(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023091420
(43)【公開日】2023-06-30
(54)【発明の名称】パウチ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 33/08 20060101AFI20230623BHJP
B65D 77/30 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B65D33/08
B65D77/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206158
(22)【出願日】2021-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居敷 俊生
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA35
3E064BA36
3E064BA38
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA30
3E064FA04
3E064HJ02
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
3E067AA03
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB12A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB18A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA12
3E067CA17
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB17
3E067EB27
3E067EE12
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】指が挿通可能な挿通部が設けられてなるパウチ容器において、挿通部に挿通された指への負担の軽減およびパウチ容器の構成の簡素化を図る。
【解決手段】パウチ容器1Aは、胴部10を構成する前壁部11および後壁部と、これらの縁部同士が重ね合わせられてなる第1端縁部21とを備える。第1端縁部21は、指が挿通可能な第1挿通部61が第1端縁部21に設けられることで形成された第1取っ手部81を有する。第1挿通部61の上方に位置する部分の第1端縁部21には、胴部10の幅方向に沿って延びる第1部分CL2aを含む第2カットラインCL2が設けられ、第1端縁部21は、これに第1挿通部61と第2カットラインCL2とが設けられることで形成された第1ブリッジ部91を含み、第2カットラインCL2は、第1部分CL2aの両端から上方に向けて延びる第2部分CL2bをさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される収容空間が胴部の内部に設けられてなるパウチ容器であって、
前記胴部を構成するシート状の前壁部および後壁部と、
前記前壁部の縁部および前記後壁部の縁部が重ね合わせられてなる端縁部とを備え、
前記端縁部は、前記前壁部および前記後壁部が接合されることによって形成されたシール部と、指が挿通可能な挿通部が前記端縁部に設けられることによって形成された取っ手部とを有し、
前記挿通部の上方に位置する部分の前記端縁部には、前記胴部の幅方向に沿って延びる第1部分を含むカットラインが設けられ、
前記端縁部は、当該端縁部に前記挿通部と前記カットラインとが設けられることによって形成されたブリッジ部を含み、
前記カットラインは、前記第1部分の両端から上方に向けて延びる第2部分をさらに含んでいる、パウチ容器。
【請求項2】
前記胴部の幅方向と直交する方向である前記胴部の軸方向における前記ブリッジ部の一対の端部のうちの少なくとも一方が、他方から離間する方向に膨出した部分を含んでいる、請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項3】
前記ブリッジ部の延在方向における一対の端部のうちの少なくとも一方に、前記前壁部および前記後壁部が接合されていない未シール部が形成されている、請求項1または2に記載のパウチ容器。
【請求項4】
前記挿通部の上方に位置する部分の前記端縁部に付加挿通部が設けられ、
前記付加挿通部の下端部が、前記カットラインによって規定されている、請求項1から3のいずれかに記載のパウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指が挿通可能な挿通部が設けられることで取っ手部が形成されてなるパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、把持性の向上を目的として、指が挿通可能な挿通部が設けられることで取っ手部が形成されたパウチ容器が知られている。この種のパウチ容器の中には、一対のシート状のフィルム部材同士が接合されたシール部に挿通部が設けられたものがあるが、このように構成した場合には、挿通部の縁部の剛性が高くなるため、挿通部に指を挿通してパウチ容器を把持した際に挿通部の縁部が指に食い込むことで痛みを感じることがある。
【0003】
この問題を解決すべく、たとえば特開2012-071851号公報(特許文献1)には、挿通部の上方に未シール部を設けることで挿通部近傍の剛性を低くしたパウチ容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたパウチ容器においては、挿通部に指が挿通された際に、挿通部の上方に位置する部分が捩れるように指に沿って折れ曲がり、これにより、指への負担の軽減が図られている。しかしながら、上記構成とした場合にも、パウチ容器を構成するシート状のフィルム部材の材質や厚み等によっては、挿通部の上方に位置する部分の捩れが不十分になるおそれがあり、その場合には、挿通部に挿通された指に許容し難い負担がかかることが懸念される。
