(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091415
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】レジスタ用フィン
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206149
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宗久
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】簡便に加飾部材をフィンに取り付けることができ、加飾部材の不用意な外れを効果的に防止することができるレジスタ用フィンを提供する。
【解決手段】レジスタ用フィン31は、フィン31の下流側縁部に、加飾部材50がフィン31の長手方向に沿って嵌着される。加飾部材50は、下流側の内側に、フィン31の下流側縁部を収容して嵌着する収容凹部51が設けられ、収容凹部51内に、仕切壁53が短手方向に設けられ、両端部近傍に、フィン31に挿入される係止爪55が後方に向けて突設される。フィン31は、収容凹部51に嵌着される嵌着凸部32が設けられ、切欠凹部33b内に、仕切壁53に接する係止壁33が前方に向けて突設される。フィン31の係止壁33と加飾部材50の仕切壁53のそれぞれが接する側に、係止凹部33aと係止凸部53aとが、相互に係止可能に設けられる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路を有したリテーナの下流端部に、空気吹出口が設けられ、該空気吹出口にフィンが支軸を介して回動可能に軸支され、該フィンの下流側縁部に、加飾部材が該フィンの長手方向に沿って嵌着された、レジスタ用フィンにおいて、
該加飾部材は、下流側を弧とする略半円筒形状に形成されて、内側に、該フィンの該下流側縁部を収容して嵌着する収容凹部が設けられ、該収容凹部内に、複数の仕切壁が短手方向に設けられ、長手方向の両端部近傍に、該フィンに挿入されて係止される係止爪が後方に向けてそれぞれ突設され、
該フィンは、該下流側縁部に、該収容凹部に嵌着される嵌着凸部が設けられ、該嵌着凸部に、該嵌着凸部が切り欠かれた複数の切欠凹部が設けられるとともに、該切欠凹部内に、該仕切壁に接する係止壁が前方に向けて突設され、長手方向の両端部近傍の該下流側縁部に、該係止爪が挿入される挿入穴が後方に向けてそれぞれ設けられ、
該フィンの該係止壁と該加飾部材の該仕切壁のそれぞれが接する側に、係止凹部と係止凸部とが、相互に係止可能に設けられたことを特徴とするレジスタ用フィン。
【請求項2】
前記フィンの前記挿入穴の後端から、該フィンの長手方向外側に貫通する貫通孔が連通して設けられ、
前記加飾部材の前記係止爪後端に、該加飾部材の長手方向外側に向けて突起部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のレジスタ用フィン。
【請求項3】
前記挿入穴の後方外側に、該挿入穴を外側から後方に向けて狭める傾斜面が設けられたことを特徴とする請求項2に記載のレジスタ用フィン。
【請求項4】
前記フィンの前記嵌着凸部と前記加飾部材の前記収容凹部の内側面に、位置決め用の係合凹部と係合凸部とが、相互に嵌合可能に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のレジスタ用フィン。
【請求項5】
前記嵌着凸部に、リブ形状が該嵌着凸部の厚み方向に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のレジスタ用フィン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、自動車室内等の換気や空調の空気吹出口に使用されるレジスタにおいて、空気吹出口側のフィンの下流側縁部に、加飾部材を嵌着させ、フィンの意匠性を向上させることができるレジスタ用フィンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両室内の空気吹出調整用レジスタとして、通風路を形成するリテーナ内に、前可動ルーバと後可動ルーバを前後して且つ相互に直交方向に配設し、空気吹出口から空気を吹き出す際、前可動ルーバのフィン、後可動ルーバの後フィンの角度を変えて、空気の吹出し方向を上下左右に調整するクロスフィン型のレジスタが、広く使用されている。
