介して前記凝縮器に接続される圧縮機と、
前記冷媒流路に設けられる膨張弁と、
前記蒸発器の下部と前記冷媒吸入路とを接続する第1オイル返送路と、
を備える温度調整装置。
【請求項2】
前記第1オイル返送路に設けられるオイル貯留部と、
前記第1オイル返送路における前記オイル貯留部と前記冷媒吸入路との間に設けられる第1弁と、
を備える、請求項1に記載の温度調整装置。
【請求項3】
前記第1オイル返送路における前記オイル貯留部と前記第1弁との間の温度、および、前記第1オイル返送路における前記第1弁と前記冷媒吸入路との間の温度に基づき、前記第1弁の開度を調整する弁制御部を備える請求項2に記載の温度調整装置。
【請求項4】
前記冷媒吐出路に設けられるオイルセパレータと、
前記オイルセパレータと前記冷媒吸入路とを接続する第2オイル返送路と、
前記第2オイル返送路に設けられる第2弁と、
を備え、
前記弁制御部は、前記第2オイル返送路における前記オイルセパレータと前記第2弁との間の温度、および、前記第2オイル返送路における前記第2弁と前記冷媒吸入路との間の温度に基づき、前記第2弁の開度を調整する、請求項3に記載の温度調整装置。
【請求項5】
前記弁制御部は、前記オイル貯留部に所定量以上のオイルが貯留されている場合、前記第1弁の開度を前記第2弁の開度よりも大きくする、請求項4に記載の温度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置、冷却水循環装置(チラー)等の温度調整装置が広く利用されている。温度調整装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、凝縮された冷媒を減圧する膨張弁と、減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備える。冷媒は、温度調整装置を構成する、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を循環する(例えば、特許文献1)。
【0003】
このように冷媒は、圧縮機を通過することから、冷媒には、圧縮機のオイル(潤滑油)が混入する。したがって、オイルは、冷媒とともに、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を循環することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-156040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧縮機のオイルは、冷媒とは異なり、蒸発器においても蒸発しない。したがって、蒸発器内においてオイルが蓄積してしまう。そうすると、オイルが蒸発器の伝熱面に接触し、蒸発器における冷媒の熱交換効率が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、蒸発器の熱交換効率を向上させることが可能な温度調整装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の温度調整装置は、冷媒入口と、冷媒入口の上方に設けられる冷媒出口とを有する蒸発器と、冷媒流路を介して冷媒入口に接続される凝縮器と、吸入側が冷媒吸入路を介して冷媒出口に接続され、吐出側が冷媒吐出路を介して凝縮器に接続される圧縮機と、冷媒流路に設けられる膨張弁と、蒸発器の下部と冷媒吸入路とを接続する第1オイル返送路と、を備える。
【0008】
また、上記温度調整装置は、第1オイル返送路に設けられるオイル貯留部と、第1オイル返送路におけるオイル貯留部と冷媒吸入路との間に設けられる第1弁と、を備えてもよい。
【0009】
また、上記温度調整装置は、第1オイル返送路におけるオイル貯留部と第1弁との間の温度、および、第1オイル返送路における第1弁と冷媒吸入路との間の温度に基づき、第1弁の開度を調整する弁制御部を備えてもよい。
【0010】
また、上記温度調整装置は、冷媒吐出路に設けられるオイルセパレータと、オイルセパレータと冷媒吸入路とを接続する第2オイル返送路と、第2オイル返送路に設けられる第2弁と、を備え、弁制御部は、第2オイル返送路におけるオイルセパレータと第2弁との間の温度、および、第2オイル返送路における第2弁と冷媒吸入路との間の温度に基づき、第2弁の開度を調整してもよい。
【0011】
また、弁制御部は、オイル貯留部に所定量以上のオイルが貯留されている場合、第1弁の開度を第2弁の開度よりも大きくしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蒸発器の熱交換効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る温度調整装置の詳細を説明する図である。
図2】本実施形態に係る温度調整装置の運転方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
[温度調整装置100]
