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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091391
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20230623BHJP
   E03F 5/02 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
E02D29/12 B
E03F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206113
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】504462021
【氏名又は名称】株式会社グラウンドデザイン研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 英二
(72)【発明者】
【氏名】野元 暁
【テーマコード(参考)】
2D063
2D147
【Fターム(参考)】
2D063DA11
2D147BA07
(57)【要約】
【課題】作業者の労力を削減でき、効率よく開閉作業を行うことが可能な開閉装置を提供する。
【解決手段】開閉装置1は、構造物15に対して蝶番12を介して直接または間接的に連結される蓋本体11を開閉可能な装置である。この開閉装置1は、蓋本体11を保持する蓋本体保持ユニット2と、蓋本体保持ユニット2により保持される蓋本体11の第1の部分P1が移動する移動軌跡Lに沿って、蓋本体11と接する蓋本体保持ユニット2の第2の部分P2が移動するように、蓋本体保持ユニット2を移動させる移動ユニット3とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に対して蝶番を介して直接または間接的に連結される蓋本体を開閉可能な開閉装置であって、
前記蓋本体を保持する蓋本体保持ユニットと、
前記蓋本体保持ユニットにより保持される前記蓋本体の第1の部分が移動する移動軌跡に沿って、前記蓋本体と接する前記蓋本体保持ユニットの第2の部分が移動するように、前記蓋本体保持ユニットを移動させる移動ユニットとを備える、開閉装置。
【請求項2】
前記移動ユニットは、第1の回転軸を中心に前記蓋本体保持ユニットを回転させる第1の回転ユニットと、
前記第1の回転ユニットが前記第1の回転軸を中心に前記蓋本体保持ユニットを回転させる際に、前記第1の回転軸の回転半径に沿う第1の方向における前記蓋本体保持ユニットの位置を調整可能な位置調整ユニットとを含む、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記第1の回転ユニットは、前記蓋本体保持ユニットを支持する支持部材と、
前記第1の回転軸を中心に前記支持部材を回転させる回転駆動機構とを含み、
前記位置調整ユニットは、前記蓋本体保持ユニットを前記支持部材に対して前記第1の方向にスライドさせるスライド機構を含む、請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記移動ユニットは、前記第1の回転軸とは異なる第2の回転軸を中心に前記蓋本体保持ユニットを回転させる第2の回転ユニットを含む、請求項2または3に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記移動ユニットは、前記蓋本体保持ユニットを移動させる際に前記蓋本体の姿勢を所定の姿勢に維持する姿勢維持機構を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、構造物に対して蝶番を介して直接または間接的に連結される蓋本体を開閉可能な開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手掛かり穴の配設位置にかかわらず、あらゆるタイプの蓋に適応する汎用性があって、安定した開蓋動作により蓋の落下事故を防止することができる開蓋工具を提供することが記載されている。