【0003】
この種のレジスタ用フィンとして、従来、下記特許文献1により、前可動ルーバのフィンの下流側縁部に、加飾部材を接着剤で接着させたレジスタ用フィンが提案されている。また、下記特許文献2により、前可動ルーバのフィンの下流側縁部に、加飾部材を突部と凹部とで篏合させたレジスタ用フィンが提案されている。このレジスタ用フィンは、加飾部材を容易に組み付けることができるように、加飾部材の内側に凹部を設け、フィンの下流側縁部に突部を設け、加飾部材がその凹部をフィン側の突部に嵌め込まれ、取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-090156号公報
【特許文献2】特許第6879141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたレジスタ用フィンは、加飾部材を接着剤で接着させるため、接着工程を要し、製造コストが高くなるという課題があった。また、特許文献2に記載されたレジスタ用フィンは、接着工程を要すことなく加飾部材を取り付けることができるものの、加飾部材を突部と凹部とで篏合され、前方からフィンの縁部に押し付けて突部と凹部を単純に嵌合させるのみであるため、操作者に触られるなどして、外力を受けたときや、経年変化などにより、相互の嵌合が緩くなると、加飾部材が外れるおそれがあった。
【0006】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、上述の点に鑑みてなされたものであり、簡便に加飾部材をフィンに取り付けることができ、加飾部材の不用意な外れを効果的に防止することができるレジスタ用フィンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の実施形態に係るレジスタ用フィンは、通風路を有したリテーナの下流端部に、空気吹出口が設けられ、該空気吹出口にフィンが支軸を介して回動可能に軸支され、該フィンの下流側縁部に、加飾部材が該フィンの長手方向に沿って嵌着された、レジスタ用フィンにおいて、
該加飾部材は、下流側を弧とする略半円筒形状に形成されて、内側に、該フィンの該下流側縁部を収容して嵌着する収容凹部が設けられ、該収容凹部内に、複数の仕切壁が短手方向に設けられ、長手方向の両端部近傍に、該フィンに挿入されて係止される係止爪が後方に向けてそれぞれ突設され、
該フィンは、該下流側縁部に、該収容凹部に嵌着される嵌着凸部が設けられ、該嵌着凸部に、該嵌着凸部が切り欠かれた複数の切欠凹部が設けられるとともに、該切欠凹部内に、該仕切壁に接する係止壁が前方に向けて突設され、長手方向の両端部近傍の該下流側縁部に、該係止爪が挿入される挿入穴が後方に向けてそれぞれ設けられ、
該フィンの該係止壁と該加飾部材の該仕切壁のそれぞれが接する側に、係止凹部と係止凸部とが、相互に係止可能に設けられたことを特徴とする。
【0008】
ここで、レジスタの前後は、調整された空気が流れる下流側が前、上流側が後を示す。本明細書の実施形態に係るレジスタ用フィンによれば、加飾部材の長手方向の両端部近傍の係止爪をフィンの挿入穴に挿入することにより、加飾部材をフィンに取り付けることができるため、レジスタ用フィンは、簡便に加飾部材をフィンに取り付けることができる。また、加飾部材の収容凹部にフィンの嵌着凸部が嵌着し、フィンの係止壁と加飾部材の仕切壁のそれぞれが接する側に設けられた係止凹部と係止凸部とが、相互に嵌着して係止されるため、加飾部材は、強固にフィンに嵌着することができ、加飾部材の不用意な外れを効果的に防止することができる。
【0009】
ここで、上記レジスタ用フィンにおいて、前記フィンの前記挿入穴の後端から、該フィンの長手方向外側に貫通する貫通孔が連通して設けられ、
前記加飾部材の前記係止爪後端に、該加飾部材の長手方向外側に向けて突起部が設けられた構成とすることができる。
【0010】
これによれば、加飾部材をフィンに嵌着させた際に、突起部が貫通孔に入り込み、加飾部材の不用意な外れを効果的に防止することができる。