図1は、本実施形態に係る温度調整装置100を説明する図である。図1に示すように、温度調整装置100は、第1熱交換器110と、第2熱交換器120と、膨張弁130と、四方弁140と、圧縮機150と、駆動部152と、アキュムレータ160と、第1オイル返送ユニット170と、第2オイル返送ユニット180と、温調制御部190とを備える。
【0016】
第1熱交換器110は、冷却水と冷媒とを熱交換する。第1熱交換器110は、例えば、プレート熱交換器、シェルアンドチューブ熱交換器等である。第1熱交換器110は、第1口112、第2口114、熱交換通路116を有する。第2口114は、第1口112の上方に設けられる。熱交換通路116は、第1口112と第2口114とを連通する。第1熱交換器110において、熱交換通路116を流れる冷媒と、冷却水とで熱交換が行われる。
【0017】
第2熱交換器120は、屋外の空気と冷媒とを熱交換する。第2熱交換器120は、第1冷媒流路210aを介して第1口112に接続され、第2冷媒流路210bを介して後述する四方弁140の第1ポート140cに接続される。
【0018】
送風機122は、第2熱交換器120に空気を送る。送風機122は、例えば、ファンで構成される。送風機122は、第2熱交換器120による屋外の空気と冷媒との熱交換を促進させる。
【0019】
膨張弁130は、第1冷媒流路210aに設けられる。膨張弁130は、冷媒を減圧する。
【0020】
四方弁140は、入口140a、出口140b、第1ポート140c、および、第2ポート140dを有する。四方弁140の第1ポート140cは、第2冷媒流路210bを介して第2熱交換器120に接続される。四方弁140の第2ポート140dは、第3冷媒流路210cを介して第1熱交換器110の第2口114に接続される。
【0021】
圧縮機150の吸入側は、冷媒吸入路212aを介して四方弁140の出口140bに接続される。圧縮機150の吐出側は、冷媒吐出路212bを介して四方弁140の入口140aに接続される。
【0022】
圧縮機150は、四方弁140の出口140bから吸入した冷媒を圧縮して、四方弁140の入口140aに吐出する。
【0023】
駆動部152は、圧縮機150を駆動する。駆動部152は、例えば、ガスエンジン、または、電動機である。
【0024】
アキュムレータ160は、冷媒吸入路212aに設けられる。アキュムレータ160は、気液分離装置である。アキュムレータ160は、蒸発器(第1熱交換器110または第2熱交換器120)において蒸発しきれなかった冷媒(液体)を、冷媒(気体)から分離する。
【0025】
ここで、第1熱交換器110によって冷却水を加熱する場合と、第1熱交換器110によって冷却水を冷却する場合とにおける冷媒の流れについて説明する。
【0026】
第1熱交換器110によって冷却水を加熱する場合、つまり、第1熱交換器110を凝縮器として機能させ、第2熱交換器120を蒸発器として機能させる場合、四方弁140は、入口140aと第2ポート140dとを連通させ、出口140bと第1ポート140cとを連通させる。そうすると、圧縮機150の吸入側は、冷媒吸入路212a、四方弁140の出口140b、第1ポート140c、第2冷媒流路210bを介して、第2熱交換器120に接続される。また、圧縮機150の吐出側は、冷媒吐出路212b、四方弁140の入口140a、第2ポート140d、第3冷媒流路210cを介して、第1熱交換器110の第2口114に接続される。
【0027】
したがって、第1熱交換器110を凝縮器として機能させる場合、冷媒は、圧縮機150、四方弁140、第1熱交換器110、膨張弁130、第2熱交換器120、四方弁140をこの順で循環することになる。また、この際、第1熱交換器110において、冷媒は、第1熱交換器110の第2口114を通じて熱交換通路116に供給され、第1口112を通じて排出される。したがって、第1熱交換器110が凝縮器として機能する場合、冷媒は、熱交換通路116を上から下に流れることになる。
【0028】
一方、第1熱交換器110によって冷却水を冷却する場合、つまり、第1熱交換器110を蒸発器として機能させ、第2熱交換器120を凝縮器として機能させる場合、四方弁140は、入口140aと第1ポート140cとを連通させ、出口140bと第2ポート140dとを連通させる。そうすると、圧縮機150の吸入側は、冷媒吸入路212a、四方弁140の出口140b、第2ポート140d、第3冷媒流路210c介して、第1熱交換器110の第2口114に接続される。また、圧縮機150の吐出側は、冷媒吐出路212b、四方弁140の入口140a、第1ポート140c、第2冷媒流路210bを介して、第2熱交換器120に接続される。
【0029】