そして、特許文献1には、長尺棒状をした本体の先端において前方に屈曲した鉤部を設け、該鉤部の背面側において、鉤部を後方に延長した線と直交する仮想線上の離隔した位置に左支持部と右支持部をそれぞれ設けて、鉤部を蓋の手掛かり穴に係止させると、左右支持部が蓋の上面に当接するようにして、3点支持により蓋を持ち上げられるようにした開蓋工具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-68230号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、特許文献1に開示されたような開蓋工具を用いて、作業者が手動で蓋本体を開閉する必要があったため、開閉作業に労力を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一態様は、構造物に対して蝶番を介して直接または間接的に連結される蓋本体を開閉可能な開閉装置である。この開閉装置は、蓋本体を保持する蓋本体保持ユニットと、蓋本体保持ユニットにより保持される蓋本体の第1の部分が移動する移動軌跡に沿って、蓋本体と接する蓋本体保持ユニットの第2の部分が移動するように、蓋本体保持ユニットを移動させる移動ユニットとを備える。
【0006】
この開閉装置の移動ユニットによれば、蓋本体の第1の部分が移動する移動軌跡に沿って、蓋本体と接する蓋本体保持ユニットの第2の部分を移動させることができる。このため、蓋本体を開閉させる際の蓋本体の移動軌跡に追随するように、蓋本体保持ユニットを移動させることができる。したがって、作業者が蓋本体の移動軌跡を手動で辿る必要がなく、作業者の労力を削減でき、効率よく開閉作業を行うことができる。
【0007】
移動ユニットは、第1の回転軸を中心に蓋本体保持ユニットを回転させる第1の回転ユニットと、第1の回転ユニットが第1の回転軸を中心に蓋本体保持ユニットを回転させる際に、第1の回転軸の回転半径に沿う第1の方向における蓋本体保持ユニットの位置を調整可能な位置調整ユニットとを含むことが好ましい。この開閉装置によれば、第1の回転軸を中心に蓋本体保持ユニットを回転させながら、第1の回転軸の回転半径に沿う第1の方向における蓋本体保持ユニットの位置を調整することができる。このため、蓋本体を開閉させる際に様々な移動軌跡を辿る蓋本体であっても、蓋本体の移動軌跡に蓋本体保持ユニットを追随させやすい。したがって、多種多様な蓋本体を一層効率よく開閉することができる。
【0008】
第1の回転ユニットは、蓋本体保持ユニットを支持する支持部材と、第1の回転軸を中心に支持部材を回転させる回転駆動機構とを含み、位置調整ユニットは、蓋本体保持ユニットを支持部材に対して第1の方向にスライドさせるスライド機構を含むことが好ましい。この開閉装置によれば、蓋本体保持ユニットを支持する支持部材と、第1の回転軸を中心に支持部材を回転させ、その支持部材に対して蓋本体保持ユニットをスライドさせる各機構とにより、蓋本体保持ユニットを回転させながら、第1の方向における蓋本体保持ユニットの位置を連続的に変化させることができる。このため、簡易な構成で、蓋本体の移動軌跡に対する蓋本体保持ユニットのより滑らかな追随動作を実現することができる。したがって、多種多様な蓋本体を一層効率よく開閉可能な開閉装置を低コストで提供しやすい。
【0009】
移動ユニットは、第1の回転軸とは異なる第2の回転軸を中心に蓋本体保持ユニットを回転させる第2の回転ユニットを含むことが好ましい。この開閉装置によれば、第1の回転軸を中心に蓋本体保持ユニットを回転させながら、第1の回転軸の回転半径に沿う第1の方向における蓋本体保持ユニットの位置を調整することができ、さらに、第1の回転軸とは異なる第2の回転軸を中心に蓋本体保持ユニットを回転させることができる。このため、蓋本体保持ユニットの回転自由度を向上でき、蓋本体を開閉させる際に様々な移動軌跡を辿る蓋本体であっても、蓋本体の移動軌跡に蓋本体保持ユニットをより滑らかに追随させやすい。したがって、多種多様な蓋本体を一層効率よく開閉することができる。
【0010】
移動ユニットは、蓋本体保持ユニットを移動させる際に蓋本体の姿勢を所定の姿勢に維持する姿勢維持機構を含むことが好ましい。この開閉装置によれば、蓋本体を開閉させる際に蓋本体の姿勢を安定させやすいため、一層効率よく開閉作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、蓋本体が閉じられた状態の開閉装置を側方から見た様子を示す模式図である。
図2図2は、蓋本体が開かれた状態の開閉装置を側方から見た様子を示す模式図である。
図3図3は、図2に示す状態(蓋本体が開かれた状態)の開閉装置を上方から見た様子を示す模式図であり、開閉装置からベースユニットのみを抜き出して示す図である。