【0011】
また、上記レジスタ用フィンにおいて、前記挿入穴の後方外側に、該挿入穴を外側から後方に向けて狭める傾斜面が設けられた構成とすることができる。
【0012】
これによれば、加飾部材のフィンへの嵌着時に、傾斜面によって、係止爪を突起部ごと内側に弾性変形させることができるため、加飾部材をフィンに容易に取り付けることができる。
【0013】
また、上記レジスタ用フィンにおいて、前記フィンの前記嵌着凸部と前記加飾部材の前記収容凹部の内側面に、位置決め用の係合凹部と係合凸部とが、相互に嵌合可能に設けられた構成とすることができる。
【0014】
これによれば、加飾部材のフィンへの嵌着時に、位置決め用の係合凹部と係合凸部によって、加飾部材のフィンへの位置決めを容易にすることができる。
【0015】
また、上記レジスタにおいて、前記嵌着凸部に、リブ形状が該嵌着凸部の厚み方向に設けられた構成とすることができる。
【0016】
これによれば、リブ形状を加飾部材の当てリブとして作用させ、組み付け時の位置決めと加飾部材のがたつきの防止を行なうことができる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書のレジスタによれば、簡便に加飾部材をフィンに取り付けることができ、加飾部材の不用意な外れを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態のレジスタ用フィンを用いたレジスタの右上前方からの斜視図である。
【
図3】加飾部材が取り付けられたレジスタ用フィンの平面図(A)、その正面図(B)、その右側面図(C)、その右上前方からの斜視図(D)である。
【
図4】部分拡大図付きの
図3(B)のIV-IV線断面図である。
【
図7】
図3(A)のVII-VII線断面図である。
【
図8】
図3(A)のVIII-VIII線断面図である。
【
図10】フィンの平面図(A)、その正面図(B)、その右側面図(C)、その右上前方からの斜視図(D)、その左下前方からの斜視図(E)である。
【
図11】加飾部材の平面図(A)、その正面図(B)、その右側面図(C)、その背面図(D)、その左上後方からの斜視図(E)、その右上前方からの斜視図(F)である。
【
図12】フィンに加飾部材を取り付けるイメージ図であり、(A)は後方側からの図、(B)は
図3(B)のXII-XII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本明細書の実施形態に係るレジスタ用フィンを
図1~
図12に基づいて説明する。なお、本発明の範囲は、実施形態で開示される範囲に限定されるものではない。また、本明細書において、レジスタとレジスタ用フィンの向きは、
図1に示すように、ベゼル8の空気吹出口81を有する側を前とし、リテーナ2内の通風路21の空気吸入口22側を後とする。上下左右は、レジスタを前側から見た際の上下左右とし、図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。また、調整された空気の流れから、前を下流側、後ろを上流側と表現することがある。さらに、フィン31又はレジスタの中心を基準に、内側又は外側と表現することがある。
【0020】
実施形態に係るレジスタ用フィンは、
図1及び
図2に示すように、レジスタの空気吹出口81に設けた前可動ルーバ3に使用される。前可動ルーバ3を構成する3本のフィン31の内、上側と下側のフィン31の下流側縁部に、それぞれ加飾部材50が嵌着されている。
【0021】
図1及び
図2に示すように、レジスタの筐体となるリテーナ2は、内側に通風路21を設けた略角筒状の筐体であり、前側に、ルーバ収容部23が設けられ、ルーバ収容部23に、風向を上下に調整する前可動ルーバ3が空気吹出口81側に配設され、その後方(奥)に風向を左右に調整する後可動ルーバ7が配設される。
【0022】
前可動ルーバ3は、3本のフィン31を左右方向(水平方向)に、上下に間隔をおいて配置され、各フィン31は、左右に配設した軸受板39に対し、両側の支軸31aを介して回動可能に保持される。各フィン31の一端に突設された連結軸31bには、1本のリンクバー38が連結され、全てのフィン31が同期してその向きを上下に変え得る構造となっている。中央のフィン31には、操作ノブ11が左右に摺動可能に外嵌され、操作ノブ11に操作者が指を当てて前可動ルーバ3を上下に傾動させるとともに、左右方向にスライドさせて、後述の後可動ルーバ7を左右に傾動させるようになっている。