【0006】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、指が挿通可能な挿通部が設けられることで取っ手部が形成されてなるパウチ容器において、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づくパウチ容器は、内容物が収容される収容空間が胴部の内部に設けられてなるものであって、上記胴部を構成するシート状の前壁部および後壁部と、上記前壁部の縁部および上記後壁部の縁部が重ね合わせられてなる端縁部とを備えている。上記端縁部は、上記前壁部および上記後壁部が接合されることによって形成されたシール部と、指が挿通可能な挿通部が上記端縁部に設けられることによって形成された取っ手部とを有している。上記挿通部の上方に位置する部分の上記端縁部には、上記胴部の幅方向に沿って延びる第1部分を含むカットラインが設けられている。上記端縁部は、当該端縁部に上記挿通部と上記カットラインとが設けられることによって形成されたブリッジ部を含み、上記カットラインは、上記第1部分の両端から上方に向けて延びる第2部分をさらに含んでいる。
【0008】
上記本発明に基づくパウチ容器にあっては、上記胴部の幅方向と直交する方向である上記胴部の軸方向における上記ブリッジ部の一対の端部のうちの少なくとも一方が、他方から離間する方向に膨出した部分を含んでいてもよい。
【0009】
上記本発明に基づくパウチ容器にあっては、上記ブリッジ部の延在方向における一対の端部のうちの少なくとも一方に、上記前壁部および上記後壁部が接合されていない未シール部が形成されていてもよい。
【0010】
上記本発明に基づくパウチ容器にあっては、上記挿通部の上方に位置する部分の上記端縁部に付加挿通部が設けられていてもよく、その場合には、上記付加挿通部の下端部が、上記カットラインによって規定されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、指が挿通可能な挿通部が設けられることで取っ手部が形成されてなるパウチ容器において、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係るパウチ容器の正面図である。
【
図3】
図1に示すパウチ容器の舌片部が折り返された状態を示す要部拡大正面図である。
【
図4】
図1に示すパウチ容器の取っ手部が把持された状態を示す模式図である。
【
図5】実施の形態2に係るパウチ容器の正面図である。
【
図6】第1変形例に係るパウチ容器の正面図である。
【
図7】第2変形例に係るパウチ容器の正面図である。
【
図8】第3変形例に係るパウチ容器の正面図である。
【
図9】実施の形態3に係るパウチ容器の正面図である。
【
図10】第4ないし第6変形例に係るパウチ容器の隅部を拡大した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るパウチ容器の正面図であり、
図2は、
図1中に示すII-II線に沿った断面図である。
図3は、
図1に示すパウチ容器の舌片部が折り返された状態を示す要部拡大正面図である。まず、これら
図1ないし
図3を参照して、本実施の形態に係るパウチ容器1Aの構成について説明する。なお、理解を容易とするために、
図1および
図3においては、パウチ容器1Aを構成するシート状のフィルム部材のシール部分に色を付している(後述する
図4ないし
図10においても同様である)。
【0015】
図1および
図2に示すように、パウチ容器1Aは、胴部10と、端縁部20と、底襠部30とを主として備えている。胴部10の内部には、内容物が収容される収容空間10aが設けられている。当該収容空間10aに収容される内容物は、通常は液状物であるが、粒状物、粉状物等であってもよい。
【0016】
胴部10は、互いに対向する一対のシート状の胴部用フィルム部材にて構成されており、一対の胴部用フィルム部材のうちの一方が前壁部11を構成しており、他方が後壁部12を構成している。
【0017】
端縁部20は、これら前壁部11および後壁部12の各々の幅方向の縁部が重ね合わせられることで構成された部分であり、第1端縁部21および第2端縁部22を有している。
【0018】
第1端縁部21は、これを構成する前壁部11および後壁部12が接合されることによって形成された第1端縁部側シール部51を含んでおり、第2端縁部22は、これを構成する前壁部11および後壁部12が接合されることによって形成された第2端縁部側シール部52を有している。
【0019】
第2端縁部22の上部には、さらに、スパウト40が設けられている。スパウト40は、第2端縁部22に取り付けられる基部41と、基部41から突出するように設けられた注出部42と、注出部42に対して取り付けおよび取り外しを行なうことにより、当該注出部42を開閉可能にするキャップ43とから構成されている。
【0020】
スパウト40は、第2端縁部22を構成する前壁部11および後壁部12によって基部41が挟み込まれかつこれら前壁部11および後壁部12に接合されることにより、第2端縁部22に取り付けられている。
【0021】
底襠部30は、シート状の底襠部用フィルム部材にて構成されており、胴部10の幅方向と直交する胴部10の軸方向の一端を構成する前壁部11の縁部および後壁部12の縁部の各々に、シート状の底襠部用フィルム部材の縁部が重ね合わせられて接合されることによって構成されている。これにより、前壁部11と底襠部30との境界には、第1底襠部側シール部53が形成されており、後壁部12と底襠部30との境界には、第2底襠部側シール部54が形成されている。
【0022】
ここで、胴部10の軸方向における底襠部30側とは反対側の一端を構成する前壁部11の縁部および後壁部12の縁部には、シール部が形成されていない。これにより、胴部10の上端部には、内容物を収容空間10aに注入するための注入口13が設けられている。注入口13を規定する前壁部11の縁部および後壁部12の縁部は、内容物が収容空間10aに注入された後に当該内容物を密封するために接合されることになる。
【0023】