したがって、第1熱交換器110を蒸発器として機能させる場合、冷媒は、圧縮機150、四方弁140、第2熱交換器120、膨張弁130、第1熱交換器110、四方弁140をこの順で循環することになる。また、この際、第1熱交換器110において、冷媒は、第1熱交換器110の第1口112(冷媒入口)を通じて熱交換通路116に供給され、第2口114(冷媒出口)を通じて排出される。したがって、第1熱交換器110が蒸発器として機能する場合、冷媒は、熱交換通路116を下から上に流れることになる。これにより、第1熱交換器110における冷媒の分流不良を抑えることができる。
【0030】
このように冷媒は、圧縮機150を通過することから、冷媒には、圧縮機150のオイル(潤滑油)が混入する。したがって、オイルは、冷媒とともに、圧縮機150、凝縮器(例えば、第2熱交換器120)、膨張弁130、蒸発器(例えば、第1熱交換器110)を循環することとなる。
【0031】
上記したように、第1熱交換器110を蒸発器として機能させる場合、第1熱交換器110において冷媒は、下から上に流れる。このため、冷媒に混入したオイルも下から上に流れようとするが、オイルは液体であるため、第1熱交換器110(熱交換通路116)の下部に蓄積してしまう。そうすると、オイルが熱交換通路116の伝熱面に接触し、第1熱交換器110における冷媒の熱交換効率が低下してしまう。
【0032】
そこで、本実施形態に係る温度調整装置100は、第1オイル返送ユニット170を備える。
【0033】
第1オイル返送ユニット170は、第1オイル返送路230と、オイル貯留部232と、第1弁234と、第1細管236a、236bと、第1バイパス路238と、第1温度センサ240a、240bとを含む。
【0034】
第1オイル返送路230は、第1熱交換器110(熱交換通路116)の下部と冷媒吸入路212aとを接続する。本実施形態において、第1オイル返送路230は、第1熱交換器110(熱交換通路116)の下部と、冷媒吸入路212aにおける四方弁140の出口140bとアキュムレータ160との間に接続される。
【0035】
オイル貯留部232は、第1オイル返送路230に設けられる。オイル貯留部232は、第1オイル返送路230を通じて、第1熱交換器110(熱交換通路116)から排出されたオイルを貯留する。オイル貯留部232に貯留されたオイルは、後述する第1バイパス路238を通じて、常時アキュムレータ160に返送される。
【0036】
第1弁234は、第1オイル返送路230におけるオイル貯留部232と冷媒吸入路212aとの間に設けられる。本実施形態において、第1弁234は、開閉弁である。
【0037】
第1細管236aは、第1弁234の下流側に設けられる。第1細管236aは、第1オイル返送路230よりも流路断面積が小さい管である。
【0038】
第1バイパス路238は、第1オイル返送路230から分岐され、第1弁234および第1細管236aを迂回して第1オイル返送路230に接続される。
【0039】
第1細管236bは、第1バイパス路238に設けられる。第1細管236bは、第1オイル返送路230よりも流路断面積が小さい管である。
【0040】
第1温度センサ240aは、第1オイル返送路230におけるオイル貯留部232と第1弁234との間の温度を検出する。第1温度センサ240bは、第1オイル返送路230における第1弁234と冷媒吸入路212aとの間の温度を検出する。本実施形態において、第1温度センサ240bは、第1オイル返送路230における第1細管236aと、冷媒吸入路212aとの間の温度を検出する。
【0041】
第2オイル返送ユニット180は、オイルセパレータ250と、第2オイル返送路252と、第2弁254と、第2細管256a、256bと、第2バイパス路258と、第2温度センサ260a、260bとを含む。
【0042】
オイルセパレータ250は、冷媒吐出路212bに設けられる。オイルセパレータ250は、圧縮機150から吐出された冷媒およびオイルの混合液からオイルを分離する。オイルセパレータ250によってオイルが分離された冷媒は、四方弁140の入口140aに供給される。また、オイルセパレータ250によって分離されたオイルは、後述する第2バイパス路258を通じて、常時アキュムレータ160に返送される。
【0043】
第2オイル返送路252は、オイルセパレータ250と冷媒吸入路212aとを接続する。本実施形態において、第2オイル返送路252は、オイルセパレータ250と、冷媒吸入路212aにおける、第1オイル返送路230の接続箇所とアキュムレータ160との間に接続される。
【0044】
第2弁254は、第2オイル返送路252に設けられる。本実施形態において、第2弁254は、開閉弁である。
【0045】
第2細管256aは、第2弁254の下流側に設けられる。第2細管256aは、第2オイル返送路252よりも流路断面積が小さい管である。
【0046】
第2バイパス路258は、第2オイル返送路252から分岐され、第2弁254および第2細管256aを迂回して第2オイル返送路252に接続される。
【0047】
第2細管256bは、第2バイパス路258に設けられる。第2細管256bは、第2オイル返送路252よりも流路断面積が小さい管である。
【0048】
