(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091393
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】オゾン水生成装置
(51)【国際特許分類】
B01F 21/00 20220101AFI20230623BHJP
B01F 23/23 20220101ALI20230623BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20230623BHJP
C02F 1/78 20230101ALI20230623BHJP
【FI】
B01F1/00 A
B01F3/04 A
B01F5/06
C02F1/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206115
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】508287611
【氏名又は名称】安達 直史
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】安達 直史
【テーマコード(参考)】
4D050
4G035
【Fターム(参考)】
4D050AA04
4D050BB02
4D050BD03
4D050BD04
4G035AA01
4G035AB05
4G035AC26
4G035AE02
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】 流水に対しても効率よく所望の濃度のオゾン水を生成可能なオゾン水生成装置を提供する。
【解決手段】 オゾン供給装置7から送られるオゾンガスは、一対の射出部23から混合部5内の流路内に射出する。一対の射出部23は、混合部5の流路に対して、互いに対向する位置に配置される。すなわち、流路に垂直な断面において、それぞれの射出部23から射出するオゾンガスが、流路の中心部近傍で、互いに逆方向から衝突するように射出部23が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる流路と、
オゾンを発生させるオゾン供給装置と、
前記オゾン供給装置の動作を制御する制御部と、
前記流路の外周部から、互いに衝突する方向に向けて複数の方向から前記オゾン供給装置で発生させたオゾンを前記流路内に射出する射出部と、
を具備することを特徴とするオゾン水生成装置。
【請求項2】
前記流路に第1閾値以上の水量が流れたことを検知する検知部を具備し、
前記制御部は、前記流路を流れる水量が前記第1閾値以上の場合に前記オゾン供給装置を稼働させて、オゾン水を生成することを特徴とする請求項1記載のオゾン水生成装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記流路を流れる水量を検知する流量計であり、
前記制御部は、前記流路を流れる水量が、前記第1閾値よりも大きな第2閾値以上となった場合に、前記オゾン供給装置からの時間当たりのオゾン供給量を増加させることを特徴とする請求項2に記載のオゾン水生成装置。
【請求項4】
前記流路は、流路断面積が減少する縮径部と、前記縮径部の下流側に形成され、流路断面積が増加する拡径部とを有し、
前記射出部は、前記拡径部に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のオゾン水生成装置。
【請求項5】
前記制御部は、相対的にオゾン水のオゾン濃度が高い高濃度運転と、オゾン水のオゾン濃度が低い低濃度運転とで、前記オゾン供給装置からの時間当たりのオゾン供給量を変化させて切り替え可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のオゾン水生成装置。
【請求項6】
前記流路を流れる水の温度を測定可能な温度センサを具備し、
前記制御部は、前記温度センサからの情報に基づいて、水温が所定以上の場合に前記低濃度運転に切り替え、水温が所定未満の場合に前記高濃度運転に切り替えることを特徴とする請求項5記載のオゾン水生成装置。
【請求項7】
前記低濃度運転と前記高濃度運転とを切り替えるための操作部を有し、前記操作部の操作によって、前記制御部は、前記低濃度運転と前記高濃度運転とを切り替えることを特徴とする請求項5記載のオゾン水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンガスを水に溶解してオゾン水を生成するオゾン水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンが溶け込んだオゾン水は、洗浄・殺菌・消臭効果があることが知られている。このため、例えば野菜や果物の洗浄に用いると、殺菌効果により長期保存が可能になり、また農薬洗浄を容易に行うことができる。また、衣服や靴の洗浄に用いれば、脱臭や殺菌の効果が得られる。
【0003】