胴部10を構成する胴部用フィルム部材および底襠部30を構成する底襠部用フィルム部材は、たとえば樹脂製のフィルム部材にて構成される。当該樹脂製のフィルム部材は、好ましくは、包装体としての基本性能(耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性等)を発揮するベースフィルム層と、接合を可能にするためのシーラント層との積層体にて構成される。また、当該樹脂製のフィルム部材は、場合によっては、これらベースフィルム層およびシーラント層に加え、高いガスバリア性や遮光性等の付加性能を発揮するバリア層をこれらベースフィルム層とシーラント層との間に備えた積層体にて構成されてもよい。
【0024】
ベースフィルム層の材質としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等に代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66等に代表されるポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン等が挙げられる。
【0025】
シーラント層の材質としては、たとえば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、未延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロン、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0026】
バリア層の材質としては、アルミニウム等に代表される金属、塩化ビニリデン、エチレン-ビニルアルコール共重合体に代表される樹脂、酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられる。
【0027】
また、上述したフィルム部材同士の接合方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等による融着、もしくは接着剤による接着等が挙げられる。
【0028】
図1に示すように、第1端縁部21の第1端縁部側シール部51には、複数のカットラインCL1~CL3が設けられているとともに、これらに対応する複数の舌片部61~63が設けられている。なお、当該複数のカットラインCL1~CL3の数および舌片部61~63の数は、特にこれが制限されるものではなく、パウチ容器1Aの大きさ等に応じて適宜設定される。
【0029】
本実施の形態においては、3つの舌片部61~63が、胴部10の軸方向において並んで配置されかつこれらの根元が胴部10の幅方向における外側に位置することとなるように、第1端縁部側シール部51に3つのカットラインCL1~CL3が設けられている。
【0030】
なお、説明の便宜上、パウチ容器1Aの底襠部30側に位置するカットラインから順に、第1カットラインCL1、第2カットラインCL2、第3カットラインCL3と称することとし、第1カットラインCL1に対応する舌片部を第1舌片部61、第2カットラインCL2に対応する舌片部を第2舌片部62、第3カットラインCL3に対応する舌片部を第3舌片部63と称することとする。
【0031】
図3に示すように、第1舌片部61が設けられた部分には、これが指で折り返されることによって形成される第1挿通部71が位置している。同様にして、第2舌片部62が設けられた部分には、これが指で折り返されることによって形成される第2挿通部72が位置しており、第3舌片部63が設けられた部分には、これが指で折り返されることによって形成される第3挿通部73が位置している。これら第1挿通部71、第2挿通部72および第3挿通部73は、胴部10の軸方向において並んで配置されている。
【0032】
第1挿通部71、第2挿通部72および第3挿通部73は、いずれも指が挿通可能な大きさを有しており、これらが設けられることにより、第1端縁部21には複数の取っ手部81~83が形成されている。具体的には、胴部10の幅方向における第1挿通部71の外側には第1取っ手部81が形成されており、上記幅方向における第2挿通部72の外側には第2取っ手部82が形成されており、上記幅方向における第3挿通部73の外側には第3取っ手部83が形成されている。
【0033】
ここで、
図1および
図3に示すように、第2カットラインCL2の下端部は、胴部10の幅方向に沿って延びる第1部分CL2aと、当該第1部分CL2aの両端から上方に向けて延びる一対の第2部分CL2bとを含んでいる。すなわち、第1挿通部71の上方に位置する部分の第1端縁部21には、第2カットラインCL2の第1部分CL2aおよび第2部分CL2bが位置している。
【0034】
一方、第3カットラインCL3の下端部は、胴部10の幅方向に沿って延びる第1部分CL3aと、当該第1部分CL3aの両端から上方に向けて延びる一対の第2部分CL3bとを含んでいる。すなわち、第2挿通部72の上方に位置する部分の第1端縁部21には、第3カットラインCL3の第1部分CL3aおよび第2部分CL3bが位置している。
【0035】
これにより、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにおいては、第1挿通部71に対する付加挿通部としての第2挿通部72が、第1挿通部71の上方に位置するように設けられており、当該第2挿通部72の下端部が、上述した第2カットラインCL2の第1部分CL2aおよび第2部分CL2bによって規定されている。また、同様に、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにおいては、第2挿通部72に対する付加挿通部としての第3挿通部73が、第2挿通部72の上方に位置するように設けられており、当該第3挿通部73の下端部が、上述した第3カットラインCL3の第1部分CL3aおよび第2部分CL3bによって規定されている。
【0036】
第1端縁部21の第1端縁部側シール部51には、上述した第1挿通部71および第2カットラインCL2が設けられることにより、これらの間に位置するように第1ブリッジ部91が形成されている。第1ブリッジ部91は、その上端が第2カットラインCL2の第1部分CL2aおよび第2部分CL2bによって規定されており、下端が第1カットラインCL1の上端部によって規定されている。
【0037】