図4図4は、開閉装置の使用例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、蓋本体11が閉じられた状態の開閉装置1を側方から見た様子を模式図により示している。なお、図1では、説明の便宜上、開閉装置1が設置された地面Gよりも下方の領域は断面図で示している。図2および図4においても同様である。図1に示すように、開閉装置1は、構造物15に対して蝶番12を介して間接的に連結される蓋本体11を開閉可能な装置である。典型的な開閉装置1は、地下構造物15に用いられる地下構造物用蓋10の蓋本体11を開閉可能な装置である。
【0013】
本例の地下構造物用蓋10は、地下構造物15の開口端部15aに設置される受枠13と、受枠13により支持される蓋本体11と、蓋本体11を受枠13に対して開閉可能に連結する蝶番12とを含む。本例の蓋本体11は、地下構造物15に対して蝶番12および受枠13を介して連結されている。すなわち、本例の蓋本体11は、地下構造物15に対して蝶番12を介して間接的に連結されている。なお、蓋本体11は、構造物15に対して蝶番12を介して直接的に連結されていてもよい。
【0014】
地下構造物用蓋10は、少なくとも一部が地下に埋設される地下構造物15に対して、蓋本体11が蝶番12を介して直接または間接的に連結されるタイプの蓋を含む。地下構造物用蓋10の一例は、下水道における地下埋設物または地下構造施設等と地上とを通じる開口部を閉塞するマンホール蓋,大型鉄蓋,汚水桝蓋、電気設備または通信設備における地下施設機器または地下ケーブル等を保護する開閉可能な共同溝用鉄蓋,送電用鉄蓋,配電用鉄蓋、上水道またはガス配管における路面下の埋設導管およびその付属機器と地上とを結ぶ開閉扉としての機能を有する消火栓蓋,制水弁蓋,仕切弁蓋,空気弁蓋,ガス配管用蓋,量水器蓋等である。
【0015】
開閉装置1は、蓋本体11を保持する蓋本体保持ユニット2と、蓋本体11を開閉させる際に蓋本体保持ユニット2を移動させる移動ユニット3と、移動ユニット3を介して蓋本体保持ユニット2の動作を制御する制御ユニット4とを備える。
【0016】
図2に、蓋本体11が開かれた状態の開閉装置1を側方から見た様子を模式図により示している。なお、図2では、説明の便宜上、支持部材50(後述)の内部機構を透視した状態で示している。図2に示すように、蓋本体保持ユニット2は、蓋本体保持部材20を含む。蓋本体保持部材20は、本体部21と、蓋本体11に設けられた被保持部14に接触することで蓋本体11を保持可能となるように本体部21に取り付けられた保持部22と、本体部21が第2の回転軸A2(後述)を中心に回転可能となるように移動ユニット3により支持される回転被支持部23とを含む。本例の被保持部14は、従来、作業者が蓋本体11を開閉する際に用いていた開閉工具を挿入するために、蓋本体11の表面(上面)11aに対して窪むように形成された挿入穴14である。また、本例の保持部22は、挿入穴(被保持部)14に挿入し、接触させた状態で蓋本体11を保持可能に形成された挿入部(保持部)22である。本例の挿入部22は、挿入穴14に引っ掛かるフック状部24を含む。また、本例の回転被支持部23は、第2の回転軸A2として機能する軸部25(後述)により回転可能に支持されるように形成された軸受け部26である。
【0017】
移動ユニット3は、蓋本体保持ユニット2の回転中心となる第1の回転軸A1の三次元的な位置を決めるベースユニット5と、第1の回転軸A1を中心に蓋本体保持ユニット2を回転させる第1の回転ユニット6と、第1の回転ユニット6が第1の回転軸A1を中心に蓋本体保持ユニット2を回転させる際に、第1の回転軸A1の回転半径R1に沿う第1の方向X1における蓋本体保持ユニット2の位置Pを調整可能な位置調整ユニット7とを含む。本例の第1の回転軸A1は、開閉装置1が地面Gに設置された状態で地面Gに平行な水平方向に延びている。
【0018】
ベースユニット5は、移動ユニット3(移動ユニット3を介して蓋本体保持ユニット2)と制御ユニット4とを搭載するフレーム部30と、フレーム部30を地面Gに対して距離を隔てた状態で支持するフレーム支持部40とを含む。フレーム部30は、第1の回転ユニット6が蓋本体保持ユニット2を回転させる際の支点として機能する回転支点部31を含む。本例の回転支点部31は、ヒンジ部材32を含む。ヒンジ部材32は、第1の回転軸A1として機能する回転軸32aを含む。フレーム支持部40は、開閉装置1を地面Gに対して移動させる際に使用するキャスター41と、開閉装置1を地面Gに対して固定させる際に使用するストッパー42とを含み、キャスター41およびストッパー42は互いに切替え可能に構成される。
【0019】