また、入浴時などにおいて洗顔を行う際には、洗顔料として洗剤を使用するのが一般的であるが、洗浄後、その洗剤を流し落とす必要がある。しかし、シャワーにオゾン水を使用すると、洗顔等において、洗顔料を使わずに洗浄をおこなうことができる。この際、オゾン水は、使用後、酸素と水に分解されるため、流し落とす必要がない。このため、洗顔料を洗い流す手間を省くことができる。
【0004】
通常、オゾンは水に溶解し難いため、例えば野菜や果物を洗浄する際には、貯水桶に気体のオゾンを与えるオゾン発生器を浸漬し、水中でオゾンを発生させつつ洗浄させる方法がある。この方法では、所定量の水に対して、所定時間以上オゾンを供給し続けることができるため、ある程度のオゾン量で洗浄することができる。
【0005】
一方、シャワー水等のように、流水に対してオゾンを溶解させてオゾン水を用いるためには、水の流路に直接オゾンを噴射することが可能なオゾン水発生器が提案されている。例えば、全自動洗濯機対応の水道給水栓に対応したオゾン水発生装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述したように、オゾンは水に溶解しにくいため、溶解しなかったオゾンガスは直ちに水から放出されて、短時間に所望のオゾン濃度のオゾン水を生成することは困難である。このため、より効率よく、所望の濃度のオゾン水を生成可能なオゾン水生成装置が求められている。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、流水に対しても効率よく所望の濃度のオゾン水を生成可能なオゾン水生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するための本発明は、水が流れる流路と、オゾンを発生させるオゾン供給装置と、前記オゾン供給装置の動作を制御する制御部と、前記流路の外周部から、互いに衝突する方向に向けて複数の方向から前記オゾン供給装置で発生させたオゾンを前記流路内に射出する射出部と、を具備することを特徴とするオゾン水生成装置である。
【0010】
前記流路に第1閾値以上の水量が流れたことを検知する検知部を具備し、前記制御部は、前記流路を流れる水量が前記第1閾値以上の場合に前記オゾン供給装置を稼働させて、オゾン水を生成してもよい。
【0011】
前記検知部は、前記流路を流れる水量を検知する流量計であり、前記制御部は、前記流路を流れる水量が、前記第1閾値よりも大きな第2閾値以上となった場合に、前記オゾン供給装置からの時間当たりのオゾン供給量を増加させてもよい。
【0012】
前記流路は、流路断面積が減少する縮径部と、前記縮径部の下流側に形成され、流路断面積が増加する拡径部とを有し、前記射出部は、前記拡径部に配置されてもよい。
【0013】
前記制御部は、相対的にオゾン水のオゾン濃度が高い高濃度運転と、オゾン水のオゾン濃度が低い低濃度運転とで、前記オゾン供給装置からの時間当たりのオゾン供給量を変化させて切り替え可能であってもよい。
【0014】
前記流路を流れる水の温度を取得可能な温度センサを具備し、前記制御部は、前記温度センサからの情報に基づいて、水温が所定以上の場合に前記低濃度運転に切り替え、水温が所定未満の場合に前記高濃度運転に切り替えてもよい。
【0015】
前記低濃度運転と前記高濃度運転とを切り替えるための操作部を有し、前記操作部の操作によって、前記制御部は、前記低濃度運転と前記高濃度運転とを切り替えてもよい。
【0016】
本発明によれば、水の流路の外周から、水に対して互いに衝突方向にオゾンを噴射することで、より効率よくオゾンを水に溶解することができる。
【0017】
また、水量が所定以下の場合にオゾン供給装置の稼働を停止することで、安定したオゾン濃度を得ることができる。
【0018】
また、流路断面積を水の流れ方向に対して変化させ、一度縮径して、その後拡径した部位でオゾンを噴射することで、より効率よくオゾンを溶解することができる。
【0019】
また、水量が増えた際に、オゾン供給装置からの時間当たりのオゾン供給量を増加させることで、水量が増えても所望のオゾン濃度を維持することができる。
【0020】
また、高濃度運転と低濃度運転とを切り替え可能とすることで、用途に応じて適切な濃度のオゾン水を生成することができる。
【0021】
この際、水の温度から用途を推測して、高濃度運転と低濃度運転を切り替えることで、用途に応じたオゾン濃度を自動で切り替えることができる。
【0022】
また、高濃度運転と低濃度運転とを操作部で切り替えることで、使用者の意図に応じて適切なモードで運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、流水に対しても効率よく所望の濃度のオゾン水を生成可能なオゾン水生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】オゾン水生成装置1の動作を示すフローチャート
【
図4】オゾン水生成装置1の動作を示す他のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