第1ブリッジ部91のうちの胴部10の軸方向における第1挿通部71側の端部は、第1ブリッジ部91のうちの胴部10の軸方向における第2挿通部72側の端部から離間する方向に膨出した第1膨出部91aを含んでおり、第1ブリッジ部91のうちの上記軸方向における第2挿通部72側の端部は、第1ブリッジ部91のうちの胴部10の軸方向における第1挿通部71側の端部から離間する方向に膨出した第2膨出部91bを含んでいる。すなわち、胴部10の軸方向における第1ブリッジ部91の一対の端部は、互いに離間する方向に膨出している。これにより、第1ブリッジ部91の延在方向(すなわち、胴部10の幅方向)における両端部は、その中央部に比して幅(すなわち、胴部10の軸方向における大きさ)が狭く構成されている。
【0038】
また、同様にして、第1端縁部21の第1端縁部側シール部51には、上述した第2挿通部72および第3カットラインCL3が設けられることにより、これらの間に位置するように第2ブリッジ部92が形成されている。第2ブリッジ部92は、その上端が第3カットラインCL3の第1部分CL3aおよび第2部分CL3bによって規定されており、下端が第2カットラインCL2の上端部によって規定されている。
【0039】
第2ブリッジ部92のうちの胴部10の軸方向における第2挿通部72側の端部は、第2ブリッジ部92のうちの胴部10の軸方向における第3挿通部73側の端部から離間する方向に膨出した第1膨出部92aを含んでおり、第2ブリッジ部92のうちの上記軸方向における第3挿通部73側の端部は、第2ブリッジ部92のうちの胴部10の軸方向における第2挿通部72側の端部から離間する方向に膨出した第2膨出部92bを含んでいる。すなわち、胴部10の軸方向における第2ブリッジ部92の一対の端部は、互いに離間する方向に膨出している。これにより、第2ブリッジ部92の延在方向(すなわち、胴部10の幅方向)における両端部は、その中央部に比して幅(すなわち、胴部10の軸方向における大きさ)が狭く構成されている。
【0040】
図4は、実施の形態1に係るパウチ容器の取っ手部が把持された状態を示す模式図である。次に、この
図4を参照して、パウチ容器1Aの取っ手部が把持された状態の一例について説明する。なお、
図4に示すパウチ容器1Aにおいては、注入口13を規定する前壁部11の縁部および後壁部12の縁部が接合されることによって胴部10の上端部に上端部側シール部55が形成されることにより、内容物が当該パウチ容器1Aの内部に密封されている。
【0041】
ここで、
図4は、パウチ容器1Aに収容された内容物が既に相当程度に注出されることにより、その量が相応に少なくなった状態において、あらためてパウチ容器1Aを把持して内容物を注出する場合の様子を示したものである。パウチ容器1Aに収容された内容物が相応に多い状態において、これを把持して内容物を注出する場合については、後において説明することとする。
【0042】
図4に示すように、収容空間10aに収容された内容物をスパウト40(
図1参照)から注出する場合には、まず、人差し指および中指によって第2舌片部62がその根元側に向けて(すなわち、胴部10の幅方向における外側に向けて)折り返されることにより、第2挿通部72に人差し指および中指が挿通される。
【0043】
その際、第2挿通部72の上方に位置する第2ブリッジ部92に人差し指が接触することにより、当該第2ブリッジ部92に捩れ変形が生じる。この第2ブリッジ部92の捩れ変形により、第2ブリッジ部92の前壁部11側に位置する面が、パウチ容器1Aの上方側を向くことになり、第2ブリッジ部92の後壁部12側に位置する面が、パウチ容器1Aの下方側を向くことになる。
【0044】
同様にして、薬指および小指によって第1舌片部61がその根元側に向けて折り返されることにより、第1挿通部71に薬指および小指が挿通されるとともに、第1挿通部71の上方に位置する第1ブリッジ部91に薬指が接触することにより、当該第1ブリッジ部91に捩れ変形が生じる。この第1ブリッジ部91の捩れ変形により、第1ブリッジ部91の前壁部11側に位置する面が、パウチ容器1Aの上方側を向くことになり、第1ブリッジ部91の後壁部12側に位置する面が、パウチ容器1Aの下方側を向くことになる。
【0045】
このようにして、第2挿通部72および第1挿通部71に挿通された指により、第2取っ手部82および第1取っ手部81が把持されることになる。
【0046】
次に、第2取っ手部82および第1取っ手部81を把持している方の手でパウチ容器1Aが持ち上げられ、さらにパウチ容器1Aが当該手によって傾けられる。これにより、スパウト40の注出部42から内容物が注出されることになる。
【0047】
このとき、パウチ容器1Aを把持した手には、パウチ容器1Aおよびこれに収容された内容物の荷重が印加される。より詳細には、当該荷重は、第2挿通部72の上方に位置する第2ブリッジ部92を介して、当該第2挿通部72に挿通された人差し指に印加されるとともに、第1挿通部71の上方に位置する第1ブリッジ部91を介して、当該第1挿通部71に挿通された薬指に印加される。
【0048】
ここで、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにおいては、上述したように、第2ブリッジ部92の上端が、第3カットラインCL3のうちの胴部10の幅方向に沿って延びる第1部分CL3aと、当該第1部分CL3aの両端から上方に向けて延びる第2部分CL3bとによって規定されている(
図1および
図3参照)。
【0049】
そのため、上記荷重の印加方向(すなわち、胴部10の軸方向)に沿って延びる第2部分CL3bが第2ブリッジ部92の捩れ変形を助長することになり、第2ブリッジ部92が、第2挿通部72に挿通された人差し指に沿うように大きく湾曲する。これにより、第2ブリッジ部92と人差し指との間の接触面積が増大することになり、当該人差し指にかかる負担が大幅に軽減されることになる。
【0050】
また、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにおいては、上述したように、第1ブリッジ部91の上端が、第2カットラインCL2のうちの胴部10の幅方向に沿って延びる第1部分CL2aと、当該第1部分CL2aの両端から上方に向けて延びる第2部分CL2bとによって規定されている(