フレーム部30は、開閉装置1を上方から見た場合(図3参照)、平面視でコの字型に形成された3つの本フレーム部材33,34,35と、移動ユニット3(図3では図示省略)を搭載する2つの補助フレーム部材36,37であって、水平方向に対向する本フレーム部材33および34を繋ぐとともに互いに平行に配置された2つの補助フレーム部材36,37とを含む。本フレーム部材33,34,35および補助フレーム部材36,37は、蓋本体11(図3では図示省略)の上方空間SP(図2参照)が解放されるように(上方空間SPを塞がないように)、受枠13の外周縁から水平方向に距離を隔てた位置の上方に配置されている。したがって、開閉装置1により蓋本体11を開いた状態で、作業者等のユーザーが開閉装置1に干渉することなくスムーズに地下構造物15(構造物)への出入りを行うことができる。
【0020】
図2に示すように、第1の回転ユニット6は、蓋本体保持ユニット2を支持する支持部材50と、第1の回転軸A1を中心に支持部材50を回転させる回転駆動機構60と、蓋本体保持ユニット2を移動させる際に蓋本体11の姿勢を所定の姿勢に維持する姿勢維持機構70とを含む。
【0021】
支持部材50は、本体部51と、本体部51の第1の方向X1の一端側51aに位置し、ヒンジ部材32に連結される第1の連結部52と、本体部51の第1の方向X1の他端側51bに位置し、回転被支持部(軸受け部)26を介して蓋本体保持部材20を回転可能に支持する第2の連結部53とを含む。
【0022】
第2の連結部53は、位置調整ユニット7のスライド機構100(後述)により第1の方向X1にスライド可能となるように本体部51に取り付けられる取付部80と、第2の回転軸A2を中心に蓋本体保持ユニット2を回転させる第2の回転ユニット90とを含む。本例の回転軸A1,A2は、互いに異なり、互いに平行である。第2の回転ユニット90は、蓋本体保持部材20が第2の連結部53に対して回転可能となるように蓋本体保持部材20の軸受け部26を支持する軸部91と、軸部91が第2の連結部53に対して回転可能に配置されるように第2の連結部53に設けられた軸配置部92と、蓋本体保持部材20に作用する重力により回転する本体部21の回転が所定の位置(図2に示す状態)で止まるように第2の連結部53に設けられた回転停止部93とを含む。本例の軸部91は、第2の回転軸A2として機能する。本例では、蓋本体保持部材20と第2の連結部53とが、いわゆるピン接合により回転自由に接合されている。このため、開閉動作中の蓋本体11の移動軌跡や姿勢の変化に応じて、蓋本体保持部材20の保持部22の姿勢を変化させやすい。したがって、蓋本体保持部材20により蓋本体11を安定的に保持し続けることができる。
【0023】
回転駆動機構60は、第1の補助回転軸B1を中心に回転可能となるようにフレーム部30(図3に示す補助フレーム部材36)に連結される支柱部材61であって、第1の補助回転軸B1の回転半径R2に沿う第2の方向X2に延びる支柱部材61と、支柱部材61が第1の補助回転軸B1を中心に回転するように伸縮動作を行う一対のシリンダ機構62,63とを含む。一方のシリンダ機構62は、支柱部材61の第2の方向X2の一端側61aに位置する第2の補助回転軸B2を中心に回転可能となるように支柱部材61に連結される連結部62aと、第3の補助回転軸B3を中心に回転可能となるように支持部材50の本体部51に連結される連結部62bとを含む。他方のシリンダ機構63は、支柱部材61の第2の方向X2の一端側61aに位置する第4の補助回転軸B4を中心に回転可能となるように支柱部材61に連結される連結部63aと、第5の補助回転軸B5を中心に回転可能となるようにフレーム部30(図3に示す補助フレーム部材37)に連結される連結部63bとを含む。本例の回転軸A1,A2,補助回転軸B1,B2,B3,B4,B5は、互いに異なり、互いに平行である。本例では、制御ユニット4により、一対のシリンダ機構62,63のそれぞれの伸縮量を制御することにより、支柱部材61を第1の補助回転軸B1を中心に回転させることで、回転軸A1を中心とする蓋本体保持部材20(第2の連結部53)の回転角度θを制御することができる。
【0024】