図1は、オゾン水生成装置1の構成を示す図である。オゾン水生成装置1は、主に、流路3、混合部5、オゾン供給装置7、制御部15等から構成される。なお、オゾン水生成装置1の電源等の図示は省略する。
【0026】
水道水などの水が流れる流路3には、混合部5が形成される。混合部5は、流路3を流れる水に、オゾンを混合する部位である。なお、混合部5の詳細については後述する。
【0027】
混合部5には、オゾンを発生させて混合部5に供給するオゾン供給装置7が接続される。オゾン供給装置7は、例えば、オゾン発生器9、加圧ポンプ11、13等から構成される。オゾン発生器9には、加圧ポンプ11によって供給された圧縮空気が送られる(図中矢印B)。オゾン発生器9は、例えば高電圧電極を有し、加圧ポンプ11により送られた空気からオゾンを生成する。生成されたオゾンは、加圧ポンプ13によって混合部5の射出部23に圧送される(図中矢印C、D)。
【0028】
なお、加圧ポンプ13から混合部5までの間には、少なくとも二つの送気管が設けられ、それぞれの送気管が混合部5の射出部23に接続される。
【0029】
流路3を流れ、混合部5へ流入する水(図中A)は、混合部5においてオゾンと混合されてオゾン水となり、出水栓へ流出する(図中E)この際、流路3の一部には、流量計19及び温度センサ21が設けられる。なお、図示した例では、流量計19及び温度センサ21は、混合部5の下流側に配置されているが、混合部5の上流側に配置されてもよい。
【0030】
流量計19は、流路3(混合部5)を流れる水量を検知可能である。流量計19は、例えば、流路3に回転可能な羽を設け、流路3を流れる水量に比例して、羽の回転速度が変わることを利用して、流量を検出可能である。この際、羽にマグネットを取り付け、羽の外部で磁界を検出するセンサを配置することで、流量に比例したパルス周波数を出力することができる。
【0031】
また、温度センサ21は、流路3を流れる水(オゾン水)の温度を測定可能である。温度センサ21と流量計19は、制御部15に接続される。制御部15は、オゾン供給装置7の動作を制御可能である。より詳細には、制御部15は、オゾン発生器9、加圧ポンプ11、13等の動作を個々に制御可能である。また、制御部15には、必要に応じて操作部17が接続される。操作部17により、制御部15の動作のOn/Offや各種の設定を行うことができる。
【0032】
例えば、制御部15は、流路3を流れる水量が所定以上(以下、第1閾値)以上の場合にオゾン供給装置7を稼働させて、オゾン水の生成を開始する。すなわち、第1閾値は、オゾン供給装置7を稼働するための最小流量となる。
【0033】
なお、流量計19としては、水の流量を定量的に計測可能であるものには限られず、水量が第1閾値以上の流量であるかどうかのみを判定可能な検知部であってもよい。すなわち、制御部15は、流路3を流れる水量が、オゾン水の生成に必要な最小流量(第1閾値)を超えたと判断できれば、オゾン供給装置7を稼働させてオゾン水の生成を開始することができる。なお、制御部15によるオゾン供給装置7の制御方法については詳細を後述する。
【0034】
次に、混合部5について詳細に説明する。
図2は、混合部5の構造を示す断面概略図である。混合部5は、略筒状であり、流路3の一部に形成される。すなわち、混合部5の内部を水が流れる。混合部5における流路は、流路の断面積が減少する縮径部31と、縮径部31の下流側に形成され、流路断面積が増加する拡径部33とを有する。
【0035】
前述したオゾン供給装置7から送られるオゾンガスは、一対の射出部23から混合部5内の流路内に射出する。射出部23は、混合部5の拡径部33に配置され、拡径部33には、内外に連通する射出孔29が形成される。ここで、前述したように、オゾンガスは、水へ溶解しにくいため、流水を用いて所望の濃度のオゾン水を得るためには、短時間に効率よくオゾンガスを水に溶解させる必要がある。これに対し、発明者は、鋭意研究の結果、流路の外周部から、互いに衝突する方向に向けてオゾンガスを射出することで、効率よくオゾンガスを溶解することができることを見出した。
【0036】
図示した例では、一対の射出部23は、混合部5の流路に対して、互いに対向する位置に配置される。すなわち、流路に垂直な断面において、それぞれの射出部23から射出するオゾンガスが、流路の中心部近傍で、互いに逆方向から衝突するように射出部23が配置される(図中矢印F)。
【0037】
なお、射出部23は、3つ以上であってもよいが、この場合でも、流路の外周部から、互いに衝突する方向に向けて射出部23を配置することが望ましい。例えば、周方向に等間隔となるように複数の射出部23が配置される。
【0038】
このように互いに流路の中央部で互いの射出方向のベクトルを打ち消しあうように射出部23を配置することで、効率よくオゾンガスを水に溶解することができる。これは、流路内の略中心部で、オゾン気泡同士が強く衝突するようにオゾンガスを射出することで、噴射衝突部分近傍で大きな乱流が生じるためと考えられる。例えば、同じオゾンガス量を射出するのに、射出部23を対向配置させた場合には、射出部23を3個併設して、ほぼ同じ方向に向けてオゾンガスを射出した場合と比較して、2倍以上の濃度のオゾン水を得ることができた。