【0023】
図1、
図3及び
図4に示すように、前可動ルーバ3の3本のフィン31のうち、上側と下側のフィン31には、下流側端部に、フィン31の長手方向に沿って加飾部材50が嵌着されている。レジスタを構成する各々の部品は、黒色系統の合成樹脂から形成され、加飾部材50には、例えば、黒色系統とは異なる系統の色彩として銀メッキが施されている。
【0024】
図11及び
図12に示すように、加飾部材50は、左右方向を軸方向する略半円筒形をなし、前側が弧の半円をなし、後側(上流側)に、円筒を軸方向に切断して開口した収容凹部51が設けられている。収容凹部51は、フィン31の嵌着凸部32に嵌着して嵌着凸部32を収容する。加飾部材50の長手方向の両端部近傍に、フィン31に挿入されて係止される係止爪55が後方に向けてそれぞれ突設され、係止爪55間の収容凹部51内に、2つの仕切壁53が短手方向に設けられている。仕切壁53は、係止爪55間の収容凹部51を左右に三等分するように設けられている。
【0025】
図11に示すように、係止爪55は、加飾部材50の両端部近傍から、後方に向けて突設され、フィン31の挿入穴34に挿入され、加飾部材50をフィン31に係止させるものである。係止爪55の前端の付け根側の左右方向の内側に、係止爪55と加飾部材50の内側とを結ぶ補強リブ55bが設けられている。補強リブ55bは、加飾部材50をフィン31に嵌着させる際の、係止爪55の左右方向の撓みに対して、係止爪55が折れるのを防止するものである。係止爪55の後端から左右方向の外側に向けて、突起部55aが設けられている。突起部55aは、
図4に示すように、加飾部材50をフィン31に嵌着させた際に、フィン31の貫通孔34bに入り込むため、加飾部材50がフィン31から不用意に外れることを効果的に防止することができる。
【0026】
図11(D)、(E)、
図12に示すように、仕切壁53は、収容凹部51内の短手方向に設けられた隔壁であり、2つの仕切壁53によって、収容凹部51は3つに隔たれている。仕切壁53の左右方向の外側の壁面には、詳しくは後述するフィン31の係止壁33の係止凹部33aに係止することができる係止凸部53aが設けられ、係止凸部53aが係止壁33の係止凹部33aに係止することによって、加飾部材50は、強固にフィン31に嵌着されることができ、加飾部材50がフィン31から外れることが防止される。
【0027】
左右に3つ並んだ収容凹部51の真ん中の収容凹部51の上側の内側面に、下方に突出した係合凸部57が設けられ、係合凸部57を、後述するフィン31の嵌着凸部の上側に設けられた係合凹部37に嵌合させることにより、加飾部材50のフィン31への位置決めを容易にすることができる。
【0028】
フィン31は、支軸31aを軸に上下方向に傾向可能な左右に長い平板体であり、
図1及び
図3に示すように、長手方向(左右方向)の下流側(前側)に、加飾部材50が嵌着される。
図10に示すように、フィン31の長手方向の両端部近傍の下流側(前側)縁部に、加飾部材50の係止爪55が挿入される挿入穴34が後方に向けてそれぞれ設けられている。フィン31には、
図10に示すように、左右の支軸31aを結ぶフィン31の下流側縁部上に、加飾部材50の収容凹部51に嵌入する嵌着凸部32が設けられている。嵌着凸部32には、嵌着凸部32を左右に三等分するように嵌着凸部32を切り欠く2つの切欠凹部33bが設けられ、切欠凹部33b内に、加飾部材50の仕切壁53の左右方向外側の壁面に接する係止壁33が下流側(前側)に向けて突設されている。
【0029】
挿入穴34は、
図4に示すように、加飾部材50の係止爪55が挿入されて、加飾部材50をフィン31に係止させるものである。