姿勢維持機構70は、支持部材50の本体部51に取り付けられる姿勢維持部材71を含む。姿勢維持部材71は、支持部材50の本体部51よりも蓋本体11に近接する側に傾斜した第3の方向X3に延びる本体部72と、開閉動作中に発生した揺れ等により蓋本体11が本体部72の側に振れた際に、蓋本体11の表面11aと接触する位置に配置された接触部73と、蓋本体11から接触部73に伝達される振動を吸収する振動吸収部(不図示)とを含む。本例の接触部73は、本体部72から蓋本体11の側に突出した車輪部74である。振動吸収部の一例は、スプリング等のコイル状部材、防振ゴム等の弾性部材、ダンパ等の減衰装置等である。本例では、開閉動作中の蓋本体11に揺れが発生した場合であっても、蓋本体11が支持部材50に接触する前に姿勢維持部材71の接触部73に接触することで振動を減衰させることができる。したがって、蓋本体11の揺れに起因する衝撃力が支持部材50を介して移動ユニット3に作用し、移動ユニット3が損傷する事態を未然に抑制することができる。
【0025】
位置調整ユニット7は、第2の連結部53を本体部51に対して第1の方向X1にスライド(連続的に移動)させるスライド機構100を含む。スライド機構100は、第2の連結部53の回転軸A1に対する第1の方向X1における位置Pが連続的に変化するように伸縮動作を行うシリンダ機構101を含む。本例では、制御ユニット4により、支持部材50を第1の回転軸A1を中心に回転させる際に、支持部材50の第2の連結部53を第1の方向X1に連続的にスライドさせることで、蓋本体保持部材20(第2の連結部53)の回転角度θと第1の方向X1における位置Pとを回転動作中に同時に制御することができる。
【0026】
上述した移動ユニット3を介して蓋本体保持ユニット2の動作を制御する制御ユニット4は、CPU、メモリ(RAM,ROM等)、HDD、入力デバイス(コントローラ等)および表示デバイス等のコンピュータとして汎用的なハードウェア資源を含む。本例の制御ユニット4は、CPUがメモリやHDDに格納されたプログラムを読み込んで実行することにより、蓋本体保持ユニット2の回転角度θと第1の方向X1における位置Pとをそれぞれ独立または同時に制御する各種機能を含む。なお、これらの各種機能は、プログラムまたはASICやFPGA等の適当な回路により制御ユニット4に実装されていてもよく、クラウドコンピューティング等の技術を利用して他のコンピュータにより実行させてもよい。
【0027】
図4に、開閉装置の使用例を模式図により示している。なお、図4では、蓋本体を開閉させる際に様々な移動軌跡(以下、総称して「移動軌跡L」という。)を辿る多種多様な蓋本体のうち、一例として移動軌跡Laを辿る蓋本体11の例を示している。本例では、蓋本体11に設けられた挿入穴(被保持部)14の第1の部分P1が移動軌跡Laを辿る。ここで、回転軸A1を中心とする第1の部分P1の回転角度をθ1,θ2,θ3とし(ただしθ1<θ2<θ3)、回転軸A1を中心とする第1の部分P1の回転半径をR11,R12とすると(ただしR11<R12)、本例の移動軌跡Laは、回転角度が0°(蓋本体11が閉じられた状態)からθ1までの区間において第1の部分P1が辿る回転半径R11の円弧状軌跡La1と、回転角度がθ1のままで第1の部分P1が辿る回転半径R11からR12までの直線状軌跡La2と、回転角度がθ1からθ2までの区間において第1の部分P1が辿る回転半径R12の円弧状軌跡La3と、回転角度がθ2からθ3(蓋本体11が開かれた状態)までの区間において第1の部分P1が辿る非円弧状軌跡La4とから構成される。
【0028】
この開閉装置1を使用する場合、まず、蓋本体保持部材20の挿入部(保持部)22のフック状部24を挿入穴(被保持部)14に引っ掛ける。これにより、挿入部(保持部)22の第2の部分P2(例えば、フック状部24)が、挿入穴14の第1の部分P1に接する。次に、開閉装置1の制御ユニット4が回転駆動機構60を制御することにより、蓋本体保持部材20を所定の回転角度だけ回転させる。これにより、蓋本体保持部材20の回転動作に連動して挿入部22の第2の部分P2を、挿入穴14の第1の部分P1の円弧状軌跡La1に追随させることができる。次に、開閉装置1の制御ユニット4がスライド機構100を制御することにより、蓋本体保持部材20を第1の方向X1に所定の距離だけスライドさせる。これにより、蓋本体保持部材20のスライド動作に連動して挿入部22の第2の部分P2を、挿入穴14の第1の部分P1の直線状軌跡La2に追随させることができる。次に、開閉装置1の制御ユニット4が回転駆動機構60を制御することにより、蓋本体保持部材20を所定の回転角度だけ回転させる。これにより、蓋本体保持部材20の回転動作に連動して挿入部22の第2の部分P2を、挿入穴14の第1の部分P1の円弧状軌跡La3に追随させることができる。次に、開閉装置1の制御ユニット4が回転駆動機構60およびスライド機構100を同時に制御することにより、蓋本体保持部材20を所定の回転角度だけ回転させながら、蓋本体保持部材20を第1の方向X1に所定の距離だけスライドさせる。これにより、蓋本体保持部材20の回転動作およびスライド動作に連動して挿入部22の第2の部分P2を、挿入穴14の第1の部分P1の非円弧状軌跡La4に追随させることができる。以上により、蓋本体保持ユニット2により保持される蓋本体11の第1の部分P1が移動する移動軌跡Laに沿って、蓋本体11と接する蓋本体保持ユニット2の第2の部分P2を移動させることができる。