【0039】
また、射出部23を拡径部33に配置することで、この効果をより効率よく得ることができる。これは、流路3を流れる水が、縮径部31を流れる際に、流速及び水圧が増加し、その後、拡径部33に流入すると、その直後においては急激に水圧が減少して水流も乱れやすくなるためである。したがって、縮径部31の直後の拡径部33に射出部23を配置することで、より効率よくオゾンガスを水に溶解させることができる。
【0040】
なお、射出部23には、流路内からも水圧がかかる。このため、射出部23には逆流防止構造が形成される。例えば、オゾン供給装置7からの送気管の出口に、弁体25及び弁座26を配置する。弁体25は、流路側からスプリング27によって弁座26に押し付けられる。このため、通常時には、オゾン供給装置7側と混合部5の内部の流路とは弁体25によって閉じられる。
【0041】
また、混合部5内を水が流れる際にも、水圧によって弁体25はさらに弁座26に押し付けられ、オゾン供給装置7側(送気管)と混合部5の内部の流路とは弁体25によって閉じられる。このように、水がオゾン供給装置7側へ流入することが抑制される。
【0042】
一方、オゾンガスを射出部23から流路内に射出する際には、加圧ポンプ13によって、流路内の水圧及びスプリングによる力以上の圧力でオゾンガスを混合部5に送気することで、弁体25が開き、オゾンガスを流路内へ射出することができる。この際、オゾンガスの通路は、流路に形成された射出孔29に向かい、直径が徐々に絞られているため、水の流路に向かうにつれて圧力が増加し、水に対してオゾンガスを勢いよく射出することができる。以上により、オゾンガスを水に噴射してオゾン水を生成し、生成されたオゾン水を出水栓から流出させて利用することができる。
【0043】
次に、制御部15の制御について説明する。
図3は、オゾン水生成装置の動作を示すフローチャートである。混合部5は、例えば一般の水道の蛇口近傍やシャワー等のホースや配管に取り付けられる。
【0044】
まず、使用者は水道の水栓を開く(ステップ101)。水が流れると、流量計19によって、時間当たりに流路3を流れる水量が検知される。制御部15は、水量が第1閾値以上であるかを判定する(ステップ102)。水量が所定よりも少ない場合には、制御部15は、オゾン供給装置7を稼働しない。
【0045】
例えば、水量が少ない場合には、流路内が水で満たされずに、流路内壁面を伝って水が流れる場合も想定され、この場合に高圧のオゾンガスを流路内へ射出すると、水が高圧ガスとともに出水栓から勢いよく噴出する恐れがある。また、水量が少なすぎると、オゾンガスが水と接触せずに直接出水栓から噴出し、オゾン濃度を制御することが困難となる。このため、制御部15は、オゾン水の生成に必要な最小限の流量未満の場合には、オゾン供給装置7の稼働を停止する。
【0046】
流路を流れる水量が第1閾値以上となった場合には、制御部15は、オゾン供給装置7の稼働を開始する(ステップ103)。すなわち、流路内を流れる水に対して、高圧のオゾンガスを噴出してオゾンガスを水に溶解させる。
【0047】
その後、制御部15は、流量計19によって、流路内を流れる水量が、第1閾値から、さらに所定量(以下第2閾値)増加したかどうかを判定する(ステップ104)。流路を流れる水量が第1閾値よりも大きな第2閾値以上となると、制御部15は、オゾン供給装置7を制御して、オゾン供給装置7からのオゾンの時間当たりの供給量を増加する(ステップ105)。
【0048】
なお、オゾン供給装置7から、時間当たりのオゾンガスの供給量を制御するには、例えば、オゾン発生器9、加圧ポンプ11、13への印加電圧を変化させることで行うことができる。また、例えば、オゾン発生器9、加圧ポンプ11、13を間欠動作するように制御し、オゾンガスの発生量に応じて、間欠運転の運転率を増減してもよい。
【0049】
その後、制御部15は、流路を流れる水量が第2閾値を下回ると、再びオゾンガスの単位時間当たりの供給量を低減する(ステップ106、107)。また、さらに、制御部15は、流路を流れる水量が第1閾値を下回ると、オゾン供給装置7の稼働を停止する(ステップ108、109)。すなわち、第1閾値は、オゾン供給装置7の稼働開始に必要な最小流量であり、第2閾値は、オゾン供給装置7におけるオゾン供給量の増減の切り替えを行う流量である。このように、水量の増加に伴い、オゾンガスの時間当たりの供給量を増加させることで、オゾン水のオゾン濃度を所定範囲に保つことができる。
【0050】
なお、本実施形態では、第2閾値によって、オゾンガスの発生量を2段階に設定したが、3段階以上としてもよい。また、制御部15は、第1閾値以上では、無段階で水量にほぼ比例したオゾンガスの供給量となるようにオゾン供給装置7を制御してもよい。
【0051】