第2温度センサ260aは、第2オイル返送路252におけるオイル貯留部232と第2弁254との間の温度を検出する。第2温度センサ260bは、第2オイル返送路252における第2弁254と冷媒吸入路212aとの間の温度を検出する。本実施形態において、第2温度センサ260bは、第2オイル返送路252における第2細管256aと、冷媒吸入路212aとの間の温度を検出する。
【0049】
温調制御部190は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。温調制御部190は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。温調制御部190は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して温度調整装置100全体を管理および制御する。
【0050】
本実施形態において、温調制御部190は、弁制御部192として機能する。弁制御部192は、第1温度センサ240aの検出値および第1温度センサ240bの検出値に基づき、第1弁234を開閉する。また、弁制御部192は、第2温度センサ260aの検出値および第2温度センサ260bの検出値に基づき、第2弁254を開閉する。本実施形態において、弁制御部192は、オイル貯留部232に所定量以上のオイルが貯留されている場合、第2弁254よりも優先的に第1弁234を開く。
【0051】
[温度調整装置100の運転方法]
図2は、本実施形態に係る温度調整装置100の運転方法の処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって運転方法が繰り返し遂行される。
【0052】
[熱交換器判定処理S110]
弁制御部192は、第1熱交換器110によって冷却水を冷却するか否か、つまり、第1熱交換器110を蒸発器として機能させるか否かを判定する。その結果、冷却する(第1熱交換器110を蒸発器として機能させる)と判定した場合(S110におけるYES)、弁制御部192は、貯留部判定処理S112に処理を移す。一方、冷却しない、つまり、冷却水を加熱する(第1熱交換器110を凝縮器として機能させる)と判定した場合(S110におけるNO)、弁制御部192は、第1弁閉処理S118に処理を移す。
【0053】
[貯留部判定処理S112]
弁制御部192は、オイル貯留部232に所定量以上のオイルが貯留されているか否かを判定する。本実施形態において、弁制御部192は、第1温度センサ240bの検出値が第1温度センサ240aの検出値よりも低い場合、オイル貯留部232に所定量以上のオイルが貯留されていないと判定する。オイル貯留部232に所定量以上のオイルが貯留されていると判定した場合(S112におけるYES)、弁制御部192は、第1弁開処理S114に処理を移す。一方、オイル貯留部232に所定量以上のオイルが貯留されていないと判定した場合(S112におけるNO)、弁制御部192は、第1弁閉処理S118に処理を移す。
【0054】
[第1弁開処理S114]
弁制御部192は、第1弁234を開いて、第2弁閉処理S116に処理を移す。
【0055】
[第2弁閉処理S116]
弁制御部192は、第2弁254を閉じて、当該運転方法を終了する。
【0056】
[第1弁閉処理S118]
弁制御部192は、第1弁234を閉じて、セパレータ判定処理S120に処理を移す。
【0057】
[セパレータ判定処理S120]
弁制御部192は、オイルセパレータ250に所定量以上のオイルが貯留されているか否かを判定する。本実施形態において、弁制御部192は、第2温度センサ260bの検出値が第2温度センサ260aの検出値よりも低い場合、オイルセパレータ250に所定量以上のオイルが貯留されていないと判定する。オイルセパレータ250に所定量以上のオイルが貯留されていると判定した場合(S120におけるYES)、弁制御部192は、第2弁開処理S122に処理を移す。一方、オイルセパレータ250に所定量以上のオイルが貯留されていないと判定した場合(S120におけるNO)、弁制御部192は、第2弁閉処理S116に処理を移す。
【0058】
[第2弁開処理S122]
弁制御部192は、第2弁254を開いて、当該運転方法を終了する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る温度調整装置100は、第1オイル返送路230を備える。これにより、温度調整装置100は、第1熱交換器110におけるオイルの蓄積を防止することができる。したがって、温度調整装置100は、第1熱交換器110(蒸発器)の熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0060】
また、上記したように、第1オイル返送路230は、冷媒吸入路212aを介して、圧縮機150の吸入側に接続される。このため、第1熱交換器110に蓄積したオイルを、圧縮機150の吸引力によって、オイル貯留部232に落とし込むことができる。したがって、温度調整装置100は、第1熱交換器110の熱交換効率を早期に復帰させることが可能となる。