図1および
図3参照)。
【0051】
そのため、上記荷重の印加方向(すなわち、胴部10の軸方向)に沿って延びる第2部分CL2bが第1ブリッジ部91の捩れ変形を助長することになり、第1ブリッジ部91が、第1挿通部71に挿通された薬指に沿うように大きく湾曲する。これにより、第1ブリッジ部91と薬指との間の接触面積が増大することになり、当該薬指にかかる負担が大幅に軽減されることになる。
【0052】
したがって、このように構成することにより、指が挿通可能な挿通部が設けられることで取っ手部が形成されてなるパウチ容器において、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることができる。
【0053】
また、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにあっては、上述したように、第2ブリッジ部92が、その胴部10の軸方向における第2挿通部72側の端部において第1膨出部92aを含むとともに、上記軸方向における第3挿通部73側の端部において第2膨出部92bを含んでおり、また、第1ブリッジ部91が、その胴部10の軸方向における第1挿通部71側の端部において第1膨出部91aを含むとともに、上記軸方向における第2挿通部72側の端部において第2膨出部91bを含んでいる。
【0054】
このように構成した場合には、第1膨出部92a,91aおよび第2膨出部92b,91bを含まないパウチ容器に比較して、これら第1膨出部92a,91aおよび第2膨出部92b,91bが設けられた分だけ第2ブリッジ部92および第1ブリッジ部91が大きくなるため、第2ブリッジ部92と人差し指との間の接触面積、および、第1ブリッジ部91と薬指との間の接触面積がさらに増大することになる。したがって、この点においても、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることができる。
【0055】
また、このように構成した場合には、第2挿通部72および第1挿通部71に指が挿通されるに際し、第1膨出部92a,91aに人差し指および薬指が接触することにより、これら第1膨出部92a,91aが、第2ブリッジ部92および第1ブリッジ部91が意図したように捩れ変形する(すなわち、第2ブリッジ部92の前壁部11側に位置する面および第1ブリッジ部91の前壁部11側に位置する面が、それぞれパウチ容器1Aの上方側を向くとともに、第2ブリッジ部92の後壁部12側に位置する面および第1ブリッジ部91の後壁部12側に位置する面が、パウチ容器1Aの下方側を向くように捩れ変形する)ことを促すガイドとして機能することにもなる。
【0056】
さらには、このように構成した場合には、上述したように、第2ブリッジ部92および第1ブリッジ部91の延在方向における両端部が、それらの中央部に比して幅が狭く構成さることになる。そのため、これら両端部が、括れた形状を有することになるため、この両端部が捩れ変形の起点となることにより、第2ブリッジ部92および第1ブリッジ部91の捩れ変形が促進されることになる。そのため、この点においても、第2ブリッジ部92および第1ブリッジ部91の捩れ変形が助長されることになり、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることができる。
【0057】
ここで、本実施の形態に係るパウチ容器1Aとは異なり、挿通部の上方に未シール部のみを設けることで挿通部近傍の剛性を低くしたパウチ容器においても、挿通部に指が挿通された際に、挿通部の上方に位置する部分が捩れるように指に沿って折れ曲がり、これにより、指への負担の軽減が図られる。しかしながら、当該構成とした場合には、パウチ容器を構成するシート状のフィルム部材の材質や厚み等によっては、挿通部の上方に位置する部分の捩れが不十分になるおそれがあり、その場合には、挿通部に挿通された指に許容し難い負担がかかることが懸念される。
【0058】
この点、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにあっては、上述したように、第1ブリッジ部91の上端の一部が第2カットラインCL2の第1部分CL2aおよび第2部分CL2bによって規定されていることにより、第1ブリッジ部91の捩れ変形が助長されるだけでなく、第1ブリッジ部91の延在方向における両端部がその中央部に比して幅が狭く構成されていることによっても、当該捩れ変形が助長されており、さらには、ブリッジ部91が第1膨出部91aおよび第2膨出部91bを含むことにより、第1ブリッジ部91と指との接触面積が増大させられている。
【0059】
これらの相乗効果により、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにあっては、挿通部の上方に未シール部のみが設けられたパウチ容器に比較して、パウチ容器を構成するシート状のフィルム部材の材質や厚み等の影響を受ける程度が低くなり、より確実に指にかかる負担を軽減することが可能になる。
【0060】
一方、パウチ容器1Aに収容された内容物が相応に多い状態において、これを把持して内容物を注出する場合には、第2取っ手部82および第3取っ手部83が把持されることになる。
【0061】
具体的には、まず、人差し指および中指によって第3舌片部63がその根元側に向けて折り返されることにより、第3挿通部73に人差し指および中指が挿通されるとともに、薬指および小指によって第2舌片部62がその根元側に向けて折り返されることにより、第2挿通部72に薬指および小指が挿通される。
【0062】
その際、第2挿通部72の上方に位置する第2ブリッジ部92に薬指が接触することにより、当該第2ブリッジ部92に捩れ変形が生じる。この第2ブリッジ部92の捩れ変形により、第2ブリッジ部92の前壁部11側に位置する面が、パウチ容器1Aの上方側を向くことになり、第2ブリッジ部92の後壁部12側に位置する面が、パウチ容器1Aの下方側を向くことになる。なお、第3挿通部73の上方には、ブリッジ部が形成されていないものの、当該第3挿通部73の上端を規定する部分の第3カットラインCL3が下方に向けて膨出する形状を有していることに伴い、当該部分にも捩れが生じることになる。