以上、本実施の形態によれば、流水に対して、オゾンガスを、流路の外周の対向する位置から互いに衝突するように噴出することで、より効率よくオゾンガスを水に溶解することができる。また、流路の断面積を変化させて、拡径部に噴射部を配置することで、より効率よくオゾン水を生成することができる。
【0052】
また、水量が第1閾値よりも大きいか小さいかを判定して、オゾン供給装置の制御を行うことで、オゾン水の生成に必要な最小限の水量未満におけるオゾンガスの供給を抑制することができる。
【0053】
また、水量が増加した際に、オゾンガスの供給量も増加させることで、生成されるオゾン水のオゾン濃度の変動を抑制することができる。
【0054】
次に、第2の実施形態について説明する。
図4は、第2の実施形態にかかる制御部15の制御方法を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態と同一の機能等を奏する構成は、
図1~
図3と同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0055】
第2の実施形態は、第1の実施形態と略同様の構成であるが、高濃度運転と低濃度運転との切り替えを行う点で異なる。ここで、オゾン水は、その用途に応じて、適切なオゾン濃度が異なる。例えば、人がシャワー等で用いる場合には、相対的に低濃度のオゾン水が望まれ、野菜や果物等を洗浄する際には、相対的に高濃度のオゾン水が望まれる。このため、用途に応じて、生成するオゾン水濃度を変更することで、広い用途範囲に適用することができる。
【0056】
前述したように、オゾン水のオゾン濃度を変えるためには、流路を流れる水量に対するオゾンガスの噴射量(オゾン供給装置7からのオゾンガスの単位時間当たりの供給量)を変えればよい。例えば、オゾン供給装置7を間欠運転とした場合には、低濃度運転を行う際には、間欠動作率を25%と低くし、高濃度運転を行う際には、間欠動作率を50%と高くする。このように、使用目的に合わせてオゾン濃度を変更することができる。
【0057】
このような運転モードの切り替えは、使用者が操作部17の操作することによって制御部15が切り替えを行ってもよいが、
図4に示す例では、制御部15が用途を推定して、切り替えモードの切り替えを行う。
【0058】
まず、使用者が水栓を開くと、制御部15は、温度センサ21からの温度情報により、水温を把握する。この際、水栓を開いてから、水温が安定するまでの所定時間経過後に水温を取得してもよい。
【0059】
制御部15は、水温が所定以上であるかを判定する(ステップ201)。例えば、水温が所定温度以上であれば、シャワーであると判定し、制御部15は低濃度運転に切り替える(ステップ202)。逆に、水温が所定温度未満であれば、野菜や果物の洗浄であると判定し、制御部15は高濃度運転に切り替える(ステップ203)。
【0060】
その後は、第1の実施形態と同様に、水量が、第1閾値又は第2閾値以上であるかどうかによって、オゾン供給装置7の稼働や、オゾンガスの供給量の変更を行う。
【0061】
なお、第1閾値又は第2閾値は、高濃度運転と低濃度運転とで、それぞれ異なる閾値としてもよい。例えば、制御部15は、低濃度運転へ切り替えると、低濃度運転に紐づけられた第1閾値と第2閾値を設定し、これらに基づいてその後のオゾン供給装置7の制御を行う。同様に、制御部15は、高濃度運転へ切り替えると、高濃度運転に紐づけられた第1閾値と第2閾値を設定し、これらに基づいてその後のオゾン供給装置7の制御を行う。
【0062】
なお、低濃度運転モードの第1閾値と第2閾値と、高濃度運転モードの第1閾値と第2閾値とをそれぞれ変えてもよい。例えば、高濃度運転モードの第1閾値を、低濃度運転モードの第1閾値よりも高くしてもよい。
【0063】
例えば、それぞれの運転モードにおける第1閾値と第2閾値は、操作部17によって、使用者が必要な濃度に応じて予め設定して記憶部に保管しておき、制御部15が読みだしてもよい。又は、それぞれのモードにおいて、所望の濃度を操作部17で設定することにより、それぞれの運転モードに対して予め定められた計算式で、制御部15が、第1閾値と第2閾値を算出してもよい。
【0064】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、用途に応じて、高濃度運転と低濃度運転とを切り替えることで、用途に適したオゾン濃度のオゾン水を得ることができる。また、この切り替えを水温から推定することで、容易に用途に適した運転モードに自動で切り替えることができる。
【0065】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0066】
1………オゾン水生成装置
3………流路
5………混合部
7……オゾン供給装置
9………オゾン発生器
11、13………加圧ポンプ
15………制御部
17………操作部
19………流量計
21………温度センサ
23………射出部
25………弁体
26………弁座
27………スプリング
29………射出孔
31………縮径部
33………拡径部