図12(B)に示すように、挿入穴34の後端から、フィン31の長手方向外側に貫通する貫通孔34bが連通して設けられ、加飾部材50をフィン31に嵌着させた際に、加飾部材50の係止爪55の突起部55aが貫通孔34bに入り込むため、加飾部材50がフィン31から不用意に外れることを効果的に防止することができる。挿入穴34の後方外側に、挿入穴34を外側から後方に向けて狭める傾斜面34cが設けられている。これにより、加飾部材50のフィン31への嵌着時の係止爪55を挿入穴34に挿入させる際に、傾斜面34cによって、係止爪55を突起部55aごと内側に弾性変形させることができるため、加飾部材50をフィン31に容易に嵌着させることができる。
【0030】
係止壁33は、切欠凹部33b内に、下流側(前側)に向けて突設され、係止壁33の左右方向の内側に、加飾部材50の仕切壁53の係止凸部53aが係合する係止凹部33aが設けられている。係止壁33は、加飾部材50がフィン31へ嵌着される際に、
図4に示す如く、係止壁33の左右方向の内側に加飾部材50の仕切壁53が接し、仕切壁53の係止凸部53aが係止壁33の係止凹部33aに嵌着して係止される。このため、加飾部材50は、強固にフィン31に嵌着することができる。
【0031】
嵌着凸部32は、2つの切欠凹部33bによって切り欠かれ、3つの嵌着凸部32が形成され、加飾部材50のフィン31への嵌着時に、
図12及び
図4に示す如く、3つの嵌着凸部32は、加飾部材50の3つの収容凹部51に、それぞれ収容され嵌着される。また、左右に3つ並んだ嵌着凸部32の真ん中の嵌着凸部32の上側に、フィン31の収容凹部51の内側面に設けられた係合凸部57に嵌合する係合凹部37が設けられている。係合凸部57を係合凹部37に嵌合させることにより、フィン31は、加飾部材50のフィン31への位置決めを容易にすることができる。
【0032】
図10(D)、(E)に示すように、嵌着凸部32の厚み方向からフィン31の前側にかけてリブ形状32aが、左右端部の嵌着凸部32の上下に1つずつ、中央の嵌着凸部32の上下に2つずつ設けられている。リブ形状32aは、リブ形状32aを加飾部材50の当てリブとして作用させ、組み付け時の上下と前後方向の位置決めと組み付け後の加飾部材50のがたつきの防止を行なう。
【0033】
加飾部材50のフィン31への取り付けは、先ず、
図12(A)に示すように、加飾部材50から後方に突設された係止爪55をフィン31の挿入穴34に挿入させるように、加飾部材50をフィン31の手前に配置させる。
【0034】
次に、係止爪55を挿入穴34に挿入させるように、また、加飾部材50の左右2つの仕切壁53をフィン31の係止壁33の内側の切欠凹部33bに嵌入させるように、加飾部材50をフィン31へ取り付ける。このとき、加飾部材50の係合凸部57をフィン31の係合凹部37に係合させることによって、フィン31に対する加飾部材50の取り付け位置が定められ、仕切壁53は、係止壁33の内側の切欠凹部33bに嵌入するように誘導され、加飾部材50のフィン31への位置決めと取り付けを容易にすることができる。
【0035】
加飾部材50をフィン31へ強く押し当てることにより、係止爪55が挿入穴34の奥(後側)に侵入する。侵入し、係止爪55の先端が挿入穴34の後方外側の傾斜面34cに当接することによって、係止爪55が突起部55aごと内側に弾性変形させられ、突起部55aが挿入穴34の後端から外側に貫通する貫通孔34bに入り込むことによって、加飾部材50はフィン31に嵌着される。
【0036】
このとき、フィン31の嵌着凸部32に設けられたリブ形状32aが加飾部材50の収容凹部51に嵌入し、嵌着凸部32からフィン31の前側に設けられたリブ形状32aによって、加飾部材50のフィン31に対する上下と前後の取り付け位置が定められるとともに加飾部材50のがたつきが防止される。
【0037】
嵌着の際、加飾部材50は、傾斜面34cによって、係止爪55が内側に受動的に弾性変形させられ、突起部55aが傾斜面34cを越えて貫通孔34bに入り込むため、加飾部材50をフィン31に容易に取り付けることができる。また、突起部55aが貫通孔34bに入り込むため、フィン31は、加飾部材50の不用意な外れを効果的に防止することができる。
【0038】
加飾部材50がフィン31に嵌着されたとき、加飾部材50の収容凹部51にフィン31の嵌着凸部32が嵌着し、加飾部材50の仕切壁53とフィン31の係止壁33のそれぞれが接する側に設けられた係止凸部53aと係止凹部33aとが、相互に嵌着して係止されるため、加飾部材50は、強固にフィン31に嵌着することができる。