【0063】
このようにして、第3挿通部73および第2挿通部72に挿通された指により、第3取っ手部83および第2取っ手部82が把持されることになる。
【0064】
次に、第3取っ手部83および第2取っ手部82を把持している方の手でパウチ容器1Aが持ち上げられ、さらにパウチ容器1Aが当該手によって傾けられる。これにより、スパウト40の注出部42から内容物が注出されることになる。
【0065】
この際にも、第2挿通部72の上方に第2ブリッジ部92が位置していることにより、上述した理由と同様の理由から、当該第2挿通部72に挿通された薬指への負担の軽減が図られることになる。したがって、上記のように構成することにより、パウチ容器1Aに収容された内容物が相応に多い状態においても、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることができる。
【0066】
なお、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにあっては、第3挿通部73の上方にブリッジ部が存在していないものの、上述したように、第3挿通部73の上端を規定する部分の第3カットラインCL3が下方に向けて膨出する形状を有していることにより、当該第3挿通部73に挿通された人差し指への負担も、相応に軽減されることになる。
【0067】
ここで、当該第3挿通部73に挿通された人差し指への負担をさらに効果的に軽減する場合には、本実施の形態に係るパウチ容器1Aの第3挿通部73およびその上方の部分に、後述する実施の形態2に係るパウチ容器1Bおよびその変形例である第1ないし第3変形例に係るパウチ容器1B1~1B3において採用されている特徴的な構成を適用すればよい。また、これら部分に、後述する実施の形態3に係るパウチ容器1Cおよびその変形例である第4ないし第6変形例に係るパウチ容器1C1~1C3において採用されている特徴的な構成を適用してもよい。
【0068】
なお、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにあっては、当該パウチ容器1Aの把持ならびにその際の指への負担の軽減を可能とする挿通部71,72、ブリッジ部91,92および第2カットラインCL2,CL3等が、いずれも単一のカット工程において形成可能なものである。したがって、このように構成することにより、パウチ容器1Aの構成の簡素化が実現できることとなり、結果としてパウチ容器1Aの製造コストの増大を抑制することも可能になる。
【0069】
また、本実施の形態に係るパウチ容器1Aにあっては、上述したように、第1舌片部61、第2舌片部62および第3舌片部63が、これらの根元が胴部10の幅方向における外側に位置することとなるように第1端縁部21に配置されている。このように構成することにより、パウチ容器1Aが使用される際に、指によって折り返された第1舌片部61等が当該第1舌片部61等の縁部と指との間に位置することになるため、当該縁部が指に食い込むことが未然に防止可能となり、これによっても挿通部に挿通される指への負担を軽減することができる。
【0070】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係るパウチ容器の正面図である。以下、この
図5を参照して、本実施の形態に係るパウチ容器1Bについて説明する。
【0071】
図5に示すように、本実施の形態に係るパウチ容器1Bは、上述した実施の形態1に係るパウチ容器1Aと比較した場合に、第1端縁部21に未シール部100が形成されている点においてのみ、その構成が相違している。当該未シール部100は、第1端縁部21を構成する前壁部11および後壁部12に、これらが相互に接合されていない部分を設けることで形成される部分である。
【0072】
具体的には、未シール部100は、複数のカットラインCL1~CL3と、複数の舌片部61~63と、複数の挿通部71~73と、第1ブリッジ部91および第2ブリッジ部92とが形成されている部分を全て含むように位置している。また、未シール部100は、胴部10の軸方向に延在しており、その上端は第3カットラインCL3の上方に、下端は第1カットラインCL1の下方にそれぞれ達している。
【0073】
これにより、パウチ容器1Bにあっては、第1ブリッジ部91および第2ブリッジ部92の各々の延在方向における一対の端部において、第1端縁部側シール部51に比して剛性が低い未シール部100が形成されることになる。
【0074】
このように構成した場合には、周囲に比して剛性が低く変形しやすい未シール部100に第1ブリッジ部91が形成されていることに起因し、第1挿通部71に指が挿通された場合に、第1ブリッジ部91がより大きく捩れ変形するとともにより大きく撓んで湾曲することになる。これにより、第1ブリッジ部91と第1挿通部71に挿通された指との接触面積が増大することになるため、第1挿通部71に挿通された指にかかる負担を大幅に軽減することができる。なお、この効果は、第2挿通部72に指が挿通された場合にも、第2ブリッジ部92との関係性によって同様に奏されることになる。
【0075】
したがって、本実施の形態に係るパウチ容器1Bとすることにより、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られるばかりでなく、さらに挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることが可能になる。
【0076】
なお、本実施の形態に係るパウチ容器1Bにあっては、上述したように、第3カットラインCL3の上方においても未シール部100が形成されているため、第3挿通部73に指が挿通された際に、当該第3挿通部73の上方に位置する部分の未シール部100が捩れ変形することが促進されることになる。したがって、このように構成することにより、第3挿通部73に挿通された指への負担のさらなる軽減を図ることもできる。
【0077】
(第1変形例)
図6は、第1変形例に係るパウチ容器の正面図である。以下、この