【0029】
このように、この開閉装置1によれば、蓋本体11の第1の部分P1が移動する移動軌跡Laに沿って、蓋本体11と接する蓋本体保持ユニット2の第2の部分P2を移動させることができる。このため、蓋本体11を開閉させる際の蓋本体11の移動軌跡Laに追随するように、蓋本体保持ユニット2を移動させることができる。したがって、作業者が蓋本体11の移動軌跡Lを手動で辿る必要がなく、作業者の労力を削減でき、効率よく開閉作業を行うことができる。
【0030】
さらに、この開閉装置1によれば、第1の回転軸A1を中心に蓋本体保持ユニット2を回転させながら、第1の回転軸A1の回転半径R1に沿う第1の方向X1における蓋本体保持ユニット2の位置を調整することができる。このため、蓋本体を開閉させる際に様々な移動軌跡Lを辿る蓋本体であっても、蓋本体の移動軌跡Lに蓋本体保持ユニット2を追随させやすい。したがって、多種多様な蓋本体を一層効率よく開閉することができる。
【0031】
さらに、この開閉装置1によれば、蓋本体保持ユニット2を支持する支持部材50と、第1の回転軸A1を中心に支持部材50を回転させ、その支持部材50に対して蓋本体保持ユニット2をスライドさせる各機構60,100とにより、蓋本体保持ユニット2を回転させながら、第1の方向X1における蓋本体保持ユニット2の位置を連続的に変化させることができる。このため、簡易な構成で、蓋本体の移動軌跡Lに対する蓋本体保持ユニット2のより滑らかな追随動作を実現することができる。したがって、多種多様な蓋本体を一層効率よく開閉可能な開閉装置1を低コストで提供しやすい。
【0032】
さらに、この開閉装置1によれば、第1の回転軸A1を中心に蓋本体保持ユニット2を回転させながら、第1の回転軸A1の回転半径R1に沿う第1の方向X1における蓋本体保持ユニット2の位置を調整することができ、さらに、第1の回転軸A1とは異なる第2の回転軸A2を中心に蓋本体保持ユニット2を回転させることができる。このため、蓋本体保持ユニット2の回転自由度を向上でき、蓋本体を開閉させる際に様々な移動軌跡Lを辿る蓋本体であっても、蓋本体の移動軌跡Lに蓋本体保持ユニット2をより滑らかに追随させやすい。したがって、多種多様な蓋本体を一層効率よく開閉することができる。
【0033】
さらに、この開閉装置1によれば、ベースユニット5により、第1の回転軸A1の三次元的な位置を蝶番12の位置とは異なる位置に配置するとともに、第2の回転ユニット90により、蓋本体保持部材20と第2の連結部53とを回転自由に接合している。このため、本例のように受枠13に対する位置および姿勢の変動を許容するタイプの蝶番12を介して連結される蓋本体11において、蝶番12の位置の変動に伴い蓋本体11自体の回転支点位置が変動する場合であっても、蓋本体保持部材20が第2の回転軸A2を中心に回転することにより当該回転支点位置の変動量を吸収することで、蓋本体保持ユニット2の回転およびスライドの起点(基準)となる第1の回転軸A1の位置ずれを防止することができる。したがって、蝶番の形状や構造の相違に基づき複雑かつ多様な移動軌跡Lを辿る第1の部分P1に対して、第2の部分P2を精度よく追随させることが可能な開閉装置1を提供することができる。
【0034】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に規定されたものを含む。上記の実施形態では、「水平」、「平行」といった表現を用いたが、厳密に「水平」、「平行」であることを要しない。すなわち、これらの各表現は、製造精度、設置精度等のずれを許容するものである。
【符号の説明】
【0035】
1 開閉装置、2 蓋本体保持ユニット,3 移動ユニット、7 位置調整ユニット、10 地下構造物用蓋、11 蓋本体、12 蝶番、50 支持部材、60 回転駆動機構、100 スライド機構、70 姿勢維持機構、A1 第1の回転軸、A2 第2の回転軸、L 移動軌跡、P1 第1の部分、P2 第2の部分
図1
図2
図3
図4