【0039】
後可動ルーバ7は、
図2に示すように、5本の後フィン71が縦方向に間隔をおいて配置され、各後フィン71は上下に配設した軸受板79に対し、上下の支軸71aを介して回動可能に保持される。また、各後フィン71の一端に突設された連結軸71bに、1本のリンクバー78が連結され、全ての後フィン71が同期してその向きを左右に変え得る構造となっている。
【0040】
後可動ルーバ7には、中心の1本の後フィン71の前部に、ラック部材などの連係部77が設けられ、操作ノブ11の後部に設けたラック部材などの被連係部12と係合し、操作ノブ11を左右方向に摺動させたとき、後可動ルーバ7の後フィン71の向きを左右に調整する構造となっている。
【0041】
これにより、操作ノブ11は、その上下の回動操作により、前可動ルーバ3の各フィン31の向きを上または下に調整し、操作ノブ11の左右方向の摺動操作により、連係部77を介して後可動ルーバ7の後フィン71の左右方向を左または右に調整する。
【0042】
上記構成のレジスタは、自動車の車内のインストルメントパネルやダッシュボードの部分に、そのリテーナ2の後端の空気吸入口22を図示しない通風ダクトに接続するようにして装着される。装着時の図示は省略するが、インストルメントパネルやダッシュボードに、上記構成のレジスタの空気吹出口81を設けたベゼル8が嵌着されて装着される。通風ダクトから送られる空気は、リテーナ2内の通風路21から空気吹出口81を通して吹き出される。
【0043】
空気の吹出向きを上または下に調整する場合、操作ノブ11を上または下に操作すると、前可動ルーバ3のフィン31が、その左右の支軸31aを軸に回動して、その向きが上下に変化し、空気の吹出方向が上下に調整される。空気の吹出向きを左右に調整する場合、操作ノブ11を右または左に摺動操作すると、後可動ルーバ7の後フィン71が、その上下の支軸71aを軸に回動し、その左右の向きが所定の角度範囲で変化し、空気の吹出方向が左右に調整される。
【0044】
本明細書の実施形態に係るレジスタによれば、加飾部材50の長手方向の両端部近傍の係止爪55をフィン31の挿入穴34に挿入することにより、加飾部材50をフィン31に取り付けることができるため、レジスタ用フィン31は、簡便に加飾部材50をフィン31に取り付けることができる。また、加飾部材50の収容凹部51にフィン31の嵌着凸部32が嵌着し、加飾部材50の仕切壁53とフィン31の係止壁33のそれぞれが接する側に設けられた係止凸部53aと係止凹部33aとが、相互に嵌着して係止されるため、加飾部材50は、強固にフィン31に嵌着することができ、加飾部材50の不用意な外れを効果的に防止することができる。
【0045】
なお、実施形態のレジスタ用フィンは、その他実施形態として、以下のような形態であってもその実施をすることができる。
【0046】
実施形態のレジスタ用フィン(フィン31)は、加飾部材50が、黒色系統の合成樹脂から形成され、加飾として銀メッキが施されているものを使用したが、加飾は銀メッキに限られるものではなく、他の色彩のメッキや塗装を施すことができる。また、加飾部材50は、形成される合成樹脂そのものの色彩を変えることによって、他部材とは異なる色彩とすることもできる。
【0047】
実施形態のレジスタ用フィン(フィン31)は、加飾部材50を含めた下流側の形状を略直線状としたが、加飾部材50を含めた下流側の形状を曲線状や角を有する形状とすることができる。
【符号の説明】
【0048】
2…リテーナ、3…前可動ルーバ、7…後可動ルーバ、8…ベゼル、11…操作ノブ、12…被連係部、21…通風路、22…空気吸入口、23…ルーバ収容部、31…フィン、31a…支軸、31b…連結軸、32…嵌着凸部、32a…リブ形状、33…係止壁、33a…係止凹部、33b…切欠凹部、34…挿入穴、34b…貫通孔、34c…傾斜面、37…係合凹部、38…リンクバー、39…軸受板、50…加飾部材、51…収容凹部、53…仕切壁、53a…係止凸部、55…係止爪、55a…突起部、55b…補強リブ、57…係合凸部、71…後フィン、71a…支軸、71b…連結軸、77…連係部、78…リンクバー、79…軸受板、81…空気吹出口。