図6を参照して、上述した実施の形態2に基づいた第1変形例に係るパウチ容器1B1について説明する。
【0078】
図6に示すように、第1変形例に係るパウチ容器1B1は、上述した実施の形態2に係るパウチ容器1Bと比較した場合に、未シール部100の構成のみが相違している。
【0079】
具体的には、第1変形例に係るパウチ容器1B1においては、未シール部100が、複数のカットラインCL1~CL3、複数の舌片部61~63、複数の挿通部71~73、第1ブリッジ部91および第2ブリッジ部92の各々の胴部10の幅方向における外側の端部以外の部分を含むこととなるように、第1端縁部21に形成されている。
【0080】
これにより、パウチ容器1B1にあっては、第1ブリッジ部91および第2ブリッジ部92の各々の延在方向における一対の端部のうちの胴部10の幅方向における内側に位置する端部において、第1端縁部側シール部51に比して剛性が低い未シール部100が形成されることになる。
【0081】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1および実施の形態2において説明した効果と同様の効果が得られることになり、指が挿通可能な挿通部が設けられることで取っ手部が形成されてなるパウチ容器において、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることができる。
【0082】
なお、複数のカットラインCL1~CL3が未シール部100に設けられた場合には、これらの近傍に位置する一対のシート状の胴部用フィルム部材同士が接合された状態にはないため、当該部分に意図しない捲れが生じやすくなる。特に、パウチ容器1B1が搬送等される際に、複数のカットラインCL1~CL3の各々の胴部10の幅方向における内側および外側の両端部の近傍において、このようなフィルム部材の意図しない捲れが生じやすくなる。
【0083】
この点、本変形例に係るパウチ容器1B1においては、複数のカットラインCL1~CL3の各々の上記幅方向における外側の端部が、一対のシート状の胴部用フィルム部材同士が接合された第1端縁部側シール部51に設けられている。このように構成した場合には、当該端部において意図しない捲れが生じることが効果的に防止できることになる。
【0084】
(第2変形例)
図7は、第2変形例に係るパウチ容器の正面図である。以下、この
図7を参照して、上述した実施の形態2に基づいた第2変形例に係るパウチ容器1B2について説明する。
【0085】
図7に示すように、第2変形例に係るパウチ容器1B2は、上述した実施の形態2に係るパウチ容器1Bと比較した場合に、未シール部100の構成のみが相違している。
【0086】
具体的には、第2変形例に係るパウチ容器1B2においては、未シール部100が、第1未シール部101、第2未シール部102および第3未シール部103を含んでいる。第1未シール部101は、第1ブリッジ部91の延在方向における一対の端部を含む当該第1ブリッジ部91の一部に形成されており、第2未シール部102は、第2ブリッジ部92の延在方向における一対の端部を含む当該第2ブリッジ部92の一部に形成されており、第3未シール部103は、第3カットラインCL3の上方に形成されている。また、容器1B2においては、複数のカットラインCL1~CL3が、一対のシート状の胴部用フィルム部材同士が接合された第1端縁部側シール部51に設けられている。
【0087】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1および実施の形態2において説明した効果と同様の効果が得られることになる。さらには、上述した実施の形態2に係るパウチ容器1Bに比較して、複数のカットラインCL1~CL3の各々の胴部10の幅方向における内側および外側の両端部において、意図しない捲れが生じることが効果的に防止できることになる。
【0088】
(第3変形例)
図8は、第3変形例に係るパウチ容器の正面図である。以下、この
図8を参照して、上述した実施の形態2に基づいた第3変形例に係るパウチ容器1B3について説明する。
【0089】
図8に示すように、第3変形例に係るパウチ容器1B3は、上述した実施の形態2に係るパウチ容器1Bと比較した場合に、未シール部100の構成のみが相違している。
【0090】
具体的には、第3変形例に係るパウチ容器1B3においては、未シール部100が、第1未シール部101、第2未シール部102および第3未シール部103を含んでいる。第1未シール部101は、第1ブリッジ部91が形成されている部分と、第1カットラインCL1の上端部と、第2カットラインCL2の第1部分CL2aおよび第2部分CL2bの一部とに形成されている。また、第2未シール部102は、第2ブリッジ部92が形成されている部分と、第2カットラインCL2の上端部と、第3カットラインCL3の第1部分CL3aおよび第2部分CL3bの一部とに形成されており、第3未シール部103は、第3カットラインCL3の上端部および当該第3カットラインCL3の上方に形成されている。これにより、パウチ容器1B3にあっては、第1ブリッジ部91および第2ブリッジ部92の各々の延在方向における一対の端部において、第1端縁部側シール部51に比して剛性が低い未シール部100が形成されることになる。
【0091】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1および実施の形態2において説明した効果と同様の効果が得られるばかりでなく、上述した実施の形態2に係る第1および第2変形例に係るパウチ容器1B1,1B2に比較して、さらに挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることが可能になる。
【0092】
また、第3変形例に係る容器1B3においては、複数のカットラインCL1~CL3の各々の胴部10の幅方向における内側の端部の大部分および外側の端部の大部分が、一対のシート状の胴部用フィルム部材同士が接合された第1端縁部側シール部51に設けられている。
【0093】
このように構成した場合には、複数のカットラインCL1~CL3の各々の上記幅方向における内側の端部の大部分および外側の端部の大部分において、意図しない捲れが生じることが効果的に防止できることになる。