【0061】
また、第1オイル返送路230は、オイルを圧縮機150に返送することができる。したがって、圧縮機150においてオイルが不足する事態を回避することが可能となる。これにより、温度調整装置100は、オイル不足による圧縮機150の故障を防止することができる。
【0062】
また、上記したように、第1オイル返送ユニット170は、第1バイパス路238を備える。このため、第1熱交換器110に蓄積したオイルを、圧縮機150の吸引力によって、常時オイル貯留部232に落とし込むことができる。
【0063】
また、上記したように、第1オイル返送ユニット170は、オイル貯留部232、第1弁234、第1温度センサ240a、240bを備え、弁制御部192は、第1温度センサ240a、240bの検出値に基づいて、第1弁234を開弁する。これにより、温度調整装置100は、オイル貯留部232に所定量以上のオイルが貯留された場合に、オイルを積極的に圧縮機150に返送することができる。したがって、温度調整装置100は、オイル貯留部232を小型化しつつ、第1熱交換器110におけるオイルの蓄積を防止することが可能となる。
【0064】
また、上記したように、第2オイル返送ユニット180は、オイルセパレータ250、第2弁254、第2温度センサ260a、260bを備え、弁制御部192は、第2温度センサ260a、260bの検出値に基づいて、第2弁254を開弁する。これにより、温度調整装置100は、オイルセパレータ250に所定量以上のオイルが貯留された場合に、オイルを積極的に圧縮機150に返送することができる。したがって、温度調整装置100は、オイルセパレータ250を小型化することが可能となる。
【0065】
また、上記したように、弁制御部192は、第2弁254よりも優先的に第1弁234を開く。これにより、第1熱交換器110において蓄積されたオイルを優先して、圧縮機150に返送することができる。したがって、温度調整装置100は、第1熱交換器110(蒸発器)の熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0067】
例えば、上述した実施形態において、第1熱交換器110が冷媒と冷却水とを熱交換する場合、つまり、温度調整装置100が冷却水循環装置である場合を例に挙げた。しかし、第1熱交換器110は、冷媒と空気とを熱交換してもよい。つまり、温度調整装置100は、空気調和装置であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態において、第1熱交換器110が蒸発器としても機能し、凝縮器としても機能する場合を例に挙げた。しかし、第1熱交換器110は、少なくとも蒸発器として機能すればよい。つまり、第1熱交換器110は、冷却水や空気を冷却する装置であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、第1オイル返送ユニット170が、第1弁234、第1細管236a、236b、第1バイパス路238を備え、第1弁234が開閉弁で構成される場合を例に挙げた。しかし、第1オイル返送ユニット170は、第1細管236a、236b、第1バイパス路238を備えずともよい。この場合、第1弁234は、オイル貯留部232から冷媒吸入路212aへ流れるオイルの流量を調整する流量調整弁で構成されるとよい。また、この場合、弁制御部192は、オイル貯留部232に所定量以上のオイルが貯留されている場合、第1弁234の開度を第2弁254の開度よりも大きくする。また、弁制御部192は、オイル貯留部232に所定量以上のオイルが貯留されていない場合、第1弁234の開度を小さくする。
【0070】
同様に、上記実施形態において、第2オイル返送ユニット180が、第2弁254、第2細管256a、256b、第2バイパス路258を備え、第2弁254が開閉弁で構成される場合を例に挙げた。しかし、第2オイル返送ユニット180は、第2細管256a、256b、第2バイパス路258を備えずともよい。この場合、第2弁254は、オイルセパレータ250から冷媒吸入路212aへ流れるオイルの流量を調整する流量調整弁で構成されるとよい。また、この場合、弁制御部192は、オイルセパレータ250に所定量以上のオイルが貯留されている場合、第2弁254の開度を大きくし、所定量以上のオイルが貯留されていない場合、第2弁254の開度を小さくする。
【符号の説明】
【0071】
100 温度調整装置
110 第1熱交換器(蒸発器)
112 第1口(冷媒入口)
114 第2口(冷媒出口)
120 第2熱交換器(凝縮器)
130 膨張弁
150 圧縮機
192 弁制御部
210a 第1冷媒流路(冷媒流路)
212a 冷媒吸入路
212b 冷媒吐出路
230 第1オイル返送路
232 オイル貯留部
234 第1弁
250 オイルセパレータ
252 第2オイル返送路
254 第2弁
図1
図2