【0094】
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3に係るパウチ容器の正面図である。以下、この
図9を参照して、本実施の形態に係るパウチ容器1Cについて説明する。
【0095】
図9に示すように、本実施の形態に係るパウチ容器1Cは、上述した実施の形態1に係るパウチ容器1Aと比較した場合に、第1端縁部21の構成のみが相違している。
【0096】
具体的には、実施の形態3に係るパウチ容器1Cの第1端縁部21の第1端縁部側シール部51には、第1カットラインCL1が設けられることによって形成された第1挿通部71と、第1部分CL2aおよび一対の第2部分CL2bのみからなる第2カットラインCL2と、これら第1挿通部71および第2カットラインCL2の間に位置するように形成された第1ブリッジ部91のみが設けられている。
【0097】
また、本実施の形態にあっては、第1ブリッジ部91は、上述した第1膨出部91aおよび第2膨出部91bを含んでいない。
【0098】
このように構成した場合には、実施の形態1において説明したパウチ容器1Aと比較して、第1膨出部91aおよび第2膨出部91bを含んでいないことに起因して第1ブリッジ部91と第1挿通部71に挿通された指との接触面積を増大させる効果等が得られないことにはなるものの、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、指が挿通可能な挿通部が設けられることで取っ手部が形成されてなるパウチ容器において、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることができる。
【0099】
(第4ないし第6変形例)
図10(A)ないし
図10(C)は、それぞれ第4ないし第6変形例に係るパウチ容器の隅部を拡大した正面図である。以下、この
図10を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第4ないし第6変形例に係るパウチ容器1C1~1C3について説明する。
【0100】
図10に示すように、第4ないし第6変形例に係るパウチ容器1C1~1C3は、上述した実施の形態3に係るパウチ容器1Cと比較した場合に、第1ブリッジ部91の構成のみが相違している。
【0101】
図10(A)に示すように、第4変形例に係るパウチ容器1C1においては、第1ブリッジ部が、胴部10の軸方向における第2カットラインCL2側の端部において第2膨出部91bを含んでいるものの、上記軸方向における第1挿通部71側の端部においては膨出部を含んでいない。
【0102】
図10(B)に示すように、第5変形例に係るパウチ容器1C2においては、第1ブリッジ部が、胴部10の軸方向における第1挿通部71側の端部において第1膨出部91aを含んでいるものの、上記軸方向における第2カットラインCL2側の端部においては膨出部を含んでいない。
【0103】
図10(C)に示すように、第6変形例に係るパウチ容器1C3においては、第1ブリッジ部が、胴部10の軸方向における第1挿通部71側の端部において第1膨出部91aを含んでおり、さらに、上記軸方向における第2カットラインCL2側の端部において第2膨出部91bを含んでいる。
【0104】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、指が挿通可能な挿通部が設けられることで取っ手部が形成されてなるパウチ容器において、挿通部に挿通された指への負担の軽減を図ることができる。
【0105】
(その他の形態等)
以上において説明した実施の形態およびその変形例に係るパウチ容器は、樹脂成型品からなる容器に比較して、樹脂の使用量を大幅に削減できるものである。また、以上において説明した実施の形態およびその変形例に係るパウチ容器は、樹脂成型品からなる容器に比較して、使用後において収容空間から気体を抜くことにより、これを折り畳めるものであるため、減容化した上で廃棄することができるものである。
【0106】
ここで、上述した実施の形態およびそれらの変形例においては、端縁部に設けられた舌片部が折り返されることによって挿通部が形成される場合を例示して説明を行なったが、当該挿通部は、特にこれが舌片部の折り返しによって形成されるものに制限されるものではなく、たとえば貫通孔によって構成されてもよい。
【0107】
また、上述した実施の形態およびそれらの変形例においては、2本の指が挿通部に挿通される場合を例示して説明を行なったが、挿通部に挿通される指の数は、特にこれが制限されるものではなく、挿通される指の数の設定に応じて適宜挿通部の大きさ等が変更されてもよい。
【0108】
上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0109】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0110】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0111】
1A~1C,1B1~1B3,1C1~1C3 パウチ容器、10 胴部、10a 収容空間、11 前壁部、12 後壁部、13 注入口、20 端縁部、21 第1端縁部、22 第2端縁部、30 底襠部、40 スパウト、41 基部、42 注出部、43 キャップ、51 第1端縁部側シール部、52 第2端縁部側シール部、53 第1底襠部側シール部、54 第2底襠部側シール部、55 上端部側シール部、61 第1舌片部、62 第2舌片部、63 第3舌片部、71 第1挿通部、72 第2挿通部、73 第3挿通部、81 第1取っ手部、82 第2取っ手部、83 第3取っ手部、91 第1ブリッジ部、91a 第1膨出部、91b 第2膨出部、92 第2ブリッジ部、92a 第1膨出部、92b 第2膨出部、100 未シール部、101 第1未シール部、102 第2未シール部、103 第3未シール部、CL1 第1カットライン、CL2 第2カットライン、CL2a 第1部分、CL2b 第2部分、CL3 第3カットライン、CL3a 第1部分、CL3b 